JP2018115140A - 抗菌・消臭用高分子ヒドロゲル及びその製造方法 - Google Patents

抗菌・消臭用高分子ヒドロゲル及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ホタテ貝殻などの天然素材を原料とした水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を、人体に影響のない親水性の高分子樹脂によるゲルに含有させた抗菌・消臭用ヒドロゲルを提供する。
【解決手段】水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を含むヒドロゲルであって、当該ヒドロゲルは、ゲルを構成する分散質が物理的架橋により三次元の網目構造状に構築され、かつ、同微粉末は、当該三次元の網目構造内に内包されたゲルの分散媒中に含有され、ヒドロゲルを構成する親水性高分子樹脂100重量部に対し、同微粉末の含有量が5乃至300重量部であることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、貝殻などの天然素材を原料とした水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を内包した抗菌・消臭用のヒドロゲル(ハイドロゲル)に関するものである。
近年、一般社会における衛生観念の向上から抗菌・消臭グッズの需要が大幅に高まっている。また、黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌などの細菌による病院内感染や、ノロウィルス、O157ウィルスなどのウィルスによるウィルス性食中毒の発生等が大きな社会問題となっている。さらに、人口の急速な高齢化に伴い、体力や免疫力の衰えた高齢者に対する抗菌予防措置が広く求められるようになった。
このため、各種の抗菌・消臭製品が市場に供給され、また、多種多様な抗菌・消臭剤が多く出回っている。そして、これらの抗菌・消臭剤に関しては、例えば、特許文献1〜3に示されるような種々の発明や技術が開示されている。
特開2008−127372号公報 特開2010−083775号公報 特開2010−270079号公報
しかしながら、これらの先行技術文献に示された発明は、白金や銀、亜鉛などの抗菌効果を持った金属類を使用するものや、酸化チタンなどの光抗菌触媒を使用するものであり、人体の健康面に及ぼす影響に今一つの不安があった。
本発明は、このような金属系の抗菌・消臭剤の人体への安全性に関する懸念を解消することを目的とするものであって、より具体的には、ホタテ貝殻や卵殻などの天然素材を原料とした水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を、人体に影響のない親水性の高分子樹脂によるゲルに含有させた抗菌・消臭用ヒドロゲルを提供することを目的とする。
本発明の第一の観点による抗菌・消臭用ヒドロゲルは、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を含むヒドロゲルであって、
前記ヒドロゲルは、ゲルを構成する分散質が物理的架橋により三次元の網目構造状に構築され、
かつ、前記水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末は、当該三次元の網目構造内に内包されたゲルの分散媒中に含有され、
前記ヒドロゲルを構成する親水性高分子樹脂100重量部に対し、前記水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の含有量が5乃至300重量部であることを特徴とする。
また、本発明の第二の観点による抗菌・消臭用ヒドロゲルは、前述の第一の観点において、親水性高分子樹脂は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
また、本発明の第三の観点による抗菌・消臭用ヒドロゲルは、前述の第一の観点において、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末は、ホタテ貝などの二枚貝の貝殻や卵殻などの天然カルシウム素材を高温焼成し、加水処理を施した後に、これを微粉砕して成るものであることを特徴とする。
また、本発明の第四の観点による抗菌・消臭用ヒドロゲルは、前述した第一又は第三の観点において、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の平均粒径は0.5μm乃至5.0μmであることを特徴とする。
また、本発明の第五の観点による抗菌・消臭用ヒドロゲルの製造方法は、脱イオン水に水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を添加して均一に分散させ、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末含有分散液を生成する第1工程と、
第1工程で生成された分散液に親水性高分子樹脂を添加して均一に分散させ、これを加熱攪拌することにより水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末が含有された高分子樹脂分散液を生成する第2工程と、
第2工程で生成された分散液を所定の時間及び温度で凍結し、更にこれを所定の時間及び温度で解凍し、係る凍結・解凍サイクルを複数回数繰り返し実行する第3工程と、
第3工程終了後の生成物を、所定の温度及び期間で乾燥させる第4工程を含むことを特徴とする。
本発明による抗菌・消臭用ヒドロゲルは、天然素材のホタテ貝殻や、生体適合性に優れ安全性の高い親水性高分子樹脂をその主要部材として用いるため、人体に対してアレルギーや副作用などを生じさせるおそれがない。また、その殺菌力も極めて高く、金属や光触媒を用いた従来の抗菌剤に勝るとも劣らない抗菌・消臭効果を発揮することができる。
本発明を実施するための最良の形態である実施例について、本願の明細書に添付した各図面類を参照しつつ以下に説明を行う。
(1)水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の生成
本発明に基づく抗菌・消臭用ヒドロゲルは、その主原料として天然素材であるホタテ貝殻や卵殻等を使用するが、それらの主原料から本ヒドロゲルの要となる水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を生成する方法について説明を行う。
(1−1)主原料として貝殻を使用する場合
本発明に用いられる水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末は、生物由来のカルシウム化合物を特殊焼成した後に、これを所定の粉砕方法によって超微細粉末化したものである。
ここで生物由来のカルシウム化合物としては、天然或いは養殖を問わず、例えば、ホタテ貝殻、ハマグリ貝殻、アサリ貝殻、或いはホッキ貝殻等の二枚貝の貝殻を利用することができる。但し、貝殻の組成物が均一であること、ならびに供給量が比較的に安定していること、などの点に鑑みれば養殖物のホタテ貝殻を用いることが最も好ましい。
因みに、生物由来のカルシウム化合物には、殺菌力、消臭力、鮮度保持などの効果があることは昔から経験的に広く知られているが、係る効果を効率的に発揮させるためには、その焼成条件ならびに粉砕条件が極めて重要な要素となる。すなわち、生物由来のカルシウム化合物を焼成・粉砕して製造された水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の強アルカリ性能力は、その焼成方法ならびにその粉末粒径によって大きく異なるものとなる。
本実施例では、生物由来のカルシウム化合物(具体的にはホタテ貝殻を使用)を単純に焼成するだけではなく、特殊高温焼成炉で摂氏830度乃至1,080度の範囲内において約1時間以上に亘り高温焼成を施す。なお、実際の焼成温度は摂氏800〜1,200度程度の範囲内にあれば問題はなく、通常は摂氏1,000度程度の設定温度で、約1時間にわたり高温焼成を行う事が好ましい。
このような高温焼成処理は、空気中で行なっても良いし、或いは窒素やアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気中で行うようにしても良い。因みに、係る高温焼成処理を施すことによって、生物由来のカルシウム化合物中に含まれていた不要な有機物などが熱分解により除去されることになる。
生物由来のカルシウム化合物の組成は、一般的に炭酸カルシウム(CaCO)であり、これを焼成することによって酸化カルシウム(CaO)が得られる。本実施例においては、焼成後に所定の加水処理を施すことにより、酸化カルシウムを水和させて水酸化カルシウム(Ca(OH))に変成させる。周知のように、水酸化カルシウムは、その強アルカリ性能力が極めて高く、そのpH(ピーエイチ)は強アルカリ性を示し、その値はpH12〜13にも及ぶものである。そして、係る強アルカリ性によって、消臭効果、抗菌効果、防腐効果などの各種の効果が発揮されることになる。
本実施例では、焼成・水和後の水酸化カルシウムを粉砕し、その粒子径を0.5〜5.0μm程度に微細化することによって、そのpHは13.2程度にまで上昇し、消臭・抗菌効果が極めて強力になることが確認・実証されている。
一方、前述の水酸化カルシウム生成時の加水処理によって、ホタテ貝の貝殻を焼成して得られた酸化カルシウムが水酸化カルシウムに変性され、そのアルカリ性を通常のpH12前後から、さらにpH13.2程度まで高めることができる。
本実施例においては、上記の処理によって生成された水酸化カルシウムを、特殊粉砕機(例えば、ジェットミル装置など)にセットして、平均粒径が0.5〜5.0μm程度の微細粉末を生成する。
(1−2)主原料として卵殻を使用する場合
主原料として卵殻を用いた場合の水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の製造プロセスも、上記に示した貝殻を原料として用いた場合の製造プロセスとほぼ同様である。但し、卵殻の場合は前述の貝殻の場合と異なり、その厚みが非常に薄く質量も小さいため、焼成温度を低く設定し、また焼成時間も短くなる。本実施例において、主原料として卵殻を用いた場合は、焼成温度を摂氏900度程度、焼成時間は6分程度に設定することが好ましい。
また、卵殻の場合は貝殻の異なり原材料に含まれる不純物が少ないため、前述の貝殻の場合に比べて、ほぼ純粋な水酸化カルシウムを得ることが可能となる。なお、焼成後における微粉砕工程や、粉砕粒径などの各種のパラメータに関しては、上記した貝殻の場合の製造プロセスとほぼ同様である。
(2)本発明に基づく抗菌・消臭用ヒドロゲルの生成
本発明では、上記(1)の製造プロセスで得られた水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を、分散媒が水である湿潤ゲル(ヒドロゲル或いはハイドロゲル)中に内包させて抗菌・消臭用ヒドロゲルを生成する。
本実施例では、ヒドロゲルの素材である親水性高分子樹脂として、生体適合性に優れたポリビニルアルコール(構造式(−CHCH(OH)−)、以下単に「PVA」という)を用いている。PVAは、食品衛生法によって食品への添加が認められている高分子樹脂であり、親水性が非常に強く、水に可溶という特質を持っている。
このため、PVAは、例えば、食材のつなぎや錠剤の結合剤として広く用いられており(業界俗称:食用糊、商品名:ポバール(登録商標))、人体の健康面への無害性が科学的にも立証されている化学合成樹脂である。
ところで、ゲル化が行われるときに高分子鎖同士が繋がって立体状の網目構造が構成される現象は、一般に架橋といわれるが架橋の方法によりゲルは次の2つに大別される。
化学架橋ゲル:架橋が共有結合によって行われるもの
物理架橋ゲル:架橋がそれ以外の方法(例えば、分子間力など)によって行われるもの
本発明によるヒドロゲルは、製法の容易性や、化学的架橋剤を用いることなく環境に優しい等の観点から、分子間水素結合で物理的架橋によって構成される物理架橋ゲルの構造を選択している。物理的架橋法は、その生成工程から凍結・解凍法とも呼ばれる方法である。すなわち、本実施例の場合は、系全体が均一なPVA水溶液を氷点以下に冷却すると、分散媒中に氷が生成されPVAの高分子鎖が氷の外に排除され相分離が起こる。
そのため、高分子における相中の分子鎖の局所濃度が高まり、PVA鎖間でヒドロキシ基同士の水素結合が起こって結晶核が生成される。係る凍結体を摂氏25度で放置することにより、解凍と結晶化が進行し、PVAの微細結晶が強固な三次元の網目構造に構築され、その隙間を分散媒の水で満たされたヒドロゲルが生成されることになる。
因みに、ヒドロゲルにおける高分子鎖の変遷の様子を添付図面の図1に示す。以上に説明した凍結・解凍法は、ヒドロゲルの生成に際して取り扱いに注意を要する複雑・高価な機材を必要としないので、少量単位でのゲルを簡易かつ安価に製造することができるというメリットを有する。
続いて、本発明に基づく抗菌・消臭用ヒドロゲルの具体的な生成方法について、添付の図2に示すフローチャートに基づいて説明を行う。
先ず、図2のステップS01において、脱イオン水の中に、前述の(1)において説明した水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末(本実施例では平均粒径3.6μmのものを使用)を添加して攪拌分散させる。続くステップS02において、当該分散液中に重合度2000、完全けん化型のPVAを加え分散させた後、これを摂氏約90度のオイルバスで撹拌加熱する。これによって、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末が十分に分散されたPVA分散液が生成されることになる。
因みに、本実施例においては、添付の図3に示すような割合で、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末濃度の異なる種々のPVA分散液を調製した。本実施例では、次のステップS03で、上記のPVA分散液をシャーレなどの容器に流し込み、冷凍庫内において摂氏−23度で12時間凍結させ、その後、摂氏25度で3時間かけて解凍するという凍結・解凍サイクルを3回繰り返して行った。
その後、ステップS04において、上記ステップで生成された生成物を適当な形状(例えば、ダブレット(錠剤)型)にポンチなどを用いて打ち抜き成型し、これを、摂氏約25度の恒温槽内で3日間乾燥させた。以上の工程を経ることによって生成される抗菌・消臭用ヒドロゲル・タブレットの概念を図4の説明図に表す。
(3)本発明に基づく抗菌・消臭用ヒドロゲルの各種属性測定結果
次に、本発明に基づく抗菌・消臭用ヒドロゲルの各種属性に関する測定結果を以下に説明する。
(3−1)膨潤度測定
本発明に基づく抗菌・消臭用ヒドロゲルのタブレットについて、加水時におけるその膨潤度を測定した。すなわち、本乾燥ゲル・タブレット1粒を脱イオン水に24時間浸漬させ、乾燥時の重量と膨潤時の重量から膨潤度を算出した。
膨潤度=(膨潤時重量−乾燥時重量)/乾燥時重量
また、その後の経日変化による膨潤度の変化を観察するため、膨潤時重量の測定を定期的に行った。なお、膨潤度測定は、各サンプルにつき3検体ずつ測定し、その値を平均した。その結果を図5に示す。
(3−2)内包させた水酸化カルシウムの持続性の確認
本ヒドロゲル・タブレットから水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末がどのくらい放出したのかを確認するために、電界放出型走査電子顕微鏡(略称:FE−SEM、製品名:日立S−4500)、及びエネルギー分散型X線分析装置(略称:EDX、製品名:堀場:EMAX−5770)を使用して、脱イオン水にヒドロゲル・タブレット(水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末濃度が20重量部のPVAゲルを使用)を浸漬前、及び浸漬させてから1ヶ月後と3ヶ月後のヒドロゲルの元素分析を行った。この場合の特性X線スペクトルの結果を図6に示す。
図6に示されるように、浸漬させてから3ヶ月後の特性X線スペクトルにおいて、水酸化カルシウム由来のCa2+の吸収ピークの減少はほとんど見られなかった。そのため、長期間ヒドロゲルを脱イオン水に浸漬させたときに、内包された水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末が全て抜け出ることなく持続性があるということが確認できた。
(3−3)強度試験測定
本発明に基づく抗菌・消臭用ヒドロゲルの強度試験測定を次のように行った。先ず、膨潤時の強度試験(引張り試験)を行うため、試験前日に脱イオン水に本ヒドロゲルを24時間浸漬させ膨潤させた。このようにして調製した本ヒドロゲルの引張り強度試験結果を図7に示す。
なお、強度試験は各サンプルにつき3検体ずつ測定を行い、その値を平均した。試験片サイズの大きさは
100mm×10mm×2.5mm(各々±0.5mm)
であって、引張り試験の試験速度は300mm/minである。図7の結果に示される通り、本発明に基づく抗菌・消臭用ヒドロゲルは、十分な機械的強度を有するものであり、また、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の添加量が多いほど、引張り強度が増すことが確認された。
(3−4)耐熱性の確認
前述のように、本ヒドロゲルは、分子間水素結合のみからなる物理架橋による構成であるため、加熱によって架橋がリリースされてしまい、この結果熱に弱いという性質がある。そのため、摂氏何度以上で分子間水素結合が切れ、ゲルが崩壊してしまうかの確認試験を行った。
試験の方法は、本ヒドロゲル(水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末濃度が20重量部のPVAゲルを使用)の5cm角のサンプルを脱イオン水に浸漬させ、摂氏60度、70度、80度、90度の各温度の恒温槽内にて20時間放置してその結果を観察した。因みに、20時間経過後のサンプルの様子を図8に示す。これより、本ヒドロゲルは、摂氏80度以下であれば、十分にその形態を保ち得ることが確認された。
(4)本発明に基づく抗菌・消臭用ヒドロゲルの抗菌・消臭効果
次に、本発明に基づくヒドロゲルの抗菌・消臭効果について説明を行う。先ず、添付図面の図9に本ヒドロゲルの抗菌効果に関する試験結果を示す。因みに、同試験は、JIS・L1902:2008の菌液吸収法によるものであり、一般財団法人「カケンテストセンター」(大阪府)によって行われたものである。
図9によれば、本ヒドロゲル(水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末濃度が20重量部のPVAゲルを使用)を用いた抗菌加工エラストマーにおいて、静菌活性値が>6.0、同じく殺菌活性値が>3.1という極めて高い試験データが得られたことを表示している。因みに、静菌活性値および殺菌活性値とは、共に細菌類に対する繁殖抑止効果を表したパラメータであり、一般に、
静菌活性値≧2.0 殺菌活性値≧0.0
であれば、その抗菌・殺菌効果が有効であることが認証されている。
次に、本発明に基づくヒドロゲルゲルの消臭効果試験について説明を行う。本試験は、気体の除去性能評価試験という試験項目にて、前述の(財)カケンテストセンターで行われたものであり、供試気体として酢酸ガスを用いたものである。なお、本試験においては、本ヒドロゲル(水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末濃度が20重量部のPVAゲルを使用)を20mlの精製水に30分間浸した後の供試体を用いて試験を行ったものであり、その結果を図10に示す。
一般社団法人「繊維評価技術協議会」(JTETC)のSEKマーク繊維製品認証基準としては、酢酸ガスの場合、2時間後におけるその減少率が70%以上に及ばないと、消臭効果の認証基準を満たさないとされるが、今回の試験では減少率が95%以上という極めて高い数値が得られたため、その消臭効果も立証されたことになる。
以上に説明したように、本発明に基づくヒドロゲルは、貝殻や卵殻などの天然由来の原料とした水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末と、生体適合性に優れたポリビニルアルコールを主成分とするので、人体に対して有害な副作用やアレルギー反応を引き起こすことなく、優れた抗菌・消臭効果を実現することができる。
また、本発明に基づくヒドロゲルは、多孔質でありながら良好な機械的強度を有しており、シート、フィルムなどへの成型加工も容易であって、抗菌性物質の徐放性、持続性もその実用性が高く、多種多様な抗菌・消臭用製品の分野への応用が可能である。
なお、本発明の実施形態は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、例えば、各々の実施例を構成する各部位の形状や配置、或いはその素材又は経過時間や設定温度などは、本発明の趣旨を逸脱することなく、現実の実施態様に即して適宜変更ができるものであることは言うまでもない。
以上に説明した本発明の構成ならびに方法は、抗菌・消臭処理の製品およびその製造分野において、その利用が可能である。
本発明に基づくヒドロゲルにおいて、分子間水素結合により物理的架橋構造が形成される様子を表す模式図である。 本発明に基づくヒドロゲルの生成方法を表したフローチャートである。 本実施例で調製した水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末濃度の異なるPVA分散液の一覧表である。 本発明に基づくヒドロゲル・タブレットの概念を表す模式図である。 本発明に基づくヒドロゲル・タブレットの膨潤度に関する測定結果である。 本発明に基づくヒドロゲルにおいて内包された、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の放出結果を表す特性X線スペクトルである。 本発明に基づくヒドロゲルの引張強度測定結果である。 本発明に基づくヒドロゲルの耐熱性の確認結果である。 本発明に基づくヒドロゲルの抗菌効果を示す試験結果である。 本発明に基づくヒドロゲルの消臭効果を示す試験結果である。

Claims (5)

  1. 水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を含むヒドロゲルであって、
    前記ヒドロゲルは、ゲルを構成する分散質が物理的架橋により三次元の網目構造状に構築され、
    かつ、前記水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末は、当該三次元の網目構造内に内包されたゲルの分散媒中に含有され、
    前記ヒドロゲルを構成する親水性高分子樹脂100重量部に対し、前記水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の含有量が5乃至300重量部であることを特徴とする抗菌・消臭用ヒドロゲル。
  2. 前記親水性高分子樹脂は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の抗菌・消臭用ヒドロゲル。
  3. 前記水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末は、ホタテ貝などの二枚貝の貝殻や卵殻などの天然カルシウム素材を高温焼成し、加水処理を施した後に、これを微粉砕して成るものであることを特徴とする請求項1に記載の抗菌・消臭用ヒドロゲル。
  4. 前記水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の平均粒径は0.5μm乃至5.0μmであることを特徴とする請求項1又は3に記載の抗菌・消臭用ヒドロゲル。
  5. 脱イオン水に水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を添加して均一に分散させ、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末含有分散液を生成する第1工程と、
    第1工程で生成された分散液に親水性高分子樹脂を添加して均一に分散させ、これを加熱攪拌することにより水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末が含有された高分子樹脂分散液を生成する第2工程と、
    第2工程で生成された分散液を所定の時間及び温度で凍結し、更にこれを所定の時間及び温度で解凍し、係る凍結・解凍サイクルを複数回数繰り返し実行する第3工程と、
    第3工程終了後の生成物を、所定の温度及び期間で乾燥させる第4工程を含むことを特徴とする抗菌・消臭用ヒドロゲルの製造方法。
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