JP2018076550A - 化合物、薄膜形成用原料、原子層堆積法用の薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 - Google Patents

化合物、薄膜形成用原料、原子層堆積法用の薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蒸気圧が高く、融点が低く、且つ高品質な金属含有薄膜を原子層体積法(ALD法)で製造することができる薄膜形成用原料の提供。【解決手段】式(1)で表される化合物を含有してなる薄膜形成用原料。(R1〜R6は各々独立にH又はC1〜4の直鎖/分岐状のアルキル基;R7〜R9はC1〜4の直鎖/分岐状のアルキル基;M1はジルコニウム、ハフニウム又はチタン)【選択図】なし

Description

本発明は、新規な化合物、該化合物を含有してなる薄膜形成用原料、該薄膜形成用原料を用いた薄膜の製造方法に関する。また、本発明は、新規な原子層堆積法用の薄膜形成用原料及び該薄膜形成用原料を用いた薄膜の製造方法に関する。
ジルコニウム原子、チタン原子又はハフニウム原子を含有する薄膜は、高誘電体キャパシタ、強誘電体キャパシタ、ゲート絶縁膜、バリア膜等の電子部品の電子部材や、光導波路、光スイッチ、光増幅器等の光通信用デバイスの光学部材として用いられている。
上記の薄膜の製造法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、化学気相成長法等が挙げられるが、組成制御性及び段差被覆性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能であること等の多くの長所を有しているので、化学気相成長法(以下、CVD法と記載することもある)や、原子層堆積法(以下、ALD法と記載することもある)が最適な製造プロセスである。
化学気相成長法に用いられる金属供給源として、様々な原料が多数報告されている。例えば、非特許文献1には、チタンやジルコニウムのALD法用原料として、テトラキス(1−ジメチルアミノ−2-メチル−2−プロポキシ)ジルコニウムや、テトラキス(1−ジメチルアミノ−2-メチル−2−プロポキシ)チタニウムが開示されている。しかし、非特許文献1によって開示された化合物は、粘性が非常に高い液体であることから輸送性が悪く、生産性に問題があった。
また、特許文献1には、ALD法用原料として、アルキルシクロペンタジエニル(ジアルキルアミノ)チタニウムが開示されている。しかし、特許文献1によって開示された化合物を用いて成膜した場合、膜中の残留炭素含有量が多くなってしまうことが問題となっていた。
特表2010−539709号公報
ECS Transactions(2009)、25(4、Atomic layer Deposition Applications 5)、209−216
化学気相成長用原料等を気化させて基体表面に金属を含有する薄膜を形成する場合、蒸気圧が高く、融点が低く、且つ高品質な金属含有薄膜を製造することができる薄膜形成用原料が求められている。従来知られた薄膜形成用原料には、このような物性を示すものは無かった。なかでも、生産性を向上させるために、薄膜形成用原料の輸送性を高める必要があることから、融点が低く且つ粘度が低い材料が強く求められていた。また、ALD法で製造された薄膜はMOCVD法で製造された薄膜よりも高品質であることが知られていることから、ALD法で金属含有薄膜を製造することができ、上記課題を解決できる薄膜形成用原料が望まれていた。
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の化合物が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。また、本発明者等は、特定の化合物を含有する原子層堆積法用の薄膜形成用原料が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を提供するものである。
Figure 2018076550
(式中、R〜Rは各々独立に水素又は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基を表し、R、R及びRは炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を表し、Mはジルコニウム又はチタンを表す。)
また、本発明は、下記一般式(2)で表される化合物を含有してなる原子層堆積法用の薄膜形成用原料を提供するものである。
Figure 2018076550
(式中、R11〜R16は各々独立に水素又は炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を表し、R17、R18及びR19は炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を表し、Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンを表す。)
本発明によれば、蒸気圧が高く、常圧30℃もしくはわずかな加温により液体になり、且つ粘度が低い化合物を得ることができる。該化合物は、CVD法やALD法などの方法による金属含有薄膜を形成するために用いられる薄膜形成用原料として特に適している。また、本発明によれば、高品質な金属含有薄膜を形成することができる原子層堆積法用の薄膜形成用原料を得ることができる。
図1は、本発明に係る薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の一例を示す概要図である。 図2は、本発明に係る薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の別の例を示す概要図である。 図3は、本発明に係る薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の別の例を示す概要図である。 図4は、本発明に係る薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の別の例を示す概要図である。
本発明の化合物は、上記一般式(1)で表されるものであり、CVD法等の気化工程を有する薄膜製造方法のプレカーサとして好適なものであり、ALD法を用いて薄膜を形成することもできる。本発明の化合物は、常圧30℃で液体又はわずかな加温で液体となり、且つ粘度が低い化合物である。融点が低く且つ粘度が低い化合物は輸送性がよいことから、CVD法等の気化工程を有する薄膜製造方法のプレカーサとして好適である。
上記一般式(1)において、R〜Rで表される炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基などが挙げられる。
化合物の融点が低いという観点から、上記一般式(1)において、R〜Rは水素又はメチル基である化合物が好ましく、R〜Rのすべてが水素であるか又はR〜Rのうち1つがメチル基であり且つ残りの4つが水素である化合物が特に好ましい。化合物の融点が低く且つ蒸気圧が高いという観点から、上記一般式(1)において、Rは水素、1級のアルキル基又は2級のアルキル基である化合物が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基である化合物がより好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基である化合物が特に好ましい。化合物の融点が低く且つ蒸気圧が高いという観点から、上記一般式(1)において、Rは1級のアルキル基又は2級のアルキル基である化合物が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基である化合物がより好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基である化合物が特に好ましい。上記一般式(1)において、R及びRがメチル基又はエチル基である化合物は融点が低く且つ蒸気圧が高いことから好ましい。上記一般式(1)において、R及びRは1級のアルキル基である化合物が好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基である化合物がより好ましく、メチル基又はエチル基である化合物が特に好ましい。気化工程を伴わないMOD法による薄膜の製造方法の場合は、R〜Rは、使用される溶媒に対する溶解性、薄膜形成反応等によって適宜選択することができる。
上記一般式(1)において、Mがジルコニウムである化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記化合物No.1〜No.18が挙げられる。なお、下記化合物No.1〜No.18において、「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表す。
Figure 2018076550
上記一般式(1)において、Mがチタンである化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記化合物No.19〜No.36が挙げられる。なお、下記化合物No.19〜No.36において、「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表す。
Figure 2018076550
本発明の化合物は、その製造方法により特に制限されることはなく、周知の反応を応用して製造される。上記一般式(1)で表される化合物のうち、Mがジルコニウムである化合物を製造する場合には、例えば、テトラキス(ジアルキルアミノ)ジルコニウムを出発原料として、ここへシクロペンタジエン又はアルキルシクロペンタジエンを反応させた後、対応する構造のジアルキルアミノアルコールを反応させることで製造することができる。Mがチタンである化合物を製造する場合には、出発原料としてテトラキス(アルキルアミノ)チタン等を使用すること以外は上記の製造方法と同様の方法で製造することができる。
本発明の薄膜形成用原料とは、上記で説明した本発明の化合物を薄膜のプレカーサとしたものであり、その形態は、該薄膜形成用原料が適用される製造プロセスによって異なる。例えば、ジルコニウム原子又はチタン原子のみを含む薄膜を製造する場合、本発明の薄膜形成用原料は、上記化合物以外の金属化合物を非含有である。一方、2種類以上の金属及び/又は半金属を含む薄膜を製造する場合、本発明の薄膜形成用原料は、上記化合物に加えて、所望の金属を含む化合物及び/又は半金属を含む化合物(以下、他のプレカーサともいう)を含有する。本発明の薄膜形成用原料は、後述するように、更に、有機溶剤及び/又は求核性試薬を含有してもよい。本発明の薄膜形成用原料は、上記説明のとおり、プレカーサである化合物の物性がCVD法、ALD法に好適であるので、特に化学気相成長用原料(以下、CVD用原料ということもある)として有用である。
本発明の薄膜形成用原料が化学気相成長用原料である場合、その形態は使用されるCVD法の輸送供給方法等の手法により適宜選択されるものである。
上記の輸送供給方法としては、CVD用原料を該原料が貯蔵される容器(以下、単に原料容器と記載することもある)中で加熱及び/又は減圧することにより気化させて蒸気とし、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に、該蒸気を基体が設置された成膜チャンバー内(以下、堆積反応部と記載することもある)へと導入する気体輸送法、CVD用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて蒸気とし、該蒸気を成膜チャンバー内へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、上記一般式(1)で表される化合物そのものをCVD用原料とすることができる。液体輸送法の場合は、上記一般式(1)で表される化合物そのもの又は該化合物を有機溶剤に溶かした溶液をCVD用原料とすることができる。これらのCVD用原料は更に他のプレカーサや求核性試薬等を含んでいてもよい。
また、多成分系のCVD法においては、CVD用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、シングルソース法と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、カクテルソース法と記載することもある)がある。カクテルソース法の場合、本発明の化合物と他のプレカーサとの混合物若しくは該混合物を有機溶剤に溶かした混合溶液をCVD用原料とすることができる。この混合物や混合溶液は更に求核性試薬等を含んでいてもよい。
上記の有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく周知一般の有機溶剤を用いることができる。該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独で用いてもよいし、又は二種類以上を混合して用いてもよい。これらの有機溶剤を使用する場合、プレカーサを有機溶剤に溶かした溶液であるCVD用原料中におけるプレカーサ全体の量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。プレカーサ全体の量とは、本発明の薄膜形成用原料が、本発明の化合物以外の金属化合物及び半金属化合物を非含有である場合、本発明の化合物の量であり、本発明の薄膜形成用原料が、該化合物に加えて他の金属を含む化合物及び/又は半金属を含む化合物(他のプレカーサ)を含有する場合、本発明の化合物及び他のプレカーサの合計量である。
また、多成分系のCVD法の場合において、本発明の化合物と共に用いられる他のプレカーサとしては、特に制限を受けず、CVD用原料に用いられている周知一般のプレカーサを用いることができる。
上記の他のプレカーサとしては、水素化物、水酸化物、ハロゲン化物、アジ化物、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキニル、アミノ、ジアルキルアミノアルキル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアミン、ジ(シリル−アルキル)アミノ、ジ(アルキル−シリル)アミノ、ジシリルアミノ、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドラジド、ホスフィド、ニトリル、ジアルキルアミノアルコキシ、アルコキシアルキルジアルキルアミノ、シロキシ、ジケトナート、シクロペンタジエニル、シリル、ピラゾレート、グアニジネート、ホスホグアニジネート、アミジナート、ケトイミナート、ジケチミナート、カルボニル及びホスホアミジナートを配位子として有する化合物からなる群から選択される一種類又は二種類以上のケイ素や金属の化合物が挙げられる。
プレカーサの金属種としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、スカンジウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、マンガン、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、オスミウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムが挙げられる。
上記の他のプレカーサは、当該技術分野において公知のものであり、その製造方法も公知である。製造方法の一例を挙げれば、例えば、有機配位子としてアルコール化合物を用いた場合には、先に述べた金属の無機塩又はその水和物と、該アルコール化合物のアルカリ金属アルコキシドとを反応させることによって、プレカーサを製造することができる。ここで、金属の無機塩又はその水和物としては、金属のハロゲン化物、硝酸塩等を挙げることができ、アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等を挙げることができる。
上記の他のプレカーサは、シングルソース法の場合は、本発明の化合物と、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似している化合物が好ましく、カクテルソース法の場合は、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似していることに加え、混合時に化学反応等による変質を起こさないものが好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料には、必要に応じて、本発明の化合物及び他のプレカーサの安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類が挙げられる。これらの求核性試薬の使用量は、プレカーサ全体の量1モルに対して0.1モル〜10モルの範囲が好ましく、1〜4モルの範囲がより好ましい。
本発明の薄膜形成用原料には、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素などの不純物ハロゲン分、及び不純物有機分が極力含まれないようにする。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、総量では、1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。特に、LSIのゲート絶縁膜、ゲート膜、バリア層として用いる場合は、得られる薄膜の電気的特性に影響のあるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有量を少なくすることが必要である。不純物ハロゲン分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下が最も好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下が最も好ましい。また、水分は、化学気相成長用原料中でのパーティクル発生や、薄膜形成中におけるパーティクル発生の原因となるので、プレカーサ、有機溶剤及び求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際にあらかじめできる限り水分を取り除いた方がよい。プレカーサ、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料は、形成される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、パーティクルが極力含まれないようにするのが好ましい。具体的には、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1mL中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1mL中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1mL中に100個以下であることが最も好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する本発明の薄膜の製造方法としては、本発明の薄膜形成用原料を気化させた蒸気、及び必要に応じて用いられる反応性ガスを、基体が設置された成膜チャンバー内に導入し、次いで、プレカーサを基体上で分解及び/又は化学反応させて金属を含有する薄膜を基体表面に成長、堆積させるCVD法によるものである。原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件及び方法を用いることができる。
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、還元性のものとしては水素が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上使用することができる。これらのなかでも、本発明の薄膜形成用原料はオゾンとの反応性が良好であることから、反応性ガスとして1種を用いる場合はオゾンを用いることが好ましく、反応性ガスとして2種類以上の混合ガスを用いる場合は少なくともオゾンを含むことが好ましい。
また、上記の輸送供給方法としては、前述した気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法等が挙げられる。
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD、熱とプラズマを使用するプラズマCVD、熱と光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALDが挙げられる。
上記基体の材質としては、例えば、シリコン;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、酸化チタン、窒化チタン、酸化ルテニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン等のセラミックス;ガラス;金属ルテニウム等の金属が挙げられる。基体の形状としては、板状、球状、繊維状、鱗片状が挙げられる。基体表面は、平面であってもよく、トレンチ構造等の三次元構造となっていてもよい。
また、上記の製造条件としては、反応温度(基体温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、本発明の化合物が充分に反応する温度である100℃以上が好ましく、150℃〜400℃がより好ましく、200℃〜350℃が特に好ましい。また、反応圧力は、熱CVD又は光CVDの場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合、2000Pa〜10Paが好ましい。
また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることができる。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.01〜100nm/分が好ましく、1〜50nm/分がより好ましい。また、ALD法の場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数でコントロールされる。
上記の製造条件として更に、薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする際の温度や圧力が挙げられる。薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする工程は、原料容器内で行ってもよく、気化室内で行ってもよい。いずれの場合においても、本発明の薄膜形成用原料は0〜150℃で蒸発させることが好ましい。また、原料容器内又は気化室内で薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする場合に原料容器内の圧力及び気化室内の圧力はいずれも1〜10000Paであることが好ましい。
本発明の薄膜の製造方法は、ALD法を採用して、上記の輸送供給方法により、薄膜形成用原料を気化させて蒸気とし、該蒸気を成膜チャンバー内へ導入する原料導入工程のほか、該蒸気中の上記化合物により上記基体の表面に前駆体薄膜を形成する前駆体薄膜成膜工程、未反応の化合物ガスを排気する排気工程及び該前駆体薄膜を反応性ガスと化学反応させて、該基体の表面に金属を含有する薄膜を形成する金属含有薄膜形成工程を有していてもよい。
以下では、上記の各工程について、金属酸化物薄膜を形成する場合を例に詳しく説明する。金属酸化物薄膜をALD法により形成する場合は、まず、前記で説明した原料導入工程を行う。薄膜形成用原料を蒸気とする際の好ましい温度や圧力は上記で説明したものと同様である。次に、堆積反応部に導入した化合物により、基体表面に前駆体薄膜を成膜させる(前駆体薄膜成膜工程)。このときに、基体を加熱するか、堆積反応部を加熱して、熱を加えてもよい。この工程で成膜される前駆体薄膜は、本発明の化合物から生成した薄膜であるか、又は本発明の化合物の一部が分解及び/又は反応して生成した薄膜であり、目的の金属酸化物薄膜とは異なる組成を有する。本工程が行われる際の基体温度は、室温〜500℃が好ましく、150〜350℃がより好ましい。本工程が行われる際の系(成膜チャンバー内)の圧力は1〜10000Paが好ましく、10〜1000Paがより好ましい。
次に、未反応の化合物ガスや副生したガスを堆積反応部から排気する(排気工程)。未反応の化合物ガスや副生したガスは、堆積反応部から完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気される必要はない。排気方法としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01〜300Paが好ましく、0.01〜100Paがより好ましい。
次に、堆積反応部に酸化性ガスを導入し、該酸化性ガスの作用又は酸化性ガス及び熱の作用により、先の前駆体薄膜成膜工程で得た前駆体薄膜から金属酸化物薄膜を形成する(金属酸化物含有薄膜形成工程)。本工程において熱を作用させる場合の温度は、室温〜500℃が好ましく、150〜350℃がより好ましい。本工程が行われる際の系(成膜チャンバー内)の圧力は1〜10000Paが好ましく、10〜1000Paがより好ましい。本発明の化合物は、酸化性ガスとの反応性が良好であるため、残留炭素含有量が少ない高品質な金属酸化物薄膜を得ることができる。
本発明の薄膜の製造方法において、上記のようにALD法を採用した場合、上記の原料導入工程、前駆体薄膜成膜工程、排気工程及び金属酸化物含有薄膜形成工程からなる一連の操作による薄膜堆積を1サイクルとし、このサイクルを必要な膜厚の薄膜が得られるまで複数回繰り返してもよい。この場合、1サイクル行った後、上記排気工程と同様にして、堆積反応部から未反応の化合物ガス及び反応性ガス(金属酸化物薄膜を形成する場合は酸化性ガス)、更に副成したガスを排気した後、次の1サイクルを行うことが好ましい。
また、金属酸化物薄膜のALD法による形成においては、プラズマ、光、電圧などのエネルギーを印加してもよく、触媒を用いてもよい。該エネルギーを印加する時期及び触媒を用いる時期は、特には限定されず、例えば、原料導入工程における化合物ガス導入時、前駆体薄膜成膜工程又は金属酸化物含有薄膜形成工程における加温時、排気工程における系内の排気時、金属酸化物含有薄膜形成工程における酸化性ガス導入時でもよく、上記の各工程の間でもよい。
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るために不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、200〜1000℃であり、250〜500℃が好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する装置は、周知の化学気相成長法用装置を用いることができる。具体的な装置の例としては図1のようなプレカーサをバブリング供給することのできる装置や、図2のように気化室を有する装置が挙げられる。また、図3及び図4のように反応性ガスに対してプラズマ処理を行うことのできる装置が挙げられる。図1〜図4のような枚葉式装置に限らず、バッチ炉を用いた多数枚同時処理可能な装置を用いることもできる。
本発明の薄膜形成用原料を用いて製造される金属を含有する薄膜は、切削工具、電子材料用の配線や電極に用いられており、例えば、半導体メモリ材料やリチウム空気電池用の電極などに用いることができる。
本発明の原子層堆積法用の薄膜形成用原料は、下記一般式(2)で表される化合物を含有するものである。
Figure 2018076550
(式中、R11〜R16は各々独立に水素又は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基を表し、R17、R18及びR19は炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を表し、Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンを表す。)
上記一般式(2)において、R11〜R19で表される炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基などが挙げられる。
化合物の融点が低いという観点から、上記一般式(2)において、R11〜R15は水素又はメチル基である化合物が好ましく、R11〜R15のすべてが水素であるか又はR11〜R15のうち1つがメチル基であり且つ残りの4つが水素である化合物が特に好ましい。化合物の融点が低く且つ蒸気圧が高いという観点から、上記一般式(2)において、R16は水素、1級のアルキル基又は2級のアルキル基である化合物が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基である化合物がより好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基である化合物が特に好ましい。化合物の融点が低く且つ蒸気圧が高いという観点から、上記一般式(2)において、R17は1級のアルキル基又は2級のアルキル基である化合物が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基である化合物がより好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基である化合物が特に好ましい。上記一般式(2)において、R16及びR17がメチル基又はエチル基である化合物は融点が低く且つ蒸気圧が高いことから好ましい。上記一般式(2)において、R18及びR19は1級のアルキル基である化合物が好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基である化合物がより好ましく、メチル基又はエチル基である化合物が特に好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例としては、上述の化合物No.1〜36が挙げられるほか、上記一般式(2)において、Mがハフニウムである化合物として、下記化合物No.37〜No.54が挙げられる。なお、下記化合物No.37〜No.54において「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表す。
Figure 2018076550
本発明の原子層堆積法用の薄膜形成用原料に用いられる化合物は、その製造方法により特に制限されることはなく、周知の反応を応用して製造される。上記一般式(2)で表される化合物のうち、Mがジルコニウム又はチタンである化合物を製造する場合には、上述の方法で製造することができ、Mがハフニウムである化合物を製造する場合は、出発原料としてテトラキス(アルキルアミノ)ハフニウムを使用すること以外は上述の製造方法と同様の方法で製造することができる。
本発明の原子層堆積法用の薄膜形成用原料(以下、ALD用原料ということもある)の形態は、使用されるALD法の輸送供給方法等の手法により適宜選択されるものである。
上記の輸送供給方法としては、ALD用原料を該原料が貯蔵される容器(以下、単に原料容器と記載することもある)中で加熱及び/又は減圧することにより気化させて蒸気とし、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に、該蒸気を基体が設置された堆積反応部へと導入する気体輸送法、ALD用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて蒸気とし、該蒸気を成膜チャンバー内へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、上記一般式(2)で表される化合物そのものをALD用原料とすることができる。液体輸送法の場合は、上記一般式(2)で表される化合物そのもの又は該化合物を有機溶剤に溶かした溶液をALD用原料とすることができる。これらのALD用原料は更に求核性試薬等を含んでいてもよい。
上記の有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく周知一般の有機溶剤を用いることができる。該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独で用いてもよいし、又は二種類以上を混合として用いてもよい。これらの有機溶剤を使用する場合、上記一般式(2)で表される化合物を有機溶剤に溶かした溶液であるALD用原料中における上記一般式(2)で表される化合物の量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。
また、原子層堆積法用の薄膜形成用原料には、必要に応じて、本発明の化合物の安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類が挙げられる。これらの求核性試薬の使用量は、上記一般式(2)で表される化合物の量1モルに対して0.1モル〜10モルの範囲が好ましく、1〜4モルの範囲がより好ましい。
本発明の原子層堆積法用の薄膜形成用原料には、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素などの不純物ハロゲン分、及び不純物有機分が極力含まれないようにする。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、総量では、1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。特に、LSIのゲート絶縁膜、ゲート膜、バリア層として用いる場合は、得られる薄膜の電気的特性に影響のあるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有量を少なくすることが必要である。不純物ハロゲン分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下が最も好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下が最も好ましい。また、水分は、化学気相成長用原料中でのパーティクル発生や、薄膜形成中におけるパーティクル発生の原因となるので、上記一般式(2)で表される化合物、有機溶剤及び求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際にあらかじめできる限り水分を取り除いた方がよい。上記一般式(2)で表される化合物、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。
また、本発明の原子層堆積法用の薄膜形成用原料は、形成される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、パーティクルが極力含まれないようにするのが好ましい。具体的には、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1mL中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1mL中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1mL中に100個以下であることが最も好ましい。
本発明の原子層堆積法用の薄膜形成用原料を用いてALD法によって薄膜を製造する本発明の薄膜の製造方法としては、特に制限を受けるものではなく、上述の周知一般の条件及び方法を用いることができる。
ALD法による薄膜の製造時に用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、還元性のものとしては水素が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上使用することができる。これらのなかでも、本発明の原子堆積法用の薄膜形成用原料はオゾンとの反応性が良好であることから、反応性ガスとして1種を用いる場合はオゾンを用いることが好ましく、反応性ガスとして2種類以上の混合ガスを用いる場合は少なくともオゾンを含むことが好ましい。
また、ALD法による薄膜の製造時の輸送供給方法としては、前述した気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法等が挙げられる。
ALD法による薄膜の製造に用いられる基体の材質としては、例えば、シリコン;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、酸化チタン、窒化チタン、酸化ルテニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン等のセラミックス;ガラス;金属ルテニウム等の金属が挙げられる。基体の形状としては、板状、球状、繊維状、鱗片状が挙げられる。基体表面は、平面であってもよく、トレンチ構造等の三次元構造となっていてもよい。
また、上記の製造条件としては、反応温度(基体温度)、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、上記一般式(2)で表される化合物が充分に反応する温度である100℃以上が好ましく、150℃〜400℃がより好ましく、150℃〜350℃が特に好ましい。また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることができる。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.01〜0.1nm/サイクルが好ましい。
上記の製造条件として更に、原子層堆積法用の薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする際の温度や圧力が挙げられる。原子層堆積法用の薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする工程は、原料容器内で行ってもよく、気化室内で行ってもよい。いずれの場合においても、本発明の原子層堆積法用の薄膜形成用原料は0〜150℃で蒸発させることが好ましい。また、原料容器内又は気化室内で原子層堆積法用の薄膜形成用原料を気化させて蒸気とする場合に原料容器内の圧力及び気化室内の圧力はいずれも1〜10000Paであることが好ましい。
本発明の薄膜の製造方法は、ALD法を採用して、上記の輸送供給方法により、原子層堆積法用の薄膜形成用原料を気化させて蒸気とし、該蒸気を成膜チャンバー内へ導入する原料導入工程のほか、該蒸気中の上記一般式(2)で表される化合物により上記基体の表面に前駆体薄膜を形成する前駆体薄膜成膜工程、未反応の化合物ガスを排気する排気工程及び該前駆体薄膜を反応性ガスと化学反応させて、該基体の表面に金属を含有する薄膜を形成する金属含有薄膜形成工程を有していてもよい。
以下では、上記の各工程について、金属酸化物薄膜を形成する場合を例に詳しく説明する。金属酸化物薄膜をALD法により形成する場合は、まず、前記で説明した原料導入工程を行う。原子層堆積法用の薄膜形成用原料を蒸気とする際の好ましい温度や圧力は上記で説明したものと同様である。次に、堆積反応部に導入した化合物により、基体表面に前駆体薄膜を成膜させる(前駆体薄膜成膜工程)。このときに、基体を加熱するか、堆積反応部を加熱して、熱を加えてもよい。この工程で成膜される前駆体薄膜は、上記一般式(2)で表される化合物から生成した薄膜であるか、又は上記一般式(2)で表される化合物の一部が分解及び/又は反応して生成した薄膜であり、目的の金属酸化物薄膜とは異なる組成を有する。本工程が行われる際の基体温度は、100〜400℃が好ましく、150〜350℃がより好ましい。本工程が行われる際の系(成膜チャンバー内)の圧力は1〜10000Paが好ましく、10〜1000Paがより好ましい。
次に、未反応の化合物ガスや副生したガスを堆積反応部から排気する(排気工程)。未反応の化合物ガスや副生したガスは、堆積反応部から完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気される必要はない。排気方法としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01〜300Paが好ましく、0.01〜100Paがより好ましい。
次に、堆積反応部に酸化性ガスを導入し、該酸化性ガスの作用又は酸化性ガス及び熱の作用により、先の前駆体薄膜成膜工程で得た前駆体薄膜から金属酸化物薄膜を形成する(金属酸化物含有薄膜形成工程)。本工程において熱を作用させる場合の温度は、室温〜500℃が好ましく、150〜350℃がより好ましい。本工程が行われる際の系(成膜チャンバー内)の圧力は1〜10000Paが好ましく、10〜1000Paがより好ましい。上記一般式(2)で表される化合物は、酸化性ガスとの反応性が良好であるため、残留炭素含有量が少ない金属酸化物薄膜を得ることができる。
本発明の薄膜の製造方法において、上記のようにALD法を採用した場合、上記の原料導入工程、前駆体薄膜成膜工程、排気工程及び金属酸化物含有薄膜形成工程からなる一連の操作による薄膜堆積を1サイクルとし、このサイクルを必要な膜厚の薄膜が得られるまで複数回繰り返してもよい。この場合、1サイクル行った後、上記排気工程と同様にして、堆積反応部から未反応の化合物ガス及び反応性ガス(金属酸化物薄膜を形成する場合は酸化性ガス)、更に副成したガスを排気した後、次の1サイクルを行うことが好ましい。
また、金属酸化物薄膜のALD法による形成においては、プラズマ、光、電圧などのエネルギーを印加してもよく、触媒を用いてもよい。該エネルギーを印加する時期及び触媒を用いる時期は、特には限定されず、例えば、原料導入工程における化合物ガス導入時、前駆体薄膜成膜工程又は金属酸化物含有薄膜形成工程における加温時、排気工程における系内の排気時、金属酸化物含有薄膜形成工程における酸化性ガス導入時でもよく、上記の各工程の間でもよい。
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るために不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、200〜1000℃であり、250〜500℃が好ましい。
本発明の原子層堆積法用の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する装置は、周知の化学気相成長法用装置を用いることができる。具体的な装置の例としては図1のようなプレカーサをバブリング供給することのできる装置や、図2のように気化室を有する装置が挙げられる。また、図3及び図4のように反応性ガスに対してプラズマ処理を行うことのできる装置が挙げられる。図1〜図4のような枚葉式装置に限らず、バッチ炉を用いた多数枚同時処理可能な装置を用いることもできる。
本発明の原子層堆積法用の薄膜形成用原料を用いて製造される金属を含有する薄膜は、切削工具、電子材料用の配線や電極に用いられており、例えば、半導体メモリ材料やリチウム空気電池用の電極などに用いることができる。
以下、実施例及び評価例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]化合物No.4の製造
2000mL4つ口フラスコにAr雰囲気下でテトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム230.0gと脱水トルエン1190gの混合溶液を氷浴した後、シクロペンタジエン113.7gを等圧滴下漏斗より約1時間かけて滴下して反応させた。引き続き、1−(ジメチルアミノ)−2−メチル−2−プロパノール201.5gを等圧滴下漏斗より約2時間かけて滴下して加えて反応させた。滴下終了後、室温まで徐々に昇温し、さらに2時間反応を継続した。引き続き、減圧下で溶媒を留去した後、減圧蒸留67Pa/145〜7℃の留分を分取し、淡黄色液体の化合物No.4を312g得た。
(分析値)
(1)常圧TG−DTA
質量50%減少温度:271℃(Ar流量:100mL/分、昇温:10℃/分、サンプル量:11.491mg)
(2)元素分析(金属分析:ICP−AES、CHN分析:CHN分析装置)
ジルコニウム含有量:20.05質量%(理論値:20.10質量%)
C:58.0質量%(理論値:58.23質量%)、H:7.9質量%(理論値:8.44質量%)、N:5.8質量%(理論値:6.17質量%)
[実施例2]化合物No.22の製造
300mL4つ口フラスコにAr雰囲気下でテトラキス(ジメチルアミノ)チタン19.3gと脱水トルエン118.9gの混合溶液を氷浴した後、シクロペンタジエン12.0gを等圧滴下漏斗より約30時間かけて滴下して反応させた。引き続き、1−(ジメチルアミノ)−2−メチル−2−プロパノール20.2gを等圧滴下漏斗より約1時間かけて滴下して加えて反応させた。滴下終了後、室温まで徐々に昇温し、さらに2時間反応を継続した。引き続き、減圧下で溶媒を留去した後、減圧蒸留を行い淡黄色液体の化合物No.22を28.2g得た。
(分析値)
(1)常圧TG−DTA
質量50%減少温度:272℃(Ar流量:100mL/分、昇温:10℃/分、サンプル量:10.421mg)
(2)元素分析(金属分析:ICP−AES、CHN分析:CHN分析装置)
チタン含有量:11.5質量%(理論値:11.67質量%)
C:64.1質量%(理論値:64.38質量%)、H:8.7質量%(理論値:9.33質量%)、N:6.1質量%(理論値:6.83質量%)
[製造例1]化合物No.40の製造
300mL4つ口フラスコにAr雰囲気下でテトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム37.4gと脱水トルエン110.6gの混合溶液を氷浴した後、シクロペンタジエン11.1gを等圧滴下漏斗より約30時間かけて滴下して反応させた。引き続き、1−(ジメチルアミノ)−2−メチル−2−プロパノール18.8gを等圧滴下漏斗より約1時間かけて滴下して加えて反応させた。滴下終了後、室温まで徐々に昇温し、さらに2時間反応を継続した。引き続き、減圧下で溶媒を留去した後、減圧蒸留60Pa/145〜7℃の留分を分取し、淡黄色液体の化合物No.40を34.5g得た。
(分析値)
(1)常圧TG−DTA
質量50%減少温度:258℃(Ar流量:100mL/分、昇温:10℃/分、サンプル量:10.421mg)
(2)元素分析(金属分析:ICP−AES、CHN分析:CHN分析装置)
ハフニウム含有量:32.9質量%(理論値:32.99質量%)
C:48.6質量%(理論値:48.84質量%)、H:6.7質量%(理論値:7.08質量%)、N:4.7質量%(理論値:5.18質量%)
[評価例1]ジルコニウム化合物の物性評価
化合物No.4、下記に示す比較化合物1及び比較化合物2について、目視によって常圧30℃における各化合物の状態を観察した。また、落球式粘度計(Anton Paar社製、製品名:AMVn)を用いて、30℃における粘度を測定した。また、比較化合物1及び比較化合物2について、TG−DTAを用いて常圧下で重量が50%減少した際の温度を測定した(Ar流量:100mL/分、昇温:10℃/分、比較化合物1のサンプル量:13.064mg、比較化合物2のサンプル量:12.485mg)。また、不活性ガス雰囲気下において100℃〜300℃まで10℃毎の温度で各々1時間加熱処理したサンプルを用意し、上記加熱処理の温度の低いサンプルから常圧条件下でTG−DTA測定(Ar流量:100mL/分、昇温:10℃/分、測定温度範囲:25℃〜600℃)を順次行った。TG−DTA測定後の残渣の量が2質量%以上となった最初のサンプルの上記加熱処理の温度を「熱分解温度」とした。結果を表1に示す。
Figure 2018076550
Figure 2018076550
上記表1より、化合物No.4、比較化合物1及び比較化合物2はいずれも常圧30℃の条件下で液体である低融点の化合物であることがわかった。また、化合物No.4は、比較化合物1よりも30℃での粘度が高いものの、化学気相成長用原料として十分に低粘度であることがわかった。融点が低く且つ粘度が低い薄膜形成用原料は輸送性が良好であることから、生産性を向上させることができる薄膜形成用原料である。また、常圧TG−DTAの結果から、化合物No.4は、化学気相成長用原料として十分な蒸気圧を示し、且つ非常に高い熱安定性を有することがわかった。
[評価例2]チタン化合物の物性評価
化合物No.22、下記に示す比較化合物3について、目視によって常圧30℃における各化合物の状態を観察した。固体化合物については微小融点測定装置を用いて融点を測定した。また、比較化合物3について、TG−DTAを用いて常圧下で重量が50%減少した際の温度を測定した(Ar流量:100mL/分、昇温:10℃/分、サンプル量:8.997mg)。結果を表2に示す。
Figure 2018076550
Figure 2018076550
上記表2より、比較化合物3は融点75℃の化合物であることに対して、化合物No.22は常圧30℃の条件下で液体である低融点の化合物であることがわかった。融点が低い薄膜形成用原料は輸送が容易であることから、生産性を向上させることができる薄膜形成用原料である。また、常圧TG−DTAの結果から、化合物No.22は、比較化合物3よりも50質量%減少時の温度が若干高いものの、化学気相成長用原料として十分な蒸気圧を示すことがわかった。
[実施例3]ALD法による酸化ジルコニウム薄膜の製造
化合物No.4を化学気相成長用原料とし、図1に示す化学気相成長用装置を用いて以下の条件のALD法により、シリコン基板上に酸化ジルコニウム薄膜を製造した。得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線回折法及びX線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、膜厚は2〜4nmであり、膜組成は酸化ジルコニウム(XPS分析によるZr4dピークで確認)であり、薄膜中の残留炭素含有量は検出下限である0.1atom%よりも少なかった。1サイクル当たりに得られる膜厚は、0.02〜0.04nmであった。
(条件)
反応温度(基板温度);250℃、反応性ガス;オゾン
(工程)
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、100サイクル繰り返した。
(1)原料容器加熱温度:150℃、原料容器内圧力:80Pa以下の条件で気化させた化学気相成長用原料を成膜チャンバーに導入し、系圧力:80Paで10秒間堆積させる。
(2)10秒間のアルゴンパージにより、未反応原料及び副生ガスを除去する。
(3)反応性ガスを成膜チャンバーに導入し、系圧力:80Paで10秒間反応させる。
(4)10秒間のアルゴンパージにより、未反応原料及び副生ガスを除去する。
[比較例3]ALD法による酸化ジルコニウム薄膜の製造
比較化合物2(Zr(DMAMP))を化学気相成長用原料とし、図1に示す化学気相成長用装置を用いて以下の条件のALD法により、シリコン基板上に酸化ジルコニウム薄膜を製造した。得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線回折法及びX線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、膜厚は1nmであり、膜組成は酸化ジルコニウム(XPS分析によるZr4dピークで確認)であり、薄膜中の残留炭素含有量は5atom%であった。1サイクル当たりに得られる膜厚は、0.01nmであった。
(条件)
反応温度(基板温度);280℃、反応性ガス;オゾン
(工程)
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、100サイクル繰り返した。
(1)原料容器加熱温度:150℃、原料容器内圧力:80Pa以下の条件で気化させた化学気相成長用原料を成膜チャンバーに導入し、系圧力:80Paで10秒間堆積させる。
(2)10秒間のアルゴンパージにより、未反応原料及び副生ガスを除去する。
(3)反応性ガスを成膜チャンバーに導入し、系圧力:80Paで10秒間反応させる。
(4)10秒間のアルゴンパージにより、未反応原料及び副生ガスを除去する。
実施例3の結果より、本発明の化合物をALD法用薄膜形成用原料として用いることで、非常に品質の良い酸化ジルコニウム薄膜を製造することができることがわかった。一方、比較例3の結果より、比較化合物2をALD法用薄膜形成用原料として用いた場合には、生産性も含めて品質の良い酸化ジルコニウム薄膜を製造することが難しいことがわかった。
[実施例4]ALD法による酸化チタン薄膜の製造
化合物No.22を化学気相成長用原料とし、図1に示す化学気相成長用装置を用いて以下の条件のALD法により、シリコン基板上に酸化チタン薄膜を製造した。得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線回折法及びX線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、膜厚は3〜4nmであり、膜組成は酸化チタン(XPS分析によるTi3dピークで確認)であり、薄膜中の残留炭素含有量は検出下限である0.1atom%よりも少なかった。1サイクル当たりに得られる膜厚は、0.03〜0.04nmであった。
(条件)
反応温度(基板温度);300℃、反応性ガス;オゾン
(工程)
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、100サイクル繰り返した。
(1)原料容器加熱温度:160℃、原料容器内圧力:80Pa以下の条件で気化させた化学気相成長用原料を成膜チャンバーに導入し、系圧力:80Paで10秒間堆積させる。
(2)10秒間のアルゴンパージにより、未反応原料及び副生ガスを除去する。
(3)反応性ガスを成膜チャンバーに導入し、系圧力:80Paで10秒間反応させる。
(4)10秒間のアルゴンパージにより、未反応原料及び副生ガスを除去する。
[実施例5]ALD法による酸化ハフニウム薄膜の製造
化合物No.40を化学気相成長用原料とし、図1に示す化学気相成長用装置を用いて以下の条件のALD法により、シリコン基板上に酸化ハフニウム薄膜を製造した。得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線回折法及びX線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、膜厚は2〜4nmであり、膜組成は酸化ハフニウム(XPS分析によるHf4fピークで確認)であり、薄膜中の残留炭素含有量は検出下限である0.1atom%よりも少なかった。1サイクル当たりに得られる膜厚は、0.02〜0.04nmであった。
(条件)
反応温度(基板温度);300℃、反応性ガス;オゾン
(工程)
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、100サイクル繰り返した。
(1)原料容器加熱温度:150℃、原料容器内圧力:80Pa以下の条件で気化させた化学気相成長用原料を成膜チャンバーに導入し、系圧力:80Paで10秒間堆積させる。
(2)10秒間のアルゴンパージにより、未反応原料及び副生ガスを除去する。
(3)反応性ガスを成膜チャンバーに導入し、系圧力:80Paで10秒間反応させる。
(4)10秒間のアルゴンパージにより、未反応原料及び副生ガスを除去する。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2018076550
    (式中、R〜Rは各々独立に水素又は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基を表し、R、R及びRは炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を表し、Mはジルコニウム又はチタンを表す。)
  2. 請求項1に記載の化合物を含有してなる薄膜形成用原料。
  3. 請求項2に記載の薄膜形成用原料を気化させて得られる化合物を含有する蒸気を、基体が設置された成膜チャンバー内に導入し、該化合物を分解及び/又は化学反応させて該基体の表面にジルコニウム原子又はチタン原子を含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法。
  4. 下記一般式(2)で表される化合物を含有してなる原子層堆積法用の薄膜形成用原料。
    Figure 2018076550
    (式中、R11〜R16は各々独立に水素又は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基を表し、R17、R18及びR19は炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を表し、Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンを表す。)
  5. 請求項4に記載の薄膜形成用原料を気化させて得られる化合物を含有する蒸気を、基体が設置された成膜チャンバー内に導入し、原子層堆積法によって該基体の表面にジルコニウム原子、ハフニウム原子及びチタン原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法。
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