JP2018028604A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面層が複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させてなる硬化性樹脂を含む電子写真感光体において、耐摩耗性を損なうことなく、画像ムラが抑制された電子写真感光体を提供する。【解決手段】支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させてなる硬化性樹脂と、特定の構造を有するカリックスアレーン化合物と、を含有し、該表面層中の該カリックスアレーン化合物の含有量が、該表面層の全構成材料の1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体に関する。
電子写真感光体には、耐摩耗性が求められる。特許文献1および特許文献2には、電子写真感光体の表面層に重合性官能基を有する電荷輸送性モノマーを硬化させて得られる硬化物を含有させて、電子写真感光体の耐摩耗性を向上させる技術が記載されている。
一方で、硬化物を含有する表面層を設けた電子写真感光体は、摩耗量が少ないために、帯電生成物やトナー成分などの汚染物質が除去されにくい。それらの汚染物質は帯電や現像プロセスにおいて電荷注入あるいは摩擦帯電を起こす場合があり、潜像を乱してしまう。また、電子写真感光体表面で汚染物質の濃度に面内ムラが生じると、画像ムラとなってしまっていた。
汚染物質に対応する技術として、特許文献3に、感光体の最表面層に帯電生成物のイオンを捕獲する分子を含ませる方法が開示されている。
特開2000−66425号公報 特開2010−156835号公報 特開2010−79130号公報
汚染物質は帯電生成物だけではなく、トナー成分などさまざまな物質が含まれるため、特許文献3のイオンを捕獲する分子では画像ムラ抑制効果が不十分であった。
本発明の課題は、複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させてなる硬化性樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体において、耐摩耗性を損なうことなく、画像ムラが抑制された電子写真感光体を提供することにある。
本発明は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させてなる硬化性樹脂と、下記式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物と、を含有し、該表面層中の該カリックスアレーン化合物の含有量が、該表面層の全構成材料の1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体である。
Figure 2018028604
Figure 2018028604
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(式中、Y〜Yはそれぞれ独立に、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−または−N=N−を示し、Ar〜Arはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい複素環基を示す。)
本発明によれば、複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させてなる硬化性樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体において、耐摩耗性を損なうことなく、画像ムラが抑制された電子写真感光体を提供することができる。
本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
本発明の電子写真感光体は、電子写真感光体の表面層が、複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させてなる硬化性樹脂と、下記式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物と、を含有し、該表面層中の該カリックスアレーン化合物の含有量が、該表面層の全構成材料の1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。
Figure 2018028604
Figure 2018028604
Figure 2018028604
(式中、Y〜Yはそれぞれ独立に、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−または−N=N−を示し、Ar〜Arはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい複素環基を示す。)
上述のとおり、本発明の電子写真感光体によって、耐摩耗性を損なうことなく画像ムラを抑制できる。
本発明で改善しようとする画像ムラは、電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する。)上の帯電生成物やトナー成分、あるいは感光体構成成分の酸化物などの汚染物質によって引き起こされる。本発明者らが、表面層に硬化性樹脂を含有する従来の感光体を用いて検討したところ、画像ムラの発生について次の知見が得られた。
(A)画像ムラは画像出力を繰り返すことによって発生する。
(B)画像ムラが発生した感光体を電子写真装置から取り外し、表面を拭くあるいは表面を研磨した後に再度画像出力を行うと、画像ムラが改善する。
(C)画像ムラは低湿度環境でも発生する。
まず、(A)、(B)より、本発明で改善しようとする画像ムラは感光体表面の汚染物質が原因であると考えられる。次に、汚染物質による画像ムラとして、汚染物質と水(高湿度)によって感光体表面が抵抗低下して発生する画像流れが知られているが、本発明で改善しようとする画像ムラは、(C)により、そのような画像流れではないことが示唆される。
そこで、本発明者らは、汚染物質によるプロセスからの電荷注入、あるいは摩擦帯電を想定し、次の検討を行った。帯電、露光、現像、転写、前露光を経る電子写真プロセスにおいて、転写プロセスの代わりに表面電位計を設置し、現像プロセスの有無で感光体表面電位が変わるか否かを調べた。このとき、現像プロセスでトナーが現像されるとトナー電荷の充電分が感光体表面電位に影響してしまうため、現像プロセスは2成分現像剤を用いる現像器にキャリアのみを投入し、トナー現像が行われないように工夫した。その結果、画像ムラの発生しない未使用の感光体では現像プロセスの有無で感光体表面電位に変化はなかった。しかし、画像ムラの発生した感光体では現像プロセスの有無で、感光体表面電位に差が生じた。より詳しくは、像露光後の転写位置の表面電位が、現像プロセスが無い場合に−200Vであったものが、現像プロセス有りでは−250Vとなった。この結果から、汚染物質は現像プロセスからの電荷注入、あるいは現像プロセスにおける摩擦帯電を促進していることが確認された。
上記の検証は、現像プロセスでの確認であったが、汚染物質が電荷注入あるいは摩擦帯電を引き起こすのであれば、帯電、転写、クリーニングなどの感光体に接触する全てのプロセスで電荷注入あるいは摩擦帯電が発生する可能性がある。しかし、画像ムラを改善するために、全てのプロセスに用いられる部材の抵抗や電荷受容性を制御することは困難である。よって、電子写真感光体自体の改善を試みた。
本発明の電子写真感光体は、表面層に式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物を含有する。特許文献3で、放電生成物のイオンを捕獲する分子としてt−ブチルカリックス[5]アレーンを用いた感光体が開示されているが、この感光体を検討したところ、画像ムラ改善効果が十分ではなかった。本発明に係るカリックスアレーン化合物と特許文献3のカリックスアレーンとの差異は明らかではないが、本発明者らは置換基に由来する電子受容性に違いがあると考えている。つまり、本発明の電子写真感光体は電子受容性の高いカリックスアレーンによって、そもそも全表面で電荷注入または摩擦帯電が起こりやすい状態にあり、汚染物質によるムラが上乗せされても、実質的に画像に影響しないものと想定している。
カリックスアレーン自体、負帯電トナー用の荷電制御剤として知られているが、式(1)〜(3)はその構造から、特に電荷受容性が高いものと考えている。カリックスアレーンはフェノールとメチレンによって構成される環を軸としてコンフォメーション異性体を形成することが知られている。式(1)〜(3)の化合物は、フェノール水酸基の立体障害が小さく、かつ置換基YおよびArが嵩高いため、コンフォメーション異性体はフェノール水酸基が頭を突き合わせるCone型が支配的となる。また置換基Yは電子吸引性を有する。よって式(1)〜(3)のカリックスアレーン化合物は、構造、電子吸引性の双方が分子内分極を促進する結果、電子受容性が高まっていると予想している。
式(1)〜(3)中、Y〜Yはそれぞれ独立に、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−または−N=N−を示し、Ar〜Arはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Ar〜Arがシアノ基、ニトロ基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基を有する芳香族炭化水素環基または複素環基であることが好ましい。
Ar〜Arの芳香族炭化水素環基または複素環基としては、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、フェナンスレン、アンスラセン、フルオランテンおよびピレンなどの炭化水素系芳香環から導かれる基、フラン、チオフェン、ピリジン、インドール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、アクリドン、ジベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール、オキサチアゾール、チアゾール、フェナジン、シンノリンおよびベンゾシンノリンなどの複素環から導かれる基が挙げられる。
またAr〜Arが有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピルおよびブチルなどのアルキル基、メトキシおよびエトキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノおよびジエチルアミノなどのジアルキルアミノ基、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子および臭素原子などのハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基およびハロメチル基などが挙げられる。
Ar〜Arはシアノ基、ニトロ基およびハロゲン原子等の電子吸引性の基を有するベンゼン環基であることが好ましい。Y〜Yとの結合部位に対してメタの位置にシアノ基、ニトロ基およびハロゲン原子を有するフェニル基が好ましい。Ar〜Arは複数の置換基を有してもよい。
表面層中の式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物の含有量は、表面層の全構成材料の1質量%以上20質量%以下である。1質量%よりも少ない場合は画像ムラ抑制効果が十分ではなく、20質量%を超える場合は耐摩耗性が劣ってしまう。式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物は、単独で用いてもよいし、式(1)〜(3)の化合物を2種以上併用してもよい。併用する場合は、表面層中のカリックスアレーン化合物の合計重量が、表面層の全構成材料の1質量%以上20質量%以下である。
表面層は以下のようにして形成できる。まず、複数の重合性官能基を有する化合物であるモノマーと、式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物とを混合して表面層用塗布液を作製する。次に、この表面層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜中のモノマーを硬化させることによって表面層を形成する。このとき、表面層用塗布液に溶媒を添加してもよい。カリックスアレーン化合物は表面層用塗布液に溶解させてもよいし、溶解させずに分散させてもよい。
式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物は、例えば、特許第3295284号公報に記載されている合成方法にて作製できる。すなわち、アミンを常法によりテトラゾ化し、アルカリの存在下カリックスアレーンと水系でカップリングするか、テトラゾニウム塩をホウフッ化塩や塩化亜鉛複塩等に変換した後、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤中で酢酸ソ−ダ、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン等の塩基の存在下、カリックスアレーンとカップリングすることによって合成できる。後述するカリックスアレーン化合物1−9の合成例を以下に示す。ここで、「部」は「質量部」を意味する。
3,5−ジニトロアニリン10部を濃塩酸59部とイオン交換水170部からなる塩酸水中に添加し攪拌しながら分散液を温度−5℃まで冷却した。その分散液中に、亜硝酸ナトリウム4.15部をイオン交換水9.07部に溶かした液を液中滴下した。60分間攪拌後に活性炭1部を添加し、1分間攪拌した後濾過した。その濾物を攪拌しながら、温度−5℃まで冷却し、ホウフッ化ナトリウム10.8部をイオン交換水32.4部に溶かした液を滴下した。60分間の攪拌を経た後、濾過した。濾物を回収し、ホウフッ化ナトリウム7.5部をイオン交換水150部に溶かした液中で60分間分散洗浄し濾過した。濾物を回収し、アセトニトリル7.8部とイソプロピルエーテル43.2部の混合液中で30分間分散洗浄し濾過した。濾物を回収して10.6部のホウフッ化塩を得た(収率68.6%)。
次に、窒素雰囲気下、カリックス[4]アレーン1.8部をテトラヒドロフラン211.2部に溶解させた後、温度−5℃まで冷却した。その溶液に上記で合成したホウフッ化塩6部を添加し、30分攪拌した。さらにピリジン5.88部を温度−5℃の液温をほぼ維持した状態でゆっくり滴下した。濾物を回収し、2.5%塩酸水130部中で60分間分散洗浄した後濾過した。濾物を回収し、イオン交換水300部で60分間分散洗浄した後濾過した。イオン交換水の分散洗浄を再度繰り返した。濾物を回収し、アセトン413部中で60分間分散洗浄した後濾過した。濾物を回収し真空乾燥を経た後、オレンジ色の結晶のカリックスアレーン化合物1−9を3.89部得た(収率76.0%)。
本発明の電子写真感光体は、支持体、該支持体上に形成された電荷発生層、該電荷発生層上に形成された電荷輸送層、必要に応じて電荷輸送層上に形成された保護層を有する。
図1は、電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。図1中、電子写真感光体は、支持体101を有し、電荷発生層102を有し、電荷輸送層103を有し、保護層104を有する。保護層104を設けない場合は、電荷輸送層103が表面層となる。表面層は複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させてなる硬化性樹脂と、下記式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物とを含有する。また、必要に応じて、支持体と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間に、後述の導電層や下引き層を設けてもよい。
電子写真感光体に用いられる支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましい。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの金属または合金製の支持体が挙げられる。アルミニウムまたはアルミニウム合金製の支持体の場合は、ED(Extrusion Drawing)管、EI(Extrusion Ironing)管や、これらを切削、電解複合研磨、湿式または乾式ホーニング処理した支持体を用いることもできる。また、金属製支持体、樹脂製支持体上にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などの導電材料の薄膜を形成して、支持体として用いてもよい。
支持体の表面は、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を樹脂などに含浸させて形成された支持体や、導電性樹脂製の支持体を用いることもできる。
支持体と、電荷発生層または後述の下引き層との間には、導電性粒子および結着樹脂を含有する導電層を設けてもよい。
導電層は、導電性粒子を結着樹脂および溶剤とともに分散処理して得られる導電層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥および/または硬化させることによって形成することができる。
導電層に用いられる導電性粒子としては、例えば、アセチレンブラックなどのカーボンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属の粒子や、酸化スズ、ITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物の粒子などが挙げられる。
導電層に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、メラミン樹脂が挙げられる。
導電層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上40μm以下であることがより好ましい。
支持体または導電層と、電荷発生層との間には、下引き層を設けてもよい。
下引き層は、樹脂を含有する下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥または硬化させることによって形成することができる。
下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンが挙げられる。
下引き層には、上述の導電性粒子、半導電性粒子、電子輸送物質、電子受容性物質を含有させることもできる。
下引き層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
下引き層の膜厚は、0.05μm以上40μm以下であることが好ましく、0.4μm以上20μm以下であることがより好ましい。
支持体、導電層または下引き層上には、電荷発生層が形成される。
電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、キノシアニン顔料が挙げられる。これらの中でも、ガリウムフタロシアニンが好ましい。さらには、高感度の観点から、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましく、その中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.2°±0.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、尿素樹脂が挙げられる。これらの中でも、ブチラール樹脂が好ましい。これらの樹脂は、1種のみを使用してもよく、混合または共重合体として2種以上を併用してもよい。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散処理して得られる電荷発生層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜であってもよい。
電荷発生層において、電荷発生物質と結着樹脂との割合は、電荷発生物質1質量部に対して、結着樹脂が0.3質量部以上4質量部以下であることが好ましい。
また、分散処理方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルを用いた方法が挙げられる。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましい。
また、電荷発生層には、必要に応じて、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤を添加することもできる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物が挙げられる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アガロース樹脂、セルロース樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが挙げられる。これらの樹脂は、1種のみを使用してもよく、混合または共重合体として2種以上を併用してもよい。
電荷輸送物質の割合は、電荷輸送層の全質量に対して、電荷輸送物質が30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。電荷輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましい。
電子写真感光体の表面層は、電荷輸送層である場合、電荷輸送層上の保護層である場合、あるいは電荷輸送能を有する第二の電荷輸送層である場合のいずれであっても構わない。いずれの層構成であっても、表面層は複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させてなる硬化性樹脂と、式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物とを含有する。以下に、表面層としての記載を行う。
表面層は、式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物を、表面層の全構成材料のうち1質量%以上20質量%以下含有する。
表面層が含有するカリックスアレーン化合物の含有量は、表面層形成後に確認することができる。例えば、次のような方法である。
まず、表面層を含む支持体上の層を、刃物を用いるなどして支持体から剥し取る。ついで、表面層以外の層をメチルエチルケトンなどを用いて溶かして、溶媒に溶解しない硬化物から構成される表面層だけを採り出す。この表面層の重量を測定後、N,N−ジメチルホルムアミドなどカリックスアレーン化合物を溶解する溶媒に浸漬し、必要であれば減圧加熱するなどして、カリックスアレーン化合物を溶かし出す。この溶出液をNMRまたは液体クロマトにて測定、別途測定した、カリックスアレーン化合物のN,N−ジメチルホルムアミド溶液の検量線に照らし合わせて濃度を決定する。先に得た表面層重量を用いて含有量を算出する。
式(1)で示される構造を有するカリックスアレーン化合物としては例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2018028604
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式(2)で示される構造を有するカリックスアレーン化合物としては例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2018028604
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式(3)で示される構造を有するカリックスアレーン化合物としては例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2018028604
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表面層に用いられる複数の重合性官能基を有する化合物は、重合性のモノマー、あるいはそれらが複数つながったダイマーやオリゴマーであってもよい。重合性官能基を有する化合物としては、例えば、アクリロイルオキシ基やスチリル基などの連鎖重合性官能基を有する化合物や、水酸基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、エポキシ基などの逐次重合性官能基を有する化合物が挙げられる。耐摩耗性および電子写真特性の観点から、同一分子内に重合性官能基を2つ以上有する化合物がより好ましい。
さらに、同一分子内に電荷輸送性構造(好ましくは正孔輸送性構造)および重合性官能基の両方を有する化合物を用いることがより好ましい。電子写真特性維持の観点から、重合性官能基としてはアクリロイルオキシ基が好ましい。
複数の重合性官能基を有する化合物としては例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2018028604
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表面層用塗布液は、複数の重合性官能基を有する化合物であるモノマーと、式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物とを混合して作製する。このとき、カリックスアレーン化合物は塗布液に溶解させてもよいし、溶解させずに分散させてもよい。
表面層には、各種添加剤を添加することが可能である。添加剤としては、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの劣化防止剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子やフッ化カーボンなどの潤滑剤が挙げられる。また、重合反応開始剤や重合反応停止剤などの重合制御剤、シリコーンオイルなどのレベリング剤、界面活性剤なども挙げられる。
表面層用塗布液に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
表面層の膜厚は、2μm以上20μm以下であることが好ましい。
上記各層の塗布液を塗布する際は、例えば、浸漬塗布法(ディッピング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法といった塗布方法を用いることができる。
複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させる反応としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合(電子線重合)、プラズマCVD法、光CVD法が挙げられる。硬化は、熱、光(紫外線など)、または、放射線(電子線など)を用いて行うことが可能である。これらの中でも、放射線を用いた重合が好ましく、放射線の中でも電子線を用いた重合がより好ましい。電子線による硬化は、短時間でかつ効率的な重合反応となるため生産性が高い。電子線を照射する場合、加速器としては、例えば、スキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型、ラミナー型などが挙げられる。
電子線を用いる場合、電子線の加速電圧は、重合効率を損なわずに電子線による材料特性劣化を抑制できる観点から、120kV以下であることが好ましい。また、表面層用塗布液の塗膜の表面での電子線吸収線量は、1kGy以上50kGy以下であることが好ましく、5kGy以上10kGy以下であることがより好ましい。
また、電子線を用いて上記化合物を硬化(重合)させる場合、酸素による重合阻害作用を抑制する目的で、不活性ガス雰囲気で電子線を照射した後、不活性ガス雰囲気で加熱することが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムが挙げられる。
図2に、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図2において、円筒状の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段)3により、その表面(周面)が正または負に帯電される。次いで、電子写真感光体1の表面には、露光手段(像露光手段)(不図示)から出力される露光光(像露光光)4が照射される。露光光4は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調される。露光手段としては、スリット露光やレーザービーム走査露光などが挙げられる。こうして電子写真感光体1の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、トナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により転写材7に転写される。ここで、転写材7が紙である場合、給紙部(不図示)から電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に給送される。また、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写手段は、一次転写部材、中間転写体および二次転写部材を有する中間転写方式の転写手段であってもよい。
トナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離され、定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によってクリーニングされ、転写残トナーなどの付着物が除去される。転写残トナーは、現像手段などで回収することもできる。さらに、必要に応じて、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10の照射により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。
電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9などから選択される構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとしてもよい。また、プロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在とする構成であってもよい。例えば、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持してカートリッジ化する。そして、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
以下、具体的な実施例を挙げて、より詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。また、電子写真感光体を、以下、単に「感光体」ともいう。
(電子写真感光体の製造例1)
・支持体
支持体として直径29.92mm、長さ357.5mm、厚さ0.7mmの円筒状アルミニウム製シリンダーを用いた。
・下引き層
次に、金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m2/g、粉体抵抗:4.7×106Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合した。これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化コベストロウレタン社(旧:住友バイエルウレタン社)製)15部を混合溶液に溶解させた。混合溶液はメチルエチルケトン73.5部と1−ブタノール73.5部の混合である。
この溶液に前記表面処理された酸化亜鉛粒子80.8部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン0.4部(東京化成工業(株)社製)を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング社(旧:東レダウコーニングシリコーン社)製)0.01部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)社製、平均一次粒径3.1μm)5.6部を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で乾燥させて、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
・電荷発生層
次に、下記の4つの物質を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
・CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)
・・・ 20部
・ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
・・・ 10部
・シクロヘキサノン ・・・600部
この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.18μmの電荷発生層を形成した。
・電荷輸送層
次に、下記の5つの物質を、キシレン600部およびジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
・下記構造式(t)で示される化合物(電荷輸送物質) ・・・ 30部
・下記構造式(u)で示される化合物(電荷輸送物質) ・・・ 60部
・下記構造式(v)で示される化合物(電荷輸送物質) ・・・ 10部
・ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート) ・・・100部
・下記構造式(w)で示されるポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)
・・・0.02部
Figure 2018028604
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間110℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
・保護層
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)100部/1−プロパノール100部の混合溶剤を、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過した。この混合溶剤に下記のとおり、合計100部となるように複数の重合性官能基を有する化合物であるモノマーと、カリックスアレーン化合物を加えた。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、保護層用塗布液を調製した。
・例示化合物1−9 ・・・ 5部
・例示化合物4−3 ・・・95部
この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を大気中において6分間50℃で乾燥させた。その後、窒素中において、支持体(被照射体)を200rpmで回転させながら、加速電圧70kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間、電子線を塗膜に照射した。
引き続いて、窒素中において25℃から120℃まで30秒かけて昇温させ、塗膜の加熱を行った。電子線照射およびその後の加熱時の雰囲気の酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において30分間100℃で加熱処理を行うことによって、膜厚5μmの保護層を形成した。
以上のようにして電子写真感光体を作製した。
(電子写真感光体の製造例2)
保護層用塗布液を下記に変更した以外は電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・保護層用塗布液
まず、下記の手順で潤滑剤分散液を作製した。
分散剤としてのフッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)1.5部を下記の混合溶剤に溶解させた。
・1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製) ・・・30部
・1−プロパノール ・・・30部
これに、潤滑剤としてのポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた。これを高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)に入れ、600kgf/cm2の圧力で、4回の分散処理を施した。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、潤滑剤分散液を得た。
次に、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)70部/1−プロパノール70部の混合溶剤を、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過した。この混合溶剤に下記のとおり、合計70部となるように化合物を加えた。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、モノマー溶液を得た。
・例示化合物1−9 ・・・ 5部
・例示化合物4−3 ・・・65部
得られた潤滑剤分散液とモノマー溶液を混合して、保護層用塗布液を調製した。
(電子写真感光体の製造例3)
保護層を下記に変更した以外は電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・保護層
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、BASF(旧:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)製)1部を、n−プロパノール100部に溶解させた後、下記のとおり、合計100部となるように化合物を加えた。
・例示化合物1−9 ・・・ 5部
・例示化合物4−3 ・・・95部
さらに1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン100部、4−メトキシフェノール0.01部を加えることによって、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を5分間50℃で加熱処理した。その後、メタルハライドランプを用いて、照射強度:500mW/cmの条件で塗膜に20秒間紫外線を照射し、塗膜が130℃になる条件で30分間加熱処理することによって、膜厚5μmの保護層を形成した。
(電子写真感光体の製造例4)
保護層用塗布液を下記に変更した以外は電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・保護層用塗布液
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)100部/1−プロパノール100部の混合溶剤を、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過した。この混合溶剤に下記のとおり、合計100部となるように化合物を加えた。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、保護層用塗布液を調製した。
・例示化合物1−9 ・・・ 5部
・例示化合物4−26 ・・・45部
・例示化合物4−25 ・・・50部
(耐摩耗性の評価)
キヤノン株式会社製iR−ADV C5255の電子写真感光体を有するカートリッジと治具を用いて、クリーニングブレードの摺擦による摩耗量を調べた。治具は、カートリッジを支持し、電子写真感光体を回転させるモーターを有する治具を用いた。温度23℃、湿度5%RHの常温低湿環境下にて、カートリッジに作製した電子写真感光体を装着し、帯電ローラーに印加する交流電圧をVpp2000Vに設定し、電子写真感光体の回転速度を250mm/secとし、6時間の試験を行った。試験前後の膜厚を渦電流式膜厚計(Fischerscope、ヘルムート・フィッシャー社製)にて測定した。円筒状の電子写真感光体の母線方向に均等に6点測定し、6点の平均値を有機層の総膜厚として採用した。試験前後の総膜厚の差を、削れ量(μm)として求めた。
(画像ムラの評価)
電子写真感光体について、画像ムラの評価を行った。キヤノン株式会社製iR−ADV C5255のブラックステーションに電子写真感光体を装着し、23℃5%RHの常温低湿環境にて、A3サイズのハーフトーンを8000枚、連続出力した。このとき、帯電ローラーに印加する交流電圧をVpp2000Vに設定した。8000枚後の出力画像について、画像ムラの濃度差を測定した。測定はエックスライト社製のX−rite518JP/LPアパーチャー3.4mm分光濃度計にて行い、濃度差が0.02を超えた場合を画像ムラあり、0.02以下を画像ムラなしとして判定した。
(実施例1〜21)
各実施例において、電子写真感光体の製造例1〜4の方法から一つを選択し、電子写真感光体を作製した。このとき、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液に使用する化合物を、表1に示す通りの例示化合物、および部数に変更した。電子写真感光体は実施例ごとに2本ずつ作製し、1本は上記の耐摩耗試験の評価を、もう1本は上記の画像ムラの評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1〜8)
各比較例において、電子写真感光体の製造例1〜4の方法から一つを選択し、電子写真感光体を作製した。このとき、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液に使用する化合物を、表1に示す通りの例示化合物、および部数に変更した。電子写真感光体は実施例ごとに2本ずつ作製し、1本は上記の耐摩耗試験の評価を、もう1本は上記の画像ムラの評価を行った。結果を表2に示す。ただし、比較例5、6に用いたカリックスアレーン化合物は、下記5−1、5−2の化合物である。
Figure 2018028604
Figure 2018028604
(比較例9)
保護層用塗布液を下記に変更した以外は電子写真感光体の製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。この感光体について、耐摩耗性の評価、画像ムラの評価を行ったところ、削れ量は0.1μm未満(計測限界以下)であったが、画像ムラは濃度差0.07であった。
・保護層用塗布液
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)100部/1−プロパノール100部の混合溶剤を、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過した。この混合溶剤に、例示化合物4−3を96.8部、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)2部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)1部、例示化合物1−9を0.2部加えて撹拌混合した。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、保護層用塗布液を調製した。
実施例によれば、本発明による電子写真感光体は、削れ量が0.2μm以下かつ画像ムラは分光濃度計による濃度差が0.02以下であり、耐摩耗性を損なうことなく、画像ムラが抑制された電子写真感光体であると言える。
比較例1〜3、比較例7で、カリックスアレーン化合物の添加量が1質量%未満の場合は、画像ムラ改善効果が十分に得られなかった。
比較例4、比較例8で、カリックスアレーン化合物の添加量が20質量%を超える場合は、削れ量が増大し、耐摩耗性が損なわれてしまった。
比較例5、6で、式(1)〜(2)のY〜Yがターシャリーブチル基である場合は、画像ムラ改善効果が十分に得られなかった。カリックスアレーン化合物の電子受容性が不十分であったと推測している。
Figure 2018028604
Figure 2018028604
101 支持体
102 電荷発生層
103 電荷輸送層
104 保護層
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (2)

  1. 支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、
    該電子写真感光体の表面層が、
    複数の重合性官能基を有する化合物を硬化させてなる硬化性樹脂と、
    下記式(1)〜(3)のいずれかで示される構造を有するカリックスアレーン化合物と、を含有し、
    該表面層中の該カリックスアレーン化合物の含有量が、該表面層の全構成材料の1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2018028604
    Figure 2018028604
    Figure 2018028604
    (式中、Y〜Yはそれぞれ独立に、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−または−N=N−を示し、Ar〜Arはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい複素環基を示す。)
  2. 前記Ar〜Arがシアノ基、ニトロ基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基を有する芳香族炭化水素環基または複素環基であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
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WO2021022984A1 (zh) * 2019-08-08 2021-02-11 唐山天泉科技有限公司 一种偶氮杯芳烃药用辅料及其用途

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