JP2018123055A - 血液凝固第viii因子(fviii)の機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、血液凝固第xi因子(fxi)異常症の予防および/または治療に用いられる医薬組成物 - Google Patents

血液凝固第viii因子(fviii)の機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、血液凝固第xi因子(fxi)異常症の予防および/または治療に用いられる医薬組成物 Download PDF

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緑倫 嶋
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恵嗣 野上
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Abstract

【課題】血液凝固第XI因子(FXI)異常症の予防及び/又は治療に用いられる医薬組成物の提供。
【解決手段】血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、血液凝固第XI因子異常症の予防及び/又は治療に用いられる医薬組成物。血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子が、血液凝固第IX因子及び/又は活性型血液凝固第IX因子並びに血液凝固第X因子に結合する二重特異性抗体である、医薬組成物。
【効果】FVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子は、FVIIIの機能不全に起因する血友病A、後天性血友病A及びフォンビルブランド病での出血に対する予防法及び/又は治療法として利用できるのみならず、その凝固促進活性から血液凝固第XI因子異常症での出血に対する予防法及び/又は治療法として利用できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、血液凝固第VIII因子(FVIII)の機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、血液凝固第XI因子(FXI)異常症の予防および/または治療に用いられる医薬組成物に関する。
FXI異常症は、FXIの先天的欠損又は機能不全に起因する稀な出血性疾患である(非特許文献1[Haemophilia 2006;12(suppl. 3):137-142])。FXI異常症は、血友病Cと称されることもある。FXIは酵素の前駆体であり、血液凝固反応が開始した際、前駆体から酵素活性を持つ活性型血液凝固第XI因子(FXIa)に変化する。FXIを活性化する凝固因子は、トロンビン、活性型第XII因子およびFXIa自身であり、このFXIを介した反応は血液凝固反応維持機構に重要な役割を果たしている。FXI異常症では、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が血友病Aおよび血友病Bと同様に異常延長する。血友病A及び血友病Bとの鑑別は、血液凝固因子定量、FXI定量で行なう。FXI異常症の出血に対しては血漿補充などで治療されるが、希少な出血性疾患であるため、出血に対する有効な予防法および/または治療法は確立されていない。
血友病Aは、血液凝固因子のうち血液凝固第VIII因子(FVIII)の先天的欠損または機能不全に起因する出血性疾患である。血友病Aの重症度は、血液中のFVIII活性とよく相関している。活性1%未満の患者が重症、活性1%以上5%未満の患者が中等症、活性5%以上40%未満の患者が軽症と分類される。血友病A患者の約半数を占める重症患者においては、月に数回の出血症状を呈するが、これは中等症患者および軽症患者に比べ顕著に高頻度である。このことから、重症血友病A患者においては、FVIIIの補充療法により、血液中のFVIII活性を1%以上に維持することが、出血症状の発現阻止に有効と考えられている(非特許文献2[Haemophilia 2003;9(suppl.1):32])。
血友病A患者における出血の予防および/または治療には、主として血漿から精製された若しくは遺伝子組換え技術により作製されたFVIII製剤が使用される。これらの製剤を用いて,出血時の止血を目的としたon-demand投与、または出血イベントの発生を防ぐための予防投与が行われる(非特許文献3[Blood 1981;58:1-13]、 非特許文献4[Nature 1984;312:330-337])。しかしながら、FVIII製剤の血中半減期は、約12時間であるため、予防投与では週に3回程度の頻回投与が必要となる(非特許文献5[Nature 1984;312:337-342]、非特許文献6[Biochim Biophys Acta 1986;871:268-278])。On-demand投与においては、再出血を防ぐため、必要に応じ、一定間隔で追加投与する必要がある。また、FVIII製剤の投与は静脈内に実施される。従って、既存のFVIII製剤と比べて、投与の負担が少ない(投与頻度が少なく、静注が必要ない)薬剤が、強く求められている。
また、FVIII製剤に対する抗体(インヒビター)が、血友病A患者に発生することがある(非特許文献7[Blood 2007;109(2):546-551])。インヒビターは、FVIII製剤の効果を打ち消すため、以後のFVIII製剤による予防/治療に困難を来す。インヒビターが発生した患者(インヒビター患者)の出血に対しては、バイパス製剤(活性型FVII製剤やAPCC製剤)が投与される(非特許文献7[Blood 2007;109(2):546-551])。それらの作用機序は、FVIIIの機能への依存性が少なく、血友病Aで止血作用を示す。しかしながら、その血中半減期は約2〜8時間程度と短いため、頻回の静脈注射が必要であり、且つ、その止血活性の程度としては出血を十分止められないケースがある。従って、インヒビターの存在に左右されず、投与の負担が少ない薬剤が、強く求められている。
関連する出血異常症として、後天的に血液凝固因子に対する自己中和抗体が発生するなどの原因で、血液凝固因子が不全となる後天性血友病A(非特許文献8[Semin Thromb Hemost 2012;38:433-446]、 非特許文献9[Thromb Haemost 2013;110:1114-1120])および後天性FXI異常症が考えられる。これらの後天性の出血異常症患者の出血に対しては、バイパス製剤などが投与されるが、同様に頻回の静脈注射や止血活性の程度として出血を十分止められないケースが課題である。
その他にもFVIIIが関与する出血異常症として、フォンビルブランド因子(vWF)の機能異常または欠損に起因するフォンビルブランド病が知られている。vWFは、血小板が、血管壁の損傷部位の内皮下組織に正常に粘着するのに必要であるだけでなく、FVIIIと複合体を形成し、血液中のFVIIIレベルを正常に保つのにも必要である。フォンビルブランド病患者では、これらの機能が低下し、止血機能異常を来たしている(非特許文献10[Blood 2013;122:3735-3740])。フォンビルブランド病患者の出血に対しては、デスモプレシン(DDAVP)や血漿由来のvWFを含むFVIII製剤が投与されるが、同様に頻回の静脈注射や止血活性の程度として出血を十分止められないケースが課題である。
近年、活性化血液凝固第IX因子(FIXa)および血液第X因子(FX)の双方に結合し、FVIIIの補因子機能、すなわちFIXaによるFX活性化を促進する機能を代替する機能を有する多重特異性抗原結合分子が見出された(特許文献1〜3)。多重特異性抗原結合分子のうち、二重特異性抗体は、血友病Aの出血に対する予防および/または治療のための医薬品組成物として開発が進められている(特許文献1〜3、非特許文献11[Nature Medicine 2012;18(10):1570-1574]、非特許文献12[PLOS ONE 2013;8(2):e57479]、非特許文献13[J Thromb Haemost 2014;12(2):206-213] 、非特許文献14[Blood 2014;124(20):3165-3171])。また、FVIII機能を代替する機能を有する多重特異性抗原結合分子は、FVIIIの機能不全が関与する後天性血友病Aおよびフォンビルブランド病の出血に対する予防および/または治療への適用も考えられている(特許文献1〜3)。
Haemophilia 2006;12(suppl. 3):137-142 Haemophilia 2003;9(suppl.1):32 Blood 1981;58:1-13 Nature 1984;312:330-337 Nature 1984;312:337-342 Biochim Biophys Acta 1986;871:268-278] Blood 2007;109(2):546-551 Semin Thromb Hemost 2012;38:433-446 Thromb Haemost 2013;110:1114-1120 Blood 2013;122:3735-3740 Nature Medicine 2012;18(10):1570-1574 PLOS ONE 2013;8(2):e57479 J Thromb Haemost 2014;12(2):206-213 Blood 2014;124(20):3165-3171
WO2005/035756 WO2006/109592 WO2012/067176
本発明は、FVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、FXI異常症の予防および/または治療に用いられる医薬組成物の提供を課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、FXI異常症の患者由来の市販血漿を用いて、FVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子による血漿凝固促進作用を検証した。実施例として、FXI欠損または機能不全患者由来の市販血漿(FXI欠乏血漿と称す)、あるいは市販正常血漿へ抗FXI中和抗体を添加してFXI活性を低下させた血漿(FXI中和血漿と称す)を用いて、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、凝固波形解析(CWA)およびトロンビン生成試験(TGA)の各血漿凝固評価法にて、FVIII代替活性の機能を有する抗体による血漿凝固促進作用を調べた。
その結果、本発明者らは、FXI欠損または機能不全患者由来の市販血漿において、上述の各血漿凝固評価法の全てにおいて、FVIII代替活性の機能を有する抗体が血漿凝固促進作用を示すことを見出した。更に、後天的にFXI機能を中和した血漿においても、FVIII代替活性の機能を有する抗体が血漿凝固促進作用を示すことを見出した。従って、FVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子は、FVIIIの機能不全に起因する血友病A、後天性血友病Aおよびフォンビルブランド病での出血に対する予防剤および/または治療剤として利用できるのみならず、その凝固促進活性からFXI異常症での出血に対する予防剤および/または治療剤として利用できることが示された。
本発明はこのような知見に基づき、FVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、血友病A、後天性血友病Aおよびフォンビルブランド病以外のFXI異常症の予防および/または治療に用いられる医薬組成物に関するものであり、より具体的には以下に関する。
〔1〕血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、血液凝固第XI因子異常症の予防および/または治療に用いられる医薬組成物。
〔2〕血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子が、血液凝固第IX因子および/または活性型血液凝固第IX因子ならびに血液凝固第X因子に結合する二重特異性抗体である、〔1〕に記載の医薬組成物。
〔3〕前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である〔1〕または〔2〕に記載の医薬組成物;
第一のポリペプチドが配列番号:1、2、3(Q499のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:4、5、6(J327のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:7、8、9(L404のL鎖CDR)に記載のL鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含む共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
〔4〕前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の医薬組成物;
第一のポリペプチドが配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:11に記載のアミノ酸配列からなるH鎖および第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:12に記載の共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
〔5〕血液凝固第XI因子異常症が、血液凝固第XI因子および/または活性型血液凝固第XI因子の活性の低下、機能異常および/または欠損によって発症および/または進展する疾患である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔6〕血液凝固第XI因子異常症が先天性または後天性の疾患である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔7〕血液凝固第XI因子異常症が血友病Cである、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔A1〕対象に有効量の血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子を投与する工程を含む、血液凝固第XI因子異常症の予防および/または治療するための方法。
〔A2〕血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子が、血液凝固第IX因子および/または活性型血液凝固第IX因子ならびに血液凝固第X因子に結合する二重特異性抗体である、〔A1〕に記載の方法。
〔A3〕前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である〔A1〕または〔A2〕に記載の方法;
第一のポリペプチドが配列番号:1、2、3(Q499のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:4、5、6(J327のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:7、8、9(L404のL鎖CDR)に記載のL鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含む共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
〔A4〕前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である〔A1〕〜〔A3〕のいずれかに記載の方法;
第一のポリペプチドが配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:11に記載のアミノ酸配列からなるH鎖および第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:12に記載の共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
〔A5〕血液凝固第XI因子異常症が、血液凝固第XI因子および/または活性型血液凝固第XI因子の活性の低下、機能異常および/または欠損によって発症および/または進展する疾患である、〔A1〕〜〔A4〕のいずれかに記載の方法。
〔A6〕血液凝固第XI因子異常症が先天性または後天性の疾患である、〔A1〕〜〔A5〕のいずれかに記載の方法。
〔A7〕血液凝固第XI因子異常症が血友病Cである、〔A1〕〜〔A6〕のいずれかに記載の方法。
〔B1〕血液凝固第XI因子異常症の予防および/または治療に使用するための、血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子。
〔B2〕血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子が、血液凝固第IX因子および/または活性型血液凝固第IX因子ならびに血液凝固第X因子に結合する二重特異性抗体である、〔B1〕に記載の抗原結合分子。
〔B3〕前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である〔B1〕または〔B2〕に記載の抗原結合分子;
第一のポリペプチドが配列番号:1、2、3(Q499のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:4、5、6(J327のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:7、8、9(L404のL鎖CDR)に記載のL鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含む共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
〔B4〕前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である〔B1〕〜〔B3〕のいずれかに記載の抗原結合分子;
第一のポリペプチドが配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:11に記載のアミノ酸配列からなるH鎖および第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:12に記載の共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
〔B5〕血液凝固第XI因子異常症が、血液凝固第XI因子および/または活性型血液凝固第XI因子の活性の低下、機能異常および/または欠損によって発症および/または進展する疾患である、〔B1〕〜〔B4〕のいずれかに記載の抗原結合分子。
〔B6〕血液凝固第XI因子異常症が先天性または後天性の疾患である、〔B1〕〜〔B5〕のいずれかに記載の抗原結合分子。
〔B7〕血液凝固第XI因子異常症が血友病Cである、〔B1〕〜〔B6〕のいずれかに記載の抗原結合分子。
〔C1〕血液凝固第XI因子異常症の予防および/または治療に用いられる医薬の製造における、血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子の使用。
〔C2〕血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子が、血液凝固第IX因子および/または活性型血液凝固第IX因子ならびに血液凝固第X因子に結合する二重特異性抗体である、〔C1〕に記載の使用。
〔C3〕前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である〔C1〕または〔C2〕に記載の使用;
第一のポリペプチドが配列番号:1、2、3(Q499のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:4、5、6(J327のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:7、8、9(L404のL鎖CDR)に記載のL鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含む共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
〔C4〕前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である〔C1〕〜〔C3〕のいずれかに記載の使用;
第一のポリペプチドが配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:11に記載のアミノ酸配列からなるH鎖および第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:12に記載の共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
〔C5〕血液凝固第XI因子異常症が、血液凝固第XI因子および/または活性型血液凝固第XI因子の活性の低下、機能異常および/または欠損によって発症および/または進展する疾患である、〔C1〕〜〔C4〕のいずれかに記載の使用。
〔C6〕血液凝固第XI因子異常症が先天性または後天性の疾患である、〔C1〕〜〔C5〕のいずれかに記載の使用。
〔C7〕血液凝固第XI因子異常症が血友病Cである、〔C1〕〜〔C6〕のいずれかに記載の使用。
本発明により、FVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、血友病A、後天性血友病A及びフォンビルブランド病以外のFXI異常症の予防および/または治療に用いられる医薬組成物が提供された。FVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子は、FVIIIの機能不全に起因する血友病A、後天性血友病Aおよびフォンビルブランド病での出血に対する予防剤および/または治療剤として利用できるのみならず、その凝固促進活性からFXI異常症の予防剤および/または治療剤として利用できると考えられる。FXI異常症は、希少な出血性疾患であるため、出血に対する有効な予防剤および/または治療剤は見出されておらず、本発明は、FXI異常症の予防剤および/または治療剤として有望と考えられる。
FXI欠乏血漿を用いたAPTT測定において、FVIII代替活性の機能を有する二重特異性抗体の一つACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(全10ロットの内の5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に凝固時間の短縮を示した。 FXI欠乏血漿を用いたAPTT測定において、FVIII代替活性の機能を有する二重特異性抗体の一つACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(全10ロットの内の5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に凝固時間の短縮を示した。 FXI欠乏血漿を用いたAPTT測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(FXI def: 9-10ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いたAPTT測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に凝固時間の短縮を示した。 FXI欠乏血漿を用いたAPTT試薬惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(全10ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に最大凝固速度の増加を示した。 FXI欠乏血漿を用いたAPTT試薬惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(FXI def: 9-10ロットの平均値および標準偏差)。ACE910は、FXI欠乏血漿において濃度依存的に最大凝固速度の増加を示した。 FXI欠乏血漿を用いたAPTT試薬惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(全10ロットの内の5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に最大凝固加速度の増加を示した。 FXI欠乏血漿を用いたAPTT試薬惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(全10ロットの内の5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に最大凝固加速度の増加を示した。 FXI欠乏血漿を用いたAPTT試薬惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(FXI def: 9-10ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いたAPTT試薬惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に最大凝固加速度の増加を示した。 FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起による凝固時間測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(全5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に凝固時間の短縮を示した。 FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起による凝固時間測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(FXI def: 4-5ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起による凝固時間測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に凝固時間の短縮を示した。 FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(全5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に最大凝固速度の増加を示した。 FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(FXI def: 4-5ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に最大凝固速度の増加を示した。 FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(全5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に最大凝固加速度の増加を示した。 FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(FXI def: 4-5ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に最大凝固加速度の増加を示した。 FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるTGA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示す図である(全10ロットの個別データ)。ACE910は、概ね濃度依存的にトロンビン生成Peak heightの増加を示した。
本発明のFVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子とは、FVIII様活性を有する多重特異性抗原結合分子と言い換えることもできる。本発明において「FVIIIの機能を代替する」とは、FIXaによるFXの活性化を促進する(FIXaによるFXa産生を促進する)ことを意味する。また、より具体的には、本発明において「FVIIIの機能を代替する」とは、FIXおよび/またはFIXaならびにFXを認識し、FIXaによるFXの活性化を促進する(FIXaによるFXa産生を促進する)ことを意味する。FXa産生促進活性は、当業者によく知られた方法により行うことができ、例えば、FIXa、FX、合成基質S-2222(FXaの合成基質)、リン脂質から成る測定系で評価することができる。
本発明の多重特異性抗原結合分子とは、少なくとも2種類の異なる抗原またはエピトープに対して特異的に結合することができる第一の抗原結合部位と第二の抗原結合部位を含む。第一の抗原結合部位と第二の抗原結合部位は、それぞれ、FIX及び/またはFIXaとFXに対して結合活性を有していれば特に限定されないが、例えば、抗体、Scaffold分子(抗体様分子)、ペプチド等の抗原との結合に必要な部位、または当該部位を含む断片をあげることができる。Scaffold分子とは、ターゲット分子に結合することで機能を発揮するような分子であり、少なくとも1つの標的抗原に結合することができる立体構造的に安定なポリペプチドであれば、どのようなポリペプチドであっても用いることができる。そのようなポリペプチドの例としては、例えば、抗体可変領域、フィブロネクチン(WO2002/032925)、Protein Aドメイン(WO1995/001937)、LDL受容体Aドメイン(WO2004/044011, WO2005/040229)、アンキリン(WO2002/020565)等のほか、Nygrenら(Current Opinion in Structural Biology 1997;7:463-469、Journal of Immunol Methods2004;290:3-28)、Binzら(Nature Biotech 2005;23:1257-1266)、Hosseら(Protein Science 2006;15:14-27)に記載の分子を挙げることができる。また、Curr Opin Mol Ther 2010;12(4):487-95やDrugs 2008;68(7):901-12に記されているように標的抗原に結合することができるペプチド分子を用いることもできる。
本発明において、多重特異性抗原結合分子としては、少なくとも2種類の異なる抗原またはエピトープと結合することができる分子であれば特に限定されないが、例えば、抗体やScaffold分子およびこれらの断片等の上記抗原結合部位を含むポリペプチド、核酸分子やペプチドからなるアプタマー等が挙げられ、単一分子であっても良いしこれらの多量体であってもよい。好ましい多重特異性抗原結合分子としては、少なくとも2つの異なる抗原に対して特異的に結合することができる多重特異性抗体を挙げることができる。本発明のFVIIIの機能を代替する活性を有する抗体においては、特に好ましい抗体として、2つの異なる抗原に対して特異的に結合することができる二重特異性抗体(bispecific antibody; BsAb)(二種特異性抗体と呼ばれる場合もある)を挙げることができる。
本発明において「共通L鎖」とは、異なる2種以上のH鎖と会合し、それぞれの抗原に対して結合能を示し得るL鎖である。ここで、「異なるH鎖」とは、好ましくは異なる抗原に対する抗体のH鎖を指すが、それに限定されず、アミノ酸配列が互いに異なっているH鎖を意味する。共通L鎖は、例えばWO2006/109592に記載の方法に従って取得することができる。
本発明における多重特異性抗原結合分子(好ましくは、二重特異性抗体)は、2種以上の異なる抗原に対して特異性を有する抗体もしくは抗体断片からなる分子である。本発明の抗体は特に制限されないが、モノクローナルであることが好ましい。
また、本発明の多重特異性抗原結合分子となる抗体のL鎖は、異なるものであっても良いが、共通のL鎖を有していることが好ましい。
本発明の一態様として、多重特異性抗原結合分子は、FIXおよび/またはFIXa、およびFXを認識し、FVIIIの機能を代替する機能を有する多重特異性抗原結合分子である。また、本発明の抗体は、通常、抗FIXa抗体における可変領域と、抗FX抗体における可変領域とを含む構造を有する。
本発明一態様として、多重特異性抗原結合分子は、FIXおよび/またはFIXaを認識する抗原結合部位を含む第一のポリペプチドおよび第三のポリペプチド、ならびにFXを認識する抗原結合部位を含む第二のポリペプチドおよび第四のポリペプチドを含む。第一のポリペプチドと第三のポリペプチド、ならびに第二のポリペプチドと第四のポリペプチドには、抗体のH鎖の抗原結合部位、と抗体のL鎖の抗原結合部位が含まれる。
例えば本発明における多重特異性抗原結合分子は、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドがそれぞれFIXまたはFIXaに対する抗体のH鎖またはL鎖の抗原結合部位を含み、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドがそれぞれFXに対する抗体のH鎖またはL鎖の抗原結合部位を含む。このとき、第一のポリペプチドと第三のポリペプチド、ならびに第二のポリペプチドと第四のポリペプチドに含まれる抗体のL鎖の抗原結合部位は、共通のL鎖であってもよい。
本発明における抗体のL鎖の抗原結合部位を含むポリペプチドは、好ましくは、FIX、FIXaおよび/またはFXに結合する抗体のL鎖の全部または一部の配列を含むものである。
本発明に記載のFVIIIの機能を代替する活性を有する物質の好ましい態様として、FIXおよび/またはFIXaならびにFXおよび/またはFXaに結合する二重特異性抗体を例示することができる。このような抗体は、例えばWO2005/035756、WO2006/109592、WO2012/067176などに記載の方法に従って取得することができる。本発明の二重特異性抗体にはこれらの文献に記載の抗体が含まれる。
好ましい二重特異性抗体として、特許文献(WO 2012/067176)に記載の二重特異性抗体である以下の抗体(ACE910)を挙げることができる。
第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体であって、第一のポリペプチドが配列番号:1、2、3(Q499のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:4、5、6(J327のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが 配列番号:7、8、9(L404のL鎖CDR)に記載のL鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含む共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
さらに具体的には、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体であって、第一のポリペプチドが配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:11に記載のアミノ酸配列からなるH鎖および第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:12に記載の共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
本発明におけるポリペプチドとは、通常、10アミノ酸程度以上の長さを有するペプチド、およびタンパク質を指す。また、通常、生物由来のポリペプチドであるが、特に限定されず、例えば、人工的に設計された配列からなるポリペプチドであってもよい。また、天然ポリペプチド、あるいは合成ポリペプチド、組換えポリペプチド等のいずれであってもよい。さらに、上記のポリペプチドの断片もまた、本発明のポリペプチドに含まれる。
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗体誘導体および抗体修飾物であってもよい(Miller K et al. J Immunol. 2003, 170(9), 4854-61)。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラであってもよく、または他の種由来であっても、人工的に合成したものであってもよい。本明細書中に開示される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであり得る。免疫グロブリンは、任意の種(例えば、ヒト、マウスまたはウサギ)由来であり得る。尚、「抗体」、「免疫グロブリン」および「イムノグロブリン」なる用語は互換性をもって広義な意味で使われる。
「抗体誘導体」とは抗体の一部、好ましくは抗体の可変ドメイン、または少なくとも抗体の抗原結合領域を含む。抗体誘導体には、例えばFab、Fab'、F(ab')2、Fv断片、線状抗体、一本鎖抗体(scFv)、sc(Fv)2、Fab3、ドメイン抗体 (dAb)(国際公開第2004/058821号、国際公開第2003/002609号)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディおよび抗体誘導体から形成される多重特異性抗体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。ここで、「Fab」は一本の軽鎖、ならびに一本の重鎖のCH1領域および可変領域から構成される。また、「Fv」は最小の抗体誘導体であり、完全な抗原認識領域と抗原結合領域を含む。また抗体誘導体は例えばIgG抗体のFcとの融合体であってもよい。例えば、米国特許第5641870号明細書、実施例2;Zapata G et al. Protein Eng.1995, 8(10), 1057-1062 ; Olafsen T et al. Protein Eng. Design & Sel. 2004, 17(4):315-323 ; Holliger P et al. Nat. Biotechnol. 2005, 23(9);1126-36;Fischer N et al. Pathobiology. 2007, 74(1):3-14 ; Shen J et al. J Immunol Methods. 2007, 318, 65-74 ; Wu et al. Nat Biotechnol. 2007, 25(11), 1290-7を参照できる。
ダイアボディは、遺伝子融合により構築された二価(bivalent)の低分子化抗体を指す(Holliger P et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993;90:6444-6448、EP404,097号、WO93/11161号等)。ダイアボディは、2本のポリペプチド鎖から構成されるダイマーであり、ポリペプチド鎖は各々、同じ鎖中でL鎖可変領域(VL)およびH鎖可変領域(VH)が、互いに結合できない位に短い、例えば、2〜12残基が好ましく、さらに3〜10残基が好ましく、特には5残基程度のリンカーにより結合されている。同一ポリペプチド鎖上にコードされるVLとVHとは、その間のリンカーが短いため単鎖可変領域フラグメントを形成することが出来ず二量体を形成するため、ダイアボディは2つの抗原結合部位を有することとなる。
一本鎖抗体またはscFv抗体断片には、抗体のVHおよびVL領域が含まれ、これらの領域は単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、FvポリペプチドはさらにVHおよびVL領域の間にポリペプチドリンカーを含んでおり、これによりscFvは、抗原結合のために必要な構造を形成することができる(scFvの総説については、Pluckthun『The Pharmacology of Monoclonal Antibodies』Vol.113(Rosenburg and Moore ed (Springer Verlag, New York) pp.269-315, 1994)を参照)。本発明におけるリンカーは、その両端に連結された抗体可変領域の発現を阻害するものでなければ特に限定されない。
また、Fab'を化学的に架橋することによっても二重特異性抗体を作製し得る。例えば一方の抗体から調製したFab'をo-PDM(ortho-phenylenedi-maleimide)にてマレイミド化し、これともう一方の抗体から調製したFab'を反応させることにより、異なる抗体由来Fab'同士を架橋させ二重特異性 F(ab')2を作製することが出来る(Keler T et al. Cancer Research 1997;57:4008-4014)。またFab'-チオニトロ安息香酸(TNB)誘導体とFab'-チオール(SH)等の抗体断片を化学的に結合する方法も知られている(Brennan M et al. Science 1985;229:81-83)。
化学架橋の代わりにFos, Junなどに由来するロイシンジッパーを用いることも出来る。Fos, Junはホモダイマーも形成するが、ヘテロダイマーを優先的に形成することを利用する。Fosロイシンジッパーを付加したFab'とJunのそれを付加したもう一方のFab'を発現調製する。温和な条件で還元した単量体Fab'-Fos, Fab'-Junを混合し反応させることによって二重特異性 F(ab')2が形成できる(Kostelny SA et al. J of Immunology, 1992;148:1547-53)。この方法はFab'には限定されず、scFv, Fvなどにおいても応用可能である。
また、IgG-scFv(Protein Eng Des Sel. 2010;23(4):221-8)やBiTEなどのsc(Fv)2(Drug Discov Today 2005;15;10(18):1237-44)、DVD-Ig(Nat Biotechnol 2007;25(11):1290-7. Epub 2007 Oct 14、MAbs 2009;1(4):339-47. Epub 2009 Jul 10)などの他(IDrugs 2010;13:698-700)、two-in-one抗体(Science 2009;20;323(5921):1610-4、Immunotherapy 2009;1(5):749-51)、Tri-FabやタンデムscFv、ダイアボディなどの二重特異性抗体も知られている(MAbs 2009;1(6):539-547.)。更にscFv-Fc、scaffold-Fcなどの分子形を用いても、ヘテロな組合せのFcを優先的に分泌させることで(Ridgway JB et al. Protein Engineering 1996;9:617-621、Merchant AM et al. Nature Biotechnology 1998;16:677-681、WO2006/106905、Davis JH et al. Protein Eng Des Sel 2010;4:195-202)、二重特異性抗体を効率的に作製し得る。
ダイアボディにおいても二重特異性抗体を作製し得る。二重特異性ダイアボディは二つのcross-over scFv断片のヘテロダイマーである。つまり二種の抗体A,B由来のVHとVLを5残基前後の比較的短いリンカーで結ぶことによって作製されたVH (A)-VL (B), VH (B)-VL (A)を用いてヘテロダイマーを構成することによって出来る(Holliger P et al. Proc of the National Academy of Sciences of the USA 1993;90:6444-6448)。
この際、二種のscFvを15残基程度の柔軟な比較的長いリンカーで結ぶ(一本鎖ダイアボディ:Kipriyanov SM et al. J of Molecular Biology 1999;293:41-56)、適当なアミノ酸置換(knobs-into-holes: Zhu Z et al. Protein Science 1997;6:781-788、VH/VL interface engineering: Igawa T et al. Protein Eng Des Sel 2010;8:667-77)を行うことによって目的の構成を促進させることも出来る。
二種のscFvを15残基程度の柔軟な比較的長いリンカーで結ぶことによって作製できるsc(Fv)2も二重特異性抗体となり得る(Mallender WD et al. J of Biological Chemistry 1994;269:199-206)。
抗体修飾物としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を挙げることができる。本発明の抗体には、これらの抗体修飾物も包含される。本発明の抗体修飾物においては、結合される物質は限定されない。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野において既に確立されている。
「二重特異性」抗体は、異なるエピトープを認識する可変領域を同一の抗体分子内に有する抗体をいう。二重特異性抗体は2つ以上の異なる抗原を認識する抗体であってもよいし、同一抗原上の異なる2つ以上のエピトープを認識する抗体であってもよい。二重特異性抗体には、wholeの抗体だけでなく抗体誘導体が含まれていてもよい。本発明の抗体には、二重特異性抗体も含まれる。なお、本明細書において、抗FIXa/FX二重特異性抗体は、FIXaおよびFXに結合する二重特異性抗体と同義で用いられる。
遺伝子組換え抗体の作製方法
抗体としては、遺伝子組換え技術を用いて産生した組換え型抗体を用いることができる。組換え型抗体は、それをコードするDNAをハイブリドーマ、または抗体を産生する感作リンパ球等の抗体産生細胞からクローニングし、ベクターに組み込んで、これを宿主(宿主細胞)に導入し産生させることにより得ることができる。
抗体は、ヒト抗体、マウス抗体、ラット抗体など、その由来は限定されない。またキメラ抗体やヒト化抗体などの遺伝子改変抗体でもよい。
ヒト抗体の取得方法は既に知られており、例えば、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を目的の抗原で免疫することで目的のヒト抗体を取得することができる(国際特許出願公開番号WO 93/12227, WO 92/03918,WO 94/02602, WO 94/25585,WO 96/34096, WO 96/33735参照)。
遺伝子改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。具体的には、たとえばキメラ抗体は、免疫動物の抗体のH鎖、およびL鎖の可変領域と、ヒト抗体のH鎖およびL鎖の定常領域からなる抗体である。免疫動物由来の抗体の可変領域をコードするDNAを、ヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることによって、キメラ抗体を得ることができる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称される改変抗体である。ヒト化抗体は、免疫動物由来の抗体のCDRを、ヒト抗体の相補性決定領域へ移植することによって構築される。その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州特許出願公開番号EP 239400、国際特許出願公開番号WO 96/02576、Sato K et al, Cancer Research 1993, 53: 851-856、国際特許出願公開番号WO 99/51743参照)。
二重特異性抗体(bispecific抗体)は、二種の異なる抗原に対して特異性を有する抗体である。
二重特異性抗体はIgGタイプのものに限られないが、例えばIgGタイプ二重特異性抗体はIgG抗体を産生するハイブリドーマ二種を融合することによって生じるhybrid hybridoma(quadroma)によって分泌させることが出来る(Milstein C et al. Nature 1983, 305: 537-540)。また目的の二種のIgGを構成するL鎖およびH鎖の遺伝子、合計4種の遺伝子を細胞に導入することによって共発現させることによって分泌させることが出来る。
この際H鎖のCH3領域に適当なアミノ酸置換を施すことによってH鎖についてヘテロな組合せのIgGを優先的に分泌させることも出来る(Ridgway JB et al. Protein Engineering 1996, 9: 617-621、Merchant AM et al. Nature Biotechnology 1998, 16: 677-681、WO2006/106905、Davis JH et al. Protein Eng Des Sel. 2010, 4: 195-202.)。
また、L鎖に関しては、H鎖可変領域に比べてL鎖可変領域の多様性が低いことから、両H鎖に結合能を与え得る共通のL鎖が得られることが期待され、本発明の抗体は、共通のL鎖を有する抗体であってもよい。この共通L鎖と両H鎖遺伝子を細胞に導入することによってIgGを発現させることで効率の良い二重特異性IgGの発現が可能となる。
抗体の製造方法
本発明の抗体は当業者に公知の方法により製造することができる。具体的には、目的とする抗体をコードするDNAを発現ベクターへ組み込む。その際、発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させる。その際には、適当な宿主と発現ベクターの組み合わせを使用することができる。
ベクターの例としては、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Scriptなどが挙げられる。また、cDNAのサブクローニング、切り出しを目的とした場合、上記ベクターの他に、例えば、pGEM-T、pDIRECT、pT7などを用いることができる。
抗体を生産する目的においてベクターを使用する場合には、特に、発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、例えば、宿主をJM109、DH5α、HB101、XL1-Blueなどの大腸菌とした場合においては、大腸菌で効率よく発現できるようなプロモーター、例えば、lacZプロモーター(Wardら, Nature (1989) 341, 544-546;FASEB J. (1992) 6, 2422-2427)、araBプロモーター(Betterら, Science (1988) 240, 1041-1043)、またはT7プロモーターなどを持っていることが不可欠である。このようなベクターとしては、上記ベクターの他にpGEX-5X-1(Pharmacia社製)、「QIAexpress system」(QIAGEN社製)、pEGFP、またはpET(この場合、宿主はT7 RNAポリメラーゼを発現しているBL21が好ましい)などが挙げられる。
また、ベクターには、ポリペプチド分泌のためのシグナル配列が含まれていてもよい。ポリペプチド分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、例えばpelBシグナル配列(Lei, S. P. et al J. Bacteriol. (1987) 169, 4397)を使用すればよい。宿主細胞へのベクターの導入は、例えば塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法を用いて行うことができる。
大腸菌発現ベクターの他、本発明の抗体を製造するためのベクターとしては、例えば、哺乳動物由来の発現ベクター(例えば、pcDNA3(Invitrogen社製)や、pEGF-BOS (Nucleic Acids. Res.1990, 18(17),p5322)、pEF、pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えば「Bac-to-BAC baculovairus expression system」(GIBCO BRL社製)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えばpMH1、pMH2)、動物ウィルス由来の発現ベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウィルス由来の発現ベクター(例えば、pZIPneo)、酵母由来の発現ベクター(例えば、「Pichia Expression Kit」(Invitrogen社製)、pNV11、SP-Q01)、枯草菌由来の発現ベクター(例えば、pPL608、pKTH50)が挙げられる。
CHO細胞、COS細胞、NIH3T3細胞等の動物細胞での発現を目的とした場合には、細胞内で発現させるために必要なプロモーター、例えばSV40プロモーター(Mulliganら, Nature (1979) 277, 108)、MMTV-LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushimaら, Nucleic Acids Res. (1990) 18, 5322)、CAGプロモーター(Gene. (1991) 108, 193)、CMVプロモーターなどを持っていることが不可欠であり、形質転換細胞を選抜するための遺伝子を有すればさらに好ましい。形質転換細胞を選抜するための遺伝子としては、例えば、薬剤(ネオマイシン、G418など)により判別できるような薬剤耐性遺伝子がある。このような特性を有するベクターとしては、例えば、pMAM、pDR2、pBK-RSV、pBK-CMV、pOPRSV、pOP13などが挙げられる。
さらに、遺伝子を安定的に発現させ、かつ、細胞内での遺伝子のコピー数の増幅を目的とする場合には、核酸合成経路を欠損したCHO細胞にそれを相補するDHFR遺伝子を有するベクター(例えば、pCHOIなど)を導入し、メトトレキセート(MTX)により増幅させる方法が挙げられ、また、遺伝子の一過性の発現を目的とする場合には、SV40 T抗原を発現する遺伝子を染色体上に持つCOS細胞を用いてSV40の複製起点を持つベクター(pcDなど)で形質転換する方法が挙げられる。複製開始点としては、また、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィルス(BPV)等の由来のものを用いることもできる。さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
これにより得られた本発明の抗体は、宿主細胞内または細胞外(培地など)から単離し、実質的に純粋で均一な抗体として精製することができる。抗体の分離、精製は、通常の抗体の精製で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動法、透析、再結晶等を適宜選択、組み合わせれば抗体を分離、精製することができる。
クロマトグラフィーとしては、例えばアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual. Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996)。これらのクロマトグラフィーは、液相クロマトグラフィー、例えばHPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、Protein Aカラム、Protein Gカラムが挙げられる。例えば、Protein Aを用いたカラムとして、Hyper D, POROS, Sepharose FF(GE Amersham Biosciences)等が挙げられる。本発明は、これらの精製方法を用い、高度に精製された抗体も包含する。
得られた抗体は、均一にまで精製することができる。抗体の分離、精製は通常の蛋白質で使用されている分離、精製方法を使用すればよい。例えばアフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組合せれば、抗体を分離、精製することができる(Antibodies : A Laboratory Manual. Ed Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)が、これらに限定されるものではない。アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、Protein Aカラム、Protein Gカラムなどが挙げられる。
治療または予防目的で使用される本発明の医薬組成物は、必要に応じて、適当な薬学的に許容される担体、媒体等と混和して調製し、凍結乾燥製剤または溶液製剤とすることができる。適当な薬学的に許容される担体、媒体としては、例えば、滅菌水や生理食塩水、安定剤、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、緩衝剤(リン酸、クエン酸、ヒスチジン、他の有機酸等)、防腐剤、界面活性剤(PEG、Tween等)、キレート剤(EDTA等)、結合剤等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリン等の蛋白質、グリシン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸、メチオニン、アルギニンおよびリシン等のアミノ酸、多糖および単糖等の糖類や炭水化物、マンニトールやソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよい。注射用の水溶液とする場合には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えば、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、HCO-50)等と併用してもよい。また、製剤中にヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)を混合することによって、より大きな液量を皮下投与することも可能である(Expert Opin Drug Deliv. 2007 Jul;4(4):427-40.)。また、本発明の医薬組成物は予め注射筒に入れられていてもよい。尚、溶液製剤はWO2011/090088に記載の方法に従って作製することができる。
本発明の医薬組成物の投与は、任意の適切な経路を介して患者に投与することができる。例えば、ボーラスとしてまたは一定期間にわたる持続注入による静脈内、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、経皮、皮下、関節内、舌下、滑液内、経口、吸入、局所または外用による経路により患者に投与される。静脈内投与または皮下投与が好ましい。
投与量は、例えば前記二重特異性抗体の場合、0.001〜1000mg/kgである。投与間隔は、前記二重特異性抗体の場合、少なくとも1日以上である。
FVIII等の血液凝固因子の薬効をモニタリングする方法としては、APTT、CWAおよびTGAなどが広く知られており、当業者であればこれらの方法を適宜改変・修正して使用することができる。これらの方法は単独で用いてもよく、いくつかを併用して用いてもよく、少なくとも一つの方法の結果をもって薬効を判断することができる。
APTTは、FVIII製剤の薬効のモニタリング法として古くから汎用されている。APTTは、被検血漿にAPTT試薬を添加後、CaCl2を添加し、フィブリノゲンが不溶性フィブリンに変換される時間、すなわち凝固が開始されるまでの時間を測定する方法である。
CWAは、凝固反応が亢進する中で生じるフィブリン量を光学的(例えば、吸光度)変化量として経時的に測定する試験である。CWAでは、凝固反応のフィブリン生成の開始段階から増幅段階までの一連の凝固反応を経時的に評価できる。更に、CWAの凝固開始試薬については、APTT試薬(Thromb Haemost 2002;87(3):436-41、J Thromb Haemost 2006;4(2):377-84)、低濃度の組織因子(TF)と血液凝固第XII因子(FXII)活性化剤(ellagic acid)の混合溶液と組み合せた試薬(J Thromb Haemost 2014;12(3):355-62)などが報告されている。凝固波形は、光量に関する光学的情報(吸光度)の経時的変化を表す波形である。凝固波形を微分(1次微分)して、凝固速度を算出し、最大凝固速度をパラメータとして利用する。凝固速度を微分(2次微分)して、凝固加速度を算出し、最大凝固加速度をパラメータとして利用する(Haemophilia 2008;14:83-92、J Thromb Haemost 2014;12(3):355-62)。
TGAは、トロンビンに対する蛍光基質を用いて、凝固反応が亢進する中で生成されるトロンビン量を酵素活性として経時的に測定する試験である(Haemophilia 2008;14(suppl. 3):83-92)。
本発明により、FVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、血友病A、後天性血友病Aおよびフォンビルブランド病以外のFXI異常症の予防および/または治療に用いられる医薬組成物が提供された。FXI異常症は、FXIの先天的欠損または機能不全に起因する稀な出血性疾患であり、例えば血友病Cを挙げることができる。また、FXIの活性低下または欠損は、先天的および/または後天的な原因によるものを例示することができるが、これらに限定されない。FXIの活性低下の程度としては、健常者と比較して、好ましくは40%未満(例えば40%未満、30%未満、20%未満、10%未満)、より好ましくは10%未満(例えば10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満)、更に好ましくは5%未満(例えば5%未満、4%未満、3%未満、2%未満)、特に好ましくは1%未満の患者が挙げられるが、これらに限定されない。FXIの活性の測定方法は当業者に周知である(例えば、「みんなに役立つ血友病の基礎と臨床」、白幡聡、医薬ジャーナル社、2009など)。
本明細書において用いる場合、「・・・を含む(comprising)」との表現により表される態様は、「本質的に・・・からなる(essentially consisting of)」との表現により表される態様、ならびに「・・・からなる(consisting of)」との表現により表される態様を包含する。
本明細書において明示的に引用される全ての特許および参考文献の内容は全て本明細書に参照として取り込まれる。
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、下記の実施例に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
本発明では、血友病A、後天性血友病Aおよびフォンビルブランド病以外のFXI異常症の患者由来の市販血漿を用いて、FVIII代替活性の機能を有する多重特異性抗原結合分子による血漿凝固促進作用の検証を試みた。実施例として、市販のFXI欠乏血漿、あるいはFXI中和血漿を用いて、APTT、CWAおよびTGAの各血漿凝固評価法にて、FVIII代替活性の機能を有する抗体の一つである特許文献(WO 2012/067176)に記載の二重特異性抗体であるACE910による血漿凝固促進作用を調べた。
[実施例2]
FVIII機能代替活性を有する抗FIXa/FX二重特異性抗体の調製
FVIII機能代替活性を有する抗FIXa/FX二重特異性抗体の一つであるACE910を、WO2005/035756、WO2006/109592、WO2012/067176に記載された方法で取得した。抗体遺伝子を、動物細胞発現ベクターに組み込み、それをCHO細胞へトランスフェクションすることで、二重特異性抗体を発現した。次いで、細胞の培養上清に含まれる二重特異性抗体を精製した。
このように精製された二重特異性抗体のFVIII機能代替活性の測定は、以下に示す酵素アッセイにて行った。室温下、1 nMのhuman FIXa(Enzyme Research Laboratories)、140nMのhuman FX(Enzyme Research Laboratories)、20 μMのリン脂質(10% phosphatidylserine、60% phosphatidylcholine、30% phosphatidylethanolamine)、及び二重特異性抗体を、5 mM CaCl2と0.1%牛血清アルブミンを含むトリス緩衝生理食塩水溶液で混合後2分間インキュベーションし、FIXaによるFX活性化反応を進めた。本反応は、EDTAの添加により停止させた。次いで、FXa特異的な発色基質溶液S-2222(CHROMOGENIX)を添加し、405nmの吸光度変化をSpectraMax 340PC384 (Molecular Devices)を用いて測定した。既知濃度のヒトFXa(Enzyme Research Laboratories)による吸光度変化から検量線を作成し、二重特異性抗体によるFXa産生促進活性を評価した。
[実施例3]
APTT測定およびCWA測定
APTT試薬としてThrombocheck APTT-SLA(Sysmex)を用いた。二重特異性抗体ACE910を含むFXI欠乏ヒト血漿(市販品、George King Bio-Medical)50μLまたは抗FXI中和抗体(XI-5108, J Thromb Haemost2006;4:1496-1501)を添加したヒト血漿(市販品、George King Bio-Medical)50μLに、APTT試薬50 μLを添加した。3分間インキュベーション後、0.02 mol/L塩化カルシウム溶液50 μLを添加して凝固反応を開始し、血液凝固自動測定装置(CS-2000i、Sysmex)で常法に従いAPTTを測定した。凝固反応が亢進する中で生じるフィブリン量を吸光度変化量として経時的に測定し、CWAにより最大凝固速度および最大凝固加速度を算出した。FXI欠乏ヒト血漿としては、全10ロットを評価した。
[実施例4]
混合試薬惹起による凝固時間測定およびCWA測定
凝固反応を惹起する試薬として混合試薬(組織因子イノビン0.1 pM [Sysmex]、合成リン脂質10 μM [Sysmex]およびエラグ酸0.3 μM [Sysmex]を含む:濃度は測定時濃度)を用いた。二重特異性抗体ACE910を含むFXI欠乏ヒト血漿(市販品、George King Bio-Medical)50μLまたは抗FXI中和抗体(XI-5108)を添加したヒト血漿(市販品、George King Bio-Medical)50μLに、混合試薬50 μLを添加した。3分間インキュベーション後、0.02 mol/L塩化カルシウム溶液50 μLを添加して凝固反応を開始し、血液凝固自動測定装置(CS-2000i、Sysmex)で凝固時間を測定した。凝固反応が亢進する中で生じるフィブリン量を吸光度変化量として経時的に測定し、CWAにより最大凝固速度および最大凝固加速度を算出した。FXI欠乏ヒト血漿としては、全5ロットを評価した。
[実施例5]
混合試薬惹起によるTGA測定
励起波長390 nm/蛍光波長460 nmフィルターセット、ディスペンザー、解析ソフトウェア(Thrombinoscope software version 3.0.0.29、 Thrombinoscope BV)を備えた96ウェル蛍光プレート蛍光光度計(Thermo Fisher Scientific Instruments)を用いて、calibrated automated thrombographyにより常法に従いTGA測定を行った。二重特異性抗体ACE910を含むFXI欠乏ヒト血漿(市販品、George King Bio-Medical)80μLまたは抗FXI中和抗体(XI-5108)を添加したヒト血漿(市販品、George King Bio-Medical)80μLを96ウェルプレートの各ウェルに添加した。次に、凝固反応を惹起する試薬として混合試薬(組織因子イノビン0.5 pM [Sysmex]、合成リン脂質4 μM [Sysmex]およびエラグ酸0.3 μM [Sysmex]を含む:濃度は測定時濃度)20 μLを各ウェルへ添加した。測定される蛍光強度をトロンビン量に換算するために、混合試薬の代わりにThrombin Calibrator(Thrombinoscope BV)20 μLを添加するウェルも設けた。反応を開始させるため、FluCa kit(Thrombinoscope BV)から調製したFluCa reagent 20 μLを、プログラムされた装置により自動分注した。装置のソフトウェアにより、トロンボグラムおよびpeak height(最大トロンビン量)を算出した。FXI欠乏ヒト血漿としては、全5ロットを評価した。
[実施例6]
APTT測定の結果
FXI欠乏血漿を用いたAPTT測定において、FVIII代替活性の機能を有する二重特異性抗体の一つACE910は凝固時間短縮作用を示した(図1、全10ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に凝固時間の短縮を示した。FXI欠乏血漿の全10ロットの結果集計においても、ACE910の凝固時間短縮作用が確認された(図2、FXI def: 9-10ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いたAPTT測定において、ACE910は凝固時間短縮作用を示した(図2、Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。以上、ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に凝固時間の短縮を示した。
[実施例7]
APTT試薬惹起によるCWA測定の結果
FXI欠乏血漿を用いたAPTT試薬惹起によるCWA測定において、ACE910は最大凝固速度増加作用を示した(図3、全10ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に最大凝固速度の増加を示した。FXI欠乏血漿の全10ロットの結果集計においても、ACE910の最大凝固速度増加作用が確認された(図4、FXI def: 9-10ロットの平均値および標準偏差)。
FXI欠乏血漿を用いたAPTT試薬惹起によるCWA測定において、ACE910は最大凝固加速度増加作用を示した(図5、全10ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に最大凝固加速度の増加を示した。FXI欠乏血漿の全10ロットの結果集計においても、ACE910の最大凝固加速度増加作用が確認された(図6、FXI def: 9-10ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いたAPTT試薬惹起によるCWA測定において、ACE910は最大凝固加速度時間の短縮作用を示した(図6、Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。以上、ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に最大凝固加速度の増加を示した。
[実施例8]
混合試薬惹起による凝固時間測定の結果
FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起による凝固時間測定において、ACE910は凝固時間短縮作用を示した(図7、全5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に凝固時間の短縮を示した。FXI欠乏血漿の全5ロットの結果集計においても、ACE910の凝固時間短縮作用が確認された(図8、FXI def: 4-5ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起による凝固時間測定において、ACE910は凝固時間短縮作用を示した(図8、Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。以上、ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に凝固時間の短縮を示した。
[実施例9]
混合試薬惹起によるCWA測定の結果
FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910は最大凝固速度増加作用を示した(図9、全5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に最大凝固速度の増加を示した。FXI欠乏血漿の全5ロットの結果集計においても、ACE910の最大凝固速度増加作用が確認された(図10、FXI def: 4-5ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910は最大凝固速度増加作用を示した(図10、Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。以上、ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に最大凝固速度の増加を示した。
FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910は最大凝固加速度増加作用を示した(図11、全5ロットの個別データ)。ACE910は、何れのロットの血漿においても濃度依存的に最大凝固加速度の増加を示した。FXI欠乏血漿の全5ロットの結果集計においても、ACE910の最大凝固加速度増加作用が確認された(図12、FXI def: 4-5ロットの平均値および標準偏差)。また、FXI中和血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるCWA測定において、ACE910は最大凝固加速度増加作用を示した(図12、Normal + FXI Ab: 1ロットの個別データ)。以上、ACE910は、FXI欠乏およびFXI中和の何れの血漿においても濃度依存的に最大凝固加速度の増加を示した。
[実施例10]
混合試薬惹起によるTGA測定の結果
FXI欠乏血漿を用いた混合試薬(組織因子およびエラグ酸を含む)惹起によるTGA測定において、ACE910が血漿凝固促進作用を示した(図13、全10ロットの個別データ)。ACE910は、概ね濃度依存的にトロンビン生成Peak heightの増加を示した。
本発明により、血友病A、後天性血友病Aおよびフォンビルブランド病以外のFXI異常症において、出血、出血を伴う疾患、もしくは出血に起因する疾患の発症および/または進展に対する、予防法および/または治療法としてFVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子を用いる方法が提供された。FVIIIの機能を代替する多重特異性抗原結合分子は、FVIIIの機能不全に起因する血友病A、後天性血友病Aおよびフォンビルブランド病での出血に対する予防法および/または治療法として利用できるのみならず、その凝固促進活性から他のFXI異常症での出血に対する予防法および/または治療法として利用できると考えられる。FXI異常症は、希少な出血性疾患であるため、出血に対する有効な予防法および/または治療法は確立されておらず、本発明は、FXI異常症における出血の発症および/または進展に対する、予防法および/または治療法として有望と考えられる。

Claims (7)

  1. 血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子を含有する、血液凝固第XI因子異常症の予防および/または治療に用いられる医薬組成物。
  2. 血液凝固第VIII因子の機能を代替する多重特異性抗原結合分子が、血液凝固第IX因子および/または活性型血液凝固第IX因子ならびに血液凝固第X因子に結合する二重特異性抗体である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である請求項1または2に記載の医薬組成物。
    第一のポリペプチドが配列番号:1、2、3(Q499のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:4、5、6(J327のH鎖CDR)に記載のH鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含むH鎖、第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが 配列番号:7、8、9(L404のL鎖CDR)に記載のL鎖CDR1、2、3のアミノ酸配列を含む共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
  4. 前記二重特異性抗体が以下に記載の抗体であって、第一のポリペプチドと第三のポリペプチドが会合し、第二のポリペプチドと第四のポリペプチドが会合する二重特異性抗体である請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
    第一のポリペプチドが配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるH鎖、第二のポリペプチドが配列番号:11に記載のアミノ酸配列からなるH鎖および第三のポリペプチドと第四のポリペプチドが配列番号:12に記載の共通L鎖からなる二重特異性抗体(Q499-z121/J327-z119/L404-k)。
  5. 血液凝固第XI因子異常症が、血液凝固第XI因子および/または活性型血液凝固第XI因子の活性の低下、機能異常および/または欠損によって発症および/または進展する疾患である、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 血液凝固第XI因子異常症が先天性または後天性の疾患である、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. 血液凝固第XI因子異常症が血友病Cである、請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物。
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