(全体の概要)
図1には、眼科装置100が示されている。眼科装置100は、被検眼101の屈折特性を計測する。被検眼の屈折情報には、被検眼のS,C,A値や波面収差の情報が含まれる。被検眼の屈折情報は、例えば眼鏡やコンタクトレンズの処方、更には眼内レンズを選択する際に利用される。眼科装置100は、視標投影系10、角膜形状測定系を兼ねた前眼部観察系20、測定光投影系30、眼屈折特性検出系40を備えている。視標投影系10、前眼部観察系20、測定光投影系30、眼屈折特性検出系40は、対物レンズ103を共有している。
対物レンズ103は、屈折状態可変レンズの一例である。屈折状態可変レンズは、レンズ形状を制御可能で、透過する光の屈折の状態を可変できる。屈折状態可変レンズは、焦点距離の可変や収差の補正が可能である。対物レンズ103は、通常のガラスレンズと液体レンズを複合化した構造を有している。ここでは、1つの液体レンズと2枚のガラスレンズを用いて対物レンズ103を構成する場合を説明するが、液体レンズとガラスレンズの数は、ここで説明する数に限定されない。
図2には、対物レンズ103の断面構造(光軸に垂直な方向から見た断面の構造)が示されている。光軸の方向から見た対物レンズ103の形状は、円形の外観を有している。対物レンズ103は、一対のガラス基板121と122により構成されるガラスレンズと、ガラス基板121,122を基材(基板)として用いて構成された液体レンズ135により構成されている。なお、ガラス基板121,122の一方のみをレンズとし、他方を通常の板状のガラス板により構成することもできる。また、ガラス基板121,122を通常の板状のガラス板とし、別にガラスレンズを配置する構造も可能である、また、透明な材料としてガラスではなく、プラスチック等の光透過性の材料を用いることも可能である。
ガラス基板121,122で構成されるレンズは、液体レンズ135がレンズとして機能しない状態(図4(A)の状態)において、正視眼に対応する光学特性(基準状態)に設定されている。具体的には、図1において、被検眼101が正視眼である場合に、光源31と眼底101aが共役な配置となるように、ガラス基板121,122で構成されるレンズの光学特性が設定されている。
液体レンズ135は、屈折面の形状の変更が可能である。屈折面の形状を変更することで、レンズ形式の選択や調整、焦点距離の可変、光軸方向の制御等が行える。また、液体レンズ135は、2つの経線の度数が異なるレンズとして利用できる。
液体レンズ135は、一対のガラス基板121,122の間にレンズを構成する光透過性の液体が封入された構造を有している。液体レンズ135は、ガラス基板121,122を基材(基板)として構成されている。下側のガラス基板121上には、駆動電極層123が設けられている。駆動電極層123は、アクティブマトリクス電極の構造を有している。図3は、ガラス基板121上に形成された駆動電極層123を矩形に切り取った状態の斜視イメージ図である。駆動電極層123は、光が透過する構造を有している。駆動電極層123は、マトリクス状に配置された透明導電膜(ITO膜)で構成された複数の画素電極、各画素電極に配置された薄膜トランジスタ(TFT)、薄膜トランジスタを駆動する周辺駆動回路を備えている。これらの技術は、アクティブマトリクス型の液晶ディスプレイの技術を応用している。駆動電極層123と後述の透明電極(ITO膜)129を入れ替えた構造も可能である。
駆動電極層123の上には、高誘電フィルム124が積層されている。高誘電フィルム124としては、例えばPVdF(ポリフッ化ビニリデン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が用いられる。高誘電フィルム124に接して撥水膜125が配置されている。撥水膜125は、撥水性を有する膜で、例えばテフロンAF(登録商標)やサイトップ(登録商標)が用いられる。
撥水膜125に接してリング部材126が配置されている。リング部材126は、リング状の部材で、撥水膜125と高誘電膜127に接し、その内側に内部空間128が形成されている。上側の高誘電膜127は、上側の電極である透明電極(ITO膜)129に接し、透明電極129は上側のガラス基板122に接している。透明電極129は、駆動電極層123に対向する共通電極であり、光学部材として有効に働く領域の全面に一様に設けられている。リング部材126の周囲は、封止材130により封止され、内部空間128を密閉空間としている。駆動電極層123と透明電極129のどちらを高電位側にするのかは、液体レンズを構成する液体の材質や動作形態、その他の事情に応じて任意に選択可能である。
高誘電膜127の内部空間128の側には、親水膜131が配置されている。親水膜131は、親水機能を有する膜で、例えばトリシラノールやシリカなどの無機分散体により構成されている。内部空間128は、透明な有極性液132と、透明な無極性液133で満たされている。有極性液132の具体的な例としては、水やメタノール等が挙げられる。無極性液133としては、炭化水素系合成油、シリコーンオイル等のオイルが挙げられる。有極性液132と無極性液133は、屈折率に差があり、また水と油のように互い混じり合わずに分離する性質のものが選択される。この例では、有極性液132の屈折率よりも無極性液133の屈折率の方が大きい設定とされ、無極性液133によりレンズが形成される。図2には、無極性液133により凸レンズが構成されて一例が示されている。
各部の寸法としては、一例であるが、有効面の寸法が直径5mm〜20mm程度の円形、ガラス基板121,122の厚みは必要とされるレンズ特性を実現するのに必要な寸法、高誘電フィルム124の厚みは0.3〜5μm、撥水膜125の厚みは数〜500nm、内部空間の高さ(撥水膜125と親水膜131との間の距離)が0.1〜5mm、高誘電膜127の厚みが0.3〜5μm、親水膜131の厚みが数〜500nm、透明電極(ITO膜)129の厚みが10〜200nmの場合が挙げられる。
駆動電極層123は、マトリクス状に配置された複数の画素電極のそれぞれにおける電位を独立に制御できる。図2には、駆動電極層123と透明電極129との間に加える電圧の面内分布を、中央で相対的に低電圧、周辺部で相対的に高電圧とした場合が示されている。この場合、高電圧が加わっている領域(周辺の領域)に有極性液132が集まる。この際、有極性液132は撥水膜125ではじかれ、親水膜131に接し易いので、有極性液132により、中央部の下側(撥水膜125側)に無極性液133が押し込まれて集中し、図2に示すように無極性液133が凸レンズの形成になる。ここで、電圧分布を調整することで、無極性液133により構成される凸レンズの形状を変更し、その光学特性を調整できる。
図4(A)には、駆動電極層123と透明電極129との間に電圧を加えない状態が示されている。この状態では、光軸に垂直な方向から見た断面において、有極性液132に電圧が加わらないので、有極性液132は親水膜131の側に集中し、それに押される形で無極性液133が撥水膜125の方に集中する。また有極性液132と無極性液133は分離するので、図示するように2液が上下に分離する。この場合、2液の界面は平面でレンズ効果はない。
図4(A)の状態から、中心で相対的に電圧が低く、周辺で相対的に電圧が高くなるように、駆動電極層123の各画素電極の電位(透明電極129に対する電位)を調整すると、図4(B)の状態が得られる。この場合、中心から離れた周囲の高電界の部分に有極性液132が更に集中し、その結果、中央に無極性液133が集まり、図4(B)に示す無極性液133による凸型のレンズ効果をもつ。
図4(B)の場合とは逆に、中心で相対的に電圧が高く、周辺で相対的に電圧が低くなるように、駆動電極層123の各画素電極の電位(透明電極129に対する電位)を調整すると、図4(C)の状態が得られる。この場合、中心付近の高電界の部分に有極性液132が集中し、その結果、中央で無極性液133の厚みが薄くなり、図4(C)に示す無極性液133による凹型のレンズ効果をもつ。
当然、電圧のかけ方によっては、図4(B)と(C)の中間の状態も実現可能であり、無極性液133により構成される凸レンズおよび凹レンズの焦点距離の調整が可能である。また、異なる径方向における電圧分布を変えることで、2つの経線における度数が異なるレンズも実現可能である。この場合の一例を図5に示す。図5には、2つの経線における度数が異なるレンズが示されている。図5(A)には、直交する2つの径方向における度数が異なるト―リックレンズが示され、図5(B)には、直交する2つの径方向における一方で度数を有し、他方で度数が有さないシリンドリカルレンズが示されている。
図1に戻り、視標投影系10は、被検眼101の収差の情報を取得する際に、被検眼101が見つめる視標となる固視標11を備えている。固視票11は、遠方の風景などの画像であり、被検眼101の眼底共役位置に配置されている。この場合の眼底共役位置は、被検眼101が正視眼である場合を想定して位置の設定が行われている。これは、図1中の他の×印(眼底共役位置)についても同じである。固視票11は、裏面から白色光源で照明される表示パターンやLCD等の表示装置により構成される。視標投影系10は、結像レンズ12、フィールドレンズ13およびミラー14を備えている。
固指標11からの光は、ミラー14で反射され、ダイクロイックミラー105を透過し、ダイクロイックミラー104で反射され、被検眼101に向う。ダイクロイックミラー104は、視標投影系10で利用する可視光(波長400〜780nm)、および眼屈折特性検出系40で利用する波長850nm近傍の光を反射し、前眼部観察系20で使用する近赤外光(波長950nm)の光を透過する。ダイクロイックミラー105は、視標投影系10で利用する可視光(波長400〜780nm)の光を透過し、眼屈折特性検出系で利用する波長850nm近傍の光を反射する。
前眼部観察系20は、近赤外光(波長950nm)を用いて被検眼101の前眼部(例えば、虹彩や瞳孔)を観察する。また、前眼部観察系20は、被検眼101の角膜の形状を測定する角膜形状測定系も兼ねている。
前眼部の観察は、以下のようにして行われる。まず、図示しない光源から被検眼101に近赤外光(波長950nm)が照射される。この光は、被検眼101の前眼部で反射される。この前眼部からの反射光は、対物レンズ(焦点距離可変レンズ)103、ダイクロイックミラー104、光学絞り21、ハーフミラー22、リレーレンズ23、結像レンズ24を通ってエリアセンサ25に入射し、エリアセンサ25で前眼部の画像の撮像が行われる。エリアセンサ25は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサであり、被検眼101の前眼部の画像を撮像し、その画像データを出力する。
被検眼101の角膜の形状の測定は、以下のようにして行われる。対物レンズ103の周囲には、多重リングからなるプラチドリング102が配置されている。プラチドリング102はリング状の開口を有する遮光板で、後方に近赤外光(この例では、波長950nm)を発する図示省略したLEDなどの近赤外光源が配置されている。この近赤外光源を発光させることで、多重リングからなる光源を作り、それが被検眼101に照射される。プラチドリング102から射出した光束は被検眼101の角膜で反射し、リング状のプルキンエ像(プラチドリング像)を作る。このプラチドリング像は、前眼部観察系20を介してエリアセンサ25で撮像される。エリアセンサ25で検出されたプラチドリング像から角膜の形状が求められる。リングの代わりに放射状あるいはマトリックス状などに配置された複数の点状の開口でも良い。プラチドリング像の大きさは角膜の曲率とZアライメントの状態に依存するため、Zアライメントが完了した状態でプラチドリング像の大きさを計測することにより角膜の曲率を求めることができる。なお、角膜の曲率を得るためには一重以上のリングがあればよい。
前眼部観察系20は、アライメント処理(眼科装置100に対する被検眼101の位置合わせ)を行う際に利用されるXY輝点26およびリレーレンズ27を有する。XY輝点26は、LEDにより構成されている。XY輝点26からの光束は、ハーフミラー22にて前眼部観察系20に合成され、対物レンズ103を介して略平行光束として被検眼101を照明する。被検眼101の角膜で反射した光束はプルキンエ像を生じ、プルキンエ像は前眼部観察系20を経てエリアセンサ25に結像する。そのプルキンエ像の像位置がエリアセンサ25上の規定の位置となるように被検眼101に対して眼科装置100の位置が調整される。また、プルキンエ像のピントが合うように被検眼角膜と装置100の距離を調整する。被検眼角膜と装置の距離調整(Zアライメント)は公知である別の方法を用いても良い。光テコやステレオカメラ方式など対物レンズ103を介さずに検出可能な方法を用いれば、対物レンズの焦点距離を変更した後であっても、この影響を受けることなくアライメントの確認ができる。
測定光投影系30は、被検眼101の屈折の状態を検出するための測定光を被検眼101に投影する。測定光投影系30は、SLD(Super luminescent diode)等により構成された光源31を備えている。光源31は、眼にほとんど感じない近赤外光(波長850nm程度)を発光する。光源31は、眼底101aの眼底共役位置に配置されている。光源31から発せられた波面測定光は、リレーレンズ32および偏光板33を介して偏光ビームスプリッター34に入射する。この例では、偏光板33はp偏光を透過し、偏光ビームスプリッター34は、p偏光を反射、s偏光を透過する設定となっている。偏光板33を透過したp偏光成分の波面測定光は、偏光ビームスプリッター34でロータリープリズム35の方向に反射される。
ロータリープリズム35は、測定光投影系30と眼屈折特性検出系40の共通の光路に配置された回転するプリズムであり、ハルトマン画像の取り込み(1フレーム)中に複数周回転する。回転により眼底上の照射位置がわずかにずれた像を平均化でき、スペックルノイズを低減し、眼底上の部位による反射率のムラによる測定値のバラツキを低減できる。ロータリープリズム35を通過した波面測定光は、ダイクロイックミラー105とダイクロイックミラー104で反射されて対物レンズ103に入射する。
対物レンズ103を透過した波面測定光は、プラチド板102の中心に設けられた孔を通過し、被検眼101の眼底101aに集光して照射される。眼底101aに照射される波面測定光は、p偏光であるが、眼底101aで反射される際に散乱反射されるので、偏光が乱れ、その反射光である波面検出光にはs偏光が含まれる。また、波面検出光は、被検眼101内で屈折し、被検眼101内の収差の影響を受ける。
s偏光を含む波面検出光は、波面測定光と逆の経路をたどり、偏光ビームスプリッター34に入射する。偏光ビームスプリッター34は、s偏光を透過する設定なので、波面検出光は、偏光ビームスプリッター34を透過し、眼屈折特性検出系40に入射する。
眼屈折特性検出系40は、フィールドレンズ36、ミラー41、リレーレンズ42、コリメータレンズ44、ハルトマン板45およびエリアセンサ46を備えている。ハルトマン板45は、格子状のレンズアレイであり、入射光を6×6や9×9といった格子状に配列した複数の光束に分割する。波面検出光がハルトマン板45を通過することで、ハルトマン像が得られ、このハルトマン像がエリアセンサ46で検出される。エリアセンサ46は、CCDセンサやCMOSイメージセンサにより構成されている。エリアセンサ46で検出されるハルトマン像を解析することで、被検眼101で生じる屈折の状態に関する情報、すなわち被検眼101のS,C,A値や波面収差の情報が得られる。
S値は、球面度数(−近視,+遠視)であり、近視または遠視の矯正に用いる凹レンズ・凸レンズの屈折力である。C値は、乱視度数であり、乱視矯正に用いる円柱レンズの屈折力である。A値は、乱視用円柱レンズの入る角度を1°〜180°の間で数値化したものである。
エリアセンサ46は、ハルトマン板45のアレイレンズの焦点位置に配置される。ハルトマン板45は被検眼瞳孔と共役な位置に配置される。
(制御系の構成)
図6に眼科装置100の制御系の一例を示す。図6には、制御系200が示されている。制御系200は、CPU、メモリ、各種のインターフェース、通信機能を有し、マイコンとして機能する。また、制御系200は、必要に応じて専用のハードウェア(例えば、画像処理用の集積回路)を備えている。
機能部として見て、制御系200は、アライメント制御部201、角膜形状測定部202、眼屈折特性算出部203、液体レンズ駆動部204、液体レンズ補正値算出部205を備えている。これらの機能部は、ソフトウェア的に構成されていてもよいし、FPGA等を利用した専用ハードウェアで構成されていてもよい。
アライメント処理部201は、以下の処理を行う。アライメント処理部201は、前眼部観察系20のエリアセンサ25にて撮像した被検眼101の瞳孔や投影した指標の像が決められた範囲内に入るように、測定ヘッド(図1の構成全体を収めた可動部)を被検眼101に対してXYZ方向に移動させる制御を行う。なお、この測定ヘッドの移動は、図示しないサーボモータや各種アクチュエータによって行われる。
アライメントの方法としては、瞳孔アライメントと輝点アライメントとがある。瞳孔アライメントは、前眼部観察系20で取得した画像から瞳孔を検出し、この瞳孔像の中心位置に対してアライメントを行う。輝点瞳孔アライメントは、被検眼にXY輝点26からの平行光束を照射し、これが角膜で反射して結像するプルキンエ像に対してアライメントを実施する。この2つの方法の一方または両方を組み合わせてアライメントが行われる。
角膜形状測定部202は、角膜形状の測定を行う。角膜形状測定の際、対物レンズ103の焦点距離は基準状態(正視眼に合わせた状態)とする。プラチドリング102を介して図示省略した近赤外光源から近赤外光(波長950nm)を被検眼に照射する。この際、リング像の光束が被検眼101に照射される。この光は、角膜で反射し、リング状のプルキンエ像(プラチドリング像)を作る。このプラチドリング像を、前眼部観察系20を介してエリアセンサ25で撮像し、リング像の変形の状態から角膜の形状を求める。リング像の大きさは角膜の曲率とZアライメントの状態に依存するため、Zアライメントが完了した状態でリング像の大きさを計測することにより角膜の曲率を求めることができる。具体的には、予めリング像の大きさと角膜の曲率の関係は、調べられており、この関係を用いてリング像の大きさから角膜の曲率が求められる。
眼屈折特性算出部203は、エリアセンサ46が受像したハルトマン像に基づき、被検眼101の屈折特性を算出する。具体的には、エリアセンサ46が受像したハルトマン像を解析し、S値,C値,A値の算出および波面収差の状態を算出する。この技術については、例えばWO2003/053230号公報に記載されている。
液体レンズ駆動部204は、対物レンズ103を構成する液体レンズ135のレンズ特性の調整を行う。この調整には、アライメント時に前眼部観察系20が取得した前眼部の画像に基づき液体レンズ135のピント調整を行うモード、眼屈折特性算出部203が算出したS,C,A値に基づき液体レンズ135のレンズ特性を調整するモード、取得した角膜形状に基づき液体レンズ補正値算出部205が算出した補正値により、液体レンズ135の補正(特性のズレの補正)を行うモード(校正モード)が含まれる。
液体レンズ補正値算出部205は、対物レンズ103を構成する液体レンズ135の特性のズレを補正する補正値を算出する。液体レンズ135は、仮測定時に取得したS値,C値,A値に基づきレンズ特性が調整されているが、温度等の影響により必ずしも制御信号の通りのレンズ形状になっているとは限らず、また光学特性の変化が生じている可能性がある。そこで、以下のようにして角膜形状を利用した液体レンズ135の校正を行う。
まず、アライメントが行われた状態において、液体レンズ135をレンズとして機能しない状態としてプラチドリング像を用いた被検眼101の角膜の形状を測定する(1回目の測定)。次いで、仮測定および本測定を行い、被検眼101の屈折特性を取得する。この段階で液体レンズ135は、取得したS値,C値,A値に基づきレンズ特性が調整されている。この状態で再度プラチドリング像を用いた角膜の撮像を行い、角膜形状を測定(2回目の測定)する。ここで、1回目の角膜測定は、例えば後述のステップS112に対応し、2回目の角膜測定は、例えば後述のステップS141に対応する。
一般に、1回目の角膜形状の測定と2回目の角膜形状の測定において、角膜形状が変化することはない。よって、1回目に測定した角膜形状と2回目に測定した角膜形状の違い(プラチドリング像の違い)は、1回目の測定時における液体レンズ135の光学特性と、2回目の測定時における液体レンズ135の光学特性の差に起因する。
仮に、液体レンズ135が温度等の影響を受けておらず、不確定要因による光学特性の変化が生じていなければ、上記の光学特性の差は、液体レンズ135の制御された光学特性の差となる。この場合、不確定要因による光学特性のズレはないので、液体レンズ135の校正(光学特性の補償)は必要ない。
他方で、液体レンズ135が温度等の影響を受けており、不確定要因による光学特性の変化が生じている場合、上記の光学特性の差には、制御された光学特性の差以外に不確定要因による光学特性のズレが含まれる。
ところで、角膜形状に違いがなければ、1回目の測定時に得られたプラチドリング像と2回目の測定時に得られたプラチドリング像の差は、対物レンズ103の光学特性の差に対応する。ここで、対物レンズ103で生じた屈折力の差は、2つのプラチドリング像のリングの大きさや間隔の差から計算できる。
例えば、特開2002−209854号公報には、プラチドリング像から角膜の収差の情報を求め、さらに角膜の収差の情報から角膜の球面度数や乱視度数の算出を行う内容が記載されている。例えば、上記文献の「0029」には、プラチドリング像のゆがみによる変位量等に基づいてゼルニケ係数を算出し、更にこのゼルニケ係数に基づいて、角膜収差を算出する点が記載され、「0062」にはゼルニケ係数から球面度数Cと乱視度数Sが求められる点が記載されている。
上記の特開2002−209854号公報に記載された技術を利用して、対物レンズ103で生じた屈折力の差を算出できる。すなわち、1回目に得たプラチドリング像と、その後に液体レンズ103をレンズとして変形させた状態で得られた2回目のプラチドリング像の比較から、対物レンズ103の屈折力の変化分を未知数として算出できる。
特開2002−209854号公報には、プラチドリング像のリングの大きさや間隔から角膜の屈折力を算出する方法が記載されている。この技術は、角膜で反射されたプラチドリング像のリングの大きさや間隔から、当該プラチドリング像の光束が受けた屈折力を算出する技術と捉えることができる。この技術を利用し、液体レンズ135の屈折力を角膜で反射されたプラチドリング像の解析から算出する。以下、この技術の要点を説明する。
まず、1回目のプラチドリング像の取得時における未知数は、角膜の屈折力である。また、この段階において液体レンズ135は屈折力を発揮せず、ガラス基板121,122の屈折力は既知である。よって、対物レンズ103の屈折力は既知である。そして、2回目のプラチドリング像の取得時における未知数は、角膜の屈折力と液体レンズ135の屈折力である。ここで、1回目と2回目の差分をとると、液体レンズ135の屈折力が未知数となる。上記特開2002−209854号公報に詳述されているように、プラチドリング像のリングの大きさや間隔から当該プラチドリング像の光束が受けた屈折力が算出できる。勿論、径方向におけるリングの大きさや間隔を調べることで、異なる径方向における屈折力の違いも算出できる。この場合、上記のように未知数となる屈折力は、液体レンズ135の屈折力である。よって、1回目と2回目のプラチドリング像を解析することで、液体レンズ135の屈折力を求めることができる。求める屈折力としては、S値,C値,A値や各種の収差の情報が挙げられる。
また、以下のような方法で液体レンズ135の屈折力を求めることもできる。まず、1回目のプラチドリング像の取得時における未知数である角膜の屈折力をプラチドリング像の解析から取得する。角膜の屈折力は、1回目と2回目のプラチドリング像の取得時において同じであるので、2回目のプラチドリング像の取得時において、角膜の屈折力は既知となり、未知数は液体レンズ135の屈折力となる。よって、2回目に取得したプラチドリング像から液体レンズ135の屈折力を算出できる。この場合も径方向におけるリングの大きさや間隔を調べることで、異なる径方向における屈折力の違いも算出できる。
そして、液体レンズ135の制御パラメータから得られる光学特性(本来、意図していた光学特性)と上記の角膜観察から得られた光学特性の差から、温度等の影響による意図しない液体レンズ135の光学特性のズレを知ることができる。例えば、後述するステップS122(またはステップS136)におけるS,C,A値と、ステップS142で算出したS,C,A値との差から、液体レンズ135の光学特性の意図しないズレを知ることができる。
たとえば、簡単に焦点距離で考えた場合に、本体意図していた対物レンズ103の焦点距離がD=−2.0であったとする。そして、上記の2回の角膜測定の差から演算した対物レンズ103の焦点距離がD=−2.5であるとする。この場合、液体レンズ135において温度等の不確定要因により、D=0.5のズレが生じたことになる。
以上のようにして、液体レンズ135で生じた光学特性のズレが算出され、更にこのズレを補償する補正値を含む制御信号(液体レンズ135の制御信号)の生成が液体レンズ補正値算出部205で行われる。そして、この補正値を含む制御信号を液体レンズ135に送り、液体レンズ135の光学特性の補正が行われる。この補正を行うことで、液体レズ135で生じる温度等の影響による光学特性のズレが補償される。そして、補正された液体レンズ135を用いて再度の波面収差情報の取得が行われる。こうすることで、波面収差情報の精度を高めることができる。
また、別な方法として、液体レンズ135の光学特性の意図した特性からのズレが判ったのであるから、そのズレに対応させて既に取得した被検眼101の屈折特性(波面収差情報も含む)の修正を行う方法もある。この方法は、再測定の手間を要しない優位性がある。この場合、図6の制御系200に眼屈折特性修正部206を追加し、眼屈折特性修正部206において、上述した被検眼101の屈折特性の修正を行う。
(処理の一例)
以下、眼科装置100で行われる動作の一例を説明する。図7〜9に処理の手順の一例を示す。図7〜9に示す処理を実行するための動作プログラムは、適当な記憶領域に記憶され、制御部200において実行される。このプログラムを適当な媒体に記憶させ、そこから提供する形態も可能である。
処理に先立ち、光学系の被検眼に対する位置は、初期位置とする。初期位置は、標準的な被検者の頭部および正視眼を対象として予め決めておく。処理が開始されると、まず被検眼101の前眼部画像の撮像を行う(図7のステップS101)。この段階で前眼部画像のコントラストを閾値で判定し(ステップS102)、規定値以下のコントラストの場合、ステップS103進み、規定値を超えたコントラストが得られている場合、ステップS107に進む。
ステップS103では、前眼部画像に合焦するよう、対物レンズ103の焦点距離をずらしてピントの合った前眼部像を得る。対物レンズ103の焦点距離の可変は、液体レンズ135の焦点距離を変化させることで行われる。合焦方法はコントラスト法などカメラなどで用いられる一般的な方法を使用する。この処理を行うことで、合焦状態での対物レンズ103の焦点距離の変化量から、アライメントの方向と概略のアライメント移動量が分かり、その値は後に行われるアライメントの作業に利用される。
次に、アライメントを行う(ステップS104)。この処理では、前眼部観察系20のエリアセンサ25が撮像した被検眼101に投影した指標(XY輝点26)の像が決められた範囲内に入るように、測定ヘッド(図1の構成全体を収めた可動部)を被検眼101に対してXYZ方向に移動させる制御が行なわれる。なお、Zアライメントの移動量に同期して対物レンズ103の焦点距離を変化させればアライメント中、常にコントラストの高い前眼部画像が得られる。逆に常にピントが合っていたのではピントのボケによるアライメントズレの確認ができなくなるといったことも考えられる。この場合は、ある程度アライメントが合ってきたら対物レンズ103の焦点距離を基準状態に戻しても良い。アライメントに係る処理の制御は、アライメント制御部201で行われる。
次に、Zアライメント(光軸方向におけるアライメント位置)が規定範囲内であるか否か、が判定され(ステップS105)、Zアライメントが規定範囲内であれば、ステップS106に進み、そうでなければ、ステップS104の処理を繰り返す。ステップS106では、対物レンズ103の焦点距離を基準状態(正視眼に対応した状態)とする。このように、Zアライメントが完了した状態で対物レンズ103の焦点距離を基準状態とする。基準状態では、対物レンズ103を構成する液体レンズ135は、図4(A)の状態であり、レンズとして機能せず屈折力を生じていない。
次に、対物レンズ103の焦点距離を基準状態とした状態で再度のアライメントを行う(ステップS107)。ステップS107の処理の内容は、ステップS104と同じである。アライメントがOKであれば、ステップS111(図8)に進み、アライメントがOKでなければ、ステップS107の処理を繰り返す。
ステップS111では、プラチドリング102を点灯(背後から照明)し、被検眼101の前眼部にプラチドリング像を投影する。そして、被検眼101の前眼部(角膜)に映ったプラチドリング像が撮影され(ステップS112)、撮影されたプラチドリング像に基づき、角膜形状が算出される(ステップS113)。この処理は、角膜形状測定部202で行われる。撮影したプラチドリング像に基づく角膜形状の算出や角膜に係る情報の算出の詳細については、例えば特開2002−209854号公報に詳述されている。
この段階で取得されるプラチドリング像(角膜形状)は、液体レンズ135で電圧が印加されていない状態(レンズとして機能していない状態)で得られたもので、後の本測定の後(ステップS141)で測定されるプラチドリング像を評価する際の基準となる。
次に仮測定を行う。仮測定では、まず被検眼101のハルトマン像を取得し(ステップS121)、当該ハルトマン像に基づき、被検眼101のS値,C値,A値を算出する(ステップS122)。仮測定の段階では、対物レンズ103は基準状態にあり、被検眼101に屈折異常がある場合、眼底103aにおける光源像はボケている。この状態では、得られるハルトマン像の各輝点もボケており、ハルトマン像から得られる被検眼101の高次収差の測定精度は低い。
しかしながら、正視眼の場合のハルトマン像の輝点の間隔との比較により、被検眼101のS値,C値,A値はそれなりの精度で得られる。すなわち、正視眼と非正視眼では、ハルトマン像の輝点の間隔が異なる。この輝点の偏移量は、被検眼101の屈折力と比例関係にある。よって、ハルトマン像の輝点の間隔とその方向を解析することで、S値(球面度数(−近視,+遠視))、C値(乱視度数であり、乱視矯正に用いる円柱レンズの屈折力)、A値(乱視用円柱レンズの入る角度を1°〜180°の間で数値化したもの)を算出できる。
仮測定の後、精度の高い収差測定を行うために本測定を行う。本測定では、ステップS122で取得したS値,C値,A値に基づき、対物レンズ103の光学特性を変更し、鮮明なハルトマン像が得られるようにする(ステップS131)。すなわち、被検眼101の屈折力を矯正するように対物レンズ103の焦点距離(乱視も含む)を調整し、エリアセンサ46が眼底共役位置となり、エリアセンサ46が検出するハルトマン像を構成する点像がよりシャープに鮮明になるようにする。また、仮測定の状態では固視標像もボケた状態であるため、被検眼の固視状態及び屈折状態は不安定となる。本測定の状態では被検眼の遠点に視標を呈示できるため、はっきりとした像を得ることができるため、安定した固視、屈折状態となる。
ステップS131の後、ステップS132に進む。ステップS132では、対物レンズ103の焦点距離を被検眼101上でさらに−1.5Dずらし、被検眼101を雲霧状態とする(ステップS132)。被検眼101を雲霧状態とすることで、被検眼101は、無調節状態となる。この状態でハルトマン像を取得し(ステップS134)、当該ハルトマン像に基づき、被検眼101における収差を計算する(ステップS134)。
この際、対物レンズの焦点距離を変化させることで瞳の共役関係が崩れ(瞳孔とハルトマンプレートが共役ではなくなる)るため、点像の変化量は対物レンズの焦点距離によって変化する。このため、数式やあらかじめ定めたテーブルによって得られた収差の値を補正する。
ステップS134で得られた収差の高次収差が規定(閾値)以上ある場合、高次収差が打ち消されるように、対物レンズ103(液体レンズ135)の形状を変形させ、その光学特性を調整する(ステップS136)。大きな高次収差があると、眼底上の光源像がボケたり歪んだりし、取得する波面情報の誤差が増大する。高次収差を減らすことで、この誤差を抑えることができる。この際の光学特性の調整は、高次収差が小さくなるように、液体レンズ135のレンズ面(有極性液132と無極性液133の界面)の変形を電気的に制御することで行われる。
ステップS135において、高次収差が規定値を下回る場合、あるいはステップS136の後、図9の対物レンズ補償工程におけるステップS141に進む。ステップS141では、プラチドリングの撮影を再度行う(ステップS141)。そして、ステップS112で撮影したプラチドリング像とステップS141で撮影したプラチドリング像を比較し、リングの大きさや間隔の変化から、基準状態(液体レンズ135が機能していない状態)における対物レンズ103の屈折力と、ステップS131またはステップS136で液体レンズ135が調整された状態における対物レンズ103の屈折力の差が算出される(ステップS143)。
具体的には、ステップS112で得られたプラチドリング像とステップS141で得られたプラチドリング像とを比較することで、基準状態(液体レンズ135が機能していない状態)における対物レンズ103のS値,C値,A値と、ステップS131またはステップS136で液体レンズ135が調整された状態における対物レンズ103のS値,C値,A値の差が算出される(ステップS142)。この差が、液体レンズ103で生じた不確定要因による光学特性のズレとなる。勿論、S値,C値,A値で評価できない光学特性についての差を算出してもよい。
次に、上記のズレを解消するための補正量を算出し(ステップS143)、対物レンズ103(液体レンズ135)の光学特性を変更する(ステップS144)。この状態で再度ハルトマン像を取得し(ステップS145)、収差の計算を行う(ステップS146)。
ステップS141以下の処理を行うことで、特性の再現性や安定性に問題がある液体レンズの欠点が克服され、高い精度で被検眼101の屈折の状態に係る情報を得ることができる。
ステップS144において、既に得られている収差特性の補正値を算出してもよい。この場合、ステップS136の後にステップS133以下の処理を行うフローとする。そして、ステップS134で得た収差の情報をステップS142で得た対物レンズ103における光学特性のズレ(S値,C値,A値等のズレ)に基づき補正する。
すなわち、対物レンズ103の光学特性のズレが判れば、それが収差の情報にどのような影響を与えるのかが予測できるので、ステップS134で得た収差の情報を修正できる。
対物レンズ103における光学特性のズレの程度が小さければ、上記のステップS134で得た収差の情報の修正で十分対応できる。この方法は、再度のハルトマン像の測定を行わない点で簡便である。
別の方法として、対物レンズ103における光学特性のズレの程度が閾値よりも大きい場合に、図9に示すステップS144以下の処理を実行し、当該ズレが閾値以下である場合に上記の測定値の補正による対応を行ってもよい。
ステップS146の後、演算結果を表示(あるいはデータ出力)する(ステップS151)。そして最後に、視力検査用の文字や視標を用いて被検者がこれら文字や視標を良好な状態で見ることができるかの確認が行われる(ステップ152)。眼科装置100において、対物レンズ103は固視光学系においても共通に用いられる。このため、固視標を呈示する際、本測定結果から被検眼の度数のみではなく、乱視や高次収差を補正して呈示することで、被検者に光学的に達成しうる良好な像を呈示することができる。また視標を視力検査用の記号や文字などの視標とすることで、最良視力値の測定も可能となる。対物レンズの焦点距離を変更することにより、固視標の視角が変化するため、テーブルなどを準備し、焦点距離に応じて呈示する視標の大きさを変更する必要がある。
(優位性)
以上述べたように、図1には、測定光を被検眼101の眼底101aに投影する測定光投影系30と、前記測定光の眼底101aでの反射光を受光し、被検眼101の屈折特性を測定する眼屈折特性検出系40と、被検眼101の角膜に投影された角膜形状測定用のパターンを検出する角膜形状測定系20と、測定光投影系30、眼屈折特性検出系40および角膜形状測定系20に共通する光路中に配置された焦点距離を可変できる対物レンズ103とを備え、対物レンズ103の焦点距離を可変する前後において検出された前記角膜形状測定用のパターンの差に基づき、対物レンズ103の校正が行われることを特徴とする眼科装置100が示されている。
この構成において、対物レンズ103を構成する液体レンズ135は、電極に印加する電圧によって焦点距離を変えることができる。また電極の形状や配置を工夫することでシリンダーや更に複雑な状態とすることができる。しかしながら周囲温度などの外的要因などにより電圧に対する再現性が不充分である場合がある。この問題への対応として、光学特性を変更後、所望の光学特性になっていることを確認、もしくは光学特性のズレを検出して、電圧を制御したり、ズレを考慮して測定値の補正を行ったりする。
特開2014-108310号公報 では校正用の光学系を配して電圧と焦点距離の関係をフィードバックする方法を開示している。この方法では焦点距離可変レンズよりも被検眼側の光路中に校正光学系を配置する必要がある。また、調整時や点検時など特定のタイミングであれば対物レンズ前にアタッチメントなどを取り付けて校正することは可能であるが、温度など常に変化するものに対しては効果がない。
これに対して、本実施形態では、被検眼101の角膜形状の測定機能を用いて上述した温度等の影響を受けた液体レンズ135の校正を行うので、対物レンズ103の被検眼側に別途光学系を配置する必要がない。また、本実施形態では、機械的な可動部が減らせるので、調整の手間や経時変化の問題で有利となる。
また、被検者は額当て、顎受けに顔を固定した状態でアライメントを開始するため、顔の大きさや眼の位置などの個人差のためアライメント状態は大きくずれている可能性が高い。これは、ピント方向(Z方向)についても同様である。ピントがずれた不明瞭な画像では輝点や瞳孔を検出することが困難であり、アライメントが開始できない場合がある。本実施形態では、アライメント開示時に前眼部画像に合焦するよう、対物レンズの焦点距離をずらしてピントの合った前眼部像を得ることにより、アライメントを開始することが可能となる。なお、この際、測定系や固視系のピントがずれてしまうが、アライメントスタート時なので影響はない。
従来の技術では、図10に示すように、アライメントを行うのにエリアセンサを可動させる必要があり、また、補償用のレンズの挿入/退避を行う機構等が必要であり、煩雑で高コストであった。これに対して、眼科装置100では、対物レンズの焦点距離の調整によりアライメントに係る構造および動作か簡素化され、装置の低コスト化が図れる。