JP2018179932A - 赤外線撮影装置、赤外線撮影システム及び赤外線撮影方法 - Google Patents

赤外線撮影装置、赤外線撮影システム及び赤外線撮影方法 Download PDF

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Shuichi Okubo
修一 大久保
高野 英二
Eiji Takano
英二 高野
田村 哲雄
Tetsuo Tamura
哲雄 田村
敏康 大柳
Toshiyasu Oyanagi
敏康 大柳
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Abstract

【課題】放射率の低い材料の温度を精度よく検出することができる赤外線撮影装置を提供する。【解決手段】波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子と、この撮影素子を用いて、150℃以上の温度にある測定対象物の温度を算出することにより、放射率の低い測定対象物の温度を、外乱の影響を受けることなく正確に計測することが可能とした赤外線撮影装置である。この赤外線撮影装置に用いられる撮影素子は液体窒素温度に冷却する必要がないので、安価かつ小型に形成することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、測定対象物の温度計測機能を有し、近赤外線の光に対して受光感度を有する撮影素子を用いた赤外線撮影装置ならびに赤外線撮影システム及び赤外線撮影方法に関する。
測定対象物の温度を非接触で計測する手法として、測定対象物から放射されている赤外線を検出する方式が広く利用されている。プランクの法則として知られているように、絶対零度以上にある物体からは、赤外線と呼ばれる光が放射されている。
赤外線を検出する素子としては、酸化バナジウム(VOx)やアモルファスシリコン(a-Si)等、ボロメータと呼ばれている材料を利用したものや、インジウムアンチモン(InSb)や水銀カドミウムテルル(HgCdTe)等、量子型と呼ばれている材料を利用したものがある。
ボロメータを赤外線の検出素子として用いる赤外線撮影装置では、物体から放射された赤外線を検出素子が吸収することで検出素子の温度が上昇し、温度上昇による検出素子の抵抗変化を電気的に検出する手法が用いられている。一方、量子型の材料を赤外線の検出素子として用いる赤外線撮影装置では、物体から放射された赤外線を検出素子が吸収することにより生じる光電流を電圧変換して検出する手法が用いられている。後者の手法は、一般的なフォトダイオードと同じ動作原理によるものである。
物体から放射される赤外線の波長は単一ではなく、拡がり(波長スペクトル)を有している。波長スペクトルは物体の温度に依存しており、例えば、25℃の物体からは波長約3 〜60 mmに主たる強度を有する赤外線が放射されている。
一方、赤外線は水に吸収される性質を有するため、大気中において非接触で赤外線を検出するには、水の吸収の影響が小さい波長帯を選択する必要がある。一般に、波長2〜5 mmと波長8〜14 mmは「大気の窓」として知られている波長帯であり、水の吸収の影響を大きく受けることなく赤外線の検出が可能な波長帯である。赤外線カメラと呼ばれる、測定対象物の温度を計測し、画像化する機能を有する赤外線撮影装置には、この「大気の窓」に検出感度を有する赤外線素子が一般的に使用されている。
本発明に関係すると思われる先行技術文献として、特許文献1が挙げられる。この特許文献1には、2つの異なる波長(二色)を用いて測定対象物から放射される赤外線強度を検出し、放射率が未知である測定対象物の放射率と温度を同時に計測する手法が開示されている。
特開2007−192579号公報
従来の赤外線撮影装置は、様々な測定対象物の温度計測に用いられているが、金属のような放射率が低い材料の温度を正確に計測することが困難であった。放射率とは、ある物体(測定対象物)が放射する赤外線のエネルギーを1として、その物体と同じ温度の黒体がプランクの法則に従って放射する赤外線のエネルギーとの比を表したものである。
放射率は波長にも依存するが、一般的に金属は放射率が低く、反射率が高い傾向にある。例えば、アルミニウムの放射率は波長10 mm付近において凡そ0.05である。放射率が低い測定対象物の温度を計測する場合、次の2つの理由により、信号対ノイズ比(S/N)が悪くなるため、測定対象物の温度を正確に計測することが困難となる。
第一の理由は、測定対象物からの放射率が低く、そもそも放射される赤外線の強度が弱いこと、すなわち、信号(S)が小さいことである。第二の理由は外乱の影響が大きいこと、すなわち、ノイズ(N)が大きいことである。
ここでいう外乱とは、測定対象物以外の周囲環境から放射されて赤外線撮影装置に入射する赤外線のことである。金属では光の透過が“0”であるので、例えば、放射率0.05のアルミニウムの場合は、0.95の反射率を有する。
赤外線撮影素子でアルミニウムを計測する場合を想定すると、アルミニウムから放射される本来検出すべき赤外線に加えて、周囲環境から放射された赤外線の95%が測定対象物のアルミニウムで反射する。そして、この反射した赤外線が外乱として赤外線撮影素子に入射することになる。
前述した「大気の窓」に相当する波長のうち、波長がより短い2 mmの方が金属の放射率が高くなるので信号対ノイズ比(S/N)は改善される方向ではあるが、それでもアルミニウムの放射率は0.1程度であり、精度の良い温度計測には不適当である。また、波長2〜5 mmに検出感度を有する赤外線撮影素子は、一般的に液体窒素温度まで冷却して使用する必要があるため、装置が大きくなり、また高価になってしまうという問題を有する。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、放射率の低い物質の温度を精度よく計測することのできる温度計測機能を有する赤外線撮影装置、赤外線撮影システム及び赤外線撮影方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る赤外線撮影装置は、波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子と、この撮像素子を用いて、150℃以上の温度にある測定対象物の温度を算出する処理部と、を備える。
特に、処理部は、測定対象物を含んで撮影した第一の画像と、測定対象物を含まずに撮影した第二の画像との差分画像に基づいて、測定対象物の温度を算出するようにすることが好ましい。
また第二の画像は、撮影素子の前方に配置されるシャッタの画像であることが好ましい。
また、本発明の赤外線撮影装置は、波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子と、撮影素子に入射される赤外線の光量を調整するための光学絞りを備える。
そして、測定対象物の放射率及び測定対象物の測定温度上限値を記憶する記憶部と、この記憶部に記憶されている放射率と測定温度上限値に基づいて、撮影素子の出力値を算出する処理部と、処理部で算出された出力値に基づいて、露光時間ないし前記光学絞りのいずれか、あるいは両方を調整する調整部を備える。なお、測定対象物の放射率及び測定対象物の測定温度上限値は、温度計測を行うユーザが測定対象物の状況を見て適宜設定し、入力する値である。
また、本発明の赤外線撮影システムは、波長0.9μm以下のLED光を光源とする照明と、波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子と、この撮像素子を用いて、150℃以上の温度にある測定対象物の温度を算出する処理部を備える赤外線撮影装置から構成される。波長0.9μm以下のLED光であれば、測定対象物から発生する赤外線量に影響を与えることがないので、単に照明として視認性の向上のためだけに用いられる光となる。
さらに、本発明の赤外線撮影方法は、以下のステップ(a)〜(c)を含む。
(a)波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子を用い、測定対象物を含んだ第一の画像を撮影するステップと、
(b)測定対象物を含まずに第二の画像を撮影し、第一の画像と第二の画像との差分画像を算出するステップと、
(c)差分画像に基づいて測定対象物の温度を計測するステップ。
本発明の赤外線撮影装置によれば、放射率の低い測定対象物の温度を、外乱の影響を受けることなく正確に計測することが可能となる。本発明にかかる撮影素子(検出素子)は液体窒素温度に冷却する必要がないので、安価で小型な赤外線撮影装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明にかかる赤外線撮影装置の実施の一形態を説明する図である。 本発明にかかる赤外線撮影装置の撮影素子の波長感度特性の一例を示すグラフである。 本発明にかかる赤外線撮影装置において、測定対象物(アルミニウム)の温度計測方法を説明するための図である。 本発明にかかる赤外線撮影装置の出力に基づいて算出された測定対象物の温度及び熱電対により計測された測定対象物の温度の時間変化を示すグラフである。
[本発明の動作原理の説明]
以下、本発明の実施の形態の例を説明する前に、本発明を実施する上での動作原理を説明する。
測定対象物となる金属材料の温度計測は、加工や成型におけるプロセス制御を主たる目的として行われる。発明者らは、プロセス制御を目的とした温度計測では、測定対象物の温度が主として200℃以上、多くの場合は500℃以上の高温であることに着目した。例えば、アルミニウムの融点は約660℃であり、成型を行う際には、アルミニウムを660℃以上の温度に昇温させる必要がある。
一般に、測定対象物の温度が高くなるほど、放射される赤外線の強度は強くなり、波長スペクトルの強度中心は短い波長にシフトしていく。例えば、25℃の温度にある測定対象物から放射される赤外線の強度は、波長10 mm前後が最も強い。この強度を「I_25_10μm」と表記することにする。
これに対して、500℃の温度にある測定対象物から放射される赤外線の強度は波長4 mm前後が最も強くなり、また、強度も25℃の温度にある測定対象物から放射される赤外線の強度の凡そ100倍となる。すなわち、I_500_4μm≒100×(I_25_10μm)となる。
この結果、500℃の温度にある測定対象物から放射される波長1 mmの赤外線の強度を「I_500_1μm」とすると、「I_25_10μm≒I_500_1μm」の関係が成立する。これは、測定対象物の温度25℃を波長10mmで計測できていたとすると、測定対象物の温度が500℃まで高くなれば、波長1mmであっても温度計測が可能となることを示唆している。なお、この説明はあくまで目安を示すものであり、厳密には、撮影装置の持つノイズ特性や検出素子出力を信号として取り出す条件(回路ゲインや露光時間など)にも依存して、検出可能な温度は変動することになる。
測定対象物である金属の放射率は波長が短くなるほど増加し、例えばアルミニウムでは、波長10mmにおける放射率が約0.05であるのに対し、波長1mmでは約0.2まで増加する。本発明では波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子を用いるので、高温の測定対象物の温度を正確に計測することが可能となる。また、本発明は、温度150℃以上の測定対象物の温度を計測するのに好適であり、特に、温度500℃以上の測定対象物の温度を計測するのに好適である。
波長0.9〜1.7 mmに中心感度を有する撮影素子を使用する利点を、表1を参照して説明する。表1は、波長1 mmと波長8 mmにおける信号強度及び外乱強度から算出した信号対ノイズ比(S/N)とを比較して示している。表1における外乱強度は、それぞれの波長における、温度300℃の測定対象物から放射される赤外線強度を1に規格化して、温度25℃の対象物から放射される赤外線強度を算出して求めたものである。
表1に示されるように、波長8 mmでは、25℃の周囲環境から放射され、300℃の測定対象物で反射した後に撮影素子に入射する赤外線の強度(外乱強度(N))と、300℃の測定対象物から放射され、直接撮影素子に入射する赤外線の強度(入射信号強度(S))は、共に“0.05”で等しくなっている。このため、25℃の周囲環境から放射される外乱の影響を取り除いて、測定対象物の温度を正確に計測することは困難である。
これに対して、波長1 mmでは、25℃の周囲環境から放射され、300℃の対象物で反射した後に撮影素子に入射する赤外線の強度(外乱強度(N))は、6.9×10-10であり、300℃の測定対象物から放射され、直接撮影素子に入射する赤外線の強度(入射信号強度(S))0.2に対して無視できるほど小さい。つまり、信号対ノイズ比(S/N)は“2.9×108”となる。このため、波長1 mm であれば、25℃の測定対象物の温度を正確に計測することが可能となることが分かる。
Figure 2018179932
[赤外線撮影装置の全体構成]
図1は、本発明の実施の一形態である赤外線撮影装置の例(以下、「本例」という)を示している。
図1に示すように、本例の赤外線撮影装置100は、測定対象物101から放射される赤外線量を撮影するためのカメラ102を備える。カメラ102は、撮影素子106として320(水平方向)×256(垂直方向)画素のインジウムガリウムヒ素(InGaAs)が用いられる。また、本例にかかる赤外線撮影装置100は、カメラ102に装着されたレンズ103、レンズ103前面に具備された機械的に開閉可能なシャッタ104、及びレンズ103に入射する入射光を調整する光学絞り105を備える。
カメラ102には、入射する赤外線量をアナログの電気信号に変換する撮影素子106の他に、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器107及び露光時間または光学絞りを調整するための不図示のマイコンが設けられる。また、遠隔からカメラ102を制御することができるように、赤外線撮影装置100で撮影された画像データを取得して処理するパソコン108が設けられる。カメラ102の制御には、パソコン108を用いてもよいし、カメラ内の不図示のマイコンを用いてもよいが、ここではパソコン108を用いるものとして以下に説明する。
パソコン108は、本例の赤外線撮影装置100における温度測定を制御するPCであり、ユーザが測定時に任意に入力する測定対象物101の放射率や測定対象物101の上限温度値を記憶する記憶部109を備える。このユーザが測定対象物101の放射率と上限温度値を入力するのは、カメラ102の特性からして、例えば0℃〜1000℃のような幅広い温度範囲の測定を行うことができないからである。例えば、ユーザは主として計測したい温度が何度であるかによって、カメラ102側のシャッタ104の速度を切り換える必要がある。つまり、カメラ102のダイナミックレンジを有効に活用するために、ユーザが測定対象物101の放射率と上限温度値を任意に選択して入力する必要がある。
また、パソコン108は、測定対象物101の赤外線画像データから測定対象物101の温度を出力値として算出する処理部110と、この処理部110で算出された出力値に基づいて、露光時間または光学絞りのF値、もしくはその両方を調整する調整部111を備える。
なお、上述したパソコン108の機能として設けた記憶部109、処理部110及び調整部111を、カメラ102内の不図示のマイコンに設けるようにしてもよい。
処理部110の処理に関して、測定対象物101を含む赤外線画像である第一の画像と、測定対象物101を含まない基準となる画像である第二の画像の差分画像に基づいて測定対象物101の温度データを算出することもできる。例えば、測定対象物101を含まない基準となる第二の画像としては、シャッタ104が閉じた状態で撮影した赤外線画像が考えられる。なお、シャッタ104は、パソコン108からの制御信号により開閉状態が切り替えられる。
パソコン108に取り込まれる画像データは、撮影素子106全体の中のそれぞれの検出素子の電圧レベルである出力強度をA/D変換器107で16bitのデジタル信号に変換した値である。レンズ103は、例えば焦点距離25 mmであり、開口絞り調整機構(F値;F#=1.4〜16で調整可能)を有する。この開口絞り調整機構は、レンズ103の属性として具備するものであり、光学絞り105と同様の機能を持つ。したがって、光学絞り105は、レンズ103と別に設けてもよいし、レンズ103の属性としてレンズ103に付属させてもよい。なお、シャッタ104はレンズ103の汚染防止と基準画像の取得の2つを主たる目的として設けられている。
図2は、本例に用いられる撮影素子106であるインジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出素子の受光感度特性を示すグラフである。横軸は波長であり、縦軸は感度である。図2に示すように、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)で形成される撮影素子106は、波長0.9〜1.7 mmの間で高い感度を有することが分かる。
図1に示す赤外線撮影装置100を用いて、ステンレス製容器112(図3参照)内に置かれたアルミニウム113(図3参照)の温度計測を行った。この温度計測においては、ステンレス容器112を不図示の加熱器上に置き、加熱を行いながら、アルミニウム113の温度変化を時間経過とともに計測した。
本例の計測は、カメラ102の露光時間を0.5ms、光学絞り105の開口絞りF値を16に設定し、室内照明のない暗視野下で行った。また、アルミニウム113の放射率を0.2と設定して温度値を算出した。ここで、アルミニウム113等の測定対象物101における放射率0.2及び測定対象物の測定温度上限値は、温度測定の際にユーザが任意に入力する値である。これらの値はパソコン106内の記憶部(メモリ)107に記憶される。
図3は、本例の赤外線撮影装置100において、測定対象物101であるアルミニウム113の温度計測を説明するための図である。
図3Aは、赤外線撮影装置100のステンレス製容器112を上から見た上視図であり、図3Bは、ステンレス製容器112を側面から見た側視図である。
本例の赤外線撮影装置100の温度計測の確からしさを検証するために、図3に示すように、ステンレス製容器112内に測定対象物であるアルミニウム113を配置し、このアルミニウム113の一部に熱電対114を貼り付けた。そして熱電対114による温度計測を合わせて、本例の赤外線撮影装置100によるアルミニウム113の温度計測を行った。
図4は、図3の方法で計測された時系列の温度計測データを示すグラフである。横軸は経過時間であり、縦軸は測定温度である。図4に示すように、アルミニウム113の測定温度が200℃以下では、赤外線撮影装置100の測定結果はばらつきが大きく安定した計測を行うことができていない。しかし、200℃以上の温度では、赤外線撮影装置100の測定結果と熱電対114の測定結果は、ほぼ同じ測定温度を示しており、安定した温度計測が可能となっていることが分かる。
[画像データから温度値を計測する方法]
以下、取得した画像データから温度値を計測する方法について説明する。同一の測定対象物を計測する場合であっても、電気回路のオフセット変動等の影響により、カメラ102の内部温度に依存して画像出力は変化する。
表1に示したように、300℃程度の高温物体の計測を行う場合、波長1 mmでは、25℃程度の物体(周囲環境)から放射される赤外線の強度は無視できるほど小さい。
さらに、表1には示していないが、例えば、周囲環境温度が80℃であっても、この外乱強度は、プランクの式で計算すると無視できるレベルにあることが分かる。
測定対象物101を観測した場合に得られるカメラの画像データを「I_M」と表記すると、赤外線量に基づく画像データの強度は、I_M=I_obj+ofsと表すことができる。ここで、“obj”は、測定対象物101から放射される赤外線量に比例して変化する量である。また、“obs”はカメラ固有のオフセットであり、測定対象物からの赤外線量とは無関係な固有値である。
これに対し、例えば、測定対象物101とは別に、25℃にある参照物体を観測した場合に得られるカメラの画像データをI_REFとすると、I_REF=I_25+ofs≒ofsとなる。
この参照画像としては、例えばシャッタ104を閉じたままの状態で、カメラ102で撮影した画像などが考えられる。25℃にある参照物体から得られる入射信号強度(S)である「I_25」は、150℃以上の高温の物体(測定対象物)の入射信号強度(S)と比べると、極めて小さいので無視できる程度のものである。このためI_25の値は限りなく“0”に近くなり、参照物体を測定した赤外線量の値I_REFは、ほぼ“ofs”の値に等しくなる。
したがって、測定対象物101を観測した画像データI_Mから、参照物体を観測した画像データI_REFを減算することにより、外乱を含まずに測定した測定対象物101の温度のみに関係するI_objを抽出することが可能となる。通常の環境温度(-20〜80℃)であれば、周囲環境温度を知る必要がなく、単に、測定対象物101を撮影した画像出力から参照物体を撮影した画像出力を減算すればよい。測定対象物(金属)101のプロセス監視等を行う場合、レンズ102の汚染防止を目的としたシャッタ104がレンズ102の前面に配置されているので、上述したようにシャッタ104が閉状態にあるときに参照画像を取得するのが簡便である。
なお、I_objと測定対象物の温度の関係を、実際の測定を行うのとは別の場所で事前に計測しておくことで、I_objに基づいて測定対象物の温度を算出することも可能である。
本例の赤外線撮影装置100によれば、波長0.9〜1.7 mmの赤外線を検出する場合、周囲環境からの外乱の影響を受けにくいことは大きな利点であるが、一方、測定対象物101から放射される赤外線強度が測定対象物101の温度に依存して大きく変化するという問題もある。
すなわち、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)のようなフォトダイオード型の撮影素子106には、動作可能な光強度範囲が存在する。つまり、通常であれば、ノイズレベルの凡そ1000〜10000倍程度の光強度までしか正確に検出することができず、それ以上に強い光に対しては出力が飽和してしまうという問題である。
ここで言うノイズとは、撮影素子106に光が入射されていない時の撮影素子106からの出力値であり、一般に暗電流出力と呼ばれている成分と、撮影素子106出力を電圧出力として取り出す電気回路のノイズ成分の2つが主成分となる。
雑音対ノイズ比(S/N)の向上を目的とした場合、信号出力を大きくするためには、露光時間はできるだけ長い方がよいが、強い光が入射した際に出力が飽和してしまうという問題があるため、対象物の温度及び放射率に応じて、露光時間を最適化する必要がある。
本例にかかる赤外線撮影装置100は、パソコン108の処理部110において、測定対象物101の放射率と計測したい温度上限を指定することにより、露光時間を装置内部で自動的に調整する機能を有している。ユーザは本例の赤外線撮影装置100の動作範囲(ダイナミックレンジ)を考慮して、測定対象物101の放射率と、計測したい上限温度を入力することができる。
また、光学絞り105の開口絞り(F値;F#)を変更することによっても撮影素子106に入射する光の強度を調整することができるので、露光時間の調整と光学絞り105の調整を併用することも可能である。
測定上限温度をT_max(℃)、測定対象物の放射率をε、光学絞り105のF値をF#、露光時間をTint(s)として、
Tint=k×2000×F#×F#/ε/(T_max3)
の関係に基づいてTintを設定し、kを0.5<k<2とすることで、信号対ノイズ比(S/N)の良い温度計測を行うことができることを発明者らは確認している。
撮影素子106として用いたインジウムガリウムヒ素(InGaAs)はフォトダイオードとして動作する検出素子であるので、測定対象物101から放射されている赤外線のみならず、通常環境下で存在する可視光、例えば、太陽光や蛍光灯の光等に対しても反応する。これらの光強度は、測定対象物101から放射されている赤外線に比べて無視できない強度にあるため、温度計測の大きな妨げとなる。この問題を解決する一手法としては、暗視野下で計測を行うことが考えられるが、暗視野下における計測では、対象物の目視での確認が困難となり作業性が低下するという問題がある。
発明者らは、例えば波長が0.9μm以下のLED照明下であれば、正確な温度計測を行うことが可能であることを見出した。つまり、赤外光の放射強度が極めて少ない波長が0.9μm以下のLED照明であれば、測定対象物101から放射される赤外線量に何ら影響を与えることなく、単に視認性を向上させるためだけにLED照明を用いることができることを見いだした。逆に、赤外光の放射強度が無視できないレベルである、一般的な白熱電球や蛍光灯等の照明装置では、本例に係る赤外線撮影装置100の撮影作業を補助するための照明装置には適さない。
したがって、本例にかかる赤外線撮影装置100は、波長0.9μm以下のLED照明と組み合わせて使用するのが好適である。
以上、本発明の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本発明で開示した実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換をすることも可能である。
100…赤外線撮影装置、101…測定対象物、102…カメラ、103…レンズ、104…シャッタ、105…光学絞り、106…撮影素子、107…A/D変換器、108…パソコン、109…記憶部、110…処理部、111…調整部、112…(ステンレス製)容器、113…アルミニウム(測定対象物の一例)、114…熱電対

Claims (6)

  1. 波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子と、
    前記撮影素子を用いて、150℃以上の温度にある測定対象物の温度を算出する処理部と、
    を備える赤外線撮影装置。
  2. 前記処理部は、
    前記測定対象物を含んで撮影した第一の画像と、前記測定対象物を含まずに撮影した第二の画像との差分画像に基づいて、前記測定対象物の温度を算出する
    請求項1に記載の赤外線撮影装置。
  3. 前記第二の画像は、前記撮影素子の前方に配置されるシャッタの画像である、
    請求項2に記載の赤外線撮影装置。
  4. 波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子と、
    前記撮影素子に入射される赤外線の光量を調整するための光学絞りと、
    測定対象物の放射率及び前記測定対象物の測定温度上限値が予め記憶される記憶部と、
    前記記憶部に記憶されている前記放射率と前記測定温度上限値に基づいて、前記撮影素子の出力値を算出する処理部と、
    前記処理部で算出された前記出力値に基づいて、露光時間ないし前記光学絞りのいずれか、あるいは両方を調整する調整部を
    備える赤外線撮影装置。
  5. 波長0.9μm以下のLED光を光源とする照明と、赤外線撮影装置とから構成される赤外線撮像システムであって、
    前記赤外線撮影装置は、
    波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子と、前記撮影素子を用いて、150℃以上の温度にある測定対象物の温度を算出する処理部とを備える
    赤外線撮影システム。
  6. 波長0.9〜1.7 mmに主たる受光感度を有する撮影素子を用い、測定対象物を含んだ第一の画像を撮影するステップと、
    測定対象物を含まずに第二の画像を撮影し、前記第一の画像と前記第二の画像との差分画像を算出するステップと、
    前記差分画像に基づいて前記測定対象物の温度を計測するステップを、
    含む赤外線撮影方法。





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