JP2018081728A - ケーブル変形予測方法 - Google Patents

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【課題】ケーブル変形予測方法を提供する。【解決手段】ケーブル変形予測方法は、曲げ癖を有するケーブルにおけるケーブル変形予測方法において、少なくとも応力無負荷環境下で弧を描こうとするケーブルにおける曲げ癖の曲率半径を用いて、ケーブルの曲げ癖の形状を再現して作成した解析モデルを用いて、ケーブルを直線状に変形させ、ケーブル内の応力分布を計算する応力分布計算工程と、曲げ癖の設置方向を決定するためのケーブルの軸周りの回転角度を設定する回転角度設定工程と、計算された応力分布および設定された回転角度を初期状態とし、負荷条件に応じてケーブルを変形させ、ケーブルの変形状態を計算するケーブル変形状態計算工程と、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、ケーブル変形予測方法に関するものである。
近年の地球環境保護および省エネルギーへの強い要求を受けて、主動力源として電気モータが使用される電気自動車(EV)や燃料電池車(FCEV)が精力的に研究・開発されている。それら自動車の駆動機構としては、従来のエンジン(内燃機関)を単純に電気モータに置き換える方式と、ホイール内に電気モータを配置して直接駆動するインホイールモータ方式とが提案されている。インホイールモータ方式は、従来のエンジンルームが不要になる点や各輪独立駆動を可能にする点など、非常にユニークな駆動機構として注目されている。
インホイールモータ方式は、ホイールに内蔵したモータに外部から電源ケーブルを介して電源供給される。電源ケーブルは、車両の走行時などにサスペンションの動きに伴って繰り返しの屈曲運動を受ける。このとき、電源ケーブルに過度の引張応力が掛かったり、周辺の構造部材や回転するホイールなどと接触したりしないように、電源ケーブルが配索されることは極めて重要である。
一方、自動車のドア部などの屈曲可動部分に配索される撚り線ケーブルを対象として、撚り線ケーブルを構成する複数の導体線の曲がり状態を可視化する方法が開示されている(特許文献1参照)。
特開2009−266775号公報
インホイールモータ方式による電気自動車では、インホイールモータの電源ケーブルが周辺の構造部材と予期せず接触してしまう可能性がある。これは、電源ケーブルが、サスペンションの動きに伴う繰り返しの屈曲運動を受けたときに、当該屈曲運動している面内から外れる方向へ変形(面外変形と称する)していることを意味する。
特許文献1では、ケーブルがある曲率で曲げられた際のケーブルを構成する導体線の曲がり状態を視覚的に把握するための方法、および可視化システムに関して記載されている。この際に計算される導体線の曲がり状態は、幾何学的な計算式によって求められるものであり、ケーブル内部の応力分布を考慮していない。面外変形の予測には、ケーブル内部の応力分布によって生じるものであるため、特許文献1では、本願の課題の面外変形に対処することはできない。
電源ケーブルと周辺構造部材との予期しない接触は、経時的に電源ケーブルの破損につながることから、十分な解明が必要である。
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、曲げ癖を有するケーブルを用いることを前提に、設計段階で事前に、ケーブルの変形を予測することができるケーブル変形予測方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明のケーブル変形予測方法は、曲げ癖を有するケーブルにおけるケーブル変形予測方法において、少なくとも応力無負荷環境下で弧を描こうとするケーブルにおける曲げ癖の曲率半径を用いて、ケーブルの曲げ癖の形状を再現して作成した解析モデルを用いて、ケーブルを直線状に変形させ、ケーブル内の応力分布を計算する応力分布計算工程と、曲げ癖の設置方向を決定するためのケーブルの軸周りの回転角度を設定する回転角度設定工程と、計算された応力分布および設定された回転角度を初期状態とし、負荷条件に応じてケーブルを変形させ、ケーブルの変形状態を計算するケーブル変形状態計算工程と、を有することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
本発明によれば、曲げ癖を有するケーブルを用いることを前提に、設計段階で事前に、ケーブルの変形を予測することができる。
車体の側面方向から車輪の内側を見たときのインホイールモータ周りの構造とケーブルレイアウトの例を示す模式図である。 図1の車体の上面方向から車輪の内側を見たときの構造とケーブルレイアウトの例を示す模式図である。 電源ケーブルに用いるケーブルの一例を示す断面模式図である。 面外変形とそのばらつきを予測するための予測装置を示すブロック図である。 ケーブル面外変形とそのばらつきの予測方法を示すフローチャートである。 モデル化の例を示す説明図である。 ケーブルの巻き癖に対する設置方向を示す説明図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。最初にインホイールモータ周りの構造例とケーブルレイアウトについて、図1および図2を参照して説明する。
(ケーブルレイアウト)
図1は、車体の側面方向から車輪の内側を見たときのインホイールモータ周りの構造とケーブルレイアウトの例を示す模式図である。図2は、図1の車体の上面方向から車輪の内側を見たときの構造とケーブルレイアウトの例を示す模式図である。インホイールモータ30は、サスペンション32と共にサスペンションアーム31に固定され、モータ回転軸がホイール35の回転軸となるように配設される。
インホイールモータ30には、ホイール35によって制約される空間内に配設するための小型化と車両走行のための高い出力とが同時に要求されることから、通常、三相交流モータが使用される。そのため、複数本の電源ケーブル20(例えば、電源ケーブル20a〜20c)が接続端子21および端子台33を介してインホイールモータ30に接続される。そのような状況から、インホイールモータ30に電力を供給する電源ケーブル20は、必然的に狭小な空間内で配索されることになる。
さらに、電源ケーブル20は、車両の走行時などにサスペンション32の動きに伴って繰り返しの屈曲運動を受ける。例えば、屈曲運動は、図1におけるサスペンション32の作動方向に受ける。このとき、電源ケーブル20に過度の引張応力が掛かったり、周辺の構造部材(例えば、サスペンション32)、および回転するホイール35(タイヤも含む)と接触したりしないように、電源ケーブル20が配索されることは極めて重要である。
解決すべき課題で前記説明したように、インホイールモータ方式による電気自動車では、インホイールモータ30の電源ケーブル20が周辺の構造部材と予期せず接触してしまう可能性がある。これは、電源ケーブル20が、サスペンション32の動きに伴う繰り返しの屈曲運動を受けたときに、当該屈曲運動している面内(図1のx‐y面内)から外れる方向へ変形が生じていることを意味する。例えば、図2中の矢印で示される方向への変形である面外変形が生じている。
電源ケーブル20を取り替えながら種々調査したところ、面外変形の様子・程度は電源ケーブル20毎に異なり、当初一貫した傾向が見出せなかった。言い換えると、電源ケーブル20の面外変形とそのばらつきの要因が解らないために、それらの予測が困難であると考えられたが、以下の基本思想に基づき解決した。
(本発明の基本思想)
本発明者等は、電源ケーブル20に屈曲運動を課したときに、該電源ケーブル20の面外変形の様子・程度が電源ケーブル20毎に大きくばらつく要因を解明するために、電源ケーブル20を構成する電線の製造にまでさかのぼって調査した。
一般的にケーブルは、長尺で製造されるため、通常、最終製品になる直前までボビン/ドラムに巻かれた状態で保管される。端末加工を施して電源ケーブル20を製造するためにケーブルをボビン/ドラムから所定長さで切り出すと、切り出されたケーブルには巻き癖が残っていることがある。このようなケーブルの巻き癖は、樹脂からなる絶縁材料/シース材料の粘弾性に起因すると言われている。また、ケーブルの巻き癖は、絶縁材料/シース材料の材質や製造されたケーブルの保存期間、ケーブルを巻き取っていたボビン/ドラムの径にも依存すると考えられる。
そこで、本発明者等は、巻き癖を有するケーブルを用いることを前提として、当該巻き癖と電源ケーブル20の面外変形の様子・程度との関係について、更に詳細に調査・研究した。その結果、電源ケーブル20の面外変形の様子・程度は、用いるケーブルの巻き癖方向と電源ケーブル20に課される屈曲運動の方向との関係に強く影響されることを見出した。本発明は、該知見に基づくものである。
(ケーブル構造)
図3は、電源ケーブルに用いるケーブルの一例を示す断面模式図である。ケーブル10は、中心導体12(導体)の外周に、絶縁層13、補強編組層14および樹脂シース15が順次形成されたケーブル10と、ケーブル10の長手方向の端末に形成された接続端子21(図1参照)とを具備する。ケーブル10は、応力無負荷環境下で弧を描こうとする巻き癖を有する。
ケーブル10の断面構造は、図3に限定されるものではなく、少なくとも中心導体12と最外層の樹脂シース15とを有していれば、他の構成に限定はない。また、本実施形態において、応力無負荷環境とは、表面摩擦をできるだけ小さい状態にした板上に(例えば、表面仕上げされたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)板上や表面仕上げされた氷板上に)、ケーブル10を静かに置いた環境と定義する。
本実施形態では、中心導体12は、複数本の素線11が撚り合わされた撚線であることが好ましい。一般的に、撚線導体は、屈曲運動の際に各素線に均等な応力が掛かることから、屈曲耐性が高い利点があるためである。図3においては、29芯撚線を描いたが、もちろんそれに限定されるものではない。また、素線11はそれ自体がさらに細い素線の撚り構造からなっていても構わない。
絶縁層13、補強編組層14および樹脂シース15の材料および厚さは、特に限定されるものではなく、電源ケーブル20(図1参照)の接続対象となる電機機器(例えば、インホイールモータ30)の仕様に合わせて適宜選定されればよい。例えば、ケーブル10として、中心導体12(直径3.4mm)に対して、絶縁層13としてポリエチレン(PE)層(厚さ0.5mm)を用い、補強編組層14としてポリエチレンテレフタレート(PET)繊維編組層(厚さ1.0mm)を用い、樹脂シース15としてエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)層(厚さ0.8mm)を用いることができる。
(予測装置の構成)
図4は、面外変形とそのばらつきを予測するための予測装置を示すブロック図である。予測装置100は、図4に示すように、キーボードやマウス等からなる入力デバイス41と、ディスプレイやプリンタ等からなる出力デバイス42と、各種情報を記憶するためのハードディスク等からなる記憶部43と、ケーブル10の剛性を計測するためのケーブル剛性計測部44と、入力デバイス41やケーブル剛性計測部44によって入力される各種データに基づいて、ケーブル10の面外変形とそのばらつきを予測するための処理を行うデータ処理部50とを備えている。
入力デバイス41は、ケーブル10の形状情報や計算に必要となるパラメータを受け付ける。出力デバイス42は、データ処理部50による演算結果を出力する。
データ処理部50は、データ処理部50の各機能を包括的に制御する制御部51と、ケーブル剛性計測部44によって得られた応力−ひずみ曲線から等価な材料物性を算出するための等価材料物性導出部52と、入力デバイス41により入力された各種パラメータからケーブル10の有限要素解析用のインプットファイルを作成する解析モデル作成部53と、作成したインプットファイルを用いて有限要素解析を実施し、ケーブル10の変形状態を計算する変形状態計算部54と、ケーブル10の変形状態や面外変形ばらつき、応力等の計算結果を算出し、出力デバイス42に出力する出力演算部55で構成される。
(予測方法)
次に、予測装置100が行う具体的な処理内容について図5および図6に基づき説明する。図5は、面外変形とそのばらつき予測方法を示すフローチャートである。図6は、モデル化の例を示す説明図である。適宜図3および図4を参照する。
(S101):データ処理部50は、ケーブル10の等価材料物性の導出や面外変形ばらつきの予測に必要となる各種入力パラメータの入力を受け付ける。入力は入力デバイス41により行われ、記憶部43に記録される。入力パラメータはケーブル10の長さ、ケーブル10の半径、素線11の撚り方式、素線11の半径、素線11の本数、素線11の撚りピッチ、ケーブル10の曲げ癖の曲率半径、設置方向の刻み幅(回転刻みΔθ)、負荷条件からなる。負荷条件は、負荷の種類の選択(L字曲げなのかS字曲げなのか等)とその際の負荷の大きさ(曲率半径や幾何学的な位置関係等)が入力される。なお、設置方向とは、S105で説明する。
(S102):等価材料物性導出部52は、図3に示す中心導体12、樹脂シース15などの構成材料の全てを含む等価材料物性値を導出し、全領域を均質体として、ひとつの物性値で置き換える。また、導体部分については軸力のみを受け持つトラス要素としてモデル化し、均質体とした解析モデル内部に埋め込むことが好ましい。均質体部分の等価な材料物性は、ケーブル剛性計測部44によって得られた応力−ひずみ曲線から導出する。ケーブル10の応力−ひずみ曲線は、例えば三点曲げなどの曲げ試験によって取得することが可能である。
等価材料物性導出部52では、ケーブル剛性計測部44で実施した測定の対象のケーブル10の有限要素解析モデルを、解析モデル作成部53で作成し、仮想の物性値を用いて応力−ひずみ曲線を計算する。計測で得られた応力−ひずみ曲線と計算により得られた応力−ひずみ曲線の差を評価し、指定された物性範囲および繰り返し数の中で最も差が小さくなる材料物性を探索することで等価な材料物性を算出する。探索のアルゴリズムとしては、網羅探索、最小勾配法、遺伝的アルゴリズム法等が使用できる。
材料モデルとしては、例えば、ケーブル10の導体部を除く領域を弾塑性体とし、導体部分を弾性体と近似することが可能である。
(S103):解析モデル作成部53は、曲げ癖を有するケーブル10の有限要素解析モデルを、入力されたケーブル10の半径、ケーブル10の長さ、曲げ癖の曲率半径、素線11の撚り方式、素線11の半径、素線11の本数、素線11の撚りピッチから作成する。曲げ癖を有するケーブル10の有限要素解析モデルは、以下の手順で作成できる。
まず、解析モデル作成部53は、前記入力パラメータに従い、直線状のケーブル10の有限要素解析モデルを作成する(図6(a)直線形状作成)。次に、直線状の有限要素解析モデルを変形状態計算部54にて入力された曲げ癖の曲率半径に応じて変形させる(図6(b)曲げ癖の曲率半径分変形)。次に、この際に得られる形状情報のみ(応力等の情報は除く)を有限要素解析モデルとして、次のステップに引き渡す(図6(c)形状のみ引渡し)。
(S104):変形状態計算部54は、S103で作成した有限要素解析モデルを直線状に変形させ、ケーブル内部の応力分布を計算する(図6(d)直線状に変形し応力分布計算)。
(S105):変形状態計算部54は、曲げ癖の設置方向を決定するためにケーブル10の軸周りの回転角度を設定し、直線状に変形させたケーブルモデル(有限要素解析モデル)を設定された回転角度(初期値は、設置角度θ=0°)で配置する(図6(e)設置角度θで設置)。
なお、本実施形態では、導体と該導体を被覆する樹脂シース15とを含むケーブル10を水平に配置し該ケーブル10の軸心に沿う鉛直面を基準面にし、鉛直方向にケーブル10を屈曲させる。基準面に対するケーブル10の軸周りの回転角度を設定している。初期値として、設置角度θを0°としているが、任意の設置角度からS106の計算を開始してもよい。
(S106):変形状態計算部54は、入力された負荷条件に応じ、ケーブル10を変形させケーブル10の変形状態と面外変形量を計算する(図6(f)指定負荷条件にて変形、図6(g)面外変形量、ケーブル変形状態を計算)。
(S107):変形状態計算部54は、設置方向を示す設置角度θが上限値θmax(=360゜)に達したか否かを判定する。上限値θmaxに達していない場合(S107,No)、S108に進み、達している場合(S107,Yes)、S109に進む。なお、上限値θmaxは、面外変形を評価する上での所定の値であればよい。
(S108):変形状態計算部54は、設置角度θを指定した刻み幅Δθだけ増加させて値を更新し、S105に戻る。
(S109):出力演算部55は、想定される負荷経路に対する面外変形量のばらつき幅や、変形状態を演算し、出力デバイス42に表示する(図6(g))。
なお、S102で作成する有限要素解析モデルと、S103における図6(a)で示す有限要素解析モデルとの相違点を説明すると、ケーブル10の長さと負荷条件のみが異なる。S102で作成する有限要素解析モデルでは、図6(b)で示す曲げ癖のモデル化は必要ない。負荷条件としては、例えば、三点曲げの場合、荷重、変位の時刻履歴等を与えるとよい。よって、S102で作成する有限要素解析モデルには、図6(a)の有限要素解析モデルのケーブル長さを適宜変更して利用するとよい。
(実施形態の作用・効果の確認)
本実施形態の効果を確認するため、以下に示す電源ケーブル20を作製し、面外変形量を測定して予測精度を確認した。
(電源ケーブル作製方法)
まず、図3に示したケーブル10を作製した。作製した電源ケーブル20は、中心導体12(直径3.4mm、29芯)の外周に、絶縁層13としてPE層(厚さ0.5mm)、最外層の樹脂シース15としてEPDM層(厚さ0.8mm)が順次形成されたケーブル10(外径8.0mm)を用意した。
次に、電源ケーブル20を作製するために、接続端子21間の距離が160mmになる長さで、ケーブル10をボビンから切り出した。切り出した直後のケーブル10には、ボビンに巻き付け保管されていた影響で、曲率半径約100mmの巻き癖があった。最後に、ケーブル10の両端を端末加工して接続端子21を取り付け、電源ケーブル20を作製した。
(面外変形測定方法)
図7は、ケーブルの巻き癖に対する設置方向を示す説明図である。図7は、ケーブル10の巻き癖方向とケーブルにL字曲げを課す平面(x‐y平面)との関係を理解するためのイメージ図である。図7を参照して、電源ケーブル20の面外変形量の測定方法について説明する。
電源ケーブル20は、その一端(ケーブル端A)が原点Oに固定されている状態である。その上で、電源ケーブル20の他端(ケーブル端B)はフリーの状態にして(例えば、チャック等で挟まない状態で)、ケーブル10の巻き癖が明確に表れたと想定した場合の電源ケーブル20(具体的には、電源ケーブル201〜203)の形状を示したものである。
より具体的に説明すると、電源ケーブル201は、ケーブル10の巻き癖方向がx‐y平面内にあり、フリーのケーブル端Bがy軸(y”軸)の正の領域にある場合を示している(以下、これを設置方向0゜と定義する)。電源ケーブル202は、ケーブル10の巻き癖方向がx‐z平面内にあり、フリーのケーブル端Bがz軸(z”軸)の正の領域にある場合を示している(以下、これを設置方向90゜と定義する)。電源ケーブル203は、ケーブル10の巻き癖方向がx‐z平面内にあり、フリーのケーブル端Bがz軸(z”軸)の負の領域にある場合を示している(以下、これを設置方向270゜と定義する)。
面外変形量の測定においては、ケーブル端Bをチャックで挟んでx軸上(x‐x”軸上)に一旦移動した後に、x‐y平面内でケーブル端Bを動かして電源ケーブル201,202,203に対してL字曲げを課した。このとき、電源ケーブル201,202,203のケーブル10が面外方向(z方向)に変形した最大量を測定した。
なお、図7は、原点Oが例えば図1の接続端子21に対応し、そこからの所定の長さのケーブル10を想定したものである。実際には図1のようにS字曲げとなるが、本実施形態においては、より基本的な変形モードであるL字曲げを対象とする。S字曲げはL字曲げの組み合わせからなるため、S字曲げにおいても本実施形態と同様の効果が得られる。
表1は、実施形態の効果を示す図であり、特に0゜、90°、270゜の設置方向でL字状に曲げた際における、面外変形量の予測結果と実験結果を示す表である。表1に、測定値と本発明による予測値の比較結果(面外変形量の測定値と予測値の比較結果)を示す。
Figure 2018081728
本実施形態のケーブル面外変形の予測装置100は、導体と該導体を被覆する樹脂シース15とを含むケーブル10を水平に配置し該ケーブル10の軸心に沿う鉛直面を基準面にし、応力無負荷環境下で弧を描こうとする巻き癖を有するケーブル10を鉛直方向に屈曲させた際の面外変形の予測に必要となる入力パラメータを受付ける入力デバイス41と、ケーブル10全体の等価材料物性値を、計測された応力ひずみ曲線から導出する等価材料物性導出部52と、導出されたケーブル10の等価材料物性値に基づき、入力デバイス41から入力された曲げ癖の曲率半径を有する形状を再現した有限要素解析モデルを作成し(例えば、S103,図6(a)〜(c))、ケーブル10を直線状に変形させ、ケーブル10内の応力分布を計算し(S104,図6(d))、曲げ癖の設置方向を決定するためのケーブル10の軸周りの回転角度を設定する(S105,図6(e))解析モデル作成部53と、計算された応力分布および設定された回転角度を初期状態とし、入力デバイス41から入力された負荷条件に応じてケーブル10を変形させ、ケーブル10の変形状態と面外変形量を計算する(S106,図6(f))変形状態計算部54と、ケーブル10の変形状態と面外変形量の計算結果を(S109,図6(g))出力デバイス42に出力する出力演算部55とを有する。
以上説明したように、本発明に係る予測装置は、これまで予測困難であったケーブル屈曲時の面外変形量やそのばらつき幅を高い精度で予測することができる。その結果、ケーブル配索時に必要となるクリアランス値を事前に知ることができるため、予期しないケーブルの接触を最小限に抑えることが可能となる。
なお、前記した実施例は、本発明の理解を助けるために具体的に説明したものであり、本発明は、説明した全ての構成を備えることに限定されるものではない。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。さらに、各実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。また、本発明の適用範囲は特にインホイールモータ用のケーブルに限定されるものでなく、自動車用のその他屈曲ケーブルや産業ロボット用のケーブルなど屈曲用途のケーブル全般に適用可能である。
10 ケーブル
11 素線
12 中心導体(導体)
13 絶縁層
14 補強編組層
15 樹脂シース
20,20a,20b,20c,201,202,203 電源ケーブル
21 接続端子
30 インホイールモータ
31 サスペンションアーム
32 サスペンション
33 端子台
35 ホイール
41 入力デバイス
42 出力デバイス
43 記憶部
44 ケーブル剛性計測部
50 データ処理部
51 制御部
52 等価材料物性導出部
53 解析モデル作成部
54 変形状態計算部
55 出力演算部
100 予測装置

Claims (4)

  1. 曲げ癖を有するケーブルにおけるケーブル変形予測方法において、
    少なくとも応力無負荷環境下で弧を描こうとする前記ケーブルにおける曲げ癖の曲率半径を用いて、前記ケーブルの曲げ癖の形状を再現して作成した解析モデルを用いて、前記ケーブルを直線状に変形させ、前記ケーブル内の応力分布を計算する応力分布計算工程と、
    前記曲げ癖の設置方向を決定するための前記ケーブルの軸周りの回転角度を設定する回転角度設定工程と、
    前記計算された応力分布および前記設定された回転角度を初期状態とし、負荷条件に応じて前記ケーブルを変形させ、前記ケーブルの変形状態を計算するケーブル変形状態計算工程と、を有する
    ことを特徴とするケーブル変形予測方法。
  2. 前記負荷条件は、負荷の種類とその際の負荷の大きさによって決められる、
    ことを特徴する請求項1に記載のケーブル変形予測方法。
  3. 前記解析モデルは、前記ケーブルにおける半径、長さ、曲げ癖の曲率半径、素線の撚り方式、素線の半径、素線の本数、素線の撚りピッチから作成する、
    ことを特徴する請求項1又は2に記載のケーブル変形予測方法。
  4. 前記応力分布計算工程によって計算する応力分布は、前記ケーブルを直線状に変形させる前に得られる応力情報は除かれる、
    ことを特徴する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のケーブル変形予測方法。
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