JP2018121912A - ゴルフクラブフェース用鋼板、ゴルフクラブフェース及びその製造方法、並びにゴルフクラブヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】耐力及び靱性が高く、安価で薄肉化が可能であり、想定を上回る衝撃にさらされると破損せずに変形するゴルフクラブフェースを与えるゴルフクラブフェース用鋼板を提供する。【解決手段】本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。また、本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、焼入れ焼戻し後に、下記式:降伏比(YR)=0.1%耐力/引張強さで表される降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上である。【選択図】なし
Description
本発明は、ゴルフクラブフェース用鋼板、ゴルフクラブフェース及びその製造方法、並びにゴルフクラブヘッドに関する。
ゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体の前面部にボールを打撃するフェース(「ゴルフクラブフェース」と言う場合もある。)が設けられている。ゴルフクラブヘッドは、一般に、鋼板などの材料を所定の形状にプレス成形及び切削加工し、熱処理を施してヘッド本体及びフェースを得た後、ヘッド本体とフェースとを溶接し、研磨及びメッキを行うことによって製造される。
フェースは、厚さが薄いほど、たわみが大きくなり、ボールの反発性が向上することから、ボールの飛距離が伸びる。そのため、フェースを薄肉化することにより、ゴルフクラブヘッドの性能を向上させることができる。また、フェースには、ボールの打撃時に大きな負荷がかかるため、ボールに抗するための耐力、及びボールとの衝突時に破壊しないような靭性が要求される。例えば、ボールとの繰返し打撃によって凹まないようにするため、一般的なフェースの厚さである2.5mmにおいて1550MPa以上の0.1%耐力がフェースに要求される。また、ボールの打撃時の衝撃によってフェースが破損しないようにするため、45J/cm2以上の衝撃値(靱性)がフェースに要求される。
フェースは、厚さが薄いほど、たわみが大きくなり、ボールの反発性が向上することから、ボールの飛距離が伸びる。そのため、フェースを薄肉化することにより、ゴルフクラブヘッドの性能を向上させることができる。また、フェースには、ボールの打撃時に大きな負荷がかかるため、ボールに抗するための耐力、及びボールとの衝突時に破壊しないような靭性が要求される。例えば、ボールとの繰返し打撃によって凹まないようにするため、一般的なフェースの厚さである2.5mmにおいて1550MPa以上の0.1%耐力がフェースに要求される。また、ボールの打撃時の衝撃によってフェースが破損しないようにするため、45J/cm2以上の衝撃値(靱性)がフェースに要求される。
フェースに用いられる鉄系材料としては、S20Cなどの低炭素鋼を鍛造した鋼が使用されていたが、フェースの厚さを薄く設計することが可能なバネ鋼を使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のバネ鋼は、耐力が十分でないため、フェースの薄肉化に限界がある。
そこで、本出願人らは、フェースに使用される鋼板の鋼組成について検討し、耐力及び靱性が高く、薄肉化が可能な鋼板を提案した(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1のバネ鋼は、耐力が十分でないため、フェースの薄肉化に限界がある。
そこで、本出願人らは、フェースに使用される鋼板の鋼組成について検討し、耐力及び靱性が高く、薄肉化が可能な鋼板を提案した(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2の鋼板は、高価なNi及びMoを含んでいるため、ゴルフクラブフェース及びゴルフクラブヘッドの価格が上昇する。
また、特許文献2の鋼板は、0.1%耐力/引張強さによって表される降伏比(YR)が0.9と高く、均一伸びが少ない傾向にある。そのため、特許文献2の鋼板から作製されたフェースは、ミスショットによって地面と衝突した場合などのように想定を上回る衝撃にさらされると、ほとんど変形することなく破損に至る可能性がある。ゴルフクラブフェースの均一伸びを十分に確保して破損を防止する観点から、降伏比(YR)が0.8以下であることが望ましい。
また、特許文献2の鋼板は、0.1%耐力/引張強さによって表される降伏比(YR)が0.9と高く、均一伸びが少ない傾向にある。そのため、特許文献2の鋼板から作製されたフェースは、ミスショットによって地面と衝突した場合などのように想定を上回る衝撃にさらされると、ほとんど変形することなく破損に至る可能性がある。ゴルフクラブフェースの均一伸びを十分に確保して破損を防止する観点から、降伏比(YR)が0.8以下であることが望ましい。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、耐力及び靱性が高く、安価で薄肉化が可能であり、想定を上回る衝撃にさらされると破損せずに変形するゴルフクラブフェースを与えるゴルフクラブフェース用鋼板を提供することを目的とする。
また、本発明は、耐力及び靱性が高く、安価で薄肉化が可能であり、想定を上回る衝撃にさらされると破損せずに変形するゴルフクラブフェース及びその製造方法、並びに当該ゴルフクラブフェースを備えたゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
また、本発明は、耐力及び靱性が高く、安価で薄肉化が可能であり、想定を上回る衝撃にさらされると破損せずに変形するゴルフクラブフェース及びその製造方法、並びに当該ゴルフクラブフェースを備えたゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、特許文献2の鋼板の鋼組成をベースとしつつ鋭意研究を続けた結果、高価なNi及びMoを用いることなく、耐力及び靱性が高く且つ均一伸びに優れ、しかも薄肉化が可能なゴルフクラブフェースを与える鋼組成を見出した。
すなわち、本発明は、C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、焼入れ焼戻し後に、下記式:
降伏比(YR)=0.1%耐力/引張強さ
で表される降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上であることを特徴とするゴルフクラブフェース用鋼板である。
降伏比(YR)=0.1%耐力/引張強さ
で表される降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上であることを特徴とするゴルフクラブフェース用鋼板である。
また、本発明は、C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下記式:
降伏比(YR)=0.1%耐力/引張強さ
で表される降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上であることを特徴とするゴルフクラブフェースである。
降伏比(YR)=0.1%耐力/引張強さ
で表される降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上であることを特徴とするゴルフクラブフェースである。
また、本発明は、C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板を成形加工した後、850℃〜900℃の温度に加熱して焼入れ処理し、230℃以下の温度で焼戻し処理することを特徴とするゴルフクラブフェースの製造方法である。
さらに、本発明は、前記ゴルフクラブフェースを有することを特徴とするゴルフクラブヘッドである。
本発明によれば、耐力及び靱性が高く、安価で薄肉化が可能であり、想定を上回る衝撃にさらされると破損せずに変形するゴルフクラブフェースを与えるゴルフクラブフェース用鋼板を提供することができる。
また、本発明によれば、耐力及び靱性が高く、安価で薄肉化が可能であり、想定を上回る衝撃にさらされると破損せずに変形するゴルフクラブフェース及びその製造方法、並びに当該ゴルフクラブフェースを備えたゴルフクラブヘッドを提供することができる。
また、本発明によれば、耐力及び靱性が高く、安価で薄肉化が可能であり、想定を上回る衝撃にさらされると破損せずに変形するゴルフクラブフェース及びその製造方法、並びに当該ゴルフクラブフェースを備えたゴルフクラブヘッドを提供することができる。
<ゴルフクラブフェース用鋼板>
本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。また、本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、焼入れ焼戻し後に、降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上である。
以下、本発明のゴルフクラブフェース用鋼板について詳細に説明する。
本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。また、本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、焼入れ焼戻し後に、降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上である。
以下、本発明のゴルフクラブフェース用鋼板について詳細に説明する。
[C:0.40〜0.65質量%]
Cは、熱処理された鋼板の強度、耐力に影響を及ぼす合金成分であり、C含有量に応じて焼入れ硬さ、強度などが変化する。十分な焼入硬さ、強度を得る観点から、C含有量は0.40質量%以上にする必要がある。他方、C含有量が高すぎると焼戻処理後の鋼材の靭性が低下するため、C含有量は0.65質量%以下にする必要がある。C含有量は、好ましくは0.43〜0.64質量%、より好ましくは0.45〜0.63質量%、さらに好ましくは0.47〜0.62質量%である。
Cは、熱処理された鋼板の強度、耐力に影響を及ぼす合金成分であり、C含有量に応じて焼入れ硬さ、強度などが変化する。十分な焼入硬さ、強度を得る観点から、C含有量は0.40質量%以上にする必要がある。他方、C含有量が高すぎると焼戻処理後の鋼材の靭性が低下するため、C含有量は0.65質量%以下にする必要がある。C含有量は、好ましくは0.43〜0.64質量%、より好ましくは0.45〜0.63質量%、さらに好ましくは0.47〜0.62質量%である。
[Si:0.60質量%以下]
Siは、製鋼段階で脱酸剤として添加される合金成分である。十分な脱酸を行わせるためには、Si含有量を0.15質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、多量のSi添加は、鋼板の製造過程においてスケール疵が鋼板表面に発生し易くなり,表面品質の低下を招くことになるので、Si含有量は0.60質量%以下にする必要がある。Si含有量は、好ましくは0.18〜0.50質量%、より好ましくは0.19〜0.40質量%、さらに好ましくは0.20〜0.30質量%である。
Siは、製鋼段階で脱酸剤として添加される合金成分である。十分な脱酸を行わせるためには、Si含有量を0.15質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、多量のSi添加は、鋼板の製造過程においてスケール疵が鋼板表面に発生し易くなり,表面品質の低下を招くことになるので、Si含有量は0.60質量%以下にする必要がある。Si含有量は、好ましくは0.18〜0.50質量%、より好ましくは0.19〜0.40質量%、さらに好ましくは0.20〜0.30質量%である。
[Mn:0.60〜1.50質量%]
Mnは、焼入れ性を向上させる合金成分である。十分な焼入れ性を得るためには、Mn含有量は0.60質量%以上にする必要がある。他方、過剰量のMnを含有させると、焼戻し処理後の残留オーステナイトの量が多くなるため、Mn含有量は1.50質量%以下にする必要がある。Mn含有量は、好ましくは0.63〜1.30質量%、より好ましくは0.65〜1.20質量%、さらに好ましくは0.68〜1.10質量%、特に好ましくは0.70〜1.00質量%である。
Mnは、焼入れ性を向上させる合金成分である。十分な焼入れ性を得るためには、Mn含有量は0.60質量%以上にする必要がある。他方、過剰量のMnを含有させると、焼戻し処理後の残留オーステナイトの量が多くなるため、Mn含有量は1.50質量%以下にする必要がある。Mn含有量は、好ましくは0.63〜1.30質量%、より好ましくは0.65〜1.20質量%、さらに好ましくは0.68〜1.10質量%、特に好ましくは0.70〜1.00質量%である。
[P:0.020質量%以下]
Pは、低温焼戻し脆化の原因となる成分である。そのため、Pに起因する悪影響を抑制する観点から、P含有量は0.020質量%以下にする必要がある。P含有量は、好ましくは0.001〜0.019質量%、より好ましくは0.003〜0.018質量%、さらに好ましくは0.005〜0.017質量%である。
Pは、低温焼戻し脆化の原因となる成分である。そのため、Pに起因する悪影響を抑制する観点から、P含有量は0.020質量%以下にする必要がある。P含有量は、好ましくは0.001〜0.019質量%、より好ましくは0.003〜0.018質量%、さらに好ましくは0.005〜0.017質量%である。
[S:0.025質量%以下]
Sは、非金属介在物となって鋼中に存在し、靭性を低下させる成分である。そのため、十分な靭性を確保する観点から、S含有量は0.025質量%以下にする必要がある。S含有量は、好ましくは0.001〜0.023質量%、より好ましくは0.002〜0.020質量%、さらに好ましくは0.003〜0.015質量%以下である。
Sは、非金属介在物となって鋼中に存在し、靭性を低下させる成分である。そのため、十分な靭性を確保する観点から、S含有量は0.025質量%以下にする必要がある。S含有量は、好ましくは0.001〜0.023質量%、より好ましくは0.002〜0.020質量%、さらに好ましくは0.003〜0.015質量%以下である。
[Cr:0.30〜1.70質量%]
Crは、焼入れ性を向上させると共に、強度及び靱性の向上に有効な成分である。この効果を得るためには、Cr含有量を0.30質量%以上にする必要がある。他方、Cr含有量が高すぎると、焼入れ後の鋼板の未溶解炭化物量が増加する。未溶解炭化物は亀裂の発生又は伝播を助長し、靭性の低下を招くため、Cr含有量は1.70質量%以下にする必要がある。Cr含有量は、好ましくは0.40〜1.60質量%、より好ましくは0.50〜1.50質量%、さらに好ましくは0.60〜1.40質量%、特に好ましくは0.70〜1.30質量%である。
Crは、焼入れ性を向上させると共に、強度及び靱性の向上に有効な成分である。この効果を得るためには、Cr含有量を0.30質量%以上にする必要がある。他方、Cr含有量が高すぎると、焼入れ後の鋼板の未溶解炭化物量が増加する。未溶解炭化物は亀裂の発生又は伝播を助長し、靭性の低下を招くため、Cr含有量は1.70質量%以下にする必要がある。Cr含有量は、好ましくは0.40〜1.60質量%、より好ましくは0.50〜1.50質量%、さらに好ましくは0.60〜1.40質量%、特に好ましくは0.70〜1.30質量%である。
[V:0.05〜0.40質量%]
Vは、焼入れ時にオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し、靭性を向上させる作用を呈する成分である。この効果を得るためには、V含有量を0.05質量%以上にする必要がある。他方、V含有量を増加すると、この効果が飽和することから、V含有量は0.40質量%以下でよい。V含有量は、好ましくは0.08〜0.35質量%、より好ましくは0.10〜0.30質量%、さらに好ましくは0.15〜0.25質量%である。
Vは、焼入れ時にオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し、靭性を向上させる作用を呈する成分である。この効果を得るためには、V含有量を0.05質量%以上にする必要がある。他方、V含有量を増加すると、この効果が飽和することから、V含有量は0.40質量%以下でよい。V含有量は、好ましくは0.08〜0.35質量%、より好ましくは0.10〜0.30質量%、さらに好ましくは0.15〜0.25質量%である。
[残部:Fe及び不可避的不純物]
上記の成分以外の残部は、Fe及び不可避的不純物である。ここで、不可避的不純物とは、O、Nなどの除去することが難しい成分のことを意味する。これらの成分は、鋼材を溶製する段階で不可避的に混入する。
上記の成分以外の残部は、Fe及び不可避的不純物である。ここで、不可避的不純物とは、O、Nなどの除去することが難しい成分のことを意味する。これらの成分は、鋼材を溶製する段階で不可避的に混入する。
[焼入れ焼戻し後の降伏比(YR):0.8以下]
焼入れ焼戻し後の降伏比(YR)は、降伏後の材料がどの程度均一変形できるかを表す指標である。YRが低いほど、均一伸びが大きく、衝撃荷重が加えられた際に破断に至るまでの塑性変形能が大きくなる。フェースに想定外の大きな衝撃荷重が加えられた際に均一伸びを十分に確保して破断を防止するためには、YRを0.8以下に規定する必要がある。
YRは、焼入れ焼戻し後の0.1%耐力を焼入れ焼戻し後の引張強さで除することによって算出することができる。すなわち、YRは、下記式によって表される。
YR=0.1%耐力/引張強さ
ここで、本明細書において「0.1%耐力」とは、0.1%の永久伸びを生じるときの応力値を意味する。0.1%耐力及び引張強さは、JIS13B号試験片を用いて測定した。
焼入れ焼戻し後の降伏比(YR)は、降伏後の材料がどの程度均一変形できるかを表す指標である。YRが低いほど、均一伸びが大きく、衝撃荷重が加えられた際に破断に至るまでの塑性変形能が大きくなる。フェースに想定外の大きな衝撃荷重が加えられた際に均一伸びを十分に確保して破断を防止するためには、YRを0.8以下に規定する必要がある。
YRは、焼入れ焼戻し後の0.1%耐力を焼入れ焼戻し後の引張強さで除することによって算出することができる。すなわち、YRは、下記式によって表される。
YR=0.1%耐力/引張強さ
ここで、本明細書において「0.1%耐力」とは、0.1%の永久伸びを生じるときの応力値を意味する。0.1%耐力及び引張強さは、JIS13B号試験片を用いて測定した。
[焼入れ焼戻し後の0.1%耐力:1550MPa以上]
焼入れ焼戻し後の0.1%耐力は、ゴルフクラブフェースの薄肉化に対する要求を考慮すると、1550MPa以上、好ましくは1560MPa以上、より好ましくは1570MPa以上、さらに好ましくは1580MPa以上、特に好ましくは1590MPa以上とする必要がある。
焼入れ焼戻し後の0.1%耐力は、ゴルフクラブフェースの薄肉化に対する要求を考慮すると、1550MPa以上、好ましくは1560MPa以上、より好ましくは1570MPa以上、さらに好ましくは1580MPa以上、特に好ましくは1590MPa以上とする必要がある。
[焼入れ焼戻し後の衝撃値:45J/cm2以上]
焼入れ焼戻し後の衝撃値は、ゴルフクラブフェースの薄肉化に対する要求を考慮すると、45J/cm2以上、好ましくは50J/cm2以上、より好ましくは55J/cm2以上、さらに好ましくは60J/cm2以上とする必要がある。
ここで、本明細書において「衝撃値」とは、シャルピー衝撃試験によって測定される衝撃吸収エネルギーの値のことを意味する。シャルピー衝撃試験では、長手方向を圧延方向に平行とし、板厚3.0mm、長手方向長さ55mm、幅方向長さ10mm、長手方向中央部にR1mmのUノッチを形成した試験片を用いた。
焼入れ焼戻し後の衝撃値は、ゴルフクラブフェースの薄肉化に対する要求を考慮すると、45J/cm2以上、好ましくは50J/cm2以上、より好ましくは55J/cm2以上、さらに好ましくは60J/cm2以上とする必要がある。
ここで、本明細書において「衝撃値」とは、シャルピー衝撃試験によって測定される衝撃吸収エネルギーの値のことを意味する。シャルピー衝撃試験では、長手方向を圧延方向に平行とし、板厚3.0mm、長手方向長さ55mm、幅方向長さ10mm、長手方向中央部にR1mmのUノッチを形成した試験片を用いた。
上記のような特性を有する本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、上記の組成を有する鋼材を常法によって圧延することによって製造することができる。このとき、必要に応じて、酸洗や焼鈍を施してもよい。また、本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、上記のような特性を有していれば、熱延鋼板であっても冷延鋼板であってもよい。
本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、高価なNi及びMoを含有しておらず、焼入れ焼戻し後に、降伏比(YR)を0.8以下、0.1%耐力を1550MPa以上及び衝撃値を45J/cm2以上にすることができるため、耐力及び靱性が高く且つ均一伸びに優れ、しかも安価で薄肉化が可能なゴルフクラブフェースの製造に用いることができる。
本発明のゴルフクラブフェース用鋼板は、高価なNi及びMoを含有しておらず、焼入れ焼戻し後に、降伏比(YR)を0.8以下、0.1%耐力を1550MPa以上及び衝撃値を45J/cm2以上にすることができるため、耐力及び靱性が高く且つ均一伸びに優れ、しかも安価で薄肉化が可能なゴルフクラブフェースの製造に用いることができる。
<ゴルフクラブフェース及びその製造方法>
本発明のゴルフクラブフェースは、C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。また、本発明のゴルフクラブフェースは、降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上である。
本発明のゴルフクラブフェースは、C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。また、本発明のゴルフクラブフェースは、降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上である。
上記のような特徴を有する本発明のゴルフクラブフェースは、上記のゴルフクラブフェース用鋼板を成形加工した後、焼入れ焼戻し処理することによって製造することができる。具体的には、C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるゴルフクラブフェース用鋼板を成形加工した後、850℃〜900℃の温度に加熱して焼入れ処理し、230℃以下の温度で焼戻し処理することにより、本発明のゴルフクラブフェースを製造することができる。
成形加工処理としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、ゴルフクラブフェース用鋼板をプレス成形及び切削加工すればよい。
焼入れ処理は、ゴルフクラブフェース用鋼板を加熱した後、油焼入れすることによって行われる。焼入れ処理では、ゴルフクラブフェース用鋼板を加熱することによって金属組織をオーステナイト化し、油焼入れによってマルテンサイト組織とする。焼入れ処理時の加熱温度は、耐力及び靱性と関係しているため、加熱温度を制御することにより、耐力及び靱性を制御する。加熱温度は、焼戻し後に、1550MPa以上の0.1%耐力を安定して得るために850℃以上とする必要がある。他方、加熱温度が高すぎるとオーステナイト結晶粒が粗大化して靭性が低下するため、加熱温度は900℃以下にする必要がある。また、加熱保持時間は、加熱温度などに応じて調整すればよく特に限定されないが、一般に3分〜30分である。
焼戻し処理は、焼入れ処理を行ったゴルフクラブフェース用鋼板を230℃以下に加熱した後、空冷することによって行われる。
ここで、焼戻し処理時の加熱温度(焼戻し温度)について、特許文献2には、焼戻し温度が低いほど残留オーステナイトが多くなって強度及び耐力が低下する原因になり、逆に焼戻し温度が高いほど残留オーステナイトが少なくなって靱性が低下することが教示されている。
これに対して本発明者らは、焼戻し温度を230℃以下とする低温焼戻し処理について詳細な研究を行った結果、残留オーステナイトは靱性に寄与するけれども、焼戻し温度及び鋼組成によっては残留オーステナイトの存在が靱性を低下させる原因となることが分かった。これは、残留オーステナイトが不安定であり、衝撃荷重が加えられることによって加工誘起マルテンサイトに容易に変態するためであると考えられる。
本発明では、鋼組成を所定の範囲に調整することにより、焼入れ後の残留オーステナイトの量を少なくすることができ、230℃以下の焼戻し処理を施して強度及び耐力を向上させつつ、靭性を確保することができる。
焼戻し処理時の加熱保持時間は、加熱温度などに応じて調整すればよく特に限定されないが、一般に3分〜60分である。
ここで、焼戻し処理時の加熱温度(焼戻し温度)について、特許文献2には、焼戻し温度が低いほど残留オーステナイトが多くなって強度及び耐力が低下する原因になり、逆に焼戻し温度が高いほど残留オーステナイトが少なくなって靱性が低下することが教示されている。
これに対して本発明者らは、焼戻し温度を230℃以下とする低温焼戻し処理について詳細な研究を行った結果、残留オーステナイトは靱性に寄与するけれども、焼戻し温度及び鋼組成によっては残留オーステナイトの存在が靱性を低下させる原因となることが分かった。これは、残留オーステナイトが不安定であり、衝撃荷重が加えられることによって加工誘起マルテンサイトに容易に変態するためであると考えられる。
本発明では、鋼組成を所定の範囲に調整することにより、焼入れ後の残留オーステナイトの量を少なくすることができ、230℃以下の焼戻し処理を施して強度及び耐力を向上させつつ、靭性を確保することができる。
焼戻し処理時の加熱保持時間は、加熱温度などに応じて調整すればよく特に限定されないが、一般に3分〜60分である。
本発明のゴルフクラブフェースは、高価なNi及びMoを含有しておらず、降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上であるため、耐力及び靱性が高く且つ均一伸びに優れ、しかも安価で薄肉化が可能である。
<ゴルフクラブヘッド>
本発明のゴルフクラブヘッドは、上記のゴルフクラブフェースを有する。なお、本発明のゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブフェース以外の部材については特に限定されず、当該技術分野において公知の部材を用いることができる。
本発明のゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体とゴルフクラブフェースとを溶接し、研磨及びメッキを行うことによって製造することができる。溶接方法としては、特に限定されず、レーザー溶接などを用いることができる。
本発明のゴルフクラブヘッドは、上記のゴルフクラブフェースを有する。なお、本発明のゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブフェース以外の部材については特に限定されず、当該技術分野において公知の部材を用いることができる。
本発明のゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体とゴルフクラブフェースとを溶接し、研磨及びメッキを行うことによって製造することができる。溶接方法としては、特に限定されず、レーザー溶接などを用いることができる。
本発明のゴルフクラブヘッドは、耐力及び靱性が高く且つ均一伸びに優れ、しかも安価で薄肉化が可能なゴルフクラブフェースを用いているため、ゴルフクラブヘッドの価格を低減することができると共に、ゴルフクラブヘッドとしての性能も向上させることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
表1に示す組成を有する鋼材を加熱温度1250〜1350℃にて60分保持した後、圧延率75%、仕上温度850℃、巻取温度610℃の条件で熱間圧延を行なって熱延帯鋼を得た。次に、熱延帯鋼を酸洗した後、710℃で40時間の焼鈍、圧延率30%での冷間圧延、710℃で20時間の焼鈍を順次行い、板厚3.0mmの冷延鋼板(ゴルフクラブフェース用鋼板)を得た。
表1に示す組成を有する鋼材を加熱温度1250〜1350℃にて60分保持した後、圧延率75%、仕上温度850℃、巻取温度610℃の条件で熱間圧延を行なって熱延帯鋼を得た。次に、熱延帯鋼を酸洗した後、710℃で40時間の焼鈍、圧延率30%での冷間圧延、710℃で20時間の焼鈍を順次行い、板厚3.0mmの冷延鋼板(ゴルフクラブフェース用鋼板)を得た。
次に、上記で作製したゴルフクラブフェース用鋼板を830℃〜980℃(詳細は表2に示す)で15分加熱保持した後、直ちに60℃の油中焼入れを施した。次に、焼入れ鋼板を200℃〜300℃(詳細は表2に示す)で30分加熱保持した後、空冷して焼戻しを行った。そして、得られた鋼板から引張試験用、シャルピー衝撃試験用、ビッカース硬さ測定用の試験片を切り出した。
引張試験では、上記した方法に従い、0.1%耐力及び引張強さを測定した。
衝撃値は、上記した方法に従って測定を行った。また、ビッカース硬さは、ビッカース硬度計を用いて測定した。
また、0.1%耐力及び引張強さから降伏比(YR)を算出した。
上記の各評価結果を表2に示す。
衝撃値は、上記した方法に従って測定を行った。また、ビッカース硬さは、ビッカース硬度計を用いて測定した。
また、0.1%耐力及び引張強さから降伏比(YR)を算出した。
上記の各評価結果を表2に示す。
表2に示されるように、適切な鋼組成を有するゴルフクラブフェース用鋼板A〜Gを用いた試験No.1〜7では、0.1%耐力が1550MPa以上、降伏比(YR)が0.8以下、衝撃値が45J/cm2以上となった。
これに対してゴルフクラブフェース用鋼板Hを用いた試験No.8では、C含有量が少なく、Vを含有していないため、0.1%耐力が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Iを用いた試験No.9では、高価なNi及びMoを含有するため、コストアップにつながると共に、衝撃値が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Jを用いた試験No.10では、Cr含有量が少なかったため、0.1%耐力が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Kを用いた試験No.11では、高価なNiを含有するため、コストアップにつながると共に、衝撃値が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Lを用いた試験No.12では、Mn含有量が多かったため、衝撃値が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Mを用いた試験No.13では、C含有量が多かったため、衝撃値が低くなった。
これに対してゴルフクラブフェース用鋼板Hを用いた試験No.8では、C含有量が少なく、Vを含有していないため、0.1%耐力が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Iを用いた試験No.9では、高価なNi及びMoを含有するため、コストアップにつながると共に、衝撃値が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Jを用いた試験No.10では、Cr含有量が少なかったため、0.1%耐力が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Kを用いた試験No.11では、高価なNiを含有するため、コストアップにつながると共に、衝撃値が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Lを用いた試験No.12では、Mn含有量が多かったため、衝撃値が低くなった。
ゴルフクラブフェース用鋼板Mを用いた試験No.13では、C含有量が多かったため、衝撃値が低くなった。
上記の結果を考察するために、ゴルフクラブフェース用鋼板Dを用いた試験No.4及びゴルフクラブフェース用鋼板Iを用いた試験No.9の試験片について、残留オーステナイトの体積分率を測定した。残留オーステナイトの体積分率は、X線回折法を用い、オーステナイトピークとマルテンサイトピークとの強度比から算出した。その結果、試験No.4では、残留オーステナイトの体積分率が0%であったのに対し、試験No.9では、残留オーステナイトの体積分率が5%であった。したがって、試験No.9において衝撃値(靱性)が低下したのは、衝撃試験時に残留オーステナイトがマルテンサイトに加工誘起変態したためであると考えられる。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、耐力及び靱性が高く、安価で薄肉化が可能であり、想定を上回る衝撃にさらされると破損せずに変形するゴルフクラブフェースを与えるゴルフクラブフェース用鋼板を提供することができる。また、本発明によれば、耐力及び靱性が高く、安価で薄肉化が可能であり、想定を上回る衝撃にさらされると破損せずに変形するゴルフクラブフェース及びその製造方法、並びに当該ゴルフクラブフェースを備えたゴルフクラブヘッドを提供することができる。
Claims (4)
- C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、焼入れ焼戻し後に、下記式:
降伏比(YR)=0.1%耐力/引張強さ
で表される降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上であることを特徴とするゴルフクラブフェース用鋼板。 - C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下記式:
降伏比(YR)=0.1%耐力/引張強さ
で表される降伏比(YR)が0.8以下、0.1%耐力が1550MPa以上及び衝撃値が45J/cm2以上であることを特徴とするゴルフクラブフェース。 - C:0.40〜0.65質量%、Si:0.6質量%以下、Mn:0.60〜1.50質量%、P:0.020質量%以下、S:0.025質量%以下、Cr:0.30〜1.70質量%、V:0.05〜0.40質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板を成形加工した後、850℃〜900℃の温度に加熱して焼入れ処理し、230℃以下の温度で焼戻し処理することを特徴とするゴルフクラブフェースの製造方法。
- 請求項2に記載のゴルフクラブフェースを有することを特徴とするゴルフクラブヘッド。
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-
2017
- 2017-02-01 JP JP2017016709A patent/JP2018121912A/ja active Pending
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