本開示は、インターロイキン13受容体α2(IL13Rα)を提示する細胞を特徴とする広範囲の癌の症状を診断する、予防する、治療するまたは改善するのに使用するためのIL13Rα2を特異的に認識する結合剤または結合相手を提供する。さらに詳しくは、本開示は、(i)ヒト腫瘍関連抗原、すなわち、インターロイキン13受容体α2(IL13Rα)を特異的に標的とするモノクローナル抗体(m47)の6つの相補性決定領域の配列と、(ii)scFv抗体の、または他の機能的な部分とのコンジュゲートの形式で重鎖及び軽鎖のcDNAによってコードされるタンパク質の機能性を明らかにするデータとを提供する。m47モノクローナル抗体の6つの相補性決定領域は免疫技術の理解に一致してIL13Rα2に対する結合特異性を付与する。一部の実施形態では、scFvは、抗体m47の完全な重鎖及び軽鎖の可変領域、または抗体m47の完全な重鎖及び軽鎖を含む。一部の実施形態では、重鎖及び軽鎖の断片は、たとえば、m47のCDRまたはm47の可変領域を含み、これらのドメインは、様々な形式、たとえば、抗体の単鎖可変断片、すなわち、scFv、ダイアボディ、二重特異性抗体断片、三重特異性抗体断片、多種多様な治療用タンパク質及び/または他の部分との融合タンパク質、ヒト化抗体断片、Fab断片、Fab’断片、F(ab)2’断片ならびに標的化機能及びエフェクター機能を提供する二官能性ペプチドのための他の機能的な形式にて配置することができる。さらに、重鎖及び軽鎖によってコードされる単鎖抗体または他の構成のタンパク質は、IL13Rα2を発現している腫瘍への治療剤の特異的な送達のために発現され、治療用キャリア(たとえば、ウイルス、細胞、ナノ物質)にコンジュゲートされ得る。本開示に係る物質は全身腫瘍組織量を画像化するのにも有用である。
本技術は、免疫療法で進行する最も深刻な障害、すなわち、ヒト癌の少なくとも大きな亜群で予測可能に見いだすことができ、且つ癌の撲滅のための有効な標的として役立つことができる定義された腫瘍特異抗原の事実上の非存在に対処する。そのような抗原を見いだすことはCD19/CD20を発現しているB細胞悪性腫瘍を治療する方法を超えて視野を動かすことになる。
本開示全体にわたって使用されている用語は、本開示の文脈で全体として考慮されて異なる意味が本文から明らかにされない限り、当該技術で普通の且つ通例の意味が与えられる。
本開示は、IL13Rα2を発現している腫瘍を標的とする治療目的のためのIL13Rα2に特異的なモノクローナル抗体(mAb)断片の開発及び性状分析を記載している。高親和性のIL13Rα2は幾つかの他の腫瘍型と同様に多形性膠芽腫(GBM)によって高頻度で選択的に発現される。この腫瘍特異的な受容体を標的とするアプローチの1つは細胞傷害性分子にコンジュゲートされた同族リガンドIL−13を利用する。しかしながら、このアプローチはIL−13に対する低親和性の受容体であるIL13Rα1が正常組織によって広く発現されるので、特異性を欠いている。IL13Rα2に特異的なモノクローナル抗体は、双方のIL13受容体、すなわち、IL13Rα2と同様にIL13Rα1を認識する特異性を冒す方法論の不足を克服すると期待された。そのようなmAbは腫瘍を含むIL13Rα2を発現している癌を標的とする及び治療するのに治療上有用である。
本明細書で開示されているように、ハイブリドーマ細胞株が生成され、組換えヒトIL13Rα2(rhIL13Rα2)に対する結合親和性について比較された。クローン47はIL13Rα2のネイティブな立体構造への結合を示したのでさらなる試験のために選択された。クローン47は特異的に且つ高親和性(KD=1.39×10−9M)でrhIL13Rα2に結合したが、rhIL13Rα1またはマウスIL13Rα2には結合しなかった。さらに、クローン47は、幾つかの神経膠腫細胞と同様にCHO及びHEK細胞の表面上で発現された野生型のIL13Rα2を特異的に認識した。競合結合アッセイは、クローン47がヒト可溶性IL−13とIL13Rα2受容体の間での相互作用も有意に阻害することを明らかにした。さらに、IL13Rα2のN結合型グリコシル化は抗体のIL13Rα2との相互作用にある程度寄与する。生体内で、IL13Rα2mAbは、ヒトU251神経膠腫の異種移植片を頭蓋内に移植したヌードマウスの生存を改善した。
本明細書で開示されているように構築されたIL13Rα2に特異的なscFvに基づくCARである47−CARは、細胞内ドメインと同様に長い及び短いスペーサー領域のその機能に対する影響を探索するのに使用される物質を提供した。47−CAR.SSR.CD28.ζ(すなわち、本明細書で開示されているような短いスペーサー領域に連結され、次に未操作もしくはキメラの細胞内ドメインまたはT細胞細胞質ドメインに連結されたscFvとして提供された47−CAR結合領域)及び47−CAR.LSR.CD28.ζ(長いスペーサー領域(LSR)を置き換える類似の構築物)がIFNγの産生によって判断されるように標的細胞を認識した一方で、47−CAR.SSR.CD28.ζだけがIL2産生を誘導したということは、良好なT細胞活性化を示している。CD28.41BB.ζ細胞内ドメインを含有する追加のLSR 47−CAR(図41)はIL2発現を誘導する能力を欠くことが示された。これらの観察は、細胞膜に対して遠位のエピトープに結合するscFvとは対照的に、癌細胞膜のごく近傍におけるエピトープに結合するscFvは最適なCAR機能のために長いスペーサー領域を必要とするという認識に一致する。本明細書で開示されているデータは47−CARによって認識されるIL13Rα2のエピトープが細胞膜に対して遠位に位置することを示している。
さらに詳細には、それぞれ異なる細胞内ドメインを持つ4つのSSR 47−CAR、すなわち、CD28.ζ、41BB.ζ、CD28.OX40.ζ、及びCD28.41BB.ζを構築した。4つのCARすべてが発現された一方で、ウエスタンブロット解析によって判断されるように、47−CAR.SSR.CD28.41BB.ζについては有意な細胞表面の発現は観察されなかった。我々は、47−CAR.SSR.CD28.41BB.ζにてCD28由来の膜貫通ドメインをCD8αに変えることが良好な細胞表面での発現を生じるかどうかを調べたが、発現の上昇は認められなかった。47−CAR.LSR.CD28.41BB.ζは細胞表面で発現されているので(図42)、結果は、スペーサー領域と細胞内ドメインとの間での相互作用がCARの細胞表面での発現に影響することを示している。
47−CAR.SSR.CD28.ζ、47−CAR.SSR.41BB.ζ、及び47−CAR.SSR.CD28.OX40.ζのT細胞が生体内で強力な抗腫瘍効果を有したということは、結果的に有意な生存の優位を生じる。47−CAR.SSR.CD28.ζT細胞で処理したマウスが47−CAR.SSR.41BB.ζまたは47−CAR.SSR.CD28.OX40.ζのT細胞で処理したマウスに比べて最長の生存期間中央値を有した一方で、この差異は有意に達しなかった。実験結果はまた、第2の共刺激性の細胞内ドメインの付加は生体内での抗腫瘍活性を改善しないことも示した。生体内でのT細胞の限定された持続性が治療法の主要な制約として特定された。この制約は、サイトカイン36のトランスジェニック発現によって、または神経膠腫細胞から分泌されるまたはその表面に存在する阻害性分子を遮断することによって克服されてもよい。たとえば、U373のような神経膠腫はPD−L1を発現し、それはIFNγの存在下で上方調節され(図43)、将来の試験において標的化され得る。
本明細書で開示されている実験結果は、47−CARによってIL13Rα2に向け直されたT細胞が試験管内で神経膠腫細胞に対して強力な抗腫瘍活性を有し、且つ生体内で確立されたGBM異種移植片の退行を誘導することを立証している。47−CARは、IL13Rα2陽性GBMだけでなく、IL13Rα2が発現されている他の悪性腫瘍の治療にも価値かあると期待されている。
本明細書で開示されている実験結果は、47−CARによってIL13Rα2に向け直され、且つIL15も発現しているT細胞が生体内でのGBM異種移植片にて高い抗腫瘍活性を有することを立証している。
本開示は少なくともある程度、IL13Rα2が腫瘍細胞のような癌細胞で優先的に見いだされるという発見に基づく。この受容体は、高親和性のモノクローナル抗体m47と共にその抗体の抗原結合断片を導き出すのに使用されている癌または腫瘍に特異的な抗原として機能する。m47抗体のVL及びVHの可変領域は、養子免疫伝達のためにT細胞に導入するために、キメラ抗原受容体(すなわち、CAR)のようなコンジュゲートを生成するように単鎖(sc)可変断片(scFv)に操作されている。従って、CARを形質導入したT細胞は、腫瘍特異的なIL13Rα2を標的とし、その受容体を提示している癌細胞の撲滅をもたらすと期待されている。IL13Rα2を認識する、CARを形質導入したT細胞は大きな固形腫瘍を破壊するであろうと考えられている。しかしながら、CARを形質導入したT細胞は、癌細胞を直接のみで標的とし、抗原陰性の癌細胞は逃れ得る。CARを形質導入したT細胞はまたバイスタンダー効果を介して抗原陰性の癌細胞を排除することにおいて有効であることが期待される。
本明細書で開示されているのは、scFv47に基づく抗原結合ドメイン持つIL13Rα2に特異的なCAR(47−CAR)の開発を確立する実験である。データは、47−CARが最適な官能性を提供する短いスペーサー領域で良好に機能し、且つ47−CAR T細胞が試験管内でIL13Rα2陽性の標的細胞のみを認識し、殺傷することができ、IL13Rα1陽性の標的細胞を認識できないことを示している。加えて、47−CAR T細胞はGBMの同所性異種移植マウスモデルにて腫瘍の退行を誘導し、それは有意な生存の優位に関連した。
本開示に係るタンパク質のコンジュゲートは、癌、たとえば、腫瘍に関連するIL13Rα2に特異的である。加えて、本開示は、IL13Rα2のエピトープに特異的な結合相手のためのコドンを最適化したコーディング領域を含むポリヌクレオチドを含む、これらの癌特異的な結合相手の1つをコードするポリヌクレオチドを提供する。本開示のポリヌクレオチドは、固形腫瘍を形成するものを含む種々のヒト癌のいずれかのような癌の症状を診断する、予防する、治療するまたは改善するのに有用なコンジュゲートまたは二官能性ポリペプチドをコードする。熟考されるのはまた、本明細書で開示されているようなポリヌクレオチドを含むベクター、そのようなポリヌクレオチド及び/または本明細書に記載されているようなベクターを含む宿主細胞、及び癌疾患、たとえば、固形腫瘍、原発癌部位または転移癌の症状を治療する、予防するまたは改善する方法である。
当該技術で既知の種々の形態のコンジュゲートが本開示によって熟考される。これらのコンジュゲートは、以下で言及されるような、二重特異性のT細胞エンゲージャー(BiTE)またはキメラ抗原受容体(CAR)のようなエフェクター機能を提供する種々の主鎖に組み込むことができるタンパク質特異的抗体受容体のみならず癌特異的な抗体受容体も見事に提供する。本開示の例となるコンジュゲートには、癌を治療するのに有用な産物、たとえば、IL15、IL15Rα、またはIL15/IL15Rαの作用物質、ダイアボディ、トリボディ、テトラボディ、及び二重特異性T細胞エンゲージャーまたはBiTEとしても知られる二重特異性直列二価scFvを含む二重特異性二価scFvをコードするコーディング領域への単鎖可変(抗体)断片(scFv)多量体またはscFvの融合を含む融合体を含むCAR、融合タンパク質が挙げられる。様々なドメインの順序(たとえば、H2N−VH−リンカー−VL−CO2H及びH2N−VL−リンカー−VH−CO2H)は特異的な結合に適合することが当該技術で知られているので、これらのコンジュゲート形態のいずれかはさらに種々の関連する構造のいずれかを示してもよい。本明細書で開示されているコンジュゲートの少なくとも一形態を含むペプチボディのような本明細書に記載されているコンジュゲートのさらに高次の形態も熟考される。本開示のコンジュゲートは癌特異的なエピトープ(たとえば、IL13Rα2)に特異的に結合し、それらをコードするポリヌクレオチドは、たとえば、最高の翻訳のために、標的とされた細胞(たとえば、ヒトまたはマウスの細胞)における発現のためにコドンが最適化されてもよい。CARのような本開示のコンジュゲートを発現する文脈におけるコドンの最適化は、タンパク質の産生が治療剤の供給源として有用であるのに十分に効率的であり、且つ堅固であることを保証するのに重要である。
本開示はまた、コンジュゲートのコーディング領域が標的細胞における発現のためにコドン最適化されるのであれば、標的とされる部分(抗IL13Rα2抗体またはその断片)が第2の機能、たとえば、T細胞活性化に関与するT細胞シグナル伝達ドメインのようなエフェクター機能を提供するペプチドに、癌細胞への免疫応答に影響するもしくはそれを調節するペプチドに、または本開示に係るポリヌクレオチドによってコードされるCARを生じる標識系の酵素成分に連結されるコンジュゲートを熟考する。例となるコンジュゲートには、ヒンジ、膜貫通ドメイン、及びエフェクター化合物またはドメイン、たとえば、CD28、CD3ζ、CD134(OX40)、CD137(41BB)、ICOS、CD40、CD27、またはMyd88に連結され、それによってCARを得る抗IL13Rα2scFvが挙げられる。
本開示のポリヌクレオチドの態様は、脊椎動物、たとえば、ヒトのようなゆっくり増殖する高等真核生物にて使用される典型的なコドン最適化ではなく翻訳最適化(忠実性の高い翻訳比率を最大化する)に焦点を置き、突然変異による偏向を調整し、それによって突然変異を最小化するように設計される、そのような生物におけるコドン最適化での予期しない多様性が提供される実施形態を含む。開示されているのはまた、癌の症状を診断する、予防する、治療するまたは改善する方法である。模式的に記載されて、ポリヌクレオチドは、以下:T細胞活性化に関与するT細胞シグナル伝達ドメインのためのコーディング領域、癌細胞への免疫応答に影響を与えるもしくはそれを調節する、たとえば、IL15/IL15Rα融合体のような遺伝子産物、または標識系の酵素成分のような標識成分のいずれか1つに連結されたIL13Rα2エピトープを特異的に認識する抗原受容体のためのコドン最適化したコーディング領域を含む。連結されたコーディング領域は、本開示に係るコンジュゲート、たとえば、BiTEまたはキメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチドを生じる。
癌の症状を診断する、予防する、治療するまたは改善する方法では、コンジュゲートの機能性に応じて本開示のポリヌクレオチドを含むベクターの投与または本開示のポリヌクレオチドの投与も熟考されるけれども、本開示の組成物は通常、NKT細胞、γδT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞もしくはMAIT細胞、または自然リンパ球を含むが、これらに限定されない、たとえば、T細胞、NK細胞またはリンパ球のようなコンジュゲートが形質導入された細胞の形態で投与される。本開示のポリヌクレオチド、ベクターまたは宿主細胞を生理的に好適な緩衝液、補助剤または希釈剤と組み合わせることによって本開示に係る医薬組成物が得られ、これらの医薬組成物は、癌の症状を診断する、予防する、治療するまたは改善するための投与に好適である。
本明細書に記載されている実験作業の過程では、ハイブリドーマ細胞株を生成し、組換えヒトIL13Rα2(rhIL13Rα2)に対する結合親和性について比較した。クローン47はIL13Rα2のネイティブの立体構造への結合を示したので、さらに性状分析した。クローン47は特異的に且つ高い親和性(KD1.39×10−9M)でrhIL13Rα2に結合したが、rhIL13Rα1またはマウスIL13Rα2には結合しなかった。さらに、クローン47は、幾つかの神経膠腫細胞株と同様にCHO細胞及びHEK細胞の表面に発現された野生型のIL13Rα2を特異的に認識した。競合結合アッセイは、クローン47がヒト可溶性IL−13とIL13Rα2受容体との間の相互作用も有意に阻害することを明らかにした。さらにIL13Rα2のN結合型グリコシル化は抗体のIL13Rα2との相互作用にある程度寄与することが見いだされた。生体内では、IL13Rα2モノクローナル抗体はヒトU251神経膠腫異種移植片を頭蓋内に移植したヌードマウスの生存を改善した。まとめて、これらのデータは本明細書で開示されている癌の免疫調節性の治療の有効性を立証している。
正常脳組織ではなく多形性膠芽腫(GBM)におけるIL13Rα2の過剰発現は、腫瘍細胞を標的とするための候補としてこの受容体を独特に位置付けている。GBMは高度に浸潤性の腫瘍であり、完全な外科的切除が不可能になることが多い。さらに、GBMは放射線及び化学療法に高度に耐性であり(16)、患者の治療のための新規で標的化された治療法のさらなる開発を必要としている。
ファージディスプレイライブラリ法は、ヒトIL13Rα2に特異的な小型の抗体断片を選択し、その後、試験管内及び生体内でそれを評価するのに使用されてきた(23)。IL13Rα2との相互作用の高い特異性にもかかわらず、IL−13PE38の効果と比較すると、毒素にコンジュゲートすることはIL13Rα2を発現している神経膠腫及び腎細胞癌の細胞株にて細胞傷害性を高めることはできなかった。生成された抗体断片の低親和性が成功の欠如の最も理に適った説明である。ファージディスプレイライブラリに由来する抗体断片は、従来のハイブリドーマ技術(24)によって生成される抗体よりも親和性及び結合活性が低いことが知られている。標的とするタンパク質への親和性及び結合活性を高めるためにこれらの小型の抗体断片の修飾が必要とされることが多い。近年、モノクローナル抗体は標的とされる抗癌剤及び診断剤としての成功例の増加を示しており(25、26)、腫瘍関連抗原に対する制約された特異性を持つ高親和性試薬のさらなる追求が必要とされる。本明細書で開示されている実験は、癌細胞の表面上に発現されたIL13Rα2を特異的に認識する高親和性抗体を発見し、開発し、性状分析するように設計された。その設計に一致して、本明細書で開示されているのは、生体内でIL13Rα2を発現している腫瘍の免疫療法上の標的化について重大な、且つ種々の他の応用について潜在的に好適な特性を持つ抗体の生成を確立する実験である。
モノクローナル抗体は、治療剤としてのみならず研究上及び診断上の有益なツールであると思われる。腫瘍関連抗原に特異的なモノクローナル抗体は、癌細胞を特異的に標的とする一方で、形質転換されていない組織との相互作用を回避する能力のゆえに、全身性の化学療法よりも有意な利点を有する。従って、2010年時点で480億ドルの値打ちがある治療用抗体の世界市場で裏付けられた新規の「特効薬」のための追求は成長し続ける。治療用抗体は、従来のハイブリドーマ技術の産物、または抗体断片のためのライブラリをスクリーニングし、その後ヒト化断片または完全サイズの分子に操作することの産物である。この試験に先立って、腫瘍関連抗原IL13Rα2に対する高親和性抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株は科学界では入手できなかった。ここで、我々は、腫瘍関連抗原IL13Rα2に対する高親和性抗体の生成及び性状分析を記載し、様々な応用でのその潜在的な使用を議論する。
rhIL13Rα2hFc融合タンパク質を用いたELISA、CHO細胞及びHEK細胞の表面上に発現された組換えヒトIL13Rα2、及びフローサイトメトリーにより種々のレベルでIL13Rα2を発現している幾つかの神経膠腫細胞株によって、新しく発見された抗体のヒトIL13Rα2に対する相互作用の特異性を分析した。本明細書で特定されている抗体及びその結合ドメインを用いた作用物質は、ヒトIL13Rα2との相互作用の特異性を示し、ヒトIL13Rα1またはマウスIL13Rα2と交差反応しなかった。さらに、IL13Rα2に対する結合の特異性は、ELISAによるrhIL13Rα2hFc融合タンパク質を用いた競合結合アッセイまたはHEK細胞の表面に発現されたIL13Rα2の検出についてのフローサイトメトリーにて確認した。これらのアッセイでは、IL13Rα2(クローン47)mAbはそのエピトープについて組換えヒトIL−13と競合し、IL−13とIL13Rα2との間の結合を約80%阻止することができた。逆に、ヒト組換えIL−13はIL13Rα2への抗体結合を約50%阻止することができた。同様に、競合相手としてrhIL13R2hFcキメラ及びrhIL−13を用いた場合、N10神経膠腫細胞へのIL13Rα2(クローン47)mAbの結合の有意な低下が観察された。N10細胞へのrhIL−13の結合もIL13Rα2(クローン47)mAbによって消失した。これらのデータは2つの分子がIL13Rα2の認識部位で有意な重複を有することを示している。
IL−13は10kDaの小分子であるのに対して、抗体は分子質量で約15倍大きい。結合部位について抗体と競合するrhIL−13の能力は、抗体の阻害特性が立体障害ではなくIL−13の同族受容体への結合に寄与する、IL−13のその受容体との相互作用も妨げることができるアミノ酸残基との特異的な相互作用による可能性があることを示唆している。以前、Tyr207、Asp271、Tyr315及びAsp318がIL−13との相互作用に必要なIL13Rα2の重要な残基として特定された(28)。本明細書で開示されているアッセイでは、4アミノ酸すべてのアラニンへの突然変異の組み合わせを運んでいる変異体IL13Rα2へのIL−13の結合は、野生型受容体と比べて有意に消失した。しかしながら、IL13Rα2の個々の変異体形態または4アミノ酸の変異体形態のいずれかへのIL13Rα2の結合は有意に影響を受けることはなかった。これらの知見は、Tyr207、Asp271、Tyr315及びAsp318の残基はIL13Rα2mAbによるIL13Rα2の認識に決定的ではないことを示している。ヒトIL13Rα2及びマウスIL13Rα2は構造的に保存され、59%のアミノ酸同一性を共有している(32)。さらに、残基Tyr207、Asp271、Tyr315及びAsp318はヒト及びマウスのIL13Rα2で保存されている。IL13Rα2mAbのマウスIL13Rα2hFcへの結合がないということは、これらのアミノ酸残基がIL−13のIL13Rα2への結合に寄与し、この抗体の受容体との相互作用には決定的ではないという予想をさらに支持している。
IL13Rαの本明細書で開示されている抗体及び抗体作用剤との相互作用をさらに性状分析するために、IL13Rα2mAbの親和性を測定し、表面プラスモン共鳴法を用いて2つの市販の抗体の結合特性と比較した。IL13Rα2mAbの親和性は1.39×10−9Mに等しいと判定され、匹敵する市販の抗体の親和性を75倍まで大きく超えた。親和性試験に一致して、IL13Rα2mAb(クローン47)は、種々の神経膠腫細胞の表面に発現されたIL13Rα2への結合及びELISAにて2つの市販の抗体よりも優位性を示した。親和性及び結合活性、生体内の安定性、クリアランス及び内部移行の速度、腫瘍の浸透及び保持を含む抗体の多数の特性が特定の用途に先立って考慮されるべきではあるけれども、親和性の高い抗体ほど免疫療法用の腫瘍標的化の応用に良好であることが報告されている(33)。表皮増殖因子受容体変異体IIIに対する単鎖抗体断片(scFv)MR1−1は親scFvMR1よりも約15倍高い親和性を実証し、scFvMR1よりも平均で244%高い腫瘍の取り込みも示した(34)。本明細書で開示されているIL13Rα2mAb及びその作用剤の高親和性特性は、IL13Rα2を発現している腫瘍細胞を標的とするための抗体または関連する誘導体を利用する応用に有利であるだろう。
IL13Rα2のN結合型グリコシル化はIL−13への効率的な結合に必要とされる要件として特定されている(30)。本明細書で開示されているIL13Rα2mAbが同族の受容体であるIL13Rα2へのIL−13の結合の約80%を阻害することを考慮に入れて、この抗体またはその結合ドメインを含有する作用物質の脱グリコシル化した形態のIL13Rα2との結合も影響を受け得ることを期待するのは理に適っている。IL13Rα2分子はN結合型グリコシル化の4つの潜在的な部位を有する。未処理の対照と比べた場合、PnガーゼFで処理したrhIL13Rα2またはHEK細胞またはU251細胞の表面上に発現されたIL13Rα2への抗体の結合はそれぞれ35%及び30%低下した。クローン83807及びB−D13と比べた場合のクローン47についての結合活性の部分的な変化は、PnガーゼFによるIL13Rα2からの炭水化物付加体の取り外しが受容体の立体構造の変化を引き起こし、IL−13(30)及びIL13Rα2mAb双方のIL13Rα2への結合に間接的に影響を与えることを示唆している。このことはまた、抗体が、翻訳後付加された炭水化物部分との相互作用ではなくIL13Rα2のアミノ酸主鎖に直接結合するという予想を支持している。この予想を支持して、幾つかの研究はタンパク質の立体構造プロファイル及び構造的硬直性はN結合型グリコシル化に左右されることを以前実証している(22、35〜38)。
IL13Rα2mAb及びその作用剤の治療特性を検討するために、神経膠腫細胞及びIL13Rα2(クローン47)mAbを頭蓋内に同時注射して脳に入れる、または確立された担癌マウスに抗体を注射する生体内試験を行った。興味深いことに、IL13Rα2mAbは腫瘍の進行を遅延させることができ、同時注射モデルにて最も有意に頭蓋内U251神経膠腫異種移植片を持つ動物の生存を改善し、確立された神経膠腫を持つ動物の生存期間の中央値の改善傾向を明らかにした。この抗腫瘍効果の根底にあるメカニズムは不明瞭なままであるが、結果は、この抗体、またはその作用剤(6つのCDR領域の形態でまたはクローン47抗IL13Rα2の2つの可変ドメインの形態でIL13Rα2の結合ドメインを含有する)の単独でまたは医薬キャリアとの組み合わせでの治療適用可能性を立証し、それによってIL13Rα2を発現している神経膠腫及び他の系列の腫瘍の治療のための治療法を提供する。幾つかの抗体はFcが介在する補体の活性化を介して腫瘍における細胞傷害性効果に介在することが示されている(39)。エフェクター細胞の抗体依存性細胞介在性の細胞傷害性が誘導する活性化は標的とされる細胞に対する抗体の細胞傷害性効果にも寄与することができる(40、41)。IL13Rα2を発現しているD5黒色腫細胞を負荷した動物の血清に由来する抗IL13Rα2活性は試験管内での細胞の増殖を阻害する能力を明らかにしている(4)。
記載されている治療ができる癌には、膠芽細胞腫、髄芽細胞腫、カポジ肉腫、及び頭頚部の癌、卵巣癌、膵臓癌、腎臓癌及び結腸直腸癌を含むIL13Rα2が発現されることが見いだされている癌が挙げられる(2、43〜47)。一部の癌ではIL13Rα2の役割は未だ定義されていないけれども、最近の報告は、IL13Rα2は卵巣癌、膵臓癌及び結腸直腸癌の浸潤性の表現型に寄与することを明らかにしている(5、13)。さらに、Minnら(42)はIL13Rα2の発現と乳癌の肺への転移との間の関係を示唆している。さらに、Fichtner−Feiglら(11)は、IL−13とIL13Rα2との相互作用がTGF−β1を上方調節し、肺線維症のブレオマイシン誘導モデルにおける線維症に介在することを明らかにした。この知見を踏まえると、抗IL13Rα2抗体(クローン47)及びその結合剤はTGF−β1が誘導する肺線維症を軽減することができるであろう。
本明細書で開示されているように、記載されている実験は、それらすべてがIL13Rα2に特異的である抗IL13Rα2抗体及びその結合剤の生成をもたらした。抗体及びその作用剤はIL13Rα2に対して高親和性を持ち、IL13Rα2の結合部位についてIL−13と競合する。抗体は神経膠腫細胞と同様に他のIL13Rα2を発現している細胞の細胞表面に発現されている抗原を認識し、生体内でIL13Rα2を発現している腫瘍細胞を標的とするための好適性を立証する。抗IL13Rα2抗体及びその結合剤は、種々の型のIL13Rα2を過剰発現している腫瘍における画像診断、抗体放射性核種コンジュゲートの送達、IL13Rα2の検出のためのバイオアッセイにおいて及び治療剤のためのキャリアとして有効で且つ費用効果が高いことも予想される。
癌の症状を診断する、予防する、治療するまたは改善する方法では、コンジュゲートの機能性に応じて本開示のポリヌクレオチドを含むベクターの投与または本開示のポリヌクレオチドの投与が熟考されるが、本開示の組成物は通常コンジュゲートが形質導入されたT細胞の形態で投与される。本開示のポリヌクレオチド、ベクターまたは宿主細胞を生理的に好適な緩衝液、補助剤または希釈剤と組み合わせることによって本開示に係る医薬組成物が得られ、これらの医薬組成物は癌の症状を診断する、予防する、治療するまたは改善するための投与に好適である。
たとえば、IL15/IL15Rαに融合したIL13Rα2エピトープのためのscFv受容体で構成される融合タンパク質のような、本開示に係るコンジュゲートも熟考される。融合タンパク質は臨床サイズの腫瘍、または初期の微量播種した癌細胞のみを排除するであろう。本開示はさらに、癌細胞上の2つの独立したIL13Rα2エピトープを同時に標的とすることを熟考し、それはたとえば、CAR治療のような治療からの逃避を防ぐのに必須であってもよい。
CARによってIL13Rα2の異なるエピトープを同時に標的とすることは癌の亜集団の逃避の機会を減らし、それは、追加のIL13Rα2抗体産物及び/またはエピトープを特定する強い理由を提供する。
本開示は、注目に値する成長の潜在力を持つ基盤技術に適応でき、その基礎として役立つことができる材料及び方法を提供する。IL13Rα2の癌特異的な性質は、以前及び現在使用されている標的を超える主要な利点を提供する診断、予防及び治療のための標的を提供すると期待される。
前述の精神に一致して、以下は本明細書で提供される材料及び方法の説明を提供する。
本明細書で開示されているのは、NYLMN(配列番号1);RIDPYDGDIDYNQNFKD(配列番号2);GYGTAYGVDY(配列番号3);RASESVDNYGISFMN(配列番号4);AASRQGSG(配列番号5);及びQQSKEVPWT(配列番号6)のアミノ酸配列のそれぞれを含むIL13Rα2結合剤である。例となる態様では、結合剤は、IL13Rα2に結合する三次元立体構造を支えるフレームワークを提供するさらなる配列に加えて前述の6つのアミノ酸配列のそれぞれを含む。例となる態様では、IL13Rα2結合剤は配列番号7及び/または配列番号8のアミノ酸配列の一方または双方を含む。例となる態様では、IL13Rα2結合剤は配列番号7のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、IL13Rα2結合剤は配列番号8のアミノ酸配列を含む。IL13Rα2結合剤は配列番号7及び/または配列番号8のアミノ酸配列の双方を含む。配列番号7及び/または配列番号8のアミノ酸配列の双方が結合剤に存在する例となる態様では、配列番号7のアミノ酸配列はリンカーを介して配列番号8のアミノ酸配列に融合される。好適なリンカーは当該技術で既知である。例となる態様では、リンカーは約5〜約25アミノ酸、たとえば、約10〜約20アミノ酸の短いアミノ酸配列を含む。例となる態様では、リンカーはEEGEFSEAR(配列番号10)のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、リンカーはAKTTPPKLEEGEFSEARV(配列番号80)のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、IL13Rα2結合剤は配列番号13のアミノ酸配列を含む。
例となる実施形態では、本明細書で開示されている結合剤はさらに追加のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、結合剤はさらに重鎖の定常領域及び/または軽鎖の定常領域を含む。重鎖及び軽鎖の定常領域の配列は公的に利用可能である。たとえば、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のヌクレオチドデータベースはIgG1カッパ軽鎖の定常領域の配列を提供している。参照によって本明細書に組み入れられるGenBank受入番号DQ381549.1を参照のこと。例となる態様では、結合剤は配列番号28のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、結合剤は配列番号28の修飾されたアミノ酸配列を含む。例となる態様では、結合剤は、配列番号28に対して少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。また、たとえば、NCBIのヌクレオチドデータベースはMus musculusのIgG1の定常領域の配列を提供している。GenBank受入番号DQ381544.1を参照のこと。例となる態様では、結合剤は配列番号29のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、結合剤は配列番号29の修飾されたアミノ酸配列を含む。例となる態様では、結合剤は、配列番号29に対して少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。
例となる態様では、IL13Rα2結合剤は抗体またはその抗原結合断片である。例となる態様では、抗体は配列番号1〜6のアミノ酸配列のそれぞれを含む。例となる態様では、抗体は配列番号7及び/または配列番号8のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、抗体は配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、抗体は配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列を含み;配列番号7のアミノ酸配列はリンカーを介して配列番号8のアミノ酸配列に融合される。例となる態様では、リンカーは約5〜約25アミノ酸、たとえば、約10〜約20アミノ酸の短いアミノ酸配列を含む。例となる態様では、リンカーはEEGEFSEAR(配列番号10)のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、リンカーはAKTTPPKLEEGEFSEARV(配列番号80)のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、抗体は配列番号13のアミノ酸配列を含む。
例となる態様では、抗体は当該技術で既知である免疫グロブリンの任意の型であることができる。たとえば、抗体は、任意のアイソタイプ、たとえば、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgMのものであることができる。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであることができる。抗体は、天然に存在する抗体、たとえば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ、ハムスター、ヒト等のような哺乳類から単離され及び/または精製される抗体であることができる。この点で、抗体は、哺乳類抗体、たとえば、マウス抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、ウマ抗体、ニワトリ抗体、ハムスター抗体、ヒト抗体等であると見なされてもよい。用語「単離される」は本明細書で使用されるとき、天然環境から取り外されていることを意味する。用語「精製される」は本明細書で使用されるとき、ネイティブの環境または天然の環境における分子または化合物に通常関連する混入物を実質的に含まない形態での分子または化合物の単離に関係し、元々の組成物の他の成分からの分離の結果純度が上昇していることを意味する。「純度」は相対的な用語であり、絶対純度、絶対濃縮または絶対選択として必ずしも解釈されるべきではないことが認識される。一部の態様では、純度は、少なくともまたは約50%であり、少なくともまたは約60%、少なくともまたは約70%、少なくともまたは約80%、または少なくともまたは約90%(たとえば、少なくともまたは約91%、少なくともまたは約92%、少なくともまたは約93%、少なくともまたは約94%、少なくともまたは約95%、少なくともまたは約96%、少なくともまたは約97%、少なくともまたは約98%、少なくともまたは約99%であり、またはほぼ100%である。
例となる態様では、抗体はIgGの定常領域を含む。例となる態様では、抗体はIgG1の定常領域を含む。例となる態様では、抗体はIgGカッパ軽鎖の定常領域を含む。たとえば、抗体は配列番号28のアミノ酸配列を含んでもよい。例となる態様では、抗体は配列番号28に高度に類似するアミノ酸配列を含む。たとえば、抗体は、配列番号28に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号28に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号28に対して少なくとも93%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号28に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号28に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
例となる態様では、抗体は、Mus musculusのIgG1の定常領域を含む。たとえば、抗体は配列番号30のアミノ酸配列を含んでもよい。例となる態様では、抗体は配列番号30に高度に類似するアミノ酸配列を含む。たとえば、抗体は、配列番号30に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号30に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号30に対して少なくとも93%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号30に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号30に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
本開示の抗IL13Rα2抗体及びその断片はIL13Rα2に対して任意のレベルの親和性または結合活性を有することができる。解離定数(KD)は結合単位に関して本明細書に記載されているそれら例となる解離定数のいずれかであってもよい。解離定数を含む結合定数は、たとえば、表面プラスモン共鳴の原理を利用する方法、たとえば、Biacore(商標)システムを利用する方法を含む当該技術で既知の方法によって決定される。前述に従って、一部の実施形態では、抗体はモノマー形態である一方で、他の実施形態では、抗体はポリマー形態である。抗体が2以上の異なる抗原結合領域を含む特定の実施形態では、抗体は、結合剤によって認識され、結合される異なるエピトープの数に応じて、二重特異性、三重特異性、または多重特異性、または二価、三価または多価と見なされる。
本開示の結合剤はIL13Rα2への結合についてIL−13と競合することができるので、例となる態様における抗体は阻止抗体または中和抗体であると見なされる。一部の態様では、結合剤のKDはIL13Rα2のネイティブなリガンドであるIL−13のKDとほぼ同じである。一部の態様では、結合剤のKDはIL13Rα2についてのIL−13のKDよりも低い(たとえば、少なくとも0.5倍低い、少なくとも1倍低い、少なくとも2倍低い、少なくとも5倍低い、少なくとも10倍低い、少なくとも25倍低い、少なくとも50倍低い、少なくとも75倍低い、少なくとも100倍低い)。例となる態様では、KDは約0.0001nM〜約100nMの間である。一部の実施形態では、KDは少なくともまたは約0.0001nM、少なくともまたは約0.001nM、少なくともまたは約0.01nM、少なくともまたは約0.1nM、少なくともまたは約1nM、または少なくともまたは約10nMである。一部の実施形態では、KDはわずかまたは約100nM、わずかまたは約75nM、わずかまたは約50nM、またはわずかまたは約25nMである。例となる態様では、抗体は約1.39×10−9Mを超えないヒトIL13Rα2に対するKDを有する。
例となる態様では、結合剤、たとえば、抗体またはその抗原結合断片はヒトのIL13Rα1には結合しない。
例となる実施形態では、抗体は遺伝子操作された抗体、たとえば、本明細書でさらに詳しく定義されるような、単鎖抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、CDRが移植された抗体、IL13Rα2に特異的なCDR配列の一部を含む抗体(たとえば、配列番号1〜6のCDR配列を含む抗体)、ヒューマニア化またはヒト化抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、等である。遺伝子操作技法はまた、非ヒトにて完全ヒト抗体を作る能力も提供する。
一部の態様では、抗体はキメラ抗体である。用語「キメラ抗体」は、一方の種に由来する定常ドメインと第2の種に由来する可変ドメインを含有する、またはさらに一般的に少なくとも2つの種に由来するアミノ酸配列の鎖を含有する抗体を指すのに本明細書では使用される。
一部の態様では、抗体はヒト化抗体である。用語「ヒト化」は抗体と関連して使用される場合、元々の供給源の抗体よりも真のヒト抗体に類似する構造及び免疫機能を有するように操作される非ヒト供給源に由来する少なくともCDR領域を有する抗体を指すのに使用される。たとえば、ヒト化することには、マウス抗体のような非ヒト抗体に由来するCDRをヒト抗体に移植することが関与し得る。ヒト化することにはまた、当該技術で知られるように、非ヒト配列をヒト配列らしくするアミノ酸置換を選択することも関与し得る。
本明細書での用語「キメラまたはヒト化」の使用は、相互に排他的であるとするのではなく、むしろ、キメラ抗体、ヒト化抗体及びさらにヒト化されているキメラ抗体を包含することにする。さもなければ文脈が指示する場合を除いて、キメラ抗体(の特性、使用、試験等)についての記述はヒト化抗体に適用され、ヒト化抗体についての記述はキメラ抗体にも関係する。同様に、文脈が述べている場合を除いて、そのような記述は抗体及びそのような抗体の抗原結合断片に適用可能であるとも理解されるべきである。
本開示の一部の態様では、結合剤は本開示に従ってIL13Rα2に特異的に結合する抗体の抗原結合断片である。抗原結合断片(本明細書では「抗原結合部」とも呼ばれる)は本明細書に記載されている抗体のいずれかの抗原結合断片であってもよい。抗原結合断片は、Fab、F(ab’)2、dsFv、sFv、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、ビス−scFv、Fab発現ライブラリによって発現される断片、ドメイン抗体、VhHドメイン、V−NARドメイン、VHドメイン、VLドメイン等を含むが、これらに限定されない少なくとも1つの抗原結合部位を有する抗体の任意の部分であることができる。しかしながら、本発明の抗体断片はこれらの例となる型の抗体断片に限定されない。
例となる態様では、IL13Rα2結合剤は抗原結合断片である。例となる態様では、抗原結合断片は配列番号1〜6のアミノ酸配列のそれぞれを含む。例となる態様では、抗原結合断片は配列番号7及び/または配列番号8のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、抗原結合断片は配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、抗原結合断片は配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列を含み、配列番号7のアミノ酸配列はリンカー介して配列番号8のアミノ酸配列に融合される。例となる態様では、リンカーは、約5〜約25のアミノ酸、たとえば、約10〜約20のアミノ酸の短いアミノ酸配列を含む。例となる態様では、リンカーはEEGEFSEARのアミノ酸配列(配列番号10)を含む。例となる態様では、リンカーはAKTTPPKLEEGEFSEARVのアミノ酸配列(配列番号80)を含む。例となる態様では、本明細書で提供される抗原結合断片は配列番号13のアミノ酸配列を含む。
例となる態様では、抗原結合断片はリーダー配列を含む。任意で、リーダー配列は一部の態様では、重鎖可変領域に対してN末端に位置する。例となる態様では、抗原結合断片はIgカッパのリーダー配列を含む。好適なリーダー配列は当該技術で既知であり、それには、たとえば、METDTLLLWVLLLWVPGSTGD(配列番号9)のIgカッパのリーダー配列が挙げられる。
例となる態様では、抗原結合断片は1以上のタグ配列を含む。タグ配列は製造される抗原結合断片の産生及び性状分析に役立ってもよい。例となる態様では、抗原結合断片は軽鎖可変領域のC末端で1以上のタグ配列を含む。好適なタグ配列は当該技術で既知であり、それには、Mycタグ、Hisタグ等が挙げられるが、これらに限定されない。例となる態様では、抗原結合断片はGGPEQKLISEEDLNのMycタグ(配列番号11)を含む。例となる態様では、抗原結合断片はHHHHHHのHisタグ配列(配列番号12)を含む。
例となる態様では、本開示の抗原結合断片はN末端からC末端へ、リーダー配列、重鎖可変領域、リンカー配列、軽鎖可変領域、Mycタグ(配列番号11)及びHisタグ(配列番号12)を含む。例となる態様では、本開示の抗原結合断片は配列番号14のアミノ酸配列を含む。
例となる態様では、抗原結合断片はドメイン抗体である。ドメイン抗体は抗体の機能的結合単位を含み、抗体の重鎖(VH)または軽鎖(VL)のいずれかの可変領域に相当することができる。ドメイン抗体はおよそ13kDaの分子量または完全抗体の重量のおよそ10分の1の分子量を有することができる。ドメイン抗体は本明細書に記載されているもののような完全抗体に由来してもよい。一部の実施形態における抗原結合断片はモノマーまたはポリマー、二重特異性または三重特異性、及び二価または三価である。
抗体分子の抗原結合またはイディオトープを含有する抗体断片は本開示によって熟考される共通のイディオトープを共有する。そのような抗体断片は当該技術で既知の技法によって生成されてもよく、それには、抗体分子のペプシン消化によって作出されてもよいF(ab’)2断片;F(ab’)2断片のジスルフィド架橋を還元することによって生成されてもよいFab’断片、及びパパインと還元剤で抗体分子を処理することによって生成されてもよい2つのFab’断片が挙げられるが、これらに限定されない。
例となる態様では、本明細書で提供される結合剤は単鎖可変領域断片(scFv)抗体断片である。scFvは、合成ペプチドを介して抗体軽鎖の可変(V)ドメインに連結された抗体重鎖のVドメインを含む切り詰められたFab断片から成ってもよく、それは日常的な組換えDNA技術法(たとえば、Janewayら,Immunobiology,第2版,Garland Publishing,New York,(1996)を参照のこと)を用いて生成することができる。同様に、ジスルフィド安定化可変領域断片(dsFv)は組換えDNA技術(たとえば、Reiterら,Protein Engineering,7,697−704(1994))によって調製することができる。
例となる態様では、本明細書で提供されるIL13Rα2結合剤はscFvである。例となる態様では、scFvは配列番号1〜6のアミノ酸配列のそれぞれを含む。例となる態様では、scFvは配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、scFvは配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、scFvは配列番号7及び配列番号8のアミノ酸配列を含み、配列番号7のアミノ酸配列はリンカー介して配列番号8のアミノ酸配列に融合される。例となる態様では、リンカーは、約5〜約25のアミノ酸、たとえば、約10〜約20のアミノ酸の短いアミノ酸配列を含む。例となる態様では、リンカーはEEGEFSEARのアミノ酸配列(配列番号10)を含む。例となる態様では、リンカーはAKTTPPKLEEGEFSEARVのアミノ酸配列(配列番号80)を含む。例となる態様では、本明細書で提供されるscFvは配列番号13のアミノ酸配列を含む。
本開示の組換え抗体断片、たとえば、scFvを操作して、異なる標的抗原に対する結合の高い結合活性及び特異性の安定な多量体オリゴマーに組み立てることもできる。そのようなダイアボディ(二量体)、トリアボディ(三量体)またはテトラボディ(四量体)は当該技術で周知である。たとえば、Korttら,Biomol.Eng.2001,18:95−108,(2001)及びTodorovskaら,J.Immunol Methods.248:47−66,(2001)を参照のこと。
例となる態様では、結合剤は二重特異性抗体(bscAb)である。二重特異性抗体は、組換え法を用いてグリシン/セリンリンカーを介して連結された2つの単鎖Fv断片を含む分子である。例となる実施形態にて対象とする2つの抗体のV軽鎖(VL)及びV重鎖(VH)のドメインは標準のPCR法を用いて単離される。次いで各ハイブリドーマから得られるVL及びVHのcDNAを2段階融合PCRにて連結させて単鎖断片を形成する。類似の方法で二重特異性の融合タンパク質が調製される。二重特異性の単鎖抗体及び二重特異性の融合タンパク質は本発明の範囲内に含まれる抗体物質である。例となる二重特異性抗体は、双方ともその出願が参照によって全体で本明細書組み入れられる米国特許公開番号2005−0282233A1及び国際特許出願公開番号WO2005/087812にて教示されている。
例となる態様では、結合剤は、単一ポリペプチド鎖として作出される2つのscFvを含有する二重特異性のT細胞誘導抗体(BiTE)である。例となる態様では、結合剤は2つのscFvを含むBiTEであり、その際、少なくとも一方は配列番号1〜6のアミノ酸配列のそれぞれを含む、または配列番号7及び/または配列番号8を含む。BiTE抗体を作製し、使用する方法は当該技術に記載されている。たとえば、Cioffiら,Clin.Cancer Res.18:465,Brischweinら,Mol.Immunol.43:1129-43,(2006);Amann,Mら,Cancer Res.68:143-51,(2008);Schlerethら,Cancer Res.65:2882−2889,(2005);及びSchlerethら,Cancer Immunol.Immunother.55:785−796,(2006)を参照のこと。
例となる態様では、結合剤は二重親和性再標的化抗体(DART)である。DARTは鎖間ジスルフィド結合を安定化することによって連結される別々のポリペプチドとして作出される。例となる態様では、結合剤は、配列番号1〜6のアミノ酸配列のそれぞれを含む、または配列番号7及び/または配列番号8を含むscFvを含むDARTである。DART抗体を作製し、使用する方法は当該技術に記載されている。たとえば、Rossiら,MAbs 6:381−91,(2014);Fournier及びSchirrmacher,BioDrugs,27:35−53,(2013);Johnsonら,J.Mol.Biol.399:436−449,(2010);Brienら,J.Virol.87:7747−7753,(2013);ならびにMooreら,Blood,117:4542,(2011)を参照のこと。
例となる態様では、結合剤は、抗体断片が頭尾配置にて非共有結合のホモ二量体折り畳み体として作出される4価の直列ダイアボディ(TandAb)である。例となる態様では、結合剤は、配列番号1〜6のアミノ酸配列のそれぞれを含む、または配列番号7及び/または配列番号8を含むscFvを含むTandAbである。TandAbは当該技術で既知である。たとえば、McAleeseら,Future Oncol.8:687−695,(2012);Portnerら,Cancer Immunol.Immunother.61:1869−1875,(2012);及びReuschら,MAbs,6:728(2014)を参照のこと。
例となる態様では、BiTE、DARTまたはTandAbは配列番号1〜6のCDRを含む。例となる態様では、BiTE、DARTまたはTandAbは配列番号7及び8のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、BiTE、DARTまたはTandAbは配列番号13を含む。
抗体を作製する好適な方法は当該技術で既知である。たとえば、標準のハイブリドーマ法は、たとえば、Harlow及びLane(編),Antibodies:A Laboratory Manual,CSH Press,(1988),ならびにCA.Janewayら.(編),Immunobiology,第5版,Garland Publishing,New York,NY(2001))にて記載されている。
本発明で使用するためのモノクローナル抗体は、培養にて連続細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技法を用いて調製されてもよい。それらには、最初にKoehler及びMilstein(Nature,256:495−497,1975)によって記載されたハイブリドーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kosborら,Immunol.Today,4:72,1983;Coteら,Proc.Natl.Acad.Sci.80:2026−2030,1983)及びEBV−ハイブリドーマ法(Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R Liss Inc,New York,N.Y.,pp77−96,(1985)が挙げられるが、これらに限定されない。
手短には、ポリクローナル抗体は本発明のポリペプチドを含む免疫原で動物を免疫し、免疫した動物から抗血清を採取することによって調製される。広範な動物種を抗血清の産生に使用することができる。一部の態様では、抗−抗血清の産生に使用される動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、ヤギ、ヒツジ、ブタまたはウマを含む非ヒト動物である。ウサギの血液量が相対的に多いので、一部の例となる態様では、ポリクローナル抗体の作出についてウサギは好まれる選択である。選択されるIL13Rα2のエピトープと免疫反応性であるポリクローナルの抗血清を生成するための例となる方法では、ウサギの免疫のために50μgのIL13Rα2抗原をフロイント完全アジュバントにて乳化する。追加免疫のために、たとえば、21日の間隔で、50μgのエピトープをフロイント不完全アジュバントにて乳化する。抗体生成の時間を見込んだ後、動物から採血し、全血から血清試料を調製することによって造作なくポリクローナル抗血清を得てもよい。
手短には、例となる実施形態では、モノクローナル抗体を生成するには、それに対して抗体を生じさせるべきである組換えIL13Rα2をマウスに定期的に注射する(たとえば、フロイント完全アジュバントにて乳化した10〜20μg)。リンパ系内皮細胞の特異的な認識を可能にするエピトープを含有するPBS中のIL13Rα2ポリペプチドの最終的な融合前追加免疫をマウスに与え、4日後マウスを屠殺し、その脾臓を取り出す。10mlの無血清RPMI1640に脾臓を入れ、2mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、100単位/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンで補完した無血清RPMI1640(RPMI)(カナダ、Gibco)に沈めた2枚の顕微鏡スライドグラスの艶消し端の間で脾臓をすりつぶすことによって単個細胞浮遊液を形成する。無菌の70メッシュのNitex細胞濾過器(Becton Dickinson,Parsippany,N.J.)を介して細胞浮遊液を濾過し、200gで5分間遠心分離することによって2回洗浄し、沈殿物を20mlの無血清RPMIに再浮遊させる。3匹の未免疫Balb/cマウスから採取した脾細胞を同様に調製し、対照として使用する。融合に先立って3日間、11%ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone Laboratories,Inc.,Logan,Utah)を伴ったRPMIにて対数相で維持されたNS−1骨髄腫細胞を200gで5分間遠心分離し、沈殿物を2回洗浄する。
脾臓細胞(1×108個)を2.0×107個のNS−1細胞と合わせ、遠心分離し、上清を吸引する。試験管を叩くことによって細胞沈殿物を壊し、37℃のPEG1500(75mMのHEPES、pH8.0にて50%)1mlを撹拌しながら1分間かけて加え、その後、7mlの無血清RPMIを7分間かけて加える。追加の8mlのRPMIを加え、細胞を200gで10分間遠心分離する。上清を捨てた後、15%FBS、100μMのヒポキサンチンナトリウム、0.4μMのアミノプテリン、16μMのチミジン(HAT)(Gibco)、25単位/mlのIL−6(Boehringer Mannheim)及び1.5×106個の脾細胞/mlを含有する200mlのRPMIに沈殿物を再浮遊させ、10枚のCorning平底96−穴組織培養プレート(Corning,Corning,N.Y.)に播く。
融合後、2、4及び6日目に融合プレートのウェルから100μlの培地を取り出し、新鮮な培地と取り換える。8日目に、ELISAにより、以下のようにIL13Rα2に結合するマウスIgGの存在について調べることによって融合体をスクリーニングする。25mMのトリスpH7.5で希釈したIL13Rα2の100ng/ウェルによってImmulon4プレート(Dynatech,Cambridge,Mass.)を37で2時間被覆する。被覆溶液を吸引し、200μl/ウェルのブロッキング溶液(CMF−PBSで希釈した0.5%魚皮ゼラチン(Sigma))を加え、37℃で30分間インキュベートする。0.05%のツイーン20を含有するPBS(PBST)でプレートを3回洗浄し、50μlの培養上清を加える。37℃で30分間インキュベートした後、上記のように洗浄し、PBSTで1:3500に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼを結合したヤギ抗マウスIgG(Fc)(Jackson ImmunoResearch,West Grove,Pa)を50μl加える。プレートを上記のようにインキュベートし、PBSTで4回洗浄し、100mMのクエン酸塩pH4.5中の1mg/mlのo−フェニレンジアミン(Sigma)と0.1μl/mlの30%H2O2から成る100μlの基質を加える。5分後、50μlの15%H2SO4の添加によって発色反応を止める。プレートリーダー(Dynatech)を用いてA490の吸光度を測定する。
選択された融合ウェルを96穴プレートへの希釈及び5日後のコロニー数/ウェルの目視スコア化によって2回クローニングする。Isostripシステム(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Ind.)を用いて、ハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体のアイソタイプを決定する。
ハイブリドーマ法が採用される場合、骨髄腫細胞株が使用されてもよい。ハイブリドーマ作出融合手順での使用に適するそのような細胞株は好ましくは抗体非産生であり、高い融合効率を有し、所望の融合した細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支える特定の選択培地で増殖することができないようにする酵素欠損を有する。たとえば、免疫される動物がマウスである場合、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag41、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG1.7及びS194/15XX0Bulが使用されてもよく;ラットについてはR210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983F及び4B210が使用されてもよく;ならびにU−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2及びUC729−6はすべて細胞融合と併せて有用である。モノクローナル抗体を産生させるためにそのような技法によって作出されるハイブリドーマ及び細胞株は本開示の組成物であると熟考されることが言及されるべきである。
宿主の種に応じて、種々のアジュバントを使用して免疫応答を高めてもよい。そのようなアジュバントには、フロイントアジュバント、水酸化アルミニウムのような鉱物、及びリソレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオンのような表面活性物質、ペプチド、油性エマルジョン、スカシガイのヘモシアニン、及びジニトロフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。BCG(カルメット・ゲラン桿菌)及びコリネバクテリウムパルヴムは有用なヒトアジュバントである可能性がある。
或いは、当該技術で既知である他の方法、たとえば、EBV−ハイブリドーマ法(Haskard及びArcher,J.Immunol.Methods,74(2),361−67(1984),ならびにRoderら.Methods Enzymol.,121,140−67(1986))及びバクテリオファージベクター発現系(たとえば、Huseら,Science,246,1275−81(1989)を参照のこと)が使用されてもよい。さらに、非ヒト動物にて抗体を産生させる方法は、たとえば、米国特許第5,545,806号、同第5,569,825号及び同第5,714,352号、ならびに米国特許出願公開番号2002/0197266 Alに記載されている。
抗体はまた、リンパ球集団にて生体内での産生を誘導することによって、またはOrlandiら.(Proc.Natl.Acad.Sci.86:3833−3837;1989)、ならびにWinter及びMilstein(Nature,349:293−299,1991)にて開示されたような高度に特異的な結合試薬の組換え免疫グロブリンのライブラリまたはパネルをスクリーニングすることによって作出されてもよい。
さらに、ファージディスプレイを用いて本開示の抗体を生成することができる。この点で、標準の分子生物学及び組換えDNAの技術(たとえば、Sambrookら.(編),Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(2001)を参照のこと)を用いて抗体の抗原結合可変(V)ドメインをコードするファージライブラリを生成することができる。所望の抗原への特異的な結合のために所望の特異性を持つ可変領域をコードするファージを選択し、選択した可変ドメインを含む完全抗体または部分抗体を再構成する。再構成された抗体をコードする核酸配列を、ハイブリドーマ作出に使用される骨髄腫細胞のような好適な細胞株に導入するので、モノクローナル抗体の特徴を有する抗体が細胞によって分泌される(たとえば、Janewayら,上記,Huseら,上記,及び米国特許第6,265,150号)。関連する方法は、米国特許第5,403,484号;同第5,571,698号;同第5,837,500号及び同第5,702,892号にも記載されている。米国特許第5,780,279号;同第5,821,047号;同第5,824,520号;同第5,855,885号;同第5,858,657号;同第5,871,907号;同第5,969,108号;同第6,057,098号及び同第6,225,447号に記載されている技法も本開示に係る抗体を調製するのに有用であると熟考される。
抗体は、特定の重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子について遺伝子導入されているトランスジェニックマウスによって産生され得る。そのような方法は当該技術で既知であり、たとえば、米国特許第5,545,806号、同第5,569,825号及びJanewayら、上記に記載されている。
ヒト化抗体を生成する方法は当該技術で周知であり、たとえば、Janewayら上記、米国特許第5,225,539号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;欧州特許第0239400 Bl豪;及び英国特許第2188638号にて詳細に記載されている。ヒト化抗体はまた、米国特許第5,639,641号及びPedersenら,J.Mol.Biol.,235:959−973(1994)に記載されている抗体再表面化法を用いて生成することもできる。
「キメラ抗体」の作出のために開発された技法である、適当な抗原特異性と生物活性を持つ分子を得るためのマウス抗体遺伝子のヒト抗体遺伝子へのスプライシングを使用することができる(Morrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.81:6851−6855,1984;Neubergerら,Nature,312:604−608,1984;及びTakedaら,Nature,314:452−454;1985)。或いは、単鎖抗体を作出するための記載された技法(米国特許第4,946,778号)を適合させてIL13Rα2に特異的な単鎖抗体を作出することができる。
好まれるキメラ抗体またはヒト化抗体はヒトの定常領域を有する一方で、抗体の可変領域または少なくともCDRは非ヒト種に由来する。非ヒト抗体をヒト化する方法は当該技術で周知である(米国特許第5,585,089号及び同第5,693,762号を参照のこと)。一般に、ヒト化抗体は非ヒトである供給源からCDR領域及び/またはそのフレームワーク領域に導入された1以上のアミノ酸残基を有する。ヒト化は、たとえば、Jonesら.(Nature,321:522−525,1986)、Riechmannら,(Nature,332:323−327,1988)及びVerhoeyenら.(Science,239:1534−1536,1988)に記載されている方法を用いて、ヒト抗体の対応する領域の代わりに齧歯類の相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部を使用することによって実施することができる。操作された抗体を調製する多数の技法は、たとえば、Owens及びYoung,J.Immunol.Meth.,168:149-165(1994)に記載されている。次いでさらなる変化を抗体のフレームワークに導入して親和性または免疫原性を調節することができる。
前述の記載に一致して、CDRを単離する当該技術で既知の技法を少なくとも部分的に使用してCDRを含む組成物が生成されてもよい。相補性決定領域は、6つのポリペプチドループ、重鎖及び軽鎖の可変領域のそれぞれについて3つのループを特徴とする。CDRにおけるアミノ酸の位置は、参照によって本明細書に組み入れられるKabatら,"Sequences of Proteins of Immunological Interest,"U.S.Department of Health and Human Services,(1983)によって定義される。たとえば、ヒト抗体の超可変領域は、重鎖及び軽鎖可変領域の残基28〜35、49〜59及び残基92〜103で見いだされると大まかに定義されている(Janewayら、上記)。マウスのCDRも大体これらのアミノ酸残基で見いだされる。CDR領域は、上述の見積もられたアミノ酸の位置の数個のアミノ酸の範囲内で見いだされてもよいことが理解される。免疫グロブリンの可変領域もCDRを取り囲む4つの「フレームワーク」領域(FR1〜4)から成る。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は種内で高度に保存され、ヒトとマウスの配列の間でも保存されている。
モノクローナル抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域の1、2及び/または3のCDRを含む組成物が生成される。たとえば、配列番号1〜6の配列を有するCDRを含むハイブリドーマクローン47の抗体を用いて、これらのCDRを含む組成物が生成される。抗体の1、2、3、4、5及び/または6の相補性決定領域を含むポリペプチド組成物も熟考される。CDRを取り囲む保存されたフレームワーク配列を用いて、これらのコンセンサスフレームワーク配列に相補性のPCRプライマーを生成してプライマー領域間に位置するCDR配列を増幅する。ヌクレオチド及びポリペプチドの配列をクローニングし、発現させる技法は当該技術で定評がある[たとえば、Sambrookら, Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor,New York(1989)]。増幅させたCDR配列を適当なプラスミドに連結する。1、2、3、4、5及び/または6のクローニングしたCDRを含むプラスミドは任意でCDRに連結された追加のポリペプチドをコードする領域を含有する。
配列番号1〜6の重鎖または軽鎖の1、2、3、4、5または6のCDRを含む修飾されたポリペプチド組成物を生成することが熟考され、その際、CDRは標的IL13Rα2に対する高い特異性または親和性または結合活性を提供するように変更される。CDRにおける位置での部位は通常、先ず保存的選択(たとえば、疎水性アミノ酸の代わりに使用される一致しない疎水性アミノ酸)で置換し、次いで似ていない選択(たとえば、荷電アミノ酸の代わりに使用される疎水性アミノ酸)で順次置換することによって修飾され、次いで標的部位にて欠失または挿入が行われてもよい。
マウス抗体のフレームワーク領域(FR)は、1200を超えるヒトVH配列及び1000を超えるVL配列を含むヒト抗体可変配列の大きなデータベースから選択される適合するヒトフレームワーク領域を代わりに使うことによってヒト化される。比較に使用される抗体配列のデータベースはAndrew C.R.MartinのKabatManウェブページ(http://www.rubic.rdg.ac.uk/abs/)からダウンロードされる。CDRを特定するKabat法は、ヒト抗体のおよそのCDR及びフレームワークの領域を線引きし、類似性についてマウス抗体の配列を比較してCDR及びFRを決定する手段を提供する。高い全体的なフレームワークの一致、類似のCDRの長さ、ならびに標準残基及びVH/VL接触残基の最少の不一致に基づいて最も一致したヒトVH及びVLの配列を選択する。マウスの配列に最も類似したヒトフレームワーク領域をマウスのCDR間に挿入する。或いは、ヒト抗体のフレームワーク領域にさらに密接に類似するネイティブのフレームワーク領域の全部または一部のアミノ酸置換を行うことによってマウスのフレームワーク領域を修飾してもよい。
「保存的な」アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、及び/または両親媒性の性質における類似性に基づいて行われる。たとえば、非極性(疎水性)アミノ酸にはアラニン(Ala、A)、ロイシン(Leu、L)、イソロイシン(Ile、I)、バリン(Val、V)、プロリン(Pro、P)、フェニルアラニン(Phe、F)、トリプトファン(Trp、W)、及びメチオニン(Met、M)が挙げられ;極性中性アミノ酸にはグリシン(Gly、G)、セリン(Ser、S)、スレオニン(Thr、T)、システイン(Cys、C)、チロシン(Tyr、Y)、アスパラギン(Asn、N)、及びグルタミン(Gln、Q)が挙げられ;正に荷電した(塩基性)アミノ酸にはアルギニン(Arg、R)、リジン(Lys、K)、及びヒスチジン(His、H)が挙げられ;負に荷電した(酸性)アミノ酸にはアスパラギン酸(Asp、D)及びグルタミン酸(Glu、E)が挙げられる。「挿入」または「欠失」は好ましくは約1〜20アミノ酸、さらに好ましくは1〜10アミノ酸の範囲内である。組換えDNA法を用いてポリペプチド分子にてアミノ酸の置換を体系的に行い、活性について得られた組換え変異体をアッセイすることによって変異が導入されてもよい。核酸の変更は、異なる種と核酸が異なる部位(可変位置)で、または高度に保存された領域(定常領域)で行うことができる。本発明で有用なポリペプチド組成物を発現させる方法は以下でさらに詳細に記載されている。
さらに、本開示の方法で使用するための抗体を生成する別の有用な技法は合理的な設計型アプローチを使用するものであってもよい。合理的な設計の目標は、それらが相互作用する生物学的に活性があるポリペプチドまたは化合物の構造的類似体(アゴニスト、アンタゴニスト、阻害剤、ペプチド模倣体、結合相手等)を作出することである。この場合、活性があるポリペプチドは本明細書で開示されている配列番号1〜6の配列を含む。そのような類似体を作り出すことによって、ネイティブのまたは天然の抗体よりもさらに免疫反応性である追加の抗体を作ることが可能である。アプローチの1つでは、抗体またはそのエピトープ結合断片のための三次元構造を生成する。これは、X線結晶学、コンピュータリモデリングによって、または双方のアプローチの組み合わせによって達成されてもよい。代替アプローチである「アラニン走査」には、分子全体にわたるアラニンによる残基の無作為な置き換えが関与し、機能に対する得られた効果を判定する。
特定の抗体の結晶構造を解析することも可能である。原則としてこのアプローチによってその後の薬剤設計が基づくことができるファーマコアが得られる。機能的な、薬理学的に活性がある抗体に対する抗イディオタイプ抗体を生成することによってタンパク質の結晶学を完全に迂回することも可能である。鏡像の鏡像として、抗イディオタイプ抗体の結合部位は元々の抗原の類似体であることが予想される。次いで抗イディオタイプ抗体を用いて、化学的にまたは生物学的に作出されたペプチドの貯蔵から追加の抗体を特定し、単離する。
化学的に合成された二重特異性抗体は、たとえば、ヘテロ二官能性試薬であるスクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)−プロピオネート(SPDP,Pierce Chemicals,Rockford,Ill)のような化学物質によって異種のFabまたはF(ab’)2の断片を化学的に架橋することにより調製されてもよい。Fab及びF(ab’)2の断片はそれぞれパパインまたはペプシンで消化することによってインタクトな抗体から得ることができる(Karpovskyら,J.Exp.Med.160:1686−701,1984;Titusら,J.Immunol.,138:4018−22,1987)。
抗体がどのように作出されるかにかかわらず、IL13Rα2のエピトープに結合する能力について抗体を調べる方法は当該技術で既知であり、それには、たとえば、放射性免疫アッセイ(RIA)、ELISA、ウエスタンブロット、免疫沈降及び競合阻害アッセイのような抗体/抗原結合アッセイが挙げられる(たとえば、Janewayら,下記,及び米国特許出願公開番号2002/0197266 Al)。
本明細書の目的での抗体集団からの抗体の選択には、IL13Rα2エピトープ以外のそのような細胞上におけるエピトープと交差反応するそれら抗体を「差し引く」ために血管内皮細胞を使用することが含まれる。残りの抗体集団はIL13Rα2エピトープについて優先的な抗体が豊富である。
アプタマー
組み合わせ科学の分野の最近の進歩によって所与の標的に対する高い親和性及び特異性を持つ短いポリマー配列(たとえば、オリゴ核酸またはペプチドの分子)が特定されている。たとえば、SELEX技術を用いて哺乳類抗体に匹敵する結合特性を持つDNA及びRNAのアプタマーを特定しており、免疫の分野は無数の化合物に結合する抗体または抗体断片を生成し、単離しており、ファージディスプレイを利用して非常に好都合な結合特性を持つ新しいペプチド配列を発見している。これら分子進化法の成功に基づいて、標的分子に結合する分子を作り出すことができるのは確かである。ループ構造はアプタマーの場合のように所望の結合特質を提供することに関わることが多く、それは相補性の塩基対がない短い領域から作り出されるヘアピンループ、ループのある超可変領域の組み合わせ配置を利用する天然に導出される抗体、及び線形のファージディスプレイの結果と比べると改善された結果を示している環状ペプチドを利用する新しいファージディスプレイライブラリを利用することが多い。従って、組み合わせ分子進化法によって高親和性のリガンドを作り出し、特定することができることを示す十分な証拠が生成されている。本開示については、分子進化法を用いて本明細書で開示されているIL13Rα2に特異的な結合剤を単離することができる。アプタマーについてさらには、一般にGold,L.,Singer,B.,He,Y.Y.,Brody.E.,"Aptamers As Therapeutic And Diagnostic Agents,"J.Biotechnol.74:5−13(2000)を参照のこと。アプタマーを生成する関連技法は、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,699,843号にて見いだされる。
一部の実施形態では、アプタマーは核酸のライブラリを調製し;核酸のライブラリを増殖因子と接触させることによって生成され、その際、増殖因子に対してさらに大きな親和性(他のライブラリ核酸に比べて)を有する核酸を選択し、増幅して増殖因子への結合について相対的に高い親和性と特異性を持つ核酸について濃縮された核酸の混合物を得る。工程を繰り返してもよく、選択された核酸を変異させ、再スクリーニングしてもよく、それによって増殖因子アプタマーが特定される。核酸をスクリーニングして有余の標的に結合する分子について選択してもよい。1を超える標的を結合することは1を超えるものを同時にまたは競合して結合することを指す。一部の実施形態では、結合剤は少なくとも1つのアプタマーを含み、その際、第1の結合単位はIL13Rα2の第1のエピトープを結合し、第2の結合単位はIL13Rα2の第2のエピトープを結合する。
本開示の組成物の結合剤に関して、リガンドが誘導するIL13Rα2の活性化はIL13Rα2への結合剤の結合の際に低下する。本明細書で使用されるとき、用語「低下する」は、用語、たとえば、「阻害する」と同様に100%のまたは完全な低下または阻害を必ずしも意味しない。むしろ、当業者が潜在的な利益または治療効果を有すると認識する低下または阻害の程度は変化する。従って、一部の実施形態では、リガンドが誘導するIL13Rα2の活性化は完全に消失する。一部の実施形態では、リガンドが誘導する活性化は、実質的に低下する、たとえば、結合剤が存在しないまたはIL13Rα2に結合しない場合のリガンドが誘導するIL13Rα2の活性化に比べて、約10%(たとえば、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%)低下する。リガンドが誘導するIL13Rα2の活性化を測定する方法は当該技術で既知であり、それには、たとえば、以下の実施例に記載されているアッセイが挙げられる。
コンジュゲート
標的化ドメインとエフェクタードメインとを含むコンジュゲートが本明細書で開示されている。例となる実施形態では、コンジュゲートは、IL13Rα2を発現している細胞、たとえば、それを発現している腫瘍細胞にコンジュゲートを限局させる標的化ドメインとして本明細書で開示されている結合剤の1つと、エフェクタードメインとを含む。例となる態様では、コンジュゲートは融合タンパク質である。例となる態様ではコンジュゲートはキメラタンパク質である。本明細書で使用されるとき、用語「キメラ」は異なる起源の部分で構成される分子を指す。キメラ分子を構成する部分は天然に存在してもよいが、キメラ分子は全体として天然には存在せず、たとえば、合成または組換えである。
例となるエフェクタードメイン
本明細書で使用されるとき、用語「エフェクタードメイン」は所望の生物学的機能を達成するコンジュゲートの一部を指す。例となる態様では、エフェクタードメインはIL13Rα2を発現している細胞を特定するまたはその位置を示す。たとえば、エフェクタードメインは、診断剤、たとえば、放射性標識、蛍光標識、酵素(たとえば、熱量測定反応または蛍光分析反応を触媒する)、基質、固相マトリクス、またはキャリア(たとえば、ビオチンまたはアビジン)であってもよい。一部の態様における診断剤はイメージング剤である。本発明のペプチドに標識剤を連結する方法がそうであるように、多数の適当なイメージング剤が当該技術で既知である(たとえば、それぞれ参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第4,965,392号;同第4,472,509号;同第5,021,236号及び同第5,037,630号を参照のこと)。イメージング剤を薬学上許容できるキャリアにて対象に投与し、リンパ系内皮細胞を有する標的部位で蓄積させる。このイメージング剤は次いで、標的部位のX線、磁気共鳴、ポジトロン放出断層撮影、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)または超音波またはシンチグラフィによる画像化のための造影剤として役立つ。当然、画像化は対象からの組織が生検を介して得られる試験管内で実施されてもよいことが理解されるべきであり、リンパ系内皮細胞の存在は、組織を調製し、固定するための組織化学法と組み合わせた本明細書に記載されているイメージング剤の助けを借りて判定される。本発明のイメージング剤で有用な常磁性イオンには、たとえば、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)及びエルビウム(III)が挙げられる。X線画像化に有用なイオンには、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)及び特にビスマス(III)が挙げられるが、これらに限定されない。診断応用のための放射性同位元素には、たとえば、211アスタチン、14炭素、51クロム、36塩素、57コバルト、67銅、152ユーロピウム、67ガリウム、3水素、123ヨウ素、125ヨウ素、111インジウム、59鉄、32リン、186レニウム、75セレニウム、35イオウ、99mテクニシウム、90イットリウム、及び99ジルコニウムが挙げられる。
エフェクタードメインは、コンジュゲートの物理化学的な特徴を変えるもの、たとえば、高い溶解性及び/または安定性及び/または半減期、タンパク分解に対する耐性、クリアランスの調節を付与するエフェクターであってもよい。例となる態様では、エフェクタードメインはポリマー、炭水化物または脂質である。
ポリマーは分岐してもよいし、分岐しなくてもよい。ポリマーは任意の分子量のものであってもよい。一部の実施形態におけるポリマーは約2kDa〜約100kDaの間の平均分子量を有する(水溶性ポリマーの調製では、一部の分子は述べられた分子量より多いまたはやや少ない重量があることを示す用語「約」)。ポリマーの平均分子量は一部の態様では、約5kDa〜約50kDaの間、約12kDa〜約40kDaの間、または約20kDa〜約35kDaの間である。一部の実施形態では、ポリマーは、たとえば、アシル化のための活性エステルまたはアルキル化のためのアルデヒドのような単一の反応基を有するように修飾されるので重合の程度が制御されてもよい。一部の実施形態におけるポリマーは、それが連結されるタンパク質が生理的な環境のような水性環境で沈殿しないように水溶性である。一部の実施形態では、たとえば、組成物が治療用途に使用される場合、ポリマーは薬学上許容できる。さらに一部の態様では、ポリマーはポリマーの混合物、たとえば、コポリマー、ブロックコポリマーである。一部の実施形態では、ポリマーは、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレートを含むポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン及びその誘導体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、及びポリ(オクタデシルアクリレート)を含むアクリル酸及びメタクリル酸エステルのポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化合物、ポリ(酢酸ビニル)、及びポリビニルピロリドンを含むポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びそのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシルエチルセルロース、セルローストリアセテート、及びセルロース硫酸ナトリウム塩を含むセルロース、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、及びポリ(エチレンテレフタレート)を含むポリエチレン、及びポリスチレンから成る群から選択される。一部の態様では、ポリマーは、合成の生分解性ポリマー(たとえば、乳酸及びグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルソ)エステル、ポリウレタン、ポリ(ブチック酸)、ポリ(吉草酸)、及びポリ(ラクチド−co−カプロラクトン))、及び天然の生分解性ポリマー(たとえば、アルギネート及びデキストラン及びセルロースを含む他の多糖類、コラーゲン、その化学誘導体(化学基の置換、付加、たとえば、アルキル、アルキレン、水酸化、酸化、及び当業者によって日常的に行われる他の修飾)、アルブミン及び他の親水性タンパク質(たとえば、ゼイン及び他のプロラミン及び疎水性タンパク質))、と同様にそれらのコポリマーまたは混合物を含む生分解性ポリマーである。一般に、これらの物質は酵素的加水分解または生体内での水への曝露によって、表面腐食またはバルク腐食によって分解する。一部の態様では、ポリマーは、たとえば、その教示が本明細書に組み入れられるH.S.Sawhney,C.P.Pathak及びJ.A.Hubbell in Macromolecules,1993,26,581−587に記載された生体内分解性のヒドロゲル、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギネート、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、及びポリ(オクタデシルアクリレート)のような生体接着性のポリマーである。一部の実施形態では、ポリマーは水溶性ポリマーまたは親水性ポリマーである。好適な水溶性ポリマーは当該技術で既知であり、それらには、たとえば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;Klucel)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;Methocel)、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピル ペンチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース(Ethocel)、ヒドロキシエチルセルロース、種々のアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース、種々のセルロースエーテル、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ポリ−ヒドロキシアルキルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマー、ポリビニルアルコールナトリウム及びカルシウムポリアクリル酸、ポリアクリル酸、酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレン、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリメチルビニルエーテル−co−無水マレイン酸、カルボキシメチルアミド、メタクリル酸カリウムジビニルベンゼンコポリマー、ポリオキシエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、及びそれらの誘導体、塩及び組み合わせが挙げられる。一部の態様では、水溶性ポリマーまたはその混合物には、N−結合型またはO−結合型の炭水化物、糖、リン酸塩、炭水化物、糖、;リン酸塩;ポリエチレングリコール(PEG)(モノ−(C1−C10)アルコキシ−またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールを含むタンパク質を導出するのに使用されているPEGの形態を含む);モノメトキシ−ポリエチレングリコール;デキストラン(たとえば、約6kDの低分子量デキストランのような)、セルロース;他の炭水化物系のポリマー、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(たとえば、グリセロール)及びポリビニルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。本開示によって熟考されるのはまた、共有結合した多量体を調製するのに使用されてもよい二官能性の架橋分子である。本明細書で使用するのに特に好まれる水溶性ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)である。本明細書で使用されるとき、ポリエチレングリコールは、たとえば、モノ−(C1−C10)アルコキシ−またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールのような、他のタンパク質を導出するのに使用することができるPEGの形態を包含することにする。PEGは広い範囲の分子量で利用できる線形または分岐鎖の中性ポリエーテルであり、水及びほとんどの有機溶媒に可溶性である。PEGは、水中に存在するとその動的連鎖移動性及び疎水性の性質を主として介して他のポリマーまたはペプチドを排除して効果的であるので、他のタンパク質またはポリマーの表面に連結すると、水の殻または水和球を作り出す。PEGは非毒性であり、非免疫原性であり、内部消費について食品医薬品局によって認可されている。タンパク質または酵素はPEGにコンジュゲートすると動物に投与した場合、生物活性、非抗原性の特性及びクリアランス速度の低下を実証している。参照によって本明細書に組み入れられるF.M.Veroneseら, Preparation and Properties of Monomethoxypoly(ethylene glycol)−modified Enzymes for Therapeutic Applications,in J.M.Harris ed.,Poly(Ethylene Glycol) Chemistry−−Biotechnical and Biomedical Applications,127−36,1992。理論によって束縛されることを望まないで、これらの現象は免疫系による認識を妨げることにおけるPEGの排除特性によってもよい。加えて、PEGはタンパク質の吸収を減らし、血液適合性を改善する表面改変手順で広く使用されている。それぞれその全体が参照によって本明細書に組み入れられるS.W.Kimら,Ann.N.Y.Acad.Sci.516:116−301987;Jacobsら,Artif.Organs,12:500−501,1988;Parkら,J.Poly.Sci,Part A,29:1725−31,1991。たとえば、ポリウレタン及びポリスチレンのような疎水性ポリマーの表面はPEG(MW3,400)のグラフトによって改質することができ、非血栓形成性の表面として採用することができる。表面特性(接触角)は、PEGの水和効果のために親水性表面とさらに一致することができる。さらに重要なことに、タンパク質(アルブミン及び他の血漿タンパク質)の吸収は、PEGの高い鎖運動性、水和球、及びタンパク質の排除特性から生じる結果、大きく低下させることができる。PEG(MW3,400)は表面不動化試験、Parkら,J.Biomed.Mat.Res.26:739−45,1992において最適なサイズとして決定された一方で、PEG(MW5,000)はタンパク質の抗原性を減らすことにおいて最も有益である。F.M.Veroneseら,In J.M.Harris,ら,Poly(Ethylene Glycol)Chemistry−−Biotechnical and Biomedical Applications,127−36。ペグ化した結合剤ポリペプチドを調製する方法は、(a)それによって結合剤ポリペプチドが1以上のPEG基に連結されるようになる条件下でポリエチレングリコール(PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)とポリペプチドを反応させる工程と、(b)反応生成物を得る工程とを含んでもよい。一般に、アシル化反応に最適な反応条件は既知のパラメータ及び所望の結果に基づいて決定されるであろう。たとえば、PEG:タンパク質の比が大きければ大きいほど、ポリペグ化した生成物の比率は大きい。一部の実施形態では、結合剤はN末端に単一のPEG部分を有するであろう。参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第8,234,784号を参照のこと。
一部の実施形態では、エフェクタードメインは炭水化物である。一部の実施形態では、炭水化物は単糖類(たとえば、グルコース、ガラクトース、フルクトース)、二糖類(たとえば、スクロース、ラクトース、マルトース)、オリゴ糖類(たとえば、ラフィノース、スタキオース)、多糖類(たとえば、デンプン、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、カロース、ラミナリン、キシラン、マンナン、フコイダンまたはガラクトマンナン)である。
一部の実施形態では、エフェクタードメインは脂質である。脂質は一部の実施形態では、脂肪酸、エイコサノイド、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、N−アシルエタノールアミン、グリセロ脂質(たとえば、モノ−、ジ−、トリ−置換グリセロール)、グリセロリン脂質(たとえば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン)、スフィンゴ脂質(たとえば、スフィンゴシン、セラミド)、ステロール脂質(たとえば、ステロイド、コレステロール)、プレノール脂質、サッカロ脂質、またはポリケチド、油、ワックス、コレステロール、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、またはリン脂質である。
致死性ドメイン
例となる態様では、エフェクタードメインは、たとえば、コンジュゲートがIL13Rα2を発現している細胞、たとえば、それを発現している腫瘍細胞に局在する場合、致死性を付与する致死性ドメインである。エフェクタードメインは、結合剤がいったんそのIL13Rα2標的を見いだし、結合すると、IL13Rα2を発現している細胞を殺傷する能力をコンジュゲートに付与する。
例となる態様では、エフェクタードメインは細胞毒素(本明細書では「細胞傷害剤」とも呼ばれる)である。細胞傷害剤は細胞に対して毒性である分子(化学的または生化学的)である。一部の実施形態では、細胞傷害剤は化学療法剤である。化学療法剤は当該技術で既知であり、それには、白金配位化合物、トポイソメラーゼ阻害剤、抗生剤、抗有糸***アルカロイド及び米国特許第6,630,124号に記載されたようなジフルオロヌクレオシドが挙げられる。一部の実施形態では、化学療法剤は白金配位化合物である。用語「白金配位化合物」はイオンの形態での白金を提供する腫瘍細胞の増殖を阻害する白金配位化合物を指す。一部の実施形態では、白金配位化合物は、シス−ジアミンジアクオ白金(II)−イオン;塩化クロロ(ジエチレントリアミン)−白金(II)塩化化合物;ジクロロ(エチレンジアミン)−白金(II),ジアミン(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)(カルボプラチン);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミン(2−エチルマロナト)−白金(II);エチレンジアミンマロナト白金(II);アクア(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−スルファト白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタラト)(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)シス(ピルバト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)オキサラト白金(II);オルマプラチン;またはテトラプラチンである。一部の実施形態では、シスプラチンは本発明の組成物及び方法で採用される白金配位化合物である。シスプラチンは、名称PLATINOL(商標)のもとでBristol Myers−Squibb社から市販されており、水、無菌生理食塩水または他の好適な溶媒と共に構成するための粉末として利用できる。本発明の使用に好適な他の白金配位化合物は既知であり、市販されており、及び/または従来の技法によって調製することができる。シスプラチンまたはシス−ジクロロジアミン白金IIは種々のヒト固形悪性腫瘍の治療にて化学療法剤として長年上手く使用されている。さらに最近、他のジアミノ−白金錯体が種々のヒト固形悪性腫瘍の治療にて化学療法剤としての有効性を示している。そのようなジアミノ−白金錯体にはスピロ白金及びカルボ白金が挙げられるが、これらに限定されない。シスプラチン及び他のジアミノ白金錯体はヒトにて化学療法剤として広く使用されているが、それらは腎損傷のような毒性問題を招き得る高投与量レベルで送達しなければならない。
一部の実施形態では、化学療法剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。トポイソメラーゼは真核細胞にてDNAのトポロジーを変えることができる酵素である。それらは細胞の機能及び細胞の増殖に決定的である。一般に、真核細胞には2つのクラスのトポイソメラーゼ、I型とII型がある。トポイソメラーゼIはおよそ100,000の分子量のモノマー酵素である。酵素はDNAに結合し、一時的な一本鎖切断を導入し、二本鎖をほどき(またはそれをほどかせる)、その後、DNA鎖から解離する前に切断を再封止する。最近、種々のトポイソメラーゼ阻害剤が卵巣癌、食道癌または非小細胞肺癌に冒されたヒトの治療で臨床的有効性を示している。一部の態様では、トポイソメラーゼ阻害剤はカンプトテシンまたはカンプトテシン類似体である。カンプトテシンは、中国に自生するCamptotheca accuminataの木及びインドに自生するNothapodytes foetidaの木によって作られる水不溶性の細胞傷害性のアルカロイドである。カンプトテシンは多数の腫瘍細胞に対して腫瘍細胞増殖阻害活性を示す。カンプトテシン類似体クラスの化合物は通常、DNAトポイソメラーゼIの特異的な阻害剤である。用語「トポイソメラーゼの阻害剤」によってカンプトテシンに構造的に関係する腫瘍細胞増殖阻害化合物を意味する。カンプトテシン類似体クラスの化合物には、トポテカン、イリノテカン及び9−アミノ−カンプトテシンが挙げられるが、これらに限定されない。追加の実施形態では、細胞傷害剤は、米国特許第5,004,758号;欧州特許出願番号88311366.4(公開番号EP0 321 122);米国特許第4,604,463号;欧州特許出願公開番号EP0 137 145;米国特許第4,473,692号;欧州特許出願公開番号EP0 074 256;米国特許第4,545,880号;欧州特許出願公開番号EP0 074 256;欧州特許出願公開番号EP0 088 642;Waniら,J.Med.Chem.,29,2358−2363(1986);及びNittaら,Proc.14th International Congr.Chemotherapy,Kyoto,1985,Tokyo Press,Anticancer Section 1,p.28−30にて請求されたまたは記載された腫瘍細胞増殖阻害カンプトテシン類似体である。特に、本開示はCPT−11と呼ばれる化合物を熟考する。CPT−11は、10−ヒドロキシ−7−エチルカンプトテシンのC−10にてカルバメート結合を介して連結された4−(ピペリジノ)−ピペリジン側鎖を持つカンプトテシン類似体である。CPT−11は現在ヒトの臨床試験を受けており、イリノテカンとも呼ばれる;そのそれぞれの開示全体が参照によって本明細書に組み入れられるWaniら,J.Med.Chem.,23,554(1980);Waniら,J.Med.Chem.,30,1774(1987);米国特許第4,342,776号;欧州特許出願公開番号EP418 099;米国特許第4,513,138号;欧州特許出願公開番号EP0 074 770;米国特許第4,399,276号;欧州特許出願公開番号0 056 692。カンプトテシン類似体クラスの上記でリストにした化合物はすべて市販されており、及び/または上記でリストにされた参考文献に記載されたものを含む従来の技法によって調製することができる。トポイソメラーゼ阻害剤はトポテカン、イリノテカン及び9−アミノカンプトテシンから成る群から選択されてもよい。
カンプトテシン類似体クラスの多数の化合物(薬学上許容できるその塩、水和物、溶媒和物を含む)の調製と同様にカンプトテシン類似体クラスのそのような化合物と不活性の薬学上許容できるキャリアまたは希釈剤とを含む経口または非経口の医薬組成物の調製は、そのそれぞれの教示が全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,004,758号;及び欧州特許出願番号88311366.4(公開番号EP0 321 122)にて広範に記載されている。
本発明のさらに別の実施形態では、化学療法剤は抗生剤化合物である。好適な抗生剤には、ドキソルビシン、マイトマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン及びストレプトゾシンが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、化学療法剤は抗有糸***アルカロイドである。一般に、抗有糸***アルカロイドはCantharanthus roseusから抽出され、抗癌化学療法剤として有効であることが示されている。多数の半合成の誘導体が化学的に及び薬理学的にの双方で研究されている(O.Van Tellingenら,Anticancer Research,12,1699−1716(1992)を参照のこと)。本発明の抗有糸***アルカロイドには、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール及びビノレルビンが挙げられるが、これらに限定されない。後者2つの抗有糸***アルカロイドはそれぞれEli Lilly and Company及びPierre Fabre Laboratoriesから市販されている(米国特許第5,620,985号を参照のこと)。本開示の態様の1つでは、抗有糸***アルカロイドはビノレルビンである。
本発明の別の実施形態では、化学療法剤はジフルオロヌクレオシドである。2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロヌクレオシドは抗ウイルス活性を有するとして当該技術で知られる。そのような化合物は米国特許第4,526,988号及び同第4,808,614号で開示され、教示されている。欧州特許出願公開184,365はこれらの同じジフルオロヌクレオシドが腫瘍溶解活性を有することを開示している。ある特定の態様では、本開示の組成物及び方法で使用される2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロヌクレオシドは、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロヌクレオシド塩酸塩であり、はゲムシタビン塩酸塩としても知られる。ゲムシタビンは市販されており、または、そのそれぞれの教示が全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第4,526,988号、同第4,808,614号及び同第5,223,608号にて開示されたような多重工程法にて合成することができる。
例となる態様では、エフェクタードメインはIL13Rα2を発現している細胞にアポトーシスを起こさせるアポトーシスタグである。例となる態様では、アポトーシスタグはTRAILタンパク質またはその一部である。例となる態様では、アポトーシスタグは配列番号27のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、コンジュゲートは配列番号25のアミノ酸配列を含む。
例となる実施形態では、エフェクタードメインはIgGまたは他の免疫グロブリンのFcドメインである。ヒトIgGのFc領域のような置換分については、融合体は結合剤に直接融合される、または介在配列を介して融合される。たとえば、ヒトIgGのヒンジ、CH2及びCH3の領域は結合剤のN末端またはC末端のいずれかに融合されてFc領域を連結してもよい。得られたFc融合剤はプロテインAアフィニティカラム(Pierce,Rockford,Ill.)を介した精製を可能にする。Fc領域に融合されたペプチド及びタンパク質は融合されない対応物よりも実質的に長い生体内での半減期を示すことができる。Fc領域への融合は融合ポリペプチドの二量体化/多量体化を可能にする。Fc領域は天然に存在するFc領域であってもよいし、または優れた特徴、たとえば、治療の質、循環時間、凝集の低下のために修飾されてもよい。上記で言及されたように、一部の実施形態では、結合剤は免疫グロブリンまたはその一部(たとえば、可変領域、CDRまたはFc領域)にコンジュゲートされる、たとえば、融合される。免疫グロブリン(Ig)の既知の型にはIgG、IgA、IgE、IgDまたはIgMが挙げられる。Fc領域はIg重鎖のC末端領域であり、それはたとえば、再利用(長い半減期を生じる)、抗体依存性細胞介在性細胞傷害性(ADCC)及び補体依存性細胞傷害性(CDC)のような活性を実行するFc受容体への結合に関与する。
たとえば、一部の定義によれば、ヒトIgG重鎖Fc領域は重鎖のCys226から重鎖のC末端に及ぶ。「ヒンジ領域」は一般にヒトIgG1のGlu216からPro230に伸びる(他のIgGアイソタイプのヒンジ領域はシステイン結合に関与するシステインを並べることによってIgG1配列と並べてもよい)。IgGのFc領域は2つの定常ドメインであるCH2及びCH3を含む。ヒトIgGのFc領域のCH2ドメインは普通、アミノ酸231からアミノ酸341まで伸びる。ヒトIgGのFc領域のCH3ドメインは普通、アミノ酸342〜447に伸びる。免疫グロブリンまたは免疫グロブリン断片または領域のアミノ酸の番号付けに対して行われる参照はすべて参照によって本明細書に組み入れられるKabatら.1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Public Health,Bethesda,Md.に基づく。関連する実施形態では、Fc領域は、CH1以外の免疫グロブリン重鎖に由来する1以上のネイティブのまたは修飾された定常領域、たとえば、IgG及びIgAのCH2及びCH3の領域、またはIgEのCH3及びCH4の領域を含んでもよい。
好適なコンジュゲート部分には、FcRn結合部位を含む免疫グロブリン配列の一部が含まれる。サルベージ受容体であるFcRnは免疫グロブリンの再利用及びそれらを血液の循環に返すことに関与する。FcRn受容体に結合するIgGのFc部分の領域はX線結晶解析に基づいて記載されている(Burmeisterら.1994,Nature,372:379)。FcのFcRnとの主要な接触領域はCH2ドメインとCH3ドメインの接合の近傍である。Fc−FcRnの接触はすべて単一Ig重鎖の範囲内である。主要な接触部位には、CH2ドメインのアミノ酸残基248、250〜257、272、285、288、290〜291、308〜311及び314ならびにCH3ドメインのアミノ酸残基385〜387、428、及び433〜436が含まれる。
一部のコンジュゲート部分はFcγR結合部位を含んでもよいし、または含まなくてもよい。FcγRは抗体依存性細胞介在性細胞傷害性(ADCC)及び補体依存性細胞傷害性(CDC)に関与する。FcγRと直接接触するFc領域内の位置の例は、アミノ酸234〜239(低部ヒンジ領域)、アミノ酸265〜269(B/Cループ)、アミノ酸297〜299(C’/Eループ)及びアミノ酸327〜332(F/Gループ)である(Sondermannら,Nature,406:267−273,2000)。IgEの低部ヒンジ領域もFcRIの結合に関与している(Henryら,Biochemistry,36,15568−15578,1997)。IgA受容体の結合に関与する残基はLewisら,(J.Immunol.175:6694−701,2005)にて記載されている。IgE受容体の結合に関与するアミノ酸残基はSayersら.(J.Biol.Chem.279(34):35320−5,2004)にて記載されている。
免疫グロブリンのFc領域に対してアミノ酸の修飾を行ってもよい。そのような変異体Fc領域はFc領域のCH3ドメイン(残基342〜447)にて少なくとも1つのアミノ酸修飾及び/またはFc領域のCH2ドメイン(残基231〜341)にて少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。FcRnに対する高い親和性を付与すると考えられている変異にはT256A、T307A、E380A、及びN434Aが挙げられる(Shieldsら.2001、J.Biol.Chem.276:6591)。他の変異は、FcRnに対する親和性を有意に低下させることなく、Fc領域のFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、及び/またはFcγRIIIAへの結合を低下させてもよい。たとえば、Fc領域の297位のAsnのAlaまたは別のアミノ酸による置換は、高度に保存されたN−グリコシル化部位を取り除き、Fc領域の付随する長い半減期と同様にFcγRへの結合の低下を伴って低下した免疫原性を生じてもよい(Routledgeら.1995,Transplantation,60:847;Friendら.1999,Transplantation,68:1632;Shieldsら.1995,J.Biol.Chem.276:6591)。FcγRへの結合を低下させるIgG1の233位〜236位におけるアミノ酸修飾が行われている(Ward及びGhetie,1995,Therapeutic Immunology,2:77ならびにArmourら.1999,Eur.J.Immunol.29:2613)。一部の例となるアミノ酸置換は、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第7,355,008号及び同第7,381,408号に記載されている。
一部の実施形態では、結合剤はアルカリホスファターゼ(AP)に融合される。FcまたはAPの融合剤を作製する方法はWO02/060950にて提供されている。
キメラ抗原受容体(CAR)
例となる態様では、エフェクタードメインはT細胞シグナル伝達ドメインである。例となる態様では、コンジュゲートはキメラ抗原受容体(CAR)である。キメラ抗原受容体(CAR)は、抗原特異的な抗体の特異性をT細胞受容体の機能と組み合わせる操作された膜貫通タンパク質である。一般に、CARは細胞外ドメイン、スペーサー領域、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含む。例となる態様におけるCARの細胞外ドメインは抗原認識領域を含み、それは抗原特異的抗体のscFvであってもよい。細胞外ドメインはまた一部の実施形態では、新生タンパク質を小胞体に向けるシグナルペプチドを含む。例となる態様では、細胞外ドメインは抗原認識領域を膜貫通ドメインに連結するスペーサーを含む。膜貫通(TM)ドメインは細胞膜を横切るCARの一部である。例となる態様では、TMドメインは疎水性αヘリックスを含む。例となる態様では、TMドメインはCD28のTMドメインの全部または一部を含む。例となる態様では、TMドメインはCD8αのTMドメインの全部または一部を含む。CARの細胞内ドメインは1以上のシグナル伝達ドメインを含む。例となる態様では、細胞内ドメインはCD3のゼータ鎖を含み、それは免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)の3つのコピーを含む。ITAMは一般に、LeuまたはIleに由来する2つのアミノ酸によって分離されるTyr残基を含む。免疫細胞の受容体、たとえば、T細胞受容体及びB細胞受容体の場合、ITAMは多重(少なくとも2)に存在し、各ITAMは6〜8アミノ酸によってもう1つから分離される。CARの細胞内ドメインは追加のシグナル伝達ドメイン、たとえば、下流のシグナル伝達に重要であるタンパク質の一部も含んでもよい。例となる態様では、細胞内ドメインはCD28、41BBまたは4−1BB(CD137)、ICOS、CD27、CD40、OX40(CD134)、またはMyd88の1以上に由来するシグナル伝達ドメインを含む。そのようなタンパク質のシグナル伝達ドメインをコードする配列は本明細書では配列番号39〜42、68〜79、81及び83として提供される。CARを作製する方法、細胞、たとえば、T細胞でそれを発現させる方法及び治療法にてCARを発現しているT細胞を利用する方法は当該技術で既知である。たとえば、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられる国際特許出願公開番号WO2014/208760、WO2014/190273、WO2014/186469、WO2014/184143、WO2014180306、WO2014/179759、WO2014/153270、米国出願公開番号US20140369977、US20140322212、US20140322275、US20140322183、US20140301993、US20140286973、US20140271582、US20140271635、US20140274909、欧州出願公開番号2814846を参照のこと。
例となる態様では、本開示のコンジュゲートは、本明細書に記載されている結合剤とヒンジ領域とCD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメイン及びCD28、CD134及び/またはCD137のシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含むIL13Rα2に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)である。例となる態様では、CARは、(A)NYLMN(配列番号1);RIDPYDGDIDYNQNFKD(配列番号2);GYGTAYGVDY(配列番号3);RASESVDNYGISFMN(配列番号4);AASRQGSG(配列番号5);及びQQSKEVPWT(配列番号6)のアミノ酸配列のそれぞれと、(B)ヒンジ領域と、(C)CD3ゼータのシグナル伝達ドメイン及びCD28、CD134及び/またはCD137のシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含む。例となる態様では、CD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインは配列番号41のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、CARはさらに、CD28の膜貫通(TM)ドメインに基づくTMドメインを含む。例となる態様では、CARは配列番号47のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、CARはさらにCD8αの膜貫通(TM)ドメインに基づくTMドメインを含む。例となる態様では、CARは配列番号85のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、ヒンジ領域は配列番号35または配列番号37のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、CARは配列番号49または配列番号51のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、本開示のCARの細胞内ドメインは配列番号53または配列番号55のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、本開示のCARの細胞内ドメインは配列番号87または配列番号89のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、本開示のCARの細胞内ドメインは配列番号91、配列番号93または配列番号95のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、本開示のCARの細胞内ドメインは配列番号97、配列番号99または配列番号101のアミノ酸配列を含む。
例となる態様では、細胞内ドメインはさらにCD137、CD134、CD27、CD40、ICOS、及びMyd88の1以上のシグナル伝達ドメインを含む。例となる態様では、細胞内ドメインは、それぞれCD27のシグナル伝達ドメインを含む配列、CD40のシグナル伝達ドメインを含む配列、CD134のシグナル伝達ドメインを含む配列、CD137のシグナル伝達ドメインを含む配列、ICOSのシグナル伝達ドメインを含む配列、及びMyd88のシグナル伝達ドメインを含む配列を提供する配列番号68、70、72、74、76及び78のアミノ酸配列の1以上を含む。
例となる態様では、CARは、(A)NYLMN(配列番号1);RIDPYDGDIDYNQNFKD(配列番号2);GYGTAYGVDY(配列番号3);RASESVDNYGISFMN(配列番号4);AASRQGSG(配列番号5);及びQQSKEVPWT(配列番号6)のアミノ酸配列のそれぞれと、(B)ヒンジ領域と、(C)CD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメイン及びCD28のシグナル伝達ドメイン及び少なくとも1つの他のシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含む。例となる態様では、CARは41BB(CD137)のシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む。例となる態様では、CARは配列番号81のアミノ酸配列を含む細胞内ドメインを含む。例となる態様では、CD137のシグナル伝達はCD3ゼータ鎖のシグナル伝達鎖に対してN末端である。例となる態様では、細胞内ドメインは配列番号87のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、CARは配列番号91のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、CARは配列番号97のアミノ酸配列を含む。
例となる態様では、CARはOX40(CD134)のシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む。例となる態様では、CARは配列番号83のアミノ酸配列を含む細胞内ドメインを含む。例となる態様では、CD137のシグナル伝達はCD3ゼータ鎖のシグナル伝達鎖に対してN末端である。例となる態様では、細胞内ドメインは配列番号89のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、CARは配列番号95のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、CARは配列番号99のアミノ酸配列を含む。
例となる態様では、CARは、(A)NYLMN(配列番号1);RIDPYDGDIDYNQNFKD(配列番号2);GYGTAYGVDY(配列番号3);RASESVDNYGISFMN(配列番号4);AASRQGSG(配列番号5);及びQQSKEVPWT(配列番号6)のアミノ酸配列のそれぞれと、(B)ヒンジ領域と、(C)CD8α鎖の膜貫通ドメインと、(D)CD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメイン及び任意で少なくとも1つの他のシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインとを含む。例となる態様では、膜貫通ドメインは配列番号85のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、CARはさらにCD137のシグナル伝達ドメインとCD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインとを含む。例となる態様では、CARは配列番号93のアミノ酸配列を含む。例となる態様では、CARは配列番号101のアミノ酸配列を含む。
例として、3つの追加のIL13Rα2に特異的なCARの配列が提供される。CARの1つはCD8αのTMドメインと41BBゼータのシグナル伝達ドメイン(配列番号94によってコードされる配列番号93)とを含有する。他の2つのCARは、CD28のTMドメインとCD28.CD134ゼータ(配列番号100によってコードされる配列番号99)またはCD28.CD137ゼータ(配列番号102によってコードされる配列番号101)のシグナル伝達ドメインのいずれかとを含有する。
核酸、ベクター、宿主細胞
本開示によってさらに提供されるのは、本明細書に記載されている結合剤及びコンジュゲート(たとえば、キメラタンパク質、融合タンパク質、CAR)のいずれかをコードするヌクレオチド配列を含む核酸である。核酸は本明細書に記載されている結合剤及びコンジュゲートのいずれかをコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のCDRのそれぞれをコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、本開示の核酸は配列番号7及び/または配列番号8をコードする核酸配列を含む。例となる態様では、本開示の核酸は配列番号13または配列番号14をコードする核酸配列を含む。例となる態様では、本明細書で提供される核酸は配列番号15及び/または配列番号16の配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号66または67のヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号25の配列をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号26のヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号28または30をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号28または30に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号29または31を含むヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号33をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号34のヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号35または37をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号36または38を含むヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号39または41をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号40または42を含むヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号47をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号48を含むヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号49または51をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号50または52を含むヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号53または55をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号54または56を含むヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号68、70、72、74、76及び78の1以上をコードするヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号69、71、73、75、77及び79の1以上を含むヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号1〜6のそれぞれをコードし、配列番号82、84、86、88、90、92、94、96の1以上を含むヌクレオチド配列を含む。例となる態様では、核酸は配列番号98、100及び102の1つを含むヌクレオチド配列を含む。
本明細書で使用されるとき「核酸」によって、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「核酸分子」を含み、一般にDNAまたはRNAのポリマーを意味し、それは、一本鎖または二本鎖であってもよく、合成されてもまたは天然の供給源から得られてもよく(たとえば、単離され及び/または精製される)、天然のヌクレオチド、非天然のヌクレオチドまたは変化したヌクレオチドを含有してもよく、天然の、非天然のまたは変化したヌクレオチド間結合、たとえば、未修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間で見いだされるホスホジエステルの代わりにホスホロアミデート結合またはホスホロチオエート結合を含有してもよい。核酸は挿入、欠失、逆位及び/または置換を含まないことが一般に好まれる。しかしながら、本明細書で議論されるように場合によっては、1以上の挿入、欠失、逆位及び/または置換を含むことが核酸にとって好適であってもよい。
例となる態様では、本開示の核酸は組換えである。本明細書で使用されるとき、用語「組換え」は、(i)天然の核酸セグメントまたは合成の核酸セグメントを生細胞にて複製してもよい核酸分子に連結することによって細胞外で構築される分子、または(ii)上記(i)で記載されたものの複製から生じた分子を指す。本明細書の目的では、複製は試験管内の複製であってもよいし、または生体内の複製であってもよい。
例となる態様における核酸は、当該技術で既知の手順を用いた化学合成及び/または酵素的ライゲーション反応に基づいて構築される。たとえば、Sambrookら,上記,及びAusubelら,上記を参照のこと。たとえば、天然に存在するヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を高めるようにもしくはハイブリッド形成の際に形成される二本鎖の物理的安定性を高めるように設計された種々に修飾された分子(たとえば、ホスホロチオエート誘導体及びアクリジン置換したヌクレオチド)を用いて核酸は化学的に合成されてもよい。核酸を生成するのに使用されてもよい修飾されたヌクレオチドの例には、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリドム、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N−置換アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、及び2,6−ジアミノプリンが挙げられるが、これらに限定されない。或いは、本開示の1以上の核酸は、たとえば、Macromolecular Resources(Fort Collins,CO)及びSynthegen(Houston,TX)のような会社から購入してもよい。
例となる態様における本開示の核酸は組換え発現ベクターに組み込まれる。この点で、本開示は、本開示の核酸のいずれかを含む組換え発現ベクターを提供する。本明細書の目的では、用語「組換え発現ベクター」は、構築物がmRNA、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、且つベクターが細胞内で発現されたmRNA、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを有するのに十分な条件下で細胞に接触されると、宿主細胞によるmRNA、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの発現を可能にする遺伝子操作されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの構築物を意味する。本開示のベクターは全体としては天然には存在しない。しかしながら、ベクターの一部は天然に存在してもよい。本発明の組換え発現ベクターは、一本鎖であってもまたは二本鎖であってもよく、合成されてもよくまたはある程度天然の供給源から入手されてもよく、且つ天然の、非天然のまたは変化したヌクレオチドを含有してもよいDNAまたはRNAを含むが、これらに限定されない任意の種類のヌクレオチドを含んでもよい。組換え発現ベクターは、天然に存在するまたは天然に存在しないヌクレオチド間結合、または双方の種類の結合を含んでもよい。例となる態様では、変化したヌクレオチドまたは天然に存在しないヌクレオチド間結合はベクターの転写または複製を妨害しない。
本開示の組換え発現ベクターは、好適な組換え発現ベクターであってもよく、好適な宿主を形質転換するまたは宿主に形質移入するのに使用されてもよい。好適なベクターには、増殖及び伸長のためにまたは発現のためにまたはその双方のために設計されたもの、たとえば、プラスミド及びウイルスが挙げられる。ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene、LaJolla、CA)、pETシリーズ(Novagen、Madison、WI)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech、Uppsala、Sweden)、及びpEXシリーズ(Clontech、Palo Alto、CA)から成る群から選択されてもよい。たとえば、λGTIO、λGTl1、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、及びλNMl149のようなバクテリオファージベクターも使用されてもよい。植物の発現ベクターの例には、pBIOl、pBI101.2、pBI101.3、pBI121及びpBIN19(Clontech)が挙げられる。動物の発現ベクターの例には、pEUK−Cl、pMAM及びpMAMneo(Clontech)が挙げられる。好ましくは、組換え発現ベクターはウイルスベクター、たとえば、レトロウイルスベクターである。
本開示の組換え発現ベクターは、たとえば、Sambrookら、上記及びAusubelら、上記にて記載された標準の組換えDNA法を用いて調製されてもよい。環状であってもまたは線状であってもよい発現ベクターの構築物は、原核生物または真核生物の宿主細胞で機能的な複製系を含有するように調製されてもよい。複製系は、たとえば、CoIEl、2μプラスミド、λ、SV40、ウシパピローマウイルス等に由来してもよい。
例となる態様では、組換え発現ベクターは、たとえば、転写及び翻訳の開始及び終結のコドンのような調節配列を含み、それらは、適宜及びベクターがDNA系であるのかまたはRNA系であるのかを考慮に入れて、ベクターが導入される宿主の種類(たとえば、細菌、真菌、植物または動物)に特異的である。
組換え発現ベクターには、形質転換されたまたは形質移入された宿主の選択を可能にする1以上のマーカー遺伝子が含まれてもよい。マーカー遺伝子には、殺生物剤耐性、たとえば、抗生剤、重金属等に対する耐性、原栄養性を提供する栄養要求性宿主における補完物等が含まれる。本発明の発現ベクターのための好適なマーカー遺伝子には、たとえば、ネオマイシン/G418耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ヒスチジノール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、及びアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。
組換え発現ベクターは、結合剤もしくはコンジュゲートをコードするヌクレオチド配列に、または結合剤もしくはコンジュゲートをコードするヌクレオチド配列に対して相補性であるもしくはそれとハイブリッド形成するヌクレオチド配列に操作可能に連結されるネイティブのまたは規範的なプロモータを含んでもよい。プロモータの選択、たとえば、強力な、弱い、誘導性の、組織特異的な、及び発生特異的なプロモータの選択は熟練者の普通の技量の範囲内である。
同様に、ヌクレオチド配列をプロモータと組み合わせることも熟練者の普通の技量の範囲内である。プロモータは非ウイルスプロモータであってもよいし、またはウイルスプロモータ、たとえば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、SV40プロモータ、RSVプロモータ、及びマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復で見いだされるプロモータであってもよい。
本発明の組換え発現ベクターは、一時的な発現、安定した発現、またはその双方のために設計されてもよい。また、組換え発現ベクターは、構成的な発現または誘導性の発現のために作製されてもよい。さらに、組換え発現ベクターは自殺遺伝子を含むように作製されてもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「自殺遺伝子」は自殺遺伝子を発現している細胞を死なせる遺伝子を指す。自殺遺伝子は、遺伝子が発現されている細胞上で作用剤、たとえば、薬剤に対する感受性を付与し、細胞が作用剤に接触すると、またはそれにさらされると細胞を死なせる遺伝子であってもよい。自殺遺伝子は当該技術で既知であり(たとえば、Suicide Gene Therapy:Methods and Reviews. Springer,Caroline J.(Maycer Research UK Centre for Maycer Therapeutics at the Institute of Maycer Research,Sutton,Surrey,UK),Humana Press,2004を参照のこと)、それらには、たとえば、単純性ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ及びニトロ還元酵素が挙げられる。
本開示はさらに、本明細書に記載されている核酸またはベクターのいずれかを含む宿主細胞を提供する。本明細書で使用されるとき、用語「宿主細胞」は本明細書に記載されている核酸またはベクターを含有する任意の種類の細胞を指す。例となる態様では、宿主細胞は、真核細胞、たとえば、植物、動物、真菌もしくは藻類の細胞であり、または原核細胞、たとえば、細菌もしくは原生動物の細胞であってもよい。例となる態様では、宿主細胞は、本明細書に記載されているような対象を起源とするまたは対象から得られる細胞である。例となる態様では、宿主細胞は、哺乳類を起源とするまたは哺乳類から得られる。本明細書で使用されるとき、用語「哺乳類」は、マウス及びハムスターのような齧歯目の哺乳類、ならびにウサギのようなウサギ目の哺乳類を含むが、これらに限定されない任意の哺乳類を指す。哺乳類は、ネコ科動物(ネコ)及びイヌ科動物(イヌ)を含む食肉目に由来することが好まれる。哺乳類は、ウシ(ウシ)及びブタ(ブタ)を含む偶蹄目またはウマ(ウマ)を含む奇蹄目に由来することがさらに好まれる。哺乳類は、霊長目、セボイドまたはシモイド(サル)または類人猿目(ヒト及び類人猿)のものであることが最も好まれる。特に好まれる哺乳類はヒトである。
例となる態様では、宿主細胞は、培養された細胞、または初代細胞、すなわち、生物、たとえば、ヒトから直接単離された細胞である。例となる態様における宿主細胞は、付着細胞または浮遊細胞、すなわち、浮遊状態で増殖する細胞である。好適な宿主細胞は当該技術で既知であり、それには、たとえば、DH5α大腸菌細胞、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞、サルのVERO細胞、T293細胞、COS細胞、HEK293細胞等が挙げられる。組換え発現ベクターを増幅する、または複製する目的では、宿主細胞は好ましくは原核細胞、たとえば、DH5α細胞である。結合剤またはコンジュゲートを産生させる目的では、宿主細胞は一部の態様では哺乳類細胞である。例となる態様では、宿主細胞はヒト細胞である。宿主細胞はどんな細胞型のものであってもよい一方で、宿主細胞はどんな種類の組織を起源としてもよく、且つどんな発生段階のものであってもよい。例となる態様では、宿主細胞は造血幹細胞または前駆細胞である。たとえば、Nakamura De Oliveiraら,Human Gene Therapy,24:824−839(2013)を参照のこと。例となる態様における宿主細胞は末梢血リンパ球(PBL)である。例となる態様では、宿主細胞はナチュラルキラー細胞である。例となる態様では、宿主細胞はT細胞である。
本明細書の目的では、T細胞は、たとえば、培養されたT細胞、たとえば、初代T細胞、または培養されたT細胞株に由来するT細胞、たとえば、Jurkat、SupT1等、または哺乳類から得られるT細胞のような任意のT細胞であってもよい。哺乳類から得られるのであれば、T細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または他の組織または流体を含むが、これらに限定されない多数の供給源から得られてもよい。T細胞はまた濃縮されてもよく、または精製されてもよい。T細胞は造血幹細胞を試験管内または生体内でT細胞に成熟させることによって得られてもよい。例となる態様では、T細胞はヒトT細胞である。例となる態様では、T細胞はヒトから単離されたT細胞である。T細胞はNKT細胞を含む任意の種類のT細胞であってもよく、CD4+/CD8+二重陽性T細胞、CDA+ヘルパーT細胞、たとえば、Th1及びTh2細胞、CD8+T細胞(たとえば、細胞傷害性T細胞)、末梢血単核細胞(PBMC)、末梢血白血球(PBL)、腫瘍浸潤細胞(TIL)、記憶T細胞、ナイーブT細胞、等を含むが、これらに限定されない任意の発生段階のものであってもよい。好ましくは、T細胞CD8+T細胞またはCD4+T細胞である。
本開示によって提供されるのはまた、本明細書に記載されている少なくとも1つの宿主細胞を含む細胞の集団である。細胞の集団は、組換え発現ベクターを含まない少なくとも1つの他の細胞、たとえば、宿主細胞(たとえば、T細胞)、またはT細胞以外の細胞、たとえば、B細胞、マクロファージ、好中球、赤血球、肝細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋肉細胞、脳細胞等に加えて、記載されている組換え発現ベクターを含む宿主細胞を含む不均質な集団であってもよい。或いは、細胞の集団は、集団が主として組換え発現ベクターを含む宿主細胞を含む(たとえば、それから本質的に成る)実質的に均質な集団であってもよい。集団はまた細胞のクローン集団であってもよく、その際、集団の細胞すべては組換え発現ベクターを含む単一宿主細胞のクローンなので、集団の細胞すべては組換え発現ベクターを含む。本開示の例となる実施形態では、細胞の集団は本明細書に記載されている核酸またはベクターを発現する宿主細胞を含むクローン集団である。
医薬組成物及び投与の経路
本開示の一部の実施形態では、結合剤、コンジュゲート、核酸、ベクター、宿主細胞、または細胞の集団は薬学上許容できるキャリアと混合される。従って、本明細書に記載されている結合剤、コンジュゲート、核酸、ベクター、宿主細胞、または細胞の集団のいずれかを含み、且つ薬学上許容できるキャリア、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物が熟考される。
薬学上許容できるキャリアは従来使用されているもののいずれかであり、たとえば、溶解性や活性のある結合剤との反応性の欠如のような物理化学的な検討によって及び投与の経路によってのみ限定される。本明細書に記載されている薬学上許容できるキャリア、たとえば、ビヒクル、補助剤、賦形剤及び希釈剤は当業者に周知であり、一般に手軽に公開されている。態様の1つでは、薬学上許容できるキャリアは、医薬組成物の活性の有る成分、たとえば、第1の結合剤及び第2の結合剤に対して化学的に不活性であるもの、及び使用の条件下で有害な副作用または毒性を有さないものである。一部の実施形態におけるキャリアは動物またはヒトに投与された場合、有害な、アレルギー性のまたは他の厄介な反応を生じない。一部の態様における医薬組成物は発熱物質を含まないと共に、ヒトまたは動物に有害であり得る不純物を含まない。薬学上許容できるキャリアには、任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等が挙げられ;その使用は当該技術で周知である。
許容できるキャリア、賦形剤または安定剤は受入者に対して非毒性であり、好ましくは採用される投与量及び濃度で不活性であり、それらには、たとえば、リン酸塩、クエン酸塩または他の有機酸のような緩衝液;たとえば、アスコルビン酸のような抗酸化剤;低分子量ポリペプチド;たとえば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;たとえば、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;たとえば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジンのようなアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類及び他の炭水化物;たとえば、EDTAのようなキレート剤;たとえば、マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;たとえば、ナトリウムのような塩形成性対イオン;及び/またはツイーン、プルロニックまたはポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
たとえば、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体のような、本明細書で開示されている方法を実践するのに有用な組成物の治療用製剤は、凍結乾燥されたケーキまたは水溶液の形態で所望の程度の純度を有する選択された組成物を任意の生理的に薬学上許容できるキャリア、賦形剤または安定剤(RemingtonのPharmaceutical Sciences,第18版,A.R.Gennaro編,Mack Publishing Company(1990))と混合することによって保存のために調製されてもよい。医薬組成物は、たとえば、水、鉱物油、ポリエチレングリコール、デンプン、タルク、ラクトース、増粘剤、安定剤、懸濁剤等のような1以上の好適なキャリアまたは補助剤と混合することによって製造されてもよい。そのような組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル剤、クリーム、膏薬、軟膏の形態、または他の従来の形態であってもよい。
生体内の投与で使用される組成物は無菌であるべきである。これは、凍結乾燥及び再構成に先立って、またはそれに続いて無菌の濾過膜を介した濾過によって容易に達成される。治療用組成物は一般に、無菌のアクセスポートを有する容器、たとえば、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって穴開けできるストッパーを有するバイアルに入れられる。注射用途に好適な医薬形態には無菌の水溶液または分散液及び無菌の溶液または分散液の即時調製のための無菌の粉末が挙げられる。場合によっては、形態は無菌であるべきであり、容易な注射能が存在する程度に流体であるべきである。それは、製造及び保存の条件下で安定であるべきであり、たとえば、細菌及び真菌のような微生物の汚染活動に対して保護されるべきである。非経口投与の組成物は普通、凍結乾燥形態または溶液で保存されるであろう。
キャリアは、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液状ポリエチレングリコール等)、それらの好適な混合物、及び植物油を含有する溶媒または分散媒であることができる。たとえば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散の場合、必要とされる粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって適正な流動性を維持することができる。微生物の活動の予防は、種々の抗菌剤及び/または抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、たとえば、糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。注射用組成物の延長された吸収は、吸収を遅らせる作用剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物への包含によってもたらすことができる。
キャリアの選択は、医薬組成物の特定の種類の結合剤によって、と同様に医薬組成物を投与するのに使用される特定の経路によってある程度決定されるであろう。従って、医薬組成物の種々の好適な製剤がある。
本開示の医薬組成物は、たとえば、酸性化剤、添加剤、吸収剤、エアロゾル高圧ガス、空気置換剤、アルキル化剤、亀裂防止剤、抗凝固剤、抗微生物防腐剤、抗酸化剤、消毒剤、基剤、結合剤、緩衝化剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、乾燥剤、界面活性剤、希釈剤、殺菌剤、崩壊剤、分散剤、溶解向上剤、染料、皮膚軟化剤、乳化剤、エマルション安定剤、充填剤、成膜剤、風味向上剤、風味剤、流動増強剤、ゲル化剤、造粒剤、保湿剤、潤滑剤、粘膜接着剤、軟膏基剤、軟膏、油性溶媒、有機基剤、芳香錠基剤、色素、可塑剤、研磨剤、保存剤、金属イオン封鎖剤、皮膚浸透剤、可溶化剤、溶媒、安定化剤、坐薬基剤、表面活性化剤、界面活性剤、懸濁剤、甘味剤、治療剤、増粘剤、等張化剤、毒性剤、粘度上昇剤、水吸収剤、水混和性共溶媒、水柔軟剤、または湿潤剤を含む薬学上許容できる成分を含むことができる。
医薬組成物は、生理的に適合性のpHを達成するように製剤化されてもよい。一部の実施形態では、医薬組成物のpHは製剤及び投与の経路に応じて、pH11までの且つpH11を含む、少なくとも5、少なくとも5.5、少なくとも6、少なくとも6.5、少なくとも7、少なくとも7.5、少なくとも8、少なくとも8.5、少なくとも9、少なくとも9.5、少なくとも10、または少なくとも10.5であってもよい。特定の実施形態では、医薬組成物は生理的に適合性のpHを達成するために緩衝化剤を含んでもよい。緩衝化剤には、所望のpHで緩衝化することができる化合物、たとえば、リン酸緩衝液(たとえば、PBS)、トリエタノールアミン、トリス、ビシン、TAPS、トリシン、HEPES、TES、MOPS、PIPES、カコジル酸塩、MES、及び当該技術で既知のその他が挙げられてもよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている結合剤を含む医薬組成物は、非経口投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、クモ膜下投与、または腹腔内投与のために製剤化される。他の実施形態では、医薬組成物は、鼻内投与、スプレー、経口投与、エアロゾル、直腸投与または膣内投与を介して投与される。組成物は点滴、ボーラス注射によってまたは埋め込み用具によって投与されてもよい。
投与の経路に関する以下の議論は例となる実施形態を説明するために単に提供されるのであって、開示される内容の範囲を限定するようには決して解釈されるべきではない。
経口投与に好適な製剤は、(a)液体溶液、たとえば、水、生理食塩水またはオレンジジュースのような希釈剤に溶解される有効量の本開示の組成物と;(b)固形物または顆粒としての所定の量の有効成分をそれぞれ含有するカプセル剤、分包包装、錠剤、のど飴及びトローチと;(c)粉末と;(d)適当な液体における懸濁液と;(e)好適なエマルションとから成ることができる。液体製剤には、薬学上許容できる界面活性剤の添加の有無にかかわらず、たとえば、水及びアルコール、たとえば、エタノール、ベンジルアルコール及びポリエチレンアルコールのような希釈剤が含まれてもよい。カプセル剤形態は、たとえば、界面活性剤、潤滑剤、及びラクトース、スクロース、リン酸カルシウム及びコーンスターチのような充填剤を含有する普通の硬質または軟質のゼラチン型のものであることができる。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、微細結晶セルロース、アカシアゴム、ゼラチン、グアーゴム、コロイド状二酸化珪素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝化剤、崩壊剤、保湿剤、保存剤、風味剤、及び他の薬学上適合性の賦形剤の1以上を含むことができる。のど飴の形態は、風味剤、普通、スクロース及びアカシアゴムまたはトラガカントゴムにて本開示の組成物を含むことができると共に、トローチは、たとえば、ゼラチン及びグリセリン、またはスクロース及びアカシアゴム、エマルション、ゲル等のような不活性基剤にて本開示の組成物を含み、任意で当該技術で既知のようなそのような賦形剤も含有する。
本開示の組成物は単独でまたは他の好適な成分との併用で、肺投与を介して送達することができ、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤に作ることができる。これらのエアロゾル製剤は、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等のような加圧された許容できる高圧ガスに入れることができる。それらはまた、吸入器または噴霧器におけるような非加圧製剤のための医薬として製剤化されてもよい。そのようなスプレー製剤は粘膜に噴霧するのにも使用されてもよい。一部の実施形態では、組成物は粉末混合物またはマイクロ粒子またはナノ粒子に製剤化される。好適な肺用製剤は当該技術で既知である。たとえば、Qianら,Int.J.Pharm.366:218−220(2009);Adjei及びGarren,Pharmaceutical Research,7(6):565−569(1990);Kawashimaら,J.Controlled Release,62(1−2):279−287(1999);Liuら,Pharm.Res.10(2):228−232(1993);国際特許出願公開番号WO2007/133747及びWO2007/141411を参照のこと。
局所製剤は当業者に周知である。そのような製剤は皮膚への塗布についての本発明の文脈で特に好適である。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は非経口投与のために製剤化される。本明細書の目的では、非経口投与には、静脈内の、動脈内の、筋肉内の、脳内に、脳室内の、心臓内の、皮下の、骨内の、皮内の、クモ膜下の、腹腔内の、眼球後方の、肺内の、膀胱内の、海綿体内の注射または点滴が挙げられるが、これらに限定されない。特定の部位での外科的埋め込みによる投与が同様に熟考される。
非経口投与に好適な製剤には水性及び非水性の等張の無菌注射溶液が挙げられ、それは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、及び製剤を意図する受入者の血液と等張にする溶質、及び懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤及び保存剤を含むことができる水性及び非水性の無菌懸濁液を含有することができる。用語「非経口」は、消化管を介してではないが、たとえば、皮下、筋肉内、脊髄内または静脈内のような若干の他の経路によることを意味する。本開示の組成物は、薬学上許容できる界面活性剤、たとえば、石鹸もしくは洗剤、懸濁剤、たとえば、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロース、または乳化剤及び他の薬学上の補助剤の添加の有無にかかわらず、水、生理食塩水、水性デキストロース及び関連する糖溶液、アルコール、たとえば、エタノールもしくはヘキサデシルアルコール、グリコール、たとえば、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセロール、ケタール、たとえば、2,2−ジメチル−1,5,3−ジオキソラン−4−メタノール、エーテル、ポリ(エチレングリコール)400、油、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはグリセリド、またはアセチル化脂肪酸グリセリドを含む、無菌の液体または液体の混合物のような薬学上のキャリアにて生理的に許容できる希釈剤と共に投与することができる。
非経口製剤で使用することができる油には、石油、動物油、植物油または合成油が挙げられる。油の具体例には、ピーナッツ油、ダイズ油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ワセリン、及び鉱物油が挙げられる。非経口製剤で使用するのに好適な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは好適な脂肪酸エステルの例である。
一部の実施形態における非経口製剤は保存剤または緩衝液を含有する。注射の部位での刺激を出来るだけ減らすまたはなくすために、そのような組成物は任意で約12〜約17の親水性親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤を含有する。そのような製剤における界面活性剤の量は通常、約5重量%〜約15重量%の範囲である。好適な界面活性剤には、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、たとえば、モノオレイン酸ソルビタン及び酸化プロピレンのプロピレングリコールによる縮合によって形成される疎水性塩基を伴った酸化エチレンの高分子量の付加体が挙げられる。非経口製剤は、たとえば、アンプル及びバイアルのような単位用量または複数回用量の密閉容器にて提示することができ、使用の直前に無菌の液状賦形剤、たとえば、注射用水の添加のみを必要とする凍結/乾燥された(凍結乾燥の)状態で保存することができる。即時の注射用の溶液及び懸濁液は、当該技術で以前記載され、且つ既知の種類の無菌の粉末、顆粒及び錠剤から調製することができる。
注射用製剤は本発明に従う。注射用組成物のための有効な医薬キャリアについての要件は当業者に周知である(たとえば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Company,Philadelphia,PA,Banker and Chalmers編,238−250ページ(1982),及びASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,第4版,622−630ページ(1986)を参照のこと)。
上述の医薬組成物に加えて、本開示の組成物は、封入複合体、たとえば、シクロデキストリン封入複合体、またはリポソームとして製剤化することができることが当業者によって十分に理解されるであろう。
用量
本明細書の目的では、投与される医薬組成物の量または用量は、理に適った時間枠で対象または動物にて、たとえば、治療応答または予防応答を達成するのに十分である。たとえば、医薬組成物の用量は、投与の時間から約12時間、約18時間、約1〜4日間以上、たとえば、5日間、6日間、1週間、10日間、2週間、16〜20日間以上の期間で疾患または病状を治療するまたは予防するのに十分である。特定の実施形態では、期間はさらに長い。用量は、特定の医薬組成物の有効性及び動物(たとえば、ヒト)の状態、と同様に治療される動物(たとえば、ヒト)の体重によって決定される。
投与される用量を決定するための多数のアッセイが当該技術で既知である。一部の実施形態では、そのそれぞれが異なる用量の結合剤を与えられる哺乳類のセットの間での哺乳類への所与の用量の投与の際、IL13Rα2が介在する細胞増殖を結合剤が阻止する程度を比較することを含むアッセイを用いて哺乳類に投与される出発用量を決定する。特定の用量の投与の際、IL13Rα2が介在する細胞増殖を結合剤が阻止する程度を当該技術で既知の方法によってアッセイする。
医薬組成物の用量はまた、特定の医薬組成物の投与に伴い得る有害な副作用の存在、性質及び程度によっても決定されるであろう。通常、主治医は、年齢、体重、全身状態、食事、性別、投与される医薬組成物の結合剤、投与の経路、及び治療される状態の重症度のような種々の因子を考慮に入れてそれぞれ個々の患者を治療するための医薬組成物の投与量を決定するであろう。
例として且つ本発明を限定することを意図しないで、本開示の結合剤の用量は、約0.0001〜約1g/治療される対象の体重kg/日、約0.0001〜約0.001g/kg体重/日、または約0.01mg〜約1g/kg体重/日であることができる。一部の態様における医薬組成物は、少なくともAの濃度で本開示の結合剤を含み、その際、Aは約0.001mg/ml、約0.01mg/ml、0約1mg/ml、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml以上である。一部の実施形態では、医薬組成物は、多くてもBの濃度で結合剤を含み、その際、Bは約30mg/ml、約25mg/ml、約24mg/ml、約23mg/ml、約22mg/ml、約21mg/ml、約20mg/ml、約19mg/ml、約18mg/ml、約17mg/ml、約16mg/ml、約15mg/ml、約14mg/ml、約13mg/ml、約12mg/ml、約11mg/ml、約10mg/ml、約9mg/ml、約8mg/ml、約7mg/ml、約6mg/ml、約5mg/ml、約4mg/ml、約3mg/ml、約2mg/ml、約1mg/ml、または約0.1mg/mlである。一部の実施形態では、組成物はA〜Bmg/ml、たとえば、約0.001〜約30.0mg/mlの濃度範囲で類似体を含有してもよい。
追加の投薬指針は、たとえば、ベバシズマブ(Avastin(商標)Genentech);セツキシマブ(Exbitux(商標)Imclone)、パニツムマブ(Vectibix(商標)Amgen)、及びトラスツズマブ(Herceptin(商標)Genentech)のような他の抗体療法から評価することができる。
投与のタイミング
開示されている医薬組成物は、たとえば、毎日(1日当たり1回、1日当たり2回、1日当たり3回、1日当たり4回、1日当たり5回、1日当たり6回)、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、毎週、2週に1回、3週に1回、毎月または2ヵ月に1回を含む任意の投薬計画に従って投与されてもよい。投薬のようなタイミングは、用量反応試験、有効性及び毒性データに基づいて微調整することができ、当初は他の抗体療法で使用されるタイミングに基づいて判断することができる。
制御放出製剤
特定の態様では医薬組成物はデポー形態に改変されるので、それが投与される生体内に医薬組成物の有効成分(たとえば、結合剤)が放出される方法は時間及び生体内の位置に関して制御される(たとえば、米国特許第4,450,150号を参照のこと)。種々の態様におけるデポー形態には、たとえば、ポリマーのような多孔性または非多孔性の物質を含む埋め込み可能な組成物が挙げられ、その際、結合剤は物質によって被包され、または物質全体にわたって及び/または非多孔性物質の分解全体にわたって拡散される。次いでデポーは生体内の所望の位置に埋め込まれ、結合剤は所定の速度で埋め込み物から放出される。
従って、特定の態様における医薬組成物は任意の種類の生体内での放出特性を有するように改変される。一部の態様では、医薬組成物は、即時放出、制御放出、持続放出、延長放出、遅延放出、または二相性放出の製剤である。制御放出のためにペプチド(たとえば、ペプチド結合剤)を製剤化する方法は当該技術で既知である。たとえば、Qianら,J.Pharm.374:46−52(2009)及び国際特許出願公開番号WO2008/130158,WO2004/033036;WO2000/032218;及びWO1999/040942を参照のこと。持続放出製剤の好適な例には、成形物品、たとえば、膜またはマイクロカプセルの形態での半透過性ポリマーマトリクスが挙げられる。持続放出マトリクスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号,EP58,481)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタミン酸塩のコポリマー(Sidmanら,Biopolymers,22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら,J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277(1981)及びLanger,Chem.Tech.,12:98−105(1982))、エチレン酢酸ビニル(Langerら,上記)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が含まれる。持続放出組成物にはまた、当該技術で既知のいくつかの方法のいすれかによって調製することができるリポソームも含まれてもよい(たとえば、DE3,218,121;Epsteinら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688−3692(1985);Hwangら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949)。
併用
本開示の組成物は単独で採用されてもよく、または他の作用剤との併用で採用されてもよい。一部の実施形態では、1を超える結合剤が投与される。たとえば、投与される組成物、たとえば、医薬組成物は抗体と同様にscFvを含んでもよい。一部の実施形態では、本開示の組成物は、本明細書に記載されているもののいずれかを含む、別の治療剤または診断剤と一緒に投与される。特定の疾患、たとえば、癌または患者は併用剤の治療に適していてどれか1つの治療のみの使用と比べて相加的なまたはさらに相乗的な効果を達成してもよい。
使用
本明細書で提供されるデータにある程度基づいて、結合剤、コンジュゲート、宿主細胞、細胞の集団、及び医薬組成物は新生物、腫瘍または癌を治療するのに有用である。
本開示の目的で、用語「治療する」及び「予防する」と同様にそれらに起因する単語は本明細書で使用されるとき、必ずしも100%または完全な治療(たとえば、治癒)または予防を意味しない。むしろ、当業者が潜在的な利益または治療効果を有すると認識する治療または予防の様々な程度がある。この点で、本開示の方法は、患者、たとえば、ヒトにおける癌のどんな量のまたはどんなレベルの治療または予防も提供することができる。本明細書で開示されている方法によって提供される治療または予防は、治療されるまたは予防される疾患、たとえば、癌の1以上の状態または症状の治療または予防を含むことができる。また、本明細書の目的では、「予防」は疾患またはその症状もしくは状態の発症を遅らせることを包含することができる。
本明細書に記載されている材料及び方法は、結合剤によって標的とされるIL13Rα2が役割を担う腫瘍性細胞の増殖または広がり;特に腫瘍性細胞の増殖を阻害するのに有用である。
本開示の結合剤、コンジュゲート、宿主細胞、細胞の集団及び医薬組成物によって治療可能な新生物には、固形腫瘍、たとえば、癌腫及び肉腫が挙げられる。癌腫には、周囲の組織に浸潤し、たとえば、侵襲し、転移を生じる上皮細胞に由来する悪性新生物が挙げられる。腺癌は、腺組織、または認識できる腺構造を形成する組織に由来する癌腫である。癌の別の広いカテゴリーには肉腫及び線維肉腫が挙げられ、それらはその細胞が線維状物質または均質な物質、たとえば、胚性結合組織に埋め込まれる腫瘍である。本発明は、白血病、リンパ腫、及び通常腫瘍塊として存在しないが、血管系またはリンパ網内系に分布する他の癌を含む骨髄またはリンパ系の癌の治療方法も提供する。さらに熟考されるのは、成人及び小児の腫瘍学、固形腫瘍/悪性腫瘍の増殖、粘液状の円形細胞癌腫、局所で進んだ腫瘍、リンパ系転移を含む癌の転移の治療のための方法である。本明細書でリストにされる癌は限定することを意図されない。双方の年齢(小児及び成人)、性別(男女)、一次及び二次、転移前及び転移後、急性及び慢性、良性及び悪性、解剖的位置の癌の実施形態及び変異は熟考される標的である。癌は胚性起源(たとえば、癌腫、リンパ腫及び肉腫)によって、臓器または生理系によって、及びその他のグループ分けによってグルーブに分けられる。特定の癌はその分類で重複してもよく、1群におけるそのリストは別の群からそれらを排除しない。
標的とされてもよい癌には、副腎皮質、腺房、腺房、腺房、嚢腺、腺様嚢胞、腺様扁平上皮、腺腫様癌、腺扁平上皮、付属器、副腎皮質の癌、副腎皮質、アルドステロン産生、アルドステロン分泌、肺胞、肺胞細胞、エナメル芽細胞、膨大部、甲状腺の未分化癌、アポクリン、基底細胞、基底細胞、肺胞、面皰基底細胞、嚢胞基底細胞、限局性強皮症様の基底細胞、多中心性基底細胞、 小節潰瘍性基底細胞、色素性基底細胞、硬化性基底細胞、表在性基底細胞、類基底、基底有棘細胞、胆管、肝外胆管、肝内胆管、気管支肺胞上皮、気管支、気管支肺胞上皮、気管支肺胞上皮、気管支肺胞上皮、気管支、脳状、胆管細胞、絨毛、脈絡叢、明細胞、総***肛門、コロイド、面皰、体、子宮体の癌、コルチゾール産生、篩状、円筒状、円筒状細胞、腺管、腺管状、 前立腺の腺管癌、原位置での腺管癌(DCIS)、エクリン腺、胚性、鎧状癌、子宮内膜、子宮内膜の癌、類子宮内膜、類表皮、混合腫瘍の中から生じる癌、多形腺腫の中から生じる癌、外部寄生、線維層板型、線維癌、甲状腺の濾胞腺癌、胃、ゼラチン型、ゼラチン様、巨細胞、甲状腺の巨細胞癌、巨細胞癌、腺状、粒状細胞、肝細胞、Hurthle細胞、副腎様腫、幼児胚性、島細胞癌腫、乳腺の炎症性癌、原位置での癌、腺管内、表皮内、上皮内、小児胚性、Kulchitsky細胞、大細胞、軟髄膜、小葉、浸潤小葉、侵襲小葉、原位置での小葉癌(LCIS)、リンパ上皮、髄様癌、髄様、甲状腺の髄様癌、甲状腺髄質、黒色、髄膜、Merkel細胞、変型性細胞、微小乳頭、癌モール、粘液性、粘液性癌、粘液細胞性癌、粘膜表皮、粘膜癌、粘膜、鼻咽頭、皮膚の神経内分泌癌、非浸潤、非小細胞、 非小細胞肺癌(NSCLC)、燕麦細胞、骨化性癌、類骨、骨または乳腺のパジェット病、乳頭、甲状腺の乳頭癌、膨大部領域、前浸潤、有棘細胞、原発骨内、腎細胞、瘢痕、住血吸虫症膀胱、シュナイデル(Schneiderian)、スキルス、皮脂、印環細胞、単純癌、小細胞、小細胞肺癌(SCLC)、紡錘細胞、海綿体癌、扁平上皮、扁平上皮細胞、末端腺管、未分化甲状腺、濾胞性甲状腺、甲状腺髄質、甲状腺乳頭、皮膚の索状癌、移行細胞、管状、甲状腺の未分化癌、子宮体、イボ状、絨毛、絨毛癌、卵黄嚢、特に頭頚部の扁平上皮細胞、食道の扁平上皮細胞、及び口腔の癌及び癌腫が挙げられる。
標的とされてもよい肉腫には、脂肪、歯槽軟部、エナメル芽細胞、鳥類、ブドウ房状、ブドウ状肉腫、ニワトリ、緑色腫様、軟骨芽、腎臓の明細胞肉腫、胚性、子宮内膜間質、類上皮、ユーイング、筋膜、線維芽細胞、家禽、巨細胞、顆粒球、血管内皮、ホジキン、特発性多発性色素性出血性、B細胞の免疫芽球性肉腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、ジェンセン、カポジ、クッパー細胞、白血球成、リンパ系、黒色、混合細胞、多重、リンパ管、特発性出血性、骨の多能性原発肉腫、造骨性、骨形成性、傍骨性、多形性、偽カポジ、細網細胞、脳の細網肉腫、横紋筋肉腫、ラウス、軟組織、紡錘細胞、滑膜、毛細血管拡張性、肉腫(骨肉腫)/骨の悪性線維組織球腫、及び軟組織肉腫が挙げられる。
標的とされてもよいリンパ腫には、AIDS関連、非ホジキン、ホジキン、T細胞、T細胞 白血病/リンパ腫、アフリカ人、B細胞、B細胞単球様、ウシ悪性腫瘍、バーキット、中心細胞性、真皮リンパ腫、びまん性、びまん性、大細胞、びまん性、混合大小細胞、びまん性、小型分割細胞、濾胞性、濾胞性中心細胞、濾胞性、混合小型分割及び大細胞、濾胞性、優勢に大細胞、濾胞性、優勢に小型分割細胞、巨大濾胞、巨大濾胞性、肉芽腫性、組織球、大細胞、免疫芽球、大型分割細胞、大型分割細胞、レナート、リンパ芽球、リンパ球、中間型;リンパ球、中間的に分化した形質細胞様;不十分に分化したリンパ球、小型リンパ球、十分に分化したリンパ球、ウシのリンパ腫;MALT、マントル細胞、マントル帯、境界域、地中海リンパ腫混合リンパ腫−組織球、結節、形質細胞様、多形性、原発中枢神経系、原発性滲出液、小B細胞、小型分割細胞、小型非分割細胞、T細胞リンパ腫;回旋T細胞、皮膚T細胞、小リンパ性T細胞、未定義リンパ腫、U-細胞、未分化、AIDS関連、中枢神経系、皮膚T細胞、滲出液(体腔に基づく)、胸腺リンパ腫、及び皮膚T細胞リンパ腫が挙げられる。
標的とされてもよい白血病及び他の血液細胞悪性腫瘍には、急性リンパ芽球性、急性骨髄性、リンパ性、慢性骨髄性、ヘアリー細胞、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ性、骨髄性、白血病、ヘアリー細胞、T細胞、単球性、骨髄芽球性、顆粒球性、グロス、手鏡−細胞、好塩基球性、血球芽性、組織球性、白血球減少性、リンパ系、シリング(Schilling)の幹細胞、骨髄単球性、前リンパ性、小骨髄芽球性、巨核芽球性、巨核細胞性、リーダー(Rieder)細胞、ウシ、非白血性、肥満細胞、骨髄性、形質細胞、亜白血性、多発性骨髄腫、非リンパ性、及び慢性骨髄性の白血病が挙げられる。
標的とされてもよい脳及び中枢神経系(CNS)の癌及び腫瘍には、星状細胞腫(小脳及び脳を含む)、神経膠腫(悪性神経膠腫、膠芽細胞腫、脳幹神経膠腫、 視覚伝達路及び視床下部の神経膠腫を含む)、脳腫瘍、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、テント上原始神経外胚葉腫瘍、原発中枢神経系リンパ腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、骨髄異形成性症候群、乏突起膠腫、骨髄異形成性/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害、神経芽細胞腫、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、中枢神経系リンパ腫、内因性脳腫瘍、星状細胞脳腫瘍、及び中枢神経系における転移腫瘍細胞の浸潤が挙げられる。
標的とされてもよい消化器の癌には、肝外胆管癌、結腸癌、 結腸及び直腸癌、結腸直腸癌、胆嚢癌、胃(胃)癌、消化器カルチノイド腫瘍、消化器カルチノイド腫瘍、消化器間質腫瘍、膀胱癌、島細胞癌腫(内分泌膵臓)、膵臓癌、島細胞膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、唾液腺癌、小腸癌、結腸癌、及び結腸直腸腫瘍に関連するポリープが挙げられる。結腸直腸癌の議論はBarderasら、Cancer Research、72:2780−2790(2012)に記載されている。
標的とされてもよい骨癌には、骨肉腫及び悪性線維性組織球腫、骨髄癌、骨転移、 骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、及び骨腫及び骨肉腫が挙げられる。標的とされてもよい乳癌には小細胞癌腫及び腺管癌が挙げられる。
標的とされてもよい肺癌及び呼吸器癌には、気管支腺腫/カルチノイド、食道癌食道癌、食道癌、下咽頭癌、喉頭癌、下咽頭 癌、肺カルチノイド腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺の小細胞癌腫、中皮腫、鼻腔及び副鼻腔の癌、鼻咽頭癌、鼻咽頭癌、口腔癌、口腔及び***の癌、口腔咽頭癌;副鼻腔及び鼻腔の癌、及び胸膜肺芽腫が挙げられる。
標的とされてもよい尿路及び生殖器の癌には、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣上皮癌、性腺外胚細胞腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、脾臓、腎臓癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性潜在腫瘍、陰茎癌、腎細胞癌(癌腫を含む)、腎細胞癌、腎骨盤及び尿管(移行細胞癌)、腎骨盤及び尿管の移行細胞癌、妊娠性絨毛腫瘍、精巣癌、尿管及び腎骨盤、移行細胞癌、尿道癌、子宮内膜癌、子宮肉腫、膣癌、外陰部癌、卵巣癌腫、原発性腹膜上皮腫瘍、子宮頸癌腫、子宮癌及び卵巣卵胞における固形腫瘍)、表在性膀胱腫瘍、膀胱の浸潤性移行細胞癌腫、及び筋肉浸潤性膀胱癌が挙げられる。
標的とされてもよい皮膚癌及び黒色腫(と同様に非黒色腫)には、皮膚T細胞リンパ腫、眼内黒色腫、ヒト皮膚角化細胞の腫瘍の進行、基底細胞癌、及び有棘細胞癌が挙げられる。標的とされてもよい肝臓癌には、肝外胆管癌及び肝細胞癌が挙げられる。標的とされてもよい眼の癌には、眼内黒色腫、網膜芽腫及び眼内黒色腫が挙げられる。標的とされてもよいホルモン性の癌には副甲状腺癌、松果腺及びテント上原始神経外胚葉の腫瘍、下垂体腫瘍、胸腺腫及び胸腺癌腫、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺癌、副腎皮質の癌及びACTH産生腫瘍が挙げられる。
標的とされてもよい混合型のその他の癌には、進行癌、AIDS関連、肛門癌、副腎、皮質、再生不良性貧血、アニリン、ベタルオアブヨチーク、脳状、煙突掃除夫、土管、 コロイド、接触、嚢胞性、樹状性、同棲癌、腺管、染工、脳様、鎧状癌、子宮内膜、内皮、 上皮、腺、原位置癌、カン(kang)、カンリ(kangri)、潜在、髄質、黒色、ミュール紡績工、非小細胞肺、肉眼で発見できない癌、パラフィン、ピッチ工、瘢痕、住血吸虫症膀胱、スキルス、リンパ節、小細胞肺、軟性、すす、紡錘細胞、湿地、タール、及び管状腺癌が挙げられる。
標的とされてもよい混合型のその他の癌には、カロチノイド(消化管及び気管支)、キャッスルマン病慢性骨髄増殖性障害、腱鞘の明細胞肉腫、腫瘍のユーイング家族性、頭頚部の癌、***及び口腔の癌、ワルデンストローム型(Waldenstrom)マクログロブリン血症、 原発不明の転移性扁平上皮頸癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、ウィルムス(Wilms)腫瘍、菌状息肉腫、褐色細胞腫、セザリー症候群、テント上原始神経外胚葉腫瘍、未知の原発部位、腹膜滲出液、悪性胸膜滲出液、絨毛性腫瘍、及び血管周囲細胞腫も挙げられる。
例となる態様では、癌は、IL13Rα2が癌の細胞上に発現されている前述のうちのいずれか1つである。例となる態様では、癌は結腸癌である。例となる態様では、癌は多形性膠芽腫である。例となる態様では、それを必要とする対象にて癌を治療する方法は、癌を治療するのに有効な量での本明細書に記載されている結合剤、コンジュゲート、核酸、ベクター、宿主細胞、細胞の集団、または医薬組成物のいずれかを対象に投与することを含む。例となる態様では、方法は、本明細書に記載されているコンジュゲートを投与することを含む。例となる態様では、方法は本開示の宿主細胞を投与することを含み、宿主細胞は治療される対象に関して自家細胞である。例となる態様では、方法は本開示の宿主細胞を投与することを含み、宿主細胞は治療される対象から得られる細胞である。例となる態様では、細胞はTリンパ球である。代わりの態様では、細胞はナチュラルキラー細胞である。
本開示は、本開示の例となる実施形態を詳述している以下の実施例を参照してさらに完全に理解されるであろう。しかしながら、実施例は本開示の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
実施例1
材料
リポフェクトアミン2000及びpEF6/Myc−HisベクターはInvitrogenから入手した。IL13Rα2に対するモノクローナル抗体(クローンYY−23Z及びB−D13)及びIsoStripマウスモノクローナル抗体のアイソタイプ決定キットはSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz,CA)から購入した。IL13Rα2に対するmAb(クローン83807)及び組換えヒト及びマウスのIL13Rα2hFc及びIL13Rα1hFcのキメラはR&D Systems(Minneapolis,MN)から購入した。ビオチン化ウマ抗マウス抗体及びEliteキットはVector Laboratories(Burlingame,CA)から入手した。3,3’−ジアミノベンジジン基質はDako(Carpinteria,CA)から購入した。ペルオキシダーゼを結合したヤギ抗マウス抗体はChemicon International(Temicula,CA)から購入し、PnガーゼFはNew England Biolabs(Ipswich,MA)から購入した。QuikChange Lightning(商標)部位特異的変異誘発キットはAgilent Technologies,Inc.(Santa Clara,CA)から購入し、RNeasy Plus(商標)キットはQiagen(Valencia,CA)から受け取った。cDNA iScript(商標)キット、7.5%のTris−HClゲル、及びImmunStar(商標)WesternC(商標)発色試薬及びタンパク質マーカーはBio−Radから購入した。ヒトIL−13のELISAキットはeBioscience(San Diego,CA)から購入した。GBM12及びGBM43はDavid,C.James博士(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)によって親切に提供され、ヒト野生型IL13Rα2をコードするcDNAはWaldemar Debinski博士(Wake Forest University)から入手した。ヒト野生型IL13Rα2をコードするcDNAまたはほとんどの他のタンパク質を得ることには周知の技法及び容易に利用できる試薬の使用が関与する。
細胞株
U373(GBM)、293T(ヒトの胚性腎臓)、及びRaji(バーキットリンパ腫)の細胞株は、American Type Culture Collection (ATCC;Manassas,VA)から購入した。増強された緑色蛍光タンパク質及びホタルルシフェラーゼを発現しているU373細胞(U373.eGFP.ffLuc)、緑色蛍光タンパク質を発現している293T細胞(293T.GFP)、またはIL13Rα2とGFPを発現している293T細胞(293T.IL13Rα2.GFP)の生成は以前報告した。Chowら,Mol.Ther.21:629−637(2013);Krebsら,Cytotherapy,16:1121−1131(2014)を参照のこと。細胞株は、10%ウシ胎児血清(FCS;HyClone,Logan,UT)及び2mMのGlutaMAX−I(商標)(Invitrogen,Carlsbad,CA)を伴ったRPMIまたはDMEM(Thermo Scientific HyClone,Waltham,MA;Lonza,Basel,Switzerland)にて増殖させた。テキサス州ヒューストンのMDアンダーソン癌センターのCharacterized Cell Line Core Facilityが細胞株の検証を行った。
免疫
ネイティブのIL13Rα2に対して特異性を持つモノクローナル抗体を得るために、動物の免疫及び全てのスクリーニングアッセイにはヒト組換えIL13Rα2hFc融合体を使用した。完全フロイントアジュバント中の10μgのrhIL13Rα2hFcタンパク質の腹腔内注射によって2匹の6週齢のメスBALB/cマウスを免疫し、その後、2週間間隔で2ヵ月間、不完全フロイントアジュバント中の10μgのrhIL13Rα2hFcタンパク質の腹腔内注射を行った。最後の腹腔内注射の2週間後、且つ融合の3日前に、フロイントアジュバントなしでの10μgの抗原の静脈内注射と腹腔内注射の組み合わせによって追加免疫を行った。Kohler及びMilstein(27)によって記載された手順を用いてマウスの脾臓細胞のマウス骨髄腫細胞株X63.Ag8.653サブクローンP3O1との融合を行った。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いてIL13Rα2抗体の存在についてハイブリドーマの上清をアッセイした。選択された集団をクローニングし、上清をアッセイして最強の結合を持つクローンを特定した。
ヒトIL13Rα2を発現しているCHO細胞株の生成
ヒト野生型IL13Rα2をコードするcDNAを以下のプライマー対:順行:5’−GCTTGGTACCGAATGGCTTTCGTTTGCTTGGC−3’(配列番号17)及び逆行:5’−GTTTTTGTTCGAATGTATCACAGAAAAATTCTGG−3’(配列番号18)で増幅した。精製したPCR産物をKpnI及びBstBI酵素で制限し、アガロースゲルで精製し、MycとHis6のタグを伴った読み取りフレームにてpEF6/Myc−Hisベクターにクローニングした。CHO細胞を80%の集密度でプレートに播き、リポフェクトアミン2000を用いてIL13Rα2をコードするプラスミドで形質移入した。翌日、IL13Rα2転写物を安定して組み込み、発現した細胞を選択するために4μg/mlのブラスチシジンを加えた。1個の細胞/ウェルの密度で96穴プレートにて細胞の安定な集団をさらにサブクローニングした。10日後、IL13Rα2に対する抗体(クローンB−D13)を用いてIL13Rα2の細胞表面での発現についてフローサイトメトリーによって単一クローンをスクリーニングした。最高レベルのIL13Rα2の発現を伴ったクローンを選択し、IL13Rα2抗体を分泌しているハイブリドーマのその後のスクリーニングのために増殖させた。
ELISA
1μg/mlの濃度にてヒトまたはマウスの組換えIL13Rα2hFcまたはIL13Rα1hFcまたはヒト対照IgGの50μlで96穴プレートを4℃にて一晩被覆した。TBS−ツイーン20緩衝液による洗浄及び1%脱脂粉乳によるブロッキングに続いて、種々の濃度での精製抗体、血清またはハイブリドーマ上清50μlをプレートに適用し、室温で1時間インキュベートした。アルカリホスファターゼ基質による展開に続いてアルカリホスファターゼに結合したヤギ抗マウス抗体によって結合した抗体を検出した。UniRead800プレートリーダー(BioTek)を用いてA405にてプレートを読み取った。
フローサイトメトリー
IL13Rα2を発現しているCHOまたはHEK細胞;神経膠腫細胞株A172、N10、U251、U87、及びU118;患者に由来するGBM12及びGBM43、ならびにヒト初代星状細胞を1μg/mlでのIL13Rα2(クローン47)モノクローナル抗体とその後のヤギ抗マウスAlexa Fluor647(1:500)によって染色した。染色手順はすべて氷上で行った。BD FACSCantoフローサイトメータ及びFACSDiVa(商標)ソフトウエアを用いて試料を解析した。
実施例13〜16にて開示されている実験については、FACSCalibur機器(BD Bioscience,Mountain View,CA)を用いて、CellQuest (BD)またはFCS Expressソフトウエア(De Novo Software,Los Angeles,CA)によって解析する免疫蛍光データを取得した。アイソタイプ対照は免疫グロブリンG1−フルオレセインイソチオシアネート(IgG1−FITC;BD Bioscience)及びIgG1−フィコエリスリン(IgG1−PE;BD Bioscience)だった。SSR 47−CARの発現はIL13Rα2キメラとその後のFc−FITC(Milipore)またはFc−PE(SouthernBiotech)によってT細胞を染色することによって検出した。LSR 47−CARはFc−FITCまたはFc−PEを用いて検出した。U373細胞はCD271−PE抗体(BD Bioscience)を用いてPD−L1の発現について解析した。前方散乱と側方散乱のゲートをかけることによって生細胞と死細胞を識別した。細胞を回収し、1%FBSを含有するリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(Sigma;FACS緩衝液)で1回洗浄し、その後抗体を加えた。暗所の氷上にて細胞を30分間インキュベートし、1回洗浄し、解析に先立って0.5%パラホルムアルデヒド/FACS緩衝液で固定した。
PCR
種々の神経膠腫細胞及び星状細胞にてIL13Rα2の発現を判定するために、RNeasyPlusキットを用いて細胞沈殿物から全RNAを生成した。cDNA iScriptキットを用いて200ngの全RNAをcDNAに変換した。IL13Rα2及びGAPDHのプライマーを用いてIL13Rα2及びGAPDHについての30サイクルのPCRによってcDNAをさらに増幅し、1%アガロースゲル上で視覚化した。
表面プラスモン共鳴
IL13Rα2(クローン47)モノクローナル抗体、市販のIL13Rα2モノクローナル抗体(クローン83807及びB−D13)と標的(rhIL13Rα2)との間の親和性及び相互作用の比率を、表面プラスモン共鳴(SPR)を介してBiacore3000バイオセンサーで測定した。アミノカップリングキットを用いてモノクローナル抗体をセンサーチップ(CM5)のデキストランマトリクスに不動化した。0.2MのN−エチル−N’−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−カルボジイミド及び0.05MのN−ヒドロキシスクシンイミドを含有する溶液の注入によってセンサー表面のカルボキシル基を活性化した。1Mの塩酸エタノールアミンの注入によって不動化手順を完了し、残りのエステル基をブロックした。不動化法の工程すべては10μl/分の流速で実施した。モノクローナル抗体ではなく実行緩衝液を注入することを除いて同様に対照表面を調製した。結合反応は、HBS−P緩衝液(20mMのHEPES,pH7.4,150mMのNaCl,及び0.005%(v/v)界面活性剤P20)にて20μl/分の流速で25℃で実施した。結合相の間に標的(rhIL13Rα2)を種々の濃度で流れに加えた。センサーチップに結合したタンパク質の量は、屈折率(応答単位(RU)によって表される)の変化によってモニターした。同じ表面に対して標的の濃度の上昇に伴って一連の結合の測定を行うように機器をプログラムした。標的の各濃度で3つ組の注入を行った。BIAevaluation v4.1を用いてセンサーグラム(時間の関数として表面上のRUの変化をプロットする)を解析した。1:1の結合モデルを用いた曲線の当て嵌めによって親和性定数を推定した。
データの作成及び動態解析
不動化されたmAbに対する標的濃度の範囲の反復注入によって動態パラメータの推定を行った。データは「二重参照」の方法によって作成した。この方法は、対照デキストラン表面に対する各標的試料の並行注入と同様に不動化mAbと対照デキストラン表面の双方に対する実行緩衝液の注入を利用する。これらのセンサーグラムの差し引きによって対照を得て、これが実験センサーグラムから差し引かれた。種々の動態モデルを用いて各データセット(不動化mAbの同じレベルに対する標的の漸増濃度のセンサーグラムから成る)を解析した。次いでデータ解析にはBIAevaluation v4.1ソフトウエアを使用した。1:1の結合モデルを用いた曲線の当て嵌めによって親和性定数を推定した。センサーグラムの会合及び解離の曲線を局所的にまたは全体的に適合させた。試料注入の間での複合体形成の速度は、以下の型:dR/dt=kaC(Rmax−R)−kdR(1:1の相互作用について)の方程式によって記載され、式中、RはRUでのSPRシグナルであり、Cは検体の濃度であり、RmaxはRUでの検体の最大結合能であり、dR/dtはSPRシグナルの変化の速度である。早期結合相(300秒)を用いてmAbと標的との間での会合定数(Ka)を決定した。標的注入の終了時のフリー緩衝液の導入の際のRUの低下の速度を用いて解離相(Kd)を測定した。ソフトウエアプログラム(全体適合アルゴリズム)によってデータを同時に適合させ、複合体の解離定数(KD)はKa/Kdの比として決定した。定量的な解析については、3回の独立した反復を各試料について行った。データは平均値±S.E.として表す。
競合結合アッセイ
競合結合プレートアッセイについては、96穴プレートをpH9.6の炭酸緩衝液中の親和性精製した1μg/mlでのhrIL13Rα2hFc50μlで被覆し、4℃で一晩保存した。0.05%のツイーン20を含有するPBSで洗浄した後、IL13Rα2に対するmAb(10μg/ml)または対照mIgGを室温で30分間加えた。洗浄した後、PBSと0.1%BSAにおける10ng/mlの精製したrhIL−13を50μl加え、室温で1時間インキュベートし、ヒトIL−13ELISAキットの検出試薬を用いて結合したrhIL−13についてアッセイした。別に、野生型IL13Rα2またはIL13Rα2配列における4アミノ酸の変異(実施例10を参照)を発現しているHEK細胞を2μg/mlのrhIL−13またはmAbIL13Rα2(クローン47)によって氷上で30分間予備処理し、その後、それぞれ100ng/mlのIL13Rα2(クローン47)またはrhIL−13と共に1時間インキュベートした。IL13Rα2単独へのまたは競合相手の存在下でのIL13Rα2へのrhIL−13の結合をヒトIL−13mAbFITCによって検出した。単独でまたは競合相手の存在下でのrhIL13Rα2へのIL13Rα2(クローン47)mAbの結合はAlexa Flour649に結合した抗マウス抗体によって検出し、フローサイトメトリーによって解析した。
IL13Rαの変異誘発
以前、ヒトIL13Rα2のTyr207、Asp271、Tyr315、及びAsp318はヒトIL−13との相互作用に決定的な残基として特定された(28)。それらの残基がIL13Rα2へのIL13Rα2(クローン47)mAbの結合に重要であるのかどうかを判定するために、製造元の推奨に従ってQuikChange Lightning部位特異的変異誘発キットを用いてTyr207、Asp271、Tyr315、及びAsp318を別々にまたは同時に(4アミノ酸変異)Alaに変異させた。従来の技法を用いて、選択されたクローンの配列決定を行い、それは選択された変異の存在を裏付けた。リポフェクトアミンプラス形質移入試薬を用いて、pEF6 Myc−Hisベクターにおける野生型のまたは変異させた変異体のIL13Rα2cDNAによってHEK細胞に形質移入した。形質移入の48時間後、細胞を回収し、フローサイトメトリーによってIL13Rα2(クローン47)mAbへの結合について解析した。
ウエスタンブロット
rhIL13Rα2を200ng/レーンで7.5%Tris−HClゲル(Bio−Rad)に適用し、還元条件下で分解した。PVDF膜(Bio−Rad)にタンパク質を移し、2%脱脂粉乳でブロッキングした後、2μg/mlの抗IL13Rα2mAb(クローンYY−23Z及びB−D13)またはハイブリドーマクローンから回収した上清(10倍希釈)によって、その後、ペルオキシダーゼに結合したヤギ抗マウス抗体によって膜を染色した。ImmunStar(商標)WesternC(商標)を用いて反応を発色させた。Bio−Rad ChemiDoc画像化システムを用いて画像を捕捉した。
実施例13〜16にて開示されている実験については、PBS+3mMのEDTAによって細胞を分離し、50mMのTris、150mMのNaCl、5mMのEDTA、1%のTritonX−100(すべてSigma,St.Louis MO),及びプロテアーゼ阻害剤(Thermo Scientific,Waltham,MA)を含有する緩衝液で溶解した。タンパク質濃度は、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準としてBio−Radタンパク質アッセイ(Bio−Rad,Hercules,CA)を用いて決定した。95℃で5分間Laemmli緩衝液(Bio−Rad)にて試料を変性させた。ウェル当たり5μgのタンパク質を負荷し、10%ポリアクリルアミドゲル上で泳動した。タンパク質をニトロセルロース膜(Bio−Rad)に移した。膜をTris−緩衝化生理食塩水(TBS)+0.1%ツイーン20(Sigma)における5%粉乳(MP)でブロックし、次いで抗CD3.ζ(sc−1239,Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)またはGAPDH(sc−47724,Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)マウスモノクローナル抗体、その後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を結合したヤギ抗マウスIgG抗体(sc−2005,Santa Cruz Biotechnology,Inc.)によって探査した。ブロットを、SuperSignal West Dura Extended Duration基質(Thermo Scientific)を用いて発色させ、GeneMate Blue基本オートラジオグラフィフィルム(BioExpress,Kaysville,UT)にさらした。
免疫組織化学
シカゴ大学の施設内倫理委員会によって認可されたプロトコールに従ってGBMの組織を採取した。即時凍結した脳腫瘍組織を10μmの厚さに切断した。組織切片を−20℃のメタノールで固定し、3μg/mlの濃度でのマウスIL13Rα2(クローン47)mAbまたはアイソタイプ対照mIgG1を用いてヒトIL13Rα2について染色した。結合した抗体はビオチン化ウマ抗マウス抗体(1:100)によって検出した。抗原/抗体結合を3,3’−ジアミノベンジジン基質によるEliteキットによって検出した。CRI Panoramic Scan全スライドスキャナー及びPanoramic Viewerソフトウエアを用いてスライドを解析した。
動物試験
動物はすべて施設内動物実験委員会のプロトコールに従って、及び国立衛生研究所の指針に従って維持し、管理した。実験に使用された動物は6〜7週齢のオス無胸腺nu/nuマウスだった。ケタミン塩酸塩/キシラジン(25mg/ml/2.5mg/ml)の混合物の腹腔内注射によってマウスを麻酔した。頭蓋内腫瘍を成立させるために、正中頭蓋切開を行い、矢状縫合の後方2mm及びλの約2mm上に右側穿頭孔を設置した。動物を定位固定フレームに入れ、穿頭孔を介してHamilton針を挿入し、3mm進めた。頭蓋内侵入には、(i)200ngのmIgGまたはIL13Rα2(クローン47)mAbと組み合わせた2.5μlの無菌PBS中の2.5×104個のU251神経膠腫細胞の注射、または(ii)PBSまたは以前記載された(参照によって本明細書に組み入れられる29)ような10μgのIL13Rα2(クローン47またはB−D13)mAbを伴った神経膠腫細胞の3日後の頭蓋内注射が続いた。生存についてマウスすべてをモニターした。17日目に各群から3匹の動物を屠殺し、脳を回収し、切片作成、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色及び顕微鏡解析のために凍結した。
実施例13〜16にて開示されている動物実験はBaylor College of Medicineの施設内動物実験委員会によって認可されたプロトコールに従った。実験はわずかな改変と伴ってAhmedら,Clin.Cancer Res.16:474−485(2010)(参照によって本明細書に組み入れられる)にて記載されたように実施された。ICR−SCIDマウスはTaconic(IcrTac:ICR−Prkdcscid;Fox Chase C.B−17 SCID(商標)ICR;Taconic,Hudson,NY)から購入した。オス7〜9週齢のマウスを麻酔し、頭部を剃毛し、マウスをE15600Lab Standard Stereotaxic Instrument(Stoelting)に固定した定位固定装置であるCunningham(商標)マウス/新生児ラットアダプタ(Stoelting,Wood Dale,IL)にて不動化し、次いで1%ポビドン/ヨウ素で消毒した。正中に沿って10mmの皮膚切開を行った。Hamiltonシリンジ(Hamilton,Reno,NV)に搭載した30G1/2の針の先端は参照点として役立った。前項の1mm前で前項の右2mmの頭蓋骨に穿頭孔をドリルで開けた。右尾状核の中心に相当する前項の深さ3mmに5分間かけて2.0μlでの1×105個のU373.eGFP.ffLuc細胞を注入した。針をその場で3分間放置して腫瘍細胞の押し出しを回避し、次いで5分かけて引き抜いた。腫瘍細胞注入の7日後、同じ腫瘍の組み合わせで動物を2μlでの2×106個のエフェクター細胞で処理した。2〜3の結節7.0Ethilon縫合糸(Ethicon,Inc.,Somerville,NJ)で切開を閉じた。0.03〜0.1mg/kgのブプレノルフィン(Buprenex(登録商標)RBH,Hull,England)の皮下注射を疼痛制御のために与えた。
IL13Rα2−scFvに特異的なCARをコードするレトロウイルスベクターの生成
免疫グロブリン重鎖リーダーペプチド37と5’NcoIと3’BamHI部位が隣接するscFv47とを含有する、コドンが最適化された遺伝子をGeneArt(Invitrogen,Carlsbad,CA)によって合成した。短いまたは長いスペーサー領域(SSR,LSR)及びCD28.ζ、CD28.OX40.ζ、CD28.41BB.ζ、または41BB.ζの細胞内ドメインを伴ったIL13Rα2に特異的なCAR(47−CAR)を含有するSFGレトロウイルスベクターにこのミニ遺伝子をサブクローニングした。5、38、39のCARはすべてCD8αの膜貫通ドメインを有する47.SSR.CAR.41BB.ζを除いてCD28の膜貫通ドメインを含有した。細胞内ドメインのない47.SSR.CAR及び47.LSR.CAR(47.SSR.CAR.Δ及び47.LSR.CAR.Δ)はPCRクローニングによって生成した。CARのクローニングはすべて配列決定(Seqwright,Houston,TX)によって検証した。RD114偽型レトロウイルス粒子は、参照によって本明細書に組み入れられるJohnsonら,Sci.Transl.Med.7:275ra22(2015)にて以前記載されたような293T細胞の一時的な形質移入によって生成した。
CAR T細胞の生成
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、ヘルシンキ宣言に従ってインフォームドコンセントを得た後、Baylor College of MedicineのIRBが認可したプロトコールのもとで得られた。47−CAR T細胞を生成するために、Lymphoprep(Greiner Bio−One,Monroe,NC)勾配遠心分離によってPBMCを単離し、次いでOKT3(CRL−8001,ATCC)及びCD28(BD Bioscience,Mountain View,CA)で予備処理した非組織培養処理24穴プレートにて刺激した。組換えヒトインターロイキン−7(IL7)及びIL15(IL7,10ng/mL;IL15,5ng/mL;Proleukin;Chiron,Emeryville,CA)を2日目に培養物に加えた(参照によって本明細書に組み入れられるXuら,Blood,123:3750−3759(2014))。3日目にIL7及びIL15の存在下でRetroNectin(登録商標)(Clontech,Mountainview,CA)を被覆したプレートにてOKT3/CD28で刺激したT細胞(2.5×105個/ウェル)に形質導入した。5または6日目に、T細胞を新しいウェルに移し、続いてIL−7及びIL−15と共に増殖させた。形質導入されていない(NT)T細胞をOKT3/CD28で活性化し、IL−7及びIL−15と共に並行して増殖させた。47−CARの発現は形質導入の3〜4日後に決定した。
共培養アッセイ
組換えタンパク質共培養アッセイ
非組織培養24穴プレートを500ng/ウェルの最終濃度での組換えヒトIL13Rα1、IL13Rα2またはIL4Rタンパク質(R&D Systems,Minneapolis,MN)で予備被覆した。RPMIを用いてプレートを1回洗浄し、CAR T細胞またはNT T細胞を入れた。24時間後、上清を回収し、製造元の指示書(R&D Systems,Minneapolis,MN)に従ったELISAによってインターフェロンγ(IFNγ)及びインターロイキン2(IL2)の放出を測定した。
細胞培養共培養アッセイ
24穴プレートにて1:2のエフェクター対標的(E:T)比にてCAR T細胞を標的細胞と共培養した。NT T細胞は対照として役立った。24時間後、培養上清を回収し、製造元の指示書(R&D Systems,Minneapolis,MN)に従ったELISAによってIFNγ及びIL2の存在を測定した。
細胞傷害性アッセイ
参照によって本明細書に組み入れられるGottschalkら,Blood,101:1905−1912(2003)に記載されたように標準のクロム(51Cr)放出アッセイを行った。手短には、1×106個の標的細胞を0.1mCi(3.7MBq)の51Crで標識し、40:1、20:1、10:1、及び5:1のエフェクター対標的の比を生じるように漸減数のエフェクター細胞と混合した。完全培地のみまたは1%のTritonX−100にてインキュベートした標的細胞を用いてそれぞれ自然発生的な及び最大の51Crの放出を決定した。4時間後、上清を回収し、ガンマカウンタ(Cobra Quantum;PerkinElmer;Wellesley;MA)にて放射活性を測定した。以下の式[試験放出−自然放出]/[最大放出−自然放出]×100に従って3つ組ウェルの特異的溶解の平均比率を算出した。
生物発光画像法
マウス当たり150mg/kgのD−ルシフェリン(Xenogen)を腹腔内注射した10〜15分後、イソフルオランで麻酔したマウスをIVIS(登録商標)システム(IVIS,Xenogen Corp.,Alameda,CA)を用いて画像化した。Living Imageソフトウエア(Caliper Life Sciences,Hopkinton,MA)を用いて、ルシフェラーゼを発現している腫瘍細胞から放出される光子を定量した。疑似カラー画像表現光強度(青色最小強度及び赤色最大強度)を生成し、グレースケール参照画像に重ね合わせた。2つの場合で腫瘍の輝度が1×109を超えたとき、またはそれらがCenter for Comparative Medicine at Baylor College of Medicineに従った安楽死基準(神経的な欠損、体重低下、疲労困憊の兆候)を満たすとき、マウスを安楽死させた。
統計
群間の差異は事後比較Tukey検定またはDunnettの検定を伴ったStudentのt検定または一元配置分散分析によって評価した。生体内での生存データについては、Kaplan−Meier生存解析を用い、統計的解析は対数順位検定を用いて行った。P<0.05を統計的に有意と見なした。
実施例13〜16にて開示されている実験については、試験管内の実験は少なくとも3つ組で行い、GraphPad Prism5ソフトウエア(GraphPad software,Inc.,La Jolla,CA)を統計的解析に使用した。測定データは平均値±標準偏差(SD)として提示した。平均値間の差異は適当な検定によって調べた。用いた有意性レベルはP<0.05だった。マウスの実験については、各時点での腫瘍輝度のベースラインからの変化を算出し、t検定を用いて群間で比較した。腫瘍細胞の注射の時間から判定された生存はKaplan−Meier法によって及び対数順位検定によって解析した。
実施例2
抗原の性状分析及び抗IL13Rα2抗体を分泌するハイブリドーマクローンのスクリーニング
この試験の主要な目標は、腫瘍細胞の表面に発現されているIL13Rα2の標的化に好適な高親和性のモノクローナル抗体を生成することだった。従って、我々は、マウスを免疫し、そのネイティブな立体構造での抗原であるrhIL13Rα2に対する反応性について得られたハイブリドーマクローンをスクリーニングした。rhIL13Rα2の検出のために、rhIL13Rα2に対するハイブリドーマクローンYY−23Zを利用するプレート結合型ELISAを確立した。1μg/mlでプラスチックに吸着するrhIL13Rα2の濃度は抗体結合の検出に好適であることが見いだされた(図1A)。次に、IL13Rα2のネイティブ形態(細胞表面で見いだされる)のみを認識する及びIL13Rα2の変性形態(還元条件下でウエスタンブロットを用いて)を認識する市販の抗体のペアを利用することによるその「ネイティブ性」について、及びそれぞれ抗体クローンB−D13及びYY−23ZによるELISAにおけるrhIL13Rα2に対する結合特性について、rhIL13Rα2hFcを性状分析した。プレート結合型ELISAにて双方のクローンB−D13及びYY−23ZはrhIL13Rα2hFcを認識することができた(図1B)。β−メルカプトエタノールの存在下で95℃にて5分間の抗原の変性は抗体クローンB−D13のELISAによって抗原を認識する能力を完全に消失させたのに対して、YY−23Zクローンは変性した抗原を結合する能力を保持した。従って、rhIL13Rα2hFcはタンパク質のネイティブ形態及び変性形態双方を含有するELISAプレートのプラスチックに吸着した。rhIL13Rα2とhFcの融合体で免疫した動物に由来する血清の分析は、rhIL13Rα2とヒトFc断片の双方に対する抗体の存在を明らかにした。融合体のIL13Rα2部分について特異的な抗体を選択するために、ハイブリドーマ集団のスクリーニングに追加の陰性対照としてヒトIgGを含めた。39のスクリーニングした一次集団のうち、15集団だけがIL13Rα2に特異的であり、4つがヒトIgGと反応性だった。最終的に、ネイティブのIL13Rα2と強く反応する5つのクローンをさらに増殖させ、再クローニングした。rhIL13Rα2hFcキメラによる別の免疫セットから変性抗原のみを認識する2つのクローンを選択した。プレート結合型ELISAにて(図1C)及びウエスタンブロットによって(図1D)hrIL13Rα2を結合する能力について選択したクローンの上清を比較した。図1Cはクローン47がプレート結合型ELISAにて抗原に強く結合するが、ウエスタンブロットによっては結合しないことを示すということは、抗原のネイティブな立体構造を認識するクローン47の能力を示している。従って、さらなる性状分析及びさらなる実験のためにクローン47を選択した。クローン47はκ鎖を持つIgG1アイソタイプのものであることが見いだされた。
実施例3
組換えヒトIL13Rα2及び細胞表面で発現されたIL13Rα2に対するIL13Rα2(クローン47)mAbについての結合の特異性
我々は、プレート結合型ELISAにて市販のクローン83807及びB−D13と対比したrhIL13Rα2へのIL13Rα2(クローン47)mAbの結合特性を検討した。図2Aはクローン83807及びB−D13と比べた場合のrhIL13Rα2へのクローン47の強い且つ特異的な結合を示している。クローン47は0.05μg/mlの低濃度で結合のプラトーに達した。これらの実験で追加の陰性対照として利用されたヒトIgGへの結合を示した抗体はなかった。クローン47のヒトIL13Rα2との相互作用の特異性をさらに検証するために、完全サイズの野生型ヒトIL13Rα2を発現しているCHO細胞のクローン株(クローン6)を生成した。空ベクターで形質移入した対照CHO細胞への抗体の結合をIL13Rα2を発現しているCHO細胞のそれと比較した。再び、IL13Rα2(クローン47)mAbは細胞表面に発現されたIL13Rα2に対する強い且つ特異的な結合を明らかにしたが、対照CHO細胞に対してはそうではないということは、この抗体がIL13Rα2のネイティブな立体構造を特異的に認識することを示している(図2B)。クローン47は、0.25μg/mlの調べた最低濃度でIL13Rα2に対する最強の親和性を明らかにした。特に、他の選択されたハイブリドーマクローンはCHO細胞の細胞表面で発現されたIL13Rα2との相互作用の同様の特異性を明らかにしたが、対照CHO細胞ではそうではなかった。プレート結合型ELISAにて得られたデータはまた、クローン47がIL−13に対する低親和性受容体、IL13Rα1(図2C)またはマウス組換えIL13Rα2と相互作用しないことも示したということは、さらにクローン47とIL13Rα2との間での相互作用の特異性を検証している(図2D)。クローン83807及びB−D13は、これらの抗体のマウスIL13Rα2との交差反応の現在の理解に一致してマウスrIL13Rα2への結合を示さなかった。
我々は次に、種々の神経膠腫細胞、患者由来の神経膠腫株GBM12及びGBM43及び正常なヒト星状細胞とのクローン47の結合能を特徴付けた。正常な脳組織に比べてIL13Rα2遺伝子の上昇した発現は、ヒトGBM摘出検体の44〜47%で(3)及びGBM及び正常脳外植片に由来する初代細胞培養物の82%(17のうち14)まで(2)で報告されている。図3A及びBは、細胞表面上で組換えヒトIL13Rα2を発現している神経膠腫細胞、ヒト星状細胞及びHEK細胞のIL13Rα2(クローン47、83807及びB−D13)mAbによる競合染色のフローチャートを示す。図3A及びBは、(i)細胞表面上でのIL13Rα2発現の種々のレベル、及び(ii)クローンB−D13(細胞株間での1.2〜4.6倍の差異)及び83807と対比した解析される細胞株の表面へのクローン47の優れた結合を示す。興味深いことに我々は、IL13Rα2を発現しているHEK細胞とは対照的に、神経膠腫細胞へのクローン83807の結合のほぼ完全な非存在を観察した。正常なヒト星状細胞とのクローン47の結合が検出されなかったということは、IL13Rα2を発現しているヒト神経膠腫細胞とのクローン47の相互作用の特異性を裏付けている。これらの細胞におけるIL13Rα2mRNAの発現は一般に細胞表面におけるIL13Rα2の発現のレベルと相関する。さらに、U118及び初代ヒト星状細胞を含むIL13Rα2についてのmRNAの発現が低いまたは発現がない細胞は細胞表面上でのIL13Rα2の低発現または発現がないことを明示した(図3B)。追加の実験では、N10神経膠腫細胞を、1μg/mlのIL13Rα2(クローン47)mAbまたは10倍過剰のrhIL13Rα2と予備インキュベートしたIL13Rα2(クローン47)mAbのいずれかと共にインキュベートし、フローサイトメトリーによって解析した。クローン47のみと比較すると、10倍過剰のrhIL13Rα2の存在下でのIL13Rα2(クローン47)mAbとの間の相互作用の有意な消失が見いだされた。同様に、10倍過剰のrhIL−13またはIL13Rα2(クローン47)mAbのいずれかとのN10細胞の予備インキュベートは抗体またはrhIL−13とN10細胞との相互作用をほぼ完全に遮断した(補完の図1B)ということは、神経膠腫細胞の表面上に発現されたIL13Rα2とクローン47との間での認識の特異性を示している(図10)。
IL13Rα2(クローン47)mAbが原位置での神経膠腫細胞の表面上のIL13Rα2を結合する能力を持つことを検証するために、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現しているU251細胞の頭蓋内神経膠腫異種移植をヌードマウスで確立した。3週間後、動物を屠殺し、細胞を得て、試験管内の培養状態に置いた。48時間後、細胞を回収し、対照mIgGまたはIL13Rα2(クローン47)mAbで染色した。培養したGFP発現U251細胞は陽性対照として役立った。GFP陽性U251細胞は総細胞の約56%を表し(図3C、パネルa)、細胞の96%がIL13Rα2(クローン47)mAbと反応性だった(図3C、パネルc)のに対してGFP陰性細胞は抗体と相互作用しなかった(図3C、パネルb)。これらのデータはさらに、IL13Rα2(クローン47)mAbはマウスの異種移植にてIL13Rα2を発現している神経膠腫細胞を特異的に認識し、マウスの脳の他の細胞とは反応性ではないことを裏付けている。
実施例4
親和性試験
表面プラスモン共鳴を用いてIL13Rα2(クローン47)mAbとrhIL13Rα2との間の親和性及び相互作用の速度を測定した。測定はすべてIL13Rα2に対する2つの市販の抗体であるクローン83807及びB−D13との比較で行った。図4は各抗体についてのセンサーグラムを示す。測定を表1にて要約する。
表1
ヒト組換えIL13Rα2に対するモノクローナル抗体の結合の動態
動態パラメータの推定は実施例1で記載されたように行った。複合体の解離定数(KD)はKa/Kdの比として判定した。定量的解析については、3つの独立した反復を各試料について行った。データは平均値±S.E.として表す。これらのデータは、組換えIL13Rα2に対するIL13Rα2(クローン47)mAbの親和性が市販のmAbクローン83807及びB−D13の親和性をそれぞれ75倍及び33倍上回ることを明らかにしている。
図4Aは、クローン47が30分間の時間枠にわたって測定したrhIL13Rα2との長い且つ安定した会合を明示することを示しているのに対して、クローン83807(図4B)及びB−D13(図4C)は相対的に迅速に解離することを示している。rhIL13Rα2に対するIL13Rα2(クローン47)mAbの結合の親和性は1.39×10−9Mと算出された。この値は、市販の抗体クローン83807及びB−D13のrhIL13Rα2に対する親和性それぞれ75倍及び33倍上回った。それぞれクローン83807及びB−D13の250RU及び8〜16RUと比べると、クローン47は390RUでのrhIL13Rα2に対する最高の結合親和性(Rmax)を明示した。これらのデータは、IL13Rα2(クローン47)mAbがクローン83807及びB−D13よりも優れた特性を持つと共にrhIL13Rα2に向けた最高の親和性を実証することを示している。
実施例5
IL13Rα2への結合についてモノクローナル抗体はrhIL−13と競合する
IL13Rα2(クローン47)mAbが阻害特性を持つかどうかを判定するために、rhIL13Rα2hFcキメラとヒトIL13Rα2を一時的に発現しているHEK細胞とを利用する競合結合アッセイを行った。プレート結合型ELISA形式にて競合結合アッセイを設定した。プレートに吸着させたrhIL13Rα2hFcは標的抗原として役立った。rhIL13Rα2へのIL−13の結合をIL13Rα2mAbが特異的に阻害するかどうかを判定するために、プレートを100倍過剰のmIgG、IL13Rα2(クローン47)mAb、または83807、YY−23Z及びB−D13を含む他のIL13Rα2mAbクローンと共に予備インキュベートし、その後、rhIL13と共にインキュベートした。図5AはIL13Rα2(クローン47)mAbがrhIL13Rα2へのrhIL−13の結合を有意に消失させたのに対してIL13Rα2mAbクローンであるB−D13及び83807はヒトIL−13の結合について有意に少ない競合を示したことを示している。
IL13Rα2(クローン47)mAbの阻害特性をさらに検証するために、IL13Rα2cDNAの野生型またはTyr207、Asp271、Tyr315及びAsp318残基がAlaで置換された4アミノ酸変異体形態をコードする作用物質によってHEK293T細胞に形質移入した。以前、ヒトIL13Rα2のこれらの残基は同族リガンドであるIL−13との相互作用に必要とされるアミノ酸として特定された。1つの分子における4つの変異すべての存在は、IL13Rα2(28)の変異形態へのIL−13の結合のほぼ完全な喪失を生じることが示されている。48時間後、細胞を20倍過剰のrhIL−13またはIL13Rα2(クローン47)mAbによって予備処理し、その後、それぞれIL13Rα2(クローン47)mAbまたはrhIL−13とインキュベートした。図5Bは、野生型(WT)IL13Rα2に対する20倍過剰のrhIL−13によるIL13Rα2(クローン47)mAbの約50%の結合阻害を示しているが、IL13Rα2の4アミノ酸変異形態に対してはそうではなかった。20倍過剰の抗体は細胞表面で発現されたときのIL13Rα2へのrhIL−13の結合を80%消失させたが、それはプレートELISAで観察された結果に類似する。IL13Rα2の4アミノ酸変異形態へのIL−13の残りの結合は過剰なIL13Rα2(クローン47)mAbによってさらに低下した(図5C)。まとめて、これらのデータは、IL13Rα2(クローン47)mAbがIL13Rα2上の結合部位についてrhIL−13と特異的に競合することを示している。また、これらのデータはIL13Rα2(クローン47)mAb及びIL−13はIL13Rα2分子の認識部位にて有意な重複を有することも示している。
実施例6
IL13Rα2(クローン47)mAbの結合についてのTyr207、Asp271、Tyr315及びAsp318残基の役割
IL−13及びIL13Rα2(クローン47)モノクローナル抗体がIL13Rα2の結合について互いに有意に競合することができることを考慮に入れて、我々は、IL−13のIL13Rα2との相互作用に寄与する残基Tyr207、Asp271、Tyr315及びAsp318の残基(28)がIL13Rα2(クローン47)mAbのIL13Rα2への結合にも重要であるかどうかを判定した。Tyr207、Asp271、Tyr315またはAsp318の残基のAlaへの個々の変異または1分子における4変異すべての組み合わせを運ぶIL13Rα2についてのcDNAをコードするプラスミドを生成し、HEK細胞にて一時的に発現させた。IL13Rα2(クローン47)mAbの野生型IL13Rα2及び変異体形態IL13Rα2への結合をフローサイトメトリーによって解析した。IL13Rα2mAbである83807及びB−D13を用いて、HEK細胞上のIL13Rα2の野生型または変異した変異体の発現のレベルの変動の考えられる影響を排除した(図6A)。データは、双方の抗体クローン83807及びB−D13と比べたときのIL13Rα2へのIL13Rα2(クローン47)の結合の比として算出した。図6Aは、IL13Rα2(クローン47)mAbの結合が、野生型受容体と比較したとき、IL13Rα2の個々の変異または4アミノ酸変異体形態のいずれかによって有意に影響を受けなかったことを実証している。対照的に、IL13Rα2の4アミノ酸変異体形態へのIL−13の結合はほぼ消失した(図6B)。これらのデータは、Tyr207、Asp271、Tyr315またはAsp318の残基はIL13Rα2(クローン47)mAbのIL13Rα2との相互作用には決定的ではないが、IL−13への結合には必要であることを示している。
実施例7
N結合型グリコシル化はIL13Rα2に対するIL13Rα2mAbの親和性に影響を与える
N結合型グリコシル化は以前、IL−13の同族受容体であるIL13Rα2への効率的な結合に重要であることが明示されている(30)。IL13Rα2(クローン47)mAbとIL−13との間のエピトープ認識における有意な重複を考慮に入れて、我々はIL13Rα2のN結合型グリコシル化がIL13Rα2(クローン47)mAbの結合に寄与すると予想した。この予想を裏付けるために、rhIL13Rα2hFcをPnガーゼFで処理してタンパク質からN結合型グリコシル化を取り除いた。対照標的タンパク質及び脱グリコシル化標的タンパク質へのIL13Rα2(クローン47)mAbの結合を調べた。ネイティブ条件下(SDSの非存在下)でrhIL13Rα2のPnガーゼFによる処理を行って抗体の結合に影響を与えるrhIL13Rα2の変性を回避した。IL13Rα2に対する追加の抗体(クローン83807、B−D13及びYY23Z)及びrhIL−13をアッセイに含めて結合の特異性を実証した。プレート結合型ELISAでは、PnガーゼFで処理したIL13Rα2へのIL13Rα2(クローン47)mAbの結合は未処理のタンパク質に比べると35%低下した(n=4;p<0.001)。IL13Rα2(クローン83807)の結合は未処理のタンパク質に比べると80%低下し、IL13Rα2mAbであるB−D13及びYY−23Zについてはそれぞれ完全に存在しなかった(n=4;p<0.001)(図7A)。PnガーゼFで処理したrhIL13Rα2へのrhIL−13の結合も有意に低下した。PnガーゼF処理がタンパク質の脱グリコシル化を生じたことを検証するために、対照及びPnガーゼF処理したrhIL13Rα2hFcタンパク質をウエスタンブロットによって分解した。図7BはPnガーゼF処理したタンパク質が低分子量を有することを示すということは、IL13Rα2分子からのN結合したグリカンの取り外しを裏付けている。野生型IL13Rα2を発現しているPnガーゼF処理したU251神経膠腫細胞及びHEK293細胞へのIL13Rα2(クローン47)mAbの結合も対照の未処理の細胞に比べると約30%低下した(n=3;p<0.05)(図7C)。
実施例8
免疫組織化学
IL13Rα2を検出するIL13Rα2(クローン47)mAbの能力を新鮮な凍結組織で評価した。即時凍結したヒトGBM試料またはU251神経膠腫脇腹異種移植片をアイソタイプ対照mIgG1またはIL13Rα2(クローン47)mAbで染色した。図8は、試料と同様にU251神経膠腫細胞に基づく神経膠腫異種移植片における陽性細胞の頻度は様々であるにもかかわらず、2つのヒトGBM試料における陽性(茶色)の染色を示す。陽性染色は分析した3つのGBM試料のうち2つで検出されたが、それは初代GBMの50%未満がIL13Rα2を発現しているという予想(3)に一致する。これらのデータはまた、細胞表面で発現された及びELISA適用におけるIL13Rα2のネイティブ形態を認識するこの抗体の能力、と同様にこのmAbのウエスタンブロットによって変性抗原を検出する危うい能力にも一致する。
実施例9
IL13Rα2モノクローナル抗体は頭蓋内神経膠腫異種移植の動物の生存を延長する
IL13Rα2(クローン47)mAbの潜在的な治療特性もヒト神経膠腫の同所性マウスモデルで判定した。U251神経膠腫細胞をヌードマウスの脳にて単独で、または対照のmIgGもしくはIL13Rα2(クローン47)mAbの存在下で頭蓋内に注射した。図9Aは、対照PBS(n=15)群及びmIgG(n=16)群における動物がそれぞれ27日及び25日の類似の生存期間中央値を明示したことを示している。対照的に、IL13Rα2(クローン47)mAbを同時注射した動物(n=13)の生存は34日の中央値に有意に増加した(P=0.0001;mIgG対IL13Rα2mAb群)。17日目に採取した脳に由来する神経膠腫異種移植片のH&E染色の解析は、対照群の脳における神経膠腫細胞分布の類似のパターンを示した。対照的に、IL13Rα2mAbを同時注射した動物の群における腫瘍塊はサイズが有意に低下した(図9B)。無関係に、以前記載されたように(29)、U251細胞をマウスの脳に播種し、3日後、同じ穿頭孔を介してPBSまたはIL13Rα2(クローン47またはB−D13)mAbを注射した。興味深いことに、クローン47を注射したマウスは、同時注射実験で見いだされたものに類似して(図9A)、PBS群及びクローンB−D13群に比較すると、生存期間中央値での改善を示した(それぞれ27日及び23日に対して35日;n=7、p<0.05)(図11)。にもかかわらず、動物はすべて最終的に病気に屈服した。これらのデータは、IL13Rα2(クローン47)mAbがマウスの脳にてIL13Rα2を発現しているU251神経膠腫細胞の腫瘍拒絶を促進することにおいて保証を示すことを示している。この知見は、IL13Rα2(クローン47)mAbのIL13Rα2結合ドメインを組み込んでいる抗体剤はIL13Rα2の提示を特徴とする種々のヒト癌及び非ヒト癌、たとえば、IL13Rα2を発現している神経膠腫細胞及び他の悪性細胞型を治療するのに有効であるだろうという予想をもたらす。
参考文献−実施例1〜9のために及び特に特定されない限り出願全体にわたる引用のために
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実施例10
IL13Rα2を発現している脳腫瘍の選択的な標的化のための単鎖抗体
IL13Rα2は、高悪性度の星状細胞腫の大半及び他の悪性腫瘍で過剰発現され、種々の前臨床モデルにて治療応用のための標的として立証されている。しかしながら、現在のIL−13系の治療剤は、正常または健常な細胞で広く発現されているIL13Ra1受容体との相互作用にために特異性を欠いている。IL13Rα2に厳密に結合する標的化剤の生成は、IL13Rα2を発現している癌の治療のための治療潜在力を有意に拡大することになる。最近、モノクローナル抗体47(mAb47)が開発され、広範に性状分析されている。mAb47はヒトIL13Rα2のネイティブ形態に専ら結合する。mAb47を用いて、親ハイブリドーマ細胞株によって発現されるmAb47から単鎖抗体断片(scFv)を操作した。可溶性作用剤としてのその標的化特性について単鎖抗体(scFv)を調べ、標的化モチーフとしてscFv47を組み込む修飾されたファイバーを持つアデノウイルス(Ad)を作用剤とした。
mAb47を産生する確立されたハイブリドーマ細胞から可変の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の機能的な組み合わせを選択するためにファージディスプレイ法を利用した。scFv47を提示する精製ファージを、IL13Rα2hFc組換えタンパク質、すなわち、IL13Rα2と抗体のFc領域との融合体との相互作用について調べた。競合ELISAを利用して親mAb47及びscFv47断片が同じエピトープに結合することを検証した。大腸菌及びCHO細胞で発現されたscFv47の可溶性形態をSDS−PAGEによって分析し、安定性及び標的化特性について調べた。IL13Rα2に特異的なAdを生成するために、緑色蛍光タンパク質をコードする複製欠損のAd5のファイバーをそのC末端でscFv47に連結されるT4フィブリチン三量体化ドメインで構成されるキメラファイバー遺伝子で置き換えた(AdFFscFv47−CMV−GFP)。ウイルス粒子を生成するために、アデノウイルスゲノムをコードする作用剤をHEK293F28細胞にて救済し、増殖させ、精製した。それぞれ、対照またはIL13Rα2に特異的なshRNAのいずれかによる安定的な形質移入を介してIL13Rα2+及びIL13Rα2−のU251細胞(U251−IL13Rα2.KO)を樹立した。これらのU251細胞株及びIL13Rα2を発現しているU87細胞にて標的化特性についてAdFFscFv47−CMV−GFPウイルスを調べた。
ファージのバイオパンニング選択プールと同様に幾つかの個々のクローンはプレートELISAにてIL13Rα2hFcタンパク質への特異的な結合を明示したが、hIgGへの結合は明示しなかった。scFv47を提示するファージのIL13Rα2への結合はmAb47によって完全に消失したが、対照IgGまたは他の調べたIL13Rα2mAbによって消失しなかったので、親mAb47によって認識されるのと同じIL13Rα2エピトープがscFv47によって認識されたことを裏付けている。ファージが提示するscFv47と同様に、可溶性scFv47はIL13Rα2への特異的な結合を示したが、IL13Rα1への特異的な結合は示さなかった。Ad5FFscFv47−CMV−GFPの相互作用も、U251−IL13Rα2.KO細胞に対比したU251−IL13Rα2+細胞におけるGFPの発現についてのフローサイトメトリーによって判断されたように、IL13Rα2を発現しているU251細胞に特異的だった。さらに、Ad5FFscFv47−CMV−GFPを感染させた細胞におけるGFPの発現はIL13Rα2の表面発現のレベルに強く相関した。ウイルス感染の特異性はU251神経膠腫モデルにてさらに立証された。
データは、たとえば、神経膠腫、結腸癌(実施例12を参照)及びその他のようなIL13Rα2を発現している癌を診断し、治療するのに有用な可溶性の単鎖生物剤を提供する高度に選択性のIL13Rα2標的化剤としてのscFv47の正当性を立証している。
実施例11
IL13Rα2−CARの生成
IL13Rα2に特異的なT細胞を生成するために、先ず、IL13Rα2に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を構築した。免疫グロブリン重鎖のリーダーペプチドと、リンカーによって分離されたIL13Rα2に特異的な単鎖可変断片(scFv)の重鎖及び軽鎖とを含有するコドンを最適化したミニ遺伝子を合成した(scFvはハイブリドーマ47、Balyasnikovaら.J.Biol.Chem.2012;287(36):30215−30277に由来した)。ヒトのIgG1−CH2CH3ドメインとCD28の膜貫通ドメインとCD28及びCD3ζ鎖に由来する共刺激ドメインとを含有するSFGレトロウイルスベクターにミニ遺伝子をサブクローニングした。CD3/CD28で活性化したヒトT細胞にRD114偽型レトロウイルス粒子を形質導入し、その後、IL2を用いて増殖させた。機能的解析は、IL13Rα2に特異的なCARを発現しているT細胞(IL13Rα2−CAR T細胞)が、サイトカイン産生(IFNγ及びIL2;図19及び20)によって判断されたように組換えIL13Rα2タンパク質を認識し、細胞傷害性アッセイ(図18)にてIL13Rα2陽性細胞を殺傷することを明らかにした。非形質導入(NT)T細胞はサイトカインを産生せず、且つ細胞溶解活性を有さなかった。
実施例12
IL13Rα2陽性小児神経膠腫にT細胞を向け直すこと
IL13Rα2は多形性膠芽腫にて異常に発現されるので、CAR T細胞免疫療法にとって有望な標的である。CARの抗原認識ドメインは普通単鎖可変断片(scFv)から成るが、現在のIL13Rα2に特異的なCARは抗原認識ドメインとしてIL13突然変異タンパク質を使用する。しかしながら、IL13突然変異タンパク質に基づくCARはIL13Rα1も認識することが示されており、有意な安全性の懸念を生じる。この障害を克服するために、高親和性のIL13Rα2に特異的なscFvを作用剤として扱っている。このscFvはscFv−に基づくIL13Rα2−に特異的なCAR(IL13Rα2−CAR)を開発するのに使用され、それはT細胞で発現させると、細胞傷害性のエフェクター機能を有するIL13Rα2−CAR T細胞を提供するであろう。
小児における最も悪性で、一様に致死性な原発脳腫瘍であるびまん性内在性橋膠腫(DIPG)及び膠芽細胞腫(GBM)のための有効な免疫療法に抗原特異的なT細胞を組み込んだ。IL13Rα2はDIPG及びGBMの双方にて高頻度で発現されるが、正常な脳では発現されないので、それは、scFvに基づく治療法、scFv−CAR T細胞に基づく治療法、及びBiTEやscFV−CAR NKのようなエフェクター機能を提供する他の枠組みへのscFvの融合を含むT細胞免疫療法のための有望な標的となる。CAR結合ドメインとしてIL13の変異させた形態を用いてIL13に結合するCARを生成しているが、これらのCARもIL13Rα1を認識し、有意な毒性の懸念を生じている。
この限界を克服するために、IL13Rα1を認識しない高親和性のIL13Rα2に特異的なscFvを生成した。細胞外ドメインとしてのIL13Rα2に特異的なscFvと、短いヒンジ(SH)または長いヒンジ(LH)とCD28の膜貫通ドメインとCD3ζに由来するシグナル伝達ドメイン及び共刺激分子(たとえば、CD28.ζ、CD137.ζ、CD28.CD137.ζ、CD28.CD134.ζ)を含有する細胞内ドメインとを含有するIL13Rα2−CARのパネルを作用剤として扱った。レトロウイルスの形質導入によってIL13Rα2−CAR T細胞を生成し、共培養アッセイ及び細胞傷害性アッセイを用いて試験管内で、ならびにU373脳異種移植モデルを用いて生体内で(図21)エフェクター機能を測定した。
T細胞におけるCARすべての発現はウエスタンブロット解析によって判断されたように類似していた。しかしながら、CARの細胞表面での発現は作用剤のヒンジ及び細胞内ドメインに応じて変化した。細胞傷害性アッセイでは、種々のIL13Rα2−CAR T細胞はIL13Rα2を発現している標的細胞のみを殺傷し、IL13Rα1を発現している細胞を殺傷しなかったということは、特異性を裏付けている(図18)。IL13Rα2−CAR T細胞はすべてIL13Rα+神経膠腫細胞株U373との共培養アッセイにて有意なレベルのIFNγを分泌した(図19)一方で、短いヒンジのCAR T細胞のみが有意な量のIL2を分泌した(図20)。細胞内ドメインを欠失したIL13Rα2−CAR(IL13RαΔ−CAR)を発現しているT細胞がサイトカインを分泌しなかったということは、サイトカインの産生が機能的なIL13Rα2−CARに存在に左右されることを裏付けている。生体内では、U373担癌マウスへのIL13Rα2.SH.CD28.ζ−CAR T細胞の注入は生物発光画像法によって判断されたように神経膠腫異種移植片の退行を生じた(図21)。IL13Rα2.LH.CD28.ζ−CAR T細胞またはIL13Rα2.Δ−CAR T細胞は抗腫瘍効果を有さなかった。データは、IL13Rα2を認識するのみであってIL13Rα1を認識しないCARが生成されたこと、及びCARはIL13Rα2を発現している腫瘍細胞を優先的に標的とすることを立証している。幾つかのIL13Rα2−CARの比較は、SHとCD28.ζ細胞内ドメインを持つCARが、IL2の産生及び生体内の抗神経膠腫活性によって判断されたように、有意なT細胞の活性化を生じた。結果は、小児における原発ヒト脳腫瘍、たとえば、高悪性度神経膠腫の養子免疫療法が実現可能で且つ有望であることを示している。
実施例13
47−CAR T細胞の生成
scFv47に基づくCAR(47−CAR;図31A)24,25をコードする2つのレトロウイルスベクターを先ず生成した。双方のCARは、N末端リーダー配列と、scFv47をコードするコドン最適化の合成遺伝子と、スペーサー領域と、CD28の膜貫通ドメインと、CD28及びCD3.ζに由来するシグナル伝達ドメインとを含有した。スペーサー領域は、IgG1ヒンジ(16アミノ酸;短いスペーサー領域(SSR);47−CAR.SSR.CD28.ζ)またはIgG1−CH2CH3ドメイン(293アミノ酸;長いスペーサー領域(LSR);47−CAR.LSR.CD28.ζ)のいずれかだった。対照として、シグナル伝達ドメインを持たないLSR及びSSRのCARを構築した(47−CAR.SSR.Δ、47−CAR.LSR.Δ;図31A)。健常ドナーに由来するCD3/CD28で活性化したT細胞にRD114偽型レトロウイルス粒子で形質導入し、形質導入の4〜5日後、T細胞の表現型及びCARの発現をFACS解析によって測定した。CARは細胞表面で発現され、形質導入効率は69.2%〜98.5%に及んだが、構築物間に有意差はなかった(図31B、C)。完全長の47−CAR.SSR.CD28.ζ及び47−CAR.LSR.CD28.ζの発現は検出用のCD3.ζ抗体を用いたウエスタンブロットによって確認した(図31D)。表現型の解析はCD4陽性及びCD8陽性のT細胞の混合物を明らかにした。CD8陽性T細胞のCD4陽性T細胞に対する比は、47−CAR.SSR.CD28.ζ、47−CAR.SSR.Δ及び47−CAR.LSR.ΔのT細胞株については約3:1だった一方で、47−CAR.LSR.CD28.ζについてはそれは約1.5:1だった(図2)。
実施例14
47−CAR T細胞はIL13Rα2を認識するのみである
47−CARの特異性を先ず判定するために、被覆していないまたはIL13Rα1、IL13Rα2もしくはIL4Rをコードする組換えタンパク質で被覆した組織培養プレートにて47−CAR.SSR.CD28.ζ、47−CAR.LSR.CD28.ζ、M47−CAR.SSR.ΔまたはM47−CAR.LSR.Δを発現しているT細胞を培養した。非形質導入(NT)T細胞及びIL13Rα1及びIL13Rα2を認識するIL13突然変異タンパク質−CAR.LSR.CD28.ζ10を発現しているT細胞が対照として役立った。IL13Rα1−またはIL4R−で刺激したT細胞と比較して組換えIL13Rα2タンパク質で刺激した場合、47−CAR.SSR.CD28.ζまたは47−CAR.LSR.CD28.ζを発現しているT細胞は有意なレベルのIFNγを産生した(p<0.001)(図33A)。対照的に、47−CAR.SSR.Δまたは47−CAR.LSR.Δを発現しているT細胞は3つのタンパク質すべてに応答してIFNγを産生しなかったということは、IFNγの産生がインタクトな47−CARのシグナル伝達ドメインに左右されること示している。47−CAR.LSR.CD28.ζ T細胞も活性化なしで低レベルのIFNγを産生したということはベースラインのT細胞活性化を示しており、それはリン酸化されたCD3.ζの細胞内染色によって確認された(図34)。IL13突然変異タンパク質−CAR.LSR.CD28.ζ T細胞は、NT T細胞と比べて、IL13Rα1(p<0.001)及びIL13Rα2(p<0.05)の存在下で有意なレベルのIFNγを産生した。
次いで、IL13Rα1及びIL13Rα2について陰性(Raji)、IL13Rα1について陽性(293T−GFP細胞)またはIL13Rα1及びIL13Rα2について陽性(U373、293T−GFP/IL13Rα2;図35)の細胞株を用いて47−CAR T細胞の特異性を確認した。47−CAR.SSR.CD28.ζ、47−CAR.LSR.CD28.ζ、47−CAR.SSR.Δ、または47−CAR.LSR.Δを発現しているT細胞をRaji、293T−GFP、または293T−GFP/IL13Rα2の細胞と共培養した。NT T細胞は対照として役立った。24時間後、培地を回収し、ELISAによってIFNγ及びIL2の濃度を測定した。47−CAR.SSR.CD28.ζ及び47−CAR.LSR.CD28.ζ T細胞は、U373細胞または293T−GFP/IL13Rα2細胞の存在下でのみ有意な量のIFNγを産生し(図33B)、SSR.CAR T細胞はLSR.CAR T細胞よりも有意に多くのIFNγを産生した(p<0.001)。47−CAR.SSR.CD28.ζ T細胞も293T−GFP/IL13Rα2及びU373細胞の存在下で有意な量のIL2を産生した一方で、47−CAR.LSR.CD28.ζ T細胞は産生しなかった(図33C)。NT T細胞及び47−CAR.SSR.Δまたは47−CAR.LSR.Δを発現しているT細胞は標的細胞に応答してIFNγまたはIL2を産生しなかった。最終的に我々は、Raji、293T−GFP、293T−GFP/IL13Rα2、及びU373を標的として用いた標準の細胞傷害性アッセイにて47−CAR T細胞の特異性を確認した(図33D)。
実施例15
CD28.OX40/41BBを伴った短いスペーサー領域(SSR)の47−CARの生成
上述の結果は47−CAR T細胞がサイトカイン産生及び細胞溶解アッセイによって判断されたようにIL13Rα2を認識するのみである一方で、その結果はまたLSRとSSRの47−CARの間の差異も強調している。IL13Rα2陽性標的細胞の存在下で47−CAR.SSRのみがIL2を産生するので、実験の次のセットの焦点はSSRを持つ47−CARに移り、CD28.OX40.ζ、CD28.41BB.ζまたは41BB.ζの細胞内ドメインを持つ追加のCARを生成した(図36A)。レトロウイルスによる形質導入によってCAR T細胞を生成し、CARの発現はFACS解析(図36B,C)及びウエスタンブロット(図36D)によって判定した。ウエスタンブロット解析によって判断されたようにすべてのCARが発現された一方で、47−CAR.SSR.CD28.41BB.ζは細胞表面に発現されず、さらなる解析から除外された。
実施例16
短いスペーサー領域の47−CARの比較
抗原曝露に応答してIFNγ及びIL2を産生する47−CAR.SSR T細胞の能力を比較するために、U373細胞との共培養を行った。47−CAR.SSRΔを発現しているT細胞は対照として役立った。機能的な細胞内ドメインを持つ47−CAR.SSRはすべてU373細胞の存在下でIFNγ及びIL2を産生した;しかしながら、47−CAR.SSR.41BB.ζ T細胞は、47−CAR.SSR.CD28.ζ及び47−CAR.SSR.CD28.OX40.ζ T細胞に比べて有意に少ない(p<0.05)IFNγを産生した。(図37A)。47−CAR.SSR.CD28.ζ T細胞が最高量のIL2を産生し、47−CAR.SSR.41BB.ζ及び47−CAR.SSR.CD28.OX40.ζ T細胞がそれに続いた。細胞傷害性アッセイでは、Raji、293T−GFP、293T−GFP/IL13Rα2及びU373の細胞を標的として用いて、3つの構築物すべての間で有意差は認められなかった(図37B)。
機能的な細胞内ドメインを持つ3つの47−CAR.SSR T細胞がすべてIL2を産生したので、T細胞が腫瘍内に直接注入される同所性U373神経膠腫異種移植マウスモデル
6にて3つの構築物すべてを調べた。U373細胞はeGFP.ffLuc融合タンパク質を発現するように遺伝子操作されている(U373.eGFP.ffLuc)ので、モデルによって一連の生物発光画像化が可能になる。0日目にU373.eGFP.ffLuc細胞をSCIDマウスの脳にて定位固定で注入し、7日目に47−CAR.SSR.CD28.ζ、47−CAR.SSR.41BB.ζ、47−CAR.SSR.CD28.OX40.ζまたは47−CAR.SSR.Δを発現しているT細胞を腫瘍内に注入した。47−CAR.SSR.Δ T細胞で処理したマウスはT細胞注入の4日以内に継続した腫瘍増殖を示した一方で、機能的な細胞内ドメインを有する47−CAR.SSR T細胞で処理したマウスはそれを示さなかった(図38A、B)。生物発光画像化の結果の比較は、T細胞注入の当日の47−CAR.SSR.Δ T細胞群と47−CAR.SSR T細胞群との間で有意差を示さなかった。しかしながら、47−CAR.SSR.CD28.ζまたは47−CAR.SSR.CD28.OX40.ζ T細胞で処理したマウスは、47−CAR.SSR.Δ T細胞で処理したマウスに比べて処理後1日という早期に有意に低い腫瘍のシグナルを有した(p=0.012;表2)。これは、47−CAR.SSR.CD28.ζまたは47−CAR.SSR.CD28.OX40.ζ T細胞で処理したマウスについて有意な生存優位を生じた(p=0.0002及びp=0.0092;図40C)。47−CAR.SSR.41BB.ζ T細胞で処理したマウスはさらにゆっくり応答し、14日目にて47−CAR.SSR.Δ T細胞処理との間で有意差を生じた(p=0.005、表2)一方で、このCAR T細胞による処理も有意な生存優位を生じた(p=0.0039;図5C、図40C)。47−CAR.SSR.CD28.ζ T細胞で処理したマウスが最長の生存期間中央値(84日)を有した。しかしながら、47−CAR.SSR.41BB.ζ(63日間)または47−CAR.SSR.CD28.OX40.ζ(56日間) T細胞で処理したマウスの生存期間中央値の比較では統計的な差異はなかった。
47−CAR T細胞が強力な抗神経膠腫活性を有する一方で、マウスは再発神経膠腫を発症した。腫瘍再発の病因を検討するために、47−CAR.SSR.CD28.ζまたは47−CAR.SSR.CD28.OX40.ζ T細胞のいずれかで処理した2匹の担癌マウスからU373細胞を単離した。短期間の培養の後のFACS解析は、IL13Rα2の細胞表面での発現を明らかにし、これらの細胞は細胞傷害性アッセイにて47−CAR T細胞によって容易に殺傷された(図39)。次に、47−CAR.SSR.CD28.ζ及びeGFP.ffLu(Luc/47−CAR T細胞)によってT細胞を遺伝子操作し、それらをU373担癌マウスに注射することによってT細胞の持続性を判定した。T細胞は7日未満持続した。理論によって束縛されることを望まないで、限られた持続性は腫瘍再発の最も可能性の高い説明であると思われる(図40)。
実施例13〜16についての参考文献
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実施例17
IL15のトランスジェニック発現は47−CAR T細胞の持続性を高め、抗腫瘍効果の向上を生じる
(i)IL13Rα2−CAR.CD28.ζまたは(ii)IL15と、Δ神経増殖因子受容体(ΔNGFR)と、2A配列によって分離された誘導性カスパーゼ9(iC9)とをコードする発現カセットを含有するレトロウイルスによってT細胞に二重形質導入することによってIL15を発現しているIL13Rα2−CAR.CD28.ζ T細胞(IL13Rα2−CAR.IL15 T細胞)を生成した。好適な2A配列には、配列番号110として示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるブタのテスコウイルス−1(配列番号109)に由来する2Aアミノ酸配列;配列番号112として示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるトセアアシグナ(Thoseaasigna)ウイルス(配列番号111)に由来する2Aアミノ酸配列、配列番号114として示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるウマ鼻炎Aウイルス(配列番号113)に由来する2Aアミノ酸配列、または配列番号116として示されるポリヌクレオチド配列によってコードされる手足口病ウイルス(FMDV)(配列番号115)に由来する2Aアミノ酸配列によって例示されるような当該技術で既知の2A配列が挙げられる。Kimら,PLoS One,6(4):1−8(2011)。標準アッセイを用いて試験管内で、及びU373GBM異種移植モデルにてIL13Rα2−CAR.IL15 T細胞のエフェクター機能を決定した。
CD3/CD28活性化T細胞の二重形質導入はT細胞の45〜50%で双方の導入遺伝子を発現するT細胞株を生じた。ベースラインで、IL13Rα2−CAR.IL15 T細胞は平均69.5pg/mlのIL15を産生した。CD3または抗原に特異的なT細胞の刺激の後、産生は有意に上昇した(176.7pg/ml;n=6;p<0.001)。IL13Rα2−CAR.IL15 T細胞は、試験管内でIL13Rα2陽性のGBM細胞を殺傷することにおいてIL13Rα2−CAR T細胞と同じくらい効率的だった。U373神経膠腫担癌マウスに腫瘍内注入した後、IL13Rα2−CAR.IL15 T細胞はIL13Rα2−CAR T細胞より有意に長く持続した(p<0.05)。これは、処理マウスの無病生存期間(98日対49日;p=0.004)及び全生存期間(p=0.006)の有意な増加を生じた。
本実施例にて開示されているデータは、IL15のトランスジェニック発現がIL13Rα2−CAR T細胞の生体内持続性を高め、改善された抗神経膠腫活性を生じることを実証している。
本明細書で引用されている参考文献のそれぞれは、引用の文脈から明らかなように、その全体がまたは関連部分が参照によって本明細書に組み入れられる。
説明の目的のために本開示の特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の改変が行われてもよいことは、本明細書の開示から十分に理解されるであろう。