JP2019009438A - 赤外線発光ダイオード - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の裏面から光を取り出す赤外線発光ダイオードとして、発光効率及び発光強度の向上が期待できるものを提供する。【解決手段】赤外線発光ダイオード1は、半導体基板2、半導体基板2の一面21上に形成された半導体積層部3、金属層5を備える。半導体積層部3は、一面21側から第一導電型半導体層、活性層、及び第二導電型半導体層をこの順に有し、各層はインジウムおよびアンチモンの少なくとも一方を含む。半導体積層部3は、一面21から突出する第一メサ部301と第一メサ部から突出する第二メサ部302とを有し、第一メサ部301と第二メサ部302との境界が活性層よりも半導体基板2側に存在する。平面視における半導体基板2の外形面積に対する第二メサ部302の底面積の比率は0.21以上0.8以下である。活性層で発生した光の金属層5での反射率は0.60以上1.00以下である。半導体基板2の裏面22が光取り出し面である。【選択図】図1

Description

本発明は赤外線発光ダイオードに関する。
発光ダイオード(LED)は、可視光域の照明や近赤外域の通信用途など広く活用されている。一方で、近赤外域よりも長波長側の領域では、利用用途が限られることから、タングステンランプ光源等の既存光源が利用され、LED光源の開発は積極的には進められてこなかった。
しかしながら、近年、中赤外の波長領域、特に波長が2.0μmから12μm程度の波長領域が注目されている。つまり、この波長領域はCO2や炭化水素などの気体分子による光吸収が見られる波長域であるため、LED光源、赤外線センサ、及び所望の波長帯のみを透過する光学フィルタを組み合わせ、吸収量を検出することで気体分子の濃度を計測する、低消費電力の非分散型ガスセンサとしての応用が期待されている。
中でも発光ダイオードは、既存光源であるランプには不可能な、例えば1ミリ秒以下の高速駆動が可能であり、ガスセンサの低消費電力化への寄与が大きい。更に、これまでは、ガスセンサとしての高い精度を得るために発光強度の向上に主眼が置かれてきたが、近年、より消費電力を下げるために、低電流で動作する高効率の発光ダイオードが求められてきており、少しでも発光効率を上げることもまた重要な課題である。
このような発光ダイオードは、例えば導電性基板上に形成されたpn接合を用いて、縦方向(基板の厚さ方向)に電流を注入することで使用される。また、パッケージには、可視光・近赤外光で利用されるような砲弾型のエポキシ樹脂に封入する方法や、缶パッケージ、或いはセラミックパッケージが用いられる。
この場合、pn接合部で発生した光を外部に効果的に取り出すためには、外部から見た発光表面を広くする必要がある。そのため、一般に、半導体チップを上面視した時の電極の被覆率を小さくし、更に活性層の面積の占める比率を大きくする設計が取られる。これにより、活性層で発生した光は、直接、或いは基板内での反射を繰り返した後に半導体表面から取り出される。
しかしながら、高い導電性を有する基板を用いた場合、中赤外光の波長域における自由キャリア吸収が大きいことにより、発光が効率的に取り出せない問題がある。これを避けるための一つの方法として半絶縁性の半導体基板(例えばGaAs)を用い、基板の裏面から光を取り出す方法がある。特許文献1には半絶縁性の半導体基板を用いた赤外線発光ダイオードが記載されている。
特開2016−14392号公報
本発明の課題は、基板の裏面から光を取り出す赤外線発光ダイオードとして、発光効率及び発光強度の向上が期待できるものを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の一態様である赤外線発光ダイオードは、半導体基板と下記の半導体積層部および金属層とを備えている。
半導体積層部は、半導体基板の一面上に形成され、この一面側から第一導電型半導体層、活性層、および第二導電型半導体層をこの順に有し、第一導電型半導体層、活性層、および第二導電型半導体層はインジウムおよびアンチモンの少なくとも一方を含む。また、半導体基板の一面から突出する第一メサ部と第一メサ部から突出する第二メサ部とを有し、第一メサ部と第二メサ部との境界が活性層よりも半導体基板側に存在する。
第一導電型半導体層および第二導電型半導体層は互いに導電型が異なる半導体層である。第一導電型半導体層がn型半導体層で第二導電型半導体層がp型半導体層であってもよいし、第一導電型半導体層がp型半導体層で第二導電型半導体層がn型半導体層であってもよい。
金属層は、第一メサ部の第一導電型半導体層に接触する第一部分と、第一部分とは独立した部分であって、第二メサ部の第二導電型半導体層に接触する第二部分と、を有する。
また、本発明の一態様である赤外線発光ダイオードは、平面視における半導体基板の外形面積に対する第二メサ部の底面積(第一メサ部との境界部の面積)の比率(以下、「第二メサ部の基板被覆率」と称する。)が0.21以上0.8以下であり、活性層で発生した光の金属層での反射率が0.60以上1.00以下であり、半導体基板の一面の反対面である裏面が光取り出し面である。
さらに、本発明の一態様である赤外線発光ダイオードは、半導体基板の側面及び半導体積層部を封止する封止部を備えている。さらに、本発明の一態様である赤外線発光ダイオードは、半導体基板上に半導体積層部を複数備え、複数の半導体積層部は互いに直列に接続されている。
本発明の赤外線発光ダイオードによれば、発光効率及び発光強度の向上が期待できる。
本発明の第一実施形態の赤外線発光ダイオードを示す平面図(a)と、そのA−A断面図(b)である。 図1(b)の部分拡大図である。 第一実施形態の赤外線発光ダイオードを構成する半導体積層部の形成方法を説明する断面図である。 第一実施形態の赤外線発光ダイオードを含む赤外線発光装置を示す断面図である。 第二実施形態の赤外線発光ダイオードを示す平面図である。 図5のA−A断面図である。 比較例1の赤外線発光ダイオードを示す平面図(a)と、そのA−A断面図(b)である。 比較例2の赤外線発光ダイオードを示す平面図(a)と、そのA−A断面図(b)である。 実施例1の赤外線発光ダイオードで金属層を構成するTi層の厚さと、Ti層とn型半導体層との界面(Ti/InSb界面)での反射率との関係を示すグラフである。 赤外線発光ダイオードの光出力と第二メサ部の基板被覆率(S2/S1)との関係についてシミュレーションした結果を示すグラフである。 赤外線発光ダイオードの光取り出し効率と第二メサ部の基板被覆率(S2/S1)との関係についてシミュレーションした結果を示すグラフである。 赤外線発光ダイオードの発光効率(相対値)と膜厚合計値(p型半導体層の膜厚と活性層の膜厚との合計値)との関係について、金属層のTi膜厚を変えてシミュレーションした結果を示すグラフである。 図12の一部を拡大して示したグラフである。
[本発明の一態様に関する詳細な説明]
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードは、光取り出し面が半導体基板の裏面(半導体積層部が形成されている一面の反対面)であり、半導体積層部が第一メサ部と第二メサ部を有し、半導体積層部上に金属層を備えた赤外線発光ダイオードにおいて、平面視における半導体基板の外形面積(S1)に対する第二メサ部の底面積(第一メサ部との境界部の面積、S2)の比率S2/S1(第二メサ部の基板被覆率)が0.21以上0.8以下であり、活性層で発生した光の金属層での反射率が0.60以上1.00以下であることを特徴の一つとする。
なお、活性層で発生した光の金属層での反射率の測定方法としては、反射面に垂直に光が入射した場合の反射率が用いることができる。
半導体基板を用いた光の裏面取り出し構造を用いた場合、半導体積層部の表面の大部分を金属電極で覆う必要があり、この金属電極における吸収損失が発光ダイオードの発光効率を制限していることが、新たに分かった。この課題は、従来知られていた光の表面取り出し(半導体積層部側から光を取り出す)構造の赤外線発光ダイオード(この構造では半導体積層部を覆う金属層の被覆率が低い)には無い、新たな課題である。
更に、中赤外(2〜10μm)の波長域の赤外線発光ダイオードにおいては、多数キャリアによる失活機構であるオージェ再結合の影響が大きく、発光効率がきわめて低くなる(数%以下)。そのため、活性層における発光再結合により生成された光が、外部に取り出される間に半導体基板内で多重反射を繰り返す際、活性層及びp型半導体層で再吸収されてしまい、生成されたキャリアの大部分が熱損失により失われ、発光効率を低下させるという課題も新たに見出した。これは、可視光のLEDにおいて、発光効率が比較的高く、活性層で再吸収されたキャリアが、再度、発光に寄与するのとは対照的な現象である。
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードは、上述の特徴を備えることで、半導体基板、半導体積層部を構成する各層、および金属層での光吸収損失が抑制されて、発光効率及び発光強度の向上が期待できる。
以下、本発明の一態様の赤外線発光ダイオードの各構成について説明する。
<半導体基板>
半導体基板の一面上に半導体積層部が形成されるため、半導体基板は、半導体積層部を構成する各層の結晶成長に適したものであればよい。また、活性層で発生する光の透過率が高いものであることが好ましいため、例えば、InAs基板やGaSb基板など、吸収端波長が、活性層で発生する光の波長よりも短い材料からなる基板を用いることが好ましい。また、集積回路の技術と組み合わせるために、Si基板を用いても良く、更に基板内の自由キャリアによる赤外吸収を抑制するために、半絶縁性のGaAs基板を用いても良い。
半導体基板の一面、つまり、半導体積層部が形成される面は、例えばGaAs基板であれば、[100]面を使用することができる。
半導体基板の裏面は、半導体積層部が形成される面の反対側の面であり、例えばGaAs基板の[100]面に半導体積層部を形成する場合、[−100]面を使用することができる。
<半導体積層部>
半導体積層部は、半導体基板の一面上に形成され、この一面側から第一導電型半導体層、活性層、および第二導電型半導体層をこの順に有し、第一導電型半導体層、活性層、および第二導電型半導体層はインジウムおよびアンチモンの少なくとも一方を含む。また、半導体基板の一面から突出する第一メサ部と第一メサ部から突出する第二メサ部とを有し、第一メサ部と第二メサ部との境界が活性層よりも半導体基板側に存在する。さらに、半導体基板上に上記半導体積層部を複数備え、複数の半導体積層部が互いに直列に接続されている。これにより、一つの半導体基板上に複数の発光素子が形成され、これらが直列に接続されているため、一定の注入電流でこれらが同時に駆動できることにより、高い発光強度を得ることが可能となる。
半導体積層部は、第一導電型半導体層、活性層、および第二導電型半導体層以外の層を含んでいてもよい。具体的には、半導体基板と第一導電型半導体層との間に、バッファ層を有してもよい。バッファ層の導電型はn型、i型及びp型のいずれでもよい。また、この場合、上記境界はバッファ層内に存在してもよい。赤外線ダイオードにおける直列抵抗成分や接触抵抗の影響を避けるため、バッファ層には第一導電型半導体層と同じ導電型がしばしば用いられる。
半導体積層部は、例えば、半絶縁性のGaAs基板上にn型半導体層(p型半導体層)、活性層、p型半導体層(n型半導体層)をこの順に成膜し、この積層体をウエットエッチング、或いはドライエッチングの手法を用いて、2段階の加工を行う事により形成される。成膜の方法としては、例えば分子線エピタキシー法(MBE)、或いは有機金属気相成長法(MOCVD)が挙げられる。
第一導電型半導体層、活性層、および第二導電型半導体層はインジウムおよびアンチモンの少なくとも一方を含む層である。具体的な材料としては、InSb、InGaSb、AlGaSb、InAs、InAlAs、InAlSbおよびInAsSbなどが挙げられる。
<金属層>
金属層は、第一メサ部の第一導電型半導体層に接触する第一部分と、第一部分とは独立した部分であって第二メサ部の第二導電型半導体層に接触する第二部分と、を有する。金属層の第一部分および第二部分は、通常、半導体積層部に絶縁層を介して形成され、この絶縁層に設けた開口部を介して第一導電型半導体層および第二導電型半導体層と接触する。また、金属層は、第一メサ側に形成された第一金属層(第一部分を含む)と、第二メサ側に形成された第二金属層(第二部分を含む)とに分かれていて、第一金属層と第二金属層がそれぞれ半導体基板の一面上に形成された第三部分を有する形態をとることができる。
金属層は、第一導電型半導体層と第二導電型半導体層との外部電源を介した電気的接続のための電極として用いられる。また、半導体基板上に複数の半導体積層部を設ける場合に、これらを直列接続するための配線として用いられる。また、金属層が半導体基板の一面上に形成されること(第三部分を有すること)で、活性層で発生した光の半導体基板の一面での反射率が高くなり、活性層で発生した光を光取り出し面(半導体基板の裏面)から効率よく取り出すことができる。
この金属層は、半導体積層部および半導体基板側から例えば、密着層、バリア層、低抵抗層の順に積層された積層構造を有することが好ましい。
積層構造の密着層は、TiやCrやNiなど、絶縁層との密着性が良く、n型半導体層、p型半導体層との接触抵抗の低い材料が用いられる。密着層の膜厚としては、赤外線の吸収を低減させるため、100nm以下であることが好ましい。バリア層は、金属層材料と半導体層との相互拡散を抑制するために設けられ、例えばPtを用いることができる。低抵抗層は、金属層を介した外部との接続または複数の半導体積層部間の接続において、不要な電位差による電圧ロスを生じさせないために、低抵抗であることが望ましく、例えばAuを用いることができる。
また、金属層が積層構造である場合の密着層は、金属層の第三部分が活性層で発生した光を反射する役割を有することから、光の吸収損失が少ないことが望ましい。
<封止部>
封止部は、半導体基板の側面及び半導体積層部を封止する。封止部は、半導体基板の裏面に存在していてもよいが、その場合は、半導体基板の裏面の少なくとも一部を露出した状態にする必要がある。後述の裏面絶縁膜を備える場合は、裏面絶縁膜の少なくとも一部を露出した状態にすることが好ましい。封止部の材料としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂などの樹脂製モールド材を用いることができる。その際、SiO2やAl23などのフィラーを含む樹脂製モールド材を用いてもよい。またポリイミド、ポリアミド、シリコーン樹脂などからなる応力緩和層(バッファ層)を、半導体積層部と封止部との間に設けてもよい。
[好ましい態様]
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードは、第二メサ部の基板被覆率(S2/S1)が0.21以上0.50以下であることが好ましい。これにより、半導体基板、半導体積層部を構成する各層、および金属層での光吸収損失の抑制効果がより高くなって、赤外線発光ダイオードの発光効率及び発光強度をさらに高くすることが可能になる。
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードでは、平面視における半導体基板の外形面積(S1)に対する金属層の面積(S3)の割合(以下、「金属層の基板被覆率」または単に「S3/S1」と称する。)が0.65以上1.0未満であることが好ましい。この場合、後述の実施例で説明するように、半導体基板の一面側(半導体基板の一面と半導体積層部の半導体基板とは反対側の面)での平均反射率を0.60以上とすることができるため、発光効率の高い赤外線発光ダイオードが得られることが期待できる。
また、金属層の基板被覆率(S3/S1)を0.65以上1.0未満と大きくすることで、金属層での反射量が多くなるため、半導体基板の裏面から効率よく光を取り出すことが可能となる。S3/S1が1.0に近い値の場合、金属層は、半導体基板の一面に接触する第三部分を有する。
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードでは、半導体基板の裏面(光取り出し面)の二乗平均平方根粗さは、第一メサ部の第二メサ部で覆われていない上面の二乗平均平方根粗さより大きく、且つ半導体基板の一面(半導体積層部が形成されている面)の半導体積層部が形成されていない領域の二乗平均平方根粗さより大きく設計されることが好ましい。
活性層で発生した光は、各半導体層内及び半導体基板内での反射を繰り返しながら半導体基板の裏面から取り出されるため、このように設計されることによって、半導体基板の一面での光吸収損失を抑制し、光取り出し面からの光取り出し効率を向上できる。これにより、赤外線発光ダイオードの発光強度をさらに高くすることが可能になる。
半導体基板の裏面の二乗平均平方根粗さは30nm以上2000nm以下であり、第一メサ部の第二メサ部で覆われていない上面の二乗平均平方根粗さおよび半導体基板の一面の半導体積層部が形成されていない領域の二乗平均平方根粗さは15nm未満であることがより好ましい。
なお、二乗平均平方根粗さ(Rq)は、接触式段差計または原子間力顕微鏡(AFM)を用い、対応する面に対して、数μmから数mmの範囲のラインスキャン、或いは2次元スキャンを行って測定された高さから算出される。
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードは、半導体基板の裏面に形成された絶縁膜(以下、「裏面絶縁膜」と称する。)を備え、裏面絶縁膜の膜厚は、20nm以上、且つ、活性層で発生する光のピーク波長を裏面絶縁膜の屈折率で割った値の1/4以下であることが好ましい。この裏面絶縁膜を20nm以上の膜厚で備えることで、半導体基板の裏面が保護され、半導体基板の裏面からの裏面絶縁膜の剥離を抑制することができるとともに、半導体基板の裏面での光の反射が抑制されることで、赤外線発光ダイオードの発光効率が向上する。
裏面絶縁膜の材料としては、例えばSiO2やAl23、SiN、TiO2が挙げられる。裏面絶縁膜は一層で形成されていてもよいし、積層構造であってもよい。
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードでは、金属層の第一部分および第二部分の少なくともいずれかは、第一導電型半導体層および第二導電型半導体層にそれぞれ接触する密着層を含み、密着層はTi、Cr、およびNiの少なくともいずれかの材料を含み、密着層の膜厚は5nm以上60nm以下であることが好ましい。Ti、Cr、Niは半導体層との密着性が高いが、中赤外域の光吸収が大きいため、上記膜厚とすることで、金属層の反射効率をより高くすることができる。この中でも特に、密着層としてTiを含み、膜厚が5nm以上30nm以下であることがより好ましい。
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードでは、第一導電型がn型であり、第二導電型がp型であり、活性層の膜厚と、第二導電型半導体層のうち活性層とのバンドギャップエネルギーの差が0.075eV以下である部分の膜厚と、の合計値が、0.5μm以上2.1μm以下であることが好ましい。これにより、さらなる発光効率の向上が可能となる。
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードでは、n型半導体層およびp型半導体層が、活性層とのバンドギャップエネルギーの差が0.075eV以下の材料で形成された層を0.2μm以上の膜厚でそれぞれ含むことが好ましい。このように、n型半導体層およびp型半導体層に含まれる材料のバンドギャップエネルギーが活性層と近い(室温300Kの熱エネルギーの3倍以下)ことで、活性層で発生した光の一部のみがn型半導体層およびp型半導体層で吸収されるため、半導体内部での吸収を抑制する効果がより顕著となり、発光効率が大きく向上することが期待できる。
また、この場合、複数の半導体積層部において、半導体積層部と金属層との間に絶縁層を設け、この絶縁層の第一メサ部上および第二メサ部上に開口部を設け、これらの開口部を介して、隣り合う二つの半導体積層部の一方の第一メサ部と他方の第二メサ部とを金属層で電気的に接続する。この金属層は、これらの半導体積層部間の半導体基板の一面にも形成される。
この絶縁層の材料としては、例えばSiO2やAl23、SiN、TiO2が挙げられる。この絶縁層は一層で形成されていてもよいし、積層構造であってもよい。また、この絶縁層の膜厚を適切に設計することにより、半導体基板の一面側(半導体基板の一面と半導体積層部の半導体基板とは反対側の面)での反射率を向上させることもできる。
本発明の一態様の赤外線発光ダイオードでは、半導体基板が半絶縁性のGaAs基板であり、活性層がGaAsよりもバンドギャップエネルギーが小さく、AlxInyGa1-x-yAszSb1-z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1、0≦z≦1)を含み、発光波長のピークを2〜10μmに有することが好ましい。これにより、活性層で発生した光を、半導体基板での損失が無い状態で、外部に取り出すことが可能となる。
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
<第一実施形態>
図1に示すように、この実施形態の赤外線発光ダイオード1は、GaAs基板(半導体基板)2、半導体積層部3、絶縁層4、金属層5、および裏面絶縁膜6を備えている。
GaAs基板2の一面21は[100]面であり、裏面22は[−100]面である。GaAs基板2の一面21に半導体積層部3が形成されている。裏面22に裏面絶縁膜6が形成されている。
半導体積層部3は、GaAs基板2の一面21から突出する第一メサ部301と第一メサ部301から突出する第二メサ部302とからなる二段メサ構造を有する。
GaAs基板2の裏面22の二乗平均平方根粗さは30nm以上2000nm以下である。第一メサ部301の第二メサ部302で覆われていない上面3011の二乗平均平方根粗さは15nm未満である。GaAs基板2の一面21の半導体積層部3が形成されていない領域211の二乗平均平方根粗さは15nm未満である。
半導体積層部3は、図2に示すように、GaAs基板2側から、SnドープAlInSb層(n型半導体層)31、SnドープAlInSb層(n型バリア層)32、ノンドープのAlInSb層(活性層)33、ZnドープAlInSb層(p型バリア層)34、およびZnドープAlInSb層(p型半導体層)35をこの順に有する。図1および図2に示すように、第一メサ部301と第二メサ部302との境界がSnドープAlInSb層(n型半導体層)31内に存在する。
半導体積層部3は、図3に示すように、GaAs基板2上に、n型半導体層31、n型バリア層32、活性層33、p型バリア層34、p型半導体層45、からなる半導体積層体30を形成した後に、一点鎖線に沿ったメサエッチングと、その後の二点鎖線に沿ったメサエッチングを行うことで形成される。
絶縁層4は、半導体積層部3の第一メサ部301および第二メサ部302の上面と側面、およびGaAs基板2の一面21上の第一メサ部301の周囲に形成されている。絶縁層4は、第一メサ部301のn型半導体層31上に第一開口部41を有する。第二メサ部302のp型半導体層35上に第二開口部42を有する。
金属層5は、第一メサ部301側に形成された第一金属層510と、第二メサ部302側に形成された第二金属層520とに分かれている。第一金属層510は、第一開口部41を塞ぎ第一メサ部301のn型半導体層31に接触する部分(第一部分)511と、絶縁層4上に形成されている部分512と、GaAs基板2の一面21上に形成された部分(第三部分、電極)513とからなる。第二金属層520は、第二開口部42を塞ぎ第二メサ部302のp型半導体層35に接触する部分(第二部分)521と、絶縁層4上に形成されている部分522と、GaAs基板2の一面21上に形成された部分(第三部分、電極)523とからなる。
また、第二メサ部の基板被覆率(S2/S1)が0.21以上0.8以下である。活性層33で発生した光の金属層5での反射率が0.60以上1.00以下である。金属層5の基板被覆率(S3/S1)は0.65以上1.0未満である。
実施形態の赤外線発光ダイオード1によれば、活性層から発光した光の内部での光吸収損失が抑制されて、発光効率及び発光強度が向上する。
<赤外線発光装置>
第一実施形態の赤外線発光ダイオード1を用いて、図4に示す赤外線発光装置10を製造することができる。赤外線発光装置10は、赤外線発光ダイオード1と、リード端子71,72と、金属細線81,82と、封止部9を有する。
リード端子71,72は、赤外線発光ダイオード1の周囲に配置されている。金属細線81は、赤外線発光ダイオード1の第一金属層510の第三部分(第一電極)513とリード端子71とを接続する。金属細線82は、赤外線発光ダイオード1の第二金属層520の第三部分(第二電極)523とリード端子72とを接続する。封止部9は、赤外線発光ダイオード1の裏面絶縁膜6の半導体基板2とは反対の面を除いた部分に配置され、赤外線発光ダイオード1とリード端子71,72との間を封止している。つまり、赤外線発光ダイオード1の半導体積層部3が封止されている。
つまり、この赤外線発光装置10は、半導体積層部3を封止する封止部9を備える赤外線発光ダイオード1の一例である。
<第二実施形態>
図5および図6に示すように、この実施形態の赤外線発光ダイオード1は、半導体基板2上に半導体積層部3を複数備え、これらが直列に接続されている。具体的には、隣り合う二つの半導体積層部3の一方の第一メサ部301と他方の第二メサ部302とが、第一開口部41および第二開口部42を介して金属層530で電気的に接続されている。
金属層530は、隣り合う二つの半導体積層部3の一方の第一メサ部301のn型半導体層に接触する部分511と、他方の第二メサ部302のp型半導体層に接触する部分521と、これらの半導体積層部3間の半導体基板2の一面21上に接触する部分533を有する。直列の一端に配置された半導体積層部3は、第一金属層510の半導体基板2の一面21上に形成された部分513が、外部配線との接続用電極として使用される。直列の他端に配置された半導体積層部3は、第二金属層520の半導体基板2の一面21上に形成された部分523が、外部配線との接続用電極として使用される。
なお、上記各実施形態の赤外線発光ダイオード1では、第一金属層510、第二金属層520、および金属層530が、半導体基板2の一面21上に接触する部分513,523,533を有するが、半導体基板2の一面21とこれらの部分との間に絶縁膜が介装されていてもよい。
また、上記各実施形態の赤外線発光ダイオード1は、半導体基板2の側面および半導体積層部3を封止する封止部を有する。また、第一実施形態の赤外線発光ダイオード1は、複数の半導体積層部3備えているが、図1ではその一部のみを示している。
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
図1に示す構造の赤外線発光ダイオード1を以下の方法で作製した。
分子線エピタキシャル成長装置により、半絶縁性の[100]方位を持つGaAs基板2上に、Snを1×1019cm-3ドープしたInSb層およびAl0.05In0.95Sb層(n型半導体層)31をそれぞれ0.5μmの厚さで、Snを1×1019cm-3ドープしたAl0.22In0.78Sb層(n型バリア層)32を0.02μmの厚さで、ノンドープのAl0.05In0.95Sb層(活性層)33を2μmの厚さで、Znを1×1018cm-3ドープしたAl0.22In0.78Sb層(p型バリア層)34を0.02μmの厚さで、およびZnを1×1018cm-3ドープしたAl0.05In0.95Sb層(p型半導体層)35を0.5μmの厚さで、この順に形成した。
次に、フォトリソグラフィーによるフォトレジストのパターニングとドライエッチングにより、図3に示すように、半導体積層体30の一点鎖線E1より外側の部分を除去した。つまり、このエッチングは、半導体積層体30のSnドープAl0.05In0.95Sb層(n型半導体層)31を少し除去する位置まで行った。この状態で、一点鎖線E1に沿う面(図1(b)の上面3011となる面を含む面)の二乗平均平方根粗さは15nm未満であった。
次に、この状態の半導体基板2上に、プラズマCVD装置によりSiO2膜を形成し、これをパターニングしたものをハードマスクとして、ドライエッチングを行うことで、半導体積層体30の二点鎖線E2より外側の部分を除去した。
この半導体積層体30に対する二段階のエッチングにより、半導体基板2の一面21から突出する第一メサ部301と、第一メサ部301から突出する第二メサ部302と、からなる二段メサ構造の半導体積層部3を得た。
次に、この状態の半導体基板2上に、絶縁層4として、プラズマCVDによりSiN膜を形成した後、SiN膜にドライエッチングを行うことで、第一メサ部301上に第一開口部41を第二メサ部302上に第二開口部42を形成した。
次に、この状態の半導体基板2上に、リフトオフ法によりスパッタリング装置を用いて、Ti、Pt、Auの積層構造からなる第一金属層510および第二金属層520を形成した。金属層510,520において、Ti層の膜厚を20nm、Pt層の膜厚を20nm、Au層の膜厚を300nmとした。
次に、GaAs基板2の裏面22を、公知技術による粗面研磨を行い、高さの二乗平均平方根粗さが約200nmにまで粗面化した後、裏面絶縁膜6としてTiO2膜を150nmの厚さで形成した。
このようにして赤外線発光ダイオード1を得た。
この実施例の赤外線発光ダイオード1によれば、第一金属層510の電極513と第二金属層520の電極523との間に電圧をかけ、電流を注入することで、活性層に発生した赤外光を半導体基板2の裏面22から取り出すことができる。
[比較例1]
図7の赤外線発光ダイオード100は、第一メサ部301と第二メサ部302とからなる二段メサ構造の半導体積層部3を有するが、半導体積層部3上に絶縁層4を介して形成された金属層500は、第一メサ部301に接触する部分を有さない。また、金属層500は、第二メサ部302に接触する部分521を含む一対の第二金属層520と、これらを半導体基板2の周縁部で結合する電極部540とからなる。また、半導体基板2として導電性基板が用いられ、半導体基板2の裏面に電極層50が形成されている。
赤外線発光ダイオード100は、電極部540と電極層50との間に電圧をかけ、半導体基板2を通して電流を注入することで、活性層に発生した赤外光を半導体積層部3の半導体基板2とは反対側の面から取り出すことができる。しかし、この赤外線発光ダイオード100は、導電性の半導体基板2内での自由キャリア吸収により光吸収損失が大きくなる。
実施例1の赤外線発光ダイオード1は、半導体基板2として半絶縁性のGaAs基板を用いることから、基板内での損失が抑制され、比較例1の赤外線発光ダイオード100と比較して、効率よく赤外光を取り出すことができる。
[比較例2]
図8の赤外線発光ダイオード101は、半導体基板2の外形面積S1は実施例1の赤外線発光ダイオード1と同じであるが、第二メサ部302の底面積S2は赤外線発光ダイオード1より大きい。つまり、赤外線発光ダイオード101の第二メサ部の基板被覆率(S2/S1)は0.8より大きい。また、金属層の基板被覆率(S3/S1)は0.65より小さい。また、赤外線発光ダイオード101は裏面絶縁膜6を有さない。これら以外の点は実施例1の赤外線発光ダイオード1と同じである。
このように半絶縁性の半導体基板を用いた場合でも、半導体基板の外形面積に対する第二メサ部302の底面積S2、つまり、活性層、p型半導体層、n型半導体層が占める面積が大きいと、半導体基板及び半導体積層部での多重反射を繰り返すうちに、光が吸収されて損失が大きくなる。実施例1の赤外線発光ダイオード1では、このような光の吸収が抑制されるため、比較例2の赤外線発光ダイオード101と比較して、効率よく赤外光を取り出すことができる。
[シミュレーションによる考察]
実施例1の赤外線発光ダイオード1で、Ti、Pt、Auの積層構造からなる金属層510,520のTiの膜厚を0〜200nmの範囲で変えた場合に、活性層33で発生してn型半導体層(SnドープInSb層)31に入射された光(波長4.3μm)の金属層510(511)での反射率R5がどのように変化するかについて、シミュレーションした。その結果を図9にグラフで示す。
図9に示すように、Tiの厚さが200nmと厚い場合には、反射率R5は0.45であり、金属層510が無い場合、つまり屈折率が1.0である空間での反射率(0.37)と比べて大きくはない。これはTi電極での赤外吸収が顕著であるためである。また、Ti厚を60nm以下とすることで0.6以上の高い反射率を得ることができる。更にTi厚を30nm以下とすることで、0.75以上の高い反射率を得ることができる。なお、Ti層の厚さが5nm未満であると、下地との密着性を確保するという点で好ましくない。
次に、赤外線発光ダイオードの光出力と第二メサ部の基板被覆率(S2/S1)との関係についてシミュレーションした。その結果を図10にグラフで示す。また、赤外線発光ダイオードの取り出し効率と第二メサ部の基板被覆率(S2/S1)との関係についてシミュレーションした。その結果を、図11にグラフで示す。
半導体基板2の裏面22から光を取り出す構造の赤外線発光ダイオードは、半導体基板2の一面21、つまり、半導体積層部3が形成されている側における光の吸収或いは透過による損失を抑制することにより、高い発光強度で赤外光を取り出すことができる。
図10および図11には、実施例1の赤外線発光ダイオード1において、第一メサ部301および第二メサ部302内の光が金属層5(金属層がない場合は大気からなる空間)で反射して半導体基板2の一面21に向かう光の、金属層5(金属層がない場合は大気からなる空間)での反射率が、0.37、0.45、0.60、0.75、0.87、1.00である場合をシミュレーションした結果が示されている。
反射率0.37は、金属層5が無い場合の屈折率が1.0の空間での反射率である。
反射率0.45は、金属層5を構成するTi層の厚さが200nmである場合の反射率であって、半導体基板2の一面21での反射の効果を積極的に考慮しない場合(従来技術)である。
反射率0.60は、金属層5を構成するTi層の厚さが60nmである場合の反射率である。
反射率0.75は、金属層5を構成するTi層の厚さが30nmである場合の反射率である。
反射率0.87は、金属層5を構成するTi層の厚さが5nmである場合の反射率である。
反射率1.00は理想状態の反射率である。
半導体基板2の一面21での反射の効果を積極的に考慮しない場合(従来技術)には、第二メサ部の基板被覆率(S2/S1)が高いほど光出力が増加し、図10に示すように、反射率0.45(従来技術)ではS2/S1が1.0で最大の出力が得られる。図10のグラフの縦軸は、反射率が0.45で、S2/S1が1.0の場合の光出力を「1」とした、光出力の相対値である。
一方で、第二メサ部の基板被覆率(S2/S1)が低いほど、半導体基板内で多重反射を繰り返した際の第二メサ部における光吸収損失が低減するために、光取り出し効率が向上する。図11のグラフの縦軸は、反射率が0.45(従来技術)で、被覆率(S2/S1)が0の場合の光取り出し効率を「1」とした、光取り出し効率の相対値である。
従って、図11から分かるように、反射率が0.75以上となる金属層を用いた上で、被覆率(S2/S1)を0.8以下にすることにより、従来技術(金属層での反射率0.45)で到達可能な最大の光取り出し効率(相対値1.0)を得ることができる。また、反射率が0.60以上となる金属層を用いた上で、被覆率(S2/S1)を0.5以下にすることにより、従来技術で到達可能な最大の光取り出し効率(相対値1.0)を得ることが出来る。
また、被覆率(S2/S1)を0.21以上0.8以下とすることにより、反射率が0.87となる厚さ5nmのTi層を設けることで、図10に示すように、従来技術(反射率0.45)と同等の光出力(相対値1.0)を確保しながら、図11に示すように、高い取り出し効率(相対値1.2以上)を得ることが出来る。更に、被覆率(S2/S1)を0.21以上0.5以下とすればより高い光取り出し効率(相対値1.7以上)が、被覆率(S2/S1)を0.21以上0.4以下とすれば特に高い光取り出し効率(相対値2.0以上)が実現できる。
一方、金属層の基板被覆率(S3/S1)を0.65以上1.0未満とすることによって、半導体基板2の一面21での平均反射率を0.60以上にすることができる。例えば、活性層で発生した光の金属層5での反射率が0.87、金属層5以外での反射率が0.37とした時に、金属層の基板被覆率(S3/S1)が0.65の場合の平均反射率は0.69≒0.65×0.87+0.35×0.37となる。
次に、実施例1の赤外線発光ダイオード1で、p型半導体層35の膜厚と活性層33の膜厚との合計値と、Ti、Pt、Auの積層構造からなる金属層510,520のTiの膜厚を変えた場合に、発光効率がどのように変化するかについてシミュレーションした。その結果を図12および図13にグラフで示す。このシミュレーションでは、半導体基板2の半導体積層部3が形成されている側における光の吸収損失、つまり、p型半導体層、活性層、および金属層による光の吸収損失を考慮している。
結果を示すグラフの縦軸は、p型半導体層の膜厚が0.5μm、活性層の膜厚が2μm、Tiの膜厚が100nmである場合(従来例)を「1」とした発光効率(相対値)の平均値である。横軸は、p型半導体層の膜厚と活性層の膜厚との合計値である。従来例でのp型半導体層の膜厚と活性層の膜厚との合計値は2.5μmである。
図12から明らかなように、p型半導体層の膜厚と活性層の膜厚との合計値が大きい場合と小さい場合では、Tiの膜厚を薄くして反射率R5を高くすることで得られる発光効率改善の効果の度合いが異なり、小さいほど効果が高くなる。これは、活性層での発光量が同じでも、p型半導体層や活性層等での吸収損失が大きいと、金属層へ到達する光量が減少するためである。つまり、活性層等による吸収損失を抑制した上で、更に金属層における反射率を向上させることが、相乗効果をもたらし、より高い発光効率の実現を可能にする。
そして、p型半導体層のうち、活性層とのバンドギャップエネルギーの差が0.075eV以下である部分の膜厚と、活性層の膜厚と、の合計値を2.1μm以下とした上で、密着層であるTiの膜厚を60nm以下とすることによって、上記合計値が従来例のままで金属層のTiの膜厚を薄くした場合には到達できない発光効率が、達成可能であることが分かった。具体的には、図13から分かるように、膜厚合計値2.5μmでは、Tiの膜厚を最も薄い5nmとした場合、発光効率の相対値は1.10程度であるが、膜厚合計値2.1μm以下では、Tiの膜厚を60nm以下とすることで発光効率の相対値を1.15以上にすることができる。
前述の通り、従来は、発光効率よりも発光強度を求めてきた背景から、裏面取り出し構造においては活性層を厚く設計していた。これは、一定の電流を注入した場合、活性層が薄いと、活性層中のキャリア濃度が高くなり、前述のオージェ再結合により発光効率が抑制されるためである。このような考え方に基づいて、膜厚を厚くすることによりオージェ再結合による失活を抑制してきた。
これに対して、本発明では、より高い発光効率の発光ダイオードを実現するために、低い注入電流によりキャリア濃度の増加を抑えてオージェ再結合を抑制し、活性層を薄くすることで、光の再吸収損失を抑制し、更に金属層での反射効率を上げる、という相乗効果を用いたものである。
以上の結果から、実施例1の赤外線発光ダイオード1は、比較例2の赤外線発光ダイオードよりも光取り出し効率が高く、高出力化が可能であることが分かる。
1 赤外線発光ダイオード
2 GaAs基板(半導体基板)
21 半導体基板の一面
211 一面の半導体積層部が形成されていない領域
22 半導体基板の裏面
3 半導体積層部
30 半導体積層体
31 n型半導体層
32 n型バリア層
33 活性層
34 p型バリア層
35 p型半導体層
301 第一メサ部
3011 第一メサ部の第二メサ部で覆われていない上面
302 第二メサ部
4 絶縁層
5 金属層
510 第一金属層
511 n型半導体層に接触する部分(第一部分)
512 絶縁層上に形成されている部分
513 半導体基板の一面上に形成された部分(第三部分、電極)
520 第二金属層
521 p型半導体層に接触する部分(第二部分)
522 絶縁層上に形成されている部分
523 半導体基板の一面上に形成された部分(第三部分、電極)
6 裏面絶縁膜
71、72 リード端子
81,82 金属細線
9 封止部

Claims (10)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の一面上に形成された半導体積層部であって、前記一面側から第一導電型半導体層、活性層、および第二導電型半導体層をこの順に有し、前記第一導電型半導体層、前記活性層、および前記第二導電型半導体層はインジウムおよびアンチモンの少なくとも一方を含み、前記一面から突出する第一メサ部と前記第一メサ部から突出する第二メサ部とを有し、前記第一メサ部と前記第二メサ部との境界が前記活性層よりも前記半導体基板側に存在する半導体積層部と、
    前記第一メサ部の前記第一導電型半導体層に接触する第一部分と、前記第一部分とは独立した部分であって前記第二メサ部の前記第二導電型半導体層に接触する第二部分と、を有する金属層と、
    前記半導体基板の側面及び前記半導体積層部を封止する封止部と、
    を備え、
    前記半導体基板上に前記半導体積層部を複数備え、複数の前記半導体積層部は互いに直列に接続され、
    平面視における前記半導体基板の外形面積に対する前記第二メサ部の底面積の合計の比率は0.21以上0.8以下であり、
    前記活性層で発生した光の前記金属層での反射率は0.60以上1.00以下であり、
    前記一面の反対面である前記半導体基板の裏面が光取り出し面である赤外線発光ダイオード。
  2. 前記比率が0.21以上0.50以下である請求項1に記載の赤外線発光ダイオード。
  3. 平面視における前記半導体基板の外形面積に対する前記金属層の面積の割合は0.65以上1.0未満である請求項1または2に記載の赤外線発光ダイオード。
  4. 前記裏面の二乗平均平方根粗さは、前記第一メサ部の前記第二メサ部で覆われていない上面の二乗平均平方根粗さより大きく、且つ前記一面の前記半導体積層部が形成されていない領域の二乗平均平方根粗さより大きい請求項1〜3のいずれか一項に記載の赤外線発光ダイオード。
  5. 前記裏面の二乗平均平方根粗さは30nm以上2000nm以下であり、前記第一メサ部の前記第二メサ部で覆われていない上面の二乗平均平方根粗さ及び前記一面の前記半導体積層部が形成されていない領域の二乗平均平方根粗さは、15nm未満である請求項4に記載の赤外線発光ダイオード。
  6. 前記裏面に形成された絶縁膜を備え、
    前記絶縁膜の膜厚は、20nm以上、且つ、前記活性層で発生する光のピーク波長を前記絶縁膜の屈折率で割った値の1/4以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の赤外線発光ダイオード。
  7. 前記第一部分および前記第二部分の少なくともいずれかは、前記第一導電型半導体層および前記第二導電型半導体層にそれぞれ接触する密着層を含み、
    前記密着層はTi、Cr、およびNiの少なくともいずれかの材料を含み、前記密着層の膜厚は5nm以上60nm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の赤外線発光ダイオード。
  8. 前記第一導電型がn型であり、前記第二導電型がp型であり、
    前記活性層の膜厚と、前記第二導電型半導体層のうち前記活性層とのバンドギャップエネルギーの差が0.075eV以下である部分の膜厚と、の合計値が、0.5μm以上2.1μm以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の赤外線発光ダイオード。
  9. 前記第一導電型半導体層および前記第二導電型半導体層は、前記活性層とのバンドギャップエネルギーの差が0.075eV以下の材料で形成された層を、0.2μm以上の膜厚でそれぞれ含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の赤外線発光ダイオード。
  10. 前記半導体基板は半絶縁性のGaAs基板であり、
    前記活性層は、GaAsよりもバンドギャップエネルギーが小さく、AlxInyGa1-x-yAszSb1-z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1、0≦z≦1)を含み、
    前記活性層で発生する光のピーク波長が2μm以上10μm以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載の赤外線発光ダイオード。
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