JP2019011494A - 蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物、蒸着マスク用積層体、蒸着マスク及びその製造方法 - Google Patents

蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物、蒸着マスク用積層体、蒸着マスク及びその製造方法 Download PDF

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智典 安藤
平石 克文
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Abstract

【課題】薄膜パターンの高精細化に対応可能な蒸着マスクを作製できる樹脂材料の提供。
【解決手段】蒸着マスク用ポリアミド酸組成物で、ポリアミド酸が、(i)式(1)をで表される構造単位を60モル%以上含有と、(ii)酸無水物残基に対して、S−BPDAから誘導される残基を0〜40モル部の範囲で含有し、PMDAから誘導される残基を60モル部から100モル部の範囲で含有と、(iii)S−BPDA残基とPMDA残基のモル比が0.70以下と、の条件を満たす、蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物。
Figure 2019011494

【選択図】なし

Description

本発明は、被蒸着体上に一定形状の薄膜パターンを蒸着形成するための蒸着マスクの材料として使用され、ポリアミド酸を含有する蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物、蒸着マスク用積層体、蒸着マスク及びその製造方法に関する。
スマートフォン等の小型電子機器において、ディスプレイの高精細化が進んでいる。また、これまで液晶ディスプレイが主流であったが、今後、その一部が有機ELディスプレイに置き換わっていくことが予想されている。有機ELディスプレイは、支持基材であるガラスや樹脂からなる被蒸着体(被蒸着基板)上に薄膜トランジスタ(以下、TFT)を形成し、更に電極、発光層、電極を順次形成して、最後に別途ガラス基板や多層薄膜等で気密封止して作られる。そして、蒸着による発光層、カソード電極の形成には、被蒸着体に対して蒸着マスクを使用して蒸着が行われる。蒸着マスクとしては、多数の微細な開口部を配列してなるインバー(Fe−Ni合金)と呼ばれる低CTEの金属箔からなるFMM(ファイン・メタル・マスク)が使用されている。
近年、蒸着マスクによるパターニングの高精細化を図るため、FMMから金属層と樹脂層とを積層した構造の蒸着マスクであるFHM(ファイン・ハイブリッド・マスク)への変更が検討されている(例えば、特許文献1)。また、熱膨張係数が直交二軸で異なる、異方性を有するポリイミドフィルムと磁性金属を用いた蒸着マスクも提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2015−129333号公報 特開2014−205870号公報
今後、ヘッドマウントディスプレイ等のAR(拡張現実)技術や、VR(バーチャルリアリティ)技術などに有機ELディスプレイを使用していくためには、蒸着マスクの高精細化をさらに進めていく必要がある。しかし、FHMにおいては、金属層と樹脂層との熱膨張係数の違いによって、蒸着による薄膜パターンの精度が低下する傾向がある。また、樹脂層に開口部を形成するためにレーザー加工を行う際に、樹脂層の材質によっては、開口部の加工精度が悪く、この場合も、蒸着による薄膜パターンの精度低下を引き起こす、という問題があった。
従って、本発明は、蒸着による薄膜パターンの高精細化に対応可能な蒸着マスクを作製できる樹脂材料を提供することを目的とする。
本発明の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物は、金属層と、該金属層に積層された単層又は複数層のポリイミド層とを有する蒸着マスクにおける前記ポリイミド層を形成するためのポリアミド酸を含有する。
本発明の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物において、前記ポリアミド酸は、酸無水物成分から誘導される酸無水物残基と、ジアミン成分から誘導されるジアミン残基と、を含有する。
また、本発明の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物は、下記(i)〜(iii)の条件;
(i)下記式(1)で表される構造単位を60モル%以上含有すること;
(ii)前記酸無水物残基の合計100モル部に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(S−BPDA)から誘導されるS−BPDA残基を0モル部から40モル部の範囲で含有し、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるPMDA残基を60モル部から100モル部の範囲で含有すること;
(iii)前記S−BPDA残基とPMDA残基とのモル比(S−BPDA残基/PMDA残基)が0.70以下であること;
を満たすことを特徴とする。
Figure 2019011494
[式(1)中、Xは、下式で示されるものであり、Yは独立に水素、炭素数1〜3の1価の炭化水素基若しくはアルコキシ基又はトリフルオロメチル基を示し、pおよびqは独立して0〜4の整数を示す。]
Figure 2019011494
本発明の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物は、前記ポリアミド酸をイミド化してなるポリイミドのイミド基濃度が36.5重量%以下であってもよい。
本発明の蒸着マスク用積層体は、金属層と、該金属層に積層された単層又は複数層のポリイミド層とを有する蒸着マスク用積層体であって、
前記ポリイミド層を構成するポリイミドは、上記の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物のポリアミド酸をイミド化して形成されることを特徴とする。
本発明の蒸着マスクは、被蒸着体上に一定形状の薄膜パターンを蒸着形成するための蒸着マスクである。
本発明の蒸着マスクは、複数の開口部を有する金属層と、前記開口部の開口範囲内に位置する貫通孔を有して、前記薄膜パターンに対応する開口パターンを備えた単層又は複数層のポリイミド層との積層体を備えている。
本発明の蒸着マスクにおいて、前記ポリイミド層を構成するポリイミドは、上記の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物のポリアミド酸をイミド化して形成されることを特徴とする。
本発明の蒸着マスクの製造方法は、金属層と、該金属層に積層された単層又は複数層のポリイミド層とを有する蒸着マスクの製造方法である。
本発明の蒸着マスクの製造方法は、上記の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物を前記金属層となる金属部材の表面に塗布して塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜を熱処理してポリアミド酸をイミド化することによって、前記ポリイミド層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物を使用することによって、ポリイミド層と金属層とが積層した構造を有し、高精細な薄膜パターンを形成可能な蒸着マスクを製造できる。そのため、例えば有機EL表示装置などの表示装置の生産効率の向上や、更なる高精細化等にも対応できる。
[蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物]
本実施の形態の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物(以下、単に「ポリアミド酸組成物」と記すことがある。)は、ポリアミド酸を含有する組成物であって、金属層と、該金属層に積層されたポリイミド層とを有する蒸着マスクにおいて、ポリイミド層を形成するために使用される。より具体的には、FHMにおけるポリイミド層をキャスト法によって形成するための材料として特に好ましく用いられる。
<ポリアミド酸>
本実施の形態のポリアミド酸組成物に含まれるポリアミド酸は、酸無水物成分から誘導される酸無水物残基と、ジアミン成分から誘導されるジアミン残基と、を含有する。また、このポリアミド酸は、下記(i)〜(iii)の条件;
(i)下記の式(1)で表される構造単位を60モル%以上含有すること;
(ii)酸無水物残基の合計100モル部に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(S−BPDA)から誘導される残基(S−BPDA残基)を0モル部から40モル部の範囲で含有し、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される残基(PMDA残基)を60モル部から100モル部の範囲で含有すること;
(iii)S−BPDA残基とPMDA残基とのモル比(S−BPDA残基/PMDA残基)が0.70以下であること;
を満たすものである。
Figure 2019011494
式(1)中、Xは、下式で示されるものであり、Yは独立に水素、炭素数1〜3の1価の炭化水素基若しくはアルコキシ基又はトリフルオロメチル基を示し、pおよびqは独立して0〜4の整数を示す。
Figure 2019011494
本実施の形態で用いるポリアミド酸は、上記式(1)で表される構造単位(ユニット)を60モル%以上含有する。換言すれば、ポリアミド酸を構成する構造単位100モル部に対して、式(1)で表される構造単位を60モル部以上含み、75モル部以上含むことが好ましい。ここで、「構造単位(ユニット)」とは、1つのジアミン残基と1つの酸無水物残基がアミド結合を介して連結された単位を意味する。式(1)で表される構造単位は、ビフェニル骨格を有する残基を含むことから、ポリイミド層の低吸湿化と低CTE化に寄与する。ポリアミド酸の構造単位100モル部に対して、式(1)で表される構造単位が60モル部未満であると、ポリイミドのイミド基濃度の低減による低吸湿化と面内配向性制御による低CTE化の両立が困難となり、更に樹脂組成中の芳香環の割合が低下するため、エキシマレーザー(308nm)やUV−YAGレーザー(355nm)の透過率が増加し、レーザー加工時の加工形状に悪化が生じやすい。
本実施の形態で用いるポリアミド酸において、式(1)で表される構造単位は、単独重合体中に存在しても、共重合体の構造単位として存在してもよい。構造単位を複数有する共重合体である場合は、ブロック共重合体として存在しても、ランダム共重合体として存在してもよい。置換基の種類によって、式(1)で表される構造単位は複数種類が存在し得るが、1種類であっても2種類以上であってもよい。
(ジアミン残基)
式(1)で表される構造単位は、m−TBに代表されるビフェニル骨格を有するジアミン化合物から誘導される残基を含む。ビフェニル骨格を有するジアミン化合物から誘導される残基は、ポリイミド層の低吸湿化と低CTE化に寄与する。
なお、ジアミン成分として、m−TBに代えてパラフェニレンジアミン(p−PDA)を用いることによって、式(1)の構造単位におけるビフェニル骨格の部分がフェニル骨格に置き換わった構造単位を形成させ、低CTE化を達成することも可能である。しかし、使用するp−PDAの量(モル部)が多いと、ポリアミド酸をイミド化して得られるポリイミドのイミド基濃度が増加し、ポリイミド層の吸湿率の増加や弾性率の増加に繋がる。そのため、p−PDAは、ポリアミド酸をイミド化して得られるポリイミドのイミド基濃度が36.5重量%以下となる範囲の量(モル部)で含有することが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(−(CO)−N−)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。イミド基濃度が36.5重量%を超えると、極性基の増加によって吸湿性が増加し、弾性率が上昇する。
(酸無水物残基)
本実施の形態で用いるポリアミド酸は、そこに含まれる酸無水物残基の合計100モル部に対して、S−BPDA残基を0モル部から40モル部の範囲で含有することが好ましく、0モル部から30モル部の範囲であることがより好ましい。S−BPDA残基が40モル部を超えると、ポリアミド酸樹脂中の芳香環比率が増加するためレーザー加工性は向上するが、低CTE化や低吸湿率化が困難となる。また、S−BPDA残基を30モル部から40モル部の範囲内で含む場合においても、低吸湿率化、低CTE化やレーザー加工性の観点で、S−BPDA以外に使用される酸二無水物成分やジアミン成分として使用する原料モノマーが制限される場合がある。
また、本実施の形態で用いるポリアミド酸は、そこに含まれる酸無水物残基の合計100モル部に対して、PMDA残基を60モル部から100モル部の範囲で含有し、好ましくは、70モル部から100モル部の範囲で含有する。PMDA残基が60モル部未満であると、分子の面内配向性が低下するため低CTE化が困難となる。また、PMDA残基を60モル部から70モル部の範囲内で含む場合においても、低CTE化を制御するために、PMDA以外に使用される酸二無水物成分やジアミン成分として使用する原料モノマーが制限される場合がある。
また、本実施の形態で用いるポリアミド酸を構成する酸無水物成分由来のS−BPDA残基とPMDA残基とのモル比(S−BPDA残基/PMDA残基)が0.70以下であることが好ましい。S−BPDA残基/PMDA残基が0.70を越えると面内配向性の制御が困難となり、低CTE化の達成が困難となる。
ポリアミド酸は、イミド基濃度低減による低吸湿率化の向上や、芳香環比率の増加によるレーザー加工性向上の観点から、式(2)で示される構造単位を10%以上含有していることが好ましい。なお、式(2)の構造単位は、原料モノマーとして、酸無水物成分の合計100モル部に対して、S−BPDAを10モル部以上使用することによって得られる。
Figure 2019011494
式(2)中、Yは独立に水素、炭素数1〜3の1価の炭化水素若しくはアルコキシ基又はトリフルオロメチル基を示し、pおよびqは独立して0〜4の整数を示す。
(原料モノマー)
ジアミン成分:
本実施の形態で用いるポリアミド酸は、2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル(m−TB)に代表されるビフェニル骨格を有するジアミン化合物を、ジアミン成分中の主な原料モノマーとして製造することが好ましい。すなわち、原料モノマーのジアミン成分100モル部に対して、ビフェニル骨格を有するジアミン化合物を、60モル部以上、好ましくは75モル部以上使用することがよい。ここで、ビフェニル骨格を有するジアミン化合物としては、上記のm−TBのほか、4,4’−ジアミノビフェニル(ベンジジン)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)、2,2’−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)などが好ましく例示される。原料のジアミン化合物において、末端の二つのアミノ基における水素原子は置換されていてもよく、例えば−NR(ここで、R,Rは、独立してアルキル基などの任意の置換基を意味する)であってもよい。
なお、ビフェニル骨格を有するジアミン化合物以外に使用可能なジアミン成分としては、一般にポリアミド酸/ポリイミドの原料として使用されているジアミン化合物を挙げることができるが、芳香族ジアミン化合物が好ましい。
酸無水物成分:
本実施の形態で用いるポリアミド酸は、PMDAを必須に含み、さらに必要に応じてS−BPDAを、酸無水物成分中の主な原料モノマーとして製造することが好ましい。すなわち、原料モノマーの酸無水物成分100モル部に対して、PMDAを60モル部から100モル部の範囲、好ましくは70モル部から100モル部の範囲で使用することがよい。
また、原料モノマーの酸無水物成分100モル部に対して、S−BPDAを0モル部から40モル部の範囲、好ましくは0モル部から30モル部の範囲で使用することがよい。また、酸無水物成分中のS−BPDAとPMDAとのモル比(S−BPDA/PMDA)が0.70以下であることがよい。
なお、PMDA及びS−BPDA以外に使用可能な酸無水物成分としては、一般にポリアミド酸/ポリイミドの原料として使用されている酸二無水物から適宜選択することができるが、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
(ポリイミド)
本実施の形態で用いるポリアミド酸は、ポリイミドの前駆体である。蒸着マスクのポリイミド層を構成するポリイミドとしては、熱膨張係数がインバー(Fe−Ni合金)などの金属層を構成する磁性金属に近い低熱膨張性のポリイミドであることが好ましい。具体的には、熱膨張係数(CTE)が−2〜10ppm/Kの範囲内、好ましくは−2〜5ppm/Kの範囲内、より好ましくは0〜2ppm/Kの範囲内の範囲内である低熱膨張性のポリイミドである。このようなポリイミドを蒸着マスクのポリイミド層として適用すると、蒸着マスクに適した低熱膨張性の金属層との間で内部応力が生じにくく、金属層のエッチング後に露出したポリイミド層の寸法のずれを小さくすることができる。従って、金属層とのポリイミド層における開口部の位置精度が保たれるほか、反りも抑制できるので有利である。
上記酸無水物残基及びジアミン残基の種類や、2種以上の酸無水物残基及びジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、ポリイミドの熱膨張係数、引張弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。
ポリイミドの重量平均分子量は、例えば10,000〜400,000の範囲内が好ましく、50,000〜350,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、ポリイミド層の強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際にフィルム厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
(ポリアミド酸・ポリイミドの合成)
一般にポリイミドは、酸無水物成分と、ジアミン成分を溶媒中で反応させ、ポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。ポリアミド酸の溶液の粘度は、500cps〜100,000cpsの範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生し易くなる。ポリアミド酸をイミド化させてポリイミドを合成する方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
<溶媒>
また、本実施の形態のポリアミド酸組成物は、溶媒を含有するワニスの状態で使用することが好ましい。溶媒としては、ポリアミド酸の重合反応に用いる上記例示の有機溶媒を挙げることができる。溶媒は、1種若しくは2種以上併用して使用することもできる。
<任意成分>
本実施の形態のポリアミド酸組成物は、発明の効果を損なわない範囲で、例えば、難燃化剤、充填材などの任意成分を含有することができる。
[蒸着マスクの製造方法]
次に、金属層と、該金属層に積層されたポリイミド層とを有する蒸着マスクを製造する方法について説明する。本実施の形態の蒸着マスクの製造方法は、上記ポリアミド酸組成物を金属層となる金属部材の表面に塗布して塗布膜を形成した後、ポリアミド酸をイミド化することによってポリイミド層を形成する方法(キャスト法)によって行うことが好ましい。蒸着マスクにおける金属層とポリイミド層との接着力は、300N/m以上であることが好ましく、600N/m以上であることがより好ましいが、キャスト法で形成されるポリイミド層は、金属層との接着性が高く剥離しにくいため、熱可塑性樹脂による接着剤層を必要とせずに、十分な接着性を確保できる。また、キャスト法で形成されるポリイミド層は、長手方向(MD方向)と幅方向(TD方向)のポリマー鎖の配向性に差が生じにくくなるため、面内での寸法バラつきが小さい、という長所もある。
以下、キャスト法によってポリイミド層を形成する場合を例に挙げて本実施の形態の蒸着マスクの製造方法について、具体的に説明する。
本実施の形態の蒸着マスクの製造方法は、まず、蒸着マスク用積層体を作製する工程として、以下の工程(1)〜(3)を含むことができる。
工程(1):
工程(1)は、ポリアミド酸組成物を得る工程である。この工程では、まず、上記のとおり、原料のジアミン成分と酸無水物成分を適宜の溶媒中で反応させることにより、上記条件(i)〜(iii)を具備するポリアミド酸を合成する。ポリアミド酸は、溶媒を含む溶液の状態でポリアミド酸組成物として使用される。
工程(2):
工程(2)は、金属層となる金属部材の表面に、工程(1)で得られたポリアミド酸組成物を塗布し、塗布膜を形成する工程である。ここで、金属層となる金属部材の材料については、特に制限はなく、公知の蒸着マスクで用いられるものと同様のものを使用することができる。具体的には、ステンレス、鉄ニッケル合金、アルムニウム合金等が例示される。これらの中でも、鉄ニッケル合金であるインバーは、熱による変形が少ないため好適に使用される。また、被蒸着体に蒸着を行うにあたり、被蒸着体の後方に磁石等を設置し、蒸着マスクを磁力によって引き付ける場合には、金属層が磁性体で形成されることが好ましい。このような磁性体の金属層としては、上記のようなインバーを含む鉄ニッケル合金のほか、炭素鋼、タングステン鋼、クロム鋼、KS鋼、MK鋼、NKS鋼等を利用できる。
金属層の厚みは、特に制限はないが、破断や変形を抑制できるとともに、蒸着シャドウの発生を考慮した厚みにするのがよく、好ましくは2〜100μmである。
塗布膜は、溶液状のポリアミド酸組成物を金属部材の上に直接塗布した後に乾燥することで形成できる。塗布方法は、特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
ポリイミド層を複数層とする場合、異なる構成成分からなるポリアミド酸の層の上に他のポリアミド酸を順次塗布して形成することができる。この場合、少なくとも1層が上記のポリアミド酸組成物であればよい。ポリアミド酸の層が3層以上からなる場合、同一の構成のポリアミド酸を2回以上使用してもよい。また、単層又は複数層のポリアミド酸の層を一旦イミド化して単層又は複数層のポリイミド層とした後に、更にその上にポリアミド酸の層を形成することも可能である。
なお、ポリイミド層が、金属層の面内で2つ以上の領域に分割して積層されるように、ポリアミド酸組成物を分割して塗布してもよい。金属層の面内で、2つ以上の領域に異なる種類のポリイミド層が積層されるようにすることで、蒸着マスクの反りを効果的に抑制することができる。
工程(3):
工程(3)は、塗布膜を熱処理してイミド化し、ポリイミド層を形成する工程である。イミド化の方法は、特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。熱処理により、塗布膜中のポリアミド酸がイミド化し、ポリイミドが形成される。
ポリイミド層の厚みについては特に制限はないが、破断やピンホールの発生を抑制できる厚みにするのがよく、蒸着シャドウの発生を考慮した厚みにするのがよい。好ましくは2〜25μmである。
以上のようにして、ポリイミド層(単層又は複数層)と金属層とを有する蒸着マスク用積層体(開口部を有しない状態のもの)を製造することができる。そして、本実施の形態の蒸着マスクの製造方法は、上記(1)〜(3)の工程に加え、さらに、以下の工程(4)及び工程(5)を含むことができる。
工程(4):
工程(4)は、蒸着マスク用積層体の金属層を加工して複数の開口部を形成する工程である。本工程では、金属層に、所定形状をなす複数の開口パターンを形成する。例えば、フォトリソグラフィー技術を利用して、金属層の表面に感光性レジストを塗布し、所定の箇所を露光し、現像後、エッチングすることにより開口部を形成してもよいし、レーザー照射により開口部を形成してもよい。
工程(5):
工程(5)は、蒸着マスク用積層体のポリイミド層に開口部を形成することによって蒸着マスクを得る工程である。本工程では、工程(4)で形成した金属層の開口部の開口範囲内に対応させて、ポリイミド層に複数の貫通開口パターンを加工する。この貫通開口パターンは、被蒸着体上に蒸着形成される薄膜パターンに対応する。
ポリイミド層に貫通孔を設けて開口パターンを形成する方法については特に制限されず、例えば、ポリイミド層の表面に感光性レジストを塗布し、所定の箇所を露光し、現像後、エッチングにより貫通孔を形成する方法、レーザーを照射して貫通孔を形成する方法、メカニカルドリルで貫通孔を形成する方法等を挙げることができる。精度や生産性等の観点から、レーザー照射が好ましい。レーザー照射により、薄膜パターンに対応した開口パターンを形成する場合、レーザーの波長でのポリイミド層の透過率が高いと良好な開口パターン形状を得られないことがある。そのため、レーザーの波長でのポリイミド層の光透過率は50%以下であるのがよく、好ましくは10%以下、より好ましくは0%であるのがよい。ここで、レーザー照射によりポリイミド層に貫通孔を設けて開口パターンを形成するのに用いられるレーザーとしては、例えば、UV−YAGレーザー(波長355nm)、エキシマレーザー(波長308nm)等を用いることが可能であり、これらの中でも、UV−YAGレーザー(波長355nm)が好ましい。
以上のようにして、ポリイミド層(単層又は複数層)と金属層とを有する蒸着マスクを製造することができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[粘度の測定]
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[ポリイミド層の開口パターン形成性]
UV−YAGレーザー加工機(波長355nm)を用いて、ポリイミド層を貫通させるように径50μmとなるように開口形成を行い、良好な加工形状が形成された状態を○(良好)、狙い加工径との差が±5μm以上、または、加工穴壁に凹凸が見られた状態を×(不良)と評価した。
[透過率]
分光光度計にて、300〜800nm各波長の透過率を測定した。355nm、308nmの各々の波長の透過率を実施例に記載する。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×15mmのサイズのポリイミド層を、熱機械分析(TMA:装置名TMA/SS6100)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(10℃/min)で30℃から280℃の温度範囲で昇温・降温させて引張り試験を行い、100℃から30℃への温度変化に対するポリイミド層の伸び量の変化から熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
[5%加熱重量減少率(Td)の測定]
ポリイミド層を示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツル株式会社製TG−DTA6200)にて、昇温速度(50℃/min)で30℃から550℃の温度範囲窒素雰囲気フロー下(200ml/min)で昇温を行い、加熱温度150℃の重量減少率を0%とした際、5%重量が減少した温度を5%加熱重量減少率(Td)とした。
[イミド基濃度の測定]
ポリアミド酸を加熱処理しイミド化することにより得られたポリイミド中のイミド基部(−(CO)−N−)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。
実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
S−BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
6FDA:4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
CBDA:シクロブタン−1,2, 3,4−テトラカルボン酸二無水物
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE−R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
TPE−Q:1,4-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
TFMB:4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
p−PDA:パラフェニレンジアミン
4,4’−DAPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
(実施例1)
窒素気流下で、反応槽に、534.110重量部のm−TB(2.516モル部)及び245.162重量部のTPE−Q(0.839モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、720.728重量部のPMDA(3.304モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液1(イミド化後のイミド基濃度33.8重量%)を調製した。ポリアミド酸溶液1の溶液粘度は29,400cpsであった。
次に、厚さ100μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミド/インバー積層体1を得た。得られたポリイミド/インバー積層体1について、塩化第二鉄水溶液を用いてインバー箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルム1を作製した。その際のフィルム物性は、CTE;5.6ppm/K、Tg;400℃以上、Td;>500℃であり、透過率は308nm:0.0%、355nm:0.0%あった。また、開口パターン形成性は、〇(良好)であった。
(実施例2)
窒素気流下で、反応槽に、614.708重量部のm−TB(2.896モル部)及び102.321重量部の4,4’−DAPE(0.511モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、585.521重量部のPMDA(2.684モル部)及び197.451重量部のS−BPDA(0.671モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液2を調製した。ポリアミド酸溶液2(イミド化後のイミド基濃度34.3重量%)の溶液粘度は27,100cpsであった。
次に、厚さ100μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液2を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミド/インバー積層体2を得た。得られたポリイミド/インバー積層体2について、塩化第二鉄水溶液を用いてインバー箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルム2を作製した。その際のフィルム物性は、CTE;4.1ppm/K、Tg;398℃、Td;>500℃であり、透過率は308nm:0.0%、355nm:0.0%あった。また、開口パターン形成性は、〇(良好)であった。
(実施例3)
窒素気流下で、反応槽に、656.035重量部のm−TB(3.090モル部)及び47.546重量部のTPE−R(0.163モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に419.331重量部のPMDA(1.922モル部)及び377.088重量部のS−BPDA(1.282モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液3を調製した。ポリアミド酸溶液3(イミド化後のイミド基濃度32.6重量%)の溶液粘度は31,100cpsであった。
次に、厚さ100μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液3を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミド/インバー積層体3を得た。得られたポリイミド/インバー積層体3について、塩化第二鉄水溶液を用いてインバー箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルム3を作製した。その際のフィルム物性は、CTE;5.1ppm/K、Tg;327℃、Td;>500℃であり、透過率は308nm:0.0%、355nm:0.0%あった。また、開口パターン形成性は、〇(良好)であった。
(実施例4)
窒素気流下で、反応槽に、519.223重量部のm−TB(2.446モル部)及び102.141重量部のTPE−R(0.349モル部)、75.569重量部のp−PDA(0.699モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に600.549重量部のPMDA(2.753モル部)及び202.519重量部のS−BPDA(0.688モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液4(イミド化後のイミド基濃度35.3重量%)を調製した。ポリアミド酸溶液4の溶液粘度は40,200cpsであった。
次に、厚さ100μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液4を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミド/インバー積層体4を得た。得られたポリイミド/インバー積層体4について、塩化第二鉄水溶液を用いてインバー箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルム4を作製した。その際のフィルム物性は、CTE;1.9ppm/K、Tg;400℃以上、Td;>500℃であり、透過率は308nm:0.0%、355nm:0.0%あった。また、開口パターン形成性は、〇(良好)であった。
(実施例5)
窒素気流下で、反応槽に、678.080重量部のm−TB(3.194モル部)及び49.144重量部のTPE−R(0.168モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に577.896重量部のPMDA(2.649モル部)及び194.880重量部のS−BPDA(0.662モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液5を調製した。ポリアミド酸溶液5(イミド化後のイミド基濃度33.8重量%)の溶液粘度は29,800cpsであった。
次に、厚さ100μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液5を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミド/インバー積層体5を得た。得られたポリイミド/インバー積層体5について、塩化第二鉄水溶液を用いてインバー箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルム5を作製した。その際のフィルム物性は、CTE;1.1ppm/K、Tg;400℃以上、Td;>500℃であり、透過率は308nm:0.0%、355nm:0.0%あった。また、開口パターン形成性は、〇(良好)であった。
(比較例1)
窒素気流下で、反応槽に、967.268重量部のBAPP(2.356モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に430.303重量部のPMDA(1.973モル部)及び102.429重量部のS−BPDA(0.348モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液6を調製した。ポリアミド酸溶液6(イミド化後のイミド基濃度23.2重量%)の溶液粘度は12,800cpsであった。
次に、厚さ100μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液6を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミド/インバー積層体6を得た。得られたポリイミド/インバー積層体6について、塩化第二鉄水溶液を用いてインバー箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルム6を作製した。その際のフィルム物性は、CTE;51.2ppm/K、Tg;304℃、Td;>500℃であり、透過率は308nm:0.0%、355nm:0.0%あった。また、開口パターン形成性は、〇(良好)であった。
(比較例2)
窒素気流下で、反応槽に633.862重量部のTFMB(1.979モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に866.138重量部の6FDA(1.950モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液7(イミド化後のイミド基濃度19.2重量%)を調製した。ポリアミド酸溶液7の溶液粘度は26,900cpsであった。
次に、厚さ100μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液7を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミド/インバー積層体7を得た。得られたポリイミド/インバー積層体7について、塩化第二鉄水溶液を用いてインバー箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルム7を作製した。その際のフィルム物性は、CTE;60.1ppm/K、Tg;335℃、Td;>500℃であり、透過率は308nm:0.1%、355nm:19.0%あった。また、開口パターン形成性は、〇(良好)であった。
(比較例3)
窒素気流下で、反応槽に、935.637重量部のTFMB(2.922モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に564.364重量部のCBDA(2.878モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液8(イミド化後のイミド基濃度29.1重量%)を調製した。ポリアミド酸溶液8の溶液粘度は22,600cpsであった。
次に、厚さ100μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液8を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミド/インバー積層体8を得た。得られたポリイミド/インバー積層体8について、塩化第二鉄水溶液を用いてインバー箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルム8を作製した。その際のフィルム物性は、CTE;20.1ppm/K、Tg;380℃、Td;<500℃であり、透過率は308nm:19.0%、355nm:84.0%あった。また、開口パターン形成性は、×(不良)であった。
(比較例4)
窒素気流下で、反応槽に、931.700重量部のTFMB(2.909モル部)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に62.510重量部のPMDA(0.287モル部)及び505.790重量部のCBDA(2.579モル部)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液9を調製した。ポリアミド酸溶液9(イミド化後のイミド基濃度29.0重量%)の溶液粘度は17,100cpsであった。
次に、厚さ100μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液9を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結し、ポリイミド/インバー積層体9を得た。得られたポリイミド/インバー積層体9について、塩化第二鉄水溶液を用いてインバー箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルム9を作製した。その際のフィルム物性は、CTE;23.2ppm/K、Tg;385℃、Td;<500℃であり、透過率は308nm:0.1%、355nm:46.3%あった。また、開口パターン形成性は、〇(良好)であった。
以上の結果を、表1及び表2にまとめて示す。
Figure 2019011494
Figure 2019011494
以上のように、本実施の形態のポリアミド酸組成物を使用することによって、ポリイミド層と金属層とが積層した構造を有し、高精細な薄膜パターンを形成可能な蒸着マスクを製造できる。そのため、例えば有機EL表示装置などの表示装置の生産効率の向上や、更なる高精細化等にも対応できる。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。

Claims (5)

  1. 金属層と、該金属層に積層された単層又は複数層のポリイミド層とを有する蒸着マスクにおける前記ポリイミド層を形成するためのポリアミド酸を含有する蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物であって、
    前記ポリアミド酸は、酸無水物成分から誘導される酸無水物残基と、ジアミン成分から誘導されるジアミン残基と、を含有するとともに、下記(i)〜(iii)の条件;
    (i)下記式(1)で表される構造単位を60モル%以上含有すること;
    (ii)前記酸無水物残基の合計100モル部に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(S−BPDA)から誘導されるS−BPDA残基を0モル部から40モル部の範囲で含有し、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるPMDA残基を60モル部から100モル部の範囲で含有すること;
    (iii)前記S−BPDA残基とPMDA残基とのモル比(S−BPDA残基/PMDA残基)が0.70以下であること;
    を満たすことを特徴とする蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物。
    Figure 2019011494
    [式(1)中、Xは、下式で示されるものであり、Yは独立に水素、炭素数1〜3の1価の炭化水素基若しくはアルコキシ基又はトリフルオロメチル基を示し、pおよびqは独立して0〜4の整数を示す。]
    Figure 2019011494
  2. 前記ポリアミド酸をイミド化してなるポリイミドのイミド基濃度が36.5重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物。
  3. 金属層と、該金属層に積層された単層又は複数層のポリイミド層とを有する蒸着マスク用積層体であって、
    前記ポリイミド層を構成するポリイミドは、請求項1又は2に記載の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物のポリアミド酸をイミド化して形成されることを特徴とする蒸着マスク用積層体。
  4. 被蒸着体上に一定形状の薄膜パターンを蒸着形成するための蒸着マスクであって、
    複数の開口部を有する金属層と、前記開口部の開口範囲内に位置する貫通孔を有して、前記薄膜パターンに対応する開口パターンを備えた単層又は複数層のポリイミド層との積層体を備え、
    前記ポリイミド層を構成するポリイミドは、請求項1又は2に記載の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物のポリアミド酸をイミド化して形成されることを特徴とする蒸着マスク。
  5. 金属層と、該金属層に積層された単層又は複数層のポリイミド層とを有する蒸着マスクの製造方法であって、
    請求項1又は2に記載の蒸着マスク形成用ポリアミド酸組成物を前記金属層となる金属部材の表面に塗布して塗布膜を形成する工程と、
    前記塗布膜を熱処理してポリアミド酸をイミド化することによって、前記ポリイミド層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする蒸着マスクの製造方法。


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