JP2018070626A - 標的化ナノ粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】薬剤を有効且つ特異的に送達するための多機能ツールを提供するナノ粒子の提供。
【解決手段】カンプトセシン、エポチロン、タキサン等の低分子化学療法剤又は干渉RNA等のポリヌクレオチドを薬剤として含み、トランスフェリン又は抗体等の標的リガンドにコンジュゲートしている、ポリオール含有ポリマーを含み、更に前記ポリオール含有ポリマーと可逆的共有結合でカップリングしてナノ粒子の外部環境にボロン酸含有ポリマーを提示する標的化ナノ粒子。
【選択図】なし
【解決手段】カンプトセシン、エポチロン、タキサン等の低分子化学療法剤又は干渉RNA等のポリヌクレオチドを薬剤として含み、トランスフェリン又は抗体等の標的リガンドにコンジュゲートしている、ポリオール含有ポリマーを含み、更に前記ポリオール含有ポリマーと可逆的共有結合でカップリングしてナノ粒子の外部環境にボロン酸含有ポリマーを提示する標的化ナノ粒子。
【選択図】なし
Description
政府の権利
本発明は、国立癌研究所によって授与された助成金CA 119347の下、政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
本発明は、国立癌研究所によって授与された助成金CA 119347の下、政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
本開示は、担体ナノ粒子、具体的には、対象化合物を送達するのに好適なナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系に関する。
細胞、組織、器官、及び生物への対象化合物の有効な送達は、様々なサイズ及び寸法の分子を所定の標的に送達することが望ましい生物医学、イメージング、及び他の分野における課題である。
病理学的検査のためであれ、治療上の処置のためであれ、又は基礎的生物学研究のためであれ、幾つかの方法が公知であり、典型的に対象の生物学的及び/又は化学的活性に関連する様々な分類の生体材料及び生体分子を送達するために用いられている。
化学又は生物剤(例えば、薬物、生物製剤、治療薬、又は造影剤)として用いるのに好適な分子の数が増えるにつれて、様々な複雑性、寸法、及び化学的性質の化合物と共に用いるのに好適な送達系の開発が特に困難であることが証明されている。
ナノ粒子は、様々な送達方法を用いて剤を送達するための担体として有用な構造体である。幾つかのナノ粒子送達系が存在し、これは、剤を特定の標的にパッケージ化、輸送、及び送達するための様々な異なるストラテジーを利用する。
幾つかの実施形態において、対象化合物を有効且つ特異的に送達するための多機能ツールを提供するナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系を本明細書に提供する。具体的には、幾つかの実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、様々なサイズ、寸法、及び化学的性質の広範な分子を所定の標的に運搬及び送達するための柔軟な系として用いることができる。
1つの態様によれば、ポリオール含有ポリマー及びボロン酸含有ポリマーを含むナノ粒子について記載する。上記ナノ粒子では、ボロン酸含有ポリマーは、ポリオール含有ポリマーにカップリングしており、上記ナノ粒子は、上記ナノ粒子の外部環境に上記ボロン酸含有ポリマーを提示するようになっている。1つ以上の対象化合物は、ポリオール含有ポリマー及び/又はボロン酸含有ポリマーの一部として又は結合して、ナノ粒子によって運搬され得る。
別の態様によれば、組成物について記載する。上記組成物は、本明細書に記載するナノ粒子と、好適なビヒクル及び/又は賦形剤とを含む。
別の態様によれば、化合物を標的に送達する方法について記載する。上記方法は、本明細書に記載するナノ粒子を標的と接触させる工程を含み、上記化合物は、本明細書に記載するナノ粒子のポリオール含有ポリマー又はボロン酸含有ポリマー中に含まれる。
別の態様によれば、化合物を標的に送達する系について記載する。上記系は、化合物を含む本明細書に記載するナノ粒子を構築する、可逆的共有結合を通して相互結合することができるポリオール含有ポリマー及びボロン酸含有ポリマーを少なくとも含む。
別の態様によれば、化合物を個体に投与する方法について記載する。上記方法は、有効量の本明細書に記載するナノ粒子を個体に投与する工程を含み、上記化合物は、ポリオール含有ポリマー及び/又はボロン酸含有ポリマー中に含まれる。
別の態様によれば、化合物を個体に投与する系について記載する。上記系は、本明細書に記載する方法に従って個体に投与される化合物に結合している本明細書に記載するナノ粒子を構築する、可逆的共有結合を通して相互結合することができるポリオール含有ポリマー及びボロン酸含有ポリマーを少なくとも含む。
別の態様によれば、ポリオール含有ポリマー及びボロン酸含有ポリマーを含むナノ粒子を調製する方法について記載する。上記方法は、ある時間ある条件下でポリオール含有ポリマーをボロン酸含有ポリマーと接触させて、上記ポリオール含有ポリマーと上記ボロン酸含有ポリマーとをカップリングさせる工程を含む。
別の態様によれば、本開示の以下の章に詳細に説明する幾つかのボロン酸含有ポリマーについて記載する。
別の態様によれば、本開示の以下の章に詳細に説明する幾つかのポリオール含有ポリマーについて記載する。
また、そのpKaを低下させることによってナノ粒子の安定性を強化する、ニトロフェニルボロン酸基を有するポリマーにコンジュゲートしているポリオール含有ポリマーを有するナノ粒子についても本明細書に記載する。
本開示の別の態様は、粒子の標的リガンドの結合パートナーを発現している細胞等、特定の標的へのナノ粒子の送達を促進することができる、幾つかの実施形態では、標的リガンドを1つしか有し得ない標的化ナノ粒子についての記載を提供する。この種の標的化ナノ粒子は、有している表面リガンドが少ないことにより、例えば、より小さな全体サイズを有する複数の標的リガンドを含むナノ粒子よりも優れており、親和性に基づく相互作用ではなく結合力に基づく相互作用を通して非特異的結合を仲介するためにリガンドが少ない。更に、治療剤を含有又は運搬するナノ粒子は、単一の標的リガンドのみを用いて対象箇所(細胞又は組織等)に成功裏に標的とすることができ、それによって、非常に高い標的リガンド対治療剤比で、治療剤を標的に送達する。記載するナノ粒子のこの態様は、標的化を仲介するために多数の高価な抗体を使用する必要を低減すると同時に、このような治療剤を製造する効率を著しく高めることができる。
本明細書に記載するナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系は、様々なサイズ、寸法、及び化学的性質の化合物を運搬するのに好適な柔軟な分子構造として幾つかの実施形態において使用することができる。
本明細書に記載するナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系は、運搬される化合物を分解、免疫系による認識、及び血清タンパク質又は血液細胞との組み合わせに起因する喪失から保護することができる送達系として、幾つかの実施形態において用いることができる。
本明細書に記載するナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系は、立体安定化、並びに/又は組織、組織内の特定の細胞種、及び更には特定の細胞種内の特定の細胞内部位等の特定の標的に化合物を送達する能力を特徴とする送達系として、幾つかの実施形態において用いることができる。
本明細書に記載するナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系は、異なる速度及び/又は時間で同じナノ粒子内の複数の化合物を制御放出することを含む、運搬される化合物を制御された方法で放出するために、幾つかの実施形態において設計され得る。
本明細書に記載するナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系は、標的化中の特異性及び/若しくは選択性が強化され、並びに/又は当該技術分野の特定の系に比べて標的による化合物の認識が強化された状態で化合物を送達するために、幾つかの実施形態において用いることができる。
本明細書に記載するナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系は、治療、診断、及び臨床用途等の医療用途が挙げられるが、これらに限定されない、対象化合物の制御送達が望ましい用途に関連して、幾つかの実施形態において用いることができる。更なる用途は、生物学的分析、獣医学的用途、並びに動物以外の生物、特に植物における対象化合物の送達を含む。
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、添付図面、並びに以下の詳細な説明及び実施例に記載される。他の特徴、目的、及び利点は、詳細な説明、実施例、及び図面、並びに添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本開示の原理及び実施について説明するために、詳細な説明及び実施例と共に、本開示の1つ以上の実施形態を例証する。
ボロン酸含有化合物の非存在下におけるナノ粒子及び関連する形成方法の概略図を示す。パネルAは、本明細書に記載する一実施形態に係るポリオール(MAP,4)含有ポリマー及び対象化合物(核酸)の概略図を示す。パネルBは、パネルAに示すポリオール含有ポリマー及び化合物を構築して形成されたナノ粒子を示す。
本開示の一実施形態に係るナノ粒子及び関連する製造方法の概略図を示す。パネルAは、本開示の一実施形態に係る対象分子(核酸)と共にポリオール(MAP,4)含有ポリマー及びボロン酸(BA−PEG,6)含有ポリマーを示す。パネルBは、パネルAに示すポリマー及び化合物を構築して形成されたBA−ペグ化安定化ナノ粒子を示す。
本明細書に記載する一実施形態に係るポリオール含有ポリマー及び対象化合物を含む複合体の形成を示す。具体的には、図3は、本開示の一実施形態に係るプラスミドDNAを用いたMAPゲル遅延度アッセイの結果を示す。DNAラダーをレーン1にロードする。レーン2〜8は、電荷比を徐々に増加させたMAPと組み合わせたプラスミドDNAを示す。電荷比は、核酸における負電荷の量で除したMAPにおける正電荷の量として定義される。
本明細書に記載する一実施形態に係るポリオール含有ポリマー及び対象化合物を含む複合体の形成を示す。具体的には、図4は、本開示の一実施形態に係るsiRNAを用いたMAPゲル遅延度アッセイの結果を示す。DNAラダーをレーン1にロードする。レーン2〜8は、電荷比が徐々に増加するMAPと合わせたsiRNAを示す。
本明細書に記載する幾つかの実施形態に係るナノ粒子の特性を示す。具体的には、図5は、電荷比に対する(動的光散乱(DLS)測定から決定された)粒径、及び本開示の一実施形態に係るMAP−プラスミドナノ粒子の電荷比に対するゼータ電位(ナノ粒子の表面電荷に関連する特性)のプロットを示す図を示す。
本明細書に記載する幾つかの実施形態に係るナノ粒子の特性を示す。具体的には、図6は、電荷比に対する粒径(DLS)、及び本開示の一実施形態に係るBA−ペグ化MAP−プラスミドナノ粒子の電荷比に対するゼータ電位のプロットを示す図を示す。
本明細書に開示する一実施形態に係るBA−ペグ化MAP−プラスミドナノ粒子の塩安定性を示す。プロットA:5:1 BA−PEG+np+1×PBS 5分後;プロットB:5:1 BA−PEG+np、透析3× w/100kDa+1×PBS 5分後;プロットC:5:1プレペグ化w/BA−PEG+1×PBS 5分後;プロットD:5:1プレペグ化w/BA−PEG、透析3× w/100kDa+PBS 5分後。
本明細書に記載する一実施形態に係るナノ粒子を用いたインビトロにおける剤のヒト細胞への送達を示す。具体的には、図8は、本開示の一実施形態に係るMAP/pGL3のHeLa細胞へのトランスフェクションについての、細胞に送達されたpGL3プラスミドから発現したルシフェラーゼタンパク質の量の指標である相対光単位(RLU)対電荷比のプロットを示す図を示す。
本明細書に記載する一実施形態に係るナノ粒子を用いた剤の標的への送達を示す。具体的には、図9は、本開示の一実施形態に係るMAP/pGL3トランスフェクション後の細胞生存率対電荷比のプロットを示す図を示す。生存率のデータは、図8に示した実験についてのものである。
本明細書に記載する一実施形態に係るナノ粒子を用いた複数の化合物の標的への送達を示す。具体的には、図10は、本明細書に記載する一実施形態に係る、電荷比+/−5のpGL3及びsiGL3を含有するMAP粒子のHeLa細胞へのコトランスフェクションについての、相対光単位(RLU)対粒子の種類のプロットを示す図を示す。siCONという表現は、対照配列を有するsiRNAを示す。
本明細書に記載する一実施形態に係るナノ粒子を用いた化合物の標的への送達を示す。具体的には、図11は、本明細書に記載する一実施形態に係る、電荷比+/−5のMAP/siGL3のHeLa−Luc細胞への送達についての、相対光単位(RLU)対siGL3の濃度のプロットを示す図を示す。
本明細書に記載する幾つかの実施形態に係る標的リガンドを提示するボロン酸含有ポリマーの合成の概略図を示す。具体的には、図12は、本開示の一実施形態に係るボロン酸−PEGジスルフィド−トランスフェリンの合成の概略を示す。
本明細書に記載する幾つかの実施形態に係るナノ粒子の合成の概略図を示す。具体的には、図13は、本開示の一実施形態に係る水中におけるカンプトセシンムチン酸ポリマー(CPT−ムチン酸ポリマー)を含むナノ粒子の形成の概略を示す。
本開示の一実施形態に従って調製される、水中でコンジュゲートしたCPT−ムチン酸ポリマーから形成されたナノ粒子の粒径及びゼータ電位を要約する表を示す。
本明細書に記載する幾つかの実施形態に係るナノ粒子の合成の概略図を示す。具体的には、図15は、本開示の一実施形態に係る水中におけるCPT−ムチン酸ポリマー及びボロン酸−ジスルフィド−PEG5000を用いたボロン酸−ペグ化ナノ粒子の形成を示す。
PEGを用いずに、ニトロPEG−PEGを用いて、及び0.25モル%ハーセプチン−PEG−ニトロPBAを用いて安定化したMAP−4/siRNAの塩安定性を示す。電荷比3(+/−)における配合では、得られる溶液が1×PBSになるように5分で10×PBSを添加した。
(A)BT−474中におけるハーセプチン(登録商標)−PEG−ニトロPBAのナノ粒子に対する比を増加させたときの標的化MAP−CPTナノ粒子、(B)BT−474(黒棒)及びMCF−7(白棒)細胞株における、遊離ハーセプチン(登録商標)(10mg/mL)を含む若しくは含まない中MAP−CPTナノ粒子又は標的化MAP−CPTナノ粒子の細胞取り込みを示す。
A及びBは、10mgCPT/kgを注入したBALB/cマウスにおける短、中、及び長MAP−CPTナノ粒子、並びに標的化MAP−CPTナノ粒子の血漿薬物動態を示す。10mg/kgでCD2F1マウスに注入した遊離CPTを比較として示す。(A)時間の関数としてのポリマーに結合しているCPTの血漿濃度。(B)時間の関数としてのコンジュゲートしていないCPTの血漿濃度。
4及び24時間の処理後のMAP−CPT(5mgCPT/kg)及び標的化MAP−CPT(5mgCPT/kg、29mgハーセプチン(登録商標)/kg)ナノ粒子の体内分布を示す。(A)腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、又は肺1グラム当たりの全CPTの注入量(ID)率(%)(B)腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、及び肺におけるコンジュゲートしていない各器官中の全CPTの割合(C)血漿中のCPTの合計濃度(D)血漿におけるコンジュゲートしていない合計CPTの割合。
4及び24時間の処理後のMAP−CPT(5mgCPT/kg)及び標的化MAP−CPT(5mgCPT/kg、29mgハーセプチン(登録商標)/kg)ナノ粒子の体内分布を示す。(A)腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、又は肺1グラム当たりの全CPTの注入量(ID)率(%)(B)腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、及び肺におけるコンジュゲートしていない各器官中の全CPTの割合(C)血漿中のCPTの合計濃度(D)血漿におけるコンジュゲートしていない合計CPTの割合。
4及び24時間の処理後のMAP−CPT(5mgCPT/kg)及び標的化MAP−CPT(5mgCPT/kg、29mgハーセプチン(登録商標)/kg)ナノ粒子の体内分布を示す。(A)腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、又は肺1グラム当たりの全CPTの注入量(ID)率(%)(B)腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、及び肺におけるコンジュゲートしていない各器官中の全CPTの割合(C)血漿中のCPTの合計濃度(D)血漿におけるコンジュゲートしていない合計CPTの割合。
4及び24時間の処理後のMAP−CPT(5mgCPT/kg)及び標的化MAP−CPT(5mgCPT/kg、29mgハーセプチン(登録商標)/kg)ナノ粒子の体内分布を示す。(A)腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、又は肺1グラム当たりの全CPTの注入量(ID)率(%)(B)腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、及び肺におけるコンジュゲートしていない各器官中の全CPTの割合(C)血漿中のCPTの合計濃度(D)血漿におけるコンジュゲートしていない合計CPTの割合。
(A)4時間におけるMAP−CPT(5mgCPT/kg)、(B)24時間におけるMAP−CPT(5mgCPT/kg)、(C)4時間における標的化MAP−CPT(5mgCPT/kg、29mgハーセプチン(登録商標)/kg)、(D)24時間における標的化MAP−CPT(5mgCPT/kg、29mgハーセプチン(登録商標)/kg)で処理したNCrヌードマウスから採取したBT−474腫瘍切片の共焦点免疫蛍光顕微鏡画像を示す。左のパネル:発光440nm(CPT、ピンク)、中央左のパネル:発光519nm(MAP、緑)、中央右のパネル:発光647nm(ハーセプチン(登録商標)、青)、右のパネル:画像の重層。
BT−474異種移植腫瘍を有するNCrヌードマウスにおける抗腫瘍効果試験を示す。時間の関数としての平均腫瘍体積、週2回ハーセプチンを投与した群、週3回投与した全ての他の群。
(A)5.9mg/kgのハーセプチン、(B)標的化MAP−CPTナノ粒子(5.9mgハーセプチン(登録商標)/kg及び1mgCPT/kg)で処理したNCrヌードマウスにおける抗腫瘍効果試験を示す。
対象化合物(本明細書ではカーゴとも呼ぶ)の送達に関連して用いることができるナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系、上記ナノ粒子を製造する方法、上記ナノ粒子を用いる治療方法、並びに上記ナノ粒子を構築するためのキットを本明細書に提供する。
用語「ナノ粒子」とは、本明細書で使用するとき、ナノスケール寸法の複合構造体を示す。具体的には、ナノ粒子は、典型的に、約1〜約1000nmの範囲のサイズの粒子であり、通常、球形であるが、ナノ粒子の組成に依存して異なる形態も可能である。ナノ粒子の外部環境に接触するナノ粒子の部分は、一般的に、ナノ粒子の表面として同定される。本明細書に記載するナノ粒子では、サイズ制限は、二次元に限定され得、その結果、本明細書に記載するナノ粒子は、約1〜約1000nmの直径を有する複合構造体を含み、この場合、特定の直径は、ナノ粒子の組成及び実験計画に従ったナノ粒子の意図する使用に依存する。例えば、幾つかの治療用途で用いられるナノ粒子は、典型的に、約200nm以下のサイズを有し、具体的には、癌治療に関連する送達に用いられるものは、典型的に、約1〜約100nmの直径を有する。用語「標的化ナノ粒子」とは、標的剤又はリガンドとコンジュゲートしているナノ粒子を指す。
また、表面電荷及び立体安定化等のナノ粒子の更なる望ましい特性は、特定の対象用途を考慮して変動し得る。癌治療等の臨床用途において望ましいことがある例示的な特性の一部が、科学文献に記載されている。更なる特性は、本開示を読んだときに当業者によって特定可能である。ナノ粒子の寸法及び特性は、当該技術分野において周知の技術によって検出され得る。粒子の寸法を検出するための例示的な技術としては、動的光散乱(DLS)、並びに透過電子顕微鏡法(TEM)及び原子間力顕微法(AFM)等の様々な顕微鏡法が挙げられるが、これらに限定されない。粒子の形態を検出するための例示的な技術としては、TEM及びAFMが挙げられるが、これらに限定されない。ナノ粒子の表面電荷を検出するための例示的な技術としては、ゼータ電位法が挙げられるが、これらに限定されない。他の化学的特性を検出するのに好適な更なる技術は、1H、11B、及び13C、及び19F NMR、UV/Vis及び赤外線/ラマン分光法、並びに蛍光分光法(ナノ粒子を蛍光標識と併用するとき)、並びに当業者によって特定可能な更なる技術を含む。
本明細書に記載するナノ粒子、並びに関連する組成物、方法、及び系を用いて、所定の標的に対象化合物、具体的には剤を送達することができる。
用語「送達する」及び「送達」とは、本明細書で使用するとき、化合物の空間的位置に影響を与える活動、具体的には、上記位置を制御する活動を指す。したがって、本開示の意味における化合物の送達は、特定のセットの条件下で特定の時間、化合物の配置及び移動に影響を与え、その結果、これら条件下における化合物の配置及び移動が、そうではない場合に化合物が有する配置及び移動に対して変化する能力を指す。
具体的には、基準終点に対する化合物の送達は、選択した基準終点に化合物が最終的に配置されるように、化合物の配置及び移動を制御する能力を指す。インビトロ系では、化合物の送達は、通常、化合物の化学的及び/又は生物学的検出可能特性及び活性の対応する改質に関連する。インビボ系では、化合物の送達は、典型的に、化合物の薬物動態及び場合により薬力学の改質に関連する。
化合物の薬物動態は、典型的に、個体の身体によって提供される、系からの化合物の吸収、分布、代謝、及び***を指す。具体的には、用語「吸収」とは、物質が身体に入るプロセスを指し、用語「分布」とは、身体の流体及び組織全体にわたる物質の分散又は散在を指し、用語「代謝」とは、親化合物の娘代謝産物への不可逆的な転換を指し、用語「***」とは、身体からの物質の排出を指す。化合物が製剤中に存在する場合、薬物動態は、化合物、典型的には薬物の製剤からの放出のプロセスを示す、製剤からの化合物の遊離も含む。用語「薬力学」とは、身体上、又は身体内若しくは身体上の微生物若しくは寄生虫上における化合物の生理学的効果、及び薬物の作用機序、及び薬物濃度と効果との関係を指す。当業者は、対象化合物、具体的には、薬物等の対象剤の薬物動態並びに薬力学特徴及び特性を検出するのに好適な技術及び手順を特定することができる。
用語「剤」とは、本明細書で使用するとき、標的に関連する化学的又は生物学的活性を示すことができる化合物を指す。用語「化学的活性」とは、本明細書で使用するとき、化学反応を実施する分子の能力を指す。用語「生物学的活性」とは、本明細書で使用するとき、生体に影響を与える分子の能力を指す。剤の例示的な化学的活性は、共有結合性又は静電相互作用の形成を含む。剤の例示的な生物学的活性は、内因性分子の生成及び分泌、内因性又は外因性分子の吸収及び代謝、並びに対象遺伝子の転写及び翻訳を含む遺伝子発現の活性化又は不活化を含む。
用語「標的」とは、本明細書で使用するとき、単細胞若しくは多細胞生物又はこれらの一部を含む対象生体系を指し、インビトロ若しくはインビボ生体系又はこれらの一部を含む。
本明細書におけるナノ粒子は、ポリオール含有ポリマーにカップリングしているボロン酸含有ポリマーが、ナノ粒子の外部環境に提示されるようにナノ粒子中で配置されていると記載される。
用語「ポリマー」とは、本明細書で使用するとき、典型的に、共有化学結合によって接続されている繰り返し構造単位からなる大きな分子を指す。好適なポリマーは、直鎖及び/又は分枝鎖であってよく、ホモポリマー又はコポリマーの形態を取り得る。コポリマーが用いられる場合、コポリマーは、ランダムコポリマー又は分枝鎖コポリマーであってよい。例示的なポリマーは、水分散性、特に水溶性ポリマーを含む。例えば、好適なポリマーとしては、多糖類、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。治療及び/又は医療的用途及び適用については、ポリマーは、低毒性プロファイルを有しなければならず、具体的には、毒性でも細胞毒性でもない。好適なポリマーとしては、約500,000以下の分子量を有するポリマーが挙げられる。具体的には、好適なポリマーは、約100,000以下の分子量を有し得る。
用語「ポリオール含有ポリマー」又は「ポリオールポリマー」とは、本明細書で使用するとき、複数のヒドロキシル官能基を提示するポリマーを指す。具体的には、本明細書に記載するナノ粒子を形成するのに好適なポリオール含有ポリマーは、ボロン酸含有ポリマーの少なくとも1つのボロン酸とカップリング相互作用するためのヒドロキシル官能基の少なくとも一部を提示するポリマーを含む。
用語「提示する」とは、化合物又は官能基に関連して本明細書で使用するとき、結合したときに化合物又は官能基の化学的反応性を維持するように実施される結合を指す。したがって、表面に提示される官能基は、適切な条件下で、官能基を化学的に特徴付ける1つ以上の化学反応を実施することができる。
ポリオール含有ポリマーを形成する構造単位は、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、及びグリセリン等のモノマーポリオールを含む。例示的なポリオール含有ポリマーは、ポリエステル、ポリエーテル、及び多糖類を含む。例示的な好適なポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール等の、ジオール、具体的には、一般式HO−(CH2CH2O)p−H(式中、pは1以上である)を有するジオールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な好適な多糖類としては、シクロデキストリン、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、及びβ−グルカンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な好適なポリエステルとしては、ポリカーボネート、ポリブチレート、及びポリエチレンテレフタレート(全て、ヒドロキシル末端基で終端する)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なポリオール含有ポリマーは、約500,000以下、特に約300〜約100,000の分子量のポリマーを含む。
ポリオール含有ポリマーは幾つか市販されている、並びに/又は当業者によって特定可能な技術及び手順を用いて生成することができる。例示的なポリオールポリマーを合成するための例示的な手順は、科学文献に既に記載されており、また、他の手順を実施例1〜4に例証する。ポリオール含有ポリマーを作製するための更なる手順は、本開示を考慮して当業者によって特定可能である。
用語「ボロン酸含有ポリマー」又は「BAポリマー」とは、本明細書で使用するとき、ポリオール含有ポリマーのヒドロキシル基に結合するために提示される少なくとも1つのボロン酸基を含有するポリマーを指す。具体的には、本明細書に記載するナノ粒子のボロン酸含有ポリマーは、少なくとも1つの構造単位において、炭素−ホウ素化学結合を含有するアルキル又はアリール置換ボロン酸を含むポリマーを含む。好適なBAポリマーは、得られるポリマーに親水性を付与するために、末端構造単位又は任意の他の好適な位置にボロン酸が存在するポリマーを含む。例示的なポリオール含有ポリマーは、約40,000以下、特に約20,000以下又は約10,000以下の分子量のポリマーを含む。
ボロン酸含有ポリマーは幾つか市販されている、並びに/又は当業者によって特定可能な技術及び手順を用いて生成することができる。例示的なポリオールポリマーを合成するための例示的な手順は、科学文献に既に記載されており、他の新規手順を実施例5〜8に例証する。BAポリマーを作製するための更なる手順は、本開示を考慮して当業者によって特定可能である。
本明細書に記載するナノ粒子では、ポリオールポリマーは、BAポリマーにカップリングしている。用語「カップリングする」又は「カップリング」とは、2つの分子間の結合に関連して本明細書で使用するとき、可逆的共有結合を形成する相互作用を指す。具体的には、好適な媒体の存在下で、BAポリマー上に提示されているボロン酸は、急速且つ可逆的な対共有結合性相互作用を介してポリオールのヒドロキシル基と相互作用して、好適な媒体中でボロン酸エステルを形成する。好適な媒体としては、水及び幾つかの水性溶液、並びに当業者によって特定可能な更なる有機媒体が挙げられる。具体的には、水性媒体中で接触したとき、BAポリマーとポリオールポリマーとが反応して、副生成物として水を生成する。ボロン酸−ポリオール相互作用は、一般的に、水性溶液中がより好ましいが、有機媒体中で進行することも知られている。更に、1,2及び1,3ジオールと形成される環状エステルは、一般的に、その非環式エステル対応物よりも安定である。
したがって、本明細書に記載するナノ粒子では、ボロン酸含有ポリマーの少なくとも1つのボロン酸が、可逆的共有結合でポリオール含有ポリマーのヒドロキシル基に結合している。BAポリマーとポリオールポリマーとの間のボロン酸エステルの形成は、ホウ素−11核磁気共鳴(11B NMR)、電位差滴定、UV/Vis及び蛍光検出技術等の当業者によって特定可能な方法及び技術によって検出することができ、それによって、選択の技術は、ボロン酸及びポリオールを含むナノ粒子の特定の化学的性質及び特性に依存する。
本明細書に記載するBAポリマーと本明細書に記載するポリオールポリマーとのカップリング相互作用から得られるナノ粒子は、粒子の表面上にBAポリマーを提示する。幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、約1〜約1000nmの直径及び球状形態を有し得るが、粒子の寸法及び形態は、大部分は、ナノ粒子を形成するために用いられる特定のBAポリマー及びポリオールポリマーによって、並びに本開示に係るナノ粒子上で運搬される化合物によって決定される。
幾つかの実施形態では、ナノ粒子によって運搬される対象化合物は、BAポリマー及び/又はポリオールポリマーの一部を形成する。このような実施形態の例は、ポリマーの1つ以上の原子が特定の同位体(例えば、19F及び10B)によって置換されているナノ粒子によって提供されるので、標的を画像化するため及び/又は標的に放射線処理を行うための剤として好適である。
幾つかの実施形態では、対象化合物を運搬するナノ粒子は、共有結合又は非共有結合を介して、ポリマー、典型的にはポリオールポリマーに結合している。このような実施形態の例は、ポリオールポリマー及びBAポリマーのうちの少なくとも1つにおける1つ以上の部分が1つ以上の対象化合物に結合しているナノ粒子によって提供される。
用語「結合する」、「結合している」、又は「結合」は、本明細書で使用するとき、2つ以上の成分を互いに保持するための接合、連結、力、又は連携による接続又は一体化を指し、これは、例えば第1の化合物が第2の化合物に直接接合するように、及び第1の化合物と第2の化合物との間に1つ以上の中間体化合物、特に分子が配置されている実施形態のような直接又は間接的結合を包含する。
具体的には、幾つかの実施形態では、化合物は、ポリマーの好適な部分への上記化合物の共有結合を介してポリオールポリマー又はBAポリマーに結合することができる。例示的な共有結合は、薬物カンプトセシンのムチン酸ポリマーへの結合が生分解性エステル結合を介して実施される実施例19、及びトランスフェリンのBA−PEG5000への結合がトランスフェリンのペグ化を介して実施される実施例9に例証する。
幾つかの実施形態では、ポリマーは、例えば、対象化合物における対応する官能基に特異的に結合することができる1つ以上の官能基を付加することによって、特定の対象化合物に結合できるように設計又は修飾することができる。例えば、幾つかの実施形態では、BA−PEG−X(式中、Xは、マレイミド又はヨードアセチル基又はチオールと特異的に反応するか又はアミンと非特異的に反応する任意の脱離基であってよい)でナノ粒子をペグ化することができる。次いで、結合する化合物は、チオール官能基を発現するように修飾した後にマレイミド又はヨードアセチル基に反応することができる。また、結合する化合物は、アルデヒド又はケトン基で修飾してもよく、これらは、ポリオールにおけるジオールと縮合反応を介して反応してアセタール又はケタールを与えることができる。
幾つかの実施形態では、対象化合物は、イオン結合、及び結合する化合物とポリマーの好適な部分との間の分子間相互作用等の非共有結合を介してポリオールポリマー又はBAポリマーに結合することができる。例示的な非共有結合は、実施例10に例証される。
対象化合物は、例えば、微粒子複合材におけるポリマー及び/又は任意の結合する化合物の修飾を介して、ナノ粒子の形成前、形成時、又は形成後にナノ粒子に結合することができる。ナノ粒子における化合物の結合を実施するための例示的な手順は、実施例の項に例証する。本明細書に記載するナノ粒子のBAポリマー、ポリオールポリマー又は他の成分(例えば、既に導入されている対象化合物)に化合物を結合させる更なる手順は、本開示を読んだときに当業者によって特定可能である。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子上に提示されているBAポリマーに結合している少なくとも1つの対象化合物は、標的リガンドとして用いることができる剤である。具体的には、幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、BAポリマーにおいて標的リガンドとして用いられる1つ以上の剤と、並びにポリオールポリマー及び/又はBAポリマーにおいて、選択された標的に送達される1つ以上の剤と結合する。
用語「標的リガンド」又は「標的剤」とは、本開示で用いるとき、特定の標的に会合するために、具体的には、例えば、ナノ粒子が細胞受容体に結合できるようにすることによって特定の細胞を認識する目的のために、ナノ粒子の表面上に提示され得る任意の分子を指す。好適なリガンドの例としては、ビタミン(例えば、葉酸)、タンパク質(例えば、トランスフェリン及びモノクローナル抗体)、単糖類(例えば、ガラクトース)、ペプチド、及び多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、標的リガンドは、抗VEGF等の特定の表面細胞受容体に対する抗体、葉酸等の低分子、及びホロトランスフェリン等の他のタンパク質であってよい。
当業者であれば理解する通り、リガンドの選択は、所望の送達の種類に依存して変動し得る。別の例として、リガンドは、HIV−1由来のTATタンパク質等の膜透過又は膜透過性剤であってよい。TATタンパク質は、細胞核に能動的に移入されるウイルスの転写活性化である。Torchilin,V.P.et al,PNAS.98,8786 8791,(2001)。BAポリマーに結合する好適な標的リガンドは、典型的に、その遠位端にボロン酸が結合しているポリ(エチレンオキシド)等の柔軟性スペーサーを含む(実施例9を参照)。
幾つかの実施形態では、ポリオールポリマー及び/又はBAポリマーに含まれるか又は結合している化合物のうちの少なくとも1つ(標的リガンドを含む)は、標的、例えば、化学的又は生物学的活性、例えば、治療活性が発揮される個体に送達される剤、特に薬物であってよい。
本明細書に記載するナノ粒子を形成するのに好適なポリオールポリマー及びBAポリマーの選択は、対象化合物及び標的を考慮して実施してよい。具体的には、本明細書に記載するナノ粒子を形成するのに好適なポリオール含有ポリマー及び好適なBAポリマーの選択は、候補ポリオールポリマー及びBAポリマーを提供し、本開示の意味でカップリング相互作用を形成することができるポリオールポリマー及びBAポリマーを選択することによって実施することができ、ここで、選択されるBAポリマー及びポリオールポリマーは、ポリオールポリマー及び/又はBAポリマーに含まれるか又は結合している対象化合物及び標的リガンドを考慮して、ポリオールポリマーの親水性がBAポリマーよりも低いような化学組成を有する。ナノ粒子の表面上におけるBAポリマー、及びナノ粒子の外部環境における関連する提示の検出は、実施例12に例証する通り、ナノ粒子の表面の修飾を示すことができるゼータ電位の検出によって実施することができる。(具体的には、図6を参照)。粒子の表面電荷及び塩溶液中の粒子の安定性を検出するための更なる手順としては、実施例12に例示されているもの等の粒径の変化の検出(具体的には、図7を参照)、及び当業者によって特定可能な更なる手順が挙げられる。
幾つかの実施形態では、ポリオール含有ポリマーは、以下の構造単位のうちの少なくとも1つのうちの1つ以上を含む:
Aは、以下の式の有機部分であり:
R1及びR2は、独立して、約10kDa以下の分子量を有する任意の炭素ベース又は有機基から選択され、
Xは、独立して、−H、−F、−C、−N、又は−Oのうちの1つ以上を含有する脂肪族基から選択され、
Yは、独立して、−OH、又は−CH2OH、−CH2CH2OH、−CF2OH、−CF2CF2OH、及びC(R1G1)(RG2)(R1G3)OH(式中、R1G1、R1G2、及びR1G3は、独立して、有機ベース官能基である)が挙げられるがこれらに限定されないヒドロキシル(−OH)基を有する有機部分から選択される)
Bは、第1のA部分のR1及びR2のうちの1つを、第2のA部分のR1及びR2のうちの1つと連結させる有機部分である]。
用語「部分」とは、本明細書で使用するとき、より大きな分子又は分子種の一部を構成する原子の群を指す。具体的には、部分とは、繰り返しポリマー構造単位の構成要素を指す。例示的な部分としては、酸又は塩基種、糖、炭水化物、アルキル基、アリール基、及びポリマー構造単位の形成において有用な任意の他の分子の構成要素が挙げられる。
用語「有機部分」とは、本明細書で使用するとき、炭素原子を含有する部分を指す。具体的には、有機基としては、天然及び合成化合物、並びにヘテロ原子を含む化合物が挙げられる。例示的な天然有機部分としては、大部分の糖、一部のアルカロイド及びテルペノイド、炭水化物、脂質及び脂肪酸、核酸、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、ビタミン、並びに脂肪及び油が挙げられるが、これらに限定されない。合成有機基とは、他の化合物との反応によって調製される化合物を指す。
幾つかの実施形態では、1つ以上の対象化合物が、(A)、(B)、又は(A)及び(B)に結合してもよい。
幾つかの実施形態では、R1及びR2は、独立して、以下の式を有する:
dは、0〜100であり、
eは、0〜100であり、
fは、0〜100であり、
Zは、1つの有機部分を別の、具体的には本明細書に定義する別の部分A又は部分Bに連結させる共有結合であり、
Z1は、独立して、−NH2、−OH、−SH、及び−COOHから選択される)。
幾つかの実施形態では、Zは、独立して、−NH−、−C(=O)NH−、−NH−C(=O)、−SS−、−C(=O)O−、−NH(=NH2 +)−、又は−O−C(=O)−から選択してよい。
幾つかの実施形態では、ポリオール含有ポリマーの構造単位Aが式(IV)を有する場合、Xは、CvH2v+1(v=0〜5である)であってよく、Yは、−OHであってよい。
幾つかの実施形態では、R1及び/又はR2は、式(V)(式中、Zは、−NH(=NH2 +)−である及び/又はZ1は、NH2である)を有する。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する粒子のポリオール含有ポリマーでは、(A)は、独立して、以下の式から選択してよい:
スペーサーは、独立して、任意の有機部分から選択され、具体的には、硫黄、窒素、酸素、又はフッ素等のヘテロ原子を任意で含有するアルキル、フェニル、又はアルコキシ基を含んでよく、
アミノ酸は、遊離アミン及び遊離カルボン酸基を有する任意の有機基から選択され、
nは、1〜20であり、
Z1は、独立して、−NH2、−OH、−SH、及び−COOHから選択される)。
幾つかの実施形態では、Z1は、NH2である及び/又は糖は、グルコース、フルクトース、マンニトール、スクロース、ガラクトース、ソルビトール、キシロース、若しくはガラクトース等の任意の単糖類であってよい。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する粒子のポリオール含有ポリマーでは、1つ以上の構造単位(A)は、独立して、以下の式を有し得る:
幾つかの実施形態では、(B)は、官能基を介して2つの(A)部分を連結する任意の直鎖、分枝鎖、対称又は非対称化合物によって形成され得る。
幾つかの実施形態では、(B)は、少なくとも2つの架橋性基が2つの(A)部分を連結している化合物によって形成され得る。
幾つかの実施形態では、(B)は、その性質及び組成が、共有結合的に又は非共有結合的に繋ぎ止められる化合物の化学的性質に依存する中性、カチオン性、又はアニオン性有機基を含有する。
アニオン性カーゴと共に用いるための(B)の例示的なカチオン性部分としては、アミジン基、四級アンモニウム、一級アミン基、二級アミン基、三級アミン基(そのpKa未満でプロトン化)、及びイミダゾリウムを有する有機基が挙げられるが、これらに限定されない。
カチオン性カーゴと共に用いるための(B)に含有される例示的なアニオン性部分としては、式のスルホネート、式のニトレート、式のカルボキシレート、及びホスホネートを有する有機基が挙げられるが、これらに限定されない。
具体的には、それぞれアニオン性カーゴ及びカチオン性カーゴと共に用いるための1つ以上のカチオン性又はアニオン性部分(B)は、独立して、以下の一般式を有し得る:
特に、−C(=O)OH、−C(=O)Cl、−C(=O)NHS、−C(=NH2 +)OMe、−S(=O)OCl−、−CH2Br、アルキル及び芳香族エステル、末端アルキン、トシレート、及びメシレート。部分Aが求電子性末端基を含有する場合、R5は、−NH2(一級アミン)、−OH、−SH、N3、及び二級アミン等の求核性基を有する。
具体的には、部分(B)が、アニオン性カーゴと共に用いるためのカチオン性部分(B)である場合、「有機基」は、CmH2m(mは、1以上である)からなる一般式を有する骨格と他のヘテロ原子とを有し得る有機部分であり、式(XIII)のアミジン、式(XIV)の四級アンモニウム、式(XV)の一級アミン基、式(XVI)の二級アミン基、式(XVII)の三級アミン基(そのpKa未満でプロトン化)、及び式(XVIII)のイミダゾリウムを含む官能基のうちの少なくとも1つを含有していなければならない:
実施形態では、部分(B)が、カチオン性カーゴと共に用いるためのアニオン性部分(B)である場合、「有機基」は、CmH2m(mは、1以上である)からなる一般式を有する骨格と他のヘテロ原子とを有し得、式(XIX)のスルホネート、式(XX)のニトレート、式(XXI)のカルボキシレート、及び式(XXII)のホスホネートを含む官能基のうちの少なくとも1つを含有していなければならない:
(B)がカルボキシレート(XXI)によって含まれる実施形態では、一級アミン又はヒドロキシル基を含有する化合物は、ペプチド又はエステル結合の形成を介して結合することもできる。
(B)が式(XV)の一級アミン基及び/又は式(XVI)の二級アミン基からなる実施形態では、カルボン酸基を含有する化合物は、ペプチド結合の形成を介して結合することもできる。
幾つかの実施形態では、部分(B)は、独立して、以下から選択することができる:
qは、1〜20であり、具体的には、5であってよく、
pは、20〜200であり、
Lは、脱離基である)。
用語「脱離基」とは、本明細書で使用するとき、異方性結合開裂において電子対を有して離れる分子断片を指す。具体的には、脱離基は、アニオン又は中性分子であってよく、脱離基が離れる能力は、共役酸のpKaと相関し、pKaがより低いことは、より優れた脱離基の能力と関連している。例示的なアニオン性脱離基としては、Cl−、Br−、及びI−等のハロゲン化物、並びにパラ−トルエンスルホネート又は「トシレート」(TsO−)等のスルホネートエステルが挙げられる。例示的な中性分子脱離基は、水(H2O)、アンモニア(NH3)、及びアルコール(ROH)である。
具体的には、幾つかの実施形態では、Lは、塩化物(Cl)、メトキシ(OMe)、tブトキシ(OtBU)、又はNヒドロキシスクシンイミド(NHS)であってよい。
幾つかの実施形態では、式(I)の構造単位は、以下の式を有し得る:
幾つかの実施形態では、式(II)の構造単位は、以下の式を有し得る:
幾つかの実施形態では、式(III)の構造単位は、以下の式を有し得る:
nは、1〜20であり、具体的には、1〜4であってよい)。
幾つかの実施形態では、ポリオール含有ポリマーは、以下の式を有し得る:
幾つかの実施形態では、ボロン酸含有ポリマーは、少なくとも1つの末端ボロン酸基を含有し、以下の構造を有する:
R3及びR4は、独立して、任意の親水性有機ポリマーから選択してよく、具体的には、独立して、任意のポリ(エチレンオキシド)、及び双性ポリマーであってよく、
X1は、−CH、−N、又は−Bのうちの1つ以上を含有する有機部分であってよく、
Y1は、場合によりオレフィン若しくはアルキニル基を含有する−CmH2m−(mは、1以上である)を有するアルキル基、又はアルキニル基、又はフェニル、ビフェニル、ナフチル、若しくはアントラセニル等の芳香族基であってよく、
rは、1〜1000であり、
aは、0〜3であり、
bは、0〜3であり、
官能基1及び官能基2は、同じであるか又は異なり、且つ標的リガンド、具体的には、タンパク質、抗体、又はペプチドに結合することができるか、又は−OH、−OCH3、又は−(X1)−(Y1)−B(OH)2−等の末端基である)。
幾つかの実施形態では、R3及びR4は、(CH2CH2O)t(式中、tは、2〜2000、特に100〜300である)である。
幾つかの実施形態では、X1は、−NH−C(=O)−、−S−S−、−C(=O)−NH−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−であってよく、及び/又はY1が、フェニル基であってよい。
幾つかの実施形態では、rは、1であってよく、aは、0であってよく、bは、1であってよい。
幾つかの実施形態では、官能基1及び官能基2は、同じであるか又は異なり、且つ独立して、−B(OH)2、−OCH3、−OHから選択される。
具体的には、式(XXXI)の官能基1及び/又は2は、カーゴ、特に標的リガンド、例えば、タンパク質、抗体、又はペプチドに結合することができる官能基であってよく、又は−OH、−OCH3、若しくは−(X)−(Y)−B(OH)2等の末端基であってよい。
用語「官能基」とは、本明細書で使用するとき、その構造又は部分の特徴的な化学反応に関与する、その分子構造又は部分内の原子の特定の基を指す。例示的な官能基としては、炭化水素、ハロゲンを含有する基、酸素を含有する基、窒素を含有する基、並びにリン及び硫黄を含有する基が挙げられ、これらは全て当業者によって特定可能である。具体的には、本開示の意味における官能基としては、カルボン酸、アミン、トリアリールホスフィン、アジド、アセチレン、スルホニルアジド、チオ酸、及びアルデヒドが挙げられる。具体的には、例えば、標的リガンド中の対応する官能基に結合することができる官能基は、以下の結合パートナーを含むように選択してよい:カルボン酸基及びアミン基、アジド及びアセチレン基、アジド及びトリアリールホスフィン基、スルホニルアジド及びチオ酸、並びにアルデヒド及び一級アミン。更なる官能基は、本開示を読んだときに当業者によって特定され得る。本明細書で使用するとき、用語「対応する官能基」とは、別の官能基と反応することができる官能基を指す。したがって、互いに反応することができる官能基を、対応する官能基対と称することがある。
末端基は、巨大分子又はオリゴマー分子の末端に存在する構成単位を指す。例えば、PETポリエステルの末端基は、アルコール基又はカルボン酸基であってよい。末端基を用いて分子量を決定することができる。例示的な末端基は、−OH、−COOH、NH2、及びOCH3を含む。
幾つかの実施形態では、ボロン酸含有ポリマーは、以下の式を有し得る:
本開示のナノ粒子に結合することができる例示的な剤及び標的リガンドは、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド、アプタマーポリペプチド、タンパク質、多糖類、巨大分子複合体(タンパク質とポリヌクレオチド、糖類及び/又は多糖類との混合物を含むものが挙げられるが、これらに限定されない)、ウイルス、放射性同位体を含む分子、抗体、又は抗体断片が挙げられる有機又は無機分子を含む。
用語「ポリヌクレオチド」とは、本明細書で使用するとき、ヌクレオチド、ヌクレオシド、又はこれらの類似体を含む2つ以上のモノマーからなる有機ポリマーを指す。用語「ヌクレオチド」とは、プリン又はピリミジン塩基及びリン酸基に接合しているリボース又はデオキシリボース糖からなり、且つ核酸の基本構造単位である幾つかの化合物のいずれかを指す。用語「ヌクレオシド」とは、デオキシリボース又はリボースと合わせられたプリン又はピリミジン塩基からなり、且つ特に核酸においてみられる化合物(例えば、グアノシン又はアデノシン)を指す。用語「ヌクレオチド類似体」又は「ヌクレオシド類似体」とは、それぞれ、1つ以上の個々の原子が異なる原子又は異なる官能基で置換されているヌクレオチド又はヌクレオシドを指す。したがって、用語「ポリヌクレオチド」は、任意の長さの核酸、特に、DNA、RNA、これらの類似体及び断片を含む。3つ以上のヌクレオチドのポリヌクレオチドは、「ヌクレオチドオリゴマー」又は「オリゴヌクレオチド」とも呼ばれる。
用語「アプタマー」とは、本明細書で使用するとき、特定の標的に結合するオリゴ核酸又はペプチド分子を指す。具体的には、核酸アプタマーは、例えば、低分子、タンパク質、核酸、並びに更には細胞、組織、及び生物等の様々な分子標的に結合するようにインビトロセレクションの反復ラウンド、又は同等にSELEX(試験管内進化法)を通して改変されている核酸種を含み得る。アプタマーは、抗体と競合する分子認識特性を付与するので、バイオテクノロジー及び治療用途において有用である。ぺプチドアプタマーは、細胞内部のタンパク質−タンパク質相互作用に特異的に結合し、干渉するように設計されているペプチドである。具体的には、ペプチドアプタマーは、例えば、酵母ツーハイブリッド(Y2H)系に由来する選択ストラテジーに従って得ることができる。具体的には、このストラテジーに従って、転写因子結合ドメインに結合している可変ペプチドアプタマーループを、転写因子活性化ドメインに結合している標的タンパク質に対してスクリーニングする。この選択ストラテジーを介するペプチドアプタマーのその標的に対するインビボ結合は、下流の酵母マーカー遺伝子の発現として検出される。
用語「ポリペプチド」とは、本明細書で使用するとき、2つ以上のアミノ酸モノマー及び/又はこれらの類似体からなる有機直鎖、環状、又は分枝鎖ポリマーを指す。用語「ポリペプチド」は、完全長タンパク質及びペプチドを含む任意の長さのアミノ酸ポリマーに加えて、これらの類似体及び断片を含む。3つ以上のアミノ酸のポリペプチドは、タンパク質オリゴマー、ペプチド、又はオリゴペプチドとも呼ばれる。具体的には、用語「ペプチド」及び「オリゴペプチド」とは、通常、50未満のアミノ酸モノマーを含むポリペプチドを指す。本明細書で使用するとき、用語「アミノ酸」、「アミノ酸性モノマー」、又は「アミノ酸残基」とは、20種の天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び人工アミノ酸のいずれかを指し、D及びL光学異性体の両方を含む。具体的には、非天然アミノ酸としては、天然アミノ酸のD立体異性体が挙げられる(これらは、酵素分解を受けにくいので、有用なリガンド基本単位を含む)。用語「人工アミノ酸」とは、標準的なアミノ酸カップリング化学反応を用いて互いに容易にカップリングすることができるが、天然アミノ酸には類似していない分子構造を有する分子を指す。用語「アミノ酸類似体」とは、1つ以上の個々の原子が異なる原子、同位体、又は異なる官能基で置換されているが、それ以外は、類似体が由来する元のアミノ酸と同一であるアミノ酸を指す。これらアミノ酸は全て、標準的なアミノ酸カップリング化学反応を用いてペプチド又はポリペプチドに合成で組み込まれ得る。用語「ポリペプチド」とは、本明細書で使用するとき、1つ以上のモノマー又はアミノ酸モノマー以外の基本単位を含むポリマーを含む。モノマー、サブユニット、又は基本単位という用語は、適切な条件下で、同じ又は異なる化学的性質の別のモノマーと化学的に結合してポリマーを形成することができる化学化合物を指す。用語「ポリペプチド」は、更に、アミド又はペプチド結合以外の化学結合によって、基本単位のうちの1つ以上が別の基本単位に共有結合しているポリマーを含むことを意図する。
用語「タンパク質」とは、本明細書で使用するとき、限定するものではないが、他のタンパク質、DNA、RNA、脂質、代謝産物、ホルモン、ケモカイン、及び低分子を含む他の生体分子との相互作用に関与し得る特定の二次及び三次構造を有するポリペプチドを指す。本明細書に記載される例示的なタンパク質は、抗体である。
用語「抗体」とは、本明細書で使用するとき、抗原による刺激の後、活性化B細胞によって生成され、生体系における免疫応答を促進する抗原に特異的に結合することができる種類のタンパク質を指す。完全抗体は、典型的に、2本の重鎖及び2本の軽鎖を含む4つのサブユニットからなる。用語「抗体」とは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、又はこれらの断片が挙げられるが、これらに限定されない天然及び合成抗体が挙げられる。例示的な抗体としては、IgA、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgM等が挙げられる。例示的な断片としては、Fab Fv、Fab’F(ab’)2等が挙げられる。モノクローナル抗体は、「エピトープ」と呼ばれる別の生体分子の単一の特定の空間的及び極性的機構に特異的に結合し、それによって相補的であると定義される抗体である。幾つかの形態では、モノクローナル抗体は、同じ構造を有してもよい。ポリクローナル抗体は、異なるモノクローナル抗体の混合物を指す。幾つかの形態では、ポリクローナル抗体は、モノクローナル抗体の少なくとも2つが異なる抗原エピトープに結合するモノクローナル抗体の混合物であってよい。異なる抗原エピトープは、同じ標的に存在していてもよく、異なる標的に存在していてもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。抗体は、ホストの免疫及び血清の回収(ポリクローナル)、又は連続ハイブリドーマ細胞株を調製し、分泌されるタンパク質を回収する(モノクローナル)等の当該技術分野において周知の技術によって調製することができる。
幾つかの実施形態では、ポリオールポリマーは、図1及び2の概略図に従って送達される1つ以上の対象化合物と非共有結合性複合体又は連結を形成する。
幾つかの実施形態では、ナノ粒子構造は、剤とポリオール含有ポリマーとを含み、ここで、上記剤は、共有結合によってポリオールポリマーに連結している。剤にコンジュゲートしているポリオールポリマーの例は、実施例16〜21に詳述する。これら実施形態では、剤にコンジュゲートしているポリオールポリマー(本明細書では「ポリオールポリマー−剤コンジュゲート」と呼ばれる)は、その構造が、BA分子との相互作用のために表面上に部位を提示するナノ粒子を形成する。
これら実施形態の幾つかでは、ナノ粒子は、更に、ナノ粒子に立体安定化及び/又は標的化機能を付与するようになっているBAポリマーを含む。具体的には、これら実施形態では、BAポリマーの添加により、自己凝集及び他のナノ粒子との望ましくない相互作用を最小化して、塩及び血清の安定性を強化することができる。例えば、立体安定化は、本明細書では、実施例12に記載する例示的なナノ粒子によって例証される通り、PEGを有するBAポリマーによって提供される。
このような実施形態では、このナノ粒子の構造は、1つ以上の剤の制御放出を提供する能力等、従来技術の剤送達方法よりも優れた利点を幾つかもたらす。この特徴は、例えば、剤とポリオールポリマーとの間の生分解性エステル結合の使用によって提供され得る。当業者は、この目的に好適な他の可能な結合を認識するであろう。これら実施形態では、別の利点は、BAポリマーの部分を通して剤の特異的標的化を提供する能力である。
幾つかの実施形態では、BAポリマーは、MRI又は他の類似の技術において造影剤として用いることができるフッ素化ボロン酸(実施例7)又はフッ素化開裂性ボロン酸(実施例8)を含んでよい。このような造影剤は、ナノ粒子によって送達される剤の薬物動態又は薬力学を追跡するために有用であり得る。
幾つかの実施形態では、ナノ粒子構造は、剤とポリオールポリマーとを含み、上記ナノ粒子は、修飾リポソームである。これら実施形態では、修飾リポソームは、リポソームの表面がポリオールポリマーを提示するように、共有結合を介してポリオールポリマーにコンジュゲートしている脂質を含む。これら実施形態では、送達される剤がリポソームナノ粒子内に含有されるように修飾リポソームを形成する。
用語「リポソーム」とは、本明細書で使用するとき、脂質からなる多孔構造を指す。脂質は、典型的に、長い炭化水素鎖を含むテイル基及び親水性ヘッド基を有する。脂質は、送達される剤を含有するのに好適な内部水性環境と脂質二重層を形成するように配置される。このようなリポソームは、細胞表面受容体又は他の対象標的によって特異的に認識するための好適な標的リガンド又は分子を含んでよい外側表面を提示する。
用語「コンジュゲート」とは、本明細書で使用するとき、1つの分子が第2の分子と共有結合を形成したことを指し、原子が別の単一の及び複数の(例えば、二重)結合(例えば、C=C−C=C−C)と共有結合し、互いに影響を及ぼして電子を非局在化させる結合を含む。
本開示の更に他の実施形態では、ナノ粒子構造は、剤とポリオールとを含み、上記ナノ粒子は、修飾ミセルである。これら実施形態では、修飾ミセルは、疎水性ポリマーブロックを含有するように修飾されたポリオールポリマーを含む。
用語「疎水性ポリマーブロック」とは、本開示で使用するとき、自然に疎水性になるポリマーのセグメントを指す。
用語「ミセル」とは、本明細書で使用するとき、液体に分散している分子の凝集体を指す。典型的なミセルは、水溶液中において、周囲の溶媒と接触している親水性「ヘッド」領域と凝集体を形成し、ミセル中心における疎水性の単一のテイル領域を隔絶する。本開示では、ヘッド領域は、例えば、ポリオールポリマーの表面領域であってよく、一方、テイル領域は、例えば、ポリオールポリマーの疎水性ポリマーブロック領域であってよい。
これら実施形態では、疎水性ポリマーブロックを有するポリオールポリマーは、送達される剤と混合されたとき、ナノ粒子内に含有されている送達される剤を含む修飾ミセルであるナノ粒子を形成するように配置される。このようなナノ粒子の実施形態は、前述の実施形態に係る標的化機能を有する又は有しないBAポリマーと相互作用するのに好適なポリオールポリマーを表面上に提示する。これら実施形態では、この目的のために用いることができるBAポリマーは、式(I)又は(II)中に親水性A及び疎水性Bを有するものが挙げられる。この相互作用は、上述の他のナノ粒子の実施形態と同じ又は類似の利点をもたらす。
幾つかの実施形態では、ナノ粒子又は関連成分は、許容し得るビヒクルと共に組成物中に含まれ得る。用語「ビヒクル」とは、本明細書で使用するとき、活性成分として組成物中に含まれるナノ粒子のために、通常、溶媒、担体、結合剤、賦形剤、又は希釈剤として作用する様々な媒体のいずれかを指す。
組成物が個体に投与される幾つかの実施形態では、組成物は、医薬組成物であってよく、許容し得るビヒクルは、薬学的に許容し得るビヒクルであってよい。
幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、賦形剤又は希釈剤と共に医薬組成物中に含まれ得る。具体的には、幾つかの実施形態では、1つ以上の適合性且つ薬学的に許容し得るビヒクル、具体的には、薬学的に許容し得る希釈剤又は賦形剤と組み合わせてナノ粒子を含有する医薬組成物が開示される。
用語「賦形剤」とは、本明細書で使用するとき、医薬の活性成分用の担体として用いられる不活性物質を指す。本明細書に開示する医薬組成物に好適な賦形剤としては、ナノ粒子を吸収する個体の身体の能力を強化する任意の物質が挙げられる。また、好適な賦形剤としては、便利に且つ正確に投与できるようにするために、ナノ粒子を含む製剤を嵩増しするために用いることができる任意の物質が挙げられる。単回投与量での使用に加えて、賦形剤は、ナノ粒子の取り扱いに役立つように製造プロセスにおいて用いることができる。投与経路及び医薬の形態に依存して、様々な賦形剤を用いてよい。例示的な賦形剤としては、接着防止剤、結合剤、コーティング、崩壊剤、充填剤、風味剤(例えば、甘味剤)、及び着色剤、流動促進剤、潤滑剤、保存剤、吸着剤が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「希釈剤」とは、本明細書で使用するとき、組成物の活性成分を希釈又は運搬するための希釈剤を指す。好適な希釈剤としては、医薬製剤の粘度を低下させ得る任意の物質が挙げられる。
特定の実施形態では、組成物、特に医薬組成物は、非経口投与、より具体的には、静脈内、皮内、及び筋肉内投与を含む全身投与用に配合してよい。
例示的な非経口投与用組成物としては、ナノ粒子を含む滅菌水溶液、注射溶液、又は懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、非経口投与用組成物は、生物学的に適合性の水性液体(蒸留水、生理学的溶液、又は他の水溶液)中に、既にフリーズドライした凍結乾燥形態で調製されている粉末化組成物を溶解させることによって、使用時に調製することができる。
用語「凍結乾燥」(フリーズドライとしても知られている)は、腐敗しやすい材料を保存するため又は材料の輸送により便利にするために通常用いられる脱水プロセスを指す。フリーズドライは、材料を凍結させ、次いで、周囲圧を低下させ、材料中の凍結水を固相から気体に直接昇華させるのに十分な熱を加えることによって行われる。
医薬用途では、フリーズドライは、多くの場合、ワクチン及び他の注射剤等の製品の貯蔵寿命を延長するために用いられる。材料から水を除去し、バイアルに材料を密閉することによって、材料を容易に保管、輸送、及び後に元の注射用形態に再構成することができる。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、所定の標的に送達される。幾つかの実施形態では、標的は、インビトロ生体系であり、方法は、標的を本明細書に記載するナノ粒子と接触させる工程を含む。
幾つかの実施形態では、様々な開示する実施形態に係る好適なナノ粒子を配合する工程を含む、個体に剤を送達する方法を提供する。また、ナノ粒子は、幾つかの開示する実施形態に係る薬学的に許容し得る組成物に配合してよい。方法は、更に、ナノ粒子を被験体に送達する工程を含む。ナノ粒子を個体に送達するために、ナノ粒子又はナノ粒子製剤は、経口的に、非経口的に、局所的に、又は直腸内に投与してよい。これらは、各投与経路に好適な形態で送達される。例えば、ナノ粒子組成物は、錠剤又はカプセル剤で、注射、吸入、点眼剤、軟膏、坐剤、点滴によって;ローション又は軟膏によって局所的に;及び坐剤によって直腸内に投与され得る。
用語「個体」とは、本明細書で使用するとき、植物又は動物、具体的には、高等動物、具体的には、哺乳類等の脊椎動物、具体的には、ヒトが挙げられるがこれらに限定されない単一の生物を含む。
語句「非経口投与」及び「非経口的に投与する」とは、本明細書で使用するとき、通常注射による、経腸及び局所投与以外の投与方法を意味し、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内(intradennal)、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、及びストーマ内(intrastemal)、注射、及び点滴が挙げられる。
語句「全身投与」、「全身に投与する」、「末梢投与」、及び「末梢的に投与する」とは、本明細書で使用するとき、個体の系に入って、代謝及び他の類似のプロセスに供されるように、ナノ粒子又はその組成物を中枢神経系に直接以外の方法で投与することを意味し、例えば、皮下投与である。
本明細書に記載する医薬組成物中の活性成分又は剤の実際の投与レベルは、個体に対して毒性であることなく、特定の個体、組成物、及び投与方法について所望の治療応答を得るのに有効な活性成分の量を得るために変動し得る。
これら治療ポリマーコンジュゲートは、経口、経鼻、例えばスプレーとして、直腸内、膣内、非経口、大槽内、並びに粉剤、軟膏、又はドロップによって局所的に(口腔内及び舌下を含む)を含む任意の好適な投与経路によって、治療のためにヒト及び他の動物に投与され得る。
選択される投与経路に関係なく、好適な水和形態で用いられ得る治療ポリマーコンジュゲート及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に公知の従来の方法によって薬学的に許容し得る剤形に配合される。
具体的には、幾つかの実施形態では、送達される化合物は、個体の状態を治療又は予防するための薬物である。
用語「薬物」又は「治療剤」とは、個体における状態の治療、予防、若しくは診断において用いることができるか、又は別の方法で個体の肉体的若しくは精神的健康を強化するために用いることができる活性剤を指す。
用語「状態」とは、本明細書で使用するとき、通常、全体として又はその部分のうちの1つ以上の、完全な肉体的、精神的、及び場合により社会的に健康な状態に関連する個体の身体的状態に一致しない、全体として又はその部分のうちの1つ以上の個体の身体の身体状況を指す。本明細書に記載する状態としては、疾病及び疾患が挙げられるがこれらに限定されず、ここで、用語「疾病」とは、身体又はその部分のいずれかの機能的異常に関連する生体の状態を指し、用語「疾患」とは、身体又はその部分のいずれかの正常な機能を損なわせ、典型的に、徴候及び症状を識別することによって明らかになる生体の状態を指す。例示的な状態としては、傷害、障害、疾病(精神的及び肉体的疾病を含む)、症候群、感染、個体の逸脱行動、並びに個体の身体又はその一部の構造及び機能の非定型変異が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「治療」とは、本明細書で使用するとき、内科的又は外科的な状態の医療的ケア又は処置の一部である任意の活動を指す。
用語「予防」とは、本明細書で使用するとき、個体における状態から死亡又は罹患の負担を低減する任意の活動を指す。これは、一次、二次、及び三次予防レベルで行われ、ここで、a)一次予防は、疾患の発現を避け、b)二次予防活動は、早期に疾患を治療し、それによって、疾患の進行及び症状の出現を防ぐための介入の機会を増やすことを目的とし、c)三次予防は、機能を回復させ、疾患に関連する合併症を低減することによって、既に確立されている疾患の負の影響を低減する。
本明細書に記載するナノ粒子によって送達され得、薬物として好適な例示的な化合物は、放射線治療(例えば、ホウ素中性子捕獲)において用いられる電磁放射線(例えば、10B同位体)を放出することができる化合物を含む。更なる治療剤は、当該技術分野において公知のものを含む、任意の親油性又は親水性の、合成又は天然の生物活性治療剤を含む。The Merck Index,An Encyclopedia of Chemicals,Drugs,and Biologicals,13th Edition,2001,Merck and Co.,Inc.,Whitehouse Station,N.J.このような治療剤の例としては、低分子医薬、抗生物質、ステロイド、ポリヌクレオチド(例えば、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ウイルス、及びキメラポリヌクレオチド)、プラスミド、ペプチド、ペプチド断片、低分子(例えば、ドキソルビシン)、キレート剤(例えば、デフェロキサミン(DESFERAL)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、天然生成物(例えば、タキソール、アンフォテリシン)、及び他の生物活性巨大分子、例えば、タンパク質及び酵素が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に記載するナノ粒子と共に治療剤として用いることができる活性剤(治療剤)を列挙している米国特許第6,048,736号も参照。低分子治療剤は、複合粒子内の治療剤であり得るだけでなく、更なる実施形態では、複合材中のポリマーに共有結合していてもよい。幾つかの実施形態では、共有結合は、可逆的であり(例えば、プロドラッグ形態又はジスルフィド等の生分解性結合を通して)、治療剤を送達する別の方法を提供する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子と共に送達され得る治療剤としては、エポチロン、カンプトセシン系薬物、タキソール等の化学療法薬、又はプラスミド、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドアプタマー、若しくはこれらの組み合わせ等の核酸、及び本開示を読んだときに当業者によって特定可能である更なる薬物が挙げられる。
幾つかの実施形態では、送達される化合物は、個体の細胞又は組織を画像化するのに好適な化合物である。本明細書に記載するナノ粒子によって送達され得、且つ画像化に好適な例示的な化合物は、MRイメージング用の19F同位体、PETイメージング用の18F又は64Cu同位体等の同位体を含有する化合物を含む。
具体的には、本明細書に記載するナノ粒子は、19F含有BAポリマーを含有するようになっていてよい。例えば、19F原子は、非開裂性又は開裂性BAポリマー化合物に組み込まれ得る。19F原子の他の位置は、BAポリマー成分、ポリオールポリマー成分、又は送達される剤上が可能である。これら及び他の変形例は、当業者に明らかである。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子を用いて、農業において用いられる化学物質を送達することができる。本発明の別の実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子によって送達される剤は、殺微生物的及び農業的有用性を有する生物活性化合物である。これら生物活性化合物としては、当該技術分野において公知のものが挙げられる。例えば、好適な農業的生物活性化合物としては、肥料、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、及び防かび剤が挙げられるが、これらに限定されない。殺微生物剤は、都市上水道を処理するための水処理、及び製紙における冷水、白水系等の工業用水系でも用いられる。微生物の攻撃又は分解を受けやすい水系は、皮革工業、繊維工業、及び塗装又は塗料工業でもみられる。このような殺微生物剤及びその使用の例は、参照により本明細書に援用される米国特許第5,693,631号、同第6,034,081号、及び同第6,060,466号に個別に及び組み合わせて記載されている。上で論じたもの等の活性剤を含有する組成物は、活性成分自体について知られているのと同様に用いてよい。なお、このような使用は、薬理学的使用ではないので、複合材のポリマーは、必ずしも、薬学的使用において必要な毒性プロファイルを満たす必要はない。
特定の実施形態では、ポリオールポリマー及びBAポリマーを含むナノ粒子は、本明細書に示されている化合物のいずれか、特に剤をナノ粒子を用いて送達するのに好適な系に含まれ得る。系の幾つかの実施形態では、個体に投与するためのナノ粒子を調製するのに好適な成分を含むナノ粒子が提供される。
本明細書に記載する系は、キットオブパーツの形態で提供され得る。例えば、ポリオールポリマー及び/又はBAポリマーは、分子単独で、又は好適な賦形剤、ビヒクル、若しくは希釈剤の存在下で含まれ得る。
キットオブパーツでは、ポリオールポリマー、BAポリマー、及び/又は送達される剤は、独立して、好適なビヒクル担体、又は補助剤と共に組成物中に含まれ得るキットに含まれる。例えば、ポリオールポリマー及び/又はBAポリマーは、単独で1つ以上の組成物に及び/又は好適なベクターに含まれ得る。また、送達される剤は、好適なビヒクル担体又は補助剤と共に組成物中に含まれ得る。あるいは、剤は、エンドユーザによって供給されてもよく、キットオブパーツに存在しなくてもよい。更に、ポリオールポリマー、BAポリマー、及び/又は剤は、ナノ粒子に適切に組み込むのに好適な様々な形態で含まれ得る。
また、更なる成分が含まれてもよく、マイクロ流体チップ、参照標準、バッファ、及び本開示を読んだときに当業者によって特定可能な更なる成分を含む。
本明細書に開示するキットオブパーツでは、キットの構成要素は、本明細書に開示する方法を実施するために、好適な説明書及び他の必要な試薬と共に提供され得る。幾つかの実施形態では、キットは、別個の容器内に組成物を収容し得る。アッセイを実行するための説明書、例えば、書類又はテープ若しくはCD−ROM等の電子支援における書面又は音声による説明書もキットに含まれていてよい。また、キットは、用いられる具体的な方法に依存して、他のパッケージ化された試薬及び材料(例えば、洗浄バッファ等)を含み得る。
組成物の好適な担体剤又は補助剤の特定、並びに一般的にキットの製造及び包装に関する更なる詳細は、本開示を読んだときに当業者によって特定可能であり得る。
幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、ナノ粒子の個々の成分を調製し、次いで、様々な順序で成分を混合して、所望の複合ナノ粒子構造に達することによって調製され得る。成分の調製及び混合は、当業者に公知の好適な溶液中で実施される。
用語「混合」とは、本明細書で使用するとき、対象分子を含む1つの溶液に別の対象分子を含む別の溶液を添加することを指す。例えば、ポリオールポリマーの水溶液は、本開示の状況においてBAポリマーの水溶液と混合してよい。
用語「溶液」とは、本明細書で使用するとき、対象分子を含有する任意の液相サンプルを指す。例えば、ポリオールポリマーの水溶液は、水又は任意の緩衝溶液、特に水溶液で希釈されたポリオールポリマーを含んでよい。
幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、ポリオールポリマーと送達される剤(図1及び2)とを混合して、ポリオールポリマー−剤ナノ粒子を形成することによって調製することができる。他の実施形態では、ナノ粒子は、BAポリマーとポリオールポリマー−剤ナノ粒子とを更に混合することによって調製することができる。他の実施形態では、ナノ粒子は、ポリオールポリマーとBAポリマーとを混合し、次いで、送達される剤を混合することによって調製される。更に他の実施形態では、ナノ粒子は、ポリオールポリマー、BAポリマー、及び送達される剤を同時に混合することによって調製される。
幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、本開示の様々な実施形態に従ってポリオールポリマー−剤コンジュゲートを形成して、ポリオールポリマー−剤コンジュゲートからなるナノ粒子を調製することによって調製される。他の実施形態では、ポリオールポリマー−剤コンジュゲートからなるナノ粒子は、好適な水溶液にナノ粒子を溶解させることによって調製され得る。更なる実施形態では、ポリオールポリマー−剤コンジュゲートからなるナノ粒子は、ポリオールポリマー−剤コンジュゲートと標的リガンドを提供する又は提供しないBAポリマーとを混合することによって調製され得る。
幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、疎水性ポリマーブロックを有するポリオールポリマーと送達される剤とを混合して、本開示の実施形態に係る修飾ミセルを調製することによって調製することができる。他の実施形態では、ナノ粒子は、修飾ミセルとBAポリマーとを更に混合することによって調製することができる。更に他の実施形態では、ナノ粒子は、ポリオールポリマーとBAポリマーとを混合し、次いで、送達される剤を混合して、修飾ミセルであるナノ粒子を調製することによって調製され得る。
本開示の幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、ポリオールポリマーにコンジュゲートしている脂質と、BAポリマー及び/又は送達される剤とを混合して、修飾リポソームを調製することによって調製することができる。様々な実施形態では、ナノ粒子は、ポリオールポリマーにコンジュゲートしている脂質とBAポリマーとを混合し、次いで、送達される剤を混合することによって調製され得る。他の実施形態では、ナノ粒子は、ポリオールポリマーにコンジュゲートしている脂質と送達される剤を混合することによって調製され得る。他の実施形態では、ナノ粒子は、ポリオールポリマーにコンジュゲートしている脂質と送達される剤とを混合し、次いで、BAポリマーを混合して、修飾リポソームであるナノ粒子を調製することによって調製され得る。
本開示の幾つかの実施形態に係るナノ粒子の形成は、当業者に公知の技術及び手順を用いて分析することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ゲル遅延度アッセイを用いて、ナノ粒子内の核酸剤の組み込みをモニタリング及び測定する(実施例10)。幾つかの実施形態では、好適なナノ粒子のサイズ及び/又はゼータ電位は、公知の方法を用いて選択することができる(実施例11)。
組成物の好適な担体剤又は補助剤の特定、並びに一般的にキットの製造及び包装に関する更なる詳細は、本開示を読んだときに当業者によって特定可能であり得る。
ニトロフェニルボロン酸を含むポリマーを有するナノ粒子
ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーにコンジュゲートしているポリオール含有ポリマーを有するナノ粒子について本明細書に記載する。本明細書に記載する標的化ナノ粒子のポリオールナノ粒子セグメントを含有するポリマーは、以下の構造単位のうちの任意の1つの1つ以上を有し得る:
ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーにコンジュゲートしているポリオール含有ポリマーを有するナノ粒子について本明細書に記載する。本明細書に記載する標的化ナノ粒子のポリオールナノ粒子セグメントを含有するポリマーは、以下の構造単位のうちの任意の1つの1つ以上を有し得る:
要約すると、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(式VI、VII、又はVIII)を、サブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせて、記載するナノ粒子のポリオール含有ポリマーを形成することができる。本明細書に記載する特定の態様では、ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得る。
幾つかの実施形態では、ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーは、ニトロフェニルボロン酸基を含み、以下の一般式を有する:
要約すると、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(式VI、VII、又はVIII)を、サブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせて、記載するナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成することができ、得られたポリオール含有ポリマーを、次いで、ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよい。幾つかの実施形態では、記載するポリオール含有ポリマーと記載するニトロフェニルボロン酸含有ポリマーとのコンジュゲートは、ボロン酸基の少なくとも1つのヒドロキシル基によって仲介される。本明細書に記載する特定の態様では、ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、式XXXを有するボロン酸含有ポリマーにカップリングさせてよい。本明細書に記載する幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、式XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するボロン酸含有ポリマーにカップリングさせてよい。
本明細書に記載するナノ粒子は、化合物を更に含んでよい。幾つかの実施形態では、化合物は、低分子化学療法剤又はポリヌクレオチド等の1つ以上の治療剤であってよい。幾つかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、又は干渉RNA(shRNA、siRNA、又はmiRNA等)のうちの任意の1つ以上であってよい。幾つかの実施形態では、低分子化学療法剤は、カンプトセシン、エポチロン、又はタキサンのうちの1つ以上であってよい。また、本明細書に記載するナノ粒子は、1つ以上のポリヌクレオチドと1つ以上の低分子化学療法剤との組み合わせを含み得る。これに関して、サブパートAのポリマーのうちの任意の1つ(式VI、VII、又はVIII)を、サブパートBのポリマーのうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせて、記載するナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成することができ、得られたポリオール含有ポリマーを、次いで、ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよく、上記ポリマーのサブパートA、サブパートB、又はニトロフェニルボロン酸を有するポリマーは、1つ以上の治療剤(例えば、低分子化学療法剤又はポリヌクレオチド)と共に形成してよい。幾つかの実施形態では、サブパートAのポリマー(式VI、VII、又はVIII)を、サブパートBのポリマーのうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせて、記載するナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成することができ、得られたポリオール含有ポリマーを、次いで、ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよく、上記ポリマーのサブパートA、サブパートB、又はニトロフェニルボロン酸を有するポリマーは、DNA、RNA、又は干渉RNA(shRNA、siRNA、又はmiRNA等)のうちの1つ以上と共に形成してよい。幾つかの実施形態では、サブパートAのポリマー(式VI、VII、又はVIII)を、サブパートBのポリマーのうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせて、記載するナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成することができ、得られたポリオール含有ポリマーを、次いで、ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよく、上記ポリマーのサブパートA、サブパートB、又はニトロフェニルボロン酸を有するポリマーは、1つ以上の化学療法剤と共に形成してよい。幾つかの実施形態では、サブパートAのポリマー(式VI、VII、又はVIII)を、サブパートBのポリマーのうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせて、記載するナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成することができ、得られたポリオール含有ポリマーを、次いで、ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよく、上記ポリマーのサブパートA、サブパートB、又はニトロフェニルボロン酸を有するポリマーは、DNA、RNA、又は干渉RNA(shRNA、siRNA、又はmiRNA等)のうちの1つ以上と共に形成してよい。幾つかの実施形態では、記載するポリオール含有ポリマーと記載するニトロフェニルボロン酸含有ポリマーとのコンジュゲーションは、ニトロフェニルボロン酸基の少なくとも1つのヒドロキシル基によって仲介される。本明細書に記載する幾つかの実施形態では、治療剤又はポリヌクレオチドを組み込む標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、式XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するニトロフェニルボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよい。
標的化ナノ粒子
5、4、3、2、又は1つの標的リガンドのうちのいずれかにコンジュゲートしているポリオール含有ポリマーを有する標的化ナノ粒子について本明細書に記載する。記載する標的化ナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントは、以下の構造単位のうちの任意の1つの1つ以上を有し得る:
5、4、3、2、又は1つの標的リガンドのうちのいずれかにコンジュゲートしているポリオール含有ポリマーを有する標的化ナノ粒子について本明細書に記載する。記載する標的化ナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントは、以下の構造単位のうちの任意の1つの1つ以上を有し得る:
式(II)の構造単位に示す標的化ナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントは、以下であってよい:
また、記載する標的化ナノ粒子は、可逆的共有結合でポリオール含有ポリマーにカップリングしているボロン酸含有ポリマーを有し得る。幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、ボロン酸含有ポリマーをナノ粒子の外部環境に提示するようになる。更なる実施形態では、ボロン酸含有ポリマーは、ナノ粒子とは反対の末端において標的リガンドにコンジュゲートしている。幾つかの実施形態では、ボロン酸含有ポリマーは、少なくとも1つの末端ボロン酸基を含み、且つ以下の一般式を有する:
幾つかの実施形態では、ボロン酸含有ポリマーは、ニトロフェニルボロン酸を有する。幾つかの実施形態では、ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーは、ニトロフェニルボロン酸基を含み、且つ以下の一般式を有する:
要約すると、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(式VI、VII、又はVIII)を、サブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせて、記載する標的化ナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成することができ、得られたポリオール含有ポリマーを、次いで、ボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよく、ここで、ボロン酸含有ポリマーは、フェニルボロン酸又はニトロフェニルボロン酸のいずれかである。幾つかの実施形態では、記載するポリオール含有ポリマーと記載するボロン酸含有ポリマーとのコンジュゲーションは、ボロン酸基の少なくとも1つのヒドロキシル基によって仲介される。本明細書に記載する特定の態様では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、式XXXを有するボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよい。本明細書に記載する幾つかの実施形態では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよい。
本明細書に記載する幾つかの態様では、本明細書に記載するポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントから又はポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントとボロン酸含有ポリマーとの組み合わせから形成されるナノ粒子は、標的リガンドにコンジュゲートされて、標的リガンドを有する標的化ナノ粒子のナノ粒子に対する比3:1を形成する。本明細書に記載する幾つかの態様では、本明細書に記載するポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントから又はポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントとボロン酸含有ポリマーとの組み合わせから形成されるナノ粒子は、標的リガンドにコンジュゲートされて、標的リガンドを有する標的化ナノ粒子のナノ粒子に対する比1:1を形成する。本明細書に記載する幾つかの態様では、本明細書に記載するポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントから又はポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントとボロン酸含有ポリマーとの組み合わせから形成されるナノ粒子は、単一の標的リガンドにコンジュゲートされて、標的化ナノ粒子を形成する。幾つかの態様では、記載する標的リガンドは、ボロン酸とは反対の末端においてボロン酸含有ポリマーにコンジュゲートされる。記載する標的化ナノ粒子にコンジュゲートしている標的リガンドは、タンパク質、タンパク質断片、アミノ酸ペプチド、又はアミノ酸若しくはポリヌクレオチド由来のアプタマー、又は対象標的に結合することが知られている他の高親和性分子のうちのいずれか1つであってよい。幾つかの実施形態では、タンパク質又はタンパク質断片である標的リガンドは、抗体、細胞受容体、細胞受容体のリガンド、例えば、トランスフェリン、又はこれらの一部を有するタンパク質若しくはキメラタンパク質のうちのいずれか1つであってよい。標的化リガンドが抗体である場合、抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、イヌ、又はげっ歯類の抗体であってよく、又は任意の2つのこのような抗体からなるキメラであってもよい。更に、抗体は、CDRセグメント又はCDRセグメントを含む可変領域の小さな部分のみが非ヒトであり、抗体の残りがヒトであるようにヒト化してもよい。本明細書に記載する抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、IgY等の任意のアイソタイプ、又は哺乳類によって生成されることが理解されている別の種のアイソタイプであってよい。幾つかの実施形態では、標的リガンドは、その標的への結合に関与する抗体、細胞受容体、細胞受容体のリガンド由来のアミノ酸ペプチドのみを含んでよい。
幾つかの態様では、ナノ粒子は、記載する標的化ナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成するために、サブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせたサブパートAについての式のうちの任意の1つ(式VI、VII、又はXIV)から形成され、更に、標的リガンドにコンジュゲートしているフェニルボロン酸又はニトロフェニルボロン酸等のボロン酸を含有するポリマー5、4、3、2、又は1つのうちのいずれかにカップリングする。
幾つかの態様では、ナノ粒子は、記載する標的化ナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成するために、サブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせたサブパートAについての式のうちの任意の1つ(式VI、VII、又はXIV)から形成され、更に、標的リガンドにコンジュゲートしているフェニルボロン酸又はニトロフェニルボロン酸等のボロン酸を含有するポリマー1つにカップリングする。
本明細書に記載する特定の態様では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これは、ボロン酸とは反対の末端において標的リガンドにカップリングする式XXXを有するボロン酸含有ポリマー5、4、3、2、又は1つのうちのいずれかにカップリングし得る。
本明細書に記載する特定の態様では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これは、ボロン酸とは反対の末端において標的リガンドにカップリングする式XXXを有するボロン酸含有ポリマー1つにカップリングし得る。
幾つかの態様では、ナノ粒子は、記載する標的化ナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成するために、サブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせたサブパートAについての式のうちの任意の1つ(式VI、VII、又はXIV)から形成され、更に、標的リガンドにコンジュゲートしているフェニルボロン酸又はニトロフェニルボロン酸等のボロン酸含有ポリマー5、4、3、2、又は1つのうちのいずれかにカップリングし、ここで、得られた標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドのみにコンジュゲートしている。
幾つかの態様では、ナノ粒子は、記載する標的化ナノ粒子のポリオール含有ポリマーナノ粒子セグメントを形成するために、サブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)と組み合わせたサブパートAについての式のうちの任意の1つ(式VI、VII、又はXIV)から形成され、更に、標的リガンドにコンジュゲートしているフェニルボロン酸又はニトロフェニルボロン酸等のボロン酸含有ポリマー1つにカップリングし、ここで、得られた標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドのみにコンジュゲートしている。
本明細書に記載する特定の態様では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これは、ボロン酸とは反対の末端において標的リガンドにカップリングする式XXXを有するボロン酸含有ポリマー5、4、3、2、又は1つのうちのいずれかにカップリングし得、ここで、得られた標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドのみにコンジュゲートしている。
本明細書に記載する特定の態様では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これは、ボロン酸とは反対の末端において標的リガンドにカップリングする式XXXを有するボロン酸含有ポリマー1つにカップリングし得、ここで、得られた標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドのみにコンジュゲートしている。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する標的化ナノ粒子は、任意の標的リガンドにコンジュゲートしている。幾つかの実施形態では、本明細書に記載する標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドにコンジュゲートしている。本明細書に記載する幾つかの実施形態では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、タンパク質、タンパク質断片、アミノ酸ペプチド、又はアプタマーのうちの1つ以上から選択される標的リガンドに更にコンジュゲートしている、式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するボロン酸含有ポリマー5、4、3、2、又は1つのうちのいずれかにカップリングしてよい。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドにコンジュゲートしている。本明細書に記載する幾つかの実施形態では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、タンパク質、タンパク質断片、アミノ酸ペプチド、又はアプタマーから選択される単一の標的リガンドに更にコンジュゲートしている、式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するボロン酸含有ポリマー1つにカップリングしてよい。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドにコンジュゲートしている。本明細書に記載する幾つかの実施形態では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、抗体、細胞受容体、細胞受容体のリガンド、又はこれらの一部を有するタンパク質若しくはキメラタンパク質に更にコンジュゲートしている、式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するボロン酸含有ポリマー5、4、3、2、又は1つのうちのいずれかにカップリングしてよい。
本明細書に記載する幾つかの実施形態では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、単一の抗体、細胞受容体、細胞受容体のリガンド、又はこれらの一部を有するタンパク質若しくはキメラタンパク質に更にコンジュゲートしている、式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するボロン酸含有ポリマー1つにカップリングしてよい。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドにコンジュゲートしている。本明細書に記載する幾つかの実施形態では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、タンパク質、タンパク質断片、アミノ酸ペプチド、又はアプタマーから選択される単一の標的リガンドに更にコンジュゲートしている、式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよく、ここで、得られた標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドのみにコンジュゲートしている。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドにコンジュゲートしている。本明細書に記載する幾つかの実施形態では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、抗体、細胞受容体、細胞受容体のリガンド、又はこれらの一部を有するタンパク質若しくはキメラタンパク質に更にコンジュゲートしている、式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するボロン酸含有ポリマー5、4、3、2、又は1つのうちのいずれかにカップリングしてよく、ここで、得られた標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドのみにコンジュゲートしている。
本明細書に記載する幾つかの実施形態では、標的化ナノ粒子は、サブパートAについての式のうちの任意の1つ(IX、X、又はXI)とサブパートBについての式のうちの任意の1つ(式XXIII又はXIV)との組み合わせから形成されるポリオール含有ポリマーを有し得、これを、次いで、単一の抗体、細胞受容体、細胞受容体のリガンド、又はこれらの一部を有するタンパク質若しくはキメラタンパク質に更にコンジュゲートしている、式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVのうちの任意の1つに対応するボロン酸含有ポリマーにカップリングしてよく、ここで、得られた標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドのみにコンジュゲートしている。
本明細書に記載する標的化ナノ粒子は、化合物を更に含んでよい。幾つかの実施形態では、化合物は、低分子化学療法剤又はポリヌクレオチド等の1つ以上の治療剤であってよい。幾つかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、又は干渉RNA(shRNA、siRNA、又はmiRNA等)のうちの任意の1つ以上であってよい。幾つかの実施形態では、低分子化学療法剤は、カンプトセシン、エポチロン、又はタキサンのうちの1つ以上であってよい。また、本明細書に記載する標的化ナノ粒子は、1つ以上のポリヌクレオチドと1つ以上の低分子化学療法剤との組み合わせを含み得る。
本明細書に記載する成分を用いて生成され得る様々な種類のナノ粒子及び標的化ナノ粒子について議論したので、以下の具体的な実施形態を作製することができる。1つの実施形態では、記載する標的化ナノ粒子は、ムチン酸含有ポリマーと、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、又は干渉RNA配列から選択される治療剤と、可逆的共有結合で上記ムチン酸ポリマーにカップリングしている式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVを有するフェニルボロン酸含有ポリマーとを有し、上記標的化ナノ粒子は、ナノ粒子の外部環境に上記フェニルボロン酸含有ポリマーを提示するようになっており、ここで、上記フェニルボロン酸含有ポリマーは、ナノ粒子とは反対の末端において標的リガンドにコンジュゲートしており、上記標的化ナノ粒子は、単一の標的リガンドを含む。
1つの実施形態では、記載する標的化ナノ粒子は、ムチン酸含有ポリマーと、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、又は干渉RNA配列から選択される治療剤と、可逆的共有結合で上記ムチン酸ポリマーにカップリングしている式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVを有するフェニルボロン酸含有ポリマーとを有し、上記標的化ナノ粒子は、ナノ粒子の外部環境に上記フェニルボロン酸含有ポリマーを提示するようになっており、ここで、上記フェニルボロン酸含有ポリマーは、ナノ粒子とは反対の末端において抗体にコンジュゲートしており、上記標的化ナノ粒子は、単一の抗体を含む。
1つの実施形態では、記載する標的化ナノ粒子は、ムチン酸含有ポリマーと、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、又は干渉RNA配列から選択される治療剤と、可逆的共有結合で上記ムチン酸ポリマーにカップリングしている式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVを有するフェニルボロン酸含有ポリマーとを有し、上記標的化ナノ粒子は、ナノ粒子の外部環境に上記フェニルボロン酸含有ポリマーを提示するようになっており、ここで、上記フェニルボロン酸含有ポリマーは、ヒト、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、イヌ、若しくはげっ歯類の抗体、又は任意の2つのこのような抗体からなるキメラ抗体(ここで、抗体は、IgG、IgD、IgM、IgE、IgA、又はIgYアイソタイプのうちの任意の1つである)のうちの任意の1つに、ナノ粒子とは反対の末端においてコンジュゲートしており、上記標的化ナノ粒子は、単一の抗体を含む。
1つの実施形態では、記載する標的化ナノ粒子は、ムチン酸含有ポリマーと、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、又は干渉RNA配列から選択される治療剤と、可逆的共有結合で上記ムチン酸ポリマーにカップリングしている式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVを有するフェニルボロン酸含有ポリマーとを有し、上記標的化ナノ粒子は、ナノ粒子の外部環境に上記フェニルボロン酸含有ポリマーを提示するようになっており、ここで、上記フェニルボロン酸含有ポリマーは、ナノ粒子とは反対の末端において細胞受容体にコンジュゲートしており、上記標的化ナノ粒子は、単一の細胞受容体を含む。
1つの実施形態では、記載する標的化ナノ粒子は、ムチン酸含有ポリマーと、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、又は干渉RNA配列から選択される治療剤と、可逆的共有結合で上記ムチン酸ポリマーにカップリングしている式XXXI、XXXIII、XXXIV、又はXXXVを有するフェニルボロン酸含有ポリマーとを有し、上記標的化ナノ粒子は、ナノ粒子の外部環境に上記フェニルボロン酸含有ポリマーを提示するようになっており、ここで、上記フェニルボロン酸含有ポリマーは、ナノ粒子とは反対の末端において受容体リガンドにコンジュゲートしており、上記標的化ナノ粒子は、単一の受容体リガンドを含む。
本明細書に記載する方法系について以下の実施例において更に説明するが、これは、例示目的で提供されるものであり、限定することを意図するものではない。当業者は、核酸を検出する方法、及び他の標的(タンパク質、抗原、真核又は原核細胞等)を検出する方法等について詳細に記載する特徴の適応性を理解するであろう。
全ての化学試薬は、商業的供給元から入手し、更に精製することなく入手したまま用いた。ポリマーサンプルは、示差屈折率(RI)検出器、示差粘度計、及び小角光散乱検出器からなるTDA 302トリプル検出器配列を備えるViscotek GPCシステムにおいて分析した。7.5%酢酸溶液を、1mL/分の流速で溶出剤として用いた。
pGL3、pGL3を発現している細菌からホタルルシフェラーゼ遺伝子を含有するプラスミドを抽出し、精製した。siGL3は、Integrated DNA Technologiesから購入した(配列は、以下に示す)。siCON1(配列は以下に示す)は、Dharmaconから購入した。HeLa細胞を用いて、カチオン性ムチン酸ジアミン−DMSポリマーによるpDNA又はsiRNA送達の効果を決定した。
実施例1:ムチン酸ジメチルエステルの合成(1)
5g(22.8モル)のムチン酸(Aldrich)を、メタノール120mL及び濃硫酸0.4mLを収容している500mLの丸底フラスコに添加した。この混合物を、一定の撹拌下で一晩85℃にて還流させた。次いで、混合物を濾過し、メタノールで洗浄し、次いで、メタノール80mL及びトリエチルアミン0.5mLの混合物から再結晶化させた。一晩真空下で乾燥させた後、8.0g(33.6mmol、71%)のムチン酸ジメチルエステルを得た。1H NMR((CD3)2SO)δ 4.88〜4.91(d,2H),4.78〜4.81(m,2H),4.28〜4.31(d,2H),3.77〜3.78(d,2H),3.63(s,6H).ESI/MS(m/z):261.0 [M+Na]+
5g(22.8モル)のムチン酸(Aldrich)を、メタノール120mL及び濃硫酸0.4mLを収容している500mLの丸底フラスコに添加した。この混合物を、一定の撹拌下で一晩85℃にて還流させた。次いで、混合物を濾過し、メタノールで洗浄し、次いで、メタノール80mL及びトリエチルアミン0.5mLの混合物から再結晶化させた。一晩真空下で乾燥させた後、8.0g(33.6mmol、71%)のムチン酸ジメチルエステルを得た。1H NMR((CD3)2SO)δ 4.88〜4.91(d,2H),4.78〜4.81(m,2H),4.28〜4.31(d,2H),3.77〜3.78(d,2H),3.63(s,6H).ESI/MS(m/z):261.0 [M+Na]+
実施例2:N−BOC−保護ムチン酸ジアミンの合成(2)
8g(33.6mmol)のムチン酸ジメチルエステル(1;実施例1)、12.4mL(88.6mmol)のトリエチルアミン、及びメタノール160mLの混合物を、0.5時間一定の撹拌下で500mLの丸底フラスコ中にて85℃で加熱還流させた後、メタノール(32mL)に溶解しているN−BOCジアミン(Fluka)14.2g(88.6mmol)を添加した。次いで、この反応懸濁液を還流して戻した。一晩還流した後、混合物を濾過し、メタノールで洗浄し、メタノールから再結晶化し、次いで、真空下で乾燥させて、9.4g(19mmol、57%)のN−BOC−保護ムチン酸ジアミンを得た。1H NMR((CD3)2SO) δ 7.66(m,2H),6.79(m,2H),5.13〜5.15(d,2H),4.35〜4.38(d,2H),4.08〜4.11(m,2H),3.78〜3.80(d,2H),2.95〜3.15(m,8H),1.38(s,18).ESI/MS(m/z):517.1 [M+Na]+
8g(33.6mmol)のムチン酸ジメチルエステル(1;実施例1)、12.4mL(88.6mmol)のトリエチルアミン、及びメタノール160mLの混合物を、0.5時間一定の撹拌下で500mLの丸底フラスコ中にて85℃で加熱還流させた後、メタノール(32mL)に溶解しているN−BOCジアミン(Fluka)14.2g(88.6mmol)を添加した。次いで、この反応懸濁液を還流して戻した。一晩還流した後、混合物を濾過し、メタノールで洗浄し、メタノールから再結晶化し、次いで、真空下で乾燥させて、9.4g(19mmol、57%)のN−BOC−保護ムチン酸ジアミンを得た。1H NMR((CD3)2SO) δ 7.66(m,2H),6.79(m,2H),5.13〜5.15(d,2H),4.35〜4.38(d,2H),4.08〜4.11(m,2H),3.78〜3.80(d,2H),2.95〜3.15(m,8H),1.38(s,18).ESI/MS(m/z):517.1 [M+Na]+
実施例3:ムチン酸ジアミンの合成(3)
8g(16.2mmol)のN−BOC−保護ムチン酸ジアミン(2;実施例2)を、メタノール(160mL)中3M HClを収容している500mLの丸底フラスコに移し、一定の撹拌下で85℃にて一晩還流させた。次いで、沈殿を濾過し、メタノールで洗浄し、一晩真空乾燥させて、5.7g(15.6mmol、96%)のムチン酸ジアミンを得た。1H NMR((CD3)2SO)δ 7.97(m,8H),5.35〜5.38(m,2H),4.18〜4.20(m,2H),3.82(m,2H),3.35〜3.42(m,8H),2.82〜2.90(m,4H).ESI/MS(m/z):294.3[M]+,317.1[M+Na]+,333.0[M+K]+
8g(16.2mmol)のN−BOC−保護ムチン酸ジアミン(2;実施例2)を、メタノール(160mL)中3M HClを収容している500mLの丸底フラスコに移し、一定の撹拌下で85℃にて一晩還流させた。次いで、沈殿を濾過し、メタノールで洗浄し、一晩真空乾燥させて、5.7g(15.6mmol、96%)のムチン酸ジアミンを得た。1H NMR((CD3)2SO)δ 7.97(m,8H),5.35〜5.38(m,2H),4.18〜4.20(m,2H),3.82(m,2H),3.35〜3.42(m,8H),2.82〜2.90(m,4H).ESI/MS(m/z):294.3[M]+,317.1[M+Na]+,333.0[M+K]+
実施例4:ムチン酸ジアミン−DMSコポリマー(MAP)(4)
1.5mLのエッペンドルフチューブに、0.8mLの0.1M NaHCO3中85.5mg(0.233mmol)の実施例3のビス(ヒドロクロリド)塩(3)の溶液を充填した。スベルイミノ酸ジメチル・2HCl(DMS、Pierce Chemical Co.、63.6mg、0.233mmol)を添加し、溶液をボルテックスし、遠心分離して、成分を溶解させた。得られた混合物を、室温で15時間撹拌した。次いで、混合物を水で8mLに希釈し、1N HClを添加することによりpHを4にした。次いで、この溶液をddH2O中で3500MWCO透析膜(Pierce pleated dialysis tubing)を用いて24時間透析した。透析した溶液を凍結乾燥乾固させて、白色のふわふわとした粉末49mgを得た。1H NMR(500MHz,dDMSO)δ 9.15(bs),7.92(bs),5.43(bs),4.58(bs),4.17(bs),3.82(bs),3.37(bs),3.28(bs),2.82(bs),2.41(bs),1.61(bs),1.28(bs).13C NMR(126MHz,dDMSO)δ 174.88(s,1H),168.38(s,1H),71.45(s,4H),71.22(s,3H),42.34(s,2H),36.96(s,3H),32.74(s,3H),28.09(s,4H),26.90(s,4H).Mw[GPC]=2520,Mw/Mn=1.15。
1.5mLのエッペンドルフチューブに、0.8mLの0.1M NaHCO3中85.5mg(0.233mmol)の実施例3のビス(ヒドロクロリド)塩(3)の溶液を充填した。スベルイミノ酸ジメチル・2HCl(DMS、Pierce Chemical Co.、63.6mg、0.233mmol)を添加し、溶液をボルテックスし、遠心分離して、成分を溶解させた。得られた混合物を、室温で15時間撹拌した。次いで、混合物を水で8mLに希釈し、1N HClを添加することによりpHを4にした。次いで、この溶液をddH2O中で3500MWCO透析膜(Pierce pleated dialysis tubing)を用いて24時間透析した。透析した溶液を凍結乾燥乾固させて、白色のふわふわとした粉末49mgを得た。1H NMR(500MHz,dDMSO)δ 9.15(bs),7.92(bs),5.43(bs),4.58(bs),4.17(bs),3.82(bs),3.37(bs),3.28(bs),2.82(bs),2.41(bs),1.61(bs),1.28(bs).13C NMR(126MHz,dDMSO)δ 174.88(s,1H),168.38(s,1H),71.45(s,4H),71.22(s,3H),42.34(s,2H),36.96(s,3H),32.74(s,3H),28.09(s,4H),26.90(s,4H).Mw[GPC]=2520,Mw/Mn=1.15。
ポリマー4は、カチオン性A−B型(繰り返し構造は、ABABAB...である)のポリオール含有ポリマーの例である。
実施例5:ボロン酸−アミド−PEG5000(5)
核酸、例えば、siRNAを用いて実施例4のポリマーを構築するとき、これらは、ナノ粒子を形成する。これらナノ粒子は、哺乳類で用いられるために立体安定化を有する必要があり、任意で、標的化剤を含んでよい。これら2つの機能を果たすために、立体安定化及びPEG標的リガンドのためにナノ粒子をPEGで修飾してよい。このようにするために、ボロン酸を含有するPEG化合物を調製する。例えば、ボロン酸を含有するPEGは、以下の実施例に従って合成することができる。
核酸、例えば、siRNAを用いて実施例4のポリマーを構築するとき、これらは、ナノ粒子を形成する。これらナノ粒子は、哺乳類で用いられるために立体安定化を有する必要があり、任意で、標的化剤を含んでよい。これら2つの機能を果たすために、立体安定化及びPEG標的リガンドのためにナノ粒子をPEGで修飾してよい。このようにするために、ボロン酸を含有するPEG化合物を調製する。例えば、ボロン酸を含有するPEGは、以下の実施例に従って合成することができる。
332mgの4−カルボキシフェニルボロン酸(2mmol)を8mLのSOCl2に溶解させた。これに、数滴のDMFを添加し、アルゴン下で2時間混合物を還流させた。減圧下で過剰のSOCl2を除去し、得られた固体を10mLの無水ジクロロメタンに溶解させた。この溶液に、アルゴン下で0℃にて5mLのジクロロメタンに溶解している500mgのPEG5000−NH2(2mmol)及び418μLのトリエチルアミン(60mmol)を添加した。得られた混合物を室温に加温し、一晩撹拌を続けた。ジクロロメタン溶媒を減圧下で除去し、得られた脂質を20mLのジエチルエーテルで沈殿させた。沈殿を濾過し、乾燥させ、ddH2Oに再溶解させた。次いで、水溶液を0.45μmのフィルタで濾過し、ddH2O中で3500MWCO透析膜(Pierce pleated dialysis tubing)を用いて24時間透析した。透析した溶液を凍結乾燥乾固させた。1H NMR(300 MHz,dDMSO)δ 7.92−7.77(m),4.44(d),4.37(t),3.49(m),2.97(s)。
実施例6:ボロン酸−ジスルフィド−PEG5000(6)
実施例5のPEG化合物の開裂性バージョン(還元条件下)は、以下の通り合成することもできる。
実施例5のPEG化合物の開裂性バージョン(還元条件下)は、以下の通り合成することもできる。
250mgのPEG5000−SH(0.05mmol、LaySanBio Inc.)を、撹拌棒を備えるガラスバイアルに添加した。これに、4mLのメタノールに溶解している110mgのアルドリチオール−2(0.5mmol、Aldrich)を添加した。溶液を室温で2時間撹拌し、その後、1mLのメタノール中77mgのメルカプトフェニルボロン酸(0.5mmol、Aldrich)を添加した。得られた溶液を室温で更に2時間撹拌した。真空下でメタノールを除去し、残渣を2mLのジクロロメタンに再溶解させた。18mLのジエチルエーテルをジクロロメタン溶液に添加し、混合物を1時間静置した。得られた沈殿を遠心分離を介して回収し、数回ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。乾燥した固体を水に再溶解させ、0.45μmのフィルタで濾過し、ddH2O中で3500MWCO透析膜(Pierce pleated dialysis tubing)を用いて15時間透析した。透析した溶液を凍結乾燥乾固させた。1H NMR(300 MHz,dDMSO)δ 8.12−8.00(m),7.83−7.72(m),7.72−7.61(m),7.61−7.43(m),3.72(d,J=5.4),3.68−3.15(m),3.01−2.83(m).
実施例7:(2,3,5,6)−テトラフルオロフェニルボロン酸−PEG5000の合成(7)
実施例5のボロン酸を含有するPEG化合物のフッ素化バージョンを合成し、治療用ナノ粒子と共に造影剤として用いることができる。イメージングのためのフッ素原子は、記載の通り、また、以下に例証する通り組み込むことができる。
実施例5のボロン酸を含有するPEG化合物のフッ素化バージョンを合成し、治療用ナノ粒子と共に造影剤として用いることができる。イメージングのためのフッ素原子は、記載の通り、また、以下に例証する通り組み込むことができる。
(2,3,5,6)−フルオロカルボキシフェニルボロン酸を過剰のSOCl2(〜100当量)に溶解させ、それに、数滴のDMFを添加する。アルゴン下で2時間混合物を還流させた。減圧下で過剰のSOCl2を除去し、得られた残渣を無水ジクロロメタンに溶解させる。この溶液に、アルゴン下で0℃にて、ジクロロメタンに溶解しているPEG5000−NH2(1当量)及びトリエチルアミン(30当量)を添加する。得られた混合物を室温に加温し、一晩撹拌を続ける。ジクロロメタン溶媒を減圧下で除去し、得られた脂質をジエチルエーテルで沈殿させる。沈殿を濾過し、乾燥させ、ddH2Oに再溶解させる。次いで、水溶液を0.45μmのフィルタで濾過し、ddH2O中で3500MWCO透析膜(Pierce pleated dialysis tubing)を用いて24時間透析する。透析した溶液を凍結乾燥乾固させる。
フッ素含有化合物は、ナノ粒子中に19Fを提供するのに有用である。19Fは、標準的な患者MRIを用いて磁気共鳴分光法によって検出することができる。19Fの添加により、ナノ粒子を画像化することができる(画像化だけのために行ってもよく、治療剤を添加して、画像化及び治療を可能にすることもできる)。
実施例8:(2,3,5,6)−テトラフルオロフェニルボロン酸−ジスルフィド−PEG5000の合成(8)
実施例5のボロン酸を含有する開裂性PEG化合物のフッ素化バージョンを合成し、治療用ナノ粒子と共に造影剤として用いることができる。イメージングのためのフッ素原子は、記載の通り、また、以下に例証する通り組み込むことができる。
実施例5のボロン酸を含有する開裂性PEG化合物のフッ素化バージョンを合成し、治療用ナノ粒子と共に造影剤として用いることができる。イメージングのためのフッ素原子は、記載の通り、また、以下に例証する通り組み込むことができる。
250mgのPEG5000−SH(0.05mmol、LaySanBio Inc.)を、撹拌棒を備えるガラスバイアルに添加する。これに、4mLのメタノールに溶解している110mgのアルドリチオール−2(0.5mmol、Aldrich)を添加する。溶液を室温で2時間撹拌し、その後、1mLのメタノール中77mgの(2,3,5,6)−フルオロ−4−メルカプトフェニルボロン酸(0.5mmol)を添加する。得られた溶液を室温で更に2時間撹拌する。真空下でメタノールを除去し、残渣を2mLのジクロロメタンに再溶解させる。18mLのジエチルエーテルをジクロロメタン溶液に添加し、混合物を1時間静置する。得られた沈殿を遠心分離を介して回収し、ジエチルエーテルで数回洗浄し、乾燥させる。乾燥した固体を水に再溶解させ、0.45μmのフィルタで濾過し、ddH2O中で3500MWCO透析膜(Pierce pleated dialysis tubing)を用いて15時間透析する。透析した溶液を凍結乾燥乾固させる。
実施例9:ボロン酸−PEG5000−トランスフェリンの合成(9)
例えば、トランスフェリンの結合に関連して図12に概略的に図示するアプローチに従って、実施例5〜8の化合物中のボロン酸からPEGの他端に標的剤を配置することができた。
例えば、トランスフェリンの結合に関連して図12に概略的に図示するアプローチに従って、実施例5〜8の化合物中のボロン酸からPEGの他端に標的剤を配置することができた。
したがって、治療剤として核酸を含有する系の成分は、(標的リガンドは、トランスフェリン等のタンパク質(図12)、抗体又は抗体断片、RGD又はLHRH等のペプチド、葉酸又はガラクトース等の低分子等)であってよい。ボロン酸ペグ化標的剤は、以下の通り合成することができる。
具体的には、図12に概略的に図示するアプローチに従ってボロン酸PEG5000−トランスフェリンを合成するために、以下の手順を実施した。1mLの0.1M PBSバッファ(pH 7.2)中10mg(0.13μmol)のヒトホロ−トランスフェリン(鉄リッチ)(Sigma Aldrich)の溶液を、3.2mgのOPSS−PEG5000−SVA(5当量、0.64μmol、LaysanBio Inc.)に添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。Ultracel 50,000 MWCO(Amicon Ultra−4、Millipore)を用いて未反応OPSS−PEG5000−SVAから、及びゲル濾過カラムG3000SWxl(Tosoh Biosep)を用いて未反応トランスフェリンからペグ化トランスフェリンを精製した(HPLC及びMALDI−TOF分析によって確認された)。次いで、100μL中OPSS−PEG5000ペグ化トランスフェリン100μgを、4−メルカプトフェニルボロン酸(1μg/μL、20μg、100当量)20μLと共に室温で1時間インキュベートした。インキュベート後、YM−30,000 NMWI装置(Millipore)を用いて溶液を2回透析して、過剰の4−メルカプトフェニルボロン酸及びピリジル−2−チオン副生成物を除去した。
実施例10:MAP−核酸粒子の構築−ゲル遅延度アッセイ
図1に図示する通り、DNAse及びRNASeを含まない水中1μgのプラスミドDNA又はsiRNA(0.1μg/μL、10μL)を、DNAse及びRNASeを含まない水中様々な濃度のMAP 10μLと混合して、0.5、1、1.5、2、2.5、及び5の電荷比(ポリマーにおける「+」電荷対核酸における「−」電荷)を得た。得られた混合物を室温で30分間インキュベートした。20μLの溶液のうちの10μLを、3.5μLのローディングバッファと共に1%アガロースゲルにロードし、図3及び4に示す通り、80Vで45分間ゲルを電気泳動した。ナノ粒子に含まれていない核酸は、ゲル上を移動する。これら結果は、ナノ粒子内に核酸を閉じ込めるのに必要な電荷比に対する指針を提供する。
図1に図示する通り、DNAse及びRNASeを含まない水中1μgのプラスミドDNA又はsiRNA(0.1μg/μL、10μL)を、DNAse及びRNASeを含まない水中様々な濃度のMAP 10μLと混合して、0.5、1、1.5、2、2.5、及び5の電荷比(ポリマーにおける「+」電荷対核酸における「−」電荷)を得た。得られた混合物を室温で30分間インキュベートした。20μLの溶液のうちの10μLを、3.5μLのローディングバッファと共に1%アガロースゲルにロードし、図3及び4に示す通り、80Vで45分間ゲルを電気泳動した。ナノ粒子に含まれていない核酸は、ゲル上を移動する。これら結果は、ナノ粒子内に核酸を閉じ込めるのに必要な電荷比に対する指針を提供する。
実施例11:MAP−核酸粒子の粒径及びゼータ電位
DNAse及びRNASeを含まない水中1μgのプラスミドDNA(0.1μg/μL、10μL)を、DNAse及びRNASeを含まない水中様々な濃度のMAP10μLと混合して、0.5、1、1.5、2、2.5、及び5の電荷比を得た。得られた混合物を室温で30分間インキュベートした。次いで、粒径測定のために、20μLの混合物をDNAse及びRNASeを含まない水で70μLに希釈した。次いで、ゼータ電位測定のために、この70μLの溶液を1mM KClで1400μLに希釈した。粒径及びゼータ電位の測定は、ZetaPals動的光散乱(DLS)装置(Brookhaven Instruments)で行った。結果を図5に示す。
DNAse及びRNASeを含まない水中1μgのプラスミドDNA(0.1μg/μL、10μL)を、DNAse及びRNASeを含まない水中様々な濃度のMAP10μLと混合して、0.5、1、1.5、2、2.5、及び5の電荷比を得た。得られた混合物を室温で30分間インキュベートした。次いで、粒径測定のために、20μLの混合物をDNAse及びRNASeを含まない水で70μLに希釈した。次いで、ゼータ電位測定のために、この70μLの溶液を1mM KClで1400μLに希釈した。粒径及びゼータ電位の測定は、ZetaPals動的光散乱(DLS)装置(Brookhaven Instruments)で行った。結果を図5に示す。
実施例12:ボロン酸PEG5kでペグ化することによる粒径の安定化
図2に図示する通り、DNAse及びRNASeを含まない水中2μgのプラスミドDNA(0.45μg/μL、4.4μL)を、DNAse及びRNASeを含まない水で80μLに希釈した。このプラスミド溶液を、4.89μgのMAP(0.5μg/μL、9.8μL)と混合し、これもDNAse及びRNASeを含まない水で80μLに希釈して、3+/−の電荷比及び0.0125μg/μLの最終プラスミド濃度を得た。得られた混合物を室温で30分間インキュベートした。この溶液に、480μgのボロン酸PEG5k(化合物6、実施例6)(20μg/μL、24μL)を添加した。次いで、この混合物を更に30分間インキュベートし、DNAse及びRNASeを含まない水中で0.5mLの100,000 MWCO膜(BIOMAX,Millipore Corporation)を用いて2回透析し、160μLのDNAse及びRNASeを含まない水で再構成した。ゼータ電位測定のために、この溶液の半分を1.4mLの1mM KClで希釈した(図6)。なお、BA含有ナノ粒子のゼータ電位は、含有していないナノ粒子よりも低いゼータ電位を示す。これら結果は、BA含有ナノ粒子が、ナノ粒子の外部に局在するBAを有しているという結論を裏付ける。残り半分を粒径を測定するために用いた。粒径を5分間毎分ごとに測定し、その後、最終的に1× PBS中90.2μLの溶液になるように、10× PBSを10.2μL添加した。次いで、図7に示す通り、粒径を更に10分間毎分ごとに再度測定した。(濾過により)非粒子成分から分離したBA含有ナノ粒子は、PBS中で安定であるが、BAを含有しない粒子は、そうではない。これらデータは、BA含有ナノ粒子が、PBS中における凝集に対して安定化されているので、ナノ粒子の外部に局在するBAを有しているという結論を裏付ける。
図2に図示する通り、DNAse及びRNASeを含まない水中2μgのプラスミドDNA(0.45μg/μL、4.4μL)を、DNAse及びRNASeを含まない水で80μLに希釈した。このプラスミド溶液を、4.89μgのMAP(0.5μg/μL、9.8μL)と混合し、これもDNAse及びRNASeを含まない水で80μLに希釈して、3+/−の電荷比及び0.0125μg/μLの最終プラスミド濃度を得た。得られた混合物を室温で30分間インキュベートした。この溶液に、480μgのボロン酸PEG5k(化合物6、実施例6)(20μg/μL、24μL)を添加した。次いで、この混合物を更に30分間インキュベートし、DNAse及びRNASeを含まない水中で0.5mLの100,000 MWCO膜(BIOMAX,Millipore Corporation)を用いて2回透析し、160μLのDNAse及びRNASeを含まない水で再構成した。ゼータ電位測定のために、この溶液の半分を1.4mLの1mM KClで希釈した(図6)。なお、BA含有ナノ粒子のゼータ電位は、含有していないナノ粒子よりも低いゼータ電位を示す。これら結果は、BA含有ナノ粒子が、ナノ粒子の外部に局在するBAを有しているという結論を裏付ける。残り半分を粒径を測定するために用いた。粒径を5分間毎分ごとに測定し、その後、最終的に1× PBS中90.2μLの溶液になるように、10× PBSを10.2μL添加した。次いで、図7に示す通り、粒径を更に10分間毎分ごとに再度測定した。(濾過により)非粒子成分から分離したBA含有ナノ粒子は、PBS中で安定であるが、BAを含有しない粒子は、そうではない。これらデータは、BA含有ナノ粒子が、PBS中における凝集に対して安定化されているので、ナノ粒子の外部に局在するBAを有しているという結論を裏付ける。
実施例13:MAP/pDNA粒子のHeLa細胞へのトランスフェクション
トランスフェクションの48時間前に、HeLa細胞を24ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し、10% FBSを添加した培地で増殖させた。MAP粒子は、ポリマーのpDNAに対する様々な電荷比で200μLのOpti−MEM I中に1μgのpGL3を含有するように配合した(実施例9を参照)。増殖培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、粒子製剤を添加した。次いで、細胞を37℃及び5% CO2で5時間インキュベートした後、10% FBSを添加した増殖培地800μLを添加した。48時間インキュベートした後、MTSアッセイを用いて細胞生存率について細胞のある画分を分析した。残りの細胞を、1×ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬100μLに溶解させた。10μLの細胞溶解物に100μLのルシフェラーゼアッセイ試薬を添加することによって、ルシフェラーゼ活性を決定し、Monolight照度計を用いて生物発光を定量した。次いで、ルシフェラーゼ活性を10,000細胞当たりの相対光単位(RLU)として報告する。結果を図8及び図9に示す。
トランスフェクションの48時間前に、HeLa細胞を24ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し、10% FBSを添加した培地で増殖させた。MAP粒子は、ポリマーのpDNAに対する様々な電荷比で200μLのOpti−MEM I中に1μgのpGL3を含有するように配合した(実施例9を参照)。増殖培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、粒子製剤を添加した。次いで、細胞を37℃及び5% CO2で5時間インキュベートした後、10% FBSを添加した増殖培地800μLを添加した。48時間インキュベートした後、MTSアッセイを用いて細胞生存率について細胞のある画分を分析した。残りの細胞を、1×ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬100μLに溶解させた。10μLの細胞溶解物に100μLのルシフェラーゼアッセイ試薬を添加することによって、ルシフェラーゼ活性を決定し、Monolight照度計を用いて生物発光を定量した。次いで、ルシフェラーゼ活性を10,000細胞当たりの相対光単位(RLU)として報告する。結果を図8及び図9に示す。
実施例14:MAP/pDNA及び/又はsiRNA粒子のHeLa細胞へのコトランスフェクション
トランスフェクションの48時間前に、HeLa細胞を24ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し、10% FBSを添加した培地で増殖させた。MAP粒子は、5+/−の電荷比で200μLのOpti−MEM I中に1μgのpGL3及び50nMのsiGL3を含有するように配合した。pGL3のみ、又はpGL3及びsiCONを含有する粒子を対照として用いた。増殖培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、粒子製剤を添加した。次いで、細胞を37℃及び5% CO2で5時間インキュベートした後、10% FBSを添加した増殖培地800μLを添加した。48時間インキュベートした後、実施例12に記載の通り、ルシフェラーゼ活性及び細胞生存率について細胞をアッセイした。結果を図10に示す。siGL3(正確な配列)によるトランスフェクションではRLUがより低いので、siGL3及びpGL3を共送達しなければならない。
トランスフェクションの48時間前に、HeLa細胞を24ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し、10% FBSを添加した培地で増殖させた。MAP粒子は、5+/−の電荷比で200μLのOpti−MEM I中に1μgのpGL3及び50nMのsiGL3を含有するように配合した。pGL3のみ、又はpGL3及びsiCONを含有する粒子を対照として用いた。増殖培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、粒子製剤を添加した。次いで、細胞を37℃及び5% CO2で5時間インキュベートした後、10% FBSを添加した増殖培地800μLを添加した。48時間インキュベートした後、実施例12に記載の通り、ルシフェラーゼ活性及び細胞生存率について細胞をアッセイした。結果を図10に示す。siGL3(正確な配列)によるトランスフェクションではRLUがより低いので、siGL3及びpGL3を共送達しなければならない。
実施例15:MAP/siGL3粒子のHeLa−LUC細胞へのトランスフェクション
トランスフェクションの48時間前に、HeLa−LUC細胞(ホタルルシフェラーゼタンパク質をコードしている遺伝子を含有)を24ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し、10% FBSを添加した培地で増殖させた。MAP粒子は、5+/−の電荷比で200μLのOpti−MEM I中に50及び100nMのsiGL3を含有するように配合した。増殖培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、粒子製剤を添加した。次いで、細胞を37℃及び5% CO2で5時間インキュベートした後、10% FBSを添加した増殖培地800μLを添加した。48時間インキュベートした後、実施例12に記載の通り、ルシフェラーゼ活性及び細胞生存率について細胞をアッセイした。結果を図11に示す。siGL3の濃度の増大と共にRLUが低下するので、これらデータは、内因性遺伝子の阻害が生じ得ることを示唆する。
トランスフェクションの48時間前に、HeLa−LUC細胞(ホタルルシフェラーゼタンパク質をコードしている遺伝子を含有)を24ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し、10% FBSを添加した培地で増殖させた。MAP粒子は、5+/−の電荷比で200μLのOpti−MEM I中に50及び100nMのsiGL3を含有するように配合した。増殖培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、粒子製剤を添加した。次いで、細胞を37℃及び5% CO2で5時間インキュベートした後、10% FBSを添加した増殖培地800μLを添加した。48時間インキュベートした後、実施例12に記載の通り、ルシフェラーゼ活性及び細胞生存率について細胞をアッセイした。結果を図11に示す。siGL3の濃度の増大と共にRLUが低下するので、これらデータは、内因性遺伝子の阻害が生じ得ることを示唆する。
実施例16:ムチン酸二ヨウ化物の合成(10)
250mLの丸底フラスコ内で1g(2.7mmol)のムチン酸ジアミン(実施例3)を、3.8mL(27.4mmol)のトリエチルアミン及び50mLの無水DMFと混合した後、1.2mL(13.7mmol)のヨードアセチルクロリドを滴下した。この混合物を、室温で一定の撹拌下にて一晩反応させた。次いで、真空ポンプによって溶媒を除去し、生成物を濾過し、メタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、0.8g(1.3mmol、46%)のムチン酸二ヨウ化物を得た。1H NMR((CD3)2SO)δ 8.20(s 2H),2H),7.77(s,2H),4.11(m,2H),4.03(m,2H),3.79(m,2H),3.11〜3.17(m,2H),1.78(d,2H).ESI/MS(m/z):652.8[M+Na]+
250mLの丸底フラスコ内で1g(2.7mmol)のムチン酸ジアミン(実施例3)を、3.8mL(27.4mmol)のトリエチルアミン及び50mLの無水DMFと混合した後、1.2mL(13.7mmol)のヨードアセチルクロリドを滴下した。この混合物を、室温で一定の撹拌下にて一晩反応させた。次いで、真空ポンプによって溶媒を除去し、生成物を濾過し、メタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、0.8g(1.3mmol、46%)のムチン酸二ヨウ化物を得た。1H NMR((CD3)2SO)δ 8.20(s 2H),2H),7.77(s,2H),4.11(m,2H),4.03(m,2H),3.79(m,2H),3.11〜3.17(m,2H),1.78(d,2H).ESI/MS(m/z):652.8[M+Na]+
実施例17:ムチン酸ジシステインの合成(11)
7mLの0.1M脱気炭酸ナトリウムに、17mgのL−システイン及び0.4gのムチン酸二ヨウ化物を添加した。得られた懸濁液を、溶液が透明になるまで150℃で5時間還流させた。次いで、この混合物を室温に冷却し、1N HClを介してpH 3に調整した。次いで、沈殿を生成させるためにアセトンをゆっくり添加した。濾過し、アセトンで洗浄し、真空乾燥させた後、60mgの粗生成物を得た。
7mLの0.1M脱気炭酸ナトリウムに、17mgのL−システイン及び0.4gのムチン酸二ヨウ化物を添加した。得られた懸濁液を、溶液が透明になるまで150℃で5時間還流させた。次いで、この混合物を室温に冷却し、1N HClを介してpH 3に調整した。次いで、沈殿を生成させるためにアセトンをゆっくり添加した。濾過し、アセトンで洗浄し、真空乾燥させた後、60mgの粗生成物を得た。
実施例17:ムチン酸ジシステインの合成(11)
50mLの丸底フラスコ内の0.1M脱気リン酸ナトリウムバッファ(pH 7.5)20mLに、0.38gのL−システイン(3.2mmol)及び0.40g(0.6mmol)のムチン酸二ヨウ化物を添加した。得られた懸濁液を75℃で一晩還流させ、室温に冷却し、凍結乾燥させた。次いで、この凍結乾燥した薄茶色の粉末に80mLのDMFを添加し、不溶性の過剰の試薬及びリン酸塩を可溶性生成物から濾過によって分離した。減圧下でDMFを除去し、生成物を真空乾燥させて、12mg(0.02mmol、3%)のムチン酸ジシステインを得た。
50mLの丸底フラスコ内の0.1M脱気リン酸ナトリウムバッファ(pH 7.5)20mLに、0.38gのL−システイン(3.2mmol)及び0.40g(0.6mmol)のムチン酸二ヨウ化物を添加した。得られた懸濁液を75℃で一晩還流させ、室温に冷却し、凍結乾燥させた。次いで、この凍結乾燥した薄茶色の粉末に80mLのDMFを添加し、不溶性の過剰の試薬及びリン酸塩を可溶性生成物から濾過によって分離した。減圧下でDMFを除去し、生成物を真空乾燥させて、12mg(0.02mmol、3%)のムチン酸ジシステインを得た。
実施例18:ポリマーの合成(ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG))(12)
12mg(21.7μmol)のムチン酸ジシステイン及び74mg(21.7μmol)のPEG−DiSPA 3400を真空下で乾燥させた後、10mLの2つ口丸底フラスコ内でアルゴン下にて0.6mLの無水DMSOを添加した。10分間撹拌した後、9μL(65.1μmol)の無水DIEAをアルゴン下で反応容器に移した。この混合物をアルゴン下で一晩撹拌した。次いで、ポリマーを含有する溶液を、10kDa膜遠心分離装置を用いて透析し、凍結乾燥させて、47mg(58%)のポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)を得た。
12mg(21.7μmol)のムチン酸ジシステイン及び74mg(21.7μmol)のPEG−DiSPA 3400を真空下で乾燥させた後、10mLの2つ口丸底フラスコ内でアルゴン下にて0.6mLの無水DMSOを添加した。10分間撹拌した後、9μL(65.1μmol)の無水DIEAをアルゴン下で反応容器に移した。この混合物をアルゴン下で一晩撹拌した。次いで、ポリマーを含有する溶液を、10kDa膜遠心分離装置を用いて透析し、凍結乾燥させて、47mg(58%)のポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)を得た。
実施例19:薬物(カンプトセシン、CPT)のムチン酸ポリマーへの共有結合(13)
10mg(2.7μmolの繰り返し単位)のポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)を、ガラスジャー内の1.5mLの無水DMSOに溶解させた。10分間撹拌した後、1.1μLのDIEA(6.3μmol)、3.3mg(6.3μmol)のTFA−Gly−CPT、1.6mg(8.1μmol)のEDC、及び0.7mg(5.9μmol)のNHSを反応混合物に添加した。8時間撹拌した後、1.5mLのエタノールを添加し、減圧下で溶媒を除去した。沈殿を水に溶解させ、0.2μmのフィルタを通して濾過することによって不溶性物質を除去した。次いで、ポリマー溶液を、10kDa膜を介して水に対して透析し、次いで、凍結乾燥させて、ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTコンジュゲートを得た。
10mg(2.7μmolの繰り返し単位)のポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)を、ガラスジャー内の1.5mLの無水DMSOに溶解させた。10分間撹拌した後、1.1μLのDIEA(6.3μmol)、3.3mg(6.3μmol)のTFA−Gly−CPT、1.6mg(8.1μmol)のEDC、及び0.7mg(5.9μmol)のNHSを反応混合物に添加した。8時間撹拌した後、1.5mLのエタノールを添加し、減圧下で溶媒を除去した。沈殿を水に溶解させ、0.2μmのフィルタを通して濾過することによって不溶性物質を除去した。次いで、ポリマー溶液を、10kDa膜を介して水に対して透析し、次いで、凍結乾燥させて、ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTコンジュゲートを得た。
実施例20:水中におけるCPT−ムチン酸ポリマー(13)を含むナノ粒子の形成(20)
ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)及びポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTコンジュゲートの有効直径を、再蒸留水(0.1〜10mg/mL)中にポリマーを配合することによって測定し、ZetaPALS(Brookhaven Instrument Co)装置を用いて動的光散乱(DLS)を介して評価した。次いで、各1分間の3回の連続ランを記録し、平均化した。両成分のゼータ電位を、ZetaPALS(Brookhaven Instrument Co)装置を用いて1.1mM KCl溶液中で測定した。次いで、0.012の標的残渣における10回の連続自動化ランを実施し、結果を平均化した(図14)。具体的には、ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTコンジュゲートについてこれら2つの分布を測定し、主な分布は、57nm(全粒子集団の60%)であった。また、2番目に小さな分布は、233nmで測定された。
ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)及びポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTコンジュゲートの有効直径を、再蒸留水(0.1〜10mg/mL)中にポリマーを配合することによって測定し、ZetaPALS(Brookhaven Instrument Co)装置を用いて動的光散乱(DLS)を介して評価した。次いで、各1分間の3回の連続ランを記録し、平均化した。両成分のゼータ電位を、ZetaPALS(Brookhaven Instrument Co)装置を用いて1.1mM KCl溶液中で測定した。次いで、0.012の標的残渣における10回の連続自動化ランを実施し、結果を平均化した(図14)。具体的には、ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTコンジュゲートについてこれら2つの分布を測定し、主な分布は、57nm(全粒子集団の60%)であった。また、2番目に小さな分布は、233nmで測定された。
実施例21:水中におけるCPT−ムチン酸ポリマー(13)及びボロン酸−ジスルフィド−PEG5000(6)を含むボロン酸−ペグ化ナノ粒子の配合
0.1mg/mLの濃度で再蒸留水にポリマーを溶解させ、次いで、ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTコンジュゲート中のムチン酸糖におけるPBA−PEGのジオールに対する比が1:1になるように、これも水中でポリマー6(BA−PEG)を添加することによって、ボロン酸ペグ化ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTナノ粒子を配合する。混合物を30分間インキュベートし、その後、ZetaPALS(Brookhaven Instrument Co)装置を用いて有効直径及びゼータ電位を測定する。
0.1mg/mLの濃度で再蒸留水にポリマーを溶解させ、次いで、ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTコンジュゲート中のムチン酸糖におけるPBA−PEGのジオールに対する比が1:1になるように、これも水中でポリマー6(BA−PEG)を添加することによって、ボロン酸ペグ化ポリ(ムチン酸−ジシステイン−PEG)−CPTナノ粒子を配合する。混合物を30分間インキュベートし、その後、ZetaPALS(Brookhaven Instrument Co)装置を用いて有効直径及びゼータ電位を測定する。
実施例22:マウスにおいてpDNAを送達するための標的化ナノ粒子
プラスミドpApoE−HCRLucは、ルシフェラーゼを発現する遺伝子を含有し、肝臓特異的プロモータの制御下にある。ポリマー(MAP)4(0.73mg)、ポリマー6(73mg)、及びポリマー9(0.073mg)を5mLの水中で合わせ、次いで、pApoE−HCRLucプラスミドを含有する水1.2mLを添加した(ポリマー4のプラスミドに対する電荷比は、+3になる)。連続スピン濾過によって粒子をD5W(水中5%グルコース)に入れ、次いで、D5Wを添加した(水中に存在していた初期配合から出発)。ヌードマウスにHepa−1〜6肝臓癌細胞を移植し、サイズが約200mm3になるまで腫瘍を成長させた。5mgプラスミド/kgマウスに等しい量の標的化ナノ粒子を、尾静脈にi.v.で注射した。注射の24時間後にマウスを撮像した。マウスは、毒性の徴候を示さず、腫瘍の領域ではルシフェラーゼ発現が検出されたが、肝臓の領域では検出されなかった。
プラスミドpApoE−HCRLucは、ルシフェラーゼを発現する遺伝子を含有し、肝臓特異的プロモータの制御下にある。ポリマー(MAP)4(0.73mg)、ポリマー6(73mg)、及びポリマー9(0.073mg)を5mLの水中で合わせ、次いで、pApoE−HCRLucプラスミドを含有する水1.2mLを添加した(ポリマー4のプラスミドに対する電荷比は、+3になる)。連続スピン濾過によって粒子をD5W(水中5%グルコース)に入れ、次いで、D5Wを添加した(水中に存在していた初期配合から出発)。ヌードマウスにHepa−1〜6肝臓癌細胞を移植し、サイズが約200mm3になるまで腫瘍を成長させた。5mgプラスミド/kgマウスに等しい量の標的化ナノ粒子を、尾静脈にi.v.で注射した。注射の24時間後にマウスを撮像した。マウスは、毒性の徴候を示さず、腫瘍の領域ではルシフェラーゼ発現が検出されたが、肝臓の領域では検出されなかった。
実施例23:PBA−PEG及びニトロPBA−PEGの合成、並びにpKaの決定
安定化された標的化ナノ粒子を調製するために、ボロン酸とMAP(ジオール含有)との間の共有、可逆性結合特性を用いた。フェニルボロン酸(PBA)のpKaは、8.8と高い。pKaを低下させるために、フェニル環上に電子求引基を有するPBAを使用して、ホウ素原子の酸性を上昇させた。市販の3−カルボキシPBA及び3−カルボキシ5−ニトロPBAを、塩化オキサリルを用いて塩化アシルに変換した。次いで、これら塩化アシル種をNH2−PEGと反応させて、それぞれ、PBA−PEG及びニトロPBA−PEGを形成した。合成反応を進行させるために、塩基DMF及びDIPEAの添加が必要であった。しかし、これら塩基の存在により、酸性PBAとの四面体付加物が形成される。これら付加物を除去するために、0.5N HClで後処理し、次いで、水に対して透析することによって中性pHに平衡化した。
安定化された標的化ナノ粒子を調製するために、ボロン酸とMAP(ジオール含有)との間の共有、可逆性結合特性を用いた。フェニルボロン酸(PBA)のpKaは、8.8と高い。pKaを低下させるために、フェニル環上に電子求引基を有するPBAを使用して、ホウ素原子の酸性を上昇させた。市販の3−カルボキシPBA及び3−カルボキシ5−ニトロPBAを、塩化オキサリルを用いて塩化アシルに変換した。次いで、これら塩化アシル種をNH2−PEGと反応させて、それぞれ、PBA−PEG及びニトロPBA−PEGを形成した。合成反応を進行させるために、塩基DMF及びDIPEAの添加が必要であった。しかし、これら塩基の存在により、酸性PBAとの四面体付加物が形成される。これら付加物を除去するために、0.5N HClで後処理し、次いで、水に対して透析することによって中性pHに平衡化した。
PBA−PEGを合成するために、5mLの無水テトラヒドロフランに溶解している200mg(1.21mM)の3−カルボキシフェニルボロン酸を、アルゴン下で18.7μL(0.24mM)の無水ジメチルホルムアミドに添加した。この反応容器を氷浴に移し、195μL(2.89mM)の塩化オキサリルをアルゴン下でゆっくり添加した。室温で2時間、喚気及び一定の撹拌下で反応を進行させた。溶媒及び過剰の試薬を真空下で除去した。37mg(0.2mM)の得られた乾燥塩化アシル化合物を、アルゴン下で15mLの無水ジクロロメタンに溶解させた。次いで、アルゴン下で500mg(0.1mM)のNH2−PEG5kDaーCO2H及び52μL(0.3mM)の乾燥DIPEAを添加した。一定の撹拌下で一晩反応させた後、真空下で溶媒を除去し、乾燥生成物を0.5N HClで再構成した。この溶液を0.2μmのフィルタ(Acrodisc(登録商標))に通し、一定のpHが得られるまで3kDa MWCO膜フィルタ装置(Amicon(商標))を用いて水に対して透析した。次いで、上清を0.2μmのフィルタ(Acrodisc(登録商標))で濾過し、凍結乾燥させて、377mg(73%)のPBA−PEG−CO2Hを得た。1H NMR((CD3)2SO)δ 12.52(s,1H),8.39(t,1H),8.22(s,1H),8.14(s,2H),7.88(d,1H),7.82(d,1H),7.39(t,1H),3.99(s,2H),3.35〜3.62(PEG peak).MALDI−TOF(m/z):5600g/モル(NH2−PEG5kDa−CO2H、5400g/モル)。
出発物質が3−カルボキシ5−ニトロフェニルボロン酸であったことを除いて、PBA−PEG−CO2Hと同じ方法でニトロPBA−PEG−CO2Hの合成を実施した。この反応から、393mg(76%)のニトロPBA−PEG−CO2Hが得られた。1H NMR((CD3)2SO)δ 12.52(s,1H),8.89(t,1H),8.72(s,1H),8.68(s,1H),8.64(s,1H),8.61(s,2H),3.99(s,2H),3.35〜3.62(PEG peak).MALDI−TOF(m/z):5600g/モル(NH2−PEG5kDa−CO2H、5400g/モル)。
合成したPBA化合物のpKaは、(低pHにおける)菱面体から(高pHにおける)四面体構造に変換されるときのPBAの吸光度の変化を測定することによって見出された。0.1M PBS(pH 7.4)中10−3M PBAの溶液に、1N NaOHを滴定した。pHを記録し、対応するサンプルを268nmにおける吸光度測定から除去した。
実施例24:ニトロPBA−PEGへの抗体コンジュゲーション
ニトロPBA−PEGの生成後、得られた化合物を抗体にコンジュゲートさせた。コンジュゲーションのために、36mg(6.4μM)のニトロPBA−PEG−CO2H、12.3mg(64μM)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、及び11.1mg(96μM)のNHSを、2.4mLの0.1M MESバッファ(pH 6.0)に溶解させた。この混合物を室温で回転振盪器上にて15分間反応させた。過剰の反応物質を3kDa分子量カットオフ膜フィルタ装置(Amicon(商標))を用いて透析で除去した。この活性化カルボン酸PEG化合物を、0.1M PBS(pH 7.2)中20mg(0.14mM)のヒトIgG1抗体(ハーセプチン(登録商標))に添加した。室温で2時間回転振盪器上にて反応を実行し、次いで、50kDa分子量カットオフ膜フィルタ装置(Amicon(商標))を用いて1×PBS(pH 7.4)に対して4回透析した。質量分析(MALDI−TOF)によるコンジュゲートの分析は、抗体1つ当たり平均1つ又は2つのニトロPBA−PEG化合物がコンジュゲートしたことを示した。
ニトロPBA−PEGの生成後、得られた化合物を抗体にコンジュゲートさせた。コンジュゲーションのために、36mg(6.4μM)のニトロPBA−PEG−CO2H、12.3mg(64μM)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、及び11.1mg(96μM)のNHSを、2.4mLの0.1M MESバッファ(pH 6.0)に溶解させた。この混合物を室温で回転振盪器上にて15分間反応させた。過剰の反応物質を3kDa分子量カットオフ膜フィルタ装置(Amicon(商標))を用いて透析で除去した。この活性化カルボン酸PEG化合物を、0.1M PBS(pH 7.2)中20mg(0.14mM)のヒトIgG1抗体(ハーセプチン(登録商標))に添加した。室温で2時間回転振盪器上にて反応を実行し、次いで、50kDa分子量カットオフ膜フィルタ装置(Amicon(商標))を用いて1×PBS(pH 7.4)に対して4回透析した。質量分析(MALDI−TOF)によるコンジュゲートの分析は、抗体1つ当たり平均1つ又は2つのニトロPBA−PEG化合物がコンジュゲートしたことを示した。
実施例26:標的化MAPナノ粒子の形成及び特性評価
PBA−PEG及びニトロPBA−PEGのナノ粒子形成及び安定性に対する効果を調べた。PBA−PEGの溶液を、リン酸バッファ(pH 7.4)中電荷比3+/−(siRNA由来の負電荷当たりのMAP由来の正電荷)のMAP溶液に添加した。PBA−PEGとジオール含有MAPとの複合体化のために、この混合物を10分間室温で静置した。次いで、これを水中の等体積のsiRNAに添加し、ピペッティングによって混合した。10分間後、試験及び特性評価を実施した。ニトロPBA−PEGで安定化された、様々な電荷比の粒子の配合を同様に実施した。PBA−PEGのコンジュゲーションにより、150〜300nmのサイズのMAP/siRNA粒子が形成された。MAP−4(電荷中心(アミジン)と結合部位(ポリオール)との間の4つのメチレン単位を示す)により、MAP−2を用いたときよりも小さなナノ粒子が得られた。しかし、塩を添加した際、全ての粒子が凝集し、これは、PBA−PEGがナノ粒子に十分な安定性を提供できないことを示す。ニトロPBA−PEGを用い、全ての電荷比における粒子を試験したとき、1及び3(+/−)は、安定化ナノ粒子を示した。PBA−PEG及びニトロPBA−PEGによって付与される粒子安定性の差は、ポリオールにより強く結合するようにペグ化ボロン酸化合物を修飾することの重要性を示す。
PBA−PEG及びニトロPBA−PEGのナノ粒子形成及び安定性に対する効果を調べた。PBA−PEGの溶液を、リン酸バッファ(pH 7.4)中電荷比3+/−(siRNA由来の負電荷当たりのMAP由来の正電荷)のMAP溶液に添加した。PBA−PEGとジオール含有MAPとの複合体化のために、この混合物を10分間室温で静置した。次いで、これを水中の等体積のsiRNAに添加し、ピペッティングによって混合した。10分間後、試験及び特性評価を実施した。ニトロPBA−PEGで安定化された、様々な電荷比の粒子の配合を同様に実施した。PBA−PEGのコンジュゲーションにより、150〜300nmのサイズのMAP/siRNA粒子が形成された。MAP−4(電荷中心(アミジン)と結合部位(ポリオール)との間の4つのメチレン単位を示す)により、MAP−2を用いたときよりも小さなナノ粒子が得られた。しかし、塩を添加した際、全ての粒子が凝集し、これは、PBA−PEGがナノ粒子に十分な安定性を提供できないことを示す。ニトロPBA−PEGを用い、全ての電荷比における粒子を試験したとき、1及び3(+/−)は、安定化ナノ粒子を示した。PBA−PEG及びニトロPBA−PEGによって付与される粒子安定性の差は、ポリオールにより強く結合するようにペグ化ボロン酸化合物を修飾することの重要性を示す。
安定化剤PEGの非存在下でMAP−4と縮合したsiRNAについては、+32mVの高いゼータ電位と共に640nmの粒径が観察された。ニトロPBA−PEGを添加して粒子を安定化させた場合、−4mVの負の表面電荷と共に直径が130nmに減少した。この負電荷は、ボロン酸とジオールとの結合の結果である。0.25モル%のIgG(ハーセプチン(登録商標))にコンジュゲートしているニトロPBA−PEGを導入したとき、興味深いことに、粒径は更に82nmに減少したが、ゼータ電位は、同様のままであった。
様々なPEG基が結合しているMAP−4/siRNAナノ粒子の塩安定性を評価した。ゼータ電位分析機(DLS ZetaPALS instrument,Brookhaven Instruments(Holtsville,NY))を用いて1分間の5回のランについて粒径を記録した。測定を停止して、得られる粒子製剤が1×PBSを含有するように10×PBS溶液を粒子製剤に添加することを可能にした。次いで、測定を再度開始し、各1分間の10回の連続ランを記録して、粒子安定性に対する塩添加の効果について調べた。図16に示す通り、安定化剤PEGの非存在下では、粒子が凝集した。ニトロPBA−PEGが存在していた場合、粒子は、塩条件でも安定なままであった。
実施例27:標的化MAP−CPTナノ粒子の形成及び特性評価
標的化MAP−CPTナノ粒子を調製するために、ボロン酸とMAP(ジオール含有)との間の共有、可逆性結合特性を用いた。PBAとMAPとの間の結合定数は、約20M−1と低い。結合定数を上昇させるために、フェニル環上に電子求引基を有するPBAを使用して、ホウ素原子の酸性を上昇させて、MAPとの結合定数を上昇させた。市販の3−カルボキシPBA及び3−カルボキシ5−ニトロPBAを、塩化オキサリルを用いて塩化アシルに変換した。次いで、これら塩化アシル種をNH2−PEGーCO2Hと反応させて、それぞれ、PBA−PEGーCO2H及びニトロPBA−PEGーCO2Hを形成した。合成反応を進行させるために、塩基DMF及びDIPEAの添加が必要であった。しかし、これら塩基の存在により、酸性PBAとの四面体付加物が形成される。これら付加物を除去するために、0.5N HClで後処理し、次いで、水に対して透析することによって中性pHに平衡化した。
標的化MAP−CPTナノ粒子を調製するために、ボロン酸とMAP(ジオール含有)との間の共有、可逆性結合特性を用いた。PBAとMAPとの間の結合定数は、約20M−1と低い。結合定数を上昇させるために、フェニル環上に電子求引基を有するPBAを使用して、ホウ素原子の酸性を上昇させて、MAPとの結合定数を上昇させた。市販の3−カルボキシPBA及び3−カルボキシ5−ニトロPBAを、塩化オキサリルを用いて塩化アシルに変換した。次いで、これら塩化アシル種をNH2−PEGーCO2Hと反応させて、それぞれ、PBA−PEGーCO2H及びニトロPBA−PEGーCO2Hを形成した。合成反応を進行させるために、塩基DMF及びDIPEAの添加が必要であった。しかし、これら塩基の存在により、酸性PBAとの四面体付加物が形成される。これら付加物を除去するために、0.5N HClで後処理し、次いで、水に対して透析することによって中性pHに平衡化した。
pHが上昇したときの菱面体から四面体形態へのPBAの立体構造の変化に起因する吸光度の変化によって、修飾PBAのpKa値を決定した。電子求引基を有するPBAからはより低いpKaが得られ、ニトロPBA−PEG−CO2Hは、6.8という最低pKaを有していた。したがって、生理学的pHでは、PBAの大部分が反応性アニオン性四面体形態で存在していた。PBAとMAPとの間の結合定数は、0.1M PBS(pH7.4)中におけるAlizarin Red Sとの競合結合によって見出された。ニトロPBA−PEG−CO2Hについて観察された低いpKa値及びMAPとの高い結合定数により、それが、IgG(ハーセプチン(登録商標))とMAP−CPTナノ粒子との間のリンカーとして選択された。
IgG(ハーセプチン(登録商標))とニトロPBA−PEG−CO2Hとの間のコンジュゲート反応は、EDCカップリング(上記)を介して進行した。IgG(ハーセプチン(登録商標))抗体1つ当たり平均1〜2個のPEGが結合した。
DLS及びcryo−EMによって標的化MAP−CPTナノ粒子について約40nmの平均粒径が観察された(表3)。この非標的化ナノ粒子からの約10nmの増加は、IgG(ハーセプチン(登録商標))のナノ粒子への結合を示唆する(量は、ナノ粒子1個当たり約1個のハーセプチン(登録商標)抗体であった)。実際、cryo−EM画像から、標的化ナノ粒子は、球形ではなく、抗体の結合を示す突起を有しているように見えた。標的化MAP−CPTナノ粒子の表面電荷は、pH 7.4の正に帯電しているハーセプチン(ハーセプチン(登録商標)のpI、9.2)の存在に起因して、MAP−CPTナノ粒子よりもわずかに高かった。
実施例28:細胞取り込み試験
HER2過剰発現ヒト乳癌細胞株(BT−474)を用いて、非標的化ナノ粒子に対するハーセプチン(登録商標)標的化MAP−CPTナノ粒子の細胞取り込みについて調べた。HER2陰性乳癌細胞株(MCF−7)をネガティブコントロールとして用いた。これら試験のために、24ウェルプレートに1ウェル当たり20,000細胞のBT−474(10%ウシ胎仔血清を添加したRPMI−1640培地中)又はMCF−7(10%ウシ胎仔血清を添加したダルベッコ変法イーグル培地中)(Cellgro(Manassas,VA))を播種し、5% CO2を含む加湿オーブン内で37℃にて維持した。40時間後、中MAP−CPT(40μgCPT/mL)、10mg/mLの遊離ハーセプチン(登録商標)を含む中MAP−CPT、様々な標的化密度の標的化MAP−CPT(40μgCPT/mL)、又は10mg/mLの遊離ハーセプチン(登録商標)を含む標的化MAP−CPTのいずれかを含有する新鮮培地0.3mLに培地を交換した。37℃で30分間トランスフェクションを実施した。次いで、製剤を除去し、冷PBSで2回細胞を洗浄した。細胞を剥離及び溶解させるために、1ウェル当たり200μLのRIPAバッファを添加した。次いで、溶解した細胞を4℃で15分間インキュベートし、4℃で10分間14,000gにて遠心分離した。上清の一部を、BCAアッセイを介したタンパク質の定量に用いた。別の部分に、等量の0.1N NaOHを添加し、これを室温で一晩インキュベートし、標準として既知の濃度のMAP−CPTを用いて370/440nmで蛍光を測定した。
HER2過剰発現ヒト乳癌細胞株(BT−474)を用いて、非標的化ナノ粒子に対するハーセプチン(登録商標)標的化MAP−CPTナノ粒子の細胞取り込みについて調べた。HER2陰性乳癌細胞株(MCF−7)をネガティブコントロールとして用いた。これら試験のために、24ウェルプレートに1ウェル当たり20,000細胞のBT−474(10%ウシ胎仔血清を添加したRPMI−1640培地中)又はMCF−7(10%ウシ胎仔血清を添加したダルベッコ変法イーグル培地中)(Cellgro(Manassas,VA))を播種し、5% CO2を含む加湿オーブン内で37℃にて維持した。40時間後、中MAP−CPT(40μgCPT/mL)、10mg/mLの遊離ハーセプチン(登録商標)を含む中MAP−CPT、様々な標的化密度の標的化MAP−CPT(40μgCPT/mL)、又は10mg/mLの遊離ハーセプチン(登録商標)を含む標的化MAP−CPTのいずれかを含有する新鮮培地0.3mLに培地を交換した。37℃で30分間トランスフェクションを実施した。次いで、製剤を除去し、冷PBSで2回細胞を洗浄した。細胞を剥離及び溶解させるために、1ウェル当たり200μLのRIPAバッファを添加した。次いで、溶解した細胞を4℃で15分間インキュベートし、4℃で10分間14,000gにて遠心分離した。上清の一部を、BCAアッセイを介したタンパク質の定量に用いた。別の部分に、等量の0.1N NaOHを添加し、これを室温で一晩インキュベートし、標準として既知の濃度のMAP−CPTを用いて370/440nmで蛍光を測定した。
ナノ粒子1個当たり1個のハーセプチン(登録商標)−PEG−ニトロPBAが、非標的化ナノ粒子と比べて、約70%多いBT−474細胞株への取り込みを達成するのに十分であることが観察された(図17A)。BT−474細胞への標的化MAP−CPTの取り込みは、遊離ハーセプチン(登録商標)の存在下における阻害を示した(図17B)。対照的に、MCF−7へのMAP−CPTナノ粒子の取り込みは、標的化にも遊離ハーセプチン(登録商標)の存在にも依存を示さなかった(図2B)。これらデータは、HER2受容体の会合を介した標的化MAP−CPTナノ粒子によるBT−474細胞への受容体媒介取り込みが存在することを示す。非特異的流体相エンドサイトーシスを介して、標的化及び非標的化MAP−CPTナノ粒子の細胞取り込みも生じた。
実施例29:インビトロ放出試験
短、中、長MAP−CPTナノ粒子及び標的化MAP−CPTナノ粒子からのCPTの放出を評価するために実験を実施した。これら試験は、pH 6.5、7、又は7.4の1× PBS中0.32mg CPT/mL;3mg/mLの低密度リポタンパク質(LDL)、又は100単位/mLのブチリルコリンエステラーゼ(BCHE)、又はLDLとBCHEとの組み合わせを含有する、BALB/cマウス血漿、ヒト血漿、及びpH 7.4の1× PBSを用いて実施した。
短、中、長MAP−CPTナノ粒子及び標的化MAP−CPTナノ粒子からのCPTの放出を評価するために実験を実施した。これら試験は、pH 6.5、7、又は7.4の1× PBS中0.32mg CPT/mL;3mg/mLの低密度リポタンパク質(LDL)、又は100単位/mLのブチリルコリンエステラーゼ(BCHE)、又はLDLとBCHEとの組み合わせを含有する、BALB/cマウス血漿、ヒト血漿、及びpH 7.4の1× PBSを用いて実施した。
96ウェルプレートにピペッティングした培地を、平衡化するために2時間加湿オーブン内で37℃にてインキュベートした。製剤を関連培地に混合し、オーブンに戻した。所定の時点でサンプルを採取し、直ちに、分析の時間まで−80℃で冷凍した。BALB/cマウス血漿及びヒト血漿における放出については、5% CO2を含む37℃の加湿オーブン内でインキュベートして、生理学的pHレベルにおける血漿中でカルボン酸/重炭酸塩バッファ系、主なpHバッファ系を維持した。
まず10μLのサンプルを10μLの0.1N HClと混合し、室温で30分間インキュベートすることによって、コンジュゲートしていないCPTの量を求めた。次いで、80μLのメタノールを添加し、タンパク質を沈殿させるために室温で3時間混合物をインキュベートした。この混合物を4℃で10分間14,000gにて遠心分離し、上清を0.45μmのフィルタ(Millex−LH)で濾過し、メタノールで20倍希釈し、10μLの得られた溶液をHPLCに注入した。(7.8分で)溶出したCPTのピーク面積を対照と比較した。CPTの総量を測定するために、10μLのサンプルを6.5μLの0.1N NaOHと混合した。親ポリマーからCPTを放出させるために、この溶液を1時間室温でインキュベートした。次いで、10μLの0.1N HClを添加して、カルボキシレートCPT形態をラクトン形態に変換した。次いで、73.5μLのメタノールを添加し、室温で3時間混合物をインキュベートした。次いで、サンプルを、上記の通り遠心分離し、処理した。全CPT濃度とコンジュゲートしていないCPTの濃度との差から、ポリマーに結合しているCPT濃度を求めた。
短、中、及び長MAP−CPTナノ粒子から、及び標的化MAP−CPTナノ粒子からのCPTの放出は、全て、一次速度式を示した。短、中、及び長MAP−CPTナノ粒子からのCPTの放出半減期は、試験した全ての条件において非常に類似していたが、標的化MAP−CPTについてはより長い半減期が観察された(表4)。放出速度のpHへの強い依存が観察された。6.5から7.4にpHを上昇させたとき、短、中、及び長MAP−CPTナノ粒子については、放出半減期が338時間から58時間に短縮された。これらデータは、加水分解がCPTの放出において重要な役割を果たしていることを示す。59時間の放出半減期がBALB/cマウス血漿において観察されたが、短、中、及び長MAP−CPTナノ粒子については、ヒト血漿において38時間の著しく短い半減期が得られた。マウス血漿は、ヒト血漿よりも多くのエステラーゼ活性を有するが、ヒト血漿は、マウス血漿よりも多くの「脂肪」を含有することが知られている。したがって、ヒト血漿とマウス血漿との間の放出速度の差を理解するために、CPTの放出速度に対するエステラーゼ及び脂肪の寄与を個々に試験した。ブチリルコリンエステラーゼ(BCHE)は、マウス及びヒトの血漿中に存在し、放出速度に対するエステラーゼの寄与を試験するために用いた。放出速度に対する「脂肪」の寄与を試験するために、低密度リポタンパク質(LDL)を選択した。これら成分は、PBS(pH 7.4)中で構成した。BCHEの存在は、放出速度に影響を与えないことが見出された(短、中、及び長MAP−CPTナノ粒子については、PBS(pH 7.4)中58時間と比べて61時間の半減期)。しかし、LDLの添加は、放出速度を劇的に増大させた。この効果は、競合疎水性相互作用によるナノ粒子の破壊に起因する可能性が高い。したがって、「脂肪」の存在によるナノ粒子の破壊、及びその後の加水分解によるCPT開裂は、MAP−CPTナノ粒子からのCPTの放出の別の主な機序であると思われる。ハーセプチン(登録商標)標的化MAP−CPTナノ粒子からのインビトロ放出は、非標的化バージョンよりも長い半減期を示す。pI 9.2を有するハーセプチン(登録商標)の存在が、静電相互作用により負に帯電しているナノ粒子の安定性を増大させ、それによって、競合疎水性相互作用の一部からナノ粒子を保護することが可能である。
実施例30:細胞毒性アッセイ
中MAP、ニトロPBA−PEG、CPT、中MAP−CPTナノ粒子、標的化MAP−CPTナノ粒子、及びハーセプチン(登録商標)のインビトロ細胞毒性を、2つのHER2+乳癌細胞株(BT−474、SKBR−3)及び2つのHER2−乳癌細胞株(MCF−7、MDA−MB−231)において評価した(表5)。これら試験では、5% CO2を含む加湿オーブン内で37℃にて細胞を維持した。BT−474、MCF−7、SKBR−3、及びMDA−MB−231細胞株を、それぞれ、RPMI−1640培地、ダルベッコ変法イーグル培地、マッコイ5A変法培地、及びダルベッコ変法イーグル培地(全て10%ウシ胎仔血清を添加)中でインキュベートした。1ウェル当たり3,000個の細胞を96ウェルプレートにプレーティングした。24時間後、培地を除去し、様々な濃度の中MAP、ニトロPBA−PEG、CPT、中MAP−CPTナノ粒子、標的化MAP−CPTナノ粒子、又はハーセプチン(登録商標)を含有する新鮮培地と交換した。72時間インキュベートした後、製剤を新鮮培地と交換し、1ウェル当たり20μLのCellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ(Promega)を添加した。これを5% CO2を含む37℃の加湿オーブン内で2時間インキュベートした後、490nmで吸光度を測定した。未処理細胞を含有するウェルを対照として用いた。
中MAP、ニトロPBA−PEG、CPT、中MAP−CPTナノ粒子、標的化MAP−CPTナノ粒子、及びハーセプチン(登録商標)のインビトロ細胞毒性を、2つのHER2+乳癌細胞株(BT−474、SKBR−3)及び2つのHER2−乳癌細胞株(MCF−7、MDA−MB−231)において評価した(表5)。これら試験では、5% CO2を含む加湿オーブン内で37℃にて細胞を維持した。BT−474、MCF−7、SKBR−3、及びMDA−MB−231細胞株を、それぞれ、RPMI−1640培地、ダルベッコ変法イーグル培地、マッコイ5A変法培地、及びダルベッコ変法イーグル培地(全て10%ウシ胎仔血清を添加)中でインキュベートした。1ウェル当たり3,000個の細胞を96ウェルプレートにプレーティングした。24時間後、培地を除去し、様々な濃度の中MAP、ニトロPBA−PEG、CPT、中MAP−CPTナノ粒子、標的化MAP−CPTナノ粒子、又はハーセプチン(登録商標)を含有する新鮮培地と交換した。72時間インキュベートした後、製剤を新鮮培地と交換し、1ウェル当たり20μLのCellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ(Promega)を添加した。これを5% CO2を含む37℃の加湿オーブン内で2時間インキュベートした後、490nmで吸光度を測定した。未処理細胞を含有するウェルを対照として用いた。
中MAP及びニトロPBA−PEGから、それぞれ、500μM及び1000μM(試験した最高濃度)超のIC50値が得られ、これは、最低限の毒性を示す。CPT、中MAP−CPTナノ粒子、及び標的化MAP−CPTナノ粒子のIC50濃度は、CPTの含量に基づいていた。CPTは、中MAP−CPTナノ粒子及び標的化MAP−CPTナノ粒子から徐々に放出されることに留意されたい(インビトロ放出試験を参照)。更に、エンドソームの酸性の性質に起因して、細胞によるナノ粒子の取り込みにより、放出時間が長くなる。これら要因は、CPTに比べて中MAP−CPTナノ粒子及び標的化MAP−CPTナノ粒子について観察されたIC50値がより高いことに寄与する(表5)。HER2+細胞株では、標的化MAP−CPTナノ粒子からは、MAP−CPT単独に比べてより低いIC50値が得られたが、HER2−細胞株では、標的化は、IC50に影響を与えなかった。BT−474は、CPTに対して、したがって、中MAP−CPTナノ粒子に対して最も耐性の高い細胞株であった。0.001〜0.5μMの濃度のハーセプチンをBT−474又はSKBR−3細胞に添加すると、未処理対照に比べて約60%の一定の細胞生存率が得られた。これら細胞株についてこの濃度範囲にわたって真のIC50値が存在しないことが既に観察されている(Phillips,et al.,Cancer Res.68,9280〜9290(2008))。0.5μM以下のハーセプチン濃度におけるHER2−細胞株において効果は観察されなかった。
実施例31:薬物動態試験
10mg/kg(CPT基準)の注射における短、中、長MAP−CPTナノ粒子及び標的化MAP−CPTナノ粒子の血漿薬物動態試験を、メスのBALB/cマウスにおいて実施した(図18)。これら試験では、0.9重量% NaCl(非標的化ナノ粒子)又はPBS(標的化MAP−CPTナノ粒子)中で配合したナノ粒子を、12〜16週齢のメスのBALB/cマウスの尾静脈へのボーラス投与を介して投与した。所定の時点で、伏在静脈の出血を介して血液回収チューブ(Microvette CB 300 EDTA,Sarstedt)に血液を回収した。直ちにサンプルを4℃で15分間10,000gにて遠心分離し、上清を除去し、分析の時間まで−80℃で保管した。コンジュゲートしていない及びポリマーに結合しているCPTの分析は、以下の通りであった。まず10μLのサンプルを10μLの0.1N HClと混合し、室温で30分間インキュベートすることによって、コンジュゲートしていないCPTの量を求めた。次いで、80μLのメタノールを添加し、タンパク質を沈殿させるために室温で3時間混合物をインキュベートした。この混合物を4℃で10分間14,000gにて遠心分離し、上清を0.45μmのフィルタ(Millex−LH)で濾過し、メタノールで20倍希釈し、10μLの得られた溶液をHPLCに注入した。(7.8分で)溶出したCPTのピーク面積を対照と比較した。CPTの総量を測定するために、10μLのサンプルを6.5μLの0.1N NaOHと混合した。親ポリマーからCPTを放出させるために、この溶液を1時間室温でインキュベートした。次いで、10μLの0.1N HClを添加して、カルボキシレートCPT形態をラクトン形態に変換した。次いで、73.5μLのメタノールを添加し、室温で3時間混合物をインキュベートした。次いで、サンプルを、上記の通り遠心分離し、処理した。全CPT濃度とコンジュゲートしていないCPTの濃度との差から、ポリマーに結合しているCPT濃度を求めた。非コンパートメントモデリングソフトウェアPK Solutions 2.0(Summit Research Services(Montrose,CO))を、薬物動態データ解析に用いた。全ての動物をNational Institute of Health Guidelines for Animal Careに従って処理し、California Institute of Technology Institutional Animal Care and Use Committeeにより承認された。
10mg/kg(CPT基準)の注射における短、中、長MAP−CPTナノ粒子及び標的化MAP−CPTナノ粒子の血漿薬物動態試験を、メスのBALB/cマウスにおいて実施した(図18)。これら試験では、0.9重量% NaCl(非標的化ナノ粒子)又はPBS(標的化MAP−CPTナノ粒子)中で配合したナノ粒子を、12〜16週齢のメスのBALB/cマウスの尾静脈へのボーラス投与を介して投与した。所定の時点で、伏在静脈の出血を介して血液回収チューブ(Microvette CB 300 EDTA,Sarstedt)に血液を回収した。直ちにサンプルを4℃で15分間10,000gにて遠心分離し、上清を除去し、分析の時間まで−80℃で保管した。コンジュゲートしていない及びポリマーに結合しているCPTの分析は、以下の通りであった。まず10μLのサンプルを10μLの0.1N HClと混合し、室温で30分間インキュベートすることによって、コンジュゲートしていないCPTの量を求めた。次いで、80μLのメタノールを添加し、タンパク質を沈殿させるために室温で3時間混合物をインキュベートした。この混合物を4℃で10分間14,000gにて遠心分離し、上清を0.45μmのフィルタ(Millex−LH)で濾過し、メタノールで20倍希釈し、10μLの得られた溶液をHPLCに注入した。(7.8分で)溶出したCPTのピーク面積を対照と比較した。CPTの総量を測定するために、10μLのサンプルを6.5μLの0.1N NaOHと混合した。親ポリマーからCPTを放出させるために、この溶液を1時間室温でインキュベートした。次いで、10μLの0.1N HClを添加して、カルボキシレートCPT形態をラクトン形態に変換した。次いで、73.5μLのメタノールを添加し、室温で3時間混合物をインキュベートした。次いで、サンプルを、上記の通り遠心分離し、処理した。全CPT濃度とコンジュゲートしていないCPTの濃度との差から、ポリマーに結合しているCPT濃度を求めた。非コンパートメントモデリングソフトウェアPK Solutions 2.0(Summit Research Services(Montrose,CO))を、薬物動態データ解析に用いた。全ての動物をNational Institute of Health Guidelines for Animal Careに従って処理し、California Institute of Technology Institutional Animal Care and Use Committeeにより承認された。
全てのナノ粒子について、ポリマーに結合しているCPTは、速再分布相(α)及び長排出相(β)を有する二相プロファイルを示した(図18A)。中及び長MAP−CPTナノ粒子についての排出相は、それぞれ、16.6及び17.6時間の半減期を有する特に長いものであり、それぞれ、2298及び3636μg*h/mLの高い曲線下面積(AUC)値が得られた。更に、これらは、低体積の分布及びクリアランス速度を示した。注射の24時間後、中MAP−CPTナノ粒子の注入量の11.3%、及び長MAP−CPTナノ粒子の注入量の20.5%が、ポリマーに結合しているCPTとして血漿中をまだ循環していた。対照的に、10mg/kgのCPTを単独で注入したマウスは、速いクリアランスを示し、AUCは、わずか1.6μg*h/mLであり、8時間後に注入量の0.01%が循環中に残っていた。中MAP−CPTナノ粒子の標的化は、再分布相を増大させ、排出相を21.2時間に延長することによって薬物動態プロファイルに影響を与え、AUC値は2766μg*h/mLと高かった。全てのナノ粒子について血漿中の結合していないCPTの量は、全ての時点で低かった(図18B)。
実施例32:ヌードマウスにおける最大耐量(MTD)の決定
メスのNCrヌードマウスにおいてMTD値を求め、体重を15%未満しか減少させず、処理に関連して死亡することのない最高用量として定義した。これら実験では、12週齢のメスのNCrヌードマウスを、それぞれ5匹のマウスを含む13個の群に無作為に分けた。200mg/kgの中MAP又はニトロPBA−PEG、10、15、又は20mg/kg(CPT基準)の短MAP−CPTナノ粒子、8、10、又は15mg/kg(CPT基準)の中MAP−CPTナノ粒子、5、8、又は10mg/kg(CPT基準)の長MAP−CPTナノ粒子、及び8又は10mg/kg(CPT基準)の標的化MAP−CPTナノ粒子の製剤を、尾静脈注射を介して0日目及び7日目に投与した。PBS(pH 7.4)中で配合した標的化MAP−CPTを除いて、全ての注射を0.9w/v%生理食塩水中で配合した。マウスの体重及び健康を記録し、処理の開始後2週間、毎日モニタリングした。MTDは、体重を15%未満しか減少させず、処理に関連して死亡することのない最高用量として定義した。MTDについての基準を超えたとき又は試験の最後に、動物をCO2窒息によって安楽死させた。
メスのNCrヌードマウスにおいてMTD値を求め、体重を15%未満しか減少させず、処理に関連して死亡することのない最高用量として定義した。これら実験では、12週齢のメスのNCrヌードマウスを、それぞれ5匹のマウスを含む13個の群に無作為に分けた。200mg/kgの中MAP又はニトロPBA−PEG、10、15、又は20mg/kg(CPT基準)の短MAP−CPTナノ粒子、8、10、又は15mg/kg(CPT基準)の中MAP−CPTナノ粒子、5、8、又は10mg/kg(CPT基準)の長MAP−CPTナノ粒子、及び8又は10mg/kg(CPT基準)の標的化MAP−CPTナノ粒子の製剤を、尾静脈注射を介して0日目及び7日目に投与した。PBS(pH 7.4)中で配合した標的化MAP−CPTを除いて、全ての注射を0.9w/v%生理食塩水中で配合した。マウスの体重及び健康を記録し、処理の開始後2週間、毎日モニタリングした。MTDは、体重を15%未満しか減少させず、処理に関連して死亡することのない最高用量として定義した。MTDについての基準を超えたとき又は試験の最後に、動物をCO2窒息によって安楽死させた。
中MAP、ニトロPBA−PEG、短、中、及び長MAP−CPT、並びに標的化MAP−CPTで処理したマウスの体重を量り、0日目及び7日目に2回毎週投与した後の健康についてモニタリングした(表6)。マウスの体重及び健康は、高用量の中MAP又はニトロPBA−PEGの処理によって影響を受けず、これは、これらポリマー成分の最低限の毒性を示す。CPTを含有する群では、各処理の3〜5日間後に最大体重減少がみられた。群の大部分は、減少した体重が元に戻った。体重の減少が続き、平均15%を超えた場合、試験を終わらせた。15mg/kgの中MAP−CPT、及び10mg/kgの長MAP−CPTで処理した群のうちの数匹のマウスは、下痢を示し、弱っているようにみえた。全ての他のマウスは、健康そうにみえた。MTD値は、それぞれ、短、中、長MAP−CPT、並びに標的化MAP−CPTについて20、10、8、及び8mg/kg(CPT基準)であることが見出された。
実施例33:ヌードマウスにおける体内分布
マウスにおける標的化ナノ粒子の体内分布を評価するために、7週齢のNCrヌードマウスに17β−エストラジオールペレットを皮下移植した。2日間後、RPMI−1640培地に懸濁しているBT−474癌細胞を、1000万細胞/動物で右前側腹部に皮下注射した。腫瘍の平均サイズが260mm3に達した1日後に処理を開始した。動物を1群当たりマウス6匹の2つの群に無作為化し、5mg CPT/kgのMAP−CPTナノ粒子(PBS、pH 7.4中)、又は5mg CPT/kg及び29mgハーセプチン(登録商標)/kgの標的化MAP−CPTナノ粒子(PBS、pH 7.4中)で尾静脈への静脈内注射を介して処理した。4時間及び24時間後、伏在静脈の出血を介して各群3匹の動物から血液を回収した。次いで、CO2窒息によって動物を安楽死させ、PBSで灌流した。腫瘍、肺、心臓、脾臓、腎臓、及び肝臓を摘出し、2枚の等しいサイズの切片を作製した。1枚の切片をTissue−Tek(登録商標)OCT(Sakura)に包埋し、もう1枚をエッペンドルフチューブに回収し、両方を処理時間まで−80℃で直ちに冷凍した。
マウスにおける標的化ナノ粒子の体内分布を評価するために、7週齢のNCrヌードマウスに17β−エストラジオールペレットを皮下移植した。2日間後、RPMI−1640培地に懸濁しているBT−474癌細胞を、1000万細胞/動物で右前側腹部に皮下注射した。腫瘍の平均サイズが260mm3に達した1日後に処理を開始した。動物を1群当たりマウス6匹の2つの群に無作為化し、5mg CPT/kgのMAP−CPTナノ粒子(PBS、pH 7.4中)、又は5mg CPT/kg及び29mgハーセプチン(登録商標)/kgの標的化MAP−CPTナノ粒子(PBS、pH 7.4中)で尾静脈への静脈内注射を介して処理した。4時間及び24時間後、伏在静脈の出血を介して各群3匹の動物から血液を回収した。次いで、CO2窒息によって動物を安楽死させ、PBSで灌流した。腫瘍、肺、心臓、脾臓、腎臓、及び肝臓を摘出し、2枚の等しいサイズの切片を作製した。1枚の切片をTissue−Tek(登録商標)OCT(Sakura)に包埋し、もう1枚をエッペンドルフチューブに回収し、両方を処理時間まで−80℃で直ちに冷凍した。
器官の重量を量り、0.64cm(1/4インチ)のセラミック球(MP Biomedicals,Solon,Ohio)を添加したLysing Matrix Aホモジナイザーチューブにそれぞれを100mg入れた。1mLのRIPA溶解バッファ(Thermo Scientific)を添加し、FastPrep(登録商標)−24ホモジナイザー(MP Biomedicals,Solon,Ohio)を用いて6m/sで30秒間組織をホモジナイズした。これを3回繰り返し、各ラウンド間に1分間氷上で冷却した。次いで、サンプルを4℃で15分間14,000gで遠心分離した。まず10μLの上清を10μLの0.1N HClと混合し、室温で30分間インキュベートすることによって、コンジュゲートしていないCPTの量を求めた。次いで、80μLのメタノールを添加し、タンパク質を沈殿させるために室温で3時間混合物をインキュベートした。この混合物を4℃で10分間14,000gにて遠心分離し、上清を0.45μmのフィルタ(Millex−LH)で濾過し、10μLの得られた混合物をHPLCに注入した。(7.8分で)溶出したCPTのピーク面積を対照と比較した。CPTの総量を測定するために、10μLのサンプルを6.5μLの0.1N NaOHと混合した。親ポリマーからCPTを放出させるために、この溶液を1時間室温でインキュベートした。次いで、10μLの0.1N HClを添加して、カルボキシレートCPT形態をラクトン形態に変換した。次いで、73.5μLのメタノールを添加し、室温で3時間混合物をインキュベートした。次いで、サンプルを、上記の通り遠心分離し、処理した。
腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、及び肺1グラム当たりの全CPTの平均注入量(ID)率(%)を図19Aに示す。投与の4時間後、それぞれ、MAP−CPTナノ粒子及び標的化MAP−CPTナノ粒子で処理したマウスにおける腫瘍1グラム当たり5.3及び5.2% IDの全CPTが存在していた。処理の24時間後、MAP−CPTナノ粒子で処理したマウスの腫瘍1グラム当たり2.6%IDの全CPTが残っていたが、標的化MAP−CPTナノ粒子を投与したマウスの腫瘍1グラム当たり3.2% IDの全CPTがみられた。これらデータは、非標的化バージョンと本質的に同じサイズ及び表面電荷の標的化ナノ粒子が、非標的化バージョンよりも腫瘍の局在化を増大させることなく、他者により報告されている観察結果と一致していることを示す。MAP−CPTナノ粒子及び標的化MAP−CPTナノ粒子で処理した動物では、心臓、肝臓、腎臓、及び肺において類似するCPT分布が得られた。しかし、24時間において標的化MAP−CPTは、非標的化バージョンに対して脾臓に比較的多量の全CPTが蓄積していた。この効果は、マウスにおけるヒト化抗体について既に観察されている。
図19Bは、腫瘍、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、及び肺の各器官におけるコンジュゲートしていないCPTの平均割合を示す。心臓、肝臓、脾臓、腎臓、及び肺におけるコンジュゲートしていないCPTの割合は、4時間及び24時間のいずれでも低く、これは、遊離CPTがこれら器官から速やかにクリアランスされることを示す。24時間の腫瘍では、4時間と比べてMAP−CPT及び標的化MAP−CPTナノ粒子の両方についてコンジュゲートしていないCPTの割合が著しく高かった。腫瘍内における遊離CPTの滞留は、CPTの細胞内蓄積を示唆する。標的化ナノ粒子は、4時間及び24時間の両方で、マウスの腫瘍において非標的化ナノ粒子よりもわずかに高いコンジュゲートしていないCPTの割合を示す。
血漿中のCPTの合計濃度及び血漿中のコンジュゲートしていない全CPTの割合は、MAP−CPT及び標的化MAP−CPTナノ粒子の両方について類似していた(図19C)。4時間後、それぞれ、MAP−CPT及び標的化MAP−CPTナノ粒子について血漿中に17及び20μg/mLの全CPTが残っていた。24時間後、血漿中に残る全CPTの量は、12μg/mLでMAP−CPT及び標的化MAP−CPTナノ粒子の両方について同じであった。血漿中のコンジュゲートしていない全CPTの割合は、全ての条件について3%未満であり、これは、コンジュゲートしていないCPTが血漿からわずかに放出され、速やかにクリアランスされることを示す(図19D)。
実施例33:標的化ナノ粒子による腫瘍の処理
BT−474腫瘍を有するNCrヌードマウスを、MAP−CPT(5mg CPT/kg)又は標的化MAP−CPT(5mg CPT/kg、29mgハーセプチン/kg)で処理した。4及び24時間後、マウスを安楽死させ、腫瘍を摘出し、クリアスタットを用いて20〜30μmの厚さの切片を作製した。腫瘍切片をSuperfrost Plus slides(Fisher Scientific,Hampton,NH)上に置き、処理時間まで−80℃で保管した。スライドを解凍し、組織切片を、10%ホルマリン溶液で15分間スライド上に直接固定した。次いで、スライドを、それぞれ5分間PBSで3回洗浄し、5%ヤギ血清ブロッキングバッファ中で1時間ブロッキングした。CPTは、天然に、440nmで発光する蛍光性である。MAPの位置を同定するために、MAP内のPEGを14μg/mLの内部PEG単位を認識するラット抗PEG一次抗体で染色し、一晩4℃でインキュベートした。この後、PBSで3回洗浄し、2μg/mLのAlexa Fluor(登録商標)488ヤギ抗ラットIgM二次抗体と共に1時間インキュベートした。次いで、スライドをPBSで3回洗浄し、2μg/mLのAlexa Fluor(登録商標)633ヤギ抗ヒトIgG二次抗体と共に1時間インキュベートして、ハーセプチン(登録商標)を可視化した。スライドをPBSで更に3回洗浄し、Prolong Gold Antifade試薬を載せ、イメージングの時間まで4℃で保管した。63×Plan−Neofluar oil対物レンズを用いて、Zeiss LSM 510 Meta共焦点顕微鏡(Carl Zeiss,Germany)で画像を取得した。720nmにおける二光子励起(発光フィルタBP 390〜465nm)を用いてCPTを検出した。488nm(発光フィルタLP 530)及び633nm(発光フィルタBP 645〜700nm)における励起を用いて、それぞれ、PEG及びハーセプチンを検出した。全てのレーザー及びゲイン設定は、イメージングの最初に設定し、変更しなかった。Zeiss lsm画像ブラウザで画像解析を実施した。
BT−474腫瘍を有するNCrヌードマウスを、MAP−CPT(5mg CPT/kg)又は標的化MAP−CPT(5mg CPT/kg、29mgハーセプチン/kg)で処理した。4及び24時間後、マウスを安楽死させ、腫瘍を摘出し、クリアスタットを用いて20〜30μmの厚さの切片を作製した。腫瘍切片をSuperfrost Plus slides(Fisher Scientific,Hampton,NH)上に置き、処理時間まで−80℃で保管した。スライドを解凍し、組織切片を、10%ホルマリン溶液で15分間スライド上に直接固定した。次いで、スライドを、それぞれ5分間PBSで3回洗浄し、5%ヤギ血清ブロッキングバッファ中で1時間ブロッキングした。CPTは、天然に、440nmで発光する蛍光性である。MAPの位置を同定するために、MAP内のPEGを14μg/mLの内部PEG単位を認識するラット抗PEG一次抗体で染色し、一晩4℃でインキュベートした。この後、PBSで3回洗浄し、2μg/mLのAlexa Fluor(登録商標)488ヤギ抗ラットIgM二次抗体と共に1時間インキュベートした。次いで、スライドをPBSで3回洗浄し、2μg/mLのAlexa Fluor(登録商標)633ヤギ抗ヒトIgG二次抗体と共に1時間インキュベートして、ハーセプチン(登録商標)を可視化した。スライドをPBSで更に3回洗浄し、Prolong Gold Antifade試薬を載せ、イメージングの時間まで4℃で保管した。63×Plan−Neofluar oil対物レンズを用いて、Zeiss LSM 510 Meta共焦点顕微鏡(Carl Zeiss,Germany)で画像を取得した。720nmにおける二光子励起(発光フィルタBP 390〜465nm)を用いてCPTを検出した。488nm(発光フィルタLP 530)及び633nm(発光フィルタBP 645〜700nm)における励起を用いて、それぞれ、PEG及びハーセプチンを検出した。全てのレーザー及びゲイン設定は、イメージングの最初に設定し、変更しなかった。Zeiss lsm画像ブラウザで画像解析を実施した。
図20Aは、4時間後のMAP−CPTナノ粒子で処理したマウスの腫瘍切片を示す。CPTシグナルは、分散していた。CPT及びMAPのシグナルは、マージ画像において共局在化しているようにみえた。注射の24時間後、CPTシグナルが斑点状の形態で蓄積していた(図20B)。マージ画像は、CPT及びMAPの共局在化を示唆する。標的化MAP−CPTナノ粒子で処理したマウスでは、CPTの蓄積を示す斑点が、処理の4及び24時間後に観察された(図20C及び20D)。マージ画像では、CPT及びMAPシグナルが共局在化していた。標的化MAP−CPTナノ粒子におけるハーセプチンの存在は、非標的化バージョンにおける弱いバックグラウンドシグナルに比べて、ハーセプチンチャネルにおける強い青色シグナルによって示される。
実施例33:ヌードマウスにおける抗腫瘍効果試験
BT−474は、カンプトセシンを含む抗癌薬に対して最も耐性の高い乳癌の1つである。ヌードマウスにおける腫瘍の成長を促進するために、BT−474腫瘍細胞を移植する2日前に、7週齢のNCrヌードマウスに17β−エストラジオールペレットを移植した。0日目(移植の5日後)に、各群の腫瘍サイズは平均250nmであった。1日目に処理を開始した。動物を各群6〜8匹のマウスを含む9つの群に無作為に分け、1mg若しくは8mg/kgのMAP−CPTナノ粒子(CPT基準、PBS(pH 7.4)中)、8mg/kgのCPT(20% DMSO、20% PEG 400、30%エタノール、及び30% 10mM pH 3.5リン酸に溶解)、80mg/kgのイリノテカン(5w/v%デキストロース溶液、D5W中)、2.9若しくは5.9mg/kgのハーセプチン(登録商標)(PBS(pH 7.4)中)、0.5mg CPT/kg及び2.9mgハーセプチン(登録商標)/kg若しくは1mg CPT/kg及び5.9mgハーセプチン(登録商標)/kgの標的化MAP−CPTナノ粒子(PBS(pH 7.4)中)、又は生理食塩水で処理した。全ての処理は、新たに調製し、尾静脈への静脈内注射を介して投与した。注射は、マウスの体重20g当たり150μLで標準化した。ハーセプチン(登録商標)を含有する処理は、2週間にわたって週1回行い、全ての他の群には、3週間にわたって週1回行った。カリパス測定を用いて週3回腫瘍サイズを記録し(長さ×幅2/2)、動物の健康を継続的にモニタリングした。腫瘍体積が1000mm3を超えたら、動物を安楽死させた。処理開始の6週間後、CO2窒息によって動物を安楽死させた。この試験の結果を図21及び表7に提示する。
BT−474は、カンプトセシンを含む抗癌薬に対して最も耐性の高い乳癌の1つである。ヌードマウスにおける腫瘍の成長を促進するために、BT−474腫瘍細胞を移植する2日前に、7週齢のNCrヌードマウスに17β−エストラジオールペレットを移植した。0日目(移植の5日後)に、各群の腫瘍サイズは平均250nmであった。1日目に処理を開始した。動物を各群6〜8匹のマウスを含む9つの群に無作為に分け、1mg若しくは8mg/kgのMAP−CPTナノ粒子(CPT基準、PBS(pH 7.4)中)、8mg/kgのCPT(20% DMSO、20% PEG 400、30%エタノール、及び30% 10mM pH 3.5リン酸に溶解)、80mg/kgのイリノテカン(5w/v%デキストロース溶液、D5W中)、2.9若しくは5.9mg/kgのハーセプチン(登録商標)(PBS(pH 7.4)中)、0.5mg CPT/kg及び2.9mgハーセプチン(登録商標)/kg若しくは1mg CPT/kg及び5.9mgハーセプチン(登録商標)/kgの標的化MAP−CPTナノ粒子(PBS(pH 7.4)中)、又は生理食塩水で処理した。全ての処理は、新たに調製し、尾静脈への静脈内注射を介して投与した。注射は、マウスの体重20g当たり150μLで標準化した。ハーセプチン(登録商標)を含有する処理は、2週間にわたって週1回行い、全ての他の群には、3週間にわたって週1回行った。カリパス測定を用いて週3回腫瘍サイズを記録し(長さ×幅2/2)、動物の健康を継続的にモニタリングした。腫瘍体積が1000mm3を超えたら、動物を安楽死させた。処理開始の6週間後、CO2窒息によって動物を安楽死させた。この試験の結果を図21及び表7に提示する。
生理食塩水を投与した対照群の腫瘍は、急速に成長した(図21)。28日後、8匹のマウスのうちの5匹は、1000mm3のサイズ限界を超える腫瘍を有していた。この群の全ての動物をこのとき安楽死させた。
CPT(8mg/kg)で処理した群では、対照群に比べて腫瘍は阻害されなかった(P>0.05)。それぞれ、9日目及び16日目に1匹及び3匹の処理に関連する死亡が記録されたのに加えて、28日目に腫瘍のサイズ限界を超えたため4匹を安楽死させた。試験の最後まで生存していた動物はいなかった。
80mg/kgのイリノテカンで処理したマウスは、対照群に比べて有意な腫瘍阻害は示さなかった(P>0.05)。11日目に1匹の処理に関連する死亡が生じた。試験の最後までに腫瘍サイズは平均575mm3に達した。
8mg CPT/kgのMAP−CPTナノ粒子を投与した動物は、対照群に比べて高度に有意な腫瘍阻害を示した(P<0.01)。試験の最後までに、平均腫瘍サイズは63mm3まで減少し、処理した8匹のマウスのうちの3匹がゼロまで退行した腫瘍サイズを有していた。8mg CPT/kgのMAP−CPTで処理した腫瘍を有しないNCrヌードマウスを用いたMTD試験において死亡は生じなかったが、21日目にこの試験における体重減少が原因で1匹が死亡した。これは、この試験における腫瘍量の増加及び/又はこの試験で用いたマウスが7週齢であったことが原因である可能性があるので、MTD試験では、12週齢のマウスを用いた。
5.9mg/kgのハーセプチン(登録商標)で処理した動物は、対照群に比べて高度に有意な腫瘍阻害を示した(P<0.01)。処理の11日目に、処理した8匹の動物のうちの7匹は、ゼロに退行した腫瘍を有していた。しかし、試験の最後までに、退行した腫瘍のうちの2つが再発して、腫瘍体積がゼロの動物は合計5匹になり、群の平均腫瘍体積は60mm3になった(図22)。1mg CPT/kgのMAP−CPTナノ粒子で処理したマウスは、抗腫瘍効果が観察されなかったので、早期に終了した。それにもかかわらず、5.9mg/kgのハーセプチン(登録商標)を、1mg/kgの低CPT用量のMAP−CPTナノ粒子(5.9mgハーセプチン(登録商標)/kg及び1mg CPT/kgの標的化MAP−CPTナノ粒子)にニトロPBA−BAリンカーを介して標準化剤として添加したとき、処理の9日目に全ての腫瘍がゼロに退行し、試験の最後までゼロのままであった(図22)。37日目に1匹の処理に関連しない死亡が生じた。この結果は、対照群に比べて高度に有意である(P<0.01)。これら3つの群において観察された結果の組み合わせは、ハーセプチン(登録商標)の固有活性に加えてハーセプチン(登録商標)標準化剤を添加することによってMAP−CPTナノ粒子の効果が改善されたことを示す。
2.9mg/kgのハーセプチン(登録商標)で処理した動物では、2匹の動物が、試験の最後までにゼロに退行した腫瘍を有していた。しかし、平均腫瘍サイズは、試験の開始から278mm3に増加した。この結果は、対照群に比べて有意である(0.01≦P≦0.05)。0.5mg CPT/kg及び2.9mgハーセプチン(登録商標)/kgを含有する標的化MAP−CPTナノ粒子で動物を処理したとき、2つの腫瘍がゼロに退行した。平均腫瘍サイズは、試験の最後までに141mm3に減少した。この結果は、対照群に比べて高度に有意である(P<0.01)。これら結果は、腫瘍阻害における標準化の利益を更に示唆する。
17β−エストラジオールペレットの移植の5週間後、処理群に関係なく数匹のマウスが、膀胱膨隆及び腹部膨満を有することが観察された。これは、無胸腺ヌードマウスにおいて水腎症及び尿の貯留を引き起こす17β−エストラジオールペレットの使用によるものである可能性があった。処理の6週間後、状態は悪化し、より多くのマウスが膀胱膨隆及び腹部膨満を発現していることが観察されたので、動物を安楽死させ、実験を終了した。
上記実施例は、本開示の粒子、組成物、系、及び方法の実施形態を作製及び使用する方法に関する完全な開示及び説明を当業者に与えるために提供され、本発明者がその開示であるとみなす範囲を限定することを意図するものではない。当業者に明らかな本開示を実施するための上記方法の変形は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることを意図する。本明細書に言及した全ての特許及び刊行物は、本開示が属する分野の当業者の技能レベルを示すものである。本開示に引用した全ての参照文献は、各参照文献の全文が参照により個々に援用されている場合と同程度、参照により援用される。
背景技術、発明の概要、発明の詳細な説明、及び実施例に引用した各文書の全開示(特許、特許出願、論文、要約、研究室マニュアル、書籍、又は他の開示を含む)は、参照により本明細書に援用される。
本開示は、特定の組成物又は生体系には限定されず、無論変動し得ることを理解すべきである。本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのために用いられており、制限的な意図ではないということもまた理解されねばならない。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示被験体を包含する。用語「複数」とは、特に明示的に指示しない限り、2つ以上の指示対象を含む。別途記載のない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明の属する技術分野の業者により一般に理解される意味と同様の意味を持つ。
本明細書に記載のものに類似又は等価な任意の方法及び材料を、本明細書に記載する適切な材料及び方法の具体例を試験するための実施において用いてよい。
本開示の多数の実施形態が記載されている。それにもかかわらず、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変形を行い得ることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
Claims (87)
- ポリオール含有ポリマーを含む標的化ナノ粒子であって、単一の標的リガンドにコンジュゲートしている、標的化ナノ粒子。
- 前記標的リガンドが、タンパク質、タンパク質断片、又はアミノ酸ペプチドを含む、請求項1に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記タンパク質が、抗体、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、又は細胞受容体タンパク質を含み、前記標的リガンドが、代替として、抗体の断片、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、アプタマー、又は細胞受容体タンパク質を含んでもよい、請求項2に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記タンパク質断片が、抗体断片を含む、請求項2又は3に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記アミノ酸ペプチドが、抗体由来のアミノ酸配列を含む、請求項2又は3に記載の標的化ナノ粒子。
- 治療剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記治療剤が、低分子化学療法剤又はポリヌクレオチドである、請求項6に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記ポリヌクレオチドが、干渉RNAである、請求項7に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記標的リガンドが、トランスフェリン又は抗体であり、前記ナノ粒子が、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、及びポリヌクレオチド、又はこれらの任意の組み合わせから選択される治療剤を更に含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 被験体における標的にナノ粒子を送達する方法であって、前記標的に特異的に結合する単一の標的リガンドにコンジュゲートしているナノ粒子を得る工程と、前記単一の標的リガンドにコンジュゲートしているナノ粒子を前記被験体に投与する工程とを含む、方法。
- 前記標的リガンドが、タンパク質、タンパク質断片、又はアミノ酸ペプチドを含む、請求項10に記載の方法。
- 前記タンパク質が、抗体、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、アプタマー、又は細胞受容体タンパク質を含み、前記標的リガンドが、代替として、抗体の断片、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、又は細胞受容体タンパク質を含んでもよい、請求項11に記載の方法。
- 前記タンパク質断片が、抗体断片を含む、請求項11又は12に記載の方法。
- 前記アミノ酸ペプチドが、抗体由来のアミノ酸配列を含む、請求項11又は12に記載の方法。
- 前記単一の標的リガンドにコンジュゲートしているナノ粒子が、治療剤を更に含む、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記治療剤が、低分子化学療法剤又はポリヌクレオチドである、請求項15に記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドが、干渉RNAである、請求項16に記載の方法。
- 前記標的リガンドが、トランスフェリン又は抗体であり、前記ナノ粒子が、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、及びポリヌクレオチド、又はこれらの任意の組み合わせから選択される治療剤を更に含む、請求項15、16、又は17に記載の方法。
- ポリオール含有ポリマーとボロン酸含有ポリマーとを含む標的化ナノ粒子であって、ボロン酸が、前記ポリオール含有ポリマーと可逆的共有結合でカップリングしており、前記ナノ粒子が、前記ナノ粒子の外部環境に前記ボロン酸含有ポリマーを提示するようになっており、前記ボロン酸含有ポリマーが、前記ナノ粒子とは反対の末端において標的リガンドにコンジュゲートしている、標的化ナノ粒子。
- 前記ポリオール含有ポリマーが、以下の構造単位のうちの少なくとも1つのうちの1つ以上を含む、請求項19に記載の標的化ナノ粒子:
Aは、以下の式の有機部分であり:
R1及びR2は、独立して、約10kDa以下の分子量を有する任意の炭素ベース又は有機基から選択され、
Xは、独立して、−H、−F、−C、−N、又は−Oのうちの1つ以上を含有する脂肪族基から選択され、
Yは、独立して、−OH又は−OHを提示する有機部分から選択される)
Bは、前記ポリマーにおいて、第1の前記部分AのR1及びR2のうちの1つを、第2の前記部分AのR1及びR2のうちの1つと連結させる有機部分である]。 - R1及びR2が、独立して、以下の式を有する、請求項20に記載の標的化ナノ粒子:
dは、0〜100であり、
eは、0〜100であり、
fは、0〜100であり、
Zは、ある有機部分を別の有機部分に連結させる共有結合であり、
Z1は、独立して、−NH2、−OH、−SH、及び−COOHから選択される)。 - Xが、CnH2n+1(式中、nは、0〜5である)であり、
Yが、−OHである、請求項20又は21に記載の標的化ナノ粒子。 - Aが、独立して、以下からなる群から選択される、請求項20に記載の標的化ナノ粒子:
スペーサーは、独立して、任意の有機基から選択され、
アミノ酸は、遊離アミン及び遊離カルボン酸基を有する任意の有機基から選択され、
nは、1〜20であり、
Z1は、独立して、−NH2、−OH、−SH、及び−COOHから選択される)。 - Aが、独立して、以下からなる群から選択される、請求項23に記載の標的化ナノ粒子:
- Bが、以下である、請求項20〜24のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子:
qは、1〜20であり、
pは、20〜200であり、
Lは、脱離基である)。 - 前記式(I)の構造単位が、以下の通りである、請求項20に記載の標的化ナノ粒子:
- 前記式(II)の構造単位が、以下の通りである、請求項20に記載の標的化ナノ粒子:
- 前記式(III)の構造単位が、以下の通りである、請求項20に記載の標的化ナノ粒子:
nは、1〜20である)。 - 前記ポリオール含有ポリマーが、以下の通りである、請求項19に記載の標的化ナノ粒子:
- 前記ボロン酸含有ポリマーが、少なくとも1つの末端ボロン酸基を含み、且つ以下の一般式を有する、請求項19〜29のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子:
R3及びR4は、独立して、親水性有機ポリマーであり、
X1は、−C、−N、又は−Bのうちの1つ以上を含有する有機部分であり、
Y1は、式−CmH2m−(式中、mは1以上である)のアルキル基又は芳香族基であり、
rは、1〜1000であり、
aは、0〜3であり、
bは、0〜3である)。 - R3及びR4が、(CH2CH2O)t(式中、tは、2〜2000である)である、請求項30に記載の標的化ナノ粒子。
- X1が、−NH−C(=O)−、−S−S−、−C(=O)−NH−、−O−C(=O)−、又は−C(=O)−O−であり、Y1が、フェニル基である、請求項30又は31に記載の標的化ナノ粒子。
- r=1、a=0、及びb=1である、請求項30〜32のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 官能基1及び官能基2が、同じであるか又は異なり、且つ独立して、−B(OH)2、−OCH3、−OHから選択される、請求項30〜33のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記ボロン酸含有ポリマーが、以下の通りである、請求項19〜34のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子:
- 前記ボロン酸含有ポリマーが、前記ボロン酸とは反対の末端において標的リガンドにコンジュゲートしている、請求項19〜35のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記標的リガンドが、抗体、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、アプタマー、又は細胞受容体タンパク質のうちの任意の1つであり、前記標的リガンドが、代替として、抗体の断片、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、又は細胞受容体タンパク質を含んでよい、請求項19〜36のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 治療剤を更に含む、請求項19〜37のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記治療剤が、低分子化学療法剤又はポリヌクレオチドである、請求項38に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記ポリヌクレオチドが、干渉RNAである、請求項39に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記低分子化学療法剤が、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、及びポリヌクレオチド、又はこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項39に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記ボロン酸含有ポリマーが、ニトロフェニルボロン酸基を含み、且つ以下の一般式を有する、請求項19〜29のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子:
R3及びR4は、独立して、親水性有機ポリマーであり、
X1は、−C、−N、又は−Bのうちの1つ以上を含有する有機部分であり、
Y1は、ニトロ基を有するフェニル基であり、
rは、1〜1000であり、
aは、0〜3であり、
bは、0〜3である)。 - R3及びR4が、(CH2CH2O)t(式中、tは、2〜2000である)である、請求項42に記載の標的化ナノ粒子。
- X1が、−NH−C(=O)−、−S−S−、−C(=O)−NH−、−O−C(=O)−、又は−C(=O)−O−であり、Y1が、ニトロ基を有するフェニル基である、請求項42又は43に記載の標的化ナノ粒子。
- r=1、a=0、及びb=1である、請求項42〜44のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 官能基1及び官能基2が、同じであるか又は異なり、且つ独立して、−B(OH)2、−OCH3、−OHから選択される、請求項42〜45のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーが、以下のうちの任意の1つである、請求項19〜29又は42〜46のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子:
- 前記ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーが、ニトロフェニルボロン酸とは反対の末端において標的リガンドにコンジュゲートしている、請求項42〜47のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記標的リガンドが、抗体、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、アプタマー、又は細胞受容体タンパク質のうちの任意の1つであり、前記標的リガンドが、代替として、抗体の断片、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、又は細胞受容体タンパク質を含んでよい、請求項42〜48のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 治療剤を更に含む、請求項42〜49のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記治療剤が、低分子化学療法剤又はポリヌクレオチドである、請求項50に記載のナノ粒子。
- 前記ポリヌクレオチドが、干渉RNAである、請求項51に記載の標的化ナノ粒子。
- 前記低分子化学療法剤が、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、及びポリヌクレオチド、又はこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項51に記載の標的化ナノ粒子。
- 被験体における標的にナノ粒子を送達する方法であって、請求項19〜53のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子を得る工程であって、前記ナノ粒子が、前記標的に特異的に結合する単一の標的リガンドにコンジュゲートしている、工程と、前記単一の標的リガンドにコンジュゲートしているナノ粒子を前記被験体に投与する工程と、を含む、方法。
- 前記標的リガンドが、抗体、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、アプタマー、又は細胞受容体タンパク質のうちの任意の1つであり、前記標的リガンドが、代替として、抗体の断片、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、又は細胞受容体タンパク質を含んでよい、請求項54に記載の方法。
- 前記標的化ナノ粒子が、治療剤を更に含む、請求項55に記載の方法。
- 前記治療剤が、低分子化学療法剤又はポリヌクレオチドである、請求項56に記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドが、干渉RNAである、請求項57に記載の方法。
- 前記低分子化学療法剤が、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、及びポリヌクレオチド、又はこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項57に記載の方法。
- 被験体における標的にナノ粒子を送達する方法であって、請求項19〜59のいずれか一項に記載のナノ粒子を得る工程であって、前記ナノ粒子が、前記標的に特異的に結合する単一の標的リガンドにコンジュゲートしている、工程と、前記単一の標的リガンドにコンジュゲートしているナノ粒子を前記被験体に投与する工程と、を含む、方法。
- 前記標的リガンドが、抗体、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、アプタマー、又は細胞受容体タンパク質のうちの任意の1つであり、前記標的リガンドが、代替として、抗体の断片、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、又は細胞受容体タンパク質を含んでよい、請求項60に記載の方法。
- 前記標的化ナノ粒子が、治療剤を更に含む、請求項61に記載の方法。
- 前記治療剤が、低分子化学療法剤又はポリヌクレオチドである、請求項62に記載の方法。
- 前記ポリヌクレオチドが、干渉RNAである、請求項63に記載の方法。
- 前記低分子化学療法剤が、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、及びポリヌクレオチド、又はこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項63に記載の方法。
- ムチン酸含有ポリマーと、治療剤と、フェニルボロン酸含有ポリマーとを含む標的化ナノ粒子であって、フェニルボロン酸が、ムチン酸ポリマーと可逆的共有結合でカップリングしており、前記標的化ナノ粒子が、前記ナノ粒子の外部環境に前記フェニルボロン酸含有ポリマーを提示するようになっており、前記フェニルボロン酸含有ポリマーが、前記ナノ粒子とは反対の末端において標的リガンドにコンジュゲートしており、前記標的化ナノ粒子が、単一の標的リガンドを含む、標的化ナノ粒子。
- 前記治療剤が、カンプトセシン、エポチロン、タキサン、ポリヌクレオチド、又はこれらの任意の組み合わせのうちの任意の1つであり;前記フェニルボロン酸含有ポリマーが、以下のうちの任意の1つであり、
- 前記治療剤が、カンプトセシンであり、前記フェニルボロン酸含有ポリマーが、以下のうちの任意の1つであり:
- ポリオール含有ポリマーを含むナノ粒子とボロン酸含有ポリマーとをコンジュゲートさせる工程と、前記ボロン酸含有ポリマーと標的リガンドとをコンジュゲートさせる工程とを含み、前記標的化ナノ粒子の、前記ナノ粒子の前記標的リガンドに対する比が、3:1以下、又は2:1以下、又は1:1以下である、請求項1〜9、19〜53、又は66〜68のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子を製造する方法。
- 前記標的化ナノ粒子の、前記ナノ粒子の前記標的リガンドに対する比が、1:1である、請求項69に記載の方法。
- 前記ポリオール含有ポリマーが、ムチン酸ポリマーであり、前記ボロン酸含有ポリマーが、フェニルボロン酸又はニトロフェニルボロン酸を含み、前記標的リガンドが、抗体、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、アプタマー、又は細胞受容体タンパク質を含む、請求項69又は70に記載の方法。
- 前記フェニルボロン酸含有ポリマー又は前記ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーが、以下の化合物のうちの1つである、請求項69〜71のいずれか一項に記載の方法:
- 前記ボロン酸含有ポリマーが、ポリオール含有ポリマーを含む前記ナノ粒子にコンジュゲートする前に、前記標的リガンドにコンジュゲートする、請求項69〜72のいずれか一項に記載の方法。
- ポリオール含有ポリマーを含むナノ粒子と、ボロン酸含有ポリマーと、標的リガンドと、前記ナノ粒子の前記標的リガンドに対する比が、3:1以下、又は2:1以下、又は1:1以下である標的化ナノ粒子を製造するための説明書とを含む、請求項1〜9、19〜53、又は66〜68のいずれか一項に記載の標的化ナノ粒子を製造するためのキット。
- 前記説明書に、前記ナノ粒子の前記標的リガンドに対する比が1:1である標的化ナノ粒子を製造する方法が記載されている、請求項74に記載のキット。
- 前記ポリオール含有ポリマーが、ムチン酸ポリマーであり、前記ボロン酸含有ポリマーが、フェニルボロン酸又はニトロフェニルボロン酸を含み、前記標的リガンドが、抗体、トランスフェリン、細胞受容体のリガンド、又は細胞受容体タンパク質を含む、請求項74又は75に記載のキット。
- 前記フェニルボロン酸含有ポリマー又は前記ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーが、以下の化合物のうちの1つである、請求項74〜76のいずれか一項に記載のキット:
- 前記ボロン酸含有ポリマー及び前記標的リガンドが、単一のコンジュゲート化単位として提供される、請求項74〜77のいずれか一項に記載のキット。
- 前記標的リガンドと前記ボロン酸含有ポリマーとをコンジュゲートするための1つ以上の試薬を更に含む、請求項74〜78のいずれか一項に記載のキット。
- 疾患状態を有する被験体を治療する方法であって、前記疾患状態を治療するための治療剤を更に含む請求項1〜9、19〜37、40、42〜49、52、又は66〜67のいずれか一項に記載のナノ粒子を得る工程であって、前記ボロン酸含有ポリマーを、前記疾患状態の原因である細胞に特異的に結合する単一の標的リガンドにコンジュゲートさせる、工程と、前記ナノ粒子を前記被験体に投与する工程と、を含む、方法。
- 前記疾患状態が、癌であり、前記治療剤が、化学療法化合物である、請求項80に記載の方法。
- 前記化学療法化合物が、カンプトセシン、エポチロン、又はタキサンのうちの任意の1つである、請求項81に記載の方法。
- 疾患状態を有する被験体を治療する方法であって、前記疾患状態を治療するための治療剤を更に含む請求項1〜9、19〜37、40、42〜49、52、又は66〜67のいずれか一項に記載のナノ粒子を得る工程であって、前記ニトロフェニルボロン酸含有ポリマーを、前記疾患状態の原因である細胞に特異的に結合する単一の標的リガンドにコンジュゲートさせる、工程と、前記ナノ粒子を前記被験体に投与する工程と、を含む、方法。
- 前記疾患状態が、癌であり、前記治療剤が、化学療法化合物である、請求項83に記載の方法。
- 前記化学療法化合物が、カンプトセシン、エポチロン、又はタキサンのうちの任意の1つである、請求項84に記載の方法。
- 前記ボロン酸含有ポリマーが、ポリオール含有ポリマーを含む前記ナノ粒子にコンジュゲートした後に、前記標的リガンドにコンジュゲートする、請求項69〜72のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜9、19〜53、又は66〜68のいずれか一項に記載のナノ粒子と、好適なビヒクル及び/又は賦形剤とを含む、組成物。
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