JP2018197284A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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敦仁 吉澤
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Abstract

【課題】長期間にわたってインクを吐出させた際の吐出安定性の低下が抑制され、かつ、光学濃度及び耐マーカー性に優れた画像を記録することが可能な水性インクを提供する。
【解決手段】顔料、水溶性のウレタン樹脂、及び尿素を含有するインクジェット用の水性インクである。顔料が、カーボンブラックの粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料であり、ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録装置は画質や記録速度の向上に伴い、ビジネス分野で使用される機会が増加している。ビジネス分野に用いられるインクジェット用のインクに求められる性能としては、インクの信頼性(吐出安定性など)、画質(高い光学濃度及び耐フェザリング性など)、並びに画像の堅牢性(耐擦過性、耐マーカー性、及び耐水性など)が挙げられる。
これらの性能のうち画像の光学濃度を向上するために、樹脂分散顔料を用いるより自己分散顔料を用い、さらに、画像の耐マーカー性を向上するためにウレタン樹脂を含有させたインクが検討されている(特許文献1)。特許文献1には、酸基を有するウレタン樹脂と自己分散顔料を含有するインクによって、画像の耐マーカー性が改善することが記載されている。
特表2005−515289号公報
本発明者らは、インクジェット記録装置を使用して、自己分散顔料とウレタン樹脂を含有するインクを長期間にわたって吐出させたところ、固化したインクが記録ヘッドにおける吐出口面に付着したことに起因してインクの吐出安定性が低下することを認識した。
したがって、本発明の目的は、長期間にわたってインクを吐出させた際の吐出安定性の低下が抑制され、かつ、光学濃度及び耐マーカー性に優れた画像を記録することが可能な水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、顔料、水溶性のウレタン樹脂、及び尿素を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記顔料が、カーボンブラックの粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料であり、前記ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有することを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、長期間にわたってインクを吐出させた際の吐出安定性の低下が抑制され、かつ、光学濃度及び耐マーカー性に優れた画像を記録することが可能な水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。樹脂の「ユニット」とは、1の単量体に由来する繰り返し単位を意味する。
本発明者らは、自己分散顔料とウレタン樹脂を含有するインクをインクジェット記録装置で長期間にわたって吐出させたところ、固化したインクが記録ヘッドにおけるインクの吐出口面に付着したことに起因してインクの吐出安定性が低下することを認識した。このような現象が起こった要因を解析したところ、インクジェット記録装置に具備されているキャップに固化したインクが堆積し、それが吐出口面に付着したことで、吐出安定性が低下することがわかった。このキャップは、記録ヘッドの吐出口を覆う部材であり、インクの乾燥により引き起こされる課題に対して設けられるものである。
インクジェット記録装置により長期間にわたってインクの吐出を行う際には、インクの間欠吐出安定性を維持するために、上述のキャップ内に極少量のインクを吐出(予備吐出)することが行われる。キャップにはスポンジや多孔質体などで構成される吸収体が配されており、キャップに吐出された極少量のインクは、キャップで蒸発して水を失うことで増粘し、記録環境によっては固化してしまうが、その後に付与される極少量のインクにより流出される。さらに、そのキャップを利用して吸引動作も施されることから、結果として、キャップにインクが堆積しないようにメンテナンスされている。
しかし、本発明者らが検討したウレタン樹脂と自己分散顔料を含有するインクでは、キャップでインクが固化した際、付与されるインクにより洗い流されず、堆積してしまったと考えられる。
上述した新たに付与されるインクによる洗い流し効果に関して、新たに付与されるインクが、固化したインクを再溶解(再分散)することで、洗い流されるものと考えられる。そのため、固化してしまったインクを新たに付与されるインクにより再溶解させることで、本発明の課題の解決に至るものと、本発明者らは考えた。
インクが蒸発し、最終的に固化した際、その固化物は、主にウレタン樹脂及び自己分散顔料で構成される。再溶解し難いインクは、固化してしまうと、ウレタン樹脂と自己分散顔料からなる強固な凝集物を形成しているものと考えられる。それに対して付与されるインクが、その強固な凝集物をほぐすことで固化したインクを再溶解することになる。本発明者らは、この思想に基づいて検討した結果、インクに尿素を含有させることで、キャップでのインクの堆積は緩和され、記録ヘッドにおける吐出口面へのインクの付着が抑制され、安定的な記録状態が維持できることを見出した。
インクに尿素を含有させることでこのような効果が得られた理由を本発明者らは以下のように考えている。前述した強固な凝集物は、その主成分がウレタン樹脂と自己分散顔料からなるが、尿素が添加されたインクでは、凝集物中に尿素が取り込まれるものと考えられる。その理由としては、尿素はその構造中に2つの尿素結合(−NHCO−)がある故、ウレタン中に含まれるウレタン結合部位やウレア結合部位と相互作用し易く、凝集物中に取り込まれやすいためと考えられる。さらに、尿素は、分子サイズが小さいことも、凝集物中に取り込まれやすい理由として考えられる。このように凝集物中に取り込まれた尿素は、凝集物の凝集力を弱めるだけでなく、吸湿性にも優れていることから、インクが付与された際、付与されたインク中の水を引き込むことで、凝集物の再溶解性を向上させると考えられる。その結果、キャップでのインクの堆積が抑制されると考えられる。
<インク>
本発明のインクは、顔料、ウレタン樹脂、及び尿素を含有する水性インクである。顔料はカーボンブラックの粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料である。ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有する。以下、本発明のインクを構成する各成分などについて詳細に説明する。
(顔料)
顔料としては、カーボンブラックの粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料を用いる。インク中において、アニオン性基は、その一部が解離した状態又は全てが解離した状態のいずれの状態であってもよい。
インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
カーボンブラックは、従来からインクジェット用のインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。具体的には、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、及びランプブラックなどが挙げられる。
カーボンブラックの粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介して、化学的に結合しているアニオン性基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基などを挙げることができる。これらのなかでも、ホスホン酸基が好ましい。アニオン性基のカウンターイオンとしては、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、有機アンモニウムなどのカチオンを挙げることができる。これらのなかでも、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどのアルカリ金属のカチオンが好ましい。他の原子団(−R−)としては、特に限定されず、例えば、アルキレン基、アリーレン基、アミド基、スルホニル基、イミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、これらの基を組み合わせた基などを挙げることができる。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有するウレタン樹脂を用いる。前述の通り、キャップにインクが堆積する問題に関し、インクに尿素を含有させることで、キャップでのインクの堆積を緩和する効果が発現する。しかし、水分散性のウレタン樹脂を用いた場合には、インクが蒸発する際、水溶性のウレタン樹脂を用いた場合よりもさらに強い凝集物を顔料と形成するだけでなく、さらに、その凝集物中に尿素が取り込まれ難くなり、尿素による効果が発現しない。そのため、ウレタン樹脂は水溶性である必要がある。
ウレタン樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
[ポリイソシアネート]
ポリイソシアネートは、その分子構造中に2以上のイソシアネート基を有する化合物である。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートなどを用いることができる。ウレタン樹脂に占める、ポリイソシアネートに由来するユニットの割合(質量%)は、10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、及び3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有する脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有する脂肪族ポリイソシアネート;などを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
上記のポリイソシアネートは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記のポリイソシアネートのなかでも、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートがより好ましい。また、脂肪族ポリイソシアネートのなかでも、環状構造を有する脂肪族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、イソホロンジイソシアネートを用いることがさらに好ましい。
[ポリオール]
ポリオールは、その分子構造中に2以上のヒドロキシ基を有する化合物である。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの酸基を有しないポリオール;酸基を有するポリオール;などを挙げることができる。また、酸基を有しないポリオールとしては、分子構造中に複数のヒドロキシ基と1つの「アミノ基、イミノ基」を有する化合物を挙げることもできる。これらのポリオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ウレタン樹脂に占める、ポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、10.0モル%以上80.0モル%以下であることが好ましく、20.0モル%以上60.0モル%以下であることがさらに好ましい。
〔酸基を有しないポリオール〕
ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキサイド及びポリオール類の付加重合物;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;などを挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどを挙げることができる。アルキレンオキサイドと付加重合させるポリオール類としては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルメタン、水素添加ビスフェノールA、ジメチロール尿素及びその誘導体などのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ポリオキシプロピレントリオールなどのトリオール;などを挙げることができる。グリコール類としては、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体;などを挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、酸エステルなどを挙げることができる。酸エステルを構成する酸成分としては、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;これらの芳香族ジカルボン酸の水素添加物などの脂環族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸;などを挙げることができる。これらの無水物、塩、誘導体(アルキルエステル、酸ハライド)なども酸成分として用いることができる。また、酸成分とエステルを形成する成分としては、ジオール、トリオールなどのポリオール類;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;などを挙げることができる。ポリオール類やグリコール類としては、上記のポリエーテルポリオールを構成する成分として例示したものを挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、公知の方法で製造されるポリカーボネートポリオールを用いることができる。具体的には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどのアルカンジオール系ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。また、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分やホスゲンと、脂肪族ジオール成分と、を反応させて得られるポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。
分子構造中に複数のヒドロキシ基と1つの「アミノ基、イミノ基」を有する化合物としては、複数のヒドロキシ基を有するモノアミンなどを挙げることができる。その具体例としては、例えば、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、及びジブタノールメチルアミンなどを挙げることができる。
酸基を有しないポリオールの炭素数は、10以上であることが好ましい。また、酸基を有しないポリオールの数平均分子量は、600以上4,000以下であることが好ましい。酸基を有しないポリオールの数平均分子量が600未満であると、形成される膜の柔軟性が低下しやすく、画像の耐マーカー性の向上効果がやや不足する場合がある。一方、酸基を有しないポリオールの数平均分子量が4,000超であると、形成される膜の柔軟性が高くなりやすく、画像の耐マーカー性の向上効果がやや不足する場合がある。
ウレタン樹脂中の、ポリオールに由来するユニットの合計量に占める、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、1.0モル%以上99.0モル%以下であることが好ましい。また、この割合(モル%)は、5.0モル%以上50.0モル%以下であることがより好ましい。ウレタン樹脂に占める、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合(質量%)は、5.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。この割合(質量%)は、10.0質量%以上60.0質量%以下であることがより好ましい。
上記の酸基を有しないポリオールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の酸基を有しないポリオールのなかでも、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましく、(ポリ)アルキレングリコールを用いることがより好ましく、ポリプロピレングリコールを用いることがさらに好ましい。
〔酸基を有するポリオール〕
酸基を有するポリオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などの酸基を有するポリオールを挙げることができる。酸基は、カルボン酸基であることが好ましい。カルボン酸基を有するポリオールとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸などを挙げることができる。なかでも、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましい。酸基を有するポリオールの酸基は塩型であってもよい。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン;アンモニウムイオン、ジメチルアミンなどの有機アミンのカチオンなどを挙げることができる。汎用の酸基を有するポリオールの分子量は大きくても400程度であるので、酸基を有するポリオールに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。ウレタン樹脂の酸価は、酸基を有するポリオールの使用量によって調整することができる。
ウレタン樹脂中の、ポリオールに由来するユニットの合計量に占める、酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、1.0モル%以上99.0モル%以下であることが好ましい。また、この割合は、30.0モル%以上95.0モル%以下であることがより好ましく、50.0モル%以上90.0モル%以下であることがさらに好ましい。ウレタン樹脂に占める、酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合(質量%)は、5.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。この割合(質量%)は、5.0質量%以上50.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。
〔ポリアミン〕
ウレタン樹脂は、さらにポリアミンに由来するユニットを有することが好ましい。ポリアミンは、その分子構造中に2以上のアミノ基を有する化合物である。ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、及びヒドラジンなどの2官能ポリアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリアミドポリアミン、及びポリエチレンポリイミンなどの3官能以上のポリアミン;などを挙げることができる。ポリアミンの分子量は大きくても400程度であるので、ポリアミンに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。ウレタン樹脂に占める、ポリアミンに由来するユニットの割合(モル%)は、10.0モル%以下であることが好ましく、5.0モル%以下であることがさらに好ましい。ウレタン樹脂に占める、ポリアミンに由来するユニットの割合(モル%)は、0.0モル%であってもよい。
[架橋剤、鎖延長剤]
ウレタン樹脂を合成する際には、架橋剤や鎖延長剤を用いることができる。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤は予め合成されたプレポリマーに対して鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長など目的に応じて、水や、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
ウレタン樹脂は、ポリアミンにより架橋された構造を有することが好ましい。この場合、ウレタン樹脂は、上記で挙げたような3官能以上のポリアミンに由来するユニットを有することになる。3官能以上のポリアミンのなかでも、ウレタン樹脂における架橋された構造は、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンの少なくともいずれかに由来することが好ましい。
[特性]
ウレタン樹脂の酸価は、40mgKOH/g以上140mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が40mgKOH/g未満であると、ウレタン樹脂の親水性が低下し、インクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。酸価が140mgKOH/g超であると、ウレタン樹脂の親水性が高く、画像の耐マーカー性が十分に得られない場合がある。
インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。ウレタン樹脂の含有量を0.5質量%以上とすることで、画像の耐マーカー性がより高いレベルで得られる。一方、ウレタン樹脂の含有量を5.0質量%以下とすることで、インクの吐出安定性がより高いレベルで得られる。
インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上2.00倍以下であることが好ましく、0.10倍以上1.00倍以下であることがさらに好ましい。上記の質量比率を0.10倍以上とすることで、画像の耐マーカー性がより高いレベルで得られる。一方、上記の質量比率を1.00倍以下とすることで、インクの吐出安定性がより高いレベルで得られる。
ウレタン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上60,000以下であることが好ましい。ウレタン樹脂のMwが10,000未満であると、ウレタン樹脂の強度が低くなり、画像の耐マーカー性の向上効果が十分に得られない場合がある。一方、ウレタン樹脂のMwが60,000超であると、インクの粘度が上昇しやすく、インクの吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
[合成方法]
ウレタン樹脂は、従来の一般的なウレタン樹脂の合成方法にしたがって合成することができる。例えば、以下に示す方法にしたがってウレタン樹脂を合成することができる。ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールをイソシアネート基が過剰になるような当量比で、沸点が100℃以下の有機溶剤の存在下又は非存在下で反応させる。これにより、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成する。次いで、中和剤を用いて、合成したウレタンプレポリマー中のカルボン酸基やスルホン酸基などの酸性基を中和する。その後、酸性基を中和したウレタンプレポリマーを、鎖延長剤を含有する水溶液中に投入して反応させた後、系内に残存する有機溶剤を必要に応じて除去すれば、ウレタン樹脂を得ることができる。
中和剤としては、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの有機塩基を用いることができる。なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属を含む中和剤を用いることが好ましい。アルカリ金属を含む中和剤でウレタンプレポリマー中の酸性基を中和すると、アミン類などの中和剤で中和した場合と比較して、優れたインクの吐出安定性が得られる。中和剤は、ウレタンプレポリマー中の酸性基1molに対し、0.5mol以上1.0mol以下用いることが好ましく、0.8mol以上1.0mol以下用いることがさらに好ましい。中和剤の使用量が上記の範囲外であると、ウレタン樹脂を含む液体が不安定化したり、粘度が上昇したりすることで、作業性が低下する場合がある。
[分析方法]
ウレタン樹脂の組成は、以下に示す方法により分析することができる。まず、インクからウレタン樹脂を抽出する方法について説明する。インクからウレタン樹脂を抽出するには、インクを80,000rpmで遠心分離して分取した上澄み液に、過剰の酸(塩酸など)を添加して、樹脂を析出させる。析出した樹脂にクロロホルムを添加すると、ウレタン樹脂が溶解するので、液相からウレタン樹脂を抽出することができる。インクの状態でもウレタン樹脂を解析することはできるが、インクから抽出したウレタン樹脂を解析すると、測定精度を高めることができるために好ましい。
(1)ウレタン樹脂の組成
ウレタン樹脂を重水素化ジメチルスルホキシド(重DMSO)に溶解し、プロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)により分析する。そして、得られたピークの位置から、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、酸基を有するポリオール、及びポリアミンの種類を確認することができる。また、乾燥させたウレタン樹脂を熱分解ガスクロマトグラフィーにより分析することによっても、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、酸基を有するポリオール、及びポリアミンの種類を確認することができる。さらに、各ピークの積算値の比率から、組成比を算出することができる。
(2)ウレタン樹脂の酸価
ウレタン樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、電位差自動滴定装置(商品名「AT510」、京都電子工業製)を使用して、水酸化カリウムエタノール滴定液を用いて電位差滴定することにより、ウレタン樹脂の酸価を測定することができる。
(3)ウレタン樹脂の重量平均分子量
GPCにより、ウレタン樹脂の重量平均分子量を測定することができる。GPCの測定条件の一例は以下に示す通りであり、後述の実施例では、THFに溶解したウレタン樹脂を測定用試料とし、以下に示す条件でウレタン樹脂の重量平均分子量を測定した。
・装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:テトラヒドロフラン(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製、分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)
(尿素)
本発明のインクは、尿素を含有する。インク中の尿素の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。インク中の尿素の含有量(質量%)は、インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上5.0倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が1.0倍未満であると、前述した凝集物中に取り込まれる尿素の量が少ないため、本発明の効果は小さくなる。一方、上記の質量比率が5.0倍超であると、凝集物中に取り込まれていない尿素が存在し、キャップに付与されるインク中の水は、前述した凝集物中に取り込まれていない尿素に優先的に作用することとなり、本発明の効果は小さくなる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水を含む水性媒体を含有する水性インクである。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
水性媒体には、尿素に加えて、その他の水溶性有機溶剤を含有させることができる。水溶性有機溶剤としては、1価アルコール、多価アルコール、(ポリ)アルキレングリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができ、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。この含有量は尿素を含む値である。
(その他の添加剤)
本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂などの種々の添加剤を含有させてもよい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
水5.5gに濃塩酸5gを溶かして得た溶液を5℃に冷却し、4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸(処理剤)1.5gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れて10℃以下に冷却し、5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、カーボンブラック(商品名「Black Pearls880」、キャボット製)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、得られた粒子を十分に水洗した。水洗した粒子を110℃のオーブンで乾燥させて自己分散顔料を得た。常法によりナトリウムイオンをカリウムイオンにイオン交換した後、顔料の含有量が10.0%となるように水を添加した。このようにして、カーボンブラックの粒子表面に−C63−(COOK)2基が結合した自己分散顔料が水中に分散された状態の顔料分散液1を得た。
(顔料分散液2)
カーボンブラック20.0g、処理剤11.0mmol、硝酸20.0mmol、及び純水200mLを混合し、シルヴァーソン混合機を用いて、室温条件下、回転数6,000rpmで30分間混合して混合物を得た。処理剤としては、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸ナトリウム塩を用いた。カーボンブラックとしては、商品名「Black Pearls880」(キャボット製)を用いた。得られた混合物に、亜硝酸ナトリウム20.0mmolを少量の水に溶解させた水溶液をゆっくり添加して混合した。この混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。常法によりナトリウムイオンをカリウムイオンにイオン交換した後、顔料の含有量が10.0%となるように水を添加した。このようにして、カーボンブラックの粒子表面に−C64−CONH−CH(PO322基が結合した自己分散顔料が水中に分散された状態の顔料分散液2を得た。
(顔料分散液3)
酸価が200mgKOH/gで重量平均分子量が10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を10%水酸化カリウム水溶液で中和した。そして、カーボンブラック(商品名「Black Pearls880」、キャボット製)10.0部、スチレン−アクリル酸共重合体(固形分)20.0部、及び水70.0部を混合した。この混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。上記の方法により、顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が20.0%であり、カーボンブラックが樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液3を得た。
<ウレタン樹脂の合成>
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコに、表1に示す種類及び量のポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールを入れ、さらに溶剤としてメチルエチルケトン400部を入れた。そして、窒素ガス雰囲気下、75℃で1時間反応させて反応液を得た。得られた反応液を60℃まで冷却した後、水酸化カリウム水溶液を加えた。さらに40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら水酸化カリウム水溶液を添加して液体を得た。その後、表1に示す種類及び量のポリアミンを加え、鎖延長反応を30℃で12時間行った。FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで、加熱減圧して得られた液体からメチルエチルケトンを留去し、ウレタン樹脂(固形分)の含有量が20.0%である、ウレタン樹脂1〜4を含む液体をそれぞれ得た。ウレタン樹脂1〜4はいずれも、GPCにより測定した重量平均分子量が30,000であった。ウレタン樹脂の酸価を表1に示す。ウレタン樹脂の酸価は、水酸化カリウム−メタノール滴定液を用いた電位差滴定により測定した。ウレタン樹脂1〜4の水溶液を純水で2倍(体積基準)に希釈した試料について、動的光散乱法による粒度分析計(商品名「UPA−EX150」、日機装製)を用い、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒の条件で粒子径を測定した。その結果、いずれのウレタン樹脂も粒子径は測定されず、水溶性であることが確認された。また、表1中の各成分の詳細を以下に示す。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
PPG:ポリプロピレングリコール(数平均分子量:2,000)
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
EDA:エチレンジアミン
DETA:ジエチレントリアミン
TETA:トリエチレンテトラミン
Figure 2018197284
<インクの調製>
表2の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。アセチレノールE100(商品名)は、川研ファインケミカル製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物である。表2の下段には、尿素の含有量C1(%)、ウレタン樹脂の含有量C2(%)、及びC1/C2の値(倍)を示す。
Figure 2018197284
Figure 2018197284
<評価>
上記で得られたインクを用いて、以下に示す各評価を行った。本発明においては、以下に示す評価基準で、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
(光学濃度)
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP3100」、キヤノン製)にセットした。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が28ng±10%であるインク滴を1滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。このインクジェット記録装置を使用し、4種の記録媒体(普通紙)に、記録デューティが100%である、2cm×2cmのベタ画像を記録した。4種の記録媒体には、キヤノン製の商品名「PB PAPER」、ゼロックス製の商品名「4024」、ヒューレッドパッカード製の商品名「ブライトホワイト」、及びインターナショナルペーパー製の商品名「ハンマーミルジェットプリント」を用いた。記録の1日後に、ベタ画像の光学濃度を反射濃度計(商品名:マクベスRD−918;マクベス製)を用いて測定し、以下に示す評価基準にしたがって画像の光学濃度を評価した。
AA:4種の記録媒体の画像の光学濃度の平均が1.45以上であった。
A:4種の記録媒体の画像の光学濃度の平均が1.40以上1.45未満であった。
B:4種の記録媒体の画像の光学濃度の平均が1.30以上1.40未満であった。
C:4種の記録媒体の画像の光学濃度の平均が1.30未満であった。
(耐マーカー性)
上記の光学濃度の評価で利用したものと同様のインクジェット記録装置を使用し、記録媒体(普通紙、商品名「PB PAPER」、キヤノン製)に、太さ1/10インチの縦罫線を記録した。記録の5分後、及び1日後に、縦罫線に黄色ラインマーカー(商品名「OPTEX2」、ゼブラ製)を用いてマーキングし、その後すぐに記録媒体の非記録部にマーキングした。そして、マーカーのペン先及び非記録部のマーキングの状態を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐マーカー性を評価した。
AA:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に汚れがなく、非記録部のマーキングも汚れていなかった。
A:5分後において、マーカーのペン先に汚れがあったが、非記録部のマーキングはほとんど汚れていなかった。1日後においてはペン先に汚れはなく、非記録部のマーキングも汚れていなかった。
B:5分後及び1日後において、マーカーのペン先が少し汚れていたが、非記録部のマーキングはほとんど汚れていなかった。
C:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に汚れがあり、非記録部のマーキングも汚れていた。
(吐出安定性)
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「iB4030」、キヤノン製)にセットした。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が約22ngであるインク滴を1滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。温度30℃、相対湿度10%の環境で、A4サイズの記録媒体(普通紙、商品名「PB PAPER」、キヤノン製)の全面に、記録デューティが5%であるベタ画像を1枚分記録した後、240秒間記録を休止する、というサイクルを繰り返し行った。このサイクルでは、240秒間の記録休止後、記録を再開する際に、キャップ内にインクの予備吐出が行われる。このサイクルを、合計の記録枚数が10,000枚となるまで繰り返した。その後、上記の記録媒体に縦罫線を記録した。次いで、キャップにおけるインクの堆積状態、及び縦罫線を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって吐出安定性を評価した。
A:縦罫線に乱れがなく、キャップにおけるインクの堆積もなかった。
B:縦罫線の乱れがなく、キャップにおけるインクの堆積はわずかにあったが、吐出口面にインクの堆積物は付着していなかった。
C:縦罫線に乱れがあり、キャップにおけるインクの堆積もあり、吐出口面にインクの堆積物が付着していた。
Figure 2018197284

Claims (8)

  1. 顔料、水溶性のウレタン樹脂、及び尿素を含有するインクジェット用の水性インクであって、
    前記顔料が、カーボンブラックの粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料であり、
    前記ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有することを特徴とする水性インク。
  2. 前記ウレタン樹脂が、さらにポリアミンに由来するユニットを有する請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記ポリアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の水性インク。
  4. 前記ウレタン樹脂が、ポリアミンにより架橋された構造を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
  5. 前記ウレタン樹脂における前記架橋された構造が、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンの少なくともいずれかに由来する請求項4に記載の水性インク。
  6. 前記尿素の含有量(質量%)が、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上5.0倍以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
  7. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  8. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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