JP2018044656A - 構造体 - Google Patents

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浩之 河野
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Abstract

【課題】本願発明の目的は、吸水による寸法変化が少なく、且つ寸法精度に優れる、粘性流体の制御が可能な構造体を提供することにある。【解決手段】本願発明の構造体は、流路を備える構造体であって、前記流路の少なくとも一部を構成する前記構造体の一部が、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)スチレン系樹脂、及び(C)フィラーを含み、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、(C)フィラーを20〜70質量部含む樹脂組成物からなり、前記構造体の一部の表面粗さが0.1〜1.5μmであることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は構造体に関する。より詳細には、ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物からなる、粘性流体の制御精度が高い構造体に関する。
近年、安全性、保存安定性、更には環境汚染防止性を確保するために内容物の漏えい防止や、センサとしての流量の正確な測定を可能とする寸法安定性等を有した粘性流体制御構造体が注目されている。しかしながら、例えば、ポリスチレン樹脂やポリエチレン樹脂からなる構造体は成形性や材料コストの面から広く使われているものの、温度や耐圧の観点では制約があり、長期にわたる使用に不安がある。また、耐圧が求められる構造体ではPPS(ポリフェニレンスルファイド)樹脂、ポリアミド樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂等が用いられたり、耐衝撃性や長期にわたって紫外線を浴びたりする環境におかれる場合はPC(ポリカーボネート)樹脂からなる構造体もある。しかしながら、ソリ・変形による漏えいや長期にわたる高温多湿環境に晒される環境や粘性流体との接触による劣化や変形、樹脂組成成分の粘性流体中への溶出への配慮が必要となる。
上記のような使用環境・要求特性に対する対策として、塗装・コーティングによる保護や、金属による補強フレームを施す等の加工で耐圧対策、寸法維持をとる例はあるが、生産性やデザインの面で有用な熱可塑性樹脂からなる粘性流体を制御できる構造体はこれまでになかった。
また、金属製粘性流体制御構造体はその強度は高いものの、樹脂に比べ比重が高く、粘性流体の種類によっては腐食劣化することもあり、塗装を施したり、樹脂との多層構造にしたりする等の補強が必要となる場合がある。また、成形においては溶接が必要になる等生産性では熱可塑性樹脂構造体に比べると乏しい点がある。
特開2013−82837号公報 特開2008−297476号公報 特表2015−500901号公報
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、吸水による寸法変化及び23℃50%RHで2日間放置した後の寸法変化が少なく、且つ寸法精度に優れる、粘性流体の制御が可能な構造体を提供するものである。
すなわち本発明は、流路を備える構造体であって、前記流路の少なくとも一部を構成する前記構造体の一部が、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)スチレン系樹脂、及び(C)フィラーを含み、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、(C)フィラーを20〜70質量部含む樹脂組成物からなり、前記構造体の一部の表面粗さが0.1〜1.5μmであることを特徴とする構造体である。
前記構造体の一部の110℃で1000時間水に浸漬した後の寸法保持率が98%以上であることが好ましい。
(C)フィラーが繊維状無機充填材であることが好ましい。
前記構造体が、ポンプ、アスピレーター、オリフィス、分岐管・溝、及び合流管・溝からなる群から選ばれる1種であることが好ましい。
本発明の構造体は、上記構成を有するため、粘性流体の制御が可能であり、吸水及び23℃50%RHで2日間放置した後の寸法変化が少なく、且つ寸法精度に優れる。
図1は、本実施形態の構造体の一部の一例を示す概略図(斜視図)である。 図2は、実施例、比較例において、そりの測定時の測定点を示す概略図(平面図)である。 図3(a)は、実施例、比較例において、平滑性の測定時の測定箇所、及び23℃、50%RHで2日間放置した後の寸法保持率の測定箇所を示す概略図(平面図)であり、(b)は、(a)の側面図である。
以下、本発明の構造体を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」と称する場合がある。)について詳細に説明する。
[構造体]
本実施形態の構造体は、粘性流体が流れる流路を有する。本実施形態の構造体において、上記流路は、吸水による寸法変化が少なく、耐水性、寸法精度に優れるため、長期にわたり、粘性流体が流れる速度、流れる量等を制御することができる。
<流路>
図1は、流路1を備える構造体の一部の一例を示す図である。上記流路1は、少なくとも1つの粘性流体の入口2と、少なくとも1つの粘性流体の出口3とを有する。上記流路1において、入口2が上流側であり、出口3が下流側である。粘性流体は、入口2から出口3に向かって流れる。上記流路は、耐熱性、平滑性に優れ、吸水による寸法変化や長期経過後の寸法変化が小さいため、長期にわたり、粘性流体の流量、流速を正確に制御することができる。
上記流路は、複数の入口、複数の出口を有していてもよい。また、流路は、屈曲流路、分岐流路、合流路等であってもよい。
上記流路は、上記入口から上記出口までの全体で粘性流体が流れる量、流れる速度、流れる方向を制御してもよいし、上記入口と上記出口との間の一部で、粘性流体が流れる量、流れる速度、流れる方向を制御していてもよい。
上記流路は、例えば、本実施形態の構造体の1〜100%の部分であってもよく、本実施形態の構造体は流路のみから形成されていてもよい。
上記入口と上記出口の大きさ(面積)は、粘性流体を流すことが可能な大きさであれば特に限定されない。また、上記入口と上記出口の大きさは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
上記流路の粘性流体が流れる方向に直交する断面の形状としては、例えば、略円、略多角形、これらの形状の一部分を欠いた形状(例えば、略半円等)等が挙げられる。上記流路の粘性流体が流れる方向に直交する断面の形状は、流路の全体(入口から出口までの全長さ)で同一形状であってもよいし、形状が異なっていてもよい。
上記流路は、例えば、粘性流体が流れる量及び/又は粘性流体の圧力を制御することができる部位であることが好ましい。また、上記流路は180℃以下の環境下で使用しても変形等を起こしにくい耐熱性を有することが好ましく、構造体の剛性確保の観点から、150℃以下の環境下で使用しても変形等を起こしにくい耐熱性を有することがより好ましい。
(物性)
以下、上記流路を構成する構造体の一部の物性について説明する。
上記構造体の一部の表面粗さ(Ra)は、流路を流れる粘性流体の量、速度等をより正確に制御できる観点から、0.1〜1.5μmであり、0.1〜1.0μmであることが好ましい。また、表面粗さは、0.1〜2.0μmであってもよい。
表面粗さ(平滑性)は接合面もしくは開口部の密閉性の観点で重要であるだけでなく、粘性流体との抵抗が小さくなり圧力損失や流体制御が安定する。平滑性は、さらには他部品との勘合寸法、容量精度にも影響する。ここで、上記構造体の一部とは、流路を流れる粘性流体が、流路と接触する表面(例えば、流路の内面)であることが好ましい。
上記表面粗さは、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
上記構造体の一部の、110℃で1000時間水に浸漬した後の寸法保持率は、流路を構成する樹脂が水によって分解したり流路が変形したりしにくく、長期にわたり粘性流体を流して使用した後でも、流路を流れる粘性流体の量、速度等を正確に制御できる観点から、98%以上であることが好ましく、98.5%以上であることがより好ましい。
なお、110℃で1000時間水に浸漬した後の上記寸法保持率は、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
上記構造体の一部は、流体制御の観点から、平滑性や110℃で1000時間水に浸漬した後の寸法保持率だけでなく、23℃50%RHで2日間放置した後の寸法変化が少なく、そりや収縮等の寸法変化が少なく寸法精度に優れることが好ましい。寸法変化が少ないことで、安定した流量制御と、密閉性を維持する嵌合寸法を確保できる点で好ましい。更には粘性流体が流れる際の脈動や、流路の自重といった動的・静的圧力による寸法変化も小さいことが長期にわたる耐久性に優れることがより好ましく、流路は高い剛性を確保できるフィラー強化材料で構成されていることが好ましい。
上記構造体の一部のそりは、流路中を流れる粘性流体の量、速度等をより正確に制御できる観点から、0〜3mmであることが好ましく、0〜1mmであることがより好ましい。
なお、そりは、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
上記構造体の一部は、長期にわたり、流路中を流れる粘性流体の量、速度等を正確に制御できる観点から、長期にわたり、寸法が変化しにくいことが好ましい。具体的には、上記構造体の一部は、23℃、50%RHの恒温室に2日間放置した後の、寸法保持率が99.6〜100%であることが好ましく、99.7〜100%であることがより好ましい。
なお、寸法保持率は、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
上記構造体の一部は、高温環境下で劣化や変形しにくいという観点から、ISO75−1に準拠して測定される荷重たわみ温度が、110〜180℃であることが好ましく、120〜170℃であることがより好ましい。
なお、荷重たわみ温度は、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
(樹脂組成物)
以下、上記流路の組成について説明する。
上記構造体の一部は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)スチレン系樹脂、及び(C)フィラーを含み、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、(C)フィラーを20〜70質量部含む樹脂組成物からなる。
−(A)ポリフェニレンエーテル樹脂−
(A)ポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、単独重合体であってもよいし共重合体であってもよい。(A)ポリフェニレンエーテル樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記単独重合体としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。中でも、原料としての実用上の観点から、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルは、原料としての実用上の観点から、30℃のクロロホルム溶液で測定した固有粘度が0.3〜0.7であることが好ましく、より好ましくは0.35〜0.6である。固有粘度の異なる2種以上のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルを用いることによって、分子量分布を広くすることも可能である。
上記共重合体としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等が挙げられる。また、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等を部分構造として含んでいる共重合体であってもよい。
(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の重量平均分子量は、靭性と耐薬品性の観点から、30,000以上が好ましく、より好ましくは35,000以上、さらに好ましくは40,000以上である。また、成形加工性の観点から、100,000以下が好ましい。
本明細書において、重量平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、移動相としてテトラヒドロフランを用い、標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成した検量線を使用して求めた重量平均分子量をいう。
(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の還元粘度は、靭性と耐薬品性の観点から、0.15〜0.70dL/gであることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.60dL/gである。還元粘度は、重合時間や触媒量により制御することができる。
なお、還元粘度は、ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて、温度30℃の条件下測定することができる。
(A)ポリフェニレンエーテル樹脂として用いるポリフェニレンエーテル樹脂の一部として、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリフェニレンエーテル樹脂を用いもよい。変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、変性ポリフェニレンエーテル樹脂として、特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報等に記載のものが挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知の方法によって得ることができる。例えば、ラジカル開始剤の存在下又は非存在下において、ポリフェニレンエーテル樹脂に不飽和カルボン酸やその誘導体を溶融混練して反応させる方法、ポリフェニレンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸やその誘導体とをラジカル開始剤存在下又は非存在下で有機溶剤に溶かし、溶液下で反応させる方法等が挙げられる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、これらジカルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミド等;アクリル酸、メタクリル酸、これらのエステルやアミド等;等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、変性ポリフェニレンエーテルを製造する際の反応温度で熱分解し、誘導体となり得る飽和カルボン酸も用いることができる。具体的には、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記樹脂組成物中の(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量は、平滑性の観点から、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との合計量(100質量部)に対して、40〜55質量部であることが好ましく、45〜55質量部であることがより好ましい。
また、上記樹脂組成物中の(A)ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して、25〜45質量%であることが好ましい。
−(B)スチレン系樹脂−
本実施形態の構造体において(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と組み合わせて用いられる(B)スチレン系樹脂は、特に限定されず、ホモポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレンであれば公知のものを用いることができる。ゴム変性ポリスチレンとしては、スチレン系化合物、スチレン系化合物と共重合可能な化合物をゴム質重合体の存在又は非存在下に重合して得られる重合体等が挙げられる。
上記スチレン系化合物としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。中でも、原材料の実用性の観点から、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物と上記共重合可能な化合物としては、特に限定されず、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類、無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられ、スチレン系化合物とともに用いることができる。
スチレン系化合物と上記共重合可能な化合物の使用量は、特に限定されないが、スチレン系化合物と共重合可能な化合物との合計量に対して、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。かかる使用量とすることで靭性を向上させることができる。
上記ゴム質重合体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム等が挙げられる。具体的には、靭性の向上の観点から、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。
上記(B)スチレン系樹脂は、相溶性の観点から、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、これらの組み合わせが好ましい。
特に、ポリフェニレンエーテル樹脂とハイインパクトポリスチレンとの組み合わせにフィラーを用いると、驚くべきことに、長期にわたって、吸水による寸法変化を一層起こしにくく、且つ熱にも強く、寸法精度に一層優れる、粘性流体の制御用途に特に適した流路を形成することができる。
上記ゴム変性ポリスチレンの重量平均分子量は、100,000以上が好ましく、より好ましくは120,000以上であり、さらに好ましくは150,000以上である。また、400,000以下であることが好ましい。
上記(B)スチレン系樹脂として、ホモポリスチレン樹脂とゴム変性ポリスチレンとを併用する場合は、両者の合計質量に対し、ホモポリスチレン樹脂が40〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜50質量%である。
−(C)フィラー−
上記(C)フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ゾノトライト、アパタイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン、着色用カーボンブラック等の繊維状、粒状、板状、あるいは針状の無機質強化材が挙げられる。中でも、繊維状無機充填材が好ましく、ガラス繊維がより好ましい。また、(C)フィラーはシランカップリング剤等の表面処理剤を用いて公知の方法で表面処理したものを用いても構わない。
これら(C)フィラーは2種以上組み合わせて用いても構わない。
上記(C)フィラーは、平滑性の観点から、アスペクト比が10を超え、平均繊維長は100μm以上が好ましく、より好ましくは200μm以上であり、また、350μm以下が好ましい。
上記(C)フィラーが繊維状無機充填材である場合、平滑性の観点から、繊維径(直径)は、1.0〜20.0μmであることが好ましく、より好ましくは2.0〜18.0μm、さらに好ましくは5.0〜15.0μmである。
上記樹脂組成物中の、(C)フィラーの含有量は、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、20〜70質量部であり、好ましくは20〜50質量部、より好ましくは20〜40質量部である。(C)フィラーの含有量が20質量部以上であると、構造体としての強度、剛性が得られ、70質量部以下であると、構造体の表面の平滑性とソリを確保できる。
−他の成分−
上記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリマー、衝撃改良剤、添加剤等の他の成分を添加することもできる。
上記他のポリマーとしては、ポリフェニレンエーテル樹脂と共に用いることができるアロイ材が挙げられ、例えば、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。中でも、ポリフェニレンサルファイドが好ましい。
上記添加剤としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。
上記流路の製造方法は、特に制限はなく、射出成形、ブロー成形、回転成形、インジェクションブロー成形、押出し成形、切削成形等を用いることができるが、生産性と意匠性の観点から、射出成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形が好ましい。
屈曲部の形成方法としては、切削による後加工でもよいが、ガスインジェクションやウォーターインジェクション等の射出成形技術を応用してもよい。
上記流路の製造方法において、成形時のシリンダー温度としては、平滑性、寸法保持性、寸法精度に優れる成形体が得られる観点から、270〜320℃が好ましく、290〜310℃がより好ましい。
また、成形時の金型温度としては、平滑性、寸法保持性、寸法精度に優れる成形体が得られる観点から、50〜130℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
上記流路は、例えば、複数部品の接合によって構成されてもよい。例えば、蓋部とケース部とを接合させたり、配管と接合したりしてもよい。この場合、接合方法は、接着剤による接着、ネジによる締結のほか、超音波溶着、熱板溶着、振動溶着、レーザー溶着等を用いた直接樹脂同士を融着させる接合でもよく、漏えい防止を目的としているO−リング、パッキン、圧入等を用いた接合方法でもよい。
本実施形態の構造体は、粘性流体が流れる上記流路を有する。本実施形態の構造体は、上記流路を1つ有していてもよいし、複数有していてもよい。
本実施形態の構造体は、上記流路以外の構造を有していてもよい。上記流路以外の構造としては、例えば、配管、ポンプ、アスピレーター、オリフィス、分岐管、合流管等が挙げられる。
上記流路以外の構造は、上記樹脂組成物からなっていてもよいし、上記樹脂組成物と異なる樹脂組成物、金属、これらの混合物等からなっていてもよい。
本実施形態の構造体は、例えば、入口と出口とを有する構造体であってもよいし、構造体内で粘性流体が上記流路を通って循環する、入口と出口とがない構造体であってもよい。
本実施形態の構造体は、例えば、粘性流体が流れる量及び/又は粘性流体の圧力を一層正確に調整することができるという観点から、オリフィス、アスピレーター、サイフォン、ピストン、バルブ、溝、分岐流路(分岐管、分岐溝等)、合流路(合流管、合流溝等)、ポンプ、オリフィス等であってもよく、ポンプ、アスピレーター、オリフィス、分岐管・溝、及び合流管・溝からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本実施形態の構造体の製造方法は、例えば、全体が樹脂組成物からなる場合は、上記流路と同様の方法で成形する等の方法で製造することができる。全体を一度に成形して製造してもよいし、部品ごとに成形して、接合してもよい。また、樹脂組成物以外からなる部品がある場合は、接着剤等を用いて接合して製造してもよい。
上記粘性流体としては、水、オイル、アルコールといった外力によって流動を生じるニュートン流体、高分子流体のような非ニュートン流体に属し、大気圧より高い圧力が印加されている流体等が挙げられる。
本実施形態の構造体の用途としては、例えば、各種ポンプ、バルブ、アクチュエーター、計測センサ、チューブ、フィルタ、マニホールド、容器等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用した原料は、以下の通りである。
(A)ポリフェニレンエーテル
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(商品名「S201A」、旭化成株式会社製)
(B)スチレン系樹脂
ハイインパクトポリスチレン(HIPS)(商品名「H9302」、PSジャパン株式会社製、ゴム補強ポリスチレン)
ホモポリスチレン(PS)(商品名「PS685」、PSジャパン株式会社製)
(C)フィラー
繊維状無機充填材(商品名「ECS03−T747」、日本電気硝子株式会社製)
その他の成分
熱可塑性樹脂(商品名「ザイロン(登録商標)DG235」、旭化成株式会社製、PPS/PPE樹脂)
熱可塑性樹脂(商品名「レオナ(登録商標)14G50」、旭化成株式会社製、ポリアミド66樹脂)
熱可塑性樹脂(商品名「トレリナ(登録商標)A505D7」、東レ株式会社製、ポリフェニレンスルフィド樹脂)
(実施例1〜6及び比較例1〜5)
(樹脂組成物の調製)
二軸押出機(商品名「ZSK−26MC」、コペリオン社製(ドイツ))を用い、シリンダー温度を上流側320℃〜下流側280℃に設定した。表1記載の割合に従い、上流供給口より、(A)成分、(B)成分、その他の成分を供給し、下流のフィーダーより(C)成分を供給して、溶融混練した。
なお、このときのスクリュー回転数は300回転/分とし、吐出量は15kg/hとした。また、シリンダーブロック中央部の直前のブロックに開口部(ベント)を設け、減圧吸引することにより残存揮発の除去を行った。この時の減圧度(圧力)は60mmHgであった。ダイから押し出されたストランドを冷却し、カッターにて連続切断して約3mm長×3mm径の樹脂組成物ペレットを得た。
得られた樹脂組成物ペレットを用いて、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(評価)
(平滑性)
成形機(商品名「EC60」、東芝機械株式会社製)を用いて、実施例1〜3、5、比較例2〜3、5では、シリンダー温度を300℃、金型温度を75℃に設定し、実施例4、6では、シリンダー温度を260℃、金型温度を50℃に設定し、比較例1、4では、シリンダー温度を280℃、金型温度を75℃に設定して、60mm×60mm×3mm厚の平板を、1mmのフィルムゲートにて5枚成形した。
この各平板を、表面粗さ計(商品名「Surfcom」、株式会社東京精密製)を用いて、図3に示す平滑性測定部分4の長さ5mmの距離について、JIS B 0601(2004)に準拠して表面粗さ(Ra)(μm)を測定し、5枚の平板の表面粗さの平均値を、平滑性(μm)とした。
(110℃で1000時間水に浸漬した後の寸法保持率)
成形機(商品名「EC60」、東芝機械株式会社製)を用いて、実施例1〜3、5、比較例2〜3、5では、シリンダー温度を300℃、金型温度を95℃に設定し、実施例4、6では、シリンダー温度を260℃、金型温度を50℃に設定し、比較例1、4では、シリンダー温度を280℃、金型温度を75℃に設定して、ISOダンベル試験片を5枚成形した。
上記ISOダンベル試験片5枚を10℃の熱水中に1000時間浸漬し、各試験片の平行部の幅寸法のブランクからの変化量を測定し寸法保持率(%)を求めた。5枚の試験片について寸法保持率(%)を求め、その平均値を110℃で1000時間水に浸漬した後の寸法保持率(%)とし、ブランク寸法に対し、寸法保持率が99.5%以上を◎(優れる)、98%以上を○(良好)、98%未満を×(不良)とした
(そり(寸法精度))
成形機(商品名「EC100SX」、東芝機械株式会社製)を用いて、実施例1〜3、5、比較例2〜3、5では、シリンダー温度を300℃、金型温度を95℃に設定し、実施例4、6では、シリンダー温度を260℃、金型温度を50℃に設定し、比較例1、4では、シリンダー温度を280℃、金型温度を75℃に設定して、150mm×150mm×2mm厚の平板を5枚成形した。
上記平板を、三次元測定機(商品名「AE122」、株式会社ミツトヨ製)を用いて、図2に示す15点(A〜O)から最小自乗法により仮想平面を設定し、その平面からZ軸方向のズレを測定しこれをそり量(mm)とした。そりはA〜Oにおける仮想平面からのZ軸方向の距離の最大値と最小値の差と定義し、値の小さい方が寸法精度良好となる。5枚の平板について、そりを測定し、その平均値をそり(mm)とした。
そりが、3mm以下を○(良好)、3mmを超えたものを×(不良)と判定した。
(23℃、50%RHで2日間放置した後の寸法保持率)
上記平滑性と同様にして作製した5枚の平板を、23℃、50%RHの恒温室に2日間放置した後、図3に示す寸法保持率測定部分5の長さ(TD方向の長さ)を測定し、金型の同じ位置の寸法に対する寸法保持率(%)を測定した。
5枚の平板について測定を行い、その平均値を23℃、50%RHで2日間放置した後の寸法保持率(%)とした。
Figure 2018044656
本実施形態の構造体は、各種ポンプ、バルブ、アクチュエーター、計測センサ、チューブ、フィルタ、マニホールド、容器等として好適に用いることができる。
1 流路
2 入口
3 出口
4 平滑性測定部分
5 寸法保持率測定部分

Claims (4)

  1. 流路を備える構造体であって、
    前記流路の少なくとも一部を構成する前記構造体の一部が、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(B)スチレン系樹脂、及び(C)フィラーを含み、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と(B)スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、(C)フィラーを20〜70質量部含む樹脂組成物からなり、
    前記構造体の一部の表面粗さが0.1〜1.5μmである
    ことを特徴とする構造体。
  2. 前記構造体の一部の110℃で1000時間水に浸漬した後の寸法保持率が98%以上である、請求項1に記載の構造体。
  3. (C)フィラーが繊維状無機充填材である、請求項1又は2に記載の構造体。
  4. 前記構造体が、ポンプ、アスピレーター、オリフィス、分岐管・溝、及び合流管・溝からなる群から選ばれる1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体。
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