JP2019015100A - 山留壁の撤去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軟弱地盤において、シートパイルなどの山留部材を撤去すると、周囲の地盤が沈下する危険性が高い箇所において、隣地など周囲に地盤沈下を及ぼさずに山留部材を撤去する方法を開発する。【解決手段】山留壁に沿わせて地盤内に注入管を挿入させ、当該注入管より隣接境界線と当該山留壁の壁面との間の地盤に地盤硬化剤を注入する補強層形成工程と、前記山留壁を構成する芯材、または鋼製矢板を一本、あるいは複数本引き抜いた後に、セメント系充填剤を引き抜かれた当該芯材または当該鋼製矢板壁が建て込まれていた地盤内の空洞部に充填する工程と、を含む山留壁の撤去方法。【選択図】図1

Description

本発明は、山留壁の撤去方法に関する。
山留工事とは掘削工事をするときに側面を保護して、周囲地盤の崩壊や、土砂の流出を止めるための工事である。山留工事には、親杭(くい)・横矢板工法、シートパイル(鋼矢板工法)工法、地中連続壁(SMW)工法などがある。
山留工事において、山留に使用したシートパイル等の山留部材を引き抜くと、地中に山留部材の体積分の空隙が生じる。空隙が生じると、生じた空隙に向かって周囲の土砂が移動し、工事範囲周辺において地盤沈下を起こしたり、地下水に影響を与えることがある。また、現場およびその周辺の建築物や路面等を変形させることもある。
このような影響は、放置して周辺の土壌と馴染ませる方法やシートパイルなどを引き抜いた後に発生する空隙に、水締め、砂詰め、流動化処理土充填などの方法で埋める方法がある。
例えば、特許文献1には、溝を掘削し、山留部材で溝の両壁を山留めしながら溝内で作業をする山留め工法であって、溝を埋めた後に山留部材を引き抜くとともに硬化剤を地中に注入して山留部材が引き抜かれた後の空隙を埋めるものであり、山留部材の引き抜きによる地中の空隙を硬化材によって埋めることにより、シートパイルなどの山留部材の引き抜きによる地中の空隙を生じさせず、施工後にも周囲の地盤や地下水の流れに変動を与えることがなく、環境問題を発生させない施工方法が開示されている(図7参照)。
特許文献2(特開2016−148137号公報)には、山留部材を撤去する際に、撤去する予定の山留部材の周囲に機械または手作業等で凹部を形成する凹部形成工程と、凹部に流動化処理土を満たす引抜準備工程と、クレーン等で山留部材を引き抜く引抜工程(図8参照)とを行うことで、山留部材を引き抜いた跡に形成される空隙に流動化処理土を充填して、山留部材の引き抜きに要するサイクルタイムを短縮することが可能であって、かつ、周辺地盤等へ与える影響を少なくできる山留部材の撤去方法が開示されている。
特開2005−290963号公報 特開2016−148137号公報
本発明は、軟弱地盤において、シートパイルなどの山留部材を撤去すると、周囲の地盤が沈下する危険性が高い箇所において、隣地など周囲に地盤沈下を及ぼさずに山留部材を撤去する方法を開発することを目的とする。
本発明は、山留壁を撤去する前に、隣地側に補強地盤を形成して、シートパイルなどを引き抜き、引き抜き跡に充填材を充填することにより、隣地側に地形変更などの悪影響が出ない山留壁の撤去方法である。
本発明の主な構成は次のとおりである。
1.地盤内に建て込まれた山留壁の撤去方法であって、
前記山留壁に沿わせて地盤内に注入管を挿入させ、当該注入管より隣接境界線と当該山留壁の壁面との間の地盤に地盤硬化剤を注入する補強層形成工程と、
前記山留壁を構成する芯材、または鋼製矢板を一本、あるいは複数本引き抜いた後に、セメント系充填剤を引き抜かれた当該芯材または当該鋼製矢板壁が建て込まれていた地盤内の空洞部に充填する工程と、
を含むことを特徴とする山留壁の撤去方法。
2.地盤内に建て込まれた山留壁の撤去方法であって、
前記山留壁に沿わせて地盤内に注入管を挿入させ、当該注入管より隣接境界線と当該山留壁の壁面との間の地盤に地盤硬化剤を注入する工程と、
前記山留壁を構成する芯材、または鋼製矢板を一本、あるいは複数本引くと同時にセメント系充填剤を引き抜かれた当該芯材または当該鋼製矢板壁が建て込まれていた地盤内の空洞部に充填する工程と、
を含むことを特徴とする山留壁の撤去方法。
3.N値が10以下の地層を有する地盤であることを特徴とする1.又は2.記載の山留壁の撤去方法。
4.補強層形成工程において、地下水位面より上部まで補強層を形成することを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の山留壁の撤去方法。
5.補強層形成工程において、
前記地盤硬化剤は、水ガラスを主材とした薬剤系注入材であり、
当該地盤硬化剤の注入は、複数回に分けて行い、一回目は地盤硬化剤を補強層全体に低濃度に注入し、山留壁近くに地盤硬化剤が高濃度になるように注入することを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の山留壁の撤去方法。
6.N値が10以下の地層を有する地盤において、山留壁撤去跡に、山留壁引き抜き跡の隣地側に地下水位以上に上端を形成した補強層と山留壁引き抜き空隙に充填層が設けられている、山留め撤去跡の補強充填構造。
1.本発明は、軟弱地盤におけるシートパイルなどの山留部材を撤去するに際し、隣地境界側の地盤を補強した後、山留部材を引き抜きながらセメント系充填材を充填することにより、山留壁撤去後の周辺の地盤低下などの弊害を防止できる。特に、隣地境界が迫っている都市部や湾岸地域などでの基礎工事で、隣地側に地盤沈下などの悪影響を及ぼすことがない。
2.特に、地下水位が山留壁に壁高さの上部側にあり、隣地境界線と山留壁との間の距離が狭い工事敷地の場合、山留壁を引き抜く前段階において、隣地境界線と山留壁の壁面との間の地下水位面より上部の地盤については、浸透団結性を高めておくことで、山留壁を引き抜く際に、隣地境界線と山留壁との間の地盤沈下を防止できる。さらに、N値が10以下、特に5以下のような軟弱層を有する地盤では、山留壁が引き抜かれた空洞部の保持力が弱く、地下水の影響により、柔軟化が促進されるような環境下で有効である。
3.山留壁の撤去作業と併行してセメント系充填材で撤去空間を充填するために、撤去空間を柔軟地盤の土壌が撤去空間に侵入することがない。
4.山留壁を引き抜く前段階として、山留壁(芯材や鋼板製矢板)に沿わせて地盤内に薬液系注入剤を複数回に分けて注入することで、山留壁に接する周辺地盤の透水性を減少させて止水性に濃度勾配を設けて形成し、山留壁側の止水性を強化した補強層を形成し、充填材の補強層への地下水の影響を弱めて、地盤強度を確実に高めることができる。
5.山留壁の撤去跡地は、隣地側に補強層が形成され、山留壁撤去空間には充填層が形成されているので、軟弱な地盤において、隣地境界付近が補強されていて、安定した層が形成され、工事終了後にも隣地への影響を緩和できる。
山留壁の撤去方法の工程を示す図。 地盤硬化剤注入、補強層の形成概略を示す断面図。 地盤硬化剤注入、補強層の形成概略を示す平面図。 山留壁構築シートパイル引き抜きおよび充填剤の充填工事の概略を示す断面図。 山留壁構築シートパイル引き抜きおよび充填剤の充填工事の概略を示す平面図。 地層調査を示す図。 特許文献1開示の従来例を示す図。 特許文献2開示の従来例を示す図。
本発明は、柔軟地盤など軟弱地盤に設けられた山留壁を撤去する前に、隣地側に補強地盤を形成して、シートパイルなどを引き抜き、引き抜き跡に充填材を充填することにより、隣地側に地形変更などの悪影響が出ない山留壁の撤去方法である。
すなわち、地盤内に建て込まれた山留壁の撤去方法は、山留壁に沿わせて地盤内に注入管を挿入させ、当該注入管より隣接境界線と当該山留壁の壁面との間の地盤に地盤硬化剤を注入する補強層形成工程と、山留壁を構成する芯材、または鋼製矢板を一本、あるいは複数本引き抜いた後に、セメント系充填剤を引き抜かれた当該芯材または当該鋼製矢板壁が建て込まれていた地盤内の空洞部に充填する工程と、を備えている。
なお、工事敷地において山留壁を構築する箇所を隣地に面する箇所として説明しているが、この隣地は、他人の土地という意味だけでなく、施主保有地でも、保存建物などの構築物が存在する部分も含むものとする。
<軟弱地盤>
特許文献1や特許文献2などにシートパイルの引き抜き空間を充填して、周囲にひび割れなどが発生することを防止する技術があるが、地下水位が高く、軟弱な地盤では、これらの従来技術では安定性が保てないことがあり、特に隣接建物が近い場合、隣接建物にひび割れや傾きが発生しないように注意を払う必要がある。
軟弱地盤で試しにシートパイルを引き抜いた空間にグラウトを充填したところ、崩壊して付近の地盤沈下を発生した。崩壊した箇所を補修する後処理で対処することも1つであるが、隣接する建物が近い場合、建物が傾くことは重大事故になるので、崩壊を発生させずにシートパイルを引き抜く手段を検討した結果、引き抜きに先立ち、隣地側を補強して、隣地側に地盤沈下などの悪影響を発生させない方法を検討した。
なお、崩壊した理由は、グラウトが硬化して強度を発揮するまで空隙の壁が持たずに崩壊したと考える。
本発明が適用される好ましい地盤は、軟弱な地盤であって、シートパイルなどを引き抜いた跡をそのままにしておいた場合、引き抜き空間に隣接地から土が流れ込んで、隣接地にひびや沈下が発生するような地盤である。このような軟弱地盤としては、N値が10以下、更に5以下の地層がある地盤である。更に、地下水位が高く、山留壁の上部に地下水位があるような場合には水圧の影響もあって、流動化し易く、空洞部に土壌が侵入し、空隙が崩壊し易い。このような地盤は、湾岸の埋め立て地、河川付近、湖沼付近などに分布しており、特に、都市部では工事敷地に余裕はなく、隣地に迫って山留壁が設けられ、山留壁の撤去に伴う隣接建物や道路等の工作物に影響が出ないようにする必要がある。
地盤の状態は、土質調査を行って、確認する。
山留壁の撤去工程の基本を図1に示す。本工程は、補強層形成工程100、シートパイル引き抜き作業200、充填剤注入工程300、山留壁引き抜き跡補強地盤養生工程400を備えている。
補強層形成工程に先立ち、地盤の土質調査を行い、地下水位の位置、地層構造と各地層のN値などを調査する。
補強層形成工程100は、山留壁に沿わせて地盤内に注入管を挿入させ、この注入管より隣接境界線と山留壁の壁面との間の地盤に地盤硬化剤を注入して、補強層を形成する工程である。
シートパイル引き抜き作業200は、土留部材引き抜き機でシートパイルを引き抜く作業である。この引き抜きによって、シートパイルには土が付着しているなど、シートパイルの断面以上の大きさの引き抜き空間が発生する。シートパイルは1本あるいは2、3本ずつ引き抜く。
充填剤注入工程300は、シートパイルなどの土留部材を引き抜いた跡の空間に、充填材を注入して、充填し崩壊を防止する工程である。
このシートパイルの引き抜き作業と充填材注入は、引き抜き終了後に注入するかあるいは引き上げられるシートパイルの下側にできる空間に引き抜きながら注入することもできる。
隣接地境界と建設の関係は、地上部の外壁は建築基準法などに1m又は1.5m後退させるなどの規制はあるが、地下構造物には特に規制はない。
本発明では、隣接境界から、補強層を形成する分後退させて山留壁を構築することとする。
<地盤硬化剤>
補強層を形成する地盤硬化剤として用いられる注入薬剤には、水ガラス系薬剤、特殊シリカ系薬液、セメント系薬液などがある。
水ガラス系薬液:水ガラス系薬液は、土を団結させるよりは、主に止水に効果がある剤である。水ガラスを主剤とし、セメントなどを懸濁液と反応させて固化させる薬剤である。
アルカリ系、非アルカリ系(シリカゾル系)があって、水ガラス・セメント混合系、水ガラス・スラグセメント、水ガラス・酸性反応剤、水ガラス・金属反応剤、水ガラス・アルカリ反応剤、水ガラス・有機系反応剤などがある。
地下水圧下でも安定した特性を持ち、浸透性に優れ、地下水で希釈されてもゲルタイムの遅れが少ない。本発明が適用されやすい砂質土や地下水位の高い軟弱地盤の補強材として適している。
瞬結型としては、無機反応剤を用いて、秒単位で反応させることができる。
中結あるいは緩結型としては有機反応剤を用いて、分から数十分以上の反応となる。
特殊シリカ系薬液:特殊グラウトを硬化剤として、超微粒子の懸濁液を硬化させる剤である。
成分が超微粒子のため、浸透性に優れている。土質や地下水等の影響がしにくい。粘性土〜砂質土に適している。
セメント系薬液:セメントミルクを短時間、凝結・硬化させる。長期耐久性に優れるが、注入時に地下水で希釈されると固化しにくい。
山留壁から隣地側に向けて補強層が形成されているので、シートパイルなどの土留部材を引き抜いても隣接する敷地や建物などの工作物に悪影響を与える危険が減少する。
引き抜き後に地盤に発生する空隙に充填剤は、空隙の壊れやすさなどを考慮して、引き抜きながら充填するか、引き抜き後に行うか適宜選択する。
地盤硬化剤の注入は、一回あるいは二回に分けて行う。二回に分けることにより、山留壁付近を強化することができ、シートパイル引き抜き穴をより安定させることができる。
<充填材>
充填材層を形成する注入薬剤は、セメントベントナイト系薬剤、流動化処理土などを使用することができる。
セメント系充填材には、セメントベントナイト、セメントミルクなどがある。
セメントミルクにベントナイトを混ぜることにより粘性がでて、止水性が向上する。利用用途としては、建築物の地下を掘削するための止水壁(地中連続壁)などに用いられる。
流動化処理土は、建設残土に水とセメントを混ぜて作成する埋め戻し材である。ポンプ圧送による注入や流し込みによる充填を行うことができる。止水効果と不等沈下の恐れが無く、適度な硬化であって、再掘削が可能である。
セメントミルクは、セメントと水を練り混ぜたもので、基礎処理の地盤改良用注入材として使用される。水と共に各種混和剤を加えたものもセメントミルクに含まれる。
<補強層形成方法>
補強層形成方法とは、二重管ストレーナ工法、二重管ダブルパッカー工法などがある。
シートパイルの隣地側に二重管ストレーナ工法を用いて、補強剤を浸透させて、地盤を強化する。強化域は、例えば、深さ方向がシートパイルの下端付近から地下水位面より上まで、幅が隣地境界以内(例えば、100cm以内)、長さが必要な隣地隣接長で山留壁の構築範囲内とする。
二重管ストレーナ工法は、二重管ロッドを使って注入予定深度下部まで削孔し、二重ロッドの内外管に主剤と反応剤を別々に送って、地盤改良を行う技術である。地盤改良剤の浸透は、下方から順次引き上げながら行われる。
掘削後、瞬間性薬剤を注入管の周囲に粗詰め注入(グラウトパック)を行い、次に中間結合剤あるいは緩行結合剤を限られた対象範囲へ浸透注入を行う。これを順次ステップアップしながら、下部から上方まで行う。地盤強化と止水性を発揮する。
二重管ストレーナ工法は、瞬結性注入剤でロッドの回りをシールするために、ロッドの周囲からの注入剤の散逸は少なく、砂質土に対して浸透注入が行われ、均質な浸透注入が得られる。互層地盤の層境を俊結剤で処理するために良好な改質効果を発揮する。特に、二重管ストレーナ工法は、砂、レキ、互層に良好な改良効果を発揮する。
二重管ダブルパッカー工法は、削孔をケーシングで行い、削孔後ケーシング内に注入用外観を挿入し、その後ケーシングを引き抜き、管の周囲にシールグラウト注入して管空間を保持し、空間内にパッカ付きの内管を挿入し、CB剤などの薬剤の一次注入を行って地盤の均一化を図り、その後溶液型注入剤を浸透させて、改良を行う方法である。二重管ダブルパッカー工法も砂、レキ、互層に良好な改良効果を発揮する。
これらの工法では、1つの削孔をステップアップしながら改良を行い、ボウリングマシンを移動して、次の削孔に移って作業を継続する。
本発明では、地盤硬化剤を2回に分けて、二回目は一回目よりも注入量を多くすることにより、山留壁に接する周辺地盤の止水性や地盤強度を高めることができる。これにより、シートパイルを引き抜いた後の空隙側が補強され、安定性が向上する。
<充填材の充填方法>
充填材の充填方法は、シートパイルを引く抜いた後に充填材を充填するか、シートパイル引き抜きと同時併行的に充填する方法がある。
山留壁の隣地側は、補強層が形成されているので安定しており、シートパイルを引き抜いた後に充填することもできるし、また、引き抜き同時充填をすることもできる。
これらの充填方法には、特許文献1、2などに開示された方法を採用することができる。
本実施態様は、隣地側に近くに設置した山留壁と、隣地側には広く空いた山留壁を引き抜くに当たり、土質調査を行うと供に、広い隣地側山留壁の撤去を先行調査工事行い影響を確認した。
土質調査の結果を図6に示す。
地下水位が深度2.5mと高い位置にある。土質は、シルト層、砂質層などが重なり合っている。N値が5以下の層として、シルト層、砂質シルト系の層に見られ、再中砂、シルト混じり細砂層などに見られている。N値が10以下の層では、細中砂、シルト混じり細砂などに見られる。
(先行調査工事)
補強層を形成することなく、シートパイルの引き抜きと同時併行した、下方から充填材を充填する方法を採用した。
図面では、図4、5(ただし、隣接建物は無い状態である)に該当する工程を行った。
シートパイル31を用いて山留壁を構成している。引き抜いたシートパイル32の後に充填材注入機を用いて、ロッドからセメント系ベントナイトを充填材21として引き抜き空隙に注入して充填層2を形成する。シートパイル引き抜く前に、シートパイルの地上部付近を掘り下げて、液面監視用の布張り部を彫り込んで、液だまりを設けている。
この結果、周辺にひび割れや地盤沈下が発生してしまった。通常の引き抜き充填方法では、本工事では、工事敷地の近くにある隣接建物など隣地側に悪影響が想定される。
この原因として、地下水位が高い影響もあって、砂質層などが崩れたと想定された。
(本工事)
本工事では、山留壁の隣地側に悪影響が出ない方法を検討した結果、シートパイルの撤去に先立ち、隣地側に補強層を形成した。特に、高い地下水位の影響が硬化とシートパイル引き抜き穴に影響が出ないことを考慮して、止水性が高く水で希釈されてもゲル化が進む補強剤として水ガラス系を使用した。
シートパイル引き抜き穴に充填する剤として、セメントベントナイト系を採用することとした。セメント系ベントナイトは、止水性も発揮する団結剤であり、本工事現場に適している。
施工現場は、隣接境界まで1000mmであり、隣地には建物が境界付近まで迫っている。敷地の地層条件は前述のとおりであり、地下水位は2.5mである。
施工工程は、図1をメインとして、土質調査と先行調査工事を行っている。
工程の説明は、前述のとおりである。補強層形成工程100、シートパイル引き抜き作業200、充填剤注入工程300、山留壁引き抜き跡補強地盤養生工程400を備えている。
補強層形成工程100は、山留壁に沿わせて地盤内に注入管を挿入させ、この注入管より隣接境界線と山留壁の壁面との間の地盤に地盤硬化剤を注入して、補強層を形成する工程である。
シートパイル引き抜き作業200は、土留部材引き抜き機でシートパイルを引き抜く作業である。
充填剤注入工程300は、シートパイルを引き抜いた跡の空間に充填材を注入して、充填し崩壊を防止する工程である。
山留壁引き抜き跡補強地盤養生工程400は、充填剤が硬化して安定する養生工程である。
補強層形成工程を図2、3に示す。
工事敷地Aは、隣接地Bの建物に迫っており、山留壁3は隣接境界線8から約1000mm下げて構築されている。
シートパイルの上端が突き出ているので、補強剤注入機を据え付けるために工事敷地側に盛土14を行う。
盛土14の上に補強剤注入機4を設置し、ロッド42を打ち込んであるシートパイル31の下端32まで差し込んで、二重管ストレーナ工法複相式により、補強剤として溶液型の水ガラス系薬剤を注入した。順次山留壁3の長さ方向にロッドを1m間隔でロッド41a・・・41nを差し込んで、補強材注入機4aを4bまで移動しながら補強材を注入する。土壌中への補強材の注入距離は、半径1000mmになるように調整している。注入距離の設定は、事前に試し処理を行って、決定する。本例では、隣接ロッド間で重複して注入されることとなるので、とぎれることなく、全長にわたって補強層が形成される。注入ロッドの間隔は、これに限らず、とぎれない範囲で設定することができる。図3に示すように隣接建物7に沿って、補強層1を形成した。注入スピード等の進行は、隣地側に建てたポール8に変動が出ないように、配慮して進めた。
補強層1は、シートパイルの下端から上部は地下水位面より高い深度1000mmで、山留壁の前方側の1000mmの厚みに形成した。
充填層形成工程を図4、5に示す。
山留壁3の地上部に液面監視用の布掘部23を設け、充填剤注入機5を山留壁3の一端に設置し、シートパイル31を一端から引き抜き機6で順次引き抜きながら、充填剤センメントベントナイトを下方からロッド22にて注入して、充填層2を形成した。
補強層1と充填層2の下端は同じとしたが、充填層の下端は地下水の影響を受けないように補強層の下端と同じか、それより上に形成する。充填層の上部は、ほぼ地上部まで形成し、布掘部23に接している。地上部まで充填剤が注入されるので、剤が漏出しないように布掘部を設けて、充填剤の液面を監視する。
充填層2の長さは、補強層1と同じにした。
充填剤は、地盤内に埋設されたシートパイルの埋設深さに対応する注入高さ7.5mに、シートパイルの地表面長さ5.6mを乗じた山留面積42.0mに対して、注入率105L/mを乗じた設計計画注入量4410mを充填した。
使用した補強剤は、水ガラスを主材とし、硬化剤として瞬結用硬化剤を用いた。ゲルタイムは10数秒以内とした。
使用したセメントベントナイトは、普通セメントとベントナイトを水に混ぜて作成した。28日強度は、1.5MN/mである。
この補強層と充填層を組み合わせることにより、隣地側にクラックや沈下が発生すること無く、山留壁の撤去を行うことができた。
補強層形成において、2回に分けて補強剤を注入した以外は実施例1と同様である。
一回目の注入として、実施例1と同様の補強剤を注入し、2回目に緩結用硬化剤を用いた水ガラス系薬剤を注入した。
具体的には、一回目では、補強剤を注入高さ6.5mに注入範囲の平面積7.1m(山留壁の前方側の地盤幅1.0mの範囲)を乗じた対象土量46.15mに対する土壌注入率として5%を充填し、二回目では水ガラス系薬剤を対象土量に対する土壌注入率として20%を充填した。一回目の注入では薄い層を形成し、2回目では山留壁側の濃度を濃くして、より止水性を向上させた。
止水性の確認は、試験体を作成して、確認した。
1 補強層
11 注入管
12 前端
13 下端
14 盛土
2 充填層
21 充填材
22 ロッド
23 布堀部
3 山留壁
31 シートパイル
32 シートパイル下端
4 補強剤注入機
41 注入ロッド
5 充填材注入機
7 隣接建物
8 隣接境界線
9 ポール

100 補強層形成工程
200 シートパイル引き抜き作業
300 充填剤注入工程
400 山留壁引き抜き跡補強地盤養生工程

A 工事敷地
B 隣地

Claims (6)

  1. 地盤内に建て込まれた山留壁の撤去方法であって、
    前記山留壁に沿わせて地盤内に注入管を挿入させ、当該注入管より隣接境界線と当該山留壁の壁面との間の地盤に地盤硬化剤を注入する補強層形成工程と、
    前記山留壁を構成する芯材、または鋼製矢板を一本、あるいは複数本引き抜いた後に、セメント系充填剤を引き抜かれた当該芯材または当該鋼製矢板壁が建て込まれていた地盤内の空洞部に充填する工程と、
    を含むことを特徴とする山留壁の撤去方法。
  2. 地盤内に建て込まれた山留壁の撤去方法であって、
    前記山留壁に沿わせて地盤内に注入管を挿入させ、当該注入管より隣接境界線と当該山留壁の壁面との間の地盤に地盤硬化剤を注入する工程と、
    前記山留壁を構成する芯材、または鋼製矢板を一本、あるいは複数本引くと同時にセメント系充填剤を引き抜かれた当該芯材または当該鋼製矢板壁が建て込まれていた地盤内の空洞部に充填する工程と、
    を含むことを特徴とする山留壁の撤去方法。
  3. N値が10以下の地層を有する地盤であることを特徴とする請求項1又は2記載の山留壁の撤去方法。
  4. 補強層形成工程において、地下水位面より上部まで補強層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の山留壁の撤去方法。
  5. 補強層形成工程において、
    前記地盤硬化剤は、水ガラスを主材とした薬剤系注入材であり、
    当該地盤硬化剤の注入は、複数回に分けて行い、一回目は地盤硬化剤を補強層全体に低濃度に注入し、山留壁近くに地盤硬化剤が高濃度になるように注入することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の山留壁の撤去方法。
  6. N値が10以下の地層を有する地盤において、山留壁撤去跡に、山留壁引き抜き跡の隣地側に地下水位以上に上端を形成した補強層と山留壁引き抜き空隙に充填層が設けられている、山留め撤去跡の補強充填構造。
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