JP2018079591A - フッ素系樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

フッ素系樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、夾雑物が少なく、安定生産可能なフッ素系樹脂成形体の製造方法を提供することである。更には、夾雑物を減少させることにより、外観意匠性に優れ、種々の用途に適用し得るフッ素系樹脂フィルムを提供することである。【解決手段】二軸押出機を用いて1種のフッ素系樹脂を混練する工程を含む、フッ素系樹脂成形体の製造方法。国立印刷局製造の夾雑物測定図表で0.2mm2以上に相当する夾雑物の含有量が10個/m2以下である、フッ素系樹脂積層フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、フッ素系樹脂成形体及びその製造方法に関する。より詳しくは、フッ素系樹脂フィルム又はフッ素系樹脂積層フィルムに関する。
フッ化ビニリデン系樹脂等のフッ素系樹脂フィルム、又は、メタクリル系樹脂組成物と共押出成形されたフッ素系樹脂積層フィルムは、耐候性、耐薬品性及び耐汚染性に優れているためプラスチック、硝子、スレート、ゴム、金属板、木板等の各種基材の表面にラミネートされる保護フィルムとして広く使用されている。また、フッ素系樹脂積層フィルムで表面が保護された各種成形体は、建築物の内装材、外装材、家具等の多くの用途で使用されている。
近年、樹脂成形体の表面を加飾する方法として、塗装に代わり、印刷等により加飾されたフィルムを射出成形金型内に挿入し、射出成形した後に、加飾層のみを成形体表面に転写してからフィルムを剥がす転写法;加飾されたフィルムを樹脂成形体の最表面として成形体に残すインサート成形法;インモールド成形法等の射出成形と同時に加飾を施す方法;フィルムを射出成形体表面にラミネーションする方法等が広く用いられている。
これらのフィルムとして、メタクリル系樹脂フィルムが用いられているが、耐候性、耐薬品性及び耐汚染性に優れているフッ素系樹脂積層フィルムが加飾用フィルムに用いられる場面が広がっている。
しかしながら、加飾用フィルムを自動車等の内外装材料、光学材料、建設材料、パソコン部材、家庭電化製品の保護用フィルムとして用いる場合、フィルム中に100μm以上の夾雑物が存在することが問題となっていた。このことは、上記加飾用フィルムの使用条件を著しく限定することとなっていた。
フィルム中の夾雑物を除去する方法としては、例えば、押出工程において200〜600メッシュのスクリーンメッシュを用いて濾過する方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、スクリーンメッシュを用いる方法では濾過面積が小さく、スクリーンメッシュ自体の強度も小さいことから、押出吐出量を上げられないという問題がある。
また、フィルム中の夾雑物を除去する方法として、リーフディスクタイプのポリマーフィルターを用いて濾過する方法も知られている(特許文献2〜6)。リーフディスクタイプのポリマーフィルターは濾過面積が広く、高粘度の樹脂を濾過した場合でも圧力損失が少ない。しかしながら、リーフディスクタイプのフィルターを直列方向に連結して濾過面積を広くしているため、滞留時間が延びて樹脂が劣化しやすく、フッ素系樹脂を濾過する場合には、フッ化水素が生成するという問題がある。
特開平9−263614号公報 実開昭61−815号公報 特開2006−88081号公報 特開2007−254727号公報 特開2007−262399号公報 特開2010−17948号公報
そこで、本発明の目的は、夾雑物が少なく、安定生産可能なフッ素系樹脂成形体の製造方法を提供することである。更には、夾雑物を減少させることにより、外観意匠性に優れ、種々の用途に適用し得るフッ素系樹脂フィルムを提供することである。
本発明者は、上記問題点について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の[1]〜[11]の特徴を有する。
[1] 二軸押出機を用いて1種のフッ素系樹脂を混練する工程を含む、フッ素系樹脂成形体の製造方法。
[2] 前記フッ素系樹脂の、JIS K7210に準拠し、温度220℃、荷重49Nの条件で測定されるメルトフローレイトが1[g/10分]以上である、[1]の製造方法。
[3] 前記フッ素系樹脂がフッ化ビニリデン系樹脂である、[1]又は[2]の製造方法。
[4] フッ素系樹脂を混練する工程の前に、JIS K7210に準拠し、温度220℃、荷重49Nの条件で測定されるメルトフローレイトが1[g/10分]以上のメタクリル系樹脂(A)を用いて二軸押出機内を洗浄する工程を含む、[1]〜[3]のいずれかの製造方法。
[5] フッ素系樹脂成形体がペレット又はフィルムである、[1]〜[4]のいずれかの製造方法。
[6] 前記フィルムがフッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層とを含むフッ素系樹脂積層フィルムである、[5]の製造方法。
[7] 前記フィルムの熱可塑性樹脂層がアクリル系樹脂(B)を含む、[6]の製造方法。
[8] 前記アクリル系樹脂(B)がゴム含有重合体を含む、[7]の製造方法。
[9] 前記熱可塑性樹脂層が耐光安定剤を含む、[6]〜[8]のいずれかの製造方法。
[10] 前記フッ素系樹脂積層フィルムが共押出法で成形される、[6]〜[9]のいずれかの製造方法。
[11] 国立印刷局製造の夾雑物測定図表で0.2mm以上に相当する夾雑物の含有量が10個/m以下である、フッ素系樹脂積層フィルム。
本発明の製造方法は、夾雑物が少なく、安定生産可能なフッ素系樹脂成形体の製造方法を提供できる。また、夾雑物を減少させることにより、外観意匠性に優れ、種々の用途に適用し得るフッ素系樹脂フィルムを提供できる。
<フッ素系樹脂>
本発明のフッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン/アルキル(メタ)アクリレート系共重合体が挙げられる。
これらの内、得られるフッ素系樹脂フィルムの耐候性、耐薬品性、耐汚染性、製膜性が良好であることから、フッ化ビニリデン系樹脂が好ましい。
フッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデン単位を有するビニル重合体であればよく、フッ化ビニリデンの単独重合体であっても、フッ化ビニリデンと他のビニル単量体との共重合体であってもよい。他のビニル単量体としては、例えば、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレン等のフッ素化されたビニル単量体;スチレン、エチレン、ブタジエン、プロピレン等のビニル単量体が挙げられる。
フッ素系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210に準拠し、温度220℃、荷重49Nの条件で測定したときに、1[g/10分]以上が好ましく、5[g/10分]以上がより好ましく、15[g/10分]以上が更に好ましい。
MFRが1[g/10分]以上であれば、フッ素系樹脂フィルムの製膜性及び外観が良好となる。
MFRが1[g/10分]以上のフッ素系樹脂としては、公知のものを用いることができる。市販品としては、例えば、(株)クレハ製のKFポリマーT#850;アルケマ(株)製のKYNAR710、KYNAR711、KYNAR720、KYNAR721、KYNAR740、KYNAR741、KYNAR FLEX2800−20、KYNAR FLEX2500−20(以上、商品名)が挙げられる。
本発明で、二軸押出機を用いてフッ素系樹脂を混練する工程では、フッ素系樹脂は実質的に1種である。
意図的に、異種のフッ素系樹脂又はフッ素系樹脂組成物;その他の樹脂;安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、艶消剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の配合剤を配合して混練はしない。
<二軸押出機>
本発明に用いる二軸押出機としては、同方向二軸押出機、異方向二軸押出機等の一般的な装置が挙げられる。
スクリュー構成としては、フッ素系樹脂を搬送する搬送部とニーディングゾーンや溶融物の送り方向が逆のスクリューセグメント(螺旋の巻き方向が逆のスクリューセグメント)等、フッ素系樹脂を混練するための混練部を有するスクリュー構成が挙げられる。
押出機は、原料であるフッ素系樹脂中の水分や溶融物から発生する揮発ガスを脱気するベントを有することが好ましい。ベントには真空ポンプ等の減圧用ポンプを設置する。これにより、発生水分や揮発ガスは効率よく押出機外部へ排出される。
また、原料中に混入した夾雑物等を除去するために、溶融状態にあるフッ素系樹脂を200メッシュ以上のスクリーンメッシュで濾過しながら押出しすることが好ましい。
本発明で得られるフッ素系樹脂成形体がペレットである場合、カット方法としては、水中カット、ホットカット、ストランドカット等が挙げられる。こられの内、ダイから溶融樹脂を細い紐状に押出し、水槽へ引き込み冷却し、その後切断するストランドカットが好ましい。
フッ素系樹脂を投入して二軸混練する前には、スクリューを抜いて押出機を分解洗浄することや、フッ素系樹脂によって二軸押出機内を共洗い洗浄することで、フッ素系樹脂成形体中の夾雑物を少なくできる。しかしながら、フッ素系樹脂は高価であり、多量のフッ素系樹脂によって二軸押出機内を共洗い洗浄することはコストアップとなる。従って、フッ素系樹脂を混練する工程の前に、メタクリル系樹脂(A)を用いて二軸押出機内を洗浄する工程を含むことが好ましい。
<メタクリル系樹脂(A)>
本発明で用いるメタクリル系樹脂(A)は、アルキル(メタ)アクリレート単位を主成分とするものである。また、後述するゴム含有重合体を含んでいてもよい。
メタクリル系樹脂(A)としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位50〜100質量%、及び、他のビニル単量体単位0〜50質量%を含有し、還元粘度が0.1L/g以下である。
還元粘度は周知の方法で測定できるが、例えば、重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定できる。
炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位の含有率は70〜100質量%が好ましい。また、メタクリル系樹脂(A)は、Tgが80〜110℃であることが好ましい。
メタクリル系樹脂(A)のMFRは、JIS K7210に準拠し、温度220℃、荷重49Nの条件で測定したときに、1[g/10分]以上が好ましく、3[g/10分]以上がより好ましく、5[g/10分]以上が更に好ましい。
MFRが1[g/10分]以上であれば、その後のフッ素系樹脂を混練する工程において、メタクリル系樹脂(A)をフッ素系樹脂で置換することが容易である。
MFRが1[g/10分]以上のメタクリル系樹脂(A)は、公知のものを用いることができる。市販品としては、例えば、三菱レイヨン(株)製のアクリペットMD、アクリペットMF(以上、商品名)が挙げられる。
<フッ素系樹脂成形体>
本発明で得られるフッ素系樹脂成形体としては、例えば、ペレット、フィルム、積層フィルム、シートが挙げられるが、二軸押出機を用いて実質的に1種のフッ素系樹脂を混練する工程を含むフッ素系樹脂成形体であれば特に限定されない。
<フィルム>
本発明で得られるフッ素系樹脂成形体がフィルムである場合、例えば、溶融流延法や、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法等の公知の方法によって製造できる。これらの内、経済性の点でTダイ法が好ましい。
溶融押出温度は150〜235℃程度である。押出機としては単軸押出機、二軸押出機が挙げられる。
Tダイ法でフィルムを成形する場合、金属ロール、非金属ロール、金属ベルトから選ばれる複数のロール又はベルトに狭持して製膜する方法を用いれば、得られるフィルムの表面平滑性を向上させ、フィルムに印刷処理した際の印刷抜けを抑制できる。
尚、金属ロールとしては、特許第2808251号公報に記載の金属製の鏡面タッチロール、WO97/28950号公報に記載の金属スリーブ(金属製薄膜パイプ)と成形用ロールからなるスリーブタッチ方式で使用されるロールを例示できる。
非金属ロールとしては、シリコンゴム製等のタッチロールを例示できる。金属ベルトとしては、金属製のエンドレスベルトを例示できる。これらの金属ロール、非金属ロール、金属ベルトは、複数を組み合わせて用いてもよい。
複数のロール又はベルトに狭持して製膜する方法では、溶融押出後のフッ素系樹脂を実質的にバンク(樹脂溜まり)が無い状態で狭持し、実質的に圧延することなく製膜することが好ましい。
バンクを形成することなく製膜すれば、冷却過程にあるフッ素系樹脂が圧延されず、フィルムの加熱収縮率を低減できる。
Tダイ法等で溶融押出しをする場合、フィルム中の夾雑物を少なくする観点から、溶融状態にあるフッ素系樹脂を200メッシュ以上のスクリーンメッシュで濾過しながら押出しすることが好ましい。
フィルムの厚さは300μm以下が好ましく、基材の表面に積層一体化される場合には25〜300μmが好ましい。
厚さが25μm以上であれば、成形体の外観に充分な深みが得られる。また、複雑な形状に成形する場合には、延伸によって充分な厚さが得られる。
厚さが300μm以下であれば、適度な剛性を有し、ラミネート性、二次加工性等が良好となる。また、単位面積あたりの質量の点で経済的に有利になる。更には、製膜性が安定してフィルムの製造が容易になる。
フィルムの表面には、必要に応じて各種機能付与のための表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、シルク印刷、インクジェットプリント等の印刷処理;金属調付与、反射防止のための金属蒸着;スパッタリング、湿式メッキ処理、表面硬度向上のための表面硬化処理;汚れ防止のための撥水化処理、光触媒層形成処理、塵付着防止;電磁波カットを目的とした帯電防止処理;反射防止層形成、防眩処理が挙げられる。
印刷処理を施す場合、フィルムへ片側印刷処理をすることが好ましく、中でも、印刷面側を基材樹脂との接着面に配した裏面印刷が、印刷面の保護や高級感の付与の点からより好ましい。
<フッ素系樹脂積層フィルム>
本発明で得られるフッ素系樹脂成形体がフィルムである場合、熱可塑性樹脂を積層することで、フッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層とを有するフッ素系樹脂積層フィルムとすることができる。
フッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層との厚さの比率(以下、単に「(I)/(II)」という。)としては、耐溶剤性、コスト、表面硬度、透明性、印刷適性の観点から、(I)/(II)=1/99〜20/80が好ましく、(I)/(II)=2/98〜10/90がより好ましい。
尚、本発明において、フッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層との各層の厚さは、フッ素系樹脂積層フィルムを断面方向に切断したサンプルを、デジタルマイクロスコープで観察し、5箇所でそれぞれの厚さを測定し、それらを平均して算出する。
デジタルマイクロスコープの市販品としては、例えば、ハイロックス(株)製のKH−8700(商品名)がある。
フッ素系樹脂積層フィルムの表面硬度は、鉛筆硬度(JIS K5600−5−4)がBより高いことが好ましく、HB以上がより好ましく、F以上が更に好ましい。
鉛筆硬度がBより高ければ、インサート成形法又はインモールド成形法等の射出成形と同時に加飾を施す方法の工程中で傷が付きにくく、更に成形体の耐擦傷性も良好である。
自動車等の内外装材料に用いる場合、フッ素系樹脂積層フィルムの鉛筆硬度はHB以上がより好ましい。鉛筆硬度がHB以上であれば、得られる成形体は、ドアウエストガーニッシュ、フロントコントロールパネル、パワーウィンドウスイッチパネル、エアバッグカバー等、各種車両用部材に好適に用いることができる。
鉛筆硬度がF以上であれば、ガーゼ等表面の粗い布で擦傷しても傷がほとんど目立たないため、工業的利用価値が高くなる。
フッ素系樹脂積層フィルムの表面硬度は、フッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層との厚さの比率、または熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂の選択により調整できる。
フッ素系樹脂積層フィルムの厚さは300μm以下が好ましく、基材の表面に積層一体化される場合には25〜300μmが好ましい。
厚さが25μm以上であれば、成形体の外観に充分な深みが得られる。また、複雑な形状に成形する場合には、延伸によって充分な厚さが得られる。
厚さが300μm以下であれば、適度な剛性を有し、ラミネート性、二次加工性等が良好となる。また、単位面積あたりの質量の点で経済的に有利になる。更には、製膜性が安定してフィルムの製造が容易になる。
フッ素系樹脂積層フィルムは樹脂成形体、木工製品、金属成形体等の各種基材の表面に積層一体化されることにより、フッ素系樹脂層を表面に有する積層成形体を製造することができる。また、積層成形体に意匠性を付与するために、フッ素系樹脂積層フィルムに適当な印刷法により印刷を施すことができる。この場合、フッ素系樹脂積層フィルムに片側印刷したものが好ましい。
フッ素系樹脂積層フィルムの印刷面は、印刷面の保護や高級感の付与の点で、基材と接触する面が好ましい。尚、基材の色調を生かして塗装の代替として用いる場合には、フッ素系樹脂積層フィルムをそのまま用いることができる。
特に、このように基材の色調を生かす用途にフッ素系樹脂積層フィルムを用いる場合は、ポリ塩化ビニルフィルムやポリエステルフィルムを用いる場合に比べて、得られる積層成形体は透明性、深み感及び高級感の点で優れている。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ミディアムインパクトポリスチレンのようなゴム補強スチレン系樹脂;スチレン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブチルアクリレートラバー/スチレン共重合体、アクリロニトリル/エチレンプロピルラバー/スチレン共重合体、アクリロニトリル/塩化ポリエチレン/スチレン共重合体、ABS樹脂等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;エチレン/塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系共重合樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂;ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンホモポリマー等のポリアセタール樹脂;ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等のエンジニアリング樹脂;セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等のセルロース誘導体;液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル等の液晶系ポリマーが挙げられる。
また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性スチレン/ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性塩化ビニルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの内、透明性及び耐候性が良好であることから、アクリル系樹脂が好ましい。
<アクリル系樹脂(B)>
以下、アクリル系樹脂を「アクリル系樹脂(B)」という。
本発明で用いるアクリル系樹脂(B)は、アルキル(メタ)アクリレート単位を主成分とするものである。また、後述するゴム含有重合体を含んでいてもよい。
アクリル系樹脂(B)としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位50〜100質量%、及び、他のビニル単量体単位0〜50質量%を含有し、還元粘度が0.1L/g以下である。
炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位の含有率は70〜100質量%が好ましい。また、アクリル系樹脂(B)は、Tgが80〜110℃であることが好ましい。
アクリル系樹脂(B)は、公知のものを用いることができる。市販品としては、例えば、三菱レイヨン(株)製のアクリペットVH、アクリペットMD、アクリペットMF(以上、商品名)が挙げられる。
<ゴム含有重合体>
アクリル系樹脂(B)は、ゴム含有重合体を含むことができる。
ゴム含有重合体としては、特に限定されるものではなく、公知のゴム含有重合体であればよい。
例えば、建材用途等においてフッ素系樹脂積層フィルムに柔軟性が必要な場合には、特公昭62−19309号公報等に記載のゴム含有重合体を用いればよい。
フッ素系樹脂積層フィルムに、車輌用途に使用可能な耐擦傷性、鉛筆硬度、耐熱性、耐薬品性が必要な場合には、特開平8−323934号公報等に記載のゴム含有重合体を用いればよい。
インサート成形又はインモールド成形での耐成形白化性が必要な場合には、特開2004−137298号公報等に記載のゴム含有重合体を用いればよい。
<配合剤>
熱可塑性樹脂には、必要に応じて加工助剤、耐光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、艶消剤、可塑剤、耐衝撃向上剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤等の各種配合剤を配合することができる。
熱可塑性樹脂の製膜性を改善するため、熱可塑性樹脂に、還元粘度が0.15L/g以上の加工助剤を配合することができる。
加工助剤としては、例えば、メタクリル酸メチル単位50〜100質量%、及び、他のビニル単量体単位0〜50質量%を含有する重合体が挙げられる。
加工助剤の配合量は、フィルム製膜性の点で、熱可塑性樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
熱可塑性樹脂に耐候性を付与するため、熱可塑性樹脂に、耐光安定剤を配合することが好ましい。耐光安定剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤が挙げられる。
紫外線吸収剤は、分子量300以上のものが好ましく、分子量400以上のものがより好ましい。分子量400以上の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、BASF(株)製のチヌビン234、(株)ADEKA製のアデカスタブLA−31(以上、商品名)が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、BASF(株)製のチヌビン1577、(株)ADEKA製のアデカスタブLA−46等(以上、商品名)が挙げられる。
紫外線吸収剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
耐候性の観点から、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上が更に好ましい。
フィルム製膜時の工程汚れ、耐溶剤性、透明性の観点から、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましい。
光安定剤は、公知のものを用いることができ、中でも、ヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、(株)ADEKA製のアデカスタブLA−52、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−68(以上、商品名)が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましい。
耐光性の観点から、0.2質量部以上がより好ましい。
フィルム製膜時の工程汚れの観点から、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下が更に好ましい。
紫外線吸収剤及び光安定剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
配合剤の添加方法としては、例えば、熱可塑性樹脂層を成形するための押出機にアクリル系樹脂(B)と共に供給する方法、アクリル系樹脂(B)に予め配合剤を添加した混合物を各種混練機にて混練混合する方法が挙げられる。
後者の方法に使用する混練機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール混練機が挙げられる。尚、溶融押出をする場合は、外観不良等の原因となる夾雑物を取り除くために、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にあるアクリル系樹脂(B)を濾過しながら押出すことが好ましい。
<フッ素系樹脂積層フィルムの製造方法>
本発明のフッ素系樹脂積層フィルムを製造するための方法としては、従来から知られる各種の方法を用いることができる。
例えば、フィードブロックダイ又はマルチマニホールドダイを介した共押出成形法でフッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層の積層構造を形成する方法;フッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層を夫々Tダイを用いた溶融押出し法によりフィルム状に成形して、その2種のフィルムを熱ラミネート法により積層する方法;フッ素系樹脂層をフィルム状にし、その後、熱可塑性樹脂層を溶融押出し法により積層する押出ラミネーション法が挙げられる。押出ラミネーション法では、フッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層を入れ替えて製造してもよい。
これらの内、経済性、工程簡略化の観点から、共押出成形法が好ましく、フィードブロックダイ又はマルチマニホールドダイを介した共押出成形法がより好ましい。
フッ素系樹脂積層フィルムを構成するフッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層は、それぞれ複数層から構成されていてもよい。また、溶融押出をする場合は、印刷抜けの原因となる夾雑物を取り除くために、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にある各層を構成する樹脂組成物を濾過しながら押出しすることが好ましい。
<成形体>
本発明のフッ素系樹脂フィルム、積層フィルム又はシートは、基材の表面に積層して一体化することができる。例えば、フッ素系樹脂積層フィルムを透明のまま使用し、基材上に積層すれば、クリアな塗装の代替として用いることができ、基材の色調を生かすことができる。このように基材の色調を生かす用途においては、フッ素系樹脂積層フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムやポリエステルフィルムに比べ、透明性、深み感や高級感の点で優れている。
上述の基材としては、各種樹脂成形体、木工製品及び金属成形体が挙げられる。また、樹脂成形体のうち、熱可塑性樹脂層がアクリル系樹脂(B)からなるフッ素系樹脂積層フィルムと溶融接着可能な熱可塑性樹脂成形体を構成する樹脂としては、ABS樹脂、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、これらを主成分とする樹脂が挙げられる。
これらの内、接着性の点でABS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、これらを主成分とする樹脂が好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明する。
以下の説明において、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味し、略記号は表1に記載の化合物名を意味する。
先ず、評価方法及びゴム含有重合体の調製例を説明する。
<評価方法>
(質量平均粒子径)
光散乱光度計(大塚電子(株)製、商品名:DLS−700)を用い、動的光散乱法でゴム含有重合体(I)の質量平均粒子径を測定した。
(ゲル含有率)
所定量(抽出前質量)のゴム含有重合体(I)の粉体をアセトン溶媒中、還流下で抽出処理し、得られた処理液を遠心分離により分別し、乾燥後、アセトン不溶分の質量(抽出後質量)を測定した。ゲル含有率は下式にて算出した。
ゲル含有率(%)=(抽出後質量(g)/抽出前質量(g))×100
(フィルム外観)
80mm幅×300mm長のフッ素系樹脂フィルムを目視にて観察し、下記基準で外観を評価した。
○:夾雑物の個数が 0〜29個
△:夾雑物の個数が30〜99個
×:夾雑物の個数が100個以上
(層の厚さ)
フッ素系樹脂積層フィルムを断面方向に切断したサンプルを、デジタルマイクロスコープ(ハイロックス(株)製、商品名:KH−8700)にて観察し、5箇所でそれぞれの厚さを測定し、それらを平均することで算出し求めた。
(置換効率)
ダブルショットパイロライザー(フロンティア・ラボ(株)製、商品名:PY−2020D)付属GG−MS(アジレント・テクノロジー(株)製、商品名:HP6890 series II)を用い、温度500℃にて熱分解された分解物より、検量線を用いてMF001の含有率を算出した。
(MFR)
メルトインデクサー((株)テクノ・セブン製、商品名:L243)を用い、温度220℃、荷重4.9kgfにて単位時間当たりの吐出量を測定し、g/10分のMFR値を算出した。
(夾雑物)
透過光により発生する影をCCDカメラで捕捉し、国立印刷局製造の夾雑物測定図表で0.2mm以上に相当する影の個数をカウントした。
<調製例1> ゴム含有重合体(I)の製造
攪拌機を備えた容器内に脱イオン水8.5部を仕込んだ後、表2に記載の単量体成分(i−a1)を投入し、室温で攪拌混合した。次いで、攪拌しながら、界面活性剤S 1.1部を上記容器内に投入し、攪拌を20分間継続して「乳化液1」を調製した。
次に、還流冷却器付き重合容器内に脱イオン水186.5部を投入し、70℃に昇温した。更に、脱イオン水5部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部を加えた混合物を調製し、この混合物を前記重合容器内に投入した。
次いで、窒素雰囲気下で攪拌しながら、前記乳化液1を8分間かけて重合容器内に滴下した後、15分間反応を継続させ、重合体(I−a1)を得た。
続いて、表2に記載の単量体成分(i−a2)を、90分間かけて前記重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、重合体(I−a2)を得た。
このようにして重合体(I−a1)及び重合体(I−a2)含む重合体(I−A)を得た。
単量体成分(i−a1)と単量体成分(i−a2)の、FOXの式から求めたTgは共に−48℃であった。
続いて、表2に記載の単量体成分(i−c)を、45分間かけて前記重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、重合体(I−C)を得た。
単量体成分(i−c)の、FOXの式から求めたTgは20℃であった。
続いて、表2に記載の単量体成分(i−b)を140分間かけて前記重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、重合体(I−B)を得た。これを、ゴム含有重合体(I)のラテックスとした。
単量体成分(i−b)の、FOXの式から求めたTgは84℃であった。ゴム含有重合体(I)の質量平均粒子径は0.12μmであった。
得られたゴム含有重合体(I)のラテックスを、SUS製のメッシュ(平均目開き:62μm)を濾材として取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、酢酸カルシウム3.5部を含む水溶液中で塩析させた。これを水洗して回収した後、乾燥し、粉体状のゴム含有重合体(I)を得た。ゴム含有重合体(I)のゲル含有率は60%であった。
<実施例1>
フッ素系樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂(アルケマ(株)製、商品名:KYNAR720、MFR:25g/10分)100部を、二軸押出機(東芝機械(株)製、商品名:TEM−35B)を用いてシリンダー温度180〜200℃及びダイヘッド温度220℃の条件で、200メッシュのスクリーンメッシュで夾雑物を取り除きながら押出し、切断してペレット化した。
スクリュー回転数250rpm、吐出量42kg/hでのダイス出口樹脂温度は251℃であった。
得られたペレットを150mm幅のT−ダイ付き単軸押出機((株)ジー・エム・エンジニアリング製、商品名:GM30)で製膜し、厚さ約55μmの単層フィルムを得た。尚、製膜に際してはシリンダー温度を200〜230℃に設定し、T−ダイの温度を230℃に設定した。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
<実施例2〜4>
二軸押出機でペレット化する際のスクリュー回転数を表3に記載の値とする以外は、実施例1と同様に実施し、厚さ約55μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
<比較例1>
フッ素系樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂(KYNAR720)100部を、150mm幅のT−ダイ付き単軸押出機(GM30)で製膜し、厚さ約55μmの単層フィルムを得た。尚、製膜に際してはシリンダー温度を200〜230℃に設定し、T−ダイの温度を230℃に設定した。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
<比較例2>
150mm幅のT−ダイ付き単軸押出機(GM30)を用い、焼結金属不織布(日本精線(株)製、商品名:NF−6T、公称濾過径:10μm)のスクリーンメッシュで夾雑物を取り除きながら製膜したこと以外は、比較例1と同様にして、厚さ約55μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
<実施例5>
フッ素系樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂(KYNAR720)100部を、二軸押出機(同方向二軸浅溝機45mmφ、L/D=32)を用いてシリンダー温度180〜200℃及びダイヘッド温度220℃の条件で、200メッシュのスクリーンメッシュで夾雑物を取り除きながら押出し、切断してペレット化することで、フッ素系樹脂積層フィルムのフッ素系樹脂層原料を得た。
スクリュー回転数200rpm、吐出量85kg/hでのダイス出口樹脂温度は239℃であった。
尚、フッ素系樹脂を混練する工程の前に、メタクリル系樹脂(A)(三菱レイヨン(株)製、商品名:MF001、MFR:9g/10分)100部を用いて二軸押出機内を洗浄した。
置換効率を確認したところ、フッ素系樹脂の初流から押出量10kg時点のMF001の含有率は0.87%、押出量20kg時点の含有率は0.09%であった。
調製例1で得られたゴム含有重合体(I)100部、配合剤として(株)ADEKA製の「アデカスタブLA−31RG」2.36部、「アデカスタブLA−57G」0.45部、BASF(株)製の「イルガノックス1076」0.1部、三菱レイヨン(株)製の「メタブレンL−1000」1.0部、「メタブレンP−551A」1.5部、及び花王(株)製の「ルナックS−90V」0.25部を添加した後、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。
この混合物を二軸押出機(同方向二軸浅溝機65mmφ、L/D=32)を用いてシリンダー温度170〜200℃及びダイヘッド温度230℃の条件で押出し、切断してペレット化することで、フッ素系樹脂積層フィルムの熱可塑性樹脂層原料を得た。
熱可塑性樹脂層原料ペレットを80℃で7時間以上乾燥した後、シリンダー温度200〜240℃に設定した、500メッシュのスクリーンメッシュを設けたノンベントスクリュー型65mmφの単軸押出機を用いて、熱可塑性樹脂層原料ペレットを可塑化した。
他方、同じくシリンダー温度200〜235℃に設定した、500メッシュのスクリーンメッシュを設けた25mmφの単軸押出機を用いて、フッ素系樹脂層原料を可塑化し、次いで240℃に設定した2種2層用マルチマニホールドダイで、熱可塑性樹脂層側が鏡面冷却ロールに接するようにして厚さ50μmのフッ素系樹脂積層フィルムを得た。
フッ素系樹脂積層フィルムの各層の厚さは、フッ素系樹脂層の厚さが5μm、熱可塑性樹脂層の厚さが45μmであった。得られたフィルムの評価結果を表4に示す。
<比較例3>
フッ素系樹脂層原料として、フッ化ビニリデン系樹脂(KYNAR720)を直接用いたこと以外は、実施例5と同様にして、厚さ50μmのフッ素系樹脂積層フィルムを得た。
フッ素系樹脂積層フィルムの各層の厚さは、フッ素系樹脂層の厚さが5μm、熱可塑性樹脂層の厚さが45μmであった。得られたフィルムの評価結果を表4に示す。
上記の実施例及び比較例より、次のことが明らかとなった。
実施例1〜5に示すように、二軸押出機を用いてフッ素系樹脂を混練した場合には、得られたフィルムの夾雑物が少なく、外観が良好であった。
比較例1〜3に示すように、二軸押出機を用いてフッ素系樹脂を混練しない場合には、目開きの細かいスクリーンメッシュを用いたとしても、得られたフィルムの夾雑物が多く、外観が不良であった。
このことから、二軸押出機を用いてフッ素系樹脂を混練することで、夾雑物が少なく、種々の用途に好適に用い得るフッ素系樹脂フィルムを提供できることがわかった。
本発明のフッ素系樹脂フィルム、積層フィルム又はシートは、車輌用途、建材用途に適している。
具体例としては、インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等の自動車内装用途;ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール等、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等の自動車外装用途;AV機器や家具製品のフロントパネル、ボタン、エンブレム、表面化粧材等の用途;携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等の用途;家具用外装材用途;壁面、天井、床等の建築用内装材用途;サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材用途;窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材用途;各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材用途;電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用途;瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器及び材料、景品や小物等の雑貨等のその他各種用途に好適に使用することができる。

Claims (11)

  1. 二軸押出機を用いて1種のフッ素系樹脂を混練する工程を含む、フッ素系樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記フッ素系樹脂の、JIS K7210に準拠し、温度220℃、荷重49Nの条件で測定されるメルトフローレイトが1[g/10分]以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記フッ素系樹脂がフッ化ビニリデン系樹脂である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. フッ素系樹脂を混練する工程の前に、JIS K7210に準拠し、温度220℃、荷重49Nの条件で測定されるメルトフローレイトが1[g/10分]以上のメタクリル系樹脂(A)を用いて二軸押出機内を洗浄する工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. フッ素系樹脂成形体がペレット又はフィルムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記フィルムがフッ素系樹脂層と熱可塑性樹脂層とを含むフッ素系樹脂積層フィルムである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記フィルムの熱可塑性樹脂層がアクリル系樹脂(B)を含む、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記アクリル系樹脂(B)がゴム含有重合体を含む、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記熱可塑性樹脂層が耐光安定剤を含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記フッ素系樹脂積層フィルムが共押出法で成形される、請求項6〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 国立印刷局製造の夾雑物測定図表で0.2mm以上に相当する夾雑物の含有量が10個/m以下である、フッ素系樹脂積層フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021039533A1 (ja) * 2019-08-26 2021-03-04 デンカ株式会社 フッ化ビニリデン系樹脂多層フィルム、自動車内外装用フィルム、自動車用部品及び自動車

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