JP2018203930A - 天然ゴム組成物、ゴム組成物、及びタイヤ - Google Patents

天然ゴム組成物、ゴム組成物、及びタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤ全体の質量増加を抑制しつつ、タイヤ損傷後の空気圧の低下を抑制することが可能な空気入りタイヤを提供すること。【解決手段】(A)天然ゴム、及び(B)下記式(I)に基づき、70℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が3.0以上5.5以下であり、かつ、130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が2.0以上4.0以下である天然ゴムを含有し、(A)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする天然ゴム組成物。LCB Index=G’1/G’5・・・(I)【選択図】なし

Description

本発明は、天然ゴム組成物、ゴム組成物、及びタイヤに関する。
天然ゴムは、天然ゴムラテックスとして採取し、凝固、必要に応じて熟成、洗浄、脱水、乾燥、パッキングの順の工程を経て得られる。この天然ゴムを素練りし、配合剤を配合して成形し、加硫を行うことにより、目的のゴム製品が製造される。
天然ゴムの優れた物理的特性として、機械的特性、低発熱性、耐摩耗性等が挙げられるが、その加工性については、合成ゴムと比較すると劣る部分がある。
特許文献1には、加工性を改良した天然ゴムを提供することを目的として、アンモニアを添加して天然ゴムを処理する方法が記載されている。
特開2007−197631号公報
特許文献1に記載されている処理された天然ゴムを使用することにより、加工性は改良されるものの、天然ゴムが本来有する低転がり抵抗性等の物性は、処理により低下するという問題があった。
本発明の目的は、加工性及び低転がり抵抗性を両立しうる天然ゴム組成物を提供することである。更に、本発明は、前記天然ゴム組成物を含有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を使用したタイヤを提供することである。
本発明者は鋭意検討した結果、未処理の天然ゴムと、特定の物性を有する処理された天然ゴムとを併用することにより、上記の課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔6〕に関する。
〔1〕 (A)天然ゴム、及び(B)下記式(I)に基づき、70℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が3.0以上5.5以下であり、かつ、130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が2.0以上4.0以下である天然ゴムを含有し、(A)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする天然ゴム組成物。
LCB Index=G’/G’ ・・・(I)
〔2〕 前記(B)成分が、70℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が3.0以上5.1以下であり、かつ、130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が2.0以上3.0以下である、〔1〕に記載の天然ゴム組成物。
〔3〕 前記(B)成分が、リン含有量が200ppmを超え、かつ、窒素含有量が0.1質量%以上0.3質量%以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の天然ゴム組成物。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の天然ゴム組成物と、充填材とを含有することを特徴とするゴム組成物。
〔5〕 プロセスオイルの含有量が(A)成分及び(B)成分の合計を100質量部としたとき、5質量部以下である、〔4〕に記載のゴム組成物。
〔6〕 〔4〕又は〔5〕に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
本発明によれば、加工性及び低転がり抵抗性を両立しうる天然ゴム組成物を提供することができる。更に、本発明によれば、前記天然ゴム組成物を含有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を使用したタイヤを提供することができる。
以下に、本発明をその実施形態に基づき詳細に例示説明する。なお、以下の説明において、数値範囲を示す「A〜B」の記載は、端点であるA及びBを含む数値範囲を表し、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は「A以下B以上」(A>Bの場合)を表す。
また、質量部及び質量%は、それぞれ、重量部及び重量%と同義である。
[天然ゴム組成物]
本発明の天然ゴム組成物は、(A)天然ゴム、及び(B)下記式(I)に基づき、70℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が3.0以上5.5以下であり、かつ、130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が2.0以上4.0以下である天然ゴム(以下、「処理天然ゴム」ともいう。)を含有し、(A)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする。
本発明者は、特許文献1に記載の処理された天然ゴムを使用すると、加工性は向上するものの、特にタイヤ用途に重要な、低転がり抵抗性等の性能が低下する問題があることを見出した。
本発明者は鋭意検討することによって、(A)天然ゴム及び(B)処理天然ゴムを特定の範囲で含有する天然ゴム組成物とすることにより、上記の問題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。その詳細な機構は不明であるが、一部は以下のように考えられる。
従来、天然ゴムの加工性を向上させるために、ゴム組成物にプロセスオイルを添加して加工性を向上させることが行われてきたが、プロセスオイルを添加すると、耐摩耗性が低下するという問題があった。特許文献1では、天然ゴムとして、特定の処理を施され、特定のLCB Indexを有する処理天然ゴムを使用することで、加工性が向上することが明らかとなった。
一方、上記(B)処理天然ゴムは、処理に伴う分子構造の変化により、低転がり抵抗性等の一部の性能に関しては、(A)天然ゴムに比べて性能が劣ると推定される。そこで、処理により加工性が向上した(B)処理天然ゴムを、デメリットが顕在化しない範囲で(A)天然ゴムと併用することで、加工性に優れ、また、得られるタイヤが低転がり抵抗性に優れた天然ゴム組成物が得られることを見出した。
<(A)天然ゴム>
本発明において、天然ゴム組成物は、(A)天然ゴムを含有する。(A)天然ゴムは、長鎖分岐点となる化合物を分解する工程を行っていない、未処理の天然ゴムを意味する。なお、長鎖分岐点となる化合物を分解する工程としては、酵素分解及び微生物分解から選ばれる少なくとも1種の生化学的分解、又はけん化処理からなる化学的分解が例示され、詳細は後述する。
<(B)処理天然ゴム>
本発明において、(B)処理天然ゴムは、下記の式(I)に基づき、70℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が3.0以上5.5以下で、かつ、130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が2.0以上4.0以下である。
LCB Index=G’/G’ ・・・(I)
長鎖分岐指数(LCB Index)は、RPA2000型試験機(アルファテクノロジーズ社製)を用いてLAOS測定方法により測定することができる。RPA2000型試験機(アルファテクノロジーズ社製)を用いてLAOS測定方法により測定した長鎖分岐指数(LCB Index)とは、溶解ポリマーのダイナミック特性において、近似した特徴を持つ長鎖分岐(LCB)と分子量分布の挙動から、分子量分布による影響を取り除いた、より正確な長鎖分岐の指数を示す。なお、LCB Indexを求めるためのLAOSの詳細については、“FT-Rheology, a Tool to Quantify Long Chain Branching (LCB) in Natural Rubber and its Effect on Mastication, Mixing Behaviour and Final Properties.”(Henri G. Burhin, Alpha Technologies, UK 15 Rue du Culot B-1435 Hevillers, Belgium)などを参照することができる。
ここで、LAOSは、Large Amplitude Oscillatory Shearの略である
本明細書では、RPA2000型試験機(アルファテクノロジーズ社製)を用いて、LAOSモードでの測定によって得られたシェアストレス信号を離散フーリエ変換にて、n=1〜9(nは整数)まで算出し、
(式中、γ0:振幅、t:時間、ω:角速度(単位:rad/s))
で表すシェアストレスτの式にフィッティングする。
更に、
上記式で求めたτを用いて、測定条件として、質量5gの試験片に対して、測定中の圧力15.6kN、温度70℃、周波数1.67Hz、歪が0.5%で1分間置いた後、10秒間かけて(すなわち、0.1Hz)、角速度ωを0.50rad/sとして、角度が71.5度、歪が1000%で、測定中の圧力を15.6kNの条件下で、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃と順次温度を上げながら、各温度でG’を求め、G’/G’から70℃と130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)を求めている。
なお、実施例においても上記同様の方法にて測定を行った。
上述のLAOS測定方法により測定された、70℃における長鎖分岐指数(LCB Index)は、天然ゴムの分岐構造における弱い結合(すなわち、水素結合等)を含む分岐量を示し、一方、130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)は、天然ゴムの分岐構造における強い結合(すなわち、共有結合)による分岐量を示す。
そして、本発明の処理天然ゴムは、70℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が3.0以上、好ましくは3.2以上、より好ましくは3.5以上、更に好ましくは4.0以上であり、そして、5.5以下、好ましくは5.2以下、より好ましくは5.1以下、更に好ましくは5.0以下であり、かつ、130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が2.0以上であり、そして、4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下である。
処理天然ゴムが、70℃及び130℃において、いずれも上記範囲内の長鎖分岐指数であることにより、両方の結合に起因する分岐量が低減されているため、処理天然ゴムの加工性が格段に向上し、また、本発明のように両方の結合の分岐量が低減した処理天然ゴムは、例えば空気入りタイヤを製造する際にカーボンブラック等の充填材の分散性が高いため、タイヤの耐摩耗性が向上する。
本発明において、処理天然ゴムにおけるリン含有量は、200ppmを超えることが好ましく、900ppm以下であることが好ましく、700ppm以下であることがより好ましい。
処理天然ゴムのリン含有量が上記含有量であることにより、処理天然ゴムにおけるポリマー間の相互作用を促進し、高分子量化することで耐摩耗性を向上させる。
また、処理天然ゴムにおける窒素含有量は、0.1質量%以上0.3質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以上0.25質量%以下であることがより好ましい。
処理天然ゴムの窒素含有量が上記範囲内であることにより、処理天然ゴム中に過剰量のたんぱく質が含まれず、ゲル化が抑制されると共に、処理天然ゴムにおけるポリマー間の相互作用が促進されることにより、耐摩耗性、低発熱性が向上する。
〔処理天然ゴムの製造方法〕
処理天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックス中の長鎖分岐点となる化合物を分解する工程と、天然ゴムラテックスを凝固させた後、予め定められた条件下で熟成させる工程(熟成工程)と、熟成後の凝固ゴムを水洗する工程(水洗工程)と、水洗後の凝固ゴムに老化防止剤を添加する工程と、老化防止剤を添加した凝固ゴムを乾燥させる工程(乾燥工程)と、を有する。
(天然ゴムラテックス中の長鎖分岐点となる化合物を分解する工程)
天然ゴムラテックスとしては、ゴムの木から採取したフィールドラテックス、及びこれを処理した濃縮天然ゴムラテックスの少なくとも1種を使用することができる。天然ゴムラテックス中の乾燥ゴム分(以下「DRC」(Dry Rubber Content)ともいう)は、特に制限されないが、10質量%以上40質量%以下が好ましい。
ここで、天然ゴムラテックス中の固形分とは、水分(しょう液)及びこれに溶解した成分を除いたすべての固形成分とする。
本発明における、長鎖分岐点となる化合物を分解する工程は、酵素分解及び微生物分解から選ばれる少なくとも1種の生化学的分解、又はけん化処理からなる化学的分解である。
−生化学的分解−
生化学的分解は、けん化処理などの化学的分解に比べ、マイルドな分解反応で、安全性に優れ、また廃液等の処理が簡便になるという利点を有する。中でも酵素は天然ゴムラテックスに含まれる基質を選択的に分解することができる。特に、後述するプロテアーゼは天然ゴムラテックス中のタンパク質を選択的に分解し、また、アミラーゼは天然ゴムラテックス中の糖を選択的に分解する。その選択性から、ゴム物性にとって不要な成分のみを特異的に除けることから、例えば、空気入りタイヤに生化学的分解を行った天然ゴムを用いた場合、カーボンの分散性が向上し、かつ、適正な分岐量を保持することで、空気入りタイヤの低燃費性能が向上し、耐久性及び耐摩耗性が向上する。
また、生化学的分解は、界面活性剤やアルカリを用いる化学的分解に比べ、洗浄時間を短縮化することができる。これにより、天然ゴムの製造時間の短縮化が図れる。
酵素分解としては、例えば、タンパク質を分解するプロテアーゼ、リン脂質を分解するホスホリパーゼ等が挙げられ、天然ゴムの加工性及び耐摩耗性の観点からプロテアーゼが好ましい。
プロテアーゼとしては、例えば、下記のものが例示される。
分解の位置による分類の観点から、エキソペプチダーゼ(タンパク質・ペプチド鎖の配列末端から(およそ1〜2アミノ酸残基ずつ)切り取るタイプのもの)、エンドペプチダーゼ(タンパク質・ペプチド鎖の配列中央を切断するタイプのもの)が挙げられる。
基質による分類の観点から、プロテイナーゼ(Proteinase、タンパク質を分解するもの)、(狭義の)ペプチダーゼ(Peptidase、より分子量の小さな合成ペプチドなどを分解するもの)が挙げられる。
また、触媒機構による分類の観点から、キモトリプシン(chymotrypsin)、スブチリシン(subtilisin)などのセリンプロテアーゼ;ペプシン、カテプシンD(cathepsin D)、HIVプロテアーゼなどのアスパラギン酸プロテアーゼ(酸性プロテアーゼ)(aspartic protease);サーモリシン(thermolysin)などの金属プロテアーゼ(metallo protease);パパイン、カスパーゼなどのシステインプロテアーゼ(cysteine protease);この他、プロテアソーム(proteasome)で知られるようになったN-末端スレオニンプロテアーゼ(N-terminal threonine protease)やグルタミン酸プロテアーゼ(glutamic protease)などが挙げられる。
本発明では、分解位置の観点から、エンドペプチダーゼが好ましい。
更に、アンモニアを添加して、pH10.5程度で活性が高いプロテアーゼ、すなわち、アルカリプロテアーゼが好ましく、また、天然ゴムラテックスの凝固を抑制する観点から、至適温度が10〜40℃であり、室温(例えば、20℃)前後で活性が高いプロテアーゼが好ましい。
プロテアーゼは、上述したものを1種類のみを用いてもよいし、また、上述したものを2種類以上含む組成にしてもよく、更に、プロテアーゼを主成分としてプロテアーゼ以外の酵素を含んでもよく、また、プロテアーゼ以外が主成分で副活性成分としてプロテアーゼを含んでもよい。
ホスホリパーゼとしては、例えば、ホスホリパーゼA1(Phospholipase A1)、ホスホリパーゼA2(Phospholipase A2)等のホスホリパーゼA(Phospholipase A);ホスホリパーゼB(Phospholipase B)(リゾホスホリパーゼ(Lysophospholipase)ともいう);ホスホリパーゼC(Phospholipase C);ホスホリパーゼD(Phospholipase D)等が挙げられる。
微生物分解としては、例えば、細菌(バクテリア)、真菌、酵母等が挙げられる。
例えば、熟成中の生分解のメカニズムとしてラテックスに含まれていた微生物や凝固後に付着した微生物が挙げられる。
また、プロテアーゼを多く産出するバクテリアが好ましい。
生化学的分解において、プロテアーゼの添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、0.05質量部以上、1.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上、0.3質量部以下がより好ましい。
プロテアーゼの添加量を上記範囲内にすることにより、工業用酵素の副活性による分解等を抑え、タンパク質を選択的に適度に分解するため、天然ゴムの加工性が向上し、また、天然ゴムを用いた空気入りタイヤにおいては、天然ゴムに対するカーボンブラック等の充填材の分散性が向上し、その結果、空気入りタイヤの耐摩耗性が向上する。
プロテアーゼを用いた場合の生化学的分解のpHは、アルカリ性領域(例えば、pH10.5付近)であることが好ましく、また、分解温度は、天然ゴムラテックスの凝固抑制の観点から、10〜40℃、好ましくは室温(例えば、20℃)前後が好ましい。分解時のpHをアルカリ性領域にすることで、タンパク質が分解されたことによる、脂質膜の不安定化が抑制され、その結果、所望のたんぱく質分解が進行すると共に、天然ゴムラテックスの凝固が抑制される。
また、タンパク質分解処理時の、天然ゴムラテックス中のミセルの不安定化を抑制するために、適宜、界面活性剤を添加してもよい。
プロテアーゼによる分解処理時間は、プロテアーゼの添加量、分解時のpHや温度により異なるが、例えば、1時間以上、48時間以下であることが好ましい。
生化学的分解後の天然ゴムラテックスを凝固させて、ゴム成分を得る。
−化学的分解−
化学的分解として、けん化処理が挙げられ、けん化処理は、天然ゴムラテックスに、アルカリと必要に応じて界面活性剤を添加して、所定の温度で一定時間、静置することにより行う。なお、必要に応じて撹拌を行ってもよい。
けん化処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アミン化合物等が挙げられ、けん化効果やラテックスの安定性への影響の観点から、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いることが好ましい。
アルカリの添加量は特に限定されないが、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、上限は好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。アルカリの添加量を上記範囲内にすることで、適度なけん化処理時間で、天然ゴムラテックス中の非ゴム成分を分解することができる。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤のうちの少なくとも1種が使用可能である。このうち陰イオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して0.01質量部以上、5質量部以下であることが好ましく、また、0.1質量部以上、3質量部以下であることがより好ましい。界面活性剤の添加量が上記範囲内であることで、けん化処理時に天然ゴムラテックスが安定化し、後の凝固にも影響を与えない。
けん化処理の温度は、アルカリによるけん化反応が十分な反応速度で進行しうる範囲、及び天然ゴムラテックスが凝固等の変質を起こさない範囲で適宜、設定できるが、30℃以上、70℃以下であることが好ましい。また、処理の時間は、天然ゴムラテックスを静置して処理を行う場合、処理の温度にもよるが、十分な処理を行うことと、生産性を向上することとを併せ考慮すると、3時間以上24時間以下であることが好ましい。
けん化反応終了後、ギ酸凝固させることが好ましい。
(熟成工程)
凝固後に、最終生成物として得られる天然ゴムの特性に応じて予め定められた条件下で熟成させる。
例えば、相対湿度40%以上90%以下、温度10℃以上70℃以下の環境下で、1日以上熟成させることが好ましい。
凝固ゴムを、前記雰囲気下で1日以上熟成させることにより、凝固ゴムの内部、外部に存在するバクテリアによって、タンパク質等が適度に分解され、得られた処理天然ゴムの加工性がより向上し、適度にタンパク質等が分解されたことで処理天然ゴムにおけるカーボンブラック等の充填材の分散性が高くなることから、この処理天然ゴムを用いたタイヤの耐摩耗性が向上する。
なお、けん化反応を行った場合には、必要に応じて熟成工程を省略して、後述する洗浄工程に移行してもよい。
(洗浄工程)
生化学的分解で用いた酵素やバクテリア、及び熟成工程において分解した成分などを凝固ゴムから除去して、ゴムの所望の分子構造を得る観点から、熟成後の凝固ゴムを洗浄することが好ましい。なお、化学分解により、けん化反応を行った場合には、この反応後に、入念に水洗することが好ましい。また、分解工程で用いた酵素やバクテリア及びけん化反応に用いたアルカリや界面活性剤の除去の観点から、シュレッダー等で細断した後に水洗することが好ましい。
例えば、けん化反応後、ギ酸凝固されたゴムは、上記熟成工程を省いて、このギ酸凝固させたゴムを細断した後に、入念に洗浄を行うことが好ましい。より洗浄効果を高めるために、例えばゴム分を水で希釈して、遠心分離処理を行い、非ゴム分を除去してもよい。例えば、遠心分離処理を行う場合、まず天然ゴムラテックスのゴム分が好ましくは5質量%以上40質量%以下、より好ましくは10質量%以上30質量%以下となるように水で希釈する。得られたゴム成分に対して、好ましくは5,000rpm以上10,000rpm以下で、好ましくは1分間以上60分間以下で遠心分離すればよい。
洗浄後に、凝固させ、ゴム成分を得る。
(老化防止剤を添加する工程)
洗浄後の凝固ゴムに、老化防止剤を添加した後、乾燥させることが好ましい。
老化防止剤の添加方法としては、例えば、ゴム成分に対して噴霧してもよく、また、ゴム成分を老化防止剤に浸漬してもよく、また、ゴム成分に老化防止剤を練り込んでもよい。
本発明者は脱蛋白及び熟成工程を行った後、ゴム成分を乾燥させる際に、二重結合に隣接する炭素原子に結合している水素原子は比較的反応性が高いので空気中の酸素によって酸化されてラジカル(遊離基)が発生しやすく、発生するラジカルによって、ゴム成分の主鎖間での再結合反応により共有結合が再度形成され、これにより、ゴム成分の分岐が増加する傾向があることを見出した。
そこで、老化防止剤としては、ゴム成分を乾燥させる際に発生するラジカルを捕捉する観点から、酸化防止剤、ヒドラジド化合物が好ましく、ヒドラジド化合物がより好ましい。
ヒドラジド化合物は、ゴム成分を乾燥させる際に、ゴム成分の酸化によって主鎖に生じたアルデヒドをキャップすることで、アルデヒド−タンパク質の結合やアルデヒド−リン脂質の結合による分岐化を抑制することができるため、乾燥時における分岐の増加を抑制することができる。
ヒドラジド化合物は、カルボン酸ヒドラジドであり、カルボン酸ヒドラジドのカルボン酸の炭素数は1〜20であり、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、ヒドラジド化合物は、環式のヒドラジド化合物、非環式のヒドラジド化合物のいずれを用いてもよいが、立体障害による反応性の観点から、非環式のヒドラジド化合物が好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル等が挙げられるが、ラジカル捕捉能の観点から、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)が好ましい。
ヒドラジド化合物としては、炭素数2〜20の脂肪族ヒドラジドが好ましく、炭素数2〜6の脂肪族ヒドラジドがより好ましい。これらのヒドラジド化合物として、具体的には、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、セバシン酸ジヒドラジド(SDH)、ドデカン二酸ジヒドラジド(DDH)、プロピオン酸ヒドラジド(PHZ)、ステアリン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジド、ラウリン酸ヒドラジド(ドデカン酸ヒドラジド)、酪酸ヒドラジド、ペンタン酸ヒドラジド、ヘキサン酸ヒドラジド、へプタン酸ヒドラジド、オクタン酸ヒドラジド、ノナン酸ヒドラジド、デカン酸ヒドラジド、ウンデカン酸ヒドラジド等が挙げられ、ラジカル捕捉能の観点から、プロピオン酸ヒドラジド(PHZ)、ステアリン酸ヒドラジドが好ましい。
老化防止剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上0.3質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以上0.2質量部以下である。
噴霧、浸漬及び練り込みのいずれにより老化防止剤を添加するかにより、老化防止剤の添加量を適宜選択することが好ましいが、老化防止剤の添加量を上記範囲内にすることによって、乾燥時にゴム成分の分岐量が増加することが抑制され、処理天然ゴムとして優れた加工性を有する。
また、老化防止剤は、添加のばらつきを抑制する観点から、水溶液にして噴霧、浸漬することが好ましい。
(乾燥工程)
前記処理天然ゴム前駆体を熟成させた後、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等の通常の乾燥機を用いて乾燥させる。
乾燥温度は、好ましくは70℃以上150℃以下であり、ホワイトスポットの発生を抑制する観点から、乾燥時間は、例えば150℃であれば1時間、100℃であれば11時間、70℃であれば1週間程度であることが好ましい。
<天然ゴム組成物>
本発明の天然ゴム組成物は、(A)成分及び(B)成分を含有し、(A)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の含有量が10〜40質量%である。(B)成分の含有量が10質量%未満であると、加工性に優れた天然ゴム組成物を得ることが困難であり、40質量%を超えると、転がり抵抗性が上昇し、該ゴム組成物を用いて得られるタイヤの燃費が悪化する。
(A)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の含有量は、加工性の改良と、転がり性能の維持の観点、及び(B)成分の添加によるコストの上昇を抑える観点から、好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
本発明の天然ゴム組成物は、ゴム成分のみからなる。該ゴム成分として、(A)成分及び(B)成分に加え、他のゴム成分を含有していてもよい。
他のゴム成分としては、合成ジエン系ゴムが好ましく、合成ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が例示される。これらの中でも、(A)成分及び(B)成分と併用する観点から、SBR、BRが好ましく例示される。
本発明の天然ゴム組成物中の(A)成分及び(B)成分の合計含有量は、50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%である。すなわち、天然ゴム組成物が(A)成分及び(B)成分のみからなることが特に好ましい。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、上記天然ゴム組成物に、ゴム成分を除く、各種添加剤を配合してなる。
本発明のゴム組成物は、添加剤として充填材を配合してなることが好ましい。
本発明のゴム組成物において配合される充填材は特に限定されるものではないが、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、クレー、炭酸カルシウムなど通常ゴム工業に用いられるものが使用できる。カーボンブラックとしては、例えば、SAF、HAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど種々のグレードのカーボンブラックを使用することができる。また、シリカとしては特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。このような充填材は、単独で又は二つ以上のものを混合して用いることもできる。
これらの中でも、カーボンブラック及びシリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
この充填材の総配合量は、ゴム組成物中のゴム成分(天然ゴム組成物)100質量部に対し、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上であり、そして、好ましくは120質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種添加剤、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
なお、本発明のゴム組成物は、プロセスオイルの含有量が少ないことが好ましい。上述したように、従来、ゴム組成物の加工性を向上させるために、プロセスオイルを配合していたが、プロセスオイルの配合により、得られた架橋ゴム組成物の耐摩耗性が低下するという問題があった。本発明では、(B)成分の配合により、加工性が向上し、プロセスオイルの配合なしに、又はプロセスオイルの配合量を少なくしても、良好なゴム組成物の加工性が得られる。従って、本発明のゴム組成物中のプロセスオイルの含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計を100質量部としたとき、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明の天然ゴム組成物及びゴム組成物は、タイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホース、その他の工業品等の用途にも用いることができる。特にタイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム(キャップゴム、ベースゴムを含む)、サイドゴム、プライゴム、ビードフィラーゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、前記ゴム組成物を用いて作製したものであり、この空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて前記各種薬品を配合した本発明のゴム組成物を未加硫の段階でタイヤの各部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して空気入りタイヤを得る。
上述したように、本発明では、処理天然ゴムを含有することにより、加工性に優れると共に、カーボンブラック等の充填材の分散性に優れ、得られる空気入りタイヤは、耐摩耗性に優れる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。また、下記実施例中、「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
また、以下に示す測定方法により、測定を行った。
(1)長鎖分岐指数(LCB Index)
試験装置として「RPA2000 Auto100」(アルファテクノロジーズ社製)を用い、更に前記装置におけるダイとして、「Alpha Technologies PRA2000Autoタイプダイ D5051」を用いて、サンプル5gを「ダイ D5051」に載置し、温度70℃、周波数1.67Hz、歪0.5%で1分間置いた後、LAOSモードでの測定によって得られたシェアストレス信号を離散フーリエ変換にて、n=9まで算出し、上述した式を用い、測定条件として、質量5gの試験片に対して、測定中の圧力を15.6kNで、温度70℃、周波数1.67Hz、歪が0.5%で1分間置いた後、10秒間かけて(すなわち、0.1Hz)、角速度ωを0.50rad/sとして、角度が71.5度、歪が1000%で、測定中の圧力を15.6kNの条件下で、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃と順次温度を上げながら、各温度でG’を求め、G’/G’から70℃と130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)を求めている。
(2)リン含有量の測定
処理天然ゴムを湿式灰化装置で分解した後、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP分析)を行うため、ICP発光分析装置(ICPS−8100、(株)島津製作所製)を使用して、処理天然ゴムのリン含有量を求めた。
(3)窒素含有量の測定
処理天然ゴムの窒素含有量は、「TruSpec CHN」(LECO社製)を用いて、測定した。測定には、まずEDTAを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、各実施例及び比較例で得られた天然ゴム約10mgを秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
(4)重量平均分子量(Mw)の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:東ソー(株)製HLC−8121GPC/HT,カラム:東ソー(株)製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)、GPC測定温度:160℃)により、単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(5)ゴム組成物の加工性(熱入れ作業性)
−ゴム組成物のムーニー粘度及び応力緩和時間−
後述するゴム組成物の加工性について評価した。
JIS K6300−1994に準じ、100℃にてムーニー粘度[ML1+4/100℃]を測定した。また、応力緩和時間(T80)は、上記ML1+4測定直後にローター回転を停止し、ML1+4の値が80%低減するまでに必要な時間(秒)を測定した。
実施例1〜3、及び比較例1〜4では、比較例1の応力緩和時間(T80)の値を100とし、実施例4〜7、比較例5〜8では、比較例5の応力緩和時間(T80)の値を100とし、実施例及び比較例の指数を表すこととした。なお、指数が小さいほど、応力緩和時間が短く、加工性に優れることを示す。
熱入れ加工性の評価基準は、以下の通りである。
A:応力緩和時間(T80)の指数が90未満
B:応力緩和時間(T80)指数が90以上100未満
C:応力緩和時間(T80)指数が100以上
(6)転がり抵抗INDEXの測定
粘弾性測定装置[レオメトリックス社製]を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで損失正接(tanδ)を測定した。
なお、実施例1〜3、及び比較例1〜4の転がり抵抗INDEXは、比較例1の評価結果を100として相対評価した。また、実施例4〜7、及び比較例5〜8の転がり抵抗INDEXは、比較例5の評価結果を100として相対評価した。数値が大きいほど、転がり抵抗が低く、タイヤとして優れていることを示す。
(7)総合評価
総合評価は、以下の基準にて行った。
A:熱入れ作業性の評価=A、かつ、転がり抵抗INDEX=95以上
B:熱入れ作業性の評価=B、かつ、転がり抵抗INDEX=95以上
C:熱入れ作業性の評価=A又はB、かつ、転がり抵抗INDEX=95未満
D:熱入れ作業性の評価=C
[処理天然ゴムの調製]
天然ゴムラテックスに対して、プロテアーゼ(Sarinase16L、ノボザイムズ社製)を0.1phr、界面活性剤(FR−25、花王(株)製)を1phr添加し、pH10.5にて、1時間処理した。生化学的分解後の天然ゴムラテックスを凝固させて、ゴム成分を得た。
凝固後に、相対湿度50%、温度50℃にて12日間熟成した。洗浄後に凝固させ、ゴム成分を得た。
得られた凝固ゴムに、老化防止剤としてPHZ(プロピオン酸ヒドラジド)を0.2phrで添加した後、乾燥した。
得られた処理天然ゴムの70℃におけるLCB Indexは4.8、130℃におけるLCB Indexは2.9、リン含有量は530ppm、窒素含有量は0.24質量%、重量平均分子量は142×10であった。
[ゴム組成物の調製]
以下の表1に示す配合にて、ゴム組成物を調製し、熱入れ作業性、転がり抵抗INDEXを評価した。
[注]
*1:表2に記載の量の天然ゴム及び処理天然ゴム
*2:カーボンブラック:N339、東海カーボン(株)製、商品名「シースト7KH」
*3:プロセスオイル:三共油化工業(株)製、商品名「A/Oミックス」
*4:老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
*5:加硫促進剤DZ:N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDZ」
表1に記載のゴム組成物を145℃、33分間の条件で加硫し、熱入れ作業性を評価し、また、得られた空気入りタイヤについて転がり抵抗INDEXを評価した。結果を表2に示す。
なお、表2中の(A)天然ゴムは、インドネシア産RSS#3グレードであり、70℃におけるLCB Indexは14〜16、130℃におけるLCB Indexは3.0〜3.5、リン含有量は750ppm、窒素含有量は0.65質量%、重量平均分子量は157×10であった。
表2の実施例と比較例とを対比すると、天然ゴムと、処理天然ゴムとを特定の範囲で含むゴム組成物とすることにより、得られたゴム組成物の加工性が向上し、かつ、このゴム組成物を用いて製造されたタイヤの低転がり抵抗性も向上した。
本発明によれば、加工性及び低転がり抵抗性を両立しうる天然ゴム組成物を提供することができる。更に、本発明によれば、前記天然ゴム組成物を含有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。

Claims (6)

  1. (A)天然ゴム、及び
    (B)下記式(I)に基づき、70℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が3.0以上5.5以下であり、かつ、130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が2.0以上4.0以下である天然ゴムを含有し、
    (A)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の含有量が10〜40質量%であることを特徴とする
    天然ゴム組成物。
    LCB Index=G’/G’ ・・・(I)
  2. 前記(B)成分が、70℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が3.0以上5.1以下であり、かつ、130℃における長鎖分岐指数(LCB Index)が2.0以上3.0以下である、請求項1に記載の天然ゴム組成物。
  3. 前記(B)成分が、リン含有量が200ppmを超え、かつ、窒素含有量が0.1質量%以上0.3質量%以下である、請求項1又は2に記載の天然ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の天然ゴム組成物と、充填材とを含有することを特徴とするゴム組成物。
  5. プロセスオイルの含有量が(A)成分及び(B)成分の合計を100質量部としたとき、5質量部以下である、請求項4に記載のゴム組成物。
  6. 請求項4又は5に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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