JP2018115389A - 厚鋼板および厚鋼板の製造方法 - Google Patents

厚鋼板および厚鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた強度特性を維持しつつ、耐サワー性、特に耐SSC性に優れたものとすることのできる厚鋼板および厚鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の厚鋼板の製造方法は、鋼に対して熱間圧延を行い、圧延材を得る第1の工程と、前記圧延材をAr3変態点超の温度から加速冷却する第2の工程と、前記圧延材の表面について、(Ac1変態点−50℃)以上Ac1変態点以下の第1の温度域を2.0℃/秒以上の平均昇温速度でAc1変態点超の第2の温度域まで加熱し、前記第2の温度域で1秒以上600秒以下保持する第3の工程と、を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、厚鋼板および厚鋼板の製造方法に関する。
原油や天然ガスの輸送に用いられるラインパイプとして、厚鋼板を加工して得られるUO鋼管が多用されている。原油や天然ガス等の石油資源は硫化水素を含むことがあり、このような場合、UO鋼管は、いわゆるサワー環境で使用されることになる。
このようなサワー環境下では、酸性環境中で腐食反応により鋼表面に発生した水素が鋼中に進入することにより発生する水素脆性破壊、いわゆる硫化物応力割れ(Sulfide Stress Cracking:SSC)が生じうる。また、鋼中の介在物周辺等に水素が集積し、水素誘起割れ(Hydrogen Induced Cracking:HIC)と呼ばれる内部割れが生じうる。したがって、このようなラインパイプに用いられる厚鋼板には、強度、靱性、溶接性等の特性に加えて、硫化水素を含むサワー環境下での耐性、すなわち耐サワー性、その一つである耐SSC性が求められる。
耐SSC性は、厚鋼板の表層の硬度との相関を有しており、現状、耐SSC性を優れたものとするために厚鋼板の表層付近の硬度を制限することが求められている。例えば、X65グレードの鋼管表層(厚さ方向で表面から約1mm未満である範囲)においては、ビッカーズ硬度(Hv)が約250以下であることが求められている。
しかしながら、鋼管素材である厚鋼板は、例えば10〜40mm程度の厚さを有することから、熱間圧延後の加速冷却時において厚鋼板の表層付近が厚さ方向中央付近に比べて優先的に冷却される。この結果、厚鋼板の表層付近は中央付近と比較して硬度が高くなりやすい。
一方で、耐サワー性に優れた鋼板を得るために、特許文献1〜3において熱間圧延、加速冷却後に所定の熱処理を行う鋼板の製造方法が提案されている。
特許文献1には、所定の化学成分を有する鋼を、所定の条件で加熱、熱間圧延、加速冷却し、次いで誘導加熱により鋼板表面温度で550〜700℃、鋼板断面平均温度で400〜580℃に加熱することを特徴とする板厚が30mm以上の高強度耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献2には、所定の化学成分を含有する鋼を、加熱温度:1000〜1300℃、圧延終了温度:Ar3温度以上の条件で熱間圧延した後、冷却速度:5℃/秒以上で400〜600℃まで加速冷却を行い、冷却後直ちに昇温速度:0.5℃/秒以上で600〜700℃の温度まで再加熱を行うことを特徴とする、耐HIC特性に優れたラインパイプ用高強度鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献3には、所定の化学成分を有する鋼を、所定の条件で再加熱、熱間圧延、加速冷却し、直ちに表層温度が525℃以上、板厚中心温度が400〜500℃の再加熱を実施した後、冷間加工によりパイプ状に曲げ加工し、両端部の突き合せ部を溶接して溶接鋼管とする、厚肉高強度耐サワーラインパイプの製造方法が開示されている。
特開2009−52137号公報 特開2008−101242号公報 国際公開第2013/190750号
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法では、十分には鋼板表面の硬度を下げることができず、耐SSC性を十分に優れたものとすることが困難であった。一方で、特許文献1〜3に記載のような方法により鋼板の加熱を行う場合、加熱条件によっては鋼板内部の組織の変態に伴う鋼板の強度低下が生じ得る。
したがって、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、優れた強度特性を維持しつつ、耐サワー性、特に耐SSC性に優れたものとすることのできる厚鋼板および厚鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明者は、厚鋼板の耐SSC性を高めるべく鋭意検討を行ったところ、厚鋼板を従来知られているよりも高い温度域、すなわちAc1変態点を超える温度域に加熱することにより、厚鋼板表層の硬度を十分に低下させ、耐SSC性を向上させることができることを見出した。一方で、厚鋼板を加熱する際にその表層付近を選択的に加熱することにより、加熱による厚鋼板の強度低下への影響を抑制できる可能性に着目した。そして厚鋼板の表面温度に着目して厚鋼板表面の選択的加熱条件を検討し、本発明を想到するに至った。
さらに、本発明者らは、厚鋼板の表層付近に特定のフェライト組織を比較的多く含ませることにより、優れた強度特性を維持しつつ、耐サワー性、特に耐SSC性を向上させることができることを見出した。
上記のような知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 鋼に対して熱間圧延を行い、圧延材を得る第1の工程と、
前記圧延材をAr3変態点超の温度から加速冷却する第2の工程と、
前記圧延材の表面について、(Ac1変態点−50℃)以上Ac1変態点以下の第1の温度域を2.0℃/秒以上の平均昇温速度でAc1変態点超の第2の温度域まで加熱し、前記第2の温度域で1秒以上600秒以下の間保持する第3の工程と、
を有する厚鋼板の製造方法。
(2) 前記第2の温度域は、Ac3変態点以下である、(1)に記載の厚鋼板の製造方法。
(3) 前記第3の工程における前記加熱は、誘導加熱により行われる、(1)または(2)に記載の厚鋼板の製造方法。
(4) 前記誘導加熱における印加周波数は、2kHz以上200kHz以下である、(3)に記載の厚鋼板の製造方法。
(5) さらに、前記第3の工程後、前記圧延材をAc1変態点未満の温度に加熱する第4の工程を有する、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の厚鋼板の製造方法。
(6) 前記第2の工程において、前記圧延材を、5℃/秒以上60℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の厚鋼板の製造方法。
(7) 表面から0.1mm以上1.0mm以下の表層領域における表層フェライト面積分率に対する板厚中心から厚さ方向で−2.5mm〜2.5mmの中心領域における中心領域フェライト面積分率の比(中心領域フェライト面積分率/表層フェライト面積分率)が、0.10以下であり、
圧延方向および板厚方向の断面を観察した際に、前記表層領域において、フェライト組織の板厚方向長さに対する圧延方向長さの比(圧延方向長さ/板厚方向長さ)の平均値が、5.0以下であり、かつ
前記表層領域におけるビッカーズ硬度が、250Hv以下である、厚鋼板。
以上説明したように本発明によれば、厚鋼板を、優れた強度特性を維持しつつ、耐サワー性、特に耐SSC性に優れたものとして、得ることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
なお、本明細書において、別段の記載がない限り、「表層」とは、厚鋼板や圧延材等の鋼材の表面(あるいは裏面)から所定の板厚方向の深さ(例えば1.0mm深さ)までの部位をいう。また別段の記載がない限り、「内部領域」とは厚鋼板や圧延材等の鋼材の上記表層より板厚方向に深い位置にある部位、例えば鋼材の板厚方向1/4t〜3/4t(tは板厚を示す)の部位をいう。
〔1.厚鋼板の製造方法〕
本発明の厚鋼板の製造方法は、鋼(鋼塊または鋼片)に対して熱間圧延を行い、圧延材を得る第1の工程と、前記圧延材を加速冷却する第2の工程と、前記圧延材の表面について、(Ac1変態点−50℃)以上Ac1変態点以下の第1の温度域を2.0℃/秒以上の平均昇温速度でAc1変態点超の第2の温度域まで加熱し、第2の温度域で1秒以上600秒以下保持する第3の工程と、を有する。
以下、まず、本実施形態の厚鋼板の製造方法において圧延素材となる鋼について説明し、その後、各工程を詳細に説明する。
<鋼>
本実施形態において用いることができる鋼は、例えば、鋳型に鋳造されたインゴット(鋼塊)や連続鋳造により得られた鋳片から必要な形状、寸法に加工された鋼片、すなわち公知の製造方法によって製造された鋼片を使用することができる。また、この鋼片の形状、寸法も、後述する各工程に供することができる範囲内で適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
また、鋼の化学組成についても特に限定されるものではなく、例えば得られる厚鋼板に求められる用途等に応じて、適宜選択可能である。鋼は、例えば質量%で、
C:0.02〜0.09%、
Si:0.01〜0.60%、
Mn:0.1〜2.0%、
sol.Al:0.005〜0.09%、
を含有し、さらに、
Cu:0.90%以下、
Ni:0.90%以下、
Cr:0.90%以下、
Mo:0.90%以下、
V:0.09%以下、
Nb:0.09%以下、
Ti:0.09%以下、
B:0.004%以下、
Ca:0.01%以下、
REM:0.1%以下、
Zr:0.1%以下、および
Mg:0.01%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなることができる。このような化学組成は、得られる厚鋼板において十分な強度、靭性、および耐サワー性を得るために有利である。
以下、各元素について説明する。なお、以下の記載においても成分の含有量についての「%」なる記載は、「質量%」を意味する。
(C:0.02〜0.09%)
Cは、鋼の強度の向上に寄与する成分である。この効果を十分に得るために、Cの含有量は、好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.04%以上である。一方、靱性および耐サワー性の劣化を防止する観点から、Cの含有量は、好ましくは0.09%以下、より好ましくは0.07%以下、さらに好ましくは0.06%以下である。
(Si:0.01〜0.60%)
Siは、製鋼における脱酸元素として有効であるとともに、鋼の強度の向上に寄与する成分である。この効果を十分に得るために、Siの含有量は、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。一方、靱性の劣化を防止する観点から、Siの含有量は、好ましくは0.60%以下、より好ましくは0.40%以下、さらに好ましくは0.30%以下である。
(Mn:0.1〜2.0%)
Mnは、鋼の強度の向上に寄与する成分である。この効果を十分に得るために、Mnの含有量は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは1.0%以上である。一方、靱性および耐サワー性の劣化を防止する観点から、Mnの含有量は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.6%以下である。
(sol.Al:0.005〜0.09%)
Alは、Siと同様に脱酸に有効な元素である。このため、sol.Al(酸可溶Al)として、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.02%以上含有される。一方、靱性の劣化を防止する観点から、sol.Alの含有量は、好ましくは0.09%以下、より好ましくは0.06%以下である。
また、上述した鋼の一例においては、鋼は、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Nb、Ti、B、Ca、REM、Zr、およびMgからなる群から選択される1種または2種以上を含有する。なお、これらの元素の含有量は、下限を特に制限する必要はなく、0%でもよい。
(Cu:0〜0.90%)
Cuは、鋼の強度の向上に寄与する成分であり、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Cuを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.10%以上である。一方、靱性の劣化を防止する観点から、Cuの含有量は、好ましくは0.90%以下、より好ましくは0.50%以下、さらに好ましくは0.30%以下である。
(Ni:0〜0.90%)
Niは、鋼の強度の向上に寄与するとともに靱性の改善に寄与する元素であり、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Niを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.10%以上である。一方、Niは高価な元素であるため、Niの含有量は、好ましくは0.90%以下、より好ましくは0.50%以下、さらに好ましくは0.30%以下である。
(Cr:0〜0.90%)
Crは、鋼の強度の向上に寄与する成分であり、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Crを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.10%以上である。一方、靱性の劣化を防止する観点から、Crの含有量は、好ましくは0.90%以下、より好ましくは0.50%以下、さらに好ましくは0.30%以下である。
(Mo:0〜0.90%)
Moは、鋼の強度の向上に寄与する成分であり、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Moを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.05%以上である。一方、靱性の劣化を防止する観点から、Moの含有量は、好ましくは0.90%以下、より好ましくは0.50%以下である。
(V:0〜0.09%)
Vは、鋼の強度の向上に寄与する成分であり、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Vを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.01%以上である。一方、靱性の劣化を防止する観点から、Vの含有量は、好ましくは0.09%以下、より好ましくは0.05%以下である。
(Nb:0〜0.09%)
Nbは、鋼の強度の向上に寄与するとともに靱性の改善に寄与する元素であり、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Nbを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.01%以上である。一方、耐サワー性の低下の防止の観点から、Nbの含有量は、好ましくは0.09%以下、より好ましくは0.06%以下、さらに好ましくは0.04%以下である。
(Ti:0〜0.09%)
Tiは、Nと結合してTiNを形成することで溶接熱影響部(HAZ)の靱性を改善する効果を有し、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Tiを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.01%以上である。一方、靱性および耐サワー性の低下の防止の観点から、Tiの含有量は、好ましくは0.09%以下、より好ましくは0.03%以下である。
(B:0〜0.004%)
Bは、焼き入れ性を改善して鋼の強度の向上に寄与する成分であり、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Bを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.0003%以上である。一方、靱性の低下の防止の観点から、Bの含有量は、好ましくは0.004%以下、より好ましくは0.002%以下である。
(Ca:0〜0.01%)
Caは、硫化物(特にMnS)の形態を制御し、靱性および耐サワー性の向上に寄与するため、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Caを含有させる場合の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001%以上である。一方、過剰な添加による靱性および耐サワー性の低下の防止の観点から、Caの含有量は、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下である。
(REM:0〜0.1%)
REMは、硫化物の形態を制御し、靱性の向上に寄与するため、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、REMを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.001%以上である。一方、過剰な添加による靱性の低下の防止の観点から、REMの含有量は、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下である。ここで、「REM」とは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuをいい、REMとして上記のいずれか1種以上が鋼に含有され得る。なお、上記のREMの含有量は、REM合計の含有量である。
(Zr:0〜0.1%)
Zrは、酸化物や窒化物を形成し、HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制し、靱性の改善に寄与するため、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Zrを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.005%以上である。一方、過剰な添加による靱性の低下の防止の観点から、Zrの含有量は、好ましくは0.1%以下である。
(Mg:0〜0.01%)
Mgは、微細に分散した酸化物を形成し、特に溶接熱影響部のオーステナイト粒径の粗大化を抑制して靱性の改善に寄与する。したがって、Mgは、必要に応じて添加されてもよい。この効果を十分に得るために、Mgを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.0005%以上である。一方、過剰な添加による靱性への悪影響の防止の観点から、Mgの含有量は、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下である。
また、上述した鋼は、残部としてFeと不純物とを含む。
鋼中のFeは、鋼の主成分である。鋼は、例えば、95%以上のFeを含む。
不純物は、添加の意図に関係なく、鋼中に存在し、得られる厚鋼板において本来存在する必要のない成分である。「不純物」なる用語は、鋼材料を工業的に製造する際に原料としての鉱石、スクラップまたは製造環境などから混入する不可避的不純物を含む概念である。このような不純物は、本願発明の効果に悪影響を与えない量で含まれ得る。不純物としては、例えばP、S、N、O等が挙げられる。以下、代表的な不純物元素について詳細に説明する。
(P:0〜0.02%)
Pは、不純物元素であり、その含有量が過度に多い場合、靱性を劣化させる恐れがある。したがって、Pの含有量は、少ない方が望ましく、例えば0.02%以下、好ましくは0.01%以下である。Pの含有量の下限については0%が望ましいが、例えば0.0001%以上としてもよい。
(S:0〜0.01%)
Sは、不純物元素であり、その含有量が過度に多い場合、靱性を劣化させる恐れがある。したがって、Sの含有量は、少ない方が望ましく、例えば0.01%以下、好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.002%以下、さらに好ましくは0.0010%以下である。Sの含有量の下限については0%が望ましいが、例えば0.0001%以上としてもよい。
(N:0〜0.009%)
Nは、不純物元素であり、その含有量が過度に多い場合、靱性を劣化させる恐れがある。したがって、Nの含有量は、少ない方が望ましく、例えば0.009%以下、好ましくは0.007%以下である。また、Nの含有量が0.004%以上の場合、TiやZrを含有させることにより、HAZの靱性が改善される場合がある。Nの含有量の下限については0%が望ましいが、例えば0.0001%以上としてもよい。
(O:0〜0.003%)
Oは、不純物元素であり、その含有量が過度に多い場合、靱性を劣化させる恐れがある。したがって、Oの含有量は、少ない方が望ましく、例えば0.003%以下、好ましくは0.002%以下である。Oの含有量の下限については0%が望ましいが、例えば0.0001%以上としてもよい。
(CeqL:0.10〜0.60%)
CeqLは炭素当量を意味し、下記(1)式で定義される。Ceqは、特に限定されないが、CeqLを大きくすることは強度の向上に寄与するため、CeqLは0.10%以上とすることが望ましい。一方、CeqLが過剰であると溶接割れが起こりやすくなり、また靭性を劣化させる可能性もあるため、CeqLは0.60%以下とすることが望ましい。
CeqL=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(1)
ここで、式中の各元素記号は、鋼板に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、ある元素が含有されない場合は当該元素に対応する元素記号の値をゼロとする。
以上、本実施形態において適用可能な鋼の一例について説明した。しかしながら、本発明において使用可能な鋼は、当然、上述した一例に限定されるものではない。例えば、鋼は、上述した元素以外の元素を含有していてもよい。また、鋼中の各元素は上述した範囲外の含有量で存在していてもよい。
<第1の工程(熱間圧延工程)>
第1の工程においては、鋼に対して熱間圧延を行い、圧延材を得る。熱間圧延は、例えば連続鋳造法による鋼片の製造後、そのまま行ってもよく、鋼片を一旦冷却し、再加熱してから行ってもよい。
熱間圧延の前処理としての再加熱の条件は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
例えば、圧延前の加熱温度は、熱間圧延を容易に行うために、900℃以上とすることができる。加熱温度を高くすることにより、Nb、V、Ti、Zr等の炭化物、窒化物などを固溶させて、強度、靱性や耐サワー性を改善する効果が得られる。加熱温度は、好ましくは1000℃以上、より好ましくは1100℃以上である。また、オーステナイト結晶粒の粗大化およびこれに伴う靱性の劣化をより確実に抑制するために、加熱温度は、好ましくは1250℃以下である。
また、熱間圧延の条件も特に限定されるものではない。例えば、熱間圧延は、900℃以下の温度域における合計圧下率が50%以上となる条件で行うことができる。これにより、鋼板の組織を微細化して良好な靱性を確保することがより容易になる。ここで、「900℃以下の温度域における合計圧下率」とは、以下の式で表される。
合計圧下率(%)=[(900℃に達した時点の厚さ)−(圧延仕上厚さ)]/(900℃に達した時点の厚さ)×100%
また、熱間圧延の仕上温度は、例えばAr3変態点超とすることができる。これにより、加速冷却の開始温度をAr3変態点超とすることができ、得られる厚鋼板の耐サワー性をより一層向上させることができる。なお、ここでいうAr3変態点は、空冷の場合の変態開始温度を意味し、熱膨張測定により求めることができる。
なお、熱間圧延後の圧延材の厚さは、得られる厚鋼板において所望される厚さに対応している。
<第2の工程(加速冷却工程)>
次に、第2の工程においては、第1の工程において得られた圧延材をAr3変態点超の温度から加速冷却する。
上述したように、加速冷却の開始温度は、Ar3変態点超である。圧延材の板厚中央部には、変態の進行に伴って、凝固偏析に起因するバンド状の成分の濃度むらが生じやすいが、上記のような温度から加速冷却を行うことにより、フェライトバンド、パーライドバンド等のバンド組織の生成が抑制される。この結果、バンド組織中の硬質組織を低減させ、耐サワー性を向上させることができる。加速冷却の開始温度は、好ましくは(Ar3変態点+20℃)以上である。
加速冷却の平均冷却速度は、特に限定されないが、例えば、5℃/秒以上とすることができる。これにより、上述したバンド組織の生成をより確実に抑制することができ、耐サワー性をより一層向上させることができる。平均冷却速度は、好ましくは10℃/秒以上である。一方で、平均冷却速度が大きいと圧延材を均一には冷却しにくくなり、圧延材の表層付近の硬度が厚さ方向中央部の硬度と比較して高くなる傾向にある。したがって、平均冷却速度は、好ましくは60℃/秒以下、より好ましくは40℃/秒以下である。なお、表層付近の硬度が上昇した場合であっても、後述する第3の工程において、表層の硬度を十分に低下させることができ、得られる厚鋼板は、当然、耐サワー性に優れるものとなる。
加速冷却の冷却停止温度は、特に限定されないが、厚鋼板の強度向上の観点から、例えば、600℃以下、好ましくは、500℃以下とすることができる。また、加速冷却の冷却停止温度は、良好な耐サワー性確保の観点から、例えば、300℃以上、好ましくは、400℃以上とすることができる。
また、加速冷却の具体的な方法としては特に限定されないが、例えば、一般に鋼の焼入れに使用されている油冷、水冷等を採用することができる。
なお、本工程における圧延材の温度は、当該圧延材の表面温度を観察することにより測定可能である。すなわち、加速冷却の開始温度は、表面温度を意味する。また、加速冷却の冷却停止温度は、復熱完了後の表面温度を意味する。
<第3の工程(表層加熱工程)>
次に、第3の工程においては、圧延材の表面について、(Ac1変態点−50℃)以上Ac1変態点以下の第1の温度域を2.0℃/秒以上の平均昇温速度でAc1変態点超の第2の温度域まで加熱し、そのAc1変態点超の第2の温度域で1秒以上600秒以下の間保持する。
上述したように本発明者は、圧延材の表面をAc1変態点を超える温度域まで加熱することにより、表層を軟化させ、表層の硬度を十分に低下させることができることを見出した。圧延材の深さ1mm未満の表層においては、マルテンサイトおよびベイナイトの複合組織が生成している傾向にある。Ac1変態点を超える温度域において加熱を行うことにより、圧延材の表面付近のミクロ組織においては、少なくとも部分的には、組織の逆変態が生じ、オーステナイトが生成し、最終的にオーステナイト(γ相)から軟質なフェライト組織が生成する。また、逆変態しなかった部分においても、Ac1変態点を超える加熱の効果で硬度が低下する。これにより、得られる厚鋼板の表層が軟質化する。このため、得られる厚鋼板の耐サワー性が向上する。
このような熱処理は、特許文献1〜3に記載されているような島状マルテンサイトの分解のみを目的としたものではなく、表層付近に存在するマルテンサイトおよびベイナイト等を含む組織全体の改質を目的とする。そして、上記熱処理においては、これらに記載された加熱温度域よりも高い温度域で加熱が行われ、表層付近に、少なくとも部分的には、昇温時の逆変態と降温時の変態とによって生成した比較的軟質なフェライト組織が含有される。さらに、本工程において生成されるフェライト組織は、熱間圧延および引き続く冷却時に生成し得るフェライト組織と比較し、異方性の程度が低く、一旦生じた亀裂等を伝播しにくい。したがって、本工程で行われる熱処理は、特許文献1〜3に記載されている方法と比較して、より確実に圧延材の表層を軟化させ、得られる厚鋼板の耐サワー性を向上させることができる。
一方で、単純に圧延材の加熱を行うと、圧延材全体がAc1変態点を超えてしまう結果、得られる厚鋼板の強度が著しく低下してしまう。この点を鑑み、本発明においては、圧延材の表面温度に着目し、上記の条件で急速に加熱を行うことにより、圧延材の内部領域での温度上昇を抑制しつつ、表層付近を選択的に加熱する工夫を行った。以下、本工程における加熱条件について詳細に説明する。なお、本工程において記載される温度は、特に断りのない限り、圧延材の表面温度を指す。
まず、本工程においては、圧延材の表面について、(Ac1変態点−50℃)以下の温度から加熱を行う。このようにAc1変態点よりも充分に低温から急速に加熱を行うことにより、圧延材の内部領域の温度の上昇を防止し、得られる厚鋼板の強度を優れたものとすることができる。好ましくは、(Ac1変態点−150℃)以下の温度から加熱を行う。これに対し、加熱の開始温度が、前記上限値を超えると、圧延材の内部領域の温度の上昇が防止できず、得られる厚鋼板の強度が劣ったものとなる。なお、この第3工程を実施するにあたっては、前工程である第2工程の加速冷却工程における冷却停止温度を(Ac1変態点−50℃)以下の温度としたり、あるいは加速冷却工程後、本工程前にさらに空冷等の追加の冷却を行ったりするなどして、確実に(Ac1変態点−50℃)以下の温度から加熱を行うことが肝要である。
なお、Ac1変態点は、熱膨張測定装置を使用して、加熱による試料の膨張量を測定することにより得ることができる。
また、本工程において、圧延材の表面について、加熱時の平均昇温速度は、2.0℃/秒以上である。これにより、表面に付与された熱が圧延材の内部領域に拡散することが軽減され、圧延材の内部領域の温度の上昇を抑制することができる。これに対し、平均昇温速度が前記下限値未満の場合、表面に付与された熱が圧延材の内部領域に拡散し、圧延材の内部領域の温度の上昇が防止できず、得られる厚鋼板の強度が劣ったものとなる。平均昇温速度は、上述した範囲内であれば限定されないが、熱の圧延材の内部領域への拡散防止の観点から、好ましくは10℃/秒以上、より好ましくは20℃/秒以上である。一方で、平均昇温速度の上限値は、特に限定されないが、加熱装置の温度制御性能の制約等により、例えば、400℃/秒以下、好ましくは200℃/秒以下である。
また、本工程における目的とする加熱到達温度は、上述したように、Ac1変態点を超える第2の温度域である。これにより、圧延材の表層付近を十分に軟化させることができ、得られる厚鋼板の耐サワー性を優れたものとすることができる。これに対し、加熱到達温度がAc1変態点以下の場合、表層のミクロ組織の逆変態を部分的にも生じさせることができず、圧延材の表層付近を十分に軟化させることができない。この結果、得られる厚鋼板の耐サワー性が劣るものとなる。
第2の温度域(加熱到達温度の温度域)は、Ac1変態点を超えるものであれば特に限定されないが、好ましくは720℃以上、より好ましくは740℃以上である。これにより、より確実に圧延材の表層付近を軟化させることができる。また、第2の温度域の上限値は、特に限定されないが、好ましくはAc3変態点以下、より好ましくは840℃以下、さらに好ましくは820℃以下である。これにより、表層付近に存在する過度の熱が圧延材の内部領域へ拡散することをより確実に防止することができる。
なお、Ac3変態点は、熱膨張測定装置を使用して、加熱による試料の膨張量を測定することにより得ることができる。
また、上記第2の温度域を維持する時間(維持時間)は、1秒以上600秒以下である。これにより、圧延材の表層付近を十分に軟化させることができるとともに、圧延材の内部領域の温度の上昇を防止することができる。これに対し、維持時間が前記下限値未満の場合、圧延材の表層付近のミクロ組織を十分に変態させることができず、得られる厚鋼板の表層を軟化させることができない。この結果、得られる厚鋼板は耐サワー性に劣ってしまう。また、維持時間が前記上限値を超えると、表層付近に存在する熱が圧延材内部領域に拡散してしまう結果、得られる厚鋼板の強度が低下してしまう。
維持時間は、1秒以上であればよいが、好ましくは3秒以上、より好ましくは10秒以上である。これにより、圧延材の表層付近をより一層軟化させることができ、厚鋼板の耐サワー性をより一層優れたものとすることができる。また、維持時間は600秒以下であればよいが、好ましくは120秒以下、より好ましくは30秒以下である。これにより、圧延材内部領域の温度の上昇をより確実に防止することができ、得られる厚鋼板の強度を優れたものとすることができる。
また、本工程において、加熱はいかなる方法で行ってもよい。加熱は、例えば、誘導加熱、レーザー加熱、その他、電磁波の放射による加熱方法などにより行うことができる。これらの手段は、急速加熱に適している。また、中でも誘導加熱は、圧延材の表層付近を選択的に高能率で加熱できるため好ましい。この場合、誘導加熱における印加周波数は、特に限定されないが、例えば、表層付近を選択的に高能率で加熱するため、2kHz以上200kHz以下、好ましくは6kHz以上120kHz以下、より好ましくは20kHz以上80kHz以下である。
また、加熱後の冷却速度は、特に限定されるものではなく、空冷、ミスト散布等の徐冷により行うことができる。また、加熱後の冷却停止温度も特に限定されない。
なお、以上の第3の工程は、第2の工程の終了後直ちに行ってもよいし、第2の工程後時間をおいて行われてもよい。
また、後者の場合、第3の工程の実施に先立ち、予備加熱を行ってもよい。予備加熱の方法は、特に限定されるものではなく、ガス燃焼による熱処理炉等により行うことができる。また、予備加熱は、上述した(Ac1変態点−50℃)以下の温度まで行うことができる。この場合の昇温速度も特に限定されるものではない。
以上の工程を経ることにより、厚鋼板を得ることができる。しかしながら、必要に応じて、厚鋼板に対し、他の処理、例えば、以下の第4の工程が行われてもよい。
<第4の工程(テンパー処理)>
得られた厚鋼板には、必要に応じて熱処理(テンパー処理)が行われてもよい。これにより、第3の工程において2相域への加熱と冷却に伴って、硬質組織である島状マルテンサイト(Martensite−Austenite Constituent:MA)が生成した場合であっても、本工程においてこれを分解することができる。このように耐サワー性に悪影響をもたらし得る島状マルテンサイトを分解することにより、得られる厚鋼板の耐サワー性をより一層優れたものとすることができる。
このような熱処理の温度としては、例えば、Ac1変態点未満の温度、好ましくは650℃以下、より好ましくは600℃以下であることができる。これにより、再度のオーステナイトへの逆変態を防止しつつ、島状マルテンサイトを分解することができる。また、熱処理温度は、島状マルテンサイトを分解可能であれば特に限定されず、例えば、400℃以上、好ましくは500℃以上であることができる。
また、熱処理において、上記温度を維持する時間(維持時間)は、特に限定されないが、例えば、600秒以上、好ましくは1200秒以上とすることができる。なお、熱処理コスト、特に省エネルギー上の理由から、維持時間は、3600秒以下、好ましくは2400秒以下とすることができる。
また、熱処理における厚鋼板の昇温速度および冷却速度は、特に限定されず、例えば、一般の厚鋼板の工場にて使用される熱処理装置の構成に応じて適宜選択することができる。
以上の工程によって得られた厚鋼板は、上述した第3の工程において圧延材表層部を選択的にAc1変態点以上に加熱することにより、表層に特定のフェライト組織が十分に生成し、表層の硬度が十分に低下している。したがって、得られる厚鋼板は、耐サワー性、特に耐SSC性に優れている。一方で、第3の工程において圧延材表層を選択的に加熱することにより圧延材の内部領域での温度上昇が抑制されている。この結果、第3の工程により得られる厚鋼板の強度に悪影響を及ぼさないものとなる。したがって、得られる厚鋼板の強度を優れたものとして維持することができる。
〔2.厚鋼板〕
次に本実施形態に係る厚鋼板について説明する。
本実施形態に係る厚鋼板は、表層において、厚さ方向にて内部領域と比較して、所定のフェライト組織を豊富に含む。
厚鋼板の内部領域、例えば板厚方向1/4t〜3/4tの部位(tは板厚を示す)のミクロ組織は、厚鋼板の引張強度等の機械的性質に大きな影響を与える。
厚鋼板は内部領域に、ミクロ組織として、例えばベイナイトを主として含むことができる。これにより、厚鋼板は、十分な強度および靱性を有することができる。また、内部領域のミクロ組織として、フェライト、パーライトやフレッシュマルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト等のマルテンサイト、島状マルテンサイト(MA)等を含んでもよい。
また、厚鋼板は、表層に、ミクロ組織として、例えば、焼き戻しベイナイトおよびフェライトを含む。また、厚鋼板は、表層に、その他パーライト、焼き戻しマルテンサイト、島状マルテンサイト(MA)等を含んでいてもよい。
なお、本実施形態において、厚鋼板の表層としては、板厚方向で表面から0.1mm以上1.0mm以下の部位(「表層領域」ともいう)について組織や硬度の評価を行う。なお、表面から0.1mm未満の部位については、化学組成の変化等が発生している場合があり、本実施形態の厚鋼板における表層の組織や硬度の評価には適さないため、当該評価の対象部位から除外する。
また、厚鋼板等の鋼材の内部領域としては、その全領域について組織等の評価を行うことは煩雑である。したがって、本実施形態においては、鋼材の内部領域を代表して、板厚中心から板厚方向で−2.5mm〜2.5mmの領域(「中心領域」ともいう)について組織等の評価を行う。
そして上述したように、本実施形態において、厚鋼板は、表層において、板厚方向にて内部領域と比較して、フェライト組織を豊富に含む。具体的には、本実施形態に係る厚鋼板においては、表層領域における表層フェライト面積分率に対する中心領域フェライト面積分率の比(中心領域フェライト面積分率/表層フェライト面積分率、「フェライト分率比」ともいう)は、0.10以下である。
このように、厚鋼板の表層領域において軟質なフェライト組織が多く存在することにより、厚鋼板の表層領域における硬度が比較的小さくなるとともに、厚鋼板の内部領域におけるフェライト組織が少なくなる結果、厚鋼板の強度が十分に高くなる。このため、厚鋼板の強度を十分に高めつつ、厚鋼板の耐SSC性を向上させることができる。これに対し、上記のフェライト分率比が0.10を超えると、表層領域におけるフェライト組織が少なくなりすぎる結果、十分な耐サワー性を得ることができない。あるいは、内部領域におけるフェライト組織が多くなりすぎる結果、厚鋼板の強度が低くなる。
なお、上記のフェライト分率比(中心領域フェライト面積分率/表層フェライト面積分率)は、厚鋼板の強度を十分に高めつつ耐SSC性をさらに向上させる観点から、好ましくは0.07以下、より好ましくは0.05以下である。また、上記フェライト分率比の下限値は、特に限定されず0であってもよい。なお、表層フェライト面積分率が完全に0の場合は、上記のフェライト分率比が算出できないが、そのような厚鋼板は本発明の対象外である。
また、本実施形態に係る厚鋼板は、圧延方向および板厚方向の断面を観察した際に、表層領域において、連続したフェライト組織の板厚方向長さに対する圧延方向長さの比(圧延方向長さ/板厚方向長さ)の平均値(以下、「異方性指数」ともいう)が、5.0以下である。これにより、厚鋼板の耐SSC性が向上する。これは、表層領域の平面方向におけるフェライト、ベイナイト等の形状および配向の異方性が小さくなることにより、表層領域において一旦生じた亀裂が伝播しにくくなったものと考えられる。一方で、上記異方性指数が、上記上限値を超えると、耐SSC性を優れたものとすることができない。これについても、表層領域において異方性の大きなフェライト、ベイナイト等が配向して存在することにより、表層領域において一旦生じた亀裂が伝播しやすくなるものと考えられる。
なお、上述したような異方性指数は、耐SSC性をさらに向上させる観点から、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下である。また、異方性指数の下限値は、特に限定されないが、通常1.0以上である。
また、上述したような5.0以下の異方性指数は、例えば上記第3の工程において行われるような熱間圧延後の特定の熱処理によって得られる。一方で、熱間圧延およびその後の冷却工程において生じたフェライト組織は、熱間圧延時に形成された形状を引き継いで一般に圧延方向に長い形状を有しており、必ずしも上記の5.0以下の異方性指数を有することはできない。
なお、表層フェライト面積分率は、厚鋼板の板厚方向断面における表層領域のフェライト組織の面積率を意味し、また中心領域フェライト面積分率は、厚鋼板の板厚方向断面における中心領域のフェライト組織の面積率を意味している。これらの表層フェライト面積分率及び中心領域フェライト面積分率は、例えば以下のようにして測定することができる。
厚鋼板の圧延方向中央付近かつ幅方向中央付近の位置から、組織調査用の試験片を採取する。採取した試料を、板厚方向と圧延方向に平行な面を観察面として鏡面研磨し、ナイタールで腐食して、光学顕微鏡を用いて、表層領域、及び中心領域にて撮影する。このようにして得られた画像から、表層領域、及び中心領域のフェライト分率(面積率)をそれぞれ求めることにより、表層フェライト面積分率及び中心領域フェライト面積分率を得ることができる。
さらに、上記の表層領域におけるフェライト組織の異方性指数は、以下のようにして測定することができる。まず、上述のように、板厚方向と圧延方向に平行な面を鏡面研磨し、ナイタールで腐食した観察試料を得る。
次いで、観察試料を光学顕微鏡等により観察し、観察試料の断面画像を得て、断面画像より個々のフェライト組織を特定する。本実施形態において、1つのフェライト組織は、1つのフェライト結晶粒または複数のフェライト結晶粒の集合体により構成される。そして、断面画像における個々のフェライト組織について、フェライト組織が他の組織(例えばベイナイト組織)と隣接している縁部分をフェライト組織の外縁部分とすることができる。
そして、特定された個々のフェライト組織のうち、ランダムに10個以上、好ましくは20個以上について、圧延方向の長さと板厚方向の長さとを測定し、板厚方向の長さに対する圧延方向の長さの比を得る。そして、得られた板厚方向の長さに対する圧延方向の長さの比を平均して、上記異方性指数を得る。なお、断面画像におけるフェライト面積率が50%以上の場合には、フェライト組織によって囲まれた他の組織(例えばベイナイト組織)について、上述の長さを測定して、上記異方性指数を得ることもできる。
また、厚鋼板の表層領域におけるビッカーズ硬度は、250Hv以下である。これにより、厚鋼板の耐SSC性を十分に高いものとすることができる。上記表層領域におけるビッカーズ硬度は、より好ましくは230Hv以下、さらに好ましくは220Hv以下である。なお、厚鋼板の表層領域におけるビッカーズ硬度は、その下限値については特に限定されないが、引張強度確保の観点から、通常170Hv以上、好ましくは180Hv以上である。
なお、厚鋼板の表層領域におけるビッカーズ硬度は、例えば以下のようにして測定することができる。まず、厚鋼板の圧延方向中央付近かつ幅方向中央付近の位置から、断面硬度測定用の試験片を採取する。次いで、マイクロビッカース硬度試験機を使用して、測定荷重100gで、各例に係る厚鋼板の上面の0.1mm深さの部位から板厚方向1.0mm深さまで所定のピッチ、例えば0.1mmピッチで測定を行い、板厚方向と圧延方向を含む面における硬度分布を測定する。得られた測定値のうち最大値を最大ビッカーズ硬度として評価することができる。
なお、厚鋼板の化学組成は、特に限定されない。しかしながら、例えば、厚鋼板の原料としての上述した鋼と同様の化学組成を有することができる。
また、厚鋼板の厚さは、その用途に応じて適宜設定できるが、例えば6mm以上、好ましくは7.0mm以上、より好ましくは10mm以上である。鋼板がこのように比較的厚い場合、製造時の加速冷却時に圧延材の内部領域と表層とで温度差が生じやすく、表層の硬度が上昇しやすい。しかしながら、本実施形態においては第3の工程により、表層領域に上述したようなフェライト組織が十分に生じており、表層領域の硬度が十分に低下している。そして、本実施形態に係る方法は、厚鋼板の厚さが上述した範囲にある場合に、特に優れた効果、すなわち優れた耐SSC性を発揮する。一方で、厚鋼板の厚さは、その用途に応じて100mm以下、特に40mm以下とすることができる。
以上説明した本実施形態に係る厚鋼板は、例えば上述した本実施形態に係る厚鋼板の製造法により製造することができる。
また、上述した本実施形態に係る厚鋼板は、耐サワー性に優れ、また、優れた強度が維持できていることから、硫化水素を含む環境下における用途、例えばラインパイプ、特にUOラインパイプに好適に使用できる。すなわち、本実施形態に係る厚鋼板は、耐サワーラインパイプ用厚鋼板であることができる。
以下では、実施例および比較例を参照しながら、上述した本実施形態に係る厚鋼板および厚鋼板の製造方法について具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、あくまでも一例であって、本実施形態に係る厚鋼板および厚鋼板の製造方法が下記の例に限定されるものではない。
<1.厚鋼板の製造>
(第1の工程)
以下の表1に示す化学組成を有する厚さ250mmの鋼片(試験鋼)を1180℃に加熱し、3600秒の均熱保持後、熱間圧延によって仕上温度840℃で表2に示す板厚とした。ここで熱間圧延は900℃以下の温度域における合計圧下率が50%以上となる条件で行った。なお、表1中、昇温時の変態開始温度、終了温度であるAc1変態点、Ac3変態点、降温時(非水冷)の変態開始温度であるAr3変態点は、直径3mm、長さ10mmの試験片を鋼片から採取して、熱膨張測定試験機によって求めた。
Figure 2018115389
(第2の工程)
各例に係る試験鋼について、表2に示す開始温度から停止温度460℃までの水冷による加速冷却を行った。ここで開始温度は表面温度であり、また停止温度は復熱時の表面温度の最大値を指す。また、加速冷却の冷却速度は、表2に示すとおりであった。なお、例18においては、その後の予備加熱および第3、第4の工程を行わず、加速冷却後の試験鋼を例18に係る厚鋼板として得た。
(第2の工程、第3の工程間の工程)
例10および例16の試験鋼については、第2の工程後、第3の工程に先立ち、第3の工程の加熱開始温度(表2)まで、ガス燃焼炉において予備加熱を行った。
(第3の工程)
各例に係る試験鋼について、表2に示す条件にて、誘導加熱、あるいは、レーザー光の照射による昇温を行った。具体的には、例1〜7、9〜17に係る試験鋼については表2に示す印加周波数による誘導加熱による昇温を行い、例8に係る試験鋼についてはレーザー光の照射による昇温を行った。そして、表2に記載される加熱開始温度から、昇温を行い、所定の表面温度に達した後、一定時間(表中「Ac1超保持時間」)その表面温度を維持した。また、表面温度がAc1変態点に達しない条件の例13においては、650℃に到達後、15秒間、同温度を維持した。なお、表2に記載される昇温条件の温度は、全て試験鋼の表面温度である。
また、昇温後の冷却は、空冷(常温の大気中に放置)により行った。
以上により、例9を除き、各例に係る厚鋼板を得た。
(第4の工程)
例9に係る試験鋼については、第3の工程後、表2に示す条件で、ガス燃焼炉において熱処理を追加で行った。これにより、例9に係る厚鋼板を得た。
Figure 2018115389
<2.組織観察>
得られた各厚鋼板において、フェライト分率比および異方性指数を下記の要領にて測定、算出した。
(フェライト分率比)
各例に係る厚鋼板の圧延方向中央付近かつ幅方向中央付近の位置から、組織調査用の試験片を採取した。採取した試料を、板厚方向と圧延方向に平行な面を観察面として鏡面研磨し、ナイタールで腐食して、光学顕微鏡を用いて、表層領域(表面から板厚方向0.1mm〜1.0mm位置)、及び中心領域(板厚中心から厚さ方向で−2.5mm〜2.5mm位置)にて、10視野ずつ撮影した。このようにして得られた写真から、表層領域、及び中心領域のフェライト分率(面積率)をそれぞれ求めて表層フェライト面積分率及び中心領域フェライト面積分率を得、フェライト分率比を算出した。
各厚鋼板について算出したフェライト分率比については、フェライト分率比が0.10以下の場合を「○」、0.10超の場合を「×」としてそれぞれ評価した。
(異方性指数)
上述のように各例に係る厚鋼板から採取した上記試料片について、板厚方向と圧延方向に平行な面を鏡面研磨し、ナイタールで腐食した観察試料を得た。観察試料を光学顕微鏡により観察し、観察試料の断面画像を得て、断面画像より個々のフェライト組織を特定した。そして、特定された個々のフェライト組織のうち、ランダムに20個について、圧延方向の長さと板厚方向の長さとを測定し、板厚方向の長さに対する圧延方向の長さの比を得た。なお、断面画像におけるフェライト面積率が50%以上の場合には、フェライト組織によって囲まれた他の組織(ベイナイト組織など)について、上述の長さの比を得た。そして、得られた板厚方向の長さに対する圧延方向の長さの比を平均して、上記異方性指数を得た。
各厚鋼板について得られた異方性指数については、異方性指数が5.0以下の場合を「○」、5.0超の場合を「×」としてそれぞれ評価した。
<3.表層領域硬度試験>
各例に係る厚鋼板の圧延方向中央付近かつ幅方向中央付近の位置から、断面硬度測定用の試験片を採取し、板厚方向と圧延方向を含む面における硬度分布を測定した。マイクロビッカース硬度試験機を使用して、測定荷重25gで、各例に係る厚鋼板の上面の板厚方向0.1mm深さから1mm深さまで0.1mmピッチで測定を行い、最大値を評価した。十分な耐SSC性を得るために、ビッカーズ硬度の目標値は、250Hv以下とした。
<4.評価>
得られた各厚鋼板において、引張試験および耐SSC性の評価試験を下記の要領にて実施した。
(引張試験)
各例に係る厚鋼板より、板状試験片を、試験片の中心が板厚方向1/2位置になるように、試験片の軸が圧延方向に対して垂直になるように採取した。試験片形状は、平行部の直径5mmの14A号試験片(JIS Z 2201)を用いて室温で行い、YS(0.5%ひずみにおける応力)、TS(引張強度)を測定した。ラインパイプのX65級の強度を満足させるために、YSの目標値は450MPa以上、TSの目標値は535MPa以上とした。
(耐SSC性の評価試験)
耐サワー性を評価する曲げ試験片(厚さ:2mm、幅:10mm、長さ:75mm)を、試験片が圧延材の表面になるように、かつ試験片の長辺が圧延方向に対して垂直になるように、各例に係る厚鋼板から3本ずつ採取した。これらの試験片に対して、降伏応力の90%の曲げ負荷応力をかけて、NaClが5%、CHCOOHが0.5%、pHが約3、1気圧の硫化水素を飽和させた常温の水溶液にて30日の浸漬を行い、破断の発生有無を評価した。3本共に破断が生じなかった場合は、耐SSC性が良好(○)と判断した。一方で、試験片の一本でも破断が生じた場合、耐SSCが良好でない(×)と判断した。
以上の結果を表3に合わせて示す。
Figure 2018115389
表3に示すように、本発明例である、例1〜11に係る方法により製造された厚鋼板は、いずれもフェライト分率比が0.1以下であり、異方性指数が5.0以下であり、かつ表層領域のビッカーズ硬度が250HV以下であった。
さらに、表3に示すように、本発明例である、例1〜11に係る厚鋼板は、表層領域の硬度が比較的低く、引張特性に優れていた。また、例1〜11に係る厚鋼板は、耐SSC性にも優れていた。ただし、第3の工程の加熱条件によっては、各例に係る厚鋼板の物性に若干の違いが生じた。具体的には、表面温度が高めである例3では、YS、TSが低めとなった。印加周波数が高めである例5では、表層硬度が高めとなった。印加周波数が低めである例7では、YS、TSが低めとなった。また、加熱開始温度が高めである例10では、YS、TSが低めとなった。
これに対し、比較例である例12〜18に係る方法により製造された厚鋼板は、いずれも、フェライト分率比が0.1超であるか、異方性指数が5.0超であるか、あるいは表層領域のビッカーズ硬度が250HV超であった。そして、比較例である例12〜18に係る厚鋼板は、耐SSC性、引張特性のいずれか少なくとも1つにおいて劣っていた。
例12に係る厚鋼板においては、昇温速度が遅すぎたため、試験鋼の内部領域まで熱が拡散して試験鋼の内部領域の温度が上昇してしまい、結果として引張強度が低下したことが推測された。
例13に係る厚鋼板においては、表面温度をAc1変態点未満としたため、表層領域を十分に軟化できなかったことが推測された。
例14に係る厚鋼板においては、表面温度をAc1変態点以上とした後の保持時間が長すぎたため、試験鋼の内部領域まで熱が拡散して試験鋼の内部領域の温度が上昇してしまい、結果として引張強度が低下したことが推測された。
例15に係る厚鋼板においては、表面温度をAc1変態点以上とした後の保持時間が短すぎたため、表層の逆変態を十分に行うことができず、表層を十分に軟化できなかったことが推測された。
例16に係る厚鋼板においては、加熱開始温度が高すぎた結果、すでに昇温前に試験鋼内部領域まで熱が拡散して試験鋼の内部領域の温度が上昇してしまい、結果として降伏強度が低下したことが推測された。
例17に係る厚鋼板においては、表面温度をAc1変態点以上とした後の保持時間が長すぎたため、試験鋼の内部領域まで熱が拡散して試験鋼の内部領域の温度が上昇してしまい、結果として引張強度が低下したことが推測された。
例18に係る厚鋼板においては、冷却開始温度が低くなったため、フェライト分率比と異方性指数が大きくなり、降伏強度が低下したのみならず、耐SSC性を低下させたことが推測された。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (7)

  1. 鋼に対して熱間圧延を行い、圧延材を得る第1の工程と、
    前記圧延材をAr3変態点超の温度から加速冷却する第2の工程と、
    前記圧延材の表面について、(Ac1変態点−50℃)以上Ac1変態点以下の第1の温度域を2.0℃/秒以上の平均昇温速度でAc1変態点超の第2の温度域まで加熱し、前記第2の温度域で1秒以上600秒以下保持する第3の工程と、
    を有する厚鋼板の製造方法。
  2. 前記第2の温度域は、Ac3変態点以下である、請求項1に記載の厚鋼板の製造方法。
  3. 前記第3の工程における前記加熱は、誘導加熱により行われる、請求項1または2に記載の厚鋼板の製造方法。
  4. 前記誘導加熱における印加周波数は、2kHz以上200kHz以下である、請求項3に記載の厚鋼板の製造方法。
  5. さらに、前記第3の工程後、前記圧延材をAc1変態点未満の温度に加熱する第4の工程を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の厚鋼板の製造方法。
  6. 前記第2の工程において、前記圧延材を、5℃/秒以上60℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の厚鋼板の製造方法。
  7. 表面から0.1mm以上1.0mm以下の表層領域における表層フェライト面積分率に対する板厚中心から厚さ方向で−2.5mm〜2.5mmの中心領域における中心領域フェライト面積分率の比(中心領域フェライト面積分率/表層フェライト面積分率)が、0.10以下であり、
    圧延方向および板厚方向の断面を観察した際に、前記表層領域において、フェライト組織の板厚方向長さに対する圧延方向長さの比(圧延方向長さ/板厚方向長さ)の平均値が、5.0以下であり、かつ
    前記表層領域におけるビッカーズ硬度が、250Hv以下である、厚鋼板。
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