JP2018049231A - 液晶セル及び液晶セルの製造方法 - Google Patents

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村 裕 介 中
Yusuke Nakamura
村 裕 介 中
島 朋 也 川
Tomoya Kawashima
島 朋 也 川
井 憲 雄 石
Norio Ishii
井 憲 雄 石
原 久美子 神
kumiko Kambara
原 久美子 神
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【課題】ラビング処理を適切に行うことができる液晶セル及びそのような液晶セルの製造方法を提供する。またラビング処理時の配向部材等の異物の散乱を抑えることができる液晶セル及びそのような液晶セルの製造方法を提供する。【解決手段】液晶セル11は、第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24と、第1フィルム基材23と第2フィルム基材24との間に設けられる第1電極25及び第2電極26と、第1電極25と第2電極26との間に設けられる第1配向膜27及び第2配向膜28と、第1配向膜27と第2配向膜28との間に配置される液晶層29と、第2配向膜28及び液晶層29のうちの少なくとも一部を貫通する複数のスペーサー30とを備える。各スペーサー30は、少なくとも第1配向膜27と第2配向膜28との間において、第2配向膜28から第1配向膜27に向かう方向へ徐々に細くなるテーパー形状を有する。【選択図】図2

Description

本発明は液晶セル及び液晶セルの製造方法に係り、特に一対の配向膜間に液晶層とともにスペーサーが配置される液晶セル及びそのような液晶セルの製造方法に関する。
例えば窓やドア等に調光セル(調光材)を設置し、当該調光セルによって外来光の透過を制御する電子ブラインド等が知られている。そのような調光セルとして、例えば液晶を好適に利用することができる。
液晶を利用した調光セルは、例えば、透明電極を形成する一対の透明フィルム材や一対の配向膜によって液晶層を挟み込むことにより液晶セルを作り、直線偏光を取り出す直線偏光板によってこの液晶セルを挟み込むことにより作製される。液晶を利用した調光セルを使って調光を行う場合、液晶層に印加する電界を制御して液晶層中に含まれる液晶分子の配向を変えることで光の透過が制御され、調光セルは、例えば外来光の遮断及び透過を切り換えたり、透過光量を連続的に変えたりすることができる。
例えば特許文献1は、住宅の窓やドア等に設けられる液晶パネルであって、透明状態及び不透明状態を制御できる液晶パネルを開示する。この液晶パネルによれば、複数枚の分割液晶パネルが並設され、各分割液晶パネルを個別に透明状態及び不透明状態に制御することができる。
また特許文献2は、日照状況の変化に応じて光透過度を多様なパターンで調整可能な調光ガラス窓を開示する。この調光ガラス窓によれば、2枚の透明ガラス板間に封入される液晶に作用する電圧を変えて液晶の光学特性を変化させることで、光透過度を調整できる。
上述のような調光セルで用いられる液晶セルでは、液晶が封入される一対の配向膜間の間隔を一定に保持するために、複数のスペーサーが好適に使用される。例えば特許文献3は、スペーサーが混入された液晶を基板上に滴下することで基板間にスペーサーを配置する液晶パネルの製造方法を開示する。また特許文献4は、電極基板間の全ての非画素部のみに黒色スペーサーを散布する液晶表示素子の製造方法を開示する。
特開平03−047392号公報 特開平08−184273号公報 特開平05−281557号公報 特開平07−077694号公報
上述のように調光セルで用いられる液晶セルでは、液晶層を挟持する配向膜間に複数のスペーサーを設けることによって液晶層を所望の厚みに保持することができる。一方、液晶層の液晶分子群を一定方向に配列させるための配向膜の作製には、ポリイミド等の薄膜に対してナイロンの布等のラビング材を一方向に擦りつけて当該薄膜に筋を付与するラビング処理が広く利用されている。
スペーサーが設けられる配向膜に対してラビング処理を行う場合、通常は、配向膜に対してスペーサーが固定された状態で、当該スペーサーの上から配向膜に対してラビング材が擦りつけられる。例えば、複数のスペーサーを電極上において相互に離隔した状態で形成し、各スペーサーの頂部が突出するように当該電極上に配向部材を積層して配向膜を形成し、各スペーサーの頂部が配向膜から突出した状態で当該配向膜に対してラビング材を擦りつけることでラビング処理が行われる。この場合、通常は、各スペーサーの頂部が被覆部によって被覆されている状態でラビング処理が行われるため、ラビング材は、配向膜の表面のみならず、スペーサーの頂部を被覆する被覆部に対しても擦りつけられる。
しかしながら、各スペーサーの頂部が配向膜から突出した状態でラビング処理を行う場合、ラビング材が各スペーサーの頂部に引っかかってしまう懸念がある。ラビング材が各スペーサーの頂部に引っかかってしまうと、ラビング処理自体が適切に行われない虞があるだけではなく、各スペーサーの頂部を構成する被覆部が剥がれて散乱する虞がある。ラビング処理が適切に行われないと液晶層の液晶分子を適切に配向させることができず、液晶セルによって光の透過及び遮断を適切に制御できなくなる。また各スペーサーから剥がれた被覆部が散乱すると、散乱した被覆部によって本来意図していない箇所で光の透過が邪魔され、液晶セルを透過する光の視認性が悪化する。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、ラビング処理を適切に行うことができる液晶セル及びそのような液晶セルの製造方法を提供することを目的とする。また本発明の別の目的は、ラビング処理時の配向部材等の異物の散乱を抑えることができる液晶セル及びそのような液晶セルの製造方法を提供することである。
本発明の一態様は、第1フィルム基材及び第2フィルム基材と、第1フィルム基材と第2フィルム基材との間に配置される第1電極及び第2電極であって、第1フィルム基材側に設けられる第1電極及び第2フィルム基材側に設けられる第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置される第1配向膜及び第2配向膜であって、第1電極側に設けられる第1配向膜及び第2電極側に設けられる第2配向膜と、第1配向膜と第2配向膜との間に配置される液晶層と、第2配向膜及び液晶層の少なくとも一部を貫通する複数のスペーサーと、を備え、複数のスペーサーの各々は、少なくとも第1配向膜と第2配向膜との間において、第2配向膜から第1配向膜に向かう方向へ徐々に細くなるテーパー形状を有する液晶セルに関する。
本態様によれば、複数のスペーサーが設けられた状態で第2配向膜のラビング処理が行われる場合であっても、ラビング材を第2配向膜上でスムーズに摺動させることができ、ラビング処理を適切に行うことができる。また、ラビング処理時にスペーサー等が第2配向膜から突出していても、スペーサー等の突出部にラビング材から過度な力が局所的に作用することを防ぐことができる。そのため、ラビング処理時に当該突出部が削られることを防ぐことができ、また削られた部分が異物として散乱することを防ぐことができる。
複数のスペーサーの各々は、被覆部によって被覆されていてもよい。
本態様によれば、被覆部の削り取り及び削り取られた部分の散乱を防ぐことができる。
被覆部は、第2配向膜と同じ部材によって構成されてもよい。
本態様によれば、被覆部を構成する第2配向膜と同じ部材の散乱を防ぐことができる。
複数のスペーサーの各々のテーパー角度は、75°以上85°以下であってもよい。
本態様によれば、ラビング処理を特に適切に行うことができる。
第1フィルム基材及び第2フィルム基材は、樹脂によって構成されていてもよい。
本態様によれば、液晶セルを比較的簡単に湾曲させることができ、応用性に優れた液晶セルを提供できる。
液晶セルは、第1フィルム基材及び第2フィルム基材を挟み込むように設けられる第1偏光板及び第2偏光板であって、第1フィルム基材側に設けられる第1偏光板及び第2フィルム基材側に設けられる第2偏光板を更に備えてもよい。液晶セルにおける第1偏光板および第2偏光板は第1フィルム基材及び第2フィルム基材を挟み込むように設けられており、液晶層29に応じて第1偏光板及び第2偏光板のうちの片方又は両方を設けなくてもよい。
本態様によれば、光の透過及び遮断を適切に調整できる液晶セルを提供できる。
複数のスペーサーの各々のビッカース硬度値をXsで表し、複数のスペーサーの各々の先端が当接する第1配向膜の部位のビッカース硬度値をXfで表した場合、16.9≦Xs≦40.2が満たされ、且つ、11.8≦Xf≦35.9が満たされてもよい。
複数のスペーサーの各々及び被覆部のビッカース硬度値をXsで表し、複数のスペーサーの各々の先端を被覆する被覆部が当接する第1配向膜の部位のビッカース硬度値をXfで表した場合、16.9≦Xs≦40.2が満たされ、且つ、11.8≦Xf≦35.9が満たされてもよい。
本発明の他の態様は、順次積層された第1フィルム基材、第1電極、第1配向膜、液晶層、第2配向膜、第2電極及び第2フィルム基材と、第2配向膜及び液晶層を貫通する複数のスペーサーであって、それぞれが少なくとも第1配向膜と第2配向膜との間において第2配向膜から第1配向膜へ向かって徐々に細くなるテーパー形状を有する複数のスペーサーと、を備える液晶セルの製造方法であって、第2電極上に複数のスペーサーを設ける工程と、第2電極及び複数のスペーサー上に配向部材を付与し、第2電極上に第2配向膜を形成するとともに複数のスペーサーを配向部材によって被覆する工程と、第2配向膜に対して配向性を付与するラビング処理を行う工程と、第2配向膜上における複数のスペーサー間に液晶材料を付与し、第2配向膜上に液晶層を形成する工程と、を含む液晶セルの製造方法に関する。
本発明によれば、複数のスペーサーの頂部がいわゆる順テーパー形状を有する。そのため、複数のスペーサーが設けられた状態で第2配向膜のラビング処理が行われる場合であっても、ラビング材を第2配向膜上でスムーズに摺動させることができ、ラビング処理を適切に行うことができる。また、ラビング処理時にスペーサー等が第2配向膜から突出していても、ラビング材からスペーサー等の突出部に過度な力が局所的に作用することを防ぐことができる。そのため、ラビング処理時に当該突出部が削られることを防ぐことができ、また削られた部分が異物として散乱することを防ぐことができる。また順テーパー形状を有する複数のスペーサーは圧縮力を受けても潰れにくく、そのようなスペーサーを備える液晶セルは優れた耐圧性能を有する。また逆テーパー形状を有するスペーサーに比べて順テーパー形状を有するスペーサーは、変形量(すなわち変形前後の差)に対する戻り量(すなわち変形後の状態からの回復量)の比率を示す弾性変形率(すなわち弾性変形率=戻り量/変形量)が大きく、この弾性変形率は各スペーサーの形状因子の影響を大きく受ける。そのため、順テーパー形状を有する複数のスペーサーを備える液晶セルは、変形回復性能に優れており、比較的大きな圧力を受けて変形しても元の状態に戻りやすい。
図1は、調光システムの一例を示す概念図である。 図2は、調光セルで使われる液晶セルの断面例を示す図である。 図3は、各スペーサーのテーパー角度θを説明するための図である。 図4は、順テーパー形状のスペーサーに関するラビング処理の一例を説明するための図であり、(a)は第1のタイミングにおけるスペーサー、被覆部及びラビング材の配置関係を概略的に示す断面図であり、(b)は第2のタイミングにおけるスペーサー、被覆部及びラビング材の配置関係を概略的に示す断面図である。 図5は、逆テーパー形状のスペーサーに関するラビング処理の一例を説明するための図であり、(a)は第1のタイミングにおけるスペーサー、被覆部及びラビング材の配置関係を概略的に示す断面図であり、(b)は第2のタイミングにおけるスペーサー、被覆部及びラビング材の配置関係を概略的に示す断面図である。 図6は、順テーパー形状のスペーサー上に被覆された被覆部及び第2配向膜の拡大写真であって、ラビング処理後の状態を示す。 図7は、図6の符号「A」で示される範囲に含まれる単一のスペーサー及び被覆部の近傍を電子顕微鏡で観察して得られたSEM(Scanning Electron Microscope)画像である。 図8は、逆テーパー形状のスペーサー上に被覆された被覆部及び第2配向膜の拡大写真であって、ラビング処理後の状態を示す。 図9は、図8の符号「A」で示される範囲に含まれる単一のスペーサー及び被覆部の近傍(ラビング処理前)を電子顕微鏡で観察して得られたSEM画像である。 図10は、図8の符号「A」で示される範囲に含まれる単一のスペーサー及び被覆部の近傍(ラビング処理後)を電子顕微鏡で観察して得られたSEM画像である。 図11は、図8の符号「A」で示される範囲に含まれる単一のスペーサー及び被覆部とは別のスペーサー及び被覆部の近傍(ラビング処理後)を電子顕微鏡で観察して得られたSEM画像である。 図12は、スペーサーの形成〜液晶層の形成までの処理プロセスの概略を示すフローチャートである。 図13は、ラビング押し込み量、スペーサーのテーパー角度及び配向特性の関係例を示した表である。 図14は、スペーサー及び被覆部のテーパー角度を説明するための図である。 図15は、スペーサー及び被覆部のテーパー角度を説明するための図である。 図16は、調光セルの製造工程の概略を示すフローチャートである。 図17は、スペーサー構造体に関する構成の確認に供した試験結果を示す図表である。 図18は、スペーサー構造体に関する構成の確認に供した試験結果を示す図表である。 図19は、スペーサー構造体の製造条件を示す図表である。 図20は、配向膜の製造条件を示す図表である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお本件明細書に添付する図面では、図示及び理解を容易にするために便宜的に、各要素の縮尺及び寸法比等が、実物の縮尺及び寸法比等から誇張及び変更されている。また本明細書において、「膜」、「シート」及び「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。例えば「膜」という用語は、シートやフィルムと呼ばれうるような部材も含む概念である。また、本明細書において用いられる形状、幾何学的条件、及びそれらの程度を特定する用語(例えば「平行」、「直交」及び「同一」等の用語や長さや角度の値等)は、厳密な意味に縛られず、実質的に同等及び同様の機能を期待しうる程度の範囲を意味しうるものとして解釈される。
図1は、調光システム5の一例を示す概念図である。
本例の調光セル10は、後述のように液晶分子を含んだ液晶材料からなる液晶層を有し、光の遮断及び透過を切り換えたり光の透過度(透過率)を変えたりすることができる。調光セル10の適用対象は特に限定されず、典型的には窓及びドア等に対して調光セル10を適用できる。とりわけ、後述の柱状のスペーサーは、位置固定性能に優れており、振動等の外力によって位置が変動しにくい。したがって、後述の柱状スペーサーを有する調光セル10は、振動等の外力が加えられる環境下でも好適に使用可能であり、例えば家に設置される窓(例えば天窓)等に対しても適用されうる。
調光セル10は調光コントローラ12に接続され、調光コントローラ12にはセンサ装置14及びユーザ操作部16が接続される。調光コントローラ12は、調光セル10の調光状態を制御し、調光セル10による光の遮断及び透過を切り換えたり、調光セル10における光の透過度を変えたりすることができる。具体的には、調光コントローラ12は、調光セル10の液晶層に印加する電界を調整して液晶層中の液晶分子の配向を変えることで、調光セル10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。
調光コントローラ12は、任意の手法に基づいて液晶層に印加する電界を調整できる。例えばセンサ装置14の測定結果やユーザ操作部16を介してユーザにより入力される指示(コマンド)に応じて、調光コントローラ12は、液晶層に印加する電界を調整し、調光セル10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。したがって調光コントローラ12は、液晶層に印加する電界を、センサ装置14の測定結果に応じて自動的に調整してもよいし、ユーザ操作部16を介したユーザの指示に応じて手動的に調整してもよい。なおセンサ装置14による測定対象は特に限定されず、例えば使用環境の明るさを測定してもよく、この場合、調光セル10による光の遮断及び透過の切り換えや光の透過度の変更が使用環境の明るさに応じて行われる。また調光コントローラ12には、必ずしもセンサ装置14及びユーザ操作部16の両方が接続されている必要はなく、センサ装置14及びユーザ操作部16のうちのいずれか一方のみが接続されていてもよい。
図2は、調光セル10で使われる液晶セル11の断面例を示す図である。以下に詳述する本実施形態によれば、いわゆる順テーパー形状のスペーサー30を用いることで、ラビング処理時における配向部材の剥離が抑制され、高品位の液晶セル11を提供できる。なお、ここでいう「逆テーパー形状」及び「順テーパー形状」は、光の進行方向(図2の符号「L」参照)を基準としており、本実施形態では第2配向膜28側から第1配向膜27側へ向かう方向を基準としている。
本例の液晶セル11は、一対の偏光板(第1偏光板21及び第2偏光板22)と、一対の偏光板間に配置される一対のフィルム基材(第1偏光板21側に設けられる第1フィルム基材23及び第2偏光板22側に設けられる第2フィルム基材24)と、一対のフィルム基材間に配置される一対の透明電極(第1フィルム基材23側に設けられる第1透明電極25及び第2フィルム基材24側に設けられる第2透明電極26)と、一対の透明電極間に配置される一対の配向膜(第1透明電極25側に設けられる第1配向膜27及び第2透明電極26側に設けられる第2配向膜28)と、一対の配向膜間に配置される液晶層29とを備える。
このように液晶セル11では、第1偏光板21、第1フィルム基材23、第1透明電極25、第1配向膜27、液晶層29、第2配向膜28、第2透明電極26、第2フィルム基材24及び第2偏光板22が順次積層されている。これらの積層体の積層方向は、図面中で符号「D」によって表されている。
また、第2配向膜28及び液晶層29の少なくとも一部(本例では第2配向膜28の全部及び液晶層29の一部)を貫通する複数のスペーサー30が設けられている。複数のスペーサー30の各々は、図示の例では全体として円錐台形状を有し、少なくとも第1配向膜27と第2配向膜28との間において(本例では第1配向膜27と第2透明電極26との間において)、第2配向膜28から第1配向膜27に向かう方向へ徐々に細くなるテーパー形状を有する。したがって、第2配向膜28から第1配向膜27に向かう方向を基準とした場合、或いは第2配向膜28からスペーサー30が突出する方向(すなわちスペーサー30の頂部が向く方向)を基準とした場合、各スペーサー30は順テーパー形状を有する。そのため、各スペーサー30の第1配向膜27側の端面(平坦状の第1底部31)の面積は、第2透明電極26側の端面(平坦状の第2底部32)の面積よりも小さく、第1底部31の断面幅は第2底部32の断面幅よりも小さい。また液晶層29と第2配向膜28との間の境界面Sb1が横切る各スペーサー30の断面の面積及び断面幅は、第1底部31の面積及び断面幅よりは大きく、第2底部32の面積及び断面幅よりは小さい。
また複数のスペーサー30の各々の頂部は、被覆部34によって被覆されている。具体的には、第1配向膜27と第2配向膜28との間において、各スペーサー30の第1底部31及び側面が被覆部34によって覆われている。この被覆部34は、第2配向膜28と同じ部材によって構成され、典型的には、ラビング処理によって所望の配向性を簡単に付与可能な樹脂等の配向部材によって構成される。
第1偏光板21及び第2偏光板22は、上述のように第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24を挟み込むように設けられ、第1偏光板21が第1フィルム基材23側に設けられ、第2偏光板22が第2フィルム基材24側に設けられる。第1偏光板21及び第2偏光板22は、それぞれ固有の偏光軸及び吸収軸を有し、ある特定の方向に偏光した光のみを通過させる。例えば、第2偏光板22から第1偏光板21に向かう方向(図2の矢印「L」参照)に進行する光が液晶セル11に入射する場合、当該光のうち第2偏光板22の偏光軸と同じ方向に偏光した光のみが第2偏光板22を通過して第2フィルム基材24に進入し、また第1フィルム基材23から第1偏光板21に向かって進行する光のうち第1偏光板21の偏光軸と同じ方向に偏光した光のみが第1偏光板21を通過し外部に向かって進行する。第1偏光板21及び第2偏光板22の配置形態は特に限定されず、液晶層29に含まれる液晶分子の配向状態と関連して第1偏光板21及び第2偏光板22の配置形態は決定される。代表的には、偏光軸が互いに直交するように第1偏光板21及び第2偏光板22が配置される「クロスニコル」と呼ばれる状態、或いは偏光軸が互いに平行になるように第1偏光板21及び第2偏光板22が配置される「パラレルニコル」と呼ばれる状態がある。
第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24を樹脂によって構成し、柔軟性に富んだフィルム状の第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24を使用することで、ガラス基材を用いる場合では難しかった「曲面への液晶セル11の貼り合わせ」が容易になる。このように第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24のうちの少なくともいずれか一方は、全部又は一部が湾曲していてもよい。
第1透明電極25及び第2透明電極26は、調光コントローラ12(図1参照)によって電圧が印加されることで、液晶層29に所望の電界を印加する。第1透明電極25及び第2透明電極26を構成する部材や、第1透明電極25及び第2透明電極26の配置形態は特に限定されない。例えば酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)等の可視光透過率及び導電性に優れた部材によって、第1透明電極25及び第2透明電極26を構成できる。
液晶層29を構成する液晶部材は、第1配向膜27と第2配向膜28との間において複数のスペーサー30間(より厳密には被覆部34間)に充填される。第1配向膜27及び第2配向膜28は、液晶層29に含まれる液晶分子群を所望方向に配向させるための部材である。第1配向膜27及び第2配向膜28による液晶層29の配向方式は特に限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)方式やVA(Vertical Alignment)方式を採用することができる。
なお第1配向膜27と第2配向膜28との間において、液晶層29の外側にはシール材(図示省略)が配置される。液晶層29はそのシール材によって囲まれるスペースに封入され、また当該シール材を介して第1配向膜27と第2配向膜28とは相互に固定的に貼り合わされる。
複数のスペーサー30の各々は、液晶層29が全体として均一の厚みを有するように、第1配向膜27と第2配向膜28との間の間隔を保持する役目を果たす。上述のように各スペーサー30は、第1配向膜27と第2配向膜28との間において、被覆部34によって被覆される。そのため各スペーサー30は、被覆部34を介して第1配向膜27を支持し、また被覆部34を介して液晶層29に隣接する。
なお図2に示す例では、第1配向膜27と第2透明電極26との間(とりわけ第1配向膜27と第2配向膜28との間)において、スペーサー30及び被覆部34の径(断面幅)が第2配向膜28からの距離に応じてほぼ線形に変化し、スペーサー30及び被覆部34は、側面の角度がほぼ一定の円錐台形状を有するが、当該形状に限定されない。スペーサー30及び被覆部34は、第2透明電極26や第2配向膜28からの距離に応じて径が非線形に変化してもよく、例えば第2透明電極26や第2配向膜28からの距離に対して径が指数関数的に変わってもよいし、第2透明電極26や第2配向膜28からの距離の平方根に比例して径が変わってもよい。
なお各スペーサー30及び各被覆部34のテーパー角度は、本例では、75°以上85°以下の範囲に設定されている。この範囲に各スペーサー30及び各被覆部34のテーパー角度を設定することで、とりわけ効果的に、被覆部34(配向部材)の剥離を抑制した状態でラビン処理を行うことができる。
図3は、各スペーサー30のテーパー角度θを説明するための図である。ここでいう各スペーサー30のテーパー角度θは、各スペーサー30の断面において、積層方向Dに関し、各スペーサー30の両端部間(図3では、各スペーサー30の最も上側の位置(第1底部31)と最も下側の位置(第2底部32)との間)の距離の3分の1(1/3)だけ、各スペーサー30の最も下側の位置から離間した位置における各スペーサー30の側部Lpの接線Ltが、積層方向Dへ延びるラインVとの間で成す角度によって表される。すなわち、各スペーサー30の側面のうち、積層方向Dに関する各スペーサー30の全長の3分の1に相当する距離だけ第2底部32から離間した箇所Lpの接線Ltと、積層方向Dへ延びるラインVとの間で形成される角度によって、各スペーサー30のテーパー角度θが表される。
なお各被覆部34のテーパー角度も、上述の各スペーサー30のテーパー角度と同様にして求められる。すなわち、各被覆部34の側面のうち、積層方向Dに関する各被覆部34の全長の3分の1に相当する距離だけ、第2配向膜28側の底部から離間した箇所の接線と、積層方向Dへ延びるラインとの間で形成される角度によって、各被覆部34のテーパー角度が表される。
次に、上述の液晶セル11(とりわけ第2配向膜28)に対するラビング処理について説明する。
図4は、順テーパー形状のスペーサー30に関するラビング処理の一例を説明するための図であり、(a)は第1のタイミングにおけるスペーサー30、被覆部34及びラビング材40の配置関係を概略的に示す断面図であり、(b)は第2のタイミングにおけるスペーサー30、被覆部34及びラビング材40の配置関係を概略的に示す断面図である。
ラビング材40は、図4(a)及び(b)において符号「H」で表されるラビング方向へ第2配向膜28及び被覆部34の表面上を摺動する。図4(a)はラビング材40が被覆部34に接触する前の状態を示し、図4(b)はラビング材40が被覆部34に接触した後の状態を示す。本例のようにスペーサー30及び被覆部34が順テーパー形状を有することで、各被覆部34は比較的滑らかな表面を形成し、被覆部34の表面に対する第2配向膜28の表面の角度は比較的なだらかになる。そのためラビング材40の先端は、第2配向膜28の表面から被覆部34の表面にスムーズに進行し、被覆部34の側面から頂面にスムーズに進行し、被覆部34の頂面から側面にスムーズに進行し、被覆部34の表面から第2配向膜28の表面にスムーズに進行することができる。このように被覆部34の表面及び第2配向膜28の表面によって比較的滑らかな摺動面を形成することで、ラビング材40から被覆部34に対して局所的に過大な力が作用することを効果的に回避でき、被覆部34がスペーサー30から剥がされにくくなる。
図5は、逆テーパー形状のスペーサー30に関するラビング処理の一例を説明するための図であり、(a)は第1のタイミングにおけるスペーサー30、被覆部34及びラビング材40の配置関係を概略的に示す断面図であり、(b)は第2のタイミングにおけるスペーサー30、被覆部34及びラビング材40の配置関係を概略的に示す断面図である。
スペーサー30が逆テーパー形状を有する場合、スペーサー30を被覆する被覆部34は全体として様々な形状を取ることが可能であり、一例として、図5(a)及び(b)に示す被覆部34は順テーパー形状を有する。すなわち被覆部34の外周部は、第2配向膜28から第1配向膜27に向かう方向(スペーサー30が第2配向膜28から突出する方向)へ、徐々に細くなる(図5(a)参照)。ただし、逆テーパー形状のスペーサー30を被覆する順テーパー形状の被覆部34は比較的急峻なテーパー角度を有し、典型的には、被覆部34は65°以上85°未満の範囲のテーパー角度を有する。
このような形状を有する被覆部34の表面上をラビング材40が摺動すると、図5(b)に示すように、被覆部34の一部がラビング材40によって容易に削られる。これは、順テーパー形状のスペーサー30を被覆する被覆部34(図4参照)に比べ、逆テーパー形状のスペーサー30を被覆する被覆部34では、側面のテーパー角度が急峻になりやすいことや、側部の体積が大きくなって剥がれやすさが増大することに起因する。例えば、被覆部34の側面のテーパー角度が急峻になると、突出部を構成するスペーサー30及び被覆部34にラビング材40が引っかかりやすくなり、ラビング材40から被覆部34に対して局所的に過大な力が作用しやすい。また、被覆部34を構成する部材の結合力が十分に高くない場合に被覆部34の側部の体積が大きくなると、被覆部34自体が比較的脆くなり、ラビング処理時にラビング材40から加えられる力によって簡単に被覆部34が削られてしまう。
なお第2配向膜28及び被覆部34を作製する際の焼成温度も被覆部34の剥離のしやすさに影響を及ぼす。一般に、第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24として樹脂フィルムを使用する場合にはその特性上、焼成温度を低くしなければならず、具体的には樹脂フィルムのガラス転移温度(ガラス転移点:Tg)未満に焼成温度を調整する必要がある。基材としてガラスを使用する場合には配向膜の焼成温度を通常は200℃以上にすることができ、例えば230℃で30分間にわたって焼成を行うことができるが、基材として樹脂を使用する場合には、例えば120℃程度の温度で30分間にわたって配向膜の焼成を行うことが求められる。
このように第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24として樹脂フィルムを使用する場合には、配向膜の焼成を比較低温で行う必要がある。一般に配向膜はポリイミドによって作られることが多い。このポリイミドは、熱反応によってイミド化するが、低温での反応性は低く、配向膜の硬化性も低くなる。またポリイミド製の配向膜に使用される主溶媒は一般的にNMP(N−メチルピロリドン;沸点:204℃)が用いられるため、溶剤が膜内に残りやすい。したがって、樹脂製の第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24上で作製した配向膜層(第1配向膜27及び第2配向膜28)はガラス基材に比べてラビング処理によって剥がれやすい。
なお逆テーパー形状のスペーサー30(図5参照)において、例えば120℃の焼成温度で第2配向膜28及び被覆部34を作製する場合、スペーサー30の裾野部(図5(a)の符号「S」参照)にも配向部材が溜まる。この場合、焼成温度が比較的低いことから配向部材の硬化性が悪く、且つ、溶剤の残りも平面に比較して多くなる(感材が多いため)ことから、被覆部34は、平面部に比較し、裾野部において剥がれやすくなっている。なお、ガラス基材を用いて焼成温度を230℃にする場合、裾野部の硬化性も比較的高く、溶媒も蒸発しており、裾野部は平面部と同等の硬さを持っていると考えられる。したがって、被覆部34の裾野部において剥離が生じやすいことは、樹脂製のフィルム基材(第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24)を用いるために焼成温度を低くする必要があることに起因する。
ラビング材40によって被覆部34が削られると、スペーサー30を被覆する被覆部34の表面形状がいびつになり、被覆部34は、様々な方向の面方向を持つことになるとともに表面積も増える。これにより、被覆部34の周囲に配置される液晶層29の液晶分子の配向性が乱され、被覆部34自体の光透過性が不規則的になって、結果として光の透過率が下落する。また削り取られた被覆部34は、第2配向膜28及び被覆部34上を摺動するラビング材40に引きずられて最終的には意図しない箇所に配置され、光の透過を妨げる異物となる。このように被覆部34がラビング材40によって削られると、液晶層29の配向性及び光の透過特性に悪影響を及ぼし、液晶セル11全体の光の透過特性を悪化させる。
なお図5に示す例では被覆部34の側部が順テーパー形状を有しているが、逆テーパー形状のスペーサー30を被覆する被覆部34の側部が逆テーパー形状や円筒形状を有する場合にも、被覆部34はラビング材40によって削られやすい。すなわち被覆部34の側部が逆テーパー形状を有する場合や円筒形状を有する場合も、被覆部34のテーパー角度は急峻になるため、ラビング材40はスペーサー30及び被覆部34に引っかかりやすく、被覆部34がスペーサー30から剥がれやすい。
図6は、順テーパー形状のスペーサー30上に被覆された被覆部34及び第2配向膜28の拡大写真であって、ラビング処理後の状態を示す。図7は、図6の符号「A」で示される範囲に含まれる単一のスペーサー30及び被覆部34の近傍を電子顕微鏡で観察して得られたSEM(Scanning Electron Microscope)画像である。
図6及び図7に示すように、順テーパー形状のスペーサー30を使用した例では、ラビング処理を行っても被覆部34は剥がれておらず、スペーサー30が被覆部34によって適切に被覆されている状態が保持されていた(図7参照)。また、被覆部34の散乱も見られず(図6参照)、スペーサー30及び被覆部34がほぼ理想的な状態で配置されていた。
図8は、逆テーパー形状のスペーサー30上に被覆された被覆部34及び第2配向膜28の拡大写真であって、ラビング処理後の状態を示す。図9は、図8の符号「A」で示される範囲に含まれる単一のスペーサー30及び被覆部34の近傍(ラビング処理前)を電子顕微鏡で観察して得られたSEM画像である。図10は、図8の符号「A」で示される範囲に含まれる単一のスペーサー30及び被覆部34の近傍(ラビング処理後)を電子顕微鏡で観察して得られたSEM画像である。図11は、図8の符号「A」で示される範囲に含まれる単一のスペーサー30及び被覆部34とは別のスペーサー30及び被覆部34の近傍(ラビング処理後)を電子顕微鏡で観察して得られたSEM画像である。
図8〜図11に示すように、逆テーパー形状のスペーサー30を使用した例では、ラビング処理によって被覆部34はスペーサー30から剥がれてしまい、スペーサー30が露出している箇所も見られた(図10及び図11参照)。また、スペーサー30から剥がされた被覆部(図8における符号「34a」参照)が不規則的に散乱し(図8参照)、剥離した被覆部34aが本来的には配置されないスペーサー30間に散らばっていた。
図6〜図11からも明らかなように、順テーパー形状のスペーサー30を用いる場合(図6及び図7参照)の方が、逆テーパー形状のスペーサー30を用いる場合(図8〜図11参照)に比べ、配向部材の散乱を抑えつつラビング処理を適切に行うことができる。
<液晶セル11の製造方法>
本実施形態に係る液晶セル11を製造する方法は特に限定されず、任意の貼り合わせ技術やフォトリソグラフィ技術等を使って液晶セル11を製造することができる。特に順テーパー形状の柱状のスペーサー30は、フォトリソグラフィ技術によって好適に製造可能である。フォトリソグラフィ技術に基づいて各スペーサー30を形成する場合、各スペーサー30の配置に応じて定められるパターンが形成されたマスクを使用して、レジストに対する光照射(露光工程)が行われる。
例えば、スペーサー30を構成する感光性樹脂(光硬化性樹脂)を第2透明電極26上にコートし、フォトリソグラフィ技術によって当該感光性樹脂からテーパー形状のスペーサー30を形成し、その後、第2透明電極26上に第2配向膜28を形成し、当該第2配向膜28に対してラビング処理を施して配向規制力を付与することができる。この場合、スペーサー30が形成された状態で第2配向膜28の形成処理が行われるため、第2配向膜28と同じ部材が各スペーサー30を被覆して被覆部34を構成する。また第2配向膜28に対する配向付与処理は、スペーサー30の頂部及び被覆部34が第2配向膜28から突出した状態で行われる(図4参照)。
図10は、スペーサー30の形成〜液晶層29の形成までの処理プロセスの概略を示すフローチャートである。
まず、フォトリソグラフィ技術等を利用して第2透明電極26上に複数のスペーサー30が設けられる(図10のS11)。
そして、これらの複数のスペーサー30及び当該複数のスペーサー30が形成される第2透明電極26の面上に、第2配向膜28を構成する部材(配向部材)が付与される。これにより、第2透明電極26上に第2配向膜28が層状に形成され、また各スペーサー30の頂部が層状の配向部材によって覆われて被覆部34が形成される(S12)。なお第2配向膜28及び被覆部34を構成する配向部材の付与は、任意の手法によって実施可能であり、均一な膜厚を実現可能な塗布技術が好適に用いられる。
そして、第2配向膜28に対して配向性を付与するラビング処理が行われる(S13)。上述のように本実施形態では、ラビング材40(図4及び図5)を第2配向膜28及び被覆部34上で摺動させることで、所望の配向性が第2配向膜28に付与される。
その後、第2配向膜28上における複数のスペーサー30間(厳密には被覆部34間)に液晶材料が付与されて、液晶層29が第2配向膜28上に形成される(S14)。なお、液晶材料の付与手法は特に限定されない。典型的には、第1配向膜27と第2配向膜28とを相互に重ね合わせた後に第1配向膜27と第2配向膜28との間のスペースを真空状態として、真空引きにより当該真空スペースに液晶材料を充填することで液晶層29を形成できる。また別の手法としてODF(One Drop Filling)と呼ばれる手法を好適に利用可能であり、例えば第2配向膜28上に液晶層29を付与(滴下)した後に第1配向膜27と第2配向膜28とを相互に重ね合わせることで、液晶層29が形成されてもよい。
次に、比較例及び実施例について説明する。
<比較例1>
本例の調光セル10は、図2に示すような構成を有する液晶セル11を含み、液晶の配向性を利用して透過光を制御する。すなわち本例の液晶セル11では、第1偏光板21、第1フィルム基材23、第1透明電極25、第1配向膜27、液晶層29、第2配向膜28、第2透明電極26、第2フィルム基材24及び第2偏光板22が順次積層されている。
具体的には、液晶配向層用フィルム(第1配向膜27及び第2配向膜28)により液晶層29を挟み込み、これらの第1配向膜27、液晶層29及び第2配向膜28を直線偏光板(第1偏光板21及び第2偏光板22)によって挟み込むことで、本例の液晶セル11(調光セル10)を作製した。
本例の第1配向膜27及び第2配向膜28によって液晶層29に付与される配向性(駆動方式)として、VA方式が採用された。したがって例えば、第1透明電極25と第2透明電極26との間に電界が作用しない状態では、液晶層29の液晶分子が第1配向膜27及び第2配向膜28に対して垂直に並ぶ。また第1透明電極25と第2透明電極26との間に電界を作用させると、液晶層29の液晶分子が第1配向膜27及び第2配向膜28に対して平行に並ぶ。
第1配向膜27と第2配向膜28との間には、液晶層29の厚みを一定に保持するための複数のスペーサー30を設けた。本例のスペーサー30は逆テーパー形状を有し(図5参照)、第2配向膜28を貫通するとともに、液晶層29の一部を貫通するように配置されており、第1配向膜27と第2配向膜28との間において順テーパー形状の被覆部34により覆われていた。
液晶配向層用フィルムは、フィルム材(基材)に対して電極(第1透明電極25及び第2透明電極26)及び配向層(第1配向膜27及び第2配向膜28)を順次作製することで形成した。第1偏光板21及び第2偏光板22は、偏光軸が互いに直交するクロスニコルの状態に置かれた。本例では更に、第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24としてポリカーボネート製のフィルム材を用いた。
なお第1配向膜27及び第2配向膜28にはラビング処理により配向性を付与した。特に第2配向膜28に対するラビング処理は、各スペーサー30の頂部及び被覆部34が第2配向膜28から突出した状態で、ラビング材40を第2配向膜28及び被覆部34の表面上で摺動させることで行った。
上述の構成を有する液晶セル11を備える調光セル10に対して第2偏光板22側から光を照射したところ、後述の実施例1に係る調光セル10(液晶セル11)に比べ、2%程度の光の透過率の低下が見られ、また各スペーサー30の周囲の液晶部材(液晶層29)に比較的目立つディスクリネーション形状の変形が確認された。
<実施例1>
本例の液晶セル11で用いられる各スペーサー30は順テーパー形状を有し(図2参照)、第1配向膜27と第2配向膜28との間において各スペーサー30の頂部は順テーパー形状の被覆部34により覆われていた。
本例の液晶セル11の他の構成は、上述の比較例1と同じである。
上述の構成を有する液晶セル11を備える調光セル10に対して第2偏光板22側から光を照射したところ、上述の比較例1に係る調光セル10(液晶セル11)に比べ、光の透過率が2%程度優れており、また各スペーサー30の周囲の液晶部材(液晶層29)においてディスクリネーション形状の変形は見られなかった。
このように上述の比較例1及び実施例1の観察結果からも、第1配向膜27と第2配向膜28との間におけるスペーサー30の形状を順テーパー形状とすることで、ラビング処理を適切に行うことができ、ラビング処理時に配向部材の散乱を効果的に抑えることができることが確認された。
<最適なテーパー角度の範囲>
図13は、ラビング押し込み量、スペーサーのテーパー角度及び配向特性の関係例を示した表である。
本件発明者は、ラビング押し込み量及びスペーサー30のテーパー角度θを変えながら、第2配向膜28から突出するスペーサー30に被覆部34を被覆した後に、ラビング材40によって第2配向膜28及び被覆部34に対してラビング処理を行った(図4及び図5参照)。
ここでいう「ラビング押し込み量」は、撓みのない状態のラビング材40の先端が第2配向膜28に接触した状態(すなわち「ラビング押し込み量=0.0mm」)から、第2配向膜28に向かってラビング材40を近づけた距離(0.1mm〜0.5mm)によって表される。またテーパー角度θについては図3が参照される。
図13に示す例におけるラビング処理では、ラビング材40の回転速度を400rpm(revolution per minute)に設定(固定)し、ラビング材40の移動速度を50mm/secに設定(固定)した。
図13において、「×」はラビング処理によって被覆部34が剥がれてしまって、第2配向膜28の配向処理が適切に行われなかった場合を示す。「○」はラビング処理によって被覆部34が剥がれておらず、被覆部34の剥離の兆候も見られず、第2配向膜28の配向処理が適切に行われた場合を示す。「△」は上述の「×」で表されるケースと「○」で表されるケースとの間の中間的な状態を示し、ラビング処理によって被覆部34の剥離の兆候が見られた場合を示す。
また図13の「配向性能」は、各サンプルを使って作製された液晶セル11(調光セル10)の、10ボルト(10V)の印加電圧下での全光線透過率を計測して評価し、この全光線透過率が高いほど液晶の配向性能が良好であることを示す。なお、全光線透過率の詳細は「JIS(Japanese Industrial Standards) 7375:2008」に基づいて定めることができる。全光線透過率の測定には光源として「ダイクロミラー付ハロゲンランプ」を使用した。測定対象の液晶セル11(調光セル10)を透過する前の光のうち555nmの波長の光強度を基準として得られる「調光セル10を透過する光の割合」によって全光線透過率が算出される。したがって液晶セル11(調光セル10)を透過する前の555nm波長の光強度を「100(%)」で表した場合の、液晶セル11(調光セル10)を透過した後の可視光波長の光強度の値(%)によって全光線透過率を表すことができる。測定に使用した液晶セル11(調光セル10)の厚さは約0.55mmであり、測定装置として村上色彩技術研究所のヘイズメーターHM−150を用いた。図13における「A」は全光線透過率が最も高く、液晶の配向性能が非常に良好であることを示す。「B」の全光線透過率は「A」の全光線透過率よりも低いが、液晶の配向性能が非常に良好であることを示す。「C」の全光線透過率は「B」の全光線透過率よりも低く、液晶の配向性能が若干劣ることを示す。「D」の全光線透過率は「C」の全光線透過率よりも低く、液晶の配向性能が非常に劣ることを示す。
図13に示される評価結果からも明らかなように、被覆部34の剥離に基づく評価(ラビング耐性)及び液晶の配向性能に基づく評価を勘案すると、スペーサー30のテーパー角度θは75°〜85°(75°及び85°を含む)が非常に良好であることが分かる。なおスペーサー30のテーパー角度θが85°よりも直立方向に近づくにしたがって(すなわちスペーサー30のテーパー角度θが85°よりも大きくなるにしたがって)、ラビング耐性が悪化することが分かる。なお、スペーサー30が順テーパー形状を有していても、極端なテーパー角度θを持つ順テーパー形状のスペーサー30は好ましくなく、スペーサー30のテーパー角度θが75°程度までが好ましいことを本件出願人は確認した。
図14は、スペーサー30及び被覆部34のテーパー角度を説明するための図である。図14(a)及び(b)に示すスペーサー30及び被覆部34は、下底径(「DL」)が等しいが、図14(b)に示すスペーサー30及び被覆部34の上底径は図14(a)に示すスペーサー30及び被覆部34の上底径よりも極端に小さく、図14(b)に示すスペーサー30及び被覆部34のテーパー角度θが図14(a)に示すスペーサー30及び被覆部34のテーパー角度θよりも小さくなっている。このようにスペーサー30及び被覆部34の下底径を一定にしつつ、スペーサー30及び被覆部34を極端に順テーパー化すると(すなわち上底径と下底径との差を大きくすると)、上底径が極端に小さくなって、基材との接触面積が小さくなるため、耐圧性能が悪くなる。
図15は、スペーサー30及び被覆部34のテーパー角度を説明するための図である。図15(a)及び(b)に示すスペーサー30及び被覆部34は、上底径(「DU」)が等しいが、図15(b)に示すスペーサー30及び被覆部34の下底径は図15(a)に示すスペーサー30及び被覆部34の下底径よりも極端に大きく、テーパー角度θが小さくなっている。このようにスペーサー30及び被覆部34の上底径を一定にしつつ、スペーサー30及び被覆部34を極端に順テーパー化すると、柱径が大きくなるため、液晶の配向不良領域が大きくなり、光透過率が悪くなる。
上述の事情に鑑みると、スペーサー30が極端な順テーパー形状を有することは好ましくなく、スペーサー30のテーパー角度は75°程度までが好ましい。
<スペーサー構造体の詳細構成>
以下、「スペーサー構造体の硬度」と「スペーサー構造体の先端が当接する部位の硬度」との好ましい関係例について説明する。なお以下の説明において「スペーサー構造体」は、第1配向膜27及び第2配向膜28の間隔(セルギャップ)を保持するように第1配向膜27及び第2配向膜28を支持する単一又は複数の部材を指す。例えば図2に示す例では、実質的にスペーサー30及び被覆部34の組み合わせによってスペーサー構造体が構成されている。
以下で説明する実施形態では、図16に示す調光セル10の製造工程によりフォトレジストを使用して円柱形状又は円錐台形状によりスペーサー30が形成される。すなわち調光セル10の製造工程では、第1の積層体の製造(図16の符号「SP1」参照)、第2の積層体の製造(図16の符号「SP2」参照)、液晶セル11の製造(図16の符号「SP3」参照)、及びこれらの部材の積層(図16の符号「SP4」参照)が順次行われる。なお第1の積層体の製造工程SP1には、電極(すなわち「第2透明電極26」)の製造工程SP1−1、スペーサー30の製造工程SP1−2及び配向層(すなわち「第2配向膜28」)の製造工程SP1−3が含まれる。また図示は省略したが、第2の積層体の製造工程SP2には、電極(すなわち「第1透明電極25」)の製造工程及び配向層(すなわち「第1配向膜27」)の製造工程が含まれる。このようにしてスペーサー構造体を製造して、この実施形態では、各スペーサー構造体のビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり(すなわち「16.9≦Xs≦40.2」が満たされ)、スペーサー構造体の先端が当接する第1配向膜27のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下であるように設定され(すなわち「11.8≦Xf≦35.9」が満たされ)、これによりスペーサー構造体に関する信頼性が従来に比して一段と向上する。なお、ビッカース硬度の値は、以下の実施例に記載の条件における測定値である。
例えば、被覆部34が設けられず主としてスペーサー30のみによってセルギャップが保持されている場合(すなわちスペーサー構造体がスペーサー30を含むが被覆部34を含まない場合)には、複数のスペーサー30の各々のビッカース硬度値によって上記のXsが表され、複数のスペーサー30の各々の先端が当接する第1配向膜27のビッカース硬度値によって上記のXfが表される。一方、図2に示すように被覆部34が設けられて主としてスペーサー30及び被覆部34の組み合わせによってセルギャップが保持されている場合(すなわちスペーサー構造体がスペーサー30及び被覆部34を含む場合)には、複数のスペーサー30の各々及び被覆部34のビッカース硬度値によって上記のXsが表され、複数のスペーサー30の各々の先端を被覆する被覆部34が当接する第1配向膜27のビッカース硬度値によって上記のXfが表される。ここで言う「複数のスペーサー30の各々及び被覆部34のビッカース硬度値」は、各スペーサー30が被覆部34によって被覆された状態で計測されるビッカース硬度値を意味する。
スペーサー構造体の先端が当接する第1配向膜27の部位のビッカース硬度値Xfが11.8未満の場合、使用中の押圧力により、スペーサー構造体の先端が対向する面に貫入し、その結果、セルギャップが不均一化したり、局所的な配向不良が発生したりする。またこの場合、スペーサー構造体の組み立て時の接触等により第1フィルム基材23にキズが発生したり、全体を屈曲した際にクラックが生じたりする。
またスペーサー構造体のビッカース硬度値Xsが16.9未満の場合には、外圧によりスペーサー構造体が潰れてセルギャップが低減し、所望のセルギャップを得られなくなる。またスペーサー構造体のビッカース硬度値Xsが40.2を超える場合、又はスペーサー構造体の先端が当接する第1配向膜27のビッカース硬度値Xfが35.9を超える場合にあっても、セルギャップが低減したり、キズやクラックが発生したりする場合がある。
しかしながらスペーサー構造体のビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、スペーサー構造体の先端が当接する第1配向膜27のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下であるように設定すれば、これらの問題を一挙に解決してスペーサー構造体に関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
〔試験結果〕
図17及び図18は、このスペーサー構造体に関する構成の確認に供した試験結果を示す図表である。図17及び図18における実施例は、スペーサー構造体(スペーサー30及び被覆部34)及びこのスペーサー構造体が当接する配向層に関する構成が異なる点を除いて、同一に構成される。より具体的には、これらの実施例の調光セル10は、下側積層体(第2透明電極26及び第2配向膜28参照)側にのみスペーサー構造体を設けるようにし、このスペーサー構造体に係る製造条件を調整することにより、スペーサー構造体のビッカース硬度値Xsを変化させた。また第1配向膜27を製造する際の条件を調整することにより、スペーサー構造体の先端が当接する第1配向膜27のビッカース硬度値Xfを変化させた。
すなわちスペーサー構造体に関しては、スペーサー30に係る塗工液を塗工した後、乾燥させ、その後、露光装置を使用したマスク露光により、スペーサー30を製造する部位を選択的に露光する。なおこれはネガ型のフォトレジストの場合であり、ポジ型のフォトレジストではこれとは逆にスペーサー構造体を配設する部位を除く部位が選択的に露光処理される。その後、スペーサー30は、現像処理により未露光の部位又は露光処理した部位が選択的に除去されてリンス等の処理が実行され、必要に応じて乾燥等の処理が実行される。
この露光処理では、事前に加熱していわゆるハーフキュアーの状態のフォトレジストに対して露光処理を行ったり、加熱した環境下で露光処理を行ったりする場合がある。また現像処理において、リンス等の処理を実行した後、加熱処理を行って反応を促進する場合がある。スペーサー構造体の硬度値Xsは、スペーサー構造体に係るフォトレジストの材料の選定、露光工程及びオーブンでの焼成における加熱の温度及び時間の設定、現像工程における加熱の温度及び時間の設定、露光光量及び露光時間、及びマスクキャップの設定に応じて決めることができる。
この実施形態では、露光工程及び現像工程における加熱の温度及び時間を調整することにより、スペーサー構造体のビッカース硬度値Xsがそれぞれ14.8、16.9、22.2、40.2、或いは51.4である下側積層体(第2透明電極26及び第2配向膜28参照)を製造した(図19)。なおこの硬度は、スペーサー構造体の作製条件をそれぞれ調整して下側積層体(第2透明電極26及び第2配向膜28参照)を製造し、この下側積層体(第2透明電極26及び第2配向膜28参照)を使って調光セル10を一旦製造した後、分解して計測した計測値である。またこの計測値は、各調光セル10で12点を計測し、最大値及び最小値を除いて残る10点の平均値による計測結果である。
なおスペーサー構造体は、直径9μm、高さ6μmの円柱形状により製造した。また第2フィルム基材24の面内方向で直交する2方向に110μmピッチにより規則的にスペーサー構造体を配置した。従って第2フィルム基材24上においてスペーサー構造体の占める割合(占有率)は、0.5%(=((9/2)×3)/(110))である。
なおスペーサー構造体の占有率を大きくすると、スペーサー構造体1個当たりに印加される応力が小さくなることにより、スペーサー構造体が潰れたり、先端が貫入したりする現象を軽減できるものの、透過率が劣化したり、遮光率が劣化したりする。しかしながらスペーサー構造体の占有率が小さい場合には、透過率及び遮光率等の光学特性を確保することができるものの、スペーサー構造体が潰れたり、先端が貫入したりする現象を避け得なくなる。これによりスペーサー構造体の占有率は、0.5%以上、10%以下であることが望ましい。
これに対してこのスペーサー構造体が当接する面である第1配向膜27は、塗工液を塗工して乾燥及び熱硬化することにより製造され、この熱硬化の条件(加熱温度及び加熱時間)等を調整することによりビッカース硬度値Xfを所望値に設定した。これにより実施例では、ビッカース硬度値Xfが10.2、11.8、24.8、35.9、或いは38.5である第1配向膜27を製造した(図20)。なおこの硬度値Xfは、第1配向膜27の作製条件をそれぞれ調整してスペーサー構造体が当接する面である第1配向膜27について硬さの異なる第1電極配向層(第1透明電極25及び第1配向膜27参照)を製造し、この第1電極配向層(第1透明電極25及び第1配向膜27参照)を使って調光セル10を一旦製造した後、分解して計測した計測値である。またこの計測値は、12点で計測を行い、最大値及び最小値を除いて残る10点の平均値による計測結果である。
なおビッカース硬度値Xs、Xfは、ヘルムートフィッシャー社製PICODENTOR HM500を使用して計測した。計測は、押し込み速度300mN/20sec、リリース速度300mN/20sec、クリープ時間5秒により、最大荷重を100mNの測定条件とした。
図17及び図18の各実施例では、このようにして製造した第1電極配向層(第1透明電極25及び第1配向膜27参照)及び第2電極配向層(第2透明電極26及び第2配向膜28参照)により調光セル10を製造して試験した。図17及び図18の試験では、定盤による硬度の高い平滑面に調光セル10を載置した状態で、0.8MPaに相当する加重を印加した後、セルギャップを計測してセルギャップの減少を判断した。なお加重の時間は24時間である。またこのように加重した後、第1配向膜27を含む上側積層体及び第2配向膜28を含む下側積層体を剥離してスペーサー構造体を顕微鏡により観察して、スペーサー構造体の潰れ(以下、「スペーサー潰れ」とも称する)を観察してセルギャップの減少を観察し、またスペーサー構造体が当接する部位を顕微鏡により観察してスペーサー構造体先端の貫入(フィルム貫入)の状態を観察した。
ここでこの顕微鏡による観察ではSEM等の手法を用いて正面視、斜視、及び断面を観察し、目視でスペーサー構造体の変形の有無を確認し、スペーサー構造体の変形が確認された場合にはその状況に応じて「セルギャップ減少、スペーサー潰れ」の有無を○△判定した。従って図17及び図18において「○」は、対応する項目に係る異常が見られない場合を示し、「△」は対応する項目に係る異常が見られる場合を示す。
また同様にスペーサー構造体が当接する部位をSEM等の手法を用いて斜視して、窪み(凹部)が確認された場合には「フィルム貫入」を「△」判定とし、凹部が認められない場合には「フィルム貫入」を「○」判定とした。
また第1電極配向層(第1透明電極25及び第1配向膜27参照)及び第2電極配向層(第2透明電極26及び第2配向膜28参照)を積層して0.1MPaに相当する加重を印加した状態で、第1電極配向層及び第2電極配向層の相対位置を0.1cm/secにより変位させ、目視により傷の発生を確認した。ここで複数サンプルの半数以上で傷の発生が確認された場合には図17及び図18の「キズ」の項目を「△」により示し、これとは逆に、複数サンプルの半数以上で傷の発生が確認されない場合には「キズ」の項目を「○」により示す。
また調光セル10の状態で、JIS K5600−5−1の曲げ試験の規定に従って、直径2mmの円柱マンドレルに当該調光セルを巻き付けて、基材(第1フィルム基材23及び第2フィルム基材24)におけるクラックの発生の有無を確認した。この試験で、複数サンプルの半数以上で基材にクラックの発生が確認された場合には図17及び図18の「クラック」の項目を「△」により示し、これとは逆に、複数サンプルの半数以上で基材にクラックの発生が確認されない場合には「クラック」の項目を「○」により示す。
この図17及び図18の計測結果から明らかなように、スペーサー構造体のビッカース硬度値Xsが16.9未満である場合(実施例19及び21)、セルギャップの減少が観察され、また実施例19では、フィルムへのスペーサー構造体先端の貫入、キズ及びクラックが観察された。またスペーサー構造体の先端が当接する第1配向膜27のビッカース硬度値Xfが、11.8未満である場合(実施例9及び11)、キズ及びクラックが観察され、また実施例11では、フィルムへのスペーサー構造体先端の貫入が観察された。
またスペーサー構造体のビッカース硬度値Xsが40.2を超える場合(実施例20及び22)、実施例20では、セルギャップの減少及びフィルムへのスペーサー構造体先端の貫入が観察され、実施例22ではキズが観察された。またスペーサー構造体の先端が当接する第1配向膜27の部位のビッカース硬度値Xfが35.9を超える場合(実施例10及び12)、セルギャップの減少及びキズが観察され、さらに実施例12では、クラックが観察された。
しかしながら実施例2〜8及び13〜18では、これらの現象(図17及び図18に示す「セルギャップ減少」、「フィルム貫入」、「キズ」及び「クラック」)が観察されることが無く、これにより充分にスペーサー構造体に関して信頼性を確保できることが確認された。
本発明は上述の個々の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、上述の実施形態及び変形例の一部又は全部が組み合わされてもよいし、上述の実施形態及び変形例に対して種々の変形が加えられてもよい。また、本発明の効果も上述の内容に限定されない。このように特許請求の範囲において特定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
5 調光システム
10 調光セル
11 液晶セル
12 調光コントローラ
14 センサ装置
16 ユーザ操作部
21 第1偏光板
22 第2偏光板
23 第1フィルム基材
24 第2フィルム基材
25 第1透明電極
26 第2透明電極
27 第1配向膜
28 第2配向膜
29 液晶層
30 スペーサー
31 第1底部
32 第2底部
34 被覆部
40 ラビング材

Claims (9)

  1. 第1フィルム基材及び第2フィルム基材と、
    前記第1フィルム基材と前記第2フィルム基材との間に配置される第1電極及び第2電極であって、前記第1フィルム基材側に設けられる第1電極及び前記第2フィルム基材側に設けられる第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に配置される第1配向膜及び第2配向膜であって、前記第1電極側に設けられる第1配向膜及び前記第2電極側に設けられる第2配向膜と、
    前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に配置される液晶層と、
    前記第2配向膜及び前記液晶層の少なくとも一部を貫通する複数のスペーサーと、を備え、
    前記複数のスペーサーの各々は、少なくとも前記第1配向膜と前記第2配向膜との間において、前記第2配向膜から前記第1配向膜に向かう方向へ徐々に細くなるテーパー形状を有する液晶セル。
  2. 前記複数のスペーサーの各々は、被覆部によって被覆されている請求項1に記載の液晶セル。
  3. 前記被覆部は、前記第2配向膜と同じ部材によって構成される請求項2に記載の液晶セル。
  4. 前記複数のスペーサーの各々のテーパー角度は、75°以上85°以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶セル。
  5. 前記第1フィルム基材及び前記第2フィルム基材は、樹脂によって構成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶セル。
  6. 前記第1フィルム基材及び前記第2フィルム基材を挟み込むように設けられる第1偏光板及び第2偏光板であって、前記第1フィルム基材側に設けられる第1偏光板及び前記第2フィルム基材側に設けられる第2偏光板を更に備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶セル。
  7. 前記複数のスペーサーの各々のビッカース硬度値をXsで表し、前記複数のスペーサーの各々の先端が当接する前記第1配向膜の部位のビッカース硬度値をXfで表した場合、16.9≦Xs≦40.2が満たされ、且つ、11.8≦Xf≦35.9が満たされる請求項1に記載の液晶セル。
  8. 前記複数のスペーサーの各々及び前記被覆部のビッカース硬度値をXsで表し、前記複数のスペーサーの各々の先端を被覆する前記被覆部が当接する前記第1配向膜の部位のビッカース硬度値をXfで表した場合、16.9≦Xs≦40.2が満たされ、且つ、11.8≦Xf≦35.9が満たされる請求項2又は3に記載の液晶セル。
  9. 順次積層された第1フィルム基材、第1電極、第1配向膜、液晶層、第2配向膜、第2電極及び第2フィルム基材と、前記第2配向膜及び前記液晶層を貫通する複数のスペーサーであって、それぞれが少なくとも前記第1配向膜と前記第2配向膜との間において前記第2配向膜から前記第1配向膜へ向かって徐々に細くなるテーパー形状を有する複数のスペーサーと、を備える液晶セルの製造方法であって、
    前記第2電極上に前記複数のスペーサーを設ける工程と、
    前記第2電極及び前記複数のスペーサー上に配向部材を付与し、前記第2電極上に前記第2配向膜を形成するとともに前記複数のスペーサーを前記配向部材によって被覆する工程と、
    前記第2配向膜に対して配向性を付与するラビング処理を行う工程と、
    前記第2配向膜上における前記複数のスペーサー間に液晶材料を付与し、前記第2配向膜上に前記液晶層を形成する工程と、
    を含む液晶セルの製造方法。
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