JP2018176053A - ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管では使用環境の変化によって、より高い性能が要求されてきている。ポリオレフィン被覆の高温密着性においては下層のエポキシ樹脂と上層のポリオレフィン樹脂の性質が異なるために界面剥離となりやすく、十分な強度を確保することが難しかった。【解決手段】本発明の3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法は、加熱した鋼管に粉体エポキシ樹脂プライマーを塗装し、溶融状態にある間に、その上に特定の粒径を有する粉体変性ポリオレフィン樹脂接着剤を塗布した時の凹凸を利用する。接着剤の溶融速度よりもエポキシ樹脂の硬化速度が早いことから、表面に凹凸を維持したままの形状でプライマー層が硬化する。これによって、界面の結合力が強化され、高温でも高い接着強度を維持することが可能となる。【選択図】図2
Description
石油・ガス等のエネルギー輸送用ラインパイプには、主に外面ポリオレフィン樹脂被覆鋼管が用いられる。このポリオレフィン樹脂被覆鋼管は世界の標準として使用されており、特に長期の防食性と施工時の耐疵性が要求される場合には3層被覆鋼管が用いられる。その構成は防食性の高いエポキシ樹脂プライマー層、接着剤層、ポリオレフィン樹脂層からなる3層構造が用いられる。本発明は、このポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法、その中でも特にエポキシ樹脂プライマー層と接着剤層間の接着力を向上させるための製造方法に関する。
3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の外面被覆はISO21809−1で規定されており、−40〜80℃の領域ではポリエチレン樹脂、−20〜110℃の領域ではポリプロピレン樹脂が使用されるが、通常の環境では、安価なポリエチレン樹脂が採用される。これらのポリオレフィン樹脂被覆は埋設、あるいは海底パイプラインといったメンテナンスが難しい環境で使用されることが多いため、その品質に対する要求も厳しいものとなっている。特に原油の重質化に伴い、原油の粘度を下げるために流体(原油)の高温化が進み、結果として高温での接着性が要求されている。
3層ポリオレフィン樹脂被覆の高温性能を向上させる試みとしては、従来、主に被覆する樹脂の改良が行われてきた。例えば、エポキシ樹脂プライマーにも高い耐熱性が要求されることから、特許文献1に示されるように、エポキシプライマーの架橋密度を高める為に多官能のO−クレゾールノボラックを配合して、プライマーの耐熱性を高める方法や、特許文献2に示されるように、接着剤の特性を制御する方法などが試みられてきた。しかしながら、3層ポリオレフィン樹脂被覆は、その使用温度範囲として低温領域をもカバーする必要があるために、材料特性の変更には限界があり、特に高温での接着性が十分とは言えなかった。一方で、製造方法からの試みとしては特許文献3に示されるように、プライマーの厚み、鋼管温度から、被覆条件を決定する方法が提案されている。しかしながら、本方法で提案される時間は硬化速度が異なる種々のプライマーには適用することは困難で、汎用的な方法では無かった。
3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管はエポキシ樹脂プライマー、接着剤、ポリオレフィン樹脂の3層被覆である。プライマーの防食性を高めるために粉体エポキシ樹脂を用いた場合、初期分子量が大きいために液状エポキシ樹脂プライマーと比較してプライマーと接着剤間の化学的結合が形成される確率が低い。特に、近年要求される高温領域においては、粉体エポキシ樹脂プライマーと接着剤との接着力(ピール強度)が低下し、界面剥離が発生し易いという課題があった。
上記界面の接着力を向上させる方法として、化学的な結合を高める方法の他に表面粗さを上げる方法が有効である。表面粗さを上げることで、接着表面積の増加による化学結合率の向上と物理的な投錨効果が得られる。粗度によって接着剤の濡れが不十分となり空隙が生じるような場合を除いて、従来から接着面を荒らす方法は接着力向上に非常に有力な方法とされている。しかしながら、熱硬化性樹脂の粉体エポキシ樹脂プライマーと熱可塑性樹脂である接着剤の界面は通常滑らかであるため、表面粗さを上げる方法は従来提案されていない。これは次の理由による。図3に示す様に、粉体エポキシ樹脂プライマー層13は30〜100μm程度の粗度を設けた鋼管1に塗装されるが、150〜400μmと厚膜であるため、溶融によって滑らかな表面が形成されたまま硬化する。そこに、従来の溶融した軟らかい変性ポリオレフィン接着剤層14を貼り付ける方法では、界面の形状は滑らかなままとなるためである。
本発明では、粉体エポキシ樹脂プライマーに粉体の接着剤を組み合わせる。その際の条件として160〜240℃に加熱された鋼管に塗布された粉体エポキシ樹脂プライマーが、硬化前であってなお溶融・液状状態である時に100μ〜300μmの粒子を50質量%以上含有する粉体接着剤をその上に塗装するものである。粉体の接着剤を用いても、粒子が小さい場合にはプライマーに接触すると直ぐに溶融するために投錨効果が発現するような凹みは形成されない。これに対して、粒子の大きい接着剤を使用すると、図2に示す様に、溶融状態にあるプライマー面に接着剤が付着した時に凹みが生じ、これがプライマー硬化後にも凹凸のあるプライマー層10として維持されて接着剤層11との界面に粗面を形成することが可能となる。その結果、密着力が強化される。これにより、従来、密着力低下が大きかった高温でも、高い接着力(ピール強度)を有する3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管を得ることが出来る。
本発明は、プライマーと接着剤間に高い接着力を有する3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法である。3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管は従来公知の被覆構成で製造する。例えば、鋼管外面の錆除去にブラスト処理、洗浄処理を行った後、鋼管を加熱し、粉体状のエポキシ樹脂を静電粉体塗装して150μm以上の厚膜プライマー層を形成する。その後、変性ポリオレフィン樹脂の粉体接着剤を塗布して100〜400μmの接着剤層を形成する。その後、Tダイス、または丸ダイスを介して溶融したポリオレフィン樹脂のシートを押出し被覆しポリオレフィン樹脂被覆鋼管を製造する。この時用いる粉体接着剤としては100μ〜300μmの大きさの粒子を50質量%以上含有する必要がある。また、被覆条件として粉体エポキシ樹脂プライマーが溶融状態である時間内に接着剤を塗布する必要が在り、そのために被覆する温度での粉体エポキシ樹脂プライマーのゲルタイムを測定し、その時間よりも短い時間で接着剤を塗布する。これによって、粉体エポキシ樹脂プライマー表面の接着表面積増加や投錨効果のある凹凸が形成されるため、高温で接着試験(ピール試験)を行ってもプライマーと接着剤の界面剥離が生じにくく、高い接着力(ピール強度)を得ることができる。
3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管では、粉体エポキシ樹脂プライマーと、変性ポリオレフィン樹脂接着剤の界面の結合力を高める方法として、粗面を形成する方法がこれまで無かった。これに対し、粒径の大きい粉体接着剤を用いる本発明の製造方法によって、接着剤が溶融する前に粉体エポキシ樹脂プライマー面に食い込む事が可能となるため、粉体エポキシ樹脂プライマー表面に粗面が形成され、従来の滑らかな界面に比べて接着強度を高めることが出来る。その結果、比較的高温の領域においても粉体エポキシ樹脂プライマーと接着剤との接着強度(ピール強度)の低下が少なく、良好な接着力を維持することが出来る。
以下、本発明につき詳細に説明を行なう。
本発明に使用する鋼管は普通鋼、あるいは高合金鋼など、どのような鋼種でも適用可能である。また、サイズ、厚みの制約は設備に起因するだけである。
本発明の3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管は化成処理を行う前に、鋼管ブラスト装置2によって鋼管1のブラスト処理を行い、表面の錆や汚れを除去するだけでなく、接着に必要な粗度を確保する。このブラスト処理に用いる研掃材としては、一般的には鋼製グリッド・ショット粒を用いる。更に清浄な表面が要求される場合には、アルミナ等のセラミック素材を用いても良い。また、サンドを用いることもできる。ブラスト処理後の表面に、鉄粉等の汚れが付着している場合、ブラシ、吸引、洗浄液体による洗浄等の処理を行うことができる。特に高い防食性能が要求される場合には、下地処理装置3によって、例えば日本パーカーライジング社製のパルクロム100などを用いて塗布型クロメート処理、あるいは、塗布及び洗浄型化成処理が使用可能である。
本発明に使用する鋼管は普通鋼、あるいは高合金鋼など、どのような鋼種でも適用可能である。また、サイズ、厚みの制約は設備に起因するだけである。
本発明の3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管は化成処理を行う前に、鋼管ブラスト装置2によって鋼管1のブラスト処理を行い、表面の錆や汚れを除去するだけでなく、接着に必要な粗度を確保する。このブラスト処理に用いる研掃材としては、一般的には鋼製グリッド・ショット粒を用いる。更に清浄な表面が要求される場合には、アルミナ等のセラミック素材を用いても良い。また、サンドを用いることもできる。ブラスト処理後の表面に、鉄粉等の汚れが付着している場合、ブラシ、吸引、洗浄液体による洗浄等の処理を行うことができる。特に高い防食性能が要求される場合には、下地処理装置3によって、例えば日本パーカーライジング社製のパルクロム100などを用いて塗布型クロメート処理、あるいは、塗布及び洗浄型化成処理が使用可能である。
次に、エポキシ樹脂プライマー層について説明する。本発明ではプライマー層には防食性の高い粉体エポキシ樹脂を使用する。粉体エポキシ樹脂塗料は、主成分のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を単独、もしくは混合し、更に多官能性のフェノールノボラック型エポキシ樹脂やハロゲン化エポキシ樹脂を組み合わせたものに、フェノール系硬化剤を組み合わせたものが一般的である。硬化速度はアミン系硬化剤やイミダゾール化合物硬化剤、ジシアンジアミド硬化剤等を添加して調整されている。さらに粉体エポキシ樹脂塗料として、無機顔料が20〜50質量%で配合されたものが市販されており、これを用いることができる。無機顔料はシリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にバナジウムリン系化合物等の防錆顔料を適宜用いることができる。粉体エポキシ樹脂塗料は、国内では日本ペイント株式会社、もしくは関西ペイント株式会社から入手できる。海外では、JOTUN、KCC、Arsonsisi、3M Co.等のメーカーで鋼管被覆用として販売されている銘柄を適宜用いる。鋼管1を誘導加熱等の加熱装置4によって160〜260℃に加熱した後、その外面に粉体プライマー塗装機5を用いて粉体エポキシ樹脂塗料を塗布し、溶融後に反応硬化してプライマー層を形成する。プライマー層の厚みは、通常150〜400μmである。
粉体エポキシ樹脂プライマー層の上に変性ポリオレフィン樹脂を接着剤として積層する。変性ポリオレフィン樹脂接着剤は、ポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸で変性したもの、あるいはポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、ポリオレフィンとアクリル酸エステルと、無水マレイン酸との共重合体を用いることができる。従来方法では変性ポリオレフィン樹脂接着剤はペレットを押出機で加熱溶融して、Tダイスあるいは丸ダイスを用いてシート状にして粉体エポキシ樹脂プライマー塗布後の鋼管外面に被覆していた。この方法では粉体エポキシ樹脂プライマー層13と変性ポリオレフィン接着剤層14の界面に凹凸を設けることは出来なかった(図3)。
本発明では接着剤に粉体変性ポリオレフィン樹脂接着剤を使用する。粉体変性ポリオレフィン樹脂接着剤層11を溶融状態にある粉体エポキシ樹脂プライマー層10の表面に粉体接着剤塗装機6によって塗布することで、表面に凹凸を形成することが可能となるものである(図2)。但し、粉体エポキシ樹脂の硬化速度はメーカーや銘柄、塗布する鋼管の温度によって変化する。このため、異なる銘柄、温度に対して粉体エポキシ樹脂の溶融状態の指標に、粉体の特性を示すゲルタイムを利用する。ゲルタイムの測定方法にはISO 21809の方法を用いる。但し、測定温度は規格の205℃ではなく、塗布する鋼管の温度でのゲルタイムを測定する。これによって実際に塗装された場合に粉体エポキシ樹脂が溶融状態にある時間を知ることが出来ることから、その時間内の溶融した粉体エポキシ樹脂プライマー表面に固体の粉体変性ポリオレフィン樹脂接着剤を塗布する。この時、塗布する接着剤の粒径が小さ過ぎると、凹みが少なく、また付着した接着剤の溶融が早過ぎるために表面の凹凸形成が不十分となる。このため、粉体接着剤には、100〜300μmの粒子を50質量%以上含有するものを用いる。
粉体ポリオレフィン樹脂接着剤は一般市販品、または接着剤ペレットを粉砕したものをふるいわけて作製する。粉砕加工を行う場合は、粉砕装置の温度を管理して溶融・硬化後の塗膜中に気泡が存在する原因となるヒゲ状突起物の生成を抑制しておく必要がある。変性ポリエチレン樹脂接着剤としては、例えば三井化学社製のNE060、NE065、BOREALIS社製のBorcoat ME0420、Lyondell Basell社製のLucalen G3710E等を粉砕して使用する。また一般市販の粉体接着剤であるBorcoat ME0433 powderを用いても良い。変性ポリプロピレン樹脂接着剤としては、三菱化学社製のAP-P501、BOREALIS社製のBorcoat BB127E、Lyondell Basell社製のHifax adhesive EP2 015/60等を適宜粉砕して用いる。一般市販の粉体接着剤としては例えば Hifax EPR 60(M)/Biancoがある。
粒度の小さいものは粉体エポキシ樹脂プライマー表面の凹凸形成に有効ではないので100μm以下の小さい粒子は30質量%以下が好ましい。一方、粒度が大き過ぎると、溶融し難く、粉体変性ポリオレフィン樹脂接着剤層の表面に凹凸が生じる。この接着剤の凹凸表面にポリオレフィン樹脂を被覆すると、接着剤とポリオレフィン樹脂の間に気泡が残存しやすくなることから、500μm以上の粒径の大きなものは5質量%以下にとどめる。粒度測定は JIS Z8801−1 に合格する試験用ふるいを用いて、その質量を測定する。実際に100μm〜300μmの測定には公称目開き106μm(150メッシュ)と公称目開き300μm(48メッシュ)の金網が適する。これにより粉体エポキシ樹脂プライマーと粉体変性ポリオレフィン樹脂接着剤は図2に見られるような凹凸を有する接着界面が形成可能となる。接着剤層の厚みは、0.1〜0.4mmになるように調整する。
変性ポリオレフィン樹脂接着剤層の上にTダイス8を介してポリオレフィン押出機7によって被覆される2〜5mm厚みのポリオレフィン樹脂は、鋼管被覆用として市販されているものを使用することができる。一般的には着色耐候性顔料としてポリエチレンにはカーボンブラック、ポリプロピレンには白色顔料、例えば酸化チタンが配合され、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等が添加されたもので、低温靭性と高温使用での耐酸化劣化性を兼ね備えたものであることが好ましい。
被覆するポリエチレン樹脂としては鋼管被覆用に用いられる銘柄を使用することができる。例えば、BOREALIS社製のBorcoat HE3450、Lyondell Basell社製のLupolen 4552D、日本ポリエチレン社製のNOVATEC ER002Sなどの、鋼管被覆に要求される長期耐久性を有し、カーボンブラックを添加したものを使用することができる。ポリプロピレン樹脂としては日本ポリプロピレン社製のTX1843B、BOREALIS社製のBB108E-1199 、LyondellBasell社製のMoplen Coat EP60R/BIANCO等が使用出来る。
被覆するポリエチレン樹脂としては鋼管被覆用に用いられる銘柄を使用することができる。例えば、BOREALIS社製のBorcoat HE3450、Lyondell Basell社製のLupolen 4552D、日本ポリエチレン社製のNOVATEC ER002Sなどの、鋼管被覆に要求される長期耐久性を有し、カーボンブラックを添加したものを使用することができる。ポリプロピレン樹脂としては日本ポリプロピレン社製のTX1843B、BOREALIS社製のBB108E-1199 、LyondellBasell社製のMoplen Coat EP60R/BIANCO等が使用出来る。
以下、本発明の実施例及び比較例を具体的に説明する。本発明の製造条件を決めるための事前準備として、塗装温度を180、200、220℃に設定し、使用する3種の粉体エポキシ樹脂(Arsonsisi社製BASEPOX(R) PE50-1120、3M社製226N 8G、日本ペイント製PE287-6(8))についてISO 21809のゲルタイム測定方法を用いて、各温度でのゲルタイムを測定した。次いで、変性ポリエチレン樹脂の粉体接着剤(BOREALIS社製のBorcoat ME0433 powder)及びペレット状の接着剤(三井化学社製のNE065)を、各々低温で粉砕し、比較例5を除いて500μm以下(30メッシュ)になるようにした。ついで、得られた粉体接着剤はふるい分けして目的とする粒度分布のサンプルを製造した。
〔実施例、比較例の製造〕
鋼管は200AのJIS G3452の配管用炭素鋼管5.5m長を用いた。鋼管1の外面を鋼管ブラスト装置2によってIKK社製のTGD−70番のグリッドブラスト処理を行い除錆した。その後、下地処理装置3によって鋼管の表面洗浄処理を行い汚れや鉄粉等を除去した。
鋼管1をスパイラル状に搬送し、加熱装置4で180〜220℃に加熱後、粉体プライマー塗装機5によって粉体エポキシ樹脂プライマーを、目標膜厚200μmで静電粉体塗装を実施した。この後、粉体変性ポリエチレン樹脂接着剤を粉体接着剤塗装機6によって目標0.2mm厚に静電粉体塗装を行った。この時、粉体プライマー塗装機5と粉体接着剤塗装機6の中心間の距離と搬送速度から粉体エポキシ樹脂塗装〜粉体接着剤塗装までの時間(インターバル)を決定した。その後ポリエチレン樹脂(BOREALIS社製のBorcoat HE3450、日本ポリエチレン社製のNOVATEC ER002S)のペレットを、ポリオレフィン押出機7とTダイス8を用いて半溶融状態のシート状として鋼管1の外面に巻き付け被覆を行った後、冷却装置9によって水冷を行い被覆鋼管を製造した。樹脂被覆は3mmになるように調整した。
鋼管は200AのJIS G3452の配管用炭素鋼管5.5m長を用いた。鋼管1の外面を鋼管ブラスト装置2によってIKK社製のTGD−70番のグリッドブラスト処理を行い除錆した。その後、下地処理装置3によって鋼管の表面洗浄処理を行い汚れや鉄粉等を除去した。
鋼管1をスパイラル状に搬送し、加熱装置4で180〜220℃に加熱後、粉体プライマー塗装機5によって粉体エポキシ樹脂プライマーを、目標膜厚200μmで静電粉体塗装を実施した。この後、粉体変性ポリエチレン樹脂接着剤を粉体接着剤塗装機6によって目標0.2mm厚に静電粉体塗装を行った。この時、粉体プライマー塗装機5と粉体接着剤塗装機6の中心間の距離と搬送速度から粉体エポキシ樹脂塗装〜粉体接着剤塗装までの時間(インターバル)を決定した。その後ポリエチレン樹脂(BOREALIS社製のBorcoat HE3450、日本ポリエチレン社製のNOVATEC ER002S)のペレットを、ポリオレフィン押出機7とTダイス8を用いて半溶融状態のシート状として鋼管1の外面に巻き付け被覆を行った後、冷却装置9によって水冷を行い被覆鋼管を製造した。樹脂被覆は3mmになるように調整した。
〔実施例1〜9、比較例1〜5〕
実施例1〜9では種々の塗装鋼管温度、被覆材料、被覆条件の組み合わせを行い、本発明の範囲となるようにした。比較例1〜2は実施例2に対して、エポキシ〜接着剤インターバルが粉体エポキシ樹脂プライマーのゲルタイムを越えた場合、比較例3〜4は実施例6に対して、粒度分布が不適切な場合である。比較例5は実施例7に対して粒度分布が不適切な場合である。
実施例1〜9では種々の塗装鋼管温度、被覆材料、被覆条件の組み合わせを行い、本発明の範囲となるようにした。比較例1〜2は実施例2に対して、エポキシ〜接着剤インターバルが粉体エポキシ樹脂プライマーのゲルタイムを越えた場合、比較例3〜4は実施例6に対して、粒度分布が不適切な場合である。比較例5は実施例7に対して粒度分布が不適切な場合である。
〔比較例6〕
比較例6としては変性ポリエチレン樹脂接着剤層の形成に粉体を用いないで、変性ポリエチレン樹脂ペレットを用いて従来のTダイス方式を用いた場合の例である。被覆のその他の条件としては実施例7に合わせた。
比較例6としては変性ポリエチレン樹脂接着剤層の形成に粉体を用いないで、変性ポリエチレン樹脂ペレットを用いて従来のTダイス方式を用いた場合の例である。被覆のその他の条件としては実施例7に合わせた。
〔ピール強度の測定と結果〕
被覆した鋼管を150mm長に切断した後、軸方向に8等分して試験片を作製した。作製した試験片をインストロン製の恒温槽付き引っ張り試験機により、80℃環境にて、速度10mm/分、幅20mmで、90度ピール試験を行った。また、サンプルの断面を埋め込み加工を行って、プライマー、接着剤の観察を行った。実施例、比較例の結果を表1に示す。
被覆した鋼管を150mm長に切断した後、軸方向に8等分して試験片を作製した。作製した試験片をインストロン製の恒温槽付き引っ張り試験機により、80℃環境にて、速度10mm/分、幅20mmで、90度ピール試験を行った。また、サンプルの断面を埋め込み加工を行って、プライマー、接着剤の観察を行った。実施例、比較例の結果を表1に示す。
以上の本発明の実施例1〜9の結果から、本発明の製造方法での被覆条件によってプライマー表面に凹凸が形成されることによって、粉体エポキシ樹脂プライマーと粉体変性ポリエチレン樹脂接着剤との接触面積の増加と、接着剤の投錨効果によって界面接着力が向上する。その結果、従来、ピール強度が低下しやすかった高温(80℃)でも高いピール強度を維持することが可能となった。一方、比較例1〜2の結果から粉体エポキシ樹脂プライマーの硬度が上昇した(インターバルがゲルタイムを超えた)後に粉体変性ポリエチレン樹脂接着剤を塗布した場合には接着力は低下した。また比較例3〜5の結果から、粉体変性ポリエチレン樹脂接着剤には適度な粒径が必要である。比較例6の結果では従来のシート積層に比べて実施例の性能が向上していることがわかる。
以上の例からも明らかな様に、本発明のポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法によって、従来は滑らかであった粉体エポキシ樹脂プライマー層と変性ポリオレフィン樹脂接着剤層の界面に凹凸を設けることが可能となる。その凹凸がアンカー効果を発揮する高さと個数を有することで、界面接着強度が低下しやすい高温領域においても、高い接着強度を維持することが可能である。
1 鋼管
2 鋼管ブラスト装置
3 洗浄、化成処理等の下地処理装置
4 加熱装置
5 粉体プライマー塗装機
6 粉体接着剤塗装機
7 ポリオレフィン押出機
8 Tダイス
9 冷却装置
10 本発明の塗装条件による粉体エポキシ樹脂塗装によるプライマー層
11 本発明の塗装条件による粉体ポリオレフィン樹脂接着剤塗装による接着剤層
12 ポリオレフィン樹脂層
13 一般的な粉体エポキシ樹脂プライマー層
14 一般的な押し出し被覆による変性ポリオレフィン接着剤層
2 鋼管ブラスト装置
3 洗浄、化成処理等の下地処理装置
4 加熱装置
5 粉体プライマー塗装機
6 粉体接着剤塗装機
7 ポリオレフィン押出機
8 Tダイス
9 冷却装置
10 本発明の塗装条件による粉体エポキシ樹脂塗装によるプライマー層
11 本発明の塗装条件による粉体ポリオレフィン樹脂接着剤塗装による接着剤層
12 ポリオレフィン樹脂層
13 一般的な粉体エポキシ樹脂プライマー層
14 一般的な押し出し被覆による変性ポリオレフィン接着剤層
Claims (1)
- 粉体エポキシ樹脂プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂接着剤層、ポリオレフィン樹脂層を順次積層するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造において、塗装温度におけるゲルタイム(硬化時間)以内である未硬化の粉体エポキシ樹脂プライマー表面に、粒径100μm〜300μmの粉体の含有率が50質量%以上、500μm以上の粉体の含有率が5質量%以下である粉体変性ポリオレフィン樹脂接着剤を塗布して積層することを特徴とするポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法。
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