JP2018174312A - R−t−b系焼結磁石 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石 Download PDF

Info

Publication number
JP2018174312A
JP2018174312A JP2018055192A JP2018055192A JP2018174312A JP 2018174312 A JP2018174312 A JP 2018174312A JP 2018055192 A JP2018055192 A JP 2018055192A JP 2018055192 A JP2018055192 A JP 2018055192A JP 2018174312 A JP2018174312 A JP 2018174312A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
core
shell
main phase
sintered magnet
phase particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018055192A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018174312A5 (ja
JP7035682B2 (ja
Inventor
佳則 藤川
Yoshinori Fujikawa
佳則 藤川
将史 三輪
Masashi Miwa
将史 三輪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to US15/939,778 priority Critical patent/US10748686B2/en
Priority to CN201810293088.9A priority patent/CN108695034B/zh
Publication of JP2018174312A publication Critical patent/JP2018174312A/ja
Publication of JP2018174312A5 publication Critical patent/JP2018174312A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7035682B2 publication Critical patent/JP7035682B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Abstract

【課題】残留磁束密度および保磁力を向上させ、かつ、低コストであるR−T−B系焼結磁石を提供する。【解決手段】R2T14B結晶からなる主相粒子を含むR−T−B系焼結磁石1である。Rは重希土類元素RHを必須とする1種以上の希土類元素、TはFeまたはFeおよびCoを必須とする1種以上の遷移金属元素、Bはホウ素である。主相粒子の一部が逆コアシェル主相粒子11である。逆コアシェル主相粒子11とは、コア部11aおよびシェル部11bを有し、コア部11aにおける全RH濃度(at%)をCRC、シェル部11bにおける全RH濃度(at%)をCRSとした場合に、CRC/CRS>1.0である。粒界12において、逆コアシェル主相粒子11の存在比率が、磁石中央部よりも磁石表層部の方が大きい。【選択図】図2

Description

本発明は、R−T−B系焼結磁石に関する。
特許文献1に示されるように、R−T−B系焼結磁石は、優れた磁気特性を有することが知られている。現在では、さらなる磁気特性の向上が望まれている。
R−T−B系焼結磁石の磁気特性、特に保磁力を向上させる方法には、原料合金を作製する段階でRとして重希土類元素を含ませる方法(一合金法)が知られている。また、重希土類元素を含まない主相系合金と重希土類元素を含む粒界相系合金とを粉砕後に混合して焼結する方法(二合金法)がある。さらに、特許文献2に記載されているように、R−T−B系焼結磁石を作製した後に、表面に重希土類元素を付着させて加熱することにより、粒界を通じて重希土類元素を拡散させる方法(粒界拡散法)がある。
上記の一合金法は主相粒子中に重希土類元素が存在するため、最大エネルギー積が低下してしまう場合がある。二合金法では主相粒子中の重希土類元素を低減でき、最大エネルギー積の低下を抑制することができる。粒界拡散法では、主相粒子のうち粒界にごく近い領域のみ重希土類元素の濃度を高くでき、主相粒子内部の重希土類元素の濃度を低減できる。すなわち、一般的なコアシェル構造の主相粒子を得ることができる。一般的なコアシェル構造とは、コア部の重希土類元素の濃度がコア部を被覆するシェル部の重希土類元素の濃度よりも低い構造のことである。これにより、二合金法と比べて保磁力を高くし、最大エネルギー積の低下を抑制できる。さらに、高価な重希土類元素の使用量を抑制できる。
また、特許文献3には、従来のR−T−B系焼結磁石よりも保磁力を向上させるために、コア部の重希土類元素の濃度がシェル部の重希土類元素の濃度よりも高い主相粒子を含む技術が記載されている。
特開昭59−46008号公報 国際公開第2006/043348号 特開2016−154219号公報
しかし、現在では、さらなる保磁力の向上およびコストの低減が求められている。
本発明は、磁気特性を向上させ、かつ、低コストであるR−T−B系焼結磁石を得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係るR−T−B系焼結磁石は、
14B結晶からなる主相粒子を含むR−T−B系焼結磁石であって、
Rは重希土類元素RHを必須とする1種以上の希土類元素、TはFeまたはFeおよびCoを必須とする1種以上の遷移金属元素、Bはホウ素であり、
前記主相粒子の一部が逆コアシェル主相粒子であり、
前記逆コアシェル主相粒子は、コア部およびシェル部を有し、
前記コア部における全RH濃度(at%)をCRC
前記シェル部における全RH濃度(at%)をCRSとした場合に、
RC/CRS>1.0であり、
前記逆コアシェル主相粒子の存在比率が、磁石中央部よりも磁石表層部の方が大きいことを特徴とする。
本発明に係るR−T−B系焼結磁石は、上記の特徴を有することにより、磁気特性を向上させ、かつ、低コストな磁石となる。
本発明に係るR−T−B系焼結磁石は、CRC/CRS>1.5であってもよい。
本発明に係るR−T−B系焼結磁石は、
前記主相粒子の一部がコアシェル主相粒子であり、
前記コアシェル主相粒子は、コア部およびシェル部を有し、
前記コア部における全RH濃度(at%)をCNC
前記シェル部における全RH濃度(at%)をCNSとした場合に、
NC/CNS<1.0であってもよい。
本発明に係るR−T−B系焼結磁石は、
主に前記コアシェル主相粒子からなるコアシェル粒子層、および、主に前記逆コアシェル主相粒子からなる逆コアシェル粒子層を含んでいてもよい。
本発明に係るR−T−B系焼結磁石は、
磁石中央部から磁石表層部に向かって、前記コアシェル粒子層および前記逆コアシェル粒子層がこの順番に並んでいてもよい。
本発明に係るR−T−B系焼結磁石は、
前記主相粒子の一部がコアシェル構造を有さない非コアシェル主相粒子であって、主に前記非コアシェル主相粒子からなる非コアシェル粒子層を含むR−T−B系焼結磁石であって、
磁石中央部から磁石表層部に向かって、前記非コアシェル粒子層、前記コアシェル粒子層および前記逆コアシェル粒子層がこの順番に並んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係るR−T−B系焼結磁石の断面の概略図である。 本発明の一実施形態に係るR−T−B系焼結磁石の断面の概略図である。 本発明の一実施形態に係るR−T−B系焼結磁石の磁石表層部付近の断面の概略図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
<R−T−B系焼結磁石>
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石1は、R14B結晶からなる主相粒子を含む。Rは重希土類元素RHを必須とする1種以上の希土類元素、TはFeまたはFeおよびCoを必須とする1種以上の遷移金属元素、Bはホウ素である。さらに、Zrを含んでもよい。なお、Rとして含まれる希土類元素とは、長周期型周期表の第3族に属するScとYとランタノイド元素とのことをいう。また、重希土類元素RHとは、Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luのことをいう。
Rの含有量には特に制限はないが、25質量%以上35質量%以下であってもよく、好ましくは28質量%以上33質量%以下である。Rの含有量が25質量%以上であると、R−T−B系焼結磁石1の主相粒子となるR14B結晶の生成が十分に行われやすく、軟磁性を持つα−Feなどの析出を抑制し、磁気特性の低下を抑制しやすくなる。 Rの含有量が35質量%以下であると、R−T−B系焼結磁石1の残留磁束密度Brが向上する傾向にある。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石におけるBの含有量は、0.5質量%以上1.5質量%以下であってもよく、好ましくは0.8質量%以上1.2質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以上1.0質量%以下である。Bの含有量が0.5質量%以上であることにより保磁力Hcjが向上する傾向にある。また、Bの含有量が1.5質量%以下であることにより、残留磁束密度Brが向上する傾向にある。
Tは、Fe単独であってもよく、Feの一部がCoで置換されていてもよい。本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石におけるFeの含有量は、R−T−B系焼結磁石において不可避的不純物,O,CおよびNを除いた場合の実質的な残部である。Coの含有量は0質量%以上4質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上1.5質量%以下とすることが更に好ましい。FeまたはFe及びCo以外の遷移金属元素としては、特に限定はないが、例えば、Ti,V,Cr,Mn,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wなどが挙げられる。また、Tとして含まれる遷移金属元素の一部を、例えば、Al,Ga,Si,Bi,Snなどの元素に置換してもよい。
R−T−B系焼結磁石1がAlおよびCuから選択される1種または2種を含有する場合、Al、Cuから選択される1種または2種の含有量は、それぞれ0.02質量%以上0.60質量%以下とすることが好ましい。AlおよびCuから選択される1種または2種を、それぞれ0.02質量%以上0.60質量%以下、含有することにより、R−T−B系焼結磁石1の保磁力および耐湿性が向上し、温度特性が改善される傾向にある。Alの含有量は0.03質量%以上0.40質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.25質量%以下がより好ましい。また、Cuの含有量は0質量%超0.30質量%以下が好ましく、0質量%超0.20質量%以下がより好ましく、0.03質量%以上0.15質量%以下が更に好ましい。
R−T−B系焼結磁石1は、さらにZrを含むことができる。Zrの含有量は、0質量%超0.25質量%以下であってもよい。Zrを上記の範囲内で含有することにより、焼結磁石の製造過程、主に焼結工程において、主相粒子の異常成長を抑制することができる。そのため、得られる焼結体(R−T−B系焼結磁石1)の組織が均一且つ微細となり、得られる焼結体の磁気特性が向上する傾向にある。上記の効果をより良好に得るために、Zrの含有量は、0.03質量%以上0.25質量%以下であってもよい。
また、R−T−B系焼結磁石1におけるCの含有量は、0.05質量%以上0.30質量%以下が好ましい。Cの含有量を0.05質量%以上とすることで、保磁力が向上する傾向にある。Cの含有量を0.30質量%以下とすることで、保磁力(Hcj)と、角形比(Hk/Hcj)が十分に高くなる傾向にある。Hkとは、磁気ヒステリシスループ(4πI−Hカーブ)の第2象限における磁化が残留磁束密度(Br)の90%となるときの磁界強度のことである。角形比は、外部磁界の作用や温度上昇による減磁のし易さを表すパラメータである。角形比が小さい場合には、外部磁界の作用や温度上昇による減磁が大きくなる。また、着磁に要する磁界強度が増大する。保磁力及び角形比をより良好に得るためには、Cの含有量を0.10質量%以上0.25質量%以下とすることが好ましい。
また、R−T−B系焼結磁石1におけるOの含有量は、0.03質量%以上0.40質量%以下が好ましい。Oの含有量を0.03質量%以上とすることで、耐食性が向上する傾向にある。0.40質量%以下とすることで、焼結時に液相が十分に形成されやすくなり、保磁力が向上する傾向にある。耐食性および保磁力をより良好にするために、Oの含有量は、0.05質量%以上0.30質量%以下としてもよく、0.05質量%以上0.25質量%以下としてもよい。
また、R−T−B系焼結磁石1におけるNの含有量は、0質量%以上0.15質量%以下であることが好ましい。Nの含有量が0.15質量%以下であることにより、保磁力が十分に向上する傾向にある。
R−T−B系焼結磁石1は、Mn,Ca,Ni,Cl,S,F等の不可避的不純物を、0.001質量%以上0.5質量%以下程度含んでいてもよい。
R−T−B系焼結磁石中の酸素量、炭素量、窒素量の測定方法は、従来から一般的に知られている方法を用いることができる。酸素量は、例えば、不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法により測定され、炭素量は、例えば、酸素気流中燃焼−赤外線吸収法により測定され、窒素量は、例えば、不活性ガス融解−熱伝導度法により測定される。
14B結晶からなる主相粒子の粒径には特に制限はないが、通常は、1μm以上10μm以下である。
Rの種類には特に制限はないが、好ましくはNd,Prを含む。さらに、重希土類元素RHの種類にも特に制限はないが、好ましくはDyおよびTbのいずれか一方または両方を含む。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石1は、図1Aおよび図2に示すように、主に逆コアシェル主相粒子11からなる逆コアシェル粒子層1a、および、主にコアシェル主相粒子13からなるコアシェル粒子層1bを有する。逆コアシェル主相粒子11およびコアシェル主相粒子13はR14B結晶からなる主相粒子である。また、各主相粒子間に粒界12が存在していてもよい。
図2に示すように、逆コアシェル主相粒子11はコア部11aおよびコア部11aを被覆するシェル部11bを有する。また、コアシェル主相粒子13はコア部13aおよびコア部13aを被覆するシェル部13bを有する。なお、各主相粒子がコアシェル構造を有している粒子、すなわち逆コアシェル主相粒子11またはコアシェル主相粒子13であることは、SEMを用いて倍率1000倍以上10000倍以下で観察することにより確認できる。
具体的には、本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石1を切断して得られる断面を鏡面研磨してからSEMで反射電子像を撮影する。反射電子像にて生じる組成コントラストから各主相粒子がコアシェル主相粒子13であるか逆コアシェル主相粒子11であるかを判別できる。一般的に、組成コントラストは観察対象の平均原子番号が大きくなるほど明るく(白く)なる。また、重希土類元素RHはその他のR−T−B系焼結磁石1に含まれる元素と比較して原子番号が大きい。したがって、重希土類元素RHの濃度が相対的に高い領域は重希土類元素RHの濃度が相対的に低い領域と比較して平均原子番号が大きくなる。そして、反射電子像にて主相粒子内部でRH濃度が高い領域はRH濃度が低い領域と比較して明るく(白く)なる。以上より、主相粒子内部で明るい部分の位置によって各主相粒子がコアシェル主相粒子13であるか逆コアシェル主相粒子11であるかを判別できる。
ここで、逆コアシェル主相粒子11は、前記R14B結晶からなる主相粒子であって、コア部11aにおける全RH濃度(at%)をCRC、シェル部11bにおける全RH濃度(at%)をCRSとした場合に、CRC/CRS>1.0である主相粒子である。
すなわち、逆コアシェル主相粒子11は、一般的に知られているコアシェル主相粒子とは逆に、シェル部11bにおける全RH濃度よりもコア部11aにおける全RH濃度の方が高い主相粒子である。
RCおよびCRSの測定箇所には、特に制限はない。例えば、以下の通りとすることができる。
まず、濃度を測定する逆コアシェル主相粒子11を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、長さが最大となる直径を特定する。次に、当該直径と粒界との二つの交点を特定する。そして、当該二つの交点の中点を中心とする20nm×20nmの領域における全RH濃度を測定し、コア部における全RH濃度CRCとすることができる。
次に、当該二つの交点のうち一つの交点を選択する。そして、当該交点から前記長さが最大となる直径に沿って20nm、逆コアシェル主相粒子側に侵入した点を中心とする20nm×20nmの領域における全RH濃度を測定し、シェル部における全RH濃度CRSとすることができる。
一方、コアシェル主相粒子13とは、前記R14B結晶からなる主相粒子であって、コア部13aにおける全RH濃度(at%)をCNC、シェル部13bにおける全RH濃度(at%)をCNSとした場合に、CNC/CNS<1.0である主相粒子である。
すなわち、コアシェル主相粒子13は、一般的に知られているコアシェル主相粒子と同様に、シェル部13bにおける全RH濃度よりもコア部13aにおける全RH濃度の方が低い主相粒子である。
NCおよびCNSの測定箇所には、特に制限はないが、例えばCRCおよびCRSと同様に測定箇所を設定することができる。
また、逆コアシェル主相粒子11のコア部11aにおける全R濃度に対する全RH濃度には特に制限はないが、概ね原子比で30%以上80%以下程度である。逆コアシェル主相粒子11のシェル部11bにおける全R濃度に対する全RH濃度には特に制限はないが、概ね原子比で10%以上30%以下程度である。
また、コアシェル主相粒子13のコア部13aにおける全R濃度に対する全RH濃度には特に制限はないが、概ね原子比で0%以上10%以下程度である。コアシェル主相粒子13のシェル部13bにおける全R濃度に対する全RH濃度には特に制限はないが、概ね原子比で10%以上30%以下程度である。
以上より、通常は、逆コアシェル主相粒子11のコア部11aが最も全R濃度に対する全RH濃度が高く、コアシェル主相粒子13のコア部13aが最も全R濃度に対する全RH濃度が低くなる。なお、逆コアシェル主相粒子11のシェル部11bとコアシェル主相粒子13のシェル部13bとでは、全R濃度に対する全RH濃度は大きく変化しない。
なお、図2では、逆コアシェル主相粒子11はコア部11aの表面全てをシェル部11bが覆っているが、コア部11aの表面全てをシェル部11bが覆う必要はなく、コア部11aの表面の60%以上を覆っていればよい。コア部11aおよびシェル部11bの区別はSEMにより行うことができる。コアシェル主相粒子13についても同様である。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石1は、逆コアシェル主相粒子11を含むことにより、重希土類元素の使用量を低減しても高い磁気特性を有する永久磁石となる。逆コアシェル主相粒子11を含むことにより上記の効果が得られるメカニズムは、以下に示すメカニズムであると考えられる。
逆コアシェル主相粒子11は、シェル部11bと比較してより多くのRHを含むことにより、コア部11aにおいて異方性磁界が高くなる。そのため、逆コアシェル主相粒子11のコア部11aとシェル部11bとの界面において、異方性磁界が変化すると考えられる。上記の逆コアシェル主相粒子11内での異方性磁界の変化により、ピニング力が増加すると考えられる。したがって、逆コアシェル主相粒子11を含むR−T−B系焼結磁石1は保磁力が向上すると考えられる。
また、図1Aおよび図2に示すように、全主相粒子に対する逆コアシェル主相粒子11の存在比率は、磁石中央部よりも磁石表層部の方が高い。そして、主に逆コアシェル主相粒子11からなる逆コアシェル粒子層1aが磁石表層部に存在していることが好ましい。
逆コアシェル主相粒子11はコア部11aにより多くの重希土類元素RHを含有する。そのため、逆コアシェル主相粒子11自体は残留磁束密度および飽和磁化が低い。逆コアシェル主相粒子11は飽和磁化が低いため、ある逆コアシェル主相粒子11が磁化反転しても、当該逆コアシェル主相粒子11に隣接する主相粒子の磁化反転に及ぼす影響が小さい。すなわち、主に逆コアシェル主相粒子11からなる逆コアシェル粒子層1aがR−T−B系焼結磁石1の磁石表層部に存在していることにより、磁石表面から発生する逆磁区の伝達が抑制される。したがって、逆コアシェル主相粒子11が磁石表層部により多く存在し、逆コアシェル粒子層1aが磁石表層部に存在していることにより、R−T−B系焼結磁石1は保磁力がさらに向上する。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石1に含まれる逆コアシェル主相粒子11において、CRC/CRS>1.5であることが好ましく、CRC/CRS>3.0であることがより好ましい。逆コアシェル主相粒子11において、シェル部11bに対してコア部11aに重希土類元素RHがより多く存在するほど上記の効果が大きくなり、保磁力がさらに向上するため好ましい。
なお、本実施形態では、磁石表層部とは、磁石表面から磁石内部に向かって5μm以上150μm以下の領域を指す。磁石中央部とは、磁石表層部より内側にある部分を指す。また、逆コアシェル粒子層1aはR−T−B系焼結磁石1の全ての磁石表層部に存在している必要はなく、一部の磁石表層部のみに存在していてもよい。また、図2に示すように、逆コアシェル粒子層1aは逆コアシェル主相粒子11が存在している層を指す。また、コアシェル粒子層1bはコアシェル主相粒子13が存在し、逆コアシェル主相粒子11が存在していない層を指す。
逆コアシェル粒子層1aの厚さには特に制限はない。10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
また、本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、図1Aに示すように、磁石中央部から磁石表層部に向かってコアシェル粒子層1bおよび逆コアシェル粒子層1aがこの順番で並んでいても良い。また、逆コアシェル粒子層1aおよびコアシェル粒子層1bのみからなっていてもよい。
<R−T−B系焼結磁石の製造方法>
次に、本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石の製造方法を説明する。
なお、以下では、粉末冶金法で作製され、重希土類元素が粒界拡散されたR−T−B系焼結磁石を例に説明するが、本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石の製造方法は、特に限定されるものではなく、他の方法も用いることができる。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石の製造方法には、原料粉末を成形して成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、前記焼結体を焼結温度よりも低い温度で一定時間保持する時効工程とを有する。
以下、R−T−B系焼結磁石の製造方法について詳しく説明していくが、特記しない事項については、公知の方法を用いればよい。
[原料粉末の準備工程]
原料粉末は、公知の方法により作製することができる。本実施形態では、主にR14B相からなる一種類の原料合金を用いる一合金法でR−T−B系焼結磁石を製造するが、二種類の原料合金を用いる二合金法により製造してもよい。ここで、原料合金の組成は、最終的に得るR−T−B系焼結磁石の組成となるように制御する。
まず、本実施形態に係る原料合金の組成に対応する原料金属を準備し、当該原料金属から本実施形態に対応する原料合金を作製する。原料合金の作製方法に特に制限はない。例えば、ストリップキャスト法にて原料合金を作製することができる。
原料合金を作製した後に、作製した原料合金を粉砕する(粉砕工程)。粉砕工程は、2段階で実施してもよく、1段階で実施してもよい。粉砕の方法には特に限定はない。例えば、各種粉砕機を用いる方法で実施される。例えば、粉砕工程を粗粉砕工程および微粉砕工程の2段階で実施し、粗粉砕工程は例えば水素粉砕処理を行うことが可能である。具体的には、原料合金に対して室温で水素を吸蔵させた後に、Arガス雰囲気下で400℃以上650℃以下、0.5時間以上2時間以下で脱水素を行うことが可能である。また、微粉砕工程は、粗粉砕後の粉末に対して、例えばオレイン酸アミド、ステアリン酸亜鉛などを添加したのちに、例えばジェットミル、湿式アトライター等を用いて行うことができる。得られる微粉砕粉末(原料粉末)の粒径には特に制限はない。例えば、粒径(D50)が1μm以上10μm以下の微粉砕粉末(原料粉末)となるように微粉砕を行うことができる。
[成形工程]
成形工程では、粉砕工程により得られた微粉砕粉末(原料粉末)を所定の形状に成形する。成形方法には特に限定はないが、本実施形態では、微粉砕粉末(原料粉末)を金型内に充填し、磁場中で加圧する。
成形時の加圧は、30MPa以上300MPa以下で行うことが好ましい。印加する磁場は、950kA/m以上1600kA/m以下であることが好ましい。微粉砕粉末(原料粉末)を成形して得られる成形体の形状は特に限定されるものではなく、例えば直方体、平板状、柱状等、所望とするR−T−B系焼結磁石の形状に応じて任意の形状とすることができる。
[焼結工程]
焼結工程は、成形体を真空または不活性ガス雰囲気中で焼結し、焼結体を得る工程である。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、成形体に対して、例えば、真空中または不活性ガスの存在下、1000℃以上1200℃以下、1時間以上10時間以下で加熱する処理を行うことにより焼結する。これにより、高密度の焼結体(焼結磁石)が得られる。
[時効処理工程]
時効処理工程は、焼結工程後の焼結体(焼結磁石)に対して、焼結温度よりも低い温度で加熱することにより行う。時効処理の温度および時間には特に制限はないが、例えば450℃以上900℃以下で0.2時間以上3時間以下、行うことができる。なお、この時効処理工程は省略してもよい。
また、時効処理工程は1段階で行ってもよく、2段階で行ってもよい。2段階で行う場合には、例えば1段階目を700℃以上900℃以下で0.2時間以上3時間以下とし、2段階目を450℃以上700℃以下で0.2時間以上3時間以下としてもよい。また、1段階目と2段階目とを連続して行ってもよく、1段階目の後に一度室温近傍まで冷却してから再加熱して2段階目を行ってもよい。
[逆コアシェル主相粒子生成工程]
本実施形態における逆コアシェル主相粒子の生成方法には特に制限がない。例えば、以下に示す分解工程、粒界拡散工程および再結晶化工程を経ることで逆コアシェル主相粒子を得ることができる。
[分解工程]
分解工程とは、主に磁石表層部に存在するR14B結晶からなる主相粒子を分解不均化する工程である。分解工程の条件は、主に磁石表層部に存在するR14B結晶からなる主相粒子を分解させることができれば特に制限はない。
例えばHガス、COガスまたはNガスを含む不活性雰囲気中、600℃以上900℃以下程度で5分間以上60分間以下程度、加熱することで、主に磁石表層部に存在する主相粒子にH、COまたはNを吸蔵させて分解させ、不均化させることになる。
ガス、COガスまたはNガスの濃度、加熱温度および/または加熱時間を制御することで、主相粒子が不均化する領域の厚さを制御し、最終的に得られる逆コアシェル粒子層の厚さを制御することができる。
また、酸化性ガスを含む酸化性雰囲気中、300℃以上500℃以下程度で20分間以上60分間以下程度、加熱することでも、磁石表層部に存在する主相粒子を分解不均化させることができる。
[拡散処理工程]
本実施形態では、分解工程に続いて、さらに重希土類元素を拡散させる拡散処理工程を有する。拡散処理は、重希土類元素を含む化合物等を、前記分解工程を行った焼結体の表面に付着させた後、熱処理を行うことにより、実施することができる。重希土類元素を含む化合物を付着させる方法には特に制限はなく、たとえば重希土類元素を含むスラリーを塗布することで付着させることができる。この場合には、スラリーの塗布量とスラリーに含まれる重希土類元素の濃度を制御することで、上記のCRC/CRSを制御することができる。
ただし、前記重希土類元素を付着させる方法は特に制限は無い。例えば、蒸着、スパッタリング、電着、スプレー塗布、刷毛塗り、ジェットディスペンサ、ノズル、スクリーン印刷、スキージ印刷、シート工法等を用いる方法がある。
重希土類化合物は粒子状であることが好ましい。また、平均粒径は100nm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがより好ましい。
スラリーに用いる溶媒としては、重希土類化合物を溶解させずに均一に分散させ得るものが好ましい。例えば、アルコール、アルデヒド、ケトン等が挙げられ、なかでもエタノールが好ましい。
スラリー中の重希土類化合物の含有量には特に制限はない。例えば、50重量%以上90重量%以下であってもよい。スラリーには、必要に応じて重希土類化合物以外の成分をさらに含有させてもよい。例えば、重希土類化合物粒子の凝集を防ぐための分散剤等が挙げられる。
上記の拡散処理工程を、前記分解工程を行った焼結体に対して行うことにより、焼結体全体の粒界に加えて、磁石表層部に存在する主相粒子が分解不均化された領域においては融点の低下に伴い液相が生成し、重希土類元素RHが液相中に拡散することになる。そして、Rとして重希土類元素RHを含むR14B結晶はRとして重希土類元素RHを含まないR14B結晶よりも生成しやすいため、拡散した重希土類元素を含む液相が部分的にR14B結晶化し、主に最終的に得られる逆コアシェル主相粒子のコア部となる。
拡散処理工程の条件には特に制限はないが、650℃以上1000℃以下で1時間以上24時間以下、行うことが好ましい。上記の範囲内の温度および時間とすることで、液相に取り込まれる重希土類元素RHの割合を多くしやすくなる。また、拡散処理工程の際に、上記のHガス、COガス、Nガスまたは酸化性ガスに含まれる各成分が放出される。
[再結晶化工程]
拡散処理工程後に再結晶化工程を経ることにより、重希土類元素RHが取り込まれた液相のうち、粒界拡散工程で結晶化しなかった液相も結晶化され、R14B結晶となる。再結晶化工程は、例えば、50℃/分以上500℃/分以下の速度で急冷を行うことにより行われる。再結晶化工程により、拡散処理工程の際に結晶化された重希土類元素RHの含有量が多いR14B結晶の周囲に存在する液相も結晶化する。さらに、再結晶化工程においては、重希土類元素RHの含有量が多いR14B結晶から発生し始め、重希土類元素RHの含有量が少ないR14B結晶が重希土類元素RHの含有量が多いR14B結晶の周囲に形成される傾向にある。その結果、逆コアシェル主相粒子が形成される。冷却速度には特に制限はないが、冷却速度が速すぎると非晶質および副相を多く含んだ微結晶になる傾向にあり、冷却速度が遅すぎると逆コアシェル主相粒子11のコア部11aとシェル部11bとの界面が不明瞭になる傾向にある。
以上より、本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石の製造方法としては、少なくとも、磁石表層部の主相粒子を分解不均化する分解工程、液相を生成し前記液相に重希土類元素を拡散させる粒界拡散工程、および部分的に結晶化したR14B結晶の周囲の液相を結晶化させる再結晶化工程がこの順で行われることが重要である。これにより、R−T−B系焼結磁石の磁石表層部に逆コアシェル主相粒子を発生させ、逆コアシェル粒子層を形成することができる。上記の分解工程、粒界拡散工程、および再結晶化工程の方法および条件はあくまでも例示である。分解工程は磁石表層部の主相粒子を分解不均化する工程であればよい。粒界拡散工程は液相を生成し、前記液相に重希土類元素を拡散させることができればよい。再結晶化工程は再結晶により逆コアシェル主相粒子を発生させ、逆コアシェル粒子層を形成させることができればよい。
なお、分解工程にて分解不均化しなかった主相粒子については、粒界拡散工程において粒界拡散された重希土類元素RHによりシェル部が形成され、通常のコアシェル主相粒子となり、コアシェル粒子層を形成する。
[再時効処理工程]
再時効処理工程は、再結晶化工程後の焼結磁石に対して、拡散処理工程の最高温度よりも低い温度で加熱することにより行う。再時効処理の温度および時間には特に制限はないが、例えば450℃以上800℃以下で0.2時間以上3時間以下、行うことができる。
以上の工程により得られたR−T−B系焼結磁石は、めっきや樹脂被膜や酸化処理、化成処理などの表面処理を施してもよい。これにより、耐食性をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石を切断、分割して得られる磁石を用いることができる。
具体的には、本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、モータ、コンプレッサー、磁気センサー、スピーカ等の用途に好適に用いられる。
また、本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、単独で用いてもよく、2個以上のR−T−B系焼結磁石を必要に応じて結合させて用いてもよい。結合方法に特に制限はない。例えば、機械的に結合させる方法や樹脂モールドで結合させる方法がある。
2個以上のR−T−B系焼結磁石を結合させることで、大きなR−T−B系焼結磁石を容易に製造することができる。2個以上のR−T−B系焼結磁石を結合させた磁石は、特に大きなR−T−B系焼結磁石が求められる用途、例えば、IPMモータ、風力発電機、大型モータ等に好ましく用いられる。
なお、本発明は、上述した実施形態のように、磁石中央部から磁石表層部に向かって、コアシェル粒子層1b、逆コアシェル粒子層1aの順番に並んでいる態様に限定されず、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
例えば、図1Bに示すように、磁石中央部において、コアシェル粒子層1bに加えて、コアシェル構造を有さない非コアシェル主相粒子のみからなる非コアシェル粒子層1cが存在するR−T−B系焼結磁石10の実施形態が考えられる。そして、磁石中央部から磁石表層部に向かって、非コアシェル粒子層1c、コアシェル粒子層1b、逆コアシェル粒子層1aの順番に並んでいてもよい。また、逆コアシェル粒子層1a、コアシェル粒子層1bおよび非コアシェル粒子層1cのみからなっていてもよい。なお、主相粒子が「コアシェル構造を有さない」ことは、SEMを用いて倍率1000倍以上10000倍以下で観察した場合に、コアシェル構造が観察されないことにより確認できる。
非コアシェル粒子層1cが存在する場合(図1B)には、非コアシェル粒子層1cが存在しない場合(図1A)と比べて残留磁束密度Brが高くなる傾向にある。
非コアシェル粒子層1cを存在させる方法にも特に制限はない。例えば粒界拡散工程において重希土類元素の付着量を調整する方法、粒界拡散工程において拡散処理時間を短くする方法などがある。
次に、本発明を具体的な実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
(焼結磁石作製工程)
原料金属として、Nd、電解鉄、低炭素フェロボロン合金を準備した。さらに、Al、Cu、Co、Zrを、純金属またはFeとの合金の形で準備した。
前記原料金属に対し、ストリップキャスト法により、焼結磁石の組成が後述する表1の合金Aに示す組成となるように焼結体用合金(原料合金)を作製した。表1に示した各元素の含有量(重量%)はNd、B、Al、Cu、Co、ZrおよびFeの合計含有量を100重量%としたときの値である。また、前記原料合金の合金厚みは0.2mm以上0.6mm以下とした。
次いで、前記原料合金に対して室温で1時間、水素ガスをフローさせて水素を吸蔵させた。次いで雰囲気をArガスに切り替え、450℃で1時間、脱水素処理を行い、原料合金を水素粉砕した。さらに、冷却後にふるいを用いて400μm以下の粒度の粉末とした。
次いで、水素粉砕後の原料合金の粉末に対し、重量比で0.1%のオレイン酸アミドを粉砕助剤として添加し、混合した。
次いで、衝突板式のジェットミル装置を用いて窒素気流中で微粉砕し、それぞれ平均粒径が4μm程度の微粉(原料粉末)とした。なお、前記平均粒径は、レーザ回折式の粒度分布計で測定した平均粒径D50である。
なお、表1に記載していない元素では、H、Si、Ca、La、Ce、Cr等が検出される場合がある。Siは主にフェロボロン原料および合金溶解時のるつぼから混入する。Ca、La、Ceは希土類の原料から混入する。また、Crは電解鉄から混入する可能性がある。
得られた微粉を磁界中で成形して成形体を作製した。このときの印加磁場は1200kA/mの静磁界である。また、成形時の加圧力は120MPaとした。なお、磁界印加方向と加圧方向とを直交させるようにした。この時点での成形体の密度を測定したところ、全ての成形体の密度が4.10Mg/m以上4.25Mg/m以下の範囲内であった。
次に、前記成形体を焼結し、焼結磁石を得た。焼結条件は、1060℃で4時間保持とした。焼結雰囲気は真空中とした。このとき焼結密度は7.50Mg/m以上7.55Mg/m以下の範囲にあった。その後、Ar雰囲気、大気圧中で、第一時効温度T1=900℃で1時間の第一時効処理を行い、さらに、第二時効温度T2=500℃で1時間の第二時効処理を行った。
得られた焼結磁石の組成は蛍光X線分析で評価した。Bの含有量はICPで評価した。各試料における焼結磁石の組成が表2の通りであることを確認した。そして、得られた焼結磁石に対し、以下に示す各実施例1〜22および比較例1〜6の処理を行った。
(実施例1)
上記の工程により得られた焼結磁石を、幅20mm、長さ20mm、配向方向の厚み5mmの直方体となるように加工した後、水素が5体積%、Arが95体積%である雰囲気ガス中、750℃で10分間保持し、主に磁石表層部に存在する主相粒子を分解不均化した。
次いで、焼結磁石の全面に対し、TbH粒子(平均粒径D50=5μm)をエタノールに分散させたスラリーを、焼結磁石の重量に対するTbの重量が0.5重量%となるように塗布することでTbを付着させた。前記スラリーを塗布後に大気圧でArをフローしながら770℃で5時間の熱処理を実施し、続いて950℃で5時間の熱処理を施し、Tbを粒界拡散させた。
前記熱処理後に冷却速度200℃/分で急冷し、液相からR14B結晶を再結晶化させた。
その後、Ar雰囲気、大気圧中で、500℃で1時間の再時効処理を行った。
前記再時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(実施例2)
上記の工程により得られた焼結磁石をCOが8体積%、Arが92体積%である雰囲気ガス中、700℃で10分間保持し、主に磁石表層部に存在する主相粒子を分解不均化した。
次いで、焼結磁石の全面に対し、TbH粒子(平均粒径D50=5μm)をエタノールに分散させたスラリーを、焼結磁石の重量に対するTbの重量比が0.5重量%となるように塗布することでTbを付着させた。前記スラリーを塗布後に大気圧でArをフローしながら770℃で5時間の熱処理を実施し、続いて950℃で5時間の熱処理を施しTbを粒界拡散させた。
前記熱処理後に冷却速度200℃/分で急冷し、液相からR14B結晶を再結晶化させた。
その後、Ar雰囲気、大気圧中で、500℃で1時間の再時効処理を行った。
前記再時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(実施例3)
上記の工程により得られた焼結磁石をNが8体積%、Arが92体積%である雰囲気ガス中、650℃で30分間保持し、主に磁石表層部に存在する主相粒子を分解不均化した。
次いで、焼結磁石の全面に対し、TbH粒子(平均粒径D50=5μm)をエタノールに分散させたスラリーを、焼結磁石の重量に対するTbの重量比が0.5重量%となるように塗布することでTbを付着させた。前記スラリーを塗布後に大気圧でArをフローしながら770℃で5時間の熱処理を実施し、続いて950℃で5時間の熱処理を施しTbを粒界拡散させた。
前記熱処理後に冷却速度200℃/分で急冷し、液相からR14B結晶を再結晶化させた。
その後、Ar雰囲気、大気圧中で、500℃で1時間の再時効処理を行った。
前記再時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(実施例4)
上記の工程により得られた焼結磁石を水蒸気分圧200hPaに調整されたガスを含む酸化性雰囲気中、400℃で30分間保持し、主に磁石表層部に存在する主相粒子を分解不均化した。
次いで、焼結磁石の全面に対し、TbH粒子(平均粒径D50=5μm)をエタノールに分散させたスラリーを、焼結磁石の重量に対するTbの重量比が0.5重量%となるように塗布することでTbを付着させた。前記スラリーを塗布後に大気圧でArをフローしながら770℃で5時間の熱処理を実施し、続いて950℃で5時間の熱処理を施し、Tbを粒界拡散させた。
前記熱処理後に冷却速度200℃/分で急冷し、液相からR14B結晶を再結晶化させた。
その後、Ar雰囲気、大気圧中で、500℃で1時間の再時効処理を行った。
前記再時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(実施例5)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、TbH粒子(平均粒径D50=5μm)およびNdH粒子(平均粒径D50=5μm)をTb:Nd=80:20(原子数比)となるように混合させた粒子に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するTbの重量が0.5重量%となるようにTbおよびNdを付着させた。
(実施例6)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、TbH粒子(平均粒径D50=5μm)およびNdH粒子(平均粒径D50=5μm)をTb:Nd=70:30(原子数比)となるように混合させた粒子に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するTbの重量が0.5重量%となるようにTbおよびNdを付着させた。
(実施例7)
水素が5体積%、Arが95体積%である雰囲気ガス中での保持時間を20分間にした点以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例8)
水素が5体積%、Arが95体積%である雰囲気ガス中での保持時間を30分間にした点以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例9)
熱処理後の冷却速度を50℃/分にした点以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例10)
熱処理後の冷却速度を500℃/分にした点以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例11)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、TbH粒子(平均粒径D50=5μm)およびNdH粒子(平均粒径D50=5μm)をTb:Nd=30:70(原子数比)となるように混合させた粒子に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するTbの重量が0.5重量%となるようにTbおよびNdを付着させた。
(実施例12)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、TbH粒子(平均粒径D50=5μm)およびNdH粒子(平均粒径D50=5μm)をTb:Nd=50:50(原子数比)となるように混合させた粒子に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するTbの重量が0.5重量%となるようにTbおよびNdを付着させた。
(実施例13)
COが8体積%、Arが92体積%である雰囲気ガス中での保持温度を600℃にした点以外は実施例2と同様に実施した。
(実施例14)
スラリーを塗布後に大気圧でArをフローしながら950℃で10時間の熱処理を一回のみ実施してTbを粒界拡散させた点以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例15)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、TbF粒子(平均粒径D50=5μm)に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するTbの重量が0.5重量%となるようにTbを付着させた。
(実施例16)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、Tb粒子(平均粒径D50=5μm)に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するTbの重量が0.5重量%となるようにTbを付着させた。
(実施例17)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、Tb−Fe化合物[Tb:Fe=80:20(原子数比)](平均粒径D50=5μm)に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するTbの重量が0.5重量%となるようにTbを付着させた。
(実施例18)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、DyH粒子(平均粒径D50=5μm)に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するDyの重量が0.5重量%となるようにDyを付着させた。
(実施例19)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、DyF粒子(平均粒径D50=5μm)に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するDyの重量が0.5重量%となるようにDyを付着させた。
(実施例20)
TbH粒子(平均粒径D50=5μm)を、Dy−Fe化合物[Dy:Fe=80:20(原子数比)](平均粒径D50=5μm)に置き換える点以外は実施例1と同様に実施した。なお、焼結磁石の重量に対するDyの重量が0.5重量%となるようにDyを付着させた。
(実施例21)
実施例21では、粒界拡散前の焼結磁石の組成が表1に示す組成となるようにした点以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、原料合金Gを作製した。そして、実施例1と同様に粉砕、成形、焼結および時効処理を行い、表2に示す組成の焼結磁石を得た。その後、実施例1と同様に磁石表層部に存在する主相粒子を分解不均化させ、Tbの拡散処理を実施した。その後、実施例1と同様に再結晶化および再時効処理を施した。前記再時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(実施例22)
実施例22では、粒界拡散前の焼結磁石の組成が表1に示す組成となるようにした点以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、原料合金Hを作製した。そして、実施例1と同様に粉砕、成形、焼結および時効処理を行い、表2に示す組成の焼結磁石を得た。その後、実施例1と同様に磁石表層部に存在する主相粒子を分解不均化させ、Tbの拡散処理を実施した。その後、実施例1と同様に再結晶化および再時効処理を施した。前記再時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(比較例1)
上記の焼結磁石作製工程により得られた焼結磁石全面に対し、TbH粒子(平均粒径D50=5μm)をエタノールに分散させたスラリーを、焼結磁石の重量に対するTbの重量が0.5重量%となるように塗布することでTbを付着させた。前記スラリーを塗布後に大気圧でArをフローしながら770℃で5時間の熱処理を実施し、続いて950℃で5時間の熱処理を施し、Tbを粒界拡散させた。そして、前記熱処理後に冷却速度200℃/分で急冷した。
その後、Ar雰囲気、大気圧中で、500℃で1時間の再時効処理を行った。
前記再時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(比較例2)
比較例2では、焼結磁石作製工程において、表1に示す組成となるように焼結体用合金(原料合金)BおよびCを作製した。表1に示す原料合金Bおよび原料合金Cを水素粉砕した後に、重量比で9:1となるように混合した。その後、実施例1と同様に微粉砕、成形、焼結および時効処理を行い、表2に示す組成を有する焼結磁石を得た。なお、当該焼結磁石の組成は、上記拡散処理後の実施例1〜4,7〜10および比較例1の焼結磁石の組成と同一になることを確認した。
前記時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(比較例3)
比較例3では、ストリップキャスト法により、後述する表2に示す組成となるように焼結体用合金(原料合金)DおよびEを作製した。表2に示す原料合金Dおよび原料合金Eを水素粉砕した後に、重量比で9:1となるように混合した。その後、実施例1と同様に微粉砕、成形、焼結および時効処理を行い、表2に示す組成の焼結磁石を得た。
前記時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(比較例4)
比較例4では、最終的に得られる焼結磁石の組成が表1に示す組成となるようにした点以外は実施例1と同様に焼結体用合金(原料合金)を作製した。具体的には、原料合金Fを作製した。そして、実施例1と同様に粉砕、成形、焼結および時効処理を行い、表2に示す組成の焼結磁石を得た。
前記時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
(比較例5)
拡散処理後の再結晶化工程における冷却速度を10℃/分にした点以外は実施例1と同様に実施した。
(比較例6)
比較例6では粒界拡散前の焼結磁石の組成が表1に示す組成となるようにして得られた焼結磁石全面に対し、DyH粒子(平均粒径D50=5μm)をエタノールに分散させたスラリーを、焼結磁石の重量に対するDyの重量が1.0重量%となるように塗布することでDyを付着させた。前記スラリーを塗布後に大気圧でArをフローしながら770℃で5時間の熱処理を実施し、続いて950℃で5時間の熱処理を施し、Dyを粒界拡散させた。そして、前記熱処理後に冷却速度200℃/分で急冷した。 その後、Ar雰囲気、大気圧中で、500℃で1時間の再時効処理を行った。前記再時効処理後の焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った。
表3には、焼結磁石の表層部に存在する主相粒子を分解する分解処理を行ったか、粒界拡散処理を行ったか、そして、粒界拡散後に急冷を行ったかのそれぞれについて記載した。各処理を行った場合には〇、各処理を行わなかった場合には×を付けた。
各実施例および比較例のR−T−B系焼結磁石について、BHトレーサーで磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力Hcjおよび角形比Hk/Hcj)の評価を行った結果を表3に示す。なお、残留磁束密度Brは1380mT以上を良好とし、1400mT以上をさらに良好とした。保磁力HcjはTbを粒界拡散させた場合には1800kA/m以上を良好とし、1830kA/m以上をさらに良好とした。Dyを粒界拡散させた場合には1600kA/m以上を良好とし、1620kA/m以上をさらに良好とした。角形比Hk/Hcjは0.90を超える場合を良好とし、0.95以上である場合をさらに良好とした。
また、各実施例および比較例のR−T−B系焼結磁石を任意の断面で切断し、当該断面を観察した。磁石表層部のうち、磁石表面から磁石内部に向かって20μmの部分における逆コアシェル主相粒子の存在割合を測定した。磁石表層部における逆コアシェル主相粒子の存在割合の測定は、磁石表層部のうち、磁石表面から磁石内部に向かって20μmの部分にある主相粒子からランダムに選んだ10個の主相粒子についてSEMおよびTEM−EDSを用いて行った。また、磁石中央部における逆コアシェル主相粒子の存在割合を測定した。磁石中央部における逆コアシェル主相粒子の存在割合の測定は、磁石中央部にある主相粒子の中からランダムに選んだ10個の主相粒子についてSEMおよびTEM−EDSを用いて行った。結果を表4に示す。
さらに、各実施例において磁石表層部に存在する逆コアシェル主相粒子について、コア部における全RHの濃度CRCおよびシェル部におけるにおける全RHの濃度CRSを測定した。そして、各逆コアシェル主相粒子におけるCRC/CRS>1.5である粒子の割合およびCRC/CRS>3.0である粒子の割合をTEM−EDSを用いて算出した。結果を表4に示す。
本実施例における逆コアシェル主相粒子11において、コア部11aにおける全RH濃度およびシェル部11bにおける全RH濃度の測定箇所は以下の通りとする。
まず、濃度を測定する逆コアシェル主相粒子11を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、長さが最大となる直径を特定する。次に、当該直径と粒界との二つの交点を特定する。そして、当該二つの交点の中点を中心とする20nm×20nmの領域における全RH濃度を測定し、コア部における全RH濃度CRCとする。
次に、当該二つの交点のうち一つの交点を選択する。そして、当該交点から前記長さが最大となる直径に沿って20nm、逆コアシェル主相粒子側に侵入した点を中心とする20nm×20nmの領域における全RH濃度を測定し、シェル部における全RH濃度CRSとする。
さらに、磁石表層部におけるコアシェル主相粒子の存在割合を測定した。磁石表層部におけるコアシェル主相粒子の存在割合は、磁石表層部のうち、磁石表面から磁石内部に向かって20μmの部分にある主相粒子の中からランダムに選んだ10粒子についてSEMおよびTEM−EDSを用いて測定した。また、磁石中央部におけるコアシェル粒子の存在割合を測定した。磁石中央部におけるコアシェル主相粒子の存在割合は、磁石中央部にある主相粒子の中からランダムに選んだ10粒子についてSEMおよびTEM−EDSを用いて測定した。結果を表4に示す。
さらに、各実施例について、逆コアシェル粒子層の厚み、コアシェル粒子層の厚みおよび非コアシェル粒子層の厚みについて、SEMを用いて測定した。結果を表4に示す。なお、各層の厚みは1層あたりの厚みである。各層が2層以上存在する場合には、平均を算出して平均値を各層の厚みとした。
以下、上記の各層の厚みを測定する方法について、さらに具体的に説明する。各実施例および比較例のR−T−B系焼結磁石を配向方向と平行な断面で切断し、当該断面を鏡面研磨した後、電子顕微鏡(SEM)にて1000倍で観察した。SEM観察は配向方向に沿って、磁石表面から逆側の磁石表面まで連続的に行った。観察した視野の中で逆コアシェル粒子が観察され始めてから観察されなくなるまでの領域を主に逆コアシェル主相粒子からなる逆コアシェル粒子層とした。そして、逆コアシェル粒子層の厚みをSEM画像から概算した。また、観察した視野の中で逆コアシェル粒子が観察されなくなってからコアシェル粒子が観察されなくなるまでの領域を、主にコアシェル主相粒子からなるコアシェル粒子層とした。そして、コアシェル粒子相の厚みを概算した。さらに、観察した視野の中で逆コアシェル粒子およびコアシェル粒子が観察されない領域を非コアシェル主相粒子からなる非コアシェル粒子層とした。そして、非コアシェル粒子層の厚みを概算した。
Figure 2018174312
Figure 2018174312
Figure 2018174312
Figure 2018174312
表1〜表4より、焼結後に磁石表層部の主相粒子を分解不均化する工程、粒界拡散により液相を生成させ、液相にRHを取り込ませる工程、および、急冷によりRHが取り込まれた液相を再結晶化する工程を経た実施例1〜22のR−T−B系焼結磁石は逆コアシェル主相粒子が磁石表層部に生成して逆コアシェル粒子層を形成した。そして、残留磁束密度、保磁力および角形比が好ましい結果となった。
さらに、Tbを粒界拡散した実施例のうち、逆コアシェル粒子層の厚みが10μm以上60μm以下であり、CRC/CRS>1.5である逆コアシェル粒子が存在する実施例1〜7,9〜10,12〜17および21〜22は残留磁束密度がさらに好ましい結果となった。
これに対し、焼結後に磁石表層部の主相粒子を分解不均化する工程、粒界拡散により液相を生成させ、液相にRHを取り込ませる工程、および、急冷によりRHが取り込まれた液相を再結晶化する工程を経なかった比較例では、逆コアシェル主相粒子が生成しなかった。その結果、残留磁束密度、保磁力および/または角形比が実施例1〜22より劣る結果となった。
比較例1および6では焼結後に磁石表層部の主相粒子を分解不均化する工程を行わなかったため、粒界拡散および急冷を経ても逆コアシェル主相粒子が生成しなかった。比較例2では、2合金法により焼結磁石を作製したが、逆コアシェル主相粒子が生成しなかった。その結果、残留磁束密度および保磁力が実施例1〜17および21〜22より劣る結果となった。比較例3および4では、Tbの含有量を増加させた結果、保磁力は良好となったが残留磁束密度が実施例1〜17および21〜22よりも劣る結果となった。また、Tbの含有量が増加しているため、比較例3および4の焼結磁石は製造コストも実施例1〜17および21〜22の焼結磁石より高価となった。比較例5では、拡散処理後の再結晶化工程における冷却速度が低すぎたため、均一な主相粒子となってしまい、逆コアシェル主相粒子が生成しなかった。
1,10…R−T−B系焼結磁石
1a…逆コアシェル粒子層
1b…コアシェル粒子層
1c…非コアシェル粒子層
11…逆コアシェル主相粒子
11a…コア部(逆コアシェル主相粒子)
11b…シェル部(逆コアシェル主相粒子)
12…粒界
13…コアシェル主相粒子
13a…コア部(コアシェル主相粒子)
13b…シェル部(コアシェル主相粒子)

Claims (6)

  1. 14B結晶からなる主相粒子を含むR−T−B系焼結磁石であって、
    Rは重希土類元素RHを必須とする1種以上の希土類元素、TはFeまたはFeおよびCoを必須とする1種以上の遷移金属元素、Bはホウ素であり、
    前記主相粒子の一部が逆コアシェル主相粒子であり、
    前記逆コアシェル主相粒子は、コア部およびシェル部を有し、
    前記コア部における全RH濃度(at%)をCRC
    前記シェル部における全RH濃度(at%)をCRSとした場合に、
    RC/CRS>1.0であり、
    前記逆コアシェル主相粒子の存在比率が、磁石中央部よりも磁石表層部の方が大きいことを特徴とするR−T−B系焼結磁石。
  2. RC/CRS>1.5である請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石。
  3. 前記主相粒子の一部がコアシェル主相粒子であり、
    前記コアシェル主相粒子は、コア部およびシェル部を有し、
    前記コア部における全RH濃度(at%)をCNC
    前記シェル部における全RH濃度(at%)をCNSとした場合に、
    NC/CNS<1.0であることを特徴とする請求項1または2に記載のR−T−B系焼結磁石。
  4. 主に前記コアシェル主相粒子からなるコアシェル粒子層、および、主に前記逆コアシェル主相粒子からなる逆コアシェル粒子層を含む請求項3に記載のR−T−B系焼結磁石。
  5. 磁石中央部から磁石表層部に向かって、前記コアシェル粒子層および前記逆コアシェル粒子層がこの順番に並んでいる請求項4に記載のR−T−B系焼結磁石。
  6. 前記主相粒子の一部がコアシェル構造を有さない非コアシェル主相粒子であって、主に前記非コアシェル主相粒子からなる非コアシェル粒子層を含むR−T−B系焼結磁石であって、
    磁石中央部から磁石表層部に向かって、前記非コアシェル粒子層、前記コアシェル粒子層および前記逆コアシェル粒子層がこの順番に並んでいる請求項4に記載のR−T−B系焼結磁石。
JP2018055192A 2017-03-30 2018-03-22 R-t-b系焼結磁石 Active JP7035682B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/939,778 US10748686B2 (en) 2017-03-30 2018-03-29 R-T-B based sintered magnet
CN201810293088.9A CN108695034B (zh) 2017-03-30 2018-03-30 R-t-b系烧结磁铁

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017069144 2017-03-30
JP2017069144 2017-03-30

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018174312A true JP2018174312A (ja) 2018-11-08
JP2018174312A5 JP2018174312A5 (ja) 2021-04-22
JP7035682B2 JP7035682B2 (ja) 2022-03-15

Family

ID=64107608

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018055192A Active JP7035682B2 (ja) 2017-03-30 2018-03-22 R-t-b系焼結磁石

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7035682B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200062849A (ko) * 2018-11-27 2020-06-04 엘지이노텍 주식회사 희토류 자석 제조방법
JP2023511776A (ja) * 2020-02-26 2023-03-22 フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用
JP2023511777A (ja) * 2020-02-26 2023-03-22 フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04165012A (ja) * 1990-10-29 1992-06-10 Shin Etsu Chem Co Ltd 希土類異方性焼結永久磁石の製造方法
JP2012099852A (ja) * 2006-11-30 2012-05-24 Hitachi Metals Ltd R−Fe−B系微細結晶高密度磁石
JP2013084890A (ja) * 2011-09-29 2013-05-09 Hitachi Metals Ltd R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP2016152246A (ja) * 2015-02-16 2016-08-22 Tdk株式会社 希土類系永久磁石
JP2016154219A (ja) * 2015-02-16 2016-08-25 Tdk株式会社 希土類系永久磁石

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1000988B1 (en) 1997-08-06 2005-03-30 Daikin Industries, Ltd. Water-based fluororubber coating composition

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04165012A (ja) * 1990-10-29 1992-06-10 Shin Etsu Chem Co Ltd 希土類異方性焼結永久磁石の製造方法
JP2012099852A (ja) * 2006-11-30 2012-05-24 Hitachi Metals Ltd R−Fe−B系微細結晶高密度磁石
JP2013084890A (ja) * 2011-09-29 2013-05-09 Hitachi Metals Ltd R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP2016152246A (ja) * 2015-02-16 2016-08-22 Tdk株式会社 希土類系永久磁石
JP2016154219A (ja) * 2015-02-16 2016-08-25 Tdk株式会社 希土類系永久磁石

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200062849A (ko) * 2018-11-27 2020-06-04 엘지이노텍 주식회사 희토류 자석 제조방법
KR102561239B1 (ko) * 2018-11-27 2023-07-31 엘지이노텍 주식회사 희토류 자석 제조방법
JP2023511776A (ja) * 2020-02-26 2023-03-22 フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用
JP2023511777A (ja) * 2020-02-26 2023-03-22 フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用
JP7470805B2 (ja) 2020-02-26 2024-04-18 福建省金龍稀土股分有限公司 ネオジム鉄ホウ素磁石材料
JP7470804B2 (ja) 2020-02-26 2024-04-18 福建省金龍稀土股分有限公司 ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物、及び製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7035682B2 (ja) 2022-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6361813B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
US10748686B2 (en) R-T-B based sintered magnet
JP6488976B2 (ja) R−t−b系焼結磁石
JP6493138B2 (ja) R−t−b系焼結磁石
JP7251917B2 (ja) R-t-b系永久磁石
JP5729051B2 (ja) R−t−b系希土類焼結磁石
JP7251916B2 (ja) R-t-b系永久磁石
JP6094612B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
US10734143B2 (en) R-T-B based sintered magnet
JP2022115921A (ja) R-t-b系永久磁石
JP2019102707A (ja) R−t−b系永久磁石
JP7035682B2 (ja) R-t-b系焼結磁石
US10748685B2 (en) R-T-B based sintered magnet
JP7247670B2 (ja) R-t-b系永久磁石およびその製造方法
JP7035683B2 (ja) R-t-b系焼結磁石
JP2586198B2 (ja) 磁気的異方性および耐食性に優れた希土類―Fe―B系永久磁石粉末およびボンド磁石
JP2015122395A (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP7424126B2 (ja) R-t-b系永久磁石
JP2018160669A (ja) R−t−b系希土類磁石
JPWO2004029999A1 (ja) R−t−b系希土類永久磁石
JP4702522B2 (ja) R−t−b系焼結磁石及びその製造方法
JP7143605B2 (ja) R-t-b系焼結磁石
JP4650218B2 (ja) 希土類系磁石粉末の製造方法
JP2020155657A (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP7256483B2 (ja) R-t-b系永久磁石およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210301

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210301

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7035682

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150