以下、本発明の一実施の形態に係るコンソールおよびそれを備える拡大観察装置について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置の構成を示す模式図である。図2は、図1の拡大観察装置1の測定ヘッド100の正面図である。図3は、図2の測定ヘッド100の平面図である。図4は、図2の測定ヘッド100の側面図である。図1に示すように、拡大観察装置1は、測定ヘッド100および処理装置200を備える。
(1)測定ヘッド
測定ヘッド100は、例えば顕微鏡であり、スタンド部110、ステージ装置120、鏡筒部130、投光部140および制御基板150を含む。図2〜図4においては、鏡筒部130および投光部140の図示が省略される。
図4に示すように、スタンド部110は、縦断面がL字形状を有し、設置部111、保持部112および焦点駆動部113を含む。設置部111および保持部112は、例えば樹脂により形成される。設置部111は、水平な平板形状を有し、支持面SSに設置される。保持部112は、設置部111の一端部から上方に延びるように設けられる。
図1に示すように、ステージ装置120は、ステージ121およびステージ駆動部122を含む。図2〜図4に示すように、ステージ121は、設置部111の上面に設けられる。ステージ121上には、観察対象物Sが載置される。観察対象物Sが載置されるステージ121上の平面(以下、載置面と呼ぶ。)内で互いに直交する2方向をX方向およびY方向と定義し、それぞれ矢印X,Yで示す。本実施の形態では、X方向およびY方向は、拡大観察装置1の支持面SSに平行である。ステージ121の載置面に対して直交する法線の方向をZ方向と定義し、矢印Zで示す。本実施の形態では、Z方向は、拡大観察装置1の支持面SSに垂直である。Z方向に平行な軸を中心に回転する方向をθ方向と定義し、矢印θで示す。
図1のステージ駆動部122は、ステッピングモータ等の図示しないアクチュエータを含む。ステージ駆動部122は、制御基板150から与えられる駆動パルスに基づいて、ステージ121をX方向、Y方向もしくはZ方向に移動させるか、またはθ方向に回転させる。また、使用者は、手動によりステージ121をX方向、Y方向もしくはZ方向に移動させるか、またはθ方向に回転させることも可能である。
図1に示すように、鏡筒部130は、レンズユニット131および撮像部132を含み、ステージ121の上方に配置される。レンズユニット131は、観察対象物Sの種類に応じて他のレンズユニットと交換可能である。レンズユニット131は、対物レンズ131aおよび図示しない複数のレンズにより構成される。対物レンズ131aの光軸A1は、Z方向に平行である。撮像部132は、例えばCMOS(相補性金属酸化膜半導体)カメラを含む。撮像部132は、CCD(電荷結合素子)カメラ等の他のカメラを含んでもよい。
鏡筒部130は、スタンド部110の焦点駆動部113により保持部112に取り付けられる。本例の焦点駆動部113は、ステッピングモータを含む。焦点駆動部113は、制御基板150から与えられる駆動パルスに基づいて、鏡筒部130を対物レンズ131aの光軸A1の方向(Z方向)に移動させる。これにより、レンズユニット131を通過した光の焦点位置がZ方向に変化する。
図1および図2に示すように、保持部112には、ステージ121よりも上方の位置に、鏡筒部130を対物レンズ131aの光軸A1の方向に沿って移動させるためのベースダイヤル部115が設けられている。また、ベースダイヤル部115の近傍に回転受付部116が設けられている。
ベースダイヤル部115は、撮像部132を大きい移動量で移動させるための粗調整ダイヤル115Aと、撮像部132を小さい移動量で移動させるための微調整ダイヤル115Bとを含む。さらに、ベースダイヤル部115は、粗調整ダイヤル115Aおよび微調整ダイヤル115Bにそれぞれ対応する2つのエンコーダ(図示せず)を含む。
粗調整ダイヤル115Aおよび微調整ダイヤル115Bは、扁平な円柱形状を有し、保持部112の側方を向く回転軸A10の周りで回転可能に保持部112の側部に設けられている。本実施の形態では、回転軸A10はX方向に平行である。また、粗調整ダイヤル115Aおよび微調整ダイヤル115Bは、この順序で保持部112の側部から側方へ離れるように並ぶ。粗調整ダイヤル115Aの直径は、微調整ダイヤル115Bの直径よりも大きい。
回転受付部116は、例えばCPLD(Complex Programmable Logic Device)等の集積回路により構成される。回転受付部116は、ベースダイヤル部115に設けられる2つのエンコーダからの出力に基づいて、各ダイヤルの回転方向および回転量を示す信号を制御基板150を通して後述する図5の制御部410に出力する。それにより、焦点駆動部113が後述する図5の焦点制御部830により制御され、鏡筒部130が光軸A1の方向に移動する。
例えば、使用者が、粗調整ダイヤル115Aを指で把持し、指を上下に動かして粗調整ダイヤル115Aを一方向(または逆方向)に一定量回転させる。この場合、粗調整ダイヤル115Aの回転方向に対応する方向に鏡筒部130が大きく移動する。また、使用者が、微調整ダイヤル115Bを指で把持し、指を上下に動かして微調整ダイヤル115Bを一方向(または逆方向)に一定量回転させる。この場合、微調整ダイヤル115Bの回転方向に対応する方向に鏡筒部130が小さく移動する。
投光部140は、対物レンズ131aの光軸A1を取り囲むようにレンズユニット131に一体的に取り付けられる。これにより、投光部140とレンズユニット131との位置関係を一意的に決定することができる。また、拡大観察装置1に投光部140を保持する部材を追加する必要がないので、拡大観察装置1をコンパクト化することができる。
投光部140からステージ121上の観察対象物Sに光が照射される。観察対象物Sによりステージ121の上方に反射された光は、レンズユニット131により集光および結像された後、撮像部132により受光される。撮像部132は、各画素の受光量に対応する画素データに基づいて画像データを生成する。撮像部132は、生成した複数の画像データを処理装置200に与える。
制御基板150は、例えばスタンド部110の保持部112内に設けられ、焦点駆動部113、ステージ駆動部122、撮像部132および回転受付部116に接続される。制御基板150は、処理装置200による制御に基づいて焦点駆動部113およびステージ駆動部122の動作を制御する。撮像部132には、処理装置200から制御信号が入力される。また、撮像部132により生成された画像データは、ケーブル203を介して順次処理装置200に与えられる。
(2)処理装置
図1に示すように、処理装置200は、筐体210、光生成部300および制御装置400を含む。筐体210は、光生成部300と、制御装置400のうち後述するコンソール500(図5)を除く部分とを収容する。光生成部300は、ファイバユニット201により測定ヘッド100の投光部140に光学的に接続される。ファイバユニット201は、図示しない複数の光ファイバを含む。
光生成部300は、光源310および遮光部320を含む。光源310は、例えばLED(発光ダイオード)である。光源310は、ハロゲンランプ等の他の光源であってもよい。遮光部320は、光源310により出射される光を部分的に遮光可能に光源310とファイバユニット201との間に配置される。光源310により出射された光は、遮光部320を通過してファイバユニット201へ入射する。これにより、ファイバユニット201を通して測定ヘッド100の投光部140から光が出射される。
図5は、図1の制御装置400の構成を示すブロック図である。図5に示すように、制御装置400は、制御部410、記憶部420、表示部430および操作部440を含む。制御部410は、例えばCPU(中央演算処理装置)を含む。記憶部420は、例えばROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)またはHDD(ハードディスクドライブ)を含む。本実施の形態においては、制御部410および記憶部420は、パーソナルコンピュータにより実現される。
制御部410は、駆動制御部800および演算処理部900を含む。記憶部420には、システムプログラムが記憶される。また、記憶部420は、種々のデータの処理および制御部410から与えられる種々のデータの保存のために用いられる。駆動制御部800および演算処理部900の機能は、制御部410が記憶部420に記憶されるシステムプログラムを実行することにより実現される。
駆動制御部800は、投光制御部810、撮像制御部820、焦点制御部830およびステージ制御部840を含む。投光制御部810は、ケーブル202を通して図1の光生成部300に接続され、光生成部300の動作を制御する。撮像制御部820、焦点制御部830およびステージ制御部840は、ケーブル203を通して図1の測定ヘッド100の制御基板150に接続される。
撮像制御部820、焦点制御部830およびステージ制御部840は、制御基板150を通して撮像部132、焦点駆動部113およびステージ駆動部122の動作をそれぞれ制御する。また、撮像制御部820は、撮像部132により生成された画像データを順次演算処理部900に与える。
演算処理部900は、撮像制御部820により与えられる画像データに基づく画像を表示部430に表示させる。また、演算処理部900は、例えば操作部440から与えられる指令等に応答して、指令に応じた各種処理を行う。演算処理部900の詳細については後述する。演算処理部900により取得された画像データは、記憶部420に記憶される。
表示部430は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)パネルにより構成される。表示部430は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネル等の他の表示部により構成されてもよい。上記のように、表示部430は、制御部410の制御に基づいて撮像により取得された画像データに基づく観察対象物Sの画像等を表示する。
操作部440は、マウス、タッチパネル、トラックボールまたはジョイスティック等のポインティングデバイスおよびキーボードを含むとともに、本発明の一実施の形態に係るコンソールを含む。使用者が操作部440を操作することにより、制御装置400に各種指令等が与えられる。
(3)コンソール
図6は、本発明の一実施の形態に係るコンソール500の平面図であり、図7は図6のコンソール500を矢印Aの方向に見た側面図であり、図8は図6のコンソール500を矢印Bの方向に見た側面図であり、図9は図6のコンソール500を矢印Cの方向に見た側面図である。
図6および図7に示すように、コンソール500は、第1部分510および第2部分550を有し、図1の支持面SS上に載置される。第1部分510は、扁平な直方体形状を有する。第2部分550は、第1部分510の長辺の方向(長手方向)に並ぶように、第1部分510の側部に設けられている。
本実施の形態に係るコンソール500は、例えば第1部分510の長手方向が使用者の左右方向に延びるように配置された状態で、使用者により操作される。以下の説明では、第1部分510の短手方向における両端部のうち使用者によるコンソール500の操作時に使用者に近い位置にある一方の端部を手前部510Nと呼び、使用者から遠い位置にある他方の端部を奥部510Fと呼ぶ。また、奥部510Fから手前部510Nに向く方向を手前と呼び、手前部510Nから奥部510Fに向く方向を奥と呼ぶ。
図6、図8および図9に示すように、第1部分510の長手方向における奥部510Fの中央部分にケーブル204が接続されている。ケーブル204は、図5の制御部410に接続される。
図6および図7に二点鎖線で示すように、第1部分510は上面の一部に操作面511を有する。図7および図9に示すように、操作面511は、斜め手前上方を向くように、第1部分510の短手方向おいて支持面SSに対してわずかに傾斜している。それにより、支持面SSからの第1部分510の奥部510Fの厚みは、支持面SSからの第1部分510の手前部510Nの厚みに比べて大きい。
図6に示すように、操作面511には、円形状を有する複数(本例では、11個)のキー520、矩形状を有する複数(本例では、8個)のキー530、ジョイスティック540およびダイヤル541が配置されている。使用者は、複数のキー520,530、ジョイスティック540およびダイヤル541を操作することにより、制御装置400に種々の指令を与えることができる。
操作面511は、3つの領域511A,511B,511Cに分けられる。領域511A,511B,511Cは、この順序で第2部分550から離れるように第1部分510の長手方向に並ぶ。
領域511Aには、ジョイスティック540、ダイヤル541および複数(本例では6個)のキー520が設けられる。領域511Aのジョイスティック540、ダイヤル541および複数のキー520は、主として観察対象物Sの撮像条件を調整する指令を図5の制御部410に与えるために用いられる。
具体的には、ジョイスティック540は、図1のステージ121をX方向またはY方向に移動させる指令を図5の制御部410に与えるために用いられる。ダイヤル541は、操作面511に直交する回転軸の周りで回転可能に設けられ、観察対象物Sの画像の明るさを調整する指令を図5の制御部410に与えるために用いられる。なお、ジョイスティック540は、奥部510Fの近傍に位置する。また、ダイヤル541は、ジョイスティック540よりも手前で手前部510Nの近傍に位置する。それにより、観察対象物Sの画像の明るさの調整時に、使用者の指がジョイスティック540に接触することが防止され、誤操作が防止される。
領域511Aに設けられる複数のキー520は、例えば、図1の投光部140による照明のオンおよびオフの切替指令キー、図1の投光部140から観察対象物Sに複数の出射方向の光を切り替えて照射させるための照明の切替指令キー、ホワイトバランスの調整指令キー、および図1のステージ121を予め定められた位置に戻すための原点移動指令キーを含む。
領域511Bには、複数(本例では4個)のキー520および複数(本例では6個)のキー530が設けられる。領域511Bの複数のキー520,530は、主として観察対象物Sの撮像に関する処理の実行指令を図5の制御部410に与えるために用いられる。
領域511Bに設けられる複数のキー520は、例えば、振動による画像の乱れを抑制する手振れ補正処理の実行指令キー、図5の表示部430にスケールを表示させる処理の実行指令キー、および図5の表示部430の画面全体に観察対象物Sの画像を表示させる処理の実行指令キーを含む。
また、領域511Bに設けられる複数のキー530は、例えば、オートフォーカス処理の実行指令キー、観察対象物Sの画像に発生するハレーションを除去する処理の実行指令キー、画像の解像度を向上させる処理の実行指令キー、複数の画像を連結する処理の実行指令キー、ダイナミックレンジを調整する処理の実行指令キー、および観察対象物Sの全部分に合焦した画像データを生成するとともに観察対象物Sの立体形状を取得する処理の実行指令キーを含む。
一般的なリモートコントローラ等の操作面においては、使用者が操作面を見て操作面の上端かつ左端の角部近傍に使用頻度が高いと想定されるキーが設けられる。そこで、領域511A,511B,511Cのうち使用者から見て最も左側に位置する領域511Cには、観察対象物Sの撮像に関する処理の中で使用頻度が高いと想定される処理の実行指令を図5の制御部410に与えるためのキーが設けられる。
本例の領域511Cには、1個のキー520および複数(本例では2個)のキー530が設けられる。領域511Cに設けられるキー520は、例えば、拡大観察装置1を電源投入時の初期状態に戻す処理の実行指令キーである。このキー520は、領域511Cの最も奥に位置する。また、領域511Cに設けられる複数のキー530は、例えば、取得される画像データを順次図1の記憶部420に記憶させる処理を指令するための撮像指令キー、および画像データの記憶処理の一時停止を指令するための一時停止指令キーを含む。
図7に示すように、第2部分550は、第1部分510の側方で第1部分510の操作面511から上方へ膨出するように形成されている。また、第1部分510および第2部分550は共通の底面を有する。それにより、支持面SSからの第1部分510の厚みは、支持面SSからの第2部分550の厚みよりも小さい。第2部分550には、図1の鏡筒部130を対物レンズ131aの光軸A1に沿って移動させるためのダイヤル部560が設けられている。また、ダイヤル部560の近傍に回転受付部590が設けられている。
ダイヤル部560は、図1のベースダイヤル部115と同様に、粗調整ダイヤル560Aおよび微調整ダイヤル560Bを含む。また、ダイヤル部560は、粗調整ダイヤル560Aおよび微調整ダイヤル560Bにそれぞれ対応する後述する2つのエンコーダE1,E2(図10)を含む。
粗調整ダイヤル560Aおよび微調整ダイヤル560Bは、図1の粗調整ダイヤル115Aおよび微調整ダイヤル115Bと基本的に同じ形状および大きさを有する。具体的には、粗調整ダイヤル560Aおよび微調整ダイヤル560Bは、扁平な円柱形状を有し、第2部分550の側方を向く回転軸A20の周りで回転可能に第2部分550の側部に設けられている。本実施の形態では、回転軸A20は支持面SSに平行であるとともに、第1部分510の長手方向に平行である。
図8に示すように、粗調整ダイヤル115Aの直径は、微調整ダイヤル115Bの直径よりも大きい。これにより、使用者は、粗調整ダイヤル115Aと微調整ダイヤル115Bとを容易かつ直感的に識別することができる。したがって、粗調整ダイヤル115Aおよび微調整ダイヤル115Bの選択的な操作が容易になる。
また、図6に示すように、粗調整ダイヤル560Aおよび微調整ダイヤル560Bは、この順序で第2部分550の側部から側方へ離れるように並ぶ。この場合、微調整ダイヤル115Bの直径が粗調整ダイヤル115Aの直径よりも小さいので、粗調整ダイヤル115Aの操作時に使用者の指が微調整ダイヤル115Bに接触することが低減される。したがって、誤操作の発生が低減される。
回転受付部590は、例えばマイクロコンピュータにより構成され、第2部分550の内部に収容されている。回転受付部590は、ダイヤル部560に設けられる2つのエンコーダE1,E2(図10)からの出力に基づいて、各ダイヤルの回転方向および回転量を示す信号を図5の制御部410に出力する。それにより、図1の焦点駆動部113が図5の焦点制御部830により制御され、図1の鏡筒部130が光軸A1の方向に移動する。
例えば、使用者が、図1の粗調整ダイヤル115Aに代えて粗調整ダイヤル560Aを指で把持し、指を上下に動かして粗調整ダイヤル560Aを一方向(または逆方向)に一定量回転させる。この場合、粗調整ダイヤル560Aの回転方向に対応する方向に鏡筒部130が大きく移動する。また、使用者が、図1の微調整ダイヤル115Bに代えて微調整ダイヤル560Bを指で把持し、指を上下に動かして一方向(または逆方向)に一定量回転させる。この場合、微調整ダイヤル560Bの回転方向に対応する方向に鏡筒部130が小さく移動する。
(4)コンソールの形状に関する各種特徴
第1部分510は、扁平な直方体形状を有する。それにより、コンソール500が支持面SS上で安定して載置される。また、使用者は、第1部分510上に指をおいて各種操作を行うことができる。
支持面SSからのダイヤル部560の上端の高さは、支持面SSからの操作面511の高さよりも大きい。この場合、ダイヤル部560の下端が支持面SSから離れるので、ダイヤル部560の操作時に使用者の指が支持面SSに接触することが低減される。したがって、ダイヤル部560の操作性が向上される。
操作面511上の複数のキー520,530、ジョイスティック540およびダイヤル541と、ダイヤル部560との間に、操作面511から上方へ膨出する第2部分550が位置する。このような構成により、複数のキー520,530、ジョイスティック540およびダイヤル541の操作時に、使用者の指がダイヤル部560に接触することが防止される。また、ダイヤル部560の操作時に、使用者の指が複数のキー520,530、ジョイスティック540およびダイヤル541のいずれかに接触することが防止される。したがって、誤操作の発生が低減される。
第1部分510は直方体形状を有し、ダイヤル部560の回転軸A20は第1部分510の長手方向に平行である。この場合、複数のキー520,530、ジョイスティック540およびダイヤル541とダイヤル部560とが第1部分510の長手方向に並ぶ。それにより、使用者は、複数のキー520,530、ジョイスティック540およびダイヤル541とダイヤル部560との位置関係を容易に把握することができる。
また、回転軸A20に平行なダイヤル部560の断面の外形は、操作面511に平行なジョイスティック540の断面の外形よりも大きい。それにより、ダイヤル部560が過剰に小さくならないので、使用者はダイヤル部560を指で把持しつつダイヤル部560を容易に回転させることができる。また、ジョイスティック540が過剰に大きくならないので、使用者はジョイスティック540を指で把持しつつジョイスティック540を容易に傾斜させることができる。
支持面SSからのダイヤル部560の上端の高さが支持面SSからのジョイスティック540の上端の高さとほぼ等しい。それにより、使用者は、支持面SSからほぼ共通の高さ位置でダイヤル部560およびジョイスティック540を操作することができる。
上記のコンソール500においては、指で把持して操作する構成(ジョイスティック540、ダイヤル541およびダイヤル部560)が設けられる部分と、指で押下して操作する構成(複数のキー520,530)が設けられる部分とが、第1部分510の長手方向で分離されている。それにより、複数のキー520,530のいずれかの操作時に、使用者の指がジョイスティック540、ダイヤル541およびダイヤル部560のいずれかに接触することが低減され、誤操作が低減される。
ジョイスティック540、ダイヤル541およびダイヤル部560の外表面が黒色を有し、複数のキー520,530の外表面が銀色を有してもよい。この場合、使用者は、指で把持して操作する構成と指で押下して操作する構成とを容易に識別することができる。
また、図6において太い実線で取り囲まれる部分、すなわち操作面511のうち複数のキー520,530を取り囲む部分の外表面が黒色を有するとともに複数のキー520,530の外表面が銀色を有してもよい。この場合、複数のキー520,530の外観が強調される。
(5)ダイヤル部の内部構造
図10はダイヤル部560の縦断面図であり、図11はダイヤル部560の分解斜視図である。図10および図11に示すように、ダイヤル部560は、第1のベース部材561、基板562、微調整ダイヤル軸563、軸受部材564、第2のベース部材565、粗調整ダイヤル560A、摺動部材567,569、第1の固定部材568、第2の固定部材570、微調整ダイヤル560B、エンコーダE1,E2および複数のねじSWを含む。エンコーダE1は、光学式のエンコーダであり、光学スケール566Aおよび読取センサ566Bを含む。エンコーダE2は、磁気式のエンコーダであり、磁気スケール571Aおよび読取センサ571Bを含む。
図11では、ダイヤル部560のうち一部の構成要素の図示が省略されるとともに、ダイヤル部560に用いられる複数のねじSWのうち一部のねじSWのみが図示される。また、図11では、ダイヤル部560の構成に加えて、ダイヤル部560を支持するダイヤル支持部材551が図示される。ダイヤル支持部材551は、図6の第2部分550の内部に設けられる。
図11に示すように、ダイヤル支持部材551は、円板状の支持部551Aを有し、第2部分550の内部で図6の支持面SSに対して垂直な方向に延びかつ支持部551Aが図6の回転軸A20に直交するように配置される。
図10に示すように、第1のベース部材561は、円筒部561Aおよびフランジ部561Bを有する。図11のダイヤル支持部材551の支持部551Aにフランジ部561Bが接触するように、第1のベース部材561がダイヤル支持部材551に取り付けられる。円筒部561Aの外径は、後述する粗調整ダイヤル560Aの内径よりもわずかに小さい。
円筒部561Aの内側には、基板562を保持するための基板保持部561Cが形成されている。基板保持部561Cに複数(例えば3個)のねじSWを用いて基板562が取り付けられている。基板562は、円板形状を有する。図10に示すように、基板562においては、外周縁部の一部にエンコーダE1の読取センサ566Bが設けられるとともに、中央部にエンコーダE2の読取センサ571Bが設けられている。この状態で、基板562は、図6の支持面SSに対して垂直でかつダイヤル部560の回転軸A20に対して直交する。
基板562の一面および他面のうち第1のベース部材561の基板保持部561Cに対向する一面とは逆の他面上に、第2のベース部材565が複数(例えば3個)のねじSWを用いて取り付けられる。
粗調整ダイヤル560Aは、円筒形状を有するとともにその内周面の一部に円環状の仕切り板560Sを有する。仕切り板560Sの中央に形成された円形開口は、第2のベース部材565を挿入可能に形成されている。仕切り板560Sの一面側に円環状の光学スケール566Aが接着されている。この状態で、光学スケール566Aの一部と読取センサ566Bとが対向するとともに粗調整ダイヤル560Aの一端部およびその近傍部分が第1のベース部材561の円筒部561Aを覆うように、第2のベース部材565が粗調整ダイヤル560Aの内部に挿し込まれている。
仕切り板560Sの他面側に円環状の摺動部材567を挟んで第1の固定部材568が設けられている。第1の固定部材568は、複数のねじSWを用いて第2のベース部材565に取り付けられる。第1の固定部材568は、粗調整ダイヤル560Aが第2のベース部材565から抜け出ることを防止する。
このような構成により、粗調整ダイヤル560Aが回転操作されると、粗調整ダイヤル560Aに接着された光学スケール566Aが、第1のベース部材561に固定された基板562上の読取センサ566Bに対して相対的に回転する。
読取センサ566Bは図6の回転受付部590と電気的に接続されている。それにより、エンコーダE1から図6の回転受付部590に、粗調整ダイヤル560Aの回転方向および回転量に対応するパルス信号が出力される。この場合、図6の回転受付部590は、エンコーダE1からの出力に基づいて、粗調整ダイヤル560Aの回転方向および回転量を示す信号を図5の制御部410に出力する。
第2のベース部材565は、ダイヤル部560の回転軸A20に沿う貫通孔565H(図10)を有する。微調整ダイヤル軸563は、頭部563Aおよび軸部563Bを有する。第2のベース部材565の貫通孔565Hには、一端部にフランジを有する円筒状の軸受部材564を介して基板562側から微調整ダイヤル軸563の軸部563Bが挿入されている。微調整ダイヤル軸563の頭部563Aには、基板562に設けられた読取センサ571Bに対向するように、磁気スケール571Aが取り付けられている。
微調整ダイヤル軸563のうち、第2のベース部材565の貫通孔565Hから基板562の反対側に突出する軸部563Bの部分に、摺動部材569を介して第2の固定部材570が取り付けられている。第2の固定部材570は、微調整ダイヤル軸563が第2のベース部材565の貫通孔565Hから抜け出ることを防止する。軸部563Bの先端部に微調整ダイヤル560Bが取り付けられている。
このような構成により、微調整ダイヤル560Bが回転操作されると、微調整ダイヤル軸563に取り付けられた磁気スケール571Aが、第1のベース部材561に固定された基板562上の読取センサ571Bに対して相対的に回転する。
読取センサ571Bは図6の回転受付部590と電気的に接続されている。それにより、エンコーダE2から図6の回転受付部590に、微調整ダイヤル560Bの回転方向および回転量に対応するパルス信号が出力される。この場合、図6の回転受付部590は、エンコーダE2からの出力に基づいて、微調整ダイヤル560Bの回転方向および回転量を示す信号を図5の制御部410に出力する。
(6)演算処理部
図12は、図5の演算処理部900の構成を示すブロック図である。図12に示すように、演算処理部900は、データ生成部910、合焦判定部920、条件設定部930、方向判定部940、換算部950および排他部960を含む。
データ生成部910は、例えば操作部440からの指令に従って画像データの連結処理、ダイナミックレンジの調整処理または画像の解像度を向上させる処理等を行う。合焦判定部920は、例えば操作部440からオートフォーカス処理の指令を受けた場合に、取得される画像データについて対象領域内の画素ごとの合焦度を判定する。合焦度の判定は、対象領域における輝度値に関する情報に基づいて行われる。
条件設定部930は、例えば操作部440からの指令に従って撮像条件を設定し、設定された撮像条件を示す撮像情報を図1の記憶部420に記憶させる。撮像条件は、例えば図1の撮像部132の受光時間および照明のオンオフ等を含む。図5の駆動制御部800は、条件設定部930により設定された撮像条件に基づいて図1の測定ヘッド100および光生成部300の動作を制御する。
図1のベースダイヤル部115または図6のダイヤル部560が回転操作された場合、その回転方向および回転量が図1または図6の回転受付部116,590から演算処理部900に与えられる。
方向判定部940は、与えられた回転方向に基づいて図1の鏡筒部130を上方および下方のいずれに移動させるべきかを判定し、判定結果を図5の焦点制御部830に与える。
換算部950は、図1または図6の回転受付部116,590から与えられた回転量を鏡筒部130の移動量に換算する。ここで、単位回転量当たりで換算される鏡筒部130の移動量は、使用者により操作されるダイヤルの種類に応じて異なる。本例では、換算部950は、粗調整ダイヤル115A,560Aに対応する単位回転量当たりの鏡筒部130の移動量を微調整ダイヤル115B,560Bに対応する単位回転量当たりの鏡筒部130の移動量よりも大きく換算する。換算部950は、換算結果を図5の焦点制御部830に与える。
焦点制御部830は、方向判定部940により判定された方向に、換算部950により換算された移動量だけ鏡筒部130が移動するように焦点駆動部113を制御する。
粗調整ダイヤル115A,560Aの単位回転量当たりの鏡筒部130の移動量は等しく設定されることが好ましく、微調整ダイヤル115B,560Bの単位回転量当たりの鏡筒部130の移動量も互いに等しく設定されることが好ましい。この場合、使用者は、鏡筒部130の位置を調整する際に、ベースダイヤル部115とダイヤル部560とを同じ感覚で操作することができる。
なお、粗調整ダイヤル115A,560Aの単位回転量当たりの鏡筒部130の移動量は互いに異なるように設定されてもよく、微調整ダイヤル115B,560Bの単位回転量当たりの鏡筒部130の移動量は互いに異なるように設定されてもよい。
粗調整ダイヤル115A,560Aおよび微調整ダイヤル115B,560Bのうち一のダイヤルが操作されている際に、誤操作等により他のダイヤルが操作されると、ダイヤルの回転方向および回転量について複数種類の信号が演算処理部900に与えられる。この場合、鏡筒部130が使用者の意図しない方向に移動したり、鏡筒部130が使用者の意図しない速度で移動したりする可能性がある。
そこで、排他部960は、粗調整ダイヤル115A,560Aおよび微調整ダイヤル115B,560Bのうち一のダイヤルに対応する信号が与えられている間、他のダイヤルに対応する信号が方向判定部940および換算部950に入力されることを禁止する。それにより、誤操作による鏡筒部130の意図しない動作が防止される。
(7)鏡筒部の傾斜機構
図13(a)は測定ヘッド100の外観斜視図であり、図13(b)は鏡筒部130が傾斜する状態を示す模式図である。図13(a)に示すように、本例の測定ヘッド100は鏡筒部130をステージ121に対して傾斜させるための傾斜機構101を含む。傾斜機構101は、Y方向に直交する平面内で保持部112の下部に対して保持部112の上部を支持する。これにより、傾斜機構101は、傾斜中心130cの周りで鏡筒部130をステージ121に対して傾斜させることができる。図13(b)においては、傾斜後の鏡筒部130が一点鎖線で示される。
傾斜観察を行う場合には、観察対象物Sの表面が鏡筒部130の傾斜中心130cと略同一の高さに位置するように、ステージ121をZ方向に移動させる。この場合、鏡筒部130を傾斜させた場合でも、撮像部132の視野が移動しないユーセントリック関係が維持され、観察対象物Sの所望の観察領域が撮像部132の視野から外れることを防止することができる。
図13(b)に示すように、鏡筒部130は、上記のレンズユニット131および撮像部132に加えて傾斜センサ133を含む。Z方向に対する対物レンズ131aの光軸A1の傾斜角度(以下、鏡筒部130の傾斜角度と呼ぶ。)は、傾斜センサ133により検出され、傾斜角度に対応する角度信号が図1の制御基板150に出力される。制御基板150は、傾斜センサ133により出力された角度信号を図5のケーブル203および撮像制御部820を介して演算処理部900に与える。演算処理部900は、角度信号に基づいて、鏡筒部130の傾斜角度を算出する。演算処理部900により算出された傾斜角度は、図5の表示部430に表示させることができる。
上記の構成によれば、ステージ121の載置面に載置された観察対象物Sの平面観察および傾斜観察を選択的に行うことができる。平面観察時には、対物レンズ131aの光軸A1はZ方向に平行になる。すなわち、鏡筒部130の傾斜角度が0°になる。一方、傾斜観察時には、対物レンズ131aの光軸A1はZ方向に対して傾斜する。
(8)効果
上記のコンソール500においては、支持面SSからの第1部分510の厚みが支持面SSからの第2部分550の厚みよりも小さいので、第1部分510および第2部分550が共通の厚みを有する場合に比べてコンソール500の大型化が抑制される。また、第1部分510に設けられる複数のキー520,530、ジョイスティック540およびダイヤル541が、第1部分510の上端よりも上方に位置しない。そのため、使用者は、支持面SSに前腕および手首を置いた状態で複数のキー520,530、ジョイスティック540およびダイヤル541を操作することができる。したがって、コンソール500の操作性が向上するとともに使用者の疲労が低減される。
また、使用者は、第2部分550の側方のダイヤル部560を指で把持し、指を上下に動かしてダイヤル部560を回転させることにより、ステージ121に対する鏡筒部130の相対的な距離を調整することができる。この場合、指の上下動と鏡筒部130の相対的な上下動とが連動しているので、使用者は、直感的に鏡筒部130の相対的な上下動を操作することができる。
これらの結果、使用者の直感的な操作により拡大観察装置1を操作することが可能になるとともに、コンソール500の操作性およびコンパクト性が向上される。
また、上記の拡大観察装置1においては、測定ヘッド100のスタンド部110に設けられるベースダイヤル部115とコンソール500に設けられるダイヤル部560とが基本的に同じ構成を有する。それにより、使用者は、ステージ121に対する鏡筒部130の相対的な距離を調整する際に、ベースダイヤル部115およびダイヤル部560を同じ感覚でそれぞれ直感的に操作することができる。
(9)他の実施の形態
(a)上記実施の形態に係るコンソール500においては、第1部分510の長手方向の両側部のうち一方の側部に第2部分550が一体的に設けられるが、本発明はこれに限定されない。第2部分550は、第1部分510の一方の側部および他方の側部に取り付けおよび取り外し可能に構成されてもよい。この場合、使用者は、第1部分510の一方の側部および他方の側部に第2部分550を選択的に取り付けることができる。それにより、拡大観察装置1の利便性が向上する。
なお、この場合、第2部分550を一方の側部に取り付ける場合と、第2部分550を他方の側部に取り付ける場合とでダイヤルの回転方向とレンズユニット131の移動方向との対応を逆に設定することが好ましい。それにより、第2部分550の取付位置が変更されることによる操作性の低下が防止される。
(b)上記実施の形態では、コンソール500の操作面511の領域511Bにオートフォーカス処理の実行指令キーが設けられるが、本発明はこれに限定されない。オートフォーカス処理の実行指令キーがコンソール500のダイヤル部560に設けられてもよい。
また、オートフォーカス処理の実行指令キーは、ダイヤル部560に限らず測定ヘッド100のベースダイヤル部115またはその近傍に設けられてもよい。この場合、使用者は、傾斜観察時に鏡筒部130をステージ121に対して傾斜させつつオートフォーカス処理の実行指令キーを操作することができる。それにより、傾斜観察時に対物レンズ131aの焦点を容易かつ短時間で観察対象物Sに合わせることができる。
(c)上記実施の形態では、ベースダイヤル部115またはダイヤル部560の操作に基づいて鏡筒部130が対物レンズ131aの光軸A1に沿って移動するが、本発明はこれに限定されない。ベースダイヤル部115またはダイヤル部560の操作に基づいて鏡筒部130がZ方向に移動する代わりに、ベースダイヤル部115またはダイヤル部560の操作に基づいてステージ121がZ方向に移動してもよい。
(d)上記実施の形態に係るコンソール500においては、コンソール500に設けられる複数のキー520,530が物理的な部品で構成されるが、本発明はこれに限定されない。コンソール500の操作面511には、液晶ディスプレイパネルまたは有機エレクトロルミネッセンスパネル等で構成された表示部と、その表示部に重なるように設けられるタッチパネルとが設けられてもよい。この場合、表示部およびタッチパネルにより、上記の複数のキー520,530にそれぞれ対応する複数のキーを構成してもよい。
(10)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、観察対象物Sが観察対象物の例であり、ステージ121がステージの例であり、鏡筒部130が撮像部の例であり、拡大観察装置1が拡大観察装置の例であり、支持面SSが支持面の例であり、コンソール500がコンソールの例である。
また、第1部分510および第2部分550が本体部の例であり、第1部分510が第1部分の例であり、第2部分550が第2部分の例であり、複数のキー520,530が一または複数のキーおよびキー入力部の例であり、ジョイスティック540が移動操作部の例であり、ダイヤル部560がダイヤル部の例であり、操作面511が操作面の例であり、粗調整ダイヤル560Aが第1のダイヤル部材の例であり、微調整ダイヤル560Bが第2のダイヤル部材の例である。
また、ステージ駆動部122が移動部の例であり、焦点駆動部113が相対距離変化部の例であり、制御部410が制御部の例であり、スタンド部110がベースの例であり、ベースダイヤル部115がベースダイヤル部の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。