JP2018174805A - 育苗方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多数の苗を、簡単かつ容易に、しかも根の損傷することなく能率よく育苗する。【解決手段】親株栽培床2の下に、棚6に複数の苗ポット7を脱着できるように並べて多段の子株用栽培床5とし、各苗ポット7の培地25には養液チューブ9で養液を供給し、親株栽培床2の親株1から延びるランナー3から発生する子株4を各苗ポット7に植え付けし、ランナー固定具21でランナー3と養液チューブ9を苗ポット7の定位置に配置して子株4を苗ポット7で生育させた後、ランナー3を切断して子株4を苗ポット7で生育し、子株4の生育した苗ポット7を棚6から取り出して育苗する。【選択図】図2

Description

本発明は、主としてイチゴの育苗方法に関する。
イチゴ等のように、親株からランナーから多数の子株を発生する植物の育苗装置は開発されている。(特許文献1、2参照)
特許文献1の育苗装置は、図9に示すように、親株用栽培床の両側に透水性シート15を垂らし、親株から下方に延びるランナーに発生する子株を、透水性シート15に植え付けして生育される。
また、特許文献2の育苗装置は、図10に示すように、親株用栽培床の両側に、多段に樋形の子株用栽培床16を設け、樋形の子株用栽培床16には培地と養液供給し、親株用栽培床17の親株18から延びるランナーに発生する子株を、子株用栽培床の培地に植え付けして育苗する。
特開平7−327480号公報 特開平10−52171号公報
以上の育苗装置を使用する育苗方法は、子株用栽培床を多段に配置し、親株から垂れ下がるように成長するランナーに発生する複数の子株を、子株用栽培床の培地に植え付けして育苗するので、狭い面積で多数の苗を成長できる特徴がある。しかしながら、この育苗方法は、子株用栽培床で成長した苗を定植するのに手間がかかる欠点がある。それは、引用文献1の育苗方法では、透水性シート15にランダムに分散して子株が成長するので、各々の苗を分離して定植するために、苗の位置を考慮して、すなわち、各々の苗を分離するように透水性シート15を切断する必要があって、この作業に著しく手間がかかるからである。また、引用文献2の育苗方法においても、樋形の子株用栽培床の培地に成長した各々の苗を分割して定植するので、苗の分離に著しく手間がかかる欠点がある。さらに、苗の分割作業において、根の損傷を防止しながら、透水性シート15を切断し、あるいは培地を分割する必要があるので、慎重に分割する必要があり、また分割作業における根の傷つきは、定植後の生育を阻害する弊害となる。
本発明の第1の目的は以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、子株用栽培床で生育された多数の苗を、簡単かつ容易に、しかも根を損傷することなく高能率に育苗できる育苗方法を提供することにある。
さらに、本発明の第2の目的は、多数の苗ポットを配列しながら、各々の苗ポットで安定して生育状態の優れた子株を生育できる育苗方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の植物の育苗方法は、水平に配置させて複数の親株1を長手方向に並べて植え付ける親株栽培床2と、親株栽培床2の下に、親株栽培床2と平行な姿勢で上下に離して多段に配設され、また親株栽培床2の親株1から延びるランナー3を介して成長する子株4を植え付けする培地を充填している子株用栽培床5とを備える栽培装置を使用して親株1から複数の子株4を生育させる。この育苗方法は、子株用栽培床5を、長手方向に延びる棚6と、棚6の長手方向に並べて棚6に脱着自在に配置してなる複数の苗ポット7とで構成し、各々の苗ポット7には培地を充填して、培地には子株4を生育させる養液を供給し、親株栽培床2に植え付けしている各親株1から延びるランナー3に所定の間隔で発生する子株4を各苗ポット7に分割して植え付けして、各苗ポットに植え付けする子株4に繋がっているランナー3を、苗ポット7の培地に挿入されて定位置に配置する挿入アンカー22を備えるランナー固定具21で苗ポット7に固定し、さらに、ランナー固定具21でもって各苗ポット7に配置している養液チューブ9を各苗ポット7の定位置に配置し、ランナー固定具21でランナー3と養液チューブ9の両方を苗ポット7の定位置に配置して、苗ポット7に子株4を植え付けし、その後、ランナー3を切断して子株4を苗ポット7で生育し、子株4の生育した苗ポット7を棚6から取り出することを特徴とする。
以上の育苗方法は、子株用栽培床で育苗された多数の苗を、簡単かつ容易に、しかも根の損傷を皆無にして分離して取り出しできる特徴がある。それは、以上の育苗方法が、子株用栽培床5を、長手方向に延びる棚6と、棚6の長手方向に並べて棚6に脱着自在に配置してなる複数の苗ポット7とで構成し、各々の苗ポット7には培地を充填して、培地には養液を供給して、親株栽培床2の親株1から延びるランナー3から発生する子株4を各々の苗ポット7に分割して植え付けし、苗ポット7で子株4を苗に成長させた後、ランナー3を切断して苗ポット7を棚6から取り出して、生育させる培地に定植できるからである。
さらに、以上の育苗方法は、子株用栽培床に多数の苗ポットを配置して、各々の苗ポット7で安定して生育状態の優れた子株を生育できる特徴も実現する。それは、以上の育苗方法が、ランナー固定具21の挿入アンカー22を苗ポット7の培地25に挿入し、このランナー固定具21でもって、子株4に繋がっているランナー3に加えて、養液チューブ9を苗ポット7の最適位置に配置して、子株4に繋がっているランナー3の風等にる移動を阻止し、さらに、各々の苗ポット7の培地25の最適位置に安定して養液を供給して各苗ポット7で子株4を生育できるからである。子株用栽培床5に多数の苗ポット7を並べて子株4を能率よく育苗する方法において、全ての苗ポット7で子株4を安定して生育させることが大切であるが、このことを実現するには、ランナーに繋がっている子株を培地で移動させることなく、また全ての苗ポットに均一に、斑無く、しかも最適位置に養液を供給することが大切である。本発明の育苗方法は、培地25に挿入アンカー22を挿入するランナー固定具21でもって、子株4に繋がっているランナー3を固定し、固定されるランナー3を介して子株4の移動を阻止し、さらに、このランナー固定具21でもって養液チューブ9も苗ポット7の最適位置に配置する。したがって、子株用栽培床5に多数の苗ポット7を並べて多数の子株4を能率よく生育させながら、全ての苗ポット7において子株4を理想的な状態で生育できる特徴がある。とくに、以上の育苗方法は、ランナー固定具でもってランナーと養液チューブの両方を培地に固定するので、ランナーと養液チューブとの相対位置を特定できる。このことは、ランナー3を介して子株4の位置を特定し、さらに、養液チューブ9を固定して養液の供給位置を特定できるので、子株4と養液の供給位置との相対位置がずれることなく、子株4を定位置に配置して、子株には理想的な位置に養液を供給でき、全ての子株が理想的な状態で生育する特徴を実現する。
さらに以上の育苗方法は、ランナー固定具21でもって子株4と養液チューブ9の両方を苗ポット7の最適位置に配置するので、ランナー固定具21で定位置に保持される養液チューブ9でもって、養液を培地25の理想的な位置に供給して、養液の飛沫感染で発生する炭疽病などの病気の汚染を防止して、子株を元気に生育できる特徴がある。
本発明の育苗方法は、親株栽培床2に植え付けする親株1をイチゴとすることができる。
本発明の育苗方法は、一定の間隔で養液の灌水口を設けている灌水チューブを養液チューブ9として、灌水口を苗ポット7の培地25に配置するようにランナー固定具21でもって灌水チューブを苗ポット7に配置することができる。また、本発明の育苗方法は、点滴ホースを養液チューブ9として、点滴ホースが養液を注液する位置とするように養液チューブとランナー3とをランナー固定具21で苗ポット7に配置することができる。
本発明の育苗方法は、苗ポット7で生育した子株4のランナー3を切断すると共に、ランナー固定具21を培地25から引き抜いて棚6から取り出すことができる。また、本発明の育苗方法は、棚6から取り出した苗ポット7を子株の根鉢を崩さない状態で定植することができる。
本発明の育苗方法は、棚6から取り出した苗ポット7を子株4を入れた状態で、あるいは苗ポット7から取り出して定植することができる。
本発明の実施例にかかる育苗方法に使用される育苗装置の側面図である。 図1に示す育苗装置の鎖線Aで示す棚部分を示す正面図である。 図2に示す育苗装置の棚の載せ台の底面図である。 図1に示す育苗装置の正面図である。 本発明の他の実施例にかかる育苗方法に使用される育苗装置の側面図である。 ランナー固定具の使用状態を示す断面図である。 他の構造のランナー固定具の使用状態を示す断面図である。 他の構造のランナー固定具の使用状態を示す断面図である。 従来の育苗装置の斜視図である。 従来の他の育苗装置の斜視図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための育苗方法を例示するものであって、本発明は育苗方法を以下の方法や装置に特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
以下、本発明の育苗方法に使用する育苗装置を図1ないし図5に示す。以下、イチゴの育苗方法に詳述する。ただ、本発明の育苗方法は育苗する植物をイチゴに特定するものでなく、親株からランナーが伸びて子株を苗に生育できる他の全ての植物の育苗方法として利用できる。
以上の育苗装置は、水平に配置させて複数の親株1が長手方向に並べて植え付けられる親株栽培床2と、親株栽培床2の下方に、親株栽培床2と平行な姿勢で上下に離して多段に配設され、かつ親株栽培床2の親株1から延びるランナー3を介して成長する子株4を植え付けする培地を充填してなる子株用栽培床5と、親株栽培床2及び子株用栽培床5を水平姿勢に配置する支持フレーム8とを備える。
図1の支持フレーム8は、上端部を連結してハ字状に連結している一対の垂直フレーム12を備える。一対の垂直フレーム12はアンカーロッド36を介して垂直面内に固定される。一対の垂直フレーム12は、子株用栽培床5の長手方向の両端部にあって、子株用栽培床5を水平姿勢に支持する。長い子株用栽培床5にあっては、両端部のみでなくその中間部にも垂直フレーム12を配置して、子株用栽培床5を水平姿勢に支持する。垂直フレーム12は金属パイプで、上下の両端部に折曲部12Aを設けている。下端の折曲部12Aは、アンカーロッド36に挿入されて地面に固定され、上端の折曲部12Aは、水平フレームを介して連結されて、親株用栽培床2を配置している。アンカーロッド36は垂直フレーム12の内側に挿入できる外形で、垂直フレーム12よりも僅かに細いパイプやロッドである。この支持フレームは、アンカーロッド36を地面に垂直に、あるいはほぼ垂直に打ち込んで固定し、アンカーロッド36に垂直フレーム12下端の折曲部12Aを挿入して、垂直フレーム12を簡単に垂直面内に設置できる。下端部に折曲部12Aを設けている垂直フレーム12は、アンカーロッド36の挿入位置を特定できる。アンカーロッド36が折曲部12Aよりも上には挿入されないからである。
支持フレーム8は、下段の子株用栽培床5を上段の子株用栽培床5よりも外側に配置するために、下端の内幅(W1)を上端の内幅(W2)よりも広くして、垂直面内に配置している垂直フレーム12を傾斜角(α)で傾斜させている。垂直フレーム12の傾斜角(α)は、アンカーロッド36の打ち込み位置と角度とを調整して自由に変更できる。以上の垂直フレーム12は簡単に、しかも地面に移動しないように確実に安定して固定できる特徴がある。
以上の支持フレーム8は、アンカーロッド36を地面に垂直姿勢に、あるいはほぼ垂直姿勢に打ち込んで固定し、固定されたアンカーロッド36に垂直フレーム12の折曲部12Aを挿入して、垂直面内に立てられる。垂直に立てられた一対の垂直フレーム12は、上端を水平フレームで連結して垂直面内に固定される。
親株栽培床2は上方開口の樋形で、支持フレーム8の最上部に水平姿勢に配置される。親株栽培床2は、内部に用土等の培地を充填して、培地にイチゴなどの親株1が一定の間隔で植え付けされる。親株1は、イチゴなどの果実を収穫した後に親株栽培床2に植え付けられる。果実の収穫時に発生するランナー3は、果実の生育を優先して切断されるからである。ただ、果実を収穫しながらランナー3を成長させて子株4から育苗することもできる。親株栽培床2に植え付けられた親株1は、ランナー3が垂れ下がるように延びて一定の間隔で子株4が発生する。
子株用栽培床5は、親株用栽培床2と子株用栽培床5の長手方向に配列している棚6に、長手方向に並べている複数の苗ポット7を脱着できるように並べている。苗ポット7は、棚6に隙間なく並べられる。ランナー3から発生する子株4を効率よく苗ポット7に植え付けするためである。たとえば、苗ポット7は5cm〜10cmの間隔で棚6に並べられる。図1ないし図3に示す棚6は、支持フレーム8に固定している載せ台6Aに雨樋6Bを載せて、載せ台6Aと雨樋6Bとで、水平姿勢で多段に設けられる。載せ台6Aは、支持フレーム8に外側に水平方向に突出するように固定される。棚6は、親株栽培床2の両側に多段に水平姿勢で配設される。図の栽培装置は、両側に各々5段の棚6を設けている。支持フレーム8は裾広がり状として、多段の棚6を階段状に、すなわち下段の棚6を上段の棚6よりも外側に配置して、ランナー3から発生する子株4を確実に苗ポット7に植え付けするようにしている。
棚6は、苗ポット7を安定して載せることができるように、載せ台6Aと建物の雨樋6Bとで設けられる。載せ台6Aは横断面形状をT字状とする細長いプラスチックの成形品で、載せプレート37の下面に長手方向に延びる垂直リブ29を一体的に成形して設けている。この形状の載せ台6Aは、建物に電線を固定する「ビームラックル」の呼び名の配線具として市販される部品が使用できる。載せ台6Aは、垂直リブ29の連結端をサドル30を介して支持フレーム8に連結している。
サドル30は、帯状の金属板を中間でU曲して両端部を一対のアーム部31とするもので、U曲部の内側に支持フレーム8を案内し、アーム部31を挟着して支持フレーム8の垂直フレーム12に固定される。垂直フレーム12は金属パイプで、U曲部は金属パイプに沿う曲率半径でU曲されている。U曲部から延びる一対のアーム部31には連結ネジ32が貫通され、この連結ネジ32にナットがねじ込まれて、U曲部は垂直フレーム12に固定される。さらに、連結ネジ32は、サドル30のアーム部31を、垂直リブ29の端部に連結する。この連結ネジ32は、サドルのU曲部を支持フレーム8に固定し、さらに、アーム部31の先端を載せ台6Aの垂直リブ29に固定するので、1組の連結ネジ32でもって、サドルのU曲部を支持フレーム8に固定して、アーム部31の先端部を載せ台6Aに固定する。図示しないが、サドルを支持フレームに固定するネジと、サドルのアーム部を垂直リブに固定するネジとを別々に設けて、サドルを垂直フレームに、アーム部を垂直リブに固定することもできる。サドルを介して載せ台を支持フレームに連結する構造は、載せ台を垂直フレームの上下に移動して自由な位置に固定できるので、垂直フレームに多段に設ける棚の位置と段数とを自由に調整できる。とくに設置現場において、棚の位置と段数を自由に調整できる。
載せ台6Aは、連結ネジ32を回転中心として、水平姿勢を調整できるように垂直フレーム12に連結される。この載せ台6Aは、連結ネジ32を緩めて載せプレート37を水平姿勢に調整し、その後連結ネジ32にナットをねじ込んで載せプレート37を水平姿勢として支持フレーム8に固定する。載せ台6Aは、載せプレート37に雨樋6Bを載せ、この雨樋6Bに複数の苗ポット7を載せて子株4を生育させる。
一端を支持フレーム8に連結している載せ台6Aは、上に載せられる部材の重量で垂れ下がると、載せプレート37を水平姿勢に維持できない。載せプレート37を水平姿勢に維持するために、垂直リブ29には支持フレーム8に向かって延びる支持ネジ34を固定アーム35を介して連結している。支持ネジ34は、先端を垂直フレーム12に押し付けて、載せ台6Aの垂れ下がりを阻止する。支持ネジ34は、サドル30の連結位置から離れた位置、図2においては垂直リブ29の中央部に下方に伸びる姿勢に固定している固定アーム35の下端部に設けた雌ネジ部にねじ込まれて、載せ台6Aを水平姿勢に維持する。支持ネジ34は、回転されて軸方向に移動して、載せ台6Aの水平姿勢を調整する。以上の載せ台6Aは、支持ネジ34を回転し、軸方向に移動させて載せ台6Aを水平姿勢に維持できる。また、垂直フレーム12の傾斜角が変更しても、載せ台6Aを水平姿勢に調整できる。支持フレーム8は、栽培状態で棚7の段数を変更し、また棚7の段数や生育させる植物の種類、大きさ、形態などで傾斜角(α)を最適な角度に調整して使用される。連結ネジ32を回転中心として載せ台6Aを垂直面内で傾動して載せプレート37は水平姿勢に調整される。また、支持ネジ34を回転して載せプレート37を水平に調整できるできる載せ台6Aは、傾斜角(α)が異なる垂直フレーム12に連結されて、常に水平姿勢に配置でき、また、重い部材を載せて水平姿勢に保持できる特徴がある。
以上の棚は、市販されている配線具を載せ台6Aに使用して、その上に建物用の雨樋6Bを載せる構造とするので、載せ台6Aと雨樋6Bの両方を既製の市販部品を使用して、部品コストを低減して、高品質にできる特徴がある。ただ、棚6は建物用の配線具や雨樋6Bに特定するものでなく、苗ポット7を脱着できるように並べて配置できる他の全ての部材、たとえば、平面状の棚板なども使用できる。
本発明は支持フレーム8を以上の構造に特定するものでなく、図5に示す構造とすることもできる。この図の支持フレーム8は、一対の垂直フレーム12の上下の中間に多段に水平フレーム13を連結して、水平フレーム13の両端を突出させて、突出部14に子株用栽培床5の棚6を載せることもできる。この水平フレーム13は、一対の垂直フレーム12を連結し、さらに棚6を載せる台にも併用する。水平フレーム13は棚6を載せるので、図において上下に5段にあって、両端部を垂直フレーム12に固定している。棚6は水平フレーム13に固定されて、支持フレーム8の垂直フレーム12を自立できる構造に固定している。長い棚の育苗装置は、棚の中間に垂直フレームを固定して棚の荷重を垂直フレームで支持する。
支持フレーム8の棚6に並べられる各々の苗ポット7は、内部に培地を充填して、この培地に養液を供給する必要がある。各苗ポット7には、養液チューブ9で養液が供給される。養液チューブ9は、棚6と平行に配設されて、各々の苗ポット7に養液を供給する。養液チューブ9は供給路11を介して養液の給液機26に連結される。給液機26は、供給路11と養液チューブ9とを介して苗ポット7の培地25に養液を供給する。養液チューブ9は、灌水チューブや点滴ホース等、各々の苗ポット7に養液を供給できる全てのチューブが使用できる。
灌水チューブは可撓性のチューブで、一定の間隔で苗ポット7に養液を供給する灌水口(図示せず)を設けている。灌水口のピッチは、苗ポット7を並べているピッチに等しく、各灌水口から各々の苗ポット7に養液が供給される。養液チューブ9は、苗ポット7の上に沿って配設され、子株4に養液を滴下し、空気中に飛散させることなく培地に供給する。点滴ホースは可撓性のホースで、子株用栽培床5に沿って配置される供給路11に分岐して連結されて、供給路11から供給される養液を苗ポット7の培地25に供給する。供給路11はチーズ10で分岐して、各子株用栽培床5に配置している養液チューブ9に連結される。図6の点滴ホースは、ランナー固定具21に固定しているノズル23から養液を培地25に供給し、図7の点滴ホースは細いチューブで、後端を供給路11に連結して、先端を培地に配置して、培地に養液を供給する。養液チューブ9は、養液を培地に滴下して空気中に飛散することなく供給して、炭疽病等の飛沫感染に起因する病気を防止する。
各段に配置される養液チューブ9は養液の供給路11に連結され、供給路11から供給される養液を各苗ポット7の培地に供給する。養液チューブ9は親株栽培床2にも配置されて、供給路11から供給される養液を親株栽培床2と苗ポット7の両方に供給する。
ランナー3と養液チューブ9はランナー固定具21を介して各苗ポット7の定位置に配置される。ランナー固定具21がランナー3と養液チューブ9を培地に配置する状態を図6ないし図8に示す。これ等の図に示すランナー固定具21は挿入アンカー22を備える。ランナー固定具21は、挿入アンカー22を苗ポット7の培地25に挿入して、苗ポット7の定位置に固定され、各々の苗ポット7に植え付けされる子株に繋がっているランナー3を苗ポット7の定位置に配置し、さらに、各苗ポット7に配置されて培地25に養液を供給する養液チューブ9をも各苗ポット7の定位置に配置する。ランナー固定具21がランナー3と養液チューブ9の両方を苗ポット7の定位置に配置する状態で、子株4を苗ポット7で生育させる。
図に示すランナー固定具21は、苗ポット7の培地25にスムーズに挿入される複数の挿入アンカー22を下方に突出して平行に設けている。ランナー固定具21はプラスチックを板状に成形したもので、下方に突出する複数の挿入アンカー22を設けている。このランナー固定具21は、挿入アンカー22の間をランナー3の保持部として、上部には養液チューブ9の連結部を設けている。ランナー3の保持部は、2本の挿入アンカー22の間に設けた保持溝24で、ここにランナー3を案内して挿入アンカー22を培地25に挿入して、ランナー3を培地25の定位置に配置する。この構造は、連続する長いランナー3の途中を保持溝24に案内し、挿入アンカー22を培地25に挿入して、ランナー3を培地25の定位置に配置できる。
図6のランナー固定具21は、養液チューブ9の連結部にノズル23を設けており、ノズル23を養液チューブ9に連結してノズル23から養液を培地25に滴下する。このランナー固定具21は、ノズル23を養液チューブ9に連結する状態で、挿入アンカー22を培地25に挿入して、養液チューブ9とランナー3とを苗ポット7の定位置に配置し、あるいはノズル23に養液チューブ9を連結することなく挿入アンカー22を培地25に挿入してランナー3を定位置に配置し、その後ノズル23を養液チューブ9に連結する。
図7のランナー固定具21は、上部に設けたランナー3の連結部に、可撓性の養液チューブ9を挿入できる複数の貫通穴28を設けており、この貫通穴28に養液チューブ9を挿入して養液チューブ9を定位置に配置する。この構造のランナー固定具21は、養液チューブ9を貫通穴28に挿入して連結する状態で、ランナー固定具21を培地25に挿入してランナー3と養液チューブ9を定位置に配置し、あるいは養液チューブ9をランナー固定具21に連結することなく培地25に挿入してランナー3を定位置に配置し、その後養液チューブ9を貫通穴28に連結して養液チューブ9を苗ポット7の定位置に配置する。
さらに、図8のランナー固定具21は、3本の挿入アンカー22を設けて、図において右側2列の挿入アンカー22の間にランナー3の保持溝24を設けてここをランナー3の保持部とし、左側2列の挿入アンカー22の間を養液チューブ9の連結溝としてここを養液チューブ9の連結部としている。このランナー固定具21は、保持溝24にランナー3を案内し、連結溝に養液チューブ9を案内して、挿入アンカー22を培地25に挿入して、ランナー3と養液チューブ9の両方を苗ポット7の最適位置に配置する。
図6〜図8に示すランナー固定具21は、ランナー3を苗ポット7の定位置に配置しながら、養液を苗ポット7の最適位置に滴下して供給できる。したがって、この構造は、炭疽病等の飛沫感染に起因する病気をより効果的に防止しながら、培地25に適切な量の養液を供給できる。
以上の育苗装置は、以下の方法でランナー3から発生する子株4を使用して育苗する。
1.親株栽培床2に所定のピッチで親株1を植え付けし、子株用栽培床5の棚6には、長手方向に同じ大きさの苗ポット7を長手方向に並べる。苗ポット7は隙間なく並べる。ランナー3から発生する子株4を効率よく何れかの苗ポット7に植え付けするためである。
2.親株1からランナー3が垂れ下がるように生育して子株4が発生すると、子株4を苗ポット7に案内する。ランナー固定具21の挿入アンカー22を培地25に挿入して、子株4に繋がっているランナー3と養液チューブ9とを子株を植え付けした苗ポット7の定位置に配置する。苗ポット7に植え付けられた子株4は養液が供給されて生育する。ランナー3は所定の間隔で子株4が発生する。ランナー3は下方に伸びて子株4を次々と発生するので、ランナー3が伸びるに従って下段の棚6にセットしている苗ポット7に子株4を植え付けし、子株4を植え付けした苗ポット7の培地25に挿入アンカー22を挿入して、ランナー固定具21でもって、ランナー3と養液チューブ9とを苗ポット7の定位置に配置する。苗ポット7に植え付けされない余分な子株4はランナー3から切り離す。また、ランナー3が伸びて、多段の棚6に複数の子株4を植え付けした後、ランナー3を切り離して、苗ポット7の子株4をランナー3から切り離す。
ランナー固定具21は、ランナー3と養液チューブ9を苗ポット7の最適位置に配置するが、ランナー固定具は、養液チューブが養液を供給する位置が最適位置となるように、養液チューブを配置する。親株栽培床2にもランナー固定具でもって、養液チューブ9を固定して養液を供給する。
4.ランナー3から切り離された子株4は、苗ポット7の培地25で生育して苗となる。
5.子株4が苗まで生育した後、苗ポット7を棚6から取り出して苗を生育させる栽培装置の栽培床や土耕栽培の畑に子株の根鉢を崩さない状態で定植する。苗は、苗ポット7に入れた状態で栽培床や畑に定植され、あるいは苗ポット7から取り出して定植される。
本発明の育苗方法は、イチゴなどの苗を効率よく育苗する方法として有効に使用される。
1…親株
2…親株栽培床
3…ランナー
4…子株
5…子株用栽培床5
6…棚
6A…載せ台
6B…雨樋
7…苗ポット
8…支持フレー
9…養液チューブ
10…チーズ
11…供給路
12…垂直フレーム
12A…折曲部
13…水平フレーム
14…突出部
15…透水性シート
16…子株用栽培床
17…親株用栽培床
18…親株
19…ランナー
20…子株
21…ランナー固定具
22…挿入アンカー
23…ノズル
24…保持溝
25…培地
26…給液機
28…貫通穴
29…垂直リブ
30…サドル
31…アーム部
32…連結ネジ
34…支持ネジ
35…固定アーム
36…アンカーロッド
37…載せプレート

Claims (6)

  1. 水平に配置させて複数の親株が長手方向に並べて植え付けられる親株用栽培床と、
    前記親株用栽培床の下方に、前記親株用栽培床と平行な姿勢で上下に離して多段に配設され、かつ前記親株用栽培床の親株から延びるランナーを介して成長する子株を植え付けする培地を充填してなる子株用栽培床とを備える栽培装置を使用して親株から複数の子株を生育させる植物の生育方法であって、
    前記子株用栽培床を、長手方向に延びる棚と、前記棚の長手方向に並べて前記棚に脱着自在に配置してなる複数の苗ポットとで構成し、
    各々の苗ポットには培地を充填して、前記培地には養液チューブを介して子株を生育させる養液を供給し、
    前記親株用栽培床に植え付けしている各親株から延びるランナーに発生する個々の子株を各苗ポットに分割して植え付けすると共に、各苗ポットに植え付けされる子株に繋がっているランナーを、苗ポットの培地に挿入されて定位置に配置される挿入アンカーを備えるランナー固定具で苗ポットに固定し、さらに、前記ランナー固定具でもって各苗ポットに配置してなる前記養液チューブを各苗ポットの定位置に配置し、前記ランナー固定具で前記ランナーと前記養液チューブとを前記苗ポットの定位置に配置して、子株を苗ポットで生育し、子株の生育した前記苗ポットのランナーを切断して前記棚から取り出することを特徴とする育苗方法。
  2. 請求項1に記載される育苗方法であって、
    前記親株用栽培床に植え付けする親株をイチゴとすることを特徴とする育苗方法。
  3. 請求項1または2に記載される育苗方法であって、
    前記養液チューブが一定の間隔で養液の灌水口を設けてなる灌水チューブで、前記灌水口を前記苗ポットの培地に配置するように前記ランナー固定具でもって前記灌水チューブを苗ポットに配置することを特徴とする育苗方法。
  4. 請求項1又は2に記載される育苗方法であって、
    前記養液チューブが点滴ホースで、前記点滴ホースが養液を前記苗ポットに注液する位置に前記ランナー固定具が前記点滴ホースを前記苗ポットに配置することを特徴とする育苗方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載される育苗方法であって、
    前記苗ポットで生育した子株のランナーを切断すると共に、前記ランナー固定具を培地から引き抜いて前記棚から取り出することを特徴とする育苗方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載される育苗方法であって、
    前記棚から取り出した苗ポットを子株の根鉢を崩さない状態で定植することを特徴とする育苗方法。
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