JP2019003011A - 積層体、合わせガラス、ウィンドシールドガラス、映像表示システム - Google Patents

積層体、合わせガラス、ウィンドシールドガラス、映像表示システム Download PDF

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Abstract

【課題】可視光の一部を反射し、一部を透過する機能層を、透明基板で挟んだ際に、透明基板に求められる性質を維持したまま、映像表示システムの表示品位を改善する積層体、およびそれを用いた合わせガラス、ウィンドシールドガラス、映像表示システムを提供する。【解決手段】第1の透明基板と、可視光の一部を透過し一部を反射する機能層と、第2の透明基板を有し、機能層より第1の透明基板側の透過率をT1、機能層より第2の透明基板側の透過率をT2としたとき、下記式(1)を満たし、透過率が70%超である積層体。T1>T2(1)【選択図】なし

Description

本発明は、積層体、合わせガラス、ウィンドシールドガラス、映像表示システムに関する。
車載用途のヘッドアップディスプレイシステムをはじめ、透明のスクリーンに映像を投影するシステムの需要が高まってきている。その実現手段の一つとして、可視光の一部を透過させ、一部を反射させる、いわゆるハーフミラーをスクリーンに用いた映像表示システムが検討され、ハーフミラーの一つとして例えばコレステリック液晶層を用いることが検討されている(特許文献1)。
国際公開第2016/052367号
一方で、例えば車載用途として、合わせガラス中にハーフミラーを挟んだ際、合わせガラスに元々求められる遮熱性、色味等の性質により、映像表示システムの表示品位を下げてしまうことがあることがわかった。
そこで本発明では、可視光の一部を反射し、一部を透過する機能層を、透明基板で挟んだ際に、透明基板に求められる性質を維持したまま、映像表示システムの表示品位を改善する積層体、およびそれを用いた合わせガラス、ウィンドシールドガラス、映像表示システムを提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討の結果、第1の透明基板と、可視光の一部を透過し一部を反射する機能層と、第2の透明基板を有する積層体において、機能層より第1の透明基板側の透過率をT1、機能層より第2の透明基板側の透過率をT2としたとき、T1とT2を特定の関係とし、さらに積層体全体の透過率を特定の値とすることで、透明基板に求められる性質を維持したまま、映像表示システムの表示品位を改善する積層体、およびそれを用いた合わせガラス、ウィンドシールドガラス、映像表示システムを提供することができることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 第1の透明基板と、可視光の一部を透過し一部を反射する機能層と、第2の透明基板を有し、機能層より第1の透明基板側の透過率をT1、機能層より第2の透明基板側の透過率をT2としたとき、下記式(1)を満たし、透過率が70%超である積層体。
T1 > T2 (1)
ここで、透過率は、JIS R3212(2015)に記載の可視光線透過率試験、手順1)にそって測定した値を言う。
[2] 第1の透明基板と機能層の間、および、第2の透明基板と機能層の間にそれぞれ接着層を有する[1]に記載の積層体。
[3] 接着層がそれぞれ、ポリビニルブチラール、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含む[2]に記載の積層体。
[4] 機能層が、コレステリック液晶層、誘電体多層膜層、フレネルレンズを有する反射層、および、ハーフミラー状である反射層、のいずれかを有する[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 下記式(2)をさらに満たす[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
T1 − T2 > 3% (2)
[6] 第1の透明基板および第2の透明基板の少なくとも一方がガラス基板である[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 第1の透明基板および第2の透明基板の両方がガラス基板である[6]に記載の積層体。
[8] 第1の透明基板が無色ガラスであり、第2の透明基板が有色ガラスである[7]に記載の積層体。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の積層体を有する合わせガラス。
[10] [1]〜[8]のいずれかに記載の積層体、または[9]に記載の合わせガラスを有し、第2の透明基板が外光側に配置されるウィンドシールドガラス。
[11] [1]〜[8]のいずれかに記載の積層体、[9]に記載の合わせガラス、または[10]に記載のウィンドシールドガラスと、映像光を出射する映像源とを有し、第1の透明基板側に映像源が配置される映像表示システム。
本発明によれば、透明基板に求められる性質を維持したまま、映像表示システムの表示品位を改善する積層体、およびそれを用いた合わせガラス、ウィンドシールドガラス、映像表示システムを提供することができる。
本発明の積層体の実施形態の例を示す模式的な断面図である。 本発明の映像表示システムの実施形態の例を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、平行、直交とは厳密な意味での平行、直交を意味するのではなく、平行または直交から±5°の範囲を意味する。
また、本明細書において、液晶性組成物、液晶性化合物とは、硬化等により、もはや液晶性を示さなくなったものも概念として含まれる。
本明細書において、フィルム状または層状のものの面積および形状について言及する場合、特に断らない限り、その主表面(おもて面または裏面)の面積および形状をそれぞれ意味する。
本明細書において、円偏光につき「選択的」というときは、光の右円偏光成分または左円偏光成分のいずれかの光量が、他方の円偏光成分よりも多いことを意味する。具体的には「選択的」というとき、光の円偏光度は、0.3以上であることが好ましく、0.6以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。実質的に1.0であることがさらに好ましい。ここで、円偏光度とは、光の右円偏光成分の強度をI、左円偏光成分の強度をIとしたとき、|I−I|/(I+I)で表される値である。
本明細書において、円偏光につき「センス」というときは、右円偏光であるか、または左円偏光であるかを意味する。円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右円偏光であり、反時計回りに回る場合が左円偏光であるとして定義される。
本明細書においては、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向について「センス」との用語を用いることもある。コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向(センス)が右の場合は右円偏光を反射し、左円偏光を透過し、センスが左の場合は左円偏光を反射し、右円偏光を透過する。
本明細書において、「光」という場合、特に断らない限り、可視光かつ自然光(非偏光)の光を意味する。可視光線は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、通常、380nm〜780nmの波長域の光を示す。
本明細書において、光透過率の算出に関連して必要である光強度の測定は、例えば通常の可視スペクトルメータを用いて、リファレンスを空気として、測定したものであればよい。
本明細書において、単に「反射光」または「透過光」というときは、散乱光および回折光を含む意味で用いられる。
なお、光の各波長の偏光状態は、円偏光板を装着した分光放射輝度計またはスペクトルメータを用いて測定することができる。この場合、右円偏光板を通して測定した光の強度がI、左円偏光板を通して測定した光の強度がIに相当する。また、照度計やスペクトルメータに円偏光板を取り付けても測定することができる。右円偏光透過板をつけ、右円偏光量を測定、左円偏光透過板をつけ、左円偏光量を測定することにより、比率を測定できる。
本明細書において、p偏光は光の入射面に平行な方向に振動する偏光を意味する。入射面は反射面(合わせガラス表面など)に垂直で入射光線と反射光線とを含む面を意味する。p偏光は電場ベクトルの振動面が入射面に平行である。本明細書において、s偏光は光の入射面に垂直な方向に振動する偏光を意味する。
本明細書において、正面位相差は、Axometrics社製のAxoScanを用いて測定した値である。測定波長は特に言及しないときは550nmとする。正面位相差はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において可視光波長域内の波長の光をフィルム法線方向に入射させて測定した値を用いることもできる。測定波長の選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
本明細書において、液晶化合物の複屈折(Δn)は、「液晶・基礎編(岡野光治、小林駿介編)」のp.214に記載の方法に従って測定した値である。具体的には、液晶化合物を楔型セルに注入し、これに波長550nmの光を照射し、透過光の屈折角を測定することにより60℃におけるΔnを求めることができる。
本明細書において、「投映像(projection image)」は、前方などの周囲の風景ではない、使用するプロジェクターからの光の投射に基づく映像を意味する。投映像は、合わせガラス表面で観察される実像、または観察者から見てウインドシールドガラスの投映像表示部位の先に浮かび上がって見える虚像として観測される。
本明細書において、「画像(screen image)」はプロジェクターの描画デバイスに表示される像または、描画デバイスにより中間像スクリーン等に描画される像を意味する。
画像および投映像は、いずれも単色の像であっても、2色以上の多色の像であっても、フルカラーの像であってもよい。
《透過率》
本明細書において、透過率はJIS R3212(2015)に記載の可視光線透過率試験、手順1)にそって、SR-3UL1(トプコン社製)を用いて測定した値を言う。
<積層体>
図1に本発明の積層体の模式的な断面図を示す。本発明の積層体10は、第1の透明基板1と、可視光の一部を透過し一部を反射する機能層4と、第2の透明基板6を有し、機能層4より第1の透明基板1側の透過率をT1、機能層4より第2の透明基板6側の透過率をT2としたとき、下記式(1)を満たし、透過率が70%超である積層体である。
T1 > T2 (1)
ここで、透過率は、JIS R3212(2015)に記載の可視光線透過率試験、手順1)にそって測定した値を言う。
また、第1の透明基板1と機能層4の間に第1の接着層2、第2の透明基板6と機能層4の愛大に第2の接着層5を有していてもよい。また、機能層4の上に位相差層3を有していても良い。
また、本発明の積層体は間に他の層を有していたり、機能層が複数層からなっていてもよい。
上記構成とすることで、従来合わせガラスの機能としての遮熱性等を維持したまま、映像表示システムとしての表示性能(表示画像の明るさ、色味変化等)を向上することができる。さらに、外光の機能層による反射光の低減や、見た目の色味変化を減少させることができる。
すなわち、映像表示システムとして用いる場合の映像源側の透明基板側の透過率を上げ、反対側の透過率を下げることで、外光を吸収する能力は維持したまま、表示性能を上げることができる。
ここで、透過率T1、T2についてはそれぞれ、積層体における機能層よりも外側の領域全ての透過率としている。
すなわち、所望の構成とするために、透明基板の透過率を調整してもよいし、後述の接着層の透過率を調整してもよいし、機能層に支持体を設ける場合には支持体の透過率を調整してもよい。透過率を調整する方法としては、公知の色素を混ぜる方法等が挙げられる。
また、本発明の積層体は、より効果的に透明基板に求められる性質を維持したまま、映像表示システムの表示品位を改善することができるため下記式(2)を満たすことがさらに好ましい。
T1 − T2 > 3% (2)
〔透明基板〕
本発明に用いられる透明基板としては、各種公知の透明基板を用いることができる。具体的には、ガラス基板やポリカーボネート等の樹脂基板が挙げられる。
本発明の積層体をウィンドシールドガラスや映像表示システムに用いる場合、第1の透明基板を室内側または映像源側、第2の透明基板を外光側または映像源とは反対側とするのが好ましい。例えばガラス基板を用いる場合、第1の透明基板として無色ガラスを、第2の透明基板として有色ガラスを用いることが好ましい。
透明基板の厚みについては特に制限はないが、0.5mm〜5.0mm程度であればよく、1.0mm〜3.0mmが好ましく、1.6mm〜2.3mmがより好ましい。第1の透明基板および第2の透明基板の厚みは互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、第2の透明基板を1.9mm〜2.5mmとし、第1の透明基板を1.6mm〜1.9mmとしてもよい。
〔可視光の一部を透過し一部を反射する機能層〕
本発明に用いられる可視光の一部を透過し一部を反射する機能層は、積層体に入射する可視光の一部を透過し、一部を透過する機能層であれば特に限定はない。機能層として具体的には、コレステリック液晶層、誘電体多層膜層、フレネルレンズを有する反射層、ハーフミラー状である反射層等が挙げられる。
{コレステリック液晶層}
本発明に用いられるコレステリック液晶層としては、コレステリック液晶のベタ塗り層、および複数のコレステリック液晶ドットを含む層が挙げられる。
本発明に用いられるコレステリック液晶層は1つまたは2つ以上含まれていてよい。2つ以上のコレステリック液晶層の間には、配向層、接着層などの他の層が含まれていてもよい。また、コレステリック液晶層上に位相差層を有していてもよく、コレステリック液晶層と位相差層との間には、下地層、透明層などの他の層が含まれていてもよい。
(コレステリック液晶構造)
コレステリック液晶構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い状態となった構造であり、同時に、また外場や外力によって配向形態に変化を生じない構造であればよい。なお、コレステリック液晶構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶相は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させるとともに他方のセンスの円偏光を透過する円偏光選択反射を示すことが知られている。本明細書において、円偏光選択反射を単に選択反射ということもある。
円偏光選択反射性を示すコレステリック液晶相を固定した層を含むフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶構造またはコレステリック液晶層については、それらの従来技術を参照することができる。
コレステリック液晶構造の選択反射の中心波長λは、コレステリック相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶構造の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。なお、本明細書において、コレステリック液晶構造が有する選択反射の中心波長λは、コレステリック液晶層の法線方向またはコレステリック液晶ドットが形成されている面の法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長を意味する。
コレステリック液晶構造の選択反射中心波長と半値幅は下記のように求めることができる。
分光光度計UV3150(島津製作所)を用いてコレステリック液晶構造の透過スペクトル(コレステリック液晶層の法線方向から測定したもの)を測定すると、選択反射帯域に透過率の低下ピークがみられる。このピークの極小透過率と低下前の透過率との中間(平均)の透過率となる2つの波長のうち、短波長側の波長の値をλ(nm)、長波長側の波長の値をλ(nm)とすると、選択反射の中心波長λと半値幅Δλは下記式で表すことができる。
λ=(λ+λ)/2
Δλ=(λ−λ
上記のように求められる選択反射中心波長は上記法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長と略一致する。
上記のλ=n×Pの関係から分かるように、螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射の中心波長を調整できる。可視光領域で選択反射を示すコレステリック液晶層は可視光領域で選択反射の中心波長を有することが好ましい。n値とP値を調節して、例えば、赤色光、緑色光、青色光、に対して右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させるために、中心波長λを調節することができる。
例えば、ヘッドアップディスプレイシステムに用いる場合は、投映光が透明基板の表面または裏面で反射することで生じる二重像の低減のため、コレステリック液晶層に対して斜めに光が入射するように積層体を配置することが好ましい。このように、斜めに光が入射する場合は、選択反射の中心波長は短波長側にシフトする。そのため、投映像表示のために必要とされる選択反射の波長に対して、上記のλ=n×Pの式に従って計算されるλが長波長側となるようにn×Pを調整することが好ましい。屈折率nのコレステリック液晶層中でコレステリック液晶層の法線方向(コレステリック液晶層の螺旋軸方向)に対して光線がθの角度で通過するときの選択反射の中心波長をλとするとき、λは以下の式で表される。
λ=n×P×cosθ
例えば、コレステリック液晶層を用いるとき、屈折率1の空気中で投映像表示部位の法線に対し45°〜70°の角度でλ/2位相差層側から入射した光は、通常屈折率1.45〜1.80程度のλ/2位相差層を投映像表示部位の法線に対し23°〜40°の角度で透過し、屈折率1.61程度のコレステリック液晶層に入射する。コレステリック液晶層において光は26°〜36°の角度で透過するためこの角度と求める選択反射の中心波長を上記の式に挿入してn×Pを調整すればよい。
コレステリック液晶相のピッチは重合性液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調整することによって所望のピッチを得ることができる。なお、螺旋のセンスやピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
使用するコレステリック液晶層の選択反射の中心波長を、投映に用いられる光源の発光波長域、およびコレステリック液晶層の使用態様に応じて調整することにより光利用効率良く鮮明な投映像を表示することができる。特に各コレステリック液晶層の選択反射の中心波長をそれぞれ投映に用いられる光源の発光波長域などに応じて調整することにより、光利用効率良く鮮明なカラー投映像を表示することができる。コレステリック液晶層の使用態様としては、特にコレステリック液晶層への投映光の入射角、投映像を観察する方向などが挙げられる。
コレステリック液晶構造としては、螺旋のセンスが右または左のいずれかであるコレステリック液晶層が用いられる。コレステリック液晶構造の反射円偏光のセンスは螺旋のセンスに一致する。選択反射の中心波長が異なるコレステリック液晶構造の螺旋のセンスは全て同じであっても、異なるものが含まれていてもよいが、同じであることが好ましい。
選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類や混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
選択反射の半値幅Δλは、15nm〜200nm、15nm〜150nm、または20nm〜100nm等であればよい。
本発明に用いられるコレステリック液晶層は、支持体上に作成してもよい。支持体としては特に限定はなく、各種公知の支持体を用いることができ、具体的にはガラス基板、樹脂フィルム等が挙げられる。
積層体作成時に支持体を剥離してもよく、そのまま用いてもよい。
本発明の積層体において、支持体を用いる場合には、支持体は第2の透明基板側となるように配置することが好ましい。支持体に位相差がある場合には、第2の透明基板側とすることで、機能層で反射する光に与える影響を少なく出来る。一方で、支持体として位相差がほとんどないものを用いる場合には、第1の透明基板側としてもよい。
〔接着層〕
本発明に用いられる接着層としては、透明基板と機能層とを接着できる層であれば特に限定はない。第1の透明基板側の接着層を第1の接着層といい、第2の透明基板側の接着層を第2の接着層という。第一の接着層および第二の接着層は、材料、厚みなどにおいて、同一でも異なっていてもよい。
本明細書において単に接着層というときは、第一の接着層および第二の接着層のいずれをも示す意味である。 接着層は第一の透明基板と同一の形状および面積を有していればよい。接着層としては、合わせガラスの中間層に用いられるシートとして公知の接着層を用いることができる。接着層は樹脂を主成分として含む。主成分であるとは、中間膜シートの50質量%以上の割合を占める成分のことをいう。
樹脂は、合成樹脂であることが好ましい。例えば、樹脂は、熱可塑性樹脂であればよい。熱可塑性樹脂としては、従来から合わせガラスの中間層への用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられ、例えばポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。これらのうち、透明性、強度、耐光性等の観点から、ポリビニルアセタールが好ましい。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールを酸の存在下、アルデヒドでアセタール化した樹脂の総称であり、例えばアルデヒドとしてホルマリン(ホルムアルデヒド37%水溶液)を用いてアセタール化したポリビニルホルマール、アルデヒドとしてブタノール(ブチルアルコール)でアセタール化したポリビニルブチラール(以下、「PVB」ということがある)等が挙げられる。
上記の樹脂のうち、ポリビニルブチラールまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましく、ポリビニルブチラールがより好ましい。上述のようにポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドによりアセタール化して得ることができる。上記ポリビニルブチラールのアセタール化度の好ましい下限は40%、好ましい上限は85%であり、より好ましい下限は60%、より好ましい上限は75%である。
ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
また、上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は3000である。ポリビニルアルコールの重合度が200以上であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下しにくく、3000以下であると、樹脂膜の成形性がよく、しかも樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎず、加工性が良好である。より好ましい下限は500、より好ましい上限は2000である。
樹脂は、可塑剤の添加により可塑化されていることも好ましい。例えば、可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステル、糖エステル、または重縮合エステル等が用いられる。
可塑剤の添加量は、樹脂100質量部に対し、10質量部以上80質量部以下とすることが好ましい。10質量部以上の可塑剤の添加により、熱可塑性樹脂の可塑化を十分に行うことができる。また、可塑剤の添加量を80質量部以下とすることにより、樹脂層の強度を十分に保つことができる。
接着層または接着層形成のための組成物は、上記可塑剤のほか、赤外線遮蔽性微粒子、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上を含んでいてもよい。
接着層の厚みは、例えば0.1mm〜1.5mmが好ましく、0.2mm〜1.0mmがより好ましい。
<合わせガラス>
本発明の積層体は合わせガラスとして用いてもよい。即ち、第1の透明基板および第2の透明基板をそれぞれガラス基板として、第1のガラス基板と第2のガラス基板を第1の接着層、第2の接着層を介して接着し、合わせガラスとして用いることができる。この時、機能層は第1のガラス基板の全面に配置されていてもよく、また一部分に配置されていてもよい。
<ウィンドシールドガラス>
本発明の積層体、合わせガラスはウィンドシールドガラスとして用いても良い。ウィンドシールドガラスは、車、電車などの車両、飛行機、船、遊具などの乗り物一般の窓ガラスを意味する。ウィンドシールドガラスは乗り物の進行方向にあるフロントガラスであることが好ましい。ウィンドシールドガラスは車両のフロントガラスであることが好ましい。
なお、本発明において、ウィンドシールドガラスとして用いる場合には、第1の透明基板を室内側、第2の透明基板を外光側となるように配置することが好ましい。
<映像表示システム>
図2に本発明の映像表示システムの一例を示す。本発明の映像表示システムは、本発明の積層体10、合わせガラス、またはウィンドシールドガラスと、映像源300とを有する映像表示システムである。この時、第1の透明基板側1が映像源300側となるように、即ち映像源300からの投影光が第1の透明基板1を通過するように配置することが好ましい。言い換えると、第2の透明基板6側が、外光側となるように配置することが好ましい。
〔映像源〕
映像源はそれ自体が画像を表示するデバイスであってもよく、画像を描画できる光を発するデバイスであってもよい。映像源では、光源からの光が、光変調器、レーザー輝度変調手段、または描画のための光偏向手段などの描画方式で調整されていればよい。本明細書において、映像源は光源を含み、さらに、描画方式に応じて光変調器、レーザー輝度変調手段、または描画のための光偏向手段などを含むデバイスを意味する。
{光源}
光源は特に限定されず、LED(発光ダイオード、有機発光ダイオード(OLED)を含む)、放電管、およびレーザー光源などを用いることができる。これらのうち、LEDおよび放電管が好ましい。直線偏光を出射する映像源の光源に適しているからである。これらのうち、特にLEDが好ましい。LEDは発光波長が可視光領域において連続的でないため、後述するように特定波長域で選択反射を示すコレステリック液晶層が用いられているコンバイナとの組み合わせに適しているためである。
{描画方式}
描画方式としては、使用する光源や用途に応じて選択することができ、特に限定されない。
描画方式の例としては、蛍光表示管、液晶を利用するLCD(Liquid Crystal Display)方式およびLCOS(Liquid Crystal on Silicon)方式、DLP(登録商標)(Digital Light Processing)方式、レーザーを利用する走査方式などが挙げられる。描画方式は光源と一体となった蛍光表示管を用いた方式であってもよい。
LCD方式およびLCOS方式では、各色の光が光変調器で変調、合波され、投射レンズから光が出射する。
DLP方式は、DMD(Digital Micromirror Device)を用いた表示システムであり、画素数分のマイクロミラーを配置して描画され投射レンズから光が出射する。
走査方式は光線をスクリーン上で走査させ、目の残像を利用して造影する方式であり、例えば、特開平7−270711号公報、特開2013−228674号公報の記載が参照できる。レーザーを利用する走査方式では、輝度変調された各色(例えば、赤色光、緑色光、青色光)のレーザー光が合波光学系または集光レンズなどで1本の光線に束ねられ、光線が光偏向手段により走査されて後述する中間像スクリーンに描画されていればよい。
走査方式において、各色(例えば赤色光、緑色光、青色光)のレーザー光の輝度変調は光源の強度変化として直接行ってもよく、外部変調器により行ってもよい。光偏向手段としては、ガルバノミラー、ガルバノミラーとポリゴンミラーの組み合わせ、またはMEMS(微小電子機械システム)が挙げられ、このうちMEMSが好ましい。走査方法としては、ランダムスキャン方式、およびラスタースキャン方式等が挙げられるが、ラスタースキャン方式を用いることが好ましい。ラスタースキャン方式において、レーザー光は、例えば、水平方向は共振周波数で、垂直方向はのこぎり波で駆動されることができる。走査方式は投射レンズが不要であるため、装置の小型化が容易である。
映像源からの出射光は、直線偏光であっても自然光(非偏光)であってもよい。ヘッドアップディスプレイシステムに含まれる映像源からの出射光は、直線偏光であることが好ましい。描画方式がLCDまたはLCOSである映像源およびレーザー光源を用いた映像源は、本質的には出射光が直線偏光となる。出射光が直線偏光である映像源であって出射光が複数の波長(色)の光を含むものである場合は、複数の光の偏光の偏光方向(透過軸方向)は同一であるかまたは互いに直交していることが好ましい。市販の映像源は、出射光の赤、緑、青の光の波長域での偏光方向が均一ではないものがあることが知られている(特開2000−221449号公報参照)。具体的には、緑色光の偏光方向が赤色光の偏光方向および青色光の偏光方向と直交している例が知られている。
{中間像スクリーン}
上記のように、映像源は中間像スクリーンを使用するものであってもよい。本明細書において、「中間像スクリーン」は、画像が描画されるスクリーンである。すなわち、映像源を出射した光がまだ画像として視認できるものではない場合などにおいて、この光によって映像源は中間像スクリーンに視認可能な画像を形成する。中間像スクリーンにおいて描画された画像は中間像スクリーンを透過する光によりコンバイナに投映されていてもよく、中間像スクリーンを反射してコンバイナに投映されていてもよい。
中間像スクリーンの例としては、散乱膜、マイクロレンズアレイ、リアプロジェクション用のスクリーンなどが挙げられる。中間像スクリーンとしてプラスチック材料を用いる場合などにおいて、中間像スクリーンが複屈折性を有すると、中間像スクリーンに入射した偏光の偏光面や光強度が乱され、コンバイナにおいて、色ムラ等が生じやすくなるが、所定の位相差を有する位相差膜を用いることにより、この色ムラの問題が低減できる。
中間像スクリーンとしては、入射光線を広げて透過させる機能を有するものが好ましい。投映像拡大表示が可能となるからである。このような中間像スクリーンとしては、例えばマイクロレンズアレイで構成されるスクリーンが挙げられる。ヘッドアップディスプレイで用いられるマイクロアレイレンズについては、例えば、特開2012−226303号公報、特開2010−145745号公報、および特表2007−523369号公報に記載がある。
プロジェクターは映像源で形成された投映光の光路を調整する反射鏡などを含んでいてもよい。
合わせガラスであるウインドシールドガラスを投映像表示用部材として用いたヘッドアップディスプレイシステムについては、特開平2−141720号公報、特開平10−96874号公報、特開2003−98470号公報、米国特許第5013134号明細書、特表2006−512622号公報などを参照することができる。
合わせガラスは、特に、発光波長が可視光領域において連続的でないレーザーやLED、OLEDなどを光源に用いたプロジェクターと組み合わせて用いるヘッドアップディスプレイシステムに有用である。各発光波長に合わせて、コレステリック液晶層の選択反射の中心波長を調整できるからである。また、LCD(液晶表示装置)などの表示光が偏光しているディスプレイの投映に用いることもできる。
{投映光(入射光)}
入射光は、投映像表示部位の法線に対し45°〜70°の斜め入射角度で入射させることが好ましい。投映光がガラスの表面または裏面で反射することで生じる二重像の低減方法としてガラス面に投映光(p偏光)をブリュースター角で入射させ、ガラス表面からの反射光をゼロに近づけるためである。(例えば特表2006−512622号公報参照)。屈折率1.51程度のガラスと屈折率1の空気との界面のブリュースター角は約56°であり、上記の角度の範囲でp偏光を入射させることにより、投映像表示のための入射光のコレステリック液晶層に対してλ/2位相差層表面からの反射光が少なく、二重像の影響が小さい画像表示が可能である。上記角度は50°〜65°であることも好ましい。このとき、投映像の観察を入射光平面側において、λ/2位相差層の法線に対し、入射光とは反対側で45°〜70°、好ましくは50°〜65°の角度で行うことができる構成であればよい。
入射光は、コレステリック液晶層に対して第1の位相差層側から入射させ、第1の位相差層を経由してコレステリック液晶層に入射させればよい。すなわち、コレステリック液晶層に対して第1の位相差層を投映光の入射側に配置すればよい。また、入射光は、いずれの方向から入射してもよく、観察者の方向と対応させて、決定すればよい。例えば使用時の下方向から上記のような斜め入射角度で入射していればよい。
また、第1の位相差層(例えばλ/2位相差層)の遅相軸は、入射p偏光の振動方向(入射光の入射面)に対し、40°〜65°の角度をなしていることが好ましく、45°〜60°の角度をなしていることがより好ましい。
上述のように、ヘッドアップディスプレイにおける投映像表示の際の投映光は入射面に平行な方向に振動するp偏光であることが好ましい。プロジェクターの出射光が直線偏光ではない場合は、直線偏光フィルムをプロジェクターの出射光側に配して用いることによりp偏光としていてもよく、プロジェクターから合わせガラスまでの光路でp偏光とされていてもよい。上述のように、出射光の赤、緑、青の光の波長域での偏光方向が均一ではないプロジェクターについては、波長選択的に偏光方向を調節し、全ての色の波長域でp偏光として入射させることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明は以下の実施例に限定され制限されるものではない。
[実施例1]
<塗布液の調製>
(コレステリック液晶層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成のコレステリック液晶層形成用塗布液を調製した。
・下記混合物1 100質量部
・下記化合物A 0.05質量部
・下記化合物B 0.02質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が25質量%となる量
混合物1(下記数値は質量%を表す)
化合物A
化合物B
上記塗布液組成のキラル剤LC−756の処方量を調整して塗布液1〜2を調製した。それぞれの塗布液を用いて、以下の機能層作製時と同様に剥離性支持体上に単一層のコレステリック液晶層を作製し、反射特性を確認したところ、作製されたコレステリック液晶層はすべて右円偏光反射層であり、中心反射波長は下記表1のとおりであった。
(位相差層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成の位相差層形成用塗布液を調製した。
・混合物1 100質量部
・化合物A 0.05質量部
・化合物B 0.01質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が25質量%となる量
<剥離性支持体および機能層の積層体の作製>
(1)剥離性支持体(縦250mm×横280mm)として東洋紡(株)製PETフィルム(コスモシャインA4100、厚み:100μm)を使用し、その片面に、剥離性支持体の長辺方向を基準に時計回りに30°回転させた方向にラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf(0.98N)、回転数:1000rpm、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した。
(2)PETフィルムのラビングした表面に位相差層形成用塗布液をワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて50℃のホットプレート上に置き、フュージョンUVシステムズ株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm)にて6秒間UV照射し、液晶相を固定して、厚み1.8μmの位相差層を得た。このとき、位相差層のレタデーションをAxoScan(アクソメトリクス社製)で測定したところ、350nmであった。得られた位相差層の表面に塗布液1をワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて75℃のホットプレート上に置き、ヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm)にて6秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、厚み0.6μmのコレステリック液晶層を得た。得られたコレステリック液晶層の表面にさらに塗布液2を用いて同様の工程を繰り返し、塗布液2の層1.0μmを積層した。こうして位相差層および2層のコレステリック液晶層からなる機能層を持つ積層フィルムを得た。積層フィルムの透過スペクトルを分光光度計(日本分光株式会社製、V−670)で測定したところ、510nm、650nmに選択反射中心波長を有する透過スペクトルが得られた。
積層フィルムの機能層側に積水化学社製の厚み0.38mm、縦300mm×横300mmのPVB(ポリビニルブチラール)フィルムを、積層フィルムがPVBフィルムからはみ出さないように設置し、55℃、0.08MPa、1hrの条件で圧着した。
<合わせガラスの作製>
縦300mm×横300mm厚み2mm、透過率90%の第1のガラス板の上に同じサイズにカッティングした積水化学社製の厚み0.38mmのPVBフィルムを設置し、その上に剥離性支持体を剥離した積層フィルムを、機能層側(剥離面)を下面にして設置し、その上に縦300mm×横300mm厚み4mm、透過率80%の第2のガラス板を設置した。これを90℃、10kPa(0.1気圧)下で一時間保持した後に、オートクレーブ(栗原製作所製)にて115℃、1.3Mpa(13気圧)で20分間加熱して気泡を除去し、実施例1の合わせガラス1を作製した。下記の評価を行い、その結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1の合わせガラス1の作成において、剥離性支持体の代わりに、下記の光学吸収層付きTACフィルムを用い、厚み4mm、透過率80%の第2のガラス板の代わりに、厚み2mm、透過率90%の第2のガラス板を用いた以外は同様にして実施例2の合わせガラス2を作製した。下記の評価を行い、その結果を表2に示す。
<光学吸収層付きTACフィルムの作製>
WO2013/073502を参考に、TACフィルム(富士フイルム社製、TD80UL)上に光学吸収層を設け、面内均一なNDフィルターを作製した。ここで、ND=0.1(透過率80%)となるように、光学吸収層の膜厚を調整した。続いて、光学吸収層側とは反対側の表面に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。その後、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。形成された膜表面に、ラビングロールで搬送方向に平行な方向に1000回転/分で回転させてラビング処理を行い、光学吸収層付きTACフィルムを作製した。
(配向膜塗布液)
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 370質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
[比較例1]
実施例1のあわせガラスの作製において、厚み4mm、透過率80%の第2のガラス板の代わりに、厚み2mm、透過率90%の第2のガラス板を用いた以外は同様にして比較例1の合わせガラス3を作製した。下記の評価を行い、その結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1のあわせガラスの作製において、厚み2mm、透過率90%の第1のガラス板、厚み4mm、透過率80%の第2のガラス板の代わりに、厚み2mm、透過率85%の第1および第2のガラス板を用いた以外は同様にして比較例1の合わせガラス4を作製した。下記の評価を行い、その結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1の合わせガラスの作製において、第1のガラス板と第2のガラス板を入れ替えた以外は同様にして比較例3の合わせガラス5を作製した。下記の評価を行い、その結果を表2に示す。
《透過率》
上述した透過率の測定方法に従って、機能層よりも第1の基板側の透過率、機能層よりも第2の基板側の透過率、作製した合わせガラスの透過率を測定した。
《外光反射》
作製した合わせガラスを太陽光下に配置し、太陽光の反射光を目視観察した。比較例2の合わせガラス3と比較して下記の評価基準で評価した。
A:比較例2の合わせガラス3よりも眩しさが低減されている。
B:比較例2の合わせガラス3と眩しさが同等である。
C:比較例2の合わせガラス3よりも眩しい。
《画像視認性》
作製した合わせガラスに図2に示すように第1の基板側からp偏光を当て、表示画像を観察した。比較例2の合わせガラス3と比較して下記の評価基準で評価した。
A:比較例2の合わせガラス3よりも明るく視認性が良い。
B:比較例2の合わせガラス3と視認性が同等である。
C:比較例2の合わせガラス3よりも暗く視認性が悪い。
《遮熱性》
一方の面に開口部を持つ箱状構造物の開口部に作製した合わせガラスを貼った。この構造物に、日射角50°の方向から太陽光を照射し、箱内部に設置した黒体パネルの温度を測定した。比較例2の合わせガラス3と比較して下記の評価基準で評価した。
A:比較例2の合わせガラス3よりも温度が低い。
B:比較例2の合わせガラス3と温度が同等である。
C:比較例2の合わせガラス3よりも温度が高い。
1 第1の透明基板
2 第1の接着層
3 位相差層
4 可視光の一部を透過し一部を反射する機能層
5 第2の接着層
6 第2の透明基板
10 積層体
200 長辺方向
300 映像源

Claims (11)

  1. 第1の透明基板と、可視光の一部を透過し一部を反射する機能層と、第2の透明基板を有し、
    前記機能層より前記第1の透明基板側の透過率をT1、前記機能層より前記第2の透明基板側の透過率をT2としたとき、下記式(1)を満たし、
    透過率が70%超である積層体。
    T1 > T2 (1)
    ここで、前記透過率は、JIS R3212(2015)に記載の可視光線透過率試験、手順1)にそって測定した値を言う。
  2. 前記第1の透明基板と前記機能層の間、および、前記第2の透明基板と前記機能層の間にそれぞれ接着層を有する請求項1に記載の積層体。
  3. 前記接着層がそれぞれ、ポリビニルブチラール、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含む請求項2に記載の積層体。
  4. 前記機能層が、コレステリック液晶層、誘電体多層膜層、フレネルレンズを有する反射層、および、ハーフミラー状である反射層、のいずれかを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 下記式(2)をさらに満たす請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
    T1 − T2 > 3% (2)
  6. 前記第1の透明基板および第2の透明基板の少なくとも一方がガラス基板である請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記第1の透明基板および第2の透明基板の両方がガラス基板である請求項6に記載の積層体。
  8. 前記第1の透明基板が無色ガラスであり、前記第2の透明基板が有色ガラスである請求項7に記載の積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体を有する合わせガラス。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体、または請求項9に記載の合わせガラスを有し、
    前記第2の透明基板が外光側に配置されるウィンドシールドガラス。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体、請求項9に記載の合わせガラス、または請求項10に記載のウィンドシールドガラスと、
    映像光を出射する映像源とを有し、
    前記第1の透明基板側に前記映像源が配置される映像表示システム。
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