I.偏光板
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、該偏光フィルムの片面に、第一の接着剤層を介して積層された延伸ポリエステルフィルムとを備えるものである。また、本発明の偏光板は、偏光フィルムにおける延伸ポリエステルフィルムが積層されている面とは反対側の面に、第二の接着剤層を介して積層された保護フィルムまたは光学補償フィルムを備えていてもよい。以下、本発明の偏光板について具体的に説明する。
<1.偏光フィルム>
本発明に用いる偏光フィルムは、通常、公知の方法によって製造することができる、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造されるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、およびアンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85〜100mol%程度であり、98mol%以上が好ましい。このポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールおよびポリビニルアセタール等も使用することができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000〜10,000程度であり、1,500〜5,000程度が好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、特に制限されるものではないが、たとえば、10μm〜150μm程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、または染色の後に行なうことができる。一軸延伸を染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前またはホウ酸処理中に行なってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行なってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常、3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部程度である。また、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常、20〜40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10−4〜10重量部程度であり、1×10−3〜1重量部程度が好ましい。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常、20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なうことができる。
ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、通常、水100重量部あたり、2〜15重量部程度であり、5〜12重量部が好ましい。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、通常、水100重量部あたり、0.1〜15重量部程度であり、5〜12重量部程度が好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1,200秒程度であり、150〜600秒程度が好ましく、200〜400秒程度がより好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常、50℃以上であり、50〜85℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、たとえば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行なうことができる。水洗処理における水の温度は、通常、5〜40℃程度である。また、浸漬時間は、通常、1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行なうことができる。乾燥処理の温度は、通常、30〜100℃程度であり、50〜80℃が好ましい。乾燥処理の時間は、通常、60〜600秒程度であり、120〜600秒が好ましい。
乾燥処理によって、偏光フィルムの水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常、5〜20重量%であり、8〜15重量%が好ましい。水分率が5重量%を下回ると、偏光フィルムの可撓性が失われ、偏光フィルムがその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある。また、水分率が20重量%を上回ると、偏光フィルムの熱安定性に劣る場合がある。
こうして得られる偏光フィルムの厚みは、通常、5〜40μm程度とすることができる。
<2.延伸ポリエステルフィルム>
延伸ポリエステルフィルムのリタデーションは、虹状の色斑を低減するという観点から、3000nm以上30000nm以下であることが好ましい。延伸ポリエステルフィルムのリタデーションの下限値は、好ましくは4500nm以上、好ましくは6000nm以上、好ましくは8000nm以上、好ましくは10000nm以上である。一方、延伸ポリエステルフィルムのリタデーションの上限は、それ以上のリタデーションを有するフィルムを用いたとしても更なる視認性の改善効果は実質的に得られず、またリタデーションの高さに応じてはフィルムの厚みも上昇する傾向があるため、薄型化への要請に反し兼ねないという観点から、30000nmと設定されるが、更に高い値とすることもできる。
虹状の色斑をより効果的に抑制するという観点から、延伸ポリエステルフィルムは、そのリタデーション(Re)と厚さ方向リタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が、好ましくは0.2以上であり、好ましくは0.5以上、好ましくは0.6以上である。厚さ方向リタデーションは、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz及び△Nyzにそれぞれフィルム厚みdを掛けて得られるリタデーションの平均値を意味する。Re/Rthが大きいほど、複屈折の作用は等方性を増し、画面への色斑の発生をより効果的に抑制することができる。尚、本書において、単に「リタデーション」と記載する場合は、面内リタデーションを意味する。
Re/Rthの最大値は2.0(即ち、完全な1軸対称性フィルム)であるが、完全な1軸対称性フィルムに近づくにつれて配向方向と直交する方向の機械的強度が低下する傾向がある。よって、ポリエステルフィルムのRe/Rthの上限は、好ましくは1.2以下、好ましくは1.0以下である。上記比率が1.0以下であっても、液晶表示装置の視野角特性(左右180度、上下120度程度)を満足することが可能である。
延伸ポリエステルフィルムのリタデーションは、公知の手法に従って測定することができる。具体的には、2軸方向の屈折率と厚みを測定して求めることができる。また、商業的に入手可能な自動複屈折測定装置(例えば、KOBRA−21ADH:王子計測機器株式会社製)を用いて求めることもできる。
延伸ポリエステルフィルムの原料樹脂であるポリエステルは、透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れており、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。ポリエステルのなかでも、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルは固有複屈折が大きく、フィルムの厚みが薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られるので好ましい。特に、ポリエチレンナフタレートは、ポリエステルの中でも固有複屈折率が大きいことから、リタデーションを特に高くしたい場合や、リタデーションを高く保ちながらフィルム厚みを薄くしたい場合に好適である。
(延伸ポリエステルフィルムの製造方法)
以下に、延伸ポリエステルフィルムフィルムの製造方法を説明する。ポリエステルフィルムは、任意のジカルボン酸とジオールとを縮合させて得ることができる。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等を挙げることができる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等を挙げることができる。
ポリエステルフィルムを構成するジカルボン酸成分とジオール成分はそれぞれ1種又は2種以上を用いても良い。ポリエステルフィルムを構成する具体的なポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられ、好ましくはポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートであり、好ましくはポリエチレンテレフタレートである。ポリエステル樹脂は他の共重合成分を含んでも良く、機械強度の点からは共重合成分の割合は3モル%以下が好ましく、好ましくは2モル%以下、更に好ましくは1.5モル%以下である。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れる。また、これらの樹脂は、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。
ポリエステルフィルムは、一般的な製造方法に従って得ることができる。具体的には、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理及び必要に応じて弛緩処理を施すことにより延伸ポリエステルフィルムが挙げられる。延伸ポリエステルフィルムは、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであっても良い。
ポリエステルフィルムを得るための製造条件は、公知の手法に従って適宜設定することが出来る。例えば、縦延伸温度及び横延伸温度は、通常80〜130℃であり、好ましくは90〜120℃である。縦延伸倍率は、通常1.0〜3.5倍であり、好ましくは1.0倍〜3.0倍である。また、横延伸倍率は、通常2.5〜6.0倍であり、好ましくは3.0〜5.5倍である。
リタデーションを特定範囲に制御することは、延伸倍率や延伸温度、フィルムの厚みを適宜設定することにより行うことができる。例えば、縦延伸と横延伸の延伸倍率差が高いほど、延伸温度が低いほど、フィルムの厚みが厚いほど高いリタデーションを得やすくなる。逆に、縦延伸と横延伸の延伸倍率差が低いほど、延伸温度が高いほど、フィルムの厚みが薄いほど低いリタデーションを得やすくなる。また、延伸温度が高いほど、トータル延伸倍率が低いほど、リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が低いフィルムが得やすくなる。逆に、延伸温度が低いほど、トータル延伸倍率が高いほど、リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が高いフィルムが得られる。更に、熱処理温度は、通常140〜240℃が好ましく、好ましくは170〜240℃である。
弛緩処理の温度は、通常、100〜230℃であり、110〜210℃であることが好ましく、120〜180℃がより好ましい。また、弛緩量は、通常、0.1〜20%であり、1〜10%であることが好ましく、2〜5%であることがより好ましい。この弛緩処理の温度および弛緩量は、弛緩処理後のポリエステルフィルムの150℃における熱収縮率が2%以下になるように、その弛緩量および弛緩処理時の温度を設定することが好ましい。
また、一軸延伸および二軸延伸処理においては、横延伸の後、ボーイングに代表されるような配向主軸の歪みを緩和させるために、再度、熱処理を行なったり、延伸処理を行なったりすることができる。ボーイングによる配向主軸の延伸方向に対する歪みの最大値は、好ましくは30°以内、より好ましくは15°以内、さらにより好ましくは8°以内である。配向主軸の歪みの最大値が30゜を超えると、後の工程で偏光板を構成し枚葉化されたときに、この枚葉間で光学特性の不均一が生じる場合がある。ここで配向主軸とは、延伸ポリエステルフィルム上の任意の点における分子配向方向をいう。また、配向主軸の延伸方向に対する歪みとは、配向主軸と延伸方向との角度差をいう。さらに、その最大値とは、長尺方向に対して垂直方向上における値の最大値をいう。前記配向主軸は、たとえば、位相差フィルム・光学材料検査装置RETS(大塚電子株式会社製)または分子配向計MOA(王子計測機器株式会社製)を用いて測定できる。
ポリエステルフィルムにおけるリタデーションの変動を抑制する為には、フィルムの厚み斑が小さいことが好ましい。リタデーション差をつけるために縦延伸倍率を低くすると、縦厚み斑の値が高くなる場合がある。縦厚み斑の値は延伸倍率のある特定の範囲で非常に高くなる領域があるため、そのような範囲を外すように製膜条件を設定することが望ましい。
延伸ポリエステルフィルムの厚み斑は5.0%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下であることがよりさらに好ましく、3.0%以下であることが特に好ましい。フィルムの厚み斑は、任意の手段で測定することができる。例えば、フィルムの流れ方向に連続したテープ状サンプル(長さ3m)を採取し、市販される測定器(例えば、(株)セイコー・イーエム製電子マイクロメータ ミリトロン1240)を用いて、1cmピッチで100点の厚みを測定し、厚みの最大値(dmax)、最小値(dmin)、平均値(d)を求め、下記式にて厚み斑(%)を算出することができる。
厚み斑(%)=((dmax−dmin)/d)×100
延伸ポリエステルフィルムの厚みは任意であり、例えば、15〜300μmの範囲、好ましくは30〜200μmの範囲で適宜設定できる。
延伸ポリエステルフィルムと第一の接着剤層との接着性向上の観点から、延伸ポリエステルフィルムにおける第一の接着剤層と接する側の面に易接着層を設けることが好ましい。易接着層としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とするものが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50重量%以上である成分という。必要に応じて、架橋剤、有機又は無機フィラー、界面活性剤、および滑剤等を含有することができる。易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂のうち、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特公平6−81714号公報、特許第3200929号公報、特許第3632044号公報、特許第4547644号公報、特許第4770971号公報、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
延伸ポリエステルフィルムにおける、第一の接着剤層が積層される面とは反対側の面に、種々の機能層を有していても良い。そのような機能層としては、例えば、ハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、低反射防眩層、反射防止防眩層、帯電防止層、シリコーン層、粘着層、防汚層、耐指紋層、撥水層、及びブルーカット層等からなる群より選択される1種以上を用いることができる。防眩層、反射防止層、低反射層、低反射防眩層、反射防止防眩層を設けることにより、斜め方向から観察したときの色斑がより改善されるという効果も期待できる。
種々の機能層を設けるに際して、延伸ポリエステルフィルムの表面に易接着層を有することが好ましい。その際、反射光による干渉を抑える観点から、易接着層の屈折率を、機能層の屈折率と配向フィルムの屈折率の相乗平均近傍になるように調整することが好ましい。易接着層の屈折率の調整は、公知の方法を採用することができ、例えば、バインダー樹脂に、チタンやジルコニウム、その他の金属種を含有させることで容易に調整することができる。易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂のうち、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特公平6−81714号公報、特許第3200929号公報、特許第3632044号公報、特許第4547644号公報、特許第4770971号公報、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
(ハードコート層)
ハードコート層は、硬度及び透明性を有する層であれば良く、通常、紫外線又は電子線で代表的には硬化させる電離放射線硬化性樹脂、熱で硬化させる熱硬化性樹脂等の各種の硬化性樹脂の硬化樹脂層として形成されたものが利用される。これら硬化性樹脂に、適宜柔軟性、その他物性等を付加する為に、熱可塑性樹脂等も適宜添加してもよい。硬化性樹脂のなかでも、代表的であり且つ優れた硬質塗膜が得られる点で好ましいのが電離放射線硬化性樹脂である。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の樹脂を適宜採用すれば良い。なお、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性二重結合を有するラジカル重合性化合物、エポキシ化合物等の様なカチオン重合性化合物等が代表的に用いられ、これら化合物はモノマー、オリゴマー、プレポリマー等としてこれらを単独で、或いは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。代表的な化合物は、ラジカル重合性化合物である各種(メタ)アクリレート系化合物である。(メタ)アクリレート系化合物の中で、比較的低分子量で用いる化合物としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー;或いは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー等も適宜用いられる。(メタ)アクリレートとは、アクリレート或いはメタクリレートを意味する。
電離放射線硬化性樹脂を電子線で硬化させる場合、光重合開始剤は不要であるが、紫外線で硬化させる場合は、公知の光重合開始剤を用いる。例えば、ラジカル重合系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることができる。カチオン重合系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合して用いることができる。
ハードコート層の厚みは、適宜の厚さとすればよく、例えば0.1〜100μmであるが、通常は1〜30μmとする。また、ハードコート層は公知の各種塗工法を適宜採用して形成することができる。
電離放射線硬化性樹脂には、適宜物性調整等の為に、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等も適宜添加することができる。熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、各々、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
ハードコート層に耐光性を付与し、日光等に含まれる紫外線による変色、強度劣化、亀裂発生等を防止する為には、電離放射線硬化性樹脂中に紫外線吸収剤を添加することも好ましい。紫外線吸収剤を添加する場合、該紫外線吸収剤によってハードコート層の硬化が阻害されることを確実に防ぐ為、電離放射線硬化性樹脂は電子線で硬化させることが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等の有機系紫外線吸収剤、或いは粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の無機系紫外線吸収剤等、公知の物の中から選択して用いれば良い。紫外線吸収剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物中に0.01〜5質量%程度である。
耐光性をより向上させる為に、紫外線吸収剤と併用して、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を添加するのが好ましい。なお、電子線照射は加速電圧70kV〜1MV、照射線量5〜100kGy(0.5〜10Mrad)程度である。
(防眩層)
防眩層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に防眩剤を分散した層として形成される。防眩剤としては、無機系又は有機系の微粒子が用いられる。これら微粒子の形状は、真球状、楕円状等である。微粒子は、好ましくは透明性のものが良い。この様な微粒子は、例えば、無機系微粒子としてはシリカビーズ、有機系微粒子としては樹脂ビーズが挙げられる。樹脂ビーズとしては、例えば、スチレンビーズ、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリルースチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒドビーズなどが挙げられる。微粒子は、通常、樹脂分100質量部に対し、2〜30質量部、好ましくは10〜25質量部程度添加することができる。
防眩剤を分散保持する上記樹脂は、ハードコート層と同じ様に、なるべく硬度が高い方が好ましい。よって、上記樹脂として、例えば、上記ハードコート層で述べた電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂等を用いることができる。
防眩層の厚みは、適宜の厚さとすればよく、通常は1〜20μm程度とする。防眩層は公知の各種塗工法を適宜採用して形成することができる。なお、防眩層を形成する為の塗液中には、防眩剤の沈殿を防ぐ為に、シリカ等の公知の沈降防止剤を適宜添加することが好ましい。
(反射防止層)
反射防止層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良い。一般に、反射防止層は少なくとも低屈折率層からなり、更に低屈折率層と(該低屈折率層より屈折率が高い)高屈折率層とを交互に隣接積層し且つ表面側を低屈折率層とした多層の層からなる。低屈折率層及び高屈折率層の各厚みは、用途に応じた適宜厚みとすれば良く、隣接積層時は各々0.1μm前後、低屈折率層単独時は0.1〜1μm程度であることが好ましい。
低屈折率層としては、シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質を樹脂中に含有させた層、フッ素系樹脂等の低屈折率樹脂の層、低屈折率物質を低屈折率樹脂中に含有させた層、シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質からなる層を薄膜形成法(例えば、蒸着、スパッタ、CVD、等の物理的又は化学的気相成長法)で形成した薄膜、酸化ケイ素のゾル液から酸化ケイ素ゲル膜を形成するゾルゲル法で形成した膜、或いは、低屈折率物質として空隙含有微粒子を樹脂中に含有させた層等が挙げられる。
上記空隙含有微粒子とは、内部に気体を含む微粒子、気体を含む多孔質構造の微粒子等のことであり、微粒子固体部分の本来の屈折率に対して、該気体による空隙によって微粒子全体としては、見かけ上屈折率が低下した微粒子を意味する。この様な空隙含有微粒子としては、特開2001−233611号公報に開示のシリカ微粒子等が挙げられる。また、空隙含有微粒子としては、シリカの様な無機物以外に、特開2002−805031号公報等に開示の中空ポリマー微粒子も挙げられる。空隙含有微粒子の粒径は、例えば5〜300nm程度である。
高屈折率層としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の高屈折率物質を樹脂中に含有させた層、フッ素非含有樹脂等の高屈折率樹脂の層、高屈折率物質を高屈折率樹脂中に含有させた層、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の高屈折率物質からなる層を薄膜形成法(例えば、蒸着、スパッタ、CVD、等の物理的乃至は化学的気相成長法)で形成した薄膜等が挙げられる。
(帯電防止層)
帯電防止層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に帯電防止層を含有させた層として形成される。帯電防止層としては、有機系や無機系の化合物が用いられる。例えば、有機系化合物の帯電防止層としては、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、両性系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤、有機金属系帯電防止剤等が挙げられ、またこれら帯電防止剤は低分子化合物として用いられるほか、高分子化合物としても用いられる。また、帯電防止剤としては、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性ポリマー等も用いられる。また、帯電防止剤として例えば金属酸化物からなる導電性微粒子等も用いられる。導電性微粒子の粒径は透明性の点で、例えば平均粒径0.1nm〜0.1μm程度である。なお、該金属酸化物としては、例えば、ZnO、CeO2、Sb2O2、SnO2、ITO(インジウムドープ酸化錫)、In2O3、Al2O3、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)等が挙げられる。
帯電防止層を含有させる上記樹脂としては、例えば、上記ハードコート層で述べた様な、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂等が使用される他、帯電防止層を中間層として形成して帯電防止層自体の表面強度が不要な場合には、熱可塑性樹脂等も使用される。帯電防止層の厚みは、適宜厚さとすればよく、通常は0.01〜5μm程度とする。帯電防止層は公知の各種塗工法を適宜採用して形成することができる。
(防汚層)
防汚層としては、従来公知のものを適宜採用すれば良く、一般的に、樹脂中に、シリコーンオイル、シリコーン樹脂等の珪素系化合物;フッ素系界面活性剤、フッ素系樹脂等のフッ素系化合物;ワックス等の防汚染剤を含む塗料を用いて公知の塗工法で形成することができる。防汚層の厚みは、適宜厚さとすればよく、通常は1〜10μm程度とすることが出来る。
<3.第一の接着剤層>
本発明の偏光板が備える第一の接着剤層は、偏光フィルムと延伸ポリエステルフィルムとの接着を担う層であり、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層からなるものである。活性エネルギー線硬化性組成物を用いることにより、密着性を向上させることができる。また、偏光板の耐質熱性等の耐環境性を向上させることができる。特に、無溶剤の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることにより、接着剤を乾燥させる工程が不要になるため、生産性を向上させることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物に含有される活性エネルギー線硬化性化合物としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、エポキシ化合物、オキセタン化合物の他に、(メタ)アクリレート化合物等のラジカル重合性モノマー等を用いることができる。
(エポキシ化合物及びオキセタン化合物)
エポキシ化合物には、脂環式エポキシ化合物、水酸基を有する芳香族化合物および鎖状化合物のグリシジルエーテル化物、アミノ基を有する化合物のグリシジルアミノ化物、およびC−C二重結合を有する鎖状化合物のエポキシ化物等が挙げられる。
ここで、脂環式エポキシ化合物とは、飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなるもの、および飽和環状化合物の環に直接グリシジルエーテル基またはグリシジル基を有してなるものをいう。なお、他のエポキシ基を構造内に有していてもよい。
飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物とは、C−C二重結合を環に有する環状化合物のC−C二重結合を、過酸化物を用いて塩基性条件下においてエポキシ化させることにより得られるものである。
C−C二重結合を環に有する環状化合物としては、特に限定されるものではないが、シクロペンテン環を有する化合物、シクロヘキセン環を有する化合物、およびそれらの多環式化合物等が挙げられる。C−C二重結合を環に有する環状化合物は、環外にC−C二重結合を有していてもよく、このような化合物としては、たとえば、1−ビニル−3−シクロヘキセンおよび単環式モノテルペンであるリモネン等が挙げられる。
また、飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物は、前記によって得られるエポキシ化物を適当な官能基を介して2量化した構造の化合物であってもよい。その官能基からなる結合構造としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エステル結合、エーテル結合、およびアルキル基による結合等が挙げられる。また、前記エポキシ化物の2量化した構造は、これらの結合を複数有していてもよい。
前記飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物の製造方法は、個々の化合物に応じて変わるものであり特に限定されるものではないが、たとえば、C−C二重結合を環に有する環状化合物を合成した後、エポキシ化する方法、および、C−C二重結合がエポキシ化された化合物を、さらに前記のように官能基を反応させて目的とする構造へ合成する方法等が採用される。エポキシ基の副反応等を抑制する観点から、通常、C−C二重結合を環に有する環状化合物を合成した後、エポキシ化する方法が好ましく採用される。
C−C二重結合を環に有する環状化合物の合成は、目的とするエポキシ化合物の骨格に応じて変わるものであり特に限定されるものではないが、2量化された環状化合物の合成例として、たとえば、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドから適切な触媒を用いてティシチェンコ反応によりエステル化合物である3−シクロヘキセニルメチル 3−シクロヘキセンカルボキシレートを得る方法を挙げることができる。
さらに、前記エステル化合物と、ジカルボン酸化合物あるいはそのエステル、ジオール化合物あるいはそのエステル、ポリアルキレングリコールあるいはそのエステル、またはヒドロキシカルボン酸化合物あるいはそのエステル等とを、必要に応じて触媒を用いてエステル交換反応させることで、シクロヘキセニル基を両端に有した化合物が得られる。
ジカルボン酸化合物およびそのエステルとしては、たとえば、シュウ酸、アジピン酸、およびセバシン酸、ならびにそれらのジメチルエステル等が挙げられる。また、ジオール化合物およびそのエステルとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、およびポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ならびにそれらのジメチルエステル等が挙げられる。また、ヒドロキシカルボン酸化合物およびそのエステルとしては、たとえば、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、およびクエン酸、ならびにそれらのジメチルエステル・酢酸エステル等、およびラクチド、プロピオラクトン、ブチロラクトン、およびカプロラクトン等が挙げられる。
こうして得られるC−C二重結合を環に有する環状化合物を、過酸化物を用いてエポキシ化することにより、飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物を得ることができる。過酸化物は、個々の環状化合物や許容される反応条件等に応じて選択されるものであり、特に限定されるものではないが、たとえば、過酸化水素、過酢酸、およびt−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物の具体例を挙げれば、たとえば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1−メチル−4−(1−メチルエポキシエチル)シクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル メタアクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの4−(1,2−エポキシエチル)−1,2−エポキシシクロヘキサン付加物、エチレン ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、オキシジエチレン ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、1,4−シクロヘキサンジメチル ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、および3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメトキシカルボニル)プロピル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
飽和環状化合物の環に直接グリシジルエーテル基またはグリシジル基を有してなる脂環式エポキシ化合物とは、後記する水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物の芳香環を、触媒の存在下、加圧下で選択的に水素化反応を行なうことにより得られる化合物、水酸基を有する飽和環状化合物のグリシジルエーテル化物、およびビニル基を有する飽和環状化合物のエポキシ化物をいう。
水添化される水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ならびにビスフェノールFのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体等が挙げられる。
水酸基を有する飽和環状化合物のグリシジルエーテル化物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、1,4−シクロヘキサンジメタノール ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
ビニル基を有する飽和環状化合物のエポキシ化物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、1,3−ビス(エポキシエチル)ヘキサン、1,2,4−トリス(エポキシエチル)ヘキサン、および2,4−ビス(エポキシエチル)−1−ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
上記した脂環式エポキシ化合物の中でも、偏光板の耐久性を向上させる上において良好な硬化物特性を示し、または適度な硬化性を有するとともに、比較的廉価に入手できることから、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびビスフェノールAのグリシジルエーテル化物の水添化物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートがより好ましい。
また、これらの脂環式エポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
脂環式エポキシ化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物の色相は、硬化前における活性エネルギー線硬化性組成物のガードナー色度で5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。色相が5を超えると、接着剤層の着色によって偏光板の色相へ影響が現れる場合がある。
水酸基を有する芳香族化合物および鎖状化合物のグリシジルエーテル化物とは、その水酸基へエピクロルヒドリン等の化合物をアルカリ条件下において付加縮合させることにより得られるものである。たとえば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、多芳香環型エポキシ樹脂、およびアルキレングリコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ビスフェノールFのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ならびに3,3’,5,5’−メチル−4,4’−ビフェノールのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体等が挙げられる。
また、多芳香環型エポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、フェノールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル化物、ナフトールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル化物、およびフェノールジシクロペンタジエン樹脂のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。さらに、トリヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ならびにトリスフェノールPAのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体等も挙げられる。
また、アルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、たとえば、エチレングリコールのグリシジルエーテル化物、ジエチレングリコールのグリシジルエーテル化物、1,4−ブタンジオールのグリシジルエーテル化物、および1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
アミノ基を有する化合物のグリシジルアミノ化物とは、そのアミノ基へエピクロルヒドリン等の化合物を塩基性条件下において付加縮合させることにより得られるものである。アミノ基を有する化合物は、同時に水酸基を有していてもよい。たとえば、1,3−フェニレンジアミンのグリシジルアミノ化物およびそのオリゴマー体、1,4−フェニレンジアミンのグリシジルアミノ化物およびそのオリゴマー体、3−アミノフェノールのグリシジルアミノ化およびグリジシジルエーテル化物ならびにそのオリゴマー体、および、4−アミノフェノールのグリシジルアミノ化およびグリジシジルエーテル化物ならびにそのオリゴマー体等が挙げられる。
C−C二重結合を有する鎖状化合物のエポキシ化物とは、C−C二重結合を有する鎖状化合物のC−C二重結合を、過酸化物を用いて塩基性条件下においてエポキシ化させることにより得られるものである。
C−C二重結合を有する鎖状化合物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、およびヘキサジエン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物およびそのオリゴマー等は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
このようなエポキシ化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「セロキサイド」、「サイクロマー」(以上、ダイセル化学工業株式会社製)および「サイラキュア」(ダウケミカル社製)、「エピコート」(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、「エピクロン」(DIC株式会社製)、「エポトート」(東都化成株式会社製)、「アデカレジン」(株式会社ADEKA製)、「デナコール」(ナガセケムテックス株式会社製)、「ダウエポキシ」(ダウケミカル社製)および「テピック」(日産化学工業株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ化合物のエポキシ当量は、通常、30〜2000g/eqであり、50〜1500g/eqであることが好ましく、70〜1000g/eqであることがより好ましい。エポキシ当量が30g/eqを下回ると、第一の接着剤層の可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする場合がある。一方、2000g/eqを超えると、硬化速度が低下したり、硬化した接着剤層に必要な剛性や強度が不足したりする場合がある。なお、このエポキシ当量は、JIS K 7236(ISO 3001)に準拠して測定する値である。また、エポキシ化合物が高純度単量体であれば、その分子量より理論量を算出することができる。
第一の接着剤層を構成する樹脂組成物には、活性エネルギー線硬化性化合物としては、複数のエポキシ化合物、例えば、脂環式エポキシ化合物と、脂環式エポキシ化合物以外のエポキシ化合物とを併用することにより、偏光フィルムと延伸ポリエステルフィルムとの密着性を向上させることができる。
活性エネルギー線硬化性化合物としては、オキセタン化合物を用いることができる。オキセタン化合物は、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化速度を向上させることができる。オキセタン化合物としては、オキセタン環を有する化合物であって、活性エネルギー線硬化性であれば特に限定されるものではないが、たとえば、1,4−ビス{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、および1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。
このようなオキセタン化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「アロンオキセタン」(東亞合成株式会社製)、および「ETERNACOLL」(宇部興産株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ化合物やオキセタン化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線によって硬化するために、カチオン重合開始剤を配合するのが好ましい。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、および電子線等の活性エネルギー線の照射によってカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基、オキセタンの重合反応を開始させるものである。
このカチオン重合開始剤は、潜在性が付与されていることが好ましい。潜在性の付与によって本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性組成物の可使時間が長くなり、作業性も良好になる。
活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、および鉄−アレン錯体等を挙げることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、たとえば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、およびベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、たとえば、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、およびジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、たとえば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、および4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
鉄−アレン錯体としては、たとえば、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、およびキシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド等が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物層を与えることができるため、好ましく用いられる。
カチオン重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線硬化性化合物の合計100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部であり、1〜15重量部が好ましい。その量が0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、硬化物層の機械強度や接着強度が低下する場合がある。また、その量が20重量部を超えると、硬化物層中のイオン性物質が増加することで硬化物層の吸湿性が高くなり、得られる偏光板の耐久性能が低下する場合がある。
これらのカチオン重合開始剤は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「カヤラッド」(日本化薬株式会社製)、「サイラキュア」(ユニオンカーバイド社製)、光酸発生剤「CPI」(サンアプロ株式会社製)、光酸発生剤「TAZ」、「BBI」、「DTS」(以上、ミドリ化学株式会社製)、「アデカオプトマー」(株式会社ADEKA製)、および「RHODORSIL」(ローディア社製)等が挙げられる。
((メタ)アクリレート化合物等のラジカル重合性モノマー)
ラジカル重合性モノマーとしては、例えばアクリレート化合物、メタクリレート化合物(以下、アクリレートとメタアクリレートとの両方を含む意味で(メタ)アクリレートとも記載する)、アリルウレタン化合物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物が挙げられる。入手がしやすく扱いやすい点で(メタ)アクリレートが好ましい。(メタ)アクリレートとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルコール類の(メタ)アクリレート、その他の(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の(メタ)アクリレート化合物として例示したエポキシ(メタ)アクリレートとは、1種または2種以上のエポキシ樹脂とアクリル酸またはメタクリル酸(以下、両方を含む意味で(メタ)アクリル酸とも記載する)とのエステル化合物である。ここでエステルを誘導するエポキシ樹脂は特に制限されず、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂等、分子中に1個または2個以上のエポキシ基を有するものを用いることができる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとは、1種または2種以上の(ポリ)エステルポリオール、(ポリ)エーテルポリオール、多価アルコール等のポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である水酸基含有(メタ)アクリレートと1種または2種以上の(ポリ)イソシアネート化合物とを反応させて得ることができる(メタ)アクリレート;1種または2種以上の(ポリ)エステルポリオール、(ポリ)エーテルポリオール、多価アルコール等のポリオールと水酸基含有(メタ)アクリレートとイソシアネート類とを反応させて得られる(メタ)アクリレート等の、ウレタン結合を有するエステル化合物である。
(ポリ)エステルポリオールを誘導する多価アルコールとしては、例えば1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。(ポリ)エステルポリオールを誘導するポリカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸等が挙げられる。
(ポリ)エーテルポリオールとしては、前述した多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたものが挙げられる。(ポリ)イソシアネート化合物としては、1価または2価以上のイソシアネートが挙げられ、2価以上のイソシアネートが好ましい。
2価以上のイソシアネートとしては、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランスおよび/またはシス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4および/または(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネートが挙げられる。
また、(ポリ)エステル(メタ)アクリレートとは、分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エステルと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である。分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エステルとしては、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上のモノカルボン酸またはポリカルボン酸とのエステル化合物が挙げられる。
分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エステルを誘導する多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが挙げられ、モノカルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸等が挙げられる。ポリカルボン酸としては、前述した化合物と同様のものが挙げられる。
また、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレートとは、分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エーテルと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である。分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エーテルとしては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるもの等が挙げられる。多価アルコールおよびアルキレンオキサイドとしては、前述した化合物と同様のものが挙げられる。具体的には、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、アルコール類の(メタ)アクリレートとは、分子中に1個または2個以上の水酸基を有するアルコール(特に、脂肪族アルコールまたは芳香族アルコール)類と(メタ)アクリレートとのエステル化合物である。例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他のアクリレートとしては、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、フルオレン誘導体ジ(メタ)アクリレート、カルバゾール誘導体ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のラジカル重合性モノマーは、硬化速度を調節するために使用することができる。なお、ラジカル重合性モノマーを用いる場合、光ラジカル重合開始剤を少なくとも用いる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、べンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等のケトン系化合物を挙げることができる。
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、P−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられ、ベンジル系化合物としては、ベンジル、アニシル等が挙げられ、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等が挙げられ、チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
これらの光ラジカル重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができ、ラジカル重合性モノマーに対して、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%配合される。ラジカル重合性モノマーに対する光ラジカル重合開始剤の配合量が0.05質量%以上である場合、光硬化性接着剤の硬化をより良好に進行させることができ、10質量%以下である場合、光硬化性接着剤を硬化させて形成した接着剤層の物理的強度が良好である。
活性エネルギー線硬化性組成物に含有される全塩素量は、0.1ppm〜15000ppmの範囲が好ましく、0.5ppm〜2000ppmの範囲がより好ましく、1.0〜1000ppmの範囲がさらに好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物に含有される全塩素量が0.1ppmを下回ると、その組成物の硬化速度が極端に遅くなる場合がある。また、15000ppmを超えると、その塩素の影響により、塗工装置が腐食したり、液晶パネルの金属部品が腐食したりする場合がある。なお、この全塩素量は、JIS K 7243−3(ISO 21627−3)に準拠して測定する値である。
用いられる活性エネルギー線としては、たとえば、波長が1pm〜10nmのX線、10〜400nmの紫外線、および400〜800nmの可視光線等が挙げられる。中でも、利用の容易さ、活性エネルギー線硬化性組成物の調整の容易さおよびその安定性、ならびにその硬化性能の点で紫外線が好ましく用いられる。
本発明で用いられる活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射によって固化(硬化)し、該硬化物層を狭持するフィルム同士に接着力を与える硬化性組成物である。
用いる光源は、特に限定されるものではないが、たとえば、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、およびメタルハライドランプ等が挙げられる。
照射強度は、活性エネルギー線硬化性組成物や照射時間によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜1000mW/cm2であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、硬化反応時間が長くなる、すなわち長い照射時間をかけなければ硬化せず、生産性向上に不利となる場合がある。また、1000mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱、および活性エネルギー線硬化性組成物の重合時の発熱により、活性エネルギー線硬化性組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる場合がある。
照射時間は、活性エネルギー線硬化性組成物や照射強度によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、照射強度と照射時間の積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると、開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、得られる接着剤層の硬化が不十分となる場合がある。また、5,000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上に不利となる場合がある。
本発明で用いられる活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物層の機械強度や接着強度を向上させることができる。
光増感剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、ならびに光還元性色素等が挙げられる。
カルボニル化合物としては、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体; 9,10−ジブトキシアントラセンのようなアントラセン化合物; ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体; 2−クロロアントラキノンおよび2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体; N−メチルアクリドンおよびN−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体; α,α−ジエトキシアセトフェノンのようなアセトフェノン誘導体; キサントン誘導体; ならびにフルオレノン誘導体等が挙げられる。
有機硫黄化合物としては、たとえば、2−クロロチオキサントンおよび2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体が挙げられる。その他には、ベンジル化合物およびウラニル化合物等も挙げられる。
光増感剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。光増感剤は、活性エネルギー線硬化性組成物を100重量部とした場合に、0.1〜20重量部の範囲で含有するのが好ましい。
本発明に用いる活性エネルギー線硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、各種の添加剤を配合することができる。各種の添加剤としては、たとえば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、および消泡剤等が挙げられる。
イオントラップ剤としては、たとえば、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、カルシウム系、チタン系、およびこれらの混合系等の無機化合物が挙げられる。酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
以上に示される活性エネルギー線硬化性組成物からなる層(硬化前の接着剤層)を偏光フィルムまたは延伸ポリエステルフィルム上に形成する方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、偏光フィルムもしくは延伸ポリエステルフィルム上に該組成物を塗工する方法、該組成物を吹き付ける方法、またはあらかじめフィルム状に形成した該組成物を貼合する方法等が採用される。中でも、組成物を塗工する方法またはフィルム状組成物を貼合する方法が比較的塗膜の均質性の高いことから好ましく、組成物を塗工する方法が比較的生産性が高いことからより好ましい。
塗工する方法としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、およびグラビアコーター等の、種々の塗工方式が採用される。
塗工された硬化前の接着剤層の厚さは、通常、0.1〜20μmであり、0.2〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。厚みが0.1μmを下回ると、硬化させた接着剤層による偏光フィルムと延伸ポリエステルフィルムとの間の密着力が不足する場合がある。また、厚みが20μmを超えると、接着剤層の硬化が十分進行しなかったり、硬化してもその厚みによりフィルムの屈曲性が悪化したり、薄肉化の効果が得られなかったりする場合がある。
<4.保護フィルム、光学補償フィルム>
本発明の偏光板は、偏光フィルムの延伸ポリエステルフィルムが積層されている面と反対側の面に、第二の接着剤層を介して積層された保護フィルムまたは光学補償フィルムを備えていてもよい。
保護フィルムまたは光学補償フィルムは、光学フィルムとしての光学特性を有するものを目的に合わせて適宜使用することができ、特に限定されるものではないが、保護フィルムとしては、たとえば、トリアセチルセルロース(TAC)等からなるセルロース系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、およびポリエステル系樹脂フィルム等の透明フィルムが挙げられる。
また、光学補償フィルムとしては、前記の保護フィルムとして挙げたフィルムを延伸して屈折率異方性を持たせたもの、光学異方性付与添加剤を配合したもの、および表面に光学異方性層を形成したもの等が挙げられる。
また、これら保護フィルムまたは光学補償フィルムには、後記するように、光学機能性フィルムを積層したり、光学機能層をコーティングしたりすることもできる。
セルロース系樹脂フィルムとは、セルロースの部分または完全エステル化物からなるフィルムであり、たとえば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびそれらの混合エステル等からなるフィルムが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、およびセルロースアセテートブチレートフィルム等が好ましく用いられる。
このようなセルロース系樹脂フィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「フジタックTD」(富士フィルム株式会社製)、および「コニカミノルタTACフィルムKC」(コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
オレフィン系樹脂フィルムとは、たとえば、エチレンおよびプロピレン等の鎖状オレフィンモノマー、ならびにノルボルネンおよび他のシクロペンタジエン誘導体等の環状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合して得られる樹脂からなるフィルムである。
鎖状オレフィンモノマーからなるオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン系樹脂が挙げられる。中でも、プロピレンの単独重合体からなるポリプロピレン系樹脂が好ましい。また、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを、通常、1〜20重量%の割合で、好ましくは3〜10重量%の割合で共重合させたポリプロピレン系樹脂も好ましい。
プロピレン共重合体からなるポリプロピレン系樹脂を用いる場合、プロピレンと共重合可能なコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、および1−ヘキセンが好ましい。中でも、透明性や延伸加工性に比較的優れることからエチレンを3〜10重量%の割合で共重合させたものが好ましい。エチレンの共重合割合を1重量%以上とすることで、透明性や延伸加工性を上げる効果が現れる。一方、その割合が20重量%を超えると、樹脂の融点が下がり保護フィルムや光学補償フィルムに要求される耐熱性が損なわれる場合がある。
このようなポリプロピレン系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、「プライムポリプロ」(株式会社プライムポリマー製)、「ノバテック」、「ウィンテック」(以上、日本ポリプロ株式会社製)、「住友ノーブレン」(住友化学株式会社製)、および「サンアロマー」(サンアロマー株式会社製)等が挙げられる。
環状オレフィンを重合してなるオレフィン系樹脂は、一般に、環状(ポリ)オレフィン系樹脂、脂環式(ポリ)オレフィン系樹脂、またはノルボルネン系樹脂と称される。ここでは環状オレフィン系樹脂と称する。
環状オレフィン系樹脂としては、たとえば、シクロペンタジエンとオレフィン類とからディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;ジシクロペンタジエンとオレフィン類またはメタクリル酸エステル類とからディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添よって得られる樹脂;ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体類、またはその他の環状オレフィンモノマーを同様に開環メタセシス共重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;ならびに、前記のノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体、およびビニル基を有する芳香族化合物等を付加重合により共重合させて得られる樹脂等が挙げられる。
このような環状オレフィン系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、「トパス」(Topas Advanced Polymers GmbH製)、「アートン」(JSR株式会社製)、「ゼオノア」、「ゼオネックス」(以上、日本ゼオン株式会社製)、および「アペル」(三井化学株式会社製)等が挙げられる。
アクリル系樹脂フィルムの好ましい具体例としては、メタクリル酸メチル系樹脂からなるフィルムを挙げることができる。メタクリル酸メチル系樹脂とは、メタクリル酸メチル単位を50重量%以上含む重合体である。メタクリル酸メチル単位の含有量は、好ましくは70重量%以上であり、100重量%であってもよい。メタクリル酸メチル単位が100重量%の重合体は、メタクリル酸メチルを単独で重合させて得られるメタクリル酸メチル単独重合体である。
このメタクリル酸メチル系樹脂は、通常、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体および必要に応じて使用される多官能単量体を、ラジカル重合開始剤および必要に応じて使用される連鎖移動剤の共存下に重合することにより得ることができる。
メタクリル酸メチルと共重合し得る単官能単量体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類; アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類; 2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、3−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、および2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ブチル等のヒドロキシアクリル酸エステル類; メタクリル酸およびアクリル酸等の不飽和酸類; クロロスチレンおよびブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類; ビニルトルエンおよびα−メチルスチレン等の置換スチレン類; アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類; 無水マレイン酸および無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物類; ならびにフェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類等を挙げることができる。このような単量体は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る多官能単量体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびテトラデカエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエチレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; プロピレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールの水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、またはこれらのハロゲン置換体の両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトール等の多価アルコールをアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの、ならびにこれら末端水酸基にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの; コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、フタル酸、これらのハロゲン置換体等の二塩基酸、およびこれらのアルキレンオキサイド付加物等にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの; アリール(メタ)アクリレート; およびジビニルベンゼン等のジアリール化合物等が挙げられる。中でも、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、およびネオペンチルグリコールジメタクリレートが好ましく用いられる。
本発明で用いられるメタクリル酸メチル系樹脂は、該樹脂が有する官能基間の反応を行なうことによって変成された変性メタクリル酸メチル系樹脂であってもよい。その反応としては、たとえば、アクリル酸メチルのメチルエステル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基との高分子鎖内脱メタノール縮合反応、および、アクリル酸のカルボキシル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基との高分子鎖内脱水縮合反応等が挙げられる。
メタクリル酸メチル系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、「スミペックス」(住友化学株式会社製)、「アクリペット」(三菱レイヨン株式会社製)、「デルペット」(旭化成株式会社製)、「パラペット」(株式会社クラレ製)、および「アクリビュア」(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂フィルムを構成するポリカーボネート系樹脂とは、通常、二価フェノールとホスゲンまたはジフェニルカーボネート類等のカーボネート前駆体とを界面重縮合法、または溶融エステル交換法で反応させて得られるものであり、二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた芳香族ポリカーボネート樹脂が一般的である。この他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物を開環重合させたもの等も挙げられる。
二価フェノールとしては、光学用透明樹脂としての性能を損なうものでなければ特に限定されるものではないが、たとえば、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)の他にも、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、および4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
また、分子量を適切な範囲に調整したり、高分子鎖の水酸基末端を封止したりするために、一価フェノール化合物が併用されてもよい。この一価フェノールとしては、末端封止剤として機能する化合物であれば特に限定されるものではないが、たとえば、フェノール、4−tert−ブチルフェノール、および1−フェニル−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
また、必要に応じて、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(2−カルボキシエチル))フェニルベンゾトリアゾール等のUV吸収性を有する化合物を末端封止剤として用いることもできる。
ポリカーボネート系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、「レキサン」(SABICイノベーティブプラスチックス社製)、「マクロロン」、「アペック」(以上、バイエル マテリアルサイエンス社製)、「ユーピロン」、「ノバックス」(以上、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)、「パンライト」(帝人化成株式会社製)、「カリバー」(ダウケミカル社製)、「SDポリカ」(住友ダウ株式会社製)、および「タフロン」(出光興産株式会社製)等が挙げられる。
こうして得られるオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、メタクリル酸メチル系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂等を、保護フィルムに成形する方法としては、その樹脂に応じた方法を適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。たとえば、溶媒に溶解させた樹脂を金属性バンド、またはドラムへ流延し、溶媒を乾燥除去してフィルムを得る溶媒キャスト法、および樹脂をその溶融温度以上に加熱・混練してダイより押し出し、冷却することによりフィルムを得る溶融押出法が採用される。中でも、生産性の観点からは溶融押出法が好ましく採用される。
また、保護フィルムとして用いることができる上記樹脂からなるフィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、ポリプロピレン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、「FILMAX CPPフィルム」(FILMAX社製)、「サントックス」(サン・トックス株式会社製)、「トーセロ」(東セロ株式会社製)、「東洋紡パイレンフィルム」(東洋紡績株式会社製)、「トレファン」(東レフィルム加工株式会社製)、「ニホンポリエース」(日本ポリエース株式会社製)、および「太閤FC」(フタムラ化学株式会社製)等を挙げられる。
また、たとえば、環状オレフィン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、「ゼオノアフィルム」(株式会社オプテス製)および「アートンフィルム」(JSR株式会社製)等が挙げられる。
また、たとえば、メタクリル酸メチル系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、「スミペックス」(住友化学株式会社製)、「アクリライト」、「アクリプレン」(以上、三菱レイヨン株式会社製)、「デラグラス」(旭化成株式会社製)、「パラグラス」、「コモグラス」(以上、株式会社クラレ製)、および「アクリビュア」(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
また、たとえば、ポリカーボネート系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、「レキサンOQフィルム」(SABICイノベーティブプラスチックス社製)、「マクロホール」、「バイホール」(以上、バイエル マテリアルサイエンス社製)、「ユーピロンシート」(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)、および「パンライトシート」(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
また、偏光フィルムにおける延伸ポリエステルフィルムが積層される側とは反対側に、第二の接着剤層を介して設けられる保護フィルムとして用いるポリエステル系樹脂フィルムとしては、当該延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステル系樹脂と同種のものを用いることができる。この場合、ポリエステル系樹脂フィルムは、延伸されていないものが用いられ、たとえば、前記の溶融押出によって得られたフィルムをそのまま用いることができる。
保護フィルムとして用いることのできる未延伸のポリエステル系樹脂フィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「ノバクリアー」(三菱化学株式会社製)および「帝人A−PETシート」(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
また、セルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムとしては、目的に合う屈折率特性を有するものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、前記で挙げたセルロース系樹脂フィルムを一軸もしくは二軸延伸して得られるフィルム、またはセルロース系樹脂フィルム等に位相差調整機能を有する化合物を含有させたフィルム、セルロース系樹脂フィルム表面に位相差調整機能を有する化合物を塗布したフィルム、およびそれらのフィルムを、さらに一軸または二軸延伸して得られるフィルム等が挙げられる。
セルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「フジタックWV」(富士フィルム株式会社製)および「コニカミノルタTACフィルムKC8UCR」(コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
また、前記の保護フィルムとして例示した、オレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、およびポリエステル系樹脂フィルム等を光学補償フィルムとして用いるには、通常、その未延伸フィルムを延伸し、フィルムに屈折率異方性を持たせることによりなされる。延伸方法は、必要とされる屈折率異方性に応じて選択されるものであり、特に限定されるものではないが、通常、縦一軸延伸、横一軸延伸、および縦、横逐次二軸延伸が採用される。
通常、縦一軸延伸されたフィルムは、nx>ny=nzの屈折率異方性を有する。ここで、nxは、フィルムの延伸方向の屈折率であり、nyはフィルムの幅方向の屈折率であり、nzはフィルムの法線方向の屈折率である。
また、通常、横一軸延伸されたフィルムは、nx>ny≒nzの屈折率異方性を有する。また、通常、逐次二軸延伸されたフィルムは、nx>ny>nzの屈折率異方性を有する。
また、所望の屈折率特性を付与するために、熱収縮性フィルムを目的とするフィルムに貼合し、延伸加工に替えて、または延伸加工とともにフィルムを収縮させることも行なわれる。通常、この操作は、屈折率異方性がnx>nz>nyまたはnz>nx≧nyとなる光学補償フィルムを得るために行なわれる。
光学補償フィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、環状ポリオレフィン系樹脂からなる光学補償フィルムとしては、それぞれ商品名で、「ゼオノアフィルム」(株式会社オプテス製)、「アートンフィルム」(JSR株式会社製)、「エスシーナ位相差フィルム」(積水化学工業株式会社製)、および「ピュアエースER」(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。また、ポリカーボネート系樹脂からなる光学補償フィルムとしては、たとえば、「ピュアエースWR」(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
さらに、第二の接着剤層を介して偏光フィルムに積層される保護フィルムまたは光学補償フィルムには、光学機能性フィルムを積層したり、光学機能層をコーティングしたりすることもできる。この光学機能性フィルムおよび光学機能層としては、たとえば、防眩層、導電層、ハードコート層、および低反射層等が挙げられる。
<5.第二の接着剤層>
第二の接着剤層は、偏光フィルムと上記した保護フィルムまたは光学補償フィルムとの接着を担う層である。第二の接着剤層は、第一の接着剤層と同様に、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層からなるものであってよい。また、第二の接着剤層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物として、第一の接着剤層を形成する活性エネルギー線硬化性組成物と同一の組成物を用いると、接着剤が一種類ですむため工程が簡便になり、また、無溶剤型の接着剤であればその後の乾燥が不要となるため、保護フィルムまたは光学補償フィルムを貼合した後の乾燥設備が不要となり、さらには偏光板製造時にインラインの活性エネルギー線照射で、偏光フィルムの両面に配置される延伸ポリエステルフィルムおよび保護フィルムまたは光学補償フィルムを同時に接着できるため、生産性が向上する利点がある。
また、第二の接着剤層を形成する接着剤として、たとえば、偏光フィルムとTACフィルムからなる保護フィルムとを接着する際に用いられる水系の接着剤が用いられてもよい。この水系の接着剤となりえる接着剤成分としては、たとえば、水溶性の架橋性エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
水溶性の架橋性エポキシ系樹脂としては、たとえば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げられる。
このようなポリアミドエポキシ樹脂は市販品を入手することが可能であり、たとえば、商品名で、「スミレーズレジン 650」、「スミレーズレジン 675」(以上、住化ケムテックス株式会社より販売)が挙げられる。
接着剤成分として水溶性の架橋性エポキシ樹脂を用いる場合は、さらに塗工性と接着性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を混合するのが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂は、市販品を入手することが可能であり、たとえば、アニオン性基含有ポリビニルアルコールでは、商品名で、「KL−318」(株式会社クラレ製)等が挙げられる。
水溶性の架橋性エポキシ系樹脂を含む接着剤とする場合、その架橋性エポキシ系樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を水に溶解して、接着剤溶液を構成する。この場合、水溶性の架橋性エポキシ系樹脂は、通常、水100重量部あたり0.2〜2重量部の範囲の濃度で用いられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は水100重量部あたり1〜10重量部の範囲の濃度であり、1〜5重量部が好ましい。
一方、ウレタン系樹脂を含む水系の接着剤を用いる場合、適当なウレタン樹脂の例として、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、骨格を構成するウレタン樹脂中に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。
このようなアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。
このようなアイオノマー型ウレタン樹脂は、エマルジョンの市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、「ハイドラン AP−20」、「ハイドラン APX−101H」(DIC株式会社製)等が挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合は、さらにイソシアネート系等の架橋剤を配合するのが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の単量体、およびそのオリゴマー、ならびにこれらの化合物をポリオールに反応させたアダクト体等を挙げることができる。
このようなイソシアネート系架橋剤は、市販品を容易に入手可能であり、たとえば、「ハイドランアシスター C−1」(DIC株式会社製)等が挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いる場合、水中に分散されたウレタン樹脂の濃度は、粘度と接着性の観点から、通常、10〜70重量%であり、20〜50重量%が好ましい。
イソシアネート系架橋剤を配合する場合、その配合量は、通常、ウレタン樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部である。
以上のような水系接着剤を、前記の保護フィルム、もしくは光学補償フィルム、または偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、本発明の偏光板を得ることができる。接着に先立って、保護フィルム、または光学補償フィルムの表面には、コロナ放電処理等の易接着処理を施し、濡れ性を高めておくのも有効である。
このような水系接着剤を用いる接着の場合、積層後には、通常、30〜100℃程度の温度で乾燥処理が施される。その後、20〜50℃程度の温度で1〜10日間程度の養生を行なうことが、接着力を一層高めるうえで好ましい。
<6.粘着剤層>
本発明の偏光板は、保護フィルムまたは光学補償フィルムの外側(保護フィルムまたは光学補償フィルムにおける偏光フィルムが積層されている面とは反対側の面)に粘着剤層を有することができる。このような粘着剤層は、たとえば、液晶セルとの貼合に用いることができる。
粘着剤層を構成する粘着剤は、光学フィルムに用いられる諸特性(透明性、耐久性、リワーク性等)を満たしていれば特に限定されるものではないが、たとえば、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、さらに少量の、官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを含有するアクリル系単量体組成物を重合開始剤の存在下ラジカル重合してなる、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のアクリル系樹脂と、架橋剤とを含有するアクリル系粘着剤が用いられる。
ここで、アクリル系樹脂の主成分となる(メタ)アクリル酸エステルは、下記式:
CH2=C(R1)COOR2
で表すことができ、式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数1〜14のアルキル基、またはアラルキル基を表し、R2のアルキル基の水素原子、またはアラルキル基の水素原子は、炭素数1〜10のアルコキシ基によって置換されていてもよい。
また、官能基を有する(メタ)アクリルモノマーは、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基などの極性官能基と、一つのオレフィン性二重結合(通常は(メタ)アクリロイル基)を分子内に含有する単量体である。
アクリル系樹脂の主成分となる(メタ)アクリル酸エステルの具体例を挙げれば、たとえば、R1がHであり、R2がn−ブチル基であるアクリル酸ブチルや、R1がHであり、R2が2−エチルヘキシル基であるアクリル酸2−エチルヘキシルなどがある。また、官能基を有する(メタ)アクリルモノマーの具体例を挙げれば、たとえば、水酸基を有するものとして、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル;カルボキシル基を有するものとして、アクリル酸などがある。さらにこのアクリル系樹脂の製造にあたっては、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを少量共重合させることもでき、その例として、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アクリル系樹脂の製造にあたり、上記の(メタ)アクリル酸エステルおよび官能基を有する(メタ)アクリルモノマーは、それぞれ一種類のみが用いられてもよいし、複数種類が併用されてもよい。また、(メタ)アクリル酸エステルと官能基を有する(メタ)アクリルモノマーとの共重合体であるアクリル系樹脂を複数種類組み合わせたり、当該共重合体であるアクリル系樹脂に、他のアクリル系樹脂、たとえば官能基を有しない(メタ)アクリルモノマーの単独または共重合体からなるアクリル系樹脂を配合したりして、アクリル系樹脂組成物としたものを粘着剤の樹脂成分として用いることもできる。
アクリル系粘着剤に配合される架橋剤は、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物などであることができる。イソシアネート系化合物は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物それ自体のほか、それをポリオール等に反応させたアダクト体、その2量体、3量体などの形で用いることができる。架橋剤の具体例を挙げれば、ジイソシアネート系化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体などがあり、それぞれ酢酸エチル等の有機溶剤に溶かした溶液として用いることが多い。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系粘着剤に含有されるアクリル系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算で、通常、60万〜200万程度であり、80万〜180万が好ましい。重量平均分子量が60万未満であると、粘着性や耐久性が低下する場合がある。また、重量平均分子量が200万を超えると、粘着剤層が必要以上に固くなり、粘着後の引き剥がしがしにくくなったり、貼合される保護フィルムまたは光学補償フィルムに不都合な応力複屈折を与えたりする場合がある。
上記アクリル系樹脂は、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解され、さらに架橋剤が加えられることにより、アクリル系粘着剤溶液が得られる。また、必要に応じて、シランカップリング剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、顔料、および無機フィラーの一種または二種以上、さらには有機ビーズ等の光拡散性微粒子を含有させることができる。
こうして得られるアクリル系粘着剤溶液は、通常、剥離フィルムの上に塗工され、60〜120℃で0.5〜10分間程度加熱して有機溶媒が留去されて、粘着剤層とされる。次いで、この粘着剤層に、前記の保護フィルムまたは光学補償フィルムを貼合した後、たとえば温度23℃、湿度65%の雰囲気下、5〜20日程度熟成させ、架橋剤(C)を十分反応させる。
また、剥離フィルムの上に粘着剤層を形成した後に、さらに剥離フィルムを貼合して、保護フィルム等の基材に支えられない粘着剤層単独シートを得ることもできる。この場合も剥離フィルムの貼合後、たとえば温度23℃、湿度65%の雰囲気下、5〜20日程度熟成させ、架橋剤を十分反応させる。このような粘着剤単独のシートは、保護フィルムまたは光学補償フィルムの製造において、必要な時期に、片側の剥離フィルムを剥離して保護フィルムまたは光学補償フィルムに貼合して使用される。
上記のようなアクリル系粘着剤の原料は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各種アクリルモノマー(株式会社日本触媒製、東亞合成株式会社製)、重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等(大塚科学株式会社製、株式会社日本ファインケム製)、架橋剤であるヘキサメチレンジイソシアネート、およびそのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネート、およびそのトリメチロールプロパンアダクト体等(三井化学ポリウレタン株式会社製、住化バイエルウレタン株式会社製)が挙げられる。
また、粘着剤シートにも市販品があり、たとえば、「ノンキャリア粘着剤フィルム・シート」(リンテック株式会社製、日東電工株式会社製)が挙げられる。
以上のようにしてなる偏光板、すなわち、延伸ポリエステルフィルム/第一の接着剤層/偏光フィルム/第二の接着剤層/[保護フィルムまたは光学補償フィルム]/粘着剤層/剥離フィルムとの層構造を有する偏光板は、粘着剤層から剥離フィルムを剥離して、液晶セルに貼合し、液晶パネルとすることができる。この液晶パネルは、液晶表示装置に適用することができる。
本発明の偏光板は、たとえば、液晶表示装置において、視認側に配置される偏光板(視認側偏光板)として用いることができる。視認側とは、液晶セルを基準に、液晶表示装置のバックライト側とは反対側を指す。液晶表示装置のバックライト側に配置される偏光板(バックライト側偏光板)は、本発明の偏光板であってもよいし、従来公知の偏光板であってもよい。視認側偏光板の偏光子を基準に視認側に配置される偏光子保護フィルムが前述の延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。また、バックライト側偏光板の偏光子を基準にバックライト側に配置される偏光子保護フィルムが前述の延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。
II.液晶表示装置、バックライト光源
液晶表示装置は、色ムラを抑制するという観点から、バックライト光源として、連続的で幅広い発光スペクトルを有する白色光源を有することが好ましい。連続的で幅広い発光スペクトルを有する光源の方式及び構造は特に制限されず、例えば、エッジライト方式又は直下型方式であり得る。「連続的で幅広い発光スペクトル」とは、少なくとも450〜650nmの波長領域、好ましくは可視光の領域において光の強度がゼロになる波長領域が存在しない発光スペクトルを意味する。可視光領域とは、例えば、400〜760nmの波長領域であり、360〜760nm、400〜830nm、又は360〜830nmであり得る。
連続的で幅広い発光スペクトルを有する白色光源としては、例えば、白色発光ダイオード(白色LED)を挙げることができる。白色LEDには、蛍光体方式のもの(即ち、化合物半導体を使用した青色光、もしくは紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子)及び有機発光ダイオード(Organic light−emitting diode:OLED)等を挙げることができる。連続的で幅広い発光スペクトルを有し、且つ、発光効率にも優れているという観点から、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードが好ましい。
液晶セルは、液晶表示装置において使用され得る任意の液晶セルを適宜選択して使用することができ、その方式や構造は特に制限されない。例えば、VAモード、IPSモード、TNモード、STNモードやベンド配向(π型)等の液晶セルを適宜選択して使用できる。よって、液晶セルは、公知の液晶材料及び今後開発され得る液晶材料で作製された液晶を適宜選択して使用することができる。一実施形態において好ましい液晶セルは、透過型の液晶セルである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって規定されるものではない。なお、これらの例中、含有量および使用量を表す%および部は、特記ないかぎり質量基準である。
(1)リタデーション(Re)
リタデーションとは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|Nx−Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。二枚の偏光板を用いて、フィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向が直交するように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(Nx,Ny)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求め、前記二軸の屈折率差の絶対値(|Nx−Ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
(2)厚さ方向リタデーション(Rth)
厚さ方向リタデーションとは、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz(=|Nx−Nz|)、△Nyz(=|Ny−Nz|)にそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。リタデーションの測定と同様の方法でNx、Ny、Nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)と(△Nyz×d)との平均値を算出して厚さ方向リタデーション(Rth)を求めた。
(3)虹斑観察
各実施例で得られた偏光板を、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色LEDを光源(日亜化学、NSPW500CS)とする液晶表示装置の出射光側にポリエステルフィルムが視認側になるように設置した。この液晶表示装置は、液晶セルの入射光側に2枚のTACフィルムを偏光子保護フィルムとする偏光板を有する。液晶表示装置の偏光板の正面、及び斜め方向から目視観察し、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
◎ : いずれの方向からも虹斑の発生無し。
○ : 斜め方向から観察した時に、一部極薄い虹斑が観察できる。
× : 斜め方向から観察した時に、明確に虹斑が観察できる。
(製造例1−ポリエステルA)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。(以後、PET(A)と略す。))
(製造例2−接着性改質塗布液の調整)
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%および5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
(製造例3―ポリエステルフィルム1の作製)
PET(A)を常法により乾燥して押出機に供給し、285℃で溶解した。このポリマーをステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。
次いで、リバースロール法によりこの未延伸PETフィルムの両面に乾燥後の塗布量が0.08g/m2になるように、上記製造例2の接着性改質塗布液を塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
この塗布層を形成した未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、さらに幅方向に3%の緩和処理を行い、フィルム厚み約50μmの一軸配向PETフィルムを得た
(製造例4−ポリエステルフィルム2)
未延伸フィルムの厚みを変更することにより、厚み約100μmとすること以外は製造例3と同様にして一軸配向PETフィルムを得た。
(製造例5―活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の作製)
次の各成分を混合し、液状の接着剤組成物AおよびBを作製した。
(接着剤組成物A)
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 40部・ビスフェノールA型エポキシ樹脂 60部
・ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート(カチオン重合開始剤) 4.0部
・ベンゾインメチルエーテル(光増感剤) 1.0部
前記3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのエポキシ当量は126g/eqであり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は187g/eqであった。また、接着剤組成物Aの全塩素量は840ppmであり、25℃におけるB型粘度計の60rpmで測定した粘度は3000mPa・sであった。なお、接着剤組成物Aの全塩素量は、JIS K 7243−3(ISO 21627−3)に準拠し、硝酸銀溶液による滴定法で測定した(以下の接着剤組成物についても同じである)。
(接着剤組成物B)
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 80部
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂 20部
・ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート(カチオン重合開始剤) 4.0部
・ベンゾインメチルエーテル(光増感剤) 1.0部
ビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシ当量は172g/eqであった。また、接着剤組成物Bの全塩素量は400ppmであり、25℃におけるB型粘度計の60rpmで測定した粘度は780mPa・sであった。
(製造例6−水系接着剤の作製)
次の各成分を混合し、水系接着剤を作製した。
・純水 100部
・カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔クラレポバールKL318(株式会社クラレ製) 3.0部
・水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(固形分濃度30%の水溶液)〔スミレーズレジン650(住化ケムテックス株式会社より販売)〕 1.5部
(実施例1)
製造例3で得られたポリエステルフィルムの一方の面に、製造例5で得られた接着剤組成物Aを、チャンバードクターを備えた塗工装置によって厚さ2μmの厚みに塗工した。また、ケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルム(厚さ80μm)に製造例6で得られた水系接着剤を同様の装置にて厚さ2μmで塗工した。
各フィルムへ接着剤組成物を塗工した後、直ちに、PVAとヨウ素からなる偏光フィルムの片面にポリエステルフィルムを、もう一方の面にケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルムを、各々接着剤組成物の塗工面を介して貼合ロールによって貼合した。その後、メタルハライドランプを320〜400nmの波長における積算光量が600mJ/cm2となるようにポリエステルフィルム側から照射した後、さらに70℃に設定した熱風循環式乾燥機に貼合したフィルムを通し、両面の接着剤を硬化させた。
こうして得られた偏光板は、この後、巻き取り装置によってロール状に巻き取られた。この偏光板の偏光フィルムとポリエステルフィルムおよびケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルムとの接着は良好であり、巻き取られた偏光板を1日間養生させた後、カッターナイフを各々のフィルム界面に指し込んでも剥離させることはできなかった。
(実施例2)
接着剤組成物Aの代わりに、接着剤組成物Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。実施例1同様に、良好な接着性を示した。
(実施例3)
製造例4で得られたポリエステルフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして偏光板を得た。実施例1同様に、良好な接着性を示した。
(比較例1)
製造例3で得られたポリエステルフィルムの一方の面に、製造例6で得られた水系接着剤を、チャンバードクターを備えた塗工装置によって厚さ2μmの厚みに塗工した。
また、ケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルム(厚さ80μm)に、前記と同様に製造例6で得たれた水系接着剤を塗工した。
各フィルムへ接着剤を塗工した後、直ちに、偏光フィルムの片面にポリエステルフィルムを、もう一方の面にケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルムを、各々接着剤の塗工面を介して貼合ロールによって貼合した。次いで、70℃に設定した熱風循環式乾燥機に貼合したフィルムを通し、接着剤を硬化させた。
こうして得られた偏光板は、この後、巻き取り装置によってロール状に巻き取られた。この偏光板の偏光フィルムとポリエステルフィルムの間は、十分な接着力が無く、巻き取られた偏光板を1日間養生させた後、カッターナイフを偏光フィルムとポリエステルフィルムとの界面に差し込んだところ、容易に剥離した。
(比較例2)
ポリエステルフィルムとして東洋紡製「A4300、50μm」を用いた以外は、実施例1と同様にして偏光板を得た。実施例1と同様に良好な接着性を示した。
表1に実施例及び比較例の評価結果をまとめた。