JP2018060089A - 光学系および画像投射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】2軸屈折率異方性を有する位相補償素子を用いて、偏光分離素子からの漏れ光を減少させる。【解決手段】光学系は、入射光を偏光方向に応じて分離する偏光分離面3a1を有する偏光分離素子3aと、偏光分離素子から出射した偏光光を変調する光変調素子4と、偏光分離素子と光変調素子との間に配置された位相補償素子2とを有する。位相補償素子は、主屈折率がna<nb<ncである2軸屈折率異方性を有し、その光学面に垂直入射する波長λの偏光光に対してλ/4よりも大きな位相差を与える。偏光分離素子の透過面の法線方向をz軸、z軸と偏光分離面の法線方向に対して直交する軸をx軸、z軸とx軸の双方に対して直交する軸をy軸とする。主屈折率のうち1つの方向はx軸に平行で、他の2つの方向はともにyz面内にあってz軸またはy軸に対して傾いている。【選択図】図1
Description
本発明は、プロジェクタ等の画像投射装置に好適な光学系に関する。
プロジェクタには、光源からの照明光を複数の色光に分離して複数の光変調素子に導き、該複数の光変調素子からの複数の変調光(画像光)を合成して投射レンズに導く分離合成光学系(以下、単に光学系ともいう)が用いられる。この光学系では、偏光方向を利用して光の分離や合成を行うための光学素子として、偏光分離素子、偏光板および位相補償板等が用いられる。
ただし、上記のような光学系において、液晶パネル等の光変調素子が黒表示状態であるにもかかわらず、投射レンズ側に光が漏れることにより、投射画像のコントラストが低下する。特に偏光分離素子や位相補償板はその偏光特性に入射角度依存性があるため、これらの光学素子によって全ての入射角度や入射方位の偏光を一様に分離することはできず、これらの光学素子を出射した光の一部は漏れ光となる。また、反射型光変調素子を用いる場合には、その画素配列によって正反射光以外に回折光が生じる。回折光は正反射光とは異なる方向に進むため、漏れ光となりやすい。
このような漏れ光を低減するために、特許文献1および特許文献2には、様々な位相補償板を偏光分離素子と光変調素子との間に配置した光学系が開示されている。例えば、特許文献1には、厚みと光学軸の方位に適切に設定した位相補償板を偏光分離素子と光変調素子との間に配置することにより、偏光分離素子に起因する漏れ光を低減することが可能な光学系が開示されている。また、特許文献2には、媒質の斜め蒸着によって2軸の屈折率異方性を備える位相補償板(Oプレート)の構成を、他の位相補償板(Cプレート)との配置関係を考慮して設定することで、漏れ光を低減することが可能な光学系が開示されている。
しかしながら、特許文献1にて開始された光学系では、位相補償板として1軸の屈折率異方性を有する無機誘電体結晶が用いられており、高価である上に厚みが非常に薄いためにハンドリングが困難である。また、特許文献2にて開示された光学系では、2軸屈折率異方性を有する位相補償板であるが、入射光に対する主屈折率の方向や入射光に付与する位相差の大きさから見て、偏光分離素子に対する十分な位相補償効果、すなわち漏れ光の低減効果が得られない。
本発明は、2軸屈折率異方性を有し、偏光分離素子からの漏れ光を十分に減少させることができる位相補償素子を有する光学系を提供する。
本発明の一側面としての光学系は、入射する光を偏光方向に応じて分離する偏光分離面を有する偏光分離素子と、該偏光分離素子から出射した偏光光を変調して反射する光変調素子と、偏光分離素子と光変調素子との間に配置された位相補償素子とを有する。位相補償素子は、3つの主屈折率na,nb,ncがna<nb<ncである2軸の屈折率異方性を有し、かつ該位相補償素子の光学面に対して垂直に入射する波長λの偏光光に対してλ/4よりも大きな位相差を与える。偏光分離素子の透過面の法線方向に延びる軸をz軸とし、該z軸と上記透過面に対して傾いた偏光分離面の法線方向の双方に対して直交する軸をx軸とし、z軸とx軸の双方に対して直交する軸をy軸とするとき、3つの主屈折率のうち1つの方向はx軸に平行であり、3つの主屈折率のうち他の2つの方向はともにyz面内にあってz軸またはy軸に対して傾いていることを特徴とする。
なお、上記光学系と、光源からの光を偏光分離素子に導く照明光学系と、光変調素子からの光を被投射面に投射する投射光学系とを有する画像投射装置も、本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、2軸屈折率異方性を有する位相補償素子を用いて、偏光分離素子からの漏れ光を十分に減少させることができるようにした光学系を実現することができる。そして、この光学系を用いた画像投射装置によれば、高いコントラストの投射画像を表示することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の代表的な実施例としての分離合成光学系(以下、単に光学系ともいう)の基本的な構成を示している。該光学系は、偏光分離面3a1を有する偏光分離素子3aと、光変調素子としての反射型液晶パネル(以下、単に液晶パネルという)4と、偏光分離素子3aと液晶パネル4との間に配置された2軸の屈折率異方性を有する位相補償板(位相補償素子)2とを有する。なお、光変調素子として、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いてもよい。
以下の説明において、偏光分離素子3aの液晶パネル側(光変調素子側)に位置する透過面Sの面法線方向に延びる軸をz軸とする。また、z軸と該透過面Sに対して傾いた(本実施例では45度をなす)偏光分離面3a1の面法線方向nの双方に対して直交する軸をx軸とする。さらに、z軸およびx軸の双方に直交する軸をy軸とする。位相補償板2は、偏光分離素子3aの透過面Sと平行に配置されている。また、位相補償板2の2軸屈折率異方性の3つの主軸が延びる方向におけるそれぞれの屈折率である主屈折率をna,nb,ncとする。3つの主屈折率がna>nb>ncであるとき、1つの主屈折率nbの方向はx軸と平行である。さらに、他の2つの主屈折率na,ncの方向はともにyz面内にあってy軸またはz軸に対して傾いている。
次に、本実施例における位相補償板2による偏光分離素子3aに対する位相補償効果(以下、補正効果ともいう)について説明する。
まず、液晶パネル4の近傍における光波の振る舞いについて説明する。図1に示す光学系では、まず光源側から不図示の照明光学系を通って、一様な偏光状態を有して偏光方向がy軸の方向(y方向)である直線偏光としての照明光1がP偏光として偏光分離素子3aに入射する。偏光分離素子3aは、その偏光分離面3a1においてP偏光を透過してS偏光を反射する。ここでは、照明光1は偏光分離面3a1を透過する。
偏光分離面3a1を透過して透過面Sから偏光分離素子3aを出射した照明光1は、位相補償板2を透過し、さらに液晶パネル4に入射する。本実施例において液晶パネル4はVAモードで動作するVA液晶により構成され、該液晶パネル4の複数の画素のそれぞれにおける液晶分子はx軸またはy軸に対して45度をなす方位において黒表示状態で所定のチルト角(プレチルト角)で配向している。液晶パネル4は、該液晶パネル4を駆動する画像信号(原画像)の輝度に応じて液晶分子のチルト角度またはチルト時間を変化させることにより、入射偏光の偏波面を変化させる。これにより、照明光1を画像光5に変調するとともに、反射する。
液晶パネル4により反射された画像光5は、再び位相補償板2を透過し、さらに透過面Sから偏光分離素子3aに入射する。照明光1に対して偏光状態が異なる画像光5のうちx軸の方向(x方向)を偏光方向とする偏光光であるS偏光は偏光分離面3a1で反射されて投射レンズ側へ導かれ、その後、不図示の投射レンズによってスクリーン等の被投射面に投射される。これにより、投射画像が表示される。一方、画像光5のうち偏光分離面3a1で反射されずに画像投射に寄与しない偏光光であるP偏光は、偏光分離面3a1を透過して画像光とは光路が分離される。
本実施例の光学系においては、偏光分離素子3aの偏光特性が投射画像のコントラストに大きな影響を及ぼす。さらに、偏光分離素子3aに入射する光束は、光学系のFナンバーに応じた入射角度を有する。以下、偏光分離面3a1に対してある入射角度で入射する光束に対する偏光分離素子3aの偏光特性について説明する。
図2(a)には、偏光分離素子3aを透過するP偏光としての光束の偏光状態を示す。図中の左側の円は偏光分離素子3aに入射する光束の角度成分(瞳分布)を表している。偏光分離素子3aに入射する偏光は予め一様な偏光状態、すなわちy方向に振動する一様な直線偏光として形成されている。偏光分離素子3aを挟んだ左側の円には、偏光分離素子3aを透過した光束の偏光状態の角度分布7を表す。図2(b)には、偏光分離素子3aを透過した光束のxy面での偏光状態の角度分布7を示す。なお、図2(a)の左側の円内の太実線は、図2(b)に示した偏光分離素子3aを透過した光束の偏光状態の一部を抜粋して示している。
偏光分離素子3aを透過する光束の角度成分のうちyz面内の角度成分については、入射偏光の振動方向と偏光分離面3a1でのP偏光の振動方向とが平行であるために、入射偏光と同様な偏光状態の成分として透過する。しかし、yz面内以外から入射する成分、すなわちx方向に振動する成分を有する光線(スキュー光線)には、入射偏光の振動方向と偏光分離面3a1に対するP偏光の振動方向に対して、振動方向のずれが生ずる。この結果、偏光分離素子3aから出射した後の偏光光の偏光状態は、入射角度および入射方位に応じて変化する。このとき、入射した偏光光の一部は偏光分離面3a1で反射してy方向に進む。さらに、この変化は偏光分離素子3aへの入射時と液晶パネル4で反射された後の偏光分離素子3aからの出射時の両方で発生する。
例えば、液晶パネル4が黒表示状態にある場合には、本来は入射偏光の全ての成分が偏光分離素子3aを透過して光源側に戻ることが望ましい。しかし、実際には液晶パネル4に固有の位相ずれや偏光分離素子3a自体の消光比に起因する漏れ光に加え、偏光分離素子3aでの偏光分離方向のずれ量に応じて、一部の光が漏れ光として投射レンズ側に反射される。特に、照明光学系のFナンバーが小さく、偏光分離素子3aへの入射角度の最大値が大きい場合には、後者の漏れ光が支配的になる。
このような漏れ光に対して、図3(a)に示すように偏光分離素子3aと液晶パネル4との間に2軸屈折率異方性を有する位相補償板2を配置することで、入射角度および入射方位に応じた偏光状態の角度分布を補正することができる。具体的には、位相補償板2に各入射角度で各入射方位から入射する光束に対して、位相補償板2の屈折率楕円体の主屈折率および配向方向を図4(a)に示すようにx軸を回転軸として傾けて配置する。図4(a)の例では、位相補償板2の主屈折率をna>nb>ncとするとき、該位相補償板2を主屈折率nbの方向がx軸と平行となり、主屈折率na,ncの方向がともにyz面内にあってz軸に対して傾くように配置している。このように配置された位相補償板2を透過した光束は、図2(b)に示した角度分布7を有する状態から図3(b)に示す角度分布8を有する状態に補正される。
図4(b)には、位相補償板2に入射する光束(光線)の各入射角度および各入射方位に対する屈折率楕円体の断面形状の分布を示す。各入射光線は、屈折率楕円体の断面の楕円により決まる屈折率異方性と長軸および短軸の軸方位角度とに依存した偏光状態の変化を受ける。図4(b)では、入射光線のz軸に対する傾き角度に依存して屈折率楕円体の断面の軸角度がx軸ないしy軸に対して傾いており、かつほぼλ/2の位相差が入射光線に付与される。
このように配置された位相補償板2は、各入射角度および各入射方位に対して図4(b)に示す適切な軸方位で作用するλ/2板となる。この結果、偏光分離素子3aを透過した図2(b)に示す偏光状態を有する光束を、図3(b)に示すように一様にy方向に振動する直線偏光に補正することができる。
このとき、特許文献1にて開示された光学系のように位相補償板が1軸屈折率異方性を有する場合は、異常光の屈折率の方向である光学軸をyz面内とした上で位相補償板の厚み方向および光学軸方向がz軸となす角度のみを設定すればよい。しかし、2軸屈折率異方性を有する本実施例の位相補償板2では、まず光学軸が2方向に存在する。そして、主屈折率の方向によっては、図4(b)に示すような屈折率楕円体の断面形状分布は、入射光束の入射角度および入射方位に対して必ずしも一様ではない。
このため、単に1つの光学軸の方向および傾き角度のみを制御するだけでは、偏光分離素子3aに対する位相補償効果は得られない。本実施例の位相補償板2にて図4(b)に示すような屈折率楕円体の断面形状の分布を得るには、主屈折率na,nb,ncの方向と大小関係とを考慮しつつ、位相補償板2の光学面の面法線方向に対するyz面内の主屈折率の傾き角度θを適切に制御する必要がある。
まず、図4(a)に示すように、2軸屈折率異方性の主屈折率のうち中間の屈折率であるnbの方向がx軸と平行である場合について説明する。この場合は、2軸屈折率異方性の2つの光学軸はそれぞれyz面内に存在する。このとき、図4(b)に示すような(または位相補償効果として図4(b)に示すものと等価な)分布を得るための傾き角度θの条件が2つ存在する。
図5(a)〜(e)には、図4(a)に示す2軸屈折率異方性において、主屈折率naの方向がz軸に対してなす角度(以下、単に傾き角度といとう)θを0degから90degまで変化させたときの屈折率楕円体の断面分布の変化を示す。θが0degとはz軸と平行であることを意味し、θが90degとはy軸と平行であることを意味する。図5(a)はθが0degである場合を、図5(c)は1つの光学軸がz軸と平行である場合を、図5(e)はθが90degである場合を示している。また、図5(b)は図5(a)の場合と図5(c)の場合との中間の場合を示している。図5(d)は図5(c)の場合と図5(e)の場合との中間の場合を示している。傾き角度θを変化させていくと、図5(c)に示す場合を挟んで断面分布の形状が縦横反転したように変化する。このため、図5(b)と図5(d)に示す場合は、図4(b)に示す楕円断面分布と等価な対称性を有し、偏光分離素子3aを透過した光束の偏光状態を補正する補正効果を得るために良好な条件となる。したがって、図4(a)に示すような2軸屈折率異方性を有する位相補償板2により偏光分離素子3aに対する補正効果が得られる傾き角度θの条件は、図5(a)の場合と図5(c)の場合の間および図5(c)の場合と図5(e)の場合との間に2つ存在する。
より具体的には、2軸屈折率異方性を有する位相補償板2において最適な傾き角度θは、光学軸の方向に影響する。また、その光学軸の方向は、主屈折率na,ncに対するnbの大きさ、すなわちnaおよびncに対するnbの差であるΔnabおよびΔnbcに依存する。
主屈折率naおよびncのうち一方に対してnbが近いと、光学軸の方向がnaまたはncの方向に近づき、傾き角度θに対する敏感度が増大する。このため、naとnbとの差を屈折率差Δnabとし、ncとnbとの屈折率差をΔnbcとし、naとncの屈折率差Δnacとするとき、
Δnac/10≦Δnab、かつΔnac/10≦Δnbc (1)
なる条件を満足することが望ましい。
Δnac/10≦Δnab、かつΔnac/10≦Δnbc (1)
なる条件を満足することが望ましい。
式(1)の条件を満足した上で、傾き角度θが0degから90degの中で最も小さいという条件で最適な構成を得る場合には、傾き角度θは5deg以上35deg以下に抑えることが望ましい。さらに言えば、傾き角度θは、10deg以上30deg以下の範囲とすることが望ましい。傾き角度θが最も大きいという条件では、傾き角度θは65degから85degの範囲とすることが望ましい。これらの条件のうちどちらを選択するかは、位相補償板2自体の面外位相差の扱いや位相補償板2の製法等によって決定すればよい。
また、図示はしないが、図4(a)において主屈折率naとncの大きさの関係が逆、すなわちna<ncである場合でも、屈折率楕円体の断面形状は変化するものの基本的な光波の振る舞いや満足すべき条件は同じである。
位相補償板2の厚み(膜厚)は薄い方が望ましく、例えば500nm以上3.5μm以下であることが望ましい。
次に、主屈折率nbの方向がyz面内に存在する場合について説明する。例として、図6(a)に示すように、主屈折率naの方向がx軸と平行であり、主屈折率nbおよびncの方向がyz面内にある図6(a)のような場合について説明する。このような場合には、2つの光学軸はともにyz面内には存在しない。
しかし、主屈折率nbの方向がz軸となす角度を適切に設定することで、図6(b)に示すような屈折率楕円体の断面分布となる。この状態は、図4(b)と近い対称性を示し、このような条件でも本実施例の効果は得られる。
図7(a)〜(c)には、主屈折率nbの方向がz軸となす傾き角度θを変化させたときの屈折率楕円体の断面分布を示す。図7(a)は傾き角度θが0degである場合を、同(c)は傾き角度θが90degである場合を示している。図7(b)は傾き角度θがこれらの中間である場合を示す。
図7(a)と図7(c)においてx軸およびy軸に対して対称な分布となる点は、図5(a),(e)と共通である。しかし、光学軸がyz面内になくても主屈折率nb(またはnc)の方向がz軸に対してある角度以上の傾き角度θを有する場合には、図7(b)に示すような断面分布となり、偏光分離素子3aに対する良好な補正効果を得ることができる。このとき、主屈折率nbの方向がz軸に対してなす傾き角度θは45degよりも大きな角度であることが望ましく、より具体的には50deg以上70deg以下の範囲であることが望ましい。また、それぞれの主屈折率の差について、図6(a)に示す構成においては、主屈折率nbがncに近いと、x軸に平行な光学軸を有する1軸屈折率異方性の媒質に近づくため、上記補正効果が得られなくなる。このため、屈折率差ΔnbcよりもΔnabの方が小さくなるように選択することが望ましい。さらに、図6(a)に示した主屈折率naとncの大きさの関係が逆である場合には、屈折率楕円体の断面形状は変化するものの、基本的な振る舞いや満足すべき条件は同じである。
図4(a)や図6(a)以外の条件、例えば2軸屈折率異方性の主屈折率の方向がx軸と平行でない場合には、偏光分離面に対する屈折率楕円体の角度分布の対称性が崩れるため、上記補正効果が得られないばかりか不要な位相差分布を発生させるため望ましくない。本実施例における位相補償板2は、偏光分離素子3aにより生じる、入射角度分布に対して非対称(y軸に関しては対称であるが、x軸に関しては非対称)な偏光特性を補正する。このため、前述した対称性に整合しないような屈折率異方性の光学軸の配置は好ましくない。このような配置の例としては、例えば液晶パネルからの光束の偏光状態を補正するために、液晶のチルト角度やチルト方位に対して適切な角度で光学軸が傾いた位相補償板を配置することがある。このような位相補償板は、本実施例で説明している位相補償板2とは別に配置する必要がある。他の位相補償板の好ましい配置例については後述する。
また、本実施例にいう偏光分離素子3aに対する補正効果を得るためには、位相補償板2に入射する直線偏光の偏光方向を一様にx軸またはy軸に対して傾いた方向に揃えることが望ましい。そのためには、光学軸の角度だけでなく位相差も適切に設定する必要がある。各入射角度に対して一様な位相差を付与することは難しいが、少なくとも位相補償板2に垂直に入射する波長λの偏光光に対してλ/4よりも大きな位相差を与えることが望ましく、さらにはほぼλ/2程度の位相差を与えることがより望ましい。ただし、画像表示素子(黒表示状態)で生じる位相差や、後述する第2の位相補償板の位相差量に応じて最適な位相差は変化する場合がある。
ここで、波長λは位相補償板2に入射する主たる波長帯域内の光の波長を示す。具体的には、入射する光の波長帯域幅のうち最も高い強度を有する波長または該波長帯域幅の中心付近の波長であることが望ましい。
実際には、位相補償板2に最適な位相差は、光路中に配置される他の位相補償板を考慮した上で適切に決定される。他の位相補償板により与えられる位相差を考慮した場合には、位相補償板2が与える位相差をλ/2よりも小さい値に設定することが望ましい場合が多い。しかし、位相補償板2の位相差がλ/4以下となる場合には、他の位相補償板との組み合わせを考慮しても偏光分離素子3aに対する補正効果が大きく損なわれるため、好ましくない。
また、3λ/4を超えるような高次の位相差を用いる場合は、ほぼλ/2の奇数倍に対して同様の補正効果は期待されるものの、波長特性等により補正効果に対する敏感度が増大するため、レーザ光源等の狭帯域の光源を用いる場合以外は避けることが望ましい。
本実施例における位相補償板2の作製方法は様々あるが、特に無機誘電体材料を斜め蒸着することで形成した膜を用いて作製することが望ましい。図8には、この斜め蒸着法を用いた位相補償板2の構成例を示す。斜め蒸着のプロセスについての説明はここでは省略する。基板11の表面(基板面)に蒸着材料としてのTiO2,Ta2O5,Nb2O3等の金属酸化物を斜め蒸着することにより、図示のように基板面に対して斜めに傾いた板状(柱状を含む)の蒸着材料の結晶が基板面に沿って複数配置された微細構造12が形成される。微細構造12において板状の結晶が並んだ方向を構造周期方向というとき、該構造周期方向における各結晶の幅および結晶が並ぶ周期は使用波長に対して十分に微細である。また、微細構造12における各結晶の長手方向である構造斜め方向がz軸に対してなす傾き角度θaは、5deg以上40deg以下である。微細構造12は、構造斜め方向または構造周期方向において構造複屈折に起因する屈折率異方性を発現する。該微細構造12の厚み(膜厚)を制御することで該微細構造12が入射光に対して与える位相差を制御することができるため、この微細構造12を用いて容易に0次の位相補償板を作製することができる。
このような斜め蒸着法を用いた位相補償板2の作製には以下のような利点がある。まず斜め蒸着の角度を制御することにより、構造斜め方向(傾き角度θa)を容易に調整することができる。このため、例えば1軸屈折率異方性を有する結晶等の材料を目標とする角度で切り出すような場合と比較して、加工コストを低く抑えることができる。また、1軸屈折率異方性を有する結晶を使用する場合に0次の位相補償板として使用するためには、厚みを非常に薄くする必要があり、加工精度やハンドリングに問題が生じる。これに対して斜め蒸着を行う場合には、基板面上に直接、薄膜を形成することができるため、偏光分離素子の透過面や別の位相補償板の表面等に形成することができる。この結果、基板や反射防止膜の共通化により部品点数を削減できるだけでなく、ハンドリングも容易になる。また、斜め蒸着により接着が不要となり、位相補償板としての素子全体を無機誘電体材料により形成することができるため、耐熱性や耐久性にも優れた位相補償板を実現することができる。
本実施例における位相補償板の作製方法には、上述した斜め蒸着法以外にも、2軸屈折率異方性を有する液晶材料を適切に配向させて作製する方法や、使用波長より小さい微細構造をナノインプリントやリソグラフィを用いて形成する方法等がある。リソグラフィ等の製法を用いれば、構造複屈折による2軸屈折率異方性を精度良く制御することができる。また、ナノインプリント法を用いれば、低コストで位相補償板を作製することができる。
さらに、基板面上に予め微細構造を形成しておき、その基板面上に斜め蒸着を行うことで、シャドウイングにより予め用意した表面構造に準じた微細構造が成長する。この結果、通常の平滑面上に斜め蒸着を行う場合に比べて、屈折率差や異方性の大きさ等において所望の光学特性を得やすい。このため、低アスペクト比の微細構造をリソグラフィまたはナノインプリントで作製し、その後に斜め蒸着法によりアスペクト比の高い構造を得るというような製法の組合せも有効である。本実施例における位相補償板の作製方法については、上述した方法以外にも使用環境や求められる品質に応じて適宜、適切な材料と製法を選択すればよい。
図1には光学系の1つの構成例を示したが、本発明の実施例はこれに限定されるものではない。例えば、位相補償板2が、偏光分離素子3aにおける液晶パネル側の透過面S側ではなく、それとは反対側の透過面(入射面)側に設けられる場合であってもこれまでに説明した補正効果と同じ補正効果が得られる。
また、任意の他の位相補償板を追加することも可能である。例えば、液晶パネル4がVA液晶により構成されている場合には、液晶パネル4の液晶分子は黒表示状態においてもわずかなプレチルト角を有する。この微小なプレチルト角による位相差は第1の位相補償板を回転させることでも補正することができるが、これにより第1の位相補償板の偏光分離素子に対する補正効果が低減するおそれがある。これは、図4(b)等を用いて説明した屈折率楕円体の断面分布が偏光分離面に対して非対称に傾いてしまうためである。このため、このようなプレチルト角による位相差に対する補正(以下、液晶プレチルトに対する補正という)を行うことが望ましい。そこで、本実施例の位相補償板2を第1の位相補償板とするとき、第1の位相補償板と液晶パネル4との間に、他の位相補償板として、その光学面内またはxy面内に光学軸を有する第2の位相補償板(第2の位相差補償素子)を追加してもよい。
ただし、この第2の位相補償板の光学面内の位相差(面内位相差)は第1の位相補償板による偏光分離素子3aに対する補正効果に影響を与える。特に第2の位相補償板の面内位相差がλ/4(0.25λ)程度まで大きいと、第1の位相補償板に最適な位相差が減少し、偏光分離素子3aに対する補正効果と液晶プレチルトに対する補正効果との両立が難しい。また、第2の位相補償板の面内位相差がλ/32(0.031λ)程度よりも小さい場合には、液晶プレチルトに対する補正に必要な回転角が増大する。この場合には、まず液晶プレチルトに対する補正のための調整機構が大型化する。さらに、xy面内の位相差の角度特性に対する非対称性が増大し、第1の位相補償板による偏光分離素子3aに対する補正効果を低減させる要因となるため、望ましくない。このため、第2の位相補償板が垂直入射光線に対して与える位相差(リターダンス)はλ/4より小さいくλ/32以上であることが望ましく、さらにはλ/8からλ/16程度であることがより望ましい。
また、xy面内における遅相軸または進相軸がx軸となす角度をφaとするとき、φaは0.5deg以上10deg以下となることが望ましい。これらの条件を満足するように第2の位相補償板の構成を選択することで、第1の位相補償板による偏光分離素子3aに対する補正効果を損なうことなく、液晶プレチルトに対する補正効果を得ることができる。
また、液晶パネル4や第1および第2の位相補償板自身が有する入射角度特性を補正するために、さらに第3の位相補償板(第3の位相差補償素子)を設けてもよい。第3の位相補償板は、その光学内に屈折率異方性を有さず、該光学面の面法線方向に光学軸を有する位相補償板である。このような第3の位相補償板を偏光分離素子3aと液晶パネル4との間に配置することで、屈折率異方性を有する媒質全体の入射角度特性を補正し、大きな入射角度を有する光束に対しても高い位相補償効果を得ることができる。このとき、第3の位相補償板の入射角度特性は、液晶パネル4だけでなく他の位相補償板の特性を考慮して決定されることが望ましい。
上記以外の任意の位相補償板を含めて適切な位相補償板を光路中に配置することができる。ただし、第1の位相補償板と偏光分離素子との間に別の位相補償板を配置する場合には、該別の位相補償板の光学面で反射した光が第1の位相補償板による補正が行われずに戻り光となり、コントラストを低下させる要因となるおそれがある。このため、第2および第3の位相補償板は、第1の位相補償板と液晶パネル4との間に配置することが望ましい。
さらに、第1の位相補償板の偏光分離素子側の光学面で反射した光も同様に漏れ光となり得るため、該光学面に反射防止手段を付与することが望ましい。具体的には、蒸着やスパッタリングによる反射防止膜やゾルゲル法によるウェットプロセス等による反射防止層を設ければよい。例えば、図8に示した微細構造12における表面(基板11とは反対側の面)や微細構造12と基板11との間に反射防止膜等を設ければよい。
ただし、光学面の面内方向での屈折率差が大きい場合には、該光学面での反射率にも偏光依存性が生じる。各偏光方向に対して最適な反射防止手段を付与することが難しい場合には、偏光分離素子3a側から第1の位相補償板2に入射する偏光光の偏光方向に対して最も低反射となるように反射防止手段を選択することが望ましい。図1に示す例では、偏光分離素子3aに入射するのはy方向に振動する偏光光であるため、y方向を偏光方向とする偏光光に対して適切な反射防止手段を設けることが望ましい。このような反射防止手段により面反射によるコントラストの低下を最小限に抑制することができる。また、複数の位相補償板を偏光分離素子3aの透過面や液晶パネル4の表面のカバーガラス等と一体化することにより、界面を減らし、省スペース化と面反射低減によるコントラストの向上を図ることができる。
次に、図9を用いて、前述した分離合成光学系を備えた画像投射装置としてのプロジェクタ100の構成を実施例1として説明する。21は光源である。22は光源21からの照明光であり、緑光22g、青光22bおよび赤光22rを含む白色光である。なお、実際の照明光22はこの段階で緑光22g、青光22bおよび赤光22rに分離されているわけではないが、説明の便宜上これらを分けて記載する。
23は偏光変換素子であり、25はダイクロイックミラーである。26は偏光板であり、27は波長選択性位相差板である。偏光変換素子23、ダイクロイックミラー25、偏光板26および波長選択性位相差板27により照明光学系が構成される。
3aは図1に示した偏光分離素子であり、本実施例では緑用偏光分離素子として用いられる。3bは青赤色用偏光分離素子である。4g,4b,4rは図1に4を付して説明した液晶パネルであり、2g,2b,2rは位相差板である。30は合成プリズムであり、32は投射光学系としての投射レンズである。
光源21から発せられた照明光22(緑光22g、青光22bおよび赤色光22r)は、リフレクタによって反射されて平行光束22となって偏光変換素子23に入射する。以下の説明において、緑をGと、青をBと、赤をRとそれぞれ略記する。
偏光変換素子23は、無偏光光である照明光21の緑光22g、青光22bおよび赤光22rを一様な偏光方向を有するP偏光としてのG光24g、B光24bおよびR光24rに変換する。ダイクロイックミラー25は、G光24gのみを反射してB光24bおよびR光24rを透過することで、G光24gがB光24bおよびR光24rから分離される。
ダイクロイックミラー25で反射されたG光24gは偏光分離素子3aに入射する。一方、ダイクロイックミラー25を透過したB光24bおよびR光24rは偏光板26を透過してその偏光度が上げられた後に色選択性位相板27に入射する。色選択性位相板27は、B光24bをその偏光方向を90°回転させることでS偏光に変換して、またR光24rの偏光方向を変更せずにそのままP偏光として偏光分離素子3bに出射する。
偏光分離素子3a,3bはそれぞれの偏光分離面3a1,3b1においてP偏光を透過してS偏光を反射する。偏光分離面3a1,3b1は、例えば屈折率が異なる薄膜を積層して形成される。このため、偏光分離素子3aに入射したG光24gは、偏光分離面3a1を透過して、さらに位相補償板としての位相差板2gを透過してG用液晶パネル4gに入射する。また、偏光分離素子3bでは、その偏光分離面3b1によりB光24bが反射され、R光24rが透過されることによりこれらが分離される。偏光分離素子3bから出射したB光24bおよびR光24rはそれぞれ、位相補償板としての位相差板2b,2rを透過してB用およびR用液晶パネル4b,4rに照射される。
液晶パネル4g,4b,4rに入射したG光24g,B光24b,R光24rは、画像信号に応じて画素ごとに偏光方向が90°変換され、かつ反射されてR,BおよびR画像光29g,29b,29rとして出射させる。BおよびR画像光29b,29rは再び位相差板2b,2rを透過して偏光分離素子3bに入射し、それぞれ偏光分離面3b1にて透過および反射されて合成されて合成プリズム30に入射する。また、G画像光29gは再び位相差板2gを透過して偏光分離素子3aに入射し、その偏光分離面3a1により反射されて合成プリズム30に入射する。
合成プリズム30内のダイクロイック膜31は、G画像光29gを反射し、RおよびB画像光29b,29rを透過させることでこれらを合成して投射レンズ32に導く。投射レンズ32は、合成されたG,BおよびR画像光29g,29b,29rを不図示のスクリーン等の投射面に投射して投射画像を表示する。
ここで、本実施例の位相補償板(位相差板)2g,2b,2rには、斜め蒸着により作製された2軸屈折率異方性を有する。表1に本実施例の位相補償板の設計値(実験例)を示す。なお、本実施例における各位相補償板は、図4(a)に示すように、主屈折率のうちnaおよびncがyz面内にあり、nbがx軸と平行となるように配置されている。位相補償板2g,2b,2rはそれぞれ、物理膜厚3.15、2.50、2.80μmを有する。位相補償板2g,2b,2rがそれぞれが配置された光路の設計波長(使用波長)である450nm、550nm、620nmの垂直入射偏光光に対して与える位相差は218.0nm、319.3nm、277.8nmとなる。すなわち、これらの偏光光に対してλ/4よりも大きな位相差を与えるという条件を満足している。また主屈折率naの方向がz軸となす角度をθとするとき、θは16degである。角度θは斜め蒸着膜における微細構造(板状結晶)の傾き角度と等しい。また、各位相補償板は、その光学面内の屈折率異方性の遅相軸方向がx軸に対してなす角度をφとするとき、φが90degとなるように配置される。なお、図示はしないが、液晶パネル4g,4b,4rは、別の位相補償板等により最適化されている。
本実験例では、投射画像のコントラストは、約2000:1から4000:1に増加した。また、各液晶パネルを白表示状態としたときの輝度の低下は1%未満であった。
次に、実施例2について説明する。本実施例におけるプロジェクタの構成は、実施例1のプロジェクタ100と構成は同一であるが、位相補償板2g,2b,2rの構成が異なる。
表2には、本実施例で用いる位相補償板の設計値(実験例)を示す。本実施例における各位相補償板は、図6(a)に示すように主屈折率のうちnbおよびncがyz面内にあり、naがx軸と平行となるように配置されている。位相補償板2g,2b,2rがそれぞれが配置された光路の設計波長である450nm、550nm、620nmの垂直入射偏光光に対して与える位相差は、218.0nm、319.3nm、277.8nmである。また、主屈折率nbの方向がz軸に対してなす角度をθとするとき、θは59〜61degとなっている。角度θは斜め蒸着膜における微細構造(板状結晶)の傾き角度と等しい。また、各位相補償板は、その光学面内での屈折率異方性の遅相軸方向がx軸に対してなす角度をφとするとき、φが0degとなるように配置されている。なお、図示はしないが、液晶パネル4g,4b,4rは、別の位相補償板等により最適化されている。
本実験例では、投射画像のコントラストは、約2000:1から4000:1に増加した。また、各液晶パネルを白表示状態としたときの輝度の低下は1%未満であった。
本実施例の位相補償板は実施例1とは2軸屈折率異方性における主屈折率の方向が大きく異なっている。すなわち、位相補償板の主屈折率nbの方向がyz面内にない場合であっても、実施例1と同様の位相補償効果を得ることができる。
次に、実施例3について説明する。図10には、本実施例のプロジェクタ200の構成を示している。プロジェクタ200は、実施例1のプロジェクタ100とほぼ同じ構成を有するが、各色光の光路に複数の位相補償板が設けられている。具体的には、位相補償板2g,2b,2rを第1の位相補償板とするとき、これら第1の位相補償板2g,2b,2rと液晶パネル4g,4b,4rとの間に第2の位相補償板33g,33b,33rおよび第3の位相補償板34g,34b,34rが配置されている。
表3には、本実施例における各位相補償板の設計値を示す。各第1の位相補償板は、図4(a)に示すように、主屈折率のうちnaおよびncの方向がyz面内にあり、nbの方向がx軸と平行となるように配置されている。また、各第2の位相補償板は、xy面内に光学軸を有する1軸屈折率異方性を有する位相補償板であり、前述した各液晶パネルの液晶プレチルトに対する補正に用いられる。本実施例では、各液晶パネルのパネル面内での位相差を補正するために、第2の位相補償板のxy面内における遅相軸がx軸に対してなす角度φaを5.8〜6.2deg程度傾けている。これにより、第1の位相補償板による偏光分離素子に対する補正効果を損なうことなく、光路全体の偏光状態を良好に補正することができる。
また、第3の位相補償板は、その光学軸がz軸と平行となるように配置されており、液晶パネル等の入射角度に対する位相ずれを補正する役割を有する。一般的には、第3の位相補償板としては、液晶パネルの屈折率異方性に対して正負が反対のものを用い、面外位相差Rthがほぼ同一となるようにすることが望ましい。しかし、実際には第1および第2の位相補償板の入射角度特性の影響を受けるため、各位相補償板のRthを考慮して最適値を決定すればよい。
本実施例を用いた実験では、投射画像のコントラストは、約2000:1から5500:1に増加した。また、各液晶パネルを白表示状態としたときの輝度の低下は1%未満であった。
なお、実施例1〜3ではR,G,B用の3つの液晶パネルを用いてでカラー画像を投射するプロジェクタについて説明した。しかし、1つの光変調素子(液晶パネルまたはDMD等)を用いて時分割で複数色による画像投射を行ってもよいし、4つ以上の光変調素子を用いてもよい。さらに、実施例1〜3では反射型の光変調素子を用いた場合について説明したが、透過型の光変調素子を用いてもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
2, 2g, 2b, 2r 位相補償板
3a,3b 偏光分離素子
3a1、3b1 偏光分離面
4, 4g, 4b, 4r 液晶パネル
3a,3b 偏光分離素子
3a1、3b1 偏光分離面
4, 4g, 4b, 4r 液晶パネル
Claims (13)
- 入射する光を偏光方向に応じて分離する偏光分離面を有する偏光分離素子と、
前記偏光分離素子から出射した偏光光を変調する光変調素子と、
前記偏光分離素子と前記光変調素子との間に配置された位相補償素子とを有し、
前記位相補償素子は、3つの主屈折率na,nb,ncがna<nb<ncである2軸の屈折率異方性を有し、かつ該位相補償素子の光学面に対して垂直に入射する波長λの偏光光に対してλ/4よりも大きな位相差を与え、
前記偏光分離素子の透過面の法線方向に延びる軸をz軸とし、該z軸と前記透過面に対して傾いた前記偏光分離面の法線方向の双方に対して直交する軸をx軸とし、前記z軸と前記x軸の双方に対して直交する軸をy軸とするとき、前記3つの主屈折率のうち1つの方向は前記x軸に平行であり、前記3つの主屈折率のうち他の2つの方向はともにyz面内にあって前記z軸または前記y軸に対して傾いていることを特徴とする光学系。 - 前記主屈折率nbの方向は前記x軸と平行であり、前記主屈折率naまたはncの方向はともに前記yz面内にあることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
- 前記主屈折率naまたはncの方向が前記z軸に対してなす角度のうち小さい方の角度をθとするとき、該θは5deg以上35deg以下であることを特徴とする請求項2に記載の光学系。
- 前記主屈折率naまたはncの方向が前記x軸と平行であり、
前記主屈折率のnbの方向が前記yz面内にあることを特徴とする請求項1に記載の光学系。 - 前記主屈折率nbの方向が前記z軸に対してなす角度のうち小さい方の角度をθとするとき、該θは50deg以上70deg以下であることを特徴とする請求項4に記載の光学系。
- 前記主屈折率naとnbの差をΔnabとし、前記主屈折率nbとncの差をΔnbcとし、前記主屈折率naとncの差をΔnacとするとき、
Δnac/10≦Δnab、かつΔnac/10≦Δnbc
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光学系。 - 前記位相補償素子は、基板面に無機誘電体材料を斜め蒸着することにより作製されたものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光学系。
- 前記位相補償素子は、前記基板面の法線方向からの傾き角度θaが5deg以上40deg以下である前記無機誘電体材料の結晶が前記基板面に沿って複数配置された構造を有することを特徴とする請求項7に記載の光学系。
- 前記位相補償素子の前記偏光分離素子側の光学面に、該光学面での反射を低減する反射低減手段が設けられており、
前記反射防止手段は、前記偏光分離素子側の光学面に垂直に入射する前記偏光光に対する反射率が最も低いことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の光学系。 - 前記位相補償素子を第1の位相補償素子とするとき、該第1の位相補償素子と前記光変調素子との間に配置された第2の位相補償素子を有し、
前記第2の位相補償素子はその入射面に垂直入射する光線に対してλ/4よりも小さいリターダンスを与え、
前記第2の位相補償素子の前記xy面内における遅相軸または進相軸が前記x軸に対してなす角度をφaとするとき、φaは0.5deg以上10deg以下であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の光学系。 - 前記光変調素子は、VAモードで動作する液晶を有し、
液晶分子の配向方向は前記x軸または前記y軸に対して45degをなす方向であり、前記光変調素子の黒表示状態において前記液晶はプレチルト角を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の光学系。 - 前記第1の位相補償素子と前記光変調素子との間に第3の位相補償素子が設けられており、
前記第3の位相補償素子は、
その光学面内に屈折率異方性を有さず、該光学面の面法線方向に光学軸を有し、
前記光変調素子または前記第1の位相補償素子と平行に配置されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の光学系。 - 請求項1から12のいずれか一項に記載の光学系と、
光源からの光を前記偏光分離素子に導く照明光学系とを有し、
前記光変調素子からの光を被投射面に投射する投射光学系とを有することを特徴とする画像投射装置。
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JP2016198149A JP2018060089A (ja) | 2016-10-06 | 2016-10-06 | 光学系および画像投射装置 |
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JP2016198149A Pending JP2018060089A (ja) | 2016-10-06 | 2016-10-06 | 光学系および画像投射装置 |
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