JP2018142806A - アクチュエータドライバおよび撮像装置 - Google Patents

アクチュエータドライバおよび撮像装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018142806A
JP2018142806A JP2017035113A JP2017035113A JP2018142806A JP 2018142806 A JP2018142806 A JP 2018142806A JP 2017035113 A JP2017035113 A JP 2017035113A JP 2017035113 A JP2017035113 A JP 2017035113A JP 2018142806 A JP2018142806 A JP 2018142806A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
position detection
code
lens
actuator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017035113A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6823496B2 (ja
Inventor
彰人 齋藤
Akihito Saito
彰人 齋藤
前出 淳
Atsushi Maede
淳 前出
関本 芳宏
Yoshihiro Sekimoto
芳宏 関本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rohm Co Ltd
Original Assignee
Rohm Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rohm Co Ltd filed Critical Rohm Co Ltd
Priority to JP2017035113A priority Critical patent/JP6823496B2/ja
Publication of JP2018142806A publication Critical patent/JP2018142806A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6823496B2 publication Critical patent/JP6823496B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Lens Barrels (AREA)
  • Studio Devices (AREA)

Abstract

【課題】ターゲットコードに対してレンズを線形に制御する。【解決手段】アクチュエータドライバ200の補正回路206は、位置検出信号S2に応じた第1検出コードu1を、レンズの実際の変位に対して線形補償され、温度補償された第2検出コードu2に変換する。制御回路208は、第2検出コードu2がターゲットコードu0に近づくようにアクチュエータ106を制御する。補正回路206は、第1検出コードu1から、アクチュエータの電流iDRVに応じた補正値Δuを減算し、残りの成分にもとづいて第2検出コードu2を生成する。【選択図】図3

Description

本発明は、アクチュエータドライバに関する。
近年、スマートフォンなどに搭載されるカメラモジュールは、AF(オートフォーカス)機能を備える。AF機能付きのカメラモジュールは、撮像素子と被写体の間に設けられたレンズを、被写体の像が撮像素子の表面(撮像面)に結像するように光軸方向(Z軸)に変位させる。
図1は、AF機能を備えるカメラモジュールのブロック図である。カメラモジュール100は、撮像素子102、レンズ104、アクチュエータ106、アクチュエータドライバ108、位置検出素子110、CPU(Central Processing Unit)114を備える。
撮像素子102は、レンズ104を透過した像を撮影する。CPU114は、レンズ104の変位の目標値を示すターゲットコードuを生成する。アクチュエータドライバ108は、ターゲットコードuにもとづいて、アクチュエータ106に対する駆動信号Sを生成する。アクチュエータ106は、駆動信号Sに応じてレンズ104を位置決めする。
AF機能付きのカメラモジュールでは、レンズ104を正確に位置決めする必要があるため、フィードバック制御(クローズドループ制御)が採用される。位置検出素子110は、レンズ104の変位を示す位置検出信号Sを生成する。アクチュエータドライバ108は、位置検出信号Sの示すレンズ104の位置が、ターゲットコードuが示す目標位置と一致するように、駆動信号Sをフィードバック制御する。
WO2009/093645号公報 特開2009−145635号公報
図2(a)は、レンズ104の実際の変位xと、位置検出信号Sの関係を示す図である。図2(b)は、ターゲットコードuとレンズ104の変位xの関係を示す図である。
スマートフォンやタブレットに搭載されるカメラモジュール100は小型化、薄型化が要求されるため、その内部の構成部品のサイズやレイアウトの制約が多い。かかる事情から、図2(a)に示すように、位置検出素子110が生成する位置検出信号Sは、実際のレンズ104の変位に対して非線形である。
上述のように、アクチュエータドライバ108はターゲットコードuと位置検出信号Sの値が一致するように、アクチュエータ106を駆動する。その結果、図2(b)に示すように、ターゲットコードuに対して、レンズ104を線形に制御することができなくなる。
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ターゲットコードに対してレンズを線形に制御可能なアクチュエータドライバの提供にある。
本発明のある態様は、撮像装置に使用されるアクチュエータドライバに関する。撮像装置は、撮像素子への入射光路上に設けられたレンズと、レンズを変位させるアクチュエータと、レンズの変位を示す位置検出信号を生成する磁気的な位置検出素子と、レンズの目標変位を示すターゲットコードuと位置検出信号にもとづいてアクチュエータをフィードバック制御するアクチュエータドライバと、温度センサと、を備える。アクチュエータドライバは、位置検出信号に応じた第1検出コードuを、レンズの実際の変位xに関して線形補償され、温度補償された第2検出コードに変換する補正回路と、第2検出コードuがターゲットコードuに近づくようにアクチュエータを制御する制御回路と、を備える。補正回路は、第1検出コードuから、アクチュエータの電流iDRVに応じた補正値Δuを減算し、残りの成分にもとづいて第2検出コードuを生成する。
この態様によると、第1検出コードuから補正値Δuを減算することにより、位置検出素子が周囲から受けるノイズの影響を除去できるため、線形補償、温度補償の精度を高めることができ、ターゲットコードに対してレンズを線形に制御可能となる。
前記補正値Δuは、第1係数cを用いて、c×iDRVで表されてもよい。
これにより、アクチュエータのコイルが発生する磁界の影響を除去または低減できる。
第1係数cは温度依存性を有してもよい。これにより、コイルが発生する磁界の温度依存性をキャンセルできる。
補正回路は、第1検出コードuから、補正値Δuを減算して第1中間コードvを生成し、第1中間コードvに、温度に依存した第2係数dを乗算して第2中間コードvを生成し、第2中間コードvを、予め規定された関数に代入することにより、第2検出コードuを生成してもよい。
補正回路は、第1検出コードuに第3係数eを乗算して第3中間コードvを生成し、第3中間コードvから補正値Δuを減算して第4中間コードvを生成し、第4中間コードvを、予め規定された関数に代入することにより、第2検出コードuを生成する。
第3係数eは温度依存性を有してもよい。
所定の第4係数をαとするとき、
u=u−αx
で与えられるコードuとレンズの実際の変位xとの関係が、x=f(u)として表されてもよい。第2検出コードuとレンズの実際の変位xの間に成り立つべき関係式がu=ax+bとして規定されてもよい。第2検出コードuは、
=a・f(v)+b
=a・f(v)+b
で計算されてもよい。
アクチュエータドライバは、ひとつの基板に一体集積化されてもよい。
本発明の別の態様は撮像装置に関する。撮像装置は、撮像素子と、撮像素子への入射光路上に設けられたレンズと、レンズを光軸と垂直な面内で変位させるアクチュエータと、レンズの変位を示す位置検出信号を生成する位置検出素子と、レンズの目標変位を示すターゲットコードと位置検出信号にもとづいてアクチュエータをフィードバック制御する上述のいずれかのアクチュエータドライバと、を備えてもよい。
本発明のある態様は、レンズ制御装置に関する。レンズ制御装置は、撮像レンズと、撮像レンズを駆動するためのアクチュエータと、撮像レンズの位置を検出するための位置検出手段と、温度の変化を検出するための温度検出手段と、を備え、位置検出手段による位置検出信号と、撮像レンズの変位との関係に対して、温度変化によって関係が変化するのを補正するための温度補償手段を有し、アクチュエータはコイルと永久磁石の相互作用によって撮像レンズを駆動する電磁アクチュエータであり、位置検出手段は磁気的位置検出手段であって、撮像レンズの変位によって生じる位置検出信号成分と、コイルへの通電にともなって発生する磁界によって生じる位置検出信号成分の、それぞれに対して個別に温度補償を行うことを特徴としている。
以上の構成によれば、撮像レンズの変位によって生じる位置検出信号成分と、コイルへの通電にともなって発生する磁界によって生じる位置検出信号成分の、それぞれに対して個別に温度補償を行うので、温度補償の精度を高めることができ、撮像レンズの高精度かつ高速の位置決めが可能となる。
また、ある態様のレンズ制御装置は、コイル磁界による位置検出信号成分の温度補償は、検出されたトータルの位置検出信号に対して、あるいは変位による位置検出信号成分の温度補償が行われた後の位置検出信号に対して、コイル磁界による位置検出信号成分を所定の係数で引き算することによって行ってもよい。
以上の構成によれば、ノイズとなって位置検出手段に入射するコイル磁界による位置検出信号成分を引き算で除去するので、温度補償の精度を高めることができる。
また、ある態様のレンズ制御装置は、所定の係数を、温度検出手段によって検出される温度に応じて設定してもよい。
以上の構成によれば、温度によって補正係数を最適化するので、コイル磁界によるノイズ成分を精度よく除去することが可能となる。
また、ある態様のレンズ制御装置は、変位による位置検出信号成分の温度補償は、検出されたトータルの位置検出信号に対して、あるいはコイル磁界による位置検出信号成分の温度補償が行われた後の位置検出信号に対して、所定の係数で乗除することによって行ってもよい。
以上の構成によれば、位置検出信号に対して所定の係数で乗除することによって、変位による位置検出信号成分の温度補償を行うことができるので、温度補償の精度を高めることができる。
また、ある態様のレンズ制御装置は、所定の係数を、温度検出手段によって検出される温度に応じて設定してもよい。
以上の構成によれば、温度によって補正係数を最適化するので、変位による位置検出信号成分の温度による影響を精度よく補正することが可能となる。
また、ある態様のレンズ制御装置は、コイル磁界による位置検出信号成分の温度補償の後に変位による位置検出信号成分の温度補償を行ってもよい。
以上の構成によれば、先にノイズ成分となるコイル磁界による位置検出信号成分を除去するので、変位による位置検出信号成分の温度補償のための最適係数を見つけやすくなり、高精度の温度補償が可能となる。
また、ある態様のレンズ制御装置は、位置検出手段による位置検出信号と、撮像レンズの変位との関係に対して、関係の直線性を補正するための線形補償手段を備えてもよい。
以上の構成によれば、温度補償に加えてさらに線形補償を行うので、撮像レンズの高精度かつ高速な位置決めが可能となる。
また、ある態様のレンズ制御装置は、コイル磁界による位置検出信号成分の温度補償を行うかどうかの切換手段を有してもよい。
以上の構成によれば、コイル磁界による位置検出信号成分の温度補償を行うかどうかを切り換えることができるので、コイル磁界による位置検出信号成分の温度補償の効果がない、あるいは逆効果になる場合は補償をとりやめることができ、可能な範囲で最適な選択が行える。
また、ある態様のレンズ制御装置は、位置検出手段がホール素子であって、温度検出手段はホール素子内の所定の端子間抵抗の温度による変化を利用してもよい。
以上の構成によれば、アクチュエータ内部にあるホール素子の端子間抵抗の変化を利用して温度を検出するので、温度補償すべき対象物近傍の温度を正確に把握することができ、高精度の温度補償が可能となる。
また、ある態様の撮像装置は、上記のいずれかに記載のレンズ制御装置を有し、さらに、オートフォーカスのための位相差検出が可能な撮像素子を備え、温度補償がオートフォーカスのための撮像レンズの変位による位置検出信号に対して適用されることが望ましい。
以上の構成によれば、温度補償と線形補償がなされた位置検出信号に基づいて、位相差検出によって合焦位置の目標位置とされる位置にダイレクトにアクセスできるようになるため、高速かつ高精度のレンズ位置決めが可能となる。
また、ある態様の撮像装置は、上記のいずれかのレンズ制御装置を有し、さらに、複数個のカメラモジュールを備え、温度補償がオートフォーカスのための撮像レンズの変位による位置検出信号に対して適用されることが望ましい。
以上の構成によれば、複数個のカメラモジュールの間の撮像レンズの移動を関連付けながら行うことができ、温度が変化しても位置検出信号が補正されているため、温度変化がなかったかのような関連付けが可能となる。
本発明の別の態様は、アクチュエータドライバに関する。アクチュエータドライバは、制御対象の位置を示す位置検出値を生成する位置検出部と、温度を示す温度検出値を生成する温度検出部と、位置検出値を補正する補正部と、補正後の位置検出値と、制御対象の目標位置を示す位置指令値とが一致するように制御指令値を生成するコントローラと、制御指令値に応じた駆動信号をアクチュエータに印加するドライバ部と、を備え、補正部は、温度ごとに所定の係数で位置検出値から引き算を行う補正と、温度ごとに所定の係数で位置検出値に対して乗除する補正の両方を行うことを特徴としている。
この態様によれば、撮像レンズの変位によって生じる位置検出信号成分と、コイルへの通電にともなって発生する磁界によって生じる位置検出信号成分の、それぞれに対して個別に温度補償を行うので、温度補償の精度を高めることができ、撮像レンズの高精度かつ高速の位置決めが可能となる。
また、ある態様のアクチュエータドライバは、位置検出値または位置指令値をy、実際の変位をx、アクチュエータに印加する電流をiとするとき、補正部は、温度によって異なる補正係数a、およびbの値を保持するメモリを含み、補正部は、位置検出部からの位置検出値をyとするとき、y=y−ciを計算するステップと、y=dyを計算するステップと、を実行し、yが補正後の位置検出値であってもよい。
ある態様のアクチュエータドライバは、位置検出値または位置指令値をy、実際の変位をx、アクチュエータに印加する電流をiとするとき、補正部は、温度によって異なる補正係数c、およびdの値を保持するメモリを含み、補正部は、位置検出部からの位置検出値をyとするとき、y=dyを計算するステップと、y=y−ciを計算するステップと、を実行し、yが補正後の位置検出値であってもよい。
ある態様のアクチュエータドライバは、補正後の位置検出値yに対してさらに直線化補正を行ってもよい。これにより、温度補償と線形補償の両方が可能となる。
位置検出部は、内部抵抗が温度依存性を有する位置検出素子からの信号にもとづいて、位置検出値を生成し、温度検出部は、位置検出素子の内部抵抗にもとづいて、温度検出値を生成してもよい。これにより、温度検出素子が不要となるため、コストを下げることができる。さらに、温度測定の対象である位置検出素子を、温度検出素子として利用できるため、測定対象の温度を正確に検出できる。
位置検出素子はホール素子であり、位置検出素子は、一定のバイアス電流によってバイアスされ、温度検出部は、位置検出素子の電圧降下にもとづいて、温度検出値を生成してもよい。
本発明の別の態様は、レンズ制御装置に関する。レンズと、可動部にレンズが取り付けられたアクチュエータと、アクチュエータを駆動する上述のいずれかのアクチュエータドライバと、を備える。レンズ制御装置は、オートフォーカスモジュールあるいは手ぶれ補正モジュールであってもよい。
本発明の別の態様は、撮像装置に関する。撮像装置は、撮像素子と、上述のレンズ制御装置と、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
さらに、この課題を解決するための手段の記載は、すべての欠くべからざる特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
本発明によれば、対象物を高精度かつ高速に位置決めすることが可能となる。
AF機能を備えるカメラモジュールのブロック図である。 図2(a)は、レンズの実際の変位xと、位置検出信号Sの関係を示す図であり、図2(b)は、ターゲットコードuとレンズの変位xの関係を示す図である。 実施の形態に係るカメラモジュールのブロック図である。 位置検出素子とアクチュエータを模式的に示す図である。 図5(a)〜(c)は、補正回路の線形補償を説明する図である。 図6(a)〜(c)は、従来の温度補償技術を説明するための図である。 撮像装置を示す図である。 レンズ制御装置の第1実施形態における温度補償と線形補償の処理を示すフローチャートである。 所定の温度における位置検出信号と実際の変位の関係および磁気かぶり補正実施後の関係を示す図である。 線形補償を行うときに必要となる位置検出信号と変位の関係の傾きとオフセットを算出する方法を説明するための図である。 位置検出信号と変位との関係が、温度によってどのように変化するかを説明する測定結果を示す図である。 図12(a)〜(c)は、第1実施形態における温度補償および線形補償を説明する図である。 レンズ制御装置の第2実施形態における温度補償と線形補償の処理を示すフローチャートである。 図14(a)〜(c)は、第2実施形態における温度補償および線形補償を説明する図である。 レンズ制御装置のブロック図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
また図面に記載される各部材の寸法(厚み、長さ、幅など)は、理解の容易化のために適宜、拡大縮小されている場合がある。さらには複数の部材の寸法は、必ずしもそれらの大小関係を表しているとは限らず、図面上で、ある部材Aが、別の部材Bよりも厚く描かれていても、部材Aが部材Bよりも薄いこともあり得る。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図3は、実施の形態に係るカメラモジュール100のブロック図である。図3のカメラモジュール100の基本構成は、図1のそれと同様である。レンズ104は、撮像素子102への入射光路上に設けられる。アクチュエータ106は、レンズ104を光軸方向に変位させる。位置検出素子110は、ホールセンサなどの磁気センサであり、レンズ104の変位を示す位置検出信号(ホール信号)Sを生成する。AFセンサ112は、位相差検出方式あるいはコントラスト検出方式にもとづいて、合焦に必要な情報を検出する。
CPU114は、AFセンサ112の出力にもとづいて、レンズ104の変位の目標値を示すターゲットコードuを含むシリアルデータSを生成する。アクチュエータドライバ200は、ターゲットコードuにもとづいて、アクチュエータ106に対する駆動信号Sを生成する。アクチュエータ106の可動子にはレンズ104が取り付けられており、レンズ104は、ターゲットコードuに応じた位置に移動する。
温度センサ116は、温度を検出する。検出対象となる温度は、位置検出素子110の温度であるが、その限りでなく、それと相関を有する温度であればよい。たとえば温度センサ116は周囲温度を検出してもよい。温度センサ116はサーミスタやポジスタ、熱電対などであってもよい。あるいは後述するように、温度検出の対象である位置検出素子110がホール素子である場合、ホール素子110を温度センサ116として利用してもよい。
より詳しくは、アクチュエータドライバ200は、レンズ104の目標変位を示すターゲットコードuと位置検出信号Sにもとづいてアクチュエータ106をフィードバック制御する。
アクチュエータドライバ200は、インタフェース回路202、A/Dコンバータ204、補正回路206、制御回路208を備える。インタフェース回路202は、CPU114からターゲットコードuを含むシリアルデータSを受信する。A/Dコンバータ204は、位置検出素子110からの位置検出信号Sをデジタルの第1検出コードuに変換する。A/Dコンバータ204の前段には、アンプが設けられてもよい。位置検出信号Sがデジタル信号である場合、A/Dコンバータ204は省略可能である。
補正回路206は、第1検出コードuを、レンズ104の実際の変位と線形な関係を有し、かつ温度に依存しない第2検出コードuに変換する。補正回路206における処理を、線形補償および温度補償と称する。制御回路208は、第2検出コードuがターゲットコードuに近づくようにアクチュエータ106を制御する。制御回路208は、コントローラ210およびドライバ部212を含む。コントローラ210は、第2検出コードuとターゲットコードuの誤差がゼロに近づくように制御指令値Sを生成する。ドライバ部212は制御指令値Sに応じた駆動信号Sをアクチュエータ106に供給する。
本発明者らは、位置検出素子110は、アクチュエータの可動子の位置に応じた磁界(信号成分という)に加えて、信号成分とは異なる磁界(ノイズ成分という)を受けることを認識するに至った。補正値Δuの減算は、ノイズ成分を除去する処理に相当する。信号成分とノイズ成分は、異なる温度依存性を有しうる。また、信号成分とノイズ成分は、アクチュエータの電流に対して、異なる依存性を有しうる。
そこで補正回路206は、第1検出コードuから、アクチュエータ106の電流iDRVに応じた補正値Δuを減算し、残りの成分にもとづいて第2検出コードuを生成する。電流iDRVは、測定値(検出値)であってもよいし、その指令値であってもよい。
以上がアクチュエータドライバ200の基本構成である。
このアクチュエータドライバ200によれば、第1検出コードuに応じた値から補正値Δuを減算することにより、位置検出素子110が周囲から受けるノイズの影響を除去あるいは低減できる。これにより、線形補償、温度補償の精度を高めることができ、ターゲットコードuに対してレンズ104を線形に制御可能となる。
補正値Δuは、電流iDRVを用いて、ある関数Δu=h(iDRV)で表すことができる。関数h(iDRV)は、線形補償および温度補償が十分な精度が得られるように定めればよい。
図4は、位置検出素子110とアクチュエータ106を模式的に示す図である。アクチュエータ106は、コイル106aと、可動子側の永久磁石106bを備える。ホール素子などの磁気的な位置検出素子110は、永久磁石106bから受ける磁界Hsigにもとづいて、可動子の変位xに応じた位置検出信号Sを生成する。
ここでアクチュエータ106のコイルに電流iDRVが流れると、電流iDRVに比例した磁界HNOISEが発生し、この磁界HNOISEが位置検出素子110に入射する。このため、位置検出信号Sには、アクチュエータ106の変位xに依存した磁界Hsigに起因する成分と、ノイズとなる磁界HNOISEに起因する成分が含まれる。本発明者らが検討したところ、2つの磁界HsigとHNOISEは、異なる温度特性を有しており、このことが従来の温度補償、線形補償では、精度的に不十分であったことの要因であることを認識した。
磁界HNOISEに起因する成分を除去するためには、補正値Δuは、係数cを用いて、c×iDRVとすればよい。
Δu=c×iDRV
なお補正値Δuを、より高次の関数で定義してもよい。
Δu=c×iDRV+c×iDRV +c×iDRV ・・・
続いて補正回路206による線形補償および温度補償の具体例について説明する。
(第1の補償方法)
温度センサ116が検出した温度Tに応じて、係数cは異なる値に設定される。すなわち係数cは、温度依存性を有している。以下、ある温度における係数cを、cと記す。温度Tと係数cの関係は、テーブルあるいは演算式の形でアクチュエータドライバ200に保持される。
温度センサ116が検出した温度がTであるとき、
Δu=c×iDRV
となり、第1中間コードvが以下の式で計算される。
=u−Δu=u−c×iDRV
補正回路206は、第1中間コードvに、温度Tに依存した第2係数dを乗算して第2中間コードvを生成する。ある温度Tにおける第2係数dを、dと記す。
=d×v
ここまでの処理は温度補償である。続いて補正回路206は線形補償を行う。補正回路206は、そして第2中間コードvを、予め規定された関数g(v)に代入することにより、第2検出コードuを生成する。
=g(v
第2中間コードvと第2検出コードuの関数gの導出を説明する。図5(a)〜(c)は、補正回路206の線形補償を説明する図である。図5(a)は、第2検出コードuとレンズ104の実際の変位xが満たすべき関係式を表しており、
=ax+b
で表される。a,bは定数である。サーボがかかっている状態では、第2検出コードuとターゲットコードuは等しいから、図5(a)は、ターゲットコードuとレンズ104の変位の目標とする特性と捉えることもできる。
カメラモジュール100の検査段階において、第1検出コードuと変位xの関係が測定される。測定は基準となる温度T(たとえば室温30℃)で行えばよい。たとえばターゲットコードuをスイープさせて、レンズ104の変位xを変化させながら、変位xの正しい値と、第1検出コードuの関係を取得する。変位xの正しい値はレーザ変位計などを用いて測定できる。図5(b)は、第1検出コードuと変位xの関係を示す。
所定の第4係数をαとするとき、図5(b)の関係にもとづいて、
u=u−αx
で与えられるコードuと、レンズ104の実際の変位xとの関係x=f(u)が取得される。この関係x=f(u)は図5(c)に示される。
なお、αxは、上述のΔu=c×iDRVに対応する項である。なぜなら変位xと駆動電流iDRVの間に比例関係が成り立つからである。
図5(a)と図5(c)の関係が得られているとき、補正回路206は、以下の関数にもとづいて第2検出コードuを生成することができる。
=g(v)=a・f(v)+b
(第2の補償方法)
第1の補償方法では、温度補償を行った後に、線形補償を行ったが、第2補償ではそれらの順序が異なっている。
補正回路206は、第1検出コードuに温度Tに依存した第3係数eを乗算し、第3中間コードvを生成する。ある温度Tにおける第3係数eをeと記す。
=e×u
そして、第3中間コードvから、補正値Δuを減算して第4中間コードvを生成する。
=v−Δu=e・u−c×iDRV
そして第4中間コードvを、予め規定された関数g(v)に代入することにより、第2検出コードuを生成する。
=g(v)=a・f(v)+b
この関数g(v)は、第1の補償方法と同様である。
本発明は、図3のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や変形例を説明する。
図6(a)〜(c)は、従来の温度補償技術を説明するための図である。図6(a)は、あるアクチュエータのAF方向の位置検出信号と実際の変位との関係の温度特性を示すグラフである。縦軸が位置検出信号であり、アンプゲイン等の条件によって値が変わるため数値は省略しているが、温度ごとの測定はすべて同じ条件である。横軸が実際の変位を示している。位置検出素子は磁気的な手段であるホール素子を用いている。また、駆動手段は、コイルと永久磁石との磁気的作用を利用した、いわゆるボイスコイルモータである。図6(a)の結果からもわかるように、位置検出信号と実際の変位との関係は温度によって変化している。
図6(b)は、図6(a)の結果に対して、傾き成分とオフセット成分を温度によって補正した結果を示す図である。オフセット成分については、図6(a)の結果の段階で原点を通るように補正されているため、実際には傾き補正のみを実施している。図6(b)からも明らかなように、ひとつの傾き補正係数だけでは、全ストローク範囲の補正はできない。図の右側がマクロ側、左側が無限遠側であるが、無限遠近傍側の傾きを補正しようとすると、マクロ側の傾きがずれてしまっている。逆に、図示はしないが、マクロ側の傾きを補正しようとしたら、無限遠側の傾きがずれてしまうことになる。
図6(c)は、図6(b)の結果に対して、30℃における位置検出信号と実際の変位との関係を用いて線形補償を行った結果を示す図である。図6(b)において、各温度における上記関係が一致していない、すなわち温度補償が完全ではないため、図6(c)においても各温度の補正結果に差があり、かつ5℃、55℃では直線からもずれてしまう。線形補償の際に、各温度における位置検出信号と実際の変位との関係を用いてその温度の直線化を行えば、線形補償も温度補償も改善されるが、様々な温度における位置検出信号と実際の変位との関係を事前にすべて測定しておき、すべての関係をメモリに保存しておくことは、生産性、メモリ容量の両面から望ましくない。
本実施の形態では、レンズを位置決めするアクチュエータを駆動するアクチュエータドライバについて説明する。まずは、撮像レンズを動かすアクチュエータの構成について簡単に説明する。図7は、撮像装置を示す図である。撮像装置300は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スマートフォンやタブレット端末に内蔵されるカメラモジュールである。撮像装置300は、撮像素子302、レンズ304、プロセッサ306およびレンズ制御装置400を備える。レンズ304は、撮像素子302に入射する光の光軸上に配置される。たとえばレンズ304はオートフォーカス(AF)用レンズであってもよいし、手ぶれ補正用レンズであってもよい。レンズ制御装置400は、プロセッサ306からの位置指令値(ターゲットコードとも称する)PREFにもとづいて、レンズ304を位置決めする。PREFは、上述のuに相当する。
たとえばレンズ304がAF用レンズの場合、レンズ制御装置400は、レンズ304を光軸方向(Z軸方向)に変位させる。プロセッサ306は、撮像素子302が撮像した画像のコントラストが高くなるように、位置指令値PREFを生成する(コントラストAF)。あるいは撮像素子302の外部に設けられ、あるいは撮像面に埋め込まれたAFセンサからの出力にもとづいて、位置指令値PREFが生成されてもよい(位相差AF)。
レンズ304が手ぶれ補正用レンズの場合、レンズ制御装置400はレンズ304を撮像素子302と平行な面内でX軸および/またはY軸方向に変位させる。プロセッサ306は、ジャイロセンサからの出力にもとづいて、位置指令値PREFを生成する。
以下では、レンズ304をAF用レンズとして説明を進める。
レンズ制御装置400は、位置フィードバックにより、アクチュエータ402を制御する。具体的にはレンズ制御装置400は、アクチュエータ402、位置検出素子404、温度検出素子406およびアクチュエータドライバIC(Integrated Circuit)500を備える。アクチュエータ402は、たとえばボイスコイルモータであり、その可動部が、レンズ304のホルダー308と接続されている。ボイスコイルモータの固定部は、撮像装置300の筐体に対して固定されている。
位置検出素子404は、たとえばホール素子などの磁気的検出手段が多く用いられており、ここではホール素子を前提に説明する。ボイスコイルモータの可動部、たとえばホルダー308には、永久磁石310が取り付けられ、固定部にはホール素子312が取り付けられる。これらの組み合わせにより位置検出素子404が形成される。一方、レンズ304およびホルダー308を駆動するため、ホルダー308にはコイル314が、固定部には永久磁石316が配置されている。コイル314に電流を印加することにより、フレミングの左手法則にしたがって、レンズ304およびホルダー308は一体的に駆動される。
可動部と固定部が相対変位すると、ホール素子312に入力される永久磁石310からの磁気が変化する。それと同時に、コイル314に電流を印加することにより、コイルが磁界を発生し、その一部の磁束がホール素子312に入射し、ノイズ成分となる。以下、この現象を磁気かぶりと呼ぶ。すなわち、ホール素子は、磁気変化、すなわちアクチュエータ402の変位、言い換えればレンズ304の現在の位置に応じた電気信号(以下、位置検出信号PFBという)を生成するが、同時にコイルへの通電で発生した磁界によるノイズまでも電気信号として生成してしまう。位置検出信号PFBは、アクチュエータドライバIC500にフィードバックされる。位置検出信号PFBは、上述の第1検出コードuに相当する。
アクチュエータドライバIC500は、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。ここでの「集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
アクチュエータドライバIC500は、フィードバックされた位置検出信号PFBが、位置指令値PREFと一致するように、アクチュエータ402をフィードバック制御する。
このようにレンズ304の位置を検出して、これをフィードバックして位置制御に用いることにより、ステップ応答における過渡振動を抑えて収束を速めたり、目標位置への高速アクセスを実現したりできる。
理想的には、位置検出素子404の出力(すなわち位置検出信号PFB)もしくはそれに対応する位置指令値PREF(以下、これを変数yとしても表記する)と、レンズ304(アクチュエータ402)の実際の変位(以下、これを変数xとして表記する)の関係(以下、x−y特性ともいう)は線形かつ温度変動等に関して不変であり、ばらつきも存在しないことが望ましい。しかしながら現実的には、x−y特性は非線形であり、また撮像装置300ごとにばらつきが存在し、さらに、位置検出素子404の温度によってもそれらの関係(x−y特性)は変動する。したがって、位置検出信号PFBと位置指令値PREFが一致するように制御したとしても、この関係(x−y特性)が変化すると、レンズ304の実際の位置が変化することになる。
たとえば、位置検出素子404が、永久磁石310とホール素子312の距離の変化を検出するような構成になっていた場合、x−y特性は非線形となり、位置検出信号はおおよそ変位の2次関数となる。これを、y=p+piと表す。yは変位によって生じる位置検出信号成分である。iはコイルに印加する電流であり、磁束密度が一定、可動部を支持するバネのバネ定数が一定などの条件のもとでは、変位xは印加電流iに比例するので(フレミングの左手法則、フックの法則)、この式はx−y特性を表している。なお、pとpは定数であり、温度によって変化する値である。ここでの電流iは上述の電流iDRVに相当する。
一方、コイル314への通電によって発生する磁界の一部がホール素子312にも入射してノイズとなる。コイル314への通電による磁界の大きさは印加電流iに比例するので、これをy=piと表す。yはコイル磁界による位置検出信号成分である。pは定数であり、温度によって変化する値である。yは上述の補正量Δuに相当する。
説明を簡略化するため、一旦温度によるオフセット成分の変化は無視する。yとyは温度の影響を受け、ある係数の掛け算で変化する。すなわち、温度によってx−y特性の傾きが変化する。これを式で表すと、y'=q、y'=qとなる。qとqは温度による変化を示す係数であり、qにはホール素子の温度特性のほか、永久磁石の熱減磁の影響も受けるのに対し、qは永久磁石の熱減磁の影響がないことなどからも考えて、qとqは異なる係数となる。
したがって、温度の影響を受ける前の位置検出信号は、y+y=p+(p+p)i、温度の影響を受けた後の位置検出信号は、y'+y'=q+(q+q)i、となる。このような関係の場合、y'+y'に何らかの係数を掛けたとしても、y+yに戻すことはできない。これが、全ストローク範囲にわたってひとつの補正係数では補正できない理由と考えられる。なおこの考察を当業者の一般的な認識と捉えてはならない。
これに対して、変位による位置検出信号成分が2次関数でなく1次関数だったとする。式で表すと、y=pi、となる。この場合は、y+y=(p+p)i、y'+y'=(q+q)i、となるので、y'+y'に対して補正係数(p+p)/(q+q)を掛け算してやることで、y+yへと補正することが可能である。
上記の対策はアクチュエータの位置検出特性の改善を待つしかないので、本願では別の対策を提案する。それは、変位による位置検出信号成分とコイル磁界による位置検出信号成分を別々に補正し、コイル磁界による位置検出信号成分を除去することである。コイル磁界による位置検出信号成分がなかったとすると、y=p+pi、であるが、y'=qとなるだけなので、1/qを補正係数として掛け算してやると、y'をyに戻すことができる。
図7に戻って、アクチュエータドライバIC500は、後に詳述するように、x−y特性を補正する機能を備える。この補正機能は、変位によって生じる位置検出信号成分と、コイルへの通電にともなって発生する磁界によって生じる位置検出信号成分の、それぞれに対して個別に温度補償を行うものである。この補正のために、温度検出素子406が設けられる。温度検出素子406は、位置検出素子404の温度を検出する。なお、位置検出素子404の温度と周囲温度が一致する場合、あるいは強い相関を有する場合、温度検出素子406は周囲温度を測定してもよい。検出された温度情報Tは、アクチュエータドライバIC500に入力される。アクチュエータドライバIC500は、温度情報Tにもとづいて、アクチュエータ402の駆動制御を補正する。温度検出素子406は、サーミスタやポジスタ、熱電対などであってもよい。あるいは後述するように、温度検出の対象である位置検出素子404がホール素子である場合、ホール素子を温度検出素子406として利用してもよい。
最も厳密には、以下のフローによって、温度変動や個体ばらつきのない制御が可能となる。
1. 製品出荷前に、すべての個体について、複数の温度それぞれにおいて、位置検出信号yと実際の変位xの関係(x−y特性)を測定しておく。
2. 予め測定しておいた関係のうち現在の温度に対応するひとつを参照し、位置検出信号に対応する変位を取得する。
しかしながら、このフローでは、出荷前において膨大な検査時間を要することとなる。また、アクチュエータドライバICの内部に、複数の温度ごとのx−y特性を保持しておく必要があるため、大容量のメモリが必要となる。特に、x−y特性が非線形である場合には、この問題は深刻である。
以下では、小さいメモリ容量で、温度変動や個体ばらつきを抑制した制御を行うための補正処理について、第1実施形態から第2実施形態を参照して説明する。以下で説明する補正処理は、大きく、位置検出信号(位置指令値)と実際の変位を線形化する線形補償と、温度変動を補正する温度補償と、を含む。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について、図8ないし図12(a)〜(c)を用いて説明する。図8は、第1実施形態に係るレンズ制御装置における温度補償と線形補償の処理を示すフローチャートである。図9は、所定の温度における位置検出信号と実際の変位の関係および磁気かぶり補正実施後の関係を示す図である。図10は、線形補償を行うときに必要となる位置検出信号と変位の関係の傾きとオフセットを算出する方法を説明するための図である。図11は、位置検出信号と変位との関係が、温度によってどのように変化するかを説明する測定結果を示す図である。図12(a)は、図11の各温度における位置検出信号と変位との関係の測定結果に対して、磁気かぶり成分を除去した後の結果を示す図である。図12(b)は、図12(a)の磁気かぶり成分除去を行った結果に対して、各温度ごとの温度補正係数を掛けて温度補償を行った結果を示す図である。図12(c)は、図12(b)の温度補償を行った結果に対して、直線化処理を行った結果を示す図である。
図8を参照して、温度補償と線形補償の全体の処理を説明する。第1実施形態では、位置検出信号に対して磁気かぶり成分の除去と温度変化に対する係数補正を行うとともに、ひとつの所定温度における位置検出信号と変位との関係を利用して、各温度での線形補償を行う。
処理1〜4は、撮像装置300の製造後、出荷前の検査工程で行われ、処理5は開発段階の実験データなどから設定される。処理1では、所定温度(基準温度ともいう)T、たとえば製造工場の設定温度などにおいて、位置検出信号y(図7の位置検出値PFB)と変位xの関係(x−y特性)を取得しておく。位置検出信号yは、ホール素子の出力電圧でもよい。位置検出信号yは、第1検出コードuに相当する。サーボをかけて測定する場合はターゲットコード(図7の位置指令値PREF)でもかまわない。なぜならターゲットコードは目標のアクセス位置を示すコードであり、サーボをかけて目標位置に収束させると、ホール素子の出力電圧と等価になるからである。変位xは、レーザ変位計などを用いて、撮像レンズの変位を直接測定するとよい。このようにして測定された位置検出信号yと変位xとの関係は、直線性が保たれているとは限らないし、温度がTから変化することによって関係も変化することが考えられる。処理1は、すべての個体について行われる。
このようにして測定されたx−y特性の結果の例を図9の実線で示す。この例では基準温度Tを30℃としている。測定されたホール素子による位置検出信号の中には、磁気かぶりによる成分と変位による成分の両方が含まれていると考えられる。
処理2では、線形関数y=ax+bを設定する。線形関数y=ax+bの傾きaと切片bは、処理1で得られたx−y特性を考慮して規定することが望ましい。たとえばx−y特性を線形近似することにより、傾きa、切片bを求めてもよい。なお、線形関数y=ax+bは、基準温度Tにおけるx−y特性とは無関係に定めてもよい。
測定時に0点調整を行った場合は、測定段階から原点を通る、すなわちb=0となるため、傾きaのみを求めればよい。一方、測定結果が原点を通らない場合、オフセット補正(b≠0)を行って原点を通るようにシフトさせてもよいし、図10に示すように、測定結果10の任意の2点、たとえば実用ストローク範囲の両端の2点(x01,y01)と(x02,y02)を結ぶ直線11としてy=ax+bを規定してもよい。
処理3では、処理1で測定した位置検出信号yと変位xの関係(x−y特性)に対して、磁気かぶり成分を除去する。磁気かぶり成分は印加電流iに比例し、磁束密度が一定、バネ定数が一定であるならば変位xもiに比例する。したがって、ここでは変位xに係数cを掛けて磁気かぶり成分を引き算している。もちろん、係数cの値は異なるが、電流iに係数を掛けて引き算してもかまわない。
位置検出信号yから磁気かぶり成分を引き算した結果を図9の2点鎖線で示す。この結果が、この後の様々な補正処理の基準となる。
処理4では、磁気かぶり成分を除去した後のx−y特性を関数化する。図9のグラフに対しては逆関数となるが、x=f(y)の形で関数化しておくと、後の処理がやりやすい。関数は、直線ではない関係をフィットさせるので、2次以上の関数が必要である(多項式近似)。次数を上げた方がフィット誤差は小さくなるが、計算量が増えるので、実態に合わせて次数を設定すればよい。以下の線形補償では5次関数を用いた。
x=f(y)=k+ky+k+k+k+k …(1)
なお、実際の撮像装置の中で線形補償する場合は、このような5次関数の演算を行っていると計算時間がかかり、計算途中に必要なメモリ容量も大きくなるため、関数を直線のつなぎ合わせによって補間してもかまわない。若干、計算精度が落ちる可能性はあるが、なめらかな変化を示すx−y特性のアクチュエータでは、直線補間でもほとんど影響はない。通常のカメラモジュールのAFストローク範囲であれば、16点から20点程度のポイントをつなぎ合わせた直線補間で十分である。
処理5では、実際温度Tにおける磁気かぶり成分除去のための係数c'と、変位成分に対する温度補正係数dを設定する。c'は、処理3におけるcと異なっていてもかまわない。c'とdは、個体ごとに様々な温度Tに対して設定するのが補償精度の点ではベストであるが、製品1個ごとに温度特性まで測定するのは工程コストがかさむため、現実的ではない。そこで、実験室または工程のオフラインにおいて、複数個の代表的なサンプルの温度特性を測定し、最適な補正係数c'とdを設定するのが望ましい。基準温度に対して、温度が変化すると補正係数がどのように変化するのかをつかんでおく。基準温度でのx−y特性は個体ごとに測定するので、このときの補正係数に対する変化を想定して、各温度における最適補正係数を設定する。実際温度Tは離散的でもかまわない。後述する温度測定手段で測定された実際の温度が、あらかじめ補正係数を設定した温度の中間であれば、補間計算して補正係数を設定すればよい。
図11は、基準温度(この例では30℃)を含む複数の温度におけるx−y特性の測定結果を示している。温度補償、線形補償する前の生データである。
処理6〜9は、アクチュエータドライバIC500の実動作中の処理である。実動作中に位置検出素子404から得られる位置検出信号yの値をyとする。
処理6では、実際に検出された位置検出信号yに対して、温度Tに対してあらかじめ設定した係数c'を用いて磁気かぶり成分を除去する。製品状態では変位xを測定することが困難なため、ここでは動作電流に係数c'を掛けて、位置検出信号yから引き算する。yは第1中間コードv、yは第1検出コードuに対応する。
位置検出信号から磁気かぶり成分を除去した後のx−y特性の結果を図12(a)に示す。x−y特性は2次曲線を示しているが、各温度の結果はほぼ傾き(係数)が変化しているだけの状態になっている。
処理7では、磁気かぶり成分を除去した後の位置検出信号yに対して温度補正を行う。温度ごとに設定された補正係数dを掛けて、傾きを補正する。yは第2中間コードvに対応する。
温度補償後のx−y特性の結果を図12(b)に示す。複数の温度における結果がひとつの曲線にほぼ重なっているのがわかる。ちなみに、30℃の結果は、図9におけるx=f(y)のグラフに相当する。
処理8および9では、図12(b)のような2次関数に対して直線化処理を行う。まずは、関数fを用いて位置検出信号に対する変位を求める。ここで、位置検出信号は、30℃においてはy、他の温度ではその温度での補正後のyとなる。関数fは30℃におけるx−y特性に対して設定した関数であるが、他の温度でも同じ関数を用いる。上述の通り、各温度においても当該温度で設定される関数を用いると補正の精度アップができるが、各温度の関数を設定するには各温度の温度特性を各サンプルに対して測定する必要があるため、現実的ではなく、この例のようにすべての温度に対して30℃の関数を用いることとする。
次に、このようにして求められた変位xを最初に設定した線形関数y=ax+bにあてはめて、線形補償された位置検出信号の値を算出する。yは第2検出コードuに対応する。
線形補償後のx−y特性の結果を図12(c)に示す。30℃の関数を用いているので、30℃の結果の直線性は良好であるが、他の温度では若干ではあるが直線からのずれ(誤差)が見られる。しかしながら、従来の補償方法を用いた場合の例である図6(c)の結果と比べると、はるかに直線性が優れており、温度による変化も抑えられている。
このように、位置検出信号の磁気かぶり成分と変位成分に対して個別に温度補償を行い、さらに線形補償を行うことにより、線形性を有し、温度によらず一定の位置検出信号と変位との関係が得られる。サーボが安定した状態では位置検出信号と位置指令値は等しいから、位置指令値と変位は、温度や個体ばらつきによらずに、線形で安定な関係を保つことになる。すなわち、プロセッサ306からみると、温度やばらつきによらずに、ある位置指令値PREFに対して、レンズ304を同じ位置に変位させることができる。
なお、図8のフローは一例を示すもので、処理の順序まですべて規定するものではない。たとえば、先に変位成分に対する温度補償を行い、温度補償後の結果に対して磁気かぶり成分の除去を行ってもかまわない。このように手順を逆にした場合の例については、第2実施形態として説明する。
また、磁気かぶり成分を「除去する」として説明したが、完全に除去することがベストであるものの「低減する」でも温度補償、線形補償の効果は得られるので、完全に除去することに限定される訳ではない。
また、コイル磁界による位置検出信号成分の温度補償を行うかどうかの切換手段を有していてもよい。元々、位置検出信号における磁気かぶり成分が小さい場合には、補正できたとしても効果は微々たるものであり、補正係数の個体ばらつきの影響などにより、補正した方がかえって悪くなるケースも考えられるためである。また、アクチュエータのx−y特性が、元々線形に近い場合などは、位置検出信号の変位による成分も磁気かぶりによる成分もほぼ電流に比例することになり、両方を考慮したひとつの補正係数で温度補償が実現できる。このように、磁気かぶり成分の温度補償の効果がないときや逆効果になる場合には、磁気かぶり成分に対する温度補償をカットすることがのぞましい。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について、図13ないし図14(c)を用いて説明する。図13は、第2実施形に係るレンズ制御装置における温度補償と線形補償の処理を示すフローチャートである。図14(a)は、図11の各温度における位置検出信号と変位との関係の測定結果に対して、各温度ごとの温度補正係数を掛けて温度補償を行った結果を示す図である。図14(b)は、図14(a)の温度補償を行った結果に対して、磁気かぶり成分を除去した後の結果を示す図である。図14(c)は、図14(b)の磁気かぶり成分を除去した後の結果に対して、直線化処理を行った結果を示す図である。
図13のフローが図8のフローと大きく異なるのは、磁気かぶり成分の除去と変位成分の温度補償の順番が逆になっている点である。温度補償に用いられる各種係数の値は第1実施形態とは異なるが、順番を入れ替えても温度補償、線形補償は実現できる。
図13の処理21〜24は、第1実施形態における処理1〜4と同じなので説明を省略する。
処理25では、実際温度Tにおける磁気かぶり成分除去のための係数c''と、変位成分に対する温度補正係数d'を設定する。c''およびd'は、第1実施形態におけるc'およびdとは異なった値となる。処理の順序が異なるために、途中の補正係数も異なる。c''とd'や温度Tの設定方法は、第1実施形態と同じである。
処理26では、実際に検出された位置検出信号yに対して、温度Tに対してあらかじめ設定した係数d'を掛けて、傾きを補正する。補正後の位置検出信号yは第3中間コードvに対応する。
位置検出信号に対して温度ごとに傾き補正した後のx−y特性の結果を図14(a)に示す。
処理27では、温度補償後の位置検出信号yに対して磁気かぶり成分を除去する。製品状態では変位xを測定することが困難なため、ここでは動作電流に係数c''を掛けて、位置検出信号yから引き算する。除去後の信号yは、第4中間コードvに相当する。
磁気かぶり成分除去後のx−y特性の結果を図14(b)に示す。複数の温度における結果がひとつの曲線にほぼ重なっているのがわかる。
処理28および29では、図14(b)のような2次関数に対して直線化処理を行う。直線化後の信号yは、第2検出コードuに対応する。この工程は、第1実施形態の場合と同じなので、詳細な説明は省略する。
線形補償後のx−y特性の結果を図14(c)に示す。第1実施形態の場合の温度補償、線形補償後の結果(図12(c))とほぼ同等の結果が得られた。30℃の関数を用いているので、30℃の結果の直線性は良好であるが、他の温度では若干ではあるが直線からのずれ(誤差)が見られる。しかしながら、従来の補償方法を用いた場合の例である図6(c)の結果と比べると、はるかに直線性が優れており、温度による変化も抑えられている。
以上のように、得られた補償後の結果は第1実施形態とほぼ同等であるが、補正係数c''およびd'を設定する上で、両者が複雑に絡み合うため、先にノイズ成分である磁気かぶり成分を除去した上で温度補償の係数を設定した方が、係数の設定が容易となる。したがって、係数の設定のしやすさの点で第2実施形態よりも第1実施形態の方が望ましい。
<温度検出について>
続いてレンズ制御装置400の具体的な構成例を説明する。
図15は、レンズ制御装置400の具体的なブロック図である。位置検出素子404はホール素子32であり、アクチュエータ402の可動部の変位に応じたホール電圧V+,V−を発生し、アクチュエータドライバIC500のホール検出ピン(HP,HN)に供給する。
位置検出部510は、ホール電圧V+,V−にもとづいて、アクチュエータ402の可動部の位置(変位)を示すデジタルの位置検出値PFBを生成する。位置検出部510は、ホール電圧を増幅するホールアンプ512と、ホールアンプ512の出力をデジタル値の位置検出値PFBに変換するA/Dコンバータ514を含む。
温度検出部520は、温度を示す温度検出値Tを生成する。上述したように、温度は、位置検出素子404の温度を示すことが望ましい。図15では、位置検出素子404であるホール素子32を、温度検出素子406としても利用する。これは、ホール素子32の内部抵抗rが温度依存性を有することを利用したものである。温度検出部520は、ホール素子32の内部抵抗rを測定し、温度を示す情報として利用する。
温度検出部520は、定電流回路522とA/Dコンバータ524を含む。定電流回路522は、ホール素子32に所定のバイアス電流IBIASを供給する。このバイアス電流IBIASは、ホール素子32を動作させるために必要な電源信号でもあり、したがって定電流回路522は、ホールバイアス回路として把握することができる。
ホール素子32の両端間には、電圧降下IBIAS×rが発生する。この電圧降下は、ホールバイアスピン(HB)に入力される。A/Dコンバータ524は、HBピンの電圧VHB(=IBIAS×r)をデジタル値Tに変換する。バイアス電流IBIASは既知で一定であるから、デジタル値Tは内部抵抗rに比例する信号であり、したがって、ホール素子32の温度の情報を含んでいる。内部抵抗rと温度の関係は事前に測定し、関数化し、またはテーブル化されており、後段の補正部530において、デジタル値Tが温度情報に変換される。
インタフェース回路540は、プロセッサ306から、アクチュエータ402の可動部の目標位置を示すターゲットコードTCを受信する。たとえばインタフェース回路540が、IC(Inter IC)などのシリアルインタフェースであってもよい。フィルタ550はインタフェース回路540が受信したターゲットコードTCをフィルタリングし、位置指令値PREFを生成する。
補正部530は、位置検出部510からの位置検出値PFBを補正する。具体的には、補正部530は、線形補償部532、温度補償部534、メモリ536を含む。線形補償部532は、位置検出値PFBと実際の変位の関係(上述のx−y特性)の直線性を補正する。メモリ536には、上述のパラメータa,b,関数x=f(y)を記述するデータ(たとえば係数k〜k)、パラメータc,dなどが格納される。メモリ536は、ROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリであってもよいし、回路の起動のたびに外部のROMから供給されるデータを一時的に保持する揮発性メモリであってもよい。
温度補償部534は、位置検出値PFBと実際の変位との関係に対して、温度変化によって関係が変化するのを補正する。
コントローラ560は、位置指令値PREFと、補正部530による補正後の位置検出値PFB_CMPを受ける。コントローラ560は、位置検出値PFB_CMPが位置指令値PREFと一致するように、制御指令値SREFを生成する。アクチュエータ402がボイスコイルモータである場合、制御指令値SREFはボイスコイルモータに供給すべき駆動電流の指令値である。コントローラ560は、たとえば誤差検出器562とPID制御器564を含む。誤差検出器562は、位置検出値PFB_CMPと位置指令値PREFの差分(誤差)ΔPを生成する。PID制御器564は、PID(比例・積分・微分)演算によって、制御指令値SREFを生成する。PID制御器564に換えて、PI制御器を用いてもよいし、非線形制御を採用してもよい。係数回路566は、PID制御器564の出力に係数(ゲインG)を乗算する。
ドライバ部570は、制御指令値SREFに応じた駆動電流をアクチュエータ402に供給する。
図15からもわかるように、ホール素子32からのホール電圧V+,V−は、制御電流の印加とは別の端子から出力される。すなわち、形状記憶合金のように、抵抗値変化の中に温度変化による成分と変位による成分とが混在するようなことがなく、高精度に位置検出と温度検出を両立できる。
補正部530およびコントローラ560の処理は、加算器、乗算器などのハードウェアによって実現してもよいし、CPUとソフトウェアプログラムの組み合わせによって実現してもよい。
以上のようなレンズ制御装置は、携帯電話用のカメラモジュールなどに用いられる。特に、本発明のレンズ制御装置の好適な応用のひとつは、位相差検出機能を備えた撮像素子を有する撮像装置である。位相差検出を利用することにより、焦点のずれ、方向が判別できるため、あらかじめ位置検出信号と関係付けをしておくことで、現在位置から合焦位置までの位置検出信号の必要変化量が判別でき、目標の位置検出信号のコード位置までアクセスすることで、ダイレクトに合焦状態が得られる。ただし、ここで目標位置までの位置検出信号の変化量を演算する場合に線形演算が用いられるため、位置誤差を低減するためには、位置検出信号と変位との関係の線形化が重要となる。さらに、温度によってこの関係が変化してしまうと、目標位置のコード番号の位置まで変位しても、目標位置からずれてしまうため、温度補償も重要となる。本発明を利用することで、線形補償と温度補償が両立できるため、本発明は位相差検出機能を備えた撮像素子を有する撮像装置に適用するのが好適である。
本発明のレンズ制御装置の好適な応用のもうひとつは、デュアルカメラのように複数のカメラを搭載した撮像装置である。2つのカメラを連動させ、2つのカメラの画像を合成処理して、たとえばズーム画像を得るような応用が考えられている。この場合に、2つのカメラのレンズ位置を連動させる手立ては位置検出信号である。初期状態で両者の連動が取れるようにキャリブレーションし、線形補償を実施していたとしても、温度によってこの関係がずれてしまうと位置誤差となって、画像に影響を及ぼしかねない。とくに、2つのカメラの温度特性が異なる場合は、所定の位置まで動く命令に誤差が生じるのはもちろんだが、そのずれ量に差があるため、一様な温度補償では正しい位置制御ができなくなる。本発明を利用することで、線形補償と温度補償が両立でき、かつカメラごとに補償を実行できるので、本発明はデュアルカメラのような複数のカメラを搭載した撮像装置に適用するのが好適である。
なお、実施の形態では、主としてアクチュエータのコイルが発生する磁界をノイズと捉えて、それを除去、低減する場合を説明したが、本発明はそれに限定されない。アクチュエータのコイルからの磁界に代えて、あるいはそれに加えて、位置検出信号S2にノイズを及ぼす周辺回路が存在する場合、その影響を除去するために本技術を用いることができる。
300…撮像装置、302…撮像素子、304…レンズ、306…プロセッサ、400…レンズ制御装置、402…アクチュエータ、404…位置検出素子、406…温度検出素子、500…アクチュエータドライバIC、510…位置検出部、512…ホールアンプ、514…A/Dコンバータ、520…温度検出部、522…定電流回路、524…A/Dコンバータ、530…補正部、532…線形補償部、534…温度補償部、540…インタフェース回路、550…フィルタ、560…コントローラ、562…誤差検出器、564…PID制御器、570…ドライバ部、32…ホール素子。

Claims (9)

  1. 撮像装置に使用されるアクチュエータドライバであって、
    前記撮像装置は、
    撮像素子への入射光路上に設けられたレンズと、
    前記レンズを変位させるアクチュエータと、
    前記レンズの変位を示す位置検出信号を生成する磁気的な位置検出素子と、
    前記レンズの目標変位を示すターゲットコードと前記位置検出信号にもとづいて前記アクチュエータをフィードバック制御する前記アクチュエータドライバと、
    温度センサと、
    を備え、
    前記アクチュエータドライバは、
    前記位置検出信号に応じた第1検出コードを、前記レンズの実際の変位に対して線形補償され、温度補償された第2検出コードに変換する補正回路と、
    前記第2検出コードが前記ターゲットコードに近づくように前記アクチュエータを制御する制御回路と、
    を備え、
    前記補正回路は、前記第1検出コードから、前記アクチュエータの電流に応じた補正値を減算し、残りの成分にもとづいて前記第2検出コードを生成することを特徴とするアクチュエータドライバ。
  2. 前記補正値は、前記アクチュエータの電流iDRVおよび第1係数cを用いて、c×iDRVで表されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータドライバ。
  3. 前記第1係数cは温度依存性を有することを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータドライバ。
  4. 前記補正回路は、
    前記第1検出コードから、前記補正値を減算して第1中間コードを生成し、
    前記第1中間コードに、温度に依存した第2係数を乗算して第2中間コードを生成し、
    前記第2中間コードを、前記予め規定された関数に代入することにより、前記第2検出コードを生成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアクチュエータドライバ。
  5. 前記補正回路は、
    前記第1検出コードに第3係数を乗算して第3中間コードを生成し、
    前記第3中間コードから前記補正値を減算して第4中間コードを生成し、
    前記第4中間コードを、前記予め規定された関数に代入することにより、前記第2検出コードを生成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアクチュエータドライバ。
  6. 前記第3係数は温度依存性を有することを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータドライバ。
  7. 所定の第4係数をα、前記第1検出コードをu、前記第2検出コードをu、前記第2中間コードをv、前記第4中間コードをvとするとき、
    u=u−αx
    で与えられるコードuと前記レンズの実際の変位xとの関係が、x=f(u)として表され、
    前記第2検出コードuと前記レンズの実際の変位xの間に成り立つべき関係式がu=ax+bとして規定されているとき、
    前記第2検出コードuは、
    =a・f(v)+b
    =a・f(v)+b
    で計算されることを特徴とする請求項4または5に記載のアクチュエータドライバ。
  8. ひとつの基板に一体集積化されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のアクチュエータドライバ。
  9. 撮像装置であって、
    撮像素子と、
    前記撮像素子への入射光路上に設けられたレンズと、
    前記レンズを光軸と垂直な面内で変位させるアクチュエータと、
    前記レンズの変位を示す位置検出信号を生成する位置検出素子と、
    前記レンズの目標変位を示すターゲットコードと前記位置検出信号にもとづいて前記アクチュエータをフィードバック制御する請求項1から8のいずれかに記載のアクチュエータドライバと、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
JP2017035113A 2017-02-27 2017-02-27 アクチュエータドライバおよび撮像装置 Active JP6823496B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017035113A JP6823496B2 (ja) 2017-02-27 2017-02-27 アクチュエータドライバおよび撮像装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017035113A JP6823496B2 (ja) 2017-02-27 2017-02-27 アクチュエータドライバおよび撮像装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018142806A true JP2018142806A (ja) 2018-09-13
JP6823496B2 JP6823496B2 (ja) 2021-02-03

Family

ID=63528347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017035113A Active JP6823496B2 (ja) 2017-02-27 2017-02-27 アクチュエータドライバおよび撮像装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6823496B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021024767A1 (ja) * 2019-08-02 2021-02-11 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 撮像装置および撮像装置の制御方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009145635A (ja) * 2007-12-14 2009-07-02 Sanyo Electric Co Ltd 撮像装置の防振制御回路
JP2012184983A (ja) * 2011-03-04 2012-09-27 Samsung Techwin Co Ltd 位置検出装置及び撮像装置
JP2013205550A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Olympus Corp 位置検出装置及び位置制御装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009145635A (ja) * 2007-12-14 2009-07-02 Sanyo Electric Co Ltd 撮像装置の防振制御回路
JP2012184983A (ja) * 2011-03-04 2012-09-27 Samsung Techwin Co Ltd 位置検出装置及び撮像装置
JP2013205550A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Olympus Corp 位置検出装置及び位置制御装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021024767A1 (ja) * 2019-08-02 2021-02-11 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 撮像装置および撮像装置の制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6823496B2 (ja) 2021-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102017416B1 (ko) 액추에이터 드라이버, 촬상 장치, 캘리브레이션 방법
US10897574B2 (en) Actuator driver, imaging device using the same, and imaging method
JP7032063B2 (ja) レンズ制御装置及びこれを用いた撮像装置
US20210311283A1 (en) Actuator driver
KR102130205B1 (ko) 촬상 장치
JP7192053B2 (ja) 撮像装置
US11785341B2 (en) Crosstalk correction method and actuator driver
JP7192052B2 (ja) 撮像装置およびアクチュエータドライバ
US20230288502A1 (en) Temperature control for hall bar sensor correction
JP6823496B2 (ja) アクチュエータドライバおよび撮像装置
JP5521624B2 (ja) ブレ補正機能付き撮像装置
JP6917799B2 (ja) 撮像装置
JP2019114920A (ja) アクチュエータドライバ、及びこれを用いた撮像装置、及びキャリブレーション方法
JP7299385B2 (ja) アクチュエータドライバ、およびこれを用いた撮像装置、ならびに撮像方法
JP7098773B2 (ja) アクチュエータドライバ
KR102393073B1 (ko) Pid 제어를 이용하는 렌즈구동 방법에 있어서 적분계산을 제어하는 방법 및 이를 위한 장치
JP2023087505A (ja) アクチュエータドライバ回路および撮像装置
JP2023150359A (ja) アクチュエータドライバ回路およびカメラモジュール、位置決めシステムのキャリブレーション方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200821

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201006

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6823496

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250