JP2018199365A - パークロック用ワイヤの配線構造 - Google Patents

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【課題】インホイールモータ駆動装置に設けられるパークロック機構から車体までパークロック用ワイヤを配線する際、該ワイヤの曲げ伸ばしを緩和する技術を提供する。【解決手段】パークロック用ワイヤの配線構造は、車輪Wを駆動するモータ部21、および車輪Wを回転不能に保持するパークロック機構を有するインホイールモータ駆動装置10と、インホイールモータ駆動装置10を車体101に連結するサスペンション装置70と、一端がパークロック機構と接続し他端が車体に搭載されるパークロック操作部と接続してパークロック機構を動作させる屈曲可能なパークロック用ワイヤ48と、一端がモータ部と接続し他端が車体に搭載される電気機器と接続してモータ部に電力を供給する屈曲可能な動力線93とを備え、パークロック用ワイヤは動力線に沿って配線される。【選択図】図2

Description

本発明は、インホイールモータ駆動装置から車体まで延び、インホイールモータ駆動装置に設けられるパークロック機構を動作させるパークロック用ワイヤの配線レイアウトに関する。
車両の左右の駆動輪内部にインホイールモータ駆動装置を設け、該駆動輪をインホイールモータ駆動装置で駆動する技術が従来知られている。かかる車両では、車体にエンジンやモータを搭載する必要がなく、居室空間や荷室空間等、車体の内部空間を大きくすることができる点で有利である。
インホイールモータ駆動装置は左右の駆動輪を個々に駆動する。一方で、保安上の要請により、車輪を回転不能に保持するパークロック装置を備えることが好ましい。例えば特開2008−151308号公報(特許文献1)は、左右の駆動輪それぞれに搭載されたインホイールモータ駆動装置にパークロック装置をそれぞれ設けることが記載されている。各パークロック装置は押し引き可能なワイヤで作動され、各ワイヤは単独のアクチュエータと接続する。アクチュエータは駆動ドラムを有し、各ワイヤを巻き取ることによって左右輪のパークロック装置を動作させる。
特開2008−151308号公報
特許文献1のワイヤは複数のワイヤガイドあるいはプーリ間に張り渡されている。また特許文献1には具体的に記載されていないが、インホイールモータ駆動装置は、動力線を介して、車両の車体に搭載されるインバータと接続され、該インバータは、同じく車体に搭載される電源と接続され、該電源から電力を供給される。動力線は、車輪を収容するホイールハウス内で宙に浮くように配線される。
また特許文献1には具体的に記載されていないが、インホイールモータ駆動装置はサスペンション装置を介して、車両の車体に連結されることが常套である。これにより車輪およびインホイールモータ駆動措置は上下方向にバウンドおよびリバウンド可能となり、車体に対して相対変位する。また転舵輪を駆動するインホイールモータ駆動装置は、転舵軸線を構成するサスペンション装置を介して、車体に連結される。これにより転舵輪およびインホイールモータ駆動装置は転舵軸線を中心として転舵する。
つまりサスペンション装置のばね下(車輪側)に連結されるインホイールモータ駆動装置およびパークロック装置と、サスペンション装置のばね上(車体側)に搭載される操作部は相対移動する。動力線も、中央領域が宙に浮くように配線されるため、外力を受けて動く。
この場合において本発明者はさらに改善すべき点があることを見いだした。
つまり特許文献1においてインホイールモータ駆動装置に設けられるパークロック装置が車体に対して繰り返し相対移動すると、ワイヤの特定箇所が繰り返し曲げ伸ばしされて疲労し、耐久性が低下する虞がある。
特にインホイールモータ駆動装置が転舵するとパークロック装置も転舵軸線を中心として変位し、パークロック装置が転舵軸線を中心として変位する際にパークロック用ワイヤもその都度曲げ伸ばされ、あるいは山折りと谷折りを繰り返すように同じ箇所で左右方向に繰り返し曲げ伸ばしされる。したがってパークロック用ワイヤが同じ箇所で長期間に亘って繰り返し曲げ伸ばされると、曲げ疲労が蓄積して早期に破損する虞があった。
本発明は、上述の実情に鑑み、左右輪に設けられるインホイールモータ駆動装置のパークロック装置に関し、バウンド時およびリバウンド時または転舵時のパークロック用ワイヤの曲げ伸ばしを低減する技術を提供することを目的とする。
この目的のため本発明によるパークロック用ワイヤの配線構造は、車輪のハブを駆動するモータ部、および車輪のハブを回転不能に保持するパークロック機構を有するインホイールモータ駆動装置と、インホイールモータ駆動装置を車体に連結するサスペンション装置と、一端がパークロック機構と接続し他端が車体に搭載されるパークロック操作部と接続してパークロック機構を動作させる屈曲可能なパークロック用ワイヤと、一端がモータ部と接続し他端が車体に搭載される電気機器と接続してモータ部に電力を供給する屈曲可能な動力線とを備え、パークロック用ワイヤは動力線に沿って配線される。
かかる本発明によれば、パークロック用ワイヤは動力線に沿って配線されることから、サスペンション装置が上下に伸縮したり、転舵してインホイールモータ駆動装置が車体に対して相対変位する際にパークロック用ワイヤおよび動力線は同じ変形量で曲げ伸ばしされる。したがってパークロック用ワイヤの曲げ伸ばしが緩和されて、耐久性が向上する。
本発明の一実施形態として、サスペンション装置は上下方向に延びる転舵軸線を中心としてインホイールモータ駆動装置を転舵可能とし、動力線は一端と他端との間に転舵軸線に沿って上下方向に延びる第1領域を含み、パークロック用ワイヤは第1領域に沿って配線される。かかる実施形態によれば、インホイールモータ駆動装置が転舵軸線を中心として転舵する際にパークロック用ワイヤが動力線とともにねじれるにすぎない。したがってパークロック用ワイヤは特定の箇所で繰り返し曲げ伸ばしされ難くなり、繰り返し受けるねじれも緩和されて、耐久性が向上する。
本発明の好ましい実施形態として、動力線は第1領域と他端との間に中間領域および第2領域をさらに含み、第1領域は上側でインホイールモータ駆動装置側と接続し下側で中間領域と接続し、第2領域は上下方向に延び下側で中間領域と接続し上側で車体側と接続し、中間領域は両側を上方とし中間部分を下方として湾曲して延び、パークロック用ワイヤは中間領域および第2領域に沿って延びる。かかる実施形態によればパークロック用ワイヤの全域で、曲げ伸ばしおよびねじれが緩和されて、耐久性が向上する。あるいは本発明の他の実施形態として、動力線は第1領域と他端との間に中間領域および第2領域をさらに含み、第1領域は下側でインホイールモータ駆動装置側と接続し上側で中間領域と接続し、第2領域は上下方向に延び上側で中間領域と接続し下側で車体側と接続し、中間領域は両側を下方とし中間部分を上方として湾曲して延び、パークロック用ワイヤは中間領域および第2領域に沿って配線されてもよい。
本発明の一実施形態としてサスペンション装置は、車幅方向あるいは車両前後方向に延びる回動軸線を中心としてインホイールモータ駆動装置を揺動可能とし、まとまって延びる動力線およびパークロック用ワイヤのうちの少なくとも一方が、揺動軸線と略交差する。かかる実施形態によれば、インホイールモータ駆動装置がバウンドおよびリバウンドする際、まとまって延びる動力線およびパークロック用ワイヤは同じ変形量で曲げ伸ばしされる。したがってパークロック用ワイヤの曲げ伸ばしが緩和されて、パークロック用ワイヤの耐久性が向上する。なお略交差するとは、交差する場合の他、動力線およびパークロック用ワイヤの双方が揺動軸線を周回するように屈曲することを含む。
本発明の好ましい実施形態として、サスペンション装置からみてばね下部材に設けられて、動力線およびパークロック用ワイヤを束ねて保持するインホイールモータ駆動装置側クランプ部材と、サスペンション装置からみてばね上部材に設けられて、動力線およびパークロック用ワイヤを束ねて保持する車体側クランプ部材をさらに備える。かかる実施形態によれば、動力線およびパークロック用ワイヤを互いに寄り添わせ、動力線およびパークロック用ワイヤを1束にまとめた状態を維持することができる。他の実施形態として、テープなどを巻きつけることによって動力線およびパークロック用ワイヤを1束にまとめてもよい。なお、動力線およびパークロック用ワイヤは、クランプ部材とは別に適宜係止部材でまとめられてもよい。
本発明の好ましい実施形態としてパークロック用ワイヤは、チューブ内に通されて、チューブ内を進退動する。かかる実施形態によれば、車体に搭載されるパークロック操作部でパークロック作動部を機械的に動作させることができる。他の実施形態として、パークロック用ワイヤは電気ワイヤであってもよい。
このように本発明によれば、パークロック用ワイヤが早期に破損することを防止することができる。またパークロック用ワイヤの配線と動力線の配線を異ならせる従来のインホイールモータにおいて懸念される、パークロック用ワイヤと動力線が繰り返し当接してパークロック用ワイヤが損傷する虞を解消することができる。
本発明の第1実施形態になるパークロック用ワイヤの配線構造を示す模式図であり、車幅方向内側からみた状態を表す。 第1実施形態を示す模式図であり、車両前方からみた状態を表す。 第1実施形態を示す模式図であり、車両上方からみた状態を表す。 インホイールモータ駆動装置を示す模式図であり、車幅方向外側からみた状態を表す。 インホイールモータ駆動装置を示す横断面図である。 インホイールモータ駆動装置を示す展開断面図である。 インホイールモータ駆動装置の減速部内部を取り出して模式的に示す平面図である。 インホイールモータ駆動装置および動力線を示す模式図であり、車両後方からみた状態を表す。 変形例のインホイールモータ駆動装置内部を示す模式図である。 本発明の第2実施形態になるパークロック用ワイヤの配線構造を示す模式図であり、車両前方からみた状態を表す。 本発明の第3実施形態になるパークロック用ワイヤの配線構造を模式的に示す斜視図である。 第3実施形態を示す模式図であり、車幅方向内側からみた状態を表す。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態になるパークロック用ワイヤの配線構造を車輪ホイールとともに示す模式図であり、車幅方向内側からみた状態を表す。図2は、第1実施形態を車輪ホイールとともに示す模式図であり、車両前方からみた状態を表す。図3は、第1実施形態を車輪ホイールとともに示す模式図であり、車両上方からみた状態を表す。
第1実施形態では、車体101(図2に車体の車幅方向外側部分のみ示す)の車幅方向外側に車輪ホイールW、インホイールモータ駆動装置10、およびサスペンション装置70が配置される。また車輪ホイールW、インホイールモータ駆動装置10、およびサスペンション装置70は車体101の車幅方向両側に左右対称に配置され、電動車両を構成する。
車輪ホイールWの外周には仮想線で示すタイヤTが嵌合する。車輪ホイールWおよびタイヤTは車輪を構成する。車輪ホイールWのリム部Wr(図1)は、車輪の内空領域を区画する。かかる内空領域にはインホイールモータ駆動装置10が配置される。図2および図3を参照して、インホイールモータ駆動装置10の車幅方向外側領域が車輪ホイールW内に配置されて図示されず、インホイールモータ駆動装置10の車幅方向内側端部が車輪ホイールWから車幅方向内側に突出して図示される。インホイールモータ駆動装置10は車輪ホイールWと連結して車輪を駆動する。
サスペンション装置70はストラット式サスペンション装置であり車幅方向に延びるロアアーム71と、ロアアーム71よりも上方に配置されて上下方向に延びるストラット76を含む。ストラット76は、インホイールモータ駆動装置10の軸線Oよりも上方に配置されるサスペンション部材である。
ストラット76は上下方向に延び、ストラット76の下端がインホイールモータ駆動装置10と結合し、ストラット76の上端が車輪ホイールWよりも上方で車体101と連結する。なおストラット76と、車輪ホイールWの上部と、インホイールモータ駆動装置10の上部は、車体101の車幅方向外側に形成されるホイールハウス102に収容される。
ストラット76は上端領域にショックアブソーバ77を内蔵して上下方向に伸縮可能なサスペンション部材である。ショックアブソーバ77の外周には仮想線で概略を示すコイルスプリング78が配置され、ストラット76に作用する上下方向の軸力を緩和する。ストラット76の上端部および中央部には、コイルスプリング78の上端および下端を挟んで保持する1対のコイルスプリングシート79b,79cが設けられる。ショックアブソーバ77の内部にはストラット76に作用する軸力を減衰させるダンパーが設けられる。ストラット76の下端部は車輪ホイールWよりも車幅方向内側に配置される。コイルスプリング78およびコイルスプリングシート79b,79cを除いたストラット76の残り部分は、上端から下端まで車輪ホイールWよりも車幅方向内側に配置される。ストラット76は、車輪ホイールWのホイールセンタよりも車幅方向内側に配置される。またストラット76は、インホイールモータ駆動装置10の軸線方向中央部よりも車幅方向内側に配置される。
ロアアーム71は、インホイールモータ駆動装置10の軸線Oよりも下方に配置されるサスペンション部材であって、車幅方向外側端72および車幅方向内側端73d,73fを含む。ロアアーム71は、車幅方向外側端72で、ボールジョイント60を介してインホイールモータ駆動装置10に連結される。またロアアーム71は車幅方向内側端73d,73fで図示しない車体側メンバに連結される。車幅方向内側端73d,73fを基端とし、車幅方向外側端72を遊端として、ロアアーム71は上下方向に揺動可能である。なお車体側メンバとは説明される部材からみて車体側に取り付けられる部材をいう。ロアアーム71は、コイルスプリング78からみてばね下のインホイールモータ駆動装置10と、ばね上の車体101とを連結することからサスペンションリンク、あるいは単にリンクともいう。またロアアーム71は単にアームともいう。
車幅方向外側端72とストラット76の上端76aを結ぶ直線は、上下方向に延びて転舵軸線Kを構成する。転舵軸線Kは基本的には上下方向に延びるが、車幅方向および/または車両前後方向に若干傾斜してもよい。
ロアアーム71よりも上方にはタイロッド80が配置される。タイロッド80は、軸線Oよりも車両後方に配置されて車幅方向に延び、タイロッド80の車幅方向外側端がインホイールモータ駆動装置10の後部と回動可能に連結する。なおインホイールモータ駆動装置10の後部とは、車両前後方向における後部を意味する。タイロッド80の車幅方向内側端は図示しない操舵装置と連結する。操舵装置はタイロッド80を車幅方向に進退動させて、インホイールモータ駆動装置10および車輪ホイールWを転舵軸線K回りに転舵させる。
コイルスプリング78を有するサスペンション装置70からみてインホイールモータ駆動装置10等の車輪側メンバをばね下部材ともいい、車体101等の車体側メンバをばね上部材ともいう。
次にインホイールモータ駆動装置につき説明する。
図4は図1〜図3に示すインホイールモータ駆動装置を取り出して示す模式図であり、車幅方向外側からみた状態を表す。図5はインホイールモータ駆動装置を示す横断面図であり、減速部の内部を車幅方向外側からみた状態を模式的に表す。図5中、紙面左側は車両後方を表し、紙面右側は車両前方を表し、紙面上方は車両上方を表し、紙面下方は車両下方を表し、減速部内部の各歯車は歯先円で表され、個々の歯を図略する。図6はインホイールモータ駆動装置を模式的に示す展開断面図である。図6で表される切断面は、図5に示す軸線Mおよび軸線Nを含む平面と、軸線Nおよび軸線Oを含む平面とを、この順序で接続した展開平面である。図7は、インホイールモータ駆動装置の減速部内部を取り出して示す平面図である。
インホイールモータ駆動装置10は、図示しない車輪の中心に設けられる車輪ハブ軸受部11と、車輪を駆動するモータ部21と、モータ部の回転を減速して車輪ハブ軸受部11に伝達する減速部31と、車輪を回転不能に保持するパークロック機構41とを備える。モータ部21および減速部31は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oからオフセットして配置される。軸線Oは車幅方向に延び、車軸に一致する。軸線O方向位置に関し、車輪ハブ軸受部11はインホイールモータ駆動装置10の軸線方向一方(アウトボード側)に配置され、モータ部21はインホイールモータ駆動装置10の軸線方向他方(インボード側)に配置され、減速部31はインホイールモータ駆動装置10の軸線方向中央部に配置される。インホイールモータ駆動装置10は、電動車両を時速0〜180km/hで走行させることができる。
図6に示すように車輪ハブ軸受部11は、回転内輪・固定外輪とされ、図示しない車輪ホイールと結合する回転輪(ハブ輪)としての内輪12と、内輪12の外径側に同軸に配置される固定輪としての外輪13と、内輪12と外輪13との間の環状空間に配置される複数の転動体14を有する。
外輪13の外周面には周方向に間隔を空けて複数の外輪突出部が立設される。外径方向に突出する各外輪突出部13fには貫通孔が穿設される。各貫通孔は軸線Oと平行に延び、軸線O方向一方側からボルト15が通される。各ボルト15の軸部は、本体ケーシング38の正面部分38fに穿設される雌ねじ孔と螺合する。これにより外輪13は正面部分38fに連結固定される。なお正面部分38fは減速部31の軸線O方向一方端を覆うケーシング壁部である。
内輪12は、外輪13よりも長い筒状体であり、外輪13の中心孔に通される。外輪13からインホイールモータ駆動装置10の外部へ突出する内輪12の軸線O方向一方端部には、結合部12fが形成される。結合部12fはフランジであり、図示しないブレーキロータおよび車輪ホイールW(図2)と同軸に結合するための結合部を構成する。内輪12は、結合部12fで車輪ホイールW(図2)と結合し、車輪と一体回転する。
内輪12および外輪13間の環状空間には、複数列の転動体14が配置される。内輪12の軸線O方向中央部の外周面は、第1列に配置される複数の転動体14の内側軌道面を構成する。内輪12の軸線O方向他方端部外周には内側軌道輪12rが嵌合する。内側軌道輪12rの外周面は、第2列に配置される複数の転動体14の内側軌道面を構成する。外輪13の軸線O方向一方端部の内周面は、第1列の転動体14の外側軌道面を構成する。外輪13の軸線O方向他方端部の内周面は、第2列の転動体14の外側軌道面を構成する。内輪12および外輪13間の環状空間には、シール部材16がさらに介在する。シール部材16は環状空間の両端を封止して、塵埃および異物の侵入を阻止する。内輪12の軸線O方向他方端の中心孔には減速部31の出力軸37が差し込まれてスプライン嵌合する。
モータ部21は、モータ回転軸22、ロータ23、ステータ24、およびモータケーシング25を有し、この順序でモータ部21の軸線Mから外径側へ順次配置される。モータ部21は、インナロータ、アウタステータ形式のラジアルギャップモータであるが、他の形式であってもよい。例えば図示しなかったがモータ部21はアキシャルギャップモータであってもよい。
モータ回転軸22およびロータ23の回転中心になる軸線Mは、車輪ハブ軸受部11の軸線Oと平行に延びる。つまりモータ部21は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oから離れるようオフセットして配置される。例えば図5に示すようにモータ部の軸線Mは、軸線Oから車両前後方向にオフセットして、具体的には軸線Oよりも車両前方、に配置される。
説明を図6に戻すと、モータ回転軸22の両端部は、転がり軸受27,28を介して、本体ケーシング38の背面部分38bと、モータ部21のモータケーシングカバー25vに回転自在に支持される。モータケーシング25は略円筒形状であり、軸線M方向一方端で本体ケーシング38の背面部分38bと一体に結合し、軸線M方向他方端を板状のモータケーシングカバー25vで封止される。
モータ回転軸22の他方端は転がり軸受28を超えて車幅方向内側へ突出する。かかるモータ回転軸22の他方端部には回転速度センサ26が設けられる。回転速度センサ26は、モータケーシングカバー25vに支持されるとともに、センサカバー25cで封止される。センサカバー25cは、モータケーシングカバー25vに中心部(軸線M)に形成されて回転速度センサ26を収容するセンサボックス85を軸線M方向他方側から覆う。
図1に示すようにセンサカバー25cは、センサボックス85と同じ形状にされる。センサボックス85には舌部86tを有するスリーブ86が雄ねじ等の固定要素で取付固定される。かかる雄ねじは舌部86tを貫通してセンサボックス85に螺合する。スリーブ86の中心孔には信号線87が通され、スリーブ86は信号線87の外周に密着する。信号線87は互いに絶縁された複数の芯線と、これらの芯線を1本にまとめる被覆部とを含む屈曲可能な電気ケーブルである。信号線87の一端はセンサボックス85の内部に引き込まれ、回転速度センサ26や、インホイールモータ駆動装置10の内部に設けられる図示しない温度センサ等と接続する。信号線87の他端は車体に搭載される図示しない電気機器と接続する。
説明を図6に戻すと減速部31は、モータ部21のモータ回転軸22と同軸に結合する入力軸32sと、入力軸32sの外周面に同軸に設けられる入力歯車32と、複数の中間歯車33,35と、これら中間歯車33,35の中心と結合する中間軸34と、車輪ハブ軸受部11の内輪12と同軸に結合する出力軸37と、出力軸37の外周面に同軸に設けられる出力歯車36と、これら複数の歯車および回転軸を収容する本体ケーシング38を有する。本体ケーシング38は減速部31の外郭をなすことから減速部ケーシングともいう。
入力歯車32は、外歯のはすば歯車である。入力軸32s中空構造であり、この中空の入力軸32sに、モータ回転軸22の軸線方向一方端部が差し込まれて相対回転不可能にスプライン嵌合(セレーションも含む、以下同じ)される。入力軸32sは入力歯車32の両端側で、転がり軸受32m,32nを介して、本体ケーシング38の正面部分38fおよび背面部分38bに回転自在に支持される。
減速部31の中間軸34の回転中心になる軸線Nは軸線Oと平行に延び、中間軸34の両端は、軸受34m,34nを介して、本体ケーシング38の正面部分38fおよび背面部分38bに回転自在に支持される。中間軸34の中央部には、第1中間歯車33および第2中間歯車35が、中間軸34の軸線Nと同軸に設けられる。第1中間歯車33および第2中間歯車35は、外歯のはすば歯車であり、第1中間歯車33の径が第2中間歯車35の径よりも大きい。大径の第1中間歯車33は、第2中間歯車35よりも軸線N方向他方側に配置されて、小径の入力歯車32と噛合する。小径の第2中間歯車35は、第1中間歯車33よりも軸線N方向一方側に配置されて、大径の出力歯車36と噛合する。
中間軸34の軸線Nは、図5に示すように、軸線Oおよび軸線Mよりも上方に配置される。また中間軸34の軸線Nは、軸線Oよりも車両前方、軸線Mよりも車両後方に配置される。減速部31は、互いに平行に延びる軸線O,N,Mを有する3軸の平行軸歯車減速機である。
説明を図6に戻すと出力歯車36は外歯のはすば歯車であり、出力軸37の中央部に同軸に設けられる。出力軸37は軸線Oに沿って延びる。出力軸37の軸線O方向一方端部は、内輪12の中心孔に差し込まれて相対回転不可能に嵌合する。かかる嵌合は、スプライン嵌合あるいはセレーション嵌合である。出力軸37の軸線O方向他方端部は、転がり軸受37nを介して、本体ケーシング38の背面部分38bに回転自在に支持される。
出力歯車36の軸線O方向一方端面には、環状凹部36cが形成される。環状凹部36cは軸線Oを中心とする。本体ケーシング38の正面部分38fには、環状凹部36cに受け入れられる環状凸部38gが形成される。これら環状凹部36cの内径側部分と環状凸部38gの内径側部分との間には転がり軸受37mが設けられる。これにより出力軸37の軸線O方向中央部は、転がり軸受37mを介して、本体ケーシング38の正面部分38fに回転自在に支持される。
減速部31は、小径の駆動歯車と大径の従動歯車の噛合、即ち入力歯車32と第1中間歯車33の噛合、また第2中間歯車35と出力歯車36の噛合、により入力軸32sの回転を減速して出力軸37に伝達する。
本体ケーシング38は、筒状部分と、当該筒状部分の両端を覆う板状の正面部分38fおよび背面部分38bを含む。筒状部分は、互いに平行に延びる軸線O、N、Mを取り囲むように減速部31の内部部品を覆う。板状の正面部分38fは、減速部31の内部部品を軸線方向一方側から覆う。板状の背面部分38bは、減速部31の内部部品を軸線方向他方側から覆う。本体ケーシング38の背面部分38bは、モータケーシング25と結合し、減速部31の内部空間およびモータ部21の内部空間を仕切る隔壁でもある。モータケーシング25は本体ケーシング38に支持されて、本体ケーシング38から軸線方向他方側へ突出する。
本体ケーシング38は、減速部31の内部空間を区画し、減速部31の全ての回転要素(回転軸および歯車)を内部空間に収容する。図5に示すように本体ケーシング38の下部は、オイル貯留部39とされる。オイル貯留部39は入力歯車32の下方に配置される。本体ケーシング38の内部空間の下部を占めるオイル貯留部39には、モータ部21および減速部31を潤滑する潤滑油が貯留する。
入力軸32sと、中間軸34と、出力軸37は、上述した転がり軸受によって両持ち支持される。転がり軸受32m,34m,37m,32n,34n,37nはラジアル軸受である。
環状凹部36cによって出力歯車36の内径部分は軸線O方向に窪んだ形状にされ、出力歯車36の内径部分の板厚寸法は出力歯車36の歯幅よりも小さくされる。環状凹部36cは転がり軸受37mを収容する。このように軸線O方向位置に関し、出力歯車36と転がり軸受37mとを重ねるように配置して、インホイールモータ駆動装置10の軸線方向寸法を小さくすることができる。
パークロック機構41は、被係合部材としてのパークギア42と、係合部材としてのパークポール43と、パークポール43を揺動させる移動部材としてのパークカム44とを有する。パークギア42は、入力軸32sの外周に同軸に取付固定されている。図5に示すようにパークギア42は、歯車の歯底面および1対の歯面を構成する凹部42aを含む。図6に示す実施形態の他、図示しない変形例として、パークギア42は、モータ回転軸22の外周に同軸に取付固定されてもよい。
パークポール43は一端を支点とすることにより他端が揺動するレバー部材であって、パークギア42と隣り合うように配置される。図5に示すようにパークポール43は、パークギア42に噛み合うロック位置(実線)とパークギア42から離れるロック解除位置(仮想線)との間を揺動する。パークポール43は一端で枢軸45に回動可能に枢支される。枢軸45は本体ケーシング38の内壁面に立設され、軸線Mと平行に延びる。パークポール43は、一端と他端との間に、パークギア42と向き合う正面およびパークギア42とは反対側の背面を有する。パークポール43には、パークギア42の凹部42aに係合する凸部43aが形成される。凸部43aはパークポール43の他端に配設される。
図5に実線で示すようにパークポール43がロック位置にされてパークポール43の凸部43aがパークギア42の凹部42aに係合すると、パークギア42の回転がロックされて、入力軸32sは回転できない。そしてモータ回転軸22から減速部31を経て内輪12に至る駆動伝達経路は回転不能に保持され、車輪が回転しないロック状態が実現する。
反対に図5に仮想線で示すようにパークポール43がロック解除位置にされてパークポール43の凸部43aがパークギア42の凹部42aに係合しないときには、パークギア42の回転が許容されて、入力軸32sは回転が可能になる。つまりモータ回転軸22から減速部31を経て内輪12に至る駆動伝達経路は回転を許容され、車輪の回転が可能になる。
パークポール43からみてパークギア42と反対側(パークポール背面側)には、パークカム44および回動軸46が設けられている。回動軸46はパークカム44を支持する支持部材であり、図6で示すように、一端で本体ケーシング38の内壁面に回動可能に支持され、中央部でパークカム44と結合する。回動軸46の他端は、本体ケーシング38を貫通し、本体ケーシング38の外部に設けられるパークロック作動部47と結合する。パークカム44は、図5で示すように、略円形の部材であり、中心で回動軸46と結合する。パークカム44の外周の一部は、残りの外周よりも外径方向に膨出するように形成されてカム部分44aをなす。パークカム44が回動すると、カム部分44aはパークポール43の背面を押圧したり、パークポール43の背面から後退したりする。
図5に実線で示すようにパークカム44は、パークポール43の背面を押圧し、パークポール43の凸部43aを、パークギア42の凹部42aに係合しないロック解除位置(図5の仮想線)から、係合するロック位置(図5の実線)に回動させる。反対にパークポール43をロック位置からロック解除位置に移動する場合には、パークカム44は仮想線で示すようにパークポール43の背面から後退するように回動し、図示しないねじりばねの付勢力によってパークポール43を仮想線で示すロック解除位置に復帰させる。
パークロック機構41において、パークギア42、パークポール43、パークカム44、枢軸45、および回動軸46の一端部は、図6で示すように、本体ケーシング38の内部に収容されている。つまり、本実施形態のパークロック機構41は、内蔵型である。
また、パークギア42、パークポール43、およびパークカム44は、図5に示すように、オイル貯留部39の上部空間と隣り合うよう配置されている。また、パークギア42、パークポール43、およびパークカム44は、中間歯車35よりも下方に配置される。
図6に示すようにパークギア42、パークポール43、およびパークカム44の軸線方向位置は、中間歯車35の軸線方向位置と重なる。具体的には、パークギア42、パークポール43、およびパークカム44の軸線方向寸法は、中間歯車35の歯幅よりも小さく、中間歯車35の歯幅寸法に収まる。
パークロック作動部47は、本体ケーシング38の外部に取り付けられる。またパークロック作動部47は、図5を参照して回動軸46の背後(車幅方向内側)に配置される。
図6に示すようにパークロック作動部47は、パークロック用ワイヤ48の一端と結合する。パークロック作動部47は、回動軸46を正転あるいは逆転させて、パークカム44を回動させる。かかるパークカム44の回動によって、パークポール43はロック位置およびロック解除位置のいずれか一方に移動する。
パークロック用ワイヤ48のうち図示しない他端は、電動車両の車体まで延びる。具体的には図8に示すように車体101に搭載されるパークロック操作部105と接続する。パークロック操作部105はシフトレバー等の操作子を有し、パークロック作動部47を動作させる。パークロック用ワイヤ48は図6で示すように、アウタチューブ48tおよびインナワイヤ48wを含む。インナワイヤ48wはアウタチューブ48t内を摺動するように押し引き可能である。車体101の車室空間に居る電動車両の運転者がシフトレバーを操作すると、インナワイヤ48wがアウタチューブ48t内部を進退動し、パークロック作動部47が駆動され、パークポール43をロック位置およびロック解除位置のいずれか一方に移動させる。
パークロック用ワイヤ48は、図1に示すようにインホイールモータ駆動装置10側の一端から車体側の他端までの間に、一端部48a、前後方向領域48b、屈曲部48c、第1領域48d、中間領域48e、および第2領域48fを含む。一端部48a、前後方向領域48b、屈曲部48c、第1領域48d、中間領域48e、および第2領域48fはこの順序で連続する。
図3に示すようにパークロック用ワイヤ48は、パークロック作動部47から車幅方向内側へ延びるが、一端部48aですぐに車両後方へ向きを変えるように屈曲し、前後方向領域48bの一端と接続する。前後方向領域48bは水平方向、具体的には車両前後方向、に延び、前後方向領域48bの他端で屈曲部48cの一端と接続する。前後方向領域48bはクランプ部材49に把持される。クランプ部材49はサスペンション装置70からみて車輪側メンバ(ばね下部材)に支持される。クランプ部材49は具体的にはモータケーシングカバー25vに取付固定され、前後方向領域48bの中央部分を支持する。クランプ部材49は前後方向領域48bの外周を受け入れる凹部を有し、前後方向領域48bが上下方向に相対移動しないように把持するが、前後方向領域48bの延在方向において前後方向領域48bの若干の移動を許容する。
図2に示すように屈曲部48cは、インホイールモータ駆動装置10側から車体101側に向かって下方へ屈曲するように延び、屈曲部48cの他端で第1領域48dの上端と接続する。
第1領域48dは、転舵軸線Kに沿って上下方向に延びるが、転舵軸線Kに一致することに限定されず、転舵軸線Kと略平行に延びる。ただし第1領域48dは転舵軸線Kに近くなるよう配線されることが好ましい。第1領域48dの下端は中間領域48eの一端と接続する。
中間領域48eは、両端が上方になり中央部が下方になるように湾曲して延びる。中間領域48eの他端は第2領域48fの下端と接続する。第2領域48fは、転舵軸線Kから離れた位置に配線されて上下方向に延びる。つまり一連の第1領域48dと中間領域48eと第2領域48fは、図1および図2に示すようにU字状に配線される。
一連の第1領域48dと中間領域48eと第2領域48fは、後述する複数の動力線93に沿って延びる。パークロック用ワイヤ48は第2領域48fよりも上方でクランプ部材94に把持される。クランプ部材94は、パークロック用ワイヤ48および複数の動力線93を束ねる。本実施形態のクランプ部材94は、パークロック用ワイヤ48のうち第2領域48fよりも他端に近い車体側部分を支持するとともに、第2領域48fを上下方向に延びる姿勢に維持する。
クランプ部材94は、サスペンション装置70からみて車体側メンバ(ばね上部材ともいう)に支持され、具体的にはブラケット95を介して車体101に取付固定される。クランプ部材94はパークロック用ワイヤ48の車体側部分の外周を受け入れる凹部あるいは貫通孔を有し、車体側部分が車幅方向および車両前後方向に相対移動しないように把持するが、車体側部分の延在方向において第2領域48fの若干の移動、つまり若干の上下移動、を許容する。これに対し第1領域48dと中間領域48eと第2領域48fはクランプ部材等によって何ら把持されず、宙に浮いている。
ブラケット95をホイールハウス102よりも車幅方向内側に配置することにより、車体側領域(第2領域)93fをホイールハウス102の仕切壁よりも車幅方向内側に配線することができる。そしてホイールハウス102を迂回するようにパークロック用ワイヤ48を配線し得るのみならず、ホイールハウス102の仕切壁をインホイールモータ駆動装置10に近づけてホイールハウス102を小さくすることができる。
図1および図2に示すように、モータ部21の上部には動力線端子箱25bが附設される。動力線端子箱25bは、モータケーシング25(図6)の上部およびモータケーシングカバー25v(図6)の上部に跨って形成され、略円筒形状のモータケーシング25から上方へ突出した位置に配置される。動力線端子箱25bは複数の動力線接続部91を有する。本実施形態は上下方向に間隔を空けて整列する3個の動力線接続部91を有し、インバータ103(図8)からの電力を受電する。各動力線接続部91は1対の雌ねじ孔および貫通孔を含み、各貫通孔に各動力線93の一端が通される。各雌ねじ孔については後述する。動力線93の芯線は、動力線端子箱25b内部で、ステータ24のコイル24c(図6)から延びる導線と接続する。
各動力線93の端部外周には円筒状のスリーブ92が嵌合する。スリーブ92は、動力線93の外周に密着して、各動力線93を保護するとともに、各動力線の端部に取り付け固定される。また各スリーブ92は、動力線93の一端部とともに動力線接続部91の貫通孔に差込固定されて、動力線93の一端部を保持し、さらに動力線接続部91の貫通孔と動力線93との環状隙間を封止する。スリーブ92を抜け止めするため、スリーブ92の外周面には、スリーブ外径方向に突出する舌部92tが形成される。また舌部92tには貫通孔が形成される。舌部92tの貫通孔には図1に示すようにボルト91bがねじ込まれ、各ボルト91bが動力線接続部91の雌ねじ孔に螺合することにより各スリーブ92は動力線接続部91に取付固定される。
各動力線93は導電体からなる芯線と、芯線の全周を覆う絶縁体の被覆部からなる。各動力線93の一端は、各動力線接続部91および各スリーブ92によって、他端側が車両後方かつ車幅方向内側に向かって斜めの姿勢になるよう保持される。動力線93の他端は、車体101に搭載されるインバータ103(図8)と接続する。インバータは電気機器の一種である。
各動力線93は、動力線93の一端と他端の間に、連続して延びる3つの領域を含む。これら3つの領域のうち、ばね下部材のインホイールモータ駆動装置10と接続する側の領域をインホイールモータ駆動装置側領域(第1領域)93dと呼び、ばね上部材の車体101と接続する側の領域を車体側領域(第2領域)93fと呼び、インホイールモータ駆動装置側領域93dと車体側領域93fの間の領域を中間領域93eと呼ぶ。
各動力線接続部91と接続する各動力線93の一端部は、インホイールモータ駆動装置側領域93dに向かって水平方向に延出するが、すぐに下方へ向きを変えるよう屈曲して延び、インホイールモータ駆動装置側領域93dの上側に連なる。
インホイールモータ駆動装置側領域93dは、上下方向に延び、インホイールモータ駆動装置側領域93dの上側でインホイールモータ駆動装置10側と接続し、インホイールモータ駆動装置側領域93dの下端で中間領域93eの一端と接続する。車体側領域93fは、上下方向に延び、車体側領域93fの下端で中間領域93eの他端と接続し、車体側領域93fの上端で車体101側と接続する。中間領域93eは、中間領域93eの両側を上方とし中間領域93eの中間部分を下方として湾曲して延びる。つまり一連のインホイールモータ駆動装置側領域93dと中間領域93eと車体側領域93fは、図1および図2に示すように、下側が閉じ上側が開いたU字状に湾曲した状態で、ばね下部材としてのインホイールモータ駆動装置10およびばね上部材としての車体101に保持される。
動力線93はクランプ部材94に支持される。クランプ部材94は具体的には動力線93のうち車体側領域93fよりも車体側部分を支持する。クランプ部材94は車体側領域93fの外周を受け入れる凹部あるいは貫通孔を有し、車体側部分が車幅方向および車両前後方向に相対移動しないように把持するが、車体側部分の延在方向、つまり上下方向、において車体側部分の若干の移動を許容する。これに対しインホイールモータ駆動装置側領域93dと中間領域93eと車体側領域93fはクランプ部材によって把持されてなく、宙に浮いている。
なおクランプ部材94は、複数の動力線93およびパークロック用ワイヤ48を共通する凹部あるいは貫通孔で束ねてもよいし、あるいは個々の動力線93およびパークロック用ワイヤ48を通すための凹部あるいは貫通孔を複数有してもよい。
クランプ部材94はブラケット95を介して車体101に取付固定される。ブラケット95をホイールハウス102よりも車幅方向内側に配置することにより、車体側領域93fをホイールハウス102の仕切壁よりも車幅方向内側に配線することができる。そしてホイールハウス102を迂回するように動力線93を配線し得るのみならず、ホイールハウス102の仕切壁をインホイールモータ駆動装置10に近づけてホイールハウス102を小さくすることができる。
図2に示すようにインホイールモータ駆動装置側領域93dは、転舵軸線Kに沿って配置され、上下方向に延びる。転舵軸線Kに沿って配置されるとは、転舵軸線Kと一致することに限定されず、転舵軸線Kと略平行に延びることをいう。ただしインホイールモータ駆動装置側領域93dは転舵軸線Kになるべく近くなるよう配線されることが好ましい。
図8に示すように本実施形態では転舵軸線Kを中心として、ロアコイルスプリングシート79cの半径の2倍の所定半径領域79eに、複数のインホイールモータ駆動装置側領域93dが配置される。これによりインホイールモータ駆動装置側領域93dは転舵軸線に沿って上下方向に延びる。また転舵軸線K方向にみて、複数のインホイールモータ駆動装置側領域93dのうち少なくとも1本が、ロアコイルスプリングシート79cの投影領域79dと重なる。
前述したパークロック用ワイヤ48の第1領域48dも、ロアコイルスプリングシート79c半径の2倍の所定半径領域79eに配線される。好ましい形態として第1領域48dは、ロアコイルスプリングシート79cの投影領域79dと重なるとよい。
あるいは、図8に示すロアコイルスプリングシート79cをアッパコイルスプリングシート79b(図1)に代替して、アッパコイルスプリングシート79bの所定半径領域または投影領域に第1領域48dおよびインホイールモータ駆動装置側領域93dを配線するとよい。
図2に示すように、クランプ部材94の上下方向位置は、3個の動力線接続部91のうち少なくとも1個の上下方向位置と重なる。このため一連のインホイールモータ駆動装置側領域93d、中間領域93e、車体側領域93fは、下側が閉じ上側が開いたU字状に湾曲した状態で、ばね下部材としてのインホイールモータ駆動装置10およびばね上部材としての車体101に保持される。
図1に示すように、動力線端子箱25bおよび3個の動力線接続部91は軸線Oよりも車両前方に配置され、各動力線接続部91は車両後方に指向する。これによりインホイールモータ駆動装置側領域93dを転舵軸線Kの近傍に配線することができる。あるいは図示しない変形例として、動力線端子箱25bおよび3個の動力線接続部91は軸線Oよりも車両後方に配置され、各動力線接続部91は車両前方に指向してもよい。
また3個の動力線接続部91は軸線Oよりも車両前方に配置され、クランプ部材94は軸線Oよりも車両後方に配置される。これによりインホイールモータ駆動装置側領域93dを転舵軸線Kの近傍に配線することができる。またインホイールモータ駆動装置側領域93dに沿って延びる第1領域48dも転舵軸線Kの近傍に配線することができる。
あるいは図示しない変形例として、3個の動力線接続部91は軸線Oよりも車両後方に配置され、クランプ部材94は軸線Oよりも車両前方に配置されてもよい。いずれにせよインホイールモータ駆動装置10が転舵しない直進状態で、図1に示すようにインホイールモータ駆動装置側領域93dの車両前後方向位置が、車体側領域93fの車両前後方向位置に重なるよう配置されるとよい。
図2に示すようにインホイールモータ駆動装置側領域93dは相対的に車幅方向外側に配置され、車体側領域93fは車幅方向内側に配置される。このため中間領域93eは車幅方向に延びる。中間領域93eは、両側をインホイールモータ駆動装置側領域93dおよび車体側領域93fに接続することで、クランプ部材等によって何ら把持されず、宙に浮いている。
なお図示はしなかったが、信号線87も、動力線93に沿って延びて、U字状に配線されてもよい。
ところで第1実施形態のパークロック用ワイヤ48の配線構造は、車輪ホイールWのハブを駆動するモータ部21、および車輪ホイールWのハブを回転不能に保持するパークロック機構41を有するインホイールモータ駆動装置10と、インホイールモータ駆動装置10を車体101に連結するサスペンション装置70と、一端がパークロック機構と接続し他端が車体101に搭載されるパークロック操作部105(図8)と接続しパークロック機構41を動作させる屈曲可能なパークロック用ワイヤ48と、一端がモータ部21と接続し他端が車体101に搭載される電気機器と接続しモータ部21に電力を供給する屈曲可能な動力線93とを備え、パークロック用ワイヤ48は動力線93に沿って配線される。かかる第1実施形態の配線構造によれば、サスペンション装置70が上下に伸縮してインホイールモータ駆動装置10がバウンドおよびリバンウンドする際にパークロック用ワイヤ48は動力線93とともに曲げ伸ばしされる。したがってパークロック用ワイヤ48の曲げ伸ばしが緩和されて、耐久性が向上する。
また第1実施形態のパークロック用ワイヤ48の配線構造によれば、サスペンション装置70が上下方向に延びる転舵軸線Kを中心としてインホイールモータ駆動装置10を転舵可能とし、動力線93は一端と他端との間に転舵軸線Kに沿って上下方向に延びるインホイールモータ駆動装置側領域(第1領域)93dを含み、パークロック用ワイヤ48はインホイールモータ駆動装置側領域(第1領域)93dに沿って配線される。かかる第1実施形態の配線構造によれば、インホイールモータ駆動装置10が転舵軸線Kを中心として転舵される際にパークロック用ワイヤ48が動力線93とともにねじれるにすぎない。したがってパークロック用ワイヤ48は特定の箇所で繰り返し曲げ伸ばしされ難くなり、繰り返し受けるねじれも緩和されて、耐久性が向上する。
また第1実施形態によれば、動力線93がインホイールモータ駆動装置側領域(第1領域)93dと他端との間に中間領域93eおよび車体側領域(第2領域)93fをさらに含み、インホイールモータ駆動装置側領域(第1領域)93dは上側でインホイールモータ駆動装置10側と接続し下側で中間領域93eと接続し、車体側領域(第2領域)93fは上下方向に延び下側で中間領域93eと接続し上側で車体101側と接続し、中間領域93eは両側を上方とし中間部分を下方として湾曲して延び、パークロック用ワイヤ48は中間領域93eおよび車体側領域(第2領域)93fに沿って延びる。これによりパークロック用ワイヤ48の全域で、曲げ伸ばしおよびねじれが緩和されて、耐久性が向上する。
また第1実施形態によれば、パークロック用ワイヤ48はインナワイヤ48wおよびアウタチューブ48tを含み、インナワイヤ48wはアウタチューブ48t内に通されて、アウタチューブ48t内を進退動する。これによりパークロック操作部105は、パークロック作動部47を機械的に動作させることができる。
また第1実施形態のインホイールモータ駆動装置10は、車輪ホイールWと結合するための結合部12fを含むハブ輪としての内輪12、内輪12の内径側あるいは外径側に同軸配置される固定輪としての外輪13、および内輪12と外輪13との環状隙間に介在する複数の転動体14を有し、外輪13で内輪12を回転自在に支持する車輪ハブ軸受部11、内輪12を駆動するモータ部21、モータ部21から内輪12までの駆動伝達経路に含まれる回転要素を回転不能に保持するパークロック機構41、モータ部21から車体101まで延びる屈曲可能な動力線93、およびパークロック機構41から車体101まで延びる屈曲可能なパークロック用ワイヤ48を備え、パークロック用ワイヤ48は動力線93に沿って延びる。かかる第1実施形態のインホイールモータ駆動装置10によれば、パークロック用ワイヤ48が動力線93に沿って配線されることから、パークロック用ワイヤ48は動力線と同じ変形量で曲げ伸ばしされる。したがってパークロック用ワイヤ48の曲げ伸ばしが緩和され、パークロック用ワイヤ48は特定の箇所で繰り返し曲げ伸ばしされ難くなり、耐久性が向上する。
次に第1実施形態の変形例を説明する。図9はインホイールモータ駆動装置の変形例を示す横断面図であり、減速部内部を車幅方向外側からみた状態を表す。図9に示す変形例につき、前述した図5に示す実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。変形例のパークロック機構51は、図5に示すパークロック機構41と基本的には同様の構成を備えているが、パークカム44の代わりにパークロッド54を用いる点において主に異なる。
具体的には、サポート部材53とパークロッド54とスプリング55と揺動部材57とを有している。パークロッド54は、パークポール43を仮想線で示すロック解除位置から実線で示すロック位置に移動させて、パークポール43の凸部43aをパークギア42の凹部42aに係合させる。
パークロッド54の先端には段差部材52が設けられる。段差部材52はパークロッド54に沿って摺動可能である。段差部材52は先端幅狭で末端幅広の形状であり、側面に段差を有する。段差部材52の一方側面は、パークポール43に接触する。段差部材52の他方側面は、サポート部材53と接触する。
パークロッド54の末端には、枢軸56を介して揺動部材57の一端が連結されている。揺動部材57の他端は回動軸46と結合する。揺動部材57の一端は、回動軸46の回動に伴って変位する。なお回動軸46は前述したパークロック作動部47によって回動される。
パークロッド54は、スプリング55に通される。スプリング55は段差部材52と揺動部材57との間に縮設されて、段差部材52をパークロッド54の先端側へ付勢する。
サポート部材53は、パークロッド54の他方側面に沿って配置され、本体ケーシング38の内壁面に取付固定されている。サポート部材53には、段差部材52の他方側面に形成された段差と係合する段差部が形成されている。
パークポール43のロック解除位置(仮想線)では、パークポール43はパークギア42から離れ、パークポール43の凸部43aはパークギア42の凹部42aに係合していない。このパークロック解除状態では、揺動部材57によってパークロッド54がサポート部材53に近い位置にされ、段差部材52の段差部がサポート部材53の段差部に係止され、段差部材52はパークポール43の背面を押圧しない。
パークポール43をロック解除位置(仮想線)からロック位置(実線)に移動させる場合には、揺動部材57を揺動させてパークロッド54をサポート部材53から遠ざける。そうすると段差部材52の段差部がサポート部材53の段差に乗り上げ、段差部材52の一方側面がパークポール43の背面を押圧する。これにより、パークポール43をロック解除位置(仮想線)からロック位置(実線)に移動させる。
図9に示す変形例においても、図6に示すインナワイヤ48wの進退動によって揺動部材57を揺動させ、車輪のロック状態およびパークロック解除状態を実現することができる。
次に本発明の第2実施形態になるパークロック用ワイヤの配線構造を説明する。図10は第2実施形態を示す模式図であり、車両前方からみた状態を表す。第2実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第2実施形態のパークロック用ワイヤ48は、図10に示すようにインホイールモータ駆動装置10側の一端から車体101側の他端までの間に、一端部48a、第1領域48h、中間領域48i、および第2領域48jを含む。一端部48a、第1領域48h、中間領域48i、および第2領域48jはこの順序で連続する。
一端部48aはパークロック作動部47から車幅方向内側へ延びるが、すぐに向きを変えるように延びて上方かつ車両後方へ屈曲し、第1領域48hの下端と接続する。第1領域48hはストラット76に沿って配線され、上下方向に延びる。第1領域48hの下端はクランプ部材96で把持される。第1領域48hの上端はアッパコイルスプリングシート79bに把持され、中間領域48iの一端と接続する。クランプ部材96およびアッパコイルスプリングシート79bは第1領域48hを転舵軸線Kに沿って延びるように保持する。パークロック用ワイヤ48は、アッパコイルスプリングシート79bよりも上方で、ホイールハウス102の仕切壁に形成された貫通孔104に通されて、車体101内部に引き込まれる。
クランプ部材96は、インホイールモータ駆動装置10よりも上方に配置され、ストラット76の下端部に取付固定される。ストラット76の下端部はばね下部材である。クランプ部材96はパークロック用ワイヤ48の外周を受け入れる凹部あるいは貫通孔を有し、車幅方向および車両前後方向に相対移動しないように把持するが、パークロック用ワイヤ48の延在方向において第1領域48hの若干の移動、つまり若干の上下移動、を許容する。
パークロック用ワイヤ48の第2領域48jは、車体101内部に配置され、上下方向に延びる。第2領域48jの上端は、中間領域48iの他端と接続する。第2領域48jの下端は、パークロック用ワイヤ48の図示しないシフトレバーもしくはアクチュエータと接続する。
パークロック用ワイヤ48は第2領域48jよりも他端側で、クランプ部材94に把持され、上下方向に延びる姿勢に保持される。このため第2領域48jは、クランプ部材等によって何ら把持されることなく、宙に浮いていて、クランプ部材94よりも上側で上下方向に延びる。
中間領域48iは、アッパコイルスプリングシート79bよりも上方にあって、車体101内部に配置され、車幅方向に延びる。より具体的には中間領域48iは、両側を下方とし中間部分を上方として湾曲して延びる。中間領域48iは、貫通孔104よりも上方で、クランプ部材によって把持されることなく、宙に浮いている。
一連の第1領域48h、中間領域48i、第2領域48jは、上側が閉じ下側が開いた逆U字状に湾曲した状態で、ストラット76および車体101に保持される。
クランプ部材94,96は、複数の動力線93をさらに把持する。つまりクランプ部材94,96は、パークロック用ワイヤ48および複数の動力線93を束ねている。
複数の動力線93は一端から他端までの間に、インホイールモータ駆動装置側領域93h、中間領域93i、車体側領域93jを含む。これらの領域はこの順序で連なり、パークロック用ワイヤ48の第1領域48h、中間領域48i、第2領域48jは動力線93に沿って延びる。
図10に示す第2実施形態によれば、動力線93は第1領域になるインホイールモータ駆動装置側領域93hと他端との間に、中間領域93iおよび車体側領域(第2領域)93jをさらに含み、インホイールモータ駆動装置側領域(第1領域)93hは下側でインホイールモータ駆動装置10側と接続し上側で中間領域93iと接続し、車体側領域(第2領域)93iは上下方向に延び上側で中間領域93iと接続し下側で車体101側と接続し、中間領域93iは両側を下方とし中間部分を上方として湾曲して延び、パークロック用ワイヤ48は中間領域93iおよび車体側領域(第2領域)93jに沿って配線される。これによりパークロック用ワイヤ48の大部分で、繰り返し曲伸ばしされ難くなり、耐久性が向上する。
次に本発明の第3実施形態になるパークロック用ワイヤの配線構造を説明する。第3実施形態は、車体の前後左右に車輪を備える4輪車の後輪に適用される。図11は第3実施形態を模式的に示す斜視図であり、車両前方かつ車幅方向内側かつ上方からみた状態を表す。図12は第3実施形態を示す模式図であり、車幅方向内側からみた状態を表す。第3実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
まず第3実施形態のサスペンション装置につき説明すると、サスペンション装置110は、トレーリングアーム111および3本のリンク部材113,114,115を有する。トレーリングアーム111は電動車両の車両前後方向に延び、前端111fが枢軸112を介して図示しない車体側メンバと連結し、後端111bがインホイールモータ駆動装置10と結合する。枢軸112の揺動軸線Xは車幅方向に水平に延びる。トレーリングアーム111は前端111fを基端とし後端111bを遊端とし、枢軸112を中心として上下方向に揺動可能である。
トレーリングアーム111は、タイヤTおよびリム部Wrよりも車幅方向内側に配置され、上方あるいは下方からみるとタイヤTおよびリム部Wrを迂回するように屈曲して延びる。
3本のリンク部材113,114,115は電動車両の車幅方向に延びる。リンク部材113は相対的に車両前方に配置され、リンク部材115は相対的に車両後方に配置される。リンク部材114はリンク部材113およびリンク部材115よりも上方に配置される。
各リンク部材113〜115の車幅方向内側端は、枢軸を介して図示しない車体と連結する。リンク部材113の車幅方向外側端は、枢軸116を介してインホイールモータ駆動装置10下部の車両前方部位と連結する。リンク部材114の車幅方向外側端は、枢軸117を介してインホイールモータ駆動装置10の上部と連結する。リンク部材115の車幅方向外側端は、図示しない枢軸を介してインホイールモータ駆動装置10下部の車両後方部位と連結する。各リンク部材113〜115の両端に設けられる枢軸は、車両前後方向に延びる軸線を有する。各リンク部材113〜115は車幅方向内側端を基端とし車幅方向外側端を遊端として上下方向に揺動可能である。
第3実施形態の配線構造につき説明すると、後端111bよりも車幅方向内側には、動力線端子箱25bが設けられる。複数の動力線93は動力線端子箱25bの前端面から車両前方に引き出されるように延びる。
各動力線93の一端部はスリーブ92に通され、当該スリーブ92によって動力線端子箱25bに固定される、各動力線93は一端と他端の間に、連続して延びる複数の領域を含む。これら複数の領域を、一端から他端に向かって順に、屈曲部93a、上下方向部93b、屈曲部93c、インホイールモータ駆動装置側の第1領域93d、中間領域93e、車体側の第2領域93f、屈曲部93g、車体取り付け領域93kと呼ぶ。
各動力線93の一端部、すなわちスリーブ92、は動力線端子箱25bから車両前方に延びる。各動力線93は屈曲部93aで車両前方から下方へ向きを変えるように屈曲し、上下方向部93bで下方に延び、屈曲部93cで下方から車両前方へ向きを変えるように屈曲し、第1領域93dでトレーリングアーム111の車幅方向内側面に沿って車両前方に延び、中間領域93eで車両前方から車両後方に大きく向きを変えるように屈曲し、車体側の第2領域93fで車両後方に延び、屈曲部93gで車両後方から車幅方向内側に向きを変えるように屈曲し、車体取り付け領域93kで車幅方向内側から車両後方に向きを変えるように屈曲しながら延びる。図12を参照して車体取り付け領域93kはインホイールモータ駆動装置10および車輪(車輪ホイールWおよびタイヤT)を超えて車両後方に延びる。
各動力線93は、屈曲部93gでインホイールモータ駆動装置10およびリンク部材114を回避する。これにより車体取り付け領域93kはインホイールモータ駆動装置10およびリンク部材114よりも車幅方向内側に配置される。
複数の動力線93のうち少なくとも一本は中間領域93eで揺動軸線Xと交差する。あるいは動力線93は揺動軸線Xを周回するように屈曲して延びる。
インホイールモータ駆動装置10上部の車両前方部位には、センサボックス85およびパークロック作動部47が設けられる。センサボックス85は動力線端子箱25bの上側に隣接して設けられる。パークロック作動部47はセンサボックス85の車幅方向内側部分に隣接して設けられる。信号線87はセンサボックス85の前端面から車両前方に引き出されるように延びる。パークロック用ワイヤ48はパークロック作動部47の前端面から車両前方に引き出されるように延びる。
パークロック用ワイヤ48は、インホイールモータ駆動装置10のパークロック作動部47と接続する一端から図示しない車体側の他端までの間に、連続する複数の領域を含む。これら複数の領域を一端から他端に向かって順に、一端部48m、屈曲部48n、上下方向部48p、屈曲部48q、第1領域48d、中間領域48e、第2領域48f、屈曲部48g、車体取り付け領域48kと呼ぶ。
パークロック用ワイヤ48は、一端部48mおよび他端部を除く大部分で動力線93に沿って延びる。具体的には、第1領域48d、中間領域48e、第2領域48f、屈曲部48gのそれぞれが第1領域93d、中間領域93e、車体側の第2領域93f、屈曲部93gのそれぞれに寄り添うように延びる。また車体取り付け領域48kのうちの一端側が、車体取り付け領域93kの一端側に寄り添うように延びる。
一端部48mはパークロック作動部47から車両前方に略真っ直ぐに延びる。パークロック用ワイヤ48は屈曲部48nで車両前方から下方へ向きを変えるように屈曲し、上下方向部48pで下方に略真っ直ぐに延び、屈曲部48qで下方から車両前方へ向きを変えるように屈曲し、第1領域48dでトレーリングアーム111の車幅方向内側面に沿って車両前方に略真っ直ぐに延び、中間領域48eで車両前方から車両後方に大きく向きを変えるように屈曲し、車体側の第2領域48fで車両後方に延び、屈曲部48gで車両後方から車幅方向内側に向きを変えるように屈曲し、車体取り付け領域48kで車幅方向内側から車両後方に向きを変えるように屈曲しながら延び、さらに車両後方から車幅方向内側に向きを変えるように屈曲しながら延びる。
パークロック用ワイヤ48は、屈曲部48gでインホイールモータ駆動装置10を回避する。これにより車体取り付け領域48kはインホイールモータ駆動装置10よりも車幅方向内側に配置される。
パークロック用ワイヤ48の中間領域48eは揺動軸線Xを周回するように屈曲して延びる。あるいは中間領域48eは揺動軸線Xと交差する。
信号線87はセンサボックス85側の一端部および車体側の他端部を除き、大部分でパークロック用ワイヤ48に沿って延びる。具体的には信号線87は上下方向部48p、屈曲部48q、第1領域48d、中間領域48e、第2領域48f、および屈曲部48gに沿って延び、さらに車体取り付け領域48kの一端側に沿って延びる。
また信号線87は、センサボックス85側の一端部を除き、大部分で動力線93に沿って延びる。具体的には信号線87は第1領域93d、中間領域93e、第2領域93f、屈曲部93g、車体取り付け領域93kに寄り添うように延びる。
トレーリングアーム111の車幅方向内側にはクランプ部材97が取り付けられる。クランプ部材97は例えば環状であり、パークロック用ワイヤ48と信号線87と3本の動力線93を束ねるように把持し、これら複数本の線を一束にまとめる。さらにクランプ部材97は、トレーリングアーム111の長手方向に間隔を空けて複数設けられ、これら複数本の線をトレーリングアーム111に沿って配線する。なお、これら複数本の線は環状のクランプ部材97に通され、トレーリングアーム111の長手方向に若干の変位が可能である。これら複数本の線とは、第1領域48dと、第1領域93dと、信号線87のうち第1領域93dに対応する部分をいう。
図示しない車体側メンバにはクランプ部材98が取り付けられる。クランプ部材98は例えば環状であり、パークロック用ワイヤ48と信号線87と3本の動力線93を束ねるように把持し、これら複数本の線を一束にまとめる。なお、これら複数本の線は環状のクランプ部材98に通され、車両前後方向に若干の変位が可能である。これら複数本の線とは、第2領域48fと、第2領域93fと、信号線87のうち第2領域93fに対応する部分をいう。
第3実施形態の配線構造によれば、サスペンション装置110のトレーリングアーム111は、車幅方向に延びる揺動軸線Xを中心としてインホイールモータ駆動装置10を揺動可能とする。またサスペンション装置110のリンク部材113〜115は、車両前後方向に延びる軸線を中心としてインホイールモータ駆動装置10を揺動可能とする。そして、まとまって延びる動力線93およびパークロック用ワイヤ48のうちの少なくとも一方が、揺動軸線Xと略交差する。これによりインホイールモータ駆動装置10が上下にバウンドおよびリバウンドする際、互いに寄り添うように延びる一束の動力線93およびパークロック用ワイヤ48が、同じ変形量で曲げ伸ばしされる。したがってパークロック用ワイヤ48の曲げ伸ばしが緩和されて、パークロック用ワイヤ48の耐久性が向上する。
また第3実施形態の配線構造によれば、サスペンション装置110からみてばね下部材になるトレーリングアーム111に設けられて、動力線93およびパークロック用ワイヤ48を束ねて保持するインホイールモータ駆動装置10側のクランプ部材97と、サスペンション装置110からみてばね上部材になる車体側メンバに設けられて、動力線93およびパークロック用ワイヤ48を束ねて保持する車体側のクランプ部材98をさらに備える。これにより動力線93およびパークロック用ワイヤ48を互いに寄り添わせ、この状態を維持することができる。
上述した第1実施形態ないし第3実施形態によれば、パークロック用ワイヤ48が動力線93に沿って延びるので、インホイールモータ駆動装置10等のばね下部材が上方へバウンドおよび下方へリバウンドしたり、転舵したりしても、パークロック用ワイヤ48が動力線93よりも早期に破損せず、耐久性が向上する。
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明になる配線構造は、電気自動車およびハイブリッド車両において有利に利用される。
10 インホイールモータ駆動装置、 11 車輪ハブ軸受部、
21 モータ部、 31 減速部、 41 パークロック機構、
42 パークギア、 42a 凹部、 43 パークポール、
43a 凸部、 44 パークカム、 44a カム部分、
45 枢軸、 46 回動軸、 47 パークロック作動部、
48 パークロック用ワイヤ、 48a,48m 一端部、
48b 前後方向領域、 48c,48g,48n,48q 屈曲部、
48d,48h 第1領域、 48e,48i 中間領域、
48f,48j 第2領域、 48k 車体取り付け領域、
48p 上下方向部、 48t アウタチューブ、 48w インナワイヤ、
49 クランプ部材、 52 段差部材、 53 サポート部材、
54 パークロッド、 55 スプリング部材、 56 枢軸、
57 揺動部材、 61 懸架ブラケット、
70 サスペンション装置、 71 ロアアーム(サスペンション部材)、
72 車幅方向外側端、 73d,73f 車幅方向内側端、
76 ストラット(サスペンション部材)、 77 ショックアブソーバ、
78 コイルスプリング、 79b アッパコイルスプリングシート、
79c ロアコイルスプリングシート、 79d 投影領域、
79e 所定半径領域、 80 タイロッド、
91 動力線接続部、 93 動力線、
93d,93h インホイールモータ駆動装置側領域、
93e,93i 中間領域、 93f,93j 車体側領域、
94,96 クランプ部材、 95 ブラケット、 101 車体、
102 ホイールハウス、 103 インバータ、
104 貫通孔、 105 パークロック操作部(シフトレバー)、
111 トレーリングアーム、 113,114,115 リンク部材、
K 転舵軸線、 M,N,O 軸線、 W 車輪ホイール、
X 揺動軸線、 T タイヤ。

Claims (7)

  1. 車輪を駆動するモータ部、および前記車輪を回転不能に保持するパークロック機構を有するインホイールモータ駆動装置と、
    前記インホイールモータ駆動装置を車体に連結するサスペンション装置と、
    一端が前記パークロック機構と接続し、他端が前記車体に搭載されるパークロック操作部と接続し、前記パークロック機構を動作させる屈曲可能なパークロック用ワイヤと、
    一端が前記モータ部と接続し、他端が前記車体に搭載される電気機器と接続し、前記モータ部に電力を供給する屈曲可能な動力線とを備え、
    前記パークロック用ワイヤは前記動力線に沿って配線される、パークロック用ワイヤの配線構造。
  2. 前記サスペンション装置は、上下方向に延びる転舵軸線を中心として前記インホイールモータ駆動装置を転舵可能とし、
    前記動力線は、前記一端と前記他端との間に、前記転舵軸線に沿って上下方向に延びる第1領域を含み、
    前記パークロック用ワイヤは前記第1領域に沿って配線される、請求項1に記載のパークロック用ワイヤの配線構造。
  3. 前記動力線は、前記第1領域と前記他端との間に、中間領域および第2領域をさらに含み、
    前記第1領域は、上側でインホイールモータ駆動装置側と接続し、下側で前記中間領域と接続し、
    前記第2領域は、上下方向に延び、下側で前記中間領域と接続し、上側で車体側と接続し、
    前記中間領域は、両側を上方とし中間部分を下方として湾曲して延び、
    前記パークロック用ワイヤは前記中間領域および前記第2領域に沿って延びる、請求項2に記載のパークロック用ワイヤの配線構造。
  4. 前記動力線は、前記第1領域と前記他端との間に、中間領域および第2領域をさらに含み、
    前記第1領域は、下側でインホイールモータ駆動装置側と接続し、上側で前記中間領域と接続し、
    前記第2領域は、上下方向に延び、上側で前記中間領域と接続し、下側で車体側と接続し、
    前記中間領域は、両側を下方とし中間部分を上方として湾曲して延び、
    前記パークロック用ワイヤは前記中間領域および前記第2領域に沿って配線される、請求項2に記載のパークロック用ワイヤの配線構造。
  5. 前記サスペンション装置は、車幅方向あるいは車両前後方向に延びる回動軸線を中心として前記インホイールモータ駆動装置を揺動可能とし、
    まとまって延びる前記動力線および前記パークロック用ワイヤのうちの少なくとも一方が、前記揺動軸線と略交差する、請求項1に記載のパークロック用ワイヤの配線構造。
  6. 前記サスペンション装置からみてばね下部材に設けられて、前記動力線および前記パークロック用ワイヤを束ねて保持するインホイールモータ駆動装置側クランプ部材と、
    前記サスペンション装置からみてばね上部材に設けられて、前記動力線および前記パークロック用ワイヤを束ねて保持する車体側クランプ部材をさらに備える、請求項1〜5のいずれかに記載のパークロック用ワイヤの配線構造。
  7. 前記パークロック用ワイヤは、チューブ内に通されて、前記チューブ内を進退動する、請求項1〜6のいずれかに記載のパークロック用ワイヤの配線構造。
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