JP2018068238A - 防草材及びそれの使用方法 - Google Patents
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しかしながら、除草剤の散布は、草を枯らすだけで、頻繁に散布する必要があり、抜本的な対策とはならない。また、セメントを含有する防草材を振り撒いて散水して地面を被覆する方法も提案されているが、硬化までに時間を有し、雨など降ると施工ができず、硬化前に流れてしまうという課題や、凍結融解によりスケーリングやひび割れが生じるという課題があった。
特許文献1は、酸化マグネシウムと高炉スラグを主成分する雑草繁殖防止材を地表面の土と混合して転圧して押し固めて、その上に散水するため、施工に労力を必要とし、初期強度発現性が低いため、施工後の降雨で流失し易く、さらに凍結融解を受けるため寒冷地での使用が難しいという課題がある。
特許文献2及び3は、特許文献1と同様の酸化マグネシウム系固化材であり、初期強度発現性が低く、繁殖期の雑草を抑草する効果が低下し易い。さらに、これら酸化マグネシウム系抑草材全般に関する課題は、硬化時間が長いため傾斜の強い法面では、施工時の散水や降雨に流されたりして一定の厚さにできない場合があり、水溜りがある場所では硬化しない場合があった。また、凍結融解を受け寒冷地での使用が難しいという課題がある。
特許文献4は、焼却灰、スラグ、及び石炭灰の骨材を敷き詰め、その上にクロロプレン系ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、及びアクリル系エマルジョン固化材を散布して固着することを特徴とする防草工法であり、セメントや塩基性物質を使わないため環境にやさしい防草材である。しかしながら、人力や重機で3〜20cmの厚さに敷き詰め、その上に均一にラテックスやエマルジョンを散布する必要があるため、多大な労力がかかった。
本発明では、カルシウムアルミネート中に含まれるCaOやAl2O3以外の不純物が15質量%以下であることが初期強度発現性の観点から好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。15質量%を超えると硬化に時間を費やし、さらに低温時には固まらない場合がある。不純物の代表例として酸化ケイ素があり、その他、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等が挙げられるが、特に限定されるものでない。
カルシウムアルミネートの粒度は、初期強度発現性の面で、ブレーン比表面積値2500cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上がより好ましい。2500cm2/g未満であると硬化時間が長くなり初期強度発現性が低下する場合がある。
石膏の粒度は、ブレーン比表面積値で3000cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上が初期強度発現性と、適正な作業時間が得られることから好ましい。
石膏の使用量は、特に限定されるものではないが、カルシウムアルミネート100質量部に対して、50〜250質量部が好ましい。50質量部未満では、作業時間が取れなくなり、強度発現性が低下する場合がある。一方、250質量部を超えると作業時間は十分に取れるが、初期強度が得られない場合がある。
カルシウムシリケートは、3CaO・SiO2、3CaO・2SiO2、2CaO・SiO2やCaO・SiO2があり、これらのあらゆる結晶相のものが使用でき、これらが2種以上混合されていてもよい。特に限定されるものではないが、γ−2CaO・SiO2が大気中の二酸化炭素を吸収して生じる炭酸化収縮を低減させるため、ひび割れ抵抗性が向上し最も好ましい。
γ−2CaO・SiO2は、2CaO・SiO2で表される化合物の中で、低温相として知られるものであり、高温相であるα−2CaO・SiO2やβ−2CaO・SiO2とは異なるものである。これらの化合物はいずれも2CaO・SiO2で同じ化学組成を有するが、結晶構造は異なっている。セメントクリンカー中に存在する2CaO・SiO2はβ−2CaO・SiO2である。β−2CaO・SiO2は水硬性を有するが、本発明におけるγ−2CaO・SiO2は水硬性を持たず、大気中の二酸化炭素を吸収して硬化する特性がある。
カルシウムシリケートの粒度は、特に制限されないが、ブレーン比表面積値で3000cm2/g以上が好ましく、4,000〜8,000cm2/gがより好ましい。ブレーン比表面積値が3,000cm2/g未満では、ひび割れ抵抗性が充分に得られない場合がある。一方、8,000cm2/gを超えても更なる効果の増進が期待できない。
カルシウムシリケートの使用量は、特に限定されるものではないが、カルシウムアルミネート100質量部に対して、5〜30質量部が好ましい。5質量部未満では、ひび割れの抑制効果が低い場合がある。一方、30質量部を超えても更なる効果の増進が期待できない。
カルシウムシリケートの不純物としては、2CaO・Fe2O3などのカルシウムフェライト、12CaO・7Al2O3などのカルシウムアルミネート類、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2とアケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2の混晶、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO2、モンチセライトCaO・MgO・SiO2などのカルシウムマグネシウムシリケート、アノーサイトCaO・Al2O3・2SiO2、リューサイト(K2O、Na2O)・Al2O3・SiO2、スピネルMgO・Al2O3、マグネタイトFe3O4、さらに、硫化カルシウムCaS、硫化鉄FeSなどの硫化物等を含む場合がある。
ポルトランドセメント(JIS R 5210)、エコセメント(JIS R 5214)を製造する際に用いられるセメントクリンカーを用い、粉砕機で粒度調製して粗粒率を1.8、2.3、3.5、0.15mm以下の微粒分量が5%以下のセメントクリンカー骨材を作製した。
表1に示すカルシウムアルミネート100質量部に対して、セメントクリンカー骨材500部、凝結調整剤としてクエン酸を0.3質量部加えて防草材を調製した。この防草材をJIS R 5201に準じた4×4×16cmの型枠に敷設後、カルシウムアルミネート、セメントクリンカー及び凝結調整剤の合計100質量部に対して、水を15質量部散水して試験体を作製し、硬化時間、凍結融解抵抗性を測定した。比較として、市販の石灰砂と珪砂を用いた試験体の測定も行った。
さらに、普通セメントモルタルとマグネシア系固化材を用いて防草材を調製した。普通セメントモルタルの場合、(一社)セメント協会製標準砂と普通ポルトランドセメントの質量比を3/1としたドライモルタルを型枠に敷設し、水セメント比が50%となるように散水して防草材を調製した。マグネシア系固化材の場合は、中国産マグネシウムを焼成した市販の酸化マグネシウム100質量部に対して土壌を600質量部混合したものを型枠に敷設し、水を20質量部散水して防草材を調製した。
結果を表1に示す。
セメントクリンカー骨材A:早強セメントクリンカー、C3S71.2%、C2S7.2%、C4AF10.0%、C3A8.7%、試作品
セメントクリンカー骨材B:普通セメントクリンカー、C3S60.1%、C2S15.7%、C4AF10.0%、C3A10.2%、試作品
セメントクリンカー骨材C:エコセメントクリンカー、C3S54.9%、C2S15.0%、C4AF12.7%、C3A13.3%、試作品
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、ブレーン比表面積3200cm2/g、密度3.15g/cm3
骨材(1):珪砂、粗粒率2.83、密度2.67g/cm3
骨材(2):石灰砂、粗粒率2.25、密度2.70g/cm3
カルシウムアルミネート:石灰石とボーキサイトをCaO/Al2O3モル比が2.2となるよう配合し、1650℃で溶融後、急冷してガラス化率97%のクリンカーを得た。このクリンカーを粉砕して、所定のブレーン比表面積に調整した。
カルシウムアルミネートA:ブレーン比表面積値5000cm2/g
カルシウムアルミネートB:ブレーン比表面積値2000cm2/g
カルシウムアルミネートC:ブレーン比表面積値3000cm2/g
カルシウムアルミネートD:ブレーン比表面積値4000cm2/g
カルシウムアルミネートE:アルミナセメント1号、デンカ社製、ブレーン比表面積値4800cm2
ボーキサイト:CaO:1.7%、Al2O3:76.5%、Fe2O3:01.7%、SiO2:6.8%、MgO:0.9%、強熱減量41.4%
石膏:天然無水石膏、ブレーン比表面積値5000cm2/g
土壌:愛知県産真砂土、5mm篩下
凝結調整剤:無水クエン酸、試薬一級
水:水道水
普通セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
砂:(社)セメント協会製標準砂
マグネシア系固化材:中国産マグネシウムを焼成した酸化マグネシウム(市販品)
硬化時間:練混ぜた防草材を指で押してもへこまない時間を測定した。
凍結融解試験:凍結融解抵抗性は、20℃・相対湿度60%の環境でJIS R 5201に準じて4×4×16cm供試体を作製し、材齢1日後、脱型し、JIS A1148「コンクリ−トの凍結融解試験方法」A法により凍結融解試験を実施し、所定のサイクル毎に試験体を取り出し、重量減少率を測定した。
セメントクリンカー骨材A、カルシウムアルミネートAを使用し、表2に示す割合でカルシウムアルミネートと石膏の割合を変え、さらにカルシウムアルミネートと石膏の合計100質量部に対して、セメントクリンカー骨材、土壌の割合を変えたこと以外は実験例1と同様に行った。
結果を表2に示す。
実験例2の実験No.2-2の防草材について、表3に示す割合でカルシウムシリケートを添加し、防草・ひび割れ試験を行った。
比較として、実験例1で使用した普通セメントを用いたモルタル、マグネシア系固化材についても同様の試験を行った。
結果を表3に示す。
カルシウムシリケート イ:3CaO・SiO2。試薬の炭酸カルシウム3モル及び二酸化ケイ素1モルを混合粉砕した後、電気炉を用い1600℃で焼成し合成したものを粉砕してブレーン比表面積値4800cm2/gに調整した。
カルシウムシリケート ロ:β−2CaO・SiO2。試薬の炭酸カルシウム2モル及び二酸化ケイ素1モルを混合粉砕した後、電気炉を用い1450℃で焼成し合成したものをブレーン比表面積値4800cm2/gに調整した。
カルシウムシリケート ハ:γ−2CaO・SiO2。試薬の炭酸カルシウム2モル及び二酸化ケイ素1モルを混合粉砕した後、電気炉を用い1500℃で焼成しダスティングした粗粉をさらに粉砕しブレーン比表面積値4800cm2/gに調整した。
水:水道水
土壌:愛知県産真砂土、5mm篩下
防草試験・ひび割れ試験:30cm×40cmのトレーに田畑の土を15cm敷きならし、芝生の種であるトールフェスク、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラスの混合品を40g/m2撒き、その上に防草材を基礎面上に均一に厚み3cm敷設した後、防草材の合計100質量部に対して水を15質量部散水した。材齢1日後、1日間−10℃の恒温室に入れた後、1日間20℃の恒温室に入れこれを10サイクル実施した後、屋外に置き、100日後のひび割れの本数、防草材表面からの生えた芝の本数を測定した。
実験例3の実験No.3-5〜3-7の各防草材について、防草材の合計100質量部に対して水15質量部を散水ではなく、オムニミキサに加えて練り混ぜたこと以外は実験例3と同様に実施した。
結果を表4に示す。
Claims (6)
- ブレーン比表面積値2500cm2/g以上のカルシウムアルミネート、セメントクリンカー骨材を含有してなる防草材。
- さらに、石膏と土壌のうち一種以上を含有してなる請求項1に記載の防草材。
- セメントクリンカー骨材の粗粒率が1.8〜3.5であることを特徴としてなる請求項1または2記載の防草材。
- さらに、カルシウムシリケートを含有してなる請求項1〜3のうちいずれか1項記載の防草材。
- 請求項1〜4のうちいずれか1項記載の防草材を地面に敷き詰めて、その上に散水して被覆することを特徴とする防草材の使用方法。
- 請求項1〜4のうちいずれか1項記載の防草材を水と練混ぜて、地面に敷き詰めて被覆することを特徴とする防草材の使用方法。
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