JP2018080679A - シリンダヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】排気ポートや燃焼室の周囲を効果的に冷却することが可能なシリンダヘッドを提供する。
【解決手段】シリンダヘッド20は、下側ウォータジャケット30と、下側ウォータジャケット30の上方に配置された上側ウォータジャケットと、下側ウォータジャケット30と上側ウォータジャケットとを連通する連通路とを有する。下側ウォータジャケット30は、供給路70と、供給路70と連通路とを繋ぐ導出路としてのデッキ通路40と、ブロックウォータジャケット25から供給路70に冷却水を導入する第1導入路80と、ブロックウォータジャケット25を経由せずに供給路70に冷却水を導入する第2導入路81とを含む。供給路70には、突条75が形成されていて、供給路70の上流側端部において、第1導入路80の開口は突条75よりも上側の上壁74を指向しており、第2導入路81の開口は突条75よりも下側の下壁71を指向している。
【選択図】図3
【解決手段】シリンダヘッド20は、下側ウォータジャケット30と、下側ウォータジャケット30の上方に配置された上側ウォータジャケットと、下側ウォータジャケット30と上側ウォータジャケットとを連通する連通路とを有する。下側ウォータジャケット30は、供給路70と、供給路70と連通路とを繋ぐ導出路としてのデッキ通路40と、ブロックウォータジャケット25から供給路70に冷却水を導入する第1導入路80と、ブロックウォータジャケット25を経由せずに供給路70に冷却水を導入する第2導入路81とを含む。供給路70には、突条75が形成されていて、供給路70の上流側端部において、第1導入路80の開口は突条75よりも上側の上壁74を指向しており、第2導入路81の開口は突条75よりも下側の下壁71を指向している。
【選択図】図3
Description
本発明は、シリンダヘッドに関する。
特許文献1に記載されているシリンダヘッドは、下側ウォータジャケット及び上側ウォータジャケットを有している。下側ウォータジャケットと上側ウォータジャケットとは、上下二段に配置されている。シリンダヘッドには、下側ウォータジャケットと上側ウォータジャケットとを連通する連通路も設けられている。下側ウォータジャケットには、シリンダブロックに形成されたウォータジャケットから冷却水が流入する。シリンダヘッドには、内燃機関の各シリンダに対応して複数の排気ポートが形成されている。排気ポートは、各シリンダにおいて対になって形成されている。下側ウォータジャケットに流れた冷却水は、対になって配置された排気ポートの間を流れて連通路に流入し、上側ウォータジャケットに排出される。冷却水が下側ウォータジャケット、連通路、及び上側ウォータジャケットを順に流れることにより、シリンダヘッドが冷却される。
シリンダヘッドでは、燃焼熱を受ける燃焼室や高温の排気が流れる排気ポートの周囲が特に高温となりやすい。上記特許文献1に記載されているシリンダヘッドでは、シリンダブロックに形成されたウォータジャケットから供給された冷却水をまず下側ウォータジャケットに供給することで燃焼室や排気ポートの周囲を冷却している。しかしながら、下側ウォータジャケットに供給される冷却水は、シリンダブロックに形成されたウォータジャケットを通過した後の冷却水であることから、排気ポートや燃焼室の周囲を効果的に冷却できるとはいえないこともある。
上記課題を解決するためのシリンダヘッドは、下側ウォータジャケットと、前記下側ウォータジャケットの上方に配置された上側ウォータジャケットと、前記下側ウォータジャケットと前記上側ウォータジャケットとを連通する連通路とを有するシリンダヘッドであって、前記下側ウォータジャケットは、隣接する排気ポートの間に配置された供給路と、前記供給路の下流側端部に連結され、該供給路と前記連通路とを繋ぐ導出路と、前記供給路の上流側端部に連結され、シリンダブロックに形成されたウォータジャケットから前記供給路に冷却水を導入する第1導入路と、前記供給路の前記上流側端部に連結され、前記シリンダブロックに形成されたウォータジャケットを経由せずに前記供給路に冷却水を導入する第2導入路とを含み、前記供給路には、該供給路の側壁から前記供給路内に突出した突条が形成されていて、前記供給路の前記上流側端部において、前記第1導入路の開口は前記突条よりも上側に配置されている前記供給路の上壁を指向しており、前記第2導入路の開口は前記突条よりも下側に配置されている前記供給路の下壁を指向している。
上記構成では、下側ウォータジャケットの供給路において、突条よりも上側の上側領域にシリンダブロックのウォータジャケットを経由した高温の冷却水が供給され、突条よりも下側の下側領域にシリンダブロックのウォータジャケットを経由しない低温の冷却水が供給される。これらの冷却水は突条によって互いに混ざり合うことが抑えられ、温度分布をある程度保った状態で供給路から導出路に流れる。したがって、シリンダヘッドにおいて高温となりやすい燃焼室側の部分、及び排気ポートの周囲には低温の冷却水が供給されることとなり、排気ポートや燃焼室の周囲を効果的に冷却することが可能になる。
シリンダヘッドの一実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。なお、本実施形態は、直列4気筒の内燃機関のシリンダヘッドを例に説明する。
図1に示すように、内燃機関のシリンダブロック10には、シリンダ10Aが形成されている。シリンダ10Aは、図1の奥行き方向に4つ並設されている。各シリンダ10Aには、ピストン11が往復動可能に収容されている。シリンダブロック10の上面には、ガスケット12を介してシリンダヘッド20が連結されている。シリンダヘッド20の下面、シリンダ10Aの内面、及びピストン11の上面によって燃焼室13が構成されている。シリンダヘッド20には、燃焼室13にそれぞれ接続された吸気ポート21及び排気ポート22が形成されている。
図1に示すように、内燃機関のシリンダブロック10には、シリンダ10Aが形成されている。シリンダ10Aは、図1の奥行き方向に4つ並設されている。各シリンダ10Aには、ピストン11が往復動可能に収容されている。シリンダブロック10の上面には、ガスケット12を介してシリンダヘッド20が連結されている。シリンダヘッド20の下面、シリンダ10Aの内面、及びピストン11の上面によって燃焼室13が構成されている。シリンダヘッド20には、燃焼室13にそれぞれ接続された吸気ポート21及び排気ポート22が形成されている。
吸気ポート21は、各シリンダ10Aに対応して複数設けられている。吸気ポート21は、各シリンダ10Aにおいて2つずつ配置され、各シリンダ10A毎に吸気ポート21が対になっている。すなわち、本実施形態では、シリンダヘッド20には、シリンダ10Aの配列方向に沿って8つの吸気ポート21が形成されている。内燃機関には、各吸気ポート21と燃焼室13とを連通、遮断する吸気バルブ14も設けられている。
排気ポート22は、各シリンダ10Aに対応して複数設けられている。排気ポート22は、各シリンダ10Aにおいて2つずつ配置され、各シリンダ10A毎に排気ポート22が対になっている。すなわち、本実施形態では、シリンダヘッド20には、シリンダ10Aの配列方向に沿って8つの排気ポート22が形成されている。内燃機関には、各排気ポート22と燃焼室13とを連通、遮断する排気バルブ15も設けられている。
内燃機関の吸気ポート21には、図示しない燃料噴射弁から燃料が噴射される。噴射された燃料は、吸気と混ぜ合わされて燃焼室13に導入される。シリンダヘッド20には、燃焼室13内に導入された燃料と吸気との混合気を燃焼させるための点火プラグ16も設けられている。燃焼室13内で燃焼した混合気は、排気として排気ポート22へ排出される。
内燃機関には、該内燃機関を冷却するためのウォータジャケットが設けられている。ウォータジャケットは、シリンダブロック10及びシリンダヘッド20に形成されている。シリンダブロック10に形成されているウォータジャケットをブロックウォータジャケット25という。また、シリンダヘッド20には、上下二段にウォータジャケットが形成されており、下側、すなわちシリンダブロック10側に配置された方を下側ウォータジャケット30といい、他方を上側ウォータジャケット90という。内燃機関には、ウォータポンプ100も設けられている。ウォータポンプ100には冷却水通路101が連結されている。ウォータポンプ100が駆動すると冷却水通路101を通じて冷却水が供給され、ブロックウォータジャケット25、下側ウォータジャケット30、及び上側ウォータジャケット90を冷却水が流れる。
図2に示すように、ブロックウォータジャケット25は、吸気側ジャケット25Aを有している。吸気側ジャケット25Aは、シリンダ10Aの吸気ポート21側に配置されていて、シリンダ10Aの形状に沿って波状に形成されている。吸気側ジャケット25Aの一端には、排気側ジャケット25Bが連結されている。排気側ジャケット25Bは、シリンダ10Aの排気ポート22側に配置されていて、シリンダ10Aの形状に沿って波状に形成されている。ブロックウォータジャケット25は、複数のシリンダ10Aを囲むように形成されている。吸気側ジャケット25Aには、冷却水通路101が連結されている。
図1に示すように、ガスケット12には、複数の貫通孔12Aが形成されている。複数の貫通孔12Aによって、ブロックウォータジャケット25の吸気側ジャケット25A及び排気側ジャケット25Bが複数箇所で下側ウォータジャケット30と連通している。
図2に示すように、下側ウォータジャケット30は、シリンダ10Aの配列方向に延びているデッキ通路40を有している。デッキ通路40は、点火プラグ16の周囲を囲うように円環形状に形成された複数の環状部41と、各環状部41から上記配列方向の一端側に延びている第1通路42と、各環状部41から上記配列方向の他端側に延びている第2通路43とからなる。隣接する環状部41の間では、第1通路42と第2通路43とが連結されている。第1通路42と第2通路43とが連結している部分には、その連結部分の上端部に連通路95が連結されている。また、デッキ通路40における両端部であって、第1通路42及び第2通路43が連結していない部分では、第1通路42及び第2通路43のそれぞれに連通路95が連結されている。このように、デッキ通路40には、5つの連通路95が連結されている。各連通路95は上方に延びていて、上側ウォータジャケット90に連結されている。これらの連通路95によって、下側ウォータジャケット30と上側ウォータジャケット90とが連通している。
デッキ通路40には、吸気ポート21側に延びている吸気側通路50が連結されている。吸気側通路50は、デッキ通路40の第1通路42及び第2通路43から吸気ポート21側に延びている。吸気側通路50は、第1通路42に連結された第1湾曲部51と、第2通路43に連結された第2湾曲部52とからなる。第1湾曲部51及び第2湾曲部52は、その先端側ほど互いに近接するように延びていて、シリンダヘッド20に対になって配置されている各吸気ポート21の側方を囲うように湾曲して延びている。隣り合うシリンダ10Aにおいて、一方のシリンダ10Aに対応して配置されている第1湾曲部51と、他方のシリンダ10Aに対向して配置されている第2湾曲部52は、デッキ通路40側の端部が互いに連結されている。換言すれば、第1通路42と第2通路43とが連結している部分では、第1湾曲部51と第2湾曲部52とのデッキ通路40側の端部が連結している。第1湾曲部51と第2湾曲部52の先端部は、ガスケット12に形成されている貫通孔12Aを通じて、ブロックウォータジャケット25の吸気側ジャケット25Aと連通している。
また、デッキ通路40には、排気ポート22側に延びている排気側通路60も連結されている。排気側通路60は、第1通路42及び第2通路43に連結されて排気ポート22側に延びている傾斜部61と、傾斜部61の先端を連結している連結部62とからなる。傾斜部61は、一対の排気ポート22の側方に延びていて、デッキ通路40から離間するほど下方に位置するように傾斜して延びている。連結部62は、シリンダ10Aの配列方向に水平に延びていて、図1に示すように、排気ポート22の下方に配置されている。
図2に示すように、連結部62には、シリンダ10Aの配列方向における一端部に流出部63が連結されている。流出部63は、その直径が連通路95の直径よりも大きく、上方に延びて上側ウォータジャケット90に連結されている。したがって、下側ウォータジャケット30は、流出部63を通じても上側ウォータジャケット90と連通している。
上側ウォータジャケット90は、排気側通路60の上方に配置されており、シリンダ10Aの配列方向に延びている。図1に示すように、上側ウォータジャケット90は、排気ポート22の上方に配置されている。上側ウォータジャケット90及び下側ウォータジャケット30は、排気ポート22を上下方向に挟んでいる。図2に示すように、上側ウォータジャケット90には、シリンダ10Aの配列方向における一端部に、排出路91が連結されている。排出路91は、図示しないラジエータに繋がっている。
図2及び図3に示すように、下側ウォータジャケット30には、供給路70も設けられている。供給路70は、その一端部がデッキ通路40の環状部41に連結されている。この一端部を供給路70の下流側端部という。供給路70は、排気ポート22側(図3の左側)ほど下方に位置するように傾斜した状態で形成されている。すなわち、供給路70は、下流側端部の反対側の上流側端部が、下流側端部よりも下方に配置されている。図2に示すように、供給路70は、各シリンダ10A毎に設けられて互いに対になって配置されている排気ポート22の間に配置されている。すなわち、供給路70は、シリンダ10A毎に対となって隣接する排気ポート22の間に配置されている。
図4に示すように、供給路70は、断面四角形状に形成されている。すなわち、供給路70は、下方に位置する下壁71と、該下壁71の周縁から立設された一対の側壁72と、該一対の側壁72の上端部を連結する上壁74とを有する。供給路70は、下壁71、一対の側壁72、及び上壁74の一端部に連結された上流壁73も有する。上流壁73によって供給路70の上流側端部は閉塞されている。
供給路70の上流側端部には、第1導入路80が連結されている。第1導入路80は、供給路70の下壁71に連結されていて、下方に延びている。第1導入路80の開口は、供給路70の上壁74を指向している。第1導入路80は、ガスケット12に形成されている貫通孔12Aを通じてブロックウォータジャケット25の排気側ジャケット25Bと連通している。
供給路70の上流側端部には、第2導入路81も連結されている。図4に示すように、第2導入路81は、供給路70の上流壁73の中央部分に連結されている。図3に示すように、第2導入路81は、供給路70側ほど下方に位置するように傾斜している。そのため、第2導入路81の開口は、供給路70の下壁71を指向している。
図5に示すように、供給路70の一対の側壁72には、その壁面から供給路70内に突出した一対の突条75が形成されている。一対の突条75は、側壁72において上下方向の中央部分に配置されている。そのため、供給路70の上壁74は突条75よりも上側に配置されており、供給路70の下壁71は突条75よりも下側に配置されている。図3に示すように、一対の突条75は、供給路70において、下流側端部から上流側端部の第1導入路80が連結されている部分の手前まで連続して延びている。
図1に示すように、ウォータポンプ100に連結されている冷却水通路101は二股に分岐していて、その分岐した一端部がブロックウォータジャケット25の吸気側ジャケット25Aに連結されている一方で、分岐した他端部が下側ウォータジャケット30の第2導入路81に連結されている。
次にウォータジャケットにおける冷却水の流れについて説明する。
図2に示すように、冷却水通路101からブロックウォータジャケット25に供給された冷却水は、吸気側ジャケット25A及び排気側ジャケット25Bを順に流れる。冷却水がブロックウォータジャケット25を流れることにより、シリンダブロック10の熱が冷却水に伝えられ、シリンダブロック10が冷却される。ブロックウォータジャケット25を流れた冷却水は、ガスケット12に形成されている貫通孔12Aを通じて下側ウォータジャケット30に流れる。排気側ジャケット25Bから貫通孔12Aを通じて下側ウォータジャケット30に流れた冷却水は、第1導入路80を通じて供給路70に供給される。すなわち、第1導入路80は、供給路70の上流側端部に連結されており、シリンダブロック10に形成されたブロックウォータジャケット25から供給路70に冷却水を導入する。
図2に示すように、冷却水通路101からブロックウォータジャケット25に供給された冷却水は、吸気側ジャケット25A及び排気側ジャケット25Bを順に流れる。冷却水がブロックウォータジャケット25を流れることにより、シリンダブロック10の熱が冷却水に伝えられ、シリンダブロック10が冷却される。ブロックウォータジャケット25を流れた冷却水は、ガスケット12に形成されている貫通孔12Aを通じて下側ウォータジャケット30に流れる。排気側ジャケット25Bから貫通孔12Aを通じて下側ウォータジャケット30に流れた冷却水は、第1導入路80を通じて供給路70に供給される。すなわち、第1導入路80は、供給路70の上流側端部に連結されており、シリンダブロック10に形成されたブロックウォータジャケット25から供給路70に冷却水を導入する。
図6に白抜き矢印で示すように、排気側ジャケット25B内では冷却水はシリンダ10Aの配列方向(図6の左右方向)に流れる。一方で、第1導入路80内では、冷却水は上方に流れることとなる。そのため、排気側ジャケット25Bから第1導入路80への移行部分では、排気側ジャケット25B内での流れの影響を受けて、排気側ジャケット25Bの流れ方向前方側(図6の右側)に偏って冷却水が流れることとなる。供給路70へもこの流れに沿って冷却水が流れるため、供給路70の上流側端部では、図6に一点鎖線の矢印で示すように、第2導入路81が連結されている中央部分から偏心した位置を冷却水が流れる。第1導入路80の開口は供給路70の上壁74を指向しているため、図3に一点鎖線の矢印で示すように、第1導入路80から供給された冷却水は、供給路70の上壁74に沿って突条75よりも上側の上側領域に流入する。第1導入路80から供給路70への冷却水の供給は、上述したように排気側ジャケット25Bの流れ方向前方(図3の手前側)に偏った流れとなることから、上側領域を流れる冷却水は、上壁74から側方に流れて一方の側壁72に沿って下方に流動する。そして、突条75に達すると、該突条75によってその流れが下方から他方の側壁72側に指向され、該他方の側壁72から上壁74に向かって流れる。すなわち、図3及び図6に一点鎖線の矢印で示すように、上側領域内では、冷却水が螺旋状に流動する。
また、図3に二点鎖線の矢印で示すように、供給路70には、第2導入路81に導入された冷却水も供給される。第2導入路81には、冷却水通路101を通じて冷却水が導入されており、この冷却水はシリンダブロック10に形成されたブロックウォータジャケット25を経由していない。すなわち、第2導入路81は、供給路70の上流側端部に連結されており、シリンダブロック10に形成されたブロックウォータジャケット25を経由せずに供給路70に冷却水を導入する。第2導入路81の開口は、供給路70の下壁71を指向しているため、第2導入路81から供給された冷却水は、供給路70の下壁71に沿って突条75よりも下側の下側領域に流入する。なお、第1導入路80から供給路70に導入された冷却水は、第2導入路81が連結されている中央部分から偏心した位置を流れることから、第1導入路80から導入された冷却水と、第2導入路81から導入された冷却水とが干渉することが抑えられている。また、第2導入路81から導入される冷却水の量は、第1導入路80から導入される冷却水の量よりも多い。そのこともあって、上側領域を流れる冷却水は、一対の突条75の間から下側領域に流入しにくい。
図7に示すように、供給路70を流れる冷却水は、デッキ通路40の環状部41に流れる。この場合、図7に一点鎖線の矢印で示すように、供給路70の上側領域を流れる冷却水は環状部41の上方に流入し、図7に二点鎖線の矢印で示すように、供給路70の下側領域を流れる冷却水は環状部41の下方に流入する。
図8に示すように、環状部41に流れた冷却水は、第1通路42及び第2通路43に分岐して流れる。デッキ通路40には、その上方に連通路95が接続されている。図8に一点鎖線の矢印で示すように、上側領域から環状部41に流れた冷却水は、第1通路42または第2通路43の上方部分を流れるため、そのまま連通路95に流入する。このように、供給路70に連結された環状部41と、第1通路42及び第2通路43とは、供給路70と連通路95とを繋ぐ導出路として機能している。連通路95に流入した冷却水は上側ウォータジャケット90に排出され、該上側ウォータジャケット90内を流動する。上側ウォータジャケット90内の冷却水は、図2に示すように排出路91を通じて外部に排出される。なお、各連通路95の流路面積は、上側領域を流れた冷却水の流入によって各連通路95が満たされるように設定されている。
また、下側領域から環状部41に流れた冷却水は、上述したように上側領域を流れた冷却水によって連通路95が満たされることから、連通路95へは流入しにくく、排気側通路60へと流動し易い。そのため、図8に二点鎖線の矢印で示すように、下側領域から環状部41に流れた冷却水は、デッキ通路40から排気側通路60へと流れ、該排気側通路60に連結されている流出部63まで流動する。そして、流出部63から上側ウォータジャケット90に流れて排出路91へ排出される。
また、図2に示すように、ブロックウォータジャケット25の吸気側ジャケット25Aから下側ウォータジャケット30に供給された冷却水は、吸気側通路50の第1湾曲部51及び第2湾曲部52を通ってデッキ通路40に流入する。
吸気側通路50からデッキ通路40に流入した冷却水は、上述したように上側領域を流れた冷却水によって連通路95が満たされることから、連通路95へは流入しにくく、排気側通路60へと流動し易い。そのため、図8に破線の矢印で示すように、吸気側通路50からデッキ通路40に流入した冷却水は、デッキ通路40から排気側通路60へと流れ、該排気側通路60に連結されている流出部63まで流動する。そして、流出部63から上側ウォータジャケット90に流れて排出路91へ排出される。このように、下側ウォータジャケット30及び上側ウォータジャケット90を冷却水が流動することにより、シリンダヘッド20の熱が冷却水に伝えられ、シリンダヘッド20が冷却される。
本実施形態の作用効果について説明する。
(1)本実施形態では、下側ウォータジャケット30の供給路70において、突条75よりも上側の上側領域にシリンダブロック10のブロックウォータジャケット25を経由した高温の冷却水が供給され、突条75よりも下側の下側領域にシリンダヘッド20のブロックウォータジャケット25を経由しない低温の冷却水が供給される。これらの冷却水は突条75によって互いに混ざり合うことが抑えられ、温度分布をある程度保った状態で供給路70からデッキ通路40に流れる。したがって、シリンダヘッド20において高温となりやすい燃焼室13側の部分、及び排気ポート22の周囲には低温の冷却水が供給されることとなり、排気ポート22や燃焼室13の周囲を効果的に冷却することが可能になる。
(1)本実施形態では、下側ウォータジャケット30の供給路70において、突条75よりも上側の上側領域にシリンダブロック10のブロックウォータジャケット25を経由した高温の冷却水が供給され、突条75よりも下側の下側領域にシリンダヘッド20のブロックウォータジャケット25を経由しない低温の冷却水が供給される。これらの冷却水は突条75によって互いに混ざり合うことが抑えられ、温度分布をある程度保った状態で供給路70からデッキ通路40に流れる。したがって、シリンダヘッド20において高温となりやすい燃焼室13側の部分、及び排気ポート22の周囲には低温の冷却水が供給されることとなり、排気ポート22や燃焼室13の周囲を効果的に冷却することが可能になる。
(2)供給路70の上側領域を流れる冷却水によって連通路95を満たすようにしている。そのため、供給路70の下側領域からデッキ通路40に供給された低温の冷却水は、連通路95を通じて上側ウォータジャケット90に流れにくく、下側ウォータジャケット30の排気側通路60を流動してから上側ウォータジャケット90に流れるようになる。そのため、下側ウォータジャケット30の広範囲に低温の冷却水を供給することが可能になり、シリンダヘッド20の燃焼室13側の部分の冷却効率を向上させることができる。
(3)下側ウォータジャケット30の吸気側通路50には、ブロックウォータジャケット25の吸気側ジャケット25Aから冷却水が供給される。吸気側ジャケット25Aを流れる冷却水は、排気側ジャケット25Bに比してシリンダブロック10から受け取る熱量が少ないことから、排気側ジャケット25Bを流れる冷却水に比して温度が低い。そして、下側ウォータジャケット30では、吸気側ジャケット25Aから供給された冷却水を、排気側通路60にも流動させてから上側ウォータジャケット90に排出するようにしている。そのため、下側ウォータジャケット30内を流動する冷却水の温度を低くして、シリンダヘッド20の燃焼室13側の部分の好適な冷却が可能になる。
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。
・供給路70に形成される突条75の構成は、上記実施形態のものに限らない。例えば、一対の側壁72のうち、一方のみに突条75を設けることも可能である。また、図9に示すように、供給路70の幅を中心部分ほど狭くするように突条905を設けることも可能である。また、供給路70の断面を上側領域と下側領域とで区画するように一方の側壁72から他方の側壁72まで連続して延びる突条を形成してもよい。また、突条75,905を供給路の70の下流側端部から上流側端部の第1導入路80が連結されている部分の手前まで連続して形成するのではなく、その間の一部のみに形成してもよいし、下流側端部から上流側端部まで断続的に形成してもよい。
・供給路70に形成される突条75の構成は、上記実施形態のものに限らない。例えば、一対の側壁72のうち、一方のみに突条75を設けることも可能である。また、図9に示すように、供給路70の幅を中心部分ほど狭くするように突条905を設けることも可能である。また、供給路70の断面を上側領域と下側領域とで区画するように一方の側壁72から他方の側壁72まで連続して延びる突条を形成してもよい。また、突条75,905を供給路の70の下流側端部から上流側端部の第1導入路80が連結されている部分の手前まで連続して形成するのではなく、その間の一部のみに形成してもよいし、下流側端部から上流側端部まで断続的に形成してもよい。
・供給路70の断面は四角形状に限らず、例えば円形状であってもよい。断面を円形状にした場合は、供給路70において、突条75が形成されている側壁から上側の部分を上壁74とし、上記側壁から下側の部分を下壁とすればよい。
・デッキ通路40の第1通路42及び第2通路43に連通路95を連結した例を示したが、連通路95は環状部41に連結されていてもよい。この場合には、環状部41が供給路70と連通路95とを繋ぐ導出路として機能する。
・第2導入路81から供給路70に導入される冷却水の量は、第1導入路80から供給路70に導入される冷却水の量よりも少なくてもよいし、第1導入路80から供給路70に導入される冷却水の量と同じでもよい。
・各連通路95の流路面積を、上側領域を流れた冷却水の流入によって各連通路95が満たされるように設定したが、各連通路95の流路面積の設定態様はこうしたものに限られない。例えば、上側領域を流れた冷却水の流入量よりも各連通路95の容量が大きくなるように連通路95の流路面積を設定してもよい。この場合であっても、上側領域を流れた温度の高い冷却水は上方へと流れ易いこともあり、連通路95を通じて上側ウォータジャケット90へ排出されやすい。そして、下側領域を流れた冷却水の一部は連通路95を通じて上側ウォータジャケット90へと流れる一方で、その他は排気側通路60へと流れる。そのため、シリンダヘッド20において高温となりやすい燃焼室13側の部分に低温の冷却水が供給されることとなり、上述した(1)と同様の作用効果を得ることはできる。
・冷却水通路101に連結された第2導入路81をそれぞれ供給路70に連結した構成を示した。こうした構成に代えて、例えば冷却水通路101に連結された第2導入路を備え、該第2導入路から分岐した複数の分岐路をそれぞれ供給路70に連結するといった構成を採用することも可能である。こうした構成であっても、シリンダブロック10に形成されたブロックウォータジャケット25を経由せずに供給路70に冷却水を導入することができる。
・シリンダヘッド20を直列4気筒の内燃機関に適用した例を示したが、これに限らない。直列6気筒や、V型の内燃機関などに用いられるシリンダヘッドに上記実施形態と同様の構成を提供することも可能である。
10…シリンダブロック、10A…シリンダ、11…ピストン、12…ガスケット、12A…貫通孔、13…燃焼室、14…吸気バルブ、15…排気バルブ、16…点火プラグ、20…シリンダヘッド、21…吸気ポート、22…排気ポート、25…ブロックウォータジャケット、25A…吸気側ジャケット、25B…排気側ジャケット、30…下側ウォータジャケット、40…デッキ通路、41…環状部、42…第1通路、43…第2通路、50…吸気側通路、51…第1湾曲部、52…第2湾曲部、60…排気側通路、61…傾斜部、62…連結部、63…流出部、70…供給路、71…下壁、72…側壁、73…上流壁、74…上壁、75,905…突条、80…第1導入路、81…第2導入路、90…上側ウォータジャケット、91…排出路、95…連通路、100…ウォータポンプ、101…冷却水通路。
Claims (1)
- 下側ウォータジャケットと、
前記下側ウォータジャケットの上方に配置された上側ウォータジャケットと、
前記下側ウォータジャケットと前記上側ウォータジャケットとを連通する連通路と
を有するシリンダヘッドであって、
前記下側ウォータジャケットは、
隣接する排気ポートの間に配置された供給路と、
前記供給路の下流側端部に連結され、該供給路と前記連通路とを繋ぐ導出路と、
前記供給路の上流側端部に連結され、シリンダブロックに形成されたウォータジャケットから前記供給路に冷却水を導入する第1導入路と、
前記供給路の前記上流側端部に連結され、前記シリンダブロックに形成されたウォータジャケットを経由せずに前記供給路に冷却水を導入する第2導入路と
を含み、
前記供給路には、該供給路の側壁から前記供給路内に突出した突条が形成されていて、
前記供給路の前記上流側端部において、前記第1導入路の開口は前記突条よりも上側に配置されている前記供給路の上壁を指向しており、前記第2導入路の開口は前記突条よりも下側に配置されている前記供給路の下壁を指向しているシリンダヘッド。
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---|---|---|---|
JP2016224932A JP2018080679A (ja) | 2016-11-18 | 2016-11-18 | シリンダヘッド |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020023947A (ja) * | 2018-08-08 | 2020-02-13 | トヨタ自動車株式会社 | シリンダヘッド |
CN111878247A (zh) * | 2020-08-24 | 2020-11-03 | 海马汽车有限公司 | 发动机冷却***和汽车 |
CN113236434A (zh) * | 2021-04-27 | 2021-08-10 | 重庆隆鑫机车有限公司 | 冷却水套及发动机 |
-
2016
- 2016-11-18 JP JP2016224932A patent/JP2018080679A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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