JP2019014096A - 記録装置、記録システム、制御方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】記録媒体への像の転写を適切に行いつつ、中間転写体の劣化を抑制する。【解決手段】転写領域を循環的に通過する転写体であって、循環の一周期で複数のカットシートに記録を行うことを可能とする複数の領域を有する転写体を含み、記録対象の画像を示すデータを処理して転写体へのインク像形成用の記録データを取得し、形成領域で記録データに基づいてインクを転写体に吐出して転写体にインク像を形成し、搬送されるカットシートに転写領域で転写体からインク像を転写するシステムであって、転写体の一部の領域をインク像形成に使用し、他の領域はインク像形成に使用しないように転写体の1回の循環での記録部数を制御し、かつ、その複数の領域のそれぞれが記録に使用された回数に応じて、他の領域よりもその回数の少ない領域が多く記録に使用されるように、カットシートへの記録データのインク像の転写を行う領域を決定する。【選択図】図14
Description
本発明は、インク像を記録媒体に転写する技術に関する。
ラインヘッドにより胴形状の中間転写体に対して画像を描画し、その中間転写体からカットシート状の記録媒体に画像を転写することによって記録を実行するインクジェット記録装置が存在する。特許文献1には、このような記録装置において、印刷されるシートの長さから規定される基準胴径に対して4倍の径を有する4倍胴の中間転写体を用いることで、中間転写体1周につき複数枚のシートへの画像の記録を可能とする手法が記載されている。
種々の理由により、中間転写体1周につき所望枚数の複数シートに対する記録ができない場合がある。たとえば、中間転写体に描画する際に、転写すべき画像を形成するための各種処理が行われるが、これらの処理は、処理する画像のサイズに比例して処理時間が増大する。このため、サイズの大きい画像に対しては、1枚分の画像に対する処理に要する時間が、中間転写体の1枚分の回転に要する時間より多くかかってしまいうる。また、紙の搬送性から、搬送間隔を所定間隔空けたい場合もありうる。これらの場合には、中間転写体の1周の間に記録する画像の枚数を減らし、通紙枚数を減らすこととなる。このとき、中間転写体のうち記録が行われる部分と記録が行われない部分とが規則的に発生することがあり、これにより、中間転写体のうち記録が行われる部分やそれに関連する部品の物理的な劣化が他の部分よりも進行してしまいうる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、記録媒体への像の転写を適切に行いつつ、中間転写体の劣化を抑制することを目的とする。
本発明の一態様による記録装置は、カットシートを搬送する搬送手段と、インク像の形成領域およびインク像をカットシートに転写するための転写領域を循環的に通過する転写体であって、インク像を転写することができる前記カットシートの長さから規定される周長を有すると共に前記循環の一周期で複数の前記カットシートに記録を行うことを可能とする複数の領域を有する前記転写体と、画像処理手段が記録対象の画像を示すデータを処理することによって得られる前記転写体へのインク像形成用の記録データを取得する取得手段と、前記形成領域において、前記記録データに基づいてインクを前記転写体に吐出し、前記転写体にインク像を形成する記録手段と、前記転写領域において前記搬送手段により搬送されるカットシートに、前記転写体から前記インク像を転写する転写手段と、前記複数の領域のうち一部の領域をインク像形成に使用し、他部の領域はインク像形成に使用しないように前記転写体における1回の前記循環での記録部数を制御し、かつ、前記転写体の複数の領域のそれぞれが記録に使用された回数または前記転写体の複数の領域のそれぞれに対する通紙の回数に応じて、他の領域よりも前記回数の少ない領域が前記他の領域よりも多く記録に使用されるように、前記カットシートへの前記記録データのインク像の転写を行う領域を決定し、インク像の形成と転写とを制御する制御手段と、を有する。
本発明によれば、記録媒体への像の転写を適切に行いつつ、中間転写体の劣化を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。各図において、矢印XおよびYは水平方向を示し、互いに直交する。矢印Zは上下方向を示す。
<記録システム>
図1は本発明の一実施形態に係る記録システム1を概略的に示した正面図である。記録システム1は、転写体2を介して記録媒体Pにインク像を転写することで記録物P’を製造する、枚葉式のインクジェットプリンタである。記録システム1は、記録装置1Aと、搬送装置1Bとを含む。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、記録システム1の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
図1は本発明の一実施形態に係る記録システム1を概略的に示した正面図である。記録システム1は、転写体2を介して記録媒体Pにインク像を転写することで記録物P’を製造する、枚葉式のインクジェットプリンタである。記録システム1は、記録装置1Aと、搬送装置1Bとを含む。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、記録システム1の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施形態では「記録媒体」としてシート状の紙を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。
インクの成分については、特に限定はないが、本実施形態では、色材である顔料、水、樹脂を含む水性顔料インクを用いる場合を想定する。
<記録装置>
記録装置1Aは、記録ユニット3、転写ユニット4および周辺ユニット5A〜5D、および、供給ユニット6を含む。
記録装置1Aは、記録ユニット3、転写ユニット4および周辺ユニット5A〜5D、および、供給ユニット6を含む。
<記録ユニット>
記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30と、キャリッジ31とを含む。図1と図2を参照する。図2は記録ユニット3の斜視図である。記録ヘッド30は、転写体2に液体インクを吐出し、転写体2上に記録画像のインク像を形成する。
記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30と、キャリッジ31とを含む。図1と図2を参照する。図2は記録ユニット3の斜視図である。記録ヘッド30は、転写体2に液体インクを吐出し、転写体2上に記録画像のインク像を形成する。
本実施形態の場合、各記録ヘッド30は、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。記録ヘッド30は、その下面に、ノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は、微小隙間(例えば数mm)を介して転写体2の表面と対向している。本実施形態の場合、転写体2は円軌道上を循環的に移動する構成であるため、複数の記録ヘッド30は、放射状に配置されている。
各ノズルには吐出素子が設けられている。吐出素子は、例えば、ノズル内に圧力を発生させてノズル内のインクを吐出させる素子であり、公知のインクジェットプリンタのインクジェットヘッドの技術が適用可能である。吐出素子としては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する素子、電気−機械変換体によってインクを吐出する素子、静電気を利用してインクを吐出する素子等が挙げられる。高速で高密度の記録の観点からは電気−熱変換体を利用した吐出素子を用いることができる。
本実施形態の場合、記録ヘッド30は、9つ設けられている。各記録ヘッド30は、互いに異なる種類のインクを吐出する。異なる種類のインクとは、例えば、色材が異なるインクであり、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク等のインクである。1つの記録ヘッド30は1種類のインクを吐出するが、1つの記録ヘッド30が複数種類のインクを吐出する構成であってもよい。このように複数の記録ヘッド30を設けた場合、そのうちの一部が色材を含まないインク(例えばクリアインク)を吐出してもよい。
キャリッジ31は、複数の記録ヘッド30を支持する。各記録ヘッド30は、インク吐出面側の端部がキャリッジ31に固定されている。これにより、インク吐出面と転写体2との表面の隙間をより精密に維持することができる。キャリッジ31は、案内部材RLの案内によって、記録ヘッド30を搭載しつつ変位可能に構成されている。本実施形態の場合、案内部材RLは、Y方向に延設されたレール部材であり、X方向に離間して一対設けられている。キャリッジ31のX方向の各側部にはスライド部32が設けられている。スライド部32は案内部材RLと係合し、案内部材RLに沿ってY方向にスライドする。
図3は記録ユニット3の変位態様を示しており、記録システム1の右側面を模式的に示した図である。記録システム1の後部には回復ユニット12が設けられている。回復ユニット12は記録ヘッド30の吐出性能を回復する機構を有する。そのような機構としては、例えば、記録ヘッド30のインク吐出面をキャッピングするキャップ機構、インク吐出面をワイピングするワイパ機構、インク吐出面から記録ヘッド30内のインクを負圧吸引する吸引機構を挙げることができる。
案内部材RLは、転写体2の側方から回復ユニット12に渡って延設されている。記録ユニット3は、案内部材RLの案内により、実線で記録ユニット3を示した吐出位置POS1と、破線で記録ユニット3を示した回復位置POS3との間で変位可能であり、不図示の駆動機構により移動される。
吐出位置POS1は、記録ユニット3が転写体2にインクを吐出する位置であり、記録ヘッド30のインク吐出面が転写体2の表面に対向する位置である。回復位置POS3は、吐出位置POS1から退避した位置であり、記録ユニット3が回復ユニット12上に位置する位置である。回復ユニット12は記録ユニット3が回復位置POS3に位置した場合に、記録ヘッド30に対する回復処理を実行可能である。本実施形態の場合、記録ユニット3が回復位置POS3に到達する前の移動途中においても回復処理を実行可能である。吐出位置POS1と回復位置POS3の間には予備回復位置POS2がある。回復ユニット12は記録ヘッド30が吐出位置POS1から回復位置POS3へ移動している間に、予備回復位置POS2において記録ヘッド30に対する予備的な回復処理を実行可能である。
<転写ユニット>
図1を参照して転写ユニット4について説明する。転写ユニット4は、転写胴41と圧胴42とを含む。これらの胴は、Y方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。図1において、転写胴41および圧胴42の各図形内に示した矢印は、これらの回転方向を示しており、転写胴41は時計回りに、圧胴42は反時計回りに回転する。
図1を参照して転写ユニット4について説明する。転写ユニット4は、転写胴41と圧胴42とを含む。これらの胴は、Y方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。図1において、転写胴41および圧胴42の各図形内に示した矢印は、これらの回転方向を示しており、転写胴41は時計回りに、圧胴42は反時計回りに回転する。
転写胴41は、その外周面に転写体2を支持する支持体である。転写体2は、転写胴41の外周面上に、周方向に連続的にあるいは間欠的に設けられる。連続的に設けられる場合、転写体2は無端の帯状に形成される。間欠的に設けられる場合、転写体2は、有端の帯状に複数のセグメントに分けて形成され、各セグメントは転写胴41の外周面に等ピッチで円弧状に配置することができる。
転写胴41の回転により、転写体2は円軌道上を循環的に移動する。転写胴41の回転位相により、転写体2の位置は、吐出前処理領域R1、吐出領域R2、吐出後処理領域R3およびR4、転写領域R5、転写後処理領域R6に区別することができる。転写体2はこれらの領域を循環的に通過する。
吐出前処理領域R1は、記録ユニット3によるインクの吐出前に転写体2に対する前処理を行う領域であり、周辺ユニット5Aによる処理が行われる領域である。本実施形態の場合、反応液が付与される。吐出領域R2は記録ユニット3が転写体2にインクを吐出してインク像を形成する形成領域である。吐出後処理領域R3およびR4はインクの吐出後にインク像に対する処理を行う処理領域であり、吐出後処理領域R3は周辺ユニット5Bによる処理が行われる領域であり、吐出後処理領域R4は周辺ユニット5Cによる処理が行われる領域である。転写領域R5は転写ユニット4により転写体2上のインク像が記録媒体Pに転写される領域である。転写後処理領域R6は、転写後に転写体2に対する後処理を行う領域であり、周辺ユニット5Dによる処理が行われる領域である。
本実施形態の場合、吐出領域R2は、一定の区間を有する領域である。他の領域R1、R3〜R6は、吐出領域R2に比べるとその区間は狭い。時計の文字盤に喩えると、本実施形態の場合、吐出前処理領域R1は概ね10時の位置であり、吐出領域R2は概ね11時から1時の範囲であり、吐出後処理領域R3は概ね2時の位置であり、吐出後処理領域R4は概ね4時の位置である。転写領域R5は概ね6時の位置であり、転写後処理領域R6は概ね8時の領域である。
転写体2は、単層から構成してもよいが、複数層の積層体としてもよい。複数層で構成する場合、例えば、表面層、弾性層、圧縮層の三層を含んでもよい。表面層はインク像が形成される画像形成面を有する最外層である。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速記録時においても転写性を維持することができる。弾性層は表面層と圧縮層との間の層である。
表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料を用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。表面層には、反応液の濡れ性、画像の転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。このようなゴム材料の成形時には、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し、多孔質のゴム材料としてもよい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがあるが、いずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料を用いることができる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。また、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で有利である。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも有利である。
表面層と弾性層の間、弾性層と圧縮層の間には、これらを固定するために各種接着剤や両面テープを用いることもできる。また、転写体2は、転写胴41に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を含んでもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体2は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
圧胴42は、その外周面が転写体2に圧接される。圧胴42の外周面には、記録媒体Pの先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。グリップ機構は圧胴42の周方向に離間して複数設けてもよい。記録媒体Pは圧胴42の外周面に密接して搬送されつつ、圧胴42と転写体2とのニップ部を通過するときに、転写体2上のインク像が転写される。
転写胴41と圧胴42とを駆動するモータ等の駆動源は、これらに共通とし、歯車機構等の伝達機構により、駆動力を分配することができる。
<周辺ユニット>
周辺ユニット5A〜5Dは転写胴41の周囲に配置されている。本実施形態の場合、周辺ユニット5A〜5Dは、順に、付与ユニット、吸収ユニット、加熱ユニット、清掃ユニットである。
周辺ユニット5A〜5Dは転写胴41の周囲に配置されている。本実施形態の場合、周辺ユニット5A〜5Dは、順に、付与ユニット、吸収ユニット、加熱ユニット、清掃ユニットである。
付与ユニット5Aは、記録ユニット3によるインクの吐出前に、転写体2上に反応液を付与する機構である。反応液は、インクを高粘度化する成分を含有する液体である。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している色材や樹脂等がインクを高粘度化する成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインクの粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インク全体の粘度上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂等のインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇が生じる場合も含まれる。
インクを高粘度化する成分は、金属イオン、高分子凝集剤など、特に制限はないが、インクのpH変化を引き起こして、インク中の色材を凝集させる物質を用いることができ、有機酸を用いることができる。反応液の付与機構としては、例えば、ローラ、記録ヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。転写体2に対するインクの吐出前に反応液を転写体2に付与しておくと、転写体2に達したインクを直ちに定着させることができる。これにより、隣接するインク同士が混ざり合うブリーディングを抑制することができる。
吸収ユニット5Bは、転写前に、転写体2上のインク像から液体成分を吸収する機構である。インク像の液体成分を減少させることで、記録媒体Pに記録される画像のにじみ等を抑制することができる。液体成分の減少を異なる視点で説明すれば、転写体2上のインク像を構成するインクを濃縮すると表現することもできる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
吸収ユニット5Bは、例えば、インク像に接触してインク像の液体成分の量を減少させる液吸収部材を含む。液吸収部材はローラの外周面に形成されてもよいし、液吸収部材が無端のシート状に形成され、循環的に走行されるものでもよい。インク像の保護の点で、液吸収部材の移動速度を転写体2の周速度と同じにして液吸収部材を転写体2と同期して移動させてもよい。
液吸収部材は、インク像に接触する多孔質体を含んでもよい。液吸収部材へのインク固形分付着を抑制するため、インク像に接触する面の多孔質体の孔径は、10μm以下であってもよい。ここで、孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。なお、液体成分は、一定の形を有さず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる 。
加熱ユニット5Cは、転写前に、転写体2上のインク像を加熱する機構である。インク像を加熱することで、インク像中の樹脂が溶融し、記録媒体Pへの転写性を向上する。加熱温度は、樹脂の最低造膜温度(MFT)以上とすることができる。MFTは一般的に知られている手法、例えばJIS K 6828−2:2003や、ISO2115:1996に準拠した各装置で測定することが可能である。転写性及び画像の堅牢性の観点から、MFTよりも10℃以上高い温度で加熱してもよく、更に、20℃以上高い温度で加熱してもよい。加熱ユニット5Cは、例えば、赤外線等の各種ランプ、温風ファン等、公知の加熱デバイスを用いることができる。加熱効率の点で、赤外線ヒータを用いることができる。
清掃ユニット5Dは、転写後に転写体2上を清掃する機構である。清掃ユニット5Dは、転写体2上に残留したインクや、転写体2上のごみ等を除去する。清掃ユニット5Dは、例えば、多孔質部材を転写体2に接触させる方式、ブラシで転写体2の表面を擦る方式、ブレードで転写体2の表面をかきとる方式等の公知の方式を適宜用いることができる。また、清掃に用いる清掃部材は、ローラ形状、ウェブ形状等、公知の形状を用いることができる。
以上の通り、本実施形態では、付与ユニット5A、吸収ユニット5B、加熱ユニット5C、清掃ユニット5Dを周辺ユニットとして備えるが、これらの一部のユニットに転写体2の冷却機能を付与するか、あるいは、冷却ユニットを追加してもよい。本実施形態では、加熱ユニット5Cの熱により転写体2の温度が上昇する場合がある。記録ユニット3により転写体2にインクを吐出した後、インク像がインクの主溶剤である水の沸点を超えると、吸収ユニット5Bによる液体成分の吸収性能が低下する場合がある。吐出されたインクが水の沸点未満に維持されるように転写体2を冷却することで、液体成分の吸収性能を維持することができる。
冷却ユニットは、転写体2に送風する送風機構や、転写体2に部材(例えばローラ)を接触させ、この部材を空冷または水冷で冷却する機構であってもよい。また、清掃ユニット5Dの清掃部材を冷却する機構であってもよい。冷却タイミングは、転写後、反応液の付与前までの期間であってもよい。
<供給ユニット>
供給ユニット6は、記録ユニット3の各記録ヘッド30にインクを供給する機構である。供給ユニット6は記録システム1の後部側に設けられていてもよい。供給ユニット6は、インクの種類毎に、インクを貯留する貯留部TKを備える。貯留部TKは、メインタンクとサブタンクとによって構成されてもよい。各貯留部TKと各記録ヘッド30とは流路6aで連通し、貯留部TKから記録ヘッド30へインクが供給される。流路6aは、貯留部TKと記録ヘッド30との間でインクを循環させる流路であってもよく、供給ユニット6はインクを循環させるポンプ等を備えてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インク中の気泡を脱気する脱気機構を設けてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インクの液圧と大気圧との調整を行うバルブを設けてもよい。貯留部TK内のインク液面が、記録ヘッド30のインク吐出面よりも低い位置となるように、貯留部TKと記録ヘッド30のZ方向の高さが設計されてもよい。
供給ユニット6は、記録ユニット3の各記録ヘッド30にインクを供給する機構である。供給ユニット6は記録システム1の後部側に設けられていてもよい。供給ユニット6は、インクの種類毎に、インクを貯留する貯留部TKを備える。貯留部TKは、メインタンクとサブタンクとによって構成されてもよい。各貯留部TKと各記録ヘッド30とは流路6aで連通し、貯留部TKから記録ヘッド30へインクが供給される。流路6aは、貯留部TKと記録ヘッド30との間でインクを循環させる流路であってもよく、供給ユニット6はインクを循環させるポンプ等を備えてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インク中の気泡を脱気する脱気機構を設けてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インクの液圧と大気圧との調整を行うバルブを設けてもよい。貯留部TK内のインク液面が、記録ヘッド30のインク吐出面よりも低い位置となるように、貯留部TKと記録ヘッド30のZ方向の高さが設計されてもよい。
<搬送装置>
搬送装置1Bは、記録媒体Pを転写ユニット4へ給送し、インク像が転写された記録物P’を転写ユニット4から排出する装置である。搬送装置1Bは、給送ユニット7、複数の搬送胴8、8a、二つのスプロケット8b、チェーン8cおよび回収ユニット8dを含む。図1において、搬送装置1Bの各構成の図形の内側の矢印はその構成の回転方向を示し、外側の矢印は記録媒体Pまたは記録物P’の搬送経路を示している。記録媒体Pは給送ユニット7から転写ユニット4へ搬送され、記録物P’は転写ユニット4から回収ユニット8dへ搬送される。給送ユニット7側を搬送方向で上流側と呼び、回収ユニット8d側を下流側と呼ぶ場合がある。
搬送装置1Bは、記録媒体Pを転写ユニット4へ給送し、インク像が転写された記録物P’を転写ユニット4から排出する装置である。搬送装置1Bは、給送ユニット7、複数の搬送胴8、8a、二つのスプロケット8b、チェーン8cおよび回収ユニット8dを含む。図1において、搬送装置1Bの各構成の図形の内側の矢印はその構成の回転方向を示し、外側の矢印は記録媒体Pまたは記録物P’の搬送経路を示している。記録媒体Pは給送ユニット7から転写ユニット4へ搬送され、記録物P’は転写ユニット4から回収ユニット8dへ搬送される。給送ユニット7側を搬送方向で上流側と呼び、回収ユニット8d側を下流側と呼ぶ場合がある。
給送ユニット7は、複数の記録媒体Pが積載される積載部を含むと共に、積載部から一枚ずつ記録媒体Pを、最上流の搬送胴8に給送する給送機構を含む。各搬送胴8、8aはY方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。各搬送胴8、8aの外周面には、記録媒体P(または記録物P’)の先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。各グリップ機構は、隣接する搬送胴間で記録媒体Pを受け渡されるように、その把持動作および解除動作が制御される。
二つの搬送胴8aは、記録媒体Pの反転用の搬送胴である。記録媒体Pを両面記録する場合、表面への転写後に、圧胴42から下流側に隣接する搬送胴8へ記録媒体Pを渡さずに、搬送胴8aに渡す。記録媒体Pは、二つの搬送胴8aを経由して表裏が反転され、圧胴42の上流側の搬送胴8を経由して再び圧胴42へ渡される。これにより、記録媒体Pの裏面が転写胴41に面することになり、裏面にインク像が転写される。
チェーン8cは、二つのスプロケット8b間に巻き回されている。二つのスプロケット8bの一方は駆動スプロケットであり他方は従動スプロケットである。駆動スプロケットの回転によりチェーン8cが循環的に走行する。チェーン8cには、その長手方向に離間して複数のグリップ機構が設けられている。グリップ機構は、記録物P’の端部を把持する。下流端に位置する搬送胴8からチェーン8cのグリップ機構に記録物P’が渡され、グリップ機構に把持された記録物P’はチェーン8cの走行により回収ユニット8dへ搬送され、把持が解除される。これにより記録物P’が回収ユニット8d内に積載される。
<後処理ユニット>
搬送装置1Bには、後処理ユニット10A、10Bが設けられている。後処理ユニット10A、10Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’に対して後処理を行う機構である。後処理ユニット10Aは、記録物P’の表面に対する処理を行い、後処理ユニット10Bは、記録物P’の裏面に対する処理を行う。処理の内容としては、例えば、記録物P’の画像記録面に、画像の保護や艶出し等を目的としたコーティングを挙げることができる。コーティングの内容としては、例えば、液体の塗布、シートの溶着、ラミネート等を挙げることができる。
搬送装置1Bには、後処理ユニット10A、10Bが設けられている。後処理ユニット10A、10Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’に対して後処理を行う機構である。後処理ユニット10Aは、記録物P’の表面に対する処理を行い、後処理ユニット10Bは、記録物P’の裏面に対する処理を行う。処理の内容としては、例えば、記録物P’の画像記録面に、画像の保護や艶出し等を目的としたコーティングを挙げることができる。コーティングの内容としては、例えば、液体の塗布、シートの溶着、ラミネート等を挙げることができる。
<検査ユニット>
搬送装置1Bには、検査ユニット9A、9Bが設けられている。検査ユニット9A、9Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’の検査を行う機構である。
搬送装置1Bには、検査ユニット9A、9Bが設けられている。検査ユニット9A、9Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’の検査を行う機構である。
本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Aは、連続的に行われる記録動作中に、記録画像を撮影する。検査ユニット9Aが撮影した画像に基づいて、記録画像の色味などの経時変化を確認し、画像データあるいは記録データの補正の可否を判断することができる。本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、圧胴42の外周面に撮像範囲が設定されており、転写直後の記録画像を部分的に撮影可能に配置されている。検査ユニット9Aにより全ての記録画像の検査を行ってもよいし、所定数毎に検査を行ってもよい。
本実施形態の場合、検査ユニット9Bも、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Bは、テスト記録動作において記録画像を撮影する。検査ユニット9Bは、記録画像の全体を撮影し、検査ユニット9Bが撮影した画像に基づいて、記録データに関する各種の補正の基本設定を行うことができる。本実施形態の場合、チェーン8cで搬送される記録物P’を撮影する位置に配置されている。検査ユニット9Bにより記録画像を撮影する場合、チェーン8cの走行を一時的に停止して、その全体を撮影する。検査ユニット9Bは、記録物P’上を走査するスキャナであってもよい。
<制御ユニット>
次に、記録システム1の制御ユニットについて説明する。図4および図5は記録システム1の制御ユニット13のブロック図である。制御ユニット13は、上位装置(DFE)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
次に、記録システム1の制御ユニットについて説明する。図4および図5は記録システム1の制御ユニット13のブロック図である。制御ユニット13は、上位装置(DFE)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
ホスト装置HC1では、記録画像の元になる原稿データが生成、あるいは保存される。ここでの原稿データは、例えば、文書ファイルや画像ファイル等の電子ファイルの形式で生成される。この原稿データは、上位装置HC2へ送信され、上位装置HC2では、受信した原稿データを制御ユニット13で利用可能なデータ形式(例えば、RGBで画像を表現するRGBデータ)に変換する。変換後のデータは、画像データとして上位装置HC2から制御ユニット13へ送信され、制御ユニット13は受信した画像データに基づき、記録動作を開始する。
メインコントローラ13Aは、さらに、例えばUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の伝送路を介して給送ユニット7に接続される。給送ユニット7は、例えば、メインコントローラ13Aとの間での通信のための通信I/F(インタフェース)701と、給紙の速度のユーザ操作による調整を受け付ける操作部702と、給送ユニット7の制御を実行する処理部703とを有する。処理部703は、例えば通信I/F701によってメインコントローラ13Aから取得した情報又は操作部702によって受け付けられたユーザ操作情報に基づいて、搬送装置1Bへの給紙を制御する。
本実施形態の場合、制御ユニット13は、メインコントローラ13Aと、エンジンコントローラ13Bとに大別される。メインコントローラ13Aは、処理部131、記憶部132、操作部133、画像処理部134、通信I/F(インタフェース)135、バッファ136および通信I/F137を含む。
処理部131は、CPU等のプロセッサであり、記憶部132に記憶されたプログラムを実行し、メインコントローラ13A全体の制御を行う。記憶部132は、RAM、ROM、ハードディスク、SSD等の記憶デバイスであり、CPU131が実行するプログラムや、データを格納し、また、CPU131にワークエリアを提供する。操作部133は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力デバイスであり、ユーザの指示を受け付ける。
画像処理部134は例えば画像処理プロセッサを有する電子回路である。バッファ136は、例えば、RAM、ハードディスクやSSDである。通信I/F135は上位装置HC2との通信を行い、通信I/F137はエンジンコントローラ13Bとの通信を行う。図4において破線矢印は、画像データの処理の流れを例示している。上位装置HC2から通信I/F135を介して受信された画像データは、バッファ136に蓄積される。画像処理部134はバッファ136から画像データを読み出し、読み出した画像データに所定の画像処理を施して、再びバッファ136に格納する。バッファ136に格納された画像処理後の画像データは、プリントエンジンが用いる記録データとして、通信I/F137からエンジンコントローラ13Bへ送信される。なお、メインコントローラ13A及びエンジンコントローラ13Bは、通信I/F137のみならず、内部LAN17でも接続されうる。このとき、例えば通信I/F137が用いる通信路は、記録データの伝送のための大容量の通信が可能な通信路であり、内部LAN17は、制御コマンド等の伝送のための比較的低容量な通信路でありうる。なお、内部LAN17は、例えば所定のタイミングで所定のコマンドの伝送が非常に高い成功確率で行われるような、信頼性の高い通信インタフェースによって構成されてもよい。
図5に示すように、エンジンコントローラ13Bは、制御部14、15A〜15Eを含み、記録システム1が備えるセンサ群およびアクチュエータ群16の検知結果の取得および駆動制御を行う。これらの各制御部は、CPU等のプロセッサ、RAMやROM等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェースを含む。また、これらの各制御部は、内部LAN17を介して相互に接続されうる。また、これらの各制御部は、例えば内部LAN17を介さない不図示の別の通信路を用いて通信するように構成されてもよい。なお、制御部の区分けは一例であり、一部の制御を更に細分化した複数の制御部で実行してもよいし、逆に、複数の制御部を統合して、それらの制御内容を一つの制御部で行うように構成してもよい。
エンジン制御部14は、エンジンコントローラ13Bの全体の制御を行う。記録制御部15Aは、メインコントローラ13Aから受信した記録データをラスタデータ等、記録ヘッド30の駆動に適したデータ形式に変換する。記録制御部15Aは、各記録ヘッド30の吐出制御を行う。
転写制御部15Bは、付与ユニット5Aの制御、吸収ユニット5Bの制御、加熱ユニット5Cの制御、および清掃ユニット5Dの制御を行う。
信頼性制御部15Cは、供給ユニット6の制御、回復ユニット12の制御、および記録ユニット3を吐出位置POS1と回復位置POS3との間で移動させる駆動機構の制御を行う。
搬送制御部15Dは、転写ユニット4の駆動制御や、搬送装置1Bの制御を行う。検査制御部15Eは、検査ユニット9Bの制御、および検査ユニット9Aの制御を行う。
センサ群およびアクチュエータ群16のうち、センサ群には、可動部の位置や速度を検知するセンサ、温度を検知するセンサ、撮像素子等が含まれる。アクチュエータ群にはモータ、電磁ソレノイド、電磁バルブ等が含まれる。
<動作例>
図6は記録動作の例を模式的に示す図である。転写胴41および圧胴42が回転されつつ、以下の各工程が循環的に行われる。状態ST1に示すように、始めに転写体2上に付与ユニット5Aから反応液Lが付与される。転写体2上の反応液Lが付与された部位は転写胴41の回転に伴って移動していく。反応液Lが付与された部位が記録ヘッド30の下に到達すると、状態ST2に示すように記録ヘッド30から転写体2にインクが吐出される。これによりインク像IMが形成される。その際、吐出されるインクが転写体2上の反応液Lと混ざりあうことで、色材の凝集が促進される。吐出されるインクは、供給ユニット6の貯留部TKから記録ヘッド30に供給される。
図6は記録動作の例を模式的に示す図である。転写胴41および圧胴42が回転されつつ、以下の各工程が循環的に行われる。状態ST1に示すように、始めに転写体2上に付与ユニット5Aから反応液Lが付与される。転写体2上の反応液Lが付与された部位は転写胴41の回転に伴って移動していく。反応液Lが付与された部位が記録ヘッド30の下に到達すると、状態ST2に示すように記録ヘッド30から転写体2にインクが吐出される。これによりインク像IMが形成される。その際、吐出されるインクが転写体2上の反応液Lと混ざりあうことで、色材の凝集が促進される。吐出されるインクは、供給ユニット6の貯留部TKから記録ヘッド30に供給される。
転写体2上のインク像IMは転写体2の回転に伴って移動していく。インク像IMが吸収ユニット5Bに到達すると状態ST3に示すように吸収ユニット5Bによりインク像IMから液体成分が吸収される。インク像IMが加熱ユニット5Cに到達すると状態ST4に示すように加熱ユニット5Cによりインク像IMが加熱され、インク像IM中の樹脂が溶融し、インク像IMが造膜される。このようなインク像IMの形成に同期して、搬送装置1Bにより記録媒体Pが搬送される。
状態ST5に示すように、インク像IMと記録媒体Pとが転写体2と圧胴42とのニップ部に到達し、記録媒体Pにインク像IMが転写され、記録物P’が製造される。ニップ部を通過すると、記録物P’に記録された画像が検査ユニット9Aにより撮影され、記録画像が検査される。記録物P’は搬送装置1Bにより回収ユニット8dへ搬送される。
転写体2上のインク像IMが形成されていた部分は、清掃ユニット5Dに到達すると状態ST6に示すように清掃ユニット5Dにより清掃される。清掃後、転写体2は一回転したことになり、同様の手順で記録媒体Pへのインク像の転写が繰り返し行われる。上記の説明では理解を容易にするために、転写体2の一回転で一枚の記録媒体Pへのインク像IMの転写が一回行われるように説明したが、転写体2の一回転で複数枚の記録媒体Pへのインク像IMの転写が連続的に行うことができる。
このような記録動作を継続していくと、各記録ヘッド30のメンテナンスが必要となる。図7は各記録ヘッド30のメンテナンスの際の動作例を示している。状態ST11は、吐出位置POS1に記録ユニット3が位置している状態を示す。状態ST12は、記録ユニット3が予備回復位置POS2を通過している状態を示し、通過中に回復ユニット12により記録ユニット3の各記録ヘッド30の吐出性能を回復する処理が実行される。その後、状態ST13に示すように、記録ユニット3が回復位置POS3に位置した状態で、回復ユニット12により各記録ヘッド30の吐出性能を回復する処理が実行される。
本実施形態に係る記録システム1は、上述のように、転写体2の一回転で複数枚の記録媒体Pへのインク像IMの転写を連続で行うことができる。なお、ここでの記録媒体Pは、例えば、1つの画像の記録ごとに1枚の形式でカットされている、紙や他の媒体によるカットシートである。この場合、転写体2の一回転でN枚の記録媒体Pへの像の転写が可能とすると、連続して像の転写を行うには、転写体2の一回転に要する時間の1/Nの時間(以下、「単位転写時間」と呼ぶ。)において画像処理が完了している必要がある。しかしながら、上位装置HC2やメインコントローラ13Aにおける画像処理に要する時間がこの単位転写時間よりも長くなってしまう場合がありうる。例えば、上位装置HC2やメインコントローラ13Aが、600dpiの画像データについて単位転写時間内に画像処理を完了するように設計されている場合に、これらの装置によって1200dpiの画像データを処理する場合を考える。同じ用紙サイズの画像データについて、1200dpiの画像データの画像処理の処理量は、600dpiの画像データの約4倍となり、処理時間も4倍程度まで増大しうる。このため、場合によっては1200dpiの画像データの画像処理に、単位転写時間の4倍程度を要してしまう場合がありうる。画像処理の他にも、画像データの量が大きくなると、データ転送回線によっては、それに伴ってデータ転送時間が長期化する等、画像データの処理に要する時間に代表される記録条件に応じて処理時間が増大しうる。
このような場合に、転写体2や搬送装置1B等が記録動作を継続すると、インク像IMが転写された記録媒体Pと、インク像IMが転写されていない記録媒体Pとが混在して出力されることとなり、ユーザがその仕分けを行わなければならなくなりうる。これに対して、画像処理等が完了しない場合には、転写体2や搬送装置1B等の動作を停止させることができる。例えば、1つの画像データに関して画像処理等が完了していない場合は、転写体2や搬送装置1B等の動作を停止させる。例えば、600dpiの画像データについて単位転写時間内に画像処理等が完了する構成において、1200dpiの画像データが記録対象となったことで単位転写時間内に画像処理等が終了しない場合等に、転写体2や搬送装置1B等の動作が停止させられる。これによって、インク像IMが転写されていない記録媒体Pが出力されることがなくなる。なお、同じ画像を連続して記録する場合には、その画像データの解像度によらず、連続して記録処理を実行することができる。画像処理等が一度行われたことによって、その後の画像データについて同じ処理が行われる必要はないからである。例えば、転写体2の一回転で4枚の印刷を実行可能な構成において、4枚の1200dpiの同じ画像を印刷後に600dpiの画像を印刷する場合は、それらの印刷は全て連続して行われうる。すなわち、1周目の1枚目の印刷の時点で1200dpiの画像データについての画像処理等は完了しており、2〜4枚目はその画像処理等の結果を用いて印刷されうる。また、その後の600dpiの画像データについては、単位転写時間内に画像処理等が完了するため、2周目の1枚目の印刷によってその600dpiの画像データの印刷を行うことができる。このように、印刷が行われない区間がない場合は、転写体2及び搬送装置1B等の動作を停止する必要はない。なお、転写体2や搬送装置1B等の動作を停止する場合は、次の記録対象の画像についての画像処理等が記録可能な状態まで進行したことに応じて転写体2や搬送装置1B等の起動処理が実行されるため、その制御を行う負荷や時間が要求されうる。
また、例えば転写体2の回転速度及び搬送装置1Bによる記録媒体Pの搬送速度を低下させることもできる。例えば、単位転写時間のN倍の処理時間を要する画像データについては、回転速度及び搬送速度を1/Nとする。例えば、600dpiの画像データを線速0.6m/sでの連続印刷が可能な構成において、1200dpiの画像データを印刷する場合、画像処理等に4倍の時間がかかるとすると、回転速度及び搬送速度を0.15m/sまで低下させて印刷が実行されうる。これにより、画像処理等の速度に応じた記録処理を実行することができる。なお、この場合には、回転速度の低下に応じて、各種パラメータの適切な設定が必要となる。また、1200dpiの画像データと600dpiの画像データとが混在する条件で印刷が行われる場合、600dpiの画像データについても、1200dpiの画像データに合わせた線速で印刷されることとなる。
また、転写体2へのインク像の形成と搬送装置1Bによる記録媒体Pの搬送とをスケジューリングし、インク像の形成と記録媒体Pの搬送とを間引く等の処理によって、転写体2の一回転あたりの記録部数を制御することもできる。すなわち、転写体2の回転速度や搬送装置1Bによる記録媒体Pの搬送速度については一定に保ったままで、画像処理等が完了していない状態においては、転写体2にインク像を形成せず、さらに、記録媒体Pの搬送もしないような制御を行う。例えば、1200dpiの画像データの記録がスケジューリングされている場合は、600dpiの画像データと比して画像処理等に4倍の時間がかかると推定し、4つの画像データの記録が可能な期間のうち1つだけで記録を行うようにする。例えば、転写体2の一回転で4枚の画像データの印刷が可能である場合、転写体2において1〜3枚目に対応する領域にはインク像が形成されず、4枚目に対応する領域にのみインク像が形成される。また、搬送装置1Bは、1〜3枚目に対応するタイミングでは用紙を搬送せずに、4枚目に対応するタイミングでのみ用紙を搬送するようにする。このようにすることで、転写体2や搬送装置1B等において各種パラメータの設定を変更することなく、また、記録速度を落とすことなく、画像処理等の速度に応じて適切に記録処理を実行することができる。本実施形態では、特にこの手法に着目して、以下説明する。
本実施形態では、一例において、記録制御部15Aが、解像度等の画像データの処理に要する時間を示す記録条件に基づいて、転写体2の一回転当たりの記録部数を制御するための処理を実行する。ここで、記録制御部15Aの構成例について、図8を用いて説明する。記録制御部15Aは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)803と、CPU805とを有して構成される。FPGA803は、例えば、メインコントローラ13Aから受信した記録データを通信I/F801を介して受信し、メモリ802へと蓄積する。そして、FPGA803は、メモリ802に蓄積された記録データについて各種画像処理を施した後に、搬送制御部15Dからの胴位置制御信号に基づくタイミングで転写体2にインクを吐出するように、通信I/F804を介して記録ヘッド30を制御する。すなわち、FPGA803は、胴位置制御信号によって転写胴41の転写体2の基準位置からの回転量等を特定して、記録媒体Pの所定の位置に所定の画像が記録されるように、インクの吐出タイミングを制御する。本実施形態では、転写体2の1回転で4枚の画像データが記録されるものとし、図10に示すように、転写体2は、A〜Dの4面分の領域を有し、それぞれの領域にインク像が形成される転写用の部品(ブランケット)が巻き付けられて構成される。このとき、各領域は、転写体2の胴の円周方向の長さが記録に使用可能なカットシートの長さに対応し、このため、転写体2は、記録に使用可能なカットシートの長さに応じて定まる胴径(周長)を有する。FPGA803は、胴位置制御信号によって、4面のうちのどの面に記録するかを制御することが可能である。なお、転写体2の1回転で記録可能な枚数は4枚でなくてもよく、2枚や3枚、又は5枚以上の所定の枚数でありうる。また、FPGA803は、記録ヘッド30におけるインク吐出制御と共に、給送ユニット7における給紙の制御をも行いうる。例えば、FPGA803は、給紙を停止すべきタイミングにおいて、給紙停止リクエスト信号を給送ユニット7に送信することにより、この給紙の制御を実行しうる。ここで、給送ユニット7は、例えばこのような信号を受信しない限りは給紙を実行しうる。なお、FPGA803は、給紙すべきタイミングにおいて給紙リクエスト信号を送信し、給紙すべきでないタイミングにおいてはそのような信号を送信しないようにしてもよい。このように、FPGA803は、転写体2のどの領域において記録を実行するかのタイミングと、給紙のタイミングとを同期させることにより、記録媒体に対する記録が、転写体2のどの領域を用いて実行されるかを制御することができる。
また、FPGA803は、CPU805からの指示に基づいて各種処理を実行しうる。CPU805は、内部LAN17に接続され、他の制御部からの制御コマンド等を受信し、他の制御部に対して制御コマンド等を送信しうる。CPU805は、メモリ806に接続され、例えばメモリ806をワーキングメモリとして使用して、各種制御コマンド等に応じた処理を実行する。CPU805は、例えば、メインコントローラ13Aから取得した記録対象の画像データに関する解像度等の記録条件の情報に基づいて、実際に記録を行う際に用いるスケジュールを生成して、その情報をFPGA803へ通知しうる。画像データに関する解像度等の記録条件の情報は、画像を構成する画素の値に対してヘッダという形式で付しておくことができる。また記録を行う際に用いるスケジュールは、後述するようなPOT(プリントオーダーデーブル)という形態であってよい。また、例えば、上位装置(DFE)HC2に原稿データを入稿する際に、ユーザからの指示に基づき出力解像度を決定しておき、この解像度の情報と印刷部数の情報とを先に記録制御部Aへと送る。そして記録制御部A側でこれらの情報をもとにスケジュールを生成することができる。このようにすると、メインコントローラ13Aが記録制御部15Aに記録データを渡すために、これからDFE、メインコントローラ13Aがデータを処理するためにかかる時間を反映したスケジュールを生成することができる。なお、メインコントローラ13Aが記録対象の画像データの記録条件に基づいて上述のスケジュールを生成して、CPU805は、その生成されたスケジュールの情報を取得してもよい。CPU805又はメインコントローラ13Aは、DFEによる原稿データの処理に係る時間、メインコントローラ13Aによるデータの処理に係る時間のいずれか一方のみを反映してスケジュールを作成することができる。また、CPU805又はメインコントローラ13Aは、これらの両方の処理時間に応じたスケジュールを作成することもできる。さらに、CPU805又はメインコントローラ13Aは、これらに加えて又はこれらに代えて、搬送ユニット7が記録媒体の搬送を行う時間間隔に基づいて、スケジュールを作成してもよい。そして、FPGA803は、CPU805から通知されたスケジュールに基づいて、スケジュール上、記録が行われないタイミングでは給紙及びインクの吐出を行わず、記録が行われるタイミングでのみ給紙及びインクの吐出を行うような制御を実行する。これにより、記録条件に応じて、例えば高解像度の画像データについて画像処理が完了しない場合に、インク像が転写されないままの記録媒体が搬送されてしまうことや、記録処理に失敗することを防ぐことが可能となる。また、FPGA803は、例えば、給送ユニット7において、用紙(記録媒体P)の先端が検出されたことを示す用紙先端検知信号を受信した場合、すなわち、記録媒体Pが実際に搬送された場合にのみ、インクの吐出を行うように制御を行ってもよい。これによれば、給送ユニット7が記録媒体Pを搬送すべきタイミングにもかかわらず、例えば用紙切れ等によりその搬送に失敗した場合等に、不必要に転写体2にインク像が形成されることを防ぐことが可能となる。また、転写体2にインク像が形成されないことにより、例えば圧胴42にインクが付着することを防ぐことができる。
なお、記録制御部15Aは、例えば、内部LAN17を介して搬送制御部15Dや給送ユニット7と接続してもよいが、別途専用の回線を用いてこれらの機能部と接続してもよい。また、記録制御部15Aは、FPGA803を含んで構成されるが、これは、例えばASIC(特定用途向け集積回路)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)等の、他のプロセッサに置き換えられてもよい。
図9に、FPGA803によって実現される機能構成例を示す。FPGA803は、ヘッドデータ送信部901、画像処理部902、POT制御部903、タイミング制御部904、DMAC905、受信データ制御部906、及びCPU I/F907の機能を含むように構成される。FPGA803は、受信データ制御部906によって、メインコントローラ13Aから記録データを取得して蓄積する。受信データ制御部906は、例えばメモリ802への書き込みが可能となる量のデータを蓄積したことに応じてDMAC905を起動して、その蓄積したデータをメモリ802へ書き込ませる。POT制御部903は、CPU805とのインタフェースであるCPU I/F907を介して、CPU805から、記録スケジュールを示すプリントオーダーテーブル(POT)を取得する。
POTの例を図11に示す。POTは、図11に示すように、画像の記録順序と、各画像の記録部数とが対応付けられたテーブルである。図11のPOTでは、画像1をN部記録した後に画像2を1部記録し、その後に画像3をN部、画像4及び5を1部、画像3を1部、そして最後に画像Gを1部記録した後に、記録を終了することが示されている。なお、POT制御部903は、図11のPOTに従って記録処理を実行中に別のPOTを取得した場合、そのPOTに含まれている記録スケジュールを現在のPOTの最後尾に追加しうる。POT制御部903は、POTに従って、記録対象の画像のインク像による記録を可能とするための各画像処理を画像処理部902に実行させ、処理後の画像に応じたインク像を転写体2に形成するようにヘッドデータ送信部901に記録ヘッド30を制御させる。例えば、POT制御部903は、まず、POTの1段目を読み込んで、画像1を記録対象として、転写体2にインク像を形成する前に記録対象の画像に関する画像処理を開始するように画像処理部902にタイミング制御信号を送信する。また、POT制御部903は、転写体2の適切な位置に画像処理後の画像に関するインク像を形成するように、ヘッドデータ送信部901にタイミング制御信号を送信する。なお、POT制御部903は、ヘッドデータ送信部901及び画像処理部902の両方に1つのタイミング制御信号を送信してもよい。この場合、例えば、画像処理部902はその信号を受信した直後に処理を開始し、ヘッドデータ送信部901はその信号を受信して所定時間経過後に、インクを吐出するように記録ヘッド30を制御する信号を送信しうる。そして、POT制御部903は、画像1をN枚印刷するように、ヘッドデータ送信部901に対してタイミング制御信号を送信する。その後、POT制御部903は、POTの2段目を読み込み、画像2を記録対象として、ヘッドデータ送信部901及び画像処理部902に対してタイミング制御信号を送信する。
タイミング制御部904は、搬送制御部15Dから胴位置制御信号を受信して、インク像の形成処理を実行させるための処理のタイミングの基準となる情報をPOT制御部903へと与えうる。例えば、POT制御部903は、タイミング制御部904から与えられたタイミングに基づいて、上述のタイミング制御信号を生成する。
ここで、例えば、上位装置HC2やメインコントローラ13Aが、600dpiの画像データについて単位転写時間内に画像処理を完了するように設計されている場合、600dpiの画像データについては、図11のようなPOTによって順次記録されうる。このときには、領域A、B、C、Dの順に転写体2を使用してインク像の形成を行うことができる。しかしながら、1200dpiの画像データの記録のように画像処理等に多くの時間が要求される場合、記録タイミングに画像処理等が間に合わず、図11のようなPOTに従うと、例えばインク像の転写が行われずに記録媒体が搬送されるだけとなりうる。
このため、本実施形態では、解像度等の記録条件に基づいてPOTの内容を設定する。例えば、1200dpiの画像データについての画像処理等に、単位転写時間の4倍の時間がかかる場合、4つの単位転写時間のうち、3つの単位転写時間では記録対象のデータが存在しないことを示す情報をPOTに含める。そして、このデータが存在しないことが示されている期間において画像処理等が完了したデータを記録するように、POT制御部903から、ヘッドデータ送信部901及び画像処理部902に対してタイミング制御信号が送信される。
この場合のPOTの例を図12に示す。図12の例は、600dpiの画像データについて単位転写時間内に画像処理を完了するように設計されている構成において、例えば、画像2〜画像4が1200dpiの画像であり、他の画像が600dpiの画像である場合の例について示している。なお、この例では、1200dpiの画像処理等が、単位転写時間の4倍以内に終了するものとする。図12の例において、例えば、1200dpiの画像2に関して、連続する「3」つの記録媒体について記録対象がないことを示す「Non」がPOTに含められ、その後に画像2に関する情報がPOTに含められる。すなわち、このPOTでは、1200dpiの画像2を記録する準備のために要する期間が、「Non」という値を用い、さらに、その期間を示す情報として、実際に記録を行うとした場合に記録可能な記録部数である「3」という値を用いて表現される。これにより、POT制御部903は、記録条件が1200dpiの画像の記録について、画像処理等の所定の処理に要する時間に基づいて、転写体2の回転を停止せずに、インク像の形成を停止するように記録ヘッド30を制御する。また、POT制御部903は、画像処理等の所定の処理に要する時間に基づいて、記録媒体の搬送に係る各胴を停止させずに、記録媒体の供給を停止するように給送ユニット7を制御する。これによって、記録条件に応じて記録部数を変更させ、記録媒体のみが搬送される等の事象が生じることを防ぐことができる。同様に、1200dpiの画像3に関しても、連続する「3」つの記録媒体について記録対象がないことを示す「Non」がPOTに含められ、その後に画像3に関する情報がPOTに含められる。ここで、画像3が2部記録される場合、2部目の記録処理の段階では、再度画像処理等を実行する必要がないため、次の画像データに関する処理が開始されうる。このため、例えば、画像3の2部目の記録処理時から画像4の画像処理等を開始することで、画像4については、連続する「2」つの記録媒体について記録対象がないことを示す「Non」がPOTに含められ、その後に画像4に関する情報がPOTに含められる。なお、画像3の2部目の記録処理と画像4の画像処理等とが並行して行われなくてもよく、画像3の記録処理の終了後に画像4の画像処理等が開始されてもよい。この場合は、連続する「3」つの記録媒体について記録対象がないことを示す「Non」がPOTに含められ、その後に画像4に関する情報がPOTに含められる。なお、POT制御部903は、例えば、POTにおいて「Non」を読み出すと、次の記録対象の画像についてPOTに対する読み出しを行い、画像処理を実行するように画像処理部902にタイミング制御信号を送出しうる。また、POT制御部903は、「Non」の期間が経過するのを待機して、愚痴の記録対象の画像の記録タイミングに応じて転写体2にインク像を形成するように、ヘッドデータ送信部901へタイミング制御信号を送出しうる。
ここで、転写体1回転で記録可能な記録媒体の枚数が、画像処理や搬送性に応じて記録可能となる画像の枚数の整数倍である場合等では、転写体のうちの記録が可能な領域のうちの一部のみが高頻度で記録に使用されることがありうる。この様子を図13を用いて説明する。なお、図13の例では、1200dpiの画像処理等が、単位転写時間の2倍以内に終了するものとする。図13には、2つの記録ジョブに関する2つのPOT(図13(a)及び図13(c))が示されている。以下では、図13(a)のジョブをジョブ1と呼び、図13(c)のジョブをジョブ2と呼ぶ。なお、ジョブ1とジョブ2との間等、ジョブ間において給紙が停止される。ここで、図13(a)のようなPOTが用いられる場合のジョブ1の処理の例を図17に示す。図17に示すように、1回転目の1枚目において1200dpiの画像1が記録される。そして、画像2のインク像形成用のデータを生成するための画像処理の遅延があるため、その画像処理等のための期間、すなわち、1回転目の2枚目の期間において「Non」が設定され、その後、1回転目の3枚目において画像2が記録される。画像3も1200dpiの画像であるため、画像処理等のための期間として1回転目の4枚目の期間が「Non」に設定され、2回転目の1枚目に画像3の記録が行われる。同様に画像4〜画像10までの記録が行われる。
ここで、ジョブに対して、図10に示すような転写体2の領域A〜領域Dのうちの領域Aによって記録が開始されるように、制御が行われるものとする。図13(b)及び図13(d)は、ジョブ1とジョブ2とがそれぞれ実行された場合に領域A〜領域Dのそれぞれが用いられた回数を示している。図13(e)は、ジョブ1およびジョブ2の両方を実行終了時に、記録処理において領域A〜領域Dのそれぞれが用いられた回数を示す。図13(e)から、図13(a)及び図13(c)のジョブが実行された結果、領域A及び領域Cのみが記録に使用されたことがわかる。この結果、領域A及び領域Cのみが、圧胴42との間に搬送される記録媒体と当接し、領域B及び領域Dは記録媒体と当接しないこととなる。転写体2に記録媒体が当接すると、転写時の圧力や、記録媒体の搬送速度と転写胴41の回転速度との差によるずりによって、転写体2の表層の部品が劣化しうる。このため、図13の例では、転写体2のうち、他部(領域B及び領域D)と比べて、領域Aと領域Cのみ部品の劣化が進むことが考えられる。
このため、本実施形態では、転写体2の領域A〜領域Dの各領域が記録に使用される回数又は各領域に対する通紙回数を管理して、これらの回数が同程度となるように制御することにより、各領域の部品の劣化が均等に進行するようにする。以下では、このような制御の実施形態について説明する。
(実施形態1)
本実施形態でのPOTの例を図14に示す。図14(a)及び図14(c)は、それぞれジョブ1およびジョブ2に関するPOTを示している。また、図14(b)及び図14(d)は、ジョブ1とジョブ2とがそれぞれ実行された場合に領域A〜領域Dのそれぞれが用いられた回数を示しており、図14(e)は、それらの総数を示す。本実施形態では、図14(a)及び図14(c)に示すように、ジョブ1とジョブ2とに対して、転写体2の領域A〜領域Dのうちの記録開始に用いる領域を異ならしめる。すなわち、ジョブ1では、領域Aから記録が開始される結果、領域Aと領域Cのみが使用されることとなるため、ジョブ2では、領域Bから記録を開始し、領域Bと領域Dとが使用されるようにする。例えば、ジョブ1の記録終了時に、記録制御部15Aからメインコントローラ13Aを通して転写体2の各領域での記録回数が記憶部132に記憶される。そして、ジョブ2を開始する前に、メインコントローラ13Aによって、記録回数が少ない領域が、記録を開始する領域として決定され、記録制御部15Aと搬送制御部15Dが、記録回数が少ない領域で記録を行うように印字面と給紙のタイミングを制御する。この制御によれば、図14(e)に示すように、転写体2の各領域の記録回数の偏りがなくなり、一部の領域だけ部品が顕著に劣化してしまうことを防ぐことができる。
本実施形態でのPOTの例を図14に示す。図14(a)及び図14(c)は、それぞれジョブ1およびジョブ2に関するPOTを示している。また、図14(b)及び図14(d)は、ジョブ1とジョブ2とがそれぞれ実行された場合に領域A〜領域Dのそれぞれが用いられた回数を示しており、図14(e)は、それらの総数を示す。本実施形態では、図14(a)及び図14(c)に示すように、ジョブ1とジョブ2とに対して、転写体2の領域A〜領域Dのうちの記録開始に用いる領域を異ならしめる。すなわち、ジョブ1では、領域Aから記録が開始される結果、領域Aと領域Cのみが使用されることとなるため、ジョブ2では、領域Bから記録を開始し、領域Bと領域Dとが使用されるようにする。例えば、ジョブ1の記録終了時に、記録制御部15Aからメインコントローラ13Aを通して転写体2の各領域での記録回数が記憶部132に記憶される。そして、ジョブ2を開始する前に、メインコントローラ13Aによって、記録回数が少ない領域が、記録を開始する領域として決定され、記録制御部15Aと搬送制御部15Dが、記録回数が少ない領域で記録を行うように印字面と給紙のタイミングを制御する。この制御によれば、図14(e)に示すように、転写体2の各領域の記録回数の偏りがなくなり、一部の領域だけ部品が顕著に劣化してしまうことを防ぐことができる。
なお、図12から図14のPOTは、図15に示すように、解像度の情報等、記録条件の情報を含んでもよい。また、図12から図14のPOTでは、記録対象のデータが、例えば図15に示すような構成で記憶される。図15は、1つの記録対象のデータの構成例を示している。図15に示すように、例えば、記録対象の通し番号が4バイト、モードが1バイト、部数が2バイトで表現される。また、図14のような場合、解像度を示す情報が例えば1バイトで表現される。なお、「モード」には、例えば、例えば記録対象が存在する場合は「0x01」、記録対象が存在しないが記録を終了しない場合、すなわち「Non」の場合には「0x02」、記録処理を終了する場合は「0x00」等、各状態に対応付けられた値が格納される。また、「解像度」には、例えば600dpiの場合は「0x01」が、1200dpiの場合は「0x02」が、例えばモードが「Non」や「終了」である場合に対応する0の場合は「0x00」が、それぞれ格納される。なお、解像度の値は、他の値が用いられてもよく、その場合、0x00〜0x02以外の値が解像度を示す値として用いられうる。
図14のようなPOTに従って実行される記録処理の流れの例について、図16を用いて説明する。本処理は、例えば、記録システムの電源がオンとされること、処理開始の操作が行われること、記録ジョブが発生したこと等の様々な要因によって開始される。処理が開始されると、まず、メインコントローラ13Aは、各記録領域に対する通紙枚数を読み出し(S1601)、通紙枚数が少ない記録領域を、記録開始時に使用する領域として設定する(S1602)。例えば、ジョブ1が終了した際に、領域A、領域B、領域C、及び領域Dについて、累積通紙回数は、それぞれ、5枚、0枚、5枚、0枚であるため、メインコントローラ13Aは、ジョブ2の開始時には、通紙枚数が少ない領域Bから記録を開始すると決定する。記録制御部15Aは、メインコントローラ13Aを通じてPOTを設定する(S1603)。そして、メインコントローラ13A又は記録制御部15Aは、例えば内部LAN17を介して、制御コマンドを他の制御部へと出力して、胴の回転を開始させ(S1604)、S1603で設定されたPOTに従った記録処理を開始させる(S1605)。このとき、記録制御部15Aおよび搬送制御部15Dによって、S1602で決定した領域から記録が開始されるように、印字面と給紙のタイミングを制御する。なお、図16の処理(又はS1604の処理)の前にすでに胴が回転している場合は、S1604の処理は省略される。記録処理が開始された後は、ジョブのすべてが終了するまで(S1606でYESとなるまで)、記録処理が継続される。ここで、ジョブのすべてが終了する前(S1606でNO)に、ジョブに関する新たな情報等によってPOTが更新された場合は、現在のPOTを更新し又は新たなPOTにより現在のPOTを置換して、POTが再設定される(S1607)。以上の処理により、図14(e)に示すように、転写体2における領域のそれぞれが記録に用いられた回数に偏りがなくなり、一部の領域のみ劣化が進行することを抑制することができる。
また、ここでの記録処理では、上述のように、例えば1200dpi等の画像処理等による遅延が大きいジョブが存在しても、胴の回転を停止させることはない。ただし、POTに従って、そのジョブに関する画像処理等が完了するまでに対応する「Non」の期間は、インク像を形成せず、かつ、記録媒体Pの搬送を行わない。これにより、システム全体を停止させることにより、上述の処理等が完了したことによる胴回転の開始等の初期処理を開始する必要がなくなる。
なお、図16では、通紙枚数の少ない面から記録を開始するような制御例を示したが、記録を開始する面をランダムに指定するような制御が行われてもよい。これによっても、転写体2における領域A〜領域Dの記録回数の偏りを抑制し、一部の領域のみ劣化が進行することを防ぐことができる。
(実施形態2)
実施形態1では、複数のジョブ間で又は複数のPOT間で、記録開始時に用いるべき転写体2の領域を設定する例について説明した。これに対して、本実施形態では、1つのジョブにおいて(1つのPOTにおいて)、記録に使用すべき転写体2の領域を切り替える処理について説明する。
実施形態1では、複数のジョブ間で又は複数のPOT間で、記録開始時に用いるべき転写体2の領域を設定する例について説明した。これに対して、本実施形態では、1つのジョブにおいて(1つのPOTにおいて)、記録に使用すべき転写体2の領域を切り替える処理について説明する。
本実施形態でのPOTの例を図18(a)に、その際の転写体2の各領域が記録に使用された回数を図18(b)に、それぞれ示す。また、本実施形態に係る記録処理の流れを、図19に示す。なお、S1901〜S1906については、S1601〜S1606と同様であるため、説明を省略する。メインコントローラ13Aは、全てのジョブが終了するまで(S1906でNOである間)は、各記録領域の通紙枚数を読み出し(S1907)、通紙枚数が最も少ない記録領域において記録が行われるようにPOTを更新する(S1908)。メインコントローラ13Aは、図18(a)の例では、No.11において、通紙枚数が少ない領域B及び領域Dで記録を行うようにPOTを更新する。例えば、No.1からNo.10までで、領域A、領域B、領域C、及び領域Dの通紙回数が、それぞれ累積で、3枚、0枚、2枚、0枚であるため、メインコントローラ13Aは、No.11にNonを挿入し、画像6が領域Dで記録されるように設定する。その結果、図18(b)に示すように転写体2の各領域の記録回数の偏りがなくなり、特定の領域だけ劣化が進行することを防ぐことができる。
図18(a)に示したPOTが用いられる場合の処理の例を図20に示す。図20に示すように、1回転目の1枚目において1200dpiの画像1が記録される。その後、画像2の画像処理の遅延があるため、その画像処理等のための期間、すなわち、1回転目の2枚目の期間において「Non」が設定され、その後、1回転目の3枚目において画像2が記録される。画像3も1200dpiの画像であるため、画像処理等のための期間として1回転目の4枚目の期間が「Non」に設定され、2回転目の1枚目に画像3の記録が行われる。同様に画像4〜画像5までの記録が行われる。そして、画像6も1200dpiの画像であるため、画像処理等のための期間として3回転目の2枚目の期間が「Non」に設定されるが、ここで、記録に用いられる転写体2の領域を変更するために3回転目の3枚目の期間にも「Non」が設定される。そして、3回転目の4枚目において、画像6が記録される。その後は、画像処理等のための期間と、記録が行われる期間とが交互に設定される。
なお、S1907及びS1908の更新のタイミングは、例えば所定枚数(図18(a)の例では5枚)の記録が完了した時点でありうるが、例えば所定時間ごと等、適宜定められうる。また、図19の処理例では、POTの更新タイミングで通紙枚数の少ない領域で画像が記録されるようにPOTを更新するとしたが、例えば、S1903においてジョブ中の所定の枚数ごとに使用される転写体2の領域を変えるようにPOTが設定されてもよい。すなわち、上述の各例のようにNo.1からNo.20で10枚の画像を記録するジョブでは、半分の5枚の画像の記録が終了した後、次の画像を記録する際に使用される領域が変わるように、No.11にNonが挿入されるPOTがあらかじめ設定される。また、ジョブ中で、使用される領域がランダムに変更されるように、S1903においてPOTが設定されてもよい。これらによれば、転写体2の各領域が記録に使用される回数の偏りを抑制することができ、一部の領域のみ部品の劣化が進行することを防ぐことが可能となる。
なお、上述の各実施形態は、例えば600dpiの画像と1200dpiの画像とが混在して記録される環境においても適用可能である。例えば図21(a)に示すPOTは、例えば上述の実施形態2によるPOTの更新によって、図21(c)のように更新されうる。ここで、図21(a)のPOTがそのまま使用される場合の各領域の使用回数を図21(b)に、図21(c)のようにPOTが更新された場合の各領域の使用回数を図21(d)に示す。図21(b)及び図21(d)から、600dpiの画像と1200dpiの画像とが混在して記録される環境においても、転写体2の各領域が使用される頻度を分散させることができることが分かる。この結果、一部の領域のみ部品が劣化してしまうことを防ぐことができる。なお、実施形態1のように、ジョブ単位で転写体2の各領域のうち使用される領域を適宜設定することによっても、同様の効果を得ることができる。
また、ここまで、転写体2の各領域に設けられた部品の劣化に着目したが、上述の実施形態によれば、他の部品の局所的な劣化を防ぐことも可能となる。例えば、吸収ユニット5Bが無端のシート状に形成されると共にその周長が転写体2の周長と同様である場合、吸収ユニット5Bのシートは領域A〜領域Dのそれぞれに対応する4つの吸収領域を有することとなる。この状態を図22(a)に示す。図22(a)に示されるように、転写体2の領域A〜領域Dに対応するように、吸収ユニット5Bのシートも領域A〜領域Dを有する。吸収ユニット5Bは、転写制御部15Bによって、記録時には、吸収ユニット5Bの各領域が転写体2の対応する領域に当接するように、制御が行われる。図22(b)は、この制御によって、転写体2の領域Aが、吸収ユニット5Bの領域Aに当接するような制御が行われている状態を示している。このような場合、転写体2において記録が実行される領域に偏りがあると、同様に、吸収ユニット5Bにおいても使用される領域にも偏りが生じてしまう。これに対して、上述の実施形態のような手法によれば、吸収ユニット5Bが局所的に劣化してしまうことを防ぐことができるようになる。なお、図22(a)及び図22(b)に示すように、吸収ユニット5Bの領域の数と、転写体2の領域の数は一致していなくてもよく、例えば大きい方の数が小さい方の数の倍数となるように構成されてもよい。このためには、吸収ユニット5Bのシートの周長が転写体2の周長の倍数相当とする。このようにして、例えば吸収ユニット5Bが8個の領域を有し、それらの領域のうちの2つずつが、転写体2の1つの領域Aと当接するように構成されてもよい。吸収ユニット5B側の領域は3領域おきに転写体の領域Aと当接することになる。この場合、転写体2の1つの領域のみが使用される環境では、対応する2つの領域のみ劣化が進行しうるが、上述の実施形態によって、8個の領域の使用度合が均等になり、偏った劣化が進行することを抑制するようにすることができる。
また、上述のように、記録システムでは、付与ユニット5Aによって転写体2に反応液を塗布し、記録ヘッド30によってインクを付与し、吸収ユニット5Bによってインクの液体成分を一部吸収した後に、乾燥ユニット5Cで加熱して記録媒体へ転写を行う。このとき、図13のようなPOTに従って記録を実行する場合、記録に用いられない領域は、インクが付与されず、水分量が少なくなるため、加熱ユニット5Cによって温度が高くなりやすいことが考えられる。一部の領域のみが高温となると、その領域の材料がそれ以外の領域の材料より劣化しやすくなる。これに対して、上述の実施形態のようにPOTを設定することにより、転写体2の使用される領域の偏りをなくすことができ、一部の領域のみが高温によって劣化してしまうことを抑制することができる。なお、転写体2に不図示の温度センサを取り付け、印刷時に、転写体2の領域A〜領域Dのそれぞれについてセンサによって取得された温度情報に従って、POTの生成制御が行われてもよい。この場合の処理の流れの例を図23に示す。なお、図23のS2301〜S2305は、図16のS1601〜S1605及び図19のS1901〜S1905と同様であるため、説明を省略する。また、S2309〜S2311は、図19のS1906〜S1908と同様であるため、説明を省略する。記録が開始されると、記録処理の実行中に、転写体2における各領域の温度の監視が開始される。そして、いずれかの領域についての温度が所定の閾値X以上となった場合(S2306でYES)は、現在設定されているPOTの使用を終了する(S2307)。その後、記録制御部15Aによって、記録に使用されていない領域を用いて記録が実行されるようにPOTが再設定される(S2508)。なお、ここでは転写体2のいずれかの領域の温度が所定の閾値以上となったときに、POTの差し替えを行う制御の例について説明したが、POTの差し替えを行わずに、ジョブを一旦終了するような制御が行われてもよい。
また、上述のように、記録システムは、清掃ユニット5Dによって、カットシートへの画像の転写後の転写体2に残ったインクを清掃するように構成される。ここで、転写体2の清掃は転写体2にインクが残留しているか否かによらず行われるが、インクが残留している場合は、インクの残留がない場合と比して清掃時の摩擦や残留インクの剥離時の力により、材料の劣化が進むと考えられる。これに対して、上述の実施形態のようにPOTを設定することにより、転写体2の使用される領域の偏りをなくすことができ、残留インクの清掃による転写体2の劣化をも抑制することができる。
上述の実施形態では、転写体2の各領域に対応する通紙枚数を監視して使用すべき転写体2の領域を制御する手法の例について説明したが、各領域で実際に記録が行われた回数である記録枚数に基づいて制御が行われてもよい。また、上述の実施形態では、1200dpiの画像処理等が単位転写時間の2倍以内に終了する場合の例について説明したがこれに限られない。例えば、搬送性の観点から、所定時間間隔で記録媒体を搬送し、転写体2の領域間で記録に用いられた回数に偏りが生じる場合等にも、上述の処理を適用することができる。
なお、本実施形態では、転写体2が胴形状を有するものとして説明したが、これに限られない。例えば、転写体2は自由形状のベルト等によって構成されてもよい。この場合、ベルトは、上述の領域A〜領域Dのような、1回の循環で複数のインク像の形成とカットシートへの転写とを行う複数の領域を有し、このため、記録に使用可能なカットシートの長さに応じて定まる周長を有することとなる。この場合であっても、上述の各手法により、転写体2の特定の領域のみ劣化が顕著に進行することを防ぐことができる。
<<その他の実施形態>>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
2:転写体、7:給送ユニット、15A:記録制御部、15B:転写制御部、15D:搬送制御部、30:記録ヘッド、901:ヘッドデータ送信部、902:画像処理部、903:POT制御部、904:タイミング制御部
Claims (15)
- カットシートを搬送する搬送手段と、
インク像の形成領域およびインク像をカットシートに転写するための転写領域を循環的に通過する転写体であって、インク像を転写することができる前記カットシートの長さから規定される周長を有すると共に1回の前記循環で複数の前記カットシートに記録を行うことを可能とする複数の領域を有する前記転写体と、
画像処理手段が記録対象の画像を示すデータを処理することによって得られる前記転写体へのインク像形成用の記録データを取得する取得手段と、
前記形成領域において、前記記録データに基づいてインクを前記転写体に吐出し、前記転写体にインク像を形成する記録手段と、
前記転写領域において前記搬送手段により搬送されるカットシートに、前記転写体から前記インク像を転写する転写手段と、
前記複数の領域のうち一部の領域をインク像形成に使用し、他部の領域はインク像形成に使用しないように前記転写体における1回の前記循環での記録部数を制御し、かつ、前記転写体の複数の領域のそれぞれが記録に使用された回数または前記転写体の複数の領域のそれぞれに対する通紙の回数に応じて、他の領域よりも前記回数の少ない領域が前記他の領域よりも多く記録に使用されるように、前記カットシートへの前記記録データのインク像の転写を行う領域を決定し、インク像の形成と転写とを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする記録装置。 - 前記制御手段は、所定枚数の前記カットシートへの記録が行われるごと、または所定時間ごとに、前記転写体の複数の領域のいずれを使用して前記カットシートへの前記記録データのインク像の転写を行うかを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 - 前記制御手段は、前記回数の少ない領域から記録が開始されるように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
- 前記制御手段は、前記画像処理手段による前記記録対象の画像を示す画像データの処理に係る期間に関する情報に基づいて定まる前記記録対象に対する処理に要する時間に応じて、前記転写体の動作を停止させずに、前記記録手段による前記インク像の形成と前記搬送手段における前記カットシートの搬送とを停止させることによって、前記記録部数を設定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。 - 前記制御手段は、前記時間に基づいて、前記記録手段による前記インク像の形成と前記搬送手段における前記カットシートの搬送とを停止させる期間を設定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。 - 前記制御手段は、記録を行うか否かを示すスケジュールの情報を用いて、前記記録手段による前記インク像の形成と前記搬送手段における前記カットシートの搬送とを停止させるか否かの制御を行う、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記録装置。 - 前記制御手段は、前記画像処理手段による前記記録対象の画像を示す画像データの処理に係る時間に関する情報または前記搬送手段における前記カットシートの搬送を行う時間間隔に関する情報に基づいて前記スケジュールの情報を生成する、
ことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。 - 前記制御手段は、記録を実行中に、前記回数の少ない領域が記録に使用されるように前記スケジュールの情報を更新する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の記録装置。 - 前記転写体の複数の領域に対して液吸収部材を当接させて前記転写体に形成されたインク像から液体成分を吸収する機構をさらに有し、
前記液吸収部材は、前記転写体の複数の領域にそれぞれ対応した複数の領域を有し、前記液吸収部材の領域のそれぞれが、前記転写体の対応する領域に当接するように構成される、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の記録装置。 - 前記記録手段と前記転写手段との間で前記転写体の複数の領域のそれぞれを加熱する加熱手段をさらに有し、
前記転写手段は、前記加熱手段によって加熱されたインク像を前記カットシートに転写する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の記録装置。 - 前記転写体の複数の領域の温度を監視する手段をさらに有し、
前記転写体の複数の領域のいずれかの温度が所定の閾値以上になった場合に、当該所定の閾値以上の温度となった領域を、前記カットシートへの前記記録データのインク像の転写を行う領域として用いることを決定する、
ことを特徴とする請求項10に記載の記録装置。 - 前記転写体の複数の領域のそれぞれの表層を清掃する清掃手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の記録装置。 - カットシートを搬送する搬送手段と、
インク像の形成領域およびインク像をカットシートに転写するための転写領域を循環的に通過する転写体であって、インク像を転写することができる前記カットシートの長さから規定される周長を有すると共に1回の前記循環で複数の前記カットシートに記録を行うことを可能とする複数の領域を有する前記転写体と、
画像処理手段が記録対象の画像を示すデータを処理することによって得られる前記転写体へのインク像形成用の記録データを取得する取得手段と、
前記形成領域において、前記記録データに基づいてインクを前記転写体に吐出し、前記転写体にインク像を形成する記録手段と、
前記転写領域において前記搬送手段により搬送されるカットシートに、前記転写体から前記インク像を転写する転写手段と、
前記複数の領域のうち一部の領域をインク像形成に使用し、他部の領域はインク像形成に使用しないように前記転写体における1回の前記循環での記録部数を制御し、かつ、前記転写体の複数の領域のそれぞれが記録に使用された回数または前記転写体の複数の領域のそれぞれに対する通紙の回数に応じて、他の領域よりも前記回数の少ない領域が前記他の領域よりも多く記録に使用されるように、前記カットシートへの前記記録データのインク像の転写を行う領域を決定し、インク像の形成と転写とを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする記録システム。 - カットシートを搬送する搬送手段と、インク像の形成領域およびインク像をカットシートに転写するための転写領域を循環的に通過する転写体であって、インク像を転写することができる前記カットシートの長さから規定される周長を有すると共に1回の前記循環で複数の前記カットシートに記録を行うことを可能とする複数の領域を有する前記転写体と、画像処理手段が記録対象の画像を示すデータを処理することによって得られる前記転写体へのインク像形成用の記録データを取得する取得手段と、前記形成領域において、前記記録データに基づいてインクを前記転写体に吐出し、前記転写体にインク像を形成する記録手段と、前記転写領域において前記搬送手段により搬送されるカットシートに、前記転写体から前記インク像を転写する転写手段と、を用いて記録物を製造するシステムの制御方法であって、
前記複数の領域のうち一部の領域をインク像形成に使用し、他部の領域はインク像形成に使用しないように前記転写体における1回の前記循環での記録部数を制御し、かつ、前記転写体の複数の領域のそれぞれが記録に使用された回数または前記転写体の複数の領域のそれぞれに対する通紙の回数に応じて、他の領域よりも前記回数の少ない領域が前記他の領域よりも多く記録に使用されるように、前記カットシートへの前記記録データのインク像の転写を行う領域を決定し、インク像の形成と転写とを制御する工程を有する、
ことを特徴とする制御方法。 - カットシートを搬送する搬送手段と、インク像の形成領域およびインク像をカットシートに転写するための転写領域を循環的に通過する転写体であって、インク像を転写することができる前記カットシートの長さから規定される周長を有すると共に1回の前記循環で複数の前記カットシートに記録を行うことを可能とする複数の領域を有する前記転写体と、画像処理手段が記録対象の画像を示すデータを処理することによって得られる前記転写体へのインク像形成用の記録データを取得する取得手段と、前記形成領域において、前記記録データに基づいてインクを前記転写体に吐出し、前記転写体にインク像を形成する記録手段と、前記転写領域において前記搬送手段により搬送されるカットシートに、前記転写体から前記インク像を転写する転写手段と、を用いて記録物を製造するシステムにおける装置に備えられたコンピュータに、
前記複数の領域のうち一部の領域をインク像形成に使用し、他部の領域はインク像形成に使用しないように前記転写体における1回の前記循環での記録部数を制御させ、かつ、前記転写体の複数の領域のそれぞれが記録に使用された回数または前記転写体の複数の領域のそれぞれに対する通紙の回数に応じて、他の領域よりも前記回数の少ない領域が前記他の領域よりも多く記録に使用されるように、前記カットシートへの前記記録データのインク像の転写を行う領域を決定し、インク像の形成と転写とを制御させる、
ためのプログラム。
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