JP2019010273A - コーティング体および調理具 - Google Patents

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Abstract

【課題】調理時の熱分解による離形性の劣化や剥がれを抑制し、耐久性を向上させるコーティング体を提供する。
【解決手段】コーティング体10は、基材3と、被覆層4とを有し、被覆層4は、セラミック中空体5を含有している。被覆層は、基材上に接合されセラミック中空体を含有した第1層と、第1層上に積層され実質的にセラミック中空体を含有しない第2層と、を備える。
【選択図】図1

Description

本開示は、コーティング体およびこのコーティング体を適用したフライパン等の調理具に関する。
従来、家庭や料理店などにおいて、食材を加熱調理するための調理具の一つとして、フライパンが使用されている(例えば、特許文献1参照)。一般的なフライパンは、鋼、アルミニウム合金などの金属材料からなり、円形状、楕円形状(魚焼き器用)、正方形状、長方形状(卵焼き器用)などの平板状の底部の周囲を側壁部が囲む容器状に構成されている。
このような金属材料からなる調理具において、食材が調理具に付着したり、焦げ付いたりすることを低減するために、金属材料からなる底部の表面にコーティング膜(コーティング体)を形成することが知られている。
特開2012−200298号公報
本開示のコーティング体は、基材と、シロキサン結合を有する樹脂またはフッ素系樹脂からなり前記基材の少なくとも一部を被覆した被覆層とを有し、前記被覆層は、セラミック中空体を含有している。
本開示の一実施形態に係るコーティング体を示す概略拡大断面図である。 本開示の他の実施形態に係るコーティング体を示す概略拡大断面図である。 (a)は実施例に示すコーティング体の断面形状の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(100倍)であり、(b)は(a)の拡大写真(500倍)である。
上記調理具に用いられるコーティング体は、調理時に、調理した食材が調理面の表面に張り付いて剥がしにくくなることを抑制することが課題の一つとなっている。また、調理時の熱分解による離形性の劣化やコーティング体の剥がれを抑制し、耐久性を向上させることも課題となっている。
被覆層に含まれるシロキサン結合を有する樹脂は、コーティング体として調理具に使用した場合、調理面への食材のくっつきを抑制し高い離型性を有する。しかしながら、温度が過度に上昇すると熱分解(劣化)が生じ、基材の表面から比較的剥がれ易くなるといった課題を有する。
これに対して、本開示の一実施形態に係るコーティング体では、セラミック中空体を、シロキサン結合を主成分とする樹脂からなる被覆層に含有させているので、基材から被覆層への熱伝導を抑制することができる。これにより、被覆層が熱分解して基材の表面から剥がれてしまうことを抑制し、被覆層の耐久性を向上させることができる。被覆層にはセラミック顔料を含有させてもよい。
本開示の一実施形態に係るコーティング体を図1に基づいて説明する。なお、図1は模式的なものであり、図面上の寸法比率などは現実のものとは必ずしも一致していない。
図1に示すコーティング体10は、金属材料を主成分とする基材3と、この基材3の表面の少なくとも一部を被覆した被覆層4とを含む。
基材3を構成する金属材料としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、金またはこれらを主成分とする合金などを用いることができる。基材3の厚みは、用途によって適宜設定すればよく、例えば後述する調理具の場合、1mm以上20mm以下となるように設定することができる。
被覆層4は、シロキサン結合を有するシリコーン系樹脂層である。この被覆層4は、前駆体である無機塗料を用いて、任意の各種コーティング方法で基材3の表面上に形成することができる。また、基材3との密着力を上げる場合は、基材3の金属面をブラストなどで粗くすることが効果的である。また、被覆層4はセラミック顔料を含んでもよい
シロキサン結合を有するシリコーン系樹脂は、有機アルコキシシランに重縮合反応を行わせて生成される。
有機アルコキシシランは、一般式R1Si(OR23(R1は炭素数1〜8の有機基、R2は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)に代表されるもので、この有機アルコキシシランを加水分解し生成された加水分解物および部分縮合物が使用される。有機アルコキシシランは酸触媒の存在下で加水分解反応が生じ加水分解物を生成し、連続的に重縮合反応が生じ部分縮合物が得られる。
前記一般式において、R1で表される炭素数1〜8の炭素を有する有機基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基、それ以外のγ−クロロプロピル基、ビニル基、3.3.3−トリフルオロプロピル基、γ−グリシドプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−メカプトプロピル基、フェニル基、3.4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−アミノプロピル基等が挙げられる。
また、R2で表される炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
このような有機アルコキシシランの具体的な例として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3.3.3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メカプトプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3.4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等があげられ、有機アルコキシシランは1種または2種以上を併用し使用する。また、これらにシリコンオイルを含浸させてもよい。
被覆層4は、シロキサン結合を有する樹脂に代えて、フッ素系樹脂から形成されるものであってもよい。フッ素系樹脂を用いた場合にも、高い離形性が得られる。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライト(PVDF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ化ポリプロピレン(FLPP)などを用いることができる。フッ素系樹脂膜としては、これらの材料を1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を混ぜて使ってもよい。
また、フッ素系樹脂には、バインダー成分として、ポリアミドイミド、ポリフェニルスルフィドまたはポリエーテルスルホンなどを含有させてもよい。フッ素系樹脂膜は、これらのバインダー成分を有することにより、フッ素系樹脂膜の特性を向上させるだけでなく、後述するセラミック中空体5をフッ素系樹脂膜に定着させやすくなる。
被覆層4は、セラミック中空体5を含有する。このセラミック中空体5は、内部に空間を備えている。セラミック中空体5としては、例えば、アルミナを主成分とする外殻体を備える、アルミナバブル、ホウケイ酸ソーダを主成分とするガラスマイクロバルーン、シラスを原料とするシラスバルーン、フライアッシュを原料とするセノスフェア、頁岩を原料とするカマナイト、黒曜石を原料とするフヨーライト、火山岩を原料とするダイヤバルーン、水溶性金属塩を原料とする無機質マイクロカプセル、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲルなどが挙げられる。
セラミック中空体5を含有することにより、被覆層4は、基材3からの熱伝導を抑制して、過度の温度上昇を抑制することができる。また、被覆層4にホウケイ酸ソーダを主成分とするガラスマイクロバルーンを含有させると、被覆層4の硬度が高くなり変形し難くなるので、傷や剥がれに対して耐久性(強度)が向上する。本実施形態では、セラミック中空体5は、ホウケイ酸ソーダを主成分とするガラスマイクロバルーンからなり、コーティング体10は、被覆層4の硬度が比較的高く変形し難く、耐久性(強度)が比較的高い。
セラミック中空体5の形状は、粒子内部に空間があれば特に制限されず、多角形状のもの、球体形状のものなどを用いることができる。セラミック中空体5は結晶状のもの、または多孔質状のものを用いることができる。このセラミック中空体5の粒径(平均粒径)は0.1μm以上、好ましくは5μm以上であり、かつ50μm以下、好ましくは10〜30μm以下であるのがよい。セラミック中空体5が球形状の場合、被覆層4に圧力が加わった際も、セラミック中空体5に局所的な圧力がかかることが抑制され、セラミック中空体5の損傷ひいては被覆層4の損傷が抑制される点で好ましい。
被覆層4の総量に対するセラミック中空体5の含有割合は、固形分総量当り0.25質量%以上、好ましくは0.5質量%以上で、かつ2.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下であるのがよい。なお、セラミック中空体5は、被覆層4の表面の形状に特に大きな影響を与えない大きさや含有割合であるのがよく、特にセラミック中空体5は被覆層4の膜厚より小さい粒径を有するのがよい。
被覆層4の形成方法としては、例えば、セラミック中空体5を、シロキサン結合を含む樹脂またはフッ素系樹脂を含む溶剤に分散させて塗料を得、この塗料を基材3に塗布する方法等がある。塗布は、必ずしも基材3の全面である必要はなく、例えば調理具の場合は、基材3の調理領域に塗布すればよい。具体的な塗布方法としては、例えば、スプレー法、粉体塗布法、刷毛塗り法、浸漬法などを用いることができる。被覆層4の厚さは、10μm以上、好ましくは15μm以上であり、かつ70μm以下、好ましくは60μm以下であるのがよい。
被覆層4には、アルミナ、シリカ、チタニア(二酸化チタン)、酸化鉄、マイカ等のセラミック顔料などの無機粒子(図示せず)が含まれていてもよい。この無機粒子の粒径は、0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上であり、かつ10μm以下、好ましくは5μm以下であるのがよい。
次に、図2に基づいて本開示の他の実施形態に係るコーティング体11を説明する。なお、図1に示すコーティング体10と同じ部材には、同符号を付して説明は省略する。
図2に示すコーティング体11は、金属材料を主成分とする基材3と、この基材3の表面の少なくとも一部を被覆した被覆層40とを含む。この被覆層40は、被覆層4と同じく、シロキサン結合を有するシリコーン系樹脂層またはフッ素系樹脂層であり、基材3上に接合された第1層1と、第1層1上に積層された第2層2とを備える。第1層1と第2層2とは、同一又は相異なる樹脂材料である。
第1層1にはセラミック中空体5が含有される。第1層1の厚さは、10μm以上、好ましくは15μm以上であり、かつ70μm以下、好ましくは60μm以下であるのがよい。さらに、第1層1には前記した無機粒子が含まれていてもよい。
第1層1の厚さは、セラミック中空体5を含有するために第2層2の厚さよりも大きいのがよい。第1層1の厚さは、第2層の2の厚さの2倍以上、好ましくは6倍以上であり、かつ19倍以下、好ましくは8倍以下であるのがよい。
第1層1の総量に対するセラミック中空体5の含有割合は、1.0質量%以上、好ましくは2.0質量%以上で、かつ10質量%以下、好ましくは5.0質量%以下であるのがよい。
第1層1に含有されるセラミック中空体5は、前記したように、粒子内部に空間を保有するものである。このセラミック中空体5の粒径は、被覆層40の表面(第2層2の表面)の形状に特に大きな影響を与えないために、第1層1の厚さ(膜厚)よりも小さい粒径を有するのがよい。
第1層1にセラミック中空体5を含有させると、第1層1の硬度が高くなり変形し難くなる。これにより、第1層1の破損や変形に起因した、基材3の表面からの第1層1の剥がれを抑制することができる。
第1層1の表面には、第2層2が積層される。第2層2の厚さは、1μm以上、好ましくは5μm以上であり、かつ20μm以下、好ましくは15μm以下であるのがよい。
この第2層2にはセラミック中空体5が実質的に含有されない。ここで、実質的に含有されないとは、セラミック中空体5が第2層2に微量含まれていてもよいことを指す。具体的には、第2層2の総量に対するセラミック中空体5の含有割合は、第1層1におけるセラミック中空体5の含有割合を質量比で100とすると、10以下、好ましくは5以下であるのがよい(ただし、2を下回らないのがよい)。なお、第2層2には、表面の装飾用にマイカ(雲母)などが含まれていてもよい。
このように、第1層1の表面に、セラミック中空体5を含有しない第2層2を設けることにより、第1層1単体の場合よりもさらに表面が平滑となり離形性能を向上させるという効果がある。
第2層2を形成するには、第1層1の形成方法と同様に、各種の塗布手段を用いることができる。このとき、塗布後の乾燥工程および焼成工程を第1層1と同時に行うことにより、第2セラミック粒子の少なくとも一部を第1層と第2層に跨って存在させることができる。
第1層1および第2層2からなる被覆層40を基材3上に形成する方法は、特定の方法に限定されず、当業者が通常用いる方法であればよく、前記した被覆層4と同様でもよい。本実施形態では、第1層1を形成するためのシロキサン結合を有する樹脂塗料を基材3の表面に塗布した後、乾燥させることなく後述する第2層2を形成するための樹脂塗料を塗布し、最後に全体を乾燥することで第1層1および第2層2をそれぞれ形成する。なお、第1層1の乾燥および焼成後に第2層2を塗布し、乾燥および焼成を行ってもよい。また、樹脂塗料の塗布は、必ずしも基材3の全面である必要はない。なお、セラミック中空体5は予め樹脂塗料に混合していてもよい。
また、第1層1には、セラミック中空体5の他、アルミナ、チタニア(二酸化チタン)、酸化鉄等のセラミック顔料等の無機粒子が含まれていてもよい。第2層2には、装飾を目的としてマイカが含まれていてもよい。これらの無機粒子の粒径は、前記した被覆層4に含有させてもよい無機粒子と同じでよい。
さらに、第1層1と第2層2との間には、図示しない中間層を介在させてもよい。中間層は、第1層1および第2層2と同様な樹脂材料で形成することができる。中間層は、セラミック中空体5を含有してもよく、あるいは含有しなくてもよい。
上記したコーティング体10、11は、例えばフライパンなどの調理具の少なくとも一部に備え、コーティング体10(被覆層4または第2層2)の表面を調理面として好適に使用される。
<調理具>
本実施形態に係る調理具は、例えばフライパン、ホットプレート、たこ焼きプレート、卵焼き器、鍋、ブレッド用プレート、またはグリル鍋などの金属材料を基材とする用具である。これらは、食材を加熱調理するためなどに用いられる。食材としては、例えば、肉、魚、野菜、穀物、スープ、牛乳、卵、油脂などがある。食材の状態としては、固形物であってもよいし、流体物であってもよい。また、食材としては、自然食材であってもよいし、加工食材であってもよい。
上記の調理具は、例えばフライパンのように、概ね深さが浅い容器によって構成されている。調理具は、平面視形状が、概ね円形状、多角形状またはこれらを組み合わせた形状によって構成されている。平面視形状において、調理具の幅は適宜用途によって設定すればよい。汎用用途の調理具であれば、直径または最大幅を例えば15cm以上40cm以下に設定することができる。調理具の深さについても、適宜用途によって設定すればよく、例えば3cm以上15cm以下に設定することができる。
調理具は、通常、円形状や多角形状の底部と、底部の外周を囲む側壁部とによって構成されている。側壁部は、底部に対して上方に傾斜するように配置されている。底部および側壁部は一体成形されてもよいし、別々に作った部品を接合してもよい。
調理具の側壁部には、棒状の柄部が取り付けられている。柄部は、調理具に必ず取り付けられている必要はなく、例えば、着脱可能となっていてもよい。調理具は、柄部を有することによって、加熱調理の際に容易かつ安全に調理具を操作できるようになる。
本実施形態の調理具の調理領域は、基材3の一方主面が被加熱面であり、他方の主面が調理面となっている。被加熱面は、ガスコンロ、電気コンロ、電磁(IH)調理器などによって熱が加えられる領域である。調理面は、被加熱面に加えられた熱が伝導し、調理面上に位置する食材が加熱される領域である。被加熱面には、外部からの熱伝導を高め、調理具の変形を低減する金属材料などが取り付けられていてもよい。取り付けられる金属材料としては、上記した基材3とは異なる材料を用いることができる。異なる材料について限定はなく、熱伝導率が比較的高い種々の金属材料、またはヤング率が比較的高い種々の金属材料を用いてもよい。
上記した本実施形態のコーティング体10,11は、調理具の少なくとも一部に適用される。本実施形態のコーティング体10,11は、被覆層4,40にセラミック中空体5を含有しているので、シロキサン結合を有する樹脂からなる被覆層4への熱伝導を抑制して、基材3の表面からの被覆層4、40の剥がれを抑制し、耐久性を向上させることができる。さらに、調理時にターナーなどの調理器具の比較的尖った先端が当たって被覆層4、40が磨耗するのを抑制することができる。このようなことから、本実施形態のコーティング体10,11は、長期間にわたって高い離型性を維持することができる。
以下、実施例を挙げて本開示を詳細に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例)
以下の手順で図3(a)および(b)に示すコーティング体11を形成し、これを調理面の表面に用いた調理具(フライパン)を作成した。
まず、基材3として少なくとも表面(調理面)の一部がアルミニウムからなるフライパンを準備した。次に、基材3の表面にセラミック中空体5として、粒径が16μmのグラスバブルズ((株)3M製)を混合した、シロキサン結合を有するシリコーン系樹脂塗料を塗布し、乾燥および焼成して被覆層(第1層1)を形成した。シロキサン結合を有するシリコーン系樹脂塗料としては、シランカップリング剤で加水分解させたシリコーン系樹脂を用いた。次に、第1層1の上面に、シロキサン結合を有する第1層1と同じ樹脂塗料を塗布し、乾燥および焼成して別の被覆層(第2層2)を形成し、調理面が、第1層1および第2層2からなる被覆層40のコーティング体11にて被覆されたフライパンを得た。得られたコーティング体は、第1層1の厚さが40μm、第2層2の厚さが5μmであった。なお、第1層1の総量に対するセラミック中空体5の含有割合は0.2質量%、第2層2の総量に対するセラミック中空体5の含有割合は0質量%であった。
(比較例)
セラミック中空体を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてコーティング体を形成し、これを調理面の表面に用いたフライパンを得た。得られたコーティング体は、厚さが45μmであった。
(評価試験)
実施例および比較例で得たそれぞれのフライパンを使用して、以下の手順で空焚き非粘着評価試験を行った。
(i)まず、水200mlと中性洗剤1gを混合した洗剤水で、フライパンを洗浄した。
(ii)次に、加熱して空焚きを行い300℃±5℃までフライパン表面の温度を上げた。300℃±5℃までの温度を30分間維持した。
(iii)次に、火を消し、フライパン表面の温度を80℃以下に冷ました。
(iv)次に、冷ましたフライパンを加熱して、調理面の温度を180〜190℃に維持した後、卵1個を用いて、油を使用せずに100秒間加熱して目玉焼きを調理した。なお、調理中の100秒間は温度調節を行わなかった。
(v)(iv)の工程を10回繰り返し、10個の目玉焼きを調理した。その後、フライパンを常温(25℃)まで冷ました。(これを1回目の調理とする)
上記(i)〜(v)の工程を繰り返し、テストを行なった。このテストは、フライパン上に目玉焼きが付着する状態が2回発生するまで行った。
その結果、比較例では63回目の調理で目玉焼きが調理具(調理面)にくっついたのに対して、実施例では72回目の調理までくっつきを抑えることができた。
このことから、セラミック中空体5を含有するシリコーン系樹脂からなる被覆層40を有するコーティング体11を調理面とした実施例のフライパンは、比較例のフライパンに比べて、目玉焼きのくっつきを長期間にわたって抑制する高い離型性および耐久性を有することがわかった。これは、セラミック中空体5を被覆層40に含有させて、被覆層40への熱伝導を抑制したことにより、過度の温度上昇により熱分解(劣化)しやすい被覆層40の変形や破損を抑制したことによる。その結果、基材3の表面から被覆層40の剥がれを抑制して離形性の劣化を防止し、耐久性を向上させたものと考えられる。一方、比較例に示す従来のコーティング体を調理面としたフライパンでは、セラミック中空体を含有しないため、被覆層が過熱して被覆層が熱分解(劣化)した状態となり、それに加えてターナー(フライ返し)などにより被覆層に傷や剥がれが生じ、コーティング体の劣化が早く進み、実施例より早くくっつきが生じたものと考えられる。
この結果から、本実施形態に係るコーティング体およびこれを適用した調理具は、長期間にわたって高い離型性を維持することがわかる。
1 第1層
2 第2層
3 基材
4、40 被覆層
5 セラミック中空体
10、11 コーティング体

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一部を被覆した被覆層とを有し、前記被覆層はセラミック中空体を含有しているコーティング体。
  2. 前記被覆層は、シロキサン結合を有する樹脂またはフッ素系樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のコーティング体。
  3. 前記被覆層は、シロキサン結合を有する樹脂からなることを特徴とする請求項2記載のコーティング体。
  4. 前記セラミック中空体は、ホウケイ酸ソーダを主成分とする外殻体を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング体。
  5. 前記セラミック中空体は、球形状であることを特徴とする請求項4記載のコーティング体。
  6. 前記被覆層は、前記基材上に接合され前記セラミック中空体を含有した第1層と、前記第1層上に積層され実質的に前記セラミック中空体を含有しない第2層と、を備える請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング体。
  7. 前記第1層の厚さが、前記第2層の厚さよりも大きい請求項6に記載のコーティング体。
  8. 前記セラミック中空体は、前記第1層の膜厚よりも小さい粒径を有する請求項6または7に記載のコーティング体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のコーティング体を少なくとも一部に備え、前記コーティング体の表面を調理面とした調理具。
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