JP2018079369A - 歯科補綴物の作製方法、歯科補綴物作製用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】これまでの装置を用いる場合であっても、パウダーの噴霧をすることなく、更に適合精度が高い歯科補綴物を作製することが可能となるように口腔内の形状を三次元的に測定することができる歯科補綴物の作製方法を提供する。【解決手段】窩洞又は支台歯(1)の表面に重合性の歯科補綴物作製用組成物(3)を塗布し、該歯科補綴物作製用組成物を硬化させ、硬化した歯科補綴物作製用組成物の外表面形状を非接触で三次元形状計測する過程を含み、歯科補綴物作製用組成物は、厚さ2mmの硬化体としたときの光沢度が20以下である。【選択図】図3
Description
本発明は、歯冠(クラウン)等の歯科補綴物を作製するに際して、歯科補綴物を作製する方法、及びこれら方法により歯科補綴物を作製するときに用いる組成物に関する。
近年では歯科補綴物の作製においてCAD/CAMシステムが用いられることが多くなってきた。CAD/CAMシステムを用いることにより、形状をデータとして取り扱うことができるため、歯科補綴物の設計において模型を作製する必要がない等、歯科補綴物を効率よく、更に精度も高めて作製することが可能である。
更に、口腔内の形状を直接的に光学的な三次元カメラを用いて計測し、口腔内の三次元的なデータを取得することにより、印象材による印象採得等の手間も省くことができ、さらなる効率化を図ることが可能となる。
特許文献1には、口腔内の形状を三次元的に測定する装置が開示されている。また、特許文献1には、このような光学的な三次元カメラを用いて口腔内を撮影すると、虫歯の部位や、エナメル質、象牙質、歯肉等の違いにより表面反射率が異なるため正確な形状測定が困難である旨記載されている。これに対して、従来は口腔内の反射率の違いを緩和して均一化するため酸化チタン等のパウダーを口腔内に噴霧していることを説明している。
このような口腔内への酸化チタン等のパウダーの噴霧は特許文献1にも記載のように患者にとって不快な行為であり、回避することが望ましい。
そして特許文献1では、このようなパウダーの噴霧をすることなく口腔内の三次元形状を測定する装置及び方法を開示している。
そして特許文献1では、このようなパウダーの噴霧をすることなく口腔内の三次元形状を測定する装置及び方法を開示している。
また一方で、CAD/CAMシステムでは、加工機による加工の限度や製造効率により、歯科補綴物の適合精度が悪化してしまうという問題があった。具体的には、加工機が有するツール先端の曲率半径が切削され作製される歯科補綴物の凸部又は凹隅の曲率半径となるが、この曲率半径は一般的に実際に形成されている口腔内の窩洞又は支台歯の曲率半径よりも大きい。そのため窩洞又は支台歯の曲率半径と作製された歯科補綴物のそれとが合わずに適合精度が悪化してしまうのである。
特許文献1に記載の発明によれば、口腔内の三次元形状を測定する際にパウダーの噴霧は不要になると考えられる。しかしながら、そのための新たな装置やソフトウエアが必要となり、これまでの装置を利用することができないため、その準備に非常に負担が大きい。
そこで本発明は、これまでの装置を用いる場合であっても、パウダーの噴霧をすることなく、更に適合精度が高い歯科補綴物を作製することが可能となるように口腔内の形状を三次元的に測定することができる歯科補綴物の作製方法を提供することを課題とする。また、そのための歯科補綴物作製用組成物を提供する。
以下、本発明について説明する。ここでは分かり易さのため、図面に付した参照符号を括弧書きで併せて記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、窩洞又は支台歯(1)の表面に重合性の歯科補綴物作製用組成物(3)を塗布し、該歯科補綴物作製用組成物を硬化させ、硬化した歯科補綴物作製用組成物の外表面形状を非接触で三次元形状計測する過程を含み、歯科補綴物作製用組成物は、厚さ2mmの硬化体としたときの光沢度が20以下である、歯科用補綴物の作製方法である。
請求項2に記載の発明は、窩洞又は支台歯(1)の表面に積層され、歯科補綴物(2)と窩洞又は支台歯との間に配置される重合性の歯科補綴物作製用組成物(3)であって、厚さ2mmの硬化体としたときの光沢度が20以下である、歯科補綴物作製用組成物である。
請求項3に記載の発明は、窩洞又は支台歯(1)の表面に積層され、歯科補綴物(2)と窩洞又は支台歯との間に配置される重合性の歯科補綴物作製用組成物(3)であって、
(A)酸基を有さない(メタ)アクリレートを5質量%以上75質量%以下、
(B)酸基を有する(メタ)アクリレートを2質量%以上50質量%以下、
(C)粉末状充填材を1質量%以上70質量%以下、及び、
(D)重合剤を0.01質量%以上5質量%以下、含み、
硬化前の稠度Cyが、JIS−T6522に準じた測定で35mm以上50mm以下であるとともに、硬化後の光沢度が、厚さ2mmの試験体において20以下である、歯科補綴物作製用組成物である。
(A)酸基を有さない(メタ)アクリレートを5質量%以上75質量%以下、
(B)酸基を有する(メタ)アクリレートを2質量%以上50質量%以下、
(C)粉末状充填材を1質量%以上70質量%以下、及び、
(D)重合剤を0.01質量%以上5質量%以下、含み、
硬化前の稠度Cyが、JIS−T6522に準じた測定で35mm以上50mm以下であるとともに、硬化後の光沢度が、厚さ2mmの試験体において20以下である、歯科補綴物作製用組成物である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の歯科補綴物作製用組成物(3)において、稠度Cyが35mm以上50mm以下である。
本発明によれば、従来の装置を用いた場合であってもパウダーの噴霧をすることなく、正確に口腔内の形状を三次元的に測定することが可能となる。
以下、本発明を図面に示す形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら形態に限定されるものではない。
初めに、1つの形態にかかる歯科補綴物の作製方法(三次元形状データ作成方法を含む。)により作製される歯科補綴物、及び、ここに用いられる歯科補綴物作製用組成物がどのように適用されているかについて説明する。図1に説明のための図を示した。図1は支台歯1に歯科補綴物の一つの形態である歯冠2(歯科補綴物2と記載することもある。)が被せられている場面を表す断面図である。このとき支台歯1と歯科補綴物2との間には歯科補綴物作製用組成物3が配置されている。
このような歯科補綴物2は例えば次のような順で作製することができる。図2に1つの形態例にかかる歯科補綴物の作製方法S1のフロー図を示した。歯科補綴物の作製方法S1は、図2からもわかるように、三次元形状データ作成過程S10及び加工過程S20を含んで構成されている。
三次元形状データ作成過程S10は、歯科補綴物2の形状を設計する過程であり、口腔内形状を測定し、当該口腔内形状に基づいた歯科補綴物2の形状を決定して、更に加工機に提供するデータを作成する。図3に三次元形状データ作成過程S10のフロー図を示した。図3からわかるように三次元形状データ作成過程S10は、支台歯形成過程S11、歯科補綴物作製用組成物の塗布過程S12、歯科補綴物作製用組成物の硬化過程S13、口腔内のスキャン過程S14、歯科補綴物の形状設計過程S15、及び加工機指令用データ作成過程S16を含んで構成されている。
支台歯形成過程S11(「過程S11」と記載することがある。)は、既存歯を削り、支台歯1を形成する過程である。既存歯から支台歯1を形成する方法は特に限定されることなく、公知の方法を用いることができる。
ここで、本形態の支台歯1の1つの形状的特徴として、図1に符号1aで示したように、凸状の隅部(凸隅1a)における曲率半径(いわゆるR)が小さく、比較的鋭い縁(エッジ)となっていることが挙げられる。このような形態の方が支台歯1を形成し易く、作業効率向上や患者への負担軽減となる。
ここで、本形態の支台歯1の1つの形状的特徴として、図1に符号1aで示したように、凸状の隅部(凸隅1a)における曲率半径(いわゆるR)が小さく、比較的鋭い縁(エッジ)となっていることが挙げられる。このような形態の方が支台歯1を形成し易く、作業効率向上や患者への負担軽減となる。
歯科補綴物作製用組成物の塗布工程S12(「過程S12」と記載することがある。)は、過程S11で形成した支台歯1の表面に歯科補綴物作製用組成物を塗布する工程である。ここで塗布される歯科補綴物作製用組成物は、特にその硬化後において光の拡散反射の程度が大きい(高い光拡散性を有する。)重合性組成物により構成されている。より具体的には、当該組成物を厚さ2mmの硬化体としたときのその表面をJIS Z 8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定して得られた光沢度が20以下であることが好ましい。より好ましくは光沢度が15以下、更に好ましくは光沢度が10以下である。光沢度の測定には公知の光沢度計を用いることができる。
これにより、支台歯表面における虫歯の部位や、エナメル質、象牙質等の表面の質の違いが隠蔽され、光の表面反射率の均一性を高めることができる。そして表面反射率の均一性が高められることにより、後述する口腔内のスキャン過程S14における支台歯の形状測定の精度を向上させることが可能となる。すなわち、従来のように酸化チタン等のパウダーを口腔内に噴霧する必要がなく、患者の不快を解消することができる。
これにより、支台歯表面における虫歯の部位や、エナメル質、象牙質等の表面の質の違いが隠蔽され、光の表面反射率の均一性を高めることができる。そして表面反射率の均一性が高められることにより、後述する口腔内のスキャン過程S14における支台歯の形状測定の精度を向上させることが可能となる。すなわち、従来のように酸化チタン等のパウダーを口腔内に噴霧する必要がなく、患者の不快を解消することができる。
このような表面反射率の均一性を高めるための手段は特に限定されることはないが、歯科補綴物作製用組成物に粉末充填材、フィラー、及び微小粒子等を含有させることを挙げることができる。より具体的な方法は、例えば、粉末状の充填材の屈折率と使用する(メタ)アクリレート混合物の硬化後の屈折率との差を大きくする方法、光透過度の低い粉末状の充填材の配合割合で調整する方法、酸化チタンを組成物に配合する方法が簡単で効果が高い。
更に、本形態の歯科補綴物作製用組成物3は、硬化した際に該組成物3自身により支台歯1に接着されることが好ましい。これにより歯科補綴物2を簡易に安定して支台歯に配置させることができる。
このような接着を可能とするために、例えば歯科補綴物作製用組成物に酸基を有する(メタ)アクリレートを含ませることができる。
このような接着を可能とするために、例えば歯科補綴物作製用組成物に酸基を有する(メタ)アクリレートを含ませることができる。
また、本形態の歯科補綴物作製用組成物は、硬化する前において意図した形態に保持することができる賦形性を備えていることが好ましい。これにより後述するように、支台歯1の凸隅部1aと歯科補綴物2の凹隅2a(図6(a)参照)との間に入り、両者を適切に適合させることができる。
このような賦形性を可能とするために、歯科補綴物作製用組成物は、硬化する前において、JIS−T6522「歯科用根管充填シーラー」に準拠した測定で、稠度Cyが35mm以上50mm以下であることが好ましい。より好ましくは稠度Cyが40mm以上45mm以下である。稠度Cyが35mmより小さくなると流動性が悪く、塗布に手間がかかる虞があり、稠度Cyが50mmより大きくなると流動性が高くなり意図する形態を維持できない虞がある。
このような賦形性を可能とするために、歯科補綴物作製用組成物は、硬化する前において、JIS−T6522「歯科用根管充填シーラー」に準拠した測定で、稠度Cyが35mm以上50mm以下であることが好ましい。より好ましくは稠度Cyが40mm以上45mm以下である。稠度Cyが35mmより小さくなると流動性が悪く、塗布に手間がかかる虞があり、稠度Cyが50mmより大きくなると流動性が高くなり意図する形態を維持できない虞がある。
歯科補綴物作製用組成物の硬化前における稠度を上記のようにするための手段は特に限定されることはないが、粉末状の充填材の配合割合や表面処理方法、あるいは使用する(メタ)アクリレートの粘度の組合せで稠度を調整する。好ましくは、径が2μm〜3μm程度のフィラーを配合することである。
以上のような歯補綴物作製用組成物の1つの例として次のようなものを挙げることができる。すなわち、以下の成分(A)〜(D)を含み、更に硬化前の稠度Cyが、JIS−T6522「歯科用根管充填シーラー」に準じた測定でCyが35mm以上50mm以下、硬化後の光沢度が、厚さ2mmの試験体において20以下の歯科補綴物作製用組成物である。
(A)酸基を有さない(メタ)アクリレートが5質量%以上75質量%以下
(B)酸基を有する(メタ)アクリレートが2質量%以上50質量%以下
(C)粉末状充填材が1質量%以上70質量%以下
(D)重合剤が0.01質量%以上5質量%以下
(A)酸基を有さない(メタ)アクリレートが5質量%以上75質量%以下
(B)酸基を有する(メタ)アクリレートが2質量%以上50質量%以下
(C)粉末状充填材が1質量%以上70質量%以下
(D)重合剤が0.01質量%以上5質量%以下
ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレート化合物の各種のモノマー、オリゴマー、プレポリマーを意味している。
(A)酸基を有さない(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらのモノマーあるいはオリゴマーあるいはプレポリマーが好適に使用できる。また、ウレタン結合を持つ(メタ)アクリレートとして、ジ−2−(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、1,3,5−トリス[1,3−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン、2,2−ビス−4−(3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−フェニルプロパン等があり、その他2,2’−ジ(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンと2−オキシパノンとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとから成るウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとから成るウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用することができる。
(B)酸基を有する(メタ)アクリレートとは、酸基としてリン酸基またはカルボキシル基等の酸基を1分子中に1個または複数個有する(メタ)アクリレート化合物である。リン酸基はカルボキシル基よりも強い酸性を示すことから、歯面のスメアー層の溶解や歯質脱灰の効果が高く、特にエナメル質に対して高い接着力を得ることができる。
リン酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニルハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルプロパン−2−ジハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルプロパン−2−フェニルハイドロジェンホスフェート、ビス[5−{2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニル}ヘプチル]ハイドロジェンホスフェート等が挙げられる。中でも10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートが接着性及び(メタ)アクリレート化合物自体の安定性の点から特に好ましい。これらのリン酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は2種以上を混合して用いてもよい。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸無水物、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシピロメリット酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。中でも4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物が接着性の点から特に好ましい。これらのカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物は2種以上を混合して用いてもよい。
(C)粉末状充填材としては、該粉末充填材のうち酸と反応しない充填材として、例えばシラン化合物などの噴霧熱分解で作製されたコロイダルシリカのようなシリカが一般的に使用される。その他、アルミナ、亜鉛華、ジルコニア、マグネシア、チタニア(酸化チタンなど)、ガラス等の無機質充填材が好ましい。また、前記(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマー、プレポリマーの重合体を粉砕した充填剤も使用可能である。
(C)粉末状充填材に関して、二つの成分から成る歯科補綴物作製用組成物としたときには、第一成分及び/又は第二成分に水を含ませる場合には第二成分に更に酸と反応する充填材を含むことが好ましい。酸と反応する充填材は、第一成分中の酸基を持つ(メタ)アクリレートモノマーと水の存在下ではセメント反応(酸−塩基反応)を起こして硬化することもできるフルオロアルミノシリケートガラス粉末、歯科用リン酸亜鉛セメント粉末及び歯科用カルボキシレートセメント粉末に使用されている金属酸化物粉末が好適である。
フルオロアルミノシリケートガラス粉末とは、従来から歯科用グラスアイオノマーセメントに用いられているガラス粉末であり、主成分としてAl3+、Si4+、F−、O2−を含み、更にSr2+及び/又はCa2+を含むフルオロアルミノシリケートガラス粉末であることが好ましい。更に、ガラスの総重量に対してAl3+:10質量%以上21質量%以下、Si4+:9質量%以上24質量%以下、F−:1質量%以上20質量%以下、Sr2+とCa2+の合計10質量%以上34質量%以下であることが好ましい。これら主成分の割合は、硬化速度、最終強度、溶解度などの賦形性や物性に大きな影響を及ぼす。Al3+の割合が10質量%未満であると硬化が緩慢で強度も低い傾向がある。Si4+の割合が9質量%未満の場合もガラスの作製が困難となり易く、Si4+の割合が24質量%を超える場合は硬化速度が遅くなり易く、また強度も低くなり耐久性が低下する傾向にある。F−の割合が1質量%未満であるとガラスの作製が困難となる傾向がある。F−の割合が20質量%を超えると反応性が低下する傾向がある。Sr2+とCa2+の合計が10質量%未満であると反応性が鈍くなり易く、更にこの場合はガラスの作製も困難となる傾向がある。Sr2+とCa2+の合計が34質量%を超えると、反応が速過ぎて実際の使用が困難となる傾向がある。このようなフルオロアルミノシリケートガラスは公知のガラス作製法により作製することができる。
酸と反応しない充填材及び第二成分中に配合されることがある酸と反応する充填材の平均粒子径は0.05μm以上20μm以下であることが好ましく、平均粒径が0.05μm未満の細粉を用いた場合には歯科補綴物作製用組成物の賦形性が低下する傾向にある。一方、平均粒径が20μmを超える場合には歯科補綴物と支台歯との間が大きくなりすぎて支台歯に対する歯科補綴物の適合精度が悪化する傾向がある。更に、無機質充填材の場合には通常の方法でシラン処理を行ったものを使用することもできる。
また、(C)粉末状充填材に関して、(B)成分である酸基を有する(メタ)アクリレートと反応しないアルミノシリケートガラス粉末以外のフィラー成分を配合しても良い。フィラーとしては無水ケイ酸、バリウムガラス、アルミナガラス、カリウムガラス、前記フルオロアルミノシリケートガラス等のガラス類、合成ゼオライト、リン酸カルシウム、長石、ヒュームドシリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、含水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウム、石英等の粉末がある。これらのフィラーは(メタ)アクリレートと結合させるために、アルミノシリケートガラス粉末と同様にシランカップリング剤で表面処理されていても良い。また、前記のフィラーを予め(メタ)アクリレート化合物のモノマーやオリゴマーと混合して硬化させた後、粉
砕して作製した有機無機複合フィラーも使用することができる。これらのフィラーは単独または2種以上を混合して使用することができる。なお、バリウムガラス等の不透明ガラスも組成物の硬化後の透明性に著しく悪影響を与えない範囲で配合できる。
砕して作製した有機無機複合フィラーも使用することができる。これらのフィラーは単独または2種以上を混合して使用することができる。なお、バリウムガラス等の不透明ガラスも組成物の硬化後の透明性に著しく悪影響を与えない範囲で配合できる。
(D)重合剤について、歯科補綴物作製用組成物が1成分の場合には光重合型であり、公知の光重合剤系を使用することができる。光重合剤としては増感剤と還元剤の組合せが一般に用いられ、増感剤には、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4’−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド、アジド基を含む単量体などがあり単独若しくは混合しても使用できる。
還元剤としては3級アミン等が一般に使用される。3級アミンとしては、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルが好ましい。また他の還元剤として、ベンゾイルパーオキサイド、スルフィン酸ソーダ誘導体、有機金属化合物等が挙げられる。
本発明で使用する光重合剤は組成物全体に対して0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。0.01質量%よりも少ないと重合硬化性が劣り、5質量%を超えて配合すると組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
(D)重合剤について、歯科補綴物作製用組成物が2成分系の場合には、化学重合性の重合剤(常温重合性の重合剤)が好ましい。化学重合剤としては、ベンゾイルパーオキサイドと3級アミン、ベンゾイルパーオキサイドとN−フェニルグリシン、N−ベンゾイルチオ尿素、ベンゾイルパーオキサイドとp−トルエンスルフィン酸ソーダ、ベンゾイルパーオキサイドとベンゼンスルフィン酸ソーダ、ベンゾイルパーオキサイドとp−トルエンスルフィン酸ソーダ若しくはベンゼンスルフィン酸ソーダと芳香族3級アミン、過硫酸カリと芳香族3級アミン、過硫酸ソーダと芳香族3級アミン等の組合せが利用できる。これら化学重合性の重合剤の組み合わせは、2成分にそれぞれ分けて配合される。重合剤は、光重合と化学重合とを併用しても構わない。
過酸化物としては、ペルソキソ二硫酸カリウム、ペルソキソ二硫酸ナトリウム、ペルソキソ二硫酸アンモニウム、ベンゾイルパーオキサイド、4,4’−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなども使用できる。特に好ましくはペルソキソ二硫酸カリウムであり、これ等はそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用してもよい。
過酸化物としては、ペルソキソ二硫酸カリウム、ペルソキソ二硫酸ナトリウム、ペルソキソ二硫酸アンモニウム、ベンゾイルパーオキサイド、4,4’−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなども使用できる。特に好ましくはペルソキソ二硫酸カリウムであり、これ等はそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用してもよい。
かかる重合剤は、2成分の少なくとも一方に配合される。2成分の使用時の混合割合で見たときに、混合後の組成物全体の0.01質量%以上5質量%以下であることがこのましい。0.01質量%未満では重合剤による効果が得られず、5質量%を超えて配合しても特に効果は向上しない。
以上、1つの例による歯科補綴物作製用組成物によれば、(B)成分である酸基を有する(メタ)アクリレートにより接着性を有するものとされ、(C)成分である粉末状充填剤を調整することにより、隠蔽性及び賦形性を有するものとなる。歯科補綴物作製用組成物の塗布過程S12では、このような歯科補綴物作製用組成物3を支台歯1の表面に塗布する。図4に説明のための図を示した。図4(a)は図1と同じ視点による図で、支台歯1に歯科補綴物作製用組成物3が塗布された場面(未硬化)、図4(b)は図4(a)のうちIVb部を拡大した図である。図4(b)は支台歯1の凸隅部1aに注目して拡大して表した図である。
図4(a)、図4(b)からわかるように、過程S12により所定の厚さで歯科補綴物作製用組成物3が支台歯1の表面に塗布される。塗布の方法は特に限定されることはなく、歯科分野で行われている組成物の塗布方法を用いることができる。これには例えばヘラや刷毛による塗布が挙げられる。
本形態では、歯科補綴物作製用組成物3がその硬化前の状態で稠度Cyが、JIS−T6522「歯科用根管充填シーラー」に準じた測定で35mm以上50mm以下とされていることにより賦形性が適切とされている。これにより図4(b)に示したように支台歯1の凸隅1aの曲率半径が小さい場合であっても、当該凸隅1aに対応した歯科補綴物作製用組成物3の凸隅3aは大きな曲率半径とすることができる。
これにより後述するように歯科補綴物2の凹隅2a(図6(a)参照)と凸隅3aとが形状的に適合し、支台歯1への歯科補綴物2への安定した取り付けが可能となる。
これにより後述するように歯科補綴物2の凹隅2a(図6(a)参照)と凸隅3aとが形状的に適合し、支台歯1への歯科補綴物2への安定した取り付けが可能となる。
図3に戻り説明を続ける。歯科補綴物作製用組成物の硬化過程S13(「過程S13」と記載することがある。)は、過程S12で塗布した歯科補綴物作製用組成物3が硬化する過程である。
歯科補綴物作製用組成物3が光重合性の組成物であれば硬化させるために適切な波長の光(例えば紫外線硬化型の組成物に対する紫外線)を照射する。また、歯科補綴物作製用組成物3が2成分系の場合にはこれらの混合により重合(硬化)が開始されているので、硬化が完了する前に過程S12を完了し、本過程S13で硬化を待てばよい。
歯科補綴物作製用組成物3が光重合性の組成物であれば硬化させるために適切な波長の光(例えば紫外線硬化型の組成物に対する紫外線)を照射する。また、歯科補綴物作製用組成物3が2成分系の場合にはこれらの混合により重合(硬化)が開始されているので、硬化が完了する前に過程S12を完了し、本過程S13で硬化を待てばよい。
本形態で歯科補綴物作製用組成物3は、本過程S13による硬化がなされた後の状態で硬化後の歯科補綴物作製用組成物3は、その光沢度が20以下とされているので、表面における光の反射率が均一化され、後で説明する口腔内のスキャン過程S14で行われる三次元形状測定精度を高めることができる。
上記のように、光学的な三次元カメラを用いて口腔内を撮影すると、虫歯の部位や、エナメル質、象牙質、歯肉等の違いにより表面反射率が異なるため正確な形状測定が困難であった。これに対して、口腔内の反射率の違いを緩和して均一化するため酸化チタン等のパウダーを口腔内に噴霧する技術もあったがこれは患者にとって不快なことであった。本発明によればこのようなパウダーを用いることなく精度よく形状測定が可能となる。
上記のように、光学的な三次元カメラを用いて口腔内を撮影すると、虫歯の部位や、エナメル質、象牙質、歯肉等の違いにより表面反射率が異なるため正確な形状測定が困難であった。これに対して、口腔内の反射率の違いを緩和して均一化するため酸化チタン等のパウダーを口腔内に噴霧する技術もあったがこれは患者にとって不快なことであった。本発明によればこのようなパウダーを用いることなく精度よく形状測定が可能となる。
また、本形態では本過程S13による硬化がなされた後の状態で、歯科補綴物作製用組成物3は支台歯1に安定して接着されている。本例では歯科補綴物作製用組成物3に成分(B)として酸基を有する(メタ)アクリレートを含んでいるので当該接着が適切に行われる。これにより支台歯1に対して前処理等をしなくても歯科補綴物作製用組成物3を支台歯1に安定して接着でき、作業の効率が高められている。
なお、過程S12で説明した歯科補綴物作製用組成物3の凸隅3aの曲率半径については硬化により若干の変化はする可能性があるものの、少なくとも支台歯1の凸隅1aよりは大きな曲率半径を有している。
口腔内のスキャン過程S14(「過程S14」と記載することがある。)は、過程S13により支台歯1上に積層された歯科補綴物作製用組成物3の上からその外周を三次元カメラを用いて形状測定(形状データ取得)する工程である。これにより、支台歯の形状を三次元の形状データとして取得することができる。このような形状測定は公知の三次元測定機(例えば三次元カメラ)を用いることができる。
このとき、本発明では上記したように歯科補綴物作製用組成物3により反射率の均一化が図られているので、反射率のばらつきによる測定誤差を低減し精度良い形状測定をすることができる。なお、この測定では歯科補綴物作製用組成物3の表面を測定しているので、凸隅は凸隅3a(図4(b)参照)の形状を測定しており、曲率半径が大きい形状である。
このとき、本発明では上記したように歯科補綴物作製用組成物3により反射率の均一化が図られているので、反射率のばらつきによる測定誤差を低減し精度良い形状測定をすることができる。なお、この測定では歯科補綴物作製用組成物3の表面を測定しているので、凸隅は凸隅3a(図4(b)参照)の形状を測定しており、曲率半径が大きい形状である。
歯科補綴物の形状設計過程S15(「過程S15」と記載することがある。)は、過程S14で取得した三次元形状データに基づいて歯科補綴物の形状を設計する過程である。
当該設計は、最終的な歯科補綴物の形状の決定まで電子計算機を用いてデータを取り扱うことにより行われることが好ましい。これにより最終形状決定までの時間を短くすることができる。このように得られた三次元形状データから歯科補綴物の形状を設計するのは電子計算機(コンピュータ)上で作動するCADを用いる等により行うことができ、公知の手段、及び方法を採用することが可能である。
当該設計は、最終的な歯科補綴物の形状の決定まで電子計算機を用いてデータを取り扱うことにより行われることが好ましい。これにより最終形状決定までの時間を短くすることができる。このように得られた三次元形状データから歯科補綴物の形状を設計するのは電子計算機(コンピュータ)上で作動するCADを用いる等により行うことができ、公知の手段、及び方法を採用することが可能である。
図5(a)には最終的に決定した形状のデータ段階における歯科補綴物4の断面を表した。図5(b)には図5(a)にVbで示した部位、すなわち凹隅4aの部分を拡大した図を表した。図5(b)からわかるように、データ段階における歯科補綴物4でも凹隅4aは上記した歯科補綴物作製用組成物3の凸隅3aの形状が反映されており、曲率半径が大きくなっている。
図3に戻り説明を続ける。加工機指令用データ作成過程S16(「過程S16」と記載することがある。)は、過程S15で決定した歯科補綴物の形状に対して、実際の加工手順や使用するツールを決定し、加工機に対する指令用のデータを作成する過程である。
ここで当該加工機指令用データの作成は、加工機による加工の限度や製造効率が考慮されて作成される。より具体的には加工機が有するツールの形態と、加工速度とが考慮される。本形態では、上記のようにデータ段階における歯科補綴物4の凹隅4aは歯科補綴物作製用組成物3の凸隅3aの形状に起因して、曲率半径が大きく形成されているので、加工し易く、効率のよい製造指令を作成することが可能である。
このようにして作成された加工機指令用データは、加工機に送信され次の加工過程S20(図2参照)が進められる。
図2に戻り説明を続ける。加工過程S20(「過程S20」と記載することがある。)は、三次元形状データ作成過程S10により作成された加工機指令用データを受信し、加工機により加工する過程である。
加工は、受信した加工機指令用データに基づいて行われる。当該データに基づく加工は公知の通りである。
加工は、受信した加工機指令用データに基づいて行われる。当該データに基づく加工は公知の通りである。
上記したように、本形態では支台歯1側に向けて配置される凹隅において曲率半径が大きくなるような形態なので効率よく歯科補綴物2を作製することができる。
以上のようにして作製された歯科補綴物2は、図1に示した通り、支台歯1に積層された歯科補綴物作製用組成物3の上から被せられるようにして配置される。図6(a)には図1にVIaで示した部分を拡大した図を示した。また図6(b)には比較のため、従来における当該部分を表した。すなわち、図6(a)、図6(b)は支台歯1、11の凸隅1a、11a、及び歯科補綴物2、12の凹隅2a、12aの部分に注目した図である。
図6(a)からわかるように、本形態の例によれば支台歯1と歯科補綴物2との間に歯科補綴物作製用組成物3が介在しており、該歯科補綴物作製用組成物3により、支台歯1への歯科補綴物2の配置も安定したものとなる。
一方、従来においては図6(b)からわかるように、曲率半径が小さい支台歯11の凸隅11aに対して、このような曲率半径の小さい凹隅を形成することが困難、又は形成することができても非常に製造効率が悪いことから、どうしても歯科補綴物12の凹隅12aは曲率半径を大きくせざるを得なかった。すると図6(b)からわかるように、凸隅11aと凹隅12aとが局部的な接触となり支台歯11への歯科補綴物12の配置も不安定なものとなる。
一方、従来においては図6(b)からわかるように、曲率半径が小さい支台歯11の凸隅11aに対して、このような曲率半径の小さい凹隅を形成することが困難、又は形成することができても非常に製造効率が悪いことから、どうしても歯科補綴物12の凹隅12aは曲率半径を大きくせざるを得なかった。すると図6(b)からわかるように、凸隅11aと凹隅12aとが局部的な接触となり支台歯11への歯科補綴物12の配置も不安定なものとなる。
なお、上記説明した形態では、支台歯に歯科補綴物作製用組成物を適用した例を説明したが、当該組成物は窩洞に対しても同様に適用することができる。
以下に具体的な組成物の例及びその光沢度、稠度、及び象牙質接着強度の評価結果を説明する。表1には組成物の成分を示した。各数字の単位は質量%である。
各組成物はA剤とB剤との二つを混ぜることで重合するように構成されている。また表1に略称で記載されている材料の正式名称は次の通りである。
UDMA:ジ−2−(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート
UTMA:1,3,5−トリス[1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
MDP:10-メタクリロイルオキシデシルジヒドロジェンホスフェート
4−MET:4−メタクリロキシエチルトリメリット酸
R812:アエロジル(登録商標)R812
TiO2:酸化チタン
CQ:カンファーキノン
DME:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル
DMI:4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
NBTU:N−ベンゾイルチオ尿素
LZ:ジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート
UDMA:ジ−2−(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート
UTMA:1,3,5−トリス[1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
MDP:10-メタクリロイルオキシデシルジヒドロジェンホスフェート
4−MET:4−メタクリロキシエチルトリメリット酸
R812:アエロジル(登録商標)R812
TiO2:酸化チタン
CQ:カンファーキノン
DME:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル
DMI:4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
NBTU:N−ベンゾイルチオ尿素
LZ:ジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート
表2には、各組成物に対して、光沢度、稠度、及び象牙質接着強度を測定した結果を示した。
光沢度はJIS Z 8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定を行った。
稠度はIS−T6522「歯科用根管充填シーラー」に準拠した測定を行った。
象牙質接着強度は、JIS T 6611:2009「歯科用レジンセメント」に準拠した測定を行った。
光沢度はJIS Z 8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定を行った。
稠度はIS−T6522「歯科用根管充填シーラー」に準拠した測定を行った。
象牙質接着強度は、JIS T 6611:2009「歯科用レジンセメント」に準拠した測定を行った。
1 支台歯
2 歯科補綴物(歯冠)
3 歯科補綴物作製用組成物
2 歯科補綴物(歯冠)
3 歯科補綴物作製用組成物
Claims (4)
- 窩洞又は支台歯の表面に重合性の歯科補綴物作製用組成物を塗布し、
該歯科補綴物作製用組成物を硬化させ、
硬化した前記歯科補綴物作製用組成物の外表面形状を非接触で三次元形状計測する過程を含み、
前記歯科補綴物作製用組成物は、厚さ2mmの硬化体としたときの光沢度が20以下である、歯科用補綴物の作製方法。 - 窩洞又は支台歯の表面に積層され、歯科補綴物と窩洞又は支台歯との間に配置される重合性の歯科補綴物作製用組成物であって、
厚さ2mmの硬化体としたときの光沢度が20以下である、歯科補綴物作製用組成物。 - 窩洞又は支台歯の表面に積層され、歯科補綴物と窩洞又は支台歯との間に配置される重合性の歯科補綴物作製用組成物であって、
(A)酸基を有さない(メタ)アクリレートを5質量%以上75質量%以下、
(B)酸基を有する(メタ)アクリレートを2質量%以上50質量%以下、
(C)粉末状充填材を1質量%以上70質量%以下、及び、
(D)重合剤を0.01質量%以上5質量%以下、含み、
硬化前の稠度Cyが、JIS−T6522に準じた測定で35mm以上50mm以下であるとともに、
硬化後の光沢度が、厚さ2mmの試験体において20以下である、歯科補綴物作製用組成物。 - 前記稠度Cyが35mm以上50mm以下である、請求項3に記載の歯科補綴物作製用組成物。
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