JP2018529946A - 癌の検出方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、対象が癌を有するかを決定する方法に関する。より詳細には、本開示は、細胞形態の病理学的評価が癌について陰性であるとき、対象が癌を有するかを決定する方法に関する。より詳細には、本開示は、形態学的に正常な細胞が悪性であるかを決定する方法に関する。細胞形態の病理学的評価が癌について陰性であるとき、悪性細胞の同定は、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出することに基づいている。【選択図】なし

Description

本開示は、対象が癌を有するかを決定する方法に関する。より詳細には、本開示は、細胞形態の病理学的評価が癌について陰性であるとき、対象が癌を有するかを決定する方法に関する。
癌の発生及び進行は、社会に対して重大な感情的及び財政的な負担を課す。
病理学的検査(細胞学及び組織学の両方)が、多くの癌の診断に用いられている。しかし癌の臨床診断は、特に癌発生の初期段階では困難なプロセスでありうる。例えば、低悪性度癌の病理は、感受性が不十分であり、不確定または不正確な知見をもたらす可能性がある。
膀胱癌では、膀胱鏡検査及び尿細胞診が、膀胱癌の診断及び追跡調査において最も重要な手段である。しかし、生検及び組織学的評価を伴う膀胱鏡検査は、一般に代表的基準であると一般に考慮されている。したがって、細胞学的知見は、多くの場合、生検を伴う膀胱鏡検査による確認を要する。
膀胱鏡検査の欠点は、侵襲的な手順が必要とされることである。侵襲的及び高価であることに加えて、膀胱鏡検査により生検材料を得ることは、患者にとって潜在的に有害な結果を有する可能性がある。これらの制限を考慮すると、多数の個体から繰り返し膀胱鏡検査により患者試料を得ることは、非常に困難である。
乳癌では、マンモグラフィー及び生検が、組織学と共に、第一線の診断ツールとして一般に用いられている。また、乳癌において免疫組織化学的バイオマーカーを特定するために、多大な労力が費やされてきた。しかし、大部分のものは有意な価値のないことが証明され、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体及びHer2/neu発現などの僅かなものだけが、組織学的検査において有用な補助と考慮されている(Leong and Zhuang,2011)。
したがって、癌のより正確で早期の経済的に実現可能な診断を提供することができる方法の必要性が存在する。そのような方法は、臨床医が、低い費用で早期診断に達するための助けを提供することができる。
更に、浸潤及び転移する前の癌の早期診断は、一般に、改善された予後と関連する。したがって、初期段階で癌をより信頼性をもって検出することができ、それにより抗癌療法を、疾患の負担が軽い時点で投与できる方法を提供することが、社会的及び経済的に不可避である。
本発明者たちは、細胞形態の病理学的評価が癌について陰性であるとき、対象が癌を有するかを決定できることを見出した。特に、本発明者たちは、病理学的評価によって形態学的に正常と思われる細胞において、癌を検出できることを見出した。したがって、本開示の方法を、癌について陰性である病理学的評価手順に対する反映試験として使用できることが想定される。したがって、第1の態様において、本開示は、試料に対して実施した細胞形態の病理学的評価が癌について陰性であるとき、対象から得た試料中に悪性細胞を特定する方法であって、試料の細胞を、抗テロメラーゼ抗体と接触させ、細胞の病理学的評価を実施して、抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出し、抗体と臨床的に重要な細胞との結合が、悪性細胞の存在を示すことを含む方法に関する。
上記態様の1つの実施形態において、臨床的に重要な細胞への抗体結合の不在は、悪性細胞が試料に存在しないことを示す。
更なる態様において、本開示は、対象から得た試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、癌について陰性であるとき、対象が癌を有するかを決定する方法であって、
i)対象から得た試料を、抗テロメラーゼ抗体と接触させることと、
ii)試料の病理学的評価を実施して、抗体と試料中の臨床的に重要な細胞との結合を検出することと、
抗体と試料中の1個以上の臨床的に重要な細胞との結合が、対象が癌を有することを示すことを含む方法に関する。
癌が、本開示の方法を使用して決定されるとき、決定は、治療医が治療の過程を決定する確定診断に関して最終的であっても、なくてもよい。癌を有すると決定された対象の癌の状態の確定診断は、PET、MRI、超音波、CT、PET/CTを含む画像化技術などを介して是認されると、確証または確認されうる。上記態様の1つの実施形態において、決定される癌が膀胱癌であるとき、生検を伴う膀胱鏡検査または上部管画像化を介した更なる調査を、癌状態の確定診断を得るために使用してもよい。
本開示は、単一の手順で悪性細胞の存在をより正確に決定する、第一線の補助試験として使用することもできる。したがって、更なる態様において、本開示は、対象が癌を有するかを決定する方法であって、
i)対象から得た試料の細胞形態の病理学的評価を実施して、試料中の1個以上の臨床的に重要な細胞の形態を決定することと、
ii)対象の試料を、抗テロメラーゼ抗体と接触させ、試料の病理学的評価を実施して、抗体と試料中の臨床的に重要な細胞との結合を検出することと、
細胞形態の評価が癌について陰性であるとき、抗体と、1個以上の臨床的に重要な細胞との結合が、対象が癌を有することを示すことを含む方法に関する。
上記態様の1つの実施形態において、抗体と試料中の臨床的に重要な細胞の少なくとも約5%との結合は、対象が癌を有することを示す。更に、細胞形態を決定する病理学的評価及び抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出する病理学的評価は、同じ細胞において同時に実施することができる。
1つの実施形態において、臨床的に重要な細胞への抗体結合の不在は、対象が癌を有さないことを示す。
1つの実施形態において、本開示の方法は、細胞形態の病理学的評価が正常、前悪性、化生性、または異形成性であるとき、癌を検出するために使用することができる。様々な例において、本開示の方法は、細胞形態の病理学的評価が正常であるとき、癌を検出するために使用することができる。様々な例において、本開示の方法は、細胞形態の病理学的評価が、前悪性、化生性、または異形成性であるとき、癌を検出するために使用することができる。例えば、本開示の方法は、形態学的に正常な細胞において癌を検出するために使用することができる。例えば、本開示の方法は、前悪性、化生性及び/または異形成性細胞において癌を検出するために使用することができる。
当業者に理解されるように、病理学的評価は、周囲環境と共に、組織試料中の個別の細胞の評価を伴う。したがって、本発明の方法の実施では、細胞が病理学的に評価され、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合が検出される。テロメラーゼの病理学的評価は、非癌性であること、または調査されている癌と無関係であることが知られているテロメラーゼ染色細胞型を、形態に基づいた評価から除外することを可能にする。例えば、本開示の方法は、病理学的評価から臨床的に重要ではない細胞を除外することを含む。
除外される細胞は、対象が癌を有するかを決定するために臨床的に重要ではないと考慮される。除外される細胞は、検出される癌によって決まる。より詳細には、当業者は、特定の癌に関連する試料における細胞型を認識している。除外される細胞の例には、T細胞、B細胞、好中球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、記憶細胞、形質細胞、好酸球、精嚢細胞及び***、ならびに扁平上皮細胞の1つ以上、または全てが含まれるが、これらに限定されるわけではない。例えば、上記に列挙された細胞は、本開示の方法を使用して膀胱癌を評価するときに除外される。
別の例において、本開示の方法は、抗体と、臨床的に重要な細胞との結合が検出されるとき、対象に癌の治療を処方することを更に含む。
別の例において、抗テロメラーゼ抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、二重特異性、キメラ、組み換え、抗イディオタイプ、ヒト化、単鎖抗体分子、またはその抗原結合フラグメントである。
本開示における使用が適している抗体の例には、SCD−A7、2D8、C−12、H−231、抗テロメラーゼ触媒サブユニット、10E9−2、2C4及びtel 3 36−10が含まれるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、抗体は、SCD−A7、またはそのテロメラーゼ結合フラグメントである。
1つの実施形態において、病理学的評価は細胞学的評価である。この実施形態において、試料は体液試料でありうる。例えば、体液試料は、尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液、血液、痰、脳脊髄液、胸水、微細針吸引液、細胞懸濁液からなる群から選択することができる。これらの例では、癌は、膀胱癌、甲状腺癌、乳癌、子宮頸癌からなる群から選択することができる。例えば、本開示の方法は膀胱癌を検出するために使用することができる。
1つの実施形態において、病理学的評価は組織学的評価である。この実施形態において、試料は組織試料でありうる。例えば、組織試料は、膀胱、膵臓、肝臓、胆嚢、甲状腺、卵巣、リンパ節、***、子宮頸部、肺、胆樹、腎臓、前立腺、結腸、胃、食道及び脳からなる群から選択することができる。これらの例では、癌は、膀胱癌、膵癌、肝臓癌、胆嚢癌、甲状腺癌、乳癌、肺癌、中皮腫、子宮頸癌、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、結腸直腸癌、胃癌、食道癌、脳腫瘍からなる群から選択することができる。
1つの実施形態において、癌は、癌陰性の病理学的評価をもたらしうる臨床的に重要な細胞が存在してもよい、任意の癌でありうる。例えば、本開示の方法は膀胱癌を検出するために使用することができる。
1つの実施形態において、本開示の方法は、上皮内癌を検出するために使用することができる。例えば、本開示の方法は、膀胱上皮内癌を検出するために使用することができる。例えば、本開示の方法は、腺管上皮内癌を検出するために使用することができる。
本開示は、例示のみを目的とすることが意図されている、本明細書に記載されている特定の実施形態によって範囲が制限されるものではない。機能的に同等の生成物、組成物及び方法は、本明細書に記載されているように、明らかに本開示の範囲内である。
本明細書の全体にわたって、特定的に記述されない限り、または文脈により必要とされない限り、単一のステップ、物質の組成物、ステップの群、または物質の組成物の群への参照は、1つ及び複数の(すなわち、1つ以上の)これらのステップ、物質の組成物、ステップの群、または物質の組成物の群を包含すると見なされる。
本開示は、本明細書以降、以下の非限定例により、添付の図面を参照しながら記載される。
試料WH11−107には、細胞染色が観察されなかった(臨床的に陰性、図1A)。抗hTERT(クローン2C4)抗体を使用して臨床的に陽性な試料WH11−122に示された、テロメラーゼ及びその臨床関連性の免疫染色の最初の証拠である(図1B)。陽性核染色は、最適抗体濃度下において、存在する尿路上皮細胞の40〜75%に観察された。 高悪性度(パネルA及びB)ならびに低悪性度(パネルC及びD)臨床試料に観察された陽性及び陰性細胞型である。テロメラーゼ免疫染色による非定型尿路上皮細胞の陽性染色核である(パネルA及びB)。テロメラーゼ免疫染色による、細胞学的に正常に見える尿路上皮細胞の陽性染色核(パネルC)及び同じ試料内の未染色の細胞学的に正常に見える尿路上皮細胞である(パネルD、挿入矢印)。 低悪性度(G1)膀胱癌の患者からの臨床試料のテロメラーゼhTERTタンパク質で染色された細胞である。パネルA:扁平上皮細胞(膀胱のものではない)、パネルB:正常な膀胱細胞(小さな褐色血球)、パネルC:Sienna試験で陽性の正常に見える膀胱細胞、パネルD:テロメラーゼ免疫染色に陽性の細胞学的に異常な膀胱細胞。
一般的技術及び定義
特定的に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術及び科学用語は、当業者(例えば、癌診断学、病理学、細胞学、組織学、免疫組織化学、タンパク質化学、抗体、生化学及び分子生物学における)に慣用的に理解されるものと同じ意味を有すると見なされる。
特に指示のない限り、本開示において参照される免疫アッセイ、試料調製及び免疫学的技術は、当業者に周知の標準的な手順のものである。そのような技術は、Perbal,(1984)、Sambrook et al.,(1989)、Brown,(1991)、Glover and Hames(1995 and 1996)、Ausubel et al.,(1988)、Harlow and Lane(1988)、Coligan et al.,(1994)などの参考文献において記載及び説明されている。
用語「及び/または(and/or)」、例えば「X及び/またはY」は、「X及びY」、または「XまたはY」のいずれかを意味することが理解され、両方の意味、またはいずれかの意味への明示的な支持を提供すると見なされる。
本明細書に使用されるとき、用語「約(about)」は、特に記述のない限り、指定値の+/−10%、より好ましくは+/−5%、より好ましくは+/−1%、より好ましくは+/−0.5%を指す。
本明細書の全体にわたって、語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、記述される要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を含むが、任意の他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を除外しないことを示唆することが理解される。
病理学的評価
「病理学的評価」は、試料中の細胞の視覚的評価によって、試料中に悪性細胞を同定することを探求する評価を指すために、本開示の文脈において使用される。当業者に理解されるように、病理学的評価は、それ自体は検査ではなく、特定の試料または試料セットに基づいた病理診断である。病理学的評価手順は、複雑であり、正確な評価を提供するため、試料収集には専門知識及び注意が必要である。
膀胱癌の文脈において、病理学的評価を、膀胱癌の再発の検出のため、または診断のための膀胱鏡検査と共に、またはその反映として使用することができる。
乳癌の文脈において、病理学的評価を、乳癌の再発の検出のため、または診断のためのマンモグラフィー、超音波及び他の画像化技術と共に、またはそれらの反映として使用することができる。
食道癌の文脈において、病理学的評価を、食道癌の再発の検出のため、または診断のための内視鏡検査と共に、またはその反映として使用することができる。
本開示は、「細胞形態の病理学的評価」及び「抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出する病理学的評価」を参照する。一例において、これらの評価は別々に実施される。別の例において、これらの評価は順次または同時に実施される。別の例において、これらの評価は、同じ細胞において順次または同時に実施される。
「細胞形態の病理学的評価」は、臨床的に重要な細胞の細胞形態を視覚的に評価することによって、試料中に悪性細胞を特定することを探求する。本開示の文脈において、細胞形態の病理学的評価は、標準治療の一部であり、かつ癌の再発の検出のため、または診断のための更なる調査と共に、またはその反映として使用される手順を指す。
「抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出する病理学的評価」は、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を評価することによって、試料中に悪性細胞を特定することを探求する。
病理学的評価手順の例には、「細胞学的評価」及び「組織学的評価」が含まれる。これらの手順は、下記において更に考察される。
細胞学的評価
癌診断学における細胞形態の「細胞学的評価」は、個別の細胞の形態学的特徴に基づいて悪性細胞を特定することを探求する。細胞形態の細胞学的評価の実施において、細胞試料は典型的にはスライドに固定され、形態学及び細胞の特徴を視覚的に評価するために顕微鏡下で観察される。例えば、微細針吸引液から採取された***または甲状腺上皮細胞、尿試料から採取された膀胱尿路上皮細胞、またはパパニコロー検査(子宮頸部スメア)から採取された子宮頸癌上皮細胞を、ガラススライドに固定し、細胞学により視覚的に評価することができる。細胞学的評価に適した様々な他の細胞試料の例が、下記に考察される。
スライドを視覚的に評価する前に、試料を染色して、細胞及び細胞構成成分(例えば、核)の形態変化の可視化を助けることができる。例示的な染色には、ヘマトキシリン及びエオシン染色、またはパパニコロー染色(Pap染色)が含まれる。
組織学的評価
癌診断学における細胞形態の「組織学的評価」は、細胞及び組織構造の形態学的特徴に基づいて、組織試料中に悪性細胞を特定することを探求する。
用語「組織学的評価」は、組織、特に組織を構成する細胞及びそれらの周囲環境の評価を指すために、本開示の文脈において使用される。
細胞形態の組織学的評価の実施において、組織試料は、組織形態、構造及び細胞の特徴を視覚的に評価するために顕微鏡下で観察される前に、典型的には固定され、切片にされ、スライドに装填される。例えば、膀胱生検材料、***コア生検材料、または食道生検材料を対象から得て、顕微鏡下で視覚的に評価する前に固定し、切片にし、ガラススライドに装填することができる。組織学的評価に適した様々な他の組織の例が、下記に考察される。
スライドで組織切片を視覚的に評価する前に、組織を染色して、細胞、細胞構成成分(例えば、核)の形態変化の可視化及び常在細胞型の特徴決定を助けることができる。例示的な染色には、ヘマトキシリン及びエオシン染色、パパニコロー染色(Pap染色)、ならびにアルシアンブルー過ヨウ素酸シッフ染色が含まれる。
癌について陰性である細胞形態の病理学的評価
本開示の方法は、対象から得た細胞試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、癌について陰性であるとき、対象が癌を有するかを決定することに関する。用語「癌について陰性」は、試料が癌について陰性であるという確定的な病理学的判定を指すために、本開示の文脈において使用される。様々な病理学的判定が、「癌について陰性」と考慮されることが想定される。一例では、「正常な」形態を有する細胞が、癌について陰性であると考慮される。一例において、本開示の方法は、対象から得た細胞試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、形態学的に正常であると報告されるとき、対象が癌を有するかを決定することに関する。言い換えると、一例において、本開示の方法は、形態学的に正常な細胞が癌性であるかを検出することに関する。
別の例では、「前悪性」形態を有する細胞が、癌について陰性であると考慮される。前悪性形態は、癌性表現型の特定の特徴を有するが、悪性表現型に未だ進行していない(いくつかの場合では、永久に進行しないことがある)ので、癌について陰性のままである試料を指す。例えば、化生性及び異形成性の形態を有する細胞は、前悪性と考慮されうる。前悪性形態を有する例示的な病理には、口腔上皮病変、バレット食道、胃腸化生及び前立腺結節性過形成が含まれる。一例において、本開示の方法は、対象から得た細胞試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、前悪性病理であると報告されるとき、対象が癌を有するかを決定することに関する。
別の例では、「化生性」形態を有する細胞が、癌について陰性であると考慮される。化生性形態または化生は、1つの分化細胞型が別の分化細胞型に置き換えられていることによって特徴づけられる。例えば、腸化生は、正常な上皮内層の領域が、「腸」杯細胞の存在により特徴づけられる化生性上皮に形質転換されているとき、食道または胃上皮に生じうる。一例において、本開示の方法は、対象から得た細胞試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、化生であると報告されるとき、対象が癌を有するかを決定することに関する。例えば、細胞形態の病理学的評価は、腸化生と報告されることがある。食道または胃の生検の文脈において、細胞形態の病理学的評価は、腸化生を有する円柱上皮と報告されることがある。
別の例では、「異形成性」形態を有する細胞が、癌について陰性であると考慮される。異形成の例示的な特徴には、赤血球大小不同、変形赤血球増加、過度色素沈着及び有糸***中の異常な細胞数が含まれる。異形成は、一般に、前悪性病変における最も初期の形態であると考慮され、病理学者は病理学的評価を介してこれを認識することができる。異形成は、低悪性度異形成または高悪性度異形成と特徴づけることができる。低悪性度異形成から高悪性度異形成に形質転換し、最終的に癌になる危険性は低いが、高悪性度異形成は、悪性形質転換へのより高度な進行を表す。一例において、本開示の方法は、対象から得た細胞試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、異形成であると報告されるとき、対象が癌を有するかを決定することに関する。別の例において、本開示の方法は、対象から得た細胞試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、低悪性度異形成であると報告されるとき、対象が癌を有するかを決定することに関する。別の例において、本開示の方法は、対象から得た細胞試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、価高悪性度異形成であると報告されるとき、対象が癌を有するかを決定することに関する。
疑念を避けるため、本開示は、対象から得た細胞試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、癌について不確定であるとき、対象が癌を有するかを決定することを包含しない。そのような病理学的評価は、試料が癌について陰性であるという確定的判断を提供することができない。例えば、本開示の方法は、対象から得た細胞試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、癌について「非定型」または「未定」であると報告されるとき、対象が癌を有するかを決定することを包含しない。
対象が癌を有するかの決定
癌について陰性であるという病理学的評価は、テロメラーゼ免疫染色試験及び抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出する更なる病理学的評価を使用して臨床状態を決定することによって解明できることが、現在見出されている。
一例では、体液試料から単離された細胞をスライドに固定し、細胞学的に評価して、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出することができる。例えば、抗テロメラーゼ抗体の結合は、尿試料から得た個別の膀胱尿路上皮細胞において、細胞学的評価を介して検出することができる。例えば、抗テロメラーゼ抗体の結合は、微細針吸引液試料から得た個別の濾胞細胞において、細胞学的評価を介して検出することができる。これらの例示的な手法の利点は、抗テロメラーゼ抗体の結合が、個別の臨床的に重要な細胞において検出できることである。
別の例では、組織試料を固定し、切片にし、スライドに装填し、組織学的に評価して、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出することができる。例えば、抗テロメラーゼ抗体の結合は、生検により得た膀胱壁組織試料の膀胱尿路上皮細胞において、組織学的評価を介して検出することができる。例えば、抗テロメラーゼ抗体の結合は、コア生検により得た***組織試料の***上皮細胞において、組織学的評価を介して検出することができる。これらの例示的な手法の利点は、抗テロメラーゼ抗体の結合が、個別の臨床的に重要な細胞において、または細胞個体群において検出することができ、同時に周囲組織構造も検査できることである。
抗テロメラーゼ抗体結合の検出
本発明者たちは、対象の試料における抗テロメラーゼ抗体と1個以上の臨床的に重要な細胞との結合が、対象が癌を有することを示すことを見出した。当業者に理解されるように、癌の指標も、試料中の悪性細胞の存在を示す。
テロメラーゼは、染色体の末端にテロメアの長さを維持する天然に生じる酵素である。ヒトにおいて、テロメラーゼは、ヒト幹細胞、生殖系細胞及び悪性細胞において過剰発現する。 テロメラーゼの機能は、新たな単鎖TTAGGG反復をそれぞれの染色体の末端に合成することである。正常な細胞において、テロメラーゼは、細胞が増加することを許容し、それによりテロメアの短縮を防止し、細胞老化を回避することによって、保護的な役割を果たしている(Bodnar et al.,1998)。対照的に、同じ作用様式であるが、テロメラーゼは、悪性である、または悪性になりうる細胞において、癌促進特性を示す可能性もある。老化の不在下では、細胞(腫瘍)は、無限に複製し、それによって突然変異を導入及び伝播する(Blackburn et al.,2005)。テロメラーゼのこの癌促進特性は、細胞の不死及び癌の発生を助ける。癌との関連は、その存在が、ほぼ全ての腫瘍細胞において共通の特徴として観察されることから明白である。
テロメラーゼを検出するため、対象からの細胞試料を、抗テロメラーゼ抗体とも呼ばれる、テロメラーゼに結合する抗体と接触させる。「接触させる」、「曝露する」、または「適用する」などの用語は、本開示において、文脈中で交換可能に使用できる用語であることが考慮される。接触させるという用語は、抗テロメラーゼ抗体を試料と接触させて、テロメラーゼが試料中の1つ以上の細胞に存在するかを検出することを必要とする。抗体とテロメラーゼとの結合は、テロメラーゼが細胞に存在することを示す。更に、試料におけるテロメラーゼの存在は、テロメラーゼ陽性またはテロメラーゼに陽性と呼ばれることもある。抗体とテロメラーゼとの結合は、病理学的評価を介して検出される。例えば、光学顕微鏡を、抗体と臨床的に重要な細胞中のテロメラーゼとの結合を検出するために使用してもよい。
本開示の方法において抗テロメラーゼ抗体と、臨床的に重要な細胞との結合を検出することは、抗体と、臨床的に重要な細胞中の抗原との結合が、病理学的評価を介して検出されうる、当該技術に既知の任意の抗体/抗原結合検出技術によって達成されてもよい。例えば、抗テロメラーゼ抗体を組み込んだ免疫アッセイを使用してもよい。この例では、病理学的評価が、抗テロメラーゼ抗体とテロメラーゼとの結合の検出に使用される。本開示の方法において、テロメラーゼは、「抗原」である。テロメラーゼ検出方法を、自動テロメラーゼ検出系に組み込んでもよいことも想定される。そのような自動免疫アッセイ系は、試料の自動処理及びテロメラーゼの病理学的検出を提供する。そのような系は、試料中のテロメラーゼのハイスループット分析を可能にすることが想定される。例示的な自動染色プラットフォームには、Ventana Benchmark Ultra or XTプラットフォーム(Ultraview or Optiview検出系)、Leica Bond III(Bond Polymer Refine検出系)、Dako Autostainer(Dako Envision検出系)が含まれる。
免疫アッセイ
日常的な臨床評価では、免疫アッセイフォーマットに基づいた方法が、試料中のテロメラーゼの存在を検出するために使用されることが想定される。本開示の文脈において、免疫アッセイは、抗体または免疫グロブリンの使用を介して溶液中の抗原の存在または濃度を測定する、生化学試験である。
本開示に使用される抗体は、テロメラーゼが試料中の1個以上の細胞に存在するかを検出することができる任意の抗体でありうる。テロメラーゼが細胞に存在するかを検出することができる様々な市販の抗体が、本開示の方法における使用のために入手可能である。そのような抗体は、Sapphire Biosciences、Life Span Biosciences、Novus Biologicals、Australian Biosearch、Epitomics、Santa Cruz、EMD Millipore、GenWay Biotech Inc、Jomar Biosciences、Sigma−Aldrich、BioCore Pty Ltd、US Biologicals、Thermo Scientific、Life Research、Resolving Images及びSienna Cancer Diagnostics Ltdから得ることができる。一例として、抗体は、テロメラーゼ複合体(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、テロメラーゼRNA(TRもしくはTERC)及びジスケリン(dyskerin)(DKC1)、ならびに/またはテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)をそれぞれ含む)に結合する。好ましくは、抗体は、抗hTERT抗体である。最も好ましくは、テロメラーゼに結合する抗体は、SCD−A7、2D8、C−12、H−231、抗テロメラーゼ触媒サブユニット、10E9−2、2C4及びtel 3 36−10である。
これらの抗体は当該技術において知られている。例えば、抗hTERT(tel 3)抗体は、ハイブリドーマクローンの36−10から産生されるモノクローナル抗体である。抗体を精製するため、腹水のIgG画分をプロテインGアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。抗hTERT(クローンSCD−A7)抗体は、中空糸培養により増殖させたハイブリドーマクローンのHJ123−2C4(Masutomi et al.,2003)から産生したIgM mAbである。この抗体の産生において、バキュロウイルスベクター感染昆虫細胞から精製したアミノ末端FLAGエピトープタグ付hTERTを、抗hTERTクローンSCD−A7 mAbの産生を刺激する免疫原として使用した。
抗hTERT(クローン2C4)抗体は、(Masutomi et al.,2003)に記載されている。この抗体の産生において、バキュロウイルスベクター感染昆虫細胞から精製したアミノ末端FLAGエピトープタグ付hTERTを、抗hTERTクローン2C4 mAbの産生を刺激する免疫原として使用した。2C4は、中空糸培養により増殖させたハイブリドーマクローンのHJ123−2C4から産生したIgM mAbである。
本開示の方法に使用される抗体は、また、2D8(Novus NB 100−297)、C−12(Santa Cruz 377511)、H−231(Santa Cruz 7212)、抗テロメラーゼ触媒サブユニット(Rockland 600−401−252)、10E9−2(MBL M216−3)、2C4(Novus NB100−317)、SCD−A7(Sienna Cancer Diagnostics P/N 01−5001)などが市販されている。
一例として、本開示の抗体は、検出可能に標識されている。検出可能な標識の例には、色素、蛍光団、またはアッセイ、追跡もしくは画像化における他のレポーター分子の抱合が含まれる。
本開示に使用される抗体は、IgMにより表される一価抗体及び多価抗体に限定されず、これには、テロメラーゼに結合する限り、IgGにより表される二価抗体も含まれる。
更に、本開示に使用される抗体は、全抗体分子に限定されず、これには、テロメラーゼに結合する限り、ミニボディ(minibody)、二特異性抗体(diabody)及びこれらの修飾産物が含まれる。
ミニボディには、全抗体(例えば、全IgG)の一部を欠いている抗体フラグメントが含まれ、これは、テロメラーゼ結合能を有する限り、特に限定されない。テロメラーゼ結合能を除いて、全抗体の一部である限り、本開示の抗体フラグメントに対する特定の限定はないが、これらは、好ましくは重鎖可変領域(VH)及び/または軽鎖可変領域(VL)を含有する。更に、テロメラーゼ抗原結合能を有する限り、VH及び/またはVLの一部は欠失しうる。可変領域は、キメラ化またはヒト化されていてもよい。抗体フラグメントの特定の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvが含まれる。ミニボディの特定の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv(単鎖Fv)、二特異性抗体及びsc(Fv)2(単鎖(Fv)2)が含まれる。これらの抗体の多量体(例えば、二量体、三量体、四量体及びポリマー)も、テロメラーゼの検出に使用されうるミニボディに含まれる。
二特異性抗体は、2つのポリペプチド鎖から構成される二量体であり、一般にポリペプチド鎖は、例えば、同じ鎖内でVLとVHとの結合を防止するのに十分に短い5個ほどの残基のリンカーにより、個別に連結されている。同じポリペプチド鎖によりコードされているVL及びVHは、その間に短いリンカーを有し、単鎖可変領域フラグメントを形成することができないので、二量体を形成する。したがって、二特異性抗体は2つの抗原結合部位を有する。
好ましくは、テロメラーゼに結合する抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、二重特異性、キメラ、組み換え、抗イディオタイプ、ヒト化、単鎖抗体分子、またはその抗原結合フラグメントである。
本開示の好ましい実施形態において、テロメラーゼの検出方法は、テロメラーゼ特異的一次抗体を使用する。一次抗体とテロメラーゼとの結合は、様々な既知の方法により可視化することができる。例えば、一次抗体を認識する標識化二次抗体を使用することができる。この例において、標識は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、放射性同位体、蛍光レポーター、電気化学発光タグなどの酵素でありうる。標識化二次抗体と一次抗体との結合は、病理学的評価を介して検出される。
特定の例では、試料を、テロメラーゼ特異的一次抗hTERT抗体と接触させる。次に試料を洗浄して、任意の非結合一次抗体を、次に一次抗体に特異的な二次抗体を除去し、ペルオキシダーゼ酵素への連結を試料に適用する。次に試料を洗浄して、任意の非結合二次抗体を除去し、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)を試料に適用する。DABから着色産物への変換は、日常的な病理学的評価により可視化され、着色産物の存在は、テロメラーゼが試料中に存在することを示す。
癌の種類
主張される方法において、癌は、対象の癌細胞がテロメラーゼを発現する限り、任意の癌でありうる。一例において、癌は膀胱癌である。様々な他の例において、癌は、膵癌、肝臓癌、胆嚢癌、甲状腺癌、乳癌、肺癌、中皮腫、子宮頸癌、卵巣癌、腎臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、食道癌、または脳腫瘍である。
当業者に理解されるように、それぞれの癌の種類は、癌の悪性度に関連して様々な特徴を有する。これらの悪性度は、一般に、周囲組織への癌の拡散及び浸潤のレベルによって決まる。例えば、癌の後期の悪性度または「高悪性度」は、一般に、転移及び不十分な予後の高い可能性と関連する。高悪性度の癌は、一般に起点の組織または臓器から周囲組織または身体全体へ拡散する。対照的に、「低悪性度」の癌は、上皮内癌(CIS)と特徴づけることができ、これは、細胞が異常に繁殖しているが、依然として起点の組織または臓器内に収まっていることを意味する。
一例では、本開示の方法を、対象が高悪性度の癌を有するかを決定するために使用することができる。
一例では、本開示の方法を、対象が低悪性度の癌を有するかを決定するために使用することができる。例えば、本開示の方法を、対象が上皮内癌を有するかを決定するために使用することができる。例えば、本開示の方法を、対象が腺管上皮内癌を有するかを決定するために使用することができる。
膀胱癌の文脈において、「高悪性度」または「より高い悪性度」の膀胱癌は、転移のより高い可能性を有する悪性癌(攻撃性が大きいと考慮される膀胱癌)を含む、対象において再発及び/もしくは進行する、ならびに/または浸潤性になる可能性が高い膀胱癌を指す。膀胱に限定されない癌(すなわち、筋肉浸潤性膀胱癌)は、攻撃性の大きい膀胱癌であると考慮される。
「低悪性度」の膀胱癌は、上皮内癌(CIS)と特徴づけることができ、これは、細胞が異常に繁殖しているが、依然として膀胱内に収まっていることを意味する。「低悪性度」または「より低い悪性度」の膀胱癌は、再発、進行、浸潤及び/または転移の可能性がより低い悪性癌を含む膀胱癌(すなわち、攻撃性が小さいと考慮される膀胱癌)を指す。膀胱に限定される癌(すなわち、筋層非浸潤性膀胱癌、NMIBC)は、攻撃性の小さい膀胱癌であると考慮される。一例では、本開示の方法を、対象が高悪性度の癌を有するかを決定するために使用することができる。
一例では、本開示の方法を、対象が高悪性度の膀胱癌を有するかを決定するために使用することができる。
一例では、本開示の方法を、対象が低悪性度の膀胱癌を有するかを決定するために使用することができる。例えば、本開示の方法を、対象が膀胱上皮内癌を有するかを決定するために使用することができる。
試料の調製及び分析
本開示の方法を実施するには、対象の試料が必要である。本明細書に使用されるとき、用語「試料」は、対象からの細胞もしくは細胞の個体群、またはある量の組織を指す。「試料」には、試料の抽出物、誘導体、画分、懸濁液、または切片が含まれる。「試料」及び「検体」などの用語は、本開示において、文脈中で交換可能に使用できる用語であることが考慮される。本開示において、任意の細胞または組織を、対象から収集することができる限り、上記に記述された試料として使用することができる。本開示に使用される試料は、ヒトの細胞または組織試料であることが考慮される。
適切な試料は、また、実施される病理学的評価に応じて決まる。例えば、細胞学的評価は、細胞試料を必要とする。好ましくは、試料は体液試料である。体液試料には、血液(全血を含む)、血漿、血清、溶血産物、リンパ液、滑液、髄液、尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液、脳脊髄液、***、便、痰、粘液、羊水、涙液、嚢胞液、汗腺分泌液、胆汁、乳汁、涙、または唾液からなる群から選択されるが、これらに限定されない様々な生物学的材料が含まれてもよい。他の例において、体液試料は、微細針吸引液または細胞懸濁液でありうる。膀胱癌の文脈において、体液試料は尿試料である。これらの試料は、当該技術に既知の技術を使用して得ることができると想定される。例えば、膀胱癌の文脈において、細胞試料は、対象の尿試料から得ることができる。乳癌または甲状腺癌の文脈において、試料は、微細針吸引を介して得てもよい。子宮頸癌の文脈において、試料は、パパニコロー検査のために調製された細胞懸濁液でありうる。
一例において、細胞試料は、対象から取り出された後、細胞学的評価の前に処理される。例えば、組織を固定、透過処理及び/または洗浄処理してもよい。
対照的に、組織学的評価は組織試料を必要とする。一例において、組織試料は、膀胱、膵臓、肝臓、胆嚢、甲状腺、***、肺、子宮頸部、卵巣、腎臓、結腸、前立腺、胃、食道、または脳から得られる。
組織試料には、生検または切除によって得た材料が含まれてもよい。本開示の方法に使用される組織試料は、当該技術に既知の技術を使用して得ることもできると想定される。例えば、膀胱癌の文脈において、組織試料は、膀胱鏡検査を介して得ることができる。胃または食道癌の文脈において、組織試料は、内視鏡検査を介して得ることができる。結腸癌の文脈において、組織試料は、結腸内視鏡検査を介して得ることができる。乳癌の文脈において、組織試料は、コア針生検または外科的生検を介して得ることができる。
一例において、組織試料は、対象から取り出された後、病理学的評価の前に処理される。例えば、組織をパラフィン包埋、固定、透過処理及び/または洗浄処理してもよい。
本開示の方法を、同じ患者から得た複数の試料に実施してもよいことが想定される。例えば、本開示の方法を使用して、同じ患者から得た少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個の試料を評価してもよい。複数の試料を一回の判定または手順によって得てもよい。
例えば、複数の試料を一回の生検手順によって得てもよい。例えば、4分区分食道生検手順(four quadrant oesophageal biopsy procedure)は、本開示の方法を使用する評価に、4個の組織試料を提供することができる。
癌を外科的に除去した後に癌辺縁部を評価するとき、複数の生検材料を得ることもできる。一例において、本開示の方法は、癌を外科的に除去した後に使用される。この例において、本開示の方法は、癌辺縁部から得た組織試料の細胞形態の病理学的評価が、癌について陰性であるとき、対象が癌を有するかを決定することに使用される。
本方法の実施において、細胞形態の病理学的評価及びテロメラーゼの検出についての病理学的評価は、同じ試料から得た別々の細胞もしくは組織切片、または同じ患者から得た別々の細胞もしくは組織試料において実施できることも想定される。
本発明たちは、細胞形態の病理学的評価が、癌について陰性であるとき、抗テロメラーゼ抗体とこれらの細胞との結合は、対象が癌を有することを示すことを見出した。したがって、細胞形態の病理学的評価及びテロメラーゼの検出についての病理学的評価には、同じ試料、特に同じスライドを使用することが好ましい。
したがって、一例において、細胞形態の病理学的評価及びテロメラーゼの検出についての病理学的評価は、対象の試料から得た同じ細胞または組織切片に実施される。一例において、細胞形態の病理学的評価及び抗テロメラーゼ抗体の結合を検出する病理学的評価は、同じ細胞において同時または順次に実施される。
臨床的に重要な細胞
語句「臨床的に重要な細胞」は、病理学者が患者の癌状態を決定するために検査している細胞を指す。
臨床的に重要な細胞は、調査される癌によって決まり、本開示の文脈において、***の乳管及び小葉細胞、肺の呼吸器細胞、消化管の粘膜細胞、膵臓の導管及び膵島細胞、肝細胞、濾胞細胞、中皮細胞、生殖細胞、卵巣、食道または胃の顆粒膜細胞及び上皮細胞、前立腺の腺及び基底細胞、尿管の上皮細胞、尿路上皮細胞、腎臓の腺管及び尿細管細胞、子宮内膜細胞、脳の神経または膠細胞が含まれうる。
一例において、臨床的に重要な細胞は、形態学的に正常である。別の例において、臨床的に重要な細胞は、前悪性である。別の例において、臨床的に重要な細胞は、化生性である。別の例において、臨床的に重要な細胞は、異形成性である。
癌の決定は、正常な細胞はテロメラーゼを発現しないが、悪性細胞はテロメラーゼを発現するという一般的な原則によって行うことができる。しかし、当業者に理解されるように、特定の非悪性細胞型もテロメラーゼを発現するので、この一般的な原則にも例外はある。これらの細胞は、臨床的に重要であるとは考慮されず、評価から除外されるべきである。好ましくは、除外される細胞は、T細胞、B細胞、好中球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、記憶細胞、形質細胞、好酸球、精嚢細胞、***からなる群から選択される。これらの細胞は、臨床的に重要な細胞と明確に異なる形態を有し、したがって病理学的評価を実施するときに視覚的に容易に除外することができる。
例えば、本方法を使用して膀胱癌を決定するとき、当業者が組織学的分析から視覚的に除外するいくつかの細胞型が存在する。これらの細胞には、好中球、マクロファージ及び好酸球などの炎症性細胞、ならびに腎細管細胞、精嚢細胞、***及び扁平上皮細胞が含まれる。これらの細胞は、臨床的に重要な正常尿路上皮細胞(膀胱壁細胞)と明確に異なる形態を有し、したがって病理学的評価を実施するときに視覚的に容易に除外することができる。
本発明の実施において、テロメラーゼは、2個以上の臨床的に重要な細胞に存在することができ、対象が癌を有することを示すことができる。様々な態様において、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、少なくとも約100個、少なくとも約200個の病理学的に評価された臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。対照的に、臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在は、悪性細胞が試料中に存在しないことを示す。
更に、テロメラーゼは、試料中の評価された臨床的に重要な細胞の総数の率で存在することができ、対象が癌を有することを示すことができる。様々な態様において、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%の評価された臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。
例えば、抗テロメラーゼ抗体と、対象の組織試料から得た組織切片中の少なくとも約5%の膀胱尿路上皮細胞との結合は、対象が癌を有することを示す。
疑念を避けるため、臨床的に重要な細胞の20個あたり1個の抗テロメラーゼ抗体の結合が、対象が癌を有することを示すと想定される。
反映試験
主張される方法を、反映試験として実施してもよいことが想定される。「反映試験」は、前の試験(例えば、第1の試験)から得た結果に基づいて行われるその後の試験(例えば、第2の試験)を指す。対象が癌を有するかを決定するとき、試料の病理学的評価は、別の標的を試験する願望をもたらす可能性がある。本開示の文脈において、別の標的を試験する(すなわち、抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出する)願望は、癌について陰性である細胞形態の病理学的評価によって導かれる。
補助試験
主張される方法を、また、補助試験として実施してもよいことが想定される。他の試験の結果に追加される、または結果の解釈を助ける情報を提供する及び初期癌陰性評価の修正に有用な情報を提供する試験は、補助試験と分類してもよい。臨床設定において、細胞形態の病理学的評価は、対象が癌を有するかを決定することが求められることもある。病理学的評価は癌について陰性でありうるが、対象が癌を有するかの決定を助けるため、細胞形態の病理学的評価の補助として更なる病理学的評価を実施して、抗テロメラーゼ抗体と、対象の試料中の臨床的に重要な細胞との結合を検出する。この文脈において、抗テロメラーゼ抗体と、1個以上の臨床的に重要な細胞との結合は、対象が癌を有することを示し、細胞形態の陰性の病理学的評価を修正する。
補助試験を実施することによって、細胞形態の病理学的評価を、テロメラーゼの病理学的検出と同時に、またはほぼ同時に実施できることが想定される。しかし、これらのステップを別々に実施してもよい。
対象
本明細書に使用されるとき、「対象」は、癌を有しうる任意の生物体でありうる。好ましい実施形態において、対象は哺乳動物である。哺乳動物は、イヌもしくはネコなどの伴侶動物、またはウマもしくはウシなどの家畜動物であってもよい。1つの実施形態において、対象はヒトである。「対象」、「患者」、または「個体」などの用語は、本開示において、文脈中で交換可能に使用されうる用語である。
悪性細胞が本開示の方法の使用により対象において特定される場合、対象には癌の治療を指示または処方することができる。例えば、本開示の方法の使用により検出された癌を、薬理学的作用物質により治療することができる。適切な例示的療法には、外科手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、生物製剤、抗体療法、ホルモン療法、幹細胞移植、光線力学的療法、切除療法及びこれらの様々な組み合わせが含まれる。
適切な治療過程は、特定された癌に応じて決まる。例えば、膀胱癌が対象において特定される場合、対象には、膀胱腫瘍の経尿道的切除術、化学療法、放射線療法、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)免疫療法、抗体療法、またはこれらの組み合わせなどの治療が指示されてもよい。例えば、乳癌が対象において特定される場合、対象には、***切除術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法(例えば、抗エストロゲン療法)、抗体療法、またはこれらの組み合わせなどの治療が指示されてもよい。例えば、前立腺癌が対象において特定される場合、対象には、前立腺切除術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法(例えば、抗テストステロン療法)、抗体療法、またはこれらの組み合わせなどの治療が指示されてもよい。
本開示の方法は、任意の対象が癌を有するかを決定するために使用できることが想定される。好ましくは、方法は、癌を示す症状を有する対象において、癌を決定するために使用される。例えば、膀胱癌の文脈において、本方法は、血尿(尿中の血液)、切迫頻尿、排尿時灼熱感などの膀胱疾患を示す症状で受診する対象に適用可能である。
本開示に使用される試料は、新たな、または再発性の癌をモニターするために定期的な調査監視(surveillance)が必要な対象から得てもよい。例えば、バレット食道もしくは腺管上皮内癌(DCIS)などの前悪性状態を有する対象、または癌サバイバー(cancer survivor)は、新たな、または再発した悪性腫瘍をモニターするために定期的な調査監視を必要とすることがある。細胞形態の組織学的評価が癌について陰性である場合、診療医は、調査監視下の対象から組織試料を得て、本発明の方法を適用して、癌を有するかを決定することができる。癌が特定されると、適切な治療レジメンを確立することができる。
治療介入後の調査監視に適した時間的経過は、対象の危険因子及び癌の病期分類に応じて決まる。膀胱癌の文脈において、治療後の適切な調査監視は、細胞形態の尿病理学的評価を3か月毎に1〜2年間にわたって始めることができる。細胞形態の病理学的評価の選別間隔は、前の細胞及び膀胱鏡検査の知見に応じて延長される。乳癌の文脈では、外科手術後の6か月間のマンモグラフィー評価、その後の毎年の追跡調査が適していることがある。前立腺癌の文脈では、適切な調査監視には、定期的な間隔での前立腺特異的抗原(PSA)、直腸診(DRE)及び超音波による評価が含まれうる。
診断決定
主張される方法の実施において、テロメラーゼの病理学的評価及び細胞形態の病理学的評価の特定の結果は、それぞれの対象における特定の診断決定と関連することが想定される。主張される方法を実施するときに得られうるテロメラーゼ及び細胞形態の結果を、下記の表1にまとめる。
以下の結果は、対象が癌を有することを示し、したがって、治療介入が是認される。
−抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合及び細胞形態の陽性の病理学的評価。
−抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合及び細胞形態の陰性の病理学的評価。
−細胞形態の陽性の病理学的評価及び抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合の両方の適合感受性を考慮すると、生じる可能性は少ないが、臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在及び細胞形態の陽性の病理学的評価。
臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在及び細胞形態の陰性の病理学的評価は、試料中の細胞が悪性ではないことを示す。例えば、臨床的に重要な細胞への抗テロメラーゼ抗体結合の不在及び細胞形態の陰性の病理学的評価は、対象が、癌と関連しない良性/反応性の変化を潜在的に有することを示す。
表1:細胞形態の病理学的評価及びテロメラーゼの病理学的評価の結果に関連する診断決定及び臨床結果
本開示の文脈において、細胞形態の陽性の病理学的評価は、癌を示す形態学的変化を有する細胞の特定を指す。癌と関連しうる形態学的変化には、不規則なサイズ及び形状を有する拡大核、顕著な核小体、色が濃いことも淡いこともある乏しい細胞質が含まれる。対照的に、細胞形態の陰性の病理学的評価は、癌を示す任意の形態学的変化の不在と定義される。
確定診断
対象が癌を有するかを決定する本開示の方法の適用において、癌の存在に関する診断決定は、抗テロメラーゼ抗体と、対象から得た試料の1個以上の臨床的に重要な細胞との結合に基づいて行うことができると考慮される。しかし、診断決定は、治療医が治療の過程を決定する確定診断に関して最終的であっても、なくても良い。換言すると、本開示の技術を使用して得た診断決定は、癌の可能性を決定または特定する試みの過程を指すことが、当業者に理解される。
本開示の方法は、癌発生の危険性の評価に助けを提供することに使用することができ、癌の存在、または性質、または素因、または前駆物質に関する前臨床決定の評価を行うことを助けると考慮される。このことは、対象が癌を発生する相当大きな可能性を有するという知見を出すことを指すと考慮される。
本開示の方法を、癌の存在または癌の危険性の増加についての評価を提供する当該技術に既知の癌の臨床評価の他の方法と、組み合わせて使用することもできると想定される。
癌を有すると決定された対象の癌の状態の確定診断は、PET、MRI、超音波、CT、PET/CTを含む画像化技術などを介して是認されると、確証または確認されうる。したがって、本開示の方法を、前選別において使用することができ、是認されると、更なる評価を実施することができる。
感受性及び特異性
いくつかの実施形態では、感受性及び/または特異性が癌の臨床診断に対して測定される。
様々な実施形態において、患者が癌を有するかを決定する本請求の方法によって達成される感受性は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。
様々な実施形態において、患者が癌を有するかを決定する本請求の方法によって達成される特異性は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、または少なくとも約95%である。
実施例1:臨床試料
膀胱癌(尿路上皮細胞癌)を有すると疑われる、またはその病歴を有する泌尿器患者の臨床材料に対する倫理的に規制承認された概念証明研究を、テロメラーゼhTERTタンパク質免疫染色の臨床診断可能性を実証するために実施した。更に、研究は、hTERT免疫染色が低悪性度と高悪性度の患者から得た試料を区別できることを実証することが目的であった。
この研究において、臨床的に陽性の患者は、生検的に証明された膀胱癌(非浸潤性及び筋肉浸潤性の両方を含む)を有した。全ての病期及び悪性度の決定は、組織学によるものであった。患者が異なる病期/悪性度の複数の膀胱癌病巣を有する場合、より高い病期/悪性度のものを記録した。
臨床的に陰性の患者は、全て、健康であり、泌尿生殖器疾患の病歴を有さない無症候性の個体、または全て、膀胱壁の視診(可動性/剛性膀胱鏡検査)に、初めて、もしくは以前の膀胱癌の経過観察のために来診している無病患者であった。
患者は、以下の基準のいずかを満たした場合に研究から除外された。
a)組織学を実施することなく、視診(可動性/剛性膀胱鏡検査)によって、疑わしい/特徴づけられていない非膀胱癌の診断を有した患者、
b)根治的膀胱切除術を有した経過観察中の患者、
c)腺癌及び非尿路上皮膀胱癌(小細胞癌腫、癌肉腫、原発性リンパ腫及び肉腫を含む)を有する患者、ならびに/または
d)他の泌尿生殖器腫瘍(腎臓、前立腺、尿管上部)を有する患者。
合計253個の試料を最初に試験した。これらのうちの108個の試料を、下記の実施例2に概説したプロトコールを使用して評価し、エピトープの回収形態は、凍結解凍または熱誘導のいずれかを使用した。これらのうちの90個の試料には、少なくとも1個の尿路上皮(膀胱壁)細胞が存在した。残りの18個の試料は、全て、重要な膀胱細胞壁細胞(すなわち、尿路上皮細胞)が見出されなかったので、更なる分析から除いた。90個の試料のうち、5個の臨床的に陽性な試料を、生検証明疾患を欠いていたので、更なる分析から除いた。残りの85個の試料を、表2(全て臨床的に陽性の試料−生検証明済み)及び表3(全て臨床的に陰性の試料−膀胱鏡検査により明白)に提示し、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果をそれぞれ示す。分析された85個の試料において、臨床的に重要な細胞の数は、臨床的に陽性及び陰性の患者の両方で5〜3000個の範囲であった。
●臨床的に陰性の試料:5〜900個の範囲の尿路上皮細胞。
●臨床的に陽性の試料:10〜3000個の範囲の尿路上皮細胞。
全ての患者において、同じ試料においてテロメラーゼ免疫染色及び並行して細胞形態の細胞学的評価を実施し、結果を記録した。テロメラーゼhTERTタンパク質免疫染色及び細胞形態の細胞学的評価を、互いに盲検的に及び臨床状態(膀胱鏡検査+/−生検により得た)について盲検的に実施した。免疫染色、細胞形態の細胞学的評価及び膀胱鏡検査は、全て、それぞれの臨床診断及び/または医療分野においてこれらのアッセイを実施するために登録されている熟練の臨床医及び/または病理学者により実施した。
テロメラーゼ免疫染色のスコア付けは、スライドの確信的な評価を得るために適切な数の視野を走査した細胞学者によって決定した。核染色を示す尿路上皮細胞の数/率を、細胞学者の読み取りによって記録した。試験陽性のカットオフ値を、核染色を示す尿路上皮細胞の>5%に設定した。
細胞形態の細胞学的評価の後に非定型と分類された全ての試料(臨床的に陽性及び陰性の両方)を、表4に提示する。
実施例2:試料の採取及び処理
患者から***された尿を、直ぐに処理した、または処理する前に4〜6時間以下の時間にわたって4℃で維持した。試料を50mLの滅菌遠心管に移し、600gにより4℃で10分間遠心分離した。管を取り外し、上澄みを廃棄した。細胞ペレットを15mLの1×PBSに再懸濁し、15mLの滅菌遠心管に移した。試料を600gにより4℃で10分間遠心分離し、上澄みを再び廃棄した。最後に細胞ペレットを、細胞を数える前に1mLの1×PBSに再懸濁した。
試料毎におよそ30,000個の細胞を15mLの滅菌遠心管に移し、Shandon Cytospin Collection Fluid(Thermo Scientific、参照番号:6768001、ロット番号:226955)により体積を10mLに調整した。管を再び600gにより4℃で10分間遠心分離した。Shandon Cytospin Collection Fluidに細胞30,000個あたり250μLの比率で再懸濁する前に、上澄みを廃棄した。Shandon Cytospin 4(Thermo Scientific、部品番号:A778300101、シリアルナンバー:CY6695 1055)を使用し、低加速により細胞を1000rpmで4分間遠心分離することにより、細胞を顕微鏡のガラススライドに固定した。
細胞が固定されたスライドを、−20℃の冷凍庫に移す前に、スライドを顕微鏡スライドボックスに4℃で一晩保存した。
本明細書に報告された染色の結果は、全て、Ventana Benchmark XTまたはVentana Benchmark Ultra自動染色プラットフォームにより実施した。Leica Bond and Biocare intelliPATH FLXが含まれるが、これに限定されない他の自動染色プラットフォームによる最適化の後に、同一の結果を得た。自動染色プラットフォームに加えて、手作業での免疫染色処理の使用による最適化の後でも、同一の結果を得た。
手作業による免疫染色処理では、スライドを、冷却した50%アセトン:メタノールで10分間にわたって後固定した。スライドを1×リン酸緩衝食塩水(PBS)、pH7.4(カタログ番号:10010−023、5×500mL Gibco(登録商標)Life Technologies)で洗浄して、残留固定剤を除去し、次にクエン酸緩衝液、pH6.0を含有する染色皿に入れた。スライドを、マイクロ波オーブンにおいて手作業での抗原回収により95℃で30分間処理する。スライドを、再び1×PBS、pH7.4で洗浄する。回収した後、スライドを、テロメラーゼ特異的一次抗hTERT抗体と共に室温で2時間インキュベートする前に、0.5%のTween 20を有する1×PBS中の5%のBSAで1時間遮断し、0.5%のTween 20を有する1×PBSで洗浄した。スライドを一抗体後遮断(post−primary antibody block)Novocastra Post Primary(参照番号:RE7159、ロット番号:6012593、125mL、Leica Microsystems)により室温で1時間処理し、再び0.5%のTween 20を有する1×PBSで洗浄する。スライドを、二次抗体Novocastra Novolink Polymer(参照番号:RE7161、ロット番号:6012594、125mL、Leica Microsystems)と共に室温で30分間インキュベートし、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)増強液体基質(製品番号:D3939、Sigma)と共に室温で2分間インキュベートする前に、0.5%のTween 20を有する1×PBSで洗浄する。スライドを1×PBS、pH7.4ですすいで、反応を停止させる。次にスライドを、0.5%のMethyl Green溶液(製品コード:M8884−25G、ロット番号:MKBD8768V、25g、Sigma)中に60℃で5分間インキュベートし、水道水で洗浄する。スライドを、アセトン中0.05%(v/v)の氷酢酸、次に95%のエタノール、100%のエタノール、続いてキシレンによる最終ステップによって脱水する。スライドをUltramount No:4 Mounting Media(製品コード:II065C、バッチ番号:1305141450、100mL)により装填し、1時間乾燥する前に、直ぐにカバーガラスをかぶせる。スライドを光学顕微鏡により観察する。
自動免疫染色処理では、スライドを、冷却した50%アセトン:メタノールで10分間にわたって後固定した。スライドを、Ventana Antibody Dilution Buffer(Ventana Medical Systems,Inc、カタログ番号:ADB250)で洗浄して/に浸けて、残留固定剤を除去し、次に自動染色プラットフォームに置き、オンボード(on−board)において95℃で8分間かけて抗原を回復した。回復した後、スライドを、テロメラーゼ特異的一次抗hTERT抗体と共に36℃で32分間インキュベートする前に、Ventana Discovery試薬(Ventana Medical Systems,Inc、カタログ番号:760−108)で4分間遮断した。残りのステップは、Ventana Discovery and Ventana UltraView Universal DAB Detection Kit(Ventana Medical Systems Inc、カタログ番号:760−500)を使用する、標準的なVentanaプラットフォーム設定に依存した。ヘマトキシリン対比染色を、標準的なディップダンク(dip−dunk)染色液によりオフボード(off−board)で実施した。対比染色をオンボードで実施して、同一の結果を得ることもできる。
本明細書の結果は、(Masutomi et al.,2003)に記載されている抗hTERT(クローン2C4)を使用して得た。
表2:臨床的に陽性の試料(生検証明済み)における細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果
細胞形態の「非定型」細胞学的評価は、試料中の細胞が、正常な外観を失っているが、悪性細胞の異常性のレベルには達していないことを示す。
^再染色された試料
表3:臨床的に陰性の試料(生検証明済み)における細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果
細胞形態の「非定型」細胞学的評価は、試料中の細胞が、正常な外観を失っているが、悪性細胞の異常性のレベルには達していないことを示す。
表4:非定型細胞学を有した全ての試料(臨床的に陽性及び陰性の両方)における臨床状態、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果
細胞形態の「非定型」細胞学的評価は、試料中の細胞が、正常な外観を失っているが、悪性細胞の異常性のレベルには達していないことを示す。
^再染色された試料
実施例3:膀胱癌試料におけるテロメラーゼの免疫染色は疾患と相関する
85個の臨床試料を処理して、顕微鏡スライドに置き、上記に記載されたプロトコールを使用して染色した。抗体の状態または細胞試料の調製に対する僅かな調整は、試料毎に経験的に決定した。テロメラーゼ免疫染色を受けたあらゆる試料は、同じ試料において細胞形態の標準的な細胞学的評価も受けた。細胞形態の細胞学的評価を、陽性、陰性、または非定型とスコア付けした。
細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果を、臨床的に陽性の試料(表2)及び臨床的に陰性の試料(表3)と比較した。22個の臨床的に陽性の結果を、テロメラーゼ陽性染色を有する16個により評価した。残り6個の臨床的に陽性の試料のうち、6個を、細胞形態の細胞学的評価の後に良性と同定した。したがって、テロメラーゼは、22個のうち16個(72%)が悪性膀胱癌であることを示した。
63個の臨床的に陰性の結果を、テロメラーゼ陰性染色を有する48個(76%)により評価した。残り15個の臨床的に陰性の試料のうち、11個(73%)を、細胞形態の細胞学的評価の後に良性と同定
した。残りの4個(27%)を、細胞形態の細胞学的評価の後に、未定(n=3)または陽性(n=1)と同定した。
疾患と相関するテロメラーゼ染色を図1に示す。試料WH11−107には、細胞染色が観察されなかった(臨床的に陰性、図1A)。対照的に、有意な細胞染色が、臨床的に陽性の試料WH11−122に観察された(図1B)。この試料では、強力な核染色の形態の陽性染色が、最適抗体濃度下で、存在する尿路上皮細胞の40〜75%に観察された。この臨床試料に存在する全ての尿路上皮細胞が、テロメラーゼhTERTタンパク質の存在により染色されるとは限らないことに注目することは興味深く、試料内の全ての細胞が癌性であるとは限らないことを示唆している。
実施例4:細胞形態の偽陰性及び未定の細胞学的評価の解明
テロメラーゼ免疫染色を受けたあらゆる試料(n=85)は、同じ試料において細胞形態の標準的な細胞学的評価も受けた。細胞形態の細胞学的評価を、陽性、陰性、または非定型とスコア付けした。細胞形態の細胞学的評価の後に非定型と分類された全ての試料(臨床的に陽性及び陰性の両方)(n=16)を、テロメラーゼ免疫染色の関連するスコア付けと一緒に表4に示す。
非定型な細胞診を有した16個の試料を、エピトープ回収の形態を用いて、または用いることなく、2つの異なる免疫染色プロトコールのうちの1つを使用して評価した。それぞれのプロトコール群に8個の試料があり、それぞれ類似した結果をもたらした。16個の試料のうち、5個の試料は臨床的に陽性であり、11個は臨床的に陰性であった。テロメラーゼ免疫染色法は、これらの5個の試料のうち5個を陽性と評価した(尿路上皮細胞の>5%は核染色が陽性であった)。
11個の臨床的に陰性の試料のうち、8個は免疫染色試験により陰性と示され、3個は陽性と示された。これら3個のうち、長期追跡調査中の2人の患者は、後に臨床的に陽性であると評価された(生検証明済み、臨床試料AUA12−058、WH12−291)。残りの1個の試料は、現在、確認臨床追跡調査中である(WH12−318)。しかし、この患者は膀胱切除術を受けていた。この手術の実施は、患者が膀胱癌に陽性であったことを示す。
現在の臨床状態に基づいて、テロメラーゼ免疫染色試験の実施は、膀胱鏡検査に対して、80%の特異性及び83%の感受性がある。更に、免疫染色の結果は、細胞形態の細胞学的評価が不確定な読み取りを提示した症例の少なくとも94%(16件のうち15件)(おそらく症例の100%、WH12−318が膀胱切除術を受けていたので16件のうち16件)において(膀胱鏡検査に対して)正確な診断指標を提供した。
実施例5:診断読み取り値の改善
テロメラーゼの存在について臨床試料を調製及び免疫染色する、同時に抗テロメラーゼ抗体と臨床的に重要な細胞との結合を細胞学的に評価する及び細胞毎に細胞形態を細胞学的に評価する独自の方法は、細胞形態のみの細胞学的評価よりも診断の有意な改善を可能にした。
図3には、細胞毎のテロメラーゼ免疫染色を介した、細胞形態の未定の細胞学的評価の結果を解明する能力、または細胞形態の偽陰性細胞学的評価の結果を再利用する能力が示されている。この図において、全てのパネルに示されている細胞は、テロメラーゼのために最適に免疫染色された低悪性度膀胱癌臨試料のものである。
パネルAには、非膀胱扁平上皮細胞が示されている。この細胞は、膀胱からのものではなく、熟練の細胞学者により全ての診断決定から視覚的に除外される。この臨床試料において陰性免疫染色対照として機能する。パネルAに示されているように、扁平上皮細胞は、予測されたように核染色が全くない。
パネルBには、正常な尿路上皮細胞が示されている。示されている細胞は、両方とも十分に明確な形状及び核:細胞質比を有する。熟練の細胞学者には、これらの細胞は完全に正常に見え、細胞形態の細胞学的評価の後に細胞学的に陰性であると適切に定義される。テロメラーゼhTERTタンパク質の核免疫染色の不在は、これらの尿路上皮細胞が、低悪性度膀胱癌を有することが知られている患者からの***尿中に見出されていても、膀胱壁の正常な領域における正常な尿路上皮細胞である可能性が非常に高いことを示唆している。
パネルCは、明確な形状及び核:細胞質比の形態学的に正常な尿路上皮細胞を示すが、この場合、テロメラーゼhTERTタンパク質の強力な免疫染色が示されている。対照的に、この細胞学的に陰性の尿路上皮細胞は異常なレベルの核テロメラーゼを発現し、したがって、形態学的異常を未だに何も示さない初期悪性細胞である可能性が極めて高い。この結論は、テロメラーゼhTERT免疫染色と図2に示されている臨床結果との強力な臨床的相関関係によって支持される。
全く同じ試料における及び決定が細胞形態の細胞学的評価に基づいて行われた全く同じ細胞におけるテロメラーゼ免疫染色の不在では、この細胞は、熟練の細胞学者及び/または病理学者によって正常または非癌と定義される。これは不正確であり、特定の細胞の偽陰性判定をもたらす。したがって、テロメラーゼの細胞毎免疫染色がこの判定を正確に決定した。
パネルDには、熟練の細胞学者による細胞形態の細胞学的評価の後に細胞学的に陽性と判定されるほど強力ではない僅かな非定型形質を示す尿路上皮細胞が、強力な核テロメラーゼ免疫染色を示している。これは、細胞形態の細胞学的評価の後に未定と分類された個別の細胞でも、最適な条件下でテロメラーゼhTERT免疫染色により成功裏に解明できる例である。
実施例6:正常な形態を有する悪性細胞の同定
最初の実験では、細胞形態の細胞学的評価の後に不確定と分類された3個の臨床的に陰性の試料は、免疫染色試験により陽性であることを示した。これら3個の試料のうち、長期追跡調査中の2人の患者は、後に臨床的に陽性であると評価された(生検証明済み、臨床試料AUA12−058、WH12−291)。残りの1個の試料は、現在、確認臨床追跡調査中である(WH12−318)が、この患者は膀胱切除術を受けていた。この手術の実施は、患者が膀胱癌に陽性であったことを示す。
更なる実験では、倫理承認された臨床検体を公立及び私立病院の採取部門、ならびにバイオバンクから得た。患者から***された尿または組織試料(滅菌食塩水に採取した)を、直ぐに処理した、または処理する前に48時間以下の時間にわたって4℃で維持した。組織試料が全体のものであり、微細針吸引液として採取されたものではない場合、細かく刻んで細胞懸濁液にした。試料を50mLの滅菌遠心管に移し、470gにより4℃で10分間遠心分離した。管を取り外し、上澄みを廃棄した。細胞ペレットを10mLの1×PBSに再懸濁し、470gにより4℃で10分間遠心分離し、上澄みを再び廃棄した。最後に細胞ペレットを、細胞を数える前に1mLの1×PBSに再懸濁した。
1mlの細胞懸濁液を、Shandon Cytospin Collection Fluid(Thermo Scientific、参照番号:6768001、ロット番号:226955)により10mLに調整した。管を、再び470gにより4℃で10分間遠心分離した。Shandon Cytospin Collection Fluidに細胞30,000個あたり250μLの比で再懸濁する前に、上澄みを廃棄した。Shandon Cytospin 4(Thermo Scientific、部品番号:A778300101、シリアルナンバー:CY6695 1055)を使用し、低加速により細胞を1000rpmで4分間遠心分離して、細胞を顕微鏡のガラススライドに固定した。細胞を固定させたスライドを、使用するまで4℃で保存した。
自動免疫染色処理では、スライドを自動染色プラットフォームに置き、オンボードにおいて95℃で8分間かけて抗原を回復した。回復した後、テロメラーゼ特異的一次抗hTERT抗体と共に37℃で36分間インキュベートする前に、一次前過酸化物阻害剤を適用した。Ventana Discovery試薬(Ventana Medical Systems,Inc、カタログ番号:760−108)が、16分間の遮断後ステップに必要であった。残りのステップは、Ventana OptiView DAB IHC Detection Kit(Ventana Medical Systems Inc、カタログ番号:760−700)を使用する、標準的なVentanaプラットフォーム設定に依存した。ヘマトキシリン対比染色を、Hematoxylin II(Ventana Medical Systems Inc、カタログ番号:790−2208)の使用により実施した。
試料を2つの方法−細胞学的及び免疫細胞化学的評価により分析した。次に結果を患者の臨床状態(膀胱鏡検査及び/または生検により証明済み)と適合させた。パパニコロー染色(Pap染色)を使用して、個別の細胞の形態学的特徴を決定し、一方で免疫アッセイは抗hTERT抗体を使用して、テロメラーゼの存在(臨床的に重要な細胞の核中の褐色染色により示される)を検出した。試料が良性であると確定される場合、形態学的に正常な細胞のみが特定されるように評価した。細胞学的評価に基づいて悪性と分類された試料では、悪性と形態学的に正常な細胞の両方を含有することがある。
分析は、膀胱癌について臨床的に陽性の18個の試料における形態学的に正常な細胞に、核テロメラーゼ免疫染色を明らかにした(表5)。これらの試料のうちの2個は、以前に細胞学により良性または非定型と分類されていた(表5)。これらの試料のうちの16個は、以前に細胞学により悪性または非定型と分類されていた(表5)。
提供されたデータから、本発明者たちは、形態学だけに基づいて癌陰性診断が与えられた試料を特定した。細胞学的評価が良性である場合、患者には陰性診断を与えた。試料のRMH16−320は良性と評価されたが、免疫アッセイによりテロメラーゼが検出された。形態学的に正常な細胞におけるテロメラーゼの検出は、臨床結果(膀胱鏡検査及び/または生検により確認済み)と正確に適合した。抗hTERT抗体による陽性の結果は、癌検出の感受性を改善した。
表5:膀胱癌について臨床的に陽性の試料における臨床状態、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果
分析は、甲状腺癌について臨床的に陽性の2個の試料における形態学的に正常な細胞に、核テロメラーゼ免疫染色を明らかにした(表6)。これらの試料は、両方とも、以前に細胞形態の細胞学的評価により良性と分類されていた(表6)。
表6:甲状腺癌について臨床的に陽性の試料における臨床状態、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果
分析は、膵癌について臨床的に陽性の2個の追加の試料における形態学的に正常な細胞に、核テロメラーゼ免疫染色を明らかにした(表7)。これらの試料は、両方とも、以前に細胞形態の細胞学的評価により良性または非定型と分類されていた(表7)。
表7:膵癌について臨床的に陽性の試料における臨床状態、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果
これらのデータは、テロメラーゼが、正常な形態学を有している悪性細胞を示しうることを示唆している。これらのデータは、テロメラーゼが、正常な形態学を有しているが、細胞学により悪性または非定型と分類された悪性細胞を示しうることを示唆している。このことは、正確な臨床結果を達成することに、より大きな信頼性を提供する。したがって、陽性テロメラーゼ染色を有した試料を提供した、癌について陰性であるという病理学を有する患者には、更なる検査を受けさせる、例えば、膀胱癌では生検を伴う膀胱鏡検査及び組織学的評価を受けさせることがある。陽性テロメラーゼ染色を有する試料を提供した、癌が臨床的に陰性の患者は、強化された臨床的調査監視下に置かれることがある。
実施例7:膀胱癌を診断する臨床設定におけるテロメラーゼ染色
患者は、血尿(尿中の血液)、切迫頻尿、または排尿時灼熱感などの膀胱疾患を示す症状で受診する。これらの症状は、尿感染など癌よりも重篤度のかなり低い他の状態により引き起こされる可能性があるが、これらは膀胱癌に特徴的なものである。
したがって、尿試料を患者から得て、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色のために送る。細胞形態の細胞学的評価の結果が膀胱癌について陰性である場合、臨床医は、テロメラーゼ免疫染色の結果を使用して、患者が膀胱癌を有するかを決定することができる。
試料がテロメラーゼ陽性である場合、細胞学より改善された感受性のテロメラーゼアッセイが、膀胱癌の膀胱鏡調査を是認する。
次に膀胱鏡検査を患者に実施することができ、膀胱癌が後に同定される場合、適切な治療レジメンを確立することができる。
実施例8:テロメラーゼ染色および膀胱癌調査監視
未だ解明されていない上記に考察されたものに類似した症状を表す患者、または癌の発生もしくは再発の危険性が増加している患者は、癌の発生について定期的な調査監視が必要なこともある。
これらの患者から周期的に組織試料を得て、細胞形態の病理学的評価及びテロメラーゼ免疫染色のために送る。細胞形態の組織学的評価の結果が癌について陰性であり、試料がテロメラーゼ陽性である場合、臨床医は、更なる膀胱鏡検査を依頼すること及び/または適切な治療レジメンを確立することができる。組織学的評価の結果が陰性である場合、臨床医は、患者を経時的に連続してモニターすることができ、後日に組織学及びテロメラーゼ染色を伴う更なる追跡膀胱鏡検査を依頼することができる。
実施例9:乳癌を診断する臨床設定におけるテロメラーゼ染色
患者は、日常的な乳癌のマンモグラフィースクリーニングのために受診する。X線撮影では疑いが低いものに、小さな石灰化が観察される。
腺管上皮内癌が疑われ、微細針吸引試料が患者の***から得られる。微細針吸引試料を、細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色のために送ることができる。
細胞形態の細胞学的評価の結果が乳癌について陰性である場合、臨床医は、テロメラーゼ免疫染色の結果を使用して、患者が乳癌を有するかを決定することができる。
試料がテロメラーゼ陽性である場合、コア生検試料を得て、対象が癌を有しているという追加点な確認を提供することができる、及び/または適切な治療レジメンを確立することができる。
実施例10:膀胱癌試料におけるテロメラーゼの比較免疫染色
テロメラーゼ染色を、上記の実施例2の概説された方法を使用して臨床試料と比較した。比較免疫染色は、SCD−A7、Novus 2C4、Novus NB 100−297、Santa Cruz 377511、Santa Cruz 7212、Rockland 600−401−252及びMBL M216−3の抗体を使用して実施した。比較免疫染色の結果を表8に表す。
実施例12:スライド読み取りアルゴリズム
2つのスライド読み取りアルゴリズムを、実施例1に記載された臨床試料を利用して評価した。第1のアルゴリズムは、尿路上皮と扁平上皮の両方の細胞を、テロメラーゼに陽性の核染色により数えることを伴う。陽性試験結果は、染色された細胞の率に基づいて決定される。第2のアルゴリズムは、テロメラーゼの陽性核染色と組み合わせた尿路上皮細胞の形態学的変化を評価して、陽性試験結果を導き出すことを伴う。
読み取りアルゴリズム−5%カットオフ
スライドを×200〜400の倍率で評価し、適切な数の視野にわたって視覚的に走査して、20個を超える尿路上皮細胞を特定した。以下の細胞数を記録した。
1.核染色を示す尿路上皮細胞の数。
2.上記の(1)を記録する過程において特定/評価された尿路上皮細胞の数。
以下の特定の事項にも注目した。
1.尿路上皮染色の特徴(核/細胞質)。
2.核染色を示す扁平上皮細胞の率(細胞質の染色を有する細胞、または有さない細胞の両方が含まれる)。
3.評価した扁平上皮細胞の総数。
表8:臨床的に確証された試料(生検証明済み)における細胞形態の細胞学的評価及びテロメラーゼ免疫染色の結果
このアルゴリズムでは、陽性試験結果を、5%を超える尿路上皮細胞が陽性核染色を示す(すなわち、尿路上皮細胞20個あたり約2〜3個を超える細胞が陽性核染色を有する)スライドと定義した。
読み取りアルゴリズム−形態学に基づく
スライドを評価して、形態学的な非定型性(例えば、核と細胞質の高い比、核クロマチンのばらつき、不規則な核輪郭)を示す尿路上皮細胞を特定した。次に形態学的な非定型性を示す細胞を、陽性免疫細胞化学シグナルの存在または不在について評価した。
対応するパパニコロー染色尿調製物を、臨床試料の評価の際にテロメラーゼ免疫細胞化学のスライドと共に検査した。
このアルゴリズムでは、陽性試験結果を、尿路上皮細胞が陽性核染色の存在下で形態学的な非定型性を示すスライドと定義した。
読み取りアルゴリズムの比較
上記の読み取りアルゴリズムの比較を表9にまとめる。形態学を、細胞のテロメラーゼ陽性染色と組み合わせて使用したスライドの再調査は、全体的な感受性の83.3%をもたらし、一方、5%カットオフアルゴリズムは、全体的な感受性の57.1%をもたらした。低悪性度尿路上皮癌の検出における感受性は、5%カットオフアルゴリズムにより達成された50.0%と比較して、形態学に基づいた読み取りアルゴリズムを使用して75.0%に増加した。
形態学に基づいたアルゴリズムは、5%カットオフアルゴリズムと比較して、尿路上皮癌の全体的な検出において増加した感受性及び特異性、ならびに高悪性度及び低悪性度の両方の疾患分類において増加した感受性及び特異性を実証している。
それにもかかわらず、5%カットオフアルゴリズムは、分析された膀胱癌試料における不確定な細胞学的評価を解明する有効な手法も提供した。例えば、尿路上皮細胞20個あたり、1個の、陽性核染色を有する細胞が、陽性の試験結果を示すと予想される。
表9:5%カットオフ及び形態学に基づいたアルゴリズムの結果の比較
実施例13:形態学的に正常な悪性細胞を特定する組織学的試料
本出願の方法を使用して、細胞形態の組織学的評価が癌について陰性である場合、対象が癌を有するかを決定することができる。
ホルマリン固定されたパラフィンパラフィン包埋組織(4μMがガラススライドに装填されている)を、倫理的に承認された組織バイオバンクから得た。
自動免疫染色処理では、スライドを自動染色プラットフォームに置き、60℃で28分間かけてベーキングして、組織をスライドに接着させた。脱パラフィンステップを選択して、スライドからロウを除去した。抗原回復を95℃で32分間実施した。回復した後、テロメラーゼ特異的一次抗hTERT抗体と共に37℃で28分間インキュベートする前に、一次前過酸化物阻害剤を適用した。Ventana Discovery試薬(Ventana Medical Systems,Inc、カタログ番号:760−108)が、16分間の遮断後ステップに必要であった。残りのステップは、Ventana OptiView DAB IHC Detection Kit(Ventana Medical Systems,Inc、カタログ番号:760−700)を使用する、標準的なVentanaプラットフォーム設定に依存した。ヘマトキシリン対比染色を、Hematoxylin II(Ventana Medical Systems,Inc、カタログ番号:790−2208)の使用により実施した。
癌陽性患者の試料(腫瘍及び適合正常試料)は、臨床的に重要な細胞中にテロメラーゼの存在または不在について探求することによって評価した。腫瘍試料が、形態学的評価に基づいて悪性細胞を含有していることを確認した。適合正常試料は、形態学的に正常な細胞を含有した。皮膚腫瘍試料(09RMH525 1F)は、悪性扁平上皮細胞に陽性のテロメラーゼ染色を示し、同時にテロメラーゼは、対応する適合試料(09RMH525 2A)における形態学的に正常な扁平上皮細胞においても検出された。両方の試料は、形態学に基づいて臨床的に重要な細胞と区別されうる、抗hTERT抗体で陽性に染色された臨床的に重要ではない細胞も含有した。
多数の変更及び/または改変を、広義に記載されている本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されているように、本発明に対して行ってもよいことが当業者に理解される。したがって本実施形態は、あらゆる点において例示的であり、限定的ではないと考慮されるべきである。
上記において考察された全ての出版物は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
本出願は、2015年8月19日に出願したAU2015903361の優先権を主張し、その開示は参照として本明細書に組み込まれる。
本明細書に含まれている文書、作用、材料、装置、物品などについての任意の考察は、本発明の文脈を提供する目的のためだけのものである。これらの事項のいずれか、または全てが、本出願のそれぞれの主張の優先日の前に存在したかのように、本発明に関連する分野における従来技術の基礎の一部を形成すること、または共通の一般知識であることの容認として解釈されるべきではない。
参考文献
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Claims (26)

  1. 試料に対して実施した細胞形態の病理学的評価が癌について陰性であるとき、対象から得た前記試料中に悪性細胞を同定する方法であって、前記試料の細胞を、抗テロメラーゼ抗体と接触させ、前記細胞の病理学的評価を実施して、前記抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出し、前記抗体と臨床的に重要な細胞との結合が、悪性細胞の存在を示すことを含む、前記方法。
  2. 対象から得た試料に実施した細胞形態の病理学的評価が、癌について陰性であるとき、前記対象が癌を有するかを決定する方法であって、
    i)前記対象から得た試料を、抗テロメラーゼ抗体と接触させることと、
    ii)前記試料の病理学的評価を実施して、前記抗体と前記試料中の臨床的に重要な細胞との結合を検出することと、
    前記抗体と前記試料中の1個以上の臨床的に重要な細胞との結合が、前記対象が癌を有することを示すことを含む、前記方法。
  3. 対象が膀胱癌を有するかを決定する方法であって、
    i)前記対象から得た試料の細胞形態の病理学的評価を実施して、前記試料中の1個以上の臨床的に重要な細胞の形態を決定することと、
    ii)前記対象の試料を、抗テロメラーゼ抗体と接触させ、前記試料の病理学的評価を実施して、前記抗体と前記試料中の臨床的に重要な細胞との結合を検出することと、
    細胞形態の前記評価が癌について陰性であるとき、前記抗体と、1個以上の臨床的に重要な細胞との結合が、前記対象が癌を有することを示すことを含む、前記方法。
  4. 細胞形態の前記病理学的評価が正常である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 細胞形態の前記病理学的評価が、前悪性、化生性、または異形成性である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記臨床的に重要な細胞が、形態学的に正常な細胞を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記臨床的に重要な細胞が、前悪性、化生性及び/または異形成性細胞である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 細胞形態を決定する前記病理学的評価及び前記抗体と臨床的に重要な細胞との結合を検出する前記病理学的評価が、同じ細胞において同時に実施される、請求項3に記載の方法。
  9. 前記抗体と前記試料中の臨床的に重要な細胞の少なくとも約5%との結合が、前記対象が癌を有することを示す、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 臨床的に重要な細胞への前記抗体の結合を検出する前記試料の前記病理学的評価が、臨床的に重要ではない細胞が形態に基づいて前記評価から除外されることを可能にする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記除外される細胞が、T細胞、B細胞、好中球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、記憶細胞、形質細胞、好酸球、精嚢細胞及び***の1つ以上、または全てである、請求項10に記載の方法。
  12. 臨床的に重要な細胞への抗体結合の不在が、悪性細胞が前記試料に存在しないことを示す、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記方法が、前記抗体と臨床的に重要な細胞との結合が検出されるとき、前記対象に癌の治療を処方することを更に含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記抗テロメラーゼ抗体が、モノクローナル、ポリクローナル、二重特異性、キメラ、組み換え、抗イディオタイプ、ヒト化、単鎖抗体分子、またはその抗原結合フラグメントである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記病理学的評価が細胞学的評価である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記試料が体液試料である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記体液試料が、尿、膀胱洗浄液、膀胱擦り洗い液、血液、痰、脳脊髄液、胸水、微細針吸引液、細胞懸濁液からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記癌が、膀胱癌、甲状腺癌、乳癌、子宮頸癌からなる群から選択される、請求項15または16に記載の方法。
  19. 前記癌が膀胱癌である、請求項15または16に記載の方法。
  20. 前記病理学的評価が組織学的評価である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記試料が組織試料である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記組織試料が、膀胱、膵臓、肝臓、胆嚢、甲状腺、卵巣、リンパ節、***、子宮頸部、肺、胆樹、腎臓、前立腺、結腸、胃、食道及び脳からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記癌が、膀胱癌、膵癌、肝臓癌、胆嚢癌、甲状腺癌、乳癌、肺癌、中皮腫、子宮頸癌、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、結腸直腸癌、胃癌、食道癌、脳腫瘍からなる群から選択される、請求項21または22に記載の方法。
  24. 前記癌が膀胱癌である、請求項21または22に記載の方法。
  25. 前記癌が上皮内癌である、請求項21または22に記載の方法。
  26. 前記上皮内癌が、膀胱上皮内癌、腺管上皮内癌からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
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