JP2018091783A - ガス成分濃度の分析方法、排ガスの回収方法、ガス成分濃度の分析装置及び排ガスの回収設備 - Google Patents

ガス成分濃度の分析方法、排ガスの回収方法、ガス成分濃度の分析装置及び排ガスの回収設備 Download PDF

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【課題】排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができる、ガス成分濃度の分析方法及びガス成分濃度の分析装置、並びに上記ガス成分濃度の分析方法または上記ガス成分濃度の分析装置を用いて安全且つ効率良く排ガスを回収できる排ガスの回収方法及び排ガスの回収設備を提供すること。
【解決手段】転炉5で発生し、除塵された煙道20内の排ガスにレーザ光を透過させて、排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析方法であって、排ガスの流量または流速を測定し、レーザ光3の光路の一部を囲んで煙道20内に配されたインサーションチューブ12a,12b内に不活性ガスをパージガス4として流した状態で、煙道20内にレーザ光3を透過させ、透過させたレーザ光3の吸光度を測定し、排ガスの流量または流速の測定結果と、吸光度の測定結果とに基づいて、ガス成分濃度を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガス成分濃度の分析方法、排ガスの回収方法、ガス成分濃度の分析装置及び排ガスの回収設備に関する。
製鉄所の製鋼工程において溶銑の脱燐予備処理や脱炭処理に用いられる精錬設備である転炉型精錬炉(以下では、溶銑の予備処理用の転炉型精錬炉も含めて転炉と称する)では、吹錬中(送酸精錬処理中)に、精錬反応に伴って排ガスが発生する。排ガスには可燃成分であるCOが含まれるため、発生した排ガスは、除塵された後、非燃焼で可燃性の燃料ガスとして回収される。しかし、排ガスのCO濃度は、吹錬の時期や吹錬条件によっては、燃料ガスとして用いることができない程度に低いこともある。また、排ガス処理設備は、吹錬開始時には大気を吸引してCOガスを燃焼させ、COガスの発生速度が増大してから大気の吸引速度を次第に減じて排ガス中のCO濃度を高めるように運転される。このため、排ガスは、吹錬初期における酸素濃度が高い状態から、酸素濃度及びCO濃度が比較的低い燃焼ガスの状態を経て、酸素濃度が低くCO濃度が高い燃料ガスの状態へと推移する。また、排ガスの状態の変化にともなって、吸引された大気分も含む排ガスの流量も大きく変化する。このため、排ガスを回収する際には、通常、発生した排ガスのガス成分濃度が測定され、測定結果から燃料ガスとして回収可能と判断された場合にのみ回収が行われる。
例えば、特許文献1には、転炉炉頂の集塵前の排ガス経路に、ガス中酸素濃度計(以下「炉頂酸素分析計」という。)と、ガス中CO濃度計(以下「炉頂CO分析計」という。)とを有し、さらに集塵後の排ガス経路にガス中酸素分析計(以下「炉下酸素分析計」という。)を有する排ガスの回収装置が開示されている。特許文献1に記載の排ガスの回収装置では、炉下酸素分析計として、煙道の排ガス中にレーザ光を投光し、レーザ光の光吸収による光量変化からガス濃度を測定するレーザ式ガス分析計を用い、レーザ式ガス分析計のレーザ投光部側及びレーザ検出器側の少なくとも一方に、レーザ光の光路を囲むようにインサーションチューブを煙道内に配置し、このインサーションチューブにパージガスを流す。そして、特許文献1では、転炉吹錬開始時は排ガスを大気に放散し、炉頂酸素分析計と炉下酸素分析計で測定したガス中酸素濃度が所定濃度以下となるとともに炉頂CO分析計で測定したガス中CO濃度が所定以上となったとき、排ガスを大気放散からガスホルダーへの回収に切り替えることで、排ガスの回収を行っている。特許文献1では、酸素分析計として、従来使用されていた磁気式酸素分析計に代えて、煙道内でのレーザ式酸素分析を採用したことにより、分析の応答時間が大幅に短縮され、転炉排ガスの回収量の増大を可能としている。
特許文献1に記載のレーザ式ガス分析計は、例えば可変波長の赤外線半導体レーザを用いて、複数の波長の吸光度を比較することで、分析対象とするガス成分の吸収波長に対応する吸光度を測定する際に、ダスト濃度変化の影響を受け難くする点に特徴がある。また、その際に、ダスト濃度が高くてベースのレーザ光の透過率が低下し過ぎると精度の高い測定が困難となるため、分析対象でないパージガスを管内に流すインサーションチューブを煙道内に配置し、レーザ光の煙道空間内の実質的な光路長(有効光路長、インサーションチューブの先端から先端の間隔)を短くして、必要なレーザ光の透過率を確保する方法が用いられている。
また、特許文献2には、レーザ式ガス分析計のレーザ光の透過率を10%以上とするように有効光路長を設定することが開示されている。さらに、特許文献2には、煙道内の排ガス流速が増大するに従って、ダストや水滴によるレーザ光の散乱によってレーザ光の透過率が低下するので、排ガス流速に応じて所定のレーザ光の透過率が得られるように、有効光路長を設定することが開示されている。さらに、特許文献2には、インサーションチューブ内へのダストや水滴の侵入や付着を防止するため、インサーションチューブの先端を、排ガスの流れ方向下流側に切欠きを設けた形状とすることが記載されている。
特許第5527168号公報 国際公開第2013/179432号
ところで、特許文献1,2に記載の分析方法では、測定対象のガス成分に対応する吸収波長での吸光係数1と他の波長での吸光係数2とを予め求めておく。そして、煙道に設置したインサーションチューブの先端の間隔を光路長として、両方の波長での吸光度の比(あるいは光強度の比)と光路長とから測定対象のガス成分濃度が演算される。しかし、このレーザ式ガス分析計での測定結果と、測定したタイミングで煙道から採取したガス試料の分析結果とでは誤差が生じている場合があった。このため、特許文献1,2に記載の分析方法を用いてガス回収を行う場合には、ガスホルダーに回収される排ガスのCO濃度の低下や酸素濃度の上昇による、ガスカロリーの低下や着火のおそれが生じないように、排ガスの回収可否の判定を厳しくしていたことから、燃料ガスの回収機会を必ずしも十分利用できずに、回収量が減少していたと考えられる。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができる、ガス成分濃度の分析方法及びガス成分濃度の分析装置を提供することを目的としている。また、本発明は、上記ガス成分濃度の分析方法または上記ガス成分濃度の分析装置を用いて安全且つ効率良く排ガスを回収できる、排ガスの回収方法及び排ガスの回収設備を提供することを目的としている。
本発明者らは、種々の操業条件及び測定条件において、レーザ式ガス分析計による煙道中の排ガスの測定値と、この測定と同時に煙道から採取した排ガス試料のガスクロマトグラフ分析計などの他の信頼性の高い分析方法による分析値とを比較することによって、レーザ式ガス分析計によるガス成分濃度の測定誤差の原因について鋭意検討した。その結果、ガス成分濃度の測定誤差には、煙道での排ガス流量や排ガス流速が大きく影響することを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的には、インサージョンチューブの管内や出口近くでは、パージガスと排ガスとの混合領域が生じ、その混合領域の範囲や両者のガス体積比などの混合状態が、排ガスの流量及びパージガスの流量によって変化するため、レーザ光が排ガス中を透過する際には、実質的な光路長が変化する。このことから、本発明者らは、この実質的な光路長の変化が、ガス成分濃度の分析値の誤差の主な原因であると推定した。レーザ式ガス分析計で測定する場合、光路長は、一般に対となるインサージョンチューブの先端同士の間隔とされていた。このため、排ガスの流量及びパージガスの流量の少なくとも一方が変動し、レーザ光の実質的な光路長が変化すると、レーザ光の吸光度が変化することから、設定された光路長を用いて算出されるガス成分濃度の分析値には、誤差が生じてしまう。そこで、本発明者らは、レーザ式ガス分析計を用いた場合において、測定された吸光度からガス成分濃度の分析値を算出する際に、同じタイミングで測定した排ガス流量などを用いて分析値を補正したり、この排ガス流量などに応じて誤差の影響が相殺されるようにパージガス流量を調整したりすることで、正確なガス分析値が得られる方法を検討し、本発明を完成させるに至った。
本発明の一態様によれば、転炉で発生し、除塵された煙道内の排ガスにレーザ光を透過させて、上記排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析方法であって、上記排ガスの流量または流速を測定し、上記レーザ光の光路の一部を囲んで上記煙道内に配されたインサーションチューブ内に不活性ガスをパージガスとして流した状態で、上記煙道内に上記レーザ光を透過させ、透過させた上記レーザ光の吸光度を測定し、上記排ガスの流量または流速の測定結果と、上記吸光度の測定結果とに基づいて、上記ガス成分濃度を算出することを特徴とするガス成分濃度の分析方法が提供される。
本発明の一態様によれば、転炉で発生し、除塵された煙道内の排ガスにレーザ光を透過させて、上記排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析方法であって、上記排ガスの流量または流速を測定し、上記レーザ光の光路の一部を囲んで上記煙道内に配されたインサーションチューブ内に不活性ガスをパージガスとして流した状態で、上記煙道内に上記レーザ光を透過させ、透過させた上記レーザ光の吸光度を測定し、上記吸光度の測定結果に基づいて、上記ガス成分濃度を算出し、上記吸光度を測定する際に、上記排ガスの流量または流速の測定結果に基づいて、上記排ガスの流量または流速の変動による上記ガス成分濃度の分析結果の誤差を打ち消すように、上記パージガスの流量を調整することを特徴とするガス成分濃度の分析方法が提供される。
本発明の一態様によれば、転炉で発生した排ガスを、ガス成分濃度に応じて、大気放散するか、燃料ガスとして回収する排ガスの回収方法であって、上記転炉で吹錬を開始するときに発生した上記排ガスを大気放散し、上記転炉での吹錬中に、上記排ガスのガス成分濃度を、上記のガス成分濃度の分析方法を用いて分析し、上記ガス成分濃度の分析結果から、上記排ガスが回収可能と判断された場合に、上記排ガスを上記燃料ガスとして回収することを特徴とする排ガスの回収方法が提供される。
本発明の一態様によれば、転炉で発生し、除塵された煙道内の排ガスにレーザ光を透過させて、上記排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析装置であって、上記排ガスの流量または流速を測定する測定部と、上記レーザ光の光路の一部を囲んで上記煙道内に配されたインサーションチューブと、このインサーションチューブ内に不活性ガスをパージガスとして流すパージガス供給部と、上記レーザ光を投光することで、上記煙道内に上記レーザ光を透過させる投光部と、投光された上記レーザ光を受光することで、上記煙道内を透過した上記レーザ光の吸光度を測定する受光部と、上記測定部による上記排ガスの流量または流速の測定結果と、上記受光部による上記吸光度の測定結果とに基づいて、上記ガス成分濃度を算出する演算部とを備えることを特徴とするガス成分濃度の分析装置が提供される。
本発明の一態様によれば、転炉で発生し、除塵された煙道内の排ガスにレーザ光を透過させて、上記排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析装置であって、上記排ガスの流量または流速を測定する測定部と、上記レーザ光の光路の一部を囲んで上記煙道内に配されたインサーションチューブと、このインサーションチューブ内に不活性ガスをパージガスとして流すパージガス供給部と、上記煙道内に上記レーザ光を透過させる投光部と、投光された上記レーザ光を受光することで、上記煙道内を透過した上記レーザ光の吸光度を測定する受光部と、上記受光部による上記吸光度の測定結果から、上記ガス成分濃度を算出する演算部と、上記測定部による上記排ガスの流量または流速の測定結果に基づいて、上記排ガスの流量または流速の変動による上記演算部が算出する上記ガス成分濃度の分析結果の誤差を打ち消すように、上記パージガスの流量を調整するパージガス制御部と、を備えることを特徴とするガス成分濃度の分析装置が提供される。
本発明の一態様によれば、転炉で発生し、除塵された排ガスを、ガス成分濃度に応じて、大気放散するか、燃料ガスとしてガスホルダーに回収する排ガスの回収設備であって、上記排ガスが流れ、煙突及びガスホルダーに接続される煙道と、この煙道に設けられ、上記排ガスのガス成分濃度を分析する上記のガス成分濃度の分析装置と、上記ガス成分濃度の分析結果から、上記排ガスが回収可能と判断された場合に、上記排ガスが上記ガスホルダーへ送られるように上記排ガスの流路を調整し、排ガスが回収不可能と判断された場合に、上記排ガスが上記煙突へ送られるように上記流路を調整する回収制御部と、を備えることを特徴とする排ガスの回収設備が提供される。
本発明の一態様によれば、排ガスの流量が変化した場合でも、排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができる、ガス成分濃度の分析方法、排ガスの回収方法、ガス成分濃度の分析装置及び排ガスの回収設備が提供される。
本発明の第1の実施形態に係るガス成分濃度の分析装置を示す模式図である。 第1の実施形態に係る排ガスの回収設備を示す模式図である。 第1の実施形態に係る排ガスの回収方法を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るガス成分濃度の分析装置を示す模式図である。 第2の実施形態に係る排ガスの回収方法を示すフローチャートである。 インサーションチューブの端部の変形例を示す模式図である。 一定のパージガス流量における、排ガスの流量とCO濃度差との関係を示すグラフである。 異なるパージガス流量における、排ガスの流量とCO濃度差との関係を示すグラフである。 排ガスの流量と、CO濃度差が0体積%となる窒素(パージガス)流量との関係を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<第1の実施形態>
[ガス成分濃度の分析装置及び排ガスの回収設備]
はじめに、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る、ガス成分濃度の分析装置1及び排ガスの回収設備2の構成について説明する。
回収設備2は、転炉5での送酸精錬処理である吹錬によって生じる排ガスを回収する設備である。転炉5の吹錬では、炉体50に収容された溶銑に対して、メインランス51や炉体50の底部に設けられた羽口(不図示)から主に酸素が吹き込まれることで、溶銑中の炭素やリンなどが酸化除去される。この際、転炉5からは処理に伴って、CO(一酸化炭素)やCO(二酸化炭素)などのガス成分が排ガスとして発生する。また、吹錬では、溶銑中の鉄等を含むダストが発生し、このダストが排ガス中に含まれる。
回収設備2は、煙道20と、水封槽21と、誘引送風機22と、三方弁23と、分析装置1とを備える。
煙道20は、排ガスの流路(ダクト)であり、炉体50の上側(図2の上側)の炉口から煙突及びガスホルダーへと延びて設けられる。煙道20は、炉口から鉛直方向(図2の上下方向)の上側に延びる第1の領域201と、第1の領域201に接続され鉛直方向の下側へと延びる第2の領域202と、第2の領域202に接続され水平方向(図2の左右方向)へと延びる第3の領域203とを有する。第1の領域201では、煙道20の外周面に蒸気や水が流れて冷却されており、排ガスの熱がボイラーによって熱回収される。第2の領域202では、煙道20内にサチュレータが設けられ、第1の領域201を通った排ガスに水が吹き付けられることで、排ガスのさらなる冷却が行われ、排ガス中のダストが水で集塵されることで除塵が行われる。第3の領域203は、第2の領域202で冷却され、除塵された排ガスを、煙突またはガスホルダーへと送り、分析装置1以降の排ガスの経路が煙突及びガスホルダーへとつながる2つに別れる。
水封槽21は、第2の領域202の下側に接続して設けられる、排ガスと大気とを集塵水によって遮断するための水槽であり、第2の領域202で排ガスに吹き付けられ、ダストを含んだ集塵水が煙道20から送られる。また、水封槽21へと送られた集塵水は、さらに図示しないシックナーへと、大気に開放された流路を経由して送られる。シックナーでは、水封槽21から送られた集塵水を槽内で滞留させることで、集塵水に含まれるダストが沈降分離される。
誘引送風機22は、第3の領域203の途中に設けられ、煙道を通じて排ガスを吸引して三方弁23へと排ガスを送る。
三方弁23は、経路が煙突側とガスホルダー側とへ分かれる、第3の領域203の分岐点に設けられる。三方弁23は、分析装置1から送信される信号を受けて、排ガスの経路を煙突側またはガスホルダー側に変更する。
分析装置1は、COガス濃度及び酸素ガス濃度をそれぞれ分析するためのレーザ式分析計であり、投光部10と、受光部11と、一対のインサーションチューブ12a,12bと、一対のパージガス供給部13a,13bと、一対のパージガス供給路14,14bと、排ガス流測定部15と、演算部16と、回収制御部17とをそれぞれ備える。
投光部10は、可変波長の半導体レーザ光照射装置が内部に設けられ、レーザ光3を受光部11へと投光する。
受光部11は、光検出器が内部に設けられ、投光部10から投光され、煙道内を透過したレーザ光3の強度を検出する。
投光部10及び受光部11は、煙道20の第3の領域203の、誘引送風機22よりも排ガスの流動方向の上流側に設けられ、互いに対向する方向が、煙道20の延在方向(図1の前後方向)に対して直交して配される。また、投光部10及び受光部11は、煙道20の外側に設けられ、投光部10から投光された複数波長のレーザ光3が煙道20に設けられたインサーションチューブ12aを通じて煙道20内を透過し、煙道20に設けられたインサーションチューブ12bを通じて煙道20を抜けて受光部11へと投光される。さらに、投光部10及び受光部11は、電気的に接続される演算部16に、レーザ光3の波長の区別と光強度の検出結果とをそれぞれ送信する。
一対のインサーションチューブ12a,12bは、レーザ光3の光路の一部を囲んで、煙道20内に配される円筒状部材である。一対のインサーションチューブ12a,12bは、投光部10及び受光部11にそれぞれ接続され、煙道20の外側に設けられた投光部10及び受光部11から、煙道20の側面を貫通するようにして、煙道20内へと延びる。また、一対のインサーションチューブ12a,12bは、煙道20の延在方向に対して直交する方向に互いに対向して設けられ、その間には所定の距離だけ隙間が形成される。一対のインサーションチューブ12a,12bの煙道20内に配される端部は、インサーションチューブの軸方向に対して直交する平坦な端面形状であってもよいが、特許文献2に開示されているように、インサーションチューブの先端を排ガスの流れ方向下流側に切欠きを設けた形状として、チューブ内へのダスト等の侵入を防止することが好ましい。また、インサーションチューブは、上述のように投光部10及び受光部11のそれぞれに接続される一対の両方が煙道内に突出するように設けられる形態が一般的だが、どちらか一方のみが煙道内に突出するような形態とすることもできる。さらに、一対のインサーションチューブを一体に構成し、管の中間の所定の区間に設けた側面の開口から排ガスを当該区間に導入して測定に供するように構成することもできる。
一対のパージガス供給部13a,13bは、パージガス4を所定の流量で一対のパージガス供給路14a,14bへとそれぞれ供給する。パージガス4は、不活性ガスであり、本実施形態では窒素ガスが用いられる。一対のパージガス供給部13a,13bは、電気的に接続されたパージガス制御部(不図示)の信号を受け、受信した信号に対応する既知の流量でパージガス4を供給するようにしてもよい。
一対のパージガス供給路14a,14bは、一対のパージガス供給部13a,13bにそれぞれ接続され、一対のパージガス供給部13a,13bから供給されるパージガス4を一対のインサーションチューブ12a,12bへとそれぞれ送る。一対のパージガス供給部13a,13bから供給されるパージガス4は、一対のパージガス供給路14a,14bを通じて、一対のインサーションチューブ12a,12bへと送られた後、一対のインサーションチューブ12a,12bの煙道20内の端面から噴出する。
排ガス流測定部15は、ガス流量またはガス流速を測定する測定装置であり、煙道20を流れる排ガスの流量または流速を測定する。図1では、煙道内に流速プローブを設置する場合を例として模式的に示しているが、排ガス流量または排ガス流速の測定方法はこれに限らず、例えば煙道の途中に設けたベンチュリー部での差圧を測定する方式などの周知の方法を用いることができる。測定部15は、電気的に接続される演算部16に、排ガスの流量の測定結果を送信する。
演算部16は、受光部11によるレーザ光3の各波長の光強度の検出結果、及び排ガス流測定部15による排ガス流量または排ガス流速の測定結果に基づいて、排ガスのガス成分濃度を分析する。ガス成分濃度の分析方法の詳細については、後述する。また、演算部16は、ガス成分濃度(CO濃度及び酸素濃度)の分析結果を回収制御部17に送信する。
回収制御部17は、第3の領域203における排ガスの流路を制御する。具体的には、回収制御部17は、三方弁23の動作を制御することで、第3の領域203を流れる排ガスが、その後に煙突またはガスホルダーのどちらかに送られるかを制御する。また、回収制御部17は、演算部16からガス成分濃度の分析結果を取得し、取得した分析結果に基づいて第3の領域203における排ガスの流路を制御する。
[ガス成分濃度の分析方法及び排ガスの回収方法]
次に、第1の実施形態に係るガス成分濃度の分析方法及び排ガスの回収方法を説明する。第1の実施形態に係る排ガスの回収方法では、転炉5で発生する排ガスを燃料ガスとして回収する。排ガスの回収は、図3に示す処理フローにしたがって行われる。なお、図3に示す処理フローは、転炉5での吹錬の開始を受けて始まる。
図3に示すように、まず、転炉5で吹錬が開始すると、発生した排ガスを大気放散する(S100)。この際、第3の領域203における排ガスの流路は、初期位置として煙突へと送られるように三方弁23が設定される。そして、吹錬により発生した排ガスは、煙道20の第1及び第2の領域201,202を通過することで、冷却及び除塵され、第3の領域203から煙突へと送られ、大気放散されて可燃条件であればさらに燃焼される。また、吹錬の開始とともに、一対のパージガス供給部13a,13bから、一対のパージガス供給路14a,14bへのパージガス4の供給が開始される。第1の実施形態では、予め設定された、排ガスが一対のインサーションチューブ12a,12bに入り込まない程度の一定の流量で、パージガス4が供給される。なお、パージガス4の供給は、吹錬が終了するまで継続して行われる。また、パージガスの流量は、インサーションチューブへのダスト等の侵入を防止するように、操業条件等に応じて変更してもよい。
ステップS100から所定時間が経過した後、排ガスのガス成分濃度の分析及び排ガスの回収制御を行う、測定ループが開始する(S102)。なお、第1の実施形態では、排ガスのCO濃度及び酸素濃度をガス成分濃度として分析する。
測定ループでは、まず、排ガス流測定部15は、排ガスの流量または流速を測定する(S104)。排ガスの流量または流速の測定結果は、演算部16へと送られる。
次いで、投光部10及び受光部11は、排ガスの吸光度を測定するために、排ガス中を透過した複数の波長のレーザ光3の光強度を測定する(S106)。ステップS106では、投光部10から受光部11へ複数の波長のレーザ光3を投光する。投光部10から投光されたレーザ光3は、排ガスが流れている煙道20内を透過し、受光部11の光検出器へと投光される。受光部11は、受光したレーザ光3の、分析対象のガス成分の吸収波長及び吸収係数の異なる他の波長でのそれぞれの光強度を測定し、測定結果を演算部16へと送信する。
さらに、演算部16は、受光部11から取得した複数の波長のレーザ光3の光強度の測定結果に基づいて吸光度を算出し、吸光度の算出結果と排ガス流測定部15から取得した排ガスの流量または流速の測定結果とを用いて排ガスのガス成分濃度を算出する(S108)。ステップS108では、はじめに、演算部16は、複数の波長の光強度の測定結果を比較することで、吸光度及び仮のガス成分濃度を算出する。吸光度は、分析対象ガス成分の吸収波長でのレーザ光3の光強度Imと異なる波長の参照レーザ光の光強度Irとの光強度比(Im/Ir)で便宜的に表すことができる(但し、両者の波長の投光する光強度が等しいとした場合)。両者の波長での分析対象ガス成分の吸収係数の差をΔε、排ガス中の光路長をLとすると、仮のガス成分濃度C1と吸光度(Im/Ir)とは下記(1)式の関係にある。従って、(1)式によって吸光度の測定結果(Im/Ir)から仮のガス成分濃度C1が算出される。
(Im/Ir)=10−Δε・C1・L ・・・(1)
次いで、演算部16は、仮のガス成分濃度C1を予め設定される排ガスの流量または流速の関数で表される補正係数を用いて補正することで、最終的な排ガスのガス成分濃度(CO濃度及び酸素濃度)を算出する。補正係数ηは、例えば排ガスの流量または流速の一次関数であり、例えば下記(2)式で示される。なお、(2)式において、Xは排ガスの流量[10Nm/h]、α及びβは定数である。
η=α×X+β ・・・(2)
なお、パージガス流量を一定としない場合には、予め用いるパージガス流量に対応する定数α及びβを求めておき、実際に用いるパージガス流量に応じて上記(2)式の定数α及びβを変更して、補正係数ηを算出するようにしてもよい。また、パージガス流量を一定としない場合には、補正係数ηを排ガスの流量とパージガスの流量の両方の関数として予め求めておき、排ガス流量の測定値とともに、パージガス流量の測定値も用いて補正係数ηを算出するようにしてもよい。
定数α及びβは、排ガス流量Xを種々変更した条件において予め求められる、ガス成分濃度分析値の比(Cref/C1)と、排ガス流量Xとの関係((Cref/C1)=α×X+β)を回帰分析することによって求められる。ここで、Crefは、排ガス流量Xを種々変更した条件において煙道から採取された排ガス試料の、ガスクロマトグラフ分析計などのレーザ式分析計よりも信頼性の高い分析方法による、ガス成分濃度の分析値である。また、C1は、この排ガス試料を採取したタイミングにおいてレーザ式分析計によって得られた仮のガス成分濃度である。
そして、最終的に算出されるガス成分濃度は、仮のガス成分濃度C1に補正係数ηを乗算することによって算出され、算出されたガス成分濃度(CO濃度及び酸素濃度)は、回収制御部17へと送信される。
補正係数ηの関数式及びその定数は、用いられるインサージョンチューブの形状や煙道での設置条件によっても異なるので、実際に用いられる煙道でのインサージョンチューブの設置条件に即して決定される必要がある。補正係数ηは、上記にように排ガス流量とパージガス流量との一次関数で近似できることが多いが、ηの関数形が必ずしもこれには限定されない。例えば、排ガス流量等の二次関数でηを近似してもよいし、排ガス流量とパージガス流量との比の値の一次関数などの関数でηを近似してもよい。これらの各関数形を用いる場合の各定数も、上記の場合と同様に用いる関数形に応じて採取したデータを整理して重回帰分析等を行うことで求められる。
また、上記の説明では、補正係数ηを仮のガス成分濃度C1に乗算して補正する場合を例として説明したが、仮のガス成分濃度C1を補正して最終的なガス成分濃度を算出する際の演算方法も必ずしもこれには限定されない。例えば、仮のガス成分濃度C1を補正係数ηで除して最終的なガス成分濃度を算出するようにしてもよい。この場合、補正係数ηを表す関数式で用いる各定数を測定データから求める際の回帰分析あるいは重回帰分析における目的変数(上記の例ではガス成分濃度分析値の比(Cref/C1)に相当する)は、補正係数ηを表す、最終的なガス成分濃度と仮のガス成分濃度C1との関係式に応じて変更される。さらに、仮のガス成分濃度C1と排ガス流量(あるいは排ガス流層)とパージガス流量とを用いる、補正係数ηを用いない他の演算式によって最終的なガス成分濃度を算出してもよい。この場合も上記に例示したのと同様に重回帰分析によって、測定データから演算式の定数を定めることができる。
ステップ108の後、回収制御部17は、取得した排ガスのCO濃度及び酸素濃度に基づいて、排ガスが回収可能か否かを判断する(S110)。ステップS110では、回収制御部17は、取得した排ガスのCO濃度及び酸素濃度が、予め設定されるそれぞれの閾値以上となるか否かを判断し、CO濃度が閾値以上となり、且つ酸素濃度が閾値未満となる場合に回収可能と判断し、CO濃度が閾値未満となるか、または酸素濃度が閾値以上となる場合に回収不可能と判断する。
ステップS108の判断において回収不可能と判断された場合、回収制御部17は、第3の領域203を流れる排ガスが煙突へと送られるように三方弁23を制御することで、排ガスの大気放散を行う(S112)。
一方、ステップS108の判断において回収可能と判断された場合、回収制御部17は、第3の領域203を流れる排ガスがガスホルダーへと送られるように三方弁23を制御することで、排ガスの回収を行う(S114)。
ステップS102の測定ループでは、例えば、上述のステップS104〜S114が、所定の時間間隔で繰り返し行われる。上記の説明では、説明を簡単にするため、ステップS104〜S114を一連の処理フローとして記述したが、必ずしも全ての処理ステップを一連の処理として実行する必要はない。例えば、処理ステップ毎に実行ループを形成させて、各実行ループに必要なタイミングでデータの受渡しを行うように構成してもよい。そして、転炉5での吹錬が終了すると、割り込み処理によって測定ループが終了する(S116)。さらに、測定ループが終了することで、排ガスの回収処理の処理フローが終了する。
<第2の実施形態>
[ガス成分濃度の分析装置及び排ガスの回収設備]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施形態に係る、ガス成分濃度の分析装置1及び排ガスの回収設備2の構成について説明する。
回収設備2は、図2に示す第1の実施形態と同様である。
分析装置1は、レーザ式分析計であり、投光部10と、受光部11と、一対のインサーションチューブ12a,12bと、一対のパージガス供給部13a,13bと、一対のパージガス供給路14,14bと、排ガス流測定部15と、演算部16と、回収制御部17と、パージガス制御部18とを備える。
投光部10、受光部11、一対のインサーションチューブ12a,12b、一対のパージガス供給路14,14b及び回収制御部17の構成は、第1の実施形態と同じである。
一対のパージガス供給部13a,13bは、第1の実施形態と同様であるが、さらにパージガス制御部18に電気的に接続され、パージガス制御部18の信号を受けて、パージガス4の流量を調整する。
排ガス流測定部15は、第1の実施形態と同様であるが、演算部16ではなくパージガス制御部18に電気的に接続され、排ガスの流量または流速の測定結果をパージガス制御部18に送信する。
演算部16は、受光部11によるレーザ光3の検出結果に基づいて、排ガスのガス成分濃度を分析する。ガス成分濃度の分析方法の詳細については、後述する。また、演算部16は、ガス成分濃度の分析結果を回収制御部17に送信する。
パージガス制御部18は、排ガス流測定部15による排ガスの流量または流速の測定結果に基づいてパージガス4の流量を算出し、算出した流量となるように一対のパージガス供給部13a,13bを制御する。
[ガス成分濃度の分析方法及び排ガスの回収方法]
次に、第2の実施形態に係るガス成分濃度の分析方法及び排ガスの回収方法を説明する。第2の実施形態に係る排ガスの回収方法では、第1の実施形態と同様に、転炉5で発生する排ガスを燃料ガスとして回収する。排ガスの回収は、図5に示す処理フローにしたがって行われる。なお、図5に示す処理フローは、第1の実施形態と同様に転炉5での吹錬の開始を受けて始まる。
図5に示すように、まず、転炉5で吹錬が開始すると、発生した排ガスを大気放散する(S200)。ステップS200の処理は、第1の実施形態におけるステップS100と同じである。
ステップS200が開始すると同時に、排ガスのガス成分濃度の分析及び排ガスの回収制御を行う、測定ループが開始する(S202)。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、排ガスのCO濃度及び酸素濃度をガス成分濃度として分析する。
測定ループでは、まず、排ガス流測定部15は、第1の実施形態のステップS104と同様に、排ガスの流量または流速を測定する(S204)。排ガスの流量または流速の測定結果は、パージガス制御部18とへ送られる。
次いで、パージガス制御部18は、取得した排ガスの流量または流速の測定結果から、パージガス4の流量を算出し、算出される流量でパージガス4を一対のパージガス供給部13a,13bから流すよう制御信号を発信する(S206)。パージガス制御部18は、排ガスの流量または流速が大きくなるほどパージガス4の流量が多くなるように、予め設定される関数に基づいてパージガス4の流量を算出する。そして、パージガス制御部18は、パージガス4の流量が算出されるものとなるように、一対のパージガス供給部13a,13bを制御する。つまり、測定ループでは、ステップS206が繰り返し行われる度に、パージガス4の流量の調整が行われる。
なお、以下の説明では、説明を簡略化するため、ステップS204及びS206からなるパージガス流量の制御フローと、これに続くステップからなる排ガスのガス成分濃度の測定フロー及び排ガス回収の制御フローを、測定ループを構成する一連のフローとして実施する形態を例として説明しているが、これらの制御フロー及び測定フローを一連の処理フローとする必要はなく、それぞれの制御フロー或いは測定フロー毎に実行ループを形成するように構成することがむしろ一般的である。何れの実施形態においても、パージガス4の供給及び制御は、吹錬が開始してから終了するまで継続して行われる。
第2の実施形態のステップS206では、第1の実施形態と異なり、排ガスの流量或いは流速の変動によるガス成分濃度の分析結果の誤差を打ち消すように、例えば、下記(3)式で示される関数を用いてパージガス4の流量の設定値が算出され、パージガス4の流量が自動的に調整される。なお、(3)式において、Yはパージガスの流量の設定値[L/min]、Xは排ガスの流量[10Nm/h]、α及びβは実施例の説明で後述するような方法で設定される定数である。
=α×X+β ・・・(3)
排ガス流測定部15で測定されるのが排ガス流速である場合は、(3)式の排ガス流量Xに代えて排ガス流速を変数とする関数式によってパージガス流量が算出される。上記(3)式に例示される、パージガス流量の設定値Yを導出するための排ガス流量Xまたは排ガス流速を変数とする関数式は、必ずしも(3)式のような1次関数には限定さない。両者の関係を表わすのに適していれば、2次関数の他、例えば、指数関数などの他の一般的なものも含む関数形を単独で、または加算や乗算によって組み合せて用いることができる。
この際、各関数形で用いる、上記(3)式におけるα及びβに例示されるような各定数は、実施例の説明で後述する方法と同様に、以下のようにして求めることができる。即ち、実際にガス成分濃度の分析に用いる装置及び操業条件において、パージガス流量を種々変更して、同一パージガス流量条件における排ガス流量または排ガス流速とガス成分濃度の分析値の誤差(他の信頼性の高い分析方法による分析値からの偏差)との関係を求め、各パージガス流量Yにおいてガス成分濃度の分析値の誤差が0となる排ガス流量Xまたは排ガス流速を求める。このようにして求めたパージガス流量Yとガス成分濃度の分析値の誤差が0となる排ガス流量Xまたは排ガス流速との関係を、上記(3)式に例示されるような関数形に当てはめて回帰分析や重回帰分析を行うことにより、各関数形で用いる各定数を求めることができる。
次いで、投光部10及び受光部11は、排ガスの吸光度を測定するために、排ガス中を透過した複数の波長のレーザ光3の光強度を測定する(S208)。ステップS208は、第1の実施形態のステップS106と同じである。
その後、演算部16は、第1の実施形態と同様に、受光部11から取得した複数の波長のレーザ光3の光強度の測定結果に基づいて吸光度を算出し、吸光度の算出結果から排ガスのガス成分濃度を算出する(S210)。第2の実施形態のステップS210は、第1の実施形態と異なり、ガス成分濃度の算出にあたり、排ガスの流速の測定結果及びパージガス4の流量の測定結果を用いない。つまり、第2の実施形態のステップS210では、第1の実施形態における仮のガス成分濃度の算出方法と同様にして、ガス成分濃度が算出され、算出されたガス成分濃度が最終的なガス成分濃度となる。
その後、算出されたガス成分濃度は、回収制御部17へと送信される。
第2の実施形態のステップS210では、排ガスの流量或いは流速の変動によるガス成分濃度の分析結果の誤差を打ち消すように、パージガス4の流量を排ガスの流量或いは流速に応じて調整するので、精度よくガス成分濃度を算出することができる。ここで、レーザ式分析計においてパージガスは、排ガスやダストがインサーションチューブ内に入り込むことを防ぐことを目的に用いられる。このため、排ガスの流量が少ない場合には、パージガスの流量を少なくしてもよく、排ガスの流量に応じてパージガスの流量を変化させることで、パージガスの使用量を抑えることができる。即ち、第2の実施形態によれば、排ガスのガス成分濃度を分析精度の向上と、パージガスの使用コストを低減することができる。
ステップ210の後、第1の実施形態のステップS110と同様に、回収制御部17は、取得した排ガスのCO濃度に基づいて、排ガスが回収可能か否かを判断する(S212)。
ステップS212の判断において回収不可能と判断された場合、第1の実施形態のステップS112と同様に、回収制御部17は、第3の領域203を流れる排ガスが煙突へと送られるように三方弁23を制御することで、排ガスの大気放散を行う(S214)。
一方、ステップS212の判断において回収可能と判断された場合、第1の実施形態のステップS114と同様に、回収制御部17は、第3の領域203を流れる排ガスがガスホルダーへと送られるように三方弁23を制御することで、排ガスの回収を行う(S216)。
ステップS202の測定ループでは、例えば、第1実施形態のステップS102と同様に、上述のステップS204〜S216が、所定の時間間隔で繰り返し行われる。上記の説明では、説明を簡単にするため、ステップS204〜S216を一連の処理フローとして記述したが、必ずしも全ての処理ステップを一連の処理として実行する必要はなく、各処理ステップ毎に実行ループを形成させて、各実行ループに必要なタイミングでデータの受渡しを行うように構成してもよい。そして、転炉5での吹錬が終了すると、割り込み処理によって測定ループが終了する(S218)。さらに、測定ループが終了することで、排ガスの回収処理の処理フローが終了する。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、第1の実施形態では、ステップS108にて、算出される補正係数と仮のガス成分濃度とから最終的なガス成分濃度を算出するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ステップS108のガス成分濃度を算出する際に、ガス成分濃度の算出に用いられる光路長を補正することで、最終的なガス成分濃度を算出するようにしてもよい。この場合、ステップS108では、排ガスの流量に応じて補正した光路長を用いて仮のガス成分濃度と同様にガス成分濃度を算出することで、最終的なガス成分濃度とすることができる。排ガスの流量の変動によるガス成分濃度の測定誤差は、排ガスの流量の変動によって、光路長が実質的に変化することに起因する。この際、実質的な光路長の変化量は、排ガスの流量及びパージガス流量の関数であり、パージガス流量を一定とした場合には、光路長の補正には、例えば、排ガスの流量の一次関数で示される補正関数が加算されるなどして用いられる。Xを排ガスの流量[10Nm/h]とし、通常は光路長として用いられる、一対のインサージョンチューブの先端間の間隔をLとすると、補正後の光路長Lは、例えば定数α、βを用いて下記(4)式で表される。
L=L+α×X+β ・・・(4)
ここで、定数α、βは、上記した第1の実施形態における(2)式の定数と同様にして、排ガス流量及びガス成分濃度の各分析結果から回帰分析等で求めることができ、用いるインサージョンチューブの形状によって異なるので、実際に用いるインサージョンチューブの設置条件及びパージガス流量に即して決定する必要がある。
ある吸光度に対して、光路長Lを用いて上記(1)式から算出される仮のガス成分濃度をCとすると、補正後の光路長Lを用いて算出されるガス成分濃度C’は下記(5)式のように表される。
C’=C×L/(L+α×X+β) ・・・(5)
従って、この場合も、仮のガス成分濃度Cに排ガス流量Xの有利関数である係数を乗算して補正していると見なすこともできる。
また、パージガス流量も変数とする場合には、例えば、排ガスの流量とパージガス流量との一次関数で示される補正関数を加算したり、排ガスの流量とパージガス流量との比の値の一次関数で示される補正関数を加算したりして光路長の補正を行う。
さらに、第1の実施形態では、パージガス4として窒素を用いるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。パージガス4は、不活性ガスであればよく、例えばアルゴンなどの他の成分組成であってもよい。
さらに、第1の実施形態では、回収制御部17が分析装置1に設けられるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、第3の領域203における排ガスの流路を調整する回収制御部17は、転炉5の分析装置1とは別の制御設備等の装置に設けられてもよい。
さらに、本発明に係る排ガスの回収設備では、特許文献1のように、炉頂酸素分析計及び炉頂CO分析をさらに設けてもよい。この場合、排ガスが回収可能か否かを判断する際には、分析装置1での分析結果に加えて、炉頂酸素分析計及び炉頂CO分析による分析結果がそれぞれ所定の条件を満たす場合に、燃料ガスとして回収可能と判断する構成であってもよい。
さらに、第1及び第2の実施形態では、分析装置1はガス成分濃度として排ガスのCO濃度及び酸素濃度を分析するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。分析装置1は、CO濃度及び酸素濃度に加えて、排ガス中の他のガス成分の濃度を分析してもよい。また、レーザ式ガス分析計を用いてCO濃度及び酸素濃度を分析する際に、何れか1つのみのガス成分の分析について本発明を適用し、排ガスの流量または流速の測定結果を用いてガス成分濃度を算出したりパージガス流量を調整したりするようにしてもよい。この場合、本発明を適用して分析するガス成分としては、安全にガス回収効率を向上するうえでより効果的なガス成分を選択することが望ましい。また、この場合、安全にガス回収率を向上させるためには、分析をより高い精度で行うことが好ましい。
さらに、第1の実施形態では、排ガスの流量または流速に対してガス成分濃度の補正係数が直線的に変化する場合について例示し、第2の実施形態では、排ガスの流量または流速に対してパージガス4の流量が直線的に変化する場合、即ち、直線で近似できる場合について例示したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、1対のインサーションチューブ12a,12bの端部の形状や煙道20の形状等の条件が異なる場合には、上記の関係が直線的にならない可能性がある。このため、一次関数ではなく、指数関数や2次関数等の他の関数が単独または組み合わせて用いられてもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係るガス成分濃度の分析方法は、転炉5で発生し、除塵された煙道20内の排ガスにレーザ光を透過させて、排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析方法であって、排ガスの流量または流速を測定し、レーザ光3の光路の一部を囲んで煙道20内に配されたインサーションチューブ12a,12b内に不活性ガスをパージガス4として流した状態で、煙道20内にレーザ光3を透過させ、透過させたレーザ光3の吸光度を測定し、排ガスの流量または流速の測定結果と、吸光度の測定結果とに基づいて、ガス成分濃度を算出する。
上記(1)の構成によれば、煙道20内を通る排ガスの流量が変化した場合においても、排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができる。
(2)上記(1)の構成において、ガス成分濃度を算出する際に、吸光度の波長特性から算出される仮のガス成分濃度を、排ガスの流量または流速の測定結果を用いて補正することで、排ガスのガス成分濃度を算出する。
上記(2)の構成によれば、汎用のレーザ式ガス分析計の出力である仮のガス成分濃度を用いて簡便に補正することで、排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができる。
(3)上記(2)の構成において、仮のガス成分濃度を補正する際に、パージガス4の流量をさらに用いる。
上記(3)の構成によれば、パージガスを可変にしても、排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができる。このため、パージガスの使用コストを低減することができる。
(4)上記(1)の構成において、ガス成分濃度を算出する際に、排ガスの流量または流速の測定結果を用いてレーザ光3の光路長を補正し、補正された光路長を用いて、吸光度の波長特性からガス成分濃度を算出する。
上記(4)の構成によれば、排ガスの流量の変動に伴う、実質的な光路長の変化に応じて、排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができる。
(5)上記(4)の構成において、光路長を補正する際に、パージガス4の流量をさらに用いる。
上記(5)の構成によれば、上記(3)の構成と同様な効果を得ることができる。
(6)本発明の一態様に係るガス成分濃度の分析方法は、転炉5で発生し、除塵された煙道20内の排ガスにレーザ光3を透過させて、排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析方法であって、排ガスの流量または流速を測定し、レーザ光3の光路の一部を囲んで煙道内に配されたインサーションチューブ12a,12b内に不活性ガスをパージガス4として流した状態で、煙道20内にレーザ光3を透過させ、透過させたレーザ光3の吸光度を測定し、吸光度の測定結果に基づいて、ガス成分濃度を算出し、吸光度を測定する際に、排ガスの流量または流速の測定結果に基づいて、排ガスの流量または流速の変動によるガス成分濃度の測定結果の誤差を打ち消すように、パージガス4の流量を調整する。
上記(6)の構成によれば、煙道20内を通る排ガスの流量が変化した場合においても、排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができる。また、ガス成分濃度の誤差の補正がパージガス4の調整によって行われるため、従来と同様な方法でガス成分濃度を算出することができる。このため、既存の設備においても適用が容易となる。
(7)本発明の一態様に係る排ガスの回収方法は、転炉5で発生した排ガスを、ガス成分濃度に応じて、大気放散するか、燃料ガスとして回収する排ガスの回収方法であって、転炉5で吹錬を開始するときに発生した排ガスを大気放散し、転炉5での吹錬中に、排ガスのガス成分濃度を、上記(1)〜(6)のいずれかの構成のガス成分濃度の分析方法を用いて分析し、ガス成分濃度の分析結果から、排ガスが回収可能と判断された場合に、排ガスを燃料ガスとして回収する。
上記(7)の構成によれば、煙道20内を通る排ガスの流量が変化した場合においても、排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができる。このため、排ガスの回収効率を向上させることができる。
(8)本発明の一態様に係るガス成分濃度の分析装置1は、転炉5で発生し、除塵された煙道20内の排ガスにレーザ光3を透過させて、排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析装置1であって、排ガスの流量または流速を測定する測定部15と、レーザ光3の光路の一部を囲んで煙道20内に配されたインサーションチューブ12a,12bと、インサーションチューブ12a,12b内に不活性ガスをパージガス4として流すパージガス供給部13a,13bと、レーザ光3を投光することで、煙道20内にレーザ光を透過させる投光部10と、投光されたレーザ光3を受光することで、煙道20内を透過したレーザ光3の吸光度を測定する受光部11と、測定部15による排ガスの流量または流速の測定結果と、受光部11による吸光度の測定結果とに基づいて、ガス成分濃度を算出する演算部16とを備える。
上記(8)の構成によれば、上記(1)の構成と同様な効果を得ることができる。
(9)本発明の一態様に係るガス成分濃度の分析装置1は、転炉5で発生し、除塵された煙道20内の排ガスにレーザ光3を透過させて、排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析装置1であって、排ガスの流量または流速を測定する測定部15と、レーザ光3の光路の一部を囲んで煙道20内に配されたインサーションチューブ12a,12bと、インサーションチューブ12a,12b内に不活性ガスをパージガス4として流すパージガス供給部13a,13bと、レーザ光3を投光することで、煙道20内にレーザ光3を透過させる投光部10と、投光されたレーザ光3を受光することで、煙道20を透過したレーザ光3の吸光度を測定する受光部11と、受光部11による吸光度の測定結果から、ガス成分濃度を算出する演算部16と、測定部15による排ガスの流量または流速の測定結果に基づいて、排ガスの流量または流速の変動による演算部16が算出するガス成分濃度の分析結果の誤差を打ち消すように、パージガス4の流量を調整するパージガス制御部18と、を備える。
上記(9)の構成によれば、上記(6)の構成と同様な効果を得ることができる。
(10)本発明の一態様に係る排ガスの回収設備2は、転炉5で発生し、除塵された排ガスを、ガス成分濃度に応じて、大気放散するか、燃料ガスとしてガスホルダーに回収する排ガスの回収設備2であって、排ガスが流れ、煙突及びガスホルダーに接続される煙道20と、煙道20に設けられ、排ガスのガス成分濃度を分析する上記(8)または(9)の構成のガス成分濃度の分析装置1と、ガス成分濃度の分析結果から、排ガスが回収可能と判断された場合に、排ガスがガスホルダーへ送られるように排ガスの流路を調整し、排ガスが回収不可能と判断された場合に、排ガスが煙突へ送られるように流路を調整する回収制御部17と、を備える。
上記(10)の構成によれば、上記(7)と同様な効果を得ることができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、容量300tの転炉の排ガス回収設備に設けられた、第2の実施形態と同様な分析装置1を用いて排ガスのガス成分濃度の分析を行った。
実施例では、一対のインサーションチューブ12a,12bの煙道20内の端部を、図6の変形例に示す切欠きを設けた形状とした。また、その他の条件については、下記の通りとした。
煙道の内径:4m
インサーションチューブの径:40A(外径48.6mm)
インサーションチューブ同士の先端の間隔:0.6m
インサーションチューブの切欠き部の排ガスの流れ方向の長さ:16.2mm
インサーションチューブの切欠き部の軸方向の長さ:97.2mm
実施例では、排ガスのガス成分濃度の分析に先立ち、パージガス4である窒素の流量が一定の条件において、排ガスの流量の変動によるガス成分濃度の測定への影響について確認した。吹錬中の排ガス流量は、50〜170×10Nm/hの範囲で変化し、特に吹錬の末期に顕著に低くなる傾向にある。なお、煙道20やインサーションチューブ12a,12bの構成は、上述の実施例と同じ条件とした。図7に、各インサーションチューブに80L/minの一定流量の窒素をそれぞれ流した状態での、排ガスの流量とレーザー式分析計と他の分析計によるCO濃度差との関係を示す。図7において、横軸は測定部15で測定される、第3の領域203を流れる排ガスの流量であり、縦軸のCO濃度差はレーザ式分析計で測定される仮のCO濃度からCO濃度の参照値(測定精度の高い赤外線吸収式分析計等により分析されるCO濃度)を差し引いた偏差の値である。
赤外線吸収式分析計によるCO濃度の参照値は、集塵水による除塵後の排ガスを煙道から連続的に吸引して、赤外線吸収式分析計で連続的に分析した値であり、試料ガスの吸引および赤外線吸収式分析計の応答に要する時間遅れを補正して、レーザ式分析計の分析値と対照し、両者の差を求めた。この際、赤外線吸収式分析計によるCO濃度の参照値は60〜75体積%の範囲であった。
図7に示すように、排ガスの流量に対して、CO濃度差は略直線的な相関関係にあることが分かる。つまり、第1の実施形態のように、測定される仮のCO濃度に対して、図7に示すCO濃度差がなくなるよう、(2)式に示す排ガス流量の一次関数で表される補正係数を乗算して補正を行うことにより、CO濃度参照値に近いCO濃度を算出することができることが確認された。
赤外線吸収式分析計はレーザ式分析計と比較して応答速度に劣るため、CO濃度の変化速度が大きい場合に両者の分析値を比較すると、差が大きく出る傾向にある。そこで、各吹錬時の各排ガス分析値の推移及び排ガス流量の推移を参照して、これらの変動が何れも少ない1分間〜数分間の区間を選択し、各区間におけるそれぞれの値を平均化してばらつきの少ないデータを得た結果を図8に示した。図8における横軸及び縦軸は、図7のグラフと同じであり、図8の1つのプロットが1つの吹錬中の1つの区間のデータに相当する。また、図8に示したデータの赤外線吸収式分析計によるCO濃度参照値の平均値は60〜75体積%の範囲であり、1つの区間での変動幅は5体積%以下とした。図8のパージ用Nガス流量が80Nl/minのプロットは、図7に示したプロットと同じ吹錬のデータに基づいている。なお、第1の実施形態における(2)式の定数α,βは、CO濃度参照値が一定であれば、図8に示すような排ガスの流量及びCO濃度差の実績値の回帰直線から求めることができる。
次に、本発明者らは、排ガスのガス成分濃度の分析に先立ち、パージガス4の流量を変動させてガス成分濃度を分析することで、パージガス4の流量が分析値に及ぼす影響を確認した。なお、煙道20やインサーションチューブ12a,12bの構成は、上述の実施例と同じ条件とした。図8に、異なるパージガス(窒素)の流量毎の、排ガスの流量とCO濃度差との関係を、上記のパージ用Nガス流量が80Nl/minの場合と同様にして求めた結果を示す。図8における直線は窒素の流量毎のプロットにおける回帰直線であり、排ガス流量に対する傾きは、何れのパージガス流量においてもほぼ等しかったので、パージガス流量に拠らず一定として回帰分析により求めた。図8に示すように、パージガスの流量が変化することで、排ガスの流量とCO濃度差との関係も変化することが分かる。
さらに、(3)式における定数α,βを算出するため、図8に示す回帰直線から、各パージガス4の流量に対してCO濃度差が0体積%となる排ガスの流量を算出した。図9に、図8の回帰直線から得られる、CO濃度差が0体積%となる排ガスの流量とパージガス4の流量との関係を示すプロットと、その回帰直線を示す。図9に示すように、CO濃度差が0体積%となるパージガス4の流量は、排ガスの流量に対して直線的に変化することが確認できた。そして、この結果から、(3)式における定数α,βを算出したところ、α=0.77、β=0.099となった。
そして、実施例では、算出された定数α,βを用いて、第2の実施形態と同様に排ガスのガス成分濃度の分析を行った。また、実施例では、比較例として、従来の分析方法と同様に、パージガス4の流量が80L/minと一定の条件で、第1の実施形態の仮のガス成分濃度の分析方法と同様にして、インサーションチューブ同士の先端の間隔を光路長としてCO濃度を分析した。
分析精度は煙道から採取した排ガス試料のガス成分濃度をガスクロマトグラフで分析した結果を参照値として評価した。排ガス試料は、煙道の分析装置1付近の上流側に設けた吸引管から、吹錬中に1分毎に1回当り約10秒間で吸引して採取し、採取タイミングでのレーザ式分析計による排ガス分析値を、採取した排ガス試料のガスクロマトグラフによる分析値を参照値として比較した。従って、この場合には上記の赤外線分析計の分析値を参照値とする場合と異なり、分析の応答が遅れる問題は生じない。
比較例において、分析されたCO濃度とCO濃度参照値との差についてバラツキ(差の自乗平均値の平方根σ)を調査した結果、バラツキがσ=5.5体積%となることを確認した。一方、実施例において分析されたCO濃度とCO濃度参照値との差についてバラツキを調査した結果、バラツキがσ<1体積%となり、第2の実施形態に係るガス成分濃度の分析方法よれば、排ガスの流量が変化した場合でも、排ガスのガス成分濃度を精度よく測定することができることが確認された。
以上の説明ではレーザ分析計の分析対象をCOガスとする場合について説明したが、排ガス流量及びパージガス流量が分析値に及ぼす影響は、排ガス酸素濃度を分析対象とする場合でも同様にして評価することができる。この場合においても、COガスの場合と同様に、排ガス流量の測定値に基づく分析値の補正や、排ガス流量の測定値に基づくパージガス流量の調整によって分析精度が向上することが確認された。ただし、吹錬中の排ガス中酸素濃度は一般に非常に低いので、吹錬中の排ガス流量の変動に基づいて分析値への直接的な影響を評価することは難しく、大気の吸引流量の変動に基づいて分析値への影響を評価したり、同じ装置における吹錬中の他のガス成分濃度への影響に基づいて推定したりすることで、これに代えることができる。
1 分析装置
10 投光部
11 受光部
12a,12b インサーションチューブ
13a,13b パージガス供給部
14a,14b パージガス供給路
15 排ガス流測定部
16 演算部
17 回収制御部
18 パージガス制御部
2 排ガス回収設備
20 煙道
201 第1の領域
202 第2の領域
203 第3の領域
21 水封槽
22 誘引送風機
23 三方弁
3 レーザ光
4 パージガス
5 転炉
50 炉体
51 メインランス

Claims (10)

  1. 転炉で発生し、除塵された煙道内の排ガスにレーザ光を透過させて、前記排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析方法であって、
    前記排ガスの流量または流速を測定し、
    前記レーザ光の光路の一部を囲んで前記煙道内に配されたインサーションチューブ内に不活性ガスをパージガスとして流した状態で、前記煙道内に前記レーザ光を透過させ、透過させた前記レーザ光の吸光度を測定し、
    前記排ガスの流量または流速の測定結果と、前記吸光度の測定結果とに基づいて、前記ガス成分濃度を算出することを特徴とするガス成分濃度の分析方法。
  2. 前記ガス成分濃度を算出する際に、前記吸光度の波長特性から算出される仮のガス成分濃度を、前記排ガスの流量または流速の測定結果を用いて補正することで、前記排ガスのガス成分濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載のガス成分濃度の分析方法。
  3. 前記仮のガス成分濃度を補正する際に、前記パージガスの流量をさらに用いることを特徴とする請求項2に記載のガス成分濃度の分析方法。
  4. 前記ガス成分濃度を算出する際に、前記排ガスの流量または流速の測定結果を用いて前記レーザ光の光路長を補正し、補正された光路長を用いて、前記吸光度の波長特性から前記ガス成分濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載のガス成分濃度の分析方法。
  5. 前記光路長を補正する際に、前記パージガスの流量をさらに用いることを特徴とする請求項4に記載のガス成分濃度の分析方法。
  6. 転炉で発生し、除塵された煙道内の排ガスにレーザ光を透過させて、前記排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析方法であって、
    前記排ガスの流量または流速を測定し、
    前記レーザ光の光路の一部を囲んで前記煙道内に配されたインサーションチューブ内に不活性ガスをパージガスとして流した状態で、前記煙道内に前記レーザ光を透過させ、透過させた前記レーザ光の吸光度を測定し、
    前記吸光度の測定結果に基づいて、前記ガス成分濃度を算出し、
    前記吸光度を測定する際に、前記排ガスの流量または流速の測定結果に基づいて、前記排ガスの流量または流速の変動による前記ガス成分濃度の分析結果の誤差を打ち消すように、前記パージガスの流量を調整することを特徴とするガス成分濃度の分析方法。
  7. 転炉で発生した排ガスを、ガス成分濃度に応じて、大気放散するか、燃料ガスとして回収する排ガスの回収方法であって、
    前記転炉で吹錬を開始するときに発生した前記排ガスを大気放散し、
    前記転炉での吹錬中に、前記排ガスのガス成分濃度を、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス成分濃度の分析方法を用いて分析し、
    前記ガス成分濃度の分析結果から、前記排ガスが回収可能と判断された場合に、前記排ガスを前記燃料ガスとして回収することを特徴とする排ガスの回収方法。
  8. 転炉で発生し、除塵された煙道内の排ガスにレーザ光を透過させて、前記排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析装置であって、
    前記排ガスの流量または流速を測定する測定部と、
    前記レーザ光の光路の一部を囲んで前記煙道内に配されたインサーションチューブと、
    該インサーションチューブ内に不活性ガスをパージガスとして流すパージガス供給部と、
    前記レーザ光を投光することで、前記煙道内に前記レーザ光を透過させる投光部と、
    投光された前記レーザ光を受光することで、前記煙道内を透過した前記レーザ光の吸光度を測定する受光部と、
    前記測定部による前記排ガスの流量または流速の測定結果と、前記受光部による前記吸光度の測定結果とに基づいて、前記ガス成分濃度を算出する演算部と
    を備えることを特徴とするガス成分濃度の分析装置。
  9. 転炉で発生し、除塵された煙道内の排ガスにレーザ光を透過させて、前記排ガスのガス成分濃度を分析する、ガス成分濃度の分析装置であって、
    前記排ガスの流量または流速を測定する測定部と、
    前記レーザ光の光路の一部を囲んで前記煙道内に配されたインサーションチューブと、
    該インサーションチューブ内に不活性ガスをパージガスとして流すパージガス供給部と、
    前記レーザ光を投光することで、前記煙道内に前記レーザ光を透過させる投光部と、
    投光された前記レーザ光を受光することで、前記煙道内を透過した前記レーザ光の吸光度を測定する受光部と、
    前記受光部による前記吸光度の測定結果から、前記ガス成分濃度を算出する演算部と、
    前記測定部による前記排ガスの流量または流速の測定結果に基づいて、前記排ガスの流量または流速の変動による前記演算部が算出する前記ガス成分濃度の分析結果の誤差を打ち消すように、前記パージガスの流量を調整するパージガス制御部と、
    を備えることを特徴とするガス成分濃度の分析装置。
  10. 転炉で発生し、除塵された排ガスを、ガス成分濃度に応じて、大気放散するか、燃料ガスとしてガスホルダーに回収する排ガスの回収設備であって、
    前記排ガスが流れ、煙突及びガスホルダーに接続される煙道と、
    該煙道に設けられ、前記排ガスのガス成分濃度を分析する請求項8または9に記載のガス成分濃度の分析装置と、
    前記ガス成分濃度の分析結果から、前記排ガスが回収可能と判断された場合に、前記排ガスが前記ガスホルダーへ送られるように前記排ガスの流路を調整し、排ガスが回収不可能と判断された場合に、前記排ガスが前記煙突へ送られるように前記流路を調整する回収制御部と、
    を備えることを特徴とする排ガスの回収設備。
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