JP2018131878A - 解体方法 - Google Patents

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【課題】アスペルギルス菌の飛散を抑制し、アスペルギルス感染症のリスクを低減することのできる解体方法を提供する。【解決手段】天井裏の区画分けを行ない(ステップS1)、区分けした各領域(区画)の中央位置における天井に開口部を形成する(ステップS2)。形成した開口部から湿度センサを挿入して天井裏の温湿度を測定し(ステップS3)、温湿度に応じて薬剤噴霧量を決定する(ステップS4)。そして、ミスト除菌装置の噴霧器を、天井の開口部から挿入して、ミスト除菌装置を設置し(ステップS5)、噴霧器の二流体ノズルを用いて除カビする薬液のミスト噴霧を行ない(ステップS6)、薬液の噴霧が終了した場合には、予め定めた所定時間(2〜3時間)、放置する(ステップS7)。放置期間が終了した後、天井を解体する(ステップS8)。【選択図】図1

Description

本発明は、天井を含む建物の少なくとも一部を解体する解体方法に関する。
従来、建物の解体や改修工事においては、通常、大量の粉塵が発生する。特に、病院内の改装や補修工事により生じる粉塵中には大量のアスペルギルス胞子が含まれるため、免疫力が低下した患者や高齢者が在室する病院や高齢者施設では、カビの胞子を吸引して感染するアスペルギルス感染症のリスクが高まる。そこで、工事におけるアスペルギルス症対策が注目されるようになってきた(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1においては、工事の際のアスペルギルス飛散について、規模やリスクに応じた対策クラスを特定し、クラス別の具体的な感染予防策を行なうことが記載されている。例えば、対策の方法として、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)を有したユニットを使用して作業現場を陰圧の状態に保つことが挙げられている。
一方、アスペルギルス属のカビは、土壌に由来しており、土壌から空気を介して建物内に入り込む。更に、このカビは、他のカビに比べて乾燥に強く、30℃を超える温度でも発育できる。従って、アスペルギルス属のカビは、天井裏などの粉塵がたまっている場所に多く存在すると推察される。
そこで、天井裏と室内壁面・床面の付着カビ数について、実際に調査を行なった。
図12には、所定の建物において調査した結果(付着カビ数)を示す。室内壁面では計測限界以下であり、床面においても極めて少なかった。一方、天井裏では、床面よりも数倍から十数倍のカビが認められた。また、天井裏に存在するカビの種類について調べたところ、アスペルギルス属のカビの占める割合が高かった。
図13には、解体前後において室内床面に存在するカビの種類別の割合を示している。解体前の室内床面では、好湿性のフザリウム属やオーレオバシジウム属のカビは確認されたが、アスペルギルス属のカビは確認されなかった。これに対して、解体後の床面では、アスペルギルス属のカビが占める割合が高かった。
国立大学附属病院感染対策協議会編集、「病院感染対策ガイドライン 改訂第2版」、株式会社 じほう、2015年1月、p173−175
解体工事中においては、作業員の出入りや解体物の搬出入などが行なわれる。このため、非特許文献に挙げられているように、厳密に陰圧を維持することは困難である。また、HEPAフィルタは、濾過フィルタの目が細かいため、目詰まりし易く、交換頻度が高くなり、作業効率が悪い。更に、陰圧下の工事現場内の作業員のアスペルギルス感染症の発症を抑制する必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、アスペルギルス菌の飛散を抑制し、アスペルギルス感染症の発症を抑制するための解体方法を提供することにある。
・上記課題を解決する解体方法は、建物の少なくとも一部を解体する解体方法において、前記解体の対象領域の天井裏のカビを除菌する除カビ処理を実行した後、前記天井裏を構成する天井部材を解体する。これにより、アスペルギルス属のカビが多く存在する天井裏においてアスペルギルス属のカビを低減させた後、解体を行なうので、アスペルギルス属のカビの飛散を回避することができる。従って、アスペルギルス属のカビの飛散を抑制し、アスペルギルス感染症のリスクを低減することができる。
・上記解体方法において、前記天井裏に、除カビ液を噴霧することにより、前記除カビ処理を実行することが好ましい。これにより、天井裏を、効率よく除カビすることができる。
・上記解体方法において、前記除カビ液を噴霧した後、予め定めた時間以上放置した後、前記天井部材の解体を行なうことが好ましい。これにより、天井裏のアスペルギルス属のカビの低減、除カビ液の人体への影響を低減することができる。
・上記解体方法において、前記天井の裏の湿度を計測し、計測した湿度に応じて、噴霧する前記除カビ液の量を特定することが好ましい。これにより、除カビ液の量を適切に管理してアスペルギルス属のカビを低減することができる。
・上記解体方法において、前記解体の対象領域の面積及び壁配置に応じて、前記除カビ液を噴霧する区画領域に区分けした後、前記区画領域毎に、前記除カビ液を噴霧することが好ましい。これにより、解体対象の天井裏に薬液を効率よく行き渡らせて、除カビすることができる。
・上記解体方法において、前記解体の対象領域の天井に開口部を形成し、前記除カビ液を噴霧する噴霧器を、前記開口部を介して天井裏に配置し、前記開口部を塞いだ後、前記噴霧器から前記天井裏に前記除カビ液を噴霧することが好ましい。これにより、開口部から噴霧の漏れを抑制することができる。
・上記解体方法において、二流体ノズルを用いて、前記除カビ液を噴霧することが好ましい。これにより、細かい粒子の霧で除カビ液を噴霧するので、広い範囲にムラなく除カビ液を行き渡らせることができる。
本発明によれば、アスペルギルス菌の飛散を抑制し、アスペルギルス感染症の発症を抑制することができる。
実施形態における解体方法の処理手順を説明する流れ図。 実施形態におけるミスト除菌装置の構成を説明する概略構成図。 実施形態における天井裏の区画分け処理を説明する建物の平面図。 実施形態における噴霧する薬液量を説明する表。 実施形態においてミスト除菌装置の配置を説明する説明図。 実施形態における除カビ効果を説明する表。 実施形態における薬液量を決定するための実験に用いた天井裏を説明するための説明図であって、(a)は小さい天井裏、(b)は大きい天井裏。 実験に使用した薬液の除カビ効果を説明する表。 実験における除カビ効果を説明する表。 実験から算出した相対湿度上昇量と噴霧液量との関係を説明する説明図。 実験から得た薬液の塩素ガスの時間的変化を説明する説明図。 従来技術において各箇所において付着しているカビの数を示すグラフ。 従来技術において解体前後の床に存在するカビの種類を示すグラフ。
以下、図1〜図11を用いて、本発明を具体化した一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態における解体方法の処理手順を示している。本実施形態では、病院等の建物一部を改修するために、天井を含む建物の一区画を解体する場合を想定する。本実施形態では、薬液をミスト噴霧によって散布することにより天井裏を除カビした後、天井を解体する。
(ミスト除菌装置の構成)
図2を用いて、天井裏を除カビするために用いるミスト除菌装置20の構成について説明する。
本実施形態のミスト除菌装置20は、可搬性がある噴霧器21、薬液タンク26、空気タンク27及びコンプレッサ28を備えている。噴霧器21は、支持部30に取り付けられ、支持部30によって支持される。噴霧器21には、複数の二流体ノズル22が設けられている。各二流体ノズル22は、反対方向に薬液を噴霧できるように噴霧口が設けられている。噴霧器21は、空気の取入部及び液体の取入部を有しており、空気と液体とを混合して、霧状の液体を二流体ノズル22の噴霧口から噴霧する。本実施形態では、噴霧器21として、二流体サイフォン式噴霧ノズルを備えた噴霧を用いている。具体的には、スプレーイングシステムスジャパン株式会社製の商品名ミニフォッガーIIIを用いる。噴霧器21の液体の取入部には、薬液タンク26からの薬液(除カビ液)が供給される。噴霧器21の空気の取入部には、空気タンク27から圧縮空気が供給される。空気タンク27には、コンプレッサ28が接続されており、圧縮空気が供給される。ミスト除菌装置20は、空気タンク27からの圧縮空気の空気圧により、ミスト除菌装置20の時間当たりの噴霧液量を制御することができる。本実施形態では、100Vのコンプレッサ28によって2つの二流体ノズル22から同時に噴霧することができる。
(建物の解体手順)
次に、図1を用いて、建物の解体手順を説明する。
本実施形態では、まず、天井裏の区画分けを行なう(ステップS1)。この処理においては、建物の解体する範囲(解体の対象領域)の平面図を用いて、天井裏を、使用するミスト噴霧で除カビできる所定面積以下の矩形領域(区画)に区分けする。本実施形態では、ミスト除菌装置20で除カビ可能な面積は40mである。このため、1区画の面積は40m以下とし、建物の壁配置に沿った領域に分ける。なお、この除カビ可能な面積は、後述する実験により算出した。
例えば、図3に示すように、面積が40m以下の部屋R1においては、その部屋の天井裏を1つ領域A11となるように区分けとする。また、大きい部屋R2においては、面積は40m以下の面積となるように3つの領域A21,A22,A23に区分けする。更に、廊下C1の天井裏を、面積が40m以下となるように領域A31,A32等に区分けする。
次に、天井に開口部を形成する(ステップS2)。具体的には、ステップS1において区分けした各区画の中央位置の天井(天井板)に穴を開けて、開口部を形成する。この場合、噴霧器21が通過できる大きさで開口する。
そして、天井裏の温湿度を測定する(ステップS3)。具体的には、ステップS2において形成した開口部から湿度センサを天井裏に挿入し、湿度センサを天井裏に設置する。そして、この湿度センサを、天井裏に、所定期間(例えば、3分〜5分間)、設置することにより、天井裏における温湿度を測定する。
次に、温湿度に応じて薬剤噴霧量を決定する(ステップS4)。具体的には、測定した湿度(初期相対湿度)に応じて噴霧液量を特定する。
ここでは、図4に示す薬液量特定テーブルを用いて、目標相対湿度が85%となるように初期相対湿度に応じて薬液量を特定する。この薬液量特定テーブルにおいて特定される薬液量は、後述する実験結果の噴霧液量と相対湿度上昇量の近似式より算出された1m当たりの噴霧液量に、安全率(ここでは「1.5」)を乗算した量を用いる。なお、図4には、面積当たりの噴霧液量と、参考として容積11m、16m、22mの大きさの各天井裏に実際に使用する際の噴霧液量と、この噴霧液量を時間に換算した噴霧時間とが示されている。なお、初期相対湿度が40%RHよりも低い場合には、加湿により相対湿度を40%RH以上にし、初期相対湿度を40%RHとして薬液噴霧を行なう。
次に、ミスト除菌装置を設置する(ステップS5)。具体的には、図5に示すように、薬液タンク26、空気タンク27及びコンプレッサ28を解体の対象領域の室内に設置し、噴霧器21を開口部から挿入し、天井裏に設置する。この場合、二流体ノズル22の噴霧口が天井面から30cm〜40cmの高さとなるように、噴霧器21を設置する。更に、二流体ノズル22の噴霧口を、除カビ対象の区画の対角線上に位置するように設置する。
この場合、天井裏に設置された噴霧器21は、支持部30を介して、部屋内に配置された支持部材31によって支持する。そして、開口部h1から噴霧が漏れないように、開口部h1を被覆部材35によって覆う。この被覆部材35として、ビニールシートやブルーシート等の合成樹脂製のシートを用いる。
この状態で、ミスト噴霧を行なう(ステップS6)。具体的には、設置した噴霧器21の二流体ノズル22から、ステップS4において決定した薬液噴霧量に対応する噴霧時間分、薬液を噴霧し続ける。
本実施形態では、噴霧する薬液は、カビを殺菌する塩素系で消毒効果のある次亜塩素酸水溶液を用いる。具体的には、次亜塩素酸ナトリウム6%溶液(商品名:ピューラックス(登録商標)、株式会社オーヤラックス製)を0.3%(3000mg/L)となるように水道水で希釈した後、塩酸を用いてpHを微酸性(pH:6.5付近)に調整した薬液を用いる。
そして、薬液の噴霧が終了した場合には、予め定めた所定時間、放置する(ステップS7)。本実施形態では、2〜3時間の放置を行なう。なお、放置期間中に、天井裏から噴霧器21を撤去してもよい。この場合には、噴霧器21を撤去した場合は、開口部h1を被覆部材35で再び覆う。
そして、放置期間が終了した後、天井を解体する(ステップS8)。具体的には、天井板を取り外す等して、天井を含む部屋の解体作業を行なう。
図6は、上述したミスト噴霧前後における天井裏に存在するカビの量を示している。ミスト噴霧によって、カビの量は1割以下となって、高い除カビ効果(90%以上)を得ることができた。
(薬液量及び放置時間の算出方法)
次に、図7〜図11を用いて、上述したミスト噴霧による薬液量及び放置時間を特定するための実験及び実験結果について説明する。
実験においては、2つの面積の天井裏を用いた。
図7(a)に示すように、天井裏CSは、横2.9m×縦5.8m、高さは0.6mの空間である。また、図7(b)に示すように、天井裏CLは、縦横それぞれ5.8m、高さ0.6mの空間である。そして、天井裏CS,CLの中央に噴霧器M1を配置し、部屋の中央の位置P1、廊下側の角付近の位置P2、窓側の角付近の位置P3をモニタリング箇所とした。
ここで、噴霧に使用した薬液は、次亜塩素酸ナトリウム6%溶液(ピューラックス、株式会社オーヤラックス製)を0.3%〜0.5%となるよう希釈し、弱酸性付近に調整した。
なお、図8に示すように、0.3%(3000ppm)の次亜塩素酸水溶液を用いたアスペルギルス属のカビ(コウジカビ)の液系接触除菌試験では、3.1×10cfu/mLの菌数が、3分の接触時間で検出下限値未満になる。
そして、噴霧器21から薬液を天井裏CS,CLに噴霧し、ミスト噴霧による除カビ前と除カビ後の天井裏の表面付着カビ数を測定する。この場合、ミスト噴霧後のカビ数が噴霧前のカビ数よりも1/10以上の低減(除カビ効果90%以上)が認められた場合に除カビ可能と判定する。
天井裏の表面付着カビ数の測定方法は、各部屋の天井裏(天井裏ボード表面)について、以下の手順で行なった。
・表面10cm×10cm面積に付着しているカビを滅菌綿棒で拭き取って回収。
・回収したカビを、リン酸緩衝液で懸濁させ、培地に塗布して培養。
・培養により生育してきたカビのコロニー数をカウント。
実験条件は、図9に示す4種類の条件を用いた。
条件1(噴霧液量標準区)は、相対湿度が80%以上になるまでの液量を用いての除カビ可能性を評価する条件である。ここで、噴霧器M1は、時間当たりの噴霧液量が多く、ミスト粒子径の大きいもの(ミストの粒子径:11.2μm、時間当たりの噴霧液量:120mL/min)を標準として用いた。
条件2(容積増大区)は、条件1において、天井裏の大きさ(容積)の影響を評価する条件である。
条件3(2回噴霧区)は、ミスト粒子径が薬剤の拡散性に与える影響を評価する条件である。ここでは、条件1よりも噴霧するミストの粒子径が小さいノズル(ミストの粒子径:8μm、時間当たりの噴霧液量:25mL/min)を使用し、条件1に対する薬剤の拡散性を評価する。なお、この条件3は、除カビできなかった場合を想定し、翌日、追加噴霧を行なった。
条件4(薬液濃度上昇区)は、薬液濃度が除カビに与える影響を評価する条件である。ここでは、噴霧する薬液濃度を0.5%とした薬液を用いる。
そして、上記条件1〜4における付着カビの調査は、噴霧前、噴霧1時間後、3時間後、翌日に行なった。
図9に示すように、条件1,2,4の除カビの試験結果では、1回目の噴霧で3箇所とも除カビ効果(除カビ率90%以上)が得られた。具体的には、噴霧から1時間後においては半数以上の箇所で除カビ効果が得られ、噴霧から3時間後においてはほとんどの箇所で除カビ効果が得られている。
一方、条件3の試験結果では、廊下側、窓面側は1回目の噴霧で除カビ効果(除カビ率90%以上)が得られたが、中央1箇所における除カビ効果が不十分であった。原因として、噴霧直後の相対湿度上昇が、他の場所と比較して低く、天井に形成した開口部から漏れた可能性がある。2回目の噴霧では相対湿度が上昇しており漏れはなかったものと考えられ、除カビ効果とほぼ同じもの(除カビ率87%)が得られている。従って、天井裏の開口部を隙間なく覆うことで、ミスト除菌によって天井裏の除カビは可能と考えられる。
また、コロニー数をカウントしたプレート上のコロニーをDNA解析で同定した結果、天井裏において高濃度で認められたカビは、アスペルギルス属カビであることがわかった。そして、次亜塩素酸水溶液の噴霧により、それらカビが除カビできることが明らかとなった。
以上の実験結果より、開口部を被覆部材で覆い、噴霧ノズル(ミストの粒子径:11.2μm、時間当たりの噴霧液量:120mL/min)を使用、薬液濃度FAC濃度として約3000mg/L、相対湿度80〜85%RHまで噴霧し、2〜3時間養生(放置)すれば、天井裏を除カビできることが分かった。そして、この結果を基に現場施工での初期相対湿度に応じた噴霧液量を算定した。
図10には、噴霧液量と相対湿度上昇量(噴霧後の相対湿度−初期の相対湿度)の関係図を示している。この図より、噴霧液量と相対湿度上昇量との間に相関が認められることがわかる。なお、冬期の場合、室内および天井裏の相対湿度は低下するため、噴霧液量を増加して用いる方がよい。
図10の近似式より算出した、初期の相対湿度に応じた天井裏における容積1m当たりの噴霧液量の算出結果を、図4に示している。
また、除カビする薬液として、次亜塩素酸ナトリウム6%溶液を希釈して弱酸性付近に調整したものを用いたため、噴霧に伴い塩素ガスが発生する可能性がある。従って、噴霧後に作業員が解体作業を行なう場合、塩素ガス濃度が塩素ガスの最大許容濃度(0.5ppm)以下に低下するまで待つ必要がある。そこで、上述した条件1〜3において塩素ガスの濃度を測定した結果を、時間推移とともに図11に示す。なお、条件3は、2回目の追加噴霧した際の塩素ガスの濃度である。
どの条件においても、薬剤噴霧終了時に塩素ガス濃度はピークとなり、その後、徐々に低下した。薬液濃度(FAC濃度として)2100〜2800mg/Lの時、噴霧液量が多いほど、塩素ガス濃度のピーク値は高くなっている。そして、条件1,2(噴霧液量15,24mL/m)では、0.8〜0.9ppm、条件3(噴霧液量75mL/m)では、3.3ppmとなった。この結果から、噴霧液量を多くした際、塩素ガス濃度が高くなることがわかる。また、塩素ガスの最大許容濃度以下になるまでの時間は、条件1,2では、噴霧開始から8〜11分後、条件3では、噴霧開始から54分後であった。
そこで、安全率を乗算した薬液量を用いて、目標相対湿度が85%となるように薬液を散布する場合であっても、ミスト噴霧後の放置時間を2〜3時間とすることにより、塩素ガス濃度は0.5ppm以下になっていると考えられる。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の解体方法においては、天井裏にアスペルギルス属のカビを除カビ可能な薬液をミスト噴霧した後(ステップS6)、天井を解体する(ステップS8)。これにより、アスペルギルス属のカビが多く存在する天井裏を除カビして、アスペルギルス属のカビを低減させた後、解体を行なうので、アスペルギルス属のカビの飛散を回避することができる。従って、アスペルギルス菌の飛散を抑制し、アスペルギルス感染症のリスクを低減することができる。
(2)本実施形態の解体方法においては、天井裏の区画分けを行ない(ステップS1)、区画分けした各領域(区画)に、ミスト噴霧を行なう(ステップS6)。これにより、解体対象の天井裏に薬液を噴霧して、除カビすることができる。
(3)本実施形態の解体方法においては、天井裏の温湿度を測定し(ステップS3)、温湿度に応じて薬剤噴霧量を決定する(ステップS4)。これにより、適量の除カビ液を用いてアスペルギルス属のカビを低減することができる。
(4)本実施形態の解体方法においては、ミスト噴霧を行なった(ステップS6)後、予め定めた所定時間(2〜3時間)、放置する(ステップS7)。これにより、天井裏のアスペルギルス属のカビの低減、除カビ液の人体への影響の低減を図ることができる。
(5)本実施形態の解体方法においては、ミスト除菌装置の設置(ステップS5)において、開口部h1を被覆部材35によって覆った。これにより、天井に形成した開口部h1から噴霧の漏れを抑制することができる。
(6)本実施形態の解体方法においては、複数の二流体ノズル22を備えた噴霧器21を用いて、ミスト噴霧を行なう(ステップS6)。これにより、除カビする薬液を細かい粒子の霧で噴霧することができるので、広い範囲にムラなく薬液を行き渡らせることができる。
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態においては、反対方向に薬液を噴霧する噴霧口をそれぞれ有した二流体ノズル22を2本有する噴霧器21を用いる。ミスト噴霧に用いるノズルを備えた装置は、上記噴霧器21の構成に限定されない。例えば、4方向に噴霧口を有する二流体ノズルや一流体ノズルを備えた装置を用いることも可能である。
・上記実施形態においては、ミスト噴霧を行なった(ステップS6)後、2〜3時間、放置した(ステップS7)。放置する時間は、除カビ液によって十分にアスペルギルス属のカビを低減させ、かつ塩素ガスの濃度が許容範囲以下となった等、解体作業を行なう作業員が作業できる時間以上であればよい。また、室内に塩素ガスセンサを設置し、リアルタイムで塩素ガスの濃度を計測して、放置時間を判定してもよい。
・上記実施形態においては、除カビに用いる薬液(除カビ液)として、次亜塩素酸ナトリウム溶液を希釈して弱酸性付近に調整したものを用いた。薬液は、アスペルギルス属カビを除カビできる薬液であればよく、例えば、この次亜塩素酸ナトリウムを希釈しただけのもの、過酢酸、過酸化水素水などを用いることが可能である。この場合、アスペルギルス属のカビは、細菌やクロカビ等の好湿性カビに比べて、薬剤への耐性が強いため、細菌や好湿性カビを除菌・除カビする場合よりも高濃度の薬液を使用する。
・上記実施形態においては、アスペルギルス属のカビを除カビする方法として、薬液を噴霧した。天井の解体前に、アスペルギルス属のカビを除カビできる方法であれば、噴霧に限定されず、例えば、薬剤による燻蒸処理や、過酸化水素やオゾンなどのガス発生による除カビ、加熱蒸気による除カビや、紫外線照射等、これらの組み合わせを用いることができる。
C1…廊下、CL,CS…天井裏、h1…開口部、20…ミスト除菌装置、P1,P2,P3…位置、R1,R2…部屋、A11,A21,A22,A23,A31,A32…領域、M1,21…噴霧器、22…二流体ノズル、26…薬液タンク、27…空気タンク、28…コンプレッサ、30…支持部、31…支持部材、35…被覆部材。

Claims (7)

  1. 建物の少なくとも一部を解体する解体方法において、
    前記解体の対象領域の天井裏のカビを除菌する除カビ処理を実行した後、前記天井裏を構成する天井部材を解体することを特徴とする解体方法。
  2. 前記天井裏に、除カビ液を噴霧することにより、前記除カビ処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の解体方法。
  3. 前記除カビ液を噴霧した後、予め定めた時間以上放置した後、前記天井部材の解体を行なうことを特徴とする請求項2に記載の解体方法。
  4. 前記天井裏の湿度を計測し、計測した湿度に応じて、噴霧する前記除カビ液の量を特定することを特徴とする請求項2又は3に記載の解体方法。
  5. 前記解体の対象領域の面積及び壁配置に応じて、前記除カビ液を噴霧する区画領域に区分けした後、
    前記区画領域毎に、前記除カビ液を噴霧することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の解体方法。
  6. 前記解体の対象領域の天井に開口部を形成し、
    前記除カビ液を噴霧する噴霧器を、前記開口部を介して天井裏に配置し、
    前記開口部を塞いだ後、前記噴霧器から前記天井裏に前記除カビ液を噴霧することを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の解体方法。
  7. 二流体ノズルを用いて、前記除カビ液を噴霧することを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の解体方法。
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