JP2018030099A - スプレー噴霧方法、スプレー製膜方法、及びスプレー製膜装置 - Google Patents

スプレー噴霧方法、スプレー製膜方法、及びスプレー製膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】曲面を有する被成膜物の表面上に、均一な精密膜を製膜する、スプレー噴霧方法、スプレー製膜方法、及びスプレー製膜装置を提供すること。【解決手段】塗布剤をスプレーノズル2から対象面11へ向けて噴霧するスプレー噴霧方法において、対象面11が曲面を有し、スプレーノズル2が、スプレーノズル2の先端と対象面11との間の、スプレーノズル2の噴霧方向における距離を所定距離Lに維持しながら、対象面11に沿って移動すると共に、噴霧方向と対象面11との交点での接平面に平行な方向における、先端の相対移動速度を一定に維持しながら、スプレーノズル2が対象面11に沿って移動する。【選択図】図4

Description

本発明は、スプレー噴霧方法、それを用いたスプレー製膜方法及びスプレー製膜装置に関し、特に、曲面を有する被成膜物を対象としたスプレー噴霧方法、スプレー製膜方法、及びスプレー製膜装置に関する。
スプレー製膜は、工業用製品の外装等の塗装に古くから用いられている工法である。近年、ディスプレイ、タッチパネル、燃料電池等、より高い精度が要求される工業用製品への精密製膜技術として、スプレー製膜が多く採用されるようになってきた。
このような精密製膜技術に対応するスプレー製膜方法としては、被成膜物上に、被成膜物の表面に沿って平行に走査移動するスプレーノズルから塗布剤を噴霧し、精密膜を製膜する方法がある。具体的には、1走査ごとに所定距離ずつピッチ送りをしながら往復走査するスプレーノズルを用いて、平面上に精密膜を製膜する方法である(例えば、特許文献1)。
特開2003−320299
最近では、製膜対象の工業用製品として、凸状又は凹状の曲面を有するディスプレイやタッチパネル等が数多く製造されるようになってきた。しかしながら、曲面への均一な精密製膜のためには、特許文献1に開示のようなスプレー製膜方法を更に改良し、曲面への製膜に対応させる必要がある。
曲面等の立体形状を有する製膜対象へのスプレー製膜方法として、多軸ロボットアームの先端にスプレーノズルを装着し、曲面に製膜する方法がある。しかしながら、精密製膜の場合、スプレーノズルの軌跡や角度等の設定を熟練者による作業を記憶させるティーチングに頼ることとなる。また、多軸ロボットアームの場合、アーム先端部の速度安定性等、精密製膜のためには、更なる改良が必要である。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、曲面を有する被成膜物の表面上に、均一な精密膜を製膜するための、スプレー噴霧方法、スプレー製膜方法、及びスプレー製膜装置を提供することを例示的課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
(1)スプレー噴霧方法は、塗布剤をスプレーノズルから対象面へ向けて噴霧するスプレー噴霧方法において、前記対象面が曲面を有し、前記スプレーノズルが、前記スプレーノズルの先端と前記対象面との間の、前記スプレーノズルの噴霧方向における距離を所定距離に維持しながら、前記対象面に沿って移動すると共に、前記噴霧方向と前記対象面との交点での接平面に平行な方向における、前記先端の相対移動速度を一定に維持しながら、前記スプレーノズルが前記対象面に沿って移動する。
スプレーノズルと対象面(被成膜物)との間の、スプレーノズルの噴霧方向における距離が一定であり、かつ、スプレーノズルの噴霧方向と対象面との交点での接平面に平行な方向における相対移動速度が一定であるため、曲面を有する対象面であっても、均一な精密膜を製膜することができる。
本明細書において「精密膜」とは、厚さが約10μm以下の均一な薄膜であるものをいう。
(2)スプレーノズルは、前記噴霧方向が一定に維持された状態で、移動することが好ましい。
(3)スプレーノズルは、前記噴霧方向が、前記対象面を有する対象物が設置される接地面に対して垂直な方向に平行に維持された状態で、前記接地面に垂直な単一の移動平面内で移動することが好ましい。
スプレーノズルの噴霧方向が一定、特に、接地面に対して垂直な方向に平行に維持された状態で、スプレーノズルが移動することによって、更に高精度で均一な精密膜を製造することができる。また、接地面に垂直な単一の移動平面内で移動、すなわち、スプレーノズルの走査移動方向を一直線上とすることにより、効率的な製膜が可能となる。
(4)前記スプレーノズルの移動方向を含む面内において前記スプレーノズルが移動したとき、最初に到達する前記対象面上の位置を前方端部とし、最後に到達する前記対象面上の位置を後方端部とし、前記スプレーノズルが、前記接地面に平行な方向に移動して前記対象面の前記前方端部へ近づき、前記前方端部から前記後方端部へ向けて前記対象面に沿って移動した後、前記後方端部から前記接地面に平行な方向に移動して遠ざかり、前記スプレーノズルが、前記スプレーノズルから噴霧された塗布剤が前記前方端部へ最初に到達する位置よりも前方で、前記噴霧方向への移動を開始することが好ましい。
(5)前記スプレーノズルの移動方向を含む面内において前記スプレーノズルが移動したとき、最初に到達する前記対象面上の位置を前方端部とし、最後に到達する前記対象面上の位置を後方端部とし、前記スプレーノズルが、前記接地面に平行な方向に移動して前記対象面の前記前方端部へ近づき、前記前方端部から前記後方端部へ向けて前記対象面に沿って移動した後、前記後方端部から前記接地面に平行な方向に移動して遠ざかり、前記スプレーノズルが、前記スプレーノズルから噴霧された塗布剤が前記後方端部へ到達しなくなる位置よりも後方で、前記噴霧方向への移動を終了することが好ましい。
スプレーノズルが、スプレーノズルから噴霧された塗布剤が前方端部へ最初に到達する位置よりも前方で噴霧方向への移動を開始する、及び/又は、スプレーノズルから噴霧された塗布剤が後方端部へ到達しなくなる位置よりも後方で噴霧方向への移動を終了することにより、前方端部、後方端部におけるスプレーノズルの移動が滑らかになる。これにより、スプレーノズルの噴霧方向への急激な加減速が緩和されるため、スプレーノズルの噴霧方向における駆動制御を過度に高性能なものとしなくとも、前方端部、後方端部近傍における塗布ムラを軽減することができる。
(6)前記スプレーノズルが、前記噴霧方向と前記対象面との交点での接平面における法線方向に対して前記噴霧方向が平行となるよう維持しながら、前記対象面に沿って移動してもよい。
対象面の法線方向に対して噴霧方向が常に平行となるように、スプレーノズルを移動させることでも、均一な精密膜を製造することができる。
(7)前記スプレーノズルの移動方向を含む面内において前記スプレーノズルが移動したとき、最初に到達する前記対象面上の位置を前方端部とし、最後に到達する前記対象面上の位置を後方端部とし、前記スプレーノズルが、前記対象面を有する対象物が設置される接地面に平行な方向に移動して前記対象面の前記前方端部へ近づき、前記前方端部から前記後方端部へ向けて前記対象面に沿って移動した後、前記後方端部から前記接地面に平行な方向に移動して遠ざかり、前記スプレーノズルの前記先端から前記所定距離離れた、前記噴霧方向に垂直な平面における塗布領域の直径をDとしたとき、前記スプレーノズルが移動する平面内において、前記対象面の前記前方端部から前記対象面を前方に延長した延長線と、前記対象面の前記前方端部を中心とする半径D/2の円との第1交点から、前記第1交点での接平面における第1法線方向に前記所定距離だけ離れた第1通過点を、前記スプレーノズルが通り、かつ、前記第1通過点において、前記スプレーノズルの前記噴霧方向が前記第1法線方向に平行となるように、前記スプレーノズルが移動することが好ましい。
(8)前記スプレーノズルの移動方向を含む面内において前記スプレーノズルが移動したとき、最初に到達する前記対象面上の位置を前方端部とし、最後に到達する前記対象面上の位置を後方端部とし、前記スプレーノズルが、前記対象面を有する対象物が設置される接地面に平行な方向に移動して前記対象面の前記前方端部へ近づき、前記前方端部から前記後方端部へ向けて前記対象面に沿って移動した後、前記後方端部から前記接地面に平行な方向に移動して遠ざかり、前記スプレーノズルの前記先端から前記所定距離離れた、前記噴霧方向に垂直な平面における塗布領域の直径をDとしたとき、前記スプレーノズルが移動する平面内において、前記対象面の前記後方端部から前記対象面を後方に延長した延長線と、前記対象面の前記後方端部を中心とする半径D/2の円との第2交点から、前記第2交点での接平面における第2法線方向に前記所定距離だけ離れた第2通過点を、前記スプレーノズルが通り、かつ、前記第2通過点において、前記スプレーノズルの前記噴霧方向が前記第2法線方向に平行となるように、前記スプレーノズルが移動することが好ましい。
スプレーノズルが、第1通過点、及び/又は、第2通過点を、噴霧方向が第1法線、第2法線と平行となるように移動することにより、より均一な精密膜を製造することが可能となる。すなわち、第1通過点、及び/又は、第2通過点を通過する際、既にスプレーノズルの軌道及び噴霧方向が均一な精密膜の製膜に適した状態に準備されるため、より高精度で均一な精密膜を製膜することができる。
(9)上記(1)から(8)に記載のスプレー噴霧方法によって、前記対象面の表面に膜を製膜するスプレー製膜方法。
上記(1)から(8)のスプレー噴霧方法を採用したスプレー製膜方法であり、均一な精密膜を製膜することが可能である。
(10)対象面を有する対象物が設置される接地面と、前記対象面へ向けて塗布剤を噴霧するスプレーノズルと、前記スプレーノズルを、前記接地面に平行な方向、及び前記接地面に平行な方向とは異なる前記スプレーノズルの噴霧方向のそれぞれへ独立に移動させる移動機構と、を備え、前記スプレーノズルの先端と前記対象面との間の前記噴霧方向における距離を所定距離に維持しながら、前記スプレーノズルを移動させると共に、前記スプレーノズルの先端の、前記スプレーノズルの噴霧方向と前記対象面との交点での接平面に平行な相対移動速度を一定に維持しながら、前記スプレーノズルを移動させる、スプレー製膜装置。
上記(1)から(8)のスプレー噴霧方法を実現するスプレー製膜装置であり、均一な精密膜を製膜することができる。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、曲面を有する被成膜物の表面上に、均一な精密膜を製膜するための、スプレー噴霧方法、スプレー製膜方法、及びスプレー製膜装置を提供することができる。
実施形態1に係るスプレー製膜装置の概略斜視図である。 図1に示すスプレー製膜装置の移動機構を示す部分拡大図である。 対象面11の一例を示す模式図である。 図3Aに示す対象面11上をスプレーノズル2が走査移動する軌跡9の一例を示す模式図である。 凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のX−Z平面上におけるスプレーノズル2の軌跡9を示す説明図である。 凹状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のX−Z平面上におけるスプレーノズル2の軌跡9を示す説明図である。 凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合の走査速度の説明図である。 凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のZ軸方向の加速の開始点を示す説明図である。 凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のZ軸方向の加速の終了点を示す説明図である。 凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のZ軸方向の加速の開始及び終了点におけるスプレーノズル2の軌跡9を示す説明図である。 対象面11の他の例を示す模式図である。 図9Aに示す対象面11上をスプレーノズル2が走査移動する軌跡9の一例を示す模式図である。 凸状の球面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のY−Z平面上における軌跡9を示す説明図である。 凹状の球面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のY−Z平面上における軌跡9を示す説明図である。 実施形態1に係るスプレー噴霧方法の各工程を示すフローチャートである。 曲面上をスプレーノズル2が走査移動する際に、スプレーノズル2の噴霧角度が変化する変形例1を示す説明図である。
[実施形態1]
以下、本発明の実施形態1について図面を用いて説明する。図1は、実施形態1に係るスプレー製膜装置1の概略斜視図である。実施形態1に係るスプレー製膜装置1は、対象面を有する対象物が設置される接地面を形成するステージ5と、対象面へ向けて塗布剤を噴霧するスプレーノズル2と、スプレーノズル2を移動させる移動機構と、を備える。スプレー製膜装置1は、ステージ5に隣接して、対象物10に付着しなかった塗布剤を排出するための排気チャンバー6を備えていてもよい。また、スプレー製膜装置1は、清浄空気を製膜室内に取り入れるために、HEPAフィルターを搭載したファンユニット7を備えていてもよい。
図2は、図1に示すスプレー製膜装置1の移動機構を示す部分拡大図である。移動機構は、ステージ5をXY平面とした場合に、X軸に平行なX軸アーム3Xと、XY平面内でX軸と直交するY軸に平行なY軸アーム3Yと、XY平面に垂直なZ軸に平行なZ軸アーム3Zと、を有する。これらX軸アーム3X、Y軸アーム3Y、及びZ軸アーム3Zがそれぞれ有するX軸駆動装置22、Y軸駆動装置23、及びZ軸駆動装置24が、相互に独立に駆動することによって、スプレーノズル2を移動させることができる。
図1及び図2では、2本の平行なY軸アーム3Y上を、これら2本の平行なY軸アーム3Yに橋渡しされた1本のX軸アーム3Xが、Y軸アーム3Yに沿ってY軸方向に摺動可能である。このX軸アーム3X上を、Z軸アーム3Zが、X軸アーム3Xに沿ってX軸方向に摺動可能である。スプレーノズル2は、Z軸アーム3Z上を、Z軸アーム3Zに沿ってZ軸方向に摺動可能である。スプレーノズル2の先端はZ軸方向下方を向いており、塗布剤をZ軸方向下方へ向けて噴霧するよう構成されている。そして、X軸方向の移動をX軸駆動装置22、Y軸方向の移動をY軸駆動装置23、Z軸方向の移動をZ軸駆動装置24が、それぞれ駆動することによって、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれにおいて、スプレーノズル2を自在に移動させることが可能である。
スプレー製膜装置1は、このような移動機構を備えることにより、スプレーノズル2を、ステージ5に平行な方向、及びステージ5へ平行な方向とは異なるスプレーノズル2の噴霧方向のそれぞれへ独立に移動させることが可能である。さらに、スプレー製膜装置1は、スプレーノズル2の先端と対象面との間の噴霧方向における距離を一定に維持しながら、スプレーノズル2を移動させることが可能である。また、スプレー製膜装置1は、スプレーノズル2の先端の、スプレーノズル2の噴霧方向と対象面との交点での接平面に平行な相対移動速度を一定に維持しながら、スプレーノズル2を移動させることが可能である。スプレーノズル2の噴霧方向は固定されていることが好ましく、本実施形態では噴霧方向が一定に維持された状態でのスプレーノズル2の移動について説明する。なお、変形例1において後述するように、スプレーノズル2の噴霧方向が固定されない構成も当然ながら可能である。
スプレーノズル2の噴霧方向は、ステージ5に対して垂直な方向に平行に維持された状態で、スプレーノズル2が移動することが好ましい。すなわち、スプレーノズル2の噴霧方向が、Z軸方向に平行に固定された状態で、スプレーノズル2が移動することが好ましい。このとき、スプレーノズル2は、接地面に垂直な単一の移動平面内で移動することが更に好ましい。例えば、図3Aや図3Bに示すように、ステージ5に垂直でありX軸方向に平行な移動平面内でスプレーノズル2を移動させることができる。なお、言うまでもないが、スプレーノズル2の移動方向は、X軸方向に限らずステージ5に垂直な方向であれば、Y軸方向に平行な移動平面内であっても、X軸及びY軸のいずれにも平行でない移動平面内であってもよい。
ここで、図3A、図3Bを用いて、対象面11に製膜する際のスプレーノズル2の軌跡9の例について説明する。ここでは、対象面11が、円柱の側面の一部を切り出した曲面である場合について説明する。図3Aは、対象面11の一例を示す模式図である。図3Bは、図3Aに示す対象面11上をスプレーノズル2が走査移動する軌跡9の一例を示す模式図である。図3Aでは、対象面11が、Z−X断面において円弧を示し、Y軸方向においてその形状が変化しない曲面である場合、すなわち、円柱の側面の一部を切り出した曲面である場合を示している。図3Aのような対象面11に製膜する場合、図3Bに示すように、スプレーノズル2をX軸方向に走査移動させつつ、対象面11との噴霧方向における距離を所定距離Lに維持すべくZ軸方向に移動させ、X軸方向における所定移動範囲の端部に到達したら、X軸方向の移動を停止し、所定ピッチだけY軸方向に移動した後、X軸方向の逆向きにスプレーノズル2を走査移動させる。このように、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の移動を組み合わせた一連の行程を繰り返すことで、対象面11に精密膜を製膜することができる。
X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の移動を組み合わせた一連の工程は、予めプログラミングしておき、そのプログラミングにより生成された走査移動プログラムを実行することで実現することができる。例えば、スプレー製膜装置1に制御装置と、記憶装置とを搭載させ、記憶装置に記憶させた走査移動プログラムを制御装置が実行することで、スプレーノズル2の移動を制御することができる。具体的には、X軸駆動装置22、Y軸駆動装置23、及びZ軸駆動装置24を共動駆動させる一連の信号情報(走査移動プログラム)を記憶装置に記憶させておき、この記憶装置に記憶された走査移動プログラムに基づき、制御装置がX軸駆動装置22、Y軸駆動装置23、及びZ軸駆動装置24を共動駆動させることにより、スプレーノズル2の移動を制御することができる。
上述のプログラミングに際して、スプレー製膜装置1に、対象面11に対応したパラメータ値を設定することで、プログラミングを容易に行うことも可能である。例えば、対象面11が円柱の側面の一部を切り出した曲面である場合、パラメータ値の設定項目を少なくすることができる。具体的には、曲面(円弧)の頂点におけるスプレーノズル2の先端からステージ5までの距離[H]、円弧の曲率半径[R]、スプレーノズル2の走査移動速度[V]、ピッチ幅[P]、対象面11のX軸方向の座標範囲[X]及びY軸方向の座標範囲[Y]を設定するだけでよい。なお、対象面11は、1つのサンプル上に複数存在していてもよく、1回の(X軸方向の)移動で複数の対象面11の一部(1走査移動分)を製膜するよう配置されていてもよい。
図4は、凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のX−Z平面上におけるスプレーノズル2の軌跡9を示す説明図である。図4中、対象物10は、上方(Z軸方向)に凸の対象面11を有している。この対象面11に対し、Z軸方向における所定距離Lを維持しつつスプレーノズル2が対象物10の少なくとも対象面11上を走査移動する。このとき、スプレーノズル2が描く軌跡9は、対象物10の対象面11をZ軸方向に所定距離Lだけ移動した曲線と、その少なくとも一部が一致する。
図5は、凹状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のX−Z平面上におけるスプレーノズル2の軌跡9を示す説明図である。図5中、対象物10は、上方(Z軸方向)に凹の対象面11を有している。この対象面11に対し、Z軸方向における所定距離Lを維持しつつスプレーノズル2が対象物10の少なくとも対象面11上を走査移動する。このとき、スプレーノズル2が描く軌跡9は、対象物10の対象面11をZ軸方向に所定距離Lだけ移動した曲線と、その少なくとも一部が一致する。
本実施形態において、スプレーノズル2は、ステージ5に平行な方向における速度成分と、ステージ5に垂直な方向における速度成分と、を合成した移動速度(走査速度)が一定に維持されながら、走査移動する。図6は、凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合の走査速度の説明図である。図6では、Z−X平面における対象物10とスプレーノズル2の軌跡9が示されている。図6中、Vaは、X軸方向(ステージ5に平行な方向)における速度成分と、Z軸方向(ステージ5に垂直な方向)における速度成分と、を合成した速度を表している。なお、スプレーノズル2は、対象物10の表面との間の距離を所定距離Lに維持しながら走査移動するため、スプレーノズル2の軌跡9は、対象物10の表面におおよそ追従しており、走査速度Vaは、スプレーノズル2の軌跡9が描く曲面の接線方向に平行な速度である。
図6に示すように、スプレーノズル2の走査速度Vaは、一定である。すなわち、対象物10の端部近傍において、Z軸方向の速度成分が大きい領域では、X軸方向の速度成分が相対的に小さくなる。また、対象物10の頂点近傍において、Z軸方向の速度成分が小さい領域では、X軸方向の速度成分は相対的に大きくなる。対象物10の頂点の極近傍において、Z軸方向の速度成分がゼロに近似する領域においては、X軸方向の速度成分は、走査速度Vaに近似する。
スプレー製膜装置1において、スプレーノズル2から塗布剤を噴霧する噴霧区間は、対象面11上に限定されず、走査移動方向における対象面11の前後において、ステージ5に対して平行に移動する直線区間を設けることができる。すなわち、スプレーノズル2の噴霧区間には、直線区間と、対象面11上及びその近傍を通過する際の曲線区間とが存在していてもよい。このような直線区間を設けることで、スプレーノズル2のスプレーノズル2の移動速度を一定にするための助走区間とすることができる。ここで、スプレーノズル2の移動において、直線区間から曲線区間へと変化する変化点を、以下、「第1変化点」といい、曲線区間から直線区間へと変化する変化点を、以下、「第2変化点」という。
図7Aは、凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のZ軸方向の加速の開始点を示す説明図である。スプレーノズル2の移動は、スプレーノズル2から噴霧された塗布剤が前方端部13へ最初に到達する位置よりも前方で、噴霧方向への移動を開始する。すなわち、第1変化点15の直線区間側であり、かつ、第1変化点15からの距離がD/2より長い領域で、ステージ5に垂直な方向への加速が開始される。言い換えると、スプレーノズル2が塗布対象曲面へ近づいていき、スプレーノズル2から噴霧された塗布剤が対象面11へ到達するスプレーノズル2の位置(以下「製膜開始点」という)より手前で、Z軸方向への加速が開始されることが好ましい。
ここで、「D」とは、スプレーノズル2から所定距離L離れた、噴霧方向に垂直な平面における塗布領域の直径である。なお、塗布領域とは、スプレーノズル2から噴霧された塗布剤が、スプレーノズル2の先端を頂点とし、噴霧方向を中心軸する円錐形状に拡散し、噴霧方向に垂直な円断面に付着する領域をいうこととする。しかしながら、スプレーノズル2によって噴霧された塗布剤は、微小粒子となるため、上述の塗布領域の外に付着することがある。そこで、本発明においては、スプレーノズル2から噴霧方向に所定距離L離れた噴霧方向に垂直な平面において、噴霧された塗布剤の95%以上が付着する円形領域のうち、最小の円形領域の直径を「D」とすることができる。また、「前方端部」とは、スプレーノズル2の移動方向を含む面内においてスプレーノズル2の移動方向へ移動したとき、最初に到達する対象面上の位置である。このように、第1変化点15からの距離2/Dより手前でZ軸方向への加速を開始することで、第1変化点15近傍における走査速度Vaの変動を最小限に抑えることができる。これにより、スプレーノズル2のZ軸方向及びX軸方向における駆動制御を過度に高性能なものとしなくとも、対象面11における塗布むら等の欠陥発生を抑制することができる。
図7Bは、凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のZ軸方向の加速の終了点を示す説明図である。スプレーノズル2の移動は、スプレーノズル2が、スプレーノズル2から噴霧された塗布剤が後方端部14へ到達しなくなる位置よりも後方で、噴霧方向への移動を終了する。すなわち、第2変化点16の直線区間側であり、かつ、第2変化点16からの距離がD/2より長い領域で、ステージ5に垂直な方向への加速が終了することが好ましい。言い換えると、スプレーノズル2が塗布対象曲面の端部へ近づいていき、スプレーノズル2から噴霧された塗布剤が対象面11へ到達しなくなるスプレーノズル2の位置(以下「製膜終了点」という)より奥で、Z軸方向への加速が終了することが好ましい。このように、第2変化点16からの距離D/2より奥でZ軸方向への加速を終了することで、第2変化点16近傍における走査速度Vaの変動を最小限に抑えることができる。これにより、スプレーノズル2のZ軸方向及びX軸方向における駆動制御を過度に高性能なものとしなくとも、対象面11における塗布むら等の欠陥発生を抑制することができる。
上述の形態において、第1変化点15又は第2変化点16からの距離は、D/2より大きければよいが、加工(製膜)時間を短くするという観点から、第1変化点15又は第2変化点16からの距離の上限は、D以下であることが好ましい。なお、製膜開始点から製膜終了点の間は噴霧区間であり、スプレーノズル2の走査速度Vaは一定である。製膜開始点より手前及び製膜終了点より後ろにおいては、スプレーノズル2の移動速度は一定である必要はなく、走査速度Vaへ到達するための加減速区間とすることができる。加減速区間においては、噴霧区間における噴霧の準備のためスプレーノズル2からの噴霧を開始しておくことができるが、その場合、塗布剤の使用量を抑制する観点から、加減速区間の長さは短いことが好ましい。例えば、加減速区間の長さの上限は、第1変化点15又は第2変化点16からの距離の上限であるD以下とすることができる。加減速区間の長さを短くすることにより、加工(製膜)時間を短縮することができ、結果として、生産能力を向上させることができる。
また、スプレーノズル2の走査移動方向において、製膜開始点の手前側では、スプレーノズル2のZ軸方向の位置は、製膜開始点のZ軸方向の位置を維持したまま(所定距離Lに関わらず)スプレーノズル2を走査移動させることができる。製膜終了点の後方側では、スプレーノズル2のZ軸方向の位置は、製膜終了点のZ軸方向の位置を維持したまま(所定距離Lに関わらず)スプレーノズル2を走査移動させることができる。
図7A及び図7Bでは、対象面11が曲面であり、この曲面のみが製膜対象である場合について説明したが、直線区間が製膜対象となり得ることを除外するものではない。
図8は、凸状の曲面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のZ軸方向の加速の開始及び終了点におけるスプレーノズル2の軌跡9を示す説明図である。図8に示すように、第1変化点15及び/又は第2変化点16の近傍において、直線区間と曲線区間との間の遷移部分のスプレーノズル2の軌跡9は、ステージ5側を凸とする曲線によって形成されていてもよい。すなわち、第1変化点15の手前におけるZ軸方向の加速の開始により、第1変化点15近傍における直線区間から曲線区間への遷移部分のスプレーノズル2の軌跡9が曲線によって形成されていてもよい。また、第2変化点16の奥におけるZ軸方向の加速の終了により、第2変化点16近傍における曲線区間から直線区間への遷移部分のスプレーノズル2の軌跡9が曲線によって形成されていてもよい。
第1変化点15及び/又は第2変化点16の近傍における、直線区間と曲線区間との間の遷移部分の曲線は、所定のR(アール)を有していてもよい。曲線のR(アール)としては、例えば、5〜15mmが好ましく、10mm程度が更に好ましい。適度なR(アール)を有する曲線とすることにより、直線区間と曲線区間との間の遷移部分をより滑らかにし、Z軸駆動装置として加速性能が高いものを使用しなくてもよくなる。
次に、対象面11が球面である場合について説明する。図9Aは、対象面11の他の例を示す模式図である。図9Bは、図9Aに示す対象面11上をスプレーノズル2が走査移動する軌跡9の一例を示す模式図である。図9Aでは、対象面11が、球面の一部を切り出した曲面である場合を示している。この場合も、図9Bに示すように、上述の図3Bの場合と同様、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の移動を組み合わせた一連の行程を繰り返すことで、対象面11に精密膜を製膜することができる。ただし、当然ながら、Z軸方向の移動は、Y軸方向における位置によって変動することになる。
対象面11が球面である場合も、Z−X平面におけるスプレーノズル2の走査移動は、対象面11が円柱の側面の一部を切り出した曲面である場合と基本的に同様であり、例えば、図4や図5に示すようなスプレーノズル2の軌跡9となる。ただし、当然ながら、Y軸方向の位置によっては、曲率半径Rが変化することになる。
ここで、図10及び図11を用いて、対象面11が球面である場合の、Y軸方向の位置の違いによるパラメータの変化について説明する。図10は、凸状の球面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のY−Z平面上における軌跡9を示す説明図である。図11は、凹状の球面上をスプレーノズル2が走査移動する場合のY−Z平面上における軌跡9を示す説明図である。対象面11が球面である場合において、Y軸方向の中心、すなわち曲率半径Rが最大である位置からの距離がY’である位置での曲率半径R’は、下記式(1)により求めることができる。
Figure 2018030099
また、Y軸方向の中心からの距離がY’である位置での、円弧の頂点におけるスプレーノズル2の先端からステージ5までの距離H’は、下記式(2)により求めることができる。
|H−H’|=R−R’ ・・・(2)
なお、上記式(2)中、対象面11が上方(Z軸方向)に凸の球面である場合、差(H−H’)は正の値となり、対象面11が上方(Z軸方向)に凹の球面である場合、差(H−H’)は負の値となる。
上述の実施形態1では、対象面11が、円柱の一部を切り出した曲面、及び球面である場合について説明したが、もちろん対象面11の形状に制限はなく、スプレー製膜装置1は任意の形状を有する曲面に対して精密膜を形成することができる。このとき、対象面11の任意の形状を表す関数から、スプレーノズル2の軌道及び走査速度Vaを算出し、スプレー製膜装置1の記憶装置に記憶させておくことができる。制御装置は、前述の他のパラメータ値と共に、スプレーノズル2の軌道及び走査速度Vaのパラメータ値を使用して、当該任意の形状を有する対象面11に精密膜を製膜するスプレーノズル2の走査移動を制御することができる。
塗布剤として用いるとしては、スプレーノズル2により噴霧可能なものである限り、特に制限されない。例えば、フッ素系溶剤を使用した防汚コート剤、有機溶剤を使用した反射防止剤、ハードコート剤等であってもよい。
[スプレー噴霧方法]
実施形態1に係るスプレー噴霧方法について、図12を参照しつつ説明する。スプレーノズル2は、X軸方向に、対象面11の前方端部13へ向けて直線移動で近づく(S101)。スプレーノズル2は、前方端部13の前方へD/2超離れた位置で、すなわち、スプレーノズル2から噴霧された塗布剤が前方端部13へ最初に到達する位置よりも前方で、Z軸方向への移動を開始する(S102)。
スプレーノズル2は、前方端部13からZ軸方向へ所定距離L離れた位置を通過し、対象面11に沿って、前方端部13から後方端部14へ、対象面11とスプレーノズル2の先端との距離を所定距離Lに維持しながら移動する(S103)。スプレーノズル2は、後方端部14からZ軸方向へ所定距離L離れた位置を通過し、後方端部14の後方へD/2超離れた位置で、すなわち、スプレーノズル2から噴霧された塗布剤が後方端部14へ到達しなくなる位置よりも後方で、Z軸方向への移動を終了する(S104)。その後、スプレーノズル2は、対象面11の後方端部14からX軸方向に直線移動で離れる(S105)。
スプレーノズル2がX軸方向の所定位置まで到達したら、対象物11の製膜領域が終了したか否か、すなわち、予定された製膜領域の製膜が完了したか否かの判断が制御装置によって行われる。製膜領域が終了した場合(Yes)、製膜処理は終了する。製膜領域が終了していなかった場合(No)、予め記憶装置に記憶されたプログラムに従って、Y軸方向へ所定ピッチ移動する(S107)。その後、S101へ戻り、X軸方向へ折り返して走査移動を開始し、S101〜S105で同様に製膜処理が行われる。このようにして、X軸方向への走査移動、Y軸方向への所定ピッチの移動、X軸方向へ折り返しての走査移動を、製膜領域が終了するまで繰り返す。
[変形例1]
図13は、曲面上をスプレーノズル2が走査移動する際に、スプレーノズル2の噴霧角度が変化する変形例1を示す説明図である。図13に示すように、変形例1では、スプレーノズル2の噴霧方向がθ軸(Z軸方向)に対して角度を有する方向に可変である。それ以外の構成は、上述の実施例1におけるスプレー製膜装置1と同様の構成とすることができる。このような構成とすることにより、スプレーノズル2からの塗布剤の噴霧方向を、走査方向を含む平面内において、対象面11に対して常に垂直な方向に平行とすることができる。すなわち、スプレーノズル2が対象面11に沿って移動する際に、スプレーノズル2の噴霧方向が、対象面11の法線方向に平行となるように随時変更可能である。これにより、更に均一な精密膜を製膜することが可能となる。
スプレーノズル2の噴霧角度が対象面11の法線方向となるように可変である場合、スプレーノズル2の走査移動は、対象面11の前後において、図13に示すような軌跡9となることが好ましい。
図13においては、図7A、図7B等と同様、スプレーノズル2は、X軸方向に平行に直線移動して、対象面11の前方端部13へ接近する。次に、スプレーノズル2の先端の位置が、対象面11の前方端部13における法線上の所定距離Lとなるように、スプレーノズル2をZ軸方向にも移動させると共に、対象面11の前方端部13におけるスプレーノズル2の噴霧方向が、対象面11の前方端部13における法線方向となるように、スプレーノズル2の噴霧方向の角度を変更する。
このとき、図13に示すように、スプレーノズル2の先端は、対象面11の前方端部13における法線方向上の位置よりも前方の第1通過点17を通ることが好ましい。ここで、第1通過点17は、スプレーノズル2の移動平面内において、対象面の前方端部13から対象面を前方に延長した延長線と、対象面の前方端部13を中心とする半径D/2の円との第1交点から、第1交点での接平面における第1法線方向に所定距離Lだけ離れた点である。なお、「D」は前述と同様、スプレーノズル2から所定距離L離れた、噴霧方向に垂直な平面における塗布領域の直径である。また、スプレーノズル2の先端が第1通過点17を通過する際、スプレーノズル2の噴霧方向は、第1法線方向に平行となっていることが好ましい。このように第1通過点17を通過することにより、製膜準備区間から製膜区間への移行を滑らかにすることができる。
次いで、図13に示すように、スプレーノズル2は、噴霧方向と対象面との交点での接平面における法線方向に対して、噴霧方向が平行となるよう維持しながら、対象面に沿って移動する。すなわち、スプレーノズル2の噴霧方向が常に対象面の法線方向と平行となるようZ軸方向に対する角度θを適宜変えながら、スプレーノズル2は移動する。
スプレーノズル2が対象面上を移動し、後方端部14での接平面の法線上に達した後、スプレーノズル2は、噴霧方向の角度及びZ軸方向に移動し、最後にはX軸方向に平行に直線移動する。このとき、図13に示すように、スプレーノズル2の先端は、対象面の後方端部14における法線方向上の位置よりも後方の第2通過点18を通ることが好ましい。ここで、第2通過点18は、スプレーノズル2の移動平面内において、対象面の後方端部14から対象面を後方に延長した延長線と、対象面の後方端部14を中心とする半径D/2の円との第2交点から、第2交点での接平面における第2法線方向に所定距離Lだけ離れた点である。また、スプレーノズル2の先端が第2通過点18を通過する際、スプレーノズル2の噴霧方向は第2法線方向に平行となっていることが好ましい。このように第1通過点17を通過することにより、製膜区間から製膜準備区間への移行を滑らかにすることができる。
対象面を前方又は後方に延長した延長線とは、例えば、対象面が球面の一部や円柱の側面の一部を切り出した曲面で合った場合、すなわち、スプレーノズル2の移動平面における対象面の断面が円弧形状である場合、前方端部13及び/又は後方端部14から、円弧形状を延長することができる。ここで延長される円弧形状は、切り出された円弧形状と同心であり半径が等しい。なお、球面の一部又は円柱の側面の一部を切り出した曲面の両端がそれぞれ前方端部13及び後方端部14となる。当然ながら、対象面の移動平面における断面は円弧形状に限定されず、例えば、楕円形、長円形等であってもよい。対象面の前方端部13及び/又は後方端部14から延長される延長線は、その延長線が対象面の断面形状に滑らかに接続され得る形状であれば広く採用することができる。
また、対象面を前方又は後方に延長する延長線としては、スプレーノズル2の移動平面内における前方端部13及び/又は後方端部14での接線方向に延びる直線であってもよい。
対象面の形状は、予め、スプレー製膜装置に搭載される記憶装置に記憶させておくことができる。例えば、スプレー製膜装置の駆動機構のX軸、Y軸、Z軸にそれぞれ対応したX、Y、Zを変数とする関数として記憶装置に記憶させておくことができる。その場合、前方端部13及び/又は後方端部14からの延長線の関数は、予め記憶させておいた関数に基づき算出することができる。
1:スプレー製膜装置 2:スプレーノズル
3X:X軸アーム 3Y:Y軸アーム
3Z:Z軸アーム 5:ステージ
6:チャンバー 7:ファンユニット
9:軌跡 10:対象物
11:対象面 13:前方端部
14:後方端部 15:第1変化点
16:第2変化点 17:第1通過点
18:第2通過点

Claims (10)

  1. 塗布剤をスプレーノズルから対象面へ向けて噴霧するスプレー噴霧方法において、
    前記対象面が曲面を有し、
    前記スプレーノズルが、前記スプレーノズルの先端と前記対象面との間の、前記スプレーノズルの噴霧方向における距離を所定距離に維持しながら、前記対象面に沿って移動すると共に、
    前記噴霧方向と前記対象面との交点での接平面に平行な方向における、前記先端の相対移動速度を一定に維持しながら、前記スプレーノズルが前記対象面に沿って移動する、
    スプレー噴霧方法。
  2. 前記噴霧方向が一定に維持された状態で、前記スプレーノズルが移動する、
    請求項1に記載のスプレー噴霧方法。
  3. 前記噴霧方向が、前記対象面を有する対象物が設置される接地面に対して垂直な方向に平行に維持された状態で、前記スプレーノズルが前記接地面に垂直な単一の移動平面内で移動する、
    請求項2に記載のスプレー噴霧方法。
  4. 前記スプレーノズルの移動方向を含む面内において前記スプレーノズルが移動したとき、最初に到達する前記対象面上の位置を前方端部とし、最後に到達する前記対象面上の位置を後方端部とし、
    前記スプレーノズルが、前記接地面に平行な方向に移動して前記対象面の前記前方端部へ近づき、前記前方端部から前記後方端部へ向けて前記対象面に沿って移動した後、前記後方端部から前記接地面に平行な方向に移動して遠ざかり、
    前記スプレーノズルが、前記スプレーノズルから噴霧された塗布剤が前記前方端部へ最初に到達する位置よりも前方で、前記噴霧方向への移動を開始する、
    請求項3に記載のスプレー噴霧方法。
  5. 前記スプレーノズルの移動方向を含む面内において前記スプレーノズルが移動したとき、最初に到達する前記対象面上の位置を前方端部とし、最後に到達する前記対象面上の位置を後方端部とし、
    前記スプレーノズルが、前記接地面に平行な方向に移動して前記対象面の前記前方端部へ近づき、前記前方端部から前記後方端部へ向けて前記対象面に沿って移動した後、前記後方端部から前記接地面に平行な方向に移動して遠ざかり、
    前記スプレーノズルが、前記スプレーノズルから噴霧された塗布剤が前記後方端部へ到達しなくなる位置よりも後方で、前記噴霧方向への移動を終了する、
    請求項3に記載のスプレー噴霧方法。
  6. 前記スプレーノズルが、前記噴霧方向と前記対象面との交点での接平面における法線方向に対して前記噴霧方向が平行となるよう維持しながら、前記対象面に沿って移動する、
    請求項1に記載のスプレー噴霧方法。
  7. 前記スプレーノズルの移動方向を含む面内において前記スプレーノズルが移動したとき、最初に到達する前記対象面上の位置を前方端部とし、最後に到達する前記対象面上の位置を後方端部とし、
    前記スプレーノズルが、前記対象面を有する対象物が設置される接地面に平行な方向に移動して前記対象面の前記前方端部へ近づき、前記前方端部から前記後方端部へ向けて前記対象面に沿って移動した後、前記後方端部から前記接地面に平行な方向に移動して遠ざかり、
    前記スプレーノズルの前記先端から前記所定距離離れた、前記噴霧方向に垂直な平面における塗布領域の直径をDとしたとき、
    前記スプレーノズルが移動する平面内において、前記対象面の前記前方端部から前記対象面を前方に延長した延長線と、前記対象面の前記前方端部を中心とする半径D/2の円との第1交点から、前記第1交点での接平面における第1法線方向に前記所定距離だけ離れた第1通過点を、前記スプレーノズルが通り、かつ、前記第1通過点において、前記スプレーノズルの前記噴霧方向が前記第1法線方向に平行となるように、前記スプレーノズルが移動する、
    請求項6に記載のスプレー噴霧方法。
  8. 前記スプレーノズルの移動方向を含む面内において前記スプレーノズルが移動したとき、最初に到達する前記対象面上の位置を前方端部とし、最後に到達する前記対象面上の位置を後方端部とし、
    前記スプレーノズルが、前記対象面を有する対象物が設置される接地面に平行な方向に移動して前記対象面の前記前方端部へ近づき、前記前方端部から前記後方端部へ向けて前記対象面に沿って移動した後、前記後方端部から前記接地面に平行な方向に移動して遠ざかり、
    前記スプレーノズルの前記先端から前記所定距離離れた、前記噴霧方向に垂直な平面における塗布領域の直径をDとしたとき、
    前記スプレーノズルが移動する平面内において、前記対象面の前記後方端部から前記対象面を後方に延長した延長線と、前記対象面の前記後方端部を中心とする半径D/2の円との第2交点から、前記第2交点での接平面における第2法線方向に前記所定距離だけ離れた第2通過点を、前記スプレーノズルが通り、かつ、前記第2通過点において、前記スプレーノズルの前記噴霧方向が前記第2法線方向に平行となるように、前記スプレーノズルが移動する、
    請求項6に記載のスプレー噴霧方法。
  9. 請求項1から請求項8に記載のスプレー噴霧方法によって、前記対象面の表面に膜を製膜するスプレー製膜方法。
  10. 対象面を有する対象物が設置される接地面と、
    前記対象面へ向けて塗布剤を噴霧するスプレーノズルと、
    前記スプレーノズルを、前記接地面に平行な方向、及び前記接地面に平行な方向とは異なる前記スプレーノズルの噴霧方向のそれぞれへ独立に移動させる移動機構と、
    を備え、
    前記スプレーノズルの先端と前記対象面との間の前記噴霧方向における距離を所定距離に維持しながら、前記スプレーノズルを移動させると共に、
    前記スプレーノズルの先端の、前記スプレーノズルの噴霧方向と前記対象面との交点での接平面に平行な相対移動速度を一定に維持しながら、前記スプレーノズルを移動させる、
    スプレー製膜装置。
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