JP2018150239A - β2GPI遺伝子発現抑制RNAi医薬組成物 - Google Patents

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一剛 長友
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和宏 桝田
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Minako Kanda
美菜子 神田
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陽史 山田
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宏徒 岩井
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Abstract

【課題】本発明の目的は、β2GPI遺伝子発現を抑制する組成物、該組成物からなる医薬等の提供。【解決手段】センス鎖及びアンチセンス鎖から成り、少なくとも11個の塩基対の二重鎖領域を含む二本鎖核酸であって、前記アンチセンス鎖中の、少なくとも17個のヌクレオチドかつ多くとも30個のヌクレオチドの鎖長のオリゴヌクレオチド鎖において、β2GPI(β2−Glycoprotein1)のmRNA配列の一部と相補的である、薬物としての二本鎖核酸と、式(A)等で表されるカチオン性脂質を含有する脂質粒子等。(R1はアルキル、アルケニル等;R2はアルキル、アルケニル、アルコキシエチル等;R3及びR4は各々独立にC1〜3のアルキル;R5はH、アルキル、アルコキシ等;R3及びR4又はR3及びR5は一緒にC2−8のアルキレンを形成;X1はC1〜6のアルキレン;X2は単結合又はアルキレン)【選択図】なし

Description

本発明は、β2GPI遺伝子発現を抑制する組成物、および該組成物からなる医薬等に関する。
β2-Glycoprotein 1(β2GPI,別名:apolipoprotein H(apoH))は326残基のアミノ酸から構成される可溶性の糖タンパク質であり、主に肝臓で産生される (“インターナショナルジャーナルオブクリニカルアンドラボラトリーリサーチ(International Journal of Clinical and Laboratory Research) ”, 1992年, 第21巻, p256-263参照)。β2GPIは多彩な生理作用を有すると考えられており、血小板凝集反応、凝固・線溶反応、酸化LDLのマクロファージへの取り込みに関与していることが報告されている(非特許文献1)。
疾患との関連について、β2GPIは抗リン脂質抗体症候群(APS)や全身性エリテマトーデス(SLE)といった自己免疫疾患において出現する抗リン脂質抗体の主要な対応抗原であることが知られている(非特許文献2)。抗β2GPI抗体は疾患の病態形成にも深く関与しており、β2GPIと抗β2GPI抗体によって形成される複合体は血管内皮細胞、単球、血小板、栄養芽細胞(trophoblast)といった様々な細胞の膜上受容体に活性化シグナルを発生させ、その結果、血栓症や妊娠異常といったAPSに特徴的な病態を引き起こし得ることが動物モデルを用いた研究ならびに臨床研究より明らかとなっている(非特許文献3)。β2GPIおよび抗β2GPI抗体からなる免疫複合体の形成を特異的に阻害することにより、上記の疾患を予防あるいは治療できると期待できるが、β2GPIは血中に50-500μg/mLという比較的高濃度で存在しており、これら全てのβ2GPIを例えば一般的な抗体医薬によって阻害し続けることは容易ではない(非特許文献4)。
一方、標的遺伝子の発現を抑制する方法として、例えばRNA干渉(RNA interference、以下、「RNAi」とよぶ)を利用した方法等が知られており、具体的には、線虫において標的とする遺伝子と同一の配列を有する二本鎖RNAを導入することにより、該標的遺伝子の発現が特異的に抑制される現象が報告されている(“ネイチャー(Nature)”, 1998年, 第391巻, 第6669号, p.806-811参照)。また、ショウジョウバエにおいて長い二本鎖RNAの代わりに、21〜23塩基の長さの二本鎖RNAを導入することによっても、標的遺伝子の発現が抑制されることが見出され、これはshort interfering RNA(siRNA)と名づけられている(国際公開第01/75164号参照)。
RNAiについては、in vivo試験においても多く検証されており、50塩基対以下のsiRNAを用いた胎児の動物での効果(米国特許出願公開第2002/132788号明細書参照)および成体マウスでの効果(国際公開第03/10180号参照)が報告されている。また、siRNAをマウス胎児に静脈内投与した場合に、腎臓、脾臓、肺、膵臓および肝臓の各臓器で特定の遺伝子の発現抑制効果が確認されている(“ネイチャー ジェネティクス(Nature Genetics)”, 2002年, 第32巻, 第1号, p.107-108参照)。さらに、脳細胞においてもsiRNAを直接投与することで特定の遺伝子が発現抑制されることが報告されている(“ネイチャー バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)”, 2002年, 第20巻, 第10号, p.1006-1010参照)。
特許文献1および特許文献2には、ヒトのβ2GPI遺伝子をターゲットとするsiRNA配列の一部は開示されているが、該siRNA配列がヒトβ2GPI遺伝子の発現を抑制することは開示されていない。
また、siRNA類を含有する医薬は、例えば、特許文献3〜5等に記載されている。特許文献3には、siRNA類と、例えば、
2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(2,2-dilinoleyl-4-(2-dimethylaminoethyl)-[1,3]-dioxolane: DLin-KC2-DMA)等を含有する医薬が開示されている。特許文献4には、siRNA類と、例えば、
(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル 4-(ジメチルアミノ)ブタノアート((6Z,9Z,28Z,31Z)-heptatriaconta-6,9,28,31-tetraen-19-yl 4-(dimethylamino)butanoate: DLin-MC3-DMA)等を含有する医薬が開示されている。
そして、特許文献5には、カチオン性脂質および核酸を含有する組成物、および該組成物を用いて核酸を細胞内に導入する方法等が開示されている。
国際公開第2005/116204号 国際公開第2008/043561号 国際公開第2010/042877号 国際公開第2010/054401号 国際公開第2014/007398号
本発明の目的は、β2GPI遺伝子発現を抑制する組成物、該組成物からなる医薬等を提供することである。
本発明は、以下の(1)〜(61)に関する。
(1) センス鎖およびアンチセンス鎖から成り、少なくとも11個の塩基対の二重鎖領域を含む二本鎖核酸であって、前記アンチセンス鎖中の、少なくとも17個のヌクレオチドかつ多くとも30個のヌクレオチドの鎖長のオリゴヌクレオチド鎖において、表2−1〜表2−16に記載された群から選択される標的β2GPI mRNA配列と相補的である、薬物としての二本鎖核酸と、式(A)
(式中、R1は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルであり、
R2は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであり、
R3およびR4は、同一または異なって炭素数1〜3のアルキルであるか、または一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成するか、またはR3はR5と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成し、
R5は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、アミノ、モノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイルもしくはジアルキルカルバモイルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであるか、またはR3と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成し、
X1は、炭素数1〜6のアルキレンであり、
X2は、単結合であるか、または炭素数1〜6のアルキレンであり、ただし、X1とX2の炭素数の和は7以下であり、R5が、水素原子の場合、X2は単結合であり、R5がR3と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成する場合、X2は単結合であるか、またはメチレンもしくはエチレンである)、
式(B)
(式中、R6は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
R7は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルである)、または
式(C)
(式中、R8は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
R9は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであり、
X3は、炭素数1〜3のアルキレンであり、
R10は、水素原子または炭素数1〜3のアルキルである)で表されるカチオン性脂質を含む、脂質粒子。
(2) R1、R2、R6、R7、R8およびR9が、それぞれテトラデシル、ヘキサデシル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルまたは(Z)-ドコサ-13-エニルである、前記(1)記載の脂質粒子。
(3)R1、R2、R6、R7、R8およびR9が、それぞれ (Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルまたは(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルである、前記(1)記載の脂質粒子。
(4) X1が、炭素数1〜3のアルキレンであり、X2が、単結合またはメチレンである、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の脂質粒子。
(5) X3が、メチレンまたはエチレンである、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の脂質粒子。
(6) R3およびR4が、同一もしくは異なってメチルもしくはエチル、または一緒になってn-ペンチレンもしくは-ヘキシレンを形成する、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の脂質粒子。
(7) R3およびR5が、一緒になってn-プロピレンまたはn-ブチレンを形成し、R4が、メチルまたはエチルである、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の脂質粒子。
(8) R5およびR10が、それぞれ水素原子またはメチルである、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の脂質粒子。
(9) 二重鎖領域が11〜27個の塩基対を含む二重鎖領域であり、表2−1〜表2−16に記載された群から選択される標的β2GPI mRNA配列と相補的である前記アンチセンス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドが、該標的β2GPI mRNA配列の3’末端から2番目のデオキシリボヌクレオチドと相補する、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の脂質粒子。
(10) センス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長であり、かつ前記アンチセンス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長である、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の脂質粒子。
(11) センス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長であり、かつアンチセンス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長である二本鎖核酸が、19塩基対の二重鎖領域を含む、(1)〜(10)のいずれかに記載の脂質粒子。
(12) センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の5’末端は、平滑末端を形成する、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の脂質粒子。
(13) 二本鎖核酸が、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、前記(1)〜(12)のいずれかに記載の脂質粒子。
(14) 二重鎖領域内のヌクレオチドの40〜65%が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドである、前記(13)記載の脂質粒子。
(15) アンチセンス鎖が、表4−1〜表4−5に記載されたアンチセンス鎖群から選択される配列を含む、(1)〜(14)のいずれかに記載の脂質粒子。
(16) センス鎖が、および表4−1〜表4−5に記載されたセンス鎖群から選択される配列を含む、前記(1)〜(14)のいずれかに記載の脂質粒子。
(17) 表4−1〜表4−5に記載のセンス鎖/アンチセンス鎖から成る群から選択される1対のセンス鎖/アンチセンス鎖の配列を含む、前記(1)〜(14)のいずれかに記載の脂質粒子。
(18) カチオン性脂質が、該二本鎖核酸と複合体を形成しているか、または中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと該二本鎖核酸との複合体を形成している、前記(1)〜(17)のいずれかに記載の脂質粒子。
(19) カチオン性脂質が、該二本鎖核酸と複合体を形成しているか、または中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと該二本鎖核酸との複合体を形成しており、脂質粒子が該複合体と該複合体を封入する脂質膜から構成された脂質粒子である、前記(1)〜(18)のいずれかに記載の脂質粒子。
(20) 前記(1)〜(19)のいずれかに記載の脂質粒子を含む、脂質粒子含有組成物。
(21) 前記(20)記載の組成物を用いて該二本鎖核酸を細胞内に導入することを含む、β2GPI遺伝子の発現を抑制する方法。
(22) 細胞が、哺乳動物の肝臓にある細胞である、前記(21)記載の方法。
(23) 細胞内に導入する方法が、静脈内投与によって細胞内に導入する方法である、前記(21)または(22)に記載の方法。
(24) 前記(20)記載の組成物を哺乳動物に投与することを含む、β2GPI関連疾患の治療方法。
(25) β2GPI関連疾患が、自己免疫疾患または血栓症である、前記(24)記載の方法。
(26) 投与する方法が、静脈内投与である、前記(24)または(25)記載の方法。
(27) 前記(20)記載の組成物を含む、β2GPI関連疾患の治療に用いるための医薬。
(28) β2GPI関連疾患が、自己免疫疾患または血栓症である、前記(27)記載の医薬。
(29) 静脈内投与用である、前記(27)または(28)記載の医薬。
(30) 前記(20)記載の組成物を含む、自己免疫疾患または血栓症の治療剤。
(31) 静脈内投与用である、前記(30)記載の自己免疫疾患または血栓症の治療剤。
(32) センス鎖およびアンチセンス鎖から成り、少なくとも11個の塩基対の二重鎖領域を含む二本鎖核酸であって、前記アンチセンス鎖中の、少なくとも17個のヌクレオチドかつ多くとも30個のヌクレオチドの鎖長のオリゴヌクレオチド鎖において、表2−1〜表2−16に記載された群から選択される標的β2GPI mRNA配列と相補的である、薬物としての二本鎖核酸と、式(A)
(式中、R1は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルであり、
R2は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであり、
R3およびR4は、同一または異なって炭素数1〜3のアルキルであるか、または一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成するか、またはR3はR5と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成し、
R5は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、アミノ、モノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイルもしくはジアルキルカルバモイルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであるか、またはR3と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成し、
X1は、炭素数1〜6のアルキレンであり、
X2は、単結合であるか、または炭素数1〜6のアルキレンであり、ただし、X1とX2の炭素数の和は7以下であり、R5が、水素原子の場合、X2は単結合であり、R5がR3と一緒になって炭素数2〜6のアルキレンを形成する場合、X2は単結合であるか、またはメチレンもしくはエチレンである)、
式(B)
(式中、R6は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
R7は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルである)、または
式(C)
(式中、R8は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
R9は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであり、
X3は、炭素数1〜3のアルキレンであり、
R10は、水素原子または炭素数1〜3のアルキルである)で表されるカチオン性脂質を含有する、脂質粒子含有組成物。
(33) R1、R2、R6、R7、R8およびR9が、それぞれテトラデシル、ヘキサデシル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルまたは(Z)-ドコサ-13-エニルである、前記(32)記載の組成物。
(34) R1、R2、R6、R7、R8およびR9が、それぞれ (Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルまたは(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルである、前記(32)記載の組成物。
(35) X1が、炭素数1〜3のアルキレンであり、X2が、単結合またはメチレンである、前記(32)〜(34)のいずれかに記載の組成物。
(36) X3が、メチレンまたはエチレンである、前記(32)〜(35)のいずれかに記載の組成物。
(37) R3およびR4が、同一もしくは異なってメチルもしくはエチル、または一緒になってn-ペンチレンもしくは-ヘキシレンを形成する、前記(32)〜(36)のいずれかに記載の組成物。
(38) R3およびR5が、一緒になってn-プロピレンまたはn-ブチレンを形成し、R4が、メチルまたはエチルである、前記(32)〜(36)のいずれかに記載の組成物。
(39) R5およびR10が、それぞれ水素原子またはメチルである、前記(32)〜(36)のいずれかに記載の組成物。
(40) 二重鎖領域が11〜27個の塩基対を含む二重鎖領域であり、表2−1〜表2−16に記載された群から選択される標的β2GPI mRNA配列と相補的である前記アンチセンス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドが、該標的β2GPI mRNA配列の3’末端から2番目のデオキシリボヌクレオチドと相補する、前記(32)〜(39)のいずれかに記載の組成物。
(41) センス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長であり、かつ前記アンチセンス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長である、前記(32)〜(40)のいずれかに記載の組成物。
(42) センス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長であり、かつアンチセンス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長である二本鎖核酸が、19塩基対の二重鎖領域を含む、前記(32)〜(41)のいずれかに記載の組成物。
(43) センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の5’末端は、平滑末端を形成する、前記(32)〜(40)のいずれかに記載の組成物。
(44) 二本鎖核酸が、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、前記(32)〜(43)のいずれかに記載の組成物。
(45) 二重鎖領域内のヌクレオチドの40〜65%が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドである、前記(44)記載の組成物。
(46) アンチセンス鎖が、表4−1〜表4−5に記載されたアンチセンス鎖群から選択される配列を含む、前記(32)〜(45)のいずれかに記載の組成物。
(47) センス鎖が、および表4−1〜表4−5に記載されたセンス鎖群から選択される配列を含む、前記(32)〜(45)のいずれかに記載の組成物。
(48) 表4−1〜表4−5に記載のセンス鎖/アンチセンス鎖から成る群から選択される1対のセンス鎖/アンチセンス鎖の配列を含む、前記(32)〜(47)のいずれかに記載の組成物。
(49) カチオン性脂質が、該二本鎖核酸と複合体を形成しているか、または中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと該二本鎖核酸との複合体を形成している、前記(32)〜(48)のいずれかに記載の組成物。
(50) カチオン性脂質が、該二本鎖核酸と複合体を形成しているか、または中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと該二本鎖核酸との複合体を形成しており、脂質粒子が該複合体と該複合体を封入する脂質膜から構成された脂質粒子である、前記(32)〜(49)のいずれかに記載の組成物。
(51) 前記(32)〜(50)のいずれかに記載の組成物を用いて該二本鎖核酸を細胞内に導入することを含む、β2GPI遺伝子の発現を抑制する方法。
(52) 細胞が、哺乳動物の肝臓にある細胞である、前記(51)記載の方法。
(53) 細胞内に導入する方法が、静脈内投与によって細胞内に導入する方法である、前記(51)または(52)に記載の方法。
(54) 前記(32)〜(50)のいずれかに記載の組成物を哺乳動物に投与することを含む、β2GPI関連疾患の治療方法。
(55) β2GPI関連疾患が、自己免疫疾患または血栓症である、前記(54)記載の方法。
(56) 投与する方法が、静脈内投与である、前記(54)または(55)記載の方法。
(57) 前記(32)〜(50)のいずれかに記載の組成物を含む、β2GPI関連疾患の治療に用いるための医薬。
(58) β2GPI関連疾患が、自己免疫疾患または血栓症である、前記(57)記載の医薬。
(59) 静脈内投与用である、前記(57)または(58)記載の医薬。
(60) 前記(32)〜(50)のいずれかに記載の組成物を含む、自己免疫疾患または血栓症の治療剤。
(61) 静脈内投与用である、前記(60)記載の自己免疫疾患または血栓症の治療剤。
例えば本発明の脂質粒子を含む組成物を、哺乳動物に投与して、生体内において、β2GPI遺伝子発現を抑制し、β2GPI関連疾患を治療することができる。
実施例2で得られた製剤6または生理食塩水を雄性Balb/cマウスに投与し、2日後にマウスから採取した血漿を用いて測定した希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT)を示す。縦軸は血漿に、測定用試薬としてLAテスト“グラディポア”試薬1(エムビーエル(MBL)社製)を添加した後の血液凝固が認められるまでの時間(秒)を示し、横軸は個体番号を示す。なお、個体番号1〜2は生理食塩水を投与した個体であり、個体番号3〜5は製剤6を投与した個体である。
本発明の核酸が標的とするβ2GPI遺伝子(β2GPIをコードする遺伝子)としては、Genbank Accession No.NM_000042として登録されているβ2GPI cDNA(配列番号3541)に対応する、β2GPIの完全長mRNAを産生する遺伝子があげられる。
本発明は、薬物としてのβ2GPI遺伝子の発現を低下または停止させる能力を有する二本鎖核酸と、カチオン性脂質を含有する脂質粒子を提供する。
また、該脂質粒子を含む組成物を、哺乳動物に投与して、生体内において、β2GPI遺伝子発現を抑制し、β2GPI関連疾患を治療する方法も、提供する。
さらに、本発明は、抗β2GPI抗体に関連する障害を治療または予防するための方法も提供する。
本発明における脂質粒子は、式(A)
(式中、R1は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルであり、
R2は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであり、
R3およびR4は、同一または異なって炭素数1〜3のアルキルであるか、または一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成するか、またはR3はR5と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成し、
R5は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、アミノ、モノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイルもしくはジアルキルカルバモイルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであるか、またはR3と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成し、
X1は、炭素数1〜6のアルキレンであり、
X2は、単結合であるか、または炭素数1〜6のアルキレンであり、ただし、X1とX2の炭素数の和は7以下であり、R5が、水素原子の場合、X2は単結合であり、R5がR3と一緒になって炭素数2〜6のアルキレンを形成する場合、X2は単結合であるか、またはメチレンもしくはエチレンである)、
式(B)
(式中、R6は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
R7は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルである)、または
式(C)
(式中、R8は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
R9は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであり、
X3は、炭素数1〜3のアルキレンであり、
R10は、水素原子または炭素数1〜3のアルキルである)で表されるカチオン性脂質を含有する。以下、式(A)で表される化合物を化合物(A)、式(B)で表される化合物を化合物(B)、式(C)で表される化合物を化合物(C)ということもある。他の式番号の化合物についても同様である。
炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキルとしては、例えばオクチル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、2,6,10-トリメチルウンデシル、ペンタデシル、3,7,11-トリメチルドデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-イル、ノナデシル、2,6,10,14-テトラメチルペンタデシル、イコシル、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル等があげられる。
炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルケニルとしては、1以上の2重結合を含む炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルケニルであればよく、例えば(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル、3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエニル、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エニル、(Z)-ドコサ-13-エニル等があげられ、好ましくは(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(Z)-イコサ-11-エニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル、(Z)-ドコサ-13-エニル等があげられる。
炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキニルとしては、1以上の3重結合を含む炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキニルであればよく、例えばドデカ-11-イニル、テトラデカ-6-イニル、ヘキサデカ-7-イニル、ヘキサデカ-5,7-ジイニル、オクタデカ-9-イニル等があげられる。
アルコキシエチルおよびアルコキシプロピルにおけるアルキル部分としては、例えば前記炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキルの例示であげた基等があげられる。
アルケニルオキシエチルおよびアルケニルオキシプロピルにおけるアルケニル部分としては、例えば前記炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルケニルの例示であげた基等があげられる。
アルキニルオキシエチルおよびアルキニルオキシプロピルにおけるアルキニル部分としては、例えば前記炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキニルの例示であげた基等があげられる。
なお、R1およびR2は、同一または異なって炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニルであることがより好ましく、同一または異なって炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルケニルであることがさらに好ましく、同一または異なって炭素数8〜24の直鎖状のアルケニルであることがさらに好ましい。また、R1およびR2は、同一であることがより好ましく、その場合には、炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであることがより好ましく、炭素数12〜24の直鎖状のアルケニルであることがさらに好ましい。
R1およびR2が、異なる場合には、R1が炭素数16〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、R2が炭素数8〜12の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであることも本発明の好ましい形態のひとつである。この場合、R1が炭素数16〜24の直鎖状のアルケニルであり、R2が炭素数8〜12の直鎖状のアルキルであることがより好ましく、R1が(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであり、R2がオクチル、デシルまたはドデシルであることが最も好ましい。また、R1およびR2が、異なる場合には、R1が、炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、R2がアルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであることも本発明の好ましい形態のひとつである。この場合、R1が、炭素数16〜24の直鎖状のアルケニルであり、R2が、アルケニルオキシエチルであることがより好ましく、R1が、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルまたは(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルであり、R2が、(Z)-オクタデカ-9-エニルオキシエチル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシエチルまたは(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルオキシエチルであることがさらに好ましく、R1が、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであり、R2が、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシエチルであることが最も好ましい。
R1および/またはR2が、同一または異なって炭素数8〜24の直鎖状もしくは分枝状のアルキル、アルケニルである場合には、同一または異なってテトラデシル、ヘキサデシル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニル 、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルまたは(Z)-ドコサ-13-エニルであることが好ましく、同一または異なってヘキサデシル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(Z)-イコサ-11-エニルまたは(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルであることがより好ましく、同一または異なって(Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルまたは(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルであることがさらに好ましく、同一に(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが最も好ましい。
R6およびR7は、それぞれR1およびR2と同義である。ただし、R7が、炭素数16〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルである場合、R6およびR7は、同一に(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが好ましい。
R8およびR9は、それぞれR1およびR2と同義である。ただし、R8およびR9は、同一に炭素数16〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであることが好ましく、同一に(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることがより好ましい。
R3およびR4における、炭素数1〜3のアルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびシクロプロピルがあげられ、好ましくはメチルおよびエチルがあげられ、さらに好ましくはメチルがあげられる。
R3とR4が一緒になって形成する、炭素数2〜8のアルキレンとしては、例えばエチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレン、n-オクチレン等があげられ、好ましくはn-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレン等があげられ、より好ましくはn-ペンチレン、n-ヘキシレン等があげられ、さらに好ましくはn-ヘキシレンがあげられる。
なお、R3は、メチルもしくはエチルであるか、R4と一緒になって炭素数5〜7のアルキレンを形成するか、またはR5と一緒になって炭素数3〜5のアルキレンを形成することが好ましく、但し、R3がR4と一緒になって炭素数5〜7のアルキレンを形成しない場合には、R4はメチルまたはエチルであることが好ましく、メチルであることがより好ましい。さらに、R3は、メチルであるか、R4と一緒になってn-ペンチレンもしくはn-ヘキシレンを形成するか、またはR3がR5と一緒になってエチレン、n-プロピレンを形成することがより好ましく、但し、R3がR4と一緒になってn-ペンチレンもしくはn-ヘキシレンを形成しない場合には、R4はメチルであることがより好ましい。
R5における、炭素数1〜6のアルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等があげられ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等があげられ、さらに好ましくはメチル、エチル、プロピル等があげられる。
R5における、炭素数3〜6のアルケニルとしては、例えばアリル、1-プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等があげられ、好ましくはアリル等があげられる。
R5における、モノアルキルアミノとしては、1つの、例えば炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)で置換されたアミノであればよく、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ等があげられ、好ましくはメチルアミノ、エチルアミノ等があげられる。
R5における、アミノおよびモノアルキルアミノは、それぞれ、窒素原子上の孤立電子対に、水素イオンが配位して、アンモニオおよびモノアルキルアンモニオを形成していてもよく、アミノおよびモノアルキルアミノは、それぞれアンモニオおよびモノアルキルアンモニオを包含する。
本発明において、アミノおよびモノアルキルアミノの窒素原子上の孤立電子対に、水素イオンが配位したアンモニオおよびモノアルキルアンモニオは、製薬上許容し得る陰イオンと塩を形成していてもよい。
R5における、アルコキシとしては、例えば炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)で置換されたヒドロキシであればよく、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等があげられ、好ましくはメトキシ、エトキシ等があげられる。
R5における、モノアルキルカルバモイルおよびジアルキルカルバモイルとしては、それぞれ1つおよび同一または異なって2つの、例えば炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)で置換されたカルバモイルがあげられ、より具体的にはメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル、ペンチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル、メチルプロピルカルバモイル、ブチルメチルカルバモイル、メチルペンチルカルバモイル、ヘキシルメチルカルバモイル等があげられ、好ましくはメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル等があげられる。
R5とR3が一緒になって形成する、炭素数2〜8のアルキレンとしては、例えばエチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレン、n-オクチレン等があげられ、好ましくはn-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン等があげられ、より好ましくはn-プロピレン、n-ブチレン等があげられ、さらに好ましくはn-プロピレンがあげられる。
なお、R5は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、モノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、またはヒドロキシもしくはアルコキシで置換された炭素数1〜6のアルキルであるか、またはR3と一緒になって炭素数2〜6のアルキレンを形成することが好ましく、水素原子、メチル、アミノ、メチルアミノ、ヒドロキシ、メトキシ、または同一もしくは異なって1〜3つのアミノもしくはヒドロキシで置換されたメチルであるか、またはR3と一緒になって炭素数3〜5のアルキレンを形成することがより好ましく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル、またはヒドロキシであるか、またはR3と一緒になってn-プロピレンまたはn-ブチレンを形成することがさらに好ましく、水素原子またはR3と一緒になってn-プロピレンを形成することが最も好ましい。
R10における、炭素数1〜3のアルキルとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル等があげられ、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル等があげられ、より好ましくはメチル、エチル等があげられる。なお、R10としては、水素原子またはメチルがさらに好ましく、水素原子が最も好ましい。
X1およびX2における、炭素数1〜6のアルキレンとしては、例えばメチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン等があげられる。
また、X1は、炭素数1〜3のアルキレンであることが好ましく、メチレンまたはエチレンであることが最も好ましく、X2は、単結合、メチレンまたはエチレンであることが好ましく、単結合またはメチレンであることがより好ましい。X1とX2の炭素数の和は、1〜3が好ましく、2が最も好ましい。これらいずれの場合にも、R3およびR4は、同一または異なってメチルもしくはエチルであり、R5は、水素原子、メチル、アミノ、メチルアミノ、ヒドロキシ、メトキシ、または同一もしくは異なって1〜3つのアミノもしくはヒドロキシで置換されたメチルであるか、R3とR4は一緒になって炭素数5〜7のアルキレンを形成し、R5は、水素原子、メチル、アミノ、メチルアミノ、ヒドロキシ、メトキシ、または同一もしくは異なって1〜3つのアミノもしくはヒドロキシで置換されたメチルであるか、またはR3とR5は一緒になって炭素数3〜5のアルキレンを形成し、R4はメチルまたはエチルであることが好ましく、R3およびR4は、メチルであり、R5は、水素原子であるか、R3とR4は一緒になってn-ペンチレンもしくはn-ヘキシレンを形成し、R5は、水素原子であるか、またはR3とR5は一緒になってn-プロピレンを形成し、R4はメチルであることがより好ましい。
X3における、炭素数1〜3のアルキレンとしては、例えばメチレン、エチレン、n-プロピレン等があげられ、好ましくはメチレン、エチレン等があげられる。
化合物(A)、(B)および(C)は、いずれかの窒素原子上の孤立電子対に、水素イオンが配位した場合に、製薬上許容し得る陰イオンと塩を形成していてもよい。
本発明において、製薬上許容し得る陰イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等の無機イオン、酢酸イオン、シュウ酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、安息香酸イオン、メタンスルホン酸イオン等の有機酸イオン等があげられる。
次に化合物(A)、(B)および(C)の製造方法について説明する。なお、以下に示す製造方法において、定義した基が該製造方法の条件下で変化するかまたは該製造方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される保護基の導入および除去方法[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第3版(Protective Groups in Organic Synthesis, third edition)、グリーン(T.W.Greene)著、John Wiley&Sons Inc.(1999年)等に記載の方法]等を用いることにより、目的化合物を製造することができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることもできる。
製造方法1
化合物(A)は以下の方法によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、X1およびX2はそれぞれ前記と同義であり、Yは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシ等の脱離基を表し、Arはp-ニトロフェニル、o-ニトロフェニル、p-クロロフェニル等の置換フェニル基または無置換フェニル基を表す)
工程1および2
化合物(IIa)は、アンモニアと化合物(IIIa)を、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間反応させることにより製造することができる。さらに、化合物(IIb)は、化合物(IIa)と化合物(IIIb)を、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ピリジン、水等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
塩基としては、例えば炭酸セシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムtert-ブトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)等があげられる。
化合物(IIIa)は、市販品としてまたは公知の方法(例えば、第5版実験化学講座13 有機化合物の合成I」、第5版、p.374、丸善(2005年))もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
化合物(IIIb)は、市販品としてまたは公知の方法(例えば、第5版実験化学講座13 有機化合物の合成I」、第5版、p.374、丸善(2005年))もしくはそれに準じた方法、または後述の製造方法で得ることができる。
R1とR2が同一の場合の化合物(IIb)は、工程1において、2当量以上の化合物(IIIa)を用いることで得ることができる。
工程3
化合物(VI)は、化合物(IVa)を、化合物(Va)と、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の添加剤の存在下、および/または必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、-20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
添加剤としては、例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ジメチルアミノピリジン等があげられる。
塩基としては、工程1および2で例示したものがあげられる。
化合物(Va)は、市販品として得ることができる。
化合物(IVa)は、市販品としてまたは公知の方法(例えば、第5版実験化学講座14 有機化合物の合成II」、第5版、p.1、丸善(2005年))もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
工程4
化合物(A)は、化合物(IIb)を、化合物(VI)と、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の添加剤の存在下、および/または必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、-20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより製造することができる。
溶媒および添加剤としては、それぞれ工程3で例示したものがあげられる。
塩基としては、工程1および2で例示したものがあげられる。
製造方法2
化合物(IIIb)のうち、R2が炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであり、Yがメタンスルホニルオキシである、化合物(IIIc)は、以下の方法によって製造することができる。
(式中、Yは前記と同義であり、R11は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、X4はエチレンまたはプロピレンを表し、Msはメタンスルホニル基を表す)
工程5
化合物(IVd)は、化合物(IVb)を、化合物(IVc)と、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
塩基としては、工程1および2で例示したものがあげられる。
化合物(IVb)は、製造方法1に記載の化合物(IIIa)と同様である。
化合物(IVc)は、市販品として得ることができる。
工程6
化合物(IIIc)は、化合物(IVd)を、メシル化試薬と、無溶媒でまたは溶媒中、好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、-20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、工程5で例示したものがあげられる。
塩基としては、工程1および2で例示したものがあげられる。
メシル化試薬としては、例えばメタンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸クロリド等があげられる。
製造方法3
化合物(IIb)は以下の方法によってもまた製造することができる。
(式中、R1、R2およびYはそれぞれ前記と同義であり、Bocはtert-ブトキシカルボニル基を表し、Nsは2-ニトロベンゼンスルホニル基を表す)
工程7
化合物(IVe)は、化合物(Vb)と化合物(IIIa)を、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の添加剤の存在下、および/または必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒および塩基としては、それぞれ工程1および2で例示したものがあげられる。
添加剤としては、例えばヨウ化n-テトラブチルアンモニウム、ヨウ化ナトリウム等があげられる。
化合物(Vb)は、市販品として得ることができる。
工程8
化合物(IVf)は、化合物(IVe)を、1当量〜大過剰量の酸で、無溶媒または溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の添加剤の存在下、-20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間処理することにより製造することができる。
溶媒としては、工程1および2で例示したものがあげられる。
酸としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸等があげられる。
添加剤としては、例えばチオアニソール、ジメチルスルフィド、トリイソプロピルシラン等があげられる。
工程9
化合物(IVg)は、化合物(IIIb)と化合物(IVf)を、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の添加剤の存在下、および/または必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒および塩基としては、それぞれ工程1および2で例示したものがあげられる。
添加剤としては、工程7で例示したものがあげられる。
工程10
化合物(IIb)は、化合物(IVg)とチオール化合物を、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒および塩基としては、それぞれ工程1および2で例示したものがあげられる。
チオール化合物としては、例えばメタンチオール、エタンチオール、ドデカンチオール、チオフェノール、メルカプト酢酸等があげられる。
化合物(B)は、上記製造方法1または3で示した化合物(IIb)の製造方法と同様の反応試薬および反応条件等を適用することにより製造することができる。
製造方法4
化合物(C)は以下の方法によって製造することができる。
(式中、R8、R9、R10、X3およびYはそれぞれ前記と同義である)
工程11
化合物(C)は、化合物(IIc)と化合物(Vc)を、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の添加剤の存在下、および/または必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒および塩基としては、それぞれ工程1および2で例示したものがあげられる。
添加剤としては、工程7で例示したものがあげられる。
化合物(IIc)は、上記製造方法1または3で示した化合物(IIb)の製造方法と同様の反応試薬および反応条件等を適用することにより製造することができる
化合物(Vc)は市販品としてまたは公知の方法(例えば、第5版実験化学講座13 有機化合物の合成I」、第5版、p.374、丸善(2005年))もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
製造方法5
化合物(C)は以下の方法によってもまた製造することができる。
(式中、R8、R9、R10、X3およびYはそれぞれ前記と同義である)
工程12および13
化合物(IVh)は、化合物(Vd)と化合物(IIId)を、製造方法1における工程1と同様の条件で反応させることにより製造することができる。さらに、化合物(C)は、化合物(IVh)と化合物(IIIe)を、製造方法1における工程2と同様の条件で反応させることにより製造することができる。
化合物(Vd)は、市販品または公知の方法(例えば、第5版実験化学講座13 有機化合物の合成I」、第5版、p.374、丸善(2005年))もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
化合物(IIId)および化合物(IIIe)は、それぞれ製造方法1に記載の化合物(IIIa)および化合物(IIIb)と同様である。
R8とR9が同一の場合の化合物(C)は、工程12において、2当量以上の化合物(IIId)を用いることで得ることができる。
製造方法6
化合物(C)のうち、R10が水素原子である、化合物(Ca)は、以下の方法によってもまた製造することができる。
(式中、R8、R9、X3およびYはそれぞれ前記と同義であり、Proはトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリtert-ブチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリルまたはトリフェニルシリル等のシリル型保護基を表す)
工程14
化合物(IVi)は、化合物(IIc)と化合物(Ve)を、製造方法4における工程11と同様の条件で反応させることにより製造することができる。
化合物(IIc)は、上記製造方法1または3で示した化合物(IIb)の製造方法と同様の反応試薬および反応条件等を適用することにより製造することができる
化合物(Ve)は市販品としてもしくは公知の方法(例えば、第5版実験化学講座18 有機化合物の合成VI」、第5版、p.171-172、丸善(2005年))、またはそれに準じた方法で得ることができる。
工程15
化合物(Ca)は、化合物(IVi)と脱保護試薬を、無溶媒でまたは溶媒中、-20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、工程1および2で例示したものがあげられる。
脱保護試薬としては、例えばフッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化水素ピリジン複合体、フッ化水素酸等のフッ素化合物等、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム、塩酸等の酸等があげられる。
製造方法7
化合物(C)のうち、R10が水素原子であり、X3が炭素数1または2のアルキレンである化合物(Cb)は、以下の方法によっても製造することができる。
(式中、R8およびR9はそれぞれ前記と同義であり、X5はメチレンまたはエチレンを表す)
工程16
化合物(IVj)は、化合物(IIc)を、好ましくは1〜大過剰量のアクリル酸エチルと、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒および塩基としては、それぞれ工程1および2で例示したものがあげられる。
化合物(IIc)は、上記製造方法1または3で示した化合物(IIb)の製造方法と同様の反応試薬および反応条件等を適用することにより製造することができる
工程17
化合物(IVk)は、化合物(IIc)を、好ましくは1〜大過剰量のブロモ酢酸エチルと、製造方法4における工程11と同様の条件で反応させることにより製造することができる。
化合物(IIc)は、上記製造方法1または3で示した化合物(IIb)の製造方法と同様の反応試薬および反応条件等を適用することにより製造することができる
工程18
化合物(Cb)は、化合物(IVj)または化合物(IVk)を、好ましくは1〜10当量の還元剤と、溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の添加剤の存在下、-20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
還元剤としては、例えば水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、ボラン等があげられる。
添加剤としては、例えば塩化アルミニウム、塩化セリウム、塩化鉄、酢酸、塩酸等があげられる。
上記各製造方法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
化合物(A)、(B)および(C)において、構造中の窒素原子上の孤立電子対に水素イオンが配位してもよく、その場合には、製薬上許容し得る陰イオン(前記と同義)と塩を形成していてもよく、化合物(A)、(B)および(C)には、該窒素原子上の孤立電子対に水素イオンが配位した化合物も包含される。
化合物(A)、(B)および(C)の中には、幾何異性体、光学異性体等の立体異性体、互変異性体等が存在し得るものもあるが、化合物(A)、(B)および(C)は、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を包含する。
化合物(A)、(B)および(C)中の各原子の一部またはすべては、それぞれ対応する同位体原子で置き換わっていてもよく、化合物(A)、(B)および(C)は、これら同位体原子で置き換わった化合物も包含する。例えば、化合物(A)、(B)および(C)中の水素原子の一部またはすべては、原子量2の水素原子(重水素原子)であってもよい。
化合物(A)、(B)および(C)中の各原子の一部またはすべてが、それぞれ対応する同位体原子で置き換わった化合物は、市販のビルディングブロックを用いて、上記各製造方法と同様な方法で製造することができる。また、化合物(A)、(B)および(C)中の水素原子の一部またはすべてが重水素原子で置き換わった化合物は、例えば、イリジウム錯体を触媒として用い、重水を重水素源として用いてアルコール、カルボン酸等を重水素化する方法[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.), Vol.124,No.10,2092(2002)参照]等を用いて合成することもできる。
化合物(A)、(B)および(C)の具体例を表1−1〜表1−7に示す。ただし、化合物(A)、(B)および(C)はこれらに限定されるものではない。
本発明において、β2GPI mRNAに対して相補的な塩基配列を含む核酸をアンチセンス鎖核酸と称し、アンチセンス鎖核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸をセンス鎖核酸とも称する。
本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸は、哺乳動物細胞に導入された場合、β2GPI遺伝子の発現を低下または停止させる能力を有する二本鎖核酸であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を有する二本鎖核酸である。また、該センス鎖と該アンチセンス鎖とは少なくとも11個の塩基対を有し、該アンチセンス鎖中の、少なくとも17個のヌクレオチドかつ多くとも30個のヌクレオチド鎖長のオリゴヌクレオチド鎖において、表2−1〜表2−16に記載された群から選択される標的β2GPI mRNA配列と相補的である。
本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸としては、ヌクレオチドまたは該ヌクレオチドと同等の機能を有する分子が重合した分子であればいかなる分子であってもよく、例えばリボヌクレオチドの重合体であるRNA、デオキシリボヌクレオチドの重合体であるDNA、RNAとDNAとからなるキメラ核酸、およびこれらの核酸の少なくとも一つのヌクレオチドが該ヌクレオチドと同等の機能を有する分子で置換されたヌクレオチド重合体があげられる。また、これらの核酸内にヌクレオチドと同等の機能を有する分子を少なくとも一つ含む誘導体も、本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸に含まれる。またウラシル(U)は、チミン(T)に一義的に読み替えることができる。
ヌクレオチドと同等の機能を有する分子としては、例えばヌクレオチド誘導体等があげられる。ヌクレオチド誘導体としては、ヌクレオチドに修飾を施した分子であればいかなる分子であってもよいが、例えばRNAまたはDNAと比較して、ヌクレアーゼ耐性の向上もしくは安定化させるため、相補鎖核酸との親和性をあげるため、細胞透過性をあげるため、または可視化させるために、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドに修飾を施した分子等が好適に用いられる。
ヌクレオチドに修飾を施した分子としては、例えば糖部修飾ヌクレオチド、リン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチドおよび塩基修飾ヌクレオチド、ならびに糖部、リン酸ジエステル結合および塩基の少なくとも2つが修飾されたヌクレオチド等があげられる。
糖部修飾ヌクレオチドとしては、ヌクレオチドを構成する糖の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の置換基で修飾もしくは置換したもの、または任意の原子で置換したものであればいかなるものでもよいが、2’-修飾ヌクレオチドが好ましく用いられる。
2’-修飾ヌクレオチドとしては、例えばリボースの2’-OH基がH、OR、R、R’OR、SH、SR、NH2、NHR、NR2、N3、CN、F、Cl、BrおよびIからなる群(Rはアルキルまたはアリール、好ましくは炭素数1〜6のアルキルであり、R’はアルキレン、好ましくは炭素数1〜6のアルキレンである)から選択される置換基で置換されたヌクレオチド、好ましくは2’-OH基がH、Fまたはメトキシ基で置換されたヌクレオチド、より好ましくは2’-OH基がFまたはメトキシ基で置換されたヌクレオチドがあげられる。また、2’-OH基が2-(メトキシ)エトキシ基、3-アミノプロポキシ基、2-[(N,N-ジメチルアミノ)オキシ]エトキシ基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロポキシ基、2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エトキシ基、2-(メチルアミノ)-2-オキソエトキシ基、2-(N-メチルカルバモイル)エトキシ基および2-シアノエトキシ基からなる群から選択される置換基で置換されたヌクレオチド等もあげられる。
二重鎖核酸領域内のヌクレオチドに対して、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドは、10〜70%含まれることが好ましく、20〜40%含まれることがより好ましく、40〜65%含まれることが特に好ましい。また、センス鎖のヌクレオチドに対して、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドは、20〜40%含まれることが好ましく、40〜60%含まれることがより好ましく、60%〜100%含まれることが特に好ましい。また、アンチセンス鎖のヌクレオチドに対して、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドは、0〜40%含まれることが好ましく、10〜20%含まれることがより好ましく、20〜40%含まれることが特に好ましい。
また、糖部修飾ヌクレオチドとしては、糖部に架橋構造を導入することにより2つの環状構造を有する架橋構造型人工核酸(Bridged Nucleic Acid)(BNA)も好適に用いられる。具体的には、2'位の酸素原子と4'位の炭素原子がメチレンを介して架橋したロックト人工核酸(Locked Nucleic Acid)(LNA) [“テトラへドロン レターズ(Tetrahedron Letters)”, 38巻, 8735頁, (1997)及び“テトラへドロン(Tetrahedron)”, 54巻, 3607頁,(1998)]、エチレン架橋構造型人工核酸(Ethylene bridged nucleic acid)(ENA)[ヌクレイック アシッド リサーチ(Nucleic Acid Research), 32, e175(2004)]、Constrained Ethyl (cEt)[“ザ ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(The Journal of Organic Chemistry)” 75巻, 1569 (2010)]、Amido-Bridged Nucleic Acid (AmNA)[“ケム バイオ ケム(Chem. Bio. Chem.)” 13巻, 2513 (2012)]及び2’-O,4’-C-Spirocyclopropylene bridged nucleic acid (scpBNA)[“ケミカル コミュニケーションズ(Chemcal Communications)”, 51巻, 9737頁 (2015)]等が挙げられる。
さらにペプチド核酸(PNA)[“アカウンツ オブ ケミカル リサーチ (ACCOUNTS OF CHEMICAL RESEARCH)”, 32, 624 (1999)]、オキシペプチド核酸(OPNA)[ “ジャーナルオブアメリカンケミカルソサイエティー (Journal of American Chemical Society)”, 123巻, 4653頁 (2001)]、ペプチドリボ核酸(PRNA)[ “ジャーナルオブアメリカンケミカルソサイエティー (Journal of American Chemical Society)”, 122巻, 6900頁 (2000)]等も糖部修飾ヌクレオチドとして挙げられる。
リン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチドとしては、ヌクレオチドのリン酸ジエステル結合の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の置換基で修飾もしくは置換したもの、または任意の原子で置換したものであればいかなるものでもよく、例えば、リン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に置換されたヌクレオチド、リン酸ジエステル結合がホスホロジチオエート結合に置換されたヌクレオチド、リン酸ジエステル結合がアルキルホスホネート結合に置換されたヌクレオチド、リン酸ジエステル結合がホスホロアミデート結合に置換されたヌクレオチド等があげられる。
塩基修飾ヌクレオチドとしては、ヌクレオチドの塩基の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の置換基で修飾もしくは置換したもの、または任意の原子で置換したものであればいかなるものでもよく、例えば、塩基内の酸素原子が硫黄原子で置換されたもの、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子等で置換されたもの、メチル基が水素、ヒドロキシメチル基、炭素数2〜6のアルキル基等で置換されたもの、アミノ基が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルカノイル基、オキソ基、ヒドロキシ基等で置換されたものがあげられる。
ヌクレオチド誘導体としては、ペプチド、蛋白質、糖、脂質、リン脂質、フェナジン、フォレート、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、色素など、別の化学物質を、直接またはリンカーを介してヌクレオチドに付加したものもあげられ、具体的には、5’-ポリアミン付加ヌクレオチド誘導体、コレステロール付加ヌクレオチド誘導体、ステロイド付加ヌクレオチド誘導体、胆汁酸付加ヌクレオチド誘導体、ビタミン付加ヌクレオチド誘導体、Cy5付加ヌクレオチド誘導体、Cy3付加ヌクレオチド誘導体、6-FAM付加ヌクレオチド誘導体、およびビオチン付加ヌクレオチド誘導体等があげられる。
ヌクレオチド誘導体は、核酸内の他のヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体とアルキレン構造、ペプチド構造、ヌクレオチド構造、エーテル構造、エステル構造、およびこれらの少なくとも一つを組み合わせた構造等の架橋構造を形成してもよい。
本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸は、核酸の分子中の一部あるいは全部の原子が質量数の異なる原子(同位体,例えば重水素等)で置換されたものも包含する。
本明細書において「相補」とは、2つの塩基間で塩基対合をし得る関係を意味し、例えば、アデニンとチミンまたはウラシルとの関係、並びにグアニンとシトシンとの関係のように緩やかな水素結合を介して、二重鎖領域全体として2重螺旋構造をとるものをいう。
本明細書において「相補的」とは、2つのヌクレオチド配列が完全に相補する場合だけでなく、該ヌクレオチド配列間で0〜30%、好ましくは0〜20%、より好ましくは0〜10%のミスマッチ塩基を有することができ、例えば、β2GPI mRNAに対して相補的なアンチセンス鎖は、該mRNAの部分塩基配列と完全に相補する塩基配列において、1つまたは複数の塩基の置換を含んでよいことを意味する。具体的には、アンチセンス鎖は、標的遺伝子の標的配列に対して1〜8個、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、最も好ましくは1〜2個のミスマッチ塩基を有することができる。例えば、アンチセンス鎖が21塩基長の場合には、標的遺伝子の標的配列に対して1〜6個のミスマッチ塩基を有してもよく、そのミスマッチの位置は、それぞれの配列の5’末端または3’末端であってもよい。
また、「相補的」とは、一方のヌクレオチド配列が、他方のヌクレオチド配列と完全に相補する塩基配列において、1つまたは複数の塩基が付加および/または欠失した配列である場合を包含する。例えば、β2GPI mRNAと本発明のアンチセンス鎖核酸とは、アンチセンス鎖における塩基の付加および/または欠失により、アンチセンス鎖および/または標的β2GPI mRNA領域に1個または2個のバルジ塩基を有してもよい。
本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸は、β2GPI mRNAの一部の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸および/または該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸であれば、いずれのヌクレオチドまたはその誘導体から構成されていてもよい。本発明の二本鎖核酸は、標的β2GPI mRNA配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸とが、二重鎖を形成することができればいずれの長さでもよいが、二重鎖を形成できる配列の長さは、通常11〜35塩基であり、15〜30塩基が好ましく、17〜25塩基がより好ましく、17〜23塩基がさらに好ましく、19〜23塩基が特に好ましい。
本発明のアンチセンス鎖核酸としては、標的β2GPI mRNA配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸が用いられるが、該核酸のうち1〜3塩基、好ましくは1〜2塩基、より好ましくは1塩基が欠失、置換または付加したものを用いてもよい。
β2GPIの発現を抑制する核酸としては、標的β2GPI mRNA配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸であって、かつβ2GPIの発現を抑制する一本鎖核酸、もしくは標的β2GPI mRNA配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸とからなり、かつβ2GPIの発現を抑制する二本鎖核酸が好適に用いられる。
本発明において二本鎖核酸とは、二本のヌクレオチド鎖が対合し二重鎖領域を有する核酸をいう。二重鎖領域とは、二本鎖核酸を構成するヌクレオチドまたはその誘導体が塩基対を構成して二重鎖を形成している部分をいう。二重鎖領域は、通常11〜27塩基対であり、15〜25塩基対が好ましく、15〜23塩基対がより好ましく、17〜21塩基対がさらに好ましく、17〜19塩基対が特に好ましい。
二本鎖核酸を構成する一本鎖の核酸は、通常11〜30塩基からなるが、15〜29塩基からなることが好ましく、15〜27塩基からなることがより好ましく、15〜25塩基からなることがさらに好ましく、17〜23塩基からなることが特に好ましく、19〜21塩基からなることが最も好ましい。
本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸において、二重鎖領域に続く3’側または5’側に二重鎖を形成しない追加のヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体を有する場合には、これを突出部(オーバーハング)と呼ぶ。突出部を有する場合には、突出部を構成するヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはこれらの誘導体であってもよい。
突出部を有する二本鎖核酸としては、少なくとも一方の鎖の3’末端または5’末端に1〜6塩基、好ましくは1〜3塩基からなる突出部を有するものが用いられるが、2塩基からなる突出部を有するものがより好ましく用いられ、例えばdTdT(dTはデオキシチミジンを表す)またはUU(Uはウリジンを表す)からなる突出部を有するものがあげられる。突出部は、アンチセンス鎖のみ、センス鎖のみ、およびアンチセンス鎖とセンス鎖の両方に有することができるが、本発明において、アンチセンス鎖とセンス鎖の両方に突出部を有する二本鎖核酸が好ましく用いられる。なお、アンチセンス鎖は、二重鎖領域とそれに続く突出部とを含む、少なくとも17個のヌクレオチドかつ多くとも30個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖において、表2−1〜表2-16に記載された群から選択される標的β2GPI mRNA配列と十分に相補的である。さらに、本発明の二本鎖核酸としては、例えばダイサー(Dicer)等のリボヌクレアーゼの作用により上記の二本鎖核酸を生成する核酸分子(国際公開第2005/089287号参照)や、3’末端や5’末端の突出部を有さず平滑末端を形成する二本鎖核酸、センス鎖のみが突出した二本鎖核酸(米国特許出願公開第2012/0040459号明細書参照)などを用いることもできる。
本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸としては、標的遺伝子の塩基配列またはその相補鎖の塩基配列と同一の配列からなる核酸を用いてもよいが、該核酸の少なくとも一方の鎖の5’末端または3’末端が1〜4塩基削除された核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸とからなる二本鎖核酸を用いてもよい。
本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸は、RNA同士が二重鎖を形成した二本鎖RNA(dsRNA)、DNA同士が二重鎖を形成した二本鎖DNA(dsDNA)、またはRNAとDNAが二重鎖を形成したハイブリッド核酸であってもよい。あるいは、二本鎖のうちの一方もしくは両方の鎖がDNAとRNAとのキメラ核酸であってもよい。好ましくは二本鎖RNA(dsRNA)である。
本発明のアンチセンス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドは、標的β2GPI mRNA配列の3’末端から2番目のデオキシリボヌクレオチドと相補であることが好ましく、アンチセンス鎖の5’末端から2〜7番目のヌクレオチドが、標的β2GPI mRNA配列の3’末端から2〜7番目のデオキシリボヌクレオチドと完全に相補であることがより好ましく、アンチセンス鎖の5’末端から2〜11番目のヌクレオチドが、標的β2GPI mRNA配列の3’末端から2〜11番目のデオキシリボヌクレオチドと完全に相補であることがさらに好ましい。また、本発明の核酸におけるアンチセンス鎖の5’末端から11番目のヌクレオチドが、標的β2GPI mRNA配列の3’末端から11番目のデオキシリボヌクレオチドと相補であることが好ましく、アンチセンス鎖の5’末端から9〜13番目のヌクレオチドが、標的β2GPI mRNA配列の3’末端から9〜13番目のデオキシリボヌクレオチドと完全に相補であることがより好ましく、アンチセンス鎖の5’末端から7〜15番目のヌクレオチドが、標的β2GPI mRNA配列の3’末端から7〜15番目のデオキシリボヌクレオチドと完全に相補であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸を製造する方法としては、特に限定されず、公知の化学合成を用いる方法、あるいは、酵素的転写法等があげられる。公知の化学合成を用いる方法として、ホスホロアミダイト法、ホスホロチオエート法、ホスホトリエステル法、CEM法[“ヌクレイックアシッドリサーチ(Nucleic Acid Research)”, 35, 3287 (2007)]等をあげることができ、例えば、ABI3900ハイスループット核酸合成機(アプライドバイオシステムズ(Applied Bio Systems)社製)により合成することができる。合成が終了した後は、固相からの脱離、保護基の脱保護および目的物の精製等を行う。精製により、純度90%以上、好ましくは95%以上の核酸を得るのが望ましい。二本鎖核酸の場合には、合成および精製したセンス鎖、アンチセンス鎖を適当な比率、例えば、アンチセンス鎖1当量に対して、センス鎖0.1〜10当量、好ましくは0.5〜2当量、より好ましくは0.9〜1.1当量、さらに好ましくは等モル量で混合した後、アニーリングを行って用いてもよいし、または、混合したものをアニーリングする工程を省いて直接用いてもよい。アニーリングは、二本鎖核酸を形成できる条件であればいかなる条件で行ってもよいが、通常、センス鎖、アンチセンス鎖をほぼ等モル量で混合した後、94℃程度で5分程度加熱したのち、室温まで徐冷することにより行われる。本発明の核酸を製造する酵素的転写法としては、目的の塩基配列を有したプラスミドまたはDNAを鋳型としてファージRNAポリメラーゼ、例えば、T7、T3、またはSP6RNAポリメラーゼを用いた転写による方法があげられる。
本発明で用いられる薬物としての二本鎖核酸は、5'末端、3'末端または/および配列内部が1つ以上のリガンドや蛍光団により修飾されていてもよく、リガンドや蛍光団により修飾された核酸をコンジュゲート核酸とも呼ぶ。固相上での伸張反応時に、固相上で反応可能な修飾剤を反応させることで、5'末端、3'末端または/および配列内部に修飾を施すことができる。また、アミノ基、メルカプト基、アジド基または3重結合などの官能基を導入した核酸をあらかじめ合成および精製しておき、それらに修飾化剤を作用させることでコンジュゲート核酸を得ることもできる。リガンドとしては、生体分子と親和性のある分子であれば良いが、例えば、コレステロール、脂肪酸、トコフェロール、レチノイドなどの脂質類、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトース(Gal)、マンノース(Man)などの糖類、フル抗体、Fab、VHHなどの抗体、低密度リポタンパク質(LDL)、ヒト血清アルブミンなどのタンパク質、RGD、NGR、R9、CPPなどのペプチド類、葉酸などの低分子、合成ポリアミノ酸などの合成ポリマー、あるいは核酸アプタマーなどがあげられ、これらを組み合わせて用いることもできる。蛍光団としてはCy3シリーズ, Alexaシリーズ、ブラックホールクエンチャーなどがあげられる。
本発明のアンチセンス鎖およびセンス鎖は、例えば、Genbank Accession No.NM_000042として登録されているヒトβ2GPIの完全長mRNAのcDNA(センス鎖)の塩基配列(配列番号3541)に基づいて設計することができる。
β2GPIの発現抑制活性を有する核酸としては、β2GPI mRNAに対して相補的な塩基配列を含む本発明のアンチセンス鎖核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含む本発明のセンス鎖核酸とからなり、かつβ2GPIの発現抑制活性を有する二本鎖核酸があげられる。該二本鎖核酸を構成する一本鎖の核酸は、通常11〜30塩基からなるが、15〜29塩基からなることが好ましく、15〜27塩基からなることがより好ましく、15〜25塩基からなることがさらに好ましく、17〜23塩基からなることが特に好ましく、19〜21塩基からなることが最も好ましい。該二本鎖核酸は通常15〜27塩基対、好ましくは15〜25塩基対、より好ましくは15〜23塩基対、さらに好ましくは15〜21塩基対、特に好ましくは15〜19塩基対からなる二重鎖領域を有している。
本発明における脂質粒子は、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)と、二本鎖核酸とを含有する脂質粒子であり、例えば、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)と、二本鎖核酸との複合体、あるいは化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと、二本鎖核酸との複合体を含有する脂質粒子、該複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成された脂質粒子等があげられる。脂質膜は、脂質一重膜(脂質1分子膜)でも脂質二重膜(脂質2分子膜)であってもよい。なお、該脂質膜に、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)、中性脂質および/または高分子を含有していてもよい。また、該複合体および/または該脂質膜に、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)以外のカチオン性脂質を含有していてもよい。
該複合体の形態としては、いずれの場合も二本鎖核酸と脂質一重層からなる膜(逆ミセル)との複合体、二本鎖核酸とリポソームとの複合体、二本鎖核酸とミセルとの複合体等があげられ、好ましくは二本鎖核酸と脂質一重層からなる膜との複合体または二本鎖核酸とリポソームとの複合体があげられる。
該複合体および該複合体を封入する脂質二重膜から構成された脂質粒子としては、該複合体および該複合体を封入する脂質二重膜から構成されたリポソーム等があげられる。
なお、本発明における脂質粒子には、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)の一種または複数種を使用してもよく、また化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)と、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)以外のカチオン性脂質を混合したものでもよい。
化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)以外のカチオン性脂質としては、例えば、特開昭61-161246号公報(米国特許第5049386号明細書)中で開示される、DOTMA、DOTAP等、国際公開第91/16024号および国際公開第97/019675号中で開示される、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシプロピル)]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム(DORIE)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキシアミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパナミニウムトリフルオロ酢酸(DOSPA)等、国際公開第2005/121348号中で開示される、DLinDMA等、国際公開第2009/086558号中で開示される、DLin-K-DMA等があげられ、好ましくはDOTMA、DOTAP、DORIE、DOSPA、DLinDMA、DLin-K-DMA等の2つの非置換アルキル基を有する3級アミン部位または3つの非置換アルキル基を有する4級アンモニウム部位を有するカチオン性脂質があげられ、より好ましくは該3級アミン部位を有するカチオン性脂質があげられる。該3級アミン部位および該4級アンモニウム部位の非置換アルキル基はメチル基であることがより好ましい。
本発明における脂質粒子は、公知の製造方法またはそれに準じて製造することができ、いかなる製造方法で製造されたものであってもよい。例えば、脂質粒子の1つであるリポソームの製造には、公知のリポソームの調製方法が適用できる。公知のリポソームの調製方法としては、例えばバンガム(Bangham)らのリポソーム調製法[“ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(J. Mol. Biol.)”,1965年,第13巻,p.238-252参照]、エタノール注入法[“ジャーナル オブ セル バイオロジー(J. Cell Biol.)”,1975年,第66巻,p.621-634参照]、フレンチプレス法[“エフイービーエス レターズ(FEBS Lett.)”, 1979年, 第99巻, p.210-214参照]、凍結融解法[“アーカイブス オブ バイオケミストリー アンド バイオフィジックス(Arch.Biochem.Biophys.)”,1981年,第212巻,p.186-194参照]、逆相蒸発法[“プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)”,1978年,第75巻, p.4194-4198参照]またはpH勾配法(例えば特許第2572554号公報、特許第2659136号公報等参照)等があげられる。リポソームの製造の際にリポソームを分散させる溶液としては、例えば水、酸、アルカリ、種々の緩衝液、生理食塩水またはアミノ酸輸液等を用いることができる。また、リポソームの製造の際には、例えばクエン酸、アスコルビン酸、システインまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の抗酸化剤、例えばグリセリン、ブドウ糖または塩化ナトリウム等の等張化剤等の添加も可能である。また、脂質等を例えばエタノール等の有機溶媒に溶解し、溶媒を留去した後、生理食塩水等を添加、振とう撹拌し、リポソームを形成させることによってもリポソームを製造することができる。
また、本発明における脂質粒子は、例えば、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)をクロロホルムに予め溶解し、次いで二本鎖核酸の水溶液とメタノールを加えて混合してカチオン性脂質/二本鎖核酸の複合体を形成させ、さらにクロロホルム層を取り出し、これにポリエチレングリコール化リン脂質と中性の脂質と水を加えて油中水型(W/O)エマルジョンを形成し、逆相蒸発法で処理して製造する方法(特表2002-508765号公報参照)や、二本鎖核酸を、酸性の電解質水溶液に溶解し、脂質(エタノール中)を加え、エタノール濃度を20v/v%まで下げて前記二本鎖核酸内包リポソームを調製し、サイジングろ過し、透析によって、過剰のエタノールを除去した後、試料をさらにpHを上げて透析してリポソーム表面に付着した二本鎖核酸を除去して製造する方法(特表2002-501511号公報およびバイオキミカ エト バイオフィジカ アクタ(Biochimica et Biophysica Acta),2001年, 第1510巻, p.152-166参照)等によって製造することができる。
本発明における脂質粒子のうち、複合体および該複合体を封入した脂質二重膜から構成されたリポソームは、例えば、国際公開第02/28367号および国際公開第2006/080118号等に記載の製造方法に従って製造することができる。
また、本発明は上記脂質粒子を含む、脂質粒子含有組成物も提供する。本発明の組成物のうち、例えば化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)と核酸との複合体、または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸との複合体ならびに該複合体を封入した脂質膜を含有する組成物、化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)以外のカチオン性脂質と核酸との複合体、または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)以外のカチオン性脂質に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸との複合体ならびに該複合体を封入する脂質膜を含有し、該脂質膜に化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)を含有する組成物等は、国際公開第02/28367号および国際公開第2006/080118号等に記載の製造方法に従って、それぞれの複合体を製造し、水または0〜40%エタノール水溶液中に、該複合体を溶解させずに分散させ(A液)、別途、それぞれの脂質膜成分を、例えばエタノール水溶液中に溶解させ(B液)、等量または体積比1:1〜7:3のA液とB液を混合し、さらに適宜に水を加えることで得ることができる。なお、A液およびB液中のカチオン性脂質としては、一種または複数種の化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)、または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)以外のカチオン性脂質を使用してよく、また化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)と、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)以外のカチオン性脂質を組み合わせて混合して使用してもよい。
なお、本発明において、化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)と核酸との複合体、または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸との複合体ならびに該複合体を封入した脂質膜を含有する組成物、化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)以外のカチオン性脂質と核酸との複合体、または化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)以外のカチオン性脂質に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸との複合体ならびに該複合体を封入する脂質膜を含有し、該脂質膜に化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)を含有する組成物等の製造中および製造後に、複合体中の核酸と脂質膜中のカチオン性脂質との静電相互作用や、複合体中のカチオン性脂質と脂質膜中のカチオン性脂質との融合によって、複合体および膜の構造が変位したものも、それぞれ化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)と核酸との複合体、または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸との複合体ならびに該複合体を封入した脂質膜を含有する組成物、または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)以外のカチオン性脂質と核酸との複合体、または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)以外のカチオン性脂質に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸との複合体ならびに該複合体を封入する脂質膜を含有し、該脂質膜に化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)を含有する組成物等に包含される。
国際公開第02/28367号および国際公開第2006/080118号等に記載の製造方法に従って、核酸(前記と同義)、好ましくは二本鎖核酸と化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)、および/または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)以外のカチオン性脂質を含有するリポソームとの複合体を製造し、水または0〜40%エタノール水溶液中に、該複合体を溶解させずに分散させ(A液)、別途、化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)および/または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)以外のカチオン性脂質を、エタノール水溶液中に溶解させ(B液)、等量または体積比1:1〜7:3のA液とB液を混合すること、または、さらに適宜に水を加えることでも、該核酸と該カチオン性脂質を含む脂質粒子含有組成物を得ることができる。該組成物は、好ましくはカチオン性脂質と核酸との複合体および該複合体を封入する脂質膜を含有する組成物であり、または該核酸と該カチオン性脂質を含有する脂質一重層からなる膜(逆ミセル)との複合体および該複合体を封入する脂質膜を含有する組成物であってもよい。これらの場合の脂質膜は、脂質一重膜(脂質1分子膜)でも脂質二重膜(脂質2分子膜)であってもよい。
また、本開示の該核酸と該リポソームとの複合体中のリポソームは、予め大きさを、平均粒子径10nm〜400nm、より好ましくは20nm〜110nm、さらに好ましくは30nm〜80nmに調節したリポソームが好ましい。また、該複合体および/または脂質膜に、中性脂質および/または高分子を含有していてもよい。また、A液は、化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)、および/または化合物(A)、化合物(B)もしくは化合物(C)以外のカチオン性脂質と、該核酸との複合体を形成させることができれば、エタノール濃度は、20〜70%であってもよい。
また、等量のA液とB液を混合する代わりに、A液とB液を混合後に複合体が溶解せず、かつB液中のカチオン性脂質が溶解しないエタノール濃度となる比率で混ぜてもよい。より好ましくは複合体が溶解せず、B液中のカチオン性脂質が溶解せず、かつエタノール濃度が30〜60%のエタノール水溶液になるような比でA液とB液を混合することに代えてもよく、あるいはA液とB液を混合後に複合体が溶解しないようなエタノール濃度になるような比でA液とB液を混合し、さらに水を加えることで、B液中のカチオン性脂質が溶解しなくなるエタノール濃度にすることにしてもよい。
本明細書に開示の該A液中での核酸とリポソームとの複合体は、A液とB液を混合し、さらに適宜に水を加えた後には、カチオン性脂質を含有する脂質一重層からなる膜(逆ミセル)と核酸との複合体に形態が変化している。本開示の製造方法で得られる該核酸と該カチオン性脂質を含有する組成物は、好ましくはカチオン性脂質と核酸との複合体および該複合体を封入する脂質膜を含有する組成物であり、または、カチオン性脂質を含有する脂質一重層からなる膜(逆ミセル)と核酸との複合体および該複合体を封入する脂質膜を含有し、該脂質膜にカチオン性脂質を含有する組成物であり、その製造性(収率および/または均一性)は優れている。
該複合体中の化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)の分子の総数は、該二本鎖核酸のリン原子の数に対して0.5〜8倍であるのが好ましく、1.5〜7倍であるのがより好ましく、2〜5.5倍であるのがさらに好ましい。また、該複合体中の化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)、および化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)以外のカチオン性脂質の分子の総数は、該二本鎖核酸のリン原子の数に対して0.5〜8倍であるのが好ましく、1.5〜7倍であるのがより好ましく、2〜5.5倍であるのがさらに好ましい。
本発明の脂質粒子において、複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成される場合には、該脂質粒子中の化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)の分子の総数は、該二本鎖核酸のリン原子の数に対して1〜15倍であるのが好ましく、2.5〜12倍であるのがより好ましく、3.5〜9倍であるのがさらに好ましい。また、該脂質粒子中の化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)、ならびに化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)以外のカチオン性脂質の分子の総数は、該二本鎖核酸のリン原子の数に対して1〜15倍であるのが好ましく、2.5〜12倍であるのがより好ましく、3.5〜9倍であるのがさらに好ましい。
中性脂質としては、単純脂質、複合脂質または誘導脂質のいかなるものであってもよく、例えばリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴイドまたはステロール等があげられるがこれらに限定されない。
本発明の脂質粒子において中性脂質を含有する場合には、中性脂質の分子の総数は、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)、ならびに化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)以外のカチオン性脂質の分子の総数に対して0.1〜2倍であるのが好ましく、0.2〜1.5倍であるのがより好ましく、0.3〜1.2倍であるのがさらに好ましい。本発明における脂質粒子は、中性脂質を、複合体に含有していてもよく、該複合体を封入する脂質膜に含有していてもよく、少なくとも該複合体を封入する脂質膜に含有していることがより好ましく、該複合体および該該複合体を封入する脂質膜のどちらにも含有していることがさらに好ましい。
中性脂質におけるリン脂質としては、例えばホスファチジルコリン(具体的には大豆ホスファチジルコリン、卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)等)、ホスファチジルエタノールアミン(具体的にはジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、16-0-モノメチルPE、16-0-ジメチルPE、18-1-トランスPE、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、1 -ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)等)、グリセロリン脂質(具体的にはホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、リゾホスファチジルコリン等)、スフィンゴリン脂質(具体的にはスフィンゴミエリン、セラミドホスホエタノールアミン、セラミドホスホグリセロール、セラミドホスホグリセロリン酸等)、グリセロホスホノ脂質、スフィンゴホスホノ脂質、天然レシチン(具体的には卵黄レシチン、大豆レシチン等)または水素添加リン脂質(具体的には水素添加大豆ホスファチジルコリン等)等の天然または合成のリン脂質があげられる。
中性脂質におけるグリセロ糖脂質としては、例えばスルホキシリボシルグリセリド、ジグリコシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリドまたはグリコシルジグリセリド等があげられる。
中性脂質におけるスフィンゴ糖脂質としては、例えばガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシドまたはガングリオシド等があげられる。
中性脂質におけるスフィンゴイドとしては、例えばスフィンガン、イコサスフィンガン、スフィンゴシンまたはそれらの誘導体等があげられる。誘導体としては、例えばスフィンガン、イコサスフィンガンまたはスフィンゴシン等の-NH2を-NHCO(CH2)xCH3(式中、xは0〜18の整数であり、中でも6、12または18が好ましい)に変換したもの等があげられる。
中性脂質におけるステロールとしては、例えばコレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、β-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴカステロール、フコステロールまたは3β-[N-(N',N'-ジメチルアミノエチル)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)等があげられる。
中性脂質として、好ましくはリン脂質、ステロール等があげられ、より好ましくは、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロールがあげられ、さらに好ましくは、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロールおよびそれらの組み合わせがあげられる。
高分子としては、例えばタンパク質、アルブミン、デキストラン、ポリフェクト(polyfect)、キトサン、デキストラン硫酸、例えばポリ-L-リジン、ポリエチレンイミン、ポリアスパラギン酸、スチレンマレイン酸共重合体、イソプロピルアクリルアミド-アクリルピロリドン共重合体、ポリエチレングリコール修飾デンドリマー、ポリ乳酸、ポリ乳酸ポリグリコール酸またはポリエチレングリコール化ポリ乳酸等の高分子またはそれらの塩の1以上があげられる。
ここで、高分子における塩は、例えば金属塩、アンモニウム塩、酸付加塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等を包含する。金属塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩または亜鉛塩等があげられる。アンモニウム塩としては、例えばアンモニウムまたはテトラメチルアンモニウム等の塩があげられる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩等の無機酸塩、および酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩またはクエン酸塩等の有機酸塩があげられる。有機アミン付加塩としては、例えばモルホリンまたはピペリジン等の付加塩があげられる。アミノ酸付加塩としては、例えばグリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリジン等の付加塩があげられる。
また、本発明における脂質粒子は、さらに水溶性高分子の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体を含有することが好ましい。該水溶性高分子の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体は、複合体に含有していてもよく、複合体を封入する脂質膜に含有していてもよく、複合体および該複合体を封入する脂質膜ともに含有していることがより好ましい。
本発明の脂質粒子において水溶性高分子の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体を含有する場合には、水溶性高分子の脂質誘導体および脂肪酸誘導体の分子の総数は、化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)、ならびに化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)以外のカチオン性脂質の分子の総数に対して0.01〜0.3倍であるのが好ましく、0.02〜0.25倍であるのがより好ましく、0.03〜0.15倍であるのがさらに好ましい。
水溶性高分子の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体は、分子の一部が脂質粒子の他の構成成分と例えば疎水性親和力、静電的相互作用等で結合する性質をもち、他の部分が脂質粒子の製造時の溶媒と例えば親水性親和力、静電的相互作用等で結合する性質をもつ、2面性をもつ物質であるのが好ましい。
水溶性高分子の脂質誘導体または脂肪酸誘導体としては、例えばポリエチレングリコール、ポリグリセリン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、オリゴ糖、デキストリン、水溶性セルロース、デキストラン、コンドロイチン硫酸、キトサン、ポリビニルピロリドン、ポリアスパラギン酸アミド、ポリ-L-リジン、マンナン、プルラン、オリゴグリセロール等またはそれらの誘導体と、前記脂質粒子の定義の中であげた中性脂質もしくは化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)、または例えばステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸またはラウリン酸等の脂肪酸とが結合してなるもの、それらの塩等があげられ、より好ましくは、ポリエチレングリコール誘導体、ポリグリセリン誘導体等の脂質誘導体または脂肪酸誘導体およびそれらの塩があげられ、さらに好ましくは、ポリエチレングリコール誘導体の脂質誘導体または脂肪酸誘導体およびそれらの塩があげられる。
ポリエチレングリコール誘導体の脂質誘導体または脂肪酸誘導体としては、例えばポリエチレングリコール化脂質(具体的にはポリエチレングリコール-ホスファチジルエタノールアミン(より具体的には1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG-DSPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG-DMPE)等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、クレモフォアイーエル(CREMOPHOR EL)等)、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル類(具体的にはモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)またはポリエチレングリコール脂肪酸エステル類等があげられ、より好ましくは、ポリエチレングリコール化脂質があげられ、さらに好ましくはPEG-DSPE、PEG-DMPEがあげられる。
ポリグリセリン誘導体の脂質誘導体または脂肪酸誘導体としては、例えばポリグリセリン化脂質(具体的にはポリグリセリン-ホスファチジルエタノールアミン等)またはポリグリセリン脂肪酸エステル類等があげられ、より好ましくは、ポリグリセリン化脂質があげられる。
また、本発明における脂質粒子には、例えば水溶性高分子、ポリオキシエチレン誘導体等による表面改質も任意に行うことができる[ラジック(D.D.Lasic)、マーティン(F.Martin)編,“ステルス リポソームズ(Stealth Liposomes)”(米国),シーアールシー プレス インク(CRC Press Inc), 1995年, p.93-102参照]。表面改質に使用し得る高分子としては、例えばデキストラン、プルラン、マンナン、アミロペクチンまたはヒドロキシエチルデンプン等があげられる。ポリオキシエチレン誘導体としては、例えばポリソルベート80、プルロニックF68、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンラウリルアルコールまたはPEG-DSPE等があげられる。該表面改質によって、脂質粒子中の複合体および脂質膜に水溶性高分子の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体を含有させることができる。
本発明における脂質粒子の平均粒子径は、所望により自由に選択できるが、下記する平均粒子径とするのが好ましい。平均粒子径を調節する方法としては、例えばエクストルージョン法、大きな多重膜リポソーム(MLV)等を機械的に粉砕(具体的にはマントンゴウリン、マイクロフルイダイザー等を使用)する方法[ミュラー(R.H.Muller)、ベニタ(S.Benita)、ボーム(B.Bohm)編著,“エマルジョン アンド ナノサスペンジョンズ フォー ザ フォーミュレーション オブ ポアリー ソラブル ドラッグズ(Emulsion and Nanosuspensions for the Formulation of Poorly Soluble Drugs)”,ドイツ,サイエンティフィック パブリッシャーズ スチュットガルト(Scientific Publishers Stuttgart), 1998年, p.267-294参照]等があげられる。
本発明における脂質粒子の大きさは、平均粒子径が約10nm〜1000nmであるのが好ましく、約30nm〜300nmであるのがより好ましく、約50nm〜200nmであるのがさらに好ましい。
本発明における脂質粒子の平均粒子径は、例えば動的光散乱法等で測定することができる。
本発明の脂質粒子含有組成物を、哺乳動物の細胞に投与することで、該組成物中の二本鎖核酸を細胞内に導入することができる。
インビボにおける本発明の脂質粒子含有組成物の哺乳動物の細胞への導入方法は、インビボにおいて行うことのできる公知のトランスフェクションの手順に従って行えばよい。本発明の脂質粒子含有組成物を、人を含む哺乳動物に静脈内投与することで、例えば血管、肝臓、肺、脾臓および/または腎臓へ送達され、送達臓器または部位の細胞内に本発明の組成物中の二本鎖核酸を導入することができる。
送達臓器または部位の細胞内に本発明の脂質粒子を含む組成物中の二本鎖核酸が導入されると、その細胞内のβ2GPI遺伝子の発現を低下させ、β2GPI関連疾患、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)、抗リン脂質抗体症候群、末期腎不全患者における血液透析合併症および動脈硬化を治療あるいは予防することができる。投与対象は、哺乳動物であり、人であることが好ましい。
本発明の脂質粒子含有組成物を、β2GPI関連疾患の治療剤または予防剤として使用する場合、投与経路としては、治療に際し最も効果的な投与経路を使用するのが望ましく、好ましくは静脈内投与、皮下投与または筋肉内投与をあげることができ、より好ましくは静脈内投与があげられる。
投与量は、投与対象の病状や年齢、投与経路等によって異なるが、例えば二本鎖核酸に換算した1日投与量が0.1μg〜1000 mgとなるように投与すればよく、1日投与量が1〜100 mgとなるように投与することがより好ましい
静脈内投与または筋肉内投与に適当な製剤としては、例えば注射剤があげられ、上述の方法により調製した脂質粒子の分散液をそのまま例えば注射剤等の形態として用いることも可能であるが、該分散液から例えば濾過、遠心分離等によって溶媒を除去して使用することも、該分散液を凍結乾燥して使用する、および/または例えばマンニトール、ラクトース、トレハロース、マルトースもしくはグリシン等の賦形剤を加えた分散液を凍結乾燥して使用することもできる。
注射剤の場合、前記の脂質粒子の分散液または前記の溶媒を除去または凍結乾燥した脂質粒子含有組成物に、例えば水、酸、アルカリ、種々の緩衝液、生理食塩水またはアミノ酸輸液等を混合して注射剤を調製することが好ましい。また、例えばクエン酸、アスコルビン酸、システインもしくはEDTA等の抗酸化剤、またはグリセリン、ブドウ糖もしくは塩化ナトリウム等の等張化剤等を添加して注射剤を調製することも可能である。また、例えばグリセリン等の凍結保存剤を加えて凍結保存することもできる。
次に、実施例、参考例および試験例により、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例および試験例に限定されるものではない。
なお、参考例に示されたプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H NMR)は、270MHz、300MHzまたは400MHzで測定されたものであり、化合物および測定条件によっては交換性プロトンが明瞭には観測されないことがある。なお、シグナルの多重度の表記としては通常用いられるものを用いているが、brとは見かけ上幅広いシグナルであることを表す。
参考例1
ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミン(化合物B-1)
アンモニア(東京化成工業社製、約2 mol/Lメタノール溶液、18.0 mL、36.0 mmol)に、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル メタンスルホナート(ニューチェック・プレップ・インク(Nu-Chek Prep,Inc)社製、1.55 g、4.50 mmol)を加え、マイクロ波反応装置を用いて130℃で3時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで5回抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮することで(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルアミンの粗生成物を得た。
得られた粗生成物に(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製、1.24 g、3.60 mmol)および50%水酸化ナトリウム水溶液(1.44 g、18.0 mmol)を加え、油浴上110℃で60分間攪拌した。室温まで冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水、ついで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0〜95/5)で精製することにより、化合物B-1(0.838 g、収率36.2%)を得た。
ESI-MS m/z: 515(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9Hz, 6H), 1.30(br s, 33H), 1.41-1.54(m, 4H), 2.01-2.09(m, 8H), 2.59(t, J= 7.2 Hz, 4H), 2.77(t, J= 5.6 Hz, 4H), 5.28-5.43(m, 8H).
参考例2
ジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)アミン(化合物B-2)
参考例1と同様の方法で、アンモニア(東京化成工業社製、約2 mol/Lメタノール溶液、12.0 mL、24.0 mmol)および(Z)-オクタデカ-9-エニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製、1.87 g、5.40 mmol)を用い、化合物B-2(0.562 g、収率36.2%)を得た。
ESI-MS m/z: 519(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 6.7 Hz, 6H), 1.29(br s, 45H), 1.41-1.52(m, 4H), 1.97-2.05(m, 8H), 2.58(t, J= 7.2 Hz, 4H), 5.28-5.40(m, 4H).
参考例3
ジ((Z)-ヘキサデカ-9-エニル)アミン(化合物B-3)
参考例1と同様の方法で、アンモニア(シグマ・アルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製、約7 mol/Lメタノール溶液、1.66 mL、11.6 mmol)および(Z)-ヘキサデカ-9-エニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製、0.488 g、1.46 mmol)を用い、化合物B-3(0.243 g、収率36.0%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.24-1.37(m, 37H), 1.43-1.52(m, 4H), 1.98-2.05(m, 8H), 2.58(t, J= 7.2 Hz, 4H), 5.31-5.38(m, 4H).
参考例4
ジ((11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル)アミン(化合物B-4)
参考例1と同様の方法で、アンモニア(SIGMA-ALDRICH社製、約7 mol/Lメタノール溶液、1.60 mL、11.2 mmol)および(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製、0.521 g、1.40 mmol)を用い、化合物B-4(0.292 g、収率36.6%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.8 Hz, 6H), 1.24-1.39(m, 41H), 1.43-1.51(m, 4H), 2.02-2.08(m, 8H), 2.58(t, J= 7.3 Hz, 4H), 2.77(t, J= 6.7 Hz, 4H), 5.30-5.41(m, 8H).
参考例5
3-(ジメチルアミノ)プロピル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-1)
参考例1で得られる化合物B-1(1.35 g、2.63 mmol)をクロロホルム(18 mL)に溶解させ、“ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)”,1981年,第103巻,p.4194-4199記載の方法に準じた方法で合成した3-(ジメチルアミノ)プロピル-4-ニトロフェニル-カルボナート塩酸塩(化合物VI-1)(1.20 g、3.94 mmol)およびトリエチルアミン(1.47 mL、10.5 mmol)を加え、マイクロ波反応装置を用いて110℃で60分間攪拌した。反応液に化合物VI-1(200 mg、0.658 mmol)を加え、マイクロ波反応装置を用いて110℃で20分間攪拌した。反応液に化合物VI-1(200 mg、0.658 mmol)を加え、マイクロ波反応装置を用いて110℃で20分間攪拌した。反応液に化合物VI-1(200 mg、0.658 mmol)を加え、マイクロ波反応装置を用いて110℃で20分間攪拌した。反応液をクロロホルムで希釈し、1 mol/L水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、ついで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣を少量のn-ヘキサン/酢酸エチル(1/4)に溶解してアミノ修飾シリカゲルのパッドに吸着させ、n-ヘキサン/酢酸エチル(1/4)で溶出し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0〜95/5)で精製することで化合物A-1(1.39 g、収率82.2%)を得た。
ESI-MS m/z: 644(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.7 Hz, 6H), 1.29(br s, 32H), 1.45-1.56(m, 4H), 1.74-1.85(m, 2H), 2.00-2.09(m, 8H), 2.23(s, 6H), 2.35(t, J=7.4 Hz, 2H), 2.77(t, J=5.8 Hz, 4H), 3.13-3.23(m, 4H), 4.10(t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.28-5.43(m, 8H).
参考例6
3-(ジメチルアミノ)プロピル ジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)カルバマート(化合物A-2)
参考例5と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例2で得られる化合物B-2(0.156 g、0.301 mmol)を用い、化合物A-2(0.267 g、収率88.7%)を得た。
ESI-MS m/z: 648(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 6.6 Hz, 6H), 1.28(br s, 44H), 1.45-1.55(m, 4H), 1.75-1.85(m, 2H), 1.97-2.04(m, 8H), 2.23(s, 6H), 2.34(t, J=7.6 Hz, 2H), 3.13-3.24(m, 4H), 4.10(t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.28-5.40(m, 4H).
参考例7
3-(ジメチルアミノ)プロピル ジ((Z)-ヘキサデカ-9-エニル)カルバマート(化合物A-3)
参考例5と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例3で得られる化合物B-3(0.164 g、0.355 mmol)を用い、化合物A-3(0.116 g、収率55.2%)を得た。
ESI-MS m/z: 592(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.21-1.38(m, 36H), 1.47-1.54(m, 4H), 1.75-1.83(m, 2H), 2.00-2.04(m, 8H), 2.22(s, 6H), 2.34(t, J=7.4 Hz, 2H), 3.11-3.24(m, 4H), 4.10(t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.30-5.38(m, 4H).
参考例8
3-(ジメチルアミノ)プロピル ジ((11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル)カルバマート(化合物A-4)
参考例5と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例4で得られる化合物B-4(0.288 g、0.505 mmol)を用い、化合物A-4(0.290 g、収率82.2%)を得た。
ESI-MS m/z: 700(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.8 Hz, 6H), 1.21-1.40(m, 40H), 1.46-1.54(m, 4H), 1.76-1.83(m, 2H), 2.02-2.08(m, 8H), 2.23(s, 6H), 2.35(t, J=7.6 Hz, 2H), 2.77(t, J= 6.7 Hz, 4H), 3.10-3.24(m, 4H), 4.10(t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.30-5.41(m, 8H).
参考例9
2-(ジメチルアミノ)エチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-5)
参考例5と同様の方法で、参考例1で得られる化合物B-1(0.215 g、0.418 mmol)および、化合物VI-1の代わりに“ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)”,1981年,第103巻,p.4194-4199記載の方法に準じた方法で合成した2-(ジメチルアミノ)エチル-4-ニトロフェニル-カルボナート塩酸塩(化合物VI-2)(0.162 g、0.557 mmol)を用いて、化合物A-5(0.184 g、収率70.0%)を得た。
ESI-MS m/z: 630(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.8 Hz, 6H), 1.12-1.39(m, 32H), 1.45-1.54(m, 4H), 2.00-2.07(m, 8H), 2.28(s, 6H), 2.57(t, J= 7.2 Hz, 2H), 2.77(t, J= 6.7 Hz, 4H), 3.11-3.24(m, 4H), 4.17(t, J= 6.7 Hz, 2H), 5.28-5.41(m, 8H).
参考例A-4 2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩(化合物VI-3)
クロロぎ酸4-ニトロフェニル(東京化成工業社製、1.761 g、8.56 mmol)のジエチルエーテル(20 mL)溶液に、2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エタノール(東京化成工業社製、1.0 mL、7.13 mmol)のジエチルエーテル(20 mL)溶液を加え、室温にて終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をエタノール/ジエチルエーテル(1/1)より結晶化させ、濾取することで化合物VI-3(1.27 g、収率54%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.59-1.77(m, 2H), 1.82-2.09(m, 3H), 2.15-2.26(m, 1H), 2.76(s, 3H), 2.93-3.05(m, 2H), 3.61-3.20(m, 3H), 4.80(br s, 1H), 6.95(d, J= 9.2 Hz, 2H), 8.11(d, J= 9.2 Hz, 2H)
参考例A-5 4-ニトロフェニル 3-(ピペリジン-1-イル)プロピル カルボナート塩酸塩(化合物VI-4)
クロロぎ酸4-ニトロフェニル(1.58 g、7.67 mmol)のジエチルエーテル(32 mL)溶液に、3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オール(SIGMA-ALDRICH社製、1.00 mL、6.39 mmol)を加え、室温にて終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をエタノールより結晶化させ、濾取することで化合物VI-4(1.86 g、収率84%)を得た。
ESI-MS m/z: 309(M + H)+; 1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.28-1.49(m, 1H), 1.62-1.89(m, 5H), 2.10-2.26(m, 2H), 2.76-2.96(m, 2H), 3.04-3.19(m, 2H), 3.36-3.49(m, 2H), 4.33(t, J= 6.1 Hz, 2H), 7.58(d, J= 9.2 Hz, 2H), 8.33(d, J= 9.2 Hz, 2H), 10.37(br s, 1H).
参考例A-6 4-ニトロフェニル 3-(ピロリジン-1-イル)プロピル カルボナート塩酸塩(化合物VI-5)
クロロぎ酸4-ニトロフェニル(596 mg、2.84 mmol)のジエチルエーテル(10 mL)溶液に、3-(ピロリジン-1-イル)プロパン-1-オール(ABCR社製、386 mg、2.84 mmol)ジエチルエーテル(10 mL)溶液を加え、室温にて2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をエタノールより結晶化させ、濾取することで化合物VI-5(498 mg、収率53%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.76-1.84(m, 2H), 1.85-2.00(m, 4H), 3.11-3.16(m, 2H), 3.30-3.44(m, 4H), 3.47(t, J= 6.0 Hz, 2H), 4,77(br s, 1H), 6.95(d, J= 9.2 Hz, 2H), 8.11(d, J= 9.2 Hz, 2H)
参考例10
2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-6)
参考例1で得られる化合物B-1(0.161 g、0.314 mmol)をアセトニトリル(3.0 mL)に溶解させ、参考例A-4で得られる化合物VI-3(0.156 g、0.470 mmol)およびトリエチルアミン(0.219 mL、1.57 mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル = 80/20)で精製することにより、化合物A-6(0.172 g、収率82%)を得た。
ESI-MS m/z: 670(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.20-1.40(m, 32H), 1.45-1.57(m, 6H), 1.62-1.83(m, 2H), 1.94-2.18(m, 12H), 2.31(s, 3H), 2.77(t, J= 6.7 Hz, 4H), 3.03-3.26(m, 5H), 4.06-4.17(m, 2H), 5.29-5.42(m, 8H).
参考例11
3-(ピペリジン-1-イル)プロピル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-7)
参考例5と同様の方法で、化合物VI-1の代わりに参考例A-5で得られる化合物VI-4を用いて、化合物A-7(0.387 g、収率81%)を得た。
ESI-MS m/z: 684(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.21-1.62(m, 42H), 1.79-1.86(m, 2H), 2.02-2.08(m, 8H), 2.32-2.42(m, 6H), 2.77(t, J= 6.7 Hz, 4H), 3.10-3.43(m, 4H), 4.09(t, J=6.4 Hz, 2H), 5.29-5.42(m, 8H).
参考例12
3-(ピロリジン-1-イル)プロピル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-8)
参考例10と同様の方法で、化合物VI-3の代わりに参考例A-6で得られる化合物VI-5(0.168 g、0.508 mmol)を用い、化合物A-8(0.225 g、収率99%)を得た。
ESI-MS m/z: 670(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.21-1.40(m, 32H), 1.46-1.55(m, 4H), 1.76-1.80(m, 4H), 1.82-1.89(m, 2H), 2.01-2.08(m, 8H), 2.47-2.55(m, 6H), 2.77(t, J= 6.7 Hz, 4H), 3.11-3.24(m, 4H), 4.11(t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.29-5.42(m, 8H).
参考例A-7 2-ニトロ-N-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)ベンゼンスルホンアミド(化合物IVf-1)
(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製、2.85 g、8.27 mmol)のアセトニトリル(30 ml)溶液に、炭酸セシウム(6.74 g、20.67 mmol)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(東京化成工業社製、3.05 g、8.27 mmol)およびN-(tert-ブトキシカルボニル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド(東京化成工業社製、2.50 g、8.27 mmol)を加え、3時間加熱還流下反応させた。反応液を室温まで冷却し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル = 91/9〜70/30)で精製することにより、tert-ブチル(2-ニトロフェニル)スルホニル((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)カルバマート(3.21 g、収率70.5%)を得た。
tert-ブチル(2-ニトロフェニル)スルホニル((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)カルバマート(3.21 g、5.83 mmol)のジクロロメタン(22.5 ml)溶液にトリフルオロ酢酸(9.63 ml、126 mmol)を加え、室温で0.5時間攪拌した。反応液にジクロロメタンおよび水酸化ナトリウム水溶液(1 mol/L、100 mL)を加え、さらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて水層のpHを8以上に調整した。得られた混合物をジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/クロロホルム = 50/50〜0/100)で精製し、化合物IVf-1(2.48 g、収率94%)を得た。
ESI-MS m/z: 451(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 7.0 Hz, 3H), 1.22-1.39(m, 16H), 1.52(m, 2H), 2.01-2.05(m, 4H), 2.77(t, J= 6.6 Hz, 2H), 3.09(q, J= 6.7 Hz, 2H), 5.23(m, 1H), 5.31-5.42(m, 4H), 7.71-7.76(m, 2H), 7.78-7.87(1H), 8.13-8.15(m, 1H).
参考例13
ドデシル((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)アミン(化合物B-5)
参考例A-7で得られる化合物IVf-1(0.714 g、1.584 mmol)と1-ブロモドデカン(東京化成工業製、0.474 g、1.90 mmol)のアセトニトリル(6 ml)溶液にヨウ化テトラブチルアンモニウム(東京化成工業社製、0.585 g、1.58 mmol)および炭酸セシウム(1.03 g、3.17 mmol)を加え、60℃で1時間攪拌した。反応液に水を加え、n-ヘキサンで3回抽出した。抽出液をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル = 94/6〜84/16)で精製してN-ドデシル-2-ニトロ-N-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)ベンゼンスルホンアミド(0.750 g、収率76%)を得た。
N-ドデシル-2-ニトロ-N-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)ベンゼンスルホンアミド(0.748 g、1.21 mmol)のアセトニトリル(7 ml)溶液に1-ドデカンチオール(東京化成工業社製、0.611 g、3.02 mmol)および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(ナカライテスク社製、0.460 g、3.02 mmol)を加え、60℃で1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=80:20、ついでクロロホルム/メタノール = 100/0〜88/12)で精製することで化合物B-5(0.534 g、定量的収率)を得た。
ESI-MS m/z: 434(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 6.9 Hz, 3H), 0.89(t, J= 6.9 Hz, 3H), 1.24-1.38(m, 35H), 1.49-1.54(m, 4H), 2.05(q, J= 7.0 Hz, 4H), 2.62(t, J= 7.4 Hz, 4H), 2.77(t, J= 6.8 Hz, 2H), 5.30-5.41(m, 4H).
参考例14
デシル((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)アミン(化合物B-6)
参考例13と同様の方法で、参考例A-7で得られる化合物IVf-1(0.619 g、1.37 mmol)および、1-ブロモドデカンの代わりに1-ブロモデカン(東京化成工業社製、0.365 g、1.65 mmol)を用い、化合物B-6(0.423 g、収率76%)を得た。
ESI-MS m/z: 406(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 7.1 Hz, 3H), 0.89(t, J= 6.9 Hz, 3H), 1.25-1.38(m, 31H), 1.46-1.50(m, 4H), 2.05(q, J= 7.0 Hz, 4H), 2.59(t, J= 7.2 Hz, 4H), 2.77(t, J= 6.9 Hz, 2H), 5.31-5.40(m, 4H).
参考例15
((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)(オクチル)アミン(化合物B-7)
参考例13と同様の方法で、参考例A-7で得られる化合物IVf-1(0.714 g、1.58 mmol)および、1-ブロモドデカンの代わりに1-ブロモオクタン(東京化成工業社製、0.367 g、1.90 mmol)を用い、化合物B-7(0.519 g、収率87%)を得た。
ESI-MS m/z: 378(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 7.1 Hz, 3H), 0.89(t, J= 6.9 Hz, 3H), 1.24-1.39(m, 27H), 1.48-1.54(m, 4H), 2.05(q, J=7.0 Hz, 4H), 2.62(t, J=7.4 Hz, 4H), 2.77(t, J=6.6 Hz, 2H), 5.30-5.41(m, 4H).
参考例16
3-(ジメチルアミノ)プロピル ドデシル((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-9)
参考例5と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例13で得られる化合物B-5(0.260 g、0.600 mmol)を用い、化合物A-9(0.309 g、収率91%)を得た。
ESI-MS m/z: 563(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 6.9 Hz, 3H), 0.89(t, J= 6.9 Hz, 3H), 1.23-1.38(m, 34H), 1.48-1.53(m, 4H), 1.77-1.82(m, 2H), 2.05(q, J= 7.1 Hz, 4H), 2.23(s, 6H), 2.34(t, J= 7.6 Hz, 2H), 2.77(t, J= 6.6 Hz, 2H), 3.13-3.22(m, 4H), 4.10(t, J= 6.5 Hz, 2H), 5.30-5.41(m, 4H).
参考例17
3-(ジメチルアミノ)プロピル デシル((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-10)
参考例5と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例14で得られる化合物B-6(0.185 g、0.456 mmol)を用い、化合物A-10(0.228 g、収率93%)を得た。
ESI-MS m/z: 535(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 6.8 Hz, 3H), 0.89(t, J= 6.7 Hz, 3H), 1.24-1.38(m, 30H), 1.48-1.53(m, 4H), 1.77-1.82(m, 2H), 2.05(q, J= 7.0 Hz, 4H), 2.22(s, 6H), 2.34(t, J= 7.5 Hz, 2H), 2.77(t, J= 6.8 Hz, 2H), 3.14-3.22(m, 4H), 4.10(t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.31-5.40(m, 4H).
参考例18
3-(ジメチルアミノ)プロピル ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)(オクチル)カルバマート(化合物A-11)
参考例5と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例15で得られる化合物B-7(0.227 g、0.600 mmol)を用い、化合物A-11(0.275 g、収率90%)を得た。
ESI-MS m/z: 507(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 6.9 Hz, 3H), 0.89(t, J= 6.9 Hz, 3H), 1.22-1.39(m, 26H), 1.47-1.54(m, 4H), 1.76-1.82(m, 2H), 2.05(q, J= 6.0 Hz, 4H), 2.23(s, 6H), 2.34(t, J= 7.6 Hz, 2H), 2.77(t, J= 6.6 Hz, 2H), 3.12-3.22(m, 4H), 4.10(t, J= 6.5 Hz, 2H), 5.30-5.41(m, 4H).
参考例A-8 2-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ)エチル メタンスルホナート(化合物IIIc-1)
(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル メタンスルホナート(983 mg、2.85 mmol)にエチレングリコール(3.16 ml、57.1 mmol)および1,4-ジオキサン(5 ml)を加え、1日間加熱還流下攪拌した。反応液を室温まで冷却後、水酸化ナトリウム水溶液(0.5 mol/L)を加えてn-ヘキサンで2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム100%)で精製することで2-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ)エタノール(668 mg、収率75%)を得た。
2-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ)エタノール(660 mg、2.13 mmol)とトリエチルアミン(0.444 mL、3.19 mmol)のジクロロメタン(9 ml)溶液に、0℃で無水メシル酸(SIGMA-ALDRICH社製、0.247 ml、3.19 mmol)を加え、室温で40分間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を、塩酸(1 mol/L)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮して化合物IIIc-1を得た。
参考例19
(9Z,12Z)-N-(2-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ)エチル)オクタデカ-9,12-ジエン-1-アミン(化合物B-8)
参考例13と同様の方法で、参考例A-7で得られる化合物IVf-1(0.798 g、1.77 mmol)および、1-ブロモドデカンの代わりに参考例A-8で得られる化合物IIIc-1(0.826 g、2.13 mmol)を用い、化合物B-8(0.676 g、収率68%)を得た。
ESI-MS m/z: 558(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.27-1.38(m, 32H), 1.46-1.52(m, 2H), 1.54-1.60(m, 3H), 2.05(q, J=7.0 Hz, 8H), 2.61(t, J=7.3 Hz, 2H), 2.77(t, J=5.5 Hz, 6H), 3.42(t, J=6.8 Hz, 2H), 3.52(t, J=5.4 Hz, 2H), 5.30-5.41(m, 8H).
参考例20
3-(ジメチルアミノ)プロピル ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)(2-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ)エチル)カルバマート(化合物A-12)
参考例5と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例19で得られる化合物B-8(0.184 g、0.330 mmol)を用い、化合物A-12(0.208 g、収率92%)を得た。
ESI-MS m/z: 687(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.25-1.38(m, 32H), 1.50-1.57(m, 4H), 1.77-1.83(m, 2H), 2.05(q, J= 7.0 Hz, 8H), 2.22(s, 6H), 2.34(t, J= 7.4 Hz, 2H), 2.77(t, J= 6.6 Hz, 4H), 3.23-3.54(m, 8H), 4.11(t, J= 6.5 Hz, 2H), 5.30-5.41(m, 8H).
参考例A-11 3-(ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミノ)プロピオン酸エチル(化合物IVj-1)
実施例1で得られる化合物B-1(0.788 g、1.53 mmol)をエタノール(8 mL)に溶解させ、アクリル酸エチル(東京化成工業社製、1.67 mL、15.3 mmol)およびナトリウムエトキシド(和光純薬工業社製、0.0520 g、0.767 mmol)を加え、加熱還流下、3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル = 85/15)で精製することにより、化合物IVj-1(0.699 g、収率74%)を得た。
ESI-MS m/z: 615(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.21-1.45(m, 39H), 2.02-2.08(m, 8H), 2.35-2.44(m, 6H), 2.75-2.80(m, 6H), 4.12(q, J= 7.0 Hz, 2H), 5.30-5.42(m, 8H).
参考例21
3-(ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミノ)プロパン-1-オール(化合物C-1)
参考例A-11で得られる化合物IVj-1(0.199 g、0.324 mmol)をテトラヒドロフラン(2 mL)に溶解させ、氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(純正化学社製、0.012 g、0.324 mmol)を加え、3時間攪拌した。反応液に水(0.0600 mL、3.33 mmol)およびフッ化ナトリウム(ナカライテスク社製、0.408 g、9.72 mmol)を加え、室温にて0.5時間攪拌した。不溶物をセライト濾過により除去した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール = 98/2)で精製することにより、化合物C-1(0.181 g、収率98%)を得た。
ESI-MS m/z: 573(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.21-1.40(m, 32H), 1.42-1.51(m, 4H), 1.64-1.71(m, 2H), 2.02-2.08(m, 8H), 2.40(t, J= 7.3 Hz, 4H), 2.64(t, J= 5.3 Hz, 2H), 2.77(t, J= 6.7 Hz, 4H), 3.79(t, J= 5.3 Hz, 2H), 5.30-5.42(m, 8H).
参考例22
4-(ジメチルアミノ)ブチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート (化合物A-13)
工程1
クロロぎ酸4-ニトロフェニル (0.867 g、4.21 mmol) のジクロロメタン (20 mL) 溶液に、4-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ-1-ブタノール (SIGMA-ALDRICH社製、1.0 mL、4.21 mmol) とトリエチルアミン (0.881 mL, 6.32 mmol) を加え、室温にて1時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで2回抽出した。有機層を、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン/酢酸エチル = 90/10) で精製することにより、4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ブチル 4-ニトロフェニル カルボナート (1. 44 g、収率92%) を得た。
工程2
参考例10と同様の方法で、化合物VI-3の代わりに工程1で得られる4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ブチル 4-ニトロフェニル カルボナート (0.640 g、1.733 mmol) を用いて、4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ブチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマートの粗精製物を得た。得られた 4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ブチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマートの粗精製物をテトラヒドロフラン (10 mL) に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム(東京化成工業社製、約 1 mol/L テトラヒドロフラン溶液、2.14 mL、2.14 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応液にフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(約 1 mol/L テトラヒドロフラン溶液、2.14 mL、2.14 mmol) を加え、室温で2時間攪拌後、50℃で1時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで2回抽出した。有機層を、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム/メタノール = 95/5) で精製することにより、4-ヒドロキシブチル-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート (0.652 g、収率73%) を得た。
工程3
工程2で得られた 4-ヒドロキシブチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート (0.193 g、0.306 mmol) のジクロロメタン (2 mL) 溶液に、氷冷下、メシル酸クロリド (純正化学社製、0.0360 mL、0.460 mmol) とトリエチルアミン (0.0930 mL、0.919 mmol) を加え、0℃にて30分間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで2回抽出した。有機層を、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をテトラヒドロフラン (1 mL) に溶解し、ジメチルアミン (アルドリッチ社製、約 2 mol/L テトラヒドロフラン溶液、1.53 mL、3.06 mmol) を加え、マイクロ波反応装置を用いて100℃で1時間攪拌後、マイクロ波反応装置を用いて130℃で1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン/酢酸エチル = 80/20) で精製することにより、化合物A-13 (0.159 g、収率79%) を得た。
ESI-MS m/z: 658 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3)δ: 0.90 (q, J= 6.5 Hz, 6H), 1.20-1.38 (m, 32H), 1.45-1.56 (m, 6H), 1.61-1.69 (m, 2H), 2.01-2.08 (m, 8H), 2.21 (s, 6H), 2.28 (t, J= 7.6 Hz, 2H), 2.77 (t, J= 6.6 Hz, 4H), 3.12-3.23 (m, 4H), 4.07 (t, J= 6.6 Hz, 2H), 5.29-5.42 (m, 8H).
参考例A-14 (1-メチルピペリジン-4-イル)メチル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩 (化合物VI-6)
クロロぎ酸4-ニトロフェニル (1.50 g、7.28 mmol) のテトラヒドロフラン (32 mL) 溶液に、1-メチル-4-ピペリジンメタノール (東京化成工業社製、1.0 mL、7.28 mmol) を加え、室温にて2時間攪拌した。析出した結晶を濾取することで化合物VI-6 (1.55 g、収率64%) を得た。
ESI-MS m/z: 295 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3)δ: 1.93-2.19 (m, 4H), 2.68-2.82 (m, 3H), 3.51-3.62 (m, 5H), 4.21 (d, J= 6.0 Hz, 2H), 7.38 (d, J= 9.1 Hz, 2H), 8.27 (d, J= 9.1 Hz, 2H), 12.44 (br s, 1H).
参考例A-15 (1-メチルピペリジン-3-イル)メチル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩 (化合物VI-7)
参考例A-14と同様の方法で、1-メチル-4-ピペリジンメタノールの代わりに 1-メチル-3-ピペリジンメタノール (東京化成工業社製、1.0 mL、7.21 mmol) を用い、化合物VI-7 (2.32 g、収率97%) を得た。
ESI-MS m/z: 295 (M + H)+.
参考例A-16 (1-メチルピペリジン-2-イル)メチル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩 (化合物VI-8)
参考例A-14と同様の方法で、1-メチル-4-ピペリジンメタノールの代わりに 1-メチル-2-ピペリジンメタノール (東京化成工業社製、1.0 mL、7.43 mmol) を用い、化合物VI-8 (2.37 g、収率96%) を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.51-1.63 (m, 1H), 1.81-2.38 (m, 5H), 2.85-2.99 (m, 4H), 3.21-3.30 (m, 1H), 3.49-3.60 (m, 1H), 4.66 (dd, J= 13.1, 2.4 Hz, 1H), 4.78-4.86 (m, 1H), 7.47 (d, J= 9.1 Hz, 2H), 8.28 (d, J= 9.1 Hz, 2H), 12.40 (br s, 1H).
参考例A-17 3-(アゼパン-1-イル)プロピル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩(化合物VI-9)
参考例A-14と同様の方法で、1-メチル-4-ピペリジンメタノールの代わりに3-(アゼパン-1-イル)プロパノール (ケンブリッジ(CHEMBRIDGE)社製, 0.700 g, 4.45 mmol)を用いて、化合物VI-9 (1.47 g、収率92%)を得た。
ESI-MS m/z: 323 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 1.60-1.75 (m, 2H), 1.79-1.94 (m, 5H), 2.15-2.27 (m, 2H), 2.44-2.53 (m, 2H), 2.90-3.02 (m, 2H), 3.14-3.24 (m, 2H), 3.55-3.65 (m, 2H), 4.41 (t, J= 5.9 Hz, 2H), 7.37-7.43 (m, 2H), 8.25-8.32 (m, 2H), 12.48 (br s, 1H).
参考例A-18 1-メチルピペリジン-4-イル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩
(化合物VI-10)
参考例A-14と同様の方法で、1-メチル-4-ピペリジンメタノールの代わりに1-メチルピペリジン-4-オール (シグマ・アルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製, 0.300 g, 2.60 mmol)を用いて、化合物VI-10 (0.740 g、収率90%)を得た。
ESI-MS m/z: 281 (M + H)+ .
参考例A-19 1-メチルピペリジン-3-イル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩(化合物VI-11)
参考例A-14と同様の方法で、1-メチル-4-ピペリジンメタノールの代わりに1-メチルピペリジン-3-オール (シグマ・アルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製, 0.305 g, 2.65 mmol)を用いて、化合物VI-11 (0.410 g、収率49%)を得た。
ESI-MS m/z: 281 (M + H)+ .
参考例A-20 、(1-メチルピロリジン-3-イル)メチル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩(化合物VI-12)
参考例A-14と同様の方法で、1-メチル-4-ピペリジンメタノールの代わりに (1-メチル-3-ピロリジニル)メタノール (マトリックス サイエンティフィック (Matrix Scientific) 社製、0.500 g、7.43 mmol) を用い、化合物VI-12 (0.943 g、収率69%) を得た。
ESI-MS m/z: 281 (M + H)+ .
参考例23
(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)カルバマート (化合物A-14)
参考例10と同様の方法で、化合物VI-3の代わりに参考例A-14で得られた化合物VI-6 (0.228 g、0.689 mmol) を用い、化合物A-14 (0.258 g、収率84%) を得た。
ESI-MS m/z: 670 (M + H)+; 1H-NMR (CDCl3) δ: 0.89 (t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.22-1.39 (m, 32H), 1.46-1.54 (m, 4H), 1.56-1.66 (m, 3H), 1.67-1.74 (m, 2H), 1.88-1.95 (m, 2H), 2.05 (q, J= 6.9 Hz, 8H), 2.26 (s, 3H), 2.77 (t, J= 6.8 Hz, 4H), 2.85 (d, J= 11.7 Hz, 2H), 3.13-3.23 (m, 4H), 3.92 (d, J= 6.3 Hz, 2H), 5.30-5.42 (m, 8H).
参考例24
(1-メチルピペリジン-3-イル)メチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)カルバマート (化合物A-15)
参考例10と同様の方法で、化合物VI-3の代わりに参考例A-15で得られた化合物VI-7 (0.238 g、0.719 mmol) を用い、化合物A-15 (0.239 g、収率74%) を得た。
ESI-MS m/z: 670 (M + H)+; 1H-NMR (CDCl3) δ: 0.89 (t, J= 6.9 Hz, 6H), 0.92-1.02 (m, 1H), 1.22-1.39 (m, 32H), 1.46-1.54 (m, 4H), 1.55-1.65 (m, 1H), 1.66-1.74 (m, 3H), 1.82-1.89 (m, 1H), 1.91-2.00 (m, 1H), 2.05 (q, J= 7.0 Hz, 8H), 2.26 (s, 3H), 2.74-2.80 (m, 5H), 2.84-2.89 (m, 1H), 3.12-3.23 (m, 4H), 3.87 (dd, J= 10.7, 7.6 Hz, 1H), 3.97 (dd, J= 10.7, 5.4 Hz, 1H), 5.30-5.41 (m, 8H).
参考例25
(1-メチルピペリジン-2-イル)メチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)カルバマート (化合物A-16)
参考例10と同様の方法で、化合物VI-3の代わりに参考例A-16で得られた化合物VI-8 (0.256 g、0.774 mmol) を用い、化合物A-16 (0.313 g、収率91%) を得た。
ESI-MS m/z: 670 (M + H)+; 1H-NMR (CDCl3) δ: 0.89 (t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.22-1.39 (m, 32H), 1.46-1.64 (m, 8H), 1.71-1.76 (m, 2H), 2.02-2.12 (m, 10H), 2.32 (s, 3H), 2.77 (t, J= 6.8 Hz, 4H), 2.79-2.84 (m, 1H), 3.11-3.24 (m, 4H), 4.05 (dd, J= 11.1, 4.9 Hz, 1H), 4.17 (dd, J= 11.1, 4.9 Hz, 1H), 5.30-5.42 (m, 8H).
参考例26
2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル ジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)カルバマート (化合物A-17)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例2で得られる化合物B-2(0.300 g、0.579 mmol)を用い、化合物A-17 (0.360 g、収率92%) を得た。
ESI-MS m/z: 674 (M + H)+; 1H-NMR (CDCl3) δ: 0.88 (t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.21-1.38 (m, 44H), 1.45-1.85 (m, 8H), 1.93-2.18 (m, 12H), 2.32 (s, 3H), 3.03-3.26 (m, 5H), 4.05-4.18 (m, 2H), 5.30-5.39 (m, 4H).
参考例27
(1-メチルピぺリジン-3-イル)メチル ジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)カルバマート (化合物A-18)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例2で得られる化合物B-2(0.300 g、0.579 mmol) および、化合物VI-3の代わりに参考例A-15で得られた化合物VI-7(0.287 g、0.896 mmol) を用い、化合物A-18 (0.390 g、収率100%) を得た。
ESI-MS m/z: 674 (M + H)+; 1H-NMR (CDCl3) δ: 0.85-1.04 (m, 7H), 1.20-1.38 (m, 44H), 1.46-1.74 (m, 8H), 1.82-2.06 (m, 10H), 2.26 (s, 3H), 2.74-2.82 (m, 1H), 2.83-2.89 (m, 1H), 3.10-3.25 (m, 4H), 3.87 (dd, J= 10.5, 7.3 Hz, 1H), 3.98 (dd, J= 10.5, 5.3 Hz, 1H), 5.30-5.39 (m, 4H).
参考例28
2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル ジ((11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル)カルバマート (化合物A-19)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例4で得られる化合物B-4(0.300 g、0.526 mmol)を用い、化合物A-19 (0.369 g、収率97%) を得た。
ESI-MS m/z: 726 (M + H)+; 1H-NMR (CDCl3) δ: 0.89 (t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.21-1.40 (m, 40H), 1.44-1.85 (m, 8H), 1.93-2.18 (m, 12H), 2.32 (s, 3H), 2.77 (t, J= 6.4 Hz, 4H), 3.04-3.27 (m, 5H), 4.05-4.18 (m, 2H), 5.29-5.42 (m, 8H).
参考例29
(1-メチルピぺリジン-3-イル)メチル ジ((11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル)カルバマート (化合物A-20)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例4で得られる化合物B-4(0.300 g、0.526 mmol) および、化合物VI-3の代わりに参考例A-15で得られた化合物VI-7 (0.261 g、0.789 mmol) を用い、化合物A-20 (0.374 g、収率98%) を得た。
ESI-MS m/z: 726 (M + H)+; 1H-NMR (CDCl3) δ: 0.85-1.04 (m, 7H), 1.21-1.40 (m, 40H), 1.45-1.75 (m, 8H), 1.82-2.09 (m, 10H), 2.26 (s, 3H), 2.74-2.90 (m, 6H), 3.11-3.24 (m, 4H), 3.87 (dd, J= 10.5, 7.5 Hz, 1H), 3.98 (dd, J= 10.5, 5.5 Hz, 1H), 5.29-5.43 (m, 8H).
参考例30
(1-メチルピロリジン-2-イル)メチル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)カルバマート (化合物A-21)
参考例1で得られる化合物B-1 (0.0831 g、0.162 mmol) をジクロロエタン (1 mL) に溶解させ、1,1'-カルボニルジイミダゾール (ナカライテスク社製、0.0394g、0.243 mmol) を加え、室温で終夜攪拌した。反応液にヨードメタン (東京化成工業社製、0.101 mL、1.62 mmol) を加え、60℃で終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮した。得られた残渣をテトラヒドロフラン (1 mL) に溶解し、1-メチルピロリジン-2-メタノール (和光純薬工業社製、0.0372 g、0.323 mmol) とトリエチルアミン (0.0563 mL、0.404 mmol) を加え、室温で終夜攪拌した後、反応液を60℃で3時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてn-ヘキサンで2回抽出した。有機層を、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-ヘキサン/酢酸エチル = 90/10) で精製することにより、化合物A-21 (0.0318 g、収率30%) を得た。
ESI-MS m/z: 656 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3)δ: 0.89 (t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.24-1.39 (m, 32H), 1.46-1.67 (m, 5H), 1.67-1.85 (m, 2H), 1.89-2.00 (m, 1H), 2.05 (q, J= 7.0 Hz, 8H), 2.21-2.30 (m, 1H), 2.42 (s, 3H), 2.43-2.51 (m, 1H), 2.77 (t, J= 6.6 Hz, 4H), 3.03-3.08 (m, 1H), 3.11-3.25 (m, 4H), 4.00 (dd, J= 10.5, 6.0 Hz, 1H), 4.08 (dd, J= 10.5, 5.5 Hz, 1H), 5.29-5.42 (m, 8H).
参考例31
(1-メチルピロリジン-3-イル)メチル ジ(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルカルバマート (化合物A-22)
参考例10と同様の方法で、化合物VI-3の代わりに参考例A-20で得られる化合物VI-12 (0.277 g、0.876 mmol) を用い、化合物A-22 (0.263 g、収率66%) を得た。
ESI-MS m/z: 656 (M + H)+; 1H-NMR (CDCl3) δ: 0.89 (t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.20-1.40 (m, 32H), 1.44-1.78 (m, 5H), 1.92-2.09 (m, 9H), 2.24 (dd, J= 9.4, 6.2 Hz, 1H), 2.34 (s, 3H), 2.39-2.63 (m, 3H), 2.68-2.80 (m, 5H), 3.10-3.25 (m, 4H), 3.95 (dd, J= 10.5, 7.8 Hz, 1H), 4.03 (dd, J= 10.5, 6.4 Hz, 1H), 5.28-5.42 (m, 8H).
参考例32
2-(1-メチルピペリジン-2-イル)エチル ジ(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルカルバマート (化合物A-23)
工程1
クロロぎ酸4-ニトロフェニル (0.844 g、7.19 mmol) のテトラヒドロフラン (12 mL) 溶液に、2-(1-メチルピペリジン-2-イル)エタノール(Matrix Scientific社製、0.500 g、3.49 mmol) を加え、室温にて終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮し、2-(1-メチルピペリジン-2-イル)エチル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩の粗精製物を得た。
工程2
参考例10と同様の方法で、化合物VI-3の代わりに工程1で得られた 2-(1-メチルピペリジン-2-イル)エチル 4-ニトロフェニル カルボナート塩酸塩の粗精製物 (0.302 g、0.876 mmol) を用い、化合物A-23 (0.299 g、収率75%) を得た。
ESI-MS m/z: 684 (M + H)+; 1H-NMR (CDCl3) δ: 0.89 (t, J=6.9 Hz, 6H), 1.19-1.40 (m, 32H), 1.45-1.75 (m, 11H), 1.93-2.11 (m, 11H), 2.27 (s, 3H), 2.74-2.86 (m, 5H), 3.10-3.24 (m, 4H), 4.06-4.19 (m, 2H), 5.29-5.42 (m, 8H).
参考例33
3-(アゼパン-1-イル)プロピル ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)カルバマート(化合物A-24)
参考例10と同様の方法で、化合物VI-3の代わりに参考例A-17で得られる化合物VI-9を用いて、化合物A-24 (0.136 g、収率67%)を得た。
ESI-MS m/z: 698(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.86-0.94 (m, 6H), 1.22-1.41 (m, 36H), 1.45-1.67 (m, 8H), 1.75-1.85 (m, 2H), 2.00-2.11 (m, 8H), 2.55 (t, J= 7.5 Hz, 2H), 2.62 (t, J= 5.1 Hz, 4H), 2.77 (t, J= 5.9 Hz, 4H), 3.13-3.23 (m, 4H), 4.10 (t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.28-5.45 (m, 8H).
参考例34
3-(ピペリジン-1-イル)プロピル ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)(2-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ)エチル)カルバマート(化合物A-29)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例19で得られる化合物B-8(0.150 g、0.269 mmol) および、化合物VI-3の代わりに参考例A-5で得られる化合物VI-4(0.201 g、0.672 mmol)を用いて、化合物A-29(0.170 g、収率87%)を得た。
ESI-MS m/z: 728(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89 (t, J= 6.8 Hz, 6H), 1.22-1.40 (m, 32H), 1.40-1.63 (m, 14H), 1.78-1.87 (m, 2H), 2.05 (q, J= 6.6 Hz, 8H), 2.33-2.41 (m, 6H), 2.77 (t, J= 6.0 Hz, 4H), 3.20-3.31 (m, 2H), 3.40 (t, J= 6.6 Hz, 4H), 3.46-3.57 (m, 2H), 4.10 (t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.27-5.45 (m, 8H).
参考例35
2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)(2-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ)エチル)カルバマート(化合物A-30)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例19で得られる化合物B-8(0.120 g、0.215 mmol)を用いて、化合物A-30(0.140 g、収率91%)を得た。
ESI-MS m/z: 714(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89 (t, J= 6.8 Hz, 6H), 1.21-1.40 (m, 32H), 1.45-1.59 (m, 6H), 1.64-1.82 (m, 2H), 1.93-2.17 (m, 12H), 2.31 (s, 3H), 2.70-2.81 (m, 4H), 3.06 (t, J= 7.8 Hz, 1H), 3.20-3.31 (m, 2H), 3.40 (t, J= 5.9 Hz, 4H), 3.46-3.58 (m, 2H), 4.06-4.17 (m, 2H), 5.28-5.44 (m, 8H).
参考例36
3-(アゼパン-1-イル)プロピル ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)(2-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ)エチル)カルバマート(化合物A-31)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例19で得られる化合物B-8(0.150 g、0.269 mmol) および、化合物VI-3の代わりに参考例A-17で得られる化合物VI-9(0.145 g、0.403 mmol)を用いて、化合物A-31(0.170 g、収率85%)を得た。
ESI-MS m/z: 742(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89 (t, J= 6.8 Hz, 6H), 1.21-1.39 (m, 32H), 1.48-1.65 (m, 12H), 1.72-1.85 (m, 2H), 2.05 (q, J= 6.6 Hz, 8H), 2.55 (t, J= 7.5 Hz, 2H), 2.61 (t, J= 5.3 Hz, 4H), 2.77 (t, J= 5.9 Hz, 4H), 3.21-3.30 (m, 2H), 3.40 (t, J= 6.8 Hz, 4H), 3.46-3.55 (m, 2H), 4.10 (t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.26-5.42 (m, 8H).
参考例37
(1-メチルピペリジン-3-イル)メチル ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)(2-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ)エチル)カルバマート(化合物A-32)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例19で得られる化合物B-8(0.150 g、0.269 mmol) および、化合物VI-3の代わりに参考例A-15で得られる化合物VI-7(0.133 g、0.403 mmol)を用いて、化合物A-32(0.145 g、収率76%)を得た。
ESI-MS m/z: 714(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.91 (t, J= 6.8 Hz, 6H), 1.23-1.45 (m, 32H), 1.49-1.77 (m, 9H), 1.83-2.03 (m, 2H), 2.07 (q, J= 6.6 Hz, 8H), 2.28 (s, 3H), 2.76-2.91 (m, 2H), 2.80 (t, J= 5.9 Hz, 4H), 3.21-3.33 (m, 2H), 3.43 (t, J= 6.4 Hz, 4H), 3.48-3.58 (m, 2H), 3.85-4.05 (m, 2H), 5.30-5.47 (m, 8H).
参考例A-21 2-((Z)-オクタデカ-9-エニルオキシ)エチル メタンスルホナート (化合物IIIc-2)
参考例8と同様の方法で、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル メタンスルホナートの代わりに(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル メタンスルホナート(2.00 g、5.77 mmol)を用いて、化合物IIIc-2(1.29 g、収率57%)を得た。
ESI-MS m/z: 391 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89 (t, J= 6.6 Hz, 3H), 1.22-1.38 (m, 22H), 1.50-1.62 (m, 2H), 1.97-2.05 (m, 4H), 3.06 (s, 3H), 3.48 (t, J= 6.8 Hz, 2H), 3.67-3.72 (m, 2H), 4.36-4.39 (m, 2H), 5.35 (t, J= 5.5 Hz, 2H).
参考例A-22 2-((Z)-ヘキサデカ-9-エニルオキシ)エチル メタンスルホナート (化合物IIIc-3)
参考例8と同様の方法で、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル メタンスルホナートの代わりに(Z)-ヘキサデカ-9-エン-1-イル メタンスルホナート(2.00 g、6.28 mmol)を用いて、化合物IIIc-3 (1.52 g、収率67%)を得た。
ESI-MS m/z: 363 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.90 (t, J= 6.6 Hz, 3H), 1.25-1.38 (m, 18H), 1.53-1.62 (m, 2H), 1.98-2.06 (m, 4H), 3.07 (s, 3H), 3.49 (t, J= 6.6 Hz, 2H), 3.68-3.72 (m, 2H), 4.36-4.40 (m, 2H), 5.36 (t, J= 5.5 Hz, 2H).
参考例38
(9Z,12Z)-N-(2-((Z)-オクタデカ-9-エニルオキシ)エチル)オクタデカ-9,12-ジエン-1-アミン(化合物B-9)
参考例13と同様の方法で、参考例A-7で得られる化合物IVf-1 (0.800 g、1.78 mmol)および、1-ブロモドデカンの代わりに参考例A-21で得られる化合物IIIc-2 (0.728 g、1.86 mmol)を用い、化合物B-9 (0.600 g、収率60%)を得た。
ESI-MS m/z: 560 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.86-0.94 (m, 6H), 1.24-1.39 (m, 40), 1.51-1.62 (m, 2H), 1.96-2.10 (m, 8H), 2.68 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 2.78 (t, J= 6.0 Hz, 2H), 2.85 (t, J= 5.1 Hz, 2H), 3.45 (t, J= 6.8 Hz, 2H), 3.57 (t, J= 5.1 Hz, 2H), 5.30-5.44 (m, 6H).
参考例39
(9Z,12Z)-N-(2-((Z)-ヘキサデカ-9-エニルオキシ)エチル)オクタデカ-9,12-ジエン-1-アミン(化合物B-10)
参考例13と同様の方法で、参考例A-7で得られる化合物IVf-1 (0.610 g、1.35 mmol)および、1-ブロモドデカンの代わりに参考例A-22で得られる化合物IIIc-3 (0.589 g、1.62 mmol)を用い、化合物B-10 (0.550 g、収率76%)を得た。
ESI-MS m/z: 532 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.85-0.93 (m, 6H), 1.23-1.38 (m, 34H), 1.45-1.54 (m, 4H), 1.94-2.11 (m, 8H), 2.60 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 2.77 (t, J= 5.4 Hz, 4H), 3.43 (t, J= 6.8 Hz, 2H), 3.53 (t, J= 5.4 Hz, 2H), 5.29-5.44 (m, 6H).
参考例40
3-(ピペリジン-1-イル)プロピル (2-((Z)-オクタデカ-9-エニルオキシ)エチル)((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-33)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例38で得られる化合物B-9 (0.130 g、0.232 mmol) および、化合物VI-3の代わりに参考例A-5で得られる化合物VI-4 (0.120 g、0.348 mmol)を用いて、化合物A-33 (0.137 g、収率81%)を得た。
ESI-MS m/z: 729 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.84-0.92 (m, 6H), 1.20-1.36 (m, 38H), 1.40-1.62 (m, 10H), 1.77-1.87 (m, 2H), 1.96-2.09 (m, 8H), 2.37 (t, J= 7.5 Hz, 6H), 2.77 (t, J= 5.9 Hz, 2H), 3.20-3.31 (m, 2H), 3.40 (t, J= 6.6 Hz, 4H), 3.45-3.56 (m, 2H), 4.10 (t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.28-5.44 (m, 6H).
参考例41
2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル (2-((Z)-オクタデカ-9-エニルオキシ)エチル)((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-34)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例38で得られる化合物B-9 (0.130 g、0.232 mmol)を用いて、化合物A-34 (0.131 g、収率79%)を得た。
ESI-MS m/z: 716 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.85-0.92 (m, 6H), 1.20-1.39 (38H, m), 1.47-1.61 (m, 8H), 1.66-1.83 (m, 2H), 1.93-2.18 (10H, m), 2.32 (s, 3H), 2.78 (t, J= 5.9 Hz, 2H), 3.07 (t, J= 8.4 Hz, 1H), 3.21-3.31 (m, 2H), 3.41 (t, J= 6.6 Hz, 4H), 3.47-3.56 (m, 2H), 4.08-4.19 (m, 2H), 5.29-5.43 (m, 6H).
参考例42
3-(ジメチルアミノ)プロピル (2-((Z)-オクタデカ-9-エニルオキシ)エチル)((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-35)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例38で得られる化合物B-9 (0.130 g、0.232 mmol) および、化合物VI-3の代わりに化合物VI-1 (0.106 g、0.348 mmol)を用いて、化合物A-35 (0.100 g、収率63%)を得た。
ESI-MS m/z: 690 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.85-0.92 (m, 6H), 1.20-1.39 (m, 38H), 1.45-1.59 (m, 4H), 1.74-1.84 (m, 2H), 1.96-2.09 (m, 8H), 2.23 (s, 6H), 2.34 (t, J= 7.5 Hz, 2H), 2.77 (t, J= 5.7 Hz, 2H), 3.21-3.30 (m, 2H), 3.35-3.44 (m, 4H), 3.45-3.55 (m, 2H), 4.11 (t, J= 6.4 Hz, 2H), 5.26-5.44 (m, 6H).
参考例43
3-(ジメチルアミノ)プロピル (2-((Z)-ヘキサデカ-9-エニルオキシ)エチル)((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-36)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例39で得られる化合物B-10 (0.150 g、0.282 mmol) および、化合物VI-3の代わりに化合物VI-1 ( 0.095 g, 0.310 mmol)を用いて、化合物A-36 (0.148 g、収率79%)を得た。
ESI-MS m/z: 662 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.85-0.94 (m, 6H), 1.21-1.39 (m, 34H), 1.47-1.59 (m, 4H), 1.76-1.84 (m, 2H), 1.94-2.09 (m, 8H), 2.23 (s, 6H), 2.34 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 2.77 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 3.20-3.31 (m, 2H), 3.31-3.45 (m, 4H), 3.45-3.57 (m, 2H), 4.11 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 5.27-5.46 (m, 6H).
参考例44
3-(ピペリジン-1-イル)プロピル (2-((Z)-ヘキサデカ-9-エニルオキシ)エチル)((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)カルバマート(化合物A-37)
参考例10と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例39で得られる化合物B-10 (0.150 g、0.282 mmol) および、化合物VI-3の代わりに参考例A-5で得られる化合物VI-4 (0.107 g、0.310 mmol)を用いて、化合物A-37 (0.148 g、収率75%)を得た。
ESI-MS m/z: 702 (M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.82-0.96 (m, 6H), 1.23-1.39 (m, 34H), 1.39-1.48 (m, 2H), 1.49-1.61 (m, 8H), 1.79-1.86 (m, 2H), 1.95-2.09 (m, 8H), 2.33-2.42 (m, 6H), 2.78 (t, J= 6.8 Hz, 2H), 3.21-3.32 (m, 2H), 3.34-3.44 (m, 4H), 3.46-3.56 (m, 2H), 4.10 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 5.29-5.44 (m, 6H).
参考例45
3-(ジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)アミノ)プロパン-1-オール(化合物C-2)
工程1
参考例A-11と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例2で得られる化合物B-2(500 mg、0.965 mmol)を用い、3-(ジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)アミノ)プロピオン酸エチル(548 mg、収率92%)を得た。
工程2
参考例21と同様の方法で、化合物IVj-1の代わりに3-(ジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)アミノ)プロピオン酸エチル(548 mg、0.887 mmol)を用い、化合物C-2 (0.445 g, 収率87%)を得た。
ESI-MS m/z: 577(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.88(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.24-1.42(m, 44H), 1.42-1.50(m, 4H), 1.65-1.70(m, 2H), 2.01(q, J= 6.4 Hz, 8H), 2.40(t, J= 7.5 Hz, 4H), 2.63(t, J= 5.5 Hz, 2H), 3.79(t, J= 5.3 Hz, 2H), 5.30-5.39(m, 4H).
参考例46
3-(ジ((11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル)アミノ)プロパン-1-オール(化合物C-3)
工程1
参考例A-11と同様の方法で、化合物B-1の代わりに参考例4で得られる化合物B-4(400 mg、0.702 mmol)を用い、3-(ジ((11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル)アミノ)プロピオン酸エチル(548 mg、収率90%)を得た。
工程2
参考例21と同様の方法で、化合物IVj-1の代わりに3-(ジ((11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル)アミノ)プロピオン酸エチル(424 mg、0.633 mmol)を用い、化合物C-3 (352 mg, 収率88%)を得た。
ESI-MS m/z: 629(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.24-1.40(m, 40H), 1.42-1.50(m, 4H), 1.64-1.70(m, 2H), 2.02-2.08(m, 8H), 2.40(t, J= 7.5 Hz, 4H), 2.63(t, J= 5.3 Hz, 2H), 2.78(t, J= 6.4 Hz, 4H), 3.79(t, J= 5.0 Hz, 2H), 5.29-5.42(m, 8H).
参考例47
2-(ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミノ)エタノール(化合物C-4)
工程1
参考例1で得られる化合物B-1(600 mg, 1.17 mmol)の1,2-ジクロロエタン(2.0 mL)溶液に炭酸カリウム(243 mg, 1.76 mmol)およびブロモ酢酸エチル(195 μL, 1.76 mmol)を加え、85℃で終夜攪拌した。得られた混合物に水を加えてヘプタンで2回抽出した。有機層を合わせて、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル = 100/0〜95/5)で精製することにより2-(ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミノ)酢酸エチル(527 mg, 収率75%)を得た。
工程2
参考例21と同様の方法で、化合物IVj-1の代わりに2-(ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミノ)酢酸エチル(527 mg、0.878 mmol)を用い、化合物C-4 (433 mg, 収率88%)を得た。
ESI-MS m/z: 559(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.24-1.39(m, 32H), 1.39-1.46(m, 4H), 2.02-2.08(m, 8H), 2.43(t, J= 7.5 Hz, 4H), 2.57(t, J= 5.3 Hz, 2H), 2.77(t, J= 6.2 Hz, 4H), 3.52(t, J= 5.5 Hz, 2H), 5.29-5.41(m, 8H).
参考例48
4-(ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミノ)ブタン-1-オール(化合物C-5)
工程1
参考例1で得られる化合物B-1(500 mg, 0.973 mmol)の1,2-ジクロロエタン(2.0 mL)溶液に炭酸カリウム(202 mg, 1.46 mmol)およびtert-ブチル(4-ヨードブトキシ)ジメチルシラン(SIGMA-ALDRICH社製, 378 μL, 1.46 mmol)を加え、85℃で4時間攪拌した。得られた混合物に水を加えてヘプタンで2回抽出した。有機層を合わせて、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル = 95/5〜80/20)で精製することにより(4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ブチル)ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミン (233 mg, 収率34%)を得た。
工程2
(4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ブチル)ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミン (233 mg, 0.333 mmol)のテトラヒドロフラン(5 mL)溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(1 mol/L テトラヒドロフラン溶液, 0.666 mL, 0.666 mmol)を加え、室温で終夜攪拌した。得られた混合物に飽和食塩水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル=90/10)で精製し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール = 100/0〜90/10)で精製することにより化合物C-5 (160 mg, 収率82%)を得た。
ESI-MS m/z: 587(M + H)+; 1H-NMR(CDCl3) δ: 0.89(t, J= 6.9 Hz, 6H), 1.23-1.40(m, 32H), 1.43-1.51(m, 4H), 1.62-1.68(m, 4H), 2.05(q, J= 7.0 Hz, 8H), 2.41-2.45(m, 6H), 2.77(t, J= 6.6 Hz, 4H), 3.53-3.56(m, 2H), 5.29-5.42(m, 8H).
参考例DS-1 二本鎖核酸の調製
配列番号1〜1180に示すリボヌクレオチドから成るセンス鎖、配列番号1181〜2360に示すリボヌクレオチドから成るアンチセンス鎖およびそれらをアニーリングさせた二本鎖核酸(配列番号n(n=1〜1180)に示すセンス鎖と配列番号[n+1180]に示すアンチセンス鎖とが対をなす)をシグマアルドリッチ社より入手した。
試験例1 β2GPI mRNAのノックダウン活性の測定
96ウェルの培養プレートにヒト肝臓癌由来の細胞株であるHepG2細胞(ATCCより入手、ATCC番号:HB-8065)を、5,000細胞/80μL/ウェルとなるよう播種した。培地は、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むMEM培地(ライフテクノロジー社製、カタログ番号11095-098)を用いた。表2に記載の二本鎖核酸とRNAiMaxトランスフェクション試薬(ライフテクノロジー社製、カタログ番号:1401251)をOpti-MEM 培地(ライフテクノロジー社製、カタログ番号11058-021)で希釈して、二本鎖核酸の終濃度が100pmol/Lとなるように20μLのsiRNA/RNAiMax混合液を各々96ウェルの培養プレートに添加し、37℃、5% CO2条件下で24時間培養した。その後、細胞をPBS(Phosphate buffered saline)で洗浄し、各々のプレートからCells-to-Ctキット(アプライドバイオシステムズ社製、カタログ番号:AM1728)を用いて製品に添付された説明書に記載された方法に従いcDNAを合成した。このcDNA 5μLをマイクロオプティカル(MicroAmpOptical) 96ウェルプレート(アプライドバイオシステムズ(Applied Bio Systems)社製、カタログ番号4326659)に加え、更に10μLのタックマンジーンエクスプレッションマスターミックス(TaqMan Gene Expression Master Mix)(アプライドバイオシステムズ(Applied Systems)社製、カタログ番号4369016)、3μLのウルトラディスティルドウォーター(UltraPure Distilled Water)(ライフテクノロジーズ(Life Technologies)社製、カタログ番号:10977-015)、1μLのヒトβ2GPIプローブ、1μLのヒトグリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(D-glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase、以下gapdhと表す)プローブを添加し、エービーアイ7900エイチティーファスト(ABI7900HT Fast)(エービーアイ社(ABI社)製)を用い、添付された使用説明書に記載された方法に従ってPCR反応させることにより、ヒトβ2GPI遺伝子および構成的発現遺伝子であるgapdh遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、gapdhのmRNA増幅量を内部対照として、β2GPIのmRNAの準定量値を算出した。siRNAを添加せずにトランスフェクション試薬だけでHepG2細胞を処理した時のβ2GPImRNA量の準定量値を算出し、これを1.0とした際の各siRNAを導入した時のβ2GPI mRNA相対発現量を算出した。本実験を3回行い、β2GPI mRNA相対発現量の平均値を表2−1〜表2−16に示した。
更に、ノックダウン活性の高い二本鎖核酸を選抜するために、二本鎖核酸の終濃度を10pmol/Lに下げて上記と同じ実験系でβ2GPI遺伝子の相対発現量を算出した。その結果を表3に示す。
試験例2 化学修飾した二本鎖核酸のノックダウン活性
配列番号3542〜3701に示すリボヌクレオチド配列から成るセンス鎖、配列番号3702〜3861に示すリボヌクレオチド配列から成るアンチセンス鎖およびそれらをアニーリングさせた二本鎖核酸(AH1181〜AH1340;配列番号n(n=3542〜3701)に示すセンス鎖と配列番号[n+160]に示すアンチセンス鎖とが対をなす)をシグマアルドリッチ社またはジーンデザイン社より入手した(表4−1〜表4−5参照;表中、大文字は非修飾RNAを、小文字は2’-O-メチル修飾RNAを、それぞれ示す)。二本鎖核酸番号AH1181〜1204は配列番号2456に示すβ2GPI部分配列を、AH1205〜1233は配列番号2459に示すβ2GPI部分配列を、AH1234〜1243は配列番号2485に示すβ2GPI部分配列を、AH1244〜1253は配列番号2486に示すβ2GPI部分配列、AH1254〜1263は配列番号3053に示すβ2GPI部分配列、AH1264〜1271は配列番号3185に示すβ2GPI部分配列、AH1272〜1282は配列番号3239に示すβ2GPI部分配列、AH1283〜1297は配列番号3303に示すβ2GPI部分配列、AH1298〜1311は配列番号3385に示すβ2GPI部分配列、AH1312〜1316は配列番号3398に示すβ2GPI部分配列、AH1317〜1325は配列番号3399に示すβ2GPI部分配列、およびAH1326〜1340は配列番号3499に示すβ2GPI部分配列を、それぞれ標的配列とする。
これらの二本鎖核酸を、試験例1と同様の方法で、HepG2細胞に導入し24時間経過した際のβ2GPI mRNA相対発現量を算出した。その結果を表4−1〜4-5に示す。
実施例1 化合物C-1をカチオン性脂質として含有し、AH1188、AH1191、AH1213またはAH1218を二本鎖核酸として含有する脂質粒子を含む組成物の調製
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000 ナトリウム塩](PEG-DMPE Na)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)およびコレステロールは日油社より購入した。
各二本鎖核酸を24 mg/mLの濃度で蒸留水に溶解し、siRNA溶液を得た。
化合物C-1/PEG-DMPE Na=57.3/5.52 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し、塩酸およびエタノールを含有する水溶液に懸濁させ、vortex攪拌ミキサーで攪拌および、加温を繰り返して均一な懸濁液を得た。この懸濁液を室温下で、0.05 μmのポリカーボネートメンブランフィルターに通し、化合物C-1/PEG-DMPE Naの粒子(リポソーム)の分散液を得た。粒子径測定装置(ゼータサイザー ナノ ZS (Zetasizer Nano ZS)、マルバーン(Malvern)社製、以下同じ)で得られたリポソームの平均粒子径を測定し、30 nmから100 nmの範囲内であることを確認した。得られたリポソームの分散液と、各siRNA 溶液を、リポソームの分散液:siRNA 溶液=3:1の割合で混合し、さらに3倍量の蒸留水を加えて混合することで化合物C-1/PEG-DMPE Na/siRNA複合体の分散液を調製した。
一方、化合物C-1/PEG-DMPE Na/DSPC/コレステロール = 8.947/1.078/5.707/13.698 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し90 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液を加温した後、得られた化合物C-1/PEG-DMPE Na/siRNA複合体の分散液と、1:1の割合で混合し、さらに数倍量の蒸留水を混合して、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラ(Millipore社製)を用いて濃縮後、生理食塩水で希釈し、0.2 μmのフィルター(東洋濾紙社製)を用いてクリーンベンチ内でろ過した。得られた組成物を、siRNA濃度を測定後に、生理食塩水を用いて希釈することで、製剤1〜4(化合物C-1をカチオン性脂質として含有し、AH1188、AH1191、AH1213またはAH1218を二本鎖核酸として含有する組成物)を得た。
粒子径測定装置で製剤中の脂質粒子の平均粒子径を測定した。結果を表5に示す。
実施例2 化合物C-4をカチオン性脂質として含有し、AH1187、AH1191、AH1213またはAH1225を二本鎖核酸として含有する脂質粒子を含む組成物の調製
実施例1と同様にして以下のように製剤を調製した。
各二本鎖核酸を12 mg/mLの濃度で蒸留水に溶解し、siRNA溶液を得た。
化合物C-4/PEG-DMPE Na=57.3/5.52 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し、塩酸およびエタノールを含有する水溶液に懸濁させ、vortex攪拌ミキサーで攪拌および、加温を繰り返して均一な懸濁液を得た。この懸濁液を室温下で、0.05 μmのポリカーボネートメンブランフィルターに通し、化合物C-4/PEG-DMPE Naの粒子(リポソーム)の分散液を得た。粒子径測定装置で得られたリポソームの平均粒子径を測定し、30 nmから100 nmの範囲内であることを確認した。得られたリポソームの分散液と、各siRNA 溶液を、リポソームの分散液:siRNA 溶液=3:1の割合で混合し、さらに11倍量の蒸留水を加えて混合することで化合物C-4/PEG-DMPE Na/siRNA複合体の分散液を調製した。
一方、化合物C-4/PEG-DMPE Na/DSPC/コレステロール = 4.470/0.074/2.990/7.182 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し100 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液と、得られた化合物C-4/PEG-DMPE Na/siRNA複合体の分散液を、2:3の割合で混合し、さらに数倍量の蒸留水を混合して、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラを用いて濃縮後、生理食塩水で希釈し、0.2 μmのフィルターを用いてクリーンベンチ内でろ過した。得られた組成物を、siRNA濃度を測定後に、生理食塩水を用いて希釈することで、製剤5〜8(化合物C-4をカチオン性脂質として含有し、AH1187、AH1191、AH1213またはAH1225を二本鎖核酸として含有する組成物)を得た。粒子径測定装置で製剤中の脂質粒子の平均粒子径を測定した。結果を表6に示す。
実施例3 化合物C-1または化合物C-4をカチオン性脂質として含有し、AH1191を二本鎖核酸として含有する脂質粒子を含む組成物の調製
実施例1と同様にして以下のように製剤を調製した。
各二本鎖核酸を12 mg/mLの濃度で蒸留水に溶解し、siRNA溶液を得た。
カチオン性脂質/PEG-DMPE Na=57.3/5.52 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し、塩酸およびエタノールを含有する水溶液に懸濁させ、vortex攪拌ミキサーで攪拌および、加温を繰り返して均一な懸濁液を得た。この懸濁液を室温下で、0.05 μmのポリカーボネートメンブランフィルターに通し、カチオン性脂質/PEG-DMPE Naの粒子(リポソーム)の分散液を得た。粒子径測定装置で得られたリポソームの平均粒子径を測定し、30 nmから100 nmの範囲内であることを確認した。得られたリポソームの分散液と、各siRNA 溶液を、リポソームの分散液:siRNA 溶液=3:1の割合で混合し、さらに11倍量の蒸留水を加えて混合することでカチオン性脂質/PEG-DMPE Na/siRNA複合体の分散液を調製した。
一方、カチオン性脂質/PEG-DMPE Na/DSPC/コレステロール = 4.470/0.074/2.990/7.182 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し100 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液と、得られたカチオン性脂質/PEG-DMPE Na/siRNA複合体の分散液を、2:3の割合で混合し、これを数倍量の蒸留水に加えて、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラを用いて濃縮後、生理食塩水で希釈し、0.2 μmのフィルターを用いてクリーンベンチ内でろ過した。得られた組成物を、siRNA濃度を測定後に、生理食塩水を用いて希釈することで、製剤9および10 (化合物C-1または化合物C-4をカチオン性脂質として含有し、AH1191を二本鎖核酸として含有する組成物)を得た。
粒子径測定装置で製剤中の脂質粒子の平均粒子径を測定した。結果を表7に示す。
試験例3
製剤のマウスにおけるin vivo活性(血中β2GPIタンパク質発現抑制)
実施例1で得られた各製剤につき、それぞれ以下の方法によりin vivo評価試験を実施した。なお、各製剤は、試験に合わせて生理食塩水(大塚製薬社製)で希釈して用いた。
血中タンパク質濃度を測定するために使用するマウスβ2GPIに対する抗体はウサギをマウスβ2GPIで免疫することで作製した。ウサギ(日本白色種)を馴化飼育後、フロイント完全アジュバントと混合したマウスβ2GPI組換えタンパク質を背部皮下投与した。初回投与から14日後に、フロイント不完全アジュバントと混合したマウスβ2GPI組換えタンパク質を背部皮下および大腿部筋肉内投与した。2度目の投与から14日後に採血し、得られた血清から抗体をマブセレクト シュア(ジーイー ヘルスケア社, カタログ番号:17-0618-02)を用いて製品の説明書に記載された方法に従い、精製した。得られた抗体をペルオキシダーゼ ラベリングキット-NH2(同仁化学研究所社製、カタログ番号:LK11)を用いて、製品の説明書に記載された方法に従い、HRP標識した。
マウス(Balb/c、日本クレアより入手)を馴化飼育後、各製剤を、siRNA濃度として0.1 mg/kgでマウスに静脈内投与した。投与から2日後の血液をヘパリンリチウムを塗布したマイクロティナ(ベクトン・ディッキンソン社製、365965)に採血し、小型冷却遠心機(05PR-22:日立社製)を用いて8000 rpm、8分間、4℃で遠心分離し、血漿を採取した。得られた血漿中のβ2GPIタンパク濃度を、以下の方法により測定した。抗マウス/ラット アポリポタンパク質H 抗体(アールアンドディーシステムズ(R&D Systems)社製、カタログ:AF6575)を4mg/mLで100mLずつ96wellのイムノプレートに分注し、4℃の条件で16時間固相化した。抗体溶液を除去した後、1%(w/v)になるよう滅菌水で溶解したブロックエース(DSファーマ、カタログ番号:UK-B40)を200mLずつ分注し、室温で1時間ブロッキングした。ブロックエース溶液を除去した後、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(カルシウム、マグネシウム不含、ナカライテスク社製、カタログ番号:14249-95)で希釈したマウス血しょうおよびマウスβ2GPI組換えタンパク質溶液(標準液)を50mLずつ分注し、室温で1時間反応させた。Tween-PBS(和光社製、カタログ番号:288-09368)を用いて3回洗浄を行った後、ブロックエース粉末質量/DPBS体積の比が0.1%(w/v)であるブロックエースを含むダルベッコリン酸緩衝生理食塩水で希釈した上記HRP標識ウサギ抗体を50mLずつ分注し、室温で1時間反応させた。Tween-PBSで3回洗浄後、TMBサブストレートクロモゲン(TMB+ Substrate-Chromogen)(ダコ(Dako)社製、カタログ番号:S1599)を50mL添加し、15分反応させた後0.5mol/L硫酸(和光社製、カタログ番号:192-04755)を50mL添加することで反応を終了させた。反応液の吸光度をARVO-X3(パーキンエルマー(Perkin Elmer)社製、450nm)もしくはEnVision-2102(パーキンエルマー(Perkin Elmer)社製、450nm)で測定した。得られた吸光度から検量線を作成し、血漿中のβ2GPIタンパク質濃度を算出した。
算出された血漿中のβ2GPIタンパク質濃度の結果を、生理食塩水投与群に対する抑制率として表8に示す。
試験例4
製剤のHepG2細胞に対するin vitro活性(肝臓中β2GPI mRNA発現抑制)
実施例2で得られた各製剤につき、それぞれ以下の方法により、ヒト肝がん由来細胞株HepG2細胞(HB-8065)に導入した。
核酸の最終濃度が1-10000 pmol/Lとなるように、オプティメム(Opti-MEM、ギブコ(GIBCO)社、31985)で希釈した各製剤を、96ウェルの培養プレートに、20μLずつ分注した後、10%ウシ胎仔血清(FBS、SAFCバイオサイエンス(SAFC Biosciences)社、12203C)を含むOpti-MEMに懸濁させたHepG2細胞を、細胞数12500/80μL/ウェルとなるように播種し、37℃、5%CO2条件下で培養することで、各製剤をHepG2細胞内に導入した。また陰性対照の群として何も処理しない細胞を播種した。
各製剤を導入した細胞を37℃の5%CO2インキュベーター内で24時間培養し、氷冷したリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、ギブコ社(GIBCO社)製、カタログ番号14190)で洗浄し、スーパープレップ(登録商標)セルリシスアンドアールティーキットフォーキューピーシーアール (東洋紡社製、カタログ番号SCQ-101)を用いて、製品に添付された説明書に記載された方法に従い、全RNAの回収と、得られた全RNAを鋳型とする逆転写反応によるcDNAの作製とを行った。
得られたcDNAを鋳型とし、タックマン(登録商標)ジーンエクスプレッションアッセイズプローブ(アプライドバイオシステムズ社製)をプローブとして、エービーアイ7900エイチティーファスト(ABI7900HT Fast)(エービーアイ社(ABI社)製)を用い、添付された使用説明書に記載された方法に従ってPCR反応させることにより、β2GPI遺伝子および構成的発現遺伝子であるグリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(D-glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase、以下gapdhと表す)遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、gapdhのmRNA増幅量を内部対照として、β2GPIのmRNAの準定量値を算出した。同様に測定した陰性対照におけるβ2GPIのmRNAの準定量値を1として、β2GPIのmRNAの準定量値から、β2GPIのmRNAの発現率を求めた。得られたβ2GPIのmRNAの発現率の結果を、IC50値として表9に示す。
試験例5
製剤のマウスにおけるin vivo活性(肝臓中β2GPI mRNA発現抑制)
実施例2で得られた各製剤につき、それぞれ以下の方法によりin vivo評価試験を実施した。なお、各製剤は、試験に合わせて生理食塩水(大塚製薬社製)で希釈して用いた。マウス(Balb/c、日本クレアより入手)を馴化飼育後、各製剤を、siRNA濃度として0.03 mg/kgでマウスに静脈内投与した。投与から2日後に肝臓を採取し液体窒素で凍結保存した。肝臓凍結サンプルをトリゾール(登録商標)アールエヌエーアイソレーションリージェンツ (ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)社製、カタログ番号15596026)およびマグナピュアセルラーアールエヌエーラージボリュームキット (ロシュ社(Roche社)製、カタログ番号05467535001)を用いて、製品に添付された説明書に記載された方法に従い、全RNAの回収を行った。さらにトランスクリプターファーストストランドシーディーエヌエーシンセシスキット (ロシュ社(Roche社)製、カタログ番号04897030001)を用いて、製品に添付された説明書に記載された方法に従い、得られた全RNAを鋳型とする逆転写反応によるcDNAの作製を行った。得られたcDNAを鋳型とし、タックマン(登録商標)ジーンエクスプレッションアッセイズプローブ(アプライドバイオシステムズ社製)をプローブとして、エービーアイ7900エイチティーファストABI7900HT Fast(ABI社製)を用い、添付された使用説明書に記載された方法に従ってPCR反応させることにより、β2GPI遺伝子および構成的発現遺伝子であるグリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(D-glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase、以下gapdhと表す)遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、gapdhのmRNA増幅量を内部対照として、β2GPIのmRNAの準定量値を算出した。同様に測定した生理食塩水投与群におけるβ2GPIのmRNAの準定量値を1として、β2GPIのmRNAの準定量値から、β2GPIのmRNAの発現率を求めた。得られたβ2GPIのmRNAの発現抑制率の結果を表10に示す。
試験例6
製剤のマウスにおけるin vivo活性(血中β2GPIタンパク質発現抑制)
試験例3と同様の方法で、製剤5〜8をsiRNA濃度として0.03 mg/kgずつbalb/cマウスに投与し、投与7日後において採血して、β2GPIタンパク質量を測定した。測定した血中β2GPIタンパク質量を生理食塩水投与群に対する抑制率として表11に示す。
試験例7
製剤のマウスにおける免疫刺激性の評価
製剤5〜8をsiRNA濃度として0.3 mg/kgずつbalb/cマウスに投与し、投与24時間後の血液を凝固促進剤を塗布したマイクロティナ(BD社製、365967)に採血し、小型冷却遠心機(05PR-22:日立社製)を用いて8000 rpm、8分間、4℃で遠心分離し、血清を採取した。得られた血清中のGranulocyte-colony stimulating factor (G-CSF)、 Keratinocyte-derived Cytokine (KCまたはGRO)、Interferon -γ (IFN-g)、Tumor Necrosis Factor (TNF)、Interleukin-1b (IL-1b)、Interleukin-10 (IL-10)およびInterleukin-6 (IL-6)の値を、ビーディーシービーエーフレックスセット(ビーディー社(BD社)製)およびビーディーファックスバース(BD FACSVers) フローサイトメーター(BD社製)を用いて、製品に添付された説明書に記載された方法に従い定量した。
測定した血中G-CSFおよびKC濃度を表12に示す。表12に示した以外のサイトカイン(IFN-g, TNF, IL-1b, IL-10およびIL-6)については生理食塩水および製剤5〜8を投与した群でいずれも定量下限(10 pg/mL)以下であった。
試験例8
製剤のマウスにおけるin vivo活性(血中β2GPI mRNA発現抑制)
試験例5と同様にして、実施例3で得られた製剤9, 10をsiRNA濃度として0.01 mg/kgずつbalb/cマウスに投与し、投与2日後における肝臓中のβ2GPI mRNA量を測定した。測定したmRNA量を生理食塩水投与群に対する抑制率として表13に示す。
試験例9
製剤を投与したマウス血液に対するループスアンチコアグラント試験結果
実施例2で得られた製剤6をマウスに投与し、β2GPI依存性LAの解除が可能か否か評価した。
馴化飼育したマウス(Balb/c、日本クレア社より入手)に実施例2で得られた製剤6をsiRNA濃度で0.1mg/kg、静脈内投与した。対照群となるマウスには生理食塩水を投与した。なお、試験は生理食塩水投与群2匹、製剤6投与群3匹を用いて実施し、生理食塩水投与群を個体番号1〜2とし、製剤6投与群を個体番号3〜5とした。
投与から2日後に3.2%クエン酸溶液:血液 = 1:9の体積比となる様に採血し、採取した血液を小型冷却遠心機(MX305:トミー社製)によって1500×g (g:遠心力)、15分間、室温条件下で遠心分離した。この上清となる血漿を同条件で再度遠心分離し、バフィーコート上の血漿を回収し、これを二重遠心血漿としてLA活性評価に供した。
各個体から得られた二重遠心血漿90mLを1.5mLエッペンドルフチューブに添加し、ここに試験例2で用いたウサギ由来抗β2GPI抗体(30 mg/mL)あるいはリン酸緩衝化生理食塩水(DPBS)を10uL添加した後に室温で1時間インキュベーションした。これを37℃に設定したウォーターバス(SM-05N、タイテック社製)を用いて1分間加温し、同様に加温した100uLのLAテスト「グラディポア」試薬1(エムビーエル(MBL)社製、カタログ番号4150)をdRVVT測定用凝固活性化試薬として混合した。LA活性評価として、血液凝固を目視によって判定した。凝固時間はストップウォッチを用いて計測した。各個体について、β2GPI依存性LAとして抗β2GPI抗体添加時の凝固時間を、LA陰性時の凝固時間としてDPBS添加時の凝固時間を取得した。得られた試験結果を図1に示した。図1から明らかなように、生理食塩水投与マウスでは抗β2GPI抗体存在下の凝固時間延長、すなわちβ2GPI依存性LA活性が認められたのに対して、製剤6を投与したマウスでは抗β2GPI抗体存在下あっても凝固時間の延長は認められなかった。これは血中β2GPIの発現を低下させることでβ2GPI依存性LAを解除可能であることを示している。よって、本発明の脂質粒子を含む組成物を哺乳動物に投与し、生体内においてβ2GPI遺伝子の発現を低下させることによって、β2GPI関連疾患を治療できることが明らかとなった。
本発明の脂質粒子を含む組成物を、哺乳動物に投与して、生体内において、β2GPI遺伝子発現を抑制し、β2GPI関連疾患を治療することができる。

Claims (31)

  1. センス鎖およびアンチセンス鎖から成り、少なくとも11個の塩基対の二重鎖領域を含む二本鎖核酸であって、前記アンチセンス鎖中の、少なくとも17個のヌクレオチドかつ多くとも30個のヌクレオチドの鎖長のオリゴヌクレオチド鎖において、表2−1〜表2−16に記載された群から選択される標的β2GPI mRNA配列と相補的である、薬物としての二本鎖核酸と、式(A)

    (式中、R1は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルであり、
    R2は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであり、
    R3およびR4は、同一または異なって炭素数1〜3のアルキルであるか、または一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成するか、またはR3はR5と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成し、
    R5は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、アミノ、モノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイルもしくはジアルキルカルバモイルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであるか、またはR3と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成し、
    X1は、炭素数1〜6のアルキレンであり、
    X2は、単結合であるか、または炭素数1〜6のアルキレンであり、ただし、X1とX2の炭素数の和は7以下であり、R5が、水素原子の場合、X2は単結合であり、R5がR3と一緒になって炭素数2〜8のアルキレンを形成する場合、X2は単結合であるか、またはメチレンもしくはエチレンである)、
    式(B)

    (式中、R6は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
    R7は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルである)、または
    式(C)

    (式中、R8は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
    R9は炭素数8〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、アルコキシエチル、アルコキシプロピル、アルケニルオキシエチル、アルケニルオキシプロピル、アルキニルオキシエチルまたはアルキニルオキシプロピルであり、
    X3は、炭素数1〜3のアルキレンであり、
    R10は、水素原子または炭素数1〜3のアルキルである)で表されるカチオン性脂質を含む、脂質粒子。
  2. R1、R2、R6、R7、R8およびR9が、それぞれテトラデシル、ヘキサデシル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルまたは(Z)-ドコサ-13-エニルである、請求項1記載の脂質粒子。
  3. R1、R2、R6、R7、R8およびR9が、それぞれ (Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルまたは(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルである、請求項1記載の脂質粒子。
  4. X1が、炭素数1〜3のアルキレンであり、X2が、単結合またはメチレンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  5. X3が、メチレンまたはエチレンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  6. R3およびR4が、同一もしくは異なってメチルもしくはエチル、または一緒になってn-ペンチレンもしくはn-ヘキシレンを形成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  7. R3およびR5が、一緒になってn-プロピレンまたはn-ブチレンを形成し、R4が、メチルまたはエチルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  8. R5およびR10が、それぞれ水素原子またはメチルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  9. 二重鎖領域が11〜27個の塩基対を含む二重鎖領域であり、表2−1〜表2−16に記載された群から選択される標的β2GPI mRNA配列と相補的である前記アンチセンス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドが、該標的β2GPI mRNA配列の3’末端から2番目のデオキシリボヌクレオチドと相補する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  10. センス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長であり、かつ前記アンチセンス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  11. センス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長であり、かつアンチセンス鎖が、21個のヌクレオチド鎖長である二本鎖核酸が、19塩基対の二重鎖領域を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  12. センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の5’末端は、平滑末端を形成する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  13. 二本鎖核酸が、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  14. 二重鎖領域内のヌクレオチドの40〜65%が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドである、請求項13記載の脂質粒子。
  15. アンチセンス鎖が、表4−1〜表4−5に記載されたアンチセンス鎖群から選択される配列を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  16. センス鎖が、および表4−1〜表4−5に記載されたセンス鎖群から選択される配列を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  17. 表4−1〜表4−5に記載のセンス鎖/アンチセンス鎖から成る群から選択される1対のセンス鎖/アンチセンス鎖の配列を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  18. カチオン性脂質が、該二本鎖核酸と複合体を形成しているか、または中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと該二本鎖核酸との複合体を形成している、請求項1〜17のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  19. カチオン性脂質が、該二本鎖核酸と複合体を形成しているか、または中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと該二本鎖核酸との複合体を形成しており、脂質粒子が該複合体と該複合体を封入する脂質膜から構成された脂質粒子である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の脂質粒子。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の脂質粒子を含む、脂質粒子含有組成物。
  21. 請求項20記載の組成物を用いて該二本鎖核酸を細胞内に導入することを含む、β2GPI遺伝子の発現を抑制する方法。
  22. 細胞が、哺乳動物の肝臓にある細胞である、請求項21記載の方法。
  23. 細胞内に導入する方法が、静脈内投与によって細胞内に導入する方法である、請求項21または22に記載の方法。
  24. 請求項20記載の組成物を哺乳動物に投与することを含む、β2GPI関連疾患の治療方法。
  25. β2GPI関連疾患が、自己免疫疾患または血栓症である、請求項24記載の方法。
  26. 投与する方法が、静脈内投与である、請求項24または25記載の方法。
  27. 請求項20記載の組成物を含む、β2GPI関連疾患の治療に用いるための医薬。
  28. β2GPI関連疾患が、自己免疫疾患または血栓症である、請求項27記載の医薬。
  29. 静脈内投与用である、請求項27または28記載の医薬。
  30. 請求項20記載の組成物を含む、自己免疫疾患または血栓症の治療剤。
  31. 静脈内投与用である、請求項30記載の自己免疫疾患または血栓症の治療剤。
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