JP2018114670A - 塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法 - Google Patents

塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018114670A
JP2018114670A JP2017006954A JP2017006954A JP2018114670A JP 2018114670 A JP2018114670 A JP 2018114670A JP 2017006954 A JP2017006954 A JP 2017006954A JP 2017006954 A JP2017006954 A JP 2017006954A JP 2018114670 A JP2018114670 A JP 2018114670A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin material
coated steel
steel plate
ultrasonic vibration
thermoplastic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017006954A
Other languages
English (en)
Inventor
直樹 武田
Naoki Takeda
直樹 武田
進之助 西島
Shinnosuke Nishijima
進之助 西島
冨村 宏紀
Hiroki Tomimura
宏紀 冨村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP2017006954A priority Critical patent/JP2018114670A/ja
Publication of JP2018114670A publication Critical patent/JP2018114670A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板と樹脂材とを用いて、効率よく接合できるとともに、高強度を有する、金属材と樹脂材との複合体を製造することができる製造方法を提供する。【解決手段】少なくとも被接合面側に熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板と樹脂材とを積み重ねた被接合体を作製し、前記被接合体を加圧した状態で、前記被接合体に超音波振動を付与して、前記塗装鋼板と前記樹脂材とを接合させて、塗装鋼板と樹脂材との複合体を製造する方法であって、前記熱可塑性樹脂皮膜の厚みが総計で1.0μm以上、10μm以下であり、前記超音波振動の振幅が20μm以上、40μm以下であり、超音波振動を停止した後、超音波振動を付与する工具を前記被接合体に0.1秒以上保持させる。【選択図】図4

Description

本発明は、塗装鋼板と樹脂材との複合体を製造する方法に関する。
近年、自動車業界においては、軽量化の要求に対応して樹脂の利用が進んでいる。樹脂材に置き換えるだけでなく、金属板と樹脂材との複合体も適用されている。そのため、当該複合体の製造において、金属板と樹脂材とを効率よく接合することが求められている。
金属、樹脂という異種材料からなる2つの部材を接合する方法として、レーザ照射による接合方法が知られている。例えば、特許文献1は、接合部材の表面に微細な凹凸を形成し、レーザ光吸収率を高めることを提案している。特許文献2は、レーザを金属側から照射し、樹脂材を軟化または溶融させて接合する方法を提案している。
レーザ照射による接合方法以外に、超音波接合を利用した方法が知られている。特許文献3は、表面粗さRaを1μm以上に調整された熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板同士を、押圧した状態で超音波加振し、超音波振動子の接触箇所で熱可塑性樹脂皮膜が局部的に昇温することにより、塗装鋼板同士を短時間で接合できると報告している。
特開2008−162288号公報 特開2010−76437号公報 特開2005−14549号公報
特許文献1、2のレーザ照射による接合方法は、レーザ透過性のない樹脂への適用が難しく、また、被接合材に対してレーザ吸収性を高めるための前処理を必要とする点に課題がある。
特許文献3は、熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板の接合に関して、超音波接合法により塗装鋼板同士を接合する接合方法を提案している。しかし、得られた接合強度が十分に高いとはいえない。例えば、特許文献3の実施例によると、直径10mmの超音波振動子(ホーン)により得られた接合体は、その剪断強度が650Nであると記載されている。この剪断強度(N)を超音波振動子の接触面積(mm)で除すると、その単位面積当たりの剪断強度は、8MPa程度に換算される。当該剪断強度は、実用材料として十分なレベルでない。
そのため、金属材と樹脂材とを効率よく接合できることに加えて、高強度の複合体を製造するのに適した接合方法が求められている。本発明は、熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板と樹脂材とを用いて、効率よく接合できるとともに、高強度を有する、金属材と樹脂材との複合体を製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板と樹脂材とを用いて超音波接合法で接合するとともに、接合する際に、熱可塑性樹脂皮膜の厚み、超音波振動の振幅および加圧保持時間などを制御することにより、高い剪断強度を有する複合体が得られる条件を見出して、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、少なくとも被接合面側に熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板と樹脂材とを積み重ねた被接合体を作製し、前記被接合体を加圧した状態で、前記被接合体に超音波振動を付与して、前記塗装鋼板と前記樹脂材とを接合させて、塗装鋼板と樹脂材との複合体を製造する方法であって、前記熱可塑性樹脂皮膜の厚みが総計で1.0μm以上、10μm以下であり、
前記超音波振動の振幅が20μm以上、40μm以下であり、超音波振動を停止した後、超音波振動を付与する工具を前記被接合体に0.1秒以上保持させる、塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法である。
(2)本発明は、前記複合体は、単位面積当りの剪断引張強度が10MPa以上である、請求項1記載の塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法である。
本発明によれば、熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板と樹脂材とを用いて、効率よく接合できる。さらに、高強度を有する、金属材と樹脂材との複合体を製造することができる。
実施例で用いた試験体を示す図である。 実施例の超音波接合試験を説明するための図である。 剪断引張強度を測定する試験装置を模式的に示す図である。 超音波の振幅に関する試験結果を示す図である。 超音波の振幅に関する別の試験結果を示す図である。 熱可塑性樹脂皮膜の膜厚に関する試験結果を示す図である。 熱可塑性樹脂皮膜の膜厚に関する別の試験結果を示す図である。 加振時間に関する試験結果を示す図である。 ホーン保持時間に関する試験結果を示す図である。 加圧力に関する試験結果を示す図である。 超音波接合の原理を説明するための図である。
本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
本実施形態の複合体の製造方法は、少なくとも被接合面側に熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板と樹脂材とを積み重ねた被接合体を作製し、前記被接合体を加圧した状態で、前記被接合体に超音波振動を付与して、前記塗装鋼板と前記樹脂材とを接合させて、塗装鋼板と樹脂材との複合体を製造する方法である。
(超音波接合方法)
一般に、超音波接合は、接触面に圧力を加えて振動させることにより、界面に存在する吸着分子や酸化層などの不活性層を超音波による摩擦で除去し、更に金属新生面同士を直接接触させた状態で摩擦による昇温がなされるため、界面で成分が拡散し接合できる方法である。図11の(a)に示すように、2枚の被接合材21,22を重ねて、超音波接合装置の工具23,24で挟持される。下側に位置する下板22には、超音波接合装置の工具24(アンビル)で支持される。上側に位置する上板21には、超音波振動する工具23(ホーン)を配置する。図11の(b)に示すように、接合する際は、上板21および下板22を加圧手段26(図示なし)により加圧しながら、上板21に接触したホーン23から超音波振動が接合箇所へ伝達される。超音波振動が開始されると、図11の(c)に示すように、ホーン23が左右に振動し、そのホーン23の動きに伴って反力27が発生し、当該反力17により接合箇所で摩擦が起きる。この摩擦の発熱によって加熱域25が形成され、被接合材同士の接触界面で拡散やアンカー効果が発生することで接合される。このように所定時間で超音波振動が付与された後、上板21と下板22は、接合される。本実施形態は、上板21が塗装鋼板であり、下板22が樹脂材である。
(塗装鋼板)
本実施形態で使用される塗装鋼板は、下地鋼板の表面の片面または両面に熱可塑性樹脂皮膜が設けられている。熱可塑性樹脂皮膜には、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリメチル(メタ)クリレート、ポリブチル(メタ)クリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル等のアクリレート樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、ポリカプロラクタン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂を適用できる。
熱可塑性樹脂皮膜の膜厚は、総計で1.0μm以上、10μm以下であると好ましい。この総計は、両面に当該皮膜を有する塗装鋼板であれば、両面の皮膜の厚みを総計したものに該当する。片面に当該皮膜を有する塗装鋼板であれば、片面の皮膜の厚みに該当する。熱可塑性樹脂皮膜の膜厚の総計が10μmを超えると、樹脂材との間で形成される接合部の強度が低減し、十分な剪断引張強度を有する複合体が得られない。他方、当該膜厚の総計は、過度に小さいと、鋼板表面において被覆されていない領域が存在し、樹脂材との間で良好な接合部を形成できない可能性がある。そのため、当該膜厚の総計は、1.0μm以上、10μm以下が好ましい。両面の熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板は、片面の膜厚が0.5μm以上であると好ましい。
(樹脂材)
本実施形態で使用される樹脂材は、ポリブチレンテレフタラート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の樹脂を適用できる。樹脂材の厚みは、その用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、厚みが0.3〜10mmの樹脂材を適用できる。
(被接合体)
被接合体は、塗装鋼板と樹脂材とを積み重ねて構成される。塗装鋼板としては、片面または両面に熱可塑性樹脂皮膜を配された樹脂被覆鋼板が用いられる。そして、塗装鋼板と樹脂材との積み重ねは、塗装鋼板と樹脂材との接合面において塗装鋼板の熱可塑性樹脂皮膜が樹脂材と接触するように行われる。超音波振動を付与すると、当該熱可塑性樹脂皮膜と樹脂材との間で接合部を形成することにより、塗装鋼板と樹脂材とが接合して、金属材と樹脂材とからなる複合体が得られる。
(超音波振動の振幅)
本実施形態では、塗装鋼板に付与される超音波振動の振幅は、20μm以上、40μm以下の範囲が好ましい。20μm未満であると、熱可塑性樹脂皮膜と樹脂材との摩擦が十分に起きず、接合強度が良好な接合部を形成できない。他方、40μmを超えると、一度接合したとしても過度の振動付与によって接合箇所が破壊されるため、接合強度が良好な接合部を形成できない恐れがある。
(超音波振動の加振時間)
本実施形態では、加振時間は、振幅、加圧力、塗装鋼板の膜厚などの条件に応じて、適宜選択できる。加振時間が過少であると、十分な摩擦熱が得られないので、接合強度が不足する。加振時間が過大であると、一時接合されても振動により離れる。そのため、適した範囲で加振することが好ましく、例えば、0.2〜0.6秒の範囲を挙げることができる。
(ホーン保持時間)
本実施形態では、加振を停止した後、超音波振動を発生する工具(ホーン)を押圧した状態を0.1秒以上で保持することが好ましい。加振停止と同時に押圧状態を解除すると、接合部の冷却時に緻密な組織を形成できないので、十分な接合強度が得られない。
(超音波振動の加圧力)
本実施形態では、振動開始時の加圧力を増大することにより、接合強度を高めることがきる。他方、加圧力を増大させると、付加装置に負担が掛かり、また、被接合体の表面にホーンが食い込んで圧痕を残存させるから、外観を損ねる。そのため、過度の加圧は好ましくない。
(超音波振動の振動数)
本実施形態では、付与する超音波の振動数は、20kHz程度が好ましい。
(剪断引張強度)
本実施形態では、複合体が単位面積当りの剪断引張強度が10MPa以上であると好ましい。本明細書では、当該剪断引張強度(単位:Pa)は、剪断引張試験で得られたピーク荷重(単位:N)を、超音波振動を発生する工具(ホーン)が被接合体に接触する面積(mm)で除して、その単位面積当たりの剪断強度として算出された数値を意味する。また、本明細書では、当該剪断引張強度を、「接合強度」ということもある。金属材と樹脂材との複合体は、その剪断引張強度が10MPa以上であると、軽量化を求められる多くの用途で使用に適する。
本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
図1に示すような試験体を作製した。試験体は、塗装鋼板1と樹脂材4を積み重ねたものである。塗装鋼板1は、板厚0.6mmの鋼板2の両面に熱可塑性樹脂皮膜3を設けたもので、ポリウレタン皮膜を設けたものと、ポリプロピレン皮膜を設けたものの2種類を用意した。樹脂材4は、厚み3mmの板形状であって、PA6(ポリアミド6)とPP(ポリプロピレン)からなるものを用意した。これらの塗装鋼板1と樹脂材4は、それぞれ長さ75mm×幅25mmに切断し、図1に示すように、両者が長手方向に20mmの部分で重なるように積み重ねた。
塗装鋼板と樹脂材との組み合わせは、表1に示すとおりである。
Figure 2018114670
試験体1、試験体2における両面の熱可塑性樹脂皮膜の膜厚(μm)を表2に示す。
Figure 2018114670
試験体の超音波接合は、図2に示すように、塗装鋼板1をホーン5側に位置するように配置して超音波接合試験を行った。試験体をホーン5とアンビル6の間に挟んで加圧し、超音波振動を加えた。ホーン5が左右に振動する。ホーンの動きに伴って発生した反力により、熱可塑性樹脂皮膜3と樹脂材4との接触面において摩擦発熱が生じて、接合界面の温度上昇を引き起こす。その加熱によって熱可塑性樹脂皮膜3と樹脂材4とが局所的に溶け合い、接合が行われる。
試験体がホーン5と接触する接触部は、塗装鋼板1と樹脂材4とが重なる部分のほぼ中央に位置し、長手方向に沿って、長さが約5mm、幅が約10mm(面積が約50mm)の矩形領域に相当した。
超音波接合試験は、周波数20kHzの超音波振動を加えた。超音波の振幅は、10〜60μmの間で変化させ、超音波の加振は、0.1〜1.0秒(s)の範囲内で継続した後、ホーンを0〜5sの範囲で保持させた。振動開始時の加圧力は、200〜600Nの範囲で変化させた。
(接合強度)
接合された試験体は、図3に示す引張試験装置によって剪断引張試験が行われた。引張速度を5mm/minで行い、試験体が破断するピーク荷重を求めた。試験体は、塗装鋼板1側を上側治具9で固定され、樹脂材4側を下側治具10で固定された。塗装鋼板1は、接合部と反対側の一端が上側治具9から突出するように固定し、当該突出した一端を上側つかみ部7で把持した。樹脂材4は、その全体を下側治具10で固定し、下側つかみ部8で把持した。これにより、樹脂材4が下側つかみ部8で潰されるのを防止できる。引張試験装置に試験体を取り付ける際は、引張荷重の中心軸と塗装鋼板の板厚中心軸とがほぼ一致するように試験体を把持した。試験体の接合部の面積は、ホーンの接触面積に対応すると考えられることから、試験体の剪断引張強度の指標として、引張試験により求めたピーク荷重(N)をホーンの接触面積(50mm)で除した数値を用いて、これを試験体の接合強度(MPa)とした。
実施例1:振幅、膜厚に関する試験)
超音波振動の振幅と熱可塑性樹脂皮膜の膜厚とが接合強度に及ぼす影響を調べた。所定の膜厚の試験体を用いて、所定の振幅で超音波振動を付与した。加圧力が400Nに達した際に、周波数20kHzの超音波振動を加えて、超音波加振を0.3秒(s)で継続した。超音波加振を停止した後は、ホーンを0.1sで保持した。その試験結果を図4、図5に示す。図4は、試験体1を用いた試験結果であり、図5は、試験体2を用いた試験結果である。
超音波振動の特性は、振動媒体の種類によって異なり、振動媒体の境界では反射が生じるため、振動エネルギーが減衰する。本実施形態に係る塗装鋼板と樹脂材とを積み重ねた被接合体は、熱可塑性樹脂皮膜が鋼板の両面に備えた塗装鋼板である場合は、熱可塑性樹脂皮膜/鋼板/熱可塑性樹脂皮膜/樹脂材のように3つの界面で超音波振動が減衰する。当該皮膜が鋼板の片面に備えた塗装鋼板である場合は、鋼板/熱可塑性樹脂皮膜/樹脂材のように2つの界面で超音波振動が減衰する。そのため、塗装鋼板の熱可塑性樹脂皮膜が超音波振動に影響すると考えられる。そこで、実施例1は、熱可塑性樹脂皮膜の膜厚の総計により評価した。図4、図5に示すように、熱可塑性樹脂皮膜が総計の1.0μm以上、10μm以下の厚みを有する試験体は、20μm以上、40μm以下の振幅内において10MPa以上の接合強度が得られた。振幅を50μm以上に増大させると、接合強度が低下した。これは、一度接合された部分が過大な振幅によって破壊されたことによると推測される。また、表2に示すように、熱可塑性樹脂皮膜の膜厚は、片面が0.5μm以上であると、10MPa以上の接合強度を達成するのに好ましいことが確認された。
次に、図4、図5の振幅20μm、30μm、40μmの試験結果について、横軸に膜厚にしたグラフを図6、図7に示す。図6、図7に示すように、膜厚の総計が小さくなるにしたがい、接合強度は、上昇して、1.0μm付近でピークを示し、1.0μm未満では急減する傾向を示した。その一方で、膜厚の総計が10mmを超えると、10MPaを下回る接合強度を示した。このような傾向を示す理由は、解明されていない。鋼板の表面は、一般的に微小な凹凸状を有しているため、被覆される熱可塑性樹脂皮膜が過度に薄くなると、鋼板表面の凸部に被覆されない領域が存在し、その領域が樹脂体との接合に寄与しないため、接合強度が低下したと推測される。他方で、熱可塑性樹脂皮膜の膜厚が過度に大きくなると、超音波振動が減衰し、塗装鋼板と樹脂材との接合部において十分な摩擦が得られないこと、また、接合部の位置が鋼板から離れるため、鋼板との接着性による寄与が低減することが推測される。
実施例2:加振時間に関する試験)
次に、加振時間による影響を調べた。試験体1の膜厚総計4.1μmのもの、試験体2の膜厚総計4.0μmのものを用いた。振動開始時の加圧力が400Nであり、周波数20kHz、振幅30μmの超音波振動を加えた。超音波停止後にホーンを0.1sで保持した。加振時間(s)は、0.1s、0.3s、0.6s、0.8s、1.0sで行った。試験結果を図8に示す。加振時間が0.2〜0.6sの範囲で、接合強度10MPa以上の複合体が得られた。
実施例3:ホーン保持時間に関する試験)
次に、超音波の加振を停止した後、ホーンを保持する時間(ホーン保持時間)による影響を調べた。実施例2と同様の試験体1、2を用いて、振動開始時の加圧力が400Nであり、周波数20kHz、振幅30μmの超音波振動を加えて、加振を0.3sで継続した。超音波停止後のホーン保持時間(s)を、0s(保持しない)、0.1s、0.5s、1.0s、3.0s、5.0sで行った、その試験結果を図9に示す。ホーンの保持がないときは、接合強度が低下し、0.1s以上のホーン保持により、10MPa以上の接合強度が得られた。加振を停止した後においてもホーンを保持し、接合部を加圧することにより、接合強度の向上効果を確認できた。0.1sを越えて保持しても、接合強度は、ほぼ一定であった。
実施例4:振動開始時の加圧力に関する試験)
次に、振動開始時の加圧力による影響を調べた。実施例2と同様の試験体1、2を用いて、周波数20kHz、振幅30μmの超音波振動を加えて、加振を0.3sで継続し、超音波停止後のホーン保持時間を0.1sとした。振動開始時の加圧力(N)を、200N、400N、600Nで行った。その試験結果を図10に示す。加圧力が増大するにともない、接合強度が増大した。接合部分において溶融接合した後に冷却されて凝固する過程で、加圧力が大きいほど、緻密な接合組織が形成されることにより、接合強度が増大したものと考えられる。
以上のことから、本発明に係る複合体の製造方法は、塗装鋼板と樹脂材とを効率よく接合できる方法を提供し、さらに、樹脂材主体の複合体において、従来よりも高強度の接合強度を有する複合体を提供する点で、有用な効果を奏する。
1 塗装鋼板
2 鋼板
3 熱可塑性樹脂皮膜
4 樹脂材
5 ホーン
6 アンビル
7 上側つかみ部
8 下側つかみ部
9 上側治具
10 下側治具
21 上板
22 下板
23 ホーン
24 アンビル
25 加熱域
26 加圧手段
27 反力

Claims (2)

  1. 少なくとも被接合面側に熱可塑性樹脂皮膜を有する塗装鋼板と樹脂材とを積み重ねた被接合体を作製し、前記被接合体を加圧した状態で、前記被接合体に超音波振動を付与して、前記塗装鋼板と前記樹脂材とを接合させて、塗装鋼板と樹脂材との複合体を製造する方法であって、
    前記熱可塑性樹脂皮膜の厚みが総計で1.0μm以上、10μm以下であり、
    前記超音波振動の振幅が20μm以上、40μm以下であり、
    超音波振動を停止した後、超音波振動を付与する工具を前記被接合体に0.1秒以上保持させる、塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法。
  2. 前記複合体は、単位面積当りの剪断引張強度が10MPa以上である、請求項1記載の塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法。
JP2017006954A 2017-01-18 2017-01-18 塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法 Pending JP2018114670A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017006954A JP2018114670A (ja) 2017-01-18 2017-01-18 塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017006954A JP2018114670A (ja) 2017-01-18 2017-01-18 塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018114670A true JP2018114670A (ja) 2018-07-26

Family

ID=62983306

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017006954A Pending JP2018114670A (ja) 2017-01-18 2017-01-18 塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018114670A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020104287A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 日鉄日新製鋼株式会社 塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法
JP7475735B2 (ja) 2022-08-31 2024-04-30 晶呈科技股▲分▼有限公司 ダイパッケージの接合及び移載方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011224974A (ja) * 2010-03-30 2011-11-10 Sumitomo Chemical Co Ltd 金属樹脂複合体の製造方法
WO2014030417A1 (ja) * 2012-08-24 2014-02-27 ソニー株式会社 構造体
WO2014112506A1 (ja) * 2013-01-18 2014-07-24 日本軽金属株式会社 金属-樹脂接合体の製造方法及び金属-樹脂接合体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011224974A (ja) * 2010-03-30 2011-11-10 Sumitomo Chemical Co Ltd 金属樹脂複合体の製造方法
WO2014030417A1 (ja) * 2012-08-24 2014-02-27 ソニー株式会社 構造体
WO2014112506A1 (ja) * 2013-01-18 2014-07-24 日本軽金属株式会社 金属-樹脂接合体の製造方法及び金属-樹脂接合体

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020104287A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 日鉄日新製鋼株式会社 塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法
JP7156009B2 (ja) 2018-12-26 2022-10-19 日本製鉄株式会社 塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法
JP7475735B2 (ja) 2022-08-31 2024-04-30 晶呈科技股▲分▼有限公司 ダイパッケージの接合及び移載方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10639744B2 (en) Method of laser joining of dissimilar materials with ultrasonic aid
US8082966B2 (en) System for enhancing sonotrode performance in ultrasonic additive manufacturing applications
JP2000516873A (ja) 熱可塑性加工片の超音波溶接中に於ける振幅及び力の同時プロフィール制御
US8905291B2 (en) Coulomb damping features using ultrasonic welding
JP7262830B2 (ja) 第1の物体に第2の物体を締結する方法
US20160045978A1 (en) Systems and methods for improving weld strength
US9399332B2 (en) Ultrasonic joining method and ultrasonic joining device
US10723096B2 (en) Method for producing packaging, and packaging machine
JP2018114670A (ja) 塗装鋼板と樹脂材との複合体の製造方法
WO2008030329A2 (en) Ultrasonic welding using amplitude profiling
Jongbloed et al. Improving weld uniformity in continuous ultrasonic welding of thermoplastic composites
JP6673634B2 (ja) 超音波接合方法
JP7156009B2 (ja) 塗装金属素形材と樹脂材との複合体の製造方法
CN113518708B (zh) 用于接合纸质材料的方法和设备
WO2020067191A1 (ja) 超音波接合方法
JP4064111B2 (ja) 超音波圧接方法
JP6868885B2 (ja) 接合装置並びにそれを用いた接合方法及び接合体の製造方法
JP2010143156A (ja) 超音波溶着法
JP2005305906A (ja) 樹脂材のレーザ溶着方法
JP6842755B2 (ja) 多層箔金属接合方法
JP2016198780A (ja) 超音波接合方法
JP2013034963A (ja) 超音波振動用ブースタ、同ブースタを用いた超音波振動接合装置、同ブースタを用いた超音波振動溶着装置
WO2018065601A1 (en) Method of activating adhesives
JP2019509921A (ja) 異種素材床材の超音波溶着装置及び超音波溶着方法
RAJASEKHAR EFFECT OF AMPLITUDE AND FRICTION IN ULTRASONIC JOINING

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191125

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20200901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200928

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201006

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201118

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210202