JP2018508723A - 商用車用ディスクブレーキ - Google Patents

Abstract

ブレーキディスクを跨ぐブレーキキャリパと、摺動可能に案内されたブリッジ（６）によってディスクブレーキを締付けるための少なくとも１個の締付け装置とを具備し、ブリッジ（６）が少なくとも１つのねじ付き穴を有し、おねじを有し閉鎖板（１２）を通過する調節スピンドル（１０）がねじ付き穴にねじ込まれ、調節スピンドルがそれと相対的に回転可能な押圧部材（１１）を担持し、この押圧部材によってブレーキパッドがブレーキディスクに押し付け可能であり、調節スピンドル（１０）に作用連結された、空隙を調整するための調整装置を具備し、調節スピンドル（１０）の通過範囲がベロー（１６）によって封止され、このベローが一方ではブレーキキャリパに保持され、他方では押圧部材（１１）に保持されている、商用車のためのディスクブレーキにおいて、止め輪（１５）が設けられ、この止め輪が回転を防止するように調節スピンドル（１０）に保持され、かつ軸方向に移動しないようにおよび回転可能に押圧部材（１１）に保持されている。

Description

本発明は、請求項１の前提部分に記載した商用車用ディスクブレーキに関する。

この種のディスクブレーキは特許文献１に開示されている。このディスクブレーキは制動時にブリッジに作用するブレーキレバーを備えている。このブリッジには少なくとも１本の調節スピンドルが回転可能に支承されている。この調節スピンドルは押圧部材を備え、この押圧部材はブレーキの操作時にブリッジの摺動によってブレーキパッドに押し付けられる。

予め定められた空隙、すなわちブレーキパッドとブレーキディスクとの間の間隔の、摩耗に起因する変化を補償するために、調整装置が設けられている。この調整装置により、調節スピンドルが回転によってブレーキディスクの方へ調整される。そのために、調節スピンドルはおねじを有し、このおねじがそれに対応するブリッジのねじ付き穴に係合する。

ブレーキキャリパの収容室内にはブリッジとブレーキレバーが位置決めされ、この収容室は外側、すなわちブレーキディスク側が閉鎖板によって閉鎖されている。調節スピンドルがこの閉鎖板を通過している。

通過範囲を封止するために、蛇腹式ベローが設けられている。この蛇腹式ベローは一方では閉鎖板に保持され、他方では押圧部材に保持されている。この蛇腹式ベローは一般的に、調節スピンドルを全調整区間にわたって覆うことができるようにするために、高弾性材料、例えばシリコンゴムからなっている。制動後ブリッジを元に戻すために、閉鎖板とブリッジとの間には圧縮ばねが設けられている。

ベローの膨らまし可能性、すなわち寿命に関して、制動時に発生する比較的高い温度がベローに作用するため、ベローを消耗部品として交換しなければならないという問題が生じる。

しかし、これには、窮屈なスペース状態に基づいて膨大な作業コストが必要であり、この作業コストはディスクブレーキの維持費にきわめて不利な影響を及ぼす。

ベローを交換するためには、時間的なコストは別にして、調節スピンドルを調整装置によって戻し回転しなければならない。この場合、調節スピンドルを保護するために、戻し運動および送り運動の際に切離しアダプタが使用される。この切離しアダプタは所定のトルクを超えると切り離され、調整装置の調整部材を過負荷から保護する。さらに、調整装置の連動解除防止装置が必要となる。なぜなら、もしそうしないと、調節スピンドルが調整部材に対して軸方向に締付けられるからである。これは、外すために、切離しアダプタが伝達し得るトルクよりも大きなトルクが必要になることになる。

特許文献２からディスクブレーキが知られている。このディスクブレーキのブリッジはねじ付き穴を備えていないで、止まり穴を備えている。この止まり穴内には押圧プランジャが傾動可能に支承されている。この場合、押圧プランジャは、一方ではブリッジの周溝と他方では押圧プランジャの周溝に挿入された連結リングによって軸方向に保持されているが、ブリッジ内に回転可能に保持されている。押圧プランジャはさらに、それと相対的に回転可能な押圧部材を備えておらず、押圧部材は押圧プランジャの一体の構成部材である。その限りにおいて、この文献は当該種類とは異なる従来技術を示している。

独国実用新案第９４２２３４２Ｕ１号明細書 独国特許出願公開第１０２００８０１０４６２Ａ１号明細書

本発明の根底をなす課題は、簡単かつ低コストで製作および組立て可能であり、消耗交換が簡単になるように、冒頭に述べた種類のディスクブレーキを改良することである。

この課題は請求項１の特徴を有するディスクブレーキによって解決される。

新しいディスクブレーキは先ず最初に、従来のものよりもはるかに簡単に製作可能であるという点で優れている。これには特に、従来技術で挙げた調整装置の連動解除防止装置を省略できることが寄与する。というのは、本発明に従って設けられた止め輪により、戻し回転防止装置が提供されるからである。

従来技術から、主構成部品としての調整装置の牽引伝動装置、調節スピンドル、ブリッジおよび閉鎖板を、予め組み立てられた構造ユニットとしてブレーキキャリパの収容室内に格納することが知られている。

そのためには、構造ユニット全体が互いに締付け固定されている必要がある。押圧部材における止め輪の軸方向保持はこの押圧部材を軸方向で固定するので、閉鎖板は上記の圧縮ばねによって押圧部材に押し付けられる。押圧部材はさらに止め輪を介して調節スピンドルに引き寄せられ、ねじのセルフロッキング作用を介してユニットの関与する構成部品を互いに締付け固定する。それによって、ディスクブレーキの組立てがはるかに簡単になり、かつ短い時間で可能になる。

本発明の有利な発展形態では、止め輪が調節スピンドルの回転防止のために、軸方向に延在するばねアームを備え、このばねアームが調節スピンドルの軸方向溝に係合する。

止め輪の組立てのために、止め輪は弾性に形成され、貫通するスリットがあけられている。それにより、止め輪は拡開して、調節スピンドルに形成された頭部上を案内可能であり、これは特にベローと押圧部材の交換時に有利である。その際、止め輪は調節スピンドルの頭部上を通過した後で圧縮される。そのため、止め輪の外径は押圧部材の内径よりも小さい。

止め輪を軸方向で押圧部材に保持するために、止め輪は周囲にわたって分配配置され半径方向に向けられた舌片を備えている。この舌片は弾性的な止め輪の戻し力に基づいて押圧部材の周溝に係合する。

調節スピンドルの軸方向溝に係合するばねアームによる上記の回転防止により、止め輪は調節スピンドルの回転時に一緒に回転する。これはベローの二次封止部材のリングと協働して戻し回転防止を可能にする。この二次封止部材は一方ではリングの摩擦連結的な固定によってブリッジに連結され、他方では閉鎖板とのベローの摩擦連結を行う。この場合、ベローは二次封止部材のリングに連結されている。

戻し回転防止のために、止め輪には、押圧部材と反対の側に、突起が設けられている。この突起は調節スピンドルの戻し回転時にリングの切欠きに係合する。

その際、切欠きの間に形成されたウェブは、その幅が調節スピンドルのねじの伝達比に換算して、戻し回転時に例えば０．１ｍｍの軸方向戻し回転変位で飛び越されるように設計されている。これに対して、切欠きは、この場合０．４ｍｍの軸方向戻し回転変位を進むような幅である。その際、止め輪が軸方向において二次封止部材のリングに締付け固定されないようにしなければならない。これは、止め輪のばねアームが軸方向において弾性的に形成され、それによってリングのウェブを飛び越えるために必要な０．１ｍｍの軸方向戻し回転変位がばね作用によって吸収されることによって達成される。

上述のように、ブレーキの運転時に、押圧部材の範囲、ひいては止め輪の範囲において、関連する部品に高温が作用する。これは、その焼鈍を防止するために、ばね鋼に特別な課題をもたらす。

上記の構造の利点は、０．１ｍｍのねじピッチ、通常はＭ２４−４Ｐ２の伝達比に起因して、きわめて小さなばね変位が必要であることと、その際発生する止め輪の応力が基礎材料、例えばＤＩＮ ＥＮ １０１３２−４−Ｃ６７ＳのＲｐ_０．２値未満であることにある。それによって、止め輪の焼鈍状態でも軸方向のばね作用が与えられる。

本発明の他の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。

次に、添付の図に基づいて、本発明の実施形態を詳しく説明する。

ディスクブレーキを部分的に切断して示す平面図である。 ディスクブレーキの構造グループの部分分解図である。 図２の構造グループの運転位置の斜視図である。 図３の構造グループを切断して示す平面図である。 ディスクブレーキの細部の斜視図である。 ディスクブレーキの細部の平面図である。 ディスクブレーキの細部の側面図である。 ディスクブレーキの他の細部の平面図である。 ディスクブレーキの他の細部の切断側面図である。

図１には、車両側のブレーキディスク２を跨ぐブレーキキャリパ１を備えた商用車用ディスクブレーキが示してある。このブレーキキャリパはガイドバー１４によって、ブレーキディスク２に関して軸方向に摺動可能にブレーキ支持体４に支承されている。

ブレーキキャリパ１内には、ブレーキレバー７を備えた締付け装置５が配置されている。このブレーキレバーは制動の際にブリッジ６に作用する。このブリッジ内には、互いに平行に離隔して配置された例えば２個の調節スピンドル１０が保持されている。この調節スピンドルはブレーキディスク２寄りのその端部に、それぞれ押圧部材１１を担持している。この押圧部材は制動時に付設のブレーキパッド３に押し付け可能である。このブレーキパッドは反対側にある反作用側のブレーキパッド３と同様にブレーキディスク２に押圧される。

変化する空隙、すなわちブレーキパッド３とブレーキディスク２との間の間隔を補正するために、調整装置８が設けられている。この調整装置によって、ブレーキの操作時に、調節スピンドル１０がブレーキディスク２の方へ回転可能である。そのために、調節スピンドル１０はおねじを有し、このおねじはブリッジ６のめねじに螺合している。

調整を同期させるために、例えばチェーンの形をした牽引手段９を備えた牽引手段伝動装置が設けられている。

ブレーキを弛めた後でブリッジ６を戻すために、圧縮ばね１３が設けられている。この圧縮ばねは一方ではブリッジ６に支持され、他方では閉鎖板１２に支持されている。この閉鎖板は締付け装置５を収容するブレーキキャリパ１の収容室の、ブレーキディスク２寄りの側を閉鎖し、その際例えばねじ止めによってブレーキキャリパ１に固定連結されている。

図２と図３には、ディスクブレーキの一部が示してあり、この一部は予め組み立てられた構造ユニットとして、ブリッジ６、牽引手段伝動装置９、調節スピンドル１０、押圧部材１１および閉鎖板１２から構成され、このような一式でブレーキキャリパ１内に挿入される。

本発明に従い、各調節スピンドル１０には止め輪１５が回転を防止するように配置され、この止め輪には付設の押圧部材１１が軸方向に移動しないようにかつ回転可能に保持されている。

調節スピンドル１０との回転を防止するために、止め輪１５はばねアーム２０を備え、このばねアームが調節スピンドル１０の軸方向溝１９に係合する。

図２には、調節スピンドル１０に対する押圧部材１１の予備組立て状態が示してあり、一方、図３と図４にはそれぞれ押圧部材１１の組立て済み状態が示してある。

図４からさらにわかるように、閉鎖板１２を通る調節スピンドル１０の通過範囲はそれぞれ、ベロー１６、ここでは蛇腹式ベローによって封止されている。このベローは一方では押圧部材１１に保持され、他方では閉鎖板１２に保持されている。

最後に述べた固定のために、形状安定化部材としてのリングを有する鍋の形をした二次封止部材１７が設けられている。この二次封止部材は閉鎖板１２の貫通口に嵌め込まれ、この二次封止部材にベロー１６が保持されている。二次封止部材１７は他方ではブリッジ６に固定されている。

止め輪１５は図５に詳細に示してある。この場合、図５ａ）は斜視図、図５ｂ）は平面図、そして図５ｃ）は側面図である。

特に図５ｂ）からわかるように、止め輪１５は多角形の輪郭を有し、その角は調節スピンドル１０の太くなった頭部を収容する押圧部材１１の穴の壁に接触する。ばね薄板で形成された止め輪１５は軸方向に貫通するようにスリットをあけられているので、問題なく拡開可能である。

これにより、止め輪１５は、調節スピンドル１０の太くなった頭部の背後の端位置にもたらされるまで、太くなった頭部に嵌めることが可能である。この端位置では、ばねアーム２０の内側に曲がった脚部が調節スピンドル１０の軸方向溝１９に入れられる。例えば、互いに等しい角度間隔で配置された３つの軸方向溝１９とばねアーム２０が設けられている。

図５からさらにわかるように、止め輪１５は半径方向外側に向いた舌片２１を有する。この舌片は、押圧部材１１を軸方向で保持するために、調節スピンドル１０の太くなった頭部を収容する押圧部材１１の穴の周溝２３に係合する。

舌片２１と反対の側において止め輪１５に突起２２が形成されている。この突起は調節スピンドル１０を戻し回転する際に、二次封止部材１７のリングの切欠き１８に係合する（図４）。

図６には二次封止部材１７が詳細に示され、しかも図６ａ）には平面図で、そして図６ｂ）には切断した側面図で示してある。

切欠き１８の間に形成されたウェブ２４は、その回転方向長さが調節スピンドル１０のねじの伝達比に換算して、調節スピンドル１０の戻し回転時に０．１ｍｍの軸方向戻し回転変位で飛び越されるように設計されている。これに対して、切欠き１８は同じ方向において、０．４ｍｍの軸方向戻し回転変位を進むように採寸されている。

止め輪１５が軸方向で二次封止部材１７によって締付けられないようにすべきである。これは、軸方向溝１９内にあるばねアームが軸方向において弾性的に形成され、それに伴い二次封止部材１７のウェブ２４を飛び越えるために必要な０．１ｍｍの軸方向戻し回転変位がばね作用によって吸収されることによって達成される。

調節スピンドル１０のさらなる戻し回転の際、止め輪１５の突起２２の側面が二次封止部材１７のウェブ２４の側面に接触し、例えば約３５Ｎｍのトルクが周方向においてのみ吸収される。ブリッジ６に対する二次封止部材１７の圧力嵌めは、このトルクを伝達できるように設計されている。

止め輪１５と二次封止部材１７との間の接触面が非常に小さいので、二次封止部材１７が局所的に可塑化されることになるが、これは問題ではない。というのは、供される軸方向戻し回転変位によるウェブ２４のさらなる飛び越しが防止され、戻し回転の機能がブレーキの寿命にわたって通常は１０回しか必要でないからである。

１ ブレーキキャリパ
２ ブレーキディスク
３ ブレーキパッド
４ ブレーキ支持体
５ 締付け装置
６ ブリッジ
７ ブレーキレバー
８ 調整装置
９ 牽引手段
１０ 調節スピンドル
１１ 押圧部材
１２ 閉鎖板
１３ 圧縮ばね
１４ ガイドバー
１５ 止め輪
１６ ベロー
１７ 二次封止部材
１８ 切欠き
１９ 軸方向溝
２０ ばねアーム
２１ 舌片
２２ 突起
２３ 溝
２４ ウェブ

Claims (13)

1. ブレーキディスク（２）を跨ぐブレーキキャリパ（１）と、摺動可能に案内されたブリッジ（６）によってディスクブレーキを締付けるための少なくとも１個の締付け装置（５）とを具備し、前記ブリッジ（６）が少なくとも１つのねじ付き穴を有し、おねじを有し閉鎖板（１２）を通過する調節スピンドル（１０）が前記ねじ付き穴にねじ込まれ、前記調節スピンドルがそれと相対的に回転可能な押圧部材（１１）を担持し、この押圧部材によってブレーキパッド（３）が前記ブレーキディスク（２）に押し付け可能であり、前記調節スピンドル（１０）に作用連結された、空隙を調整するための調整装置（８）を具備し、前記調節スピンドル（１０）の通過範囲がベロー（１６）によって封止され、このベローが一方では前記ブレーキキャリパ（１）に保持され、他方では前記押圧部材（１１）に保持されている、商用車のためのディスクブレーキにおいて、
   止め輪（１５）が設けられ、この止め輪が回転を防止するように前記調節スピンドル（１０）に保持され、かつ軸方向に移動しないようにおよび回転可能に前記押圧部材（１１）に保持されていることを特徴とするディスクブレーキ。
2. 前記止め輪（１５）が前記調節スピンドル（１０）にかみ合い連結的に保持されていることを特徴とする請求項１に記載のディスクブレーキ。
3. 前記止め輪（１５）が前記調節スピンドル（１０）の軸方向溝（１９）に入るばねアーム（２０）を備えていることを特徴とする請求項１または２に記載のディスクブレーキ。
4. 前記止め輪（１５）が弾性材料、特にばね鋼からなっていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
5. 前記止め輪（１５）に、貫通するスリットがあけられていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
6. 前記止め輪（１５）が半径方向に向けられた舌片（２１）を備え、前記舌片が前記押圧部材（１１）の周溝（２３）に係合し、前記周溝（２３）が前記押圧部材（１１）の穴の壁に設けられ、前記調節スピンドル（１０）の太くなった頭部が前記穴に挿入されていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
7. 前記止め輪（１５）の内径が前記調節スピンドル（１０）の太くなった頭部の直径よりも小さいことを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
8. 前記止め輪（１５）が前記舌片（２１）とは反対の側に、軸方向に向けられた突起（２２）を備え、前記突起が鍋状の二次封止部材（１７）の切欠きに挿入され、前記二次封止部材が一方では前記閉鎖板（１２）の通過穴に押し込まれ、他方では前記ブリッジ（６）に固定されていることを特徴とする請求項１〜７のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
9. 多数の切欠き（１８）が周囲に分配配置されていることを特徴とする請求項１〜８のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
10. 前記切欠き（１８）の長さが２つの切欠き（１８）の間のウェブ（２４）の長さよりも大きいことを特徴とする請求項１〜９のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
11. 前記止め輪（１５）が多角形の輪郭を有することを特徴とする請求項１〜１０のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
12. 前記ばねアーム（２０）がそれぞれ、半径方向内側に曲げられた脚部を有し、前記脚部が前記調節スピンドル（１０）の前記軸方向溝（１９）に挿入されていることを特徴とする請求項１〜１１のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
13. 前記軸方向溝（１９）が互いに等しい角度間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項１〜１２のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。

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