(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る通信システムは、探索装置1(図1、図3参照)と、1または複数の被探索装置2(図2、図4参照)と、から構成される。探索装置1は、各被探索装置2と無線通信を行う。また、探索装置1は、被探索装置2が備える全ての機能を備えており、被探索装置として他の探索装置と無線通信を行うことができる。
[通信モード]
本実施の形態の探索装置1は、ユーザの指示に基づいて、以下の通信モードのいずれかを実行する。
(1)個別探索モード
(2)全探索モード
(3)グループ探索モード
(4)被探索モード
(1)個別探索モードは、探索装置1が、ユーザに指示された単一の被探索装置2と無線通信を行い、当該単一の被探索装置2の相対位置(距離)を推定するモードである。なお、探索装置1は、登録番号(例えば1〜10)に対応付けて被探索装置2を予め登録しておくことができる。
(2)全探索モードは、探索装置1が、全ての被探索装置2を対象として応答信号の送信を要求し、応答信号を受信して通信可能な被探索装置2を特定するモードである。
(3)グループ探索モードは、探索装置1が、予め登録された全ての被探索装置2に対して応答信号の送信を要求し、応答信号を受信して通信可能な被探索装置2を特定するモードである。
(4)被探索モードは、探索装置1が、被探索装置として他の探索装置と無線通信を行うモードである。
[探索装置1の構造]
まず、図1を用いて探索装置1の構造について説明する。図1は、本実施の形態に係る探索装置1の外観図である。図1(A)は正面図、図1(B)は右側面図、図1(C)は背面図、図1(D)はA−A断面図である。
探索装置1は、ユーザ(一般人)が携帯可能な大きさ(例えば、幅W:64mm、高さH:107mm、厚みT:13mm)、および、重さ(例えば、70g)である。
探索装置1の筐体11は、略方形状を為し、非導電性の部材により形成されている。筐体11の正面11aは平板形状を為している。筐体11の正面11aには、表示部12および操作部13が設けられている。
表示部12は、筐体11の正面11a上に設けられ、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等により構成される画面を有する。なお、各通信モードにおける表示画面については後述する。
操作部13は、筐体11の正面11a上の底面11b側(下端側)近傍に設けられ、複数のボタンを有する。操作部13は、ユーザの意志に基づくボタン操作内容を電気信号に変換してCPU(Central Processing Unit)131(図3参照)に伝達する。
筐体11の側面11c、11dは、中央部を境にして、平面11e側(上端側)の方が底面11b(下端側)よりも薄くなっている。右側面11cには、電源スイッチ14が設けられている。
筐体11の内部には、基板15が収められている。基板15には、種々の回路(図3参照)が載置される。
基板15の中央より平面11e側(上端側)には、アンテナ101がパターンニングされる。アンテナ101の長さは、波長λの1/4(λ/4)である。例えば、探索装置1が920MHzを使用して無線通信を行う場合、アンテナ101の長さ(λ/4)は、約81.5mmとなる。
筐体11の背面11fの中央部には、凹部16が設けられている。ユーザは、第1指(親指)で操作部13のボタンを押すことができるように探索装置1を手に持つ場合、凹部16に第2指(人差し指)を収めることにより、探索装置1を安定して持つことができる。
[被探索装置2の構造]
次に、図2を用いて被探索装置2の構造について説明する。図2は、本実施の形態に係る被探索装置2の外観図(正面図)である。
被探索装置2は、ユーザ(一般人)が携帯可能な大きさ(例えば、幅W:40mm、高さH:63mm、厚みT:13mm)、および、重さ(例えば、20g)である。
探索装置2の筐体21は、略方形状を為し、非導電性の部材により形成されている。筐体21の正面21aには、LED(Light Emitting Diode)22および電源スイッチ23が設けられている。
LED22は、個別探索モードにおいて探索装置1から電波を受信した時等、所定のタイミングで発光(点滅)する。
筐体21の内部には、アンテナ201(図4参照)および基板(図示せず)が収められている。また、基板には、種々の回路(図4参照)が載置される。
筐体21の平面(上端)には、紐などを通すための穴24aを有する凸部24が設けられている。穴24aに通した紐をユーザの衣服(ベルト等)に結びつけることにより、ユーザが雪崩等にあった場合でも、被探索装置2がユーザから離れることが無い。
[探索装置1の回路構成(ブロック図)]
次に、図3を用いて探索装置1の回路構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る探索装置1の構成を示すブロック図である。探索装置1は、筐体11(図3では図示せず)と、表示部12と、操作部13と、電源スイッチ14(図3では図示せず)と、基板15(図3では図示せず)と、アンテナ101と、無線部102と、制御部103と、鳴動部104と、電池105と、から主に構成される。無線部102および制御部103は、基板15に載置される。
無線部102は、無線信号の処理を行う。無線部102は、送信部121と、受信部122と、無線制御部123と、第1クロック124と、第1スイッチ125と、を有する。
送信部121は、CPU131から出力されたベースバンドのデジタル信号に対して、変調、増幅、アップコンバート等の無線送信処理を行い、アンテナ101から無線信号を送信する。送信部121から送信される電波(呼出信号等)の周波数は、710MHz以上960MHz以下である。
受信部122は、アンテナ101に受信された無線信号に対して、増幅、ダウンコンバート、復調等の無線受信処理を行い、ベースバンドのデジタル信号をCPU131に出力する。また、受信部122は、アンテナ101に受信された電波の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定し、測定値(アナログ値)を無線制御部123に出力する。
無線制御部123は、第1クロック124のクロック信号を使用して無線部102内の各部の制御を行う。また、無線制御部123は、受信部122から出力された受信信号強度の測定値をデジタル値に変換して、CPU131に出力する。
第1クロック124は、高速・高精度のクロックであり、無線部102内部で使用するための、所定周波数(例えば36MHz)の基準クロック信号を生成する。
第1スイッチ125は、無線制御部123の指示に従って、送信部121あるいは受信部122のいずれかとアンテナ101とを接続する。
制御部103は、ベースバンド信号の処理を行う。制御部103は、CPU131と、メモリ部132と、第2クロック133と、第3クロック134と、論理演算部135と、を有する。
CPU131は、制御部103の中央処理装置であり、メモリ部132をワークメモリとして、各種プログラムを実行する。特に、CPU131は、被探索装置2に対して送信する信号を生成し、被探索装置2から電波を受信した際に、取得した所定の情報を表示部12に表示させ、鳴動部104から報知音を出力させる。
メモリ部132は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPU131が実行する各種プログラム、および、各種データを記憶する。
第2クロック133は、低速クロックであり、待機状態等において制御部103内部で使用するための、所定周波数(例えば32kHz)の基準クロック信号を生成する。第3クロック134は、高速・高精度のクロックであり、被探索装置2との通信状態等において制御部103内部で使用するための、所定周波数(例えば40MHz)の基準クロック信号を生成する。
論理演算部135は、CPU131と協働して、送信フレームの送信タイミングと第3クロック134の基準クロックとの差、受信フレームの受信タイミングと第3クロック134の基準クロックとの差、および、被探索装置2における、送信フレームの送信タイミングと第3クロック234(図4参照)の基準クロックとの差、受信フレームの受信タイミングと第3クロック234の基準クロックとの差に基づいて、被探索装置2との間の伝送路の伝播遅延時間を計算する。
鳴動部104は、ユーザからの指示を受けた場合等、所定のタイミングでスピーカから報知音を出力する。
電池105は、筐体11内に収められ、電源スイッチ14を介してユーザから電源ONを指示されると、探索装置1の各部に電源を供給する。
[CPU131の機能]
次に、図3を用いて探索装置1のCPU131の機能について説明する。CPU131は、本発明に係る機能として、信号生成部131aと、信号取得部131bと、距離推定部131cと、を有する。
信号生成部131aは、ユーザの指示(操作部13から入力された電気信号)に基づいて、各種の情報を含むデジタル信号列(送信フレーム)を生成して送信部121に出力する。信号生成部131aは、個別探索モードにおいて、ユーザから指示された単一の被探索装置2の識別情報および自機の識別情報を含むデジタル信号(呼出信号、応答確認信号)を生成する。信号生成部131aは、全探索モードにおいて、全ての被探索装置2に対して応答信号の送信を要求する旨の情報を含むデジタル信号(呼出信号)を生成する。信号生成部131aは、グループ探索モードにおいて、ユーザから指示されたグループに属する全ての被探索装置2の識別情報を含むデジタル信号(呼出信号)を生成する。信号生成部131aは、被探索モードにおいて、信号取得部131bから自機の識別情報の送信を要求する情報を入力した場合、自機の識別情報および通信相手の探索装置1の識別情報を含むデジタル信号(応答信号)を生成する。なお、信号生成部131aは、個別探索モードにおいて、ユーザからの指示等に基づいて、被探索装置2に対して発光または報知音の出力を指示する情報をデジタル信号(応答確認信号)に含めてもよい。
信号取得部131bは、被探索モード以外の通信モードにおいて、受信された応答信号のデジタル信号列(受信フレーム)から、被探索装置2の識別情報を取得し、表示部12に出力する。信号取得部131bは、被探索モードにおいて、受信された呼出信号のデジタル信号列(受信フレーム)から情報を取得し、当該情報が自機の識別情報の送信を要求するものである場合には、その旨を信号生成部131aに出力する。なお、信号取得部131bは、全探索モードにおいて、ユーザの指示に基づいて、取得した被探索装置2の識別情報の内、(1)最も受信信号強度が大きいもののみ、(2)登録されている識別情報と一致するもの、(3)全て、のいずれかを表示部12に出力するようにしても良い。
距離推定部131cは、個別探索モードにおいて、受信部122で測定された電波の受信信号強度、あるいは、論理演算部135で計算された伝播遅延時間に基づいて、被探索装置2までの距離を推定し、推定値を表示部12に出力する。なお、本実施の形態における距離推定の詳細については後述する。
[被探索装置2の回路構成(ブロック図)]
次に、図4を用いて被探索装置2の回路構成について説明する。図4は、本実施の形態に係る被探索装置2の構成を示すブロック図である。被探索装置2は、筐体21(図4では図示せず)と、LED22と、電源スイッチ23(図4では図示せず)と、基板(図示せず)と、アンテナ201と、無線部202と、制御部203と、鳴動部204と、電池205と、から主に構成される。
無線部202は、無線信号の処理を行う。無線部202は、送信部221と、受信部222と、無線制御部223と、第1クロック224と、第1スイッチ225と、を有する。
送信部221は、CPU231から出力されたベースバンドのデジタル信号に対して、変調、増幅、アップコンバート等の無線送信処理を行い、アンテナ201から無線信号を送信する。送信部221から送信される電波(応答信号等)の周波数は、710MHz以上960MHz以下である。
受信部222は、アンテナ201に受信された無線信号に対して、増幅、ダウンコンバート、復調等の無線受信処理を行い、ベースバンドのデジタル信号をCPU231に出力する。
無線制御部223は、第1クロック224のクロック信号を使用して無線部202内の各部の制御を行う。
第1クロック224は、高速・高精度のクロックであり、無線部202内部で使用するための、所定周波数(例えば36MHz)の基準クロック信号を生成する。
第1スイッチ225は、無線制御部223の指示に従って、送信部221あるいは受信部222のいずれかとアンテナ201とを接続する。
制御部203は、ベースバンド信号の処理を行う。制御部203は、CPU231と、メモリ部232と、第2クロック233と、第3クロック234と、を有する。
CPU231は、制御部203の中央処理装置であり、メモリ部232をワークメモリとして、各種プログラムを実行する。特に、CPU231は、探索装置1に対して送信する信号を生成し、探索装置1から電波を受信した場合あるいは探索装置1から指示を受けた場合に、LED22を発光させ、鳴動部204から報知音を出力させる。
メモリ部232は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPU231が実行する各種プログラム、および、各種データを記憶する。
第2クロック233は、低速クロックであり、待機状態等において制御部203内部で使用するための、所定周波数(例えば32kHz)の基準クロック信号を生成する。第3クロック234は、高速・高精度のクロックであり、探索装置1との通信状態等において制御部203内部で使用するための、所定周波数(例えば40MHz)の基準クロック信号を生成する。
鳴動部204は、探索装置1から電波を受信した時等、所定のタイミングでスピーカから報知音を出力する。
電池205は、筐体21内に収められ、電源スイッチ23を介してユーザから電源ONを指示されると、被探索装置2の各部に電源を供給する。
[CPU231の機能]
次に、図4を用いて被探索装置2のCPU231の機能について説明する。CPU231は、本発明に係る機能として、信号生成部231aと、信号取得部231bと、を有する。
信号生成部231aは、信号取得部231bから自機の識別情報の送信を要求する情報を入力した場合、自機の識別情報および通信相手の探索装置1の識別情報を含むデジタル信号列(送信フレーム(応答信号))を生成して送信部221に出力する。
信号取得部231bは、受信された呼出信号のデジタル信号列(受信フレーム)から情報を取得し、当該情報が自機の識別情報の送信を要求するものである場合には、その旨を信号生成部231aに出力する。また、信号取得部231bは、探索装置1から電波を受信した場合あるいは探索装置1から指示を受けた場合に、LED22を発光させ、鳴動部204から報知音を出力させる。
[個別探索モードの通信シーケンス]
次に、本実施の形態に係る探索装置1と被探索装置2との個別探索モードでの通信の様子について、図5のシーケンス図を用いて説明する。
探索装置1は、電源ONされた後、ユーザからの指示(操作部13のボタン操作)があるまでは待機状態になる。待機状態では、消費電力を下げるために、探索装置1の各部には電力が供給されない(スリープ状態)。ただし、操作部13および第2クロック133には電池105から電力が供給される。第2クロック133は、常時、低速のクロック回路を動作させてカウント動作を行う。
被探索装置2は、電源ONされた後、待機状態になる。待機状態では、消費電力を下げるために、被探索装置2の各部には電力が供給されない(スリープ状態)。ただし、第2クロック233には電池205から電力が供給される。第2クロック233は、常時、低速のクロック回路を動作させてカウント動作を行う。
被探索装置2は、第2クロック233のカウント値が満了するまでの第1間隔(例えば3s)毎に、各部に電力を供給する(起動状態)。起動状態では、被探索装置2は、第1期間321(例えば3ms)において受信処理を行う。この時、第1クロック224は、クロック回路を動作させてカウント動作を行う。
そして、被探索装置2は、第1期間321の間に、自機の識別情報を含む呼出信号を取得できなかった場合にはスリープ状態に戻る。
待機状態において、探索装置1は、ユーザから探索対象の被探索装置2の識別情報を指示されると、各部に電力を供給し、被探索装置2の探索を開始する(サーチ状態)。この時、第1クロック124、第3クロック134は、高速のクロック回路を動作させてカウント動作を行う。
サーチ状態に入った探索装置1は、まず、他の探索装置1が電波を送信していないことを確認するために、第2期間311(例えば5ms)において受信処理を行う。そして、探索装置1は、第2期間311の間に他の探索装置1からの電波を受信しなかった場合、上記第1間隔よりも長い第3期間312(例えば3.5s)において、自機の識別情報、探索対象の被探索装置2の識別情報および当該被探索装置2に対して応答信号の送信タイミングを指示するタイミング情報を含む呼出信号を繰り返し送信する。
被探索装置2は、いずれかの第1期間321−3の間に呼出信号を受信すると、探索装置1との通信を開始する(通信状態)。この時、第3クロック234は、高速のクロック回路を動作させてカウント動作を行う。そして、被探索装置2は、呼出信号に含まれるタイミング情報によって指定された第4期間322−1(例えば2ms)において、自機の識別情報、通信相手の探索装置1の識別情報および距離情報(送信フレームの送信タイミングと第3クロック234の基準クロックとの差、受信フレームの受信タイミングと第3クロック234の基準クロックとの差)を含む応答信号(なお、以下の説明において、呼出信号を受信してから最初に送信する応答信号を「呼出応答信号」という)を送信する。
探索装置1は、第5期間313(例えば100ms)において受信処理を行う。そして、探索装置1は、呼出応答信号を受信すると、すぐに、第6期間314−1(例えば2ms)において、自機の識別情報および探索対象の被探索装置2の識別情報を含む応答確認信号を送信する。なお、応答確認信号の無線周波数は、呼出信号のものと異なる。したがって、被探索装置2は、応答確認信号と他の探索装置1からの呼出信号とを同時に受信しても混信を起こすことがない。
被探索装置2は、第4期間322−1の直後の第7期間323−1(例えば3ms)において受信処理を行う。そして、被探索装置2は、応答確認信号を受信すると、第1間隔よりも短い第2間隔(例えば100ms)が経過した後の第4期間322−2において、再び応答信号を送信する。
以降、ユーザから切断指示があるまで、通信システムは、応答信号の送信/受信、応答確認信号の送信/受信を繰り返す。探索装置1は、応答信号を受信する毎に、当該応答信号を用いて被探索装置2の距離を推定し、被探索装置2の識別情報および被探索装置2の距離に関する情報を表示部12の画面上に表示させる(図8(E)参照)。
ユーザから切断指示があると、探索装置1は、次の第6期間314−7において、自機の識別情報、探索対象の被探索装置2の識別情報および当該被探索装置2に対して送信切断を伝達する情報を含む切断信号を送信する。
被探索装置2は、対応する第7期間323−7において切断信号を受信すると、次の第4期間322−8において、自機の識別情報、通信相手の探索装置1の識別情報および切断信号を受信した旨を示す情報を含む切断応答信号を送信する。
探索装置1は、次の第6期間314−8において、自機の識別情報、探索対象の被探索装置2の識別情報および切断応答信号を受信した旨を示す情報を含む切断確認信号を送信し、待機状態に戻る。また、被探索装置2は、次の第7期間323−8において切断確認信号を受信すると待機状態に戻る。
[全探索(グループ探索)モードの通信シーケンス]
次に、本実施の形態に係る探索装置1と被探索装置2との全探索モードでの通信の様子について、図6のシーケンス図を用いて説明する。なお、グループ探索モードのシーケンスは、全探索モードと同一になる。また、待機状態における探索装置1と被探索装置2の様子は、全ての通信モードにおいて同一であり、既に図5を用いて説明したので、ここではその説明を省略する。
図6において、探索装置1の電波が届く範囲には、4台の被探索装置2(2−1、2−2、2−3、2−4)が存在しているものとする。
全探索モードの場合、通信状態の探索装置1は、まず、他の探索装置1が電波を送信していないことを確認するために、第2期間311(例えば5ms)において受信処理を行う。そして、探索装置1は、第2期間311の間に他の探索装置1から電波を受信しなかった場合、上記第1間隔よりも長い第3期間312(例えば3.5s)において、全ての被探索装置2に対して識別情報の送信を要求する情報を含む呼出信号を繰り返し送信する。
各被探索装置2は、いずれかの第1期間321−12、321−22、321−31、321−41の間に呼出信号を受信すると、当該第1期間321の開始から第1間隔時間が経過した後の第4期間322において、自機の識別情報を含む呼出応答信号を送信する。
探索装置1は、第3期間312の満了後、上記第1間隔よりも長い第5期間313(例えば3.5s)において呼出応答信号を受信する。
以降、通信システムは、予め定められた回数Nだけ、呼出信号の送信/受信、呼出応答信号の送信/受信を繰り返す。探索装置1は、受信した呼出応答信号に含まれる被探索装置2の識別情報を表示部12の画面上に表示させる。その後、探索装置1および各被探索装置2は、待機状態に戻る。
[距離推定]
次に、本実施の形態に係る探索装置1による被探索装置2までの距離の推定方法について説明する。無線通信の分野における距離の推定方法として、受信信号強度に基づく第1距離推定方法と、伝播遅延時間に基づく第2距離推定方法とが知られている。
図7は、距離と受信信号強度との関係を示す図である。図7において、横軸は距離(m)、縦軸は受信信号強度(dBm)である。図7に示すように距離と受信信号強度との間には相関があり、距離が長くなるほど受信信号強度は低くなる。第1距離推定方法は、この距離と受信信号強度との間には相関を用いて距離を推定する方法である。
ここで、図7に示すように、距離が長くなるほど、単位距離に対する受信信号強度の変動量が小さくなる。したがって、探索装置1は、被探索装置2までの距離が短い場合には、第1距離推定方法を用いることにより、精度良く距離を推定することができる。一方、被探索装置2までの距離が長い場合には、電波変動が緩やかになるため、第1距離推定方法を用いると、精度良く距離を推定することができない。
第2距離推定方法は、計算された伝播遅延時間に電波の速さを乗算することにより距離を推定する方法である。第2距離推定方法の推定精度は、距離によらず略一定である。また、被探索装置2までの距離が長い場合は、その距離が短い場合に比べて推定精度の高さを要求されない。
上記の点に鑑み、本実施の形態に係る探索装置1の距離推定部131cは、測定された受信信号強度が、所定の閾値(例えば−50dBm)よりも大きい場合(近距離モード)には受信信号強度に基づく第1距離推定方法を用いて被探索装置2までの距離を推定し、所定の閾値以下の場合(広域モード)には伝播遅延時間に基づく第2距離推定方法を用いて被探索装置2までの距離を推定する。
なお、本実施の形態では、推定方法の切り替えにヒステリシス制御を用い、第1距離推定方法から第2距離推定方法に切り替えるための第1閾値と、第2距離推定方法から第1距離推定方法に切り替えるための第2閾値(>第1閾値)とを、それぞれ設定してもよい。これにより、推定方法の切り替えが頻繁になって推定距離が短時間で大きく上下してしまうことを防ぐことができる。
また、本実施の形態では、第1距離推定方法から第2距離推定方法への切り替えを受信信号強度と第3閾値との大小関係に基づいて行い、第2距離推定方法から第1距離推定方法への切り替えを伝播遅延時間と第4閾値との大小関係に基づいて行ってもよい。
[表示画面]
次に、図8を用いて、本実施の形態に係る探索装置の画面に表示する情報について説明する。
図8(A)は、既に登録している被探索装置2の探索を開始する際の個別探索モードの開始時の画面である。この画面には、登録番号と共に探索対象の被探索装置2の識別番号(識別情報)1001が表示される。ユーザがこの表示状態で探索実行を指示すると、探索装置1は、画面に識別番号が表示されている被探索装置2について個別探索モードを実行する。
図8(B)は、未登録の被探索装置2の探索を開始する際の個別探索モードの開始時の画面である。この画面には、探索対象の被探索装置2の識別番号(識別情報)の入力が完了した部分1002が表示される。ユーザが識別番号の入力を完了した後にこの表示状態で探索実行を指示すると、探索装置1は、画面に識別番号が表示されている被探索装置2について個別探索モード(図5参照)を実行する。
図8(C)は、全探索モードの開始時の画面である。この画面には、「ALL」の文字1003が表示される。ユーザがこの表示状態で探索実行を指示すると、探索装置1は、全探索モード(図6参照)を実行する。
図8(D)は、グループ探索モードの開始時の画面である。この画面には、「登録ALL」の文字1004が表示される。ユーザがこの表示状態で探索実行を指示すると、探索装置1は、予め登録された全ての被探索装置2に対してグループ探索モード(図6参照)を実行する。
図8(E)は、個別探索モードを実行し、被探索装置2から応答信号を受信した際の画面である。この画面には、応答があった被探索装置2の識別情報1005−1、被探索装置2までの距離に関する情報1005−2等が画面上に表示させる。
図8(F)は、全探索モードあるいはグループ探索モードを実行し、被探索装置2から呼出応答信号を受信した際の画面である。この画面には、探索された全ての被探索装置2の識別情報1006が画面上に表示させる。この時、受信信号強度が高い順番に、被探索装置2の識別情報1006が上から表示される。
[フローの説明]
次に、図9Aおよび図9Bを用いて、本実施の形態に係る探索装置1の動作の流れを説明する。
探索装置1は、電源がONされた段階ではスリープ状態となり(ST1101)、この状態で、ユーザからの指示を待つ(ST1102)。
ユーザからの指示が個別探索モードであった場合(ST1102:個別探索モード)、探索装置1は、探索対象の被探索装置2に対して呼出信号を送信する(ST1103、ST1104)。そして、探索装置1は、呼出信号において被探索装置2に指示したタイミングで受信処理を行う(ST1105)。
ST1105において呼出応答信号を受信できなかった場合には(ST1106:NO)、探索装置1は、ST1104からST1106のステップを繰り返す(ST1107:NO、ST1108)。そして、呼出信号をM回送信しても呼出応答信号を受信できなかった場合(ST1107:YES)、探索装置1は、応答がない旨のメッセージを表示部12の画面に表示する(ST1109)。そして、フローは、ST1132に進む。
ST1105において呼出応答信号を受信できた場合(ST1106:YES)、探索装置1は、被探索装置2に対して直ぐに応答確認信号を送信する(ST1110)。また、探索装置1は、応答信号の受信信号強度を測定し(ST1111)、被探索装置2までの距離を推定する(ST1112)。そして、探索装置1は、被探索装置2の識別情報、および、被探索装置2の距離に関する情報を表示部12の画面に表示する(ST1113)。
その後、ユーザから探索終了の指示がなく(ST1114:NO)、タイマが所定の時間を計時して終了しなければ(ST1115:NO)、探索装置1は、所定の間隔で再び受信処理を行う(ST1116)。
ST1116において応答信号を受信できなかった場合には(ST1117:NO)、探索装置1は、ST1114からST1116のステップを繰り返す。一方、ST1116において応答信号を受信できた場合には(ST1117:YES)、フローはST1110に戻り、探索装置1は、ST1110からST1116のステップを繰り返す(通信状態)。
この通信状態において、ユーザから探索終了の指示があった場合(ST1114:YES)、あるいは、タイマが所定の時間を計時して終了した場合(ST1115:YES)、探索装置1は、切断信号送信、切断応答信号受信および切断確認信号送信の切断処理を行う(ST1118)。そして、フローは、ST1132に進む。
ST1102において、ユーザからの指示が全探索モードあるいはグループ探索モードであった場合(ST1102:全探索モード、グループ探索モード)、探索装置1は、全ての被探索装置2に対して、あるいは、予め登録された全ての被探索装置2に対して、一斉に呼出信号を送信し(ST1121、ST1122)、所定期間に渡って受信処理を行う(ST1123)。探索装置1は、ST1122およびST1123のステップをN回繰り返す(ST1124、ST1125)。
N回のST1123において応答信号を1つも受信できなかった場合には(ST1126:NO)、探索装置1は、探索装置1は、応答がない旨のメッセージを表示部12の画面に表示する(ST1127)。そして、フローは、ST1132に進む。
N回のST1123において1つでも応答信号を受信できた場合(ST1126:YES)、探索装置1は、被探索装置2の識別情報を表示部12の画面に表示する(ST1128)。
その後、ユーザから個別探索モードへの移行指示や探索終了の指示がなく(ST1129:NO、ST1130:NO)、タイマが所定の時間を計時して終了しなければ(ST1131:NO)、探索装置1は、ST1128のステップを繰り返す。
ST1128の後、個別探索モードへの移行指示があった場合(ST1129:YES)、フローはST1103に進む。また、ユーザから探索終了の指示があった場合(ST1130:YES)、あるいは、タイマが所定の時間を計時して終了した場合(ST1131:YES)、フローは、ST1132に進む。
ST1132において、電源がOFFされなければ(ST1132:NO)、フローはST1101に戻る。一方、ST1132において、電源がOFFされれば(ST1132:YES)、フローは終了する。
なお、ST1102において、ユーザからの指示が被探索モードであった場合(ST1102:被探索モード)、フローは図10のST1201に進み、探索装置1は、被探索装置として動作する。
次に、図10を用いて、本実施の形態に係る被探索装置2の動作の流れを説明する。
被探索装置2は、電源がONされた段階ではスリープ状態となり(ST1201)、定期的に(第1間隔で)受信処理を行う(ST1202)。
ST1202において呼出信号を受信できなかった場合には(ST1203:NO)、被探索装置2は、ST1201のスリープ状態に戻る。
ST1202において呼出信号を受信できた場合(ST1203:YES)、被探索装置2は、探索装置1に対して、指定されたタイミングで応答信号を送信し(ST1204)、直ぐに受信処理を行う(ST1205)。
ST1205において応答確認信号を受信できた場合(ST1206:YES)、被探索装置2は、所定時間(第2間隔)経過後、探索装置1に対して再び応答信号を送信する(ST1204)。以降、応答確認信号を受信できた場合(ST1206:YES)、ST1204およびST1205のステップを繰り返す。
ST1205において応答確認信号を受信せず(ST1206:NO)、切断信号を受信した場合(ST1207:YES)、被探索装置2は、切断応答信号送信および切断確認信号受信の切断処理を行う(ST1208)。そして、フローは、ST1209に進む。
ST1205において応答確認信号、切断信号のいずれも受信しなかった場合(ST1206:NO、ST1207:NO)、フローは、ST1209に進む。
ST1209において、電源がOFFされなければ(ST1209:NO)、フローはST1201に戻る。一方、ST1209において、電源がOFFされれば(ST1209:YES)、フローは終了する。
[効果]
以上説明したように、本実施の形態によれば、被探索装置2は、ビーコン等、定期的な信号を常に送信する必要が無く、探索装置1からの呼出信号を受信した時のみ応答信号を送信すれば良いので、従来の装置に比べて電力消費が少なくなる。したがって、被探索装置2は、長期間(例えば3ヶ月以上)に渡って連続して動作することができ、ユーザが入山時等、事前に電源をONにしておいても下山するまで電池が切れる心配が無い。さらに、被探索装置2は、事前に電源をONにしておけば、ユーザの更なる操作を必要とすることなく、探索装置1と無線通信を行うことができるので、ユーザが雪崩等にあって気を失った場合でも、探索装置1は被探索装置2の位置を特定することができる。
また、探索装置1および被探索装置2は、710MHz以上960MHz以下の周波数を用いて無線通信を行うので、被探索装置2における探索装置1からの電波の受信可能距離が長く、探索装置1は、広い範囲(例えば100mから5km)を探索することができる。なお、WLANの2.4GHzのように、より高い周波数を用いると、アンテナが短くなり、受信可能距離が短くなる。また、より高い周波数を用いると、電波の直進性が強くなり、回り込みが少なくなるので、障害物があるような環境において、遭難者等の捜索対象者を発見できる可能性が低くなってしまう。一方、より低い周波数を用いると、アンテナが長くなり、装置が大型化してしまう。
また、本実施の形態の距離推定方法を用いることにより、探索装置1は、被探索装置2が近距離に存在する場合には、被探索装置2までの相対距離を精度良く推定することができ、被探索装置2が近距離に存在しない場合には、被探索装置2までの相対距離を所定の精度で推定することができる。
また、本実施の形態の被探索装置2が、探索装置1から電波を受信した場合あるいは探索装置1から指示を受けた場合に、LED22を発光させ、鳴動部204から報知音を出力させることにより、探索装置1のユーザは、自己の視覚あるいは聴覚によっても被探索装置2を探索することができる。
そして、本実施の形態によれば、上記の効果により、山岳遭難者等の捜索対象者を発見する可能性がより高まり、また発見されるまでの時間がより短縮されることが期待できる。
なお、上記実施の形態では、全探索モードあるいはグループ探索モードにおいて、被探索装置2が探索装置1からの呼出信号を受信すると必ず呼出応答信号を送信する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、被探索装置2が、予め所定の探索装置1の識別情報を格納しておき、探索装置1からの呼出信号を受信したときに、格納した探索装置1の識別情報の中に当該呼出信号に含まれる探索装置1の識別情報と一致するものがある場合にのみ呼出応答信号を送信するようにしても良い。
これにより、探索装置1は、自機の識別情報が登録されている被探索装置2の識別情報のみを表示させることができる。また、被探索装置2は、呼出応答信号を送信する回数が相対的に減るので、消費電力を抑えることができる。
また、上記実施の形態では、探索装置1のLCD等の画面に、推定した被探索装置2の距離に関する情報を表示する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、探索装置1の筐体11の正面に複数のLEDを設け、被探索装置2の距離に応じて、発光させるLEDの位置を変える等、他の表示方法を用いても良い。
また、上記実施の形態では、探索装置1の画面に、被探索装置2の識別情報を表示する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、探索装置1がスピーカを備え、当該スピーカから被探索装置2の識別情報を音声出力させてもよい。
(実施の形態2)
図11は、無線通信を行う装置間の距離(横軸)と受信電力(縦軸)との関係を示す図である。グラフG1、G2、G3、G4は、装置を地上から、それぞれ、10cm、1m(ユーザ使用時の標準高さ)、2m、10mに置いた場合を示す。
図11に示すように、無線通信では、装置の位置が地上に近い程、大地反射波の影響を強く受けるため、電波減衰が大きくなり、通信可能距離(所定値以上の受信電力が得られる距離)が短くなる。また、装置の地上からの高さをx倍とすれば、通信可能距離は√x倍となる(x=10の場合に通信距離が約3.2倍になる)。例えば、−100dBmの受信電力が得られる距離は、G1では約250m、G2では約800m、G3では約1200m、G4では約2550mとなる。
また、装置間に多くの障害物(木や建物等)が存在する環境では、通信可能距離はさらに短くなる。
探索装置1を高所に配置すれば、大地反射波の影響が少なくなり、被探索装置2との間に障害物が殆ど存在しなくなるので、探索装置1と被探索装置2との通信可能距離を長くして探索可能領域を拡げることができる。
しかしながら、探索装置1は、ユーザが手に持ってその画面を見ながら操作するものであるため、探索装置1を高所に配置させたまま探索を行うことは困難である。
そこで、本発明者は、通信システムに、探索装置1と被探索装置2との間で中継を行う中継装置を加え、中継装置を高所に配置することにより、探索可能領域を拡げることを着想した。
以下、この着想を具現化した本発明の実施の形態2について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る通信システムは、実施の形態1の通信システムに、1または複数の中継装置3(図13参照)を加えた構成を採る。本実施の形態では、探索装置1および被探索装置2は、各中継装置3と無線通信を行う。各中継装置3は、高所に配置され、探索装置1の指示に従って被探索装置2の探索を行い、探索結果を探索装置1に知らせる。
なお、「中継装置3を高所に配置する」とは、鉄塔やビルの屋上等、地上から所定の高さ以上の地点に中継装置3を固定的に設置する場合に限らず、図12に示すように、中継装置3を一時的に高所に配置する場合も含む。図12(A)は、中継装置3を先端部分に装着した長い棒X1を立てた例を示し、図12(B)は、中継装置3を装着したバルーンX2を上空に上げた例を示し、図12(C)は、中継装置3を装着したドローンX3を上空に飛ばした例を示す。また、図12(D)は、海上での探索を行う場合に、船X4等において、中継装置3を装着した棒X1を立てる例を示す。なお、図12(D)の例において、中継装置3が装着された棒X1を海上に配置する場合、当該棒X1には、重り(図示せず)とバルーン(浮き)X2が取り付けられる。
[探索装置1の追加機能]
本実施の形態において、探索装置1の構成は、上記実施の形態1で説明したものと同様である。ただし、本実施の形態では、CPU131の信号生成部131aおよび信号取得部131bに、中継装置3の探索結果を表示させるための以下の機能が追加される。
信号生成部131aは、個別探索モードにおいて、自機の識別情報、中継装置3の識別情報および探索対象の被探索装置2の識別情報を含むデジタル信号(探索指示信号)を生成する。また、信号生成部131aは、全探索モードにおいて、自機の識別情報、中継装置3の識別情報、および、全ての被探索装置2に対して応答信号の送信を要求する旨の情報を含むデジタル信号(探索指示信号)を生成する。また、信号生成部131aは、グループ探索モードにおいて、自機の識別情報、中継装置3の識別情報、および、ユーザから指示されたグループに属する全ての被探索装置2の識別情報を含むデジタル信号(探索指示信号)を生成する。
また、信号生成部131aは、全ての通信モードにおいて、中継装置3から探索結果信号を受信した後に、自機の識別情報および中継装置3の識別情報を含むデジタル信号(結果確認信号)を生成する。
信号取得部131bは、中継装置3からの報知信号に含まれる中継装置3の識別情報を取得し、表示部12の画面上に表示させる。また、信号取得部131bは、中継装置3からの探索結果信号から、被探索装置2の識別情報、被探索装置2を発見したことを示す情報、および、被探索装置2までの距離を取得し、表示部12に出力する。
[中継装置3の構成]
次に、図13を用いて中継装置3の回路構成について説明する。図13は、本実施の形態に係る中継装置3の構成を示すブロック図である。中継装置3は、実施の形態1の探索装置1(図3)から表示部12、操作部13及び鳴動部104を削除した構成を採る。なお、中継装置3の電池105は、太陽電池であっても良い。
また、中継装置3は、探索装置1のCPU131の代わりに、CPU131と機能が異なるCPU331を有する。CPU331は、本発明に係る機能として、信号生成部331aと、信号取得部331bと、距離推定部331cと、を有する。
信号生成部331aは、自機の識別情報を含むデジタル信号(報知信号)を生成する。また、信号生成部331aは、個別探索モードにおいて、被探索装置2に向けて、探索装置1から指示された探索対象の被探索装置2の識別情報および自機の識別情報を含むデジタル信号(呼出信号、応答確認信号)を生成する。また、信号生成部331aは、個別探索モードにおいて、探索装置1に向けて、自機の識別情報、探索対象の被探索装置2の識別情報、探索結果(被探索装置2を発見したか否か)を示す情報、および、被探索装置2の距離を示す情報を含むデジタル信号(探索結果信号)を生成する。また、信号生成部331aは、全探索モードにおいて、全ての被探索装置2に対して応答信号の送信を要求する旨の情報および自機の識別情報を含むデジタル信号(呼出信号)を生成する。また、信号生成部331aは、グループ探索モードにおいて、探索装置1から指示されたグループに属する全ての被探索装置2の識別情報および自機の識別情報を含むデジタル信号(呼出信号)を生成する。
信号取得部331bは、被探索装置2から受信した応答信号のデジタル信号列(受信フレーム)から、被探索装置2の識別情報を取得し、信号生成部331aに出力する。
距離推定部331cは、個別探索モードにおいて、受信部122で測定された電波の受信信号強度、あるいは、論理演算部135で計算された伝播遅延時間に基づいて、被探索装置2までの距離を推定し、推定値を信号生成部331aに出力する。
[通信システムの使用例]
次に、本実施の形態に係る中継装置の配置例について、図14を用いて説明する。図14は、1台の探索装置1と4台の中継装置3A、3B、3C、3Dのフォーメーションにより被探索装置2を探索する例を示している。
図14(A)において、地上(海上)からの中継装置3の高さH3fstが、探索装置1の高さH1の10倍となるように中継装置3を配置したとする(例えば、H3fst=10m、H1=1m)。この場合、探索装置1の通信可能領域(探索可能領域)E1の半径R1が1kmであれば、中継装置3の通信可能領域E3fstの半径R3は半径R1の√10倍の3.2kmとなる。したがって、探索装置1からL3fst=3.2kmの位置の四方に各中継装置3を配置することにより、通信システム全体の探索可能領域ETfstを約32倍(10km四方)に拡げることができる。
図14(A)において、被探索装置2が中継装置3Dからの呼出信号に対して応答信号を送信し、中継装置3Dが、探索装置1に、被探索装置2を発見したことを示す情報を含む探索結果信号を送信したものとする。この場合、探索装置1の画面には、中継装置3Dが被探索装置2を発見した旨の情報が表示されるので(図17(B)参照)、探索装置1のユーザは、中継装置3Dの通信可能領域E3fstDの中に被探索装置2が存在していることが分かる。
そこで、探索装置1のユーザは、領域E3fstDを探索対象領域とし、図14(B)に示すように、中継装置3Dが配置されていた地点(領域E3fstDの中心)に、探索装置1を持って移動する。また、各中継装置3のユーザは、探索装置1の四方に各中継装置3を配置する。このとき、中継装置3の全てによる通信システム全体の探索可能領域が領域E3Dfstをカバーし、かつ、各中継装置3の通信可能領域E3sndが前回の領域E3fstよりも小さくなるように、各中継装置3の探索装置1との距離L3sndを前回の距離L3fstよりも短くし、各中継装置3の高さH3sndを前回の高さH3fstよりも低くする(例えば、L3snd=1.8km、H3snd=3m)。あるいは、各中継装置3の高さH3sndを前回と同じままとして、各中継装置3の電波強度を低くしても良い。
これにより、前回よりも通信可能領域が小さい、いずれかの中継装置3(図14(B)では中継装置3D)が被探索装置2からの応答信号を受信することができるので、探索装置1のユーザは、探索対象領域をさらに狭めることができ、最終的に被探索装置2を発見することができる。
[個別探索モードの通信シーケンス]
次に、本実施の形態に係る探索装置1、被探索装置2および中継装置3の個別探索モードでの通信の様子について、図15のシーケンス図を用いて説明する。なお、図15は、1台の探索装置1と2台の中継装置3A、3Bのフォーメーションにより1台の被探索装置2を探索する例を示している。また、図15では、被探索装置2が、中継装置3Aの通信可能領域に存在しているものとする。
探索装置1、被探索装置2および中継装置3A、3Bは、電源ONされた後、待機状態となる。
待機状態において、探索装置1は、第1間隔(例えば3s)毎に、第1期間411(例えば3ms)において受信処理を行う(起動状態)。そして、探索装置1は、第1期間411の間に、自機の識別情報を含む呼出信号を取得できなかった場合にはスリープ状態に戻る。
待機状態において、被探索装置2は、第1間隔(例えば3s)毎に、第2期間421(例えば3ms)において受信処理を行う(起動状態)。そして、被探索装置2は、第2期間421の間に、自機の識別情報を含む呼出信号を取得できなかった場合にはスリープ状態に戻る。
待機状態において、中継装置3A、3Bは、第1間隔(例えば3s)毎に、第3期間431(例えば2ms)において自機の識別情報を含む報知信号を送信し、第3期間431の直後の第4期間432(例えば3ms)において受信処理を行う(起動状態)。そして、中継装置3A、3Bは、第4期間432の間に、探索装置1からの探索指示信号(後述)を取得できなかった場合にはスリープ状態に戻る。
待機状態において、探索装置1は、ユーザから探索対象の被探索装置2の識別情報を指示されると、上記第1間隔よりも長い第5期間412(例えば3.5s)において、中継装置3A、3Bのいずれかから報知信号を受信するまで受信処理を行う。そして、探索装置1は、最初に受信した報知信号に含まれる中継装置3Aの識別情報を表示部12の画面上に表示させる(図17(A)参照)。
また、探索装置1は、第5期間412内の報知信号を受信した直後の第6期間413(例えば2ms)において、報知信号の送信元の中継装置3Aに向けて探索指示信号を送信する。探索指示信号には、自機の識別情報、通信対象の中継装置3Aの識別情報、探索対象の被探索装置2の識別情報、および、探索結果信号(後述)の送信タイミングを指示するタイミング情報が含まれる。そして、探索装置1は、探索結果信号の送信タイミングを含む第7期間414−1(例えば5ms)において受信処理を行う。
中継装置3Aは、探索装置1から探索指示信号を受信すると、上記第1間隔よりも長い第8期間433(例えば3.5s)において、個別探索モードの呼出信号を繰り返し送信する。呼出信号には、自機の識別情報、探索対象の被探索装置2の識別情報、および、応答確認信号の送信タイミングを指示するタイミング情報が含まれる。そして、中継装置3Aは、応答確認信号の送信タイミングを含む第9期間434−1(例えば5ms)において受信処理を行う。
被探索装置2は、第2期間421−3の間に中継装置3Aからの呼出信号を受信すると、呼出信号に含まれるタイミング情報によって指定された第10期間422−1(例えば2ms)において、個別チャネルの無線周波数で、自機の識別情報および通信相手の中継装置3の識別情報を含む呼出応答信号を送信する。
中継装置3Aは、呼出応答信号を受信した直後の第11期間435−1(例えば2ms)において、個別チャネルの無線周波数で、自機の識別情報および被探索装置2の識別情報を含む応答確認信号を送信する。
被探索装置2は、第10期間422−1の直後の第12期間423−1(例えば3ms)において受信処理を行う。そして、被探索装置2は、応答確認信号を受信すると、第2間隔(例えば100ms)が経過した後の第10期間422−2において、再び応答信号を送信する。
中継装置3Aは、呼出応答信号を受信した後、探索指示信号に含まれるタイミング情報で指示された第13期間436−1(例えば2ms)において、被探索装置2を発見したことを示す探索結果信号を送信する。この探索結果信号には、自機の識別情報、探索対象の被探索装置2の識別情報、被探索装置2を発見したことを示す情報、および、被探索装置2の距離を示す情報が含まれる。
探索装置1は、中継装置3Aから探索結果信号を受信した直後の第14期間415−1(例えば2ms)において、個別チャネルの無線周波数で、自機の識別情報および中継装置3Aの識別情報を含む結果確認信号を送信する。また、探索装置1は、被探索装置2の識別情報、被探索装置2を発見したことを示す情報、および、被探索装置2までの距離を表示させる(図17(B)参照)。
中継装置3Aは、第13期間436−1の直後の第15期間437−1(例えば3ms)において受信処理を行う。そして、中継装置3は、結果確認信号を受信すると、第2間隔(例えば100ms)が経過した後の第13期間436−2において、再び探索結果信号を送信する。
以降、ユーザから切断指示があるまで、探索装置1と中継装置3Aは、探索結果信号の送信/受信、結果確認信号の送信/受信を繰り返し、中継装置3Aと被探索装置2は、応答信号の送信/受信、応答確認信号の送信/受信を繰り返す。
探索装置1は、ユーザから切断指示があった場合、切断信号を送信する。中継装置3Aは、切断信号を受信すると、被探索装置2との間で切断処理を行う。探索装置1、被探索装置2および中継装置3Aは、切断処理を完了すると待機状態に戻る。
なお、中継装置3Aは、呼出応答信号を受信しなかった場合には、被探索装置2を発見しなかったことを示す探索結果信号を送信し、待機状態に戻る。この探索結果信号には、自機の識別情報、探索対象の被探索装置2の識別情報および被探索装置2を発見しなかったことを示す情報が含まれる。この場合、探索装置1は、中継装置3Bに向けて探索指示信号を送信する。
[全探索(グループ探索)モードの通信シーケンス]
次に、本実施の形態に係る探索装置1と被探索装置2との全探索モードでの通信の様子について、図16のシーケンス図を用いて説明する。なお、グループ探索モードのシーケンスは、全探索モードと同一になる。また、待機状態における探索装置1、被探索装置2および中継装置3の様子は、全ての通信モードにおいて同一であり、既に図15を用いて説明したので、ここではその説明を省略する。
図16において、中継装置3の電波が届く範囲には、3台の被探索装置2(2−1、2−2、2−3)が存在しているものとする。
探索装置1は、第5期間412内において、中継装置3から報知信号を受信すると、報知信号に含まれる中継装置3の識別情報を表示部12の画面上に表示させ(図17(A)参照)、報知信号を受信した直後の第6期間413(例えば2ms)において、中継装置3に向けて探索指示信号を送信する。探索指示信号には、自機の識別情報、通信対象の中継装置3の識別情報、全ての被探索装置2に対して識別情報の送信を要求する情報、および、探索結果信号の送信タイミングを指示するタイミング情報が含まれる。そして、探索装置1は、探索結果信号の送信タイミングを含む第7期間414−1(例えば5ms)において受信処理を行う。
中継装置3は、探索装置1から探索指示信号を受信すると、上記第1間隔よりも長い第8期間433(例えば3.5s)において呼出信号を繰り返し送信する。呼出信号には、自機の識別情報、全ての被探索装置2に対して識別情報の送信を要求する情報、および、応答確認信号の送信タイミングを指示するタイミング情報が含まれる。そして、中継装置3は、上記第1間隔よりも長い第9期間434(例えば3.5s)において受信処理を行う。
各被探索装置2は、第2期間421の間に中継装置3からの呼出信号を受信すると、呼出信号に含まれるタイミング情報によって指定された第10期間422(例えば2ms)において、個別チャネルの無線周波数で、自機の識別情報および通信相手の中継装置3の識別情報を含む呼出応答信号を送信し、待機状態に戻る。
中継装置3は、呼出応答信号を受信した後、探索指示信号に含まれるタイミング情報で指示された第13期間436(例えば5ms)において、被探索装置2を発見したことを示す探索結果信号を送信する。この探索結果信号には、自機の識別情報、発見した各被探索装置2の識別情報および被探索装置2を発見したことを示す情報が含まれる。
探索装置1は、中継装置3から探索結果信号を受信した直後の第14期間415(例えば2ms)において、個別チャネルの無線周波数で、自機の識別情報および中継装置3の識別情報を含む結果確認信号を送信し、待機状態に戻る。また、探索装置1は、各被探索装置2の識別情報、および、被探索装置2を発見したことを示す情報を表示させる(図17(C)参照)。
中継装置3は、第13期間436の直後の第15期間437(例えば3ms)において受信処理を行う。そして、中継装置3は、結果確認信号を受信すると、待機状態に戻る。
[表示画面]
次に、図17を用いて、本実施の形態に係る探索装置1の画面に表示する情報について説明する。
図17(A)は、中継装置3から報知信号を受信した際の画面である。この画面には、中継装置3の識別情報1501が画面上に表示させる。
図17(B)は、個別探索モードを実行し、被探索装置2から応答信号を受信した中継装置3から探索結果信号を受信した際の画面である。この画面には、被探索装置2を発見した中継装置3の識別情報1502−1、被探索装置2の識別情報1502−2、中継装置3から被探索装置2までの距離に関する情報1502−3等が画面上に表示させる。
図17(C)は、全探索モードあるいはグループ探索モードを実行し、被探索装置2から呼出応答信号を受信した中継装置3から探索結果信号を受信した際の画面である。この画面には、被探索装置2を発見した中継装置3の識別情報1503−1、全ての被探索装置2の識別情報1503−2が画面上に表示させる。この時、中継装置3における受信信号強度が高い順番に、被探索装置2の識別情報1503−2が上から表示される。
[効果]
以上のように、本実施の形態によれば、中継装置3が被探索装置2の探索を行い、探索結果を探索装置1(ユーザ)に知らせることができる。これにより、ユーザは、被探索装置2が探索装置1と通信可能な領域に存在しなくても、被探索装置2の位置を知ることができる。そして、中継装置3を高所に配置することにより、被探索装置2との通信可能距離を長くして探索可能領域を拡げることができる。また、中継装置3により被探索装置2を発見した後、探索対象領域を狭めていくことにより、捜索対象者を発見するまでの時間をさらに短縮することができる。
(バリエーション1)
本実施の形態のバリエーション1として、図18に示すように、中継装置3のアンテナ101をアレイアンテナとし、中継装置3が、各指向性における電波の受信信号強度から被探索装置2の方角を推定する場合について説明する。図18(A)は、4本(2×2)のアンテナ素子101a、101b、101c、101dを円周上にλ/4の間隔で配置したアレイアンテナを示す。このアレイアンテナは、スイッチSW1、SW2を切り替えることにより、4方向の指向性を得ることができる。
具体的には、図18(B)のように、SW1を「0」の端子に接続し、SW2を「0」の端子に接続した場合、指向性は0°の方向となる。また、SW1を「1」の端子に接続し、SW2を「0」の端子に接続した場合、指向性は90°の方向となる。また、SW1を「0」の端子に接続し、SW2を「1」の端子に接続した場合、指向性は180°の方向となる。また、SW1を「1」の端子に接続し、SW2を「1」の端子に接続した場合、指向性は270°の方向となる。
図18(C)において、各指向性における電波の受信信号強度が、矢印で示すベクトル量であった場合、中継装置3に対する被探索装置2の方角θは約60°であると推定される。
また、中継装置3のアンテナ101をセクタアンテナとし、中継装置3が、各アンテナ素子における電波の受信信号強度から被探索装置2の方角を推定しても良い。セクタアンテナとは、指向性を有する複数のアンテナ素子を水平面の360°の全方位をカバーするように配置するものである。
本バリエーションでは、探索装置1が、中継装置3から受信した被探索装置2の方角に関する情報を画面に表示させることにより、被探索装置2の位置を早く絞り込むことができるので、捜索対象者を発見するまでの時間をさらに短縮することができる。
(バリエーション2)
本実施の形態のバリエーション2として、被探索装置2のユーザが救助を求める場合等を想定し、被探索装置2から中継装置3に探索指示信号を送信する場合について説明する。
[被探索装置2の追加構造および追加機能]
この場合、図19に示すように、緊急ボタン25が追加される。また、CPU231の信号生成部231aおよび信号取得部231bに以下の機能が追加される。
信号生成部231aは、緊急ボタン25が押下げられた後に、自機の識別情報および中継装置3の識別情報を含むデジタル信号(探索指示信号)を生成し、中継装置3から探索結果信号を受信した後に、自機の識別情報および中継装置3の識別情報を含むデジタル信号(結果確認信号)を生成する。
信号取得部231bは、中継装置3からの報知信号に含まれる中継装置3の識別情報を取得する。また、信号取得部231bは、中継装置3からの探索結果信号から、探索装置1を発見したことを示す情報を取得した場合に、LED22を発光させ、鳴動部204から報知音を出力させる。
[通信シーケンス]
次に、本バリエーションに係る探索装置1、被探索装置2および中継装置3の通信の様子について、図20のシーケンス図を用いて説明する。なお、中継装置3は、探索装置1の識別情報を予め記憶している。
待機状態における探索装置1、被探索装置2および中継装置3の様子は、図15を用いて説明したものと同一であるので、ここではその説明を省略する。
待機状態において、被探索装置2のユーザが緊急ボタン25を押すと、被探索装置2は、上記第1間隔よりも長い第5期間412(例えば3.5s)において、中継装置3からの報知信号を受信し、報知信号を受信した直後の第6期間413(例えば2ms)において、中継装置3に向けて探索指示信号を送信する。この探索指示信号には、自機の識別情報、通信対象の中継装置3の識別情報、および、探索結果信号(後述)の送信タイミングを指示するタイミング情報が含まれる。そして、被探索装置2は、探索結果信号の送信タイミングを含む第7期間414−1(例えば5ms)において受信処理を行う。なお、被探索装置2は、第5期間412において中継装置3からの報知信号を受信できなかった場合、所定の期間(例えば300s)を経過した後、再び、第5期間412において中継装置3からの報知信号を受信する。
中継装置3は、被探索装置2から探索指示信号を受信すると、上記第1間隔よりも長い第8期間433(例えば3.5s)において、呼出信号を繰り返し送信する。この呼出信号には、自機の識別情報、探索装置1の識別情報、被探索装置2の識別情報、被探索装置2を発見したことを示す情報、および、応答確認信号の送信タイミングを指示するタイミング情報が含まれる。そして、中継装置3は、応答確認信号の送信タイミングを含む第9期間434−1(例えば5ms)において受信処理を行う。
探索装置1は、第2期間421−3の間に中継装置3からの呼出信号を受信すると、呼出信号に含まれるタイミング情報によって指定された第10期間422−1(例えば2ms)において、個別チャネルの無線周波数で、自機の識別情報および通信相手の中継装置3の識別情報を含む呼出応答信号を送信する。また、探索装置1は、被探索装置2の識別情報、被探索装置2を発見したことを示す情報、および、被探索装置2までの距離を表示させる(図17(B)参照)。
中継装置3は、第9期間434−1において呼出応答信号を受信した直後の第11期間435−1(例えば2ms)において、個別チャネルの無線周波数で、自機の識別情報、探索装置1の識別情報、および、被探索装置2の識別情報を含む応答確認信号を送信する。
探索装置1は、第10期間422−1の直後の第12期間423−1(例えば3ms)において受信処理を行う。そして、探索装置1は、応答確認信号を受信すると、第2間隔(例えば100ms)が経過した後の第10期間422−2において、再び応答信号を送信する。
中継装置3は、呼出応答信号を受信した後、探索指示信号に含まれるタイミング情報で指示された第13期間436−1(例えば2ms)において、探索装置1を発見できたことを示す探索結果信号を送信する。この探索結果信号には、自機の識別情報、被探索装置2の識別情報、および、探索装置1を発見したことを示す情報が含まれる。
被探索装置2は、中継装置3から探索結果信号を受信した直後の第14期間415−1(例えば2ms)において、個別チャネルの無線周波数で、自機の識別情報および中継装置3の識別情報を含む結果確認信号を送信する。また、被探索装置2は、探索結果信号により、探索装置1を発見できたことを知った場合、LED22を発光させ、鳴動部204から報知音を出力させる。
中継装置3は、第13期間436−1の直後の第15期間437−1(例えば3ms)において受信処理を行う。そして、中継装置3は、結果確認信号を受信すると、第2間隔(例えば100ms)が経過した後の第13期間436−2において、再び探索結果信号を送信する。
以降、探索装置1のユーザから切断指示があるまで、被探索装置2と中継装置3は、探索結果信号の送信/受信、結果確認信号の送信/受信を繰り返し、中継装置3と探索装置1は、応答信号の送信/受信、応答確認信号の送信/受信を繰り返す。
(バリエーション3)
本実施の形態のバリエーション3として、複数台の中継装置3を用いて被探索装置2を探索する際に、中継装置3の配置の高さを異ならせる場合について説明する。
図21は、1台の探索装置1と4台の中継装置3A、3B、3C、3Dのフォーメーションにより被探索装置2を探索する例を示している。図21において、中継装置3Aは、例えば山の頂上等、探索装置1が存在する地点における地上からの高さhが200mの位置に設置されている。中継装置3B、3C、3Dは、例えばビルの屋上等、それぞれ、高さhが30〜40mの位置に設置されている。中継装置3Aの通信可能領域E3Aは、中継装置3B、3C、3Dのそれぞれの通信可能領域E3B、E3C、E3Dを含む。中継装置3Aと中継装置3Cとの距離は、中継装置3Aと中継装置3Bとの距離、および、中継装置3Aと中継装置3Dとの距離よりも短い。探索装置1は領域E3Aおよび領域E3Bの中に存在し、被探索装置2は領域E3Aおよび領域E3Dの中に存在する。
図21の状態において、探索装置1は、ユーザから探索対象の被探索装置2の識別情報を指示されると、中継装置3A、3Bからの報知信号を受信し、中継装置3A、3Bに対して被探索装置2の探索を指示する。
被探索装置2が領域E3Aの中に存在するので、中継装置3Aは、被探索装置2を発見することができる。一方、被探索装置2が領域E3Bの中に存在しないので、中継装置3Bは、被探索装置2を発見することができない。
したがって、探索装置1の画面には、中継装置3Aが被探索装置2を発見した旨、および、中継装置3Aと被探索装置2との距離d3Aが表示される(図17(B)参照)。これにより、探索装置1のユーザは、被探索装置2が領域E3Bの中に存在しないことを知ることができる。また、探索装置1のユーザは、距離d3Aにより、被探索装置2が領域E3Cの中にも存在せず、領域E3Dの中に存在することを知ることができる。
そこで、探索装置1のユーザは、領域E3Dの中に探索装置1を持って移動し、領域E3Dを探索対象領域として被探索装置2の探索を行う。
このように、配置高さ(通信可能領域)が互いに異なる複数の中継装置3を用いて被探索装置2の探索を行うことにより、被探索装置2の位置を早く絞り込むことができるので、捜索対象者を発見するまでの時間をさらに短縮することができる。
(バリエーション4)
本実施の形態のバリエーション4として、探索装置1を高所に運び、探索装置1単体で被探索装置2を探索すると共に、複数台の中継装置3を用いて被探索装置2を探索する場合について説明する。
図22は、図21の中継装置3Aの位置に探索装置1を移動させ、1台の探索装置1と3台の中継装置3B、3C、3Dのフォーメーションにより被探索装置2を探索する例を示している。探索装置1の通信可能領域E1は、中継装置3B、3C、3Dのそれぞれの通信可能領域E3B、E3C、E3Dを含む。被探索装置2は領域E1および領域E3Dの中に存在する。
図22の状態において、探索装置1は、ユーザから探索対象の被探索装置2の識別情報を指示されると、被探索装置2の探索を開始する。また、探索装置1は、中継装置3B、3C、3Dからの報知信号を受信し、中継装置3B、3C、3Dに対して被探索装置2の探索を指示する。
被探索装置2が領域E1の中に存在するので、探索装置1は、被探索装置2を発見することができる。したがって、探索装置1の画面には、被探索装置2を発見できた旨、および、探索装置1と被探索装置2との距離d1が表示される(図8(E)参照)。
また、被探索装置2が領域E3Dの中に存在するので、中継装置3Dは、被探索装置2を発見することができる。一方、被探索装置2が領域E3B、E3Cの中に存在しないので、中継装置3B、3Cは、被探索装置2を発見することができない。したがって、探索装置1の画面には、中継装置3Dが被探索装置2を発見した旨、および、中継装置3Dと被探索装置2との距離d3Dが表示される(図17(B)参照)。
これにより、探索装置1のユーザは、被探索装置2が領域E3Dの中に存在することを知ることができる。さらに、探索装置1のユーザは、距離d1および距離d3Dにより、領域E3Dの中において、被探索装置2が存在する部分領域(中継装置3Dからの方角)を知ることができる。
そこで、探索装置1のユーザは、領域E3Dの中に探索装置1を持って移動し、領域E3Dの部分領域を探索対象領域として被探索装置2の探索を行う。
このように、探索装置1を高所に運び、探索装置1単体で被探索装置2を探索すると共に、複数台の中継装置3を用いて被探索装置2を探索することにより、被探索装置2の位置を早く絞り込むことができるので、捜索対象者を発見するまでの時間をさらに短縮することができる。
(バリエーション5)
本実施の形態のバリエーション5は、バリエーション3、4を組み合わせたものであり、探索装置1が高所に配置された中継装置3Aに対して、中継装置3A単体での探索、および、他の中継装置3B、3C、3Dを用いた探索を指示する場合について説明する。
図23において、探索装置1、被探索装置2および中継装置3A、3B、3C、3Dの位置は、図21に示した例と同一である。
図23の状態において、探索装置1は、ユーザから探索対象の被探索装置2の識別情報を指示されると、中継装置3Aに対して被探索装置2の探索を指示する。中継装置3Aは、単独で、被探索装置2の探索を開始する。また、中継装置3Aは、中継装置3B、3C、3Dからの報知信号を受信し、中継装置3B、3C、3Dに対して被探索装置2の探索を指示する。
被探索装置2が領域E3Aの中に存在するので、中継装置3Aは、被探索装置2を発見することができる。したがって、探索装置1の画面には、中継装置3Aが被探索装置2を発見した旨、および、中継装置3Aと被探索装置2との距離d3Aが表示される。
また、被探索装置2が領域E3Dの中に存在するので、中継装置3Dは、被探索装置2を発見することができる。一方、被探索装置2が領域E3B、E3Cの中に存在しないので、中継装置3B、3Cは、被探索装置2を発見することができない。したがって、探索装置1の画面には、中継装置3Dが被探索装置2を発見した旨、および、中継装置3Dと被探索装置2との距離d3Dが表示される。
これにより、探索装置1のユーザは、被探索装置2が領域E3Dの中に存在することを知ることができる。さらに、探索装置1のユーザは、距離d3Aおよび距離d3Dにより、領域E3Dの中において、被探索装置2が存在する部分領域(中継装置3Dからの方角)を知ることができる。
そこで、探索装置1のユーザは、領域E3Dの中に探索装置1を持って移動し、領域E3Dの部分領域を探索対象領域として被探索装置2の探索を行う。
このように、探索装置1を高所に運び、探索装置1単体で被探索装置2を探索すると共に、複数台の中継装置3を用いて被探索装置2を探索することにより、被探索装置2の位置を早く絞り込むことができるので、捜索対象者を発見するまでの時間をさらに短縮することができる。