JP2018051661A - Rotary impact tool - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、回転打撃工具に関する。 The present invention relates to a rotary impact tool.
回転打撃工具では、ハンマがばねによりアンビル側に付勢されることでハンマ爪とアンビル爪とが周方向に係合し、ハンマの回転がアンビルに伝達される。アンビルに所定値を超える負荷トルクが加わると、ハンマはばね付勢力に抗して後退する。ハンマの後退によりハンマ爪とアンビル爪の係合が外れると、ハンマは回転しながら前進して、ハンマ爪がアンビル爪に回転方向の打撃を加える。 In the rotary impact tool, the hammer is urged toward the anvil side by the spring, whereby the hammer pawl and the anvil pawl are engaged in the circumferential direction, and the rotation of the hammer is transmitted to the anvil. When a load torque exceeding a predetermined value is applied to the anvil, the hammer moves backward against the spring biasing force. When the hammer claw and the anvil claw are disengaged due to the retraction of the hammer, the hammer advances while rotating, and the hammer claw strikes the anvil claw in the rotation direction.
特許文献1は、回転運動をするスピンドルと、スピンドルの前後方向に往復運動可能なハンマと、ハンマが後方に移動した際にハンマと当接するようにスピンドルの周囲に固定された円板状ストッパとを備えたインパクト工具を開示する。弾性体のストッパがハンマとキャリアとの間に配置されることで、ハンマ後退時におけるハンマの衝突による衝撃を緩和し、カム後端部とボールの衝突による衝撃も緩和する。
回転打撃工具では、ハンマが高速で後退と前進を繰り返す。ハンマとキャリアの間に配置されるストッパはハンマの衝突により大きな衝撃を加えられるため、ストッパの軸線方向強度は高いことが好ましい。ストッパの軸線方向強度はストッパの軸長を長くすることで高くできるが、ストッパはスピンドルの外側に嵌められるため、ストッパの軸長が長くなると、スピンドルの全長も長くなる。回転打撃工具は、ユーザが手で持って使用する電動工具であるため、小型化および軽量化に対する要請は大きく、スピンドルの長軸化は好ましくない。そのためスピンドルの長軸化を避けつつ、高い軸線方向強度をもつストッパをハンマとキャリアの間に配置することが望まれている。なおストッパとは別の部材をハンマとキャリアの間に配置する場合であっても、スピンドルの長軸化を回避することが好ましい。 With a rotary impact tool, the hammer repeats backward and forward at high speed. Since the stopper disposed between the hammer and the carrier can be subjected to a large impact by the collision of the hammer, it is preferable that the stopper has a high axial strength. The axial strength of the stopper can be increased by increasing the axial length of the stopper. However, since the stopper is fitted to the outside of the spindle, the overall length of the spindle increases as the axial length of the stopper increases. Since the rotary impact tool is a power tool that is used by the user by hand, there is a great demand for reduction in size and weight, and it is not preferable to make the spindle longer. For this reason, it is desired to dispose a stopper having a high axial strength between the hammer and the carrier while avoiding a longer spindle. Even when a member other than the stopper is disposed between the hammer and the carrier, it is preferable to avoid the spindle from becoming longer.
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、回転打撃工具において、ハンマとキャリアの間にストッパなどの部材を好適に配置する技術を提供することにある。 This invention is made | formed in view of such a condition, The objective is to provide the technique which arrange | positions members, such as a stopper, suitably between a hammer and a carrier in a rotary impact tool.
上記課題を解決するために、本発明のある態様の回転打撃工具は、スピンドルと、スピンドルの後端側に位置して動力伝達用の歯車を収容するキャリアと、スピンドルの回転軸線を中心に回転可能且つ回転軸線方向に移動可能なハンマと、ハンマとキャリアの間に配置される部材とを備える。キャリアの前面には、部材の端部を収容するための溝がキャリア外周よりも内側に設けられる。 In order to solve the above-described problems, a rotary impact tool according to an aspect of the present invention includes a spindle, a carrier that is positioned on the rear end side of the spindle and accommodates a power transmission gear, and rotates about the rotation axis of the spindle. A hammer capable of moving in the direction of the rotation axis, and a member disposed between the hammer and the carrier. On the front surface of the carrier, a groove for accommodating the end of the member is provided inside the carrier outer periphery.
本発明によれば、回転打撃工具において、ハンマとキャリアの間にストッパなどの部材を好適に配置する技術を提供できる。 ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, the technique which arrange | positions members, such as a stopper suitably, between a hammer and a carrier can be provided in a rotary impact tool.
実施形態の回転打撃工具は、スピンドルと、スピンドルの後端側に位置して動力伝達用の歯車を収容するキャリアと、スピンドルの回転軸線方向の前方に配置されたアンビルと、スピンドルの回転を回転打撃に変換してアンビルに伝達する回転打撃機構とを備える。実施形態の回転打撃機構はダブルハンマ構成を採用し、スピンドルの回転軸線を中心に回転可能かつ軸線方向に移動可能な主ハンマと、主ハンマと一体に回転可能かつ軸線方向に移動可能な副ハンマを備える。回転打撃機構は、主ハンマをアンビルに衝撃的に係合させて、アンビルを軸線回りに回転させる機能をもつ。 The rotary impact tool of the embodiment includes a spindle, a carrier that is positioned on the rear end side of the spindle and accommodates a power transmission gear, an anvil disposed in front of the spindle in the rotation axis direction, and rotation of the spindle. A rotary striking mechanism that converts it into a striking and transmits it to the anvil. The rotary hammering mechanism of the embodiment adopts a double hammer configuration, a main hammer that is rotatable about the rotation axis of the spindle and movable in the axial direction, and a secondary hammer that is rotatable integrally with the main hammer and movable in the axial direction. Is provided. The rotary striking mechanism has a function of causing the main hammer to impactably engage the anvil and rotating the anvil about the axis.
図1は、実施形態に係る回転打撃工具の主要部の断面概略図を示す。図1において一点鎖線は、回転打撃工具1における回転軸線を示している。図2は、実施形態に係る回転打撃機構の構成部品の分解斜視図を示し、図3は、実施形態に係る回転打撃機構の組立斜視図を示す。なお図3では見やすさのために、後述する止め部材27の図示を省略している。図4(a)は主ハンマの前面側斜視図を示し、図4(b)はスピンドルおよびキャリアの斜視図を示し、図4(c)は副ハンマの後面側斜視図を示す。以下、図1〜図4を用いて、回転打撃工具1の構造について説明する。
FIG. 1: shows the cross-sectional schematic of the principal part of the rotary impact tool which concerns on embodiment. In FIG. 1, an alternate long and short dash line indicates a rotation axis of the
回転打撃工具1は、工具本体を構成するハウジング2を備える。ハウジング2の上部は、各種構成部品を収容するための収容空間を形成し、ハウジング2の下部は、ユーザにより把持される把持部3を構成する。把持部3の前側には、ユーザの手指により操作される操作スイッチ4が設けられ、把持部3の下端部には、駆動部10に電力を供給するバッテリ(図示せず)が設けられる。
The
駆動部10は電動モータであって、駆動部10の駆動軸10aは、動力伝達機構12を介してキャリア16およびスピンドル11に連結される。キャリア16はスピンドル11の後端側に位置して、動力伝達用の歯車を収容する。図4(b)を参照してキャリア16は、スピンドル11より大きい外径を有する大径部として構成される。キャリア16は、スピンドル11より大径の前側部材16bと、前側部材16bよりも後方に位置する後側部材16cとを有し、前側部材16bと後側部材16cとの間に歯車を収容するための空間16dを形成する。
The
図4(b)に示すように、キャリア16の前面には、主ハンマ20とキャリア16の間に配置される部材の少なくとも端部を収容するための溝16eが、キャリア外周よりも内側に設けられる。キャリア16の前面、すなわち前側部材16bの前面において、溝16eは、スピンドル11の回転軸線を中心とする円形溝として形成され、円形溝の内径はスピンドル11の外径と等しく設定される。これにより溝16eの内側に残る軸部分は、スピンドル11と段差無く連結する。実施形態において溝16eには、主ハンマ20の回転軸線方向の移動範囲を規制するストッパ部材30の端部が収容される。
As shown in FIG. 4B, a
動力伝達機構12は、駆動軸10aの先端に圧入固定される太陽歯車13と、太陽歯車13に噛合する2個の遊星歯車14と、遊星歯車14に噛合する内歯車15とを有する。遊星歯車14はキャリア16の空間16dにおいて、前側部材16bおよび後側部材16cに固定される支軸14aにより回転可能に支持される。内歯車15は、ハウジング2の内周面に固定されている。
The
以上のように構成した動力伝達機構12により、駆動軸10aの回転が、太陽歯車13の歯数と内歯車15の歯数との比に基づいて減速されるとともに、その回転トルクが増大される。これによりキャリア16およびスピンドル11を低速高トルクで駆動できるようになる。
With the
回転打撃工具1の回転打撃機構は、スピンドル11、キャリア16、主ハンマ20、副ハンマ21およびばね部材23によって構成される。スピンドル11は円柱状に形成され、その先端には、小径の突起部11aがスピンドル11の軸線と同軸に形成される。突起部11aは、アンビル22の後部に形成した円柱状の内部空間を有する孔に回転可能な状態で挿入される。
The rotary hitting mechanism of the
スピンドル11の外周には、略円盤状であって中心部に貫通孔を形成した鋼製の主ハンマ20が装着される。主ハンマ20の前面には、アンビル22に向けて突出する一対のハンマ爪20aが形成される。主ハンマ20は、スピンドル11の回転軸線を中心に回転可能であり、且つスピンドル11の回転軸線方向すなわち前後方向に移動可能となるように、スピンドル11に取り付けられる。これにより主ハンマ20は、アンビル22に対して回転打撃力を加えられるようになる。副ハンマ21は鋼製の円筒部材として形成され、環状仕切部21eにより前部21aと後部21bに仕切られる。副ハンマ21は、前部21aの内部空間に主ハンマ20を収容する。
On the outer periphery of the
副ハンマ21と主ハンマ20は、一体となって回転する一体回転機構を備える。図2を参照して、主ハンマ20は、その外周面に、断面が半円形でスピンドル11の回転軸線と平行な4つの第1ピン溝20dを備える。また副ハンマ21は、前部21aの内周面に、断面が半円形でスピンドル11の回転軸線と平行な4つの第2ピン溝21cを備える。ここで副ハンマ21の4つの第2ピン溝21cは、主ハンマ20の4つの第1ピン溝20dに対応する位置に形成される。第1ピン溝20dは、主ハンマ20の外周面において90度の間隔で形成されてよく、このとき第2ピン溝21cは、副ハンマ21の内周面において90度の間隔で形成される。
The
第2ピン溝21cには、円柱部材である係合ピン26が配設される。係合ピン26は、針状コロであってよい。係合ピン26は、副ハンマ21の前端側から第2ピン溝21cに挿入され、溝底部まで差し込まれる。係合ピン26を溝底部まで差し込んだ状態で、副ハンマ21の内周面に形成された環状溝21dに、係合ピン26の抜け止め機能をもつ止め部材27が嵌め込まれる。止め部材27が環状溝21dに配設されることで、第2ピン溝21cにおける係合ピン26の移動が制限される。
An
組付時、副ハンマ21の4つの第2ピン溝21cに4つの係合ピン26を取り付けた状態で、主ハンマ20の4つの第1ピン溝20dと4つの係合ピン26の位置を合わせて、主ハンマ20を副ハンマ21に挿入する。これにより主ハンマ20と副ハンマ21とは、スピンドル11の回転軸線を中心として一体となって回転可能となる。
At the time of assembly, the four
主ハンマ20は後部側に、環状の凹部20cを有する。ばね部材23は、主ハンマ20の凹部20cと、副ハンマ21の環状仕切部21eとの間に介装される。主ハンマ20は係合ピン26をガイドとして前後方向に移動可能であり、ばね部材23の付勢力によりアンビル22に回転打撃力を加えることができる。
The
スピンドル11は、その外周面に2つの第1案内溝11bを備え、主ハンマ20は、貫通孔の内周面に2つの第1係合溝20bを備える。2つの第1案内溝11bは同一形状を有して周方向に並べて設けられ、また2つの第1係合溝20bは同一形状を有して周方向に並べて設けられる。スピンドル11の外周に主ハンマ20を装着した状態で、第1案内溝11bおよび第1係合溝20bの間には鋼球19が配置される。スピンドル11側の第1案内溝11bと、主ハンマ20側の第1係合溝20bと、両者の間に配置された鋼球19は「第1カム構造」を構成する。2つの鋼球19は、主ハンマ20がスピンドル11の回転軸線を中心に回転可能且つ回転軸線方向に移動可能となるように主ハンマ20を径方向に支持する。
The
スピンドル11よりも大径のキャリア16は、前側部材16bの前面外周に3つの第2案内溝16aを備え、副ハンマ21は、環状仕切部21eの後面に3つの第2係合溝21fを備える。3つの第2案内溝16aは同一形状を有して周方向に並べて設けられ、また3つの第2係合溝21fは同一形状を有して周方向に並べて設けられる。副ハンマ21にスピンドル11を挿入した状態で、第2案内溝16aおよび第2係合溝21fの間には鋼球17が配置される。鋼球17は製造コストの観点から、鋼球19と同一の鋼球であることが好ましい。つまり鋼球17は鋼球19と同じ材料で形成されて、同じ大きさを有すること好ましい。キャリア16側の第2案内溝16aと、副ハンマ21側の第2係合溝21fと、両者の間に配置された鋼球17は「第2カム構造」を構成する。3つの鋼球17は、副ハンマ21がスピンドル11の回転軸線を中心に回転可能且つ回転軸線方向に移動可能となるように副ハンマ21を回転軸線方向に支持する。
The
第1カム構造において、第1案内溝11bは、工具先端側からみてV字ないしはU字形状に形成されている。つまり第1案内溝11bは、最前部から対称に後斜め方向に傾斜する2つの傾斜溝をもつ。第1係合溝20bは、工具先端側からみて逆向きのV字ないしはU字形状に形成されている。鋼球19が第1案内溝11bの最前部から傾斜溝に沿って移動すると、主ハンマ20はスピンドル11に対して相対的に後退することになる。
In the first cam structure, the
第2カム構造において、第2案内溝16aは、工具後端側からみてV字ないしはU字形状に形成されている。つまり第2案内溝16aは、最後部から対称に前斜め方向に傾斜する2つの傾斜溝をもつ。第2係合溝21fは、工具後端側からみて逆向きのV字ないしはU字形状に形成されている。鋼球17が第2案内溝16aの最後部から傾斜溝に沿って移動すると、副ハンマ21はキャリア16に対して相対的に前進することになる。
In the second cam structure, the
このように第1案内溝11bと第2案内溝16aは、回転軸線方向において互いに異なる向きに延びる傾斜溝を備えて形成される。第1カム構造および第2カム構造により、主ハンマ20が回転軸線方向に移動すると、主ハンマ20と一体回転する副ハンマ21が主ハンマ20の移動方向とは逆方向に移動する構成が実現される。つまり回転軸線方向において主ハンマ20が後退するときには副ハンマ21が前進し、主ハンマ20が前進するときには副ハンマ21が後退する。
Thus, the
ストッパ部材30は主ハンマ20とキャリア16の間に配置されて、第1カム構造における鋼球19および第2カム構造における鋼球17がそれぞれの傾斜溝の端部に衝突しないように、主ハンマ20の回転軸線方向の移動範囲を規制する。円筒形状のストッパ部材30は樹脂などの弾性材料で形成されて、スピンドル11に外嵌される。主ハンマ20は後方側にスピンドル11を環囲する環囲部を有しており、ストッパ部材30の前端部が、後退する主ハンマ20の環囲部後端に当接することで、主ハンマ20の移動を制限する。実施形態において、ストッパ部材30の後端部は、キャリア16の前面に設けられた溝16eに収容される。
The
主ハンマ20に係合するアンビル22は鋼製であり、鋼製もしくは黄銅製の滑り軸受を介してハウジング2に回転自在に支持されている。アンビル22の先端には、6角ボルトの頭部や6角ナットに装着するソケット体を取り付けるための、断面が四角形状の工具装着部22aが設けられる。
The
アンビル22の後部には、主ハンマ20の一対のハンマ爪20aに係合する一対のアンビル爪が設けられる。一対のアンビル爪は、それぞれ断面扇形の柱状部材として形成される。なおアンビル22のアンビル爪および主ハンマ20のハンマ爪20aは、必ずしも2個である必要はなく、それぞれの爪の数が等しければ、アンビル22および主ハンマ20の周方向に等間隔に3個以上設けてもよい。
A rear portion of the
次に、実施形態の回転打撃工具1における第1カム構造の動作を説明する。
ユーザによる操作スイッチ4の引き操作により駆動部10が回転駆動すると、動力伝達機構12を介してキャリア16およびスピンドル11が回転する。スピンドル11の回転力は、スピンドル11の第1案内溝11bと主ハンマ20の第1係合溝20bの間に嵌め込まれた鋼球19を介して主ハンマ20に伝達され、主ハンマ20および副ハンマ21が一体となって回転する。
Next, operation | movement of the 1st cam structure in the
When the
図5(a)は、ボルトやナットの締め付け開始直後の第1カム構造の状態を示し、図5(b)は、締め付け開始から時間経過後の第1カム構造の状態を示す。なお図5(b)は、図5(a)に示す第1カム構造の初期状態と比較するための比較図であり、鋼球19が第1案内溝11bの最前部から溝端部に向かって移動する様子を示している。この比較図では、鋼球19が溝端部近傍まで移動している様子が示されているが、実施形態では後述するように、第1カム構造よりも第2カム構造の周方向可動域が狭いために、鋼球19は溝端部手前を可動限界として移動する。
FIG. 5A shows the state of the first cam structure immediately after the start of tightening of the bolts and nuts, and FIG. 5B shows the state of the first cam structure after a lapse of time from the start of tightening. FIG. 5B is a comparative view for comparison with the initial state of the first cam structure shown in FIG. 5A, and the
図6(a)〜図6(c)は、主ハンマ20とアンビル22の係合面を周方向に模式的に展開した位置関係を示す。ここで図6(a)は、ボルトやナットの締め付け開始直後の主ハンマ20のハンマ爪20aとアンビル22のアンビル爪22bとの係合状態を示している。
6A to 6C show a positional relationship in which engagement surfaces of the
図6(a)〜図6(c)に示すように、主ハンマ20には、駆動部10の回転による回転力Aが矢印で示す方向に加わる。また主ハンマ20には、ばね部材23による前進方向の付勢力Bが矢印で示す方向に加わる。
As shown in FIGS. 6A to 6C, the
主ハンマ20が回転すると、ハンマ爪20aとアンビル爪22bとの周方向の係合により、主ハンマ20の回転力がアンビル22に伝達される。そしてアンビル22の回転によって、工具装着部22aに取付けられたソケット体(図示せず)が回転し、ボルトやナットに回転力を与えて初期の締め付けが行われる。ばね部材23が主ハンマ20に対して付勢力Bを加えているため、鋼球19は、図5(a)に示すように、第1案内溝11bにおける最前部に位置する。このときハンマ爪20aとアンビル爪22bとは、最大係合長で係合した状態にある。
When the
ボルトやナットの締め付けが進むに伴ってアンビル22に加わる負荷トルクが大きくなると、主ハンマ20にY方向の回転力が生じる。そして負荷トルクが所定値を超えると、ばね部材23の付勢力Bに抗して、鋼球19が第1案内溝11bおよび第1係合溝20bの斜面に沿って矢印Fで示す方向に移動し、主ハンマ20が後退する方向(X方向)に移動する。
If the load torque applied to the
そして鋼球19が傾斜溝内を移動して、主ハンマ20がX方向に、ハンマ爪20aとアンビル爪22bとの最大係合長分の距離を移動すると、図6(b)に示すように、ハンマ爪20aとアンビル爪22bとの係合が解除される。
When the
ハンマ爪20aがアンビル爪22bから外れると、押し縮められたばね部材23の付勢力Bが開放されることによって、主ハンマ20は高速で、回転力Aが加えられている方向に回転しながら、付勢力Bにより前進する。
When the
そして図6(c)に示すように、ハンマ爪20aが、矢印Gで示す軌跡で移動してアンビル爪22bに衝突し、アンビル22に回転方向の打撃力を付与する。その後、反動によりハンマ爪20aは、軌跡Gとは逆方向に移動するが、最終的には、回転力Aおよび付勢力Bにより図6(a)に示す状態に戻る。以上の動作が高速で繰り返され、主ハンマ20による回転打撃力がアンビル22に対して繰り返し付与される。
Then, as shown in FIG. 6C, the
以上はボルトやナットを締め付ける際の動作についての説明であるが、締め付けられたボルトやナットを緩める際にも、回転打撃機構により締め付け時と同様の動作が行われる。この場合、駆動部10を締め付け時とは逆方向に回転させることにより、鋼球19が図5(a)に示す第1案内溝11bに沿って右上方に移動し、ハンマ爪20aがアンビル爪22bを、締め付け時とは逆方向に打撃する。
The above is the description of the operation when tightening the bolt or nut, but when the tightened bolt or nut is loosened, the same operation as when tightening is performed by the rotary impact mechanism. In this case, by rotating the
実施形態の回転打撃工具1はダブルハンマ構成を採用するため、回転方向の衝撃の大きさは、主ハンマ20および副ハンマ21の合計の慣性モーメントに比例する一方で、回転軸線方向の衝撃の大きさは、主ハンマ20の質量に比例する。回転打撃工具1によれば、副ハンマ21の質量を主ハンマ20の質量よりも大きくすることで、主ハンマ20がアンビル22に回転打撃力を付与した際に回転軸線方向に生じる衝撃力を低減できる。
Since the
主ハンマ20および副ハンマ21の合計の質量をもつ1つのハンマを用いた回転打撃工具と比較すると、実施形態の回転打撃工具1は、回転方向の衝撃の大きさをそのままに、回転軸線方向の衝撃の大きさを低減する。主ハンマ20の質量を副ハンマ21の質量と比較してできるだけ小さくすることで、回転軸線方向に生じる衝撃力をより小さくすることが可能となる。
Compared with the
さらに実施形態では、慣性モーメントの大きさが回転半径の2乗に比例することを利用して、慣性モーメントの増大を図っている。すなわち質量の大きい副ハンマ21を主ハンマ20の外周側に設けることで、副ハンマ21の慣性モーメントを大きくし、ダブルハンマによる回転方向の衝撃力を増大させている。
Furthermore, in the embodiment, the moment of inertia is increased by utilizing the fact that the magnitude of the moment of inertia is proportional to the square of the radius of rotation. That is, by providing the
次に、第2カム構造の動作について説明する。第2カム構造は、主ハンマ20の回転軸線方向の動きとは逆向きに副ハンマ21を動かすことで、主ハンマ20により回転軸線方向に生じる衝撃を相殺して、ハウジング2に伝達される振動をさらに低減する役割をもつ。
Next, the operation of the second cam structure will be described. In the second cam structure, the
副ハンマ21は主ハンマ20と一体となって回転するため、副ハンマ21と主ハンマ20の周方向における相対位置は変化しない。そのため第1カム構造において鋼球19が第1案内溝11bの溝端部に向けて移動すると、第2カム構造においても鋼球17が第2案内溝16aの溝端部に向けて移動する。
Since the
図7(a)は、ボルトやナットの締め付け開始直後の第2カム構造の状態を示し、図7(b)は、締め付け開始から時間経過後の第2カム構造の状態を示す。第1カム構造において鋼球19が第1案内溝11bの最前部に位置するとき(図5(a)参照)、第2カム構造において鋼球17は、第2案内溝16aの最後部に位置する(図7(a)参照)。
FIG. 7A shows the state of the second cam structure immediately after the start of tightening of the bolts and nuts, and FIG. 7B shows the state of the second cam structure after a lapse of time from the start of tightening. When the
それから第1カム構造において鋼球19が第1案内溝11bの最前部から傾斜面に沿って移動すると、第2カム構造においても、鋼球17が第2案内溝16aの最後部から傾斜面に沿って移動する。図7(b)は、鋼球17が第2案内溝16aを移動している様子を示す。このとき副ハンマ21は、主ハンマ20の移動方向(X方向)とは逆方向に移動する。つまり主ハンマ20が後退すると、副ハンマ21は前進する。
Then, when the
このように回転打撃工具1は、第1カム構造および第2カム構造により、主ハンマ20が回転軸線方向に移動すると、副ハンマ21が主ハンマ20の移動方向とは逆方向に移動するように構成されている。副ハンマ21が主ハンマ20の移動に同期して、主ハンマ20の移動方向とは逆方向に動くことで、主ハンマ20の軸線方向の動きにより生じる振動を吸収でき、ユーザの手に伝わる振動を低減できる。
As described above, the
実施形態の第1カム構造と第2カム構造の周方向の可動域を比較する。実施形態では、第1カム構造が、キャリア16よりも小径のスピンドル11の外周面に、周方向に2つ並べて設けられている。そのため2つの第1案内溝11bを、スピンドル11の外周面のほぼ全周にわたって形成すると、第1案内溝11bの1つの傾斜溝の周方向可動域は略90度となる。一方、第2カム構造は、スピンドル11よりも大径のキャリア16の前面外周に周方向に3つ並べて設けられている。そのため3つの第2案内溝16aを、キャリア16の前面外周のほぼ全周にわたって形成すると、第2案内溝16aの1つの傾斜溝の周方向可動域は略60度となる。
The range of motion in the circumferential direction of the first cam structure and the second cam structure of the embodiment is compared. In the embodiment, two first cam structures are provided side by side in the circumferential direction on the outer peripheral surface of the
以上のように周方向可動域は、第2カム構造の方が狭い。このことは、第2カム構造の方が第1カム構造よりも先に可動限界に達することを意味する。そのため回転打撃工具1では、第2案内溝16aにおいて鋼球17が可動限界まで移動する前にハンマ爪20aとアンビル爪22bとの係合が解除されるように、第1カム構造および第2カム構造が形成されている。
As described above, the circumferential movable range is narrower in the second cam structure. This means that the second cam structure reaches the movable limit earlier than the first cam structure. Therefore, in the
図8は、第1カム構造および第2カム構造において鋼球が移動したときの回転打撃機構の概略断面図を示す。この例では、主ハンマ20がスピンドル11に対して移動量Mだけ後退し、副ハンマ21がキャリア16に対して移動量Nだけ前進している。主ハンマ20の回転軸線方向の移動量Mと副ハンマ21の回転軸線方向の移動量Nは、それぞれ第1カム構造および第2カム構造の形状によって規定される。軸線方向の振動を好適に打ち消し合うための両者の移動量の比は、主ハンマ20と副ハンマ21との質量比に依存するため、第1カム構造および第2カム構造の形状は、主ハンマ20と副ハンマ21との質量比に応じて設計される。
FIG. 8 is a schematic cross-sectional view of the rotary impact mechanism when the steel ball moves in the first cam structure and the second cam structure. In this example, the
図6(b)に関して説明したように、主ハンマ20の移動量Mが、ハンマ爪20aとアンビル爪22bとの最大係合長分の距離に達すると、ハンマ爪20aとアンビル爪22bとの係合が解除される。上記したように、副ハンマ21の移動量Nが可動限界に達する前に、主ハンマ20の移動量Mが、ハンマ爪20aとアンビル爪22bとの最大係合長分の距離に達するように、第1カム構造および第2カム構造は形成されている。
As described with reference to FIG. 6B, when the movement amount M of the
一方で、主ハンマ20および副ハンマ21は一体回転しながら回転軸線方向に高速で往復運動するため、慣性力により主ハンマ20が最大係合長分の距離を超えて後退する可能性がある。このとき第2カム構造において鋼球17が第2案内溝16aの溝端部に衝突すると、その衝撃がユーザに伝わり好ましくない。そこで回転打撃工具1は、鋼球17が第2カム構造における傾斜溝端部に衝突しないように、主ハンマ20とキャリア16の間にストッパ部材30を配置して、主ハンマ20の回転軸線方向の移動範囲を規制する。図9は、スピンドル11に円筒形状のストッパ部材30を装着した状態を示す。なおストッパ部材30の内周面はスピンドル11の外周面に接するが、固定はされない。
On the other hand, since the
図8および図9に示すように、ストッパ部材30はスピンドル11を環囲するように設けられ、主ハンマ20の後退方向の移動範囲を規制する。具体的にストッパ部材30は、主ハンマ20の後退時に鋼球17が第2カム構造における傾斜溝端部に衝突する前に、主ハンマ20の環囲部後端に当接することで主ハンマ20の後退を止める。
As shown in FIGS. 8 and 9, the
このときストッパ部材30には大きな衝撃が加えられるため、ストッパ部材30の軸線方向の強度は高く設定される必要がある。軸線方向強度は、ストッパ部材30の軸長が長いほど高くなるが、キャリア16の前面上にストッパ部材30を配置すると、スピンドル11の軸長を、その分だけ長くしなければならない。そこで実施形態では、キャリア16の前側部材16bに円形の溝16eを掘り、ストッパ部材30の少なくとも一部を溝16eに収容することで、ストッパ部材30の長い軸長を確保している。なお溝16eの底部には、溝16eの内径よりも径方向外側に張り出した張出部16fが形成されており、ストッパ部材30の後端は、張出部16fにより支持される。
At this time, since a large impact is applied to the
実施形態のダブルハンマ構成では、キャリア16の前側部材16bが副ハンマ21を3つの鋼球17を介して支持する構造をとり、強度確保のために前側部材16bの厚みが大きく設定されている。そこで前側部材16bの前面から回転軸線方向に円形の溝16eを切り欠いて形成することで、ストッパ部材30の収容スペースを確保してスピンドル11の短軸化を実現し、さらに前側部材16bの軽量化も実現している。
In the double hammer configuration of the embodiment, the
なお溝16eの径方向幅は、ストッパ部材30の径方向幅より大きく形成されることが好ましい。これによりストッパ部材30を溝16eに容易に挿入できるようになる。なおストッパ部材30の内径は、スピンドル11の外径と同じか、または若干大きくてよい。
The radial width of the
一方で溝16eの径方向幅は、ストッパ部材30の径方向幅より大きすぎないように形成されることが好ましい。ストッパ部材30は弾性材料で形成されているため、主ハンマ20の衝突により径方向に膨らむように変形する。このとき一部が局所的に大きく変形することは好ましくないため、ストッパ部材30の外径と溝16eの外径との間の隙間は、ストッパ部材30の径方向幅より小さく設定されて、ストッパ部材30の一部の過剰な変形を抑制することが好ましい。ストッパ部材30の外径と溝16eの外径との間の隙間は、ストッパ部材30の径方向幅の半分以下に設定されることが好ましく、たとえばストッパ部材30の径方向幅の20%〜40%の範囲で設定されることが好ましい。
On the other hand, the radial width of the
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。 The present invention has been described based on the embodiments. This embodiment is an exemplification, and it will be understood by those skilled in the art that various modifications can be made to each component or combination of each processing process, and such modifications are within the scope of the present invention. .
回転打撃工具1では、ストッパ部材30の端部を、キャリア前面に形成された円形の溝16eに収容することで、ストッパ部材30の長い軸長を確保しつつ、スピンドル11の長軸化を回避している。なお溝16eに収容される部材は、樹脂材料で形成されたストッパ部材30に限らず、主ハンマ20とキャリア16の間に配置される別の部材であってもよい。別の部材であっても、少なくとも一部が溝16eに収容されることで、部材の軸長を確保しつつ、スピンドル11の長軸化を回避できる。たとえば別の部材は、主ハンマ20の後退力減衰用のばね部材であってもよい。なお溝16eに収容される部材は、主ハンマ20の後退時に進入する主ハンマ20の環囲部後端であってもよい。
In the
また実施形態では、キャリア16に形成した溝16eの作用を、主ハンマ20と副ハンマ21とが回転軸線方向において互いに逆方向に移動するダブルハンマ構成の回転打撃工具1に関して説明した。しかしながら回転打撃工具の種類はこれに限定されず、たとえばダブルハンマ構成であっても、主ハンマ20のみが回転軸線方向に移動し、副ハンマ21は回転軸線方向に移動しない回転打撃工具のキャリアに溝16eを形成してもよい。また副ハンマが存在しない従来型のシングルハンマ構成の回転打撃工具であっても、キャリアに溝16eを形成することで、スピンドルの長軸化を回避することができる。
In the embodiment, the operation of the
なお実施形態では、円形の溝16eの内径がスピンドル11の外径と等しいことを説明したが、溝16eの内径はスピンドル11の外径より大きくてもよい。この場合、ストッパ部材30の内径も、溝16eの内径にあわせてスピンドル11の外径より大きくなり、組付時にストッパ部材30を溝16eに挿入しやすくなる利点がある。
In the embodiment, it has been described that the inner diameter of the
またストッパ部材30の前端部には金属製の円板状部材が配置されて、この円板状部材が、主ハンマ20の後端部の衝突を直接受け止めるようにしてもよい。
Further, a metal disk-shaped member may be disposed at the front end portion of the
本発明の一態様の概要は、次の通りである。
本発明のある態様の回転打撃工具(1)は、スピンドル(11)と、スピンドルの後端側に位置して動力伝達用の歯車を収容するキャリア(16)と、スピンドルの回転軸線を中心に回転可能且つ回転軸線方向に移動可能なハンマ(20)と、ハンマとキャリアの間に配置される部材(30)とを備える。キャリア(16)の前面には、部材の端部を収容するための溝(16e)がキャリア外周よりも内側に設けられる。
The outline of one embodiment of the present invention is as follows.
A rotary impact tool (1) according to an aspect of the present invention includes a spindle (11), a carrier (16) that is located on the rear end side of the spindle and accommodates a power transmission gear, and a rotation axis of the spindle. A hammer (20) that is rotatable and movable in the direction of the rotation axis, and a member (30) disposed between the hammer and the carrier are provided. On the front surface of the carrier (16), a groove (16e) for accommodating the end of the member is provided inside the carrier outer periphery.
溝(16e)は、スピンドルの回転軸線を中心とする円形溝であってよい。また円形溝の内径は、スピンドルの外径と等しくてよく、またスピンドルの外径より大きくてもよい。部材(30)は、ハンマ(20)の回転軸線方向の移動範囲を規制するストッパ部材であってよいが、別の部材であってもよい。 The groove (16e) may be a circular groove centered on the rotation axis of the spindle. The inner diameter of the circular groove may be equal to the outer diameter of the spindle, or may be larger than the outer diameter of the spindle. The member (30) may be a stopper member that regulates the movement range of the hammer (20) in the rotation axis direction, but may be another member.
1・・・回転打撃工具、11・・・スピンドル、16・・・キャリア、16b・・・前側部材、16e・・・溝、16f・・・張出部、20・・・主ハンマ、23・・・ばね部材、30・・・ストッパ部材。
DESCRIPTION OF
Claims (5)
前記キャリアの前面には、前記部材の端部を収容するための溝がキャリア外周よりも内側に設けられる、
ことを特徴とする回転打撃工具。 A spindle, a carrier that is located on the rear end side of the spindle and accommodates a power transmission gear, a hammer that can rotate about the rotation axis of the spindle and move in the direction of the rotation axis, the hammer, and the carrier A rotary striking tool comprising a member disposed between,
On the front surface of the carrier, a groove for accommodating the end of the member is provided on the inner side of the carrier outer periphery.
Rotating impact tool characterized by that.
ことを特徴とする請求項1に記載の回転打撃工具。 The groove is a circular groove centered on the rotation axis of the spindle.
The rotary impact tool according to claim 1.
ことを特徴とする請求項2に記載の回転打撃工具。 The inner diameter of the circular groove is equal to the outer diameter of the spindle,
The rotary impact tool according to claim 2.
ことを特徴とする請求項2に記載の回転打撃工具。 The inner diameter of the circular groove is larger than the outer diameter of the spindle,
The rotary impact tool according to claim 2.
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の回転打撃工具。 The member is a stopper member that regulates a movement range of the hammer in the rotation axis direction.
The rotary impact tool according to any one of claims 1 to 4.
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