JP2018080065A - ガラス管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、このような大型サイズのガラス管を製造する場合、成形されたガラス管を所望の長さに切断する際に起こるガラス管内の気圧の変動によって、未だ軟化状態にある切断前のガラス管の外径や肉厚が変動し易く、最終製品としてのガラス管の品質低下を引起こす要因となっていた。
即ち、前記「特許文献1」においては、ガラス管の下端部より管内に閉塞栓を挿入して当該ガラス管内を閉塞させるとともに、パイプを介して前記ガラス管の上端部より管内にガスを供給することにより、前記ガラス管の外部と内部との圧力差が一定となるように、ガラス管内の圧力を制御することを特徴とするガラス管の製造方法に関する技術が開示されている。
また、前記「特許文献1」においては、ガラス管内に閉塞栓を挿入する代わりに、ガラス管の端部を切断装置とともに切断室(与圧室)によって囲う方法、およびガラス管の端部を切断装置とともに水槽内に設ける方法についても、別実施形態として開示されている。
しかしながら、このようなガラス管の製造方法では、ガラス管内に閉塞栓を挿入して保持するための装置が大掛かりなものとなり、設備コストの増加を招く要因となる。
また、ガラス管の端部を切断装置とともに切断室(与圧室)によって囲う場合、またはガラス管の端部を切断装置とともに水槽内に設ける場合においても同様に、切断装置や切断後のガラス管を搬出する搬出装置などを、切断室(与圧室)または水槽内に配置する必要があることから、設備全体として大掛かりなものとなり、設備コストの増加を招く要因となる。
具体的には、例えば加熱炉による加熱によってガラス管内の気体が膨張し、当該ガラス管内の気圧が上昇したとしても、前記ガラス管内の気体を強制的に吸引して気圧を下げることで、前記ガラス管の外部と内部との圧力差を常に略一定に保つことが可能となり、切断時におけるガラス管内の気圧の変動を抑制し、最終製品としてのガラス管の品質向上を図ることができる。
その結果、ガラス管を捻じ切る際、当該ガラス管においては、切断箇所より離間する両側より切断箇所に向かうにつれて、徐々に軟化が進んだ状態となるため、ガラス管を安定して切断箇所にて切断することができる。
また、ガラス管を捻じ切る際、ガラス管の外径サイズは徐々に縮小することとなるが、複数のバーナーの炎の長さを各々可変させることにより、ガラス管の外周面に対するバーナーの火力を、常に一定に保持することができる。
また、例えば捻じ切ることによりガラス管を切断する場合においては、ガラス管の切断箇所が定位置にて保持されるため、当該ガラス管を捻じ切るためのトルクを安定して前記切断箇所にて発生させることができる。
そして、複数のガイドローラーによってガラス管の切断箇所が圧接されることにより、軟化状態にある切断箇所、およびその周囲の部位が、ガラス管の軸心に向かって強制的に押し込まれることとなり、当該押し込まれた部位によって、ガラス管の捻じ切り箇所は、より確実に封止されることとなる。
即ち、本発明に係るガラス管の製造方法によれば、比較的大型なサイズのガラス管を形成し、形成されたガラス管を所定の切断箇所にて切断する場合であっても、大掛かりな装置を別途設けることもなく、簡易な構成によって、切断時におけるガラス管内の気圧の変動を抑制し、最終製品としてのガラス管の品質向上を図ることができる。
なお、以下の説明においては便宜上、図1および図2の上下方向をガラス管Gの製造装置1の上下方向と規定して記述する。
また、図1および図2においては、矢印Aの方向をガラス管Gの引出し方向と規定して説明する。
先ず、本発明に係るガラス管の製造方法を具現化する、ガラス管Gの製造装置1(以下、単に「製造装置1」と記載する)の構成について、図1を用いて説明する。
ここで、製造装置1によって製造されるガラス管としては、例えば外径が50mmを超えるような比較的大型なサイズのガラス管Gが挙げられる。
より具体的には、製造装置1によって製造されるガラス管Gは、例えば、外径が125mm〜200mm、肉厚が1mm〜3mm、および製品長(最終製品としてのガラス管Gの全長)が1000mm〜4000mmの所定寸法からなる大型サイズのガラス管である。
フィーダー10は、上流側の溶融炉より供給される溶融ガラスGaによって内部を満たされたスパウト11、上下方向に貫通するオリフィス12aを有するとともにスパウト11の下面端部に配置されるオリフィス板12、およびオリフィス板12の上方においてスパウト11内の溶融ガラスGaに対して上方より挿入されるとともにオリフィス12aと同軸上に配設されるチューブ13などにより構成される。
成形体20は、溶融ガラスGaを円筒形状(管形状)に成形するための棒治具として用いられるものである。
成形体20は、丸棒形状の耐火物により構成される。
また、成形体20の一端部は、先端へ向かうにつれて徐々に縮径するテーパー部20aとして形成される。
また、成形体20は、チューブ13およびオリフィス12aと同軸上、且つオリフィス板12より下方に向かって突出するようにして配設される。
その結果、成形体20の外周面と、オリフィス12aの内周面との間には、環状の間隙部14が形成される。
また、前記貫通孔20bは、その上端部において、配管部材21を介して真空ポンプ22と連結されている。
加熱炉30は、成形体20に沿って成形されたガラス管Gを、所定の高温状態に加熱して保温するものである。
加熱炉30は、所謂マッフル炉により構成される。
具体的には、加熱炉30は、例えば円筒形状のマッフル(隔壁)31、およびマッフル31の内周面に沿って配設される複数の電熱線32・32・・・などにより構成される。
そして、このような軟化状態は、ガラス管Gに対して、オリフィス板12の下面(加熱炉30の上端部)より、マッフル31の出口側(下側)の端部を越えた地点に渡る「軟化領域B」において維持される。
封止装置40は、成形体20に沿って溶融ガラスGaが流下しながら形成されたガラス管Gを、所定方向(本実施形態においては、矢印Aの方向であって下方)に向かって引出すとともに、当該ガラス管Gを、所定の「切断箇所P」(図1中における切断箇所P)にて、封止した後に切断する(捻じ切る)ものである。
封止装置40は、詳細は後述するが、ガラス管Gに沿って上下方向に並設される一対の管引きローラー41・41、当該一対の管引きローラー41・41間にて上下方向に並列される複数のバーナーからなる燃焼機構42、および燃焼機構42の上下方向中央部に配設される複数(本実施形態においては二個)の封止ガイドローラー43・43などにより構成される。
この状態において、ガラス管Gは、一対の管引きローラー41・41によって前記「切断箇所P」にて捻じ切られる。この際、「軟化状態」となった「切断箇所P」を含むその近傍によって管内を封止された後に、ガラス管Gは捻じ切られる(切断される)こととなる。
このような構成を有することにより、本実施形態においては、例えば従来のように、大型サイズのガラス管Gを切断する際、「切断箇所P」の上側に位置するガラス管G内の気圧が変動して当該ガラス管Gの外形や肉厚が変動し、これ以後に切断されるガラス管Gの品質低下を引起こすのを防止することが可能となり、最終製品としてのガラス管Gの品質維持を図ることができる。
次に、封止装置40の構成について、図2を用いて詳述する。
封止装置40は、主に、管引きローラー41、燃焼機構42、および封止ガイドローラー43などにより構成される。
管引きローラー41は、複数の回転ローラー41A・41A・・・、これらの回転ローラー41A・41A・・・・を纏めて軸支する支持フレーム41B、各回転ローラー41Aを回転駆動させる第一駆動機構(図示せず)、および支持フレーム41Bを介して複数の回転ローラー41A・41A・・・を全体的に回転駆動させる第二駆動機構(図示せず)などにより構成される。
また、このような構成からなる複数の回転ローラー41A・41A・・・は、ガラス管Gの周囲に沿って各々配置される。
つまり、ガラス管Gは、複数の回転ローラー41A・41A・・・によって挟持され、管引きローラー41によって保持された状態となっている。
このように、上側管引きローラー41Uの回転速度V1と、下側管引きローラー41Dの回転速度V2との間において相対的な速度差を設けることにより、ガラス管Gは、「切断箇所P」にて捻じ切られる。
燃焼機構42は、管引きローラー41によってガラス管Gを捻じ切る際、当該ガラス管Gにおける、「切断箇所P」およびその上下領域を加熱して軟化させ、ガラス管Gの捻じ切り箇所を封止するものである。
燃焼機構42は、複数のバーナー42A・42A・・・・、およびこれらのバーナー42A・42A・・・の火力(炎の長さ)を任意に可変可能とする燃焼回路(図示せず)などにより構成される。
また、複数のバーナー42A・42A・・・は、正面視にて複数の「加熱箇所P1・P2・・・P6」からなる加熱領域Sに沿って上下方向に配置される。
一方、ガラス管Gにおいて「切断箇所P」より所定間隔だけ下方に離間した「加熱箇所P2」の周囲には、斜下方より「加熱箇所P2」に向かって炎を噴出すようにして支持される複数(図2においては断面図であるため二本のみ記載)のバーナー42A・42A・・・(以下、適宜「第二下側バーナー42A22」と記載する)が、平面視にてガラス管Gを中心にして放射状に配設される。
一方、ガラス管Gにおいて「加熱箇所P2」より所定間隔だけ下方に離間した「加熱箇所P4」の周囲には、斜下方より「加熱箇所P4」に向かって炎を噴出すようにして支持される複数(図2においては断面図であるため二本のみ記載)のバーナー42A・42A・・・(以下、適宜「第三下側バーナー42A32」と記載する)が、平面視にてガラス管Gを中心にして放射状に配設される。
一方、ガラス管Gにおいて「加熱箇所P4」より所定間隔だけ下方に離間した「加熱箇所P6」の周囲には、斜下方より「加熱箇所P6」に向かって炎を噴出すようにして支持される複数(図2においては断面図であるため二本のみ記載)のバーナー42A・42A・・・(以下、適宜「第四下側バーナー42A42」と記載する)が、平面視にてガラス管Gを中心にして放射状に配設される。
また、第三加熱ゾーンZ3を加熱する第三上側バーナー42A31および第三下側バーナー42A32の火力は、第二上側バーナー42A21(または、第二下側バーナー42A22)の火力に比べて、やや弱く設定されるとともに、第四加熱ゾーンZ4を加熱する第四上側バーナー42A41および第四下側バーナー42A42の火力は、第三上側バーナー42A31(または、第三下側バーナー42A32)の火力に比べて、やや弱く設定されている。
その結果、管引きローラー41によってガラス管Gを捻じ切る際、当該ガラス管Gにおいては、「切断箇所P」の上下両側より「切断箇所P」に向かうにつれて、徐々に軟化が進んだ状態となるため(即ち、「切断箇所P」の軟化が最も進んだ状態にあるため)、ガラス管Gは、安定して「切断箇所P」にて切断されることとなる。
即ち、加熱領域Sの範囲は、管引き回転ローラー41によってガラス管Gを捻じ切る際に、当該ガラス管Gの切断箇所を封止するのに必要な量のガラス管Gの部位に相当する範囲として設定される。
つまり、ガラス管Gの切断箇所を封止するには、当該ガラス管Gの内径サイズに基づき、加熱領域Sの範囲内における量のガラス管Gを軟化させる必要がある。
封止ガイドローラー43は、ガラス管Gの位置を規制するガイドローラーの一例であって、管引きローラー41によってガラス管Gを捻じ切る(切断する)際、当該ガラス管Gの「切断箇所P」を圧接して当該「切断箇所P」の位置を保持するものである。
封止ガイドローラー43は円板形状の部材からなり、その周縁部は断面視テーパー状に形成されている。
また、封止ガイドローラー43によってガラス管Gの「切断箇所P」が圧接されることにより、「軟化状態」にある「切断箇所P」、およびその周囲の部位が、ガラス管Gの軸心に向かって強制的に押し込まれることとなり、当該押し込まれた部位によって、ガラス管Gの捻じ切り箇所は、より確実に封止されることとなる。
次に、製造装置1によってガラス管Gを製造する場合において、封止装置40によってガラス管Gを封止しながら捻じ切る(切断する)際の動作手順について、図1および図2を用いて説明する。
また、形成されたガラス管Gは、成形体20の下端部(テーパー部20a)より垂下した状態となっており、その上端部が加熱炉30内に位置する一方、その下端部が封止装置40における一対の管引きローラー41・41によって挟持された状態となっている。
また、加熱炉30において、マッフル31内の温度は、電熱線32によって所定温度に昇温された状態となっている。
また、燃焼機構42を構成する複数のバーナー42A・42A・・・は、各々炎の噴出を停止した状態となっている。
また、複数の封止ガイドローラー43・43・・・は、ガラス管Gに対して各々離間した待機位置にて停止した状態となっている。
この際、これら一対の管引きローラー41・41において、上側管引きローラー41U全体の回転速度V2と、下側管引きローラー41D全体の回転速度V1とは、互いに同等に設定される(V1=V2)。
このように、本実施形態においては、真空ポンプ22によって、常にガラス管G内の吸引動作を行いながら、一対の管引きローラー41・41によってガラス管Gを下方に引出す構成となっている。
このような構成を有することにより、例えば、加熱炉30や燃焼機構42等による加熱によってガラス管G内の気体が膨張し、当該ガラス管G内の気圧が上昇したとしても、前記ガラス管G内の気体を強制的に吸引して気圧を下げることで、前記ガラス管Gの外部と内部との圧力差を常に略一定に保つことが可能となり、上側ガラス管Guの「軟化領域B」が影響を受けて外形や肉厚が変動するのを防止して、最終製品としてのガラス管Gの品質維持を図ることができる。
この際、前述したように、複数のバーナー42A・42A・・・より噴出される炎の長さは、バーナー42A毎に設定された所定長さに各々自動的に調整される。
その結果、ガラス管Gは、複数のバーナー42A・42A・・・による加熱によって軟化した「切断箇所P」において、複数の封止ガイドローラー43・43・・によって圧接された状態となる。
従って、従来においては、大型サイズのガラス管Gを切断する際、上側ガラス管Gu内の気圧が変動し、これにより当該上側ガラス管Guの「軟化領域B(図1を参照)」における外形や肉厚が変動することによって、最終製品としてのガラス管G(即ち、下側ガラス管Gd)の品質低下を引起こす要因となっていたが、本実施形態においては、上側ガラス管Guの下端部が封止されることから、このような上側ガラス管Gu内の気圧の変動を抑制することが可能となり、「軟化領域B」における当該上側ガラス管Guの外形や肉厚が変動するのを防止して、最終製品としてのガラス管Gの品質維持を図ることができる。
これにより、上側ガラス管Guおよび下側ガラス管Gdは、ともに同速度にて下方に引出される。
また、成形体20(図1を参照)より垂下する上側ガラス管Guは、その下端部が下側管引きローラー41Dを通過することにより、一対の管引きローラー41・41によって挟持された状態となる。
30 加熱炉
42A バーナー
42A11 第一上側バーナー
42A12 第一下側バーナー
42A21 第二上側バーナー
42A22 第二下側バーナー
42A31 第三上側バーナー
42A32 第三下側バーナー
42A41 第四上側バーナー
42A42 第四下側バーナー
43 封止ガイドローラー
G ガラス管
Ga 溶融ガラス
P 切断箇所
S 加熱領域
Claims (5)
- 成形体に沿って溶融ガラスを流下させることで該溶融ガラスを円筒形状に成形し、
成形された円筒形状の溶融ガラスを加熱炉によって加熱しつつ軟化状態とした後、徐冷しながら固化させることでガラス管を形成し、
形成された該ガラス管を所定の長さに引出した後、該ガラス管を所定の切断箇所にて切断する、ガラス管の製造方法であって、
前記ガラス管を引出す際、前記ガラス管内を吸引しながら行う、
ことを特徴とするガラス管の製造方法。 - 前記ガラス管における、前記切断箇所を含むその近傍の管内を封止した後に、
前記ガラス管を切断する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス管の製造方法。 - 前記ガラス管における、前記切断箇所を中心として前記ガラス管の両端側に延出する加熱領域を、加熱して軟化状態とした後に、
前記切断箇所にて捻じ切ることにより前記ガラス管を切断する、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガラス管の製造方法。 - 前記加熱領域は、
前記加熱領域に沿って配置される複数のバーナーによって加熱され、
前記複数のバーナーは、
それぞれ炎の長さを可変可能に構成される、
ことを特徴とする、請求項3に記載のガラス管の製造方法。 - 前記ガラス管を切断する際において、
前記ガラス管は、前記切断箇所にて複数のガイドローラーによって圧接される、
ことを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のガラス管の製造方法。
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