JP2018089557A - 微粒子分離デバイスおよび微粒子の分離方法 - Google Patents

微粒子分離デバイスおよび微粒子の分離方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018089557A
JP2018089557A JP2016233582A JP2016233582A JP2018089557A JP 2018089557 A JP2018089557 A JP 2018089557A JP 2016233582 A JP2016233582 A JP 2016233582A JP 2016233582 A JP2016233582 A JP 2016233582A JP 2018089557 A JP2018089557 A JP 2018089557A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
separation
fine particle
fine
channel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016233582A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6923181B2 (ja
Inventor
西迫 貴志
Takashi Nishisako
貴志 西迫
直友 鳥取
Naotomo Tottori
直友 鳥取
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Institute of Technology NUC
Original Assignee
Tokyo Institute of Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Institute of Technology NUC filed Critical Tokyo Institute of Technology NUC
Priority to JP2016233582A priority Critical patent/JP6923181B2/ja
Publication of JP2018089557A publication Critical patent/JP2018089557A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6923181B2 publication Critical patent/JP6923181B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Separation Of Solids By Using Liquids Or Pneumatic Power (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】微粒子分離デバイスおよびそれを用いる微粒子の分離方法の提供。【解決手段】微粒子の分散された液体を流入させて,該微粒子をその特性にしたがって分離するための微粒子分離デバイスであり、微粒子の流入口および流出口、微粒子フォーカス用マイクロ流路ならびに微粒子分離用マイクロ流路からなり;該微粒子分離用マイクロ流路は、配列された支柱間の隙間で形成され、該微粒子分離用マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離するように構成されてなり;該微粒子フォーカス用マイクロ流路は,該微粒子分離用マイクロ流路の前段に導入路として設けられ、導入された液体中の微粒子を,慣性力により,流れに沿った線状に局所的に配列させるように構成されてなり、該微粒子分離用マイクロ流路の単一または複数の特定部位に微粒子が集中して配列された状態で流入するように構成されてなる;微粒子分離デバイス。【選択図】図2

Description

本発明は、微粒子分離デバイスおよび微粒子の分離方法に関する。
微粒子分離は、医療・生化学分野、生産分野などで幅広く必要とされている。例えば、生物学研究や診断医療、再生医療では、ある細胞集団から特定の細胞(癌細胞、血球、生細胞など)のみを分離、回収することが求められる。現在、こうした生体粒子の分離には遠心分離法、濾過法、蛍光活性化細胞分離法(FACS)、磁気細胞分離法(MACS)などが用いられている。しかしながら、遠心分離法は精度が低く、濾過法では目詰りが生じる難点がある。また、FACS、MACSでは蛍光や磁気ビーズによる標識が必要であり、複雑な前処理が求められ、装置も大型かつ高価である。
これらの課題の解決手段の一つとして近年、マイクロ流路デバイスによる微粒子分離手法(非特許文献1)が報告されており、分離手法は以下の2種類に大別される。
(1)能動的粒子分離手法:分離の際に、電場・音場・磁場などの外部エネルギーを必要とする手法
(2)受動的粒子分離手法:分離の際に、水力学的作用のみを用いる手法
能動的粒子分離手法の場合、外部エネルギーを用いることでシステムが複雑化するため、受動的分離手法にて高い分離性能を実現することが望まれる。近年,受動的分離手法の一つとして、deterministic lateral displacement (DLD)法による微粒子分離事例が報告されている(非特許文献2〜4)。DLDは流路に配列する支柱によって流体に生じる流れを利用した粒子分離法であり、DLD流路内において粒子の大きさ、形状、硬さなどの粒子特性に従って異なる軌道を取るため(図9)、こうした微粒子の特性に基づき簡便に粒子を分離できる。本手法を用いて、10 nmの高分離分解能や,10 mL/min高処理量の粒子分離を実現した事例(非特許文献3)も報告されている。
一方、DLDによる微粒子分離には、微粒子懸濁溶液をDLD流路に導入する際、特定の位置から微粒子を流入させるために,微粒子が懸濁されていない溶液(バッファ)を用い,両脇から微粒子懸濁溶液を挟み込むシースフロー型の流路構造(図10)、あるいはバッファの流れと流路壁面の間に微粒子懸濁溶液を挟み込む流路構造(非特許文献4)が必要とされてきた。従来、こうした流路構造がない場合、微粒子がDLD流路全域に幅広く分散してしまうので(図11)、DLDによる微粒子分離はできなかった。しかしながら、こうした流路構造を用いる場合、バッファによる分析試料の希釈、送液口の増加に伴う操作性の低下、デバイス構造の複雑化等の課題がある。
D. R. Gossett et al., Anal. Bioanal. Chem., 397, 3249-3267, 2010 L. R. Hung et al., Science, 304, 987-990, 2004. J. McGrath et al., Lab Chip, 14, 4139-4158, 2014. N. Tottori et al., Biomicrofluidics, 10, 0414125, 2016
本発明は、このような課題を解決し、バッファを用いた微粒子懸濁溶液の挟み込みのための流路構造を用いない、微粒子懸濁試料流入用の送液流路のみを導入路として有する微粒子分離デバイスおよびそれを用いる微粒子の分離方法を提供するものである。
本発明は上記の問題を解決するために、以下の発明を提供するものである。
(1)微粒子の分散された液体を流入させて,該微粒子をその特性にしたがって分離するための微粒子分離デバイスであり、
微粒子の流入口および流出口、微粒子フォーカス用マイクロ流路ならびに微粒子分離用マイクロ流路からなり;
該微粒子分離用マイクロ流路は、配列された支柱間の隙間で形成され、該微粒子分離用マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離するように構成されてなり;ならびに
該微粒子フォーカス用マイクロ流路は,該微粒子分離用マイクロ流路の前段に導入路として設けられ、
流入口から導入された液体中の微粒子を,慣性力により,単一流路中の流れに沿った単一または複数本の線状に局所的に配列させるように構成されてなり、
該微粒子分離用マイクロ流路の単一または複数の特定部位に微粒子が集中して配列された状態で流入するように構成されてなる;ことを特徴とする微粒子分離デバイス。
(2)微粒子をその大きさ、形状または硬さに基づき分離する上記(1)に記載の微粒子分離デバイス。
(3)微粒子フォーカス用マイクロ流路において、流れに沿った単一本、2本または3本の線状に微粒子が慣性力によりフォーカスされる上記(1)または(2)に記載の微粒子分離デバイス。
(4)微粒子が、ポリマー微粒子、生物系微粒子、液滴、金属微粒子、および非金属粒子から選ばれる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の微粒子分離デバイス。
(5)微粒子の分散された液体が水性懸濁液である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の微粒子分離デバイス。
(6)該微粒子分離用マイクロ流路が、配列された、単一の分離直径を有する支柱間の隙間で形成される上記(1)〜(5)のいずれかに記載の微粒子分離デバイス。
(7)該微粒子分離用マイクロ流路が、配列された、複数の分離直径を有する支柱間の隙間で形成される上記(1)〜(5)のいずれかに記載の微粒子分離デバイス。
(8)微粒子の分散された液体を微粒子フォーカス用マイクロ流路に導入し、導入された液体中の微粒子を,慣性力により,単一流路中の流れに沿った単一または複数本の線状に局所的に配列させ;
配列された支柱間の隙間で形成された微粒子分離用マイクロ流路の単一または複数の特定部位に微粒子が集中して配列された状態で、微粒子の分散された液体を流入させ;
該微粒子分離用マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離し、該微粒子分離用マイクロ流路から流出させることを特徴とする微粒子の分離方法。
(9)微粒子をその大きさ、形状または硬さに基づき分離する上記(8)に記載の微粒子の分離方法。
(10)微粒子フォーカス用マイクロ流路において、流れに沿った単一本、2本または3本の線状に微粒子が慣性力によりフォーカスされる上記(8)または(9)に記載の微粒子の分離方法。
(11)微粒子が、ポリマー微粒子、生物系微粒子、液滴、金属微粒子、および非金属粒子から選ばれる上記(8)〜(10)のいずれかに記載の微粒子の分離方法。
(12)微粒子の分散された液体が水性懸濁液である上記(8)〜(11)のいずれかに記載の微粒子の分離方法。
(13)該微粒子分離用マイクロ流路が、配列された、単一の分離直径を有する支柱間の隙間で形成される上記(8)〜(12)のいずれかに記載の微粒子の分離方法。
(14)該微粒子分離用マイクロ流路が、配列された、複数の分離直径を有する支柱間の隙間で形成される上記(8)〜(12)のいずれかに記載の微粒子の分離方法。
本発明によれば、バッファを用いた微粒子懸濁溶液の挟み込みのための流路構造を用いない、微粒子懸濁試料流入用の送液流路のみを導入路として有する微粒子分離デバイスおよびそれを用いる微粒子の分離方法を提供するものである。さらに、刺激応答性高分子で支柱を作製する場合、刺激制御によって流路幾何形状を変化させることにより、粒子軌道の変化の境界となる粒子直径である分離直径を調節し得る微粒子分離デバイスおよびそれを用いる微粒子の分離方法を提供し得る。
本発明の慣性力による微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状,微粒子のフォーカス位置,および観察方向の関係を示す図。 微粒子フォーカス用マイクロ流路において微粒子が例えば図1(a),(e)に示すように単一線状にフォーカスされる場合における微粒子分離マイクロ流路での微粒子分離例の概念図。 微粒子フォーカス用マイクロ流路において微粒子が例えば図1(b)に示すように2本線状にフォーカスされる場合における微粒子分離マイクロ流路での微粒子分離例の概念図。 微粒子フォーカス用マイクロ流路において微粒子が例えば図1(c),(d)に示すように3本線状にフォーカスされる場合における微粒子分離マイクロ流路での微粒子分離例の概念図。 本発明の微粒子分離デバイスの1実施態様を示す概要図。 微粒子懸濁溶液を本発明の微粒子分離デバイスに導入した際の微粒子フォーカス用マイクロ流路における慣性力による微粒子フォーカシングの様子を示す図。 異なる流量条件下における微粒子フォーカス用マイクロ流路での微粒子フォーカシングの様子を示す図。 流量を1mL/hとした場合の微粒子分離用マイクロ流路での微粒子分離の様子を示す図。 DLD流路の概要図と原理を示す図。 シースフロー型流路を用いたDLD微粒子分離デバイスを示す図。 シースフロー型流路構造がない場合のDLD流路入口での微粒子軌道を示す図。
本発明の微粒子分離デバイスは、流入された微粒子をその特性にしたがって分離するための微粒子分離デバイスである。微粒子分離デバイスは、微粒子懸濁液の流入口および流出口、微粒子フォーカス用マイクロ流路ならびに微粒子分離用マイクロ流路からなり、微粒子分離用マイクロ流路は、配列された支柱間の隙間で形成される。本発明においては、微粒子分離用マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離するように構成されてなる。
本発明の微粒子分離デバイスにおいては、微粒子フォーカス用マイクロ流路が、微粒子分離用マイクロ流路の前段に導入路として設けられ、流入口から導入された液体中の微粒子を,慣性力により,単一流路中の流れに沿った単一または複数本(たとえば、2本または3本)の線状に局所的に配列させるように構成されてなり、微粒子分離用マイクロ流路の単一または複数の特定部位に微粒子が集中して配列された状態で流入するように構成されてなる。
支柱は、好適には、従来のDLDにおいて一般的に用いられている材料、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)等のポリマー樹脂,またはSi,ガラス等から構成され得る。さらに、刺激応答性高分子材料が用いられ得、刺激に対する収縮または膨潤による支柱形状の変化の度合いにより、マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性により微粒子を分離するように構成されてなる。微粒子の特性としては、好適には大きさ,形状,または硬さが挙げられる。
支柱を形成する刺激応答性高分子材料は、温度、光、電場もしくは磁場等の物理的刺激、またはpH、溶液組成、イオン強度等の化学的刺激に応答するハイドロゲルである。たとえば、温度応答性高分子材料は、ハイドロゲルであり、水分を大量に含むことにより膨潤する性質を有するポリマーであり、温度変化による可逆的な水和・脱水和に伴う膨潤・収縮を生じる機能を有する。温度応答性高分子材料としては、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)、ポリ−N-ビニルアルキルアミド、ポリビニルアルキルエーテル、等が挙げられるが、相転移温度が30℃付近であり生物系微粒子への適用が可能である点や,緩やかな温度応答性を示すため支柱形状を細く制御可能である点からポリ-N-イソプロピルアクリルアミドが好適である。光応答性高分子材料としては、アゾベンゼン含有架橋構造を有するポリアクリルアミドハイドロゲル、等が挙げられる。pH応答性高分子材料としては、側鎖に嵩高い疎水性基を有するカルボキシ基含有ポリマー、等が挙げられる。電場応答性高分子材料としては、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(PAMPS)、等が挙げられる。
分離される微粒子は、ラテックス等のポリマー微粒子、赤血球、生細胞等の生物系微粒子、液滴、金属微粒子、および金属酸化物等の非金属粒子、から選ばれる。
微粒子の粒径は、通常、1nm〜1mm、好適には10nm〜100μmである。
微粒子は例えば水性または油性懸濁液の形態で微粒子分離デバイスの流入口から導入される。水性懸濁液は、たとえば界面活性剤を添加した水溶液に微粒子を粒子濃度10〜1010/mL程度で懸濁した溶液とするのが好適である。水性懸濁液は、水を主成分とし、水と相溶性のあるアルコール類等の有機溶媒を含んでいてもよい。
本発明の微粒子分離デバイスは、流入口から導入された微粒子の配列を慣性力により整えるための微粒子フォーカス用マイクロ流路を微粒子分離用マイクロ流路の前段に設け、微粒子分離用マイクロ流路の特定位置に微粒子を集中させて導入するように構成されてなる。
この微粒子フォーカス用マイクロ流路の形状は、
断面形状:長方形,正方形,半円形,三角形;
流路断面の縦横比(アスペクト比,AR):断面形状が横長長方形の場合、0 < AR < 1 ;断面形状が縦長長方形の場合、1 < AR;断面形状が,正方形の場合、AR =1
流路形状:直線または蛇行流路;
流路長さ:1 μm〜1 m、好適には1mm〜10cm;
流路幅:50nm 〜10 mm;
流路高さ:50nm 〜10 mm程度
から選ばれる。
(慣性力による粒子のフォーカシングに関する参考文献としては、H. Amini et al.,
Lab Chip, 2014,2739-2761およびJ. Kim et al., Lab Chip, 2016,16,992-1001が挙げら
れる。)
本発明の慣性力による微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状,微粒子のフォーカス位置,および観察方向の関係を図1に示す。図1において、 (a) 横長長方形 0 < AR < 1; (b) 縦長長方形1 < AR,; (c) 正方形1 = AR,;(d) 三角形,;(e) 半円、 (上段) 流路断面上の微粒子フォーカス位置、 (下段)マイクロ流路を流路断面上の上辺と流れに垂直な方向から観察(上面視)した場合の粒子フォーカス位置を示す。
微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が横長長方形の場合、粒子は流路断面上の長辺に沿って流路中央2箇所にフォーカスされる(図1 a)。なお,図に示すように,上面視した場合には,流路中央に単一の線状に粒子がフォーカスされた状態で観察される(図1 a)。この場合,微粒子分離部であるDLD流路には,粒子は単一の線状にフォーカスされた状態で導入された後,DLD流路内において分離される(図2)。図2は、微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が横長長方形(0 < AR <1)または半円断面形状の場合におけるDLD流路での微粒子分離の概念図を示し、(a)分離直径より大きい粒子が出口1に移動し回収され,分離直径より小さい粒子は出口2から回収される 、(b) 分離直径より大きい粒子が出口3に移動し回収され,分離直径より小さい粒子は出口2から回収される。この場合の長方形断面のアスペクト比(AR)は0 < AR < 1,好適には,0.3 < AR < 0.7である。アスペクト比ARは図1においてb/aで示される。
一方,微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が縦長長方形の場合,粒子は流路断面上の長辺に沿って2箇所にフォーカスされる.なお,流路を上面視した場合には左右の流路壁面付近に1箇所ずつ計2箇所に粒子がフォーカスされた状態で観察される(図1b).この場合,微粒子分離用マイクロ流路であるDLD流路には,粒子は2箇所にフォーカスされた状態で導入された後,DLD流路の幾何形状を調節することによりDLD流路内で分離される(図3)。図3は、微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が縦長長方形(1 < AR)の場合におけるDLD流路での微粒子分離の概念図を示す。分離直径より大きい粒子は出口2に移動し,分離直径より小さい粒子は出口1, 3から回収される。この場合の長方形断面のアスペクト比(AR)は1 < AR,好適には,1.4 < AR < 3.3である。
また,微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が正方形の場合,粒子は流路断面上の各辺に沿って4箇所にフォーカスされる(図1 c).なお,流路を上面視した場合には左右の流路壁面付近に1箇所ずつ,流路中央に1箇所の計3箇所に粒子がフォーカスされた状態で観察される(図1c)。この場合,粒子分離部であるDLD流路には,粒子は3箇所にフォーカスされた状態で導入された後,DLD流路内において分離される(図4)。図4は、微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が正方形 (AR = 1)または三角形の場合におけるDLD流路での微粒子分離の概念図である。(a, b) 分離直径より大きい粒子は出口2,4に移動し回収され,分離直径より小さい粒子は出口1, 3, 5から回収される。この場合の断面のアスペクト比(AR)はAR = 1である。
また,微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が上述の形状以外の場合であっても,粒子は流路断面上の特定の位置にフォーカスされ得る。例えば,図1(d)に示すように断面が三角形である場合,断面上では3箇所に粒子をフォーカスさせることができ,図中の観察方向からは3本の線状に粒子がフォーカスされた状態が観察される。また,図1(e)に示すように断面が半円状である場合,断面上では2箇所に粒子をフォーカスさせることができ,図中の観察方向からは1本の線状に粒子がフォーカスされた状態が観察される。
また,微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が同じであってもその向きを変えることで,上面視した場合のフォーカスの本数は変わり得る。例えば、図1(c)の正方形断面の流路を45度回転させる,あるいは図1(d)の三角形断面の流路を30度回転させる,あるいは図1(e)に示した半円断面の流路を90度回転させることで,上面視した場合のフォーカス位置を2本にすることができる。
微粒子フォーカス用マイクロ流路の流れは、レイノルズ数Reが0.01〜2400あるいは層流状態が好適である。
微粒子が慣性力による微粒子フォーカス用マイクロ流路から支柱配列構造を有する微粒子分離用マイクロ流路に導入される際の収束幅は、微粒子分離用マイクロ流路に配列された支柱間の隙間(d)と同等の収束幅であるのが好適である。たとえば、マイクロ流路デバイスは、温度応答性高分子であるポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)で作製した支柱配列間で形成されるDLD流路およびその流路を密封するためのポリジメチルシロキサン (polydimethylsiloxane:PDMS)流路から構成される。PNIPAMによるDLD支柱は、たとえば支柱直径(Dp) 20μm,支柱間隙間(d) 30μm、支柱配列の傾き(θ) 0.05 radのフィルムマスクを用いて、フォトリソグラフィによりガラス基板上に作製される。ここで、支柱配列の傾き(θ)は、平面図における支柱の配列方向の傾きである。DLD流路を密封するためのPDMS流路は、Si基板にエポキシ樹脂「EPON SU-8」をベースにしたネガ型フォトレジスト「SU-8」を用いて作製した鋳型からPDMSにパターンを転写することにより作製される。ガラス基板上に作製したDLD支柱とPDMS流路の位置合わせを行った後、貼り合わせてデバイスを形成する。
本発明の1つの実施態様において、支柱としてPDMSを用いた流路の場合,エポキシ樹脂「EPON SU-8」やSiで流路の鋳型を作製した後,PDMSに流路形状パターンを転写し、Siを用いた流路の場合,Siをエッチングして用いるのが好適である。
支柱の形状は、円柱に限るものではなく、いかなる柱状体であってもよい。支柱の配列は、分離する微粒子の大きさ、形状,硬さ等の粒子の特性に応じて、支柱形状,支柱直径、支柱間隙間(d)、支柱配列の傾き(θ)を好適に設定することによりなされ得る。
たとえば、微粒子の大きさによる分離の場合、支柱直径10nm〜10mm、支柱間隙間1nm〜10mmでかつ分離する微粒子直径より大、支柱配列の傾き0.01〜0.5rad.程度から設定される。支柱の配列は、単一の分離直径(すなわち流路の幾何形状によって粒子軌道の変化の境界となる粒子直径)を有するように構成されていても、または複数の分離直径を有するように構成されていてもよい。
本発明の微粒子の分離方法においては、微粒子の分散された液体を微粒子フォーカス用マイクロ流路に導入し、導入された液体中の微粒子を、慣性力により,単一流路中の流れに沿った単一または複数本の線状に局所的に配列させ;配列された支柱間の隙間で形成された微粒子分離用マイクロ流路の単一または複数の特定部位に微粒子が集中して配列された状態で、微粒子の分散された液体を流入させ;微粒子分離用マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離し、該微粒子分離用マイクロ流路から流出させる。
ここで、支柱は、好適には、従来のDLDにおいて一般的に用いられている材料、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)等のポリマー樹脂,またはSi,ガラス等から構成され得る。さらに、刺激応答性高分子材料を用いて、刺激に対する収縮または膨潤による支柱形状の変化の度合いにより、マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離するように構成してもよい。
微粒子の特性としては、その大きさ、形状または硬さが挙げられ、微粒子は、その大きさに基づき、その形状に基づき、またはその硬さに基づき分離されることになる。
支柱を形成する刺激応答性高分子材料は、温度、光、電場もしくは磁場等の物理的刺激、またはpH、溶液組成、イオン強度等の化学的刺激に応答するハイドロゲルである。たとえば、温度応答性高分子材料は、ハイドロゲルであり、水分を大量に含むことにより膨潤する性質を有するポリマーであり、温度変化による可逆的な水和・脱水和に伴う膨潤・収縮を生じる機能を有する。
分離される微粒子は、ラテックス等のポリマー微粒子、赤血球、生細胞等の生物系微粒子、金属微粒子、および金属酸化物等の非金属粒子、から選ばれる。
微粒子の粒径は、通常、1nm〜1mm、好適には10nm〜100μmである。
微粒子は例えば水性または油性懸濁液の形態で微粒子分離デバイスの流入口から導入される。水性懸濁液は、たとえば界面活性剤を添加した水溶液に微粒子を粒子濃度10〜1010/mL程度で懸濁した溶液とするのが好適である。水性懸濁液は、水を主成分とし、水と相溶性のあるアルコール類等の有機溶媒を含んでいてもよい。
本発明の微粒子分離方法においては、流入口から導入された微粒子の配列を慣性力により整えるための微粒子フォーカス用マイクロ流路を微粒子分離用マイクロ流路の前段に設け、微粒子分離用マイクロ流路の特定位置に微粒子を集中させるように構成されてなる。
この微粒子フォーカス用マイクロ流路の形状は、
断面形状:長方形,正方形,半円形,三角形;
流路断面の縦横比(アスペクト比,AR):断面形状が横長長方形の場合、0 < AR < 1 ;断面形状が縦長長方形の場合、1 < AR;断面形状が,正方形の場合、AR =1
流路形状:直線または蛇行流路;
流路長さ:1 μm〜1 m、好適には1mm〜10cm;
流路幅:50nm 〜10 mm;
流路高さ:50nm 〜10 mm程度
から選ばれる。
本発明の慣性力による微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状,微粒子のフォーカス位置,および観察方向の関係を図1に示す。図1において、 (a) 横長長方形 0 < AR < 1; (b) 縦長長方形1 < AR,; (c) 正方形1 = AR,;(d) 三角形,;(e) 半円、 (上段) 流路断面上の粒子フォーカス位置、 (下段)マイクロ流路を流路断面の上辺と流れに垂直な方向から観察(上面視)した場合の粒子フォーカス位置を示す。
マイクロ流路の断面形状が横長長方形の場合、粒子は流路断面上の長辺に沿って流路中央2箇所にフォーカスされる(図1 a)。なお,図に示すように,上面視した場合には,流路中央に単一の線状に粒子がフォーカスされた状態で観察される(図1 a)。この場合,微粒子分離部であるDLD流路には,粒子は単一の線状にフォーカスされた状態で導入された後,DLD流路内において分離される(図2)。図2は、微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が横長長方形(0 < AR <1)または半円断面形状の場合におけるDLD流路での微粒子分離の概念図を示し、(a)分離直径より大きい粒子が出口1に移動し回収され,分離直径より小さい粒子は出口2から回収される 、(b) 分離直径より大きい粒子が出口3に移動し回収され,分離直径より小さい粒子は出口2から回収される。この場合の長方形断面のアスペクト比(AR)は0 < AR < 1,好適には,0.3 < AR < 0.7である。アスペクト比ARは図1においてb/aで示される。
一方,微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が縦長長方形の場合,粒子は流路断面上の長辺に沿って2箇所にフォーカスされる.なお,流路を上面視した場合には左右の流路壁面付近に1箇所ずつ計2箇所に粒子がフォーカスされた状態で観察される(図1b).この場合,微粒子分離用マイクロ流路であるDLD流路には,粒子は2箇所にフォーカスされた状態で導入された後,DLD流路の幾何形状を調節することによりDLD流路内で分離される(図3)。図3は、微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が縦長長方形(1 < AR)の場合におけるDLD流路での微粒子分離の概念図を示す。分離直径より大きい粒子は出口2に移動し,分離直径より小さい粒子は出口1, 3から回収される。この場合の長方形断面のアスペクト比(AR)は1 < AR,好適には,1.4 < AR < 3.3である。
また,微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が正方形の場合,粒子は流路断面上の各辺に沿って4箇所にフォーカスされる(図1 c).なお,流路を上面視した場合には左右の流路壁面付近に1箇所ずつ,流路中央に1箇所の計3箇所に粒子がフォーカスされた状態で観察される(図1c)。この場合,粒子分離部であるDLD流路には,粒子は3箇所にフォーカスされた状態で導入された後,DLD流路内において分離される(図4)。図4は、微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が正方形 (AR = 1)または三角形の場合におけるDLD流路での微粒子分離の概念図である。(a, b) 分離直径より大きい粒子は出口2,4に移動し回収され,分離直径より小さい粒子は出口1, 3, 5から回収される。この場合の断面のアスペクト比(AR)はAR = 1である。
また,微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が上述の形状以外の場合であっても,粒子は流路断面上の特定の位置にフォーカスされ得る。例えば,図1(d)に示すように断面が三角形である場合,断面上では3箇所に粒子をフォーカスさせることができ,図中の観察方向からは3本の線状に粒子がフォーカスされた状態が観察される。また,図1(e)に示すように断面が半円状である場合,断面上では2箇所に粒子をフォーカスさせることができ,図中の観察方向からは1本の線状に粒子がフォーカスされた状態が観察される。
また,微粒子フォーカス用マイクロ流路の断面形状が同じであってもその向きを変えることで,上面視した場合のフォーカスの本数は変わり得る。例えば、図1(c)の正方形断面の流路を45度回転させる,あるいは図1(d)の三角形断面の流路を30度回転させる,あるいは図1(e)に示した半円断面の流路を90度回転させることで,上面視した場合のフォーカス位置を2本にすることができる。
微粒子フォーカス用マイクロ流路の流れは、レイノルズ数Reが0.01〜2400あるいは層流状態が好適である。
微粒子が慣性力による微粒子フォーカス用マイクロ流路から支柱配列構造を有する微粒子分離用マイクロ流路に導入される際の収束幅は、微粒子分離用マイクロ流路に配列された支柱間の隙間(d)と同等の収束幅であるのが好適である。たとえば、マイクロ流路デバイスは、温度応答性高分子であるポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)で作製した支柱配列間で形成されるDLD流路およびその流路を密封するためのポリジメチルシロキサン (polydimethylsiloxane:PDMS)流路から構成される。PNIPAMによるDLD支柱は、たとえば支柱直径(Dp) 20μm,支柱間隙間(d) 30μm、支柱配列の傾き(θ) 0.05 radのフィルムマスクを用いて、フォトリソグラフィによりガラス基板上に作製される。ここで、支柱配列の傾き(θ)は、平面図における支柱の配列方向の傾きである。DLD流路を密封するためのPDMS流路は、Si基板にエポキシ樹脂「EPON SU-8」をベースにしたネガ型フォトレジスト「SU-8」を用いて作製した鋳型からPDMSにパターンを転写することにより作製される。ガラス基板上に作製したDLD支柱とPDMS流路の位置合わせを行った後、貼り合わせてデバイスを形成する。
本発明の1つの実施態様において、支柱としてPDMSを用いた流路の場合,エポキシ樹脂「EPON SU-8」やSiで流路の鋳型を作製した後,PDMSに流路形状パターンを転写し、Siを用いた流路の場合,Siをエッチングして用いるのが好適である。
支柱の形状は、円柱に限るものではなく、いかなる柱状体であってもよい。支柱の配列は、分離する微粒子の大きさ、形状,硬さ等の粒子の特性に応じて、支柱形状,支柱直径、支柱間隙間(d)、支柱配列の傾き(θ)を好適に設定することによりなされ得る。
たとえば、微粒子の大きさによる分離の場合、支柱直径10nm〜10mm、支柱間隙間1nm〜10mmでかつ分離する微粒子直径より大、支柱配列の傾き0.01〜0.5rad.程度から設定される。支柱の配列は、単一の分離直径(すなわち流路の幾何形状によって粒子軌道の変化の境界となる粒子直径)を有するように構成されていても、または複数の分離直径を有するように構成されていてもよい。
本発明の微粒子の分離方法においては、微粒子の分散された液体を微粒子フォーカス用マイクロ流路に導入し、導入された液体中の微粒子を、慣性力により,単一流路中の流れに沿った単一または複数本の線状に局所的に配列させ;配列された支柱間の隙間で形成された微粒子分離用マイクロ流路の単一または複数の特定部位に微粒子が集中して配列された状態で、微粒子の分散された液体を流入させ;微粒子分離用マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離し、該微粒子分離用マイクロ流路から流出させる。
ここで、支柱は、好適には、従来のDLDにおいて一般的に用いられている材料、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)等のポリマー樹脂,またはSi,ガラス等から構成され得る。さらに、刺激応答性高分子材料を用いて、刺激に対する収縮または膨潤による支柱形状の変化の度合いにより、マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離するように構成してもよい。
微粒子の特性としては、その大きさ、形状または硬さが挙げられ、微粒子は、その大きさに基づき、その形状に基づき、またはその硬さに基づき分離されることになる。
支柱を形成する刺激応答性高分子材料は、温度、光、電場もしくは磁場等の物理的刺激、またはpH、溶液組成、イオン強度等の化学的刺激に応答するハイドロゲルである。たとえば、温度応答性高分子材料は、ハイドロゲルであり、水分を大量に含むことにより膨潤する性質を有するポリマーであり、温度変化による可逆的な水和・脱水和に伴う膨潤・収縮を生じる機能を有する。
分離される微粒子は、ラテックス等のポリマー微粒子、赤血球、生細胞等の生物系微粒子、金属微粒子、および金属酸化物等の非金属粒子、から選ばれる。
微粒子の粒径は、通常、1nm〜1mm、好適には10nm〜100μmである。
微粒子は例えば水性または油性懸濁液の形態で微粒子分離デバイスの流入口から導入される。水性懸濁液は、たとえば界面活性剤を添加した水溶液に微粒子を粒子濃度10〜1010/mL程度で懸濁した溶液とするのが好適である。水性懸濁液は、水を主成分とし、水と相溶性のあるアルコール類等の有機溶媒を含んでいてもよい。
つぎに、本発明において、粒子形状による分離を行う場合について説明する。たとえば、赤血球(厚み2μm、 直径6μm)などの円盤形状の粒子の場合、粒子の流れる姿勢によって、DLD流路内での粒子の見掛けの直径が変化し、分離挙動(Displacement mode, Zigzag mode)に影響を与えることが知られている。そのため,DLDの支柱に対して赤血球の姿勢(円盤の直径方向,厚み方向)を制御した分離手法(J. P. Beech et al., Lab Chip, 12, 1048-1051, 2012)や赤血球の回転を用いた分離手法(K. K. Zeming et al., Nat. Commun., 4, 1625, 2013)がこれまでに報告されているので、本発明の分離方法をこれらに適用することにより粒子形状による分離を行うことができる。
さらに、本発明において、粒子の硬さによる分離を行う場合について説明する。DLD流路内では,粒子にせん断応力が働くため、粒子の硬さの違いに従って、粒子が変形する度合いが異なる。たとえば、静止状態では同じ直径の粒子の場合であっても,より変形しやすい粒子は,変形しない粒子と比較して,DLD流路内での見かけの直径が小さくなる。すなわち,サイズが同じ粒子であっても,粒子の変形度合いの違いを利用した粒子分離が可能になる。たとえば,赤血球の場合において、通常の赤血球とマラリアに感染した赤血球とでは硬さが異なるため、硬さを指標とした赤血球の分離によって病気の検出などが期待される(T. Krueger et al., Biomicrofluidics, 8, 054114, 2014)。本発明の分離方法をこれらに適用することにより粒子の硬さによる分離を行うことができる。
実施例1
図5は、本発明の微粒子分離デバイスの1実施態様を示す概要図である。慣性力による微粒子フォーカス用マイクロ流路(導入路)とdeterministic lateral displacement (DLD)支柱配列を有する微粒子分離用マイクロ流路から構成される。導入路である微粒子フォーカス用マイクロ流路は、矩形断面(アスペクト比0.5)を有する直線流路(幅50μm、高さ25μm、長さ2.5cm)であり、下流のDLD流路(微粒子分離用マイクロ流路)のパラメータは、流路長23mm,流路幅3mm,支柱直径(D) 30μm、支柱間距離(d) 20μm、支柱配列の傾き0.05radとした。デバイスはSi基板にエポキシ樹脂「EPON SU-8」をベースにしたネガ型フォトレジスト「SU-8」を用いて作製した鋳型からポリジメチルシロキサン (PDMS)にパターンを転写することにより作製した。作製したPDMS流路とガラス基板を酸素プラズマ処理後に接着することにより形成した。
導入試料には、直径13μmと7μmのポリスチレンビーズ(Thermo Fisher社製,Bangs Laboratories社製)を0.1v/v%の界面活性剤Tween(登録商標)20(Sigma)水溶液に粒子濃度1.0×10/mLで懸濁した溶液を用意した。粒子懸濁溶液は、シリンジポンプ(KD Scientific社製, KDS200)にて送液した。
粒子懸濁溶液を流量(Q)1mL/hでデバイスに導入した際の慣性力による微粒子のフォーカシングの様子を図6に示す。導入された微粒子は、微粒子フォーカス用マイクロ流路上流部では、ビーズが流路全体に分散した状態で流れる様子が確認された(図6a)。微粒子フォーカス用流路中流部では直径13μmのビーズが流路中央へと移動し(図6b)、微粒子フォーカス用流路下流部では直径13μmと7μmのビーズがいずれも流路中央へと移動した(図6c)様子が確認された。これは、微粒子が流路中央へと移動するために必要な流路長さは粒子直径の3乗に反比例するためである。一方、低流量(Q=0.5mL/h、0.1mL/h)に設定した際には、微粒子が流路中央へと十分には移動せず、Q=1mL/hで直径13μmと7μmのビーズが十分に流路中央に移動することが確認された(図7a〜c;図7は、異なる流量条件下における微粒子フォーカス用マイクロ流路での微粒子フォーカシングの様子を示す図である。)。これは、粒子が流路中央へと移動するために必要な流路長さは流速に反比例するためと考えられる。
流量を1mL/hに設定した際の、微粒子分離用マイクロ流路(DLD流路)での微粒子分離の様子を図8に示す。DLD流路の特定位置にフォーカスされた状態で微粒子が導入された後(図8a)、直径13μmのビーズはDLDの支柱配列の傾きに沿って進む置換モード(displacement mode)の軌道を取り、直径7μmのビーズは流れと同一方向に進むジグザグモード(zigzag mode)の軌道を取る様子が確認された(図8b)。DLD流路下流部では直径13μmと7μmのビーズが分離された後、出口1と出口2からそれぞれ回収される様子が確認された(図8c)。すなわち、シースフロー型のような,バッファにより微粒子懸濁溶液を挟み込むマイクロ流路構造を用いることなく、微粒子分離デバイスにより微粒子分離を実現した。
本発明によれば、バッファを用いた微粒子懸濁溶液の挟み込みのための流路構造を用いない、微粒子懸濁試料流入用の送液流路のみを導入路として有する微粒子分離デバイスおよびそれを用いる微粒子の分離方法を提供し得る。

Claims (14)

  1. 微粒子の分散された液体を流入させて,該微粒子をその特性にしたがって分離するための微粒子分離デバイスであり、
    微粒子の流入口および流出口、微粒子フォーカス用マイクロ流路ならびに微粒子分離用マイクロ流路からなり;
    該微粒子分離用マイクロ流路は、配列された支柱間の隙間で形成され、該微粒子分離用マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離するように構成されてなり;ならびに
    該微粒子フォーカス用マイクロ流路は,該微粒子分離用マイクロ流路の前段に導入路として設けられ、
    流入口から導入された液体中の微粒子を,慣性力により,単一流路中の流れに沿った単一または複数本の線状に局所的に配列させるように構成されてなり、
    該微粒子分離用マイクロ流路の単一または複数の特定部位に微粒子が集中して配列された状態で流入するように構成されてなる;ことを特徴とする微粒子分離デバイス。
  2. 微粒子をその大きさ、形状または硬さに基づき分離する請求項1に記載の微粒子分離デバイス。
  3. 微粒子フォーカス用マイクロ流路において、流れに沿った単一本、2本または3本の線状に微粒子が慣性力によりフォーカスされる請求項1または2に記載の微粒子分離デバイス。
  4. 微粒子が、ポリマー微粒子、生物系微粒子、液滴、金属微粒子、および非金属粒子から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒子分離デバイス。
  5. 微粒子の分散された液体が水性懸濁液である請求項1〜4のいずれか1項に記載の微粒子分離デバイス。
  6. 該微粒子分離用マイクロ流路が、単一の分離直径を有する支柱間の隙間で形成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒子分離デバイス。
  7. 該微粒子分離用マイクロ流路が、複数の分離直径を有する支柱間の隙間で形成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒子分離デバイス。
  8. 微粒子の分散された液体を微粒子フォーカス用マイクロ流路に導入し、導入された液体中の微粒子を,慣性力により,単一流路中の流れに沿った単一または複数本の線状に局所的に配列させ;
    配列された支柱間の隙間で形成された微粒子分離用マイクロ流路の単一または複数の特定部位に微粒子が集中して配列された状態で、微粒子の分散された液体を流入させ;
    該微粒子分離用マイクロ流路を流れる微粒子の軌道を制御して微粒子の特性にしたがって微粒子を分離し、該微粒子分離用マイクロ流路から流出させることを特徴とする微粒子の分離方法。
  9. 微粒子をその大きさ、形状または硬さに基づき分離する請求項8に記載の微粒子の分離方法。
  10. 微粒子フォーカス用マイクロ流路において、流れに沿った単一本、2本または3本の線状に微粒子が慣性力によりフォーカスされる請求項8または9に記載の微粒子の分離方法。
  11. 微粒子が、ポリマー微粒子、生物系微粒子、液滴、金属微粒子、および非金属粒子から選ばれる請求項8〜10のいずれか1項に記載の微粒子の分離方法。
  12. 微粒子の分散された液体が水性懸濁液である請求項8〜11のいずれか1項に記載の微粒子の分離方法。
  13. 該微粒子分離用マイクロ流路が、配列された、単一の分離直径を有する支柱間の隙間で形成される請求項8〜12のいずれか1項に記載の微粒子の分離方法。
  14. 該微粒子分離用マイクロ流路が、配列された、複数の分離直径を有する支柱間の隙間で形成される請求項8〜12のいずれか1項に記載の微粒子の分離方法。
JP2016233582A 2016-11-30 2016-11-30 微粒子分離デバイスおよび微粒子の分離方法 Active JP6923181B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016233582A JP6923181B2 (ja) 2016-11-30 2016-11-30 微粒子分離デバイスおよび微粒子の分離方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016233582A JP6923181B2 (ja) 2016-11-30 2016-11-30 微粒子分離デバイスおよび微粒子の分離方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018089557A true JP2018089557A (ja) 2018-06-14
JP6923181B2 JP6923181B2 (ja) 2021-08-18

Family

ID=62564784

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016233582A Active JP6923181B2 (ja) 2016-11-30 2016-11-30 微粒子分離デバイスおよび微粒子の分離方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6923181B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022138525A1 (ja) 2020-12-21 2022-06-30 株式会社Ihi 固液分離装置及び固液分離システム

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013521001A (ja) * 2010-03-04 2013-06-10 ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール 細胞を検出および単離するためのマイクロ流体分取装置
JP2013127468A (ja) * 2007-04-16 2013-06-27 The General Hospital Corporation Dba Massachusetts General Hospital マイクロチャネルにおける粒子集束のためのシステムおよび方法
WO2015053393A1 (ja) * 2013-10-10 2015-04-16 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー イメージングセルソーター
US20150362413A1 (en) * 2013-01-24 2015-12-17 National University Of Singapore Microdevices for separation of non-spherical particles and applications thereof
JP2015535728A (ja) * 2012-09-21 2015-12-17 マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジ マイクロ流体装置およびその使用

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013127468A (ja) * 2007-04-16 2013-06-27 The General Hospital Corporation Dba Massachusetts General Hospital マイクロチャネルにおける粒子集束のためのシステムおよび方法
JP2013521001A (ja) * 2010-03-04 2013-06-10 ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール 細胞を検出および単離するためのマイクロ流体分取装置
JP2015535728A (ja) * 2012-09-21 2015-12-17 マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジ マイクロ流体装置およびその使用
US20150362413A1 (en) * 2013-01-24 2015-12-17 National University Of Singapore Microdevices for separation of non-spherical particles and applications thereof
WO2015053393A1 (ja) * 2013-10-10 2015-04-16 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー イメージングセルソーター

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
ZHANG JUN, ET AL.: "Fundamentals and applications of inertial microfluidics: a review", LAB ON A CHIP, vol. 2016,16, JPN6020042254, 3 November 2015 (2015-11-03), pages 10 - 34, ISSN: 0004382935 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022138525A1 (ja) 2020-12-21 2022-06-30 株式会社Ihi 固液分離装置及び固液分離システム
KR20230098679A (ko) 2020-12-21 2023-07-04 가부시키가이샤 아이에이치아이 고액 분리 장치 및 고액 분리 시스템

Also Published As

Publication number Publication date
JP6923181B2 (ja) 2021-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dalili et al. A review of sorting, separation and isolation of cells and microbeads for biomedical applications: microfluidic approaches
Ma et al. Mechanical properties based particle separation via traveling surface acoustic wave
Vladisavljević et al. Industrial lab-on-a-chip: Design, applications and scale-up for drug discovery and delivery
JP5684224B2 (ja) マイクロチャネルにおける粒子集束のためのシステムおよび方法
Gomez Biological applications of microfluidics
Gou et al. Sheathless inertial focusing chip combining a spiral channel with periodic expansion structures for efficient and stable particle sorting
Wu et al. Separation of leukocytes from blood using spiral channel with trapezoid cross-section
US20140227777A1 (en) Cell sorting by 3d flow and adhesive rolling
CN109070080B (zh) 颗粒分离装置和颗粒分离方法
JP4991688B2 (ja) 流体分離装置
Lee et al. Separation and sorting of cells in microsystems using physical principles
JP5641213B2 (ja) 連続的2次元粒子分離装置および粒子分離方法
EP3684507B1 (en) Particle sorting in a microfluidic system
Sun et al. Recent advances in microfluidic technologies for separation of biological cells
JP6843420B2 (ja) 微粒子分離デバイスおよび微粒子の分離方法
Laxmi et al. Extracting white blood cells from blood on microfluidics platform: a review of isolation techniques and working mechanisms
Mirakhorli et al. Microfluidic platforms for cell sorting
Zuvin et al. Human breast cancer cell enrichment by Dean flow driven microfluidic channels
Pandey et al. Single-cell separation
JP6923181B2 (ja) 微粒子分離デバイスおよび微粒子の分離方法
Mukherjee et al. Plasma separation from blood: the'lab-on-a-chip'approach
Mohamed Use of microfluidic technology for cell separation
Shin et al. Nanoparticles Are Separated in a Different Pattern from Microparticles with Focused Flow Control
Xiang et al. Inertial Microfluidics for Single-Cell Manipulation and Analysis
Tran Deterministic Lateral Displacement for Cell Separation

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190909

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210622

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210720

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6923181

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150