JP2019001857A - 捺染用インクジェットインク、捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法 - Google Patents

捺染用インクジェットインク、捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発色性及び堅牢性の良好な捺染を行うことができる捺染用インクジェットインクを提供すること。【解決手段】布帛の捺染に用いる捺染用インクジェットインクであって、C.I.DirectBlue87及びC.I.DirectBlue86を含み、その含有量の質量比、C.I.DirectBlue87:C.I.DirectBlue86が、1:2〜5:1である、捺染用インクジェットインク。【選択図】なし

Description

本発明は、捺染用インクジェットインク、捺染用インクジェットインクセット及びインクジェット捺染方法に関する。
インクジェット記録方法は、微細なノズルからインクの小滴を吐出して、記録媒体に付着させて記録を行う方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度かつ高品位な画像を、高速で記録できるという特徴を有する。インクジェット記録方法においては、用いるインクの性質、記録における安定性、得られる画像の品質をはじめとして、非常に多くの検討要素があり、インクジェット記録装置のみならず、用いるインクジェットインクに対する研究も盛んである。
また、インクジェット記録方法を用いて、布帛等を染色(捺染)することも行われている。従来、布帛(織布や不織布)に対する捺染方法としては、スクリーン捺染法、ローラー捺染法等が用いられてきたが、多種少量生産性ならびに即時プリント性等の観点から、インクジェット記録方法を適用することが有利であるため種々検討されている。
インクジェット捺染に用いる捺染用インクについても検討されてきており、例えば、布帛の種類、発色させたい色、画像の堅牢性などについて検討が行われており、それぞれの特性について、特定の配合が提案されている。例えば、特許文献1には、銅フタロシアニン骨格を有する化合物を含む組成物が開示され、この組成物が、インクジェット記録に適する色相と鮮明性を有し、記録物の耐光、耐水性堅牢度が強く、酸性条件下においても変色、退色が少ない等の記載がある。
特開2000−303009号公報
シアン系インクに用いられるフタロシアニン骨格を有する化合物(色材:染料、顔料等)には、多くの種類が存在する。したがって、捺染用インクジェットインクを開発する場合においても、適した色材を探索することのみならず、複数の色材の組み合わせ、その相互作用など、広範な検討が必要となる。
銅フタロシアニン骨格を有する色材として、C.I.DirectBlue87、C.I.DirectBlue86は比較的新しい。発明者らは、単独で発色性や堅牢性がある程度良好なこれらの色材の組み合わせについて、捺染用インクジェットインクに適用するべく、各種の詳細な検討を行ってきた。そして、これらの色材がインク中に共存すると、発色性及び堅牢性が顕著に良好となる配合(組成比)が存在することが分かってきた。すなわち、これらの色材は、インク中における組成比によっては、相乗効果が期待できる範囲があることが分かってきた。
本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、発色性及び堅牢性の良好な捺染を行うことができる捺染用インクジェットインク、捺染用インクジェットインクセット、及び、インクジェット捺染方法を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
本発明に係る捺染用インクジェットインクの一態様は、
布帛の捺染に用いる捺染用インクジェットインクであって、
C.I.DirectBlue87及びC.I.DirectBlue86を含み、その含有量の質量比、C.I.DirectBlue87:C.I.DirectBlue86が、1:2〜5:1である。
このような捺染用インクジェットインクによれば、発色性及び堅牢性の非常に良好な画像を布帛に捺染(印捺)することができる。すなわち、含まれる色材の質量比が1:2以上(すなわちC.I.DirectBlue86に対するC.I.DirectBlue87の質量比が50%以上)であるため、印捺物の彩度が低すぎず明るく良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の汗堅牢性が良好である。また、含まれる色材の質量比が5:1以下(すなわちC.I.DirectBlue86に対するC.I.DirectBlue87の質量比が500%以下)であるため、印捺物の明度が高すぎず良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の水堅牢性が良好である。
本発明に係る捺染用インクジェットインクにおいて、
前記布帛がポリアミド繊維を含む布帛であってもよい。このような捺染用インクジェットインクによれば、発色性及び堅牢性の特に良好な画像を布帛に捺染(印捺)することができる。
本発明に係る捺染用インクジェットインクセットの一態様は、
少なくとも、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクを含む捺染用インクジェットインクセットであって、
前記シアンインクが、上述の捺染用インクジェットインクであり、
前記マゼンタインクが、C.I.AcidRed52、C.I.AcidRed138及びC.I.AcidRed289の少なくとも一種を含み、
前記イエローインクが、C.I.AcidYellow79、C.I.AcidYellow110及びC.I.AcidYellow184の少なくとも一種を含み、
前記ブラックインクが、C.I.AcidBlack52:1、C.I.AcidBlack172及びC.I.AcidBlack194の少なくとも一種を含む。
このような捺染用インクジェットインクセットによれば、色材間の相性が良好であり、2色以上を組み合わせて捺染する場合に、どのような組み合わせを選んでも、捺染される画像の堅牢性を極めて良好にすることができる。
本発明に係る捺染用インクジェットインクセットにおいて、
さらに、ブルーインク、オレンジインク、レッドインク及びブラウンインクの少なくとも一種を含み、
前記ブルーインクが、C.I.AcidBlue112、C.I.AcidBlue140及びC.I.AcidBlue193の少なくとも一種を含み、
前記オレンジインクが、C.I.AcidOrange33及びC.I.AcidOrange56の少なくとも一種を含み、
前記レッドインクが、C.I.AcidOrange94及びC.I.AcidRed249の少なくとも一種を含み、
前記ブラウンインクが、C.I.AcidBrown298を含んでもよい。
このような捺染用インクジェットインクセットによれば、色材間の相性が良好であり、2色以上を組み合わせて捺染する場合に、どのような組み合わせを選んでも、捺染される画像の堅牢性を極めて良好にすることができる。
本発明に係る捺染用インクジェットインクセットにおいて、
前記布帛がポリアミド繊維を含む布帛であってもよい。このような捺染用インクジェットインクセットによれば、発色性及び堅牢性の特に良好な画像を布帛に捺染(印捺)することができる。
本発明に係るインクジェット捺染方法の一態様は、
上述の捺染用インクジェットインク、又は、上述の捺染用インクジェットインクセットを用い、少なくとも以下の工程A、B及びCの3つの工程を順次行う。
工程A:インクを布帛に付着させる工程
工程B:工程Aで得られた布帛に熱及びスチームの少なくとも一方を付与する工程
工程C:工程Bで得られた布帛を洗浄する工程
このようなインクジェット捺染方法によれば、発色性及び堅牢性の非常に良好な画像を布帛に捺染(印捺)することができる。すなわち、捺染用インクジェットインク、又は、捺染用インクジェットインクセットのシアンインク、に含まれる色材の質量比が1:2以上(すなわちC.I.DirectBlue86に対するC.I.DirectBlue87の質量比が50%以上)であるため、少なくともシアン系の画像において、印捺物の彩度が低すぎず明るく良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の汗堅牢性が良好である。また、含まれる色材の質量比が5:1以下(すなわちC.I.DirectBlue86に対するC.I.DirectBlue87の質量比が500%以下)であるため、印捺物の明度が高すぎず良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の水堅牢性が良好である。
本発明に係るインクジェット捺染方法において、前記布帛がポリアミド繊維を含む布帛であってもよい。このようなインクジェット捺染方法によれば、発色性及び堅牢性の特に良好な画像を布帛に捺染(印捺)することができる。
なお、本明細書において、「DB」との記載は、特にことわらない限り、「C.I.Direct Blue」の略記である。例えば、「DB87」は、C.I.Direct
Blue87のことを指す。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.捺染用インクジェットインク
本実施形態の捺染用インクジェットインク(以下、捺染用インクジェットインク、インク等ともいう)は、インクジェット法により布帛に付着させて使用される。まず、捺染用インクジェットインクについて説明する。
本実施形態の捺染用インクジェットインクは、色材としてC.I.DirectBlue87(DB87)及びC.I.DirectBlue86(DB86)を含み、その含有量の質量比、C.I.DirectBlue87:C.I.DirectBlue86「DB87/DB86」が、1:2〜5:1である。
1.1.色材及びその質量比
C.I.DirectBlue86(DB86)及びC.I.DirectBlue87(DB87)の化学構造式を以下の式(1)、及び、式(2)に示す。
C.I.Direct Blue86(DB86):
Figure 2019001857
C.I.Direct Blue87(DB87):
Figure 2019001857
式(1)、及び、式(2)中、フタロシアニン環の中心金属の銅(Cu)に隣接する4つの窒素(N)との結合は、2つ分は配位結合である。また、式(1)で表されるDB86の2つのスルホン酸基は、式(1)では、平面的に見てフタロシアニン環の対角の位置に配置されているが、隣り合う位置に配置されてもよい。式(1)、式(2)に示したように、DB86は、2つのスルホン酸ナトリウム基を有し、DB87は、3つのスルホン酸ナトリウム基を有している。
捺染用インクジェットインク中のDB87及びDB86の含有量は、例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、MS(質量スペクトル)、あるいはそれらの組み合わせなどの分析方法により測定することができる。そして、その含有量の質量比、C.I.DirectBlue87:C.I.DirectBlue86を算出することができる
本実施形態の捺染用インクジェットインクでは、「DB87:DB86」若しくは「DB87/DB86」の値は、1:2以上(すなわち50質量%以上)であるため、印捺物の彩度が低すぎず明るく良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の汗堅牢性が良好である。また、「DB87/DB86」若しくは「DB87:DB86」の値が5:1以下(すなわち500質量%以下)であるため、印捺物の明度が高すぎず良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の水堅牢性が良好となる。
「DB87/DB86」若しくは「DB87:DB86」の値は、より好ましくは2:3以上(すなわち67質量%以上)、4:1以下(すなわち400質量%以下)、さらに好ましくは3:4以上(すなわち75質量%以上)、3:1以下(すなわち300質量%以下)である。
本実施形態の捺染用インクジェットインクにおける、DB87及びDB86の合計の含有量は、捺染用インクジェットインクの全質量に対して、1質量%以上30質量%以下、好ましくは2質量%以上15質量%以下、より好ましくは3質量%以上10質量%以下である。また、本実施形態の捺染用インクジェットインクにおいて、DB87及びDB86を補色として用いる場合の合計の含有量は、捺染用インクジェットインクの全質量に対して、0.01質量%以上5質量%以下、好ましくは0.1質量%以上4質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。
1.2.その他の成分
1.2.1.水
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクは、水を含んでもよい。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を低減したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、捺染用インクジェットインクを長期保存する場合に細菌類や真菌類の発生を抑制することができる。
水の含有量は、捺染用インクジェットインクの総量に対して、30質量%以上、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上である。なお捺染用インクジェットインク中の水というときには、例えば、原料に水が含まれる場合の当該水及び添加する水を含むものとする。水の含有量が30質量%以上であることにより、捺染用インクジェットインクを比較的低粘度とすることができる。また、水の含有量の上限は、捺染用インクジェットインクの総量に対して、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である。
1.2.2.有機溶剤
本実施形態の捺染用インクジェットインクは、含窒素化合物、アルキルポリオール、グリコールエーテル等の有機溶剤を含んでもよい。
<含窒素化合物>
含窒素化合物としては例えば、ε−カプロラクタム[136℃]、N−メチル−2−ピロリドン[204℃]、N−エチル−2−ピロリドン[212℃]、N−ビニル−2−ピロリドン[193℃]、2−ピロリドン[245℃]、5−メチル−2−ピロリドン[248℃]等の含窒素複素環式化合物や、尿素、ジメチル尿素等が挙げられる。括弧内の数値は標準沸点を表す。これらの含窒素化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。このような含窒素化合物は、上述した染料を溶解させやすく、かつ、捺染
用インクジェットインクの固化や乾燥を抑制するという効果を期待できる。
含窒素化合物を用いる場合の合計の含有量は、インクの全質量に対して、1質量%以上30質量%以下、好ましくは2質量%以上20質量%以下、より好ましくは3質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは4質量%以上10質量%以下である。
<アルキルポリオール>
アルキルポリオールの具体例としては、1,2−ブタンジオール[194℃]、1,2−ペンタンジオール[210℃]、1,2−ヘキサンジオール[224℃]、1,2−ヘプタンジオール[227℃]、1,3−プロパンジオール(プロピレングリコール)[210℃]、1,3−ブタンジオール[230℃]、1,4−ブタンジオール[230℃]、1,5−ペンタンジオール[242℃]、1,6−ヘキサンジオール[250℃]、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール[226℃]、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール[230℃]、2−メチル−1,3−プロパンジオール[214℃]、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール[210℃]、3−メチル−1,3−ブタンジオール[203℃]、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[244℃]、3−メチル−1,5−ペンタンジオール[250℃]、2−メチルペンタン−2,4−ジオール[197℃]、ジエチレングリコール[245℃]、ジプロピレングリコール[232℃]、トリエチレングリコール[287℃]、グリセリン[290℃]等が挙げられる。なお、括弧内の数値は標準沸点を表す。これらのアルキルポリオールは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
アルキルポリオールを含有させる場合の含有量は、捺染用インクジェットインクの全質量に対して、5質量%以上であれば効果を奏することができるが、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、8質量%以上27質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましい。
<グリコールエーテル>
グリコールエーテルとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選択されるグリコールのモノアルキルエーテルが好ましい。より好ましくは、メチルトリグリコール(トリエチレングリコールモノメチルエーテル)、ブチルトリグリコール(トリエチレングリコールモノブチルエーテル)、ブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられ、典型例としてジエチレングリコールモノブチルエーテル[230℃]が挙げられる。括弧内の数値は標準沸点を表す。
グリコールエーテルは、複数種を混合して用いてもよい。またグリコールエーテルを用いる場合の配合量は、捺染用インクジェットインクの粘度調整、保湿効果による目詰まり防止の点から、捺染用インクジェットインクの全量に対して合計で、0.2質量%以上30質量%以下、好ましくは0.4質量%以上20質量%以下、より好ましくは1質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
<その他の有機溶剤>
さらに本実施形態の捺染用インクジェットインクに使用可能な有機溶剤としては、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ベタイン化合物等が挙げられる。これらの有機溶剤を使用すると、濡れ性や浸透速度を制御できる場合があるため、画像の発色性を向上できる場合がある。
1.2.3.界面活性剤
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクは、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、捺染用インクジェットインクの表面張力を低下させ布帛との濡れ性(布帛への浸透性)を調整、向上させるために用いることができる。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用することができ、さらにこれらは併用してもよい。また、界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、PD−005、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
捺染用インクジェットインクに界面活性剤を配合する場合には、上記界面活性剤を複数種使用することができ、捺染用インクジェットインク全体に対して、界面活性剤の合計で0.01質量%以上3質量%以下、好ましくは0.05質量%以上2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以上1質量%以下配合することが好ましい。
また、捺染用インクジェットインクが界面活性剤を含有することにより、記録ヘッドからインクを吐出する際の安定性が増す傾向がある。また、適切な量の界面活性剤の使用は、布帛への浸透性が向上し、例えば、前処理組成物を使用する場合に、前処理組成物との接触を増やすことができる場合がある。
1.2.4.その他の色材
本実施形態の捺染用インクジェットインクは、例えば、シアンインクとして使用する場合、上述のDB87及びDB86以外の色材を含んでもよい。そのような色材としては、C.I.Acid Blue 1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、49、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、87、90、92、93、100、102、103、104、112、113、1
14、117、120、126、127、128、129、130、131、133、138、140、142、143、151、154、156、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、185、187、192、193、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、277:1、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350等の酸性染料や、C.I.Direct Blue 1、15、22、25、41、76、77、80、86、87、90、98、106、108、120、158、163、168、199、200、201、202、226等の直接染料が挙げられる。本実施形態の捺染用インクジェットインクは、そのような色材を含んだとしても、「DB87:DB86」の値が、1:2〜5:1となっていれば、青系統の発色性及び堅牢性が非常に良好で、かつ色調の良好な画像を布帛に捺染(印捺)することができる。
1.2.5.pH調整剤
本実施形態の捺染用インクジェットインクは、pHを調整する目的で、pH調整剤を添加することができる。pH調整剤としては、特に限定されないが、酸、塩基、弱酸、弱塩基の適宜の組み合わせが挙げられる。そのような組み合わせに用いる酸、塩基の例としては、無機酸として、硫酸、塩酸、硝酸等、無機塩基として水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等が挙げられ、有機塩基として、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(THAM)等が挙げられ、有機酸として、アジピン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液等を用いてもよい。さらに、これらのうち、pH調整剤の一部又は全部として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アミン、及び、アジピン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸等のカルボキシル基含有有機酸、が含まれることが、pH緩衝効果をより安定に得ることができるため好ましい。
本実施形態の捺染用インクジェットインクにpH調整剤を用いる場合には、pHを見ながら適宜に添加されるが、例えば、捺染用インクジェットインクの全量に対して合計で、0.01質量%以上3質量%以下、好ましくは0.1質量%以上2質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上1質量%以下である。
1.2.6.尿素類
また、捺染用インクジェットインクの保湿剤として、あるいは、染料の染着性を向上させる染着助剤として、尿素類を使用してもよい。尿素類の具体例としては、尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。尿素類を含有する場合には、その含有量は、インクの全質量に対して、1質量%以上10質量%以下とすることができる。
1.2.7.糖類
捺染用インクジェットインクの固化、乾燥を抑制する目的で、適量の糖類を使用しても
よい。糖類の具体例としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びマルトトリオース等が挙げられる。
1.2.8.キレート化剤
捺染用インクジェットインク中の不要なイオンを除去する目的で、適量のキレート化剤を使用してもよい。キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩、又は、エチレンジアミンのニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、若しくはメタリン酸塩等)等が挙げられる。
1.2.9.防腐剤、防かび剤
捺染用インクジェットインクは、防腐剤、防かび剤を適宜使用してもよい。防腐剤、防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン(ゼネカ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL.2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
1.2.10.その他
さらに上記以外の成分として、例えば、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤など、インクジェット用のインクにおいて通常用いることができる添加剤を含有してもよい。
1.3.捺染用インクジェットインクのpH
本実施形態のインクジェット捺染用インクは、pHが5.8以上10.5以下、好ましくは6.0以上10.0以下、より好ましくは6.0以上9.5以下、さらに好ましくは7.0以上8.5以下であることが好ましい。捺染用インクジェットインクのpHがこの範囲であれば、インク中における染料の保存安定性が向上し、得られる画像の発色性や色相の変化を生じにくいので、所定のデザインの色を良好に再現することができる。
1.4.捺染用インクジェットインクの製造及び物性
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクは、上記した各成分を、任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。
本実施形態に係る捺染用インクジェットインクは、捺染品質とインクジェット用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20〜40mN/mであることが好ましく、22〜35mN/mであることがより好ましい。また、同様の観点から、インクの20℃における粘度は、1.5〜10mPa・sであることが好ましく、2〜8mPa・sであることがより好ましい。表面張力及び粘度を前記範囲内とする、一つの手法としては、上述した有機溶剤や界面活性剤の種類、及びこれらと水の添加量等を適宜調整することが挙げられる。
1.5.作用効果
本実施形態の捺染用インクジェットインクによれば、発色性及び堅牢性の非常に良好な画像を布帛に捺染(印捺)することができる。すなわち、含まれる色材の質量比が1:2
以上(すなわちC.I.DirectBlue86に対するC.I.DirectBlue87の質量比が50%以上)であるため、印捺物の彩度が低すぎず明るく良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の汗堅牢性が良好である。また、含まれる色材の質量比が5:1以下(すなわちC.I.DirectBlue86に対するC.I.DirectBlue87の質量比が500%以下)であるため、印捺物の明度が高すぎず良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の水堅牢性が良好である。
2.捺染用インクジェットインクセット
上述の本実施形態の捺染用インクジェットインクは、他の任意の色の染料を含む捺染用インクジェットインクと、任意の組成物数、任意の色数で組み合わせたインクセットを構成することができる。
例えば、本実施形態の捺染用インクジェットインクセットは、少なくとも、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクを含む捺染用インクジェットインクセットとすることができる。また、例えば、本実施形態の捺染用インクジェットインクセットは、さらに、ブルーインク、オレンジインク、レッドインク及びブラウンインクの少なくとも一種を含んでもよい。
そして、これらの捺染用インクジェットインクセットに含まれるインクのうち、シアンインクについて、上述の本実施形態の捺染用インクジェットインクが用いられる。
マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、ブルーインク、オレンジインク、レッドインク及びブラウンインクは、色材が上述の捺染用インクジェットインク(シアンインク)と異なる以外は、それぞれ上記説明した水、有機溶剤、界面活性剤等のその他の成分をそれぞれ独立して配合することができる。
マゼンタインクに用いられる色材としては、C.I.AcidRed52、C.I.AcidRed138及びC.I.AcidRed289の少なくとも一種が挙げられる。
イエローインクに用いられる色材としては、C.I.AcidYellow79、C.I.AcidYellow110及びC.I.AcidYellow184の少なくとも一種が挙げられる。
ブラックインクに用いられる色材としては、C.I.AcidBlack52:1、C.I.AcidBlack172及びC.I.AcidBlack194の少なくとも一種が挙げられる。
ブルーインクに用いられる色材としては、C.I.AcidBlue112、C.I.AcidBlue140及びC.I.AcidBlue193の少なくとも一種が挙げられる。
オレンジインクに用いられる色材としては、C.I.AcidOrange33及びC.I.AcidOrange56の少なくとも一種が挙げられる。
レッドインクに用いられる色材としては、C.I.AcidOrange94及びC.I.AcidRed249の少なくとも一種が挙げられる。
ブラウンインクに用いられる色材としては、C.I.AcidBrown298等が挙げられる。
このような捺染用インクジェットインクセットによれば、色材間の相性が良好であり、2色以上を組み合わせて捺染する場合に、どのような組み合わせを選んでも、捺染される画像の堅牢性を極めて良好にすることができる。また、このような捺染用インクジェットインクセットによれば、色材間の相性が良好であり、2色以上を組み合わせて捺染する場合に、どのような組み合わせを選んでも、捺染される画像の堅牢性を極めて良好にすることができる。
本発明において、色材としての染料は、酸性染料、反応性染料等、特に限定することなく種々の染料を用いることができるが、これらの中でも酸性染料を好適に使用することができる。酸性染料としては、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、36、38、40、42、44、49、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、112、114、116、118、119、127、128、131、135、141、142、161、162、163、164、165、169、184、207、219、246、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、19、24、26、27、28、32、35、37、42、51、52、57、62、75、77、80、82、83、85、87、88、89、92、94、95、97、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、149、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、199、209、211、215、216、217、219、249、252、254、256、257、260、262、265、266、274、276、282、283、289、303、317、318、320、321、322、361、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、49、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、87、90、92、93、100、102、103、104、112、113、114、117、120、126、127、128、129、130、131、133、138、140、142、143、151、154、156、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、185、187、192、193、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、277:1、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、51、52、52:1、58、60、62、63、64、67、72、76、77、94、107、108、109、110、112、115、118、119、121、122、131、132、139、140、155、156、157、158、159、172、191、194、234、C.I.アシッドオレンジ1、7、8、10、19、20、24、28、33、41、43、45、51、56、63、64、65、67、74、80、82、85、86、87、88、94、95、122、123、124、C.I.アシッドバイオレット7、11、15、31、34、35、41、43、47、48、49、51、54、66、68、75、78、97、106、C.I.アシッドグリーン3、7、9、12、16、19、20、25、27、28、35、36、40、41、43、44、48、56、57、60、61、65、73、75、76、78、79、C.I.アシッドブラウン2、4、13、14、19、20、27、28、30、31、39、44、45、46、48、53、100、101、103、104、106、160、161、165、188、224、225、226、231、232、236、247、256、257、266、268、276、277、282、289、294、295、296、297、298、299、300、301、302等が挙げられる。
3.インクジェット捺染方法
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、上述の捺染用インクジェットインク、又
は、上述の捺染用インクジェットインクセットを用い、少なくとも以下の工程A、B及びCの3つの工程を順次行うものである。
工程A:いずれかのインクを布帛に付着させる工程
工程B:工程Aで得られた布帛に熱及びスチームの少なくとも一方を付与する工程
工程C:工程Bで得られた布帛を洗浄する工程。
3.1.記録媒体
本実施形態の捺染用インクジェットインク、捺染用インクジェットインクセットに含まれる各色のインクは、記録媒体に付着させて使用される。記録媒体としては、特に限定されないが、各種の布帛が挙げられる。布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。本実施形態で使用する布帛は、これらのうちポリアミド繊維を含む布帛であることがより好ましい。このような布帛を用いることで、捺染用インクジェットインクのよりすぐれた染着性を得ることができる。
3.2.工程A(インク付着工程)
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、上述の捺染用インクジェットインク、又は、上述の捺染用インクジェットインクセットを用い、いずれかのインクを布帛に付着させる、工程Aを含む。工程Aは、インク付着工程と言い換えてもよい。
具体的には、インクジェット記録方式により吐出された、何れかのインク滴を布帛に付着させて、布帛に画像を形成する。インクジェット記録方式としては、いずれの方式でもよく、荷電偏向方式、コンティニュアス方式、オンデンマンド方式(ピエゾ式、バブルジェット(登録商標)式)などが挙げられる。これらのインクジェット記録方式の中でも、ピエゾ式のインクジェット記録装置を用いる方式が特に好ましい。
3.3.工程B(熱処理工程)
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、工程Aで得られた布帛に熱及びスチームの少なくとも一方を付与する、工程Bを有する。工程Bは、熱処理工程と言い換えてもよい。
具体的には、工程Bでは、上記のインクが印捺された布帛を熱処理する。工程B(熱処理工程)を行うことにより、インク中の色材(染料)が布帛の繊維に染着する。熱処理工程は従来公知の方法を用いることができ、例えば、HT法(高温スチーミング法)、HP法(高圧スチーミング法)、サーモゾル法、ヒートプレス法及びサーモフィックス法等が挙げられる。
工程B(熱処理工程)における温度(布帛の到達温度)としては、布帛に対するダメージを軽減するという観点から、90℃以上110℃以下の範囲で行われることが好ましい。
3.4.工程C(洗浄工程)
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、印捺物を洗浄する洗浄工程を含んでもよい。洗浄工程は、上記の熱処理工程の後に行われ、繊維に染着していない染料を除去するように行われる。洗浄工程は、例えば水、温水を用いて行うことができ、必要に応じて複数回行ってもよいしソーピング処理を行ってもよい。
3.5.その他の工程
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、必要に応じて、布帛にアルカリ剤及びヒドロトロピー剤の少なくとも一方を含有する前処理組成物を付与する前処理工程を備えていてもよい。これにより染料の染着性が一層向上する場合がある。
前処理組成物を布帛に付与する方法としては、例えば、前処理組成物中に布帛を浸漬させる方法、前処理組成物をロールコーター等で塗布する方法、前処理組成物を噴射する方法(例えば、インクジェット法、スプレー法)等が挙げられ、いずれの方法も使用できる。
本実施形態に係る捺染方法は、上述の前処理工程の後、上述のインク付着工程の前に、布帛に付与された前処理組成物を乾燥する前処理組成物の乾燥工程を含んでいてもよい。前処理組成物の乾燥は、自然乾燥で行ってもよいが、乾燥速度の向上という観点から、加熱を伴う乾燥であることが好ましい。前処理組成物の乾燥工程において加熱を伴う場合に、その加熱方法は特に限定されるものではないが、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、及びサーモフィックス法が挙げられる。また、加熱の熱源としては、以下に限定されないが、例えば赤外線(ランプ)が挙げられる。
3.6.作用効果
本実施形態のインクジェット捺染方法によれば、発色性及び堅牢性の非常に良好な画像を布帛に捺染(印捺)することができる。すなわち、捺染用インクジェットインク、又は、捺染用インクジェットインクセットのシアンインク、に含まれる色材の質量比が1:2以上(すなわちC.I.DirectBlue86に対するC.I.DirectBlue87の質量比が50%以上)であるため、少なくともシアン系の画像において、印捺物の彩度が低すぎず明るく良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の汗堅牢性が良好である。また、含まれる色材の質量比が5:1以下(すなわちC.I.DirectBlue86に対するC.I.DirectBlue87の質量比が500%以下)であるため、印捺物の明度が高すぎず良好な発色性が得られ、かつ、印捺物の水堅牢性が良好である。
本発明に係るインクジェット捺染方法において、前記布帛がポリアミド繊維を含む布帛であってもよい。このようなインクジェット捺染方法によれば、発色性及び堅牢性の特に良好な画像を布帛に捺染(印捺)することができる。
4.実施例及び比較例
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
4.1.捺染用インクジェットインクの実施例及び比較例
4.1.1.捺染用インクジェットインクの調製
表1の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過することで、実施例及び比較例に係る捺染用インクジェットインク(シアンインク)を得た。なお、各例のインクは、互いに色材(染料)の種類が異なる以外は同一の組成とした。また、表1中の数値は、質量%を示す。
Figure 2019001857
表中、オルフィンE1010は、日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤である。
4.1.2.捺染用インクジェットインクの評価方法
<印刷用布帛の作成>
70g/mのナイロン6タフタ布に、下記の前処理液を塗布し、マングルにてピックアップ率20%で絞り、乾燥させて、評価用布帛を作成した。
<前処理液>
アルギン酸ナトリウム 1.0質量%
グアガム 1.0質量%
硫酸アンモニウム 4.0質量%
尿素 10.0質量%
水 残量
<印捺物の作成>
各シアンインクをそれぞれ、Monna Lisa 180 T16(Robustelli社製)のシアン列に充填し、540×720dpi.、8pass印刷モードにて、布帛の単位面積当たりの塗布量が1.2mg/cmになるように、前述の印刷用布帛にベタ印刷を行った。
印刷後、スチーマー(マチス社製;スチーマーDHe型)を用いて、100℃にて30分間のスチーム処理を行い、得られた印捺物を水洗して未染着の染料を除去した。更に55℃のお湯で10分洗浄した後、乾燥させて、実施例及び比較例の印捺物を得た。
<発色性試験>
分光濃度計FD−7(コニカミノルタ社製)を用いて、条件:[濃度ステータス:DIN(DIN16536)、濃度照明:M2(A光源+UVカット)、観察光源:D65、視野角:2度]にて、印捺物の濃度(OD値:Optical Density)を測定した。発色性について、OD値により以下の基準で評価し、結果を表1に示す。なお、下記A又はBが許容範囲である。
A:OD値が1.55以上
B:OD値が1.50以上1.55未満
C:OD値が1.45以上1.50未満
D:OD値が1.45未満
<堅牢性試験>
得られた印捺物について、(1)汗堅牢度試験(ISO 105−E04に準拠)、(2)水堅牢度試験(ISO 105−E01に準拠)を実施し、以下の基準で評価した結果を表1に記した。汗堅牢度試験は、アルカリ性人工汗液を用いて行った。いずれの試験も添付白布は綿布(ISO 105−F02記載)を使用し、これの汚染性(移染)を見た。なお、下記A、B又はCが許容範囲である。
インクセット中、最も評価の低い結果が、
A:4/5級以上
B:3/4級又は4級
C:3級
D:2級又は2/3級
E:1/2級以下。
4.2.捺染用インクジェットインクセットの実施例及び比較例
4.2.1.各色のインクの調製
表2の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過することで、各色の捺染用インクジェットインクを得た。なお、表2中の数値は、質量%を示す。また、表中「M」はマゼンタインク、「Y」はイエローインク、「BK」はブラックインクをそれぞれ意味し、それぞれの色につき4種類のインクを作成した。
Figure 2019001857
4.2.2.捺染用インクジェットインクセット(4色セット)の評価方法
<印捺物の作成>
表3に記載の実施例B1〜B13、比較例B1の組み合わせに従い、Monna Lisa 180 T16(Robustelli社製)の、シアン列、マゼンタ列、イエロー列、ブラック列にそれぞれ該当する色のインク(表1及び表2参照)を充填した。これを用いて、「4.1.2.捺染用インクジェットインクの評価方法」で述べたと同様の方法で、各インクを、同一布帛面に、それぞれ単位面積当たりの塗布量が1.2mg/cmになるように、ベタ印刷を行った。
印刷後、スチーマー(マチス社製;スチーマーDHe型)を用いて、100℃にて30分間のスチーム処理を行い、得られた印捺物を水洗して未染着の染料を除去した。更に5
5℃のお湯で10分洗浄した後、乾燥させて、実施例B1〜B13及び比較例B1の印捺物を得た。
Figure 2019001857
<堅牢性試験>
「4.1.2.捺染用インクジェットインクの評価方法」で述べたと同様に、得られた印捺物を用いて、汗堅牢性試験と水堅牢性試験を実施した。インクセットの汗堅牢性及び水堅牢性について、以下の基準により評価した結果を表3に記した。なお、下記A、B又はCが許容範囲である。
インクセット中、最も評価の低い結果が、
A:4/5級以上
B:3/4級又は4級
C:3級
D:2級又は2/3級
E:1/2級以下。
4.2.3.捺染用インクジェットインクセット(8色セット)の評価方法
シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクに、ブルーインク、オレンジインク、レッドインク、及び、ブラウンインクを加えた、8色のインクセットについて評価を行った。
4.2.4.各色のインクの調製
表4の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過することで、各色の捺染用インクジェットインクを得た。なお、表4中の数値は、質量%を示す。また、表中「BL」はブルーインク、「OR」はオレンジインク、「R」はレッドインク、「BR」はブラウンインクをそれぞれ意味し、それぞれの色につき2〜4種類のインクを作成した。
Figure 2019001857
<印捺物の作成>
表5に記載の実施例C1〜C21、比較例C1の組み合わせに従い、Monna Lisa 180 T16(Robustelli社製)の、シアン列、マゼンタ列、イエロー列、ブラック列、ブルー列、オレンジ列、レッド列に、それぞれ該当する色のインクを充填し、またグレー列に、ブラウンインクを充填した。これを用いて、「4.1.2.捺染用インクジェットインクの評価方法」で述べたと同様の方法で、各インクを、同一布帛面に、それぞれ単位面積当たりの塗布量が1.2mg/cmになるように、ベタ印刷を行った。
印刷後、スチーマー(マチス社製;スチーマーDHe型)を用いて、100℃にて30分間のスチーム処理を行い、得られた印捺物を水洗して未染着の染料を除去した。更に55℃のお湯で10分洗浄した後、乾燥させて、実施例C1〜C21及び比較例C1の印捺物を得た。
Figure 2019001857
<堅牢性試験>
「4.1.2.捺染用インクジェットインクの評価方法」で述べたと同様に、得られた印捺物を用いて、汗堅牢性試験と水堅牢性試験を実施した。結果を表5に記した。
4.3.評価結果
表1をみると、C.I.DirectBlue87及びC.I.DirectBlue86を含み、その含有量の質量比、C.I.DirectBlue87:C.I.DirectBlue86が、1:2〜5:1である、実施例A1〜A3の捺染用インクジェットインクは、いずれも高い発色性と、高い堅牢性(水、汗共に)を有する画像を形成できることが分かった。これに対して、DB86が過多の比較例A1の捺染用インクジェットインクでは、発色性及び汗堅牢性が不十分で、DB87が過多の比較例A2、DB87のみの比較例A3の捺染用インクジェットインクでは水堅牢性が不十分であった。さらに、DB87、DB86を使用していない比較例A4では、十分な発色性が得られなかった。
また、表3をみると、シアンインクが、実施例A1〜A3の捺染用インクジェットインクであり、マゼンタインクが、色材としてC.I.AcidRed52、C.I.AcidRed138又はC.I.AcidRed289を含み、イエローインクが、色材としてC.I.AcidYellow79、C.I.AcidYellow110又はC.I.AcidYellow184を含み、ブラックインクが、色材としてC.I.AcidBlack52:1、C.I.AcidBlack172又はC.I.AcidBlack194を含む、捺染用インクジェットインクセットである、実施例B1〜B10では、いずれも汗、水ともに堅牢性の非常に良好な画像が得られることが分かった。
これに対して、シアンインクとして実施例A1〜A3の捺染用インクジェットインクを選択していない比較例B1のインクセットでは、水堅牢性が劣る結果となった。また、シアンインクとして実施例A2を選択しつつ、マゼンタインクが、C.I.AcidRed52、C.I.AcidRed138又はC.I.AcidRed289を含まないか、イエローインクが、C.I.AcidYellow79、C.I.AcidYellow110又はC.I.AcidYellow184を含まないか、ブラックインクが、C.I.AcidBlack52:1、C.I.AcidBlack172又はC.I.AcidBlack194を含まない実施例B11〜B13のインクセットでは、全てのインクにおいて好適な色材を用いる実施例B1〜B10と比較するとやや性能的には劣るが、本発明のシアンインクを用いない比較例B1よりは良好な堅牢性を示す画像が得られた。
さらに、表5をみると、シアンインクが、実施例A1〜A3のいずれかの捺染用インクジェットインクであり、マゼンタインクが、C.I.AcidRed52、C.I.AcidRed138又はC.I.AcidRed289を含み、イエローインクが、C.I.AcidYellow79、C.I.AcidYellow110又はC.I.AcidYellow184を含み、ブラックインクが、C.I.AcidBlack52:1、C.I.AcidBlack172又はC.I.AcidBlack194を含み、ブルーインクが、C.I.AcidBlue112、C.I.AcidBlue140又はC.I.AcidBlue193を含み、オレンジインクが、C.I.AcidOrange33又はC.I.AcidOrange56を含み、レッドインクが、C.I.AcidOrange94及びC.I.AcidRed249を含み、ブラウンインクが、C.I.AcidBrown298を含む、実施例C1〜C21のインクセットは、いずれも汗、水ともに堅牢性の非常に良好な画像が得られることが分かった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (7)

  1. 布帛の捺染に用いる捺染用インクジェットインクであって、
    C.I.DirectBlue87及びC.I.DirectBlue86を含み、その含有量の質量比、C.I.DirectBlue87:C.I.DirectBlue86が、1:2〜5:1である、捺染用インクジェットインク。
  2. 請求項1において、
    前記布帛がポリアミド繊維を含む布帛である、捺染用インクジェットインク。
  3. 少なくとも、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクを含む捺染用インクジェットインクセットであって、
    前記シアンインクが、請求項1又は請求項2に記載の捺染用インクジェットインクであり、
    前記マゼンタインクが、C.I.AcidRed52、C.I.AcidRed138及びC.I.AcidRed289の少なくとも一種を含み、
    前記イエローインクが、C.I.AcidYellow79、C.I.AcidYellow110及びC.I.AcidYellow184の少なくとも一種を含み、
    前記ブラックインクが、C.I.AcidBlack52:1、C.I.AcidBlack172及びC.I.AcidBlack194の少なくとも一種を含む、捺染用インクジェットインクセット。
  4. 請求項3において、
    さらに、ブルーインク、オレンジインク、レッドインク及びブラウンインクの少なくとも一種を含み、
    前記ブルーインクが、C.I.AcidBlue112、C.I.AcidBlue140及びC.I.AcidBlue193の少なくとも一種を含み、
    前記オレンジインクが、C.I.AcidOrange33及びC.I.AcidOrange56の少なくとも一種を含み、
    前記レッドインクが、C.I.AcidOrange94及びC.I.AcidRed249の少なくとも一種を含み、
    前記ブラウンインクが、C.I.AcidBrown298を含む、捺染用インクジェットインクセット。
  5. 請求項3又は請求項4において、
    前記布帛がポリアミド繊維を含む布帛である、捺染用インクジェットインクセット。
  6. 請求項1若しくは請求項2に記載の捺染用インクジェットインク、又は、請求項3若しくは請求項4に記載の捺染用インクジェットインクセットを用い、少なくとも以下の工程A、B及びCの3つの工程を順次行う、インクジェット捺染方法。
    工程A:いずれかのインクを布帛に付着させる工程
    工程B:工程Aで得られた布帛に熱及びスチームの少なくとも一方を付与する工程
    工程C:工程Bで得られた布帛を洗浄する工程
  7. 請求項6において、
    前記布帛がポリアミド繊維を含む布帛である、インクジェット捺染方法。
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