JP2018531366A6 - 直接光の示差測定システム - Google Patents

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Abstract

血液特性を測定するための測定システムは、コントローラーと、エミッターと、センサーと、基準フォトセンサーと、マスクとを含む。エミッターは、血流チャネルの第1の側から血流チャネルの第2の側まで複数の波長の光を発する。センサーは、血流チャネルの第2の側に提供される。基準フォトセンサーは、血流チャネルの第1の側に提供される。マスクは、第1の側に提供され、エミッターからの光以外の反射光が基準フォトセンサーに入るのを妨げる。コントローラーは、基準フォトセンサーからの測定値に基づいて、センサーからの測定値を補償する。
【選択図】図1

Description

本願は、2015年6月25日付出願の米国仮特許出願第62/184,680号および2015年6月26日付出願の米国仮特許出願第62/185,373号の利益ならびに優先権を主張し、これらの出願は、開示するものすべてについて参照することにより組み込まれる。
技術分野
本開示は、概して、患者の体外血流(extracorporeal patient blood flow)をモニターするため、かつ、ヘマトクリット、酸素飽和度、および/または、その他の血液成分をリアルタイムで測定するために使用される光学的血液モニタリングシステムに関する。本開示は、より具体的には、そのようなシステムの信頼性および正確さ(accuracy)を改善することに関する。
背景
腎不全または部分的腎不全の患者は、典型的には、血液から毒素や過剰体液を取り除くために血液透析治療を受ける。このためには、血液が採血針(intake needle)またはカテーテルを通して患者から取り出され、該採血針またはカテーテルは、特別に認められたアクセス位置にある動脈または静脈から血液を取り出すものであり、それは、例えば、腕、大腿部、鎖骨下部などに外科的に配置されたシャントといったものである。採血針またはカテーテルは、ぜん動(peristaltic、蠕動)ポンプへと送られる体外チューブに接続されてから透析器(dialyzer)に接続される。該透析器は、血液を浄化し過剰体液を取り除くものである。そして、浄化された血液は、さらなる体外チューブ、およびもう1つの針またはカテーテルを通して患者に戻される。血液の凝固を防ぐために、ヘパリン点滴が血液透析ループ内に置かれることがある。
取り出された血液が透析器を通る際に、その血液は、透析器内のストロー状のチューブ内を移動する。このチューブは、未浄化の血液のための半透明の通路としての役割を果たす。新しい透析液は、下流端から透析器に入っていく。透析物は、ストロー状のチューブの周りを包囲し、チューブを通って流れる血液とは逆の方向に透析器を流れる。新しい透析物は、拡散によってストロー状のチューブを通る毒素を集め、限外ろ過によって血液中の過剰体液を集める。取り除かれた毒素と過剰体液とを含む透析物は、廃棄物として処分される。赤血球はストロー状のチューブ内に留まり、そのボリュームカウントはこのプロセスによる影響を受けない。
血液モニタリングシステムは、血液透析治療、または体外血流を伴う他の治療においてよく使用される。一例として、MA、ウォルサムのFresenius Medical Care社が生産するCRIT−LINE(登録商標)モニタリングシステムが挙げられる。CRIT−LINE(登録商標)血液モニタリングシステムは、血液透析システムを流れる血液のヘマトクリットおよび酸素飽和度をリアルタイムで非侵襲的に測定するために、光学技術を使用する。血液モニタリングシステムは、体外チューブに対してインライン(直列)に、典型的には、透析器の動脈側で、取り付けられた無菌の血液チャンバーにおいて血液を測定する。
一般的に、血液チャンバーは、チューブセットおよび透析器と一緒に、それぞれの患者のために交換される。血液チャンバーは、使い捨てを意図されている。血液チャンバーは、内部の血流キャビティを定めており、該血流キャビティは、実質的に平坦な観察領域(
viewing region)と、2つの対向する観察レンズとを有する。光学的な血液モニター用のLEDエミッター(LED emitters)と光検出器とが、これらのレンズにわたって血液チャンバーの所定の位置にクリップ留めされる。複数の波長の光が、血液チャンバーと、チャンバーを流れる患者の血液とを通して方向付けられてもよく、光検出器が、得られる各波長の強度を検出する。
ヘマトクリットを測定するための好ましい波長は、赤血球に対して実質的に等吸収的(isobestic、イソベスティック)である約810nmや、水に対して実質的に等吸収的である約1300nmである。CRIT−LINE(登録商標)コントローラーにおいて実施されたレシオメトリック(rationmetric)技術は、「System and Method for Non-Invasive Hematocrit Monitoring」と題する米国特許第5,372,136号(この特許は1999年12月13日に発行され、参照することにより本明細書に組み込まれる)に実質的に開示される通り、この光強度情報を用いて、患者のヘマトクリット値をリアルタイムで計算する。当該技術分野において広く使用されるヘマトクリット値は、(1)所定の全血試料中の赤血球の体積(volume)と(2)血液試料の総体積との比によって決まるパーセンテージである。
臨床の場においては、血液透析中に生じる血液量(blood volume)の実際のパーセンテージの変化は、測定されたヘマトクリットの変化から、リアルタイムに決定できる。従って、光学的な血液モニターは、患者のヘマトクリットレベルだけでなく、患者の血液量の変化も、血液透析治療セッションにおいてリアルタイムで非侵襲的にモニターできる。血液量の変化をリアルタイムでモニターすることができれば、安全で効率的な血液透析を容易にするのに役立つ。
リアルタイムで血液をモニターするために、発光ダイオード(LED)および発光ダイオード用の光検出器が、血液チャンバーを覆って嵌められるセンサークリップアセンブリーの2つの対向するヘッドに取り付けられる。システムの正確さのために、センサークリップアセンブリーが血液チャンバーを覆って所定の位置にクリップされる時は、毎回、LEDおよび光検出器が所定のポジションおよび方向付け(orientation)にて位置している。この所定のポジションと方向付けとによって、LEDから光検出器へと進む光は、血液チャンバーのレンズ(lenses、複数のレンズ)を通って進む。
現存するシステムでは、血液チャンバー固有の寸法と、センサークリップアセンブリーの、血液チャンバーに対する固有のポジションおよび向きに対して、光学モニターは較正される。このために、センサークリップのヘッドは、血液チャンバーと結合するように設計され、LEDおよび光検出器が互いに対して既知のポジションおよび向きにあるようになっている。
用いられ得る数多の光エミッターが存在するとは言え、産業におけるその汎用性に伴うその原価要素により、LEDがしばしば好まれる。ほとんどの医療以外の適用において、生成される光の精密な振幅は重要ではない。例えば、装置が作動中であることを示す表示灯は、最終利用者の目に見えるように輝く必要があるのみである。光の振幅(明るさ)が時間または温度とともにわずかに変化するか否かは、この使用においてはまったく重要ではない。振幅の精密さがそれほど重要ではない別の例は、光ファイバーケーブルを駆動させて通話、映像などを長距離にわたって伝えることにある。この適用では、光源は通常、光振幅閾値によって検出がなされる変調を作成するパターンまたは時間幅においてキーオンおよびキーオフされる(keyed on and off)。仮に光振幅が閾値を超えるほど十分高ければ、1つのデジタル状態が登録される。そうでなければ、逆のデジタル状態が登録される。閾値がまだ交差している振幅のわずかな変化は、システムの作動にとってまったく重要ではない。
しかしながら、例えば本明細書に記載されるような血液モニタリングシステムにおけるLED(または任意の光源)の使用は、精密な振幅を知ることを必要とする。振幅のすべてのわずかな変動が考慮される。そうでなければ、血液パラメーターの測定値に誤差をもたらし得る。許容可能な正確さで繰り返し測定される血液パラメーターについて、例えば電気通信のようないくつかの適用においては許容可能である光の振幅に対する影響は、血液モニタリングシステムにおいては対処されなければならない。
LEDからの光の振幅の変化は、その物理的性質のうちの3つに起因し得る。
第1の性質は、振幅に作用する「短期(short term)」振幅偏移(シフト)の影響を与える。LEDの製造工程中、特別に配合されたシリコンまたはヒ化インジウムガリウム化合物が一緒に溶解され、電気的接合部を形成し、装置をLEDにする。製造工程中の環境における不純物は、該工程がクリーンルームで実行されていたとしても、接合部を汚染し得る。この影響は、適切な電流で通電したときに接合部が純粋であれば得られたであろう振幅を変化させることである。時間が経つにつれて、接合部の通常の作動中に加えられる熱とともに、不純物が「燃え尽き」、不純物が少なくなるにつれてLEDがその出力振幅を変化させる原因となる。
第2の性質は、「長期(long term)」振幅偏移の原因となる。この偏移は、LEDにおける材料が経時的に変化するにつれて、その量子力学から生じる。この影響についてなすべきことは何もない。偏移はわずかであり、かつ、例えば血液モニタリングシステムのような適用の文脈で人目を引く振幅に対する影響を有するには数年を必要とする。
光の振幅に変化を引き起こす第3の性質は、温度感受性である。内部LED接合部における温度は、接合部における電気化学反応の速度に直接作用し、次に、軌道を変更する電子の数に作用する。本作用により解放されるエネルギーは、LEDが固有の光の波長を産出するようにするのに用いられる化合物により選択される。例えば、より高い温度では、装置の接合部において、より多くの電子活性があり、より多くの電子活動ひいてはより大きな光の振幅をもたらす。
振幅に対する「短期」の影響に対処するため、従来の血液モニタリングシステムはしばしば、基礎較正モデルに依拠し、LEDについて公知の定量化された振幅を産出する。「バーンイン」工程は、高電流(しかし、装置の接合部を害するほど高くはない)を用いてLEDの接合部の温度をゆっくりと上昇させ、接合部におけるあらゆる製造不純物を素早く消散し、かつ、LEDに「短期」の安定性をもたらす。
振幅に対する「長期」の影響に対処するため、変動は、従来の血液モニタリングシステムが通常、この影響がシステムの性能の文脈で人目を引くようになる前に、修理または他の理由のために返送されるほど十分に遅い。
LEDからの光の振幅に対する温度の影響は、温度と、測定値により確立された振幅変動との間の関係に依拠する補償モデルを使用することにより、多くの従来の血液モニタリングシステムにおいて対処される。血液モニタリングシステムは、LEDのすぐそばに取り付けられたサーミスターセンサーを用いて、LEDの平均温度を測定する。サーミスターからの温度信号は、LEDからの光の振幅の変動をその温度の関数として補償する補償モデルに提供される。補償モデルは、各LEDについて集められた経験的データを含む。各血液モニターシステムの補償モデルは、そのLEDの温度プロファイルについて較正される。従って、各モニターチャネルは、そのために補償を提供するLEDについての温度プロファイルに基づく温度較正モデルを有する。さらに、システムにおけるすべてのLE
Dの平均温度は典型的には、補償のために用いられ、単一のLED変動の場合に測定における誤差の原因となる。また、LEDの温度プロファイルを感知することによる光出力の測定およびその後の実際の温度の光振幅へのマッピングは、LEDが古くなるにつれて不正確になり得る(「長期」の影響)。
概要
本明細書に記載の血液モニタリングシステムの一態様によれば、システムは、個々のLEDの特性を考慮するために各モニターの較正を必要とすることなく、光学モニターにおけるLEDからの光振幅レベルの変動を補償する。
実施形態の第1の利点は、システムが自己正規化(self-normalizing)することである。温度の変化に関わらず、実施形態は、初期の基準(reference)光の測定値に対する受け取られた光の測定値の割合を提供する。そのような実施形態は、温度の変動を考慮するために較正モデルを作成する必要性を除去する。
実施形態の第2の利点は、LEDが年月により、または製造工程における不純物もしくはLED動作電流における過渡変化の結果として、出力振幅を変化させた場合に、システムが未較正にならないことである。すなわち、光振幅が何らかの理由で時間が経つにつれて変化したLEDであっても、正確な測定のためにまだ使用され得る。
実施形態の第3の利点は、それがLEDを「バーンイン」する必要がないことである。リアルタイムの基準光の測定が、LED振幅出力のあらゆる短期の変化を正規化するので、本発明の実施形態は、そのような「バーンイン」なしで正確なシステム作動を許容する。
実施形態の第4の利点は、それが波長エネルギーおよび帯域幅の小さなスペクトル変化を有するLEDの使用を許容することである。
1つの図示した実施形態では、LEDからの光レベルは、直接測定され、血流チャネルを通して測定された光レベルとの比較のために提供される。測定値は、光が血流チャネルを通過する前後の光振幅の割合に基づき、従って測定を正規化し、LEDからの光の変動を考慮する。この点に関し、図示した実施形態の1つの特徴は、LED出力振幅の直接測定が、長期間モニターを適切な較正状態に保ち、かつ、モニターのライフサイクルを延ばすことである。
LED光出力を直接測定することは、サーミスターを用いて温度を光出力振幅補償にマッピングして、モニターの時間的動特性により引き起こされる大きな較正問題を除去する。また、LED光の直接測定は、温度試験された安定的なLED(その費用が、血液モニタリングシステムにおけるその商業的使用を実現不能にするかも知れない)とは対照的に、より精密でないLEDの使用を許容する。より精密でないLEDに依拠する能力は、他の血液成分の吸収特性を測定するための波長の迅速な追加につながる。
本明細書に記載の血液モニタリングシステムは、血液特性を測定し、かつ、コントローラーと、エミッター(例、LED)と、センサーと、基準フォトセンサーと、マスクとを含み、該マスクは、エミッターから直接生じる光以外の光から基準フォトセンサーを光学的に分離するためのものである。エミッターは、複数の波長の光を発し、該光は、血流チャネルの第1の側(first side)からチャネルに入り、かつ、第2の側(second side)でチャネルから出る。センサーは、血流チャネルの第2の側に提供され、かつ、チャネル内の血液成分により影響を受ける光の特性を検出する。基準フォトセンサーは、血流チャ
ネルの第1の側に提供され、かつ、エミッターからの光をチャネルを通過する前に受け取る。マスクは、エミッター以外の光源(例、他の光源または反射)から基準フォトセンサーを分離する。コントローラーは、基準フォトセンサーからの情報を用いて、エミッターからの光の変化を補償し、センサーからの測定値が、それにより「正規化」され、血液成分からの光に対する影響のみの測定値となるようになっている。
実施形態では、システムは、エミッター(例、LED)からの光を直接測定するための基準フォトセンサーとして、ヒ化インジウムガリウムフォトダイオードを用い、かつ、直接測定は、センサーにおける光の測定を正規化するために用いられ、それにより例えば温度代替測定(temperature proxy measurement)および関連する較正のような間接的な正規化のあらゆる必要性を除去する。LED光振幅を直接測定することにより、血液モニタリングシステムは、システムの使用前にLED温度が安定するのを待つ必要がない。仮にモニターが電源が入れられた直後に用いられれば、この直接測定は、血液成分からの光に対する測定された影響が、LEDにおける変化の影響をまったく受けないことを確実にする。測定値の正規化に対して間接的なアプローチを用いると、血液モニタリングシステムは、通常数分を要する間接的な正規化を提供する電子機器により期待される状態に安定化されなければならない。対照的に、直接測定は、即座に測定を確実に正規化し得、ウォーミングアップまたは安定化期間が不要であるようになっている。さらに、いくつかの臨床の場では、血液モニタリングシステムは、継続的に電源が入ったままであり、このことはLEDのより早い劣化をもたらす。またここで、直接測定アプローチは、このより早い劣化を考慮するために測定を正規化する。
本開示の実施形態は、血液特性を測定するためのシステムを提供し、当該システムは:血流チャネルの第1の側から血流チャネルの第2の側まで複数の波長の光を発するエミッターと;血流チャネルの第2の側にあるセンサーと;エミッターからの光を受け取るように配置された、血流チャネルの第1の側にある基準フォトセンサーと;エミッターからの直接の光以外の、外部源または外的に反射した源から基準フォトセンサーへの光を妨げる、血流チャネルの第1の側にあるマスクと;基準フォトセンサーによる光の測定値に基づいてセンサーによる光の測定値を補償するように構成されたコントローラーとを有する。
当該システムの実施形態では、測定システムの血流チャネルは、着脱可能なカートリッジを含み、該着脱可能なカートリッジを通って血液が流れる。
当該システムの実施形態では、透明なドームが、第1の側にあるエミッターと基準フォトセンサーとを覆う。
当該システムの実施形態では、マスクは、透明なドームの一部を覆う。
当該システムの実施形態では、マスクは、透明なドーム内にある。
当該システムの実施形態では、マスクは、マスクとエミッターとの間の空間を除いて基準フォトセンサーを覆う。
当該システムの実施形態では、記憶装置が、基準フォトセンサーからの測定値に基づいてセンサーからの測定値を較正するためにコントローラーにより用いられた較正パラメーターを貯蔵する。
当該システムの実施形態では、コントローラーは、基準フォトセンサーからの測定値の変化を用いて、エミッターから発せられる光の変化により生じるセンサーからの測定値の変化を継続的に補償する。
当該システムの実施形態では、記憶装置は、コントローラーにより用いられた較正パラメーターのログを貯蔵する。
当該システムの実施形態では、コントローラーは、用いられたそれぞれの新しい血流チャネルについて較正パラメーターの新しいセットを生成する較正を実行することが可能である。
本開示はさらに、血液特性を測定するための方法を提供し、当該方法は:エミッターによって、血流チャネルの第1の側から血流チャネルの第2の側まで光を発することと;第1の側にあるマスクによって、エミッターとともに血流チャネルの側に配置された基準フォトセンサーによるエミッターから直接生じる光以外の光の受け取りを妨げることと;血流チャネルの別の側にあるセンサーにおいて、光が血流チャネルを通って流れる血液を通過した後で、エミッターから受け取った光の特性を測定することと;基準フォトセンサーにおいて、血流チャンバーを通って流れる血液を通過する光なしで、エミッターから受け取った光の特性を測定することと;コントローラーによって、基準フォトセンサーによる光の測定を用いて、エミッターにおける光の変化により生じるセンサーによる光の特性の測定からとられた測定値を補償することとを有する。
当該方法の実施形態では、測定方法はさらに、血液が血流チャネルに配置されていない時に、基準フォトセンサーからの測定値とセンサーからの測定値との間の較正比を決定することを有し、コントローラーによる補償はさらに、該較正比に基づく。
当該方法の実施形態では、エミッターにより発せられる光の振幅は、較正比の決定前には未知である。
当該方法の実施形態では、較正時にエミッターにより発せられる光の振幅は、血流チャネルを通って流れる血液を通過する光の測定時にエミッターにより発せられる光の振幅とは異なる。
本開示はさらにまた、血液特性の測定値を較正するための方法を提供し、当該方法は:エミッターによって、血流チャネルの第1の側から血流チャネルの第2の側まで複数の波長の光を発することと;血流チャネルの第1の側にある基準フォトセンサーにおいて、エミッターから受け取った光の定量可能な特性を測定することと;血流チャネルの第2の側にあるセンサーにおいて、血液チャンバーが血流チャネル内に配置されていない間に、エミッターから受け取った光の定量可能な特性を測定することと;コントローラーによって、基準センサーからの測定値とセンサーからの測定値との間の較正比を決定することと;センサーにおいて、空の血液チャンバーが血流チャネル内に配置されている間に、エミッターから受け取った光の定量可能な特性を測定することと;コントローラーによって、較正比、基準検出器からの測定値およびセンサーからの測定値の関数として、光損失のプロファイルを決定することと;コントローラーによって、血液が血流チャネル内に配置された血液チャンバー内を流れている間に、光損失のプロファイル、較正比、基準センサーからの測定値およびセンサーからの測定値の関数として、血液特性のプロファイルを決定することとを有する。
当該方法の実施形態では、エミッターにより発せられた光の振幅は、システムによる測定の前には未知である。
当該方法の実施形態では、エミッターの温度プロファイルは、未知である。
本開示はさらにまた、患者の血液をフィルター処理するための透析システムを提供し、当該システムは:患者からの血液を運搬するための体外動脈チューブ(arterial extracorporeal tubing)と;体外動脈チューブを通して患者の血液を受け取り、かつ、患者の血液をフィルター処理するための透析器と;浄化された血液を透析器から患者へ運搬するための体外静脈チューブ(venous extracorporeal tubing)と;患者の血液を動脈チューブ、透析器および静脈チューブを通して循環させるためのポンプと;透析システム内で血液の特性を測定するための血液測定システムとを有し、該血液測定システムは:血流チャネル内で光を発するエミッターと;光を血流チャネルの通過後に受け取るためのセンサーと;血流チャネルを通過する光なしで、エミッターから光を受け取る基準センサーと;エミッターから直接生じる光以外の基準センサーへの光を妨げるマスクと;基準センサーからの測定値に基づいて、センサーからの測定値を補償するように構成されたコントローラーとを有する。
当該透析システムの実施形態では、エミッターと基準センサーとは、血液チャンバーの共通の側(side)にあり、該共通の側は、センサーにより占められる別の側とは反対側にある。
当該透析システムの実施形態では、マスクは、エミッターと基準センサーとを覆う透明なドームの一部を覆う。
図面のうちのいくつかの図の簡単な説明
本発明は、例示的な図および実施形態に基づいて、以下でさらにより詳細に説明されるであろう。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。本明細書に記載され、および/または、図示されるすべての特徴は、本発明の実施形態において、単独で、または、様々な組み合わせで組み合されて用いられ得る。本発明の種々の実施形態の特徴および利点は、次の事項を示す添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
図1は、透析治療システムの一部としての例示的な血液モニタリングシステムを示す。 図2は、図1の血液モニタリングシステムの例示的な制御インターフェースである。 図3は、システムが血液成分をモニターするために用いられるシステムの光源からの光出力の直接測定に依拠することにより自己較正する実施形態による、血液モニタリングシステムの態様の概略図である。 図4は、図3の概略図を参照し、かつ、血液モニタリングシステムの較正を説明するフローチャートである。 図5は、図1の血液モニタリングシステムによる、血液チャンバーに結合されたクリップアセンブリーを示す等角投影図である。 図6は、概してクリップアセンブリーにより収容される回路基板をグレースケールで示し、かつ、図3で概略的に示されたハードウェアを含む、図5の線6−6に沿ってとったクリップアセンブリーおよび結合している血液チャンバーの平面図である。 図7は、クリップアセンブリーと血液チャンバーとが結合する領域の詳細を示す、図6の線7−7に沿ってとったクリップアセンブリーおよび結合している血液チャンバーの断面図である。 図8は、クリップアセンブリー内でLEDからの光を直接測定するためのセンサーを示す、図7に示すクリップアセンブリーおよび結合する血液チャンバーの断面図における詳細Aの分離拡大図である。 図9は、クリップアセンブリー内に収容された回路基板に取り付けられ、かつ、LEDからの光を直接測定するためのセンサーに隣接するLEDの構造を示す、クリップアセンブリーおよび結合する血液チャンバーの図8に示す詳細の分離したさらなる詳細である。 図10aおよび図10bは、クリップアセンブリー内で光源からの光を直接感知するための図7〜図9に示すものに関するクリップアセンブリーの代替的な実施形態を示す。 図11は、クリップアセンブリー内で光源からの光を直接感知するための別の代替的な実施形態を示す。 図12は、クリップアセンブリー内で光源からの光を直接感知するためのまた別の代替的な実施形態を示す。
詳細な説明
図1は、本発明を組み込む血液モニタリングシステムの実施形態とともに使用可能な例示的な環境を示す。モニタリングシステムは、例えば人工心肺を用いた灌流中の、または、体外膜型酸素供給(ECMO)もしくは持続的腎代替療法(CRRT)中のヘマトクリットおよび酸素レベルの測定のような、透析システム以外の適用を有することが、当業者により把握されるであろう。
従来の方法では、図1の患者10は、血液抽出針16と血液注射針26とを通して透析治療システム12に繋がれる。透析治療システム12を用いた透析治療中、血液は、血液抽出針16を通して患者10から抽出され、チューブ18を用いて血液ポンプ20、血液チャンバー32および透析器血液フィルター22を通過し、その後、チューブ24と血液注射針26とを通して患者10に戻される。透析器22は、未使用の透析チューブ28からの透析液との流体交換により血液をフィルター処理し、かつ、フィルター処理された老廃物を使用済みの透析チューブ30に預ける。
本発明を組み込む血液モニタリングシステム14は、透析工程に関連する特定の血液特性をモニターするための透析治療システム12とともに用いられる。血液モニタリングシステム14は、ディスプレイ36と、ケーブル37と、クリップアセンブリー34とを含み、該クリップアセンブリー34は、チューブ18により提供される血液流路内で血液チャンバー32に結合する。クリップアセンブリー34は、光源と検出器とを含み、該光源と検出器とは、クリップアセンブリーが血液チャンバー32に結合しているときは、血液チャンバーの両側に配置される。血液チャンバーを通過するクリップアセンブリー34内の光源からの光は、透析中の血液により吸収される。クリップアセンブリー34内の検出器は、吸収を検出し、クリップアセンブリーまたはディスプレイ36のいずれかにおける回路は、検出器からの吸収信号を処理して、ディスプレイにおいて透析工程に責任のある臨床医にとって意味のある情報を提供する。
図2は、血液モニタリングシステム14のディスプレイ36の実施形態を示す。ディスプレイ36の図示した実施形態は、血液量の変化(BV)対時間のプロット112、透析期間の現在の経過期間102(システムが透析システムとともに正しい位置にあると仮定して)、現在のヘマクリット(HCT)測定値104、現在の酸素飽和(SAT)測定値106、現在の推定されるヘモグロビン(HGB)レベル108、現在のBV測定値110などといった透析工程中の臨床医にとって有用な測定値の情報を表示するためのスクリーン100を含む。使用者は、ディスプレイ36を通して血液モニタリングシステム14を作動させ、例えばディスプレイにより表示される情報のタイプまたは表示方法(プロットまたは文字数字テキスト)を変更してもよい。
図示したディスプレイ36は、血液モニタリングシステム14の制御用の種々の制御ボ
タンを含む。代替的または追加的に、スクリーン100は、タッチスクリーンであってもよく、かつ、血液モニタリングシステム14の制御は、制御インターフェースとしてタッチスクリーン100を用いて達成され得る。図示しない他の実施形態では、血液モニタリングシステム14は、遠隔および/もしくは他の非接触インターフェース機構を用いて制御またはモニターされる。例えば、「Wireless Controller to Navigate and Activate Screens on a Medical Device」と題するWangらによる米国特許出願公報2014/0267003 A1、「Wearable Interface for Remote Monitoring and Control of a Medical Device」と題するChristensenによる米国特許出願公報2014/0266983 A1および「E-field Sensing of Non-contact Gesture Input for Controlling a Medical Device」と題するMericsらによる米国特許出願公報2015/0253860 A1を参照されたい(これらはすべて、その全体およびその開示するすべてが、参照することにより本明細書に組み込まれる)。
図3は、血液モニタリングシステム14を概略的に示す。システム14は、クリップアセンブリー34内またはディスプレイ36内のいずれに配置されてもよいコントローラー310を含む。システム14はまた、クリップアセンブリー34において、LEDエミッター340と、LEDからの光を血液チャンバー32の通過後に感知するためのセンサー330と、LEDからの光を直接感知するための基準フォトセンサー350と、フォトセンサーをLED340からの光以外の光から遮蔽するためのマスク370とを含む。LEDエミッター340は、血液チャンバー32の第1の側から、かつ、チャンバーにより提供される血液流路900を通して複数の波長の光を発する。光は、LED340とセンサー330との間の固定距離「d」380を移動した後、血液チャンバー32の第2の側においてチャンバーから外に出る。距離「d」は、システムの設計によって任意であり得る。しかしながら、距離が選択されると直ちに、それは一定のままである。LED340とセンサー330とはそれぞれ、血液チャンバー32と結合するクリップアセンブリー34の領域においてクリップアセンブリーの対向するアーム上で支持される。基準フォトセンサー350もまた、クリップアセンブリー34により支持され、特にLED340と同一の側で支持される。マスク370もまた、クリップアセンブリー34により、LED340および基準フォトセンサー350と同一の側で支持される。マスクは、本明細書で図示したものを含むいくつかの代替的な実施形態において具現化されてもよい。種々の実施形態において、マスク370は、基準フォトセンサー350がLEDエミッター340からの直接の光以外の光を受け取ることを妨げる(例、外的に反射した光または他の源からの光がない)。
コントローラー310は、全体としてモニタリングシステム14を同期し制御する。センサー330に到達する光の測定値は、信号処理ハードウェアにより処理され、コントローラー310に供給される。同様に、補助的な信号処理ハードウェアは、基準フォトセンサー350からの補償測定値をコントローラー310に供給する。コントローラー310は、その後、フォトセンサー350から受け取った測定値を用いてセンサー330からの「生の」測定値を正規化する。基準フォトセンサー350とセンサー330とはそれぞれ、シリコンまたはヒ化インジウムガリウムフォトダイオードであってもよく、それぞれシリコンまたはヒ化インジウムガリウムフォトダイオードのアレイであってもよい。
図示した実施形態では、エミッター340は、発光ダイオード(LED)またはLEDのアレイを含む。エミッター340は、例えばレーザーエミッター、蛍光光源、白熱光源などのような他の光源を含んでいてもよい。
血流チャンバー32は、ポリカーボネート製であり得る。血液チャンバーの目的は、モニターされる工程(例、透析)中の血流内に窓部を提供することと、モニタリングに関する測定工程中、間隔「d」380を定数として維持することである。
図3に示す一実施形態では、ドーム360がLEDエミッター340を覆っている。ドーム360の一部は、LED340の方向以外の全方向において基準フォトセンサー350の周りを包囲するマスク370を含む。ドーム360は、例えば長方形および半球形のような種々の形状であってもよい。ドーム360は、例えばエポキシ樹脂、プラスチック、ガラスもしくはプレキシガラスまたはその光学的特性に関して再生可能な他の無機材料のような種々の材料製であってもよい。透明なドーム360は、血液チャンバー32の第1の側を照らすためにLEDからの光用の経路を提供する一方で、例えば粉塵汚染、熱応力、電気ショートおよび可動部品からの機械的損傷に対して、LEDエミッター340のためのいくぶんかの保護を提供する。ドーム360は、ドームのマスクされた370部分の下の基準光検出器350のために同様の保護を提供する。
図3に示す実施形態では、マスク370は、透明なドーム360の一部を覆う。マスク370は、透明なドーム360の一部であってもよく、該一部は、ドームの外面上または仮にドームが中空であるときはその内面上で、高密度の遮光材料(light stopping material)によりコーティングされている。マスク370は、反射光(可視光および赤外線光の両方)を妨げるドーム360の不透明なコーティングであってもよく、基準フォトセンサーに可視である光のみがLEDエミッター340から発せられた光であることを確実にする。
代替的には、マスク370は、透明なドーム360なしの独立型であってもよく、透明なドーム360から分離されていてもよい。マスクの精密な機械的構造は、マスクが基準フォトセンサー350をLEDエミッター340以外の源から生じる光から分離するように機能する限り、これらおよび他の変形を有し得る。
図3に示す実施形態では、LEDエミッター340についての光振幅強度は、電流設定抵抗器315により設定された強度を有するLED電流源305により制御される。コントローラー310は、基準フォトセンサー350により提供された信号から生じた基準信号356に基づく送信器制御308を用いて、LED電流源305をさらに調節して光強度を補償することが可能である。
光は、LEDエミッター340から、図3のドーム360のマスクされていない部分および血液チャンバー32本体を通って、フォトセンサー330まで移動する。血液チャンバーを横切る血液流路900は、適切な較正を確実にするために固定距離「d」380を有する。血液パラメーターは、光を吸収し散乱させ、このことは、フォトセンサー330に到達する異なる波長における光の振幅を弱める。所定の波長における振幅減衰の量は、例えばヘマトクリットのような血液特性を決定するために用いられる。決定工程は、米国特許第5,372,136号および米国特許第6,246,894号(参照することにより、その全体およびその開示するすべてが、本明細書に組み込まれる。)において、より完全に説明される。
血液チャンバー32内の血液を通過した後に到達する光に反応して、フォトセンサー330は、従来の方法で、それが受け取る光の強度に比例する電流信号を生成し、該電流信号をコントローラー310による使用のために処理するために信号処理回路に送信する。例えば、図3に示す実施形態では、相互インピーダンス増幅器331が、電流信号を受信し、必要に応じてそれを増幅し、 信号を電圧信号に変換する。電圧信号はその後、センサー受信器332に加えられ、そこでアナログ−デジタル(A−D)電圧計333への伝送用にフィルター処理され、調節される。この電圧計333は、フォトセンサー330において受け取った光に比例する測定された電圧を、コントローラー310への入力となるようにフォーマットされた最終デジタルセンサー信号336に変換する。
同様に、ドーム360のマスク領域370の下の基準フォトセンサー350に到達するLEDエミッター340からの光は、基準フォトセンサーが電流信号を生成することにより反応する原因となり、該電流信号は、フォトセンサー330からの電流信号と同様の方法で信号処理回路により処理される。LEDエミッター340から基準フォトセンサー350までの光路内のすべての材料は、不変の光学的特性を有しており、基準フォトセンサー350において受信される信号が、LEDエミッターの放出特性の変化とともにのみ変動するようになっている。マスク370は、ドーム360の外からの反射およびLEDエミッター以外から生じる光が、基準フォトセンサー350とLEDエミッター340との間の直接信号に加わることを妨げる。
図3に示す実施形態では、基準フォトセンサー350において受け取られるLEDエミッター340からの光は、従来の方法で、基準フォトセンサー350により比例電流信号に変換される。この電流信号は、相互インピーダンス増幅器351に加えられ、そこで必要に応じて増幅され、電圧出力信号に変換される。電圧信号はその後、基準受信器352に加えられ、そこでアナログ−デジタル(A−D)電圧計353により電圧測定値としてフィルター処理され、調節される。電圧計353は、受け取られた光に比例する測定された電圧をデジタル基準信号356に変換し、該デジタル基準信号356は、コントローラー310により読み取られる。
コントローラー310は、基準フォトセンサー350からの基準信号356により提供された測定値を用いて、LEDエミッター340における光の強度の変化から生じるセンサー信号336においてセンサー330からの測定値を補償する。補償は、LEDエミッター340から発せられる光の変動を考慮し、継続的(continuous;連続的)であり、実質的にリアルタイムである。
図3に示す実施形態のコントローラー310はまた、LEDエミッター340における光の振幅を調節する選択肢を有し、これは、LEDエミッターに対してより多くの電力を提供するようLED電流源305を調節することによりなされる。コントローラー310からLED電流源305への送信器制御308信号が、このタスクを果たす。
LEDエミッター340は、種々の理由により、それが発する光の振幅の短期または長期の変動を経験するかも知れない。例えば、LEDエミッター340内で電力変動があるかも知れず、これは、LEDエミッターからの光強度が電力変動により変化する原因となる。また、LEDエミッター340からの光は、LEDエミッターの劣化により強度が次第に強まるまたは弱まるかも知れない。図3に示す実施形態のシステムは、作動中、基準フォトセンサー350からの測定値の変化を補償する能力を有するコントローラー310を提供することにより、これらの変動を継続的に補償し、このことは、システムが血液流路900内の血液の特性のみにより引き起こされるフォトセンサー330における光の減衰の正確な測定値を最大化することをもたらす。
図3の血液モニタリングシステム14の実施形態の概略図は、記憶装置320を含み、該記憶装置320は、コントローラー310により用いられた較正パラメーターおよび実行命令(例えば、図4に示す工程を実行するようプログラミングされた命令のような)を貯蔵するためのものである。較正パラメーターおよび実行命令は、経路900内に血液のおびただしい流入(blood flood)がないとき、固定距離「d」を横切るLEDエミッター340とフォトセンサー330との間の光の減衰を補償する。
図3の実施形態では、記憶装置320は、コントローラー310により用いられた較正パラメーターのログを貯蔵する。ログは、システム治療目的で用いられてもよい。例えば
、記憶装置320は、センサー信号336を正規化するのに必要とされた補償パラメーター値のランニングログ(running log)を保存してもよい。仮に、基準フォトセンサー350からの基準信号356が時間が経つにつれて次第に低減する一方で、センサー信号336を正規化するのに必要とされる補償が次第に増大することをログが証明すれば、その時は、ログデータは、LEDエミッター340が衰えているか消耗しており、交換の必要があることを示唆する。図3に示した実施形態では、コントローラー310は、コントローラー310により用いられた較正パラメーターのログに基づいて診断事象を検出し、オペレーターに警告するようにプログラミングされている。
図3の実施形態では、コントローラー310は、較正を実行し、用いられるそれぞれの新しい血液チャネルについて較正パラメーターの新しいセットを生成する。
コントローラー310は、例えばプロセッサー、本開示全体にわたって提供される測定方法および/または較正方法を実行するためにコンピューターのコード(code)/プログラムを貯蔵するための非一時的なコンピューター可読媒体のような種々の部品、ならびに、例えばキーボード、マウス、タッチパッド、ディスプレイ、スピーカーなどのユーザーインターフェース装置を含んでいてもよい。例えば、図3に示す実施形態では、プログラム記憶装置320は、非一時的なコンピューター読取可能媒体である。図3のシリアルインターフェース311は、コントローラー310用の通信用インターフェースの例である。それは、表示およびさらなる分析のために、モニタリングシステムにより発生した血液データを外界に移す。データポートなどは、RS−232、ユニバーサルシリアルバス(UBS)などを含む各種の公知のフォーマットおよびインターフェースのいずれかであり得る。
図1に示す実施形態では、血液データは、ケーブル37を通してディスプレイ36に送達され、そこで、データは、例えば図2で示唆したヘマトクリット値のような臨床医に有用な情報の図形表示を生成するのに用いられる。適切なディスプレイの例は、例えば、MA、ウォルサム、北米のFresenius Medical CareによるCrit−Line Monitor IIIのディスプレイである。
データ通信用の図1のケーブル37の代替物として、または、それに加えて、コントローラー310は、通信モジュールに連結されていてもよく、該通信モジュールは、データもしくは他の情報の送信および/または受信を可能にし、該データもしくは他の情報は、コントローラー310により制御されるか、もしくは用いられてもよく、かつ/または、記憶装置320上に貯蔵されてもよい。実施形態では、通信モジュール318は、無線でデータもしくは他の情報を送信または受信する無線トランシーバーを含む。例では、無線トランシーバーは、血液モニタリングシステム14と透析治療システム12もしくは透析治療を実行するその部品、および/または、透析治療に関するデータもしくは他の情報を記録するか、そうでなければ用いる他の周辺機器との間の無線通信を可能にする。
実施形態では、通信モジュール318は、例えばBluetoothプロトコルまたはRFIDプロトコル(例、近接通信(NFC)プロトコル)のような公知の短距離無線技術プロトコルを介した血液モニタリングシステム14と透析治療システム12との間の短距離無線通信用の部品を含む。他の実施形態では、血液モニタリングシステム12への無線通信または血液モニタリングシステム12からの無線通信は、他の無線技術を用いて、例えばWiFiを通して、かつ/または、電気通信ネットワークを利用する実装を通して促進されてもよい。
送信に関し、ケーブル37を介するかまたは無線送信を介するかのいずれであっても、データは、極秘データおよび/もしくは保護された医療情報の送信をつかさどる準拠法規
により、適切なセキュリティーおよび暗号化プロトコルを用いて、コントローラー310を通して保護され、かつ/または、暗号化されてもよい。
血液モニタリングシシテム14は、温度に基づく測定値がセンサー信号336を較正または正規化する必要性を除去する。例えば温度変化のような影響により引き起こされる光の変化を補償するのに用いられるLEDエミッター340により発せられた光の一部を直接測定することにより、システムは、測定実行前に、LEDエミッター340の温度が安定するのを長い間待つ必要がない。
追加的に、発せられた光の直接測定を用いてセンサー信号336を正規化することは、より長い間コントローラー310を適切な較正状態に保ち、システム14のライフサイクルをより長くする。このアプローチはまた、LEDエミッター340について、より低価のLED(例、そうでなければ可能であるものより高い光強度の変動を有するLED)の使用を許容し、追加の血液特性を測定するための多くの追加の考え得る波長の開発期間の低減を許容する。
LEDエミッター340は、ダイオードのアレイであってもよく、発せられた光が複数の波長を有するようになっており、該複数の波長は、第1の側から血液チャンバー32に入り、血流チャネル900を通過し、第2の側から血液チャンバーを出る。血液チャンバー32の第2の側にあるセンサー330は、LEDエミッター340からの光を、その複数の波長の振幅が血流チャネル900を通過することにより影響を受けた後で受け取る。基準フォトセンサー350は、LEDエミッター340を有するアレイからの光を直接測定する。マスク370は、LEDエミッター340からの光のみが基準フォトセンサー350に到達することを確実にする。コントローラー310は、測定ハードウェアを制御し、基準フォトセンサー350からの測定値に基づいてセンサー330からの測定値を補償するが、これは例えば、血液が血液チャンバー32に入る前に基準フォトセンサー350およびセンサー330からの読取値の間の割合を測定することと、該割合を血液がチャネル900内にある間の透析中にセンサー330からの読取値に適用することとによりなされる。
注目すべきことに、発せられた光の強度は、それが移動する距離の2乗に反比例する。従って、LEDエミッター340とセンサー330との間の距離「d」380は、較正工程中または実際の使用中の感知された光の強度のあらゆる変化がセンサー330とLEDエミッター340との間の媒体にのみ依存し、光伝播の特性には依存しないように、一定でなければならない。距離「d」は、血液チャンバー32がLEDエミッター340とセンサー330とを収容する対向するアームを含むクリップアセンブリー34のジョー(jaw)内に挿入されるとき、LEDエミッター340とセンサー330とを分離する距離となるように選択される。クリップアセンブリー34のアームは、それらが、血流チャネル900の窓部の役割を果たす血液チャンバー32の領域において、血液チャンバーにわたって適合されるジョーまたはクランプとして機能し得るように曲がる。アームが曲がるので、LEDエミッター340とセンサー330との間の距離は、例えば血液チャンバー32をクリップアセンブリー34のアームにより形成されるジョー内に配置することにより固定されていなければ、可変である。
ここで、モニタリングシステム14の較正を参照すると、図4は、較正方法400の実施形態を示す。方法400は、LEDエミッター340からの光の基準フォトセンサー350における振幅測定値を取得し、結果として生じる基準信号356(図3)をコントローラー310に送信することにより、ブロック410において開始される。図4のブロック420において、センサー330は、センサーとLEDエミッター340との間の距離「d」380を保持している間に、血液チャンバー32が取り除かれた状態で、LEDエ
ミッターからの測定値を取得する。センサー330は、センサー信号336を提供する。
ブロック430において、コントローラー310は、距離「d」380において保持されたセンサー330とLEDエミッター340との間に何もない間、基準信号356およびセンサー信号336から生じるそれぞれの処理された信号間の較正比を決定する。
ブロック440において、フォトセンサー330は、測定経路内に血液チャンバー32があるが血流チャネル900は空である状態で(空気のみが存在する)、LEDエミッター340からの光測定値を取得する。
ブロック450において、コントローラー310は、光路内に血液チャンバー32があるが血液流路900内には空気の他には何も存在しない状態で、それぞれの受信され処理された基準信号356とそれぞれのセンサー信号336との間の較正定数を決定する。
ブロック460において、コントローラー310は、ブロック430およびブロック450における測定値から、各波長について合成レシオメトリック較正係数(composite ratiometric Calibration Coefficient)を決定する。これらの合成較正係数は、LEDエミッター340で血液を照らすことならびに血液の吸収および散乱を通してフォトセンサー330における修正された光の振幅を受け取ることにより、血液チャンバー32内の血流900を横切る光の測定値を正規化するのに用いられる。同時に、正規化を完成させるために、LEDエミッター340自体の振幅の変化が基準フォトセンサー350により測定される。
各波長についての較正および補償機能のモデル化は、以下に示される。
基準フォトセンサー350により測定された光は、ベール(Beer)の法則による関数であってもよい。
式中、
は、基準センサー350における光強度の測定値であり、
は、LEDエミッター340により放射された光の実際の強度であり、
は、ドーム360の材料による、LEDエミッター340から基準フォトセンサーまでの光損失係数であり、かつ、
は、LEDエミッター340からドーム360内の基準フォトセンサー350まで、光が移動する距離である。
は、定数Kであると考えてもよい。
簡略化すると、以下のとおりである。
=I (2)
ベールの法則の方程式は、より多くの損失成分を有するフォトセンサー330により測定された光について、同様に適用されてもよい。
式中、
は、フォトセンサー330における光強度の測定値であり、
は、ドーム360の材料(例では、
と同一である)による、LEDエミッター340からドーム360内のセンサー330に向かう光線に沿うドームのエポキシ樹脂と空気の境界線(epoxy-air boundary)までの光損失係数であり、
は、LEDエミッター340から透明なドーム360を出るまでに光が移動する光線距離であり、
は、光がそれを通って移動する媒体材料の光特性による、ドーム360の出口(表面)から第1の(照射)側にある血液チャンバー32の側壁までの光損失係数であり、
は、ドーム360の表面から第1の(照射)側にある血液チャンバー32まで光が移動する距離であり、
は、光がそれを通って移動する媒体材料の光特性による、血液チャンバー32の第2の(受取)側壁からフォトセンサー330に向かう光損失係数であり、
は、距離であり、血液チャンバー32の第2の側(受取)の壁からフォトセンサー330まで光が移動する距離であり、
は、血液チャンバー32の材料の光伝播特性に基づく、血流チャネル900までの血液チャンバー32の外壁の第1の側(照射)の厚さの光損失係数であり、
は、血液チャンバー32の外側の側壁から血流チャネル900まで光が第1の側(照射)内を移動する距離であり、
αは、血流チャネル900内の血液の光損失係数であり、
は、(血流チャネル900の内側チャネルの厚さである)血流チャネル900内の血液を通って光が移動する距離であり、
は、血液チャンバー32の材料の光伝播特性に基づく、血流チャネル900から外壁までの血液チャンバー32の第2の側(受取)の厚さの光損失係数であり、かつ、
は、血流チャネル900から血液チャンバー32の外側の側壁まで光が第2の側(受取)内を移動する距離である。
方程式(3)は、以下のとおり簡略化され得る。
方程式(2)と方程式(4)とを組み合わせると、以下のとおりとなる。
方程式(5)からIを取り消すと以下のとおりとなる。
流路900内に血液および血液チャンバーが存在しなければ、割合は以下のようになる。
較正中、K/Kに関する各波長Sについての合成較正光伝播定数は、流路内に血液および血液チャンバーがないときに基準フォトセンサー350およびセンサー330の較正測定値を取り(I/Iの取得)、LED340とフォトセンサー330との間の距離「d」(380)を一定に保持することにより得られてもよい。
方程式(6)にS=K/Kを代入すると、フォトセンサー330の測定値の関数は、以下のようになる。
式中、
もまた一定である。
に定数Kを割り当てると、Kは、空であり、LEDエミッター340とセンサー330との間の光路内に存在する血液チャンバー32の血流チャネル900を用いて、基準フォトセンサー350およびフォトセンサー330の較正測定値をとることにより得られてもよい。
較正中、Kは、空である血流チャネル900を用いて、それぞれの新しい血液チャンバー32について得られ得る。血液チャンバー32の成形に厳格な制御が可能であると仮定すると、Kは、血液チャンバーの成形特性に変化がなければ、異なる血液チャンバーにわたって一定であると推定され得る。これは、血液チャンバー32の変化がなされ得、本分野の血液モニタリングシステム14が、較正調節を完成させるために工場にシステムが返却されるのではなく、較正のあらゆる変化を補償し得るこの実施形態の別の特徴である。
従って、方程式(8)は、以下のとおり簡略化され得、
αがゼロであり(血液がない=血液チャンバーが空)、dがセンサー内の空の血液チャンバーを通る通常の光路の長さであるときは、以下のとおり簡略化され得る。
追加的に、
は、血液特性に依拠する関数であり、予め独立してプロファイル処理され、例えば実験室における較正用の血液試料の標準(standard)セットを用いてアルゴリズムまたは早見表
のセットとしてプロファイル関数
をコントローラー310内に予めプログラミングすることにより、使用のためにコントローラー310内に貯蔵されてもよい。これらの較正のセットは、それぞれの有効(active)波長について、独特(unique)であり必要とされる。
もまた一定であり測定され、かつ/または、コントローラー310内に入力され得るので、コントローラー310は、αを次のように求め得る。
方程式(11)は、種々の濃度および様々な光の波長における種々の血液特性の血液についてαを得るのに用いられ得る。例えば、多項式フィッティングが、次式を用いてHCT値を得るのに用いられてもよい。
式中、
α800は、LEDエミッター340から発せられた800nmの波長においてとられた測定値から得られるαである。
α1300は、LEDエミッター340から発せられた1300nmの波長においてとられた測定値から得られるαである。
公知のHCTレベルの標準試料は、ヒトの血液内で測定され、回帰技術を通してHCT較正多項式係数A、BおよびCを得るのに用いられる。これらの係数A、BおよびCはその後、進行中のHCT計算のためにコントローラー310アルゴリズムにプログラミングされる。
作動中、コントローラー310は、特定の患者の特定の血液試料についてα800およびα1300を得るために測定値をとり、HCTの結果を求めてもよい。
従って、上記の実施形態によれば、直接LEDエミッター340の光をモニタリングすることおよび結果として生じるフォトセンサー330の読取値の正規化に基づく示差測定(differential measurement)システムは、簡単な較正で正確な血液特性測定値を提供し得る。
同一のシステムが、血液の酸素飽和の測定用のモデルおよびアルゴリズムを作成するために、およそ660nmの波長およびおよそ800nmの波長について同様に得られた光損失係数の割合とともに用いられ得る。
図5を参照すると、図1でより概略的に示した、血液チャンバー32にかみ合わされたクリップアセンブリー34の拡大分離図が示されている。クリップアセンブリー34は、
以下で説明する血液モニタリングシステム14の部品を組み込んでいてもよい。1つ以上の実施形態によれば、LEDエミッター340(例、LEDのアレイ)は、クリップアセンブリー34の一方の側530内の回路基板上に配置され、フォトセンサー330は、アセンブリーの対向する側540内の回路基板上に配置される。基準フォトセンサー350は、側530上にLEDエミッター340とともに配置される。クリップアセンブリー34が血液チャンバー32に取り付けられるとき、LEDエミッター340により第1の側530から発せられる光は、血液チャンバー32の血液流路900を通過し、クリップアセンブリーの対向する側540上のフォトセンサー330により検出される。血液流路内のチャンバー520を通って流れる血液の種々の物理的特性は、第2の側540上のフォトセンサー330において受け取る光の強度に作用する。
図6は、図5のクリップアセンブリー34および結合する血液チャンバー32を示し、実施形態によるクリップの側540の内側を示す。回路基板535と回路基板541とは、アセンブリー34の側540内に収容される。回路基板541はフォトセンサー330を支持し、回路基板535は図3に示す回路のすべてを実質的に支持する。
回路基板537は、図7の断面図に最もよく示されるように、クリップアセンブリー34の側530内に収容される。回路基板536と回路基板537とは、図3に示すモニタリングシステムの光送信器部分を支持する。特に、回路基板536は、クリップアセンブリー34の側530内の領域において光エミッター340(例、LED)と基準センサー350とを支持し、該領域は、図3に概略的に示すように、血液チャンバー32の対向する側上にエミッターおよびフォトセンサー330の位置を定める。リボンケーブル538は、側540内に収容された回路基板535上に支持された回路に、回路基板537を接続する。
図7に示す結合されたクリップアセンブリー34および血液チャンバー32の断面は、光エミッター340と、クリップアセンブリー34のフォトセンサー330と、血液チャンバー32の血液流路900との間の空間関係についてのさらなる情報を提供する。クリップアッセンブリー34の一方の側530は血液チャンバー32の一方の側に結合し、クリップアセンブリーの第2の側540は血液チャンバーの他方の側に結合する。クリップアセンブリー34の第1の側530は、取り付けられた光エミッター340(例、LED)を有する回路基板537および回路基板536を含み、第2の側540は、血液チャンバー32の血液流路900を通過する光を検出するためのフォトセンサー330を含む。
図8は、クリップアセンブリー34の側530および側540ならびに血液チャンバー32との間の接点を含む図7の領域の拡大図である。各側は、クリップアセンブリー34のアームである。クリップアセンブリー34の第1の側530(またはアーム530)上で、回路基板536は、光拡散窓部542の下のLEDエミッター340および基準フォトセンサー350の両方を支持する。同様に、側540内の光拡散窓部539は、血液チャンバー34を通過するエミッター340からの光が側540内の回路基板541上に取り付けられたフォトセンサー330により受け取られることを許容する。図7に最もよく示されるリボンケーブル543は、回路基板541を基盤535に接続する。クリップアセンブリー34および血液チャンバー32のさらなる詳細は、米国特許第8,743,354号(参照することにより、その全体およびそれが教示するすべてが本明細書に組み込まれる)において見つけることができる。特に、本明細書に示すクリップアセンブリー34および血液チャンバー34の実施形態は、‘354特許の図25A〜図29Eにおいてさらに詳細に示される。
部分的に透明なエポキシ樹脂のドーム360は、エミッター340と基準センサー350とを覆う。ドーム360の一部は、マスク370として用いられ、該マスク370は、
あらゆる外的に反射した光またはLEDエミッター340からの直接光以外の他の光から基準センサー350を遮蔽する。基準フォトセンサー350はそれぞれ、例えば日本国浜松市の浜松ホトニクス株式会社製造のもののようなシリコンまたはヒ化インジウムガリウムフォトダイオードであってもよく、シリコンまたはヒ化インジウムガリウムフォトダイオードのアレイであってもよい。
光は、LEDエミッター340からドーム360のマスクされていない部分を通って血液チャンバー32まで、かつ、チャンバー内の血液流路900を通ってクリップアセンブリー34の第2の側(受取側またはアーム540)に配置されたフォトセンサー330まで移動する。経路900内の血液およびそのパラメーターは、光を吸収、散乱し、それによりフォトセンサー330に到達する様々な波長における光の振幅を修正する。
またさらに詳細に、ドーム360の拡大分離図が図9に示される。エポキシ樹脂のドーム360は、回路基板536上に配置され、光エミッター340と光基準センサー350とを覆う。基準フォトセンサー350を覆うドーム360の部分は、不透明な表面370でコーティングされており、そうでなければ基準フォトセンサー350に到達するかも知れないドーム360の外側からのあらゆる反射光が妨げられるようになっている。この実施形態では、基準フォトセンサー350は、従来の方法で回路基板536上に配置されており、その主たる検出の方向が、光エミッター340にほぼ垂直となるようになっている。しかしながら、検出器がマスク370により環境または外的な反射光から保護されているときは、光エミッター340からの光を効果的に検出するため、エミッターからの十分な光が基準フォトセンサー350に到達する。代替的には、以下で説明する図11および図12に示すように、基準フォトセンサー(それぞれ1140および1230)は、光エミッター340と対面するように回路基板536に取り付けられ得、その後、センサーの感度およびノイズ耐性を増大させる。しかしながら、センサーの端部取付は典型的には、より高価な取付技術である。
さらなる実施形態が、図10〜図13を参照して説明される。
図10aおよび図10Bを参照すると、LED1010のアレイが、回路基板536が図6〜図9において配置されたのとほぼ同じ場所に配置された、回路基板1020に取り付けられている。LED1010は、いかなる特定の明るさや性能の標準のものである必要がない。本実施形態では、シールド1030が、スペーサー1040の使用により、回路基板1020から固定距離をおいて配置される。シールド1030は、それがLED1010からのすべての反射光を妨げるような材料でできており、光はシールド内の開口部1050を通過し、該開口部1050は、光が血液チャンバーまで移動することを許容する。基準フォトセンサー1060は、シールド1030の裏面上に取り付けられる。LED1010を収容しているアームと対向するクリップアセンブリー34のアーム内の血液チャンバー32またはフォトセンサー330は、図10には示さない。較正および測定は、ヘマトクリット、酸素飽和および/または他の血液成分のレベルを決定するために基準フォトセンサー1060とフォトセンサー330との間の光強度の差を用いて、図6〜図9の実施形態を参照して上述したのと同様の方法で機能する。
別の代替的な実施形態では、図示しないが、基準フォトセンサーは、回路基板上のLEDに直接隣接して、またはLEDに十分に近接して配置され、LED自体からの直接光の強度が、反射および/または環境光からのあらゆる光学的ノイズより相当大きくなるようになっている。そのような実施形態の使用は、基準フォトセンサーの感度を増大させ、光学的ノイズを低減するか、または無意味にし、マスクを不要にする。
図11の実施形態は、図6〜図9の実施形態のようにエポキシ樹脂のドーム1110を
用いる。ドーム1110は、図6〜図9の回路基板536の位置と同様にクリップアセンブリー34内に配置された、回路基板1120上に配置される。ドーム1110は、LED1130のアレイと基準フォトセンサー1140とを覆う。基準フォトセンサー1140は好ましくは、その端部に配置されたフォトダイオードであり、回路基板1120上に平坦に取り付けられた場合と比べて、センサーがLED1130により発せられる光とより直接的に対面するようになっている。基準フォトセンサー1140を覆うドーム1110の部分は、不透明な材料でコーティングされており、そうでなければ基準フォトセンサー1140に到達したかも知れないあらゆる外的な反射光(可視光および赤外線光の両方)が妨げられるようになっている。図11には示さないが、血液チャンバー32は、回路基板1120に対して平行に延び、LED1130からの光(上方向の矢印)がドーム1110の不透明でない部分を通過し、血液チャンバーを通って、クリップアセンブリー34の対向するアーム内のフォトセンサー(図示せず)により検出されるようになっている。
別の実施形態によれば、図12の硬質の筐体1210が、図6〜図9の回路基板535の位置と同様にクリップアセンブリー34のアーム530内に配置された回路基板1220上に取り付けられる。図11に示す実施形態のように、基準フォトセンサー1230は、回路基板1220上のその端部上に配置される。硬質の筐体1210は、LED1240のアレイと対面する開口部を除いて、すべての側で基準フォトセンサー1230の周りを包囲する。この実施形態では、硬質の筐体1210は、金属製であってもよく、すべての光を通さない他の材料製であってもよい。図12には示さないが、血液チャンバー34は、回路基板1220に対して平行となるよう配向され、LED1240からの光が、対向する側にあるフォトセンサーによる測定のために血液チャンバーを通過するようになっている。
図11および図12の実施形態は、基準フォトセンサーを光学的に分離することを意図したマスクまたは囲い板を含んで示されるが、回路基板にセンサーを端部取付することにより達成される増大した感度は、センサーの信号−ノイズ耐性比を増大させ得、マスクまたは囲い板が不要となるようになっている。
本明細書において引用された公報、特許出願および特許を含むすべての文献は、参照することにより、それぞれの文献が個別かつ特別に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されたのと同程度に組み込まれる。
本発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における用語「a(1つの)」および「an(1つの)」および「the(その)」および「at least one(少なくとも1つの)」ならびに同様の指示語の使用は、本明細書で逆のことが示されるか、文脈と明らかに矛盾するのでなければ、単数と複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。後に1つ以上の項目のリストが続く用語「at least one(〜のうちの少なくとも1つ)」の使用(例えば、「AとBのうちの少なくとも1つ」)は、本明細書で逆のことが示されるか、文脈と明らかに矛盾するのでなければ、リストされた項目から選択される1つの項目(AもしくはB)またはリストされた項目の2つ以上のあらゆる組み合わせ(AおよびB)を意味するものと解釈されるべきである。用語「comprising(有する)」、「having(有する)」、「including(含む)」および「containing(含む)」は、別の注記がなければ、オープンエンドの用語(すなわち、「including, but not limited to(〜を含むがそれに限定されない)」を意味するもの)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書で逆のことが示されなければ、範囲内に属するそれぞれの分離した値に個別に言及する簡単な方法の役割を果たすことのみを意図しており、それぞれの分離した値は、それが本明細書で個別に列挙されたかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で逆のことが示されるか、文脈と明
らかに矛盾するのでなければ、あらゆる適切な順序で実行され得る。本明細書において提供されるあらゆるすべての例または例示的な言語(例、「such as(例えば〜のような)」)の使用は、本発明をよりよく明らかにすることのみを意図しており、別に請求されるのでなければ、本発明の範囲に限定を課するものではない。本明細書における言語は、あらゆる請求されていない要素を本発明の実施に不可欠なものを示すものとして解釈されるべきではない。
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載され、本発明を実施するための本発明者に既知の最良の形態を含む。それらの好ましい実施形態の変形は、上記の説明を読めば当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変形を使用することを予期し、本発明者らは、本発明が本明細書で特に説明した以外の方法で実施されることを意図した。従って、本発明は、準拠法により許容される本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正および同等物を含む。さらに、上述の要素のあらゆる組み合わせは、その考え得るすべての変形において、本明細書で逆のことが示されるか、文脈と明らかに矛盾するのでなければ、本発明に包含される。

Claims (20)

  1. 血液特性を測定するための測定システムであって、当該測定システムは:
    エミッターを有し、該エミッターは、血流チャネルの第1の側から前記血流チャネルの第2の側まで複数の波長において光を発し;
    前記血流チャネルの前記第2の側上にセンサーを有し;
    前記血流チャネルの前記第1の側上に基準フォトセンサーを有し、該基準フォトセンサーは、前記エミッターから前記光を受け取るように配置されており;かつ、
    前記血流チャネルの前記第1の側上にマスクを有し、該マスクは、前記エミッターから直接の前記光以外の、外部源または外的に反射した源から前記基準センサーへの光を妨げ、
    コントローラーを有し、該コントローラーは、前記基準フォトセンサーによる光の測定値に基づいて前記センサーによる光の測定値を補償するように構成されている、
    前記測定システム。
  2. 前記血流チャネルが着脱可能なカートリッジを含み、該着脱可能なカートリッジを通って血液が流れる、請求項1に記載の測定システム。
  3. さらに透明なドームを有し、該透明なドームは、前記第1の側にある前記エミッターと前記基準フォトセンサーとを覆う、請求項1に記載の測定システム。
  4. 前記マスクが、前記透明なドームの一部を覆う、請求項3に記載の測定システム。
  5. 前記マスクが、前記透明なドーム内にある、請求項3に記載の測定システム。
  6. 前記マスクが、前記マスクと前記エミッターとの間の空間以外で前記基準フォトセンサーを覆う、請求項1に記載の測定システム。
  7. さらに記憶装置を有し、該記憶装置は、前記基準フォトセンサーからの前記測定値に基づいて前記センサーからの前記測定値を補償するために前記コントローラーにより用いられた較正パラメーターを貯蔵する、請求項1に記載の測定システム。
  8. 前記コントローラーが、前記基準フォトセンサーからの前記測定値の変化を用いて、前記エミッターから発せられた前記光の変化により生じる前記センサーからの前記測定値の変化を継続的に補償する、請求項1に記載の測定システム。
  9. 前記記憶装置がさらに、前記コントローラーにより用いられた前記較正パラメーターのログを貯蔵する、請求項7に記載の測定システム。
  10. 前記コントローラーが、用いられるそれぞれの新しい血流チャネルについて較正パラメーターの新しいセットを生成する較正を実行し得る、請求項7に記載に測定システム。
  11. 血液特性を測定するための測定方法であって、当該測定方法は:
    エミッターによって、血流チャネルの第1の側から前記血流チャネルの第2の側まで光を発することと;
    前記第1の側にあるマスクによって、前記エミッターとともに前記血流チャネルの前記側に配置された基準フォトセンサーによる、前記エミッターから直接生じる以外の光の受け取りを妨げることと;
    前記血流チャネルの別の側にあるセンサーにおいて、前記エミッターから受け取った光の特性を、前記光が前記血流チャネルを通って流れる血液を通過した後で測定することと

    前記基準フォトセンサーにおいて、前記エミッターから受け取った光の特性を、前記光が前記血流チャンバーを通って流れる前記血液を通過することなく測定することと;
    コントローラーによって、前記基準フォトセンサーによる光の前記測定を用いて、前記エミッターにおける前記光の変化により生じた、前記センサーによる前記光の前記特性の前記測定からとられた測定値を較正することとを有する、
    前記測定方法。
  12. 血液が前記血流チャネル内に配置されていないとき、前記基準フォトセンサーからの測定値と前記センサーからの測定値との間の較正比を決定することをさらに有し、
    前記コントローラーによる前記補償が、さらに前記較正比に基づく、請求項11に記載の測定方法。
  13. 前記エミッターにより発せられた前記光の振幅が、前記較正比の決定前には未知である、請求項12に記載の測定システム。
  14. 較正時に前記エミッターにより発せられる前記光の振幅が、前記血流チャネルを通って流れる前記血液を通過する前記光の測定時に前記エミッターにより発せられる前記光の振幅とは異なる、請求項13に記載の測定システム。
  15. 血液特性の測定値を較正するための測定方法であって、当該測定方法は:
    エミッターによって、血流チャネルの第1の側から前記血流チャネルの第2の側まで複数の波長の光を発することと;
    前記血流チャネルの前記第1の側にある基準センサーにおいて、前記エミッターから受け取った光の定量可能な特性を測定することと
    前記血流チャネルの前記第2の側にあるセンサーにおいて、かつ、前記血流チャネル内に血液チャンバーが配置されていない間、前記エミッターから受け取った光の定量可能な特性を測定することと;
    コントローラーによって、前記基準センサーからの測定値と前記センサーからの測定値との間の較正比を決定することと;
    前記センサーにおいて、かつ、前記血流チャネル内に空の血液チャンバーが配置されている間、前記エミッターから受け取った光の定量可能な特性を測定することと;
    前記コントローラーによって、前記較正比と、前記基準検出器からの前記測定値と、前記センサーからの前記測定値との関数として光損失のプロファイルを決定することと;
    前記コントローラーによって、かつ、血液が前記血流チャネル内に配置された血液チャンバー内を流れている間、前記光損失のプロファイルと、前記較正比と、前記基準センサーからの前記測定値と、前記センサーからの前記測定値との関数として血液特性のプロファイルを決定することとを有する、
    前記測定方法。
  16. 前記エミッターにより発せられた前記光の振幅が、前記システムによる測定前には未知である、請求項15に記載の測定システム。
  17. 前記エミッターの温度プロファイルが未知である、請求項15に記載の測定システム。
  18. 患者の血液をフィルター処理するための透析システムであって、当該システムは:
    前記患者からの血液を運搬するための体外動脈チューブを有し;
    透析器を有し、該透析器は、前記動脈チューブを通して患者の血液を受け取り、かつ、前記患者の血液をフィルター処理するためのものであり;
    前記透析器から前記患者まで浄化された血液を運搬するための体外静脈チューブを有し

    患者の血液を前記動脈チューブ、前記透析器および前記静脈チューブを通して循環させるためのポンプを有し;かつ、
    当該透析システム内の血液の特性を測定するための血液測定システムを有し、該血液測定システムは:
    血流チャネル内へ光を発するエミッターと;
    前記光を、前記光が前記血流チャネルを通過した後に受け取るためのセンサーと;
    前記エミッターからの前記光を、前記光が前記血流チャネルを通過することなしに受け取る基準センサーと;
    前記エミッターから直接のもの以外から生じる前記基準センサーへの光を妨げるマスクと;
    前記基準センサーからの測定値に基づいて前記センサーからの測定値を補償するように構成されたコントローラーとを有する、
    前記透析システム。
  19. 前記エミッターと前記基準センサーとが前記血液チャンバーの共通の側にあり、該共通の側は、前記センサーにより占められる前記血液チャンバーの別の側とは反対側にある、請求項18に記載の透析システム。
  20. 前記マスクが、前記エミッターと前記基準センサーとを覆う透明なドームの一部を覆う、請求項18に記載の透析システム。
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