JP2018051607A - レーザ溶接装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のレーザ光を用いたレーザ溶接において、スパッタ発生を抑制することが可能なレーザ溶接装置を提供すること。【解決手段】本発明は、2つの部材を接合する溶接部10cの表面にレーザ光を照射し、前記2つの部材を接合するレーザ溶接装置1であって、レーザ発振器から発振されたレーザ光100を、溶接部10cの表面における中心に照射する第1のレーザ光200aと、溶接部10cの表面における第1のレーザ光200aの中心を基準とする同心円30上に中心が配置されるように照射する複数の第2のレーザ光200b〜200iと、に分散して出力する回折光学素子20を備え、溶接部10cの表面における同心円30の半径は、溶接部10cの表面における第1のレーザ光200aの半径の2倍以上で、かつ、4倍以下であるレーザ溶接装置である。【選択図】図3

Description

本発明は、レーザ溶接装置に関する。
2つの金属部品(部材)をレーザ光により溶接するレーザ溶接装置およびレーザ溶接方法は広く用いられている。レーザ溶接は、溶接する2つの部材の溶接部分に集光したレーザ光を照射し、レーザの熱により部材の溶接部分を溶融させる。そして、溶融させた溶接部分が凝固することで複数の部材が溶接される。レーザ溶接に関する関連する技術としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1には、複数のレーザ光によって2つの金属部品を溶接することが開示されている。
特開2016−002562号公報
ここで、モータのコイルの端部(コイルエンド)の様に、例えば、4mm四方の微小面をレーザ溶接する場合を想定する。この場合、スパッタが発生するという問題がある。スパッタは溶接する際に照射するレーザの熱によって、溶融された部材が形成する溶融池から噴出することにより発生する。スパッタが発生すると、溶融した部材がワーク上に堆積することになる。その結果、スパッタが発生すると強度不足等の品質不良を引き起こす虜がある。
特許文献1に記載されたレーザ溶接装置では、複数のレーザ照射手段を備え、複数のレーザ光により2つの部材を溶接することが開示されている。しかしながら、スパッタ発生を抑制する構成とはなっていない。このように、複数のレーザ光を用いたレーザ溶接において、スパッタ発生を抑制することは課題となる。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、複数のレーザ光を用いたレーザ溶接において、スパッタ発生を抑制することが可能なレーザ溶接装置を提供することを目的とする。
本発明の1態様は、2つの部材を接合する溶接部の表面にレーザ光を照射し、前記2つの部材を接合するレーザ溶接装置であって、レーザ発振器から発振されたレーザ光を、前記溶接部の表面における中心に照射する第1のレーザ光と、前記溶接部の表面における前記第1のレーザ光の中心を基準とする同心円上に中心が配置されるように照射する複数の第2のレーザ光と、に分散して出力する回折光学素子を備え、前記溶接部の表面における前記同心円の半径は、前記溶接部の表面における前記第1のレーザ光の半径の2倍以上で、かつ、4倍以下である、レーザ溶接装置である。
このような構成によれば、複数のレーザ光を用いたレーザ溶接において、スパッタ発生を抑制することが可能となる。
本発明によれば、複数のレーザ光を用いたレーザ溶接において、スパッタ発生を抑制することが可能なレーザ溶接装置を提供することができる。
2つの部材をレーザ光により溶接した部分の側面図である。 2つの部材をレーザ光により溶接した部分の断面図である。 実施の形態1にかかるレーザ溶接装置を模式した模式図である。 溶接部における各レーザ光の配置について説明する説明図である。 溶接部における各レーザ光の断面図である。 回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置による場合の溶融池内の対流を説明する説明図である。 実施の形態1にかかるレーザ溶接装置を用いた場合の溶融池内の対流を説明する説明図である。 回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置を用いたCAE評価におけるレーザ光の配置を説明する説明図である。 実施の形態1にかかるレーザ溶接装置を用いたCAE評価におけるレーザ光の配置を説明する説明図である。 回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置を用いたCAE評価の結果を示す図である。 回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置を用いたCAE評価の結果を示す図である。 回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置を用いたCAE評価の結果を示す図である。 実施の形態1にかかるレーザ溶接装置を用いたCAE評価の結果を示す図である。 実施の形態1にかかるレーザ溶接装置を用いたCAE評価の結果を示す図である。 実施の形態1にかかるレーザ溶接装置を用いたCAE評価の結果を示す図である。 実施の形態2にかかるレーザ溶接装置を説明する説明図である。 実施の形態2にかかるレーザ溶接装置が照射するレーザ光を表した模式図である。 実施の形態2にかかるレーザ溶接装置を用いたときの2つの部材の接合部分を表す図である。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1の説明に先立って、スパッタ発生のメカニズムについて説明する。図1は、2つの部材をレーザ光により溶接部分の側面図である。以降の図面を説明するために、xyz軸を設けて説明を行う。z軸プラス向きが鉛直上向き、xy平面が水平面とする。なお、図1〜図7においてもxyz軸は一致しているものとする。図1に示す様に、レーザ溶接は、レーザ光により2つの金属を溶接する際、図示しないレーザ溶接装置から照射されたレーザ光100を部材10aと部材10bとを突き合わせた溶接部10cの表面に照射する。溶接部10cは、レーザ光の熱により溶融する。その後、溶融した部材が凝固することにより2つの部材を接合する。
図2は、溶接部10cを紙面と平行な面で切った断面を表す断面図である。図1における一点鎖線で囲まれた部分を紙面と平行な面で切った断面を拡大した図である。図2は、レーザ光100を溶接部10cに照射したときの断面図であり、レーザ光100をx軸正方向から負方向に移動した後の状態を表す図である。図2に示す様に、レーザ光100を溶接部10cの表面に照射すると、レーザ光100が照射された部材の表面から部材のz軸負の方向に向けて空洞(キーホール10d)が形成される。キーホール10dの周りは、レーザ光100の熱により部材が溶融し、溶融池10eを形成する。ここで、溶融池10e内の溶融した部材を溶融部と言う。また、溶融池10eの周辺は、レーザ光100の熱が届かないため溶融せず固体のままである。溶融部の周辺の固体の部分を固体部10fと言う。図2に示す様に、レーザ光100を溶接部10cに照射すると、溶融部は、レーザ光100の圧力により、溶融池10eの中で対流が起こる。この対流は、図2の矢印の様な対流であり、溶融部が固体部10fとの境界でレーザ光が照射された表面に向かって上昇する。つまり、z軸正方向の流れが生じることになる。その結果、溶融部の一部(図2における溶融された部材10g)がスパッタとして噴出する。スパッタ発生条件は、溶融部の垂直方向の運動エネルギーが、表面張力を超えた場合に発生する。なお、スパッタ発生条件を数式で表すと、以下の関係式のようになる。
ここで、Vz:溶融部の垂直上方への流速(溶融部のz軸正方向の流速)であり、R:溶融池10eの曲率半径であり、σ:溶融池10eの表面張力であり、ρ:溶融物密度である。
発明者らは、上記の様なスパッタ発生条件に基づいて、より具体的にスパッタが発生する条件を、レーザCAE(Computer Aided Engineering)により溶融池10eの挙動を確認することで分析を行った。その結果、スパッタは、溶融部の垂直上方への流速Vが1m/secを超過すると発生することを確認した。なお、この溶融部の垂直方向の流れの速さは、スパッタが発生する原因の一つである。
上記分析より、スパッタの発生を抑制するためには、溶融部の垂直上方への流速Vを1m/sec以下とする必要がある。そこで、以下の実施の形態にかかるレーザ溶接装置は、複数のレーザ光を用いたレーザ溶接装置でありながら、溶融部の垂直上方への流速Vを1m/sec以下に抑えることができる構成である。すなわち、複数のレーザ光を用いたレーザ溶接装置でありながら、スパッタの発生を抑制することができる構成である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態にかかるレーザ溶接装置1について説明する。本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を模式した模式図を図3に示す。レーザ溶接装置1は、部材を突き合わせた溶接部10cの表面にレーザ光を照射することにより、突き合わせた部材を溶融し、接合するレーザ溶接装置である。レーザ溶接装置1は、特に図示しないが、主に、レーザ光を発振させるためのレーザ発振器、レーザ発振器により発振したレーザ光を搬送する搬送器、上記光路が実現されるように光学要素が配置されている光学系を備える。また、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1は、さらに、回折光学素子(DOE)20を備える。
回折光学素子(DOE)20は、レーザ溶接装置1から発振されたレーザ光100を入力し、複数のレーザ光に分けて(分散させて)出力するレンズである。また、回折光学素子(DOE)20は、分散して出力するレーザ光を集光する。本実施の形態においては、回折光学素子(DOE)20は、発振器より発振されたレーザ光100が入力されると、溶接部10cの表面の中心に照射するレーザ光と、中心のレーザ光の周辺に8つのレーザ光とが配置されるように分けて出力するレンズである。具体的には、図3に示す様に、レーザ発振器から発振され、入力されたレーザ光100は、回折光学素子(DOE)20により、溶接部10cの表面の中心にレーザ光200aが照射されるように出力し、さらに、レーザ光200aの周辺に8つのレーザ光200b〜レーザ光200iが照射されるように分散して出力する。中心のレーザ光200aと、周辺のレーザ光200b〜レーザ光200iの分散の仕方については後述する。なお、上記では、回折光学素子(DOE)20は、レーザ光100を、レーザ光200aと、レーザ光200aの周辺に8つのレーザ光を分散させることとしたが、レーザ光200aの周辺に分散するレーザ光の数は8つに限られず、適宜変更をすることができる。
また、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1では、レーザ発振器から発振されたレーザ光100を、回折光学素子(DOE)20を用いてレーザ光200a〜レーザ光200iに分散して出力することから、溶接部10cの溶け込み深さが不足することが懸念される。そのため、本実施の形態1にかかるレーザ溶接装置1においては、レーザ光100の出力を最大出力とすることが好ましい。しかしながら、レーザ光100の出力は最大出力でなくてもよく、溶接部10cの溶け込み深さが所望する深さとなるような出力であれば良い。
次に、回折光学素子(DOE)20により分散された各レーザ光が溶接部10cの表面に照射する位置関係を説明する。つまり、回折光学素子(DOE)20がレーザ光100を分散(分配)する形状について説明する。図4は、溶接部10cの表面における各レーザ光の配置について説明する説明図である。図4は、図3を上方から見た(z軸正方向から負方向に見た)平面図である。回折光学素子(DOE)20は、溶接部10cの表面の中心に照射されるレーザ光200aと、その周辺に照射されるレーザ光200b〜レーザ光200iに分けて出力することから、溶接部10cに照射するレーザ光は合計9つとなる。レーザ光200aは、溶接部10cの表面の中心に照射されるため、溶接部10cのxy平面上では、レーザ光100と同じ位置に照射されることになる。また、レーザ光200b〜レーザ光200iは、溶接部10cの表面(xy平面上)において、レーザ光200aの中心を基準とする(中心を同じにする)同心円上に各々の中心が位置するように配置される。なお、この同心円を同心円30とする。ここで、xy平面上におけるレーザ光200aの円の半径を半径R1とし、同心円30の半径を半径R2とする。本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1においては、半径R2が半径R1の2倍以上、かつ、4倍以下の関係を満たす同心円上に、レーザ光200b〜レーザ光200iの中心が配置されるように分散させる。つまり、上記の関係を満たすような回折光学素子(DOE)20を用いる。
図5は、図4におけるレーザ光200a、レーザ光200dおよびレーザ光200hの中心を結んだxz平面で切った場合の断面図である。図5に示す様に、レーザ光200a、レーザ光200dおよびレーザ光200hが照射された溶接部10cは、レーザ光の熱により金属が溶融し、溶融池40a、溶融池40dおよび溶融池40hが形成される。当然ながら、他のレーザ光が照射された溶接部10cにはそれぞれ溶融池が形成される。図5に示す様に、溶融池40aおよび溶融池40d、溶融池40aおよび溶融池40hは、それぞれ一部が重なっている。つまり、中心の溶融池40aと周辺の溶融池の一部は重なるように配置されている。そのため、溶融池同士が重なっている部分には凸部41および凸部42が形成される。中心の溶融池40aと周辺の溶融池(溶融池40dおよび溶融池40h)との距離を離すことにより、凸部41および凸部42は徐々に抑制され、面積の広い溶融地を形成することが可能となる。つまり、中心のレーザ光200aとその周辺のレーザ光200b〜レーザ光200iとの距離を、上述の通り、半径R2が半径R1の2倍以上4倍以下の関係を満たすようにすることで、全てのレーザ光により形成される溶融池を、面積の広い溶融池とすることができる。すなわち、全てのレーザ光により形成される溶融池は、xz平面における断面が緩やかな半円弧の溶融池とすることができる。
次に、全レーザ光により形成される溶融池内の対流について説明する。説明をする上で、回折光学素子(DOE)を用いない場合と比較をして説明をする。図6は、回折光学素子(DOE)20を用いないレーザ溶接装置による場合の溶融池内の対流を説明する説明図である。また、図7は、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いた場合の溶融池内の対流を説明する説明図である。図6および図7は、共に溶接部10cをxz平面で切った断面を表す断面図である。また、図6および図7は、共にレーザ光を溶接部10cに照射した際の図であるが、前提として、レーザ光を溶接部10cのx軸正方向から負方向に走査した際の溶融地を表す図である。
図6に示す様に、回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置では、溶接部10cの表面にレーザ光が照射されると、キーホール50が生成され、その周辺には溶融池51が生成される。レーザ光をx軸正方向から負方向に走査しているため、形成された溶融池51の断面はx軸方向に広がった形状となっている。また、回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置の場合、レーザ発振器から発振されたレーザ光は分散されないため、溶接部10cに照射されるレーザ光は1本である。そのため、形成された溶融池51は、レーザ光の照射位置から離れた部分から徐々に凝固し、凝固部52が形成される。その結果、溶融池51は、凝固部52の分、断面の面積が狭まってくることになり、溶融池51の中には、段差53が形成される。そうすると、溶融池51の中の溶融部は、段差53により、溶融池51のx軸正方向の端部まで流れる対流とはならず、段差53により溶接部10cの表面に向けた対流となる。そのため、溶融部の垂直上方への流速Vが大きい対流となる。したがって、スパッタが発生し易い対流となる。
一方、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いた場合の対流について説明する。図7に示す様に、図6と同様にキーホール60は形成される。しかし、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1では、レーザ発振器から発振されたレーザ光は分散されるため、溶接部10cに照射されるレーザ光は9本である。形成された溶融池61は、回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置と同様に、レーザ光の照射位置から離れた部分から徐々に凝固してくるが、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1では、回折光学素子(DOE)20により分散された、周辺のレーザ光が存在する。その結果、凝固部が形成される前に、周辺のレーザ光により溶融されることになる。そのため、この場合、凝固部および段差が形成されず、形成される溶融池61の断面は、x軸正方向に広くなる。そうすると、溶融池61の中の溶融部は、溶融池61のx軸正方向の端部まで流れる対流となる。そのため、溶融部の垂直上方への流速Vは、回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置と比較すると小さい対流となる。したがって、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いた場合には、スパッタが発生し難い対流となる。
上述の通り、溶融部の垂直上方への流速Vが1m/secを超過すると、スパッタが発生することになるが、回折光学素子(DOE)20を用いて、かつ、各レーザ光の照射位置を調節することで、溶融部の垂直上方への流速Vを1m/sec以下とすることが可能となる。すなわち、スパッタ発生を抑制することができることになる。そこで、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1では、スパッタ発生を抑制するために、半径R2が半径R1の2倍以上4倍以下となるようにレーザ光100を分散する回折光学素子(DOE)20を用いる構成とする。その結果、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いると、照射するレーザ光が形成する溶融池は、xz平面における断面が緩やかな半円弧の溶融池とすることができ、スパッタ発生を抑制することができる。
このように、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1によれば、スパッタ発生を抑制することができる。上述の通り、半径R2が半径R1の2倍以上4倍以下となるように、レーザ光200a〜レーザ光200iを配置する回折光学素子(DOE)20を用いることで、溶融部の垂直上方への流速Vをスパッタが発生しない速度である1m/sec以下とすることが可能となる。したがって、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置によれば、スパッタ発生を抑制することができる。
上記効果を確認するために、実施の形態1にかかるレーザ溶接装置1を用いて、CAE評価を行った。また、回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置との比較も確認するため、回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置の場合のCAE評価も併せて実施した。なお、図8〜図15におけるxyz軸は一致しているものとして説明する。
回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置におけるレーザ光の配置を図8に示す。図8に示す様に溶接部10cに照射されるレーザ光は1本であり、図3および図4におけるレーザ光200aのみが存在する配置と同様である。レーザ移動速度は300mm/secとして、レーザ溶接装置のレーザ立ち上がりは40μsecとした。
一方、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いたCAE評価におけるレーザ光の配置を図9に示す。図9に示す様に、CAE評価におけるレーザ溶接装置1は、溶接部10cの中心にレーザ光200aを配置し、その周辺に8つのレーザ光200b〜レーザ光200iを同心円上に配置した。中心のレーザ光200aの径はφ90μm、周辺の8つのレーザ光の中心が配置される同心円30の径はφ200μmとした。また、レーザ移動速度は、回折光学素子(DOE)を用いない場合と同様に300mm/secとし、レーザ溶接装置のレーザ立ち上がりは40μsecとした。レーザ出力の分配は、全体のレーザ光の出力を1とした場合、中心のレーザ光200aに1/3が分配されるようにし、周辺のレーザ光200b〜レーザ光200iには2/3が分配され、各レーザ光の出力は8等分となるようにした。つまり、周辺の各レーザ光の出力は全体のレーザ出力の1/12となるようにした。
図10〜図12は、回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置を用いたCAE評価の結果である。図10および図11は、照射したレーザ光により溶融された領域を表す図である。図10は、xy平面における溶融領域を表す図である。また、図11は、図10の溶融された領域をyz平面で切った溶融領域の断面図を表す図である。図10に示す様に、照射したレーザ光により溶融池51が形成される。形成された溶融池51は、レーザ光の進行方向に向かって、レーザ光が照射される位置に近い端部(y軸方向の0から遠い端部)はx軸方向に広い溶融領域となる。一方、レーザ光が既に照射され、時間が経過した後の溶融領域(y軸方向の0に近い端部)は、徐々に凝固してくるためx軸方向の広さは徐々に狭くなってくる。そのため、xy平面における溶融池51は、レーザ光が照射されている位置に近い端部のx軸方向の幅w0とし、レーザ光が照射されている位置から遠い端部(y軸方向の0に近い端部)のx軸方向の幅w1とすると、w0>w1の関係となる。
また、図11に示す様に、溶融池51は、CAE評価によると深さd0は0.98mmとなり、使用したワークに対する所望の深さであり、溶け込み深さは問題ない結果となった。しかし、空孔54〜空孔56が生じる結果となった。空孔については溶接部10cの体積の5%以下が好ましい結果となるが、本CAE評価では、空孔が多数生じる結果となり、好ましい結果とはならなかった。
次に、図12は、溶融池51内のスパッタ吹き出し方向(z軸正方向)の速度分布を表す図である。黒色の部分が生じると、スパッタ吹き出し方向(z軸正方向)の速度成分が閾値である1mm/secを超過する部分が生じることを表している。図12に示す様に、回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置を用いたCAE評価では、速度の閾値1mm/secを超過する部分(点線で囲まれた部分)が生じる結果となった。つまり、この閾値を超過すると、スパッタが発生することになる。したがって、回折光学素子(DOE)を用いないレーザ溶接装置ではスパッタが発生する結果となった。
続いて、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いたCAE評価の結果を図13〜図15に示す。図13および図14は、照射したレーザ光により溶融された領域を表す図である。図13は、xy平面における溶融領域を表す図である。また、図14は、図13の溶融された領域をyz平面で切った溶融領域の断面図を表す図である。図13に示す様に、照射したレーザ光により溶融池61が形成される。形成された溶融池61は、回折光学素子(DOE)を用いない場合と同様に、レーザ光の進行方向に向かって、y軸方向の0から遠い端部はx軸方向に広い溶融領域となる。また、レーザ光が既に照射され、時間が経過した後の溶融領域(y軸方向の0に近い端部)は、徐々に凝固してくるためx軸方向の広さは徐々に狭くなってくる。しかし、本実施の形態1にかかるレーザ溶接装置では、回折光学素子(DOE)20を用いることから、中心のレーザ光に加えて周辺のレーザ光により溶融され、凝固する領域は狭くなる。そのため、xy平面における溶融池61は、レーザ光が照射されている位置に近い端部のx軸方向の幅w2とし、レーザ光が照射されている位置から遠い端部(y軸方向の0に近い端部)のx軸方向の幅w3とすると、w2とw3とは、ほぼ同じ大きさとなる。つまり、略矩形の溶融池となる。
また、図14に示す様に、溶融池61は、CAE評価によると深さd1となった。深さd1は、使用したワークに対する所望の深さであり、溶け込み深さは問題ない結果となった。さらに、本実施の形態においても空孔62および空孔63は生じることになるが、溶接部10cの体積の5%以下となり好ましい結果となった。
次に、図15は、溶融池61内のスパッタ吹き出し方向(z軸正方向)の速度分布を表す図である。図12と同様に、黒色の部分が生じると、スパッタ吹き出し方向(z軸正方向)の速度成分が閾値である1mm/secを超過する部分が生じることを表している。図15に示す様に、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いると、点線で囲まれた部分がz軸正方向の速度成分が測定されるが、総じて速度の閾値1mm/secを超過する部分は生じない結果となった。つまり、図12においては、速度の閾値1mm/secを超過する黒色の部分が生じるが、図15においては、速度の閾値1mm/secを超過する黒色の部分が生じない事を確認した。すなわち、スパッタの発生を抑制することを確認した。このように、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いると、スパッタ発生を抑制することができることをCAE評価においても確認することができた。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2にかかるレーザ溶接装置について説明するが、まず、レーザ溶接における課題事項を説明する。上述の通り、レーザ溶接における1つ目の課題事項はスパッタ発生である。スパッタ発生については、実施の形態1にかかるレーザ溶接装置1により解消することを説明した。また、レーザ溶接においては、別の課題事項が挙げられる。別の課題事項としてレーザ抜けである。レーザ溶接は、2つの部材を重ねて溶接する。この際、部材を量産する過程において、製品形状にバラツキが生じることになる。そのため、2つの部材の間に隙間を生じさせることなく重ね合せることは困難である。その結果、製品形状のバラツキにより、2つの部材の間の隙間が大きくなると、隙間にレーザ光が照射されることになる。これをレーザ抜けと呼ぶこととする。レーザ抜けが起こると、照射されたレーザ光により銅線の被膜の損傷を引き起こすことになる。
そこで、本課題を解決するために、実施の形態2にかかるレーザ溶接装置1は、スパッタ発生を抑制する構成としつつ、併せてレーザ抜けも抑制する構成である。
図16は、実施の形態2にかかるレーザ溶接装置1を説明する説明図である。本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1では、照射するレーザ光を2本生成する。図16に示す様に部材10aおよび部材10bをレーザ光により溶接する場合、部材10aおよび部材10bの製品形状にバラツキが生じると、隙間70が生じることになる。この場合、隙間70に近い位置にレーザ光を照射すると、隙間70にレーザ光が入り込むことになり、レーザ抜けが発生する。
そこで、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置は、隙間70からxy平面上で近い位置では無く、部材10aおよび部材10bの隙間70から離れた位置に2本のレーザ光300およびレーザ光301を照射する。部材10aおよび部材10bに照射したレーザ光により溶融池80および溶融池81は形成される。形成された溶融池80および溶融池81の溶融された部材により、部材10aおよび部材10bを溶接することが出来る。このように、xy平面上において、隙間70から離れた位置(x方向で離れた位置)にレーザ光300およびレーザ光301を照射することで隙間70に照射したレーザ光が入り込むことが無くなり、レーザ抜けが発生することを抑制する。
また、この構成であると、スパッタが発生することが懸念される。そのため、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1では、スパッタ発生を抑制することを目的として、照射するレーザ光300およびレーザ光301を、実施の形態1にかかるレーザ溶接装置にかかる回折光学素子(DOE)20を用いることで解消する。図17は、実施の形態2にかかるレーザ溶接装置1が照射するレーザ光を表した模式図である。図17に示す様に、実施の形態2にかかるレーザ溶接装置1は、回折光学素子(DOE)20を用いてレーザ光300およびレーザ光301を実施の形態1と同様に分散させる。そして、分散させたレーザ光300およびレーザ光301を部材10aおよび部材10bに照射する。その結果、実施の形態1と同様に、レーザ光300およびレーザ光301により形成される溶融池80の面積は広がる。そして、z軸の正方向の溶融部の垂直上方の流速Vを小さいものとし、スパッタ発生を抑制する
本実施の形態にかかるレーザ溶接装置によれば、レーザ抜けを抑制しつつ、併せてスパッタ発生も抑制することができる。その結果、銅線被膜の破損を防止することが可能となる。図18は、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いたときの2つの部材の接合部分を表す図である。図18に示す様に、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置1を用いることで、2つの部材の隙間にレーザビームが侵入することを抑制し、併せてスパッタ発生も抑制したものと考えられる。
さらに、本実施の形態にかかるレーザ溶接装置によれば、部材を量産する過程において、製品形状にバラツキが生じた場合でも、レーザ抜けを抑制しつつ、レーザ溶接を行うことが可能となる。その結果、部材の量産化に影響を与えることがないレーザ溶接装置とすることが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1 レーザ溶接装置
10a、10b、10g 部材
10c 溶接部
10d、50、60 キーホール
10e、40a、40d、40h、51、61、80、81、82 溶融池
10f 固体部
20 回折光学素子(DOE)
30 同心円
52 凝固部
53 段差
54〜56、62、63 空孔
70 隙間
100、200a〜200i、300、301 レーザ光

Claims (1)

  1. 2つの部材を接合する溶接部の表面にレーザ光を照射し、前記2つの部材を接合するレーザ溶接装置であって、
    レーザ発振器から発振されたレーザ光を、前記溶接部の表面における中心に照射する第1のレーザ光と、前記溶接部の表面における前記第1のレーザ光の中心を基準とする同心円上に中心が配置されるように照射する複数の第2のレーザ光と、に分散して出力する回折光学素子を備え、
    前記溶接部の表面における前記同心円の半径は、
    前記溶接部の表面における前記第1のレーザ光の半径の2倍以上で、かつ、4倍以下である、
    レーザ溶接装置。
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