JP2019001875A - 仮接着剤、仮接着用支持基板、仮接着テープおよびこれらを用いた電子部品の製造方法 - Google Patents

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Yuma Sugisaki
祐真 杉崎
徹 岡沢
Toru Okazawa
徹 岡沢
藤原 健典
Takenori Fujiwara
健典 藤原
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Abstract

【課題】接着性、剥離性および耐薬品性に優れ、電子部品加工工程における有機溶剤使用時の剥がれを抑制し、かつ加工工程後に剥離可能な仮接着剤の提供。【解決手段】少なくとも式(1)で表される基を有するポリイミド樹脂、両末端にエポキシ基を有するシロキサンの特定構造を有するエポキシ樹脂、塩基系熱硬化触媒および特定構造を有するシロキサン重合体を含む仮接着剤。(nは1〜30の整数;R1〜R4は夫々独立にC1〜15のアルキル基又はC6〜10のアリール基)【選択図】なし

Description

本発明は、仮接着剤、これを用いた仮接着用支持基板、仮接着テープおよびこれらを用いた電子部品の製造方法に関する。
近年、高集積化により電子部品を高性能化・低コスト化するために、電子部品の軽量化・薄型化が進んでいる。薄型基板を加工する際には、熱による基板の反りや、ストレスによる基板の破損が生じやすいことから、ハンドリング性を向上させるために仮接着剤が使用されている。すなわち、加工する薄型基板を、仮接着剤を用いて支持基板上に仮接着して、必要な加工を行い、加工後の薄型基板を支持基板から剥離して用いることが行われている。このため、仮接着剤には、仮接着時の接着性および加工後の剥離性と、電子部品加工工程に耐える耐熱性、電子部品加工工程で使用される有機溶剤に対する耐薬品性が求められる。
接着剤に関しては、これまでに、例えば、芳香族テトラカルボン酸類およびダイマージアミンを含むジアミン類を反応させてなるポリイミド樹脂と、エポキシ基含有アルコキシシシラン部分縮合物とを反応させることにより得られる、アルコキシシリル基含有シラン変性ポリイミド樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、かかるポリイミド樹脂を仮接着剤として用いても、剥離することが困難であり、剥離性に課題があった。
仮接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂、硬化促進剤、無機フィラー、希釈剤、ジメチルシリコーンを含むエポキシ樹脂剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、かかる仮接着剤は接着性が低い課題があった。
そこで、耐熱性、接着性、剥離性に優れる仮貼り用接着剤として、ポリシロキサン系ジアミンの残基を含むポリイミド共重合体や、シロキサン重合体を除く樹脂とシロキサン重合体とを含有する樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2013−199646号公報 特開2015−78263号公報 国際公開第2016/21646号
しかしながら、特許文献3に記載の仮貼り用接着剤は、耐薬品性に乏しいため有機溶剤を使用する加工工程で剥がれが発生する課題があった。本発明は、接着性、剥離性および耐薬品性に優れ、電子部品加工工程における有機溶剤使用時の剥がれを抑制し、かつ加工工程後に剥離可能な仮接着剤を提供することを目的とする。
前記課題を達成するため、本発明の仮接着剤は主として下記の構成からなる。
少なくとも(a)一般式(1)で表される基を有するポリイミド樹脂、(b)一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂、(c)塩基系熱硬化触媒および(d)一般式(3)で表される構造を有するシロキサン重合体を含む仮接着剤。
Figure 2019001875
(一般式(1)中、nは1〜30の整数を示す。R〜Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 2019001875
(一般式(2)中、mは1〜30の整数を示す。RおよびRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基を示す。R〜R10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 2019001875
(一般式(3)中、lは31〜100の整数を示す。R11およびR12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15および酸素数1〜3の1価の有機基、または、炭素数1〜15および窒素数1〜3の1価の有機基を示す。R13〜R16は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
本発明の仮接着剤は、耐薬品性に優れ、電子部品加工工程における有機溶剤使用時の剥がれを抑制することができる。また、接着性および加工工程後の剥離性に優れ、室温で温和な条件で剥離することができる。
本発明の仮接着剤は、少なくとも(a)前記一般式(1)で表される基を有するポリイミド樹脂、(b)前記一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂、(c)塩基系熱硬化触媒および(d)前記一般式(3)で表されるシロキサン重合体を含む。(a)前記一般式(1)で表される基を有するポリイミド樹脂を含有することにより、接着性を向上させることができ、(d)前記一般式(3)で表されるシロキサン重合体を含有することにより、剥離性を向上させることができる。さらに、(b)前記一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂および(c)塩基系熱硬化触媒を含有することにより、(b)前記一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂を硬化させた状態で仮接着することができるため、耐薬品性を大幅に向上させることができる。
本発明の仮接着剤は、(a)下記一般式(1)で表される基を有するポリイミド樹脂(以下、「(a)ポリイミド樹脂」と記載する)を含有する。ここで、本発明における「ポリイミド樹脂」とは、環状のイミド構造を有するポリイミド樹脂の他、加熱して閉環することによりポリイミド樹脂となるポリイミド前駆体や、その一部のみが閉環したポリイミド前駆体も含むものとする。
Figure 2019001875
一般式(1)中、nは1〜30の整数を示す。R〜Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。nを1以上とすることにより、接着性を向上させることができる。nは5以上が好ましい。一方、nを30以下とすることにより溶媒への溶解性を向上させることができる。nが30を超えると、ゲル化が生じポリイミド樹脂を合成することができない。
(a)ポリイミド樹脂は、ジアミン残基および/または酸二無水物残基の少なくとも一部に前記一般式(1)で表される基を有する。ジアミン残基の少なくとも一部に前記一般式(1)で表される基を有する場合、前記一般式(1)で表される基を有するジアミン残基を、全ジアミン残基中40〜99.9モル%含有することがより好ましい。40モル%以上含有することにより、接着性をより向上させることができる。99.9モル%以下含有することにより、耐熱性をより向上させることができる。
(a)ポリイミド樹脂のジアミン残基を構成するジアミンのうち、前記一般式(1)で表される基を有するジアミンとしては、例えば、下記一般式(4)で表される構造を有するポリシロキサン系ジアミンが挙げられる。
Figure 2019001875
一般式(4)中、kは1〜30の整数を示す。R17およびR18は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基を示す。R19〜R22は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。kを1以上とすることにより、接着性をより向上させることができる。kは5以上が好ましい。一方、kを30以下とすることにより、溶媒への溶解性を向上させることができる。kが30を超えると、ゲル化が生じポリイミド樹脂を合成することができない。
一般式(4)におけるkの値は、ポリシロキサン系ジアミンの構造と平均分子量を算出することにより求めることができる。ポリシロキサン系ジアミンの構造は、日本電子(株)製FT NMR装置JNM−ECZR(製品名)を用いたフーリエ核磁気共鳴分光法により求めることができる。ポリシロキサン系ジアミンの平均分子量は、ポリシロキサン系ジアミンのアミノ基の中和滴定により測定されるアミノ基当量を2倍することにより算出することができる。ここで、ポリシロキサン系ジアミンのアミノ基当量は、所定量のポリシロキサン系ジアミンを、所定量のイソプロピルアルコール(以下、「IPA」と記載する)とトルエンの1:1(重量比)混合溶液に溶解した溶液に、撹拌しながら0.1N塩酸水溶液を滴下し、中和点までの0.1N塩酸水溶液の滴下量から求めることができる。なお、ポリシロキサン系ジアミンはkの値が異なるものの混合物である場合があるため、前述の方法により求められるkの値は整数でない場合がある。
一般式(4)で表される構造を有するポリシロキサン系ジアミンとしては、例えば、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノエチル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノエチル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノエチル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノエチル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノペンチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノペンチル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノペンチル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノペンチル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノペンチル)ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
(a)ポリイミド樹脂のジアミン残基を構成するジアミンのうち、前記一般式(1)で表される基を有しないジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミンなどが挙げられる。前記一般式(1)で表される基を有しないジアミン残基を、全ジアミン残基中0.1〜60モル%含有することが好ましい。
芳香族ジアミンとしては、例えば、2,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノフェニルヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノフェニルプロパンメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン)プロパン、ビス(4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン)スルホン、ビス(4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ))ビフェニル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,6−ジアミノ安息香酸、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノベンズアニリド、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メトキシ−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−カルボン酸、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−メチル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−メトキシ、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−エチル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−3−カルボン酸、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−3−メチル、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,4−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、p−アミノベンジルアミン、m−アミノベンジルアミン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
脂環式ジアミンとしては、例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ベンジジンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
これらの芳香族ジアミンおよび脂環式ジアミンの中でも、接着性をより向上させる観点から、屈曲性の高い構造を有する芳香族ジアミンが好ましい。屈曲性の高い構造を有する芳香族ジアミンとしては、例えば、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
(a)ポリイミド樹脂は、ジアミン残基および/または酸二無水物残基の少なくとも一部に前記一般式(1)で表される基を有する。酸二無水物残基の少なくとも一部に前記一般式(1)で表される基を有する場合、前記一般式(1)で表される基を有する酸二無水物残基残基を、全酸二無水物残基中40〜99.9モル%含有することがより好ましい。40モル%以上含有することにより、接着性をより向上させることができる。99.9モル%以下とすることにより、耐熱性をより向上させることができる。
(a)ポリイミド樹脂の酸二無水物残基を構成する酸二無水物のうち、前記一般式(1)で表される基を有する酸二無水物としては、例えば、下記一般式(6)で表される構造を有するポリシロキサン系酸二無水物が挙げられる。
Figure 2019001875
一般式(6)中、jは1〜30の整数を示す。R25およびR26は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基を示す。R27〜R30は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。jを1以上とすることにより、接着性をより向上させることができる。jは5以上が好ましい。一方、jを30以下とすることにより、溶媒への溶解性を向上させることができる。jが30を超えると、ゲル化が生じポリイミド樹脂を合成することができない。
一般式(6)におけるjの値は、ポリシロキサン系酸二無水物の構造と平均分子量を算出することにより求めることができる。ポリシロキサン系酸二無水物の構造は、日本電子(株)製FT NMR装置JNM−ECZR(製品名)を用いたフーリエ核磁気共鳴分光法により求めることができる。ポリシロキサン系酸二無水物の平均分子量は、ポリシロキサン系酸二無水物のカルボキシル基の中和滴定により測定されるカルボキシル基を4倍することにより算出することができる。ここで、ポリシロキサン系酸二無水物のカルボキシル基当量は、所定量のポリシロキサン系酸二無水物を、所定量のIPAとトルエンの1:1(重量比)混合溶液に溶解した溶液に、撹拌しながら0.1N水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、中和点までの0.1N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量から求めることができる。なお、ポリシロキサン系酸二無水物はjの値が異なるものの混合物である場合があるため、前述の方法により求められるjの値は整数でない場合がある。
一般式(6)で示される構造を有するポリシロキサン系酸二無水物としては、例えば、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)プロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)プロピル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)プロピル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)プロピル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)プロピル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)エチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)エチル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)エチル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)エチル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)エチル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ブチル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ブチル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ブチル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ブチル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ペンチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ペンチル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ペンチル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ペンチル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)ペンチル)ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
ポリイミド樹脂の酸二無水物残基を構成する酸二無水物のうち、前記一般式(1)で表される基を有しない酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。前記一般式(1)で表される基を有しない酸二無水物残基を、全酸二無水物残基中0.1〜60モル%含有することが好ましい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’ジメチル−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’ジメチル−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホキシドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメチレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−イソプロピリデンジフタル酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
(a)ポリイミド樹脂は、例えば、前記一般式(1)で表される基を有するジアミンおよび/または酸二無水物と、必要に応じてその他のジアミンおよび/または酸二無水物を重合することにより得ることができる。原料となるジアミンと酸二無水物のモル比は、得られるポリイミド樹脂の分子量や粘度に応じて適宜設定することができる。ジアミン/酸二無水物のモル比を95/100〜100/95とすることが一般的である。ジアミン/酸二無水物のモル比を100/100に近づけるほど、ポリイミド樹脂の分子量が向上するため、仮接着剤の接着性や機械強度をより向上させることができる。
ジアミンまたは酸二無水物のどちらかを過剰にし、ポリイミド鎖末端を末端封止剤により封止することもできる。末端封止剤としては、酸成分とアミン成分が挙げられる。ジアミンとアミン成分の末端封止剤を含めたアミン当量と、酸二無水物と酸成分の末端封止剤を含めた酸当量とを等モルにすることが好ましい。酸成分の末端封止剤としては、例えば、安息香酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸などのカルボン酸やカルボン酸無水物などが挙げられる。アミン成分の末端封止剤としては、例えば、アニリンなどのモノアミンなどが挙げられる。
(a)ポリイミド樹脂は、例えば、有機溶剤中、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を0〜100℃で1〜100時間撹拌して、ポリイミド樹脂前駆体であるポリアミド酸樹脂溶液を得た後、さらに120〜300℃に加熱して1〜100時間撹拌して閉環させることにより、ポリイミド樹脂溶液として得ることができる。この時、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンなどを反応溶液中に添加し、イミド化反応により出る水を、これら溶媒と共沸させて除去してもよい。
本発明の仮接着剤は(b)一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂(以下、「(b)エポキシ樹脂」と記載する)を含有する。
Figure 2019001875
一般式(2)中、mは1〜30の整数を示す。RおよびRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基を示す。R〜R10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。mを1以上とすることにより、耐薬品性を向上させることができる。mを30以下とすることにより、接着性を向上させることができる。mが30を超えると、接着性が低下する。
(b)エポキシ樹脂としては、例えば、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)プロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)プロピル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)プロピル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)プロピル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)プロピル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ブチル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ブチル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ブチル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ブチル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ペンチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ペンチル)ポリジエチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ペンチル)ポリジプロピルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ペンチル)ポリジブチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ペンチル)ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)プロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−(オキシラン−2−イル)ペンチル)ポリジメチルシロキサンが好ましい。これらは信越化学工業(株)製X−22−163 (製品名)として市販されている。
本発明の仮接着剤における(b)エポキシ樹脂の含有量は、耐薬品性をより向上させる観点から、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して5質量部以上が好ましい。一方、(b)エポキシ樹脂の含有量は、接着性をより向上させる観点から、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。
本発明の仮接着剤は、(c)塩基系熱硬化触媒を含有する。(c)塩基系熱硬化触媒としては、エポキシ樹脂組成物の硬化触媒として公知のものが挙げられ、例えば、第三級アミン類、イミダゾール類、それらの有機カルボン酸塩、有機カルボン酸金属塩、金属−有機キレート化合物、芳香族スルホニウム塩、有機ホスフィン化合物類、ホスホニウム化合物類等のリン系硬化触媒、これらの塩類等が挙げられる。これらを2種硫黄含有してもよい。これらの中でも、イミダゾール類が好ましい。イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−イミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール塩酸塩、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイトなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明の仮接着剤における(c)塩基系熱硬化触媒の含有量は、(b)エポキシ樹脂の硬化をより効果的に進めて耐薬品性をより向上させる観点から、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して0.05質量部以上が好ましい。一方、(c)塩基系熱硬化触媒の含有量は、接着性をより向上させる観点から、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
本発明の仮接着剤は、(d)一般式(3)で表される構造を有するシロキサン重合体(以下「(d)シロキサン重合体」と記載する)を含有する。
Figure 2019001875
一般式(3)中、lは31〜100の整数を示す。lを31以上とすることにより、硬化後の仮接着剤表面の接着性を低下させて剥離性を向上させることができる。lが31未満の場合、剥離性が低下する。一方、lを100以下とすることにより、仮接着剤中における(a)ポリイミド樹脂との相溶性を向上させることができる。
一般式(3)中、R11およびR12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15および酸素数1〜3の1価の有機基、または、炭素数1〜15および窒素数1〜3の1価の有機基を示す。R13〜R16は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。炭素数1〜15および酸素数1〜3の1価の有機基としては、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、オキセタン基、エーテル基、アミド基、イミド基、ニトロ基、エステル基、イソシアネト基などが挙げられる。炭素数1〜15および窒素数1〜3の1価の有機基としては、例えば、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、イソシアネト基などが挙げられる。
本発明の仮接着剤における(d)シロキサン重合体の含有量は、硬化後の仮接着剤表面の接着性をより低下させ、剥離性をより向上させる観点から、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して0.05質量部以上が好ましい。一方、(d)シロキサン重合体の含有量は、接着性をより向上させる観点から、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
本発明の仮接着剤は、さらに(e)シランカップリング剤を含むことが好ましい。(e)シランカップリング剤を含有することにより、仮接着剤の接着性をより向上させ、電子部品加工工程中の電子部品材料と支持基板の剥がれをより抑制することができる。
(e)シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。耐熱性をより向上させる観点から、(e)シランカップリング剤は、芳香族環構造を有することが好ましい。芳香族環構造を持つシランカップリング剤としては、例えば、p−スチリルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
本発明の仮接着剤における(e)シランカップリング剤の含有量は、接着性をより向上させる観点から、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して0.05質量部以上が好ましい。一方、(e)シランカップリング剤の含有量は、剥離性および耐熱性をより向上させる観点から、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
本発明の仮接着剤は、さらに(f)無機粒子を含有することが好ましい。(f)無機粒子を含有することにより、仮接着剤の硬化後の耐熱性をより向上させることができる。無機粒子の数平均粒子径は、耐熱性をより向上させる観点から、2nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。一方、粒子の分散安定性を向上させる観点から5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。本発明における(f)無機粒子の数平均粒子径とは、比表面積法換算値を指す。(f)無機粒子を乾燥し、焼成した後、比表面積を測定し、粒子を球と仮定して比表面積から粒子径を求め、その数平均値を算出することにより、数平均粒子径を求めることができる。比表面積の測定には、アサップ2020(商品名、Micromeritics社製)などを用いることができる。
(f)無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、石英粉、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明の仮接着剤における(f)無機粒子の含有量は、硬化後の耐熱性をより向上させる観点から、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して0.1質量部以上が好ましい。一方、接着性および剥離性のバランスをより向上させる観点から、(f)無機粒子の含有量は、(a)ポリイミド樹脂100質量部に対して40質量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましい。
本発明の仮接着剤は、溶媒を含有してもよい。溶媒を含有することにより、後述する各塗布方法に適した粘度に調整することができる。溶媒の含有量は(a)ポリイミド樹脂100重量部に対して5重量部以上100,000重量部以下が好ましい。
本発明の仮接着剤に用いる溶媒としては、例えば、極性の非プロトン性溶媒、エーテル類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類などの溶媒が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、溶解性の観点から、エーテル類が好ましい。エーテル類としては、例えば、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
前記(a)ポリイミド樹脂を重合する方法において、重合溶媒として用いた有機溶媒を、重合溶液から除去することなく、仮接着剤に含まれる溶剤とすることもできる。
本発明の仮接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で(b)エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂や、その他の樹脂を含有することができる。また、粘着性、耐熱性、塗工性、保存安定性などの特性を改良する目的で界面活性剤を含有してもよい。
本発明の仮接着剤は、前述の(a)ポリイミド樹脂、(b)エポキシ樹脂、(c)塩基系熱硬化触媒、(d)シロキサン重合体および必要に応じてその他の成分を混合することにより得ることができる。なお、(f)無機粒子やその他の樹脂、界面活性剤などの添加剤は、(a)ポリイミド樹脂の重合時に添加してもよいし、重合後に添加してもよい。撹拌装置を付した容器に、前述した各要素を所定量加えて撹拌することが好ましい。撹拌時の温度は特に制限されないが、撹拌効率の観点から、0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。一方、保存安定性の観点から、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。撹拌時間は、仮接着剤を均一化する観点から、1時間以上が好ましい。一方、作業効率の観点から100時間以下が好ましく、20時間以下がより好ましい。
本発明の仮接着剤は、仮接着用支持基板および仮接着テープに好適に用いることができる。本発明の仮接着用支持基板および仮接着テープは、前記仮接着剤の硬化物からなる仮接着層を有する。
本発明の仮接着用支持基板について説明する。本発明の仮接着用支持基板は、支持基板と、前記仮接着剤の硬化物からなる仮接着層を有する。仮接着層を支持基板の片面に有してもよいし、両面に有してもよい。ここで、本発明における「支持基板」とは、その材質や厚みによらず、板状のものを言う。支持基板としては、例えば、シリコンウエハ、金属基板、ガラス基板、プラスチックフィルムなどが挙げられる。電子部品製造工程への適応しやすさの観点から、シリコンウエハが好ましい。支持基板の厚みは、支持体としての強度の観点から、300μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましい。一方、ハンドリング性の観点から、1cm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。仮接着層の厚みは、接着性をより向上させる観点から、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。一方、ハンドリング性の観点から、500μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
本発明の仮接着用支持基板は、本発明の仮接着剤の硬化物からなる仮接着層を、支持基板上の片面または両面に積層することにより得ることができる。例えば、仮接着剤を支持基板上に塗布し、溶剤を含む場合には乾燥により溶剤を除去する方法や、仮接着剤をベースフィルム上に塗布し、溶剤を含む場合には乾燥により溶剤を除去して得られる仮接着層を積層した転写フィルムを支持基板に圧着した後、ベースフィルムのみを剥離し、仮接着層を支持基板上に転写する方法などにより得ることができる。ここで、本発明における「ベースフィルム」とは、一旦仮接着層を塗布形成した後に、目的の基材に圧着して、最終的に剥離されるフィルムを言う。
仮接着剤の支持基板上への塗布方法としては、例えば、スピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リバースコーター、ドクターブレードフロートコーター、グラビアコーター、スリットダイコーターなどを用いる方法が挙げられる。塗布後の乾燥には、オーブンやホットプレートなどの加熱装置を用いることができる。乾燥温度は、耐熱性の観点から、50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。一方、接着性の観点から、400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましい。乾燥時間は、耐熱性の観点から、1分間以上が好ましい。一方、接着性の観点から、3時間以下が好ましい。例えば、仮接着剤を塗布した支持基板を連続的または断続的に熱処理して、仮接着剤中の溶剤の除去および硬化を行うことにより、仮接着用支持基板を得ることができる。
ベースフィルムとしては、例えば、金属基板、ガラス基板、プラスチック基板などが挙げられる。中でもプラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムとして、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエステルフィルム、芳香族ポリエステルフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム(PTFE)等のフッ素含有ポリマーフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリスルホンフィルムなどが挙げられる。プラスチックフィルムの具体例としては(以下、商品名)、“ルミラー”(登録商標)、“トレリナ”(登録商標)、“トレファン”(登録商標)(東レ(株)製)、“カプトン”(登録商標)(東レ・デュポン(株)製)、“ユーピレックス”(登録商標)(宇部興産(株)製)、“アピカル”(登録商標)((株)カネカ製)等が挙げられる。転写時にプラスチックフィルムの剥離性を向上させる観点から、プラスチックフィルムの片面または両面に、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等による離型処理が施されていることが好ましい。
転写フィルムの支持基板への圧着装置としては、例えば、プレスやロールラミネータ等が挙げられる。圧着温度は、仮接着層を支持基板とより良好に接着させる観点から、20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。一方、仮接着層をプラスチックフィルムからより良好に剥離する観点から、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。圧着圧力は、仮接着層を支持基板とより良好に接着させる観点から、0.1MPa以上が好ましく、0.2MPa以上がより好ましい。一方、仮接着層をプラスチックフィルムからより良好に剥離する観点から、2.0MPa以下が好ましく、1.5MPa以下がより好ましい。圧着雰囲気としては、例えば、空気中、窒素中、真空中などが挙げられる。残存溶媒や気体によるボイドを防ぐ観点から、真空中が好ましい。
支持基板上の両面に仮接着層を積層する場合、仮接着剤を片面ずつ塗布・乾燥または仮接着層を転写してもよく、両面同時に仮接着剤を塗布・乾燥または仮接着層を転写してもよい。必要に応じて、塗工した仮接着剤表面に、離型処理されたフィルムを積層してもよい。
本発明の仮接着テープについて説明する。本発明の仮接着テープは、支持フィルムと、前記仮接着剤の硬化物からなる仮接着層を有する。仮接着層を支持フィルムの片面に有してもよいし、両面に有してもよい。ここで、本発明における「支持フィルム」とは、1μm〜500μmの厚みを有するものを言う。支持フィルムとしては、例えば、金属基板、ガラス基板、プラスチックフィルムなどが挙げられる。柔軟性の観点からプラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムとしては、例えば、全述のベースフィルムとして例示したものが挙げられる。ガラス転移温度の観点から、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムが好ましい。ポリイミドフィルムの具体例としては、“カプトン”(登録商標)(東レ・デュポン(株)製)などが挙げられる。支持フィルムの厚みは、支持体としての強度の観点から、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。一方、柔軟性の観点から、300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。仮接着層の厚みは、接着性をより向上させる観点から、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。一方、ハンドリング性の観点から、500μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
本発明の仮接着テープは、目的の基材と接着した後に支持フィルムを剥離せず用いる粘着フィルムとして用いてもよいし、目的の基材と接着した後に支持フィルムを剥離して用いる転写フィルムとして用いてもよい。粘着フィルムとして用いる場合、支持フィルムと仮接着層の接着性の観点から、支持フィルムの片面または両面には、接着性改良処理が施されていることが好ましい。接着改良処理としては、常圧プラズマ処理、コロナ放電処理、低温プラズマ処理などの放電処理が好ましい。転写フィルムとして用いる場合、転写時にプラスチックフィルムの剥離性をより向上させる観点から、プラスチックフィルムの片面または両面に、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等による離型処理が施されていることが好ましい。
本発明の仮接着テープは、本発明の仮接着剤の硬化物からなる仮接着層を、支持フィルム上の片面または両面に積層することにより得ることができる。例えば、仮接着剤を支持フィルム上に塗布し、溶剤を含む場合には乾燥により溶剤を除去する方法や、仮接着剤をベースフィルム上に塗布し、溶剤を含む場合には乾燥により溶剤を除去して得られる仮接着層を積層した転写フィルムを支持フィルムに圧着した後、ベースフィルムのみを剥離し、仮接着層を支持フィルム上に転写する方法などにより得ることができる。
仮接着剤の支持フィルム上への塗布方法としては、例えば、支持基板上への塗布方法として例示した方法が挙げられる。乾燥条件は仮接着用支持基板と同様である。
転写フィルムの支持フィルムへの圧着方法としては、例えば、支持基板上との圧着方法として例示した方法が挙げられる。圧着条件は仮接着用支持基板と同様である。
支持フィルム上の両面に仮接着層を積層する場合、仮接着剤を片面ずつ塗布・乾燥または仮接着層を転写してもよく、両面同時に仮接着剤を塗布・乾燥または仮接着層を転写してもよい。必要に応じて、塗工した仮接着剤表面に、離型処理されたフィルムを積層してもよい。
転写した仮接着層と他の基材との圧着方法としては、例えば、支持フィルムを剥離した後、例えば、プレスやロールラミネータ等を用いて圧着する方法が挙げられる。圧着条件としては、例えば、支持基板上との圧着方法における圧着条件として例示した条件が挙げられる。
一般的に、加工する電子部品材料の厚みが100μm以下程度になると搬送が困難になるため、加工する電子部品材料を、仮接着剤を用いて支持基板または支持フィルム上に仮接着して、必要な加工を行い、加工後の電子部品材料を支持基板または支持フィルムから剥離して用いることが好ましい。本発明の仮接着剤、仮接着用支持基板および仮接着テープは、電子部品材料の仮接着に好適に用いることができる。すなわち、前述の仮接着剤、仮接着用支持基板または仮接着テープを用いて、電子部品材料を仮接着する工程および加工後の電子部品を剥離する工程を含む製造方法により、電子部品を製造することが好ましい。本発明の仮接着剤は耐薬品性に優れることから、電子部品材料を仮接着する工程の後に、有機溶剤を使用する工程を有する電子部品の製造方法に好適に用いることができる。
電子部品材料と支持基板または支持フィルムとの仮接着方法としては、例えば、支持基板または支持フィルム上に仮接着層を形成して電子部品材料と圧着する方法、電子部品材料上に仮接着層を形成して支持基板または支持フィルムと圧着する方法、前述の仮接着用支持基板または仮接着テープと電子部品材料を圧着する方法などが挙げられる。支持基板上や支持フィルム上、電子部品材料上に仮接着層を形成する方法としては、支持基板上や支持フィルム上、電子部品材料上に仮接着剤を塗布する方法、支持基板上や支持フィルム上、電子部品材料上に、仮接着層を有する転写フィルムを圧着した後、ベースフィルムのみを剥離し、仮接着層を支持フィルム上に転写する方法などが挙げられる。
支持基板、支持フィルムまたは電子部品材料上への仮接着剤の塗布方法としては、例えば、スピンコーター、ロールコーター、スクリーン印刷、スリットダイコーターなどが挙げられる。仮接着剤を塗布または転写後、加熱処理により仮接着剤中の有機溶剤の除去および仮接着剤の硬化を行うことが好ましい。加熱温度は50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。一方、加熱温度は400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましい。加熱時間は1分間以上が好ましく、3時間以下が好ましい。加熱処理は連続的に行っても断続的に行ってもよい。仮接着層の厚みは0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。一方、仮接着層の厚みは500μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
本発明の電子部品の製造方法においては、電子部品は、支持基板、支持フィルムと電子部品材料の他に、他の樹脂組成物からなる層を有してもよい。
加工後の電子部品を剥離する方法としては、例えば、熱スライド剥離法、レーザー照射剥離法、室温における機械的剥離法、室温における溶剤剥離法等が挙げられる。本発明においては、室温における機械的剥離法が好ましい。室温における機械的剥離法とは、電子部品を室温において支持基板または支持フィルムの端から徐々に機械的に剥離する方法である。
本発明においては、電子部品材料を仮接着する工程の後に、有機溶剤を使用する工程を有することが好ましい。有機溶剤を使用する工程としては、例えば、レジスト形成工程、めっき工程、エッチング工程、洗浄工程などが挙げられる。
本発明の電子部品の製造方法は、電子部品を支持基板または支持フィルムから剥離する工程の後に、電子部品や支持基板または支持フィルムに残っている樹脂層や樹脂層の残渣を有機溶媒、アルカリ水溶液等でリワークする工程を含んでもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。接着性、剥離性、耐熱性評価、耐薬品性の評価方法について述べる。
(1)接着性評価
厚さ750μmの8インチシリコンウエハ(信越化学工業(株)製)上に、各実施例および比較例により得られた仮接着剤を、乾燥後の厚みが20μmになるようにスピンコーターにより塗布し、100℃で5分間、続いて200℃5分間熱処理して乾燥し、仮接着用シリコン支持基板を得た。
上記方法によりで作製した仮接着用シリコン支持基板に、厚み30.0μmのニッケルフィルム((株)ニラコ製)を重ね合わせ、その上に保護フィルムとしてPETフィルムSR−10(大槻工業(株)製)を設置した。上板と下板を180℃に設定したラミネート装置MVLP500/600((株)名機製作所製)を用いて0.5MPaの圧力で1分間圧着し、フィルム積層シリコン基板を得た。0.5MPaの圧力で接着できなかった場合は、0.7MPaの圧力で1分間圧着し、フィルム積層シリコン基板を得た。0.7MPaの圧力で接着できなかった場合は、0.85MPaの圧力で1分間圧着し、フィルム積層シリコン基板を得た。0.85MPaの圧力で接着できなかった場合は作業を終了した。
得られたフィルム積層シリコン基板を目視観察し、以下の基準により接着性を評価した。
◎:圧力0.5MPaの条件においてフィルムとシリコン基板との間に浮きが観察されない。
○:圧力0.5MPaの条件においてフィルムとシリコン基板との間に浮きが観察されるが、圧力0.7MPaの条件においては浮きが観察されない。
△:圧力0.7MPaの条件においてフィルムとシリコン基板との間に浮きが観察されるが、圧力0.85MPaの条件においては浮きが観察されない。
×:圧力0.85MPaの条件においても接着できない。
(2)剥離性評価
上記(1)に記載の方法により得られたフィルム積層シリコン基板を、オーブンを用いて200℃で1時間加熱した後、フィルムの端からピンセットを用いて剥離し、以下の基準により剥離性を評価した。
◎:ほとんど抵抗なく剥離することができる。
○:やや抵抗はあるが剥離することができる。
△:かなり抵抗は大きいが剥離することができる。
×:剥離できない。
(3)耐熱性評価
上記(1)に記載の方法により得られたフィルム積層シリコン基板を、オーブンを用いて200℃1時間、次いで250℃1時間、次いで300℃1時間加熱して、それぞれの加熱後に膨れ具合を目視観察して、以下の基準により耐熱性を評価した。
◎:300℃においても膨れが認められない。
○:200℃および250℃においては膨れが認められず、300℃において膨れが認められる。
△:200℃においては膨れが認められず、250℃において膨れが認められる。
×:200℃において膨れが認められる。
(4)耐薬品性評価
上記(1)に記載の方法により得られた仮接着用シリコン支持基板を、オーブンを用いて200℃で1時間加熱した後、サーフコム1400D((株)三啓製)を用いて、仮接着用シリコン支持基板の膜厚を測定した。続いて、仮接着用シリコン支持基板をN−メチルピロリドン(三菱化学(株)製)に5分間浸漬した後、イソプロピルアルコールを用いて1分間洗浄し、乾燥した。乾燥後の仮接着用シリコン支持基板の膜厚を測定して、N−メチルピロリドン浸漬前の膜厚との差から溶解速度を算出した。
以下の製造例に示してある酸二無水物、ジアミン、フィラー、および溶媒の略記号の名称は下記の通りである。
APPS1:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:400、式(4)においてk=3)
APPS2:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:860、式(4)においてk=9)
APPS3:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:1600、式(4)においてk=19)
APPS4:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:3000、式(4)においてk=37)
APPS5:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン(平均分子量:1340、式(4)においてk=6)
DAE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
PDA:1,4−フェニレンジアミン
DDS:ビス(3−アミノフェニル)スルホン
AHPPS1:α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)プロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:1000、式(6)においてj=9)
AHPPS2:α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)プロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:2000、式(6)においてj=22)
AHPPS3:α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)プロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:3200、式(6)においてj=38)
AHPPS4:α,ω−ビス(3−(ジヒドロフラン−2,5−ジオン)プロピル)ポリジフェニルシロキサン(平均分子量:4200、式(6)においてj=20)
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BSAA:4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物
OPPS1:α,ω−ビス(2−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:400、式(2)においてm=1)
OPPS2:α,ω−ビス(2−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:980、式(2)においてm=9)
OPPS3:α,ω−ビス(2−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:2000、式(2)においてm=23)
OPPS4:α,ω−ビス(2−(オキシラン−2−イル)エチル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量:3600、式(2)においてm=45)
2E4MZ:2−エチルー4−メチルイミダゾール
MEK−ST−40:有機溶剤分散シリカ (溶剤:MEK シリカ:40wt% 粒子径:10nm)(日産化学工業(株)製)
DMM: ジプロピレングリコールジメチルエーテル
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
JER828:ビスフェノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製)
KBM−1003:ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
APTMS:アミノフェニルトリメトキシシラン。
合成例1(ポリアミック酸の重合)
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置、および、撹拌装置を付した反応釜に、APPS1 258.0g(0.3mol)、DAE 140.2g(0.7mol)をDMM 708.4gと共に仕込み、溶解させた後、ODPA 310.2g(1.0mol)を添加し、室温で1時間、60℃で1時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PA1)を得た。
合成例2〜18
酸二無水物、ジアミン、溶媒の種類と仕込量を表1〜3のように変えた以外は合成例1と同様の操作を行い、ポリアミック酸溶液(PA2〜PA18)を得た。ただし、PA9とPA13についてはゲル化し合成できなかった。
Figure 2019001875
Figure 2019001875
Figure 2019001875
実施例1
撹拌装置を付した反応釜に、合成例1で得たポリアミック酸溶液(PA1) 200.0g、OPPS2 10.0g、2E4MZ 1.00g、APPS4 1.00gを共に仕込み、室温で2時間撹拌して、仮接着剤(AH1)を得た。得られた仮接着剤について前述の方法により評価した。
実施例2〜44、比較例1〜7
表4〜5のように各材料と仕込み量を変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、仮接着剤(AH2〜51)を得た。得られた仮接着剤を用いて前述の方法により評価した。
各実施例および比較例の仮接着剤組成を表4〜5、評価結果を表6に示す。
Figure 2019001875
Figure 2019001875
Figure 2019001875

Claims (9)

  1. 少なくとも(a)一般式(1)で表される基を有するポリイミド樹脂、(b)一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂、(c)塩基系熱硬化触媒および(d)一般式(3)で表される構造を有するシロキサン重合体を含む仮接着剤。
    Figure 2019001875
    (一般式(1)中、nは1〜30の整数を示す。R〜Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
    Figure 2019001875
    (一般式(2)中、mは1〜30の整数を示す。RおよびRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基を示す。R〜R10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
    Figure 2019001875
    (一般式(3)中、lは31〜100の整数を示す。R11およびR12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15および酸素数1〜3の1価の有機基、または、炭素数1〜15および窒素数1〜3の1価の有機基を示す。R13〜R16は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
  2. 前記(b)一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂の含有量が、前記(a)一般式(1)で表される構造を有するポリイミド樹脂100重量部に対して5〜20重量部である、請求項1に記載の仮接着剤。
  3. さらに、(e)シランカップリング剤を含有する、請求項1または2に記載の仮接着剤。
  4. さらに、(f)無機粒子を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の仮接着剤。
  5. 支持基板および請求項1〜4のいずれかに記載の仮接着剤の硬化物からなる仮接着層を有する仮接着用支持基板。
  6. 支持フィルムおよび請求項1〜4のいずれかに記載の仮接着剤の硬化物からなる仮接着層を有する仮接着テープ。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の仮接着剤、請求項5に記載の仮接着用支持基板または請求項6に記載の仮接着テープを用いて、電子部品材料を仮接着する工程および加工後の電子部品を剥離する工程を含む電子部品の製造方法。
  8. 前記電子部品材料を仮接着する工程の後に、有機溶剤を使用する工程を有する請求項7に記載の電子部品の製造方法。
  9. 前記電子部品の厚みが100μm以下ある請求項7または8に記載の電子部品の製造方法。
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