JP2019006307A - サスペンション制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘性ダンパ毎の減衰力差を抑制することができるサスペンション制御装置を提供する。
【解決手段】サスペンション制御装置は、電界により性状が変化する電気粘性流体が封入され、印加される電界により減衰力を調整する電気粘性ダンパ6と、電気粘性ダンパ6に印加する電界を制御するための減衰力指令を出力するコントローラ21と、を備えている。コントローラ21の補正指令演算部は、電気粘性ダンパ6の温度、ばね上とばね下との間の相対変位、減衰力指令値に基づいて、電気粘性流体の劣化を推定して減衰力指令を補正する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車等の車両に搭載されるサスペンション制御装置に関する。
自動車等の車両には、車体(ばね上)側と各車輪(ばね下)側との間に減衰力調整式緩衝器が設けられている。特許文献1には、緩衝器の構成部品に摩耗等の経時変化が生じたときに、目標減衰力を補正する構成が開示されている。
特開平6−64431号公報
ところで、減衰力調整式緩衝器として、例えば電気粘性流体のような機能性流体を用いて減衰力の調整を行うものがある。機能性流体には、経年劣化が発生することがある。また、緩衝器毎に機能性流体の特性にばらつきが生じることもある。機能性流体の経年劣化や特性ばらつきが生じた場合、各緩衝器で発生する減衰力に差が生じ、車両のバランスが崩れてしまう。この結果、複数の緩衝器間に生じる減衰力差によって、車両にロールが発生し、乗り心地に悪影響を及ぼす可能性がある。
一方、特許文献1には、構成部品の経時変化を考慮して、目標減衰力を補正する構成が開示されている。しかしながら、機能性流体は、機械的な構成部品とは異なり、例えば温度によっても、その性状が変化する。従って、このような機能性流体に特有の特性を考慮しないと、減衰力の低下原因が温度によるものか、経年劣化によるものかを特定することができず、減衰力を補正することができないという問題がある。
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、粘性ダンパ毎の減衰力差を抑制することができるサスペンション制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために本発明によるサスペンション制御装置は、電界または磁界により流体の性状が変化する機能性流体が封入され、印加される電界または磁界により減衰力を調整する粘性ダンパと、前記粘性ダンパに印加する電界または磁界を制御するための減衰力指令を出力するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記機能性流体の劣化を推定して前記減衰力指令を補正することを特徴としている。
本発明によれば、粘性ダンパ毎の減衰力差を抑制することができる。
本発明の実施の形態によるサスペンション制御装置を模式的に示す図である。 図1中の電気粘性ダンパを示す縦断面図である。 図1中のコントローラを示すブロック図である。 図3中の減衰力指令演算部を示すブロック図である。 図3中の補正指令演算部を示すブロック図である。 コントローラによる減衰力指令の補正処理を示す流れ図である。 正常状態および劣化状態について、ばね上とばね下との間の相対変位の時間変化を示す特性線図である。
以下、本発明の実施の形態によるサスペンション制御装置を、4輪自動車に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1において、車両のボディを構成する車体1の下側には、例えば左,右の前輪と左,右の後輪(以下、総称して車輪2という)が設けられ、これらの車輪2はタイヤ3を含んで構成されている。タイヤ3は、路面の細かい凹凸を吸収するばねとして作用する。
サスペンション装置4は、車体1と車輪2との間に介装して設けられている。このサスペンション装置4は、懸架ばね5(以下、スプリング5という)と、スプリング5と並列関係をなして車体1と車輪2との間に設けられた減衰力調整式緩衝器としての電気粘性ダンパ6とにより構成される。なお、図1中では1組のサスペンション装置4を、車体1と車輪2との間に設けた場合を示している。しかし、サスペンション装置4は、例えば4つの車輪2と車体1との間に個別に独立して合計4組設けられるもので、このうちの1組のみを図1では模式的に図示している。
図2に示すように、電気粘性ダンパ6は、電気粘性流体7(以下、ERF7という)が封入されたシリンダとしての内筒8および外筒9と、内筒8内に摺動可能に挿入されたピストン10と、ピストン10に連結されて内筒8および外筒9の外部に延出するピストンロッド11と、内筒8内のピストン10の摺動によってERF7の流れが生じる部分に設けられERF7に電界をかける電極としての電極筒12とを含んで構成されている。電極筒12には、後述の電極ピン16を介して制御電圧(高電圧)が印加される。なお、図2では、封入されているERF7を無色透明で表している。
ERF7は、電界(電圧)により性状が変化する機能性流体である。ERF7は、例えば、シリコンオイル等からなる基油(ベースオイル)と、基油に混ぜ込まれ(分散され)電界の変化に応じて粘性を可変にする粒子(微粒子)とにより構成されている。これにより、ERF7は、印加される電圧に応じて粘度が変化し、流通抵抗(減衰力)が変化する。即ち、電気粘性ダンパ6は、ERF7の流れが生じる部分に設けられた電極筒12に印加する電圧に応じて、発生減衰力の特性(減衰力特性)をハード(Hard)な特性(硬特性)からソフト(soft)な特性(軟特性)に連続的に調整することができる。なお、電気粘性ダンパ6は、減衰力特性を連続的でなくとも、2段階または複数段階に調整可能なものであってもよい。
ここで、図2に示す電気粘性ダンパ6は、ユニフロー構造となっている。このため、内筒8内のERF7は、ピストンロッド11の縮み行程と伸び行程との両行程で、内筒8の油穴8Aから電極通路13に向けて常に一方向(即ち、図2中に二点鎖線で示す矢印Fの方向)に流通する。即ち、中間筒としての電極筒12は、内筒8の外周側を全周にわたって取囲むことにより、電極筒12の内周側と内筒8の外周側との間に環状の電極通路13を形成している。電極通路13は、ERF7が流通する通路であり、ピストン10の摺動によってERF7の流れが生じる。
電極通路13内のERF7は、ピストンロッド11が内筒8内を進退動するとき(即ち、縮み行程と伸び行程を繰返す間)に、この進退動により電極通路13の軸方向の上端側から下端側に向けて流動する。このとき、電極通路13内には、電極筒12に印加される電圧に応じた電位差が発生し、ERF7の粘度が変化する。即ち、電気粘性ダンパ6は、内筒8と電極筒12との間の電極通路13内に電位差を発生させ、電極通路13を通過するERF7の粘度を制御することで、発生減衰力を制御(調整)することができる。
このように、電気粘性ダンパ6は、シリコン系のオイルにポリウレタンが含有されたERF7に高電圧を印加することにより粘性を変化させ、減衰力を可変とするセミアクティブダンパである。一方、ERF7は、温度に対する特性変化が大きい。即ち、ERF7は、温度依存性が高い(温度に対して電気抵抗が指数関数的に減少する)ため、駆動電圧が一定でも、温度により駆動電流が変化する。
高電圧ドライバ14は、電気粘性ダンパ6と同数(例えば、電気粘性ダンパ6が4個であれば4個)設けられている。即ち、高電圧ドライバ14は、車体1に設けられた電気粘性ダンパ6毎に設けられている。この場合、高電圧ドライバ14は、例えば、電気粘性ダンパ6(の外筒9)に装着されている。高電圧ドライバ14は、電気粘性ダンパ6のERF7に印加する高電圧を発生する。
このために、高電圧ドライバ14は、電源となるバッテリ15に接続されている。これと共に、高電圧ドライバ14は、電極ピン16を介して電気粘性ダンパ6の電極筒12に接続されている。電極ピン16は、電気粘性ダンパ6の減衰力を切換えるアクチュエータとなるものである。即ち、電気粘性ダンパ6は、高電圧ドライバ14の電極ピン16に供給される制御電圧に基づいて減衰力が切換えられる(調整される)。
高電圧ドライバ14は、マイコン、昇圧回路(いずれも図示せず)を含んで構成されている。高電圧ドライバ14は、コントローラ21から出力される制御信号(減衰力指令値)に基づいて、バッテリから出力される直流電圧を昇圧回路で昇圧する。高電圧ドライバ14は、その昇圧した高電圧を、電極ピン16を介して電気粘性ダンパ6に供給(出力)する。
ポジションセンサ17は車両挙動検出手段を構成し、車体1に設けられている。ポジションセンサ17は、車両挙動としてのばね上とばね下の相対変位を検出し、その検出信号を後述のコントローラ21に出力する。なお、車両挙動検出手段は、ポジションセンサ17に限らず、ばね上加速度センサ、ばね下加速度センサでもよく、車高センサでもよい。
コントローラ21は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成されている。コントローラ21の入力側は、ポジションセンサ17と他のコントローラ18に接続されている。コントローラ21の出力側は、高電圧ドライバ14に接続されている。コントローラ21は、ROM、RAM、不揮発性メモリ等からなる記憶部21Aを有している。記憶部21Aには、減衰力指令値や補正指令を演算するプログラム等が格納されている。コントローラ21は、ポジションセンサ17と他のコントローラ18から得た車両情報(例えば、操舵入力等)に基づいて、目標減衰力を算出する。コントローラ18は、この目標減衰力に応じた減衰力指令値(制御電圧の指令値)を高電圧ドライバ14に出力する。
次に、実施形態のコントローラ21について、図1ないし図5を参照しつつ説明する。
図3に示すように、コントローラ21は、温度検出部22、減衰力指令演算部23、補正指令演算部24を含んで構成されている。
温度検出部22は、ERF7の温度の算出(推定)を行う。温度検出部22には、高電圧ドライバ14からの高電圧モニタ値および高電圧電流モニタ値が入力される。温度検出部22は、高電圧モニタ値と高電圧電流モニタ値とに基づいて、ERF7の温度を算出(推定)する。即ち、温度検出部22は、高電圧モニタ値と高電圧電流モニタ値とに基づいてERF7の抵抗値を算出する。具体的には、高電圧モニタ値を高電圧電流モニタ値で除算することにより、ERF7の抵抗値を算出する。
温度検出部22は、ERF7の抵抗値と高電圧モニタ値とから温度算出マップに基づいて、ERF7の温度を推定する。温度算出マップは、例えば、ERF7の「抵抗値」と「温度」と印加される「高電圧値」との関係(特性)に対応するマップとすることができる。温度算出マップは、予め実験、シミュレーション等により求めておき、コントローラ21の記憶部21Aに記憶しておく。温度検出部22は、温度算出マップを用いて、そのとき(現在)の抵抗値と高電圧値(高電圧モニタ値)とから、ERF7の温度を算出(推定)する。温度検出部22は、算出した温度(温度信号)を減衰力指令演算部23(指令値補正部23E)および補正指令演算部24(ダンパモデル24B)に出力する。
なお、実施形態では、温度の推定(算出)に、ERF7の抵抗値と温度と印加される高電圧値との関係(特性)に対応するマップを用いているが、マップに限定されるものではなく、例えば、抵抗値と温度と高電圧値の関係に対応する計算式(関数)、配列等を用いてもよい。また、電気粘性ダンパ6に取り付けた温度センサによって、ERF7の温度を直接的に検出してもよい。
図4に示すように、減衰力指令演算部23は、ばね上速度推定部23A、目標減衰力算出部23B、相対速度算出部23Cおよび指令値算出部23D、指令値補正部23Eを含んで構成されている。
ばね上速度推定部23Aは、ポジションセンサ17からの検出信号(即ち、相対変位)と、他のコントローラ18から得た車両情報とに基づいて、車体1の上下方向の変位速度をばね上速度として推定演算する。
目標減衰力算出部23Bは、ばね上速度推定部22Aから出力されるばね上速度に基づいて、電気粘性ダンパ6で発生させる目標減衰力を算出する。この目標減衰力は、例えばスカイフック制御理論より求めることができる。なお、目標減衰力を算出する制御則としては、スカイフック制御に限らず、例えば最適制御、H∞制御等のフィードバック制御を用いることができる。
相対速度算出部23Cは、ポジションセンサ17からの検出信号(即ち、相対変位)を微分することによって、ばね上とばね下との相対速度(ピストン速度)を算出する。
指令値算出部23Dは、目標減衰力算出部23Bから出力される信号(目標減衰力)と相対速度算出部23Cから出力される信号(相対速度)とに基づいて、基準の減衰力指令値を算出する。このとき、基準の減衰力指令値は、ERF7に劣化が生じていない状態(正常状態)で、かつ、予め決められた標準温度において、電気粘性ダンパ6が目標減衰力を発生させるために必要な制御電圧値(高電圧値)に対応している。
指令値補正部23Eは、指令値算出部23Dから出力される基準の減衰力指令値を、温度検出部22から出力される信号(ERF7の温度)に基づいて補正する。ERF7の粘度は、ERF7の温度が高いときに低下し、ERF7の温度が低いときに上昇する。そこで、指令値補正部23Eは、ERF7の温度と粘度との関係(特性)に対応した温度補正マップを用いて、ERF7の温度に応じて減衰力指令値を補正する。このとき、温度補正マップは、例えば、ERF7の温度上昇に伴う粘度および減衰力の低下を補うものであり、ERF7の温度と減衰力指令値としての制御電圧値との関係(特性)に対応するマップである。温度補正マップは、例えば予め実験、シミュレーション等により求めておき、コントローラ21の記憶部21Aに記憶しておく。
指令値補正部23Eは、温度補正マップを用いて、そのとき(現在)のERF7の温度から、目標減衰力を発生させるために必要な制御電圧値を補正する。即ち、ERF7の温度が標準温度よりも高いときには、標準温度からの温度上昇に伴う減衰力の低下を補うために、指令値補正部23Eは、制御電圧値を上昇させる。ERF7の温度が標準温度よりも低いときには、標準温度からの温度低下に伴う減衰力の上昇を補うために、指令値補正部23Eは、制御電圧値を低下させる。
これに加え、指令値補正部23Eは、指令値算出部23Dから出力される基準の減衰力指令値を、補正指令演算部24から出力される補正指令に基づいて補正する。ERF7の粘度は、温度に限らず、経年劣化によって、低下することがある。補正指令演算部24から出力される補正指令は、このようなERF7の経年劣化による減衰力の低下を補うものである。指令値補正部23Eは、温度および補正指令に基づいて補正された減衰力指令値を出力する。
図5に示すように、補正指令演算部24は、相対速度算出部24A、ダンパモデル24B、車両モデル24C、補正指令算出部24Dを含んで構成されている。
相対速度算出部24Aは、ポジションセンサ17からの検出信号(即ち、相対変位)を微分することによって、ばね上とばね下との相対速度(ピストン速度)を算出する。
ダンパモデル24Bは、電気粘性ダンパ6の数値モデルである。ダンパモデル24Bには、温度検出部22から出力されるERF7の温度と、減衰力指令演算部23(指令値補正部23E)から出力される減衰力指令値と、相対速度算出部24Aから出力される相対速度とが入力される。ダンパモデル24Bは、車両が予め決められた一定の条件を満たした場合、ERF7の温度と、減衰力指令値と、相対速度とに基づいて、電気粘性ダンパ6が発生する減衰力を推定した推定減衰力を算出する。推定減衰力を算出するための一定の条件としては、例えば操舵入力がなく、電気粘性ダンパ6(ERF7)の温度が著しく高温または低温ではなく、かつ、ばね上とばね下との間の相対変位が閾値を超えた場合が該当する。
また、ダンパモデル24Bには、補正指令算出部24Dから出力される減衰力指令値の補正指令が入力される。このとき、補正指令は、ERF7の劣化を補うものである。このため、ダンパモデル24Bは、補正指令に基づいて、ERF7の劣化を考慮した状態に更新される。
なお、ダンパモデル24Bは、正常状態の電気粘性ダンパ6の数値モデルでもよい。この場合、ダンパモデル24Bは、ERF7の温度と、補正指令とに基づいて、補正後の減衰力指令値から基準(補正前)の減衰力指令値を算出する。その上で、ダンパモデル24Bは、算出した基準の減衰力指令値に基づいて、電気粘性ダンパ6が発生する減衰力を推定することができる。
車両モデル24Cは、電気粘性ダンパ6が適用された車両の数値モデルである。車両モデル24Cには、全ての車輪2(4輪)の推定減衰力が、ダンパモデル24Bから入力される。これに加え、車両モデル24Cには、全ての車輪2(4輪)の電気粘性ダンパ6における相対速度が、相対速度算出部24Aから入力される。車両モデル24Cは、推定減衰力と相対速度とに基づいて、ばね上とばね下との間の相対変位を推定した推定相対変位を算出する。このとき、推定相対変位は、それぞれの車輪2毎に算出される。
補正指令算出部24Dは、車両モデル24Cから出力される推定相対変位と、ポジションセンサ17から出力される相対変位とを、それぞれの車輪2毎に比較する。ERF7が劣化したときには、ERF7の粘度が低下するから、電気粘性ダンパ6が発生する減衰力も低下する。このとき、図7に示すように、ばね上とばね下との間の相対変位は、ERF7が劣化していない正常状態に比べて、ERF7が劣化した劣化状態の方が大きくなる。このため、補正指令算出部24Dは、推定相対変位と実際の相対変位が、所定の許容範囲を超えて異なるときに、ERF7が劣化したものと判定する。このとき、補正指令算出部24Dは、ERF7の劣化に伴う減衰力の低下を補うために、相対変位の増加を相殺するような補正指令を算出する。
次に、コントローラ21による減衰力指令値の補正処理について、図1および図6を参照して説明する。なお、図6に示す流れ図のステップは、それぞれ「S」という表記を用い、例えばステップ1を「S1」として示すものである。図6に示す補正処理は、予め決められた制御周期毎に繰り返し実行される。
図6に示す補正処理を開始すると、コントローラ21は、S1で、ERF7の劣化が判定可能か否か、即ち推定減衰力を算出するための一定の条件を満たすか否かを判定する。推定減衰力を算出するための一定の条件としては、例えば操舵入力がなく、電気粘性ダンパ6(ERF7)の温度が著しく高温または低温ではなく、かつ、ばね上とばね下との間の相対変位が閾値を超えた場合が該当する。
S1で「NO」と判定したときには、一定の条件を満たしていないから、処理を終了する。一方、S1で「YES」と判定したときには、一定の条件を満たしているから、S2に移行する。
S2では、ダンパモデル24Bおよび車両モデル24Cは、ポジションセンサ17からの信号(相対変位)等に基づいて、電気粘性ダンパ6の動きを推定する。具体的には、ダンパモデル24Bは、ERF7の温度と、減衰力指令値と、相対速度とに基づいて、電気粘性ダンパ6が発生する減衰力を推定した推定減衰力を算出する。車両モデル24Cは、推定減衰力および相対速度に基づいて、ばね上とばね下との間の相対変位を推定した推定相対変位を出力する。
続くS3では、車両モデル24Cから出力された推定相対変位(推定値)と、ポジションセンサ17から出力された実際の相対変位(実際のダンパの動き)とを比較し、これらの差の絶対値が許容範囲を超えているか否かを判定する。許容範囲は、ポジションセンサ17の測定誤差、ダンパモデル24B、車両モデル24Cの演算誤差等を考慮して決められる。
推定相対変位と実際の相対変位との差が許容範囲内であれば、S3で「NO」と判定し、処理を終了する。一方、推定相対変位と実際の相対変位との差が許容範囲よりも大きいときには、電気粘性ダンパ6(ERF7)に劣化が生じているから、S3で「YES」と判定し、S4に移行する。
S4では、劣化した電気粘性ダンパ6の推定相対変位に合わせて、減衰力を上昇させるように、減衰力指令値を補正する。即ち、補正指令算出部24Dは、ERF7の劣化によって低下した減衰力を補うための、補正指令を算出する。これにより、コントローラ21は、減衰力の低下分に応じて、減衰力指令値を増加させる。
続くS5では、S4で補正した減衰力指令値が最大指令値以内か否かを判定する。即ち、電気粘性ダンパ6に供給可能な高電圧(制御電圧)には、上限値が存在する。このため、減衰力の低下を補うためであっても、上限値を超えた高電圧を供給することができない。S5で「YES」と判定したときには、補正した減衰力指令値は、最大指令値以内であるから、処理を終了する。一方、S5で「NO」と判定したときには、補正した減衰力指令値は、最大指令値を超えている。このため、S6に移行して、劣化した電気粘性ダンパ6以外の電気粘性ダンパ6を、劣化した電気粘性ダンパ6に合わせて減衰力を低下させる補正を行う。例えば左前輪の電気粘性ダンパ6が劣化した場合であって、補正した減衰力指令値は、最大指令値を超えたときには、右前輪の電気粘性ダンパ6の減衰力指令値を低下させる補正を行う。これにより、左側の電気粘性ダンパ6と右側の電気粘性ダンパ6との間で、減衰力の差を小さくすることができ、車両の左右方向でバランスを保つことができる。
なお、減衰力指令値の補正は、逐次行う必要はなく、例えば車両を走行させるときに1回だけ実行してもよい。このため、S4またはS5によって、減衰力指令値の補正を実行したときには、例えば、車両のイグニッションスイッチがONの間(エンジンが停止するまで)は、算出した補正値を保持して、電気粘性ダンパ6を制御してもよい。
かくして、本実施の形態によれば、コントローラ21は、ERF7の劣化を推定して減衰力指令(減衰力指令値)を補正する。このとき、コントローラ21は、左側の電気粘性ダンパ6の減衰力と、右側の電気粘性ダンパ6の減衰力との差が小さくなるように、減衰力指令を補正する。具体的には、左側の電気粘性ダンパ6でERF7の劣化が生じたときには、減衰力の低下を補うように、左側の電気粘性ダンパ6の減衰力指令値を上昇させる。このとき、劣化した左側の電気粘性ダンパ6について、補正した減衰力指令値が最大指令値を超えるときには、左右方向で反対側に位置する右側の電気粘性ダンパ6の減衰力を低下させる。以上のような補正処理は、右側の電気粘性ダンパ6に劣化が発生したときも同様である。これにより、左側の電気粘性ダンパ6と右側の電気粘性ダンパ6との間で、減衰力の差を小さくすることができ、車両の左右方向でバランスを保つことができる。
また、コントローラ21は、ERF7の温度に基づいて、ERF7の劣化を推定して減衰力指令を補正する。具体的には、コントローラ21は、ERF7の温度と、現在の減衰力指令値と、車両挙動(相対変位)とに基づいて、電気粘性ダンパ6の動作を推定し、この推定結果に基づいて減衰力指令値を補正する。このため、ERF7の粘度が、経年劣化に限らず、温度に応じて変化するときでも、温度に基づく減衰力の低下と、経年劣化による減衰力の低下とを区別することができる。この結果、経年劣化に応じた減衰力の低下を判別して、減衰力指令値を補正することができる。
さらに、電気粘性ダンパ6は、電界により粘性が変化するERF7を用いている。このため、ERF7の劣化によって電気粘性ダンパ6の減衰力が低下するときでも、ERF7に印加する電圧を上昇させることによって、減衰力の低下を補うことができる。
なお、前記実施の形態では、ユニフロー構造の緩衝器を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、バイフロー構造の緩衝器に適用してもよい。
前記実施の形態では、機能性流体としてのERF7(電気粘性流体)を用いた電気粘性ダンパ6(粘性ダンパ)に適用した場合を例に挙げて説明した。本発明はこれに限るものではなく、機能性流体としての磁性流体を用いた粘性ダンパに適用してもよい。
磁性流体を用いる場合には、中間筒である電極筒12を電極に代えて磁極とする(即ち、磁界供給部からの磁界を中間筒である磁極筒に付与する)構成とすることができる。この場合は、例えば、磁界供給部により、内筒と磁極筒との間(の磁極通路)に磁界を発生させ、発生減衰力を可変に調整するときには、磁界を可変に制御する。これにより、磁性流体に作用する磁界を調整し、磁性流体の性状を変化させることができる。
前記実施の形態では、4輪自動車に適用した場合を例に挙げて説明したが、4輪自動車に限らず、例えば左右でバランスを取るような多輪構成の自動車に適用してもよい。
前記実施の形態では、ダンパの劣化を判定する手段として、相対変位の推定値と検出値を比較して、電気粘性ダンパ6の劣化を判定する構成を例に挙げて説明した。本発明は、ばね上とばね下との間の相対変位に限らず、例えば相対速度、ばね上速度等に基づいて、ダンパの劣化を判定してもよい。
以上説明した実施の態様に基づくサスペンション制御装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様のサスペンション制御装置としては、電界または磁界により流体の性状が変化する機能性流体が封入され、印加される電界または磁界により減衰力を調整する粘性ダンパと、前記粘性ダンパに印加する電界または磁界を制御するための減衰力指令を出力するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記機能性流体の劣化を推定して前記減衰力指令を補正することを特徴としている。
第2の態様としては、第1の態様において、前記コントローラは、前記機能性流体の温度に基づいて、前記機能性流体の劣化を推定して前記減衰力指令を補正する。
第3の態様としては、第1または第2の態様において、前記粘性ダンパは、車両の左右方向の両側にそれぞれ設けられ、前記コントローラは、左側の前記粘性ダンパの減衰力と、右側の前記粘性ダンパの減衰力との差が小さくなるように、前記減衰力指令を補正する。
第4の態様としては、第1ないし第3のいずれかの態様において、前記機能性流体は、電界により粘性が変化する電気粘性流体である。
1 車体
2 車輪
4 サスペンション装置
5 スプリング(懸架ばね)
6 電気粘性ダンパ(粘性ダンパ)
7 電気粘性流体(機能性流体)
14 高電圧ドライバ
17 ポジションセンサ
21 コントローラ
22 温度検出部
23 減衰力指令演算部
24 補正指令演算部

Claims (4)

  1. 電界または磁界により流体の性状が変化する機能性流体が封入され、印加される電界または磁界により減衰力を調整する粘性ダンパと、
    前記粘性ダンパに印加する電界または磁界を制御するための減衰力指令を出力するコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、前記機能性流体の劣化を推定して前記減衰力指令を補正することを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 前記コントローラは、前記機能性流体の温度に基づいて、前記機能性流体の劣化を推定して前記減衰力指令を補正する請求項1に記載のサスペンション制御装置。
  3. 前記粘性ダンパは、車両の左右方向の両側にそれぞれ設けられ、
    前記コントローラは、左側の前記粘性ダンパの減衰力と、右側の前記粘性ダンパの減衰力との差が小さくなるように、前記減衰力指令を補正する請求項1または2に記載のサスペンション制御装置。
  4. 前記機能性流体は、電界により粘性が変化する電気粘性流体である請求項1ないし3のいずれかに記載のサスペンション制御装置。
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