次に、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示すように、この実施形態(第1実施形態)に係る生体信号計測装置には、ウェアラブル生体センサ(センサチップ)としての生体信号計測器1と、生体信号計測器1に内蔵されている二次電池210に充電電力を給電する給電器(充電器)2とが含まれる。
生体信号計測器1は、基本的な構成として、一対の電極10a,10bと、生体信号処理回路100と、内部電源としての二次電池210と、二次電池210を充電するための充電回路200と、生体信号・給電電力振り分け手段300とを備えている。電極10a,10bに対して、生体信号処理回路100と充電回路200とが生体信号・給電電力振り分け手段300を介して切り換え可能に接続されている。
電極10a,10bは、生体信号計測時には生体(人体)Hに接触し、充電時には給電器2の給電端子20a,20bと接触する。すなわち、本発明において、電極10a,10bは、生体信号検出用端子と充電用端子とに兼用され、特に充電専用の端子は持たない。
なお、電極10a,10bを区別する必要がない場合には、総称として電極10と言う。同様に、給電端子20a,20bを区別する必要がない場合には、総称として給電端子20と言う。電極10は3電極以上でもよい。
生体信号処理回路100は、電極10にて検出された生体データとしての心電位、筋電位、脳波、皮膚抵抗等の電位や電流を処理する。生体信号処理回路100として、差動アンプ、A/D変換器、MCUやメモリ等を用いることができる。なお、皮膚抵抗を測る目的で、電極10を通じて生体Hに電流を流す電圧生成器もしくは電流生成器が用いられてもよい。
充電回路200は、生体信号計測器1に搭載されているリチウムイオン電池等の二次電池210(単に「電池」ということがある)を充電する。電池210は、生体信号計測器1の各部に電力を供給する。
生体信号・給電電力振り分け手段300は、生体信号計測時には生体信号を生体信号処理回路100に導き、充電時には給電器2からの給電電力を充電回路200に導く。生体信号・給電電力振り分け手段300には、いくつかの構成例がある。
まず、図2に示す第1実施例おいて、生体信号・給電電力振り分け手段300には、信号伝達回路310と電力伝達回路320とが用いられている。
信号伝達回路310は、電極10と生体信号処理回路100との間に接続され、生体信号計測時には生体信号を生体信号処理回路100に導くとともに、電池の充電時には給電電力の生体信号処理回路への流れ込みを阻止する。
電力伝達回路320は、電極10と充電回路200との間に接続され、電池の充電時には給電電力を充電回路200に導くとともに、生体信号計測時には生体信号の充電回路200への流れ込みを阻止する。
生体信号・給電電力振り分け手段300の第2実施例として、DC給電の場合には、図3に示すように、信号伝達回路310にDCカットフィルタ311が用いられる。DCカットフィルタ311は、生体信号(交流)を通過させ、DC電力の通過を阻止する。DCカットフィルタ311はキャパシタであってよい。
また、DC給電の場合には、図3に示すように、電力伝達回路320に、非線形回路321が好ましく採用される。非線形回路321は、給電電圧が高電圧のとき低インピーダンスとなり、生体電圧のように低い電圧では高インピーダンスとなり、電力伝達回路320として機能する。
非線形回路321には、図4(a)に示す4つのダイオードD1〜D4のブリッジ接続とキャパシタCとを有する非線形回路322と、図4(b)に示す4つの半導体スイッチとしてのトランジスタ(この例ではFET)Tr1〜Tr4のブリッジ接続とキャパシタCとを有する非線形回路323とを例示することができる。
非線形回路322,323は、2つの非線形素子により構成されてもよいが、4つの非線形素子でブリッジを組んで全波整流回路とすることにより、例えば給電端子20aが+極,給電端子20bが−極であるとして、電極10aに+給電端子20aが接続され、電極10bに−給電端子20bが接続され、これとは逆に、電極10aに−給電端子20bが接続され、電極10bに+給電端子20aが接続されても正常に動作する。
図4(a)に示すようにダイオードDが用いられる場合、ダイオードDの立ち上がり電圧は0.5〜0.7Vであることから、通常の生体信号ではダイオードDはオンにならない。したがって、生体信号が充電回路200に流れ込むことはない。
また、図4(b)に示すようにトランジスタ(FET)Trが用いられる場合には、トランジスタTrはしきい値によってさらにオンする電圧を高めたり、リーク電流を減らすことができる。
なお、非線形素子のダイオードDやトランジスタTrのオン抵抗や流す電流によって異なるが、DC給電として使用する電圧が例えば6〜8Vであるとすると、非線形回路322,323の出力電圧は例えば4.5〜6.5V程度となる。
次に、生体信号・給電電力振り分け手段300の第3実施例として、AC給電の場合には、図5に示すように、信号伝達回路310にローパスフィルタ312が用いられ、電力伝達回路320にハイパスフィルタ324と整流回路325が用いられる。
ローパスフィルタ312は、生体信号を通過させるが、交流の給電電力はその通過を阻止する。これに対して、ハイパスフィルタ324は、交流の給電電力を通過させるが生体信号はその通過を阻止する。
AC給電として差動構成(バランス駆動)を採用することが好ましい。その理由は、高インピーダンスである2つの電極10a,10bに対してシングルエンド構成(アンバランス駆動)を使うと、生体信号計測器1のGND(グランド)電位が不安定になり、GNDに触れると整流回路325の出力電圧が変化することがあるからである。
生体信号の周波数成分は、0.01Hz〜数kHzあたりに存在する。AC給電に使用する周波数を例えば13.56MHz(Industry−Science−Medicalバンド)とすることにより、生体信号から4桁程度離すことができ、ローパスフィルタ312を有効に使用することができる。
また、ローパスフィルタ312のカットオフ周波数を数kHz〜数10kHzとすることにより、1次のフィルタにおいても−40dB程度給電電力を減衰させることができるため、給電電力の十分な阻止性能が得られる。
なお、整流回路325には、図4(a),(b)に示した非線形回路322,323が用いられてよい。
生体信号・給電電力振り分け手段300の第4実施例として、図6に示すように、電力伝達回路320に切替回路326を用いることもできる。ここでの切替回路326は、切替制御手段327によってオンオフ駆動されるスイッチ回路で、これには、図7(a)〜(c)に示すスイッチを例示することができる。
図7(a)のスイッチは、リードスイッチ326aである。この場合には、給電器2側に切替制御手段327として永久磁石327aが設けられ、給電時(充電時)には永久磁石327aによりリードスイッチ326aがオンとなり、給電器2から充電回路200に充電電力が供給され、生体信号計測時には永久磁石327aが距離的に離されることにより、リードスイッチ326aはオフとなる。
図7(b)のスイッチは、半導体スイッチとしてのトランジスタ(この例ではFET)326bよりなり、電極10a,10b間の電圧に応じてオンオフする。切替制御手段327には、電極10a,10b間の電圧を検出するA/D変換器(コンパレータ)327bが用いられる。
これによれば、充電のため電極10a,10bに給電器2が接続され、例えば電極10a,10b間の電圧が5V以上でトランジスタ326bがオンになる。生体計測時にはオフである。
図7(c)のスイッチも、図7(b)のスイッチと同じく、半導体スイッチとしてのトランジスタ(FET)326cよりなるが、この場合には、電極10a,10b間のインピーダンスに応じてオンオフする。
切替制御手段327には、電極10a,10b間に所定周波数の測定信号を供給する信号発生器327cと、測定信号印加時の電極10a,10b間のインピーダンスを検出するA/D変換器(コンパレータ)327dが用いられる。
これによれば、充電のため給電器2が接続され、電極10a,10b間のインピーダンスが例えば100Ω以下になったときにトランジスタ326cがオンになる。ちなみに、生体信号計測時、電極10a,10b間のインピーダンスは例えば10kΩ以上の値を示す。
また、図8に示すように、生体信号・給電電力振り分け手段300の第5実施例として、切替回路330が用いられてもよい。この切替回路330によれば、電極10が生体信号処理回路100と充電回路200のいずれかに選択的に接続される。図9(a)〜(c)にその3例を示す。
図9(a)の例では、2つのリードスイッチ330a,330bが用いられる。いずれもコモン端子cにリード片を介して選択的に接続される第1接点aと第2接点bとを備えている2接点切替型である。
リードスイッチ330a,330bは、それらコモン端子cが電極10a,10b側に接続され、第1接点aは生体信号処理回路100に接続され、第2接点bは充電回路200に接続される。切替制御手段327には、先の図7(a)で説明したのと同じく給電器2側に設けられる永久磁石327aが用いられる。
これによれば、給電時(充電時)には、永久磁石327aによりリードスイッチ330a,330bがともに第2接点b側に切り替えられて給電器2から充電回路200に充電電力が供給される。
これに対して、生体信号計測時には、永久磁石327aが距離的に離されることにより、リードスイッチ330a,330bがともに第1接点a側に切り替えられ、電極10a,10bが生体信号処理回路100に接続される。
図9(b)の例では、半導体スイッチとして4つのトランジスタ(この例ではFET)Tr1〜Tr4が用いられる。
第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2は、例えばそれらのソースがともに一方の電極10a側に接続され、第1トランジスタTr1のドレインは生体信号処理回路100に接続され、これに対して、第2トランジスタTr2のドレインは充電回路200に接続される。
第3トランジスタTr3と第4トランジスタTr4は、例えばそれらのソースがともに他方の電極10b側に接続され、第3トランジスタTr3のドレインは生体信号処理回路100に接続され、これに対して、第4トランジスタTr4のドレインは充電回路200に接続される。
切替制御手段327には、先の図7(b)で説明したのと同じく、電極10a,10b間の電圧を検出するA/D変換器(コンパレータ)327bが用いられてよい。
これによれば、充電のため給電器2が接続され、例えば電極10a,10b間の電圧が5V以上になると、A/D変換器327bより第2トランジスタTr2と第4トランジスタTr4のゲートに所定の制御電圧が印加され、これにより第2トランジスタTr2と第4トランジスタTr4が導通となり(このとき第1トランジスタTr2と第3トランジスタTr4はともに非導通)、電極10に対して充電回路200が接続される。
これに対して、生体信号計測時には、電極10a,10b間の電圧が5V未満になるので、A/D変換器327bより第1トランジスタTr2と第3トランジスタTr4のゲートに所定の制御電圧が印加され、これにより第1トランジスタTr1と第3トランジスタTr3が導通となり(このとき第2トランジスタTr2と第4トランジスタTr4はともに非導通)、電極10に対して生体信号処理回路100が接続される。
図9(c)の例では、図9(b)の例と同じく、半導体スイッチとして4つのトランジスタ(FET)Tr1〜Tr4が用いられる。また、切替制御手段327には、先の図7(c)の切替制御手段と同じく、電極10a,10b間に所定周波数の測定信号を供給する信号発生器327cと、電極10a,10b間のインピーダンスを検出するA/D変換器(コンパレータ)327dが用いられる。
これによれば、充電のため給電器2が接続され、電極10a,10b間のインピーダンスが例えば100Ω以下になると、A/D変換器327dより第2トランジスタTr2と第4トランジスタTr4のゲートに所定の制御電圧が印加され、これにより第2トランジスタTr2と第4トランジスタTr4が導通となり(このとき第1トランジスタTr1と第3トランジスタTr3はともに非導通)、電極10に対して充電回路200が接続される。
これに対して、生体信号計測時には、電極10a,10b間のインピーダンスは例えば10kΩ以上になるため、A/D変換器327dより第1トランジスタTr1と第3トランジスタTr3のゲートに所定の制御電圧が印加され、これにより第1トランジスタTr1と第3トランジスタTr3が導通となり(このとき第2トランジスタTr2と第4トランジスタTr4はともに非導通)、電極10に対して生体信号処理回路100が接続されることになる。
次に、図10を参照して、給電器2について説明する。給電器2は、電圧変換器21と、充電終了判定回路22と、過電流保護回路23のほかに、通信手段24、制御部としてのMPU(マイクロプロセッサユニット)25およびメモリ26をを備えている。
電圧変換器21は、DC−DCコンバータもしくはDC−ACコンバータであってよく、例えばUSBのDC電圧(5V)をDCもしくはAC電圧に変換する。AC給電の場合には、例えば13.56MHz、片側7〜10Vp−p程度の差動電圧を出力する。DC給電の場合には、例えば6〜8Vの電圧を出力する。
充電終了判定回路22は、給電端子20a,20bにおける給電電力の減衰状態から充電終了を判定する。給電端子20a,20bに流れる電流から充電終了判定を行うことにより、判定電流が小さくなっても対応できる。
生体信号計測器1に搭載する二次電池210として、例えば10mAhの容量を用いた場合、充電終了前の充電電流は1mA程度になる。充電終了判定に用いる電流値はこれより小さい電流値となるが、抵抗やカレントトランスを用いることにより検出することができる。
過電流保護回路23は、例えば給電端子20a,20b間が何らかの原因で短絡された場合に動作し、電圧変換器21内の図示しない給電スイッチをオフにする。
また、通信手段24は、後述するように、生体信号計測器1に蓄積された生体データ等を外部機器(例えば、クラウドサーバー等)に送信する機能と、外部機器からのコマンド等を生体信号計測器1に伝達する機能とを備えている。
MPU25は、電源上の制約がある生体信号計測器1内のMCU121(図14参照)で行えないような高度な処理を行う。例えば、個人情報保護の観点から個人が特定できないような暗号化処理や匿名化処理を行う。メモリ26には、過去のデータの蓄積やクラウド上の症例データ等を一時的に保存する。
次に、図11により、生体信号計測装置の第2実施形態について説明する。この第2実施形態において、生体信号計測器1は、生体信号処理回路100内に生体を検知して自動的に電源をオンにする(立ち上げる)自動電源スイッチ110を備えている。
自動電源スイッチ110は、2入力型のコンパレータ111を有し、コンパレータ111の一方の入力端子In1には、抵抗R1と抵抗R2の各一端が並列として接続されている。抵抗R1の他端は装置内電源V0に接続され、抵抗R2の他端はグランドに接続されている。
コンパレータ111の他方の入力端子In2は、電極10bの信号線Lbと接続されており、他方の入力端子In2とグランドとの間には抵抗R4が接続されている。電極10aの信号線Laと装置内電源V0との間には抵抗R3が接続されている。
電極10a,10b間の抵抗をR5、一方の入力端子In1に印加される電圧をV1、他方の入力端子In2に印加される電圧をV2として、V1とV2は、
V1=V0×R2/(R1+R2)
V2=V0×R4/(R3+R4+R5)
で表される。
コンパレータ111は、V1とV2を比較し、V2>V1のとき電源起動IC112に起動を指示する。例えば、R2,R3,R4を10MΩ、R1を11MΩとすれば、抵抗R5の抵抗値が1MΩ以下の場合にV2>V1となり、生体に接触しているとして電源起動IC112に起動を指示し、自動的に電源をオンにする。
自動電源スイッチ110は、電源起動後に電源から切り離すことが好ましいが、上記のようにR1〜R4を高抵抗とすれば、電源起動後に自動電源スイッチ110を電源から切り離さなくても、消費電力の消耗を最小限とすることができる。
この例では、上記のようにR1〜R4を高抵抗として、コンパレータ111や各抵抗R1〜R4に流れる消費電流を1μAにして常に電極間をモニタしている。一例として、10mAhの電池で1μAの電流による半減期間は約6ヵ月であるため、生体データを採る数日間の使用には影響しない。
なお、電源起動後は、この自動電源スイッチの機能は停止させることが好ましい。その理由は、電極10a,10bに流れるDC電流が生体信号検出にとってノイズになる場合があるためである。
次に、図12により、生体信号計測装置の第3実施形態について説明する。この第3実施形態において、生体信号計測器1は、装着状態チェック機能を備えている。
生体信号計測器1の生体信号処理回路100内には、先の図11で説明した自動電源スイッチ機能のほかに本来の計測・処理機能として、皮膚抵抗計測・処理部、心電信号計測・処理部、筋電信号計測・処理部、脳波信号計測・処理部、環境物理量計測・処理部等を備えており、これらの各種データから生体信号計測器1が正しく生体に装着されているかどうかの装着状態をチェックする。
その判定方法(アルゴリズム)として、期待される信号レベルの範囲内にあるかの判定、心電波形等、期待される波形のテンプレートとの整合比較(マッチドフィルタ)、周波数解析を行って期待される周波数分布との量的比較、期待される信号対ノイズ比(S/N比)による判定等を使用できる。
その一例として、図13(a)(b)に心電波形の整合比較により装着状態を判定する手順を示す。
心電波形を例にして、まず、図13(b)の(b−1)に示すように、R波,P波,T波,Q波,S波に対してしきい値r1,r2,r3(r3<r2<r1)を設定し、R波についてはr1以上(r1≦R波)、P波,T波についてはr2以上r1未満(r2≦P波,T波<r1)、Q波,S波についてはr3未満(Q波,S波<r3)かどうかを判定する。
図13(a)を参照して、このしきい値に対する論理判定を行うにあたって、バンドパスフィルタによって、生信号から不要な信号成分を取り除く。その際、必要に応じて微分信号を用いてもよい。論理判定は、コンパレータ(デシタル、アナログどちらでも可)によって行うことができる。図13(b)の(b−2)に、しきい値に対する論理判定の結果を示すが、最大のピーク(この例ではR波)で正規化してもよい。
次に、あらかじめ用意された期待論理(判定基準となるテンプレートで、図13(b)の(b−3)参照)と、図13(b)の(b−2)に示したしきい値に対する論理判定との論理積をとる。その結果の一例を図13(b)の(b−4)に示す。
そして、ノイズ等の影響を避けるため上記論理積を一定期間積分し、整合判定として、その積分結果のしきい値判定を行う。その結果、図13(b)の(b−5)に示すように、例えばt0時点の積分結果が総合判定しきい値を超えていれば、期待する心電波形を検出したと判定、すなわち生体信号計測器1が生体Hに正しく装着されていると判定する。そうでない場合には、LEDやバイブレータ、ブザー等のアラーム手段113を動作させて装着者に装着異常であることを報知する。
次に、図14により、生体信号計測装置の第4実施形態について説明する。この第4実施形態において、生体信号計測器1は、給電器2との通信機能を備えている。
給電器2と通信を行うため、生体信号計測器1の生体信号処理回路100内には、MCU(マイクロコントローラユニット)121、メモリ122、I/Oインターフェイス123およびADC(アナログ−デジタル変換回路)124等が設けられている。
MCU121は、生体信号を処理した結果をメモリ122に蓄積し、給電器2との通信を制御する。生体信号の処理の一例として、心電波形から心拍揺らぎを求める、加速度から移動距離や運動量を求めることが挙げられる。
メモリ122には、RAM(ランダムアクセスメモリ)とROM(リードオンリーメモリ)とが含まれ、RAMにはMCU121にて処理された生体信号データ等が保存され、ROMには処理プログラム等が書き込まれる。
I/Oインターフェイス123は、給電器2にデータを送るための信号を生成する。また、ADC124は、給電器2からデータや計測プログラム等を受信し、ファームウェアの入替等を行う。
給電器2との通信機能の他の実施形態(本発明の第5実施形態)として、図15に示すように、接続検知手段としてのウェークアップ(Wakeup)回路131、変調用のスイッチ(SW)132、ADC133、誤り訂正復号化回路134a,誤り訂正符号化回路134bおよび通信制御部135を備える態様も本発明に含まれる。
Wakeup回路131は、給電電力(充電電力)を検知することにより、本器(生体信号計測器1)が給電器2にセットされたと判断し、通信機能を動作状態とする。
変調用のスイッチ132は、給電電力を変調させるために差動間のインピーダンスを変化させる。耐圧が高い外付けトランジスタを置くことができる。
ADC(コンパレータでも可)133は、給電電力の変調を2値または多値に変換する。必要に応じて保護抵抗や保護ダイオードを置くことができる。
誤り訂正復号化回路134a,誤り訂正符号化回路134bは、リードソロモン、ビタビ、ターボ、LDPC等で伝送路の歪みの影響を低減する。通信制御部135は、送受信のタイミングを生成し、各部を制御する。
図16に生体信号計測器1と給電器2との間の通信回路で転送されるデータの一例を示し、これについて説明する。
MCU121のFloting Unitや専用のHW(ハードウェア)により、心電波形から心拍揺らぎを求め、可変帯域制限フィルタを通して心拍揺らぎを例えば16階調に周波数分解する。これには、IIR帯域制限フィルタ(BPF)の帯域を少しずつ変化させて分解するとよい。
ある時間ごとに記録、例えば10秒に1回の割合で記録する。情報量は24時間(86400秒)で、16周波数×16階調(8bit)×8640=約8.6kBとなる。
同様に、加速度を周波数分解した場合の24時間の情報量は約10kB、その加速度を積分した移動距離の24時間の情報量は約10kBとなる。
本発明によれば、給電器2はドッキングステーションとも呼ばれ、生体信号計測器1を給電器2に接続し充電しながら、メモリ122に蓄積された情報(生体データ等)を給電器2を介して例えばクラウドサーバー等に送信することができる。
次に、図17を参照して、生体信号計測器1の市場に提供される製品形態(センサチップ)の一例について説明する。
センサチップ1は、第1および第2の2枚の基板30,40と、これら基板30,40を接続する低曲げ剛性部50とを備える。
基板30,40には銅張り積層基板等の硬質基板が用いられ、低曲げ剛性部50にはフレキシブル配線板が好ましく採用される。以下、低曲げ剛性部50をフレキシブル配線板と言うことがある。
図17(a)に示されている基板30,40の一方の面(正面)が部品実装面30a,40aで、この例では、第1基板30の部品実装面30aに生体信号処理回路100が実装され、第2基板40の部品実装面40aに充電回路200が実装され、また、電源としての二次電池210が搭載されている。二次電池210は他の部品に比べて重量があるため、連結部側に配置するのが好ましい。生体信号・給電電力振り分け手段300は第1基板30、第2基板40のいずれかに設けられてよい。
図17(b)に示されている基板30,40の他方の面が背面30b,40bで、第1基板30の背面30bに一方の電極10aが設けられ、これに対して、第2基板40の背面40bに他方の電極10bが設けられている。先にも説明したように、電極10a,10bは生体信号・給電電力振り分け手段300を介して生体信号処理回路100と充電回路200に接続されている。
フレキシブル配線板50の長さLは、電極10a,10bが皮膚から剥がれようとする力を小さくするうえで、できるだけ長い方がよい。基板30,40の各辺は30mm以下、好ましくは20mm以下とする。
また、図17(c)を参照して、電極10、基板30,40、生体信号処理回路100と充電回路200および電池210、その他の部材を含めた厚さは10mm以下、好ましくは5mm以下とする。
これは皮膚からの高さを低くして、剥がれようとする力(曲げモーメント)を小さくするためである。なお、基板30,40は必ずしも四角形である必要はなく、曲線部分があってもよい。
図18を参照して、基板30,40は、内層回路を含む多層のビルドアップ基板からなり、そのビルドアップ時に所定の内層間にフレキシブル配線板50が挟み込まれるが、強度を高めるうえで、基板30,40の接続側の対向する端部付近に貫通ビア51を形成することが好ましい。なお、貫通ビア51内にはメッキやレジスト等が充填されてよい。
実装部品の配置について、図18(b)に示すように、一方の第1基板30側に生体信号処理回路100と電池210を配置し、他方の第2基板40側に充電回路200を配置してもよいが、好ましくは、図18(a)に示すように、一方の第1基板30側に生体信号処理回路100を配置し、他方の第2基板40側に充電回路200と電池210を配置するとよい。
すなわち、図18(a)に示す配置によれば、第1基板30側は生体信号処理に関わる配線、第2基板40側は電源系の配線にまとめられるため、フレキシブル配線板50に形成する回路パターンは電源配線と制御配線の最小限でよく、フレキシブル配線板50をより柔軟にすることができる。
また、通常では生体信号処理回路100の方が充電回路200よりも回路面積が大きいため、図18(a)に示す配置とすれば、第1基板30と第2基板40とを面積的にほぼ同じ大きさにできる。
これにより、フレキシブル配線板50がセンサチップ1の長さ方向(図18において左右方向)のほぼ中央部分に配置されるとともに、両基板30,40の長さを長くできることから、センサチップ1を生体の皮膚から剥がれにくくすることができる。
図19にセンサチップ1の防水カバー60を示す。同図(a)はセンサチップ1の部品実装面30a,40a側を覆う防水カバー60の正面図、同図(b)はセンサチップ1の背面30b,40b側を覆う防水カバー60の背面図、同図(c)は(b)のA−A線断面図である。
防水カバー60は、低剛性材料、好ましくはシリコンゴムからなり、内部に図17に示されているセンサチップ1を収納する袋状に形成されている。図19(b)に示すように、背面側に電極10a,10bを露出させるための開口部61a,61bが設けられている。
防水カバー60の別の例として、図20に示すように、防水カバー60を第1基板30を覆う第1防水カバー60aと、第2基板40を覆う第2防水カバー60bの2部材として、第1基板30と第2基板40を個別的に防水する構成とする。
なお、図20(b)に示すように、第1防水カバー60aの背面側には、電極10aを露出させるための開口部61aが設けられ、第2防水カバー60bの背面側には、電極10bを露出させるための開口部61bが設けられる。
これによれば、フレキシブル配線基板50の部分は、防水カバーによって覆われないため、フレキシブル配線基板50本来の柔軟性が損なわれない。
センサチップ1は直接生体の皮膚に取り付けられてもよいが、好ましくは図21(a)(b)に示す装着用粘着テープ70を用いる。なお、図21(c)はセンサチップ1の電極面側を示す模式図で、図21(d)は給電器2の給電端子側を示す模式図である。
装着用粘着テープ70は、図21(a)の皮膚貼着面側(のり面側)の左右2箇所に生体親和性を有するゲル等よりなる皮膚側電極71a,71bを備えている。図示しないが、不使用時、皮膚側電極71a,71bは剥離紙でカバーされている。
装着用粘着テープ70の図21(b)に示す表面側(おもて面側)には、皮膚側電極71a,71bに対応して接続電極72a,72bが設けられている。接続電極72a,72bは鉄等の磁性体からなり、センサチップ1の電極10a,10bと等間隔で配置されている。また、給電器2の給電端子20a,20bも鉄等の磁性体からなり、センサチップ1の電極10a,10bと等間隔で配置されている。
これに対して、センサチップ1の電極10a,10bは永久磁石材よりなり、その磁気吸着力により、センサチップ1は装着用粘着テープ70と給電器2とに選択的に保持される。図22に、センサチップ1の装着用粘着テープ70への取り付け状態を示す。
次に、図23(a)〜(f)により、センサチップ1の使用手順の一例について説明する。まず、(a)装着用粘着テープ70から剥離紙を剥がして皮膚側電極71a,71bを露出させ、(b)装着用粘着テープ70を生体(人体)の所定部位、例えば胸に貼り付ける。
次に、(c)充電済みのセンサチップ1を図22に示すように装着用粘着テープ70に取り付ける。このとき、センサチップ1は、電極10a,10bが接続電極72a,72bに磁気的に吸着することにより、装着用粘着テープ70に保持される。生体の複数箇所にセンサチップ1を装着してもよい。
(d)例えば、数時間〜数日間にわたって生体データを取得してメモリ122に蓄積したら、センサチップ1を装着用粘着テープ70から外して、(e)センサチップ1を給電器2にセットする。このときも、電極10a,10bが給電端子20a,20bに磁気的に吸着することにより、センサチップ1が給電器2に確実に保持される。
給電器2にセンサチップ1がセットされると、センサチップ1の電池210に対して給電器2から充電が行われるが、これと並行して、生体信号処理回路100のメモリ122に蓄積されている生体データが給電器2のメモリ26に転送される。
この生体データの転送は、給電器2のMPU25および/またはセンサチップ1のMCU121の指示によって行われる。なお、この実施形態において、給電器2は充電ランプ2aと通信ランプ2bとを有し、充電中は充電ランプ2aが点灯し、データ転送中は通信ランプ2bが点灯する。
センサチップ1から給電器2への生体データ転送終了後、センサチップ1のメモリ122から生体データが削除される。このデータ削除は、センサチップ1のMCU121もしくは給電器2のMPU25のいすれかの指示によって行われる。(f)このようにして、生体データが削除され充電されたセンサチップ1は再び生体データの取得に回される。
給電器2は、図24に例示するように、好ましくは公衆回線への接続機能を持つ接続端末80に接続され、センサチップ1から取得した生体データを例えば公衆回線を介して外部機器としてのサーバー(クラウドサーバー)81等に転送する。
なお、センサチップ1のメモリ122からの生体データの削除は、サーバー81へのデータ転送確認後に行われてもよい。また、接続端末80には、パソコン、携帯タブレット、マイコン搭載ボード等が用いられてよい。
給電器2から生体データが送信されたサーバー81側では、運動量や脈拍変化、心拍揺らぎ、呼吸数、血圧変化等から身体能力、ストレス状態、病気である可能性もしくは病気になる直前の状態等を判定する。
また、必要に応じてユーザーに合った生体信号計測プログラム(例えば更年期障害、起立性調節障害、不整脈等に係る生体信号計測、特異なST波を詳細にモニタして保存する等のプログラム)を給電器2を介してセンサチップ1に書き込む。
このときも、給電器2の通信ランプ2bが点灯するが、必ずしも充電中であることを要しない。すなわち、センサチップ1から給電器2への生体データの転送、給電器2からサーバー81への生体データの転送、サーバー81から給電器2を介してのセンサチップ1へのプログラム書き込みは、センサチップ1の充電前や充電後に行われてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、本来生体信号を検出するための電極を充電用端子として使用することにより、SD端子等の専用充電端子を設ける必要がなく、生体信号計測器の構成が簡素化され、より一層の小型、軽量、薄型化がはかれるとともに、十分な防水対策を施すことができる。
また、生体信号とその生体信号に関し予め設定されている正常生体信号とを比較して異常の有無を判定する判定手段を備え、生体信号が異常の場合には、所定の警報手段を動作させて被装着者に装着エラーであることを報知するようにしたことにより、センサチップの人体への装着時に、その時点で装着が正しく行われたかどうか分かり、誤装着による計測ミスを未然に防ぐことができる。